JP2005000867A - 写真廃液の処理方法、処理装置及び銀回収方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】写真廃液中にプラズマ誘起体を配置して、該廃液の外部から該プラズマ誘起体にマイクロ波を照射して該廃液の該プラズマ誘起体周辺部を加熱することを特徴とする写真廃液処理方法。加えて生成する沈殿を分離除去し、含銀沈殿からは銀回収を行う方法。また、排気される低沸点化合物に、さらにプラズマによる分解を行う方法。
【選択図】 なし
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、写真現像機からの写真処理廃液の処理方法およびそのシステムに関し、さらに詳しくは、写真処理液廃液中に含まれる有機物、窒素化合物を効率よく分解無害化し、廃水基準を満たすように浄化する写真廃液処理方法、写真処理液廃液中に含まれる金属資源を効率よく回収する処理方法およびそれらのシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
写真処理廃液は、種々の写真処理工程から排出される廃液で、通常混合された状態で回収されて処理されるが、廃液組成の多様性が効果的な廃液処理手段を見出すことを困難にしており、種々の工業廃液の中でも最も処理が困難なものの1つであって、従来から多くの処理法が開示されているが、除去率・処理コストの両面で尚多くの問題がある。
そのため、現実的な対応策として、写真廃液は廃液回収業者により回収され、焼却処理されているが、大気環境及び水域環境中に環境有害物質物質を排出することなく焼却処理するには、焼却温度を高くする必要があるので中型や小型の焼却炉では高温での連続運転による焼却処理は困難なため、大規模焼却装置で焼却されており、処理コストが高くならざるをえない。また、燃焼時に生じる酸化鉄等の高融点の無機塩による配管の閉塞や燃焼炉の消耗を回避するために、化学的な脱鉄工程の設置が必要であるので、工程及び操作がさらに複雑になる問題点も含んでいる。
このような事情から、現在焼却処理が現実的な対応手段ではあっても満足な手段ではなく、写真廃液のより優れた処理技術が引き続き検討されている。
【0003】
写真廃液処理に関して従来より開示されている方法は、主として生物処理、化学処理及び物理処理である。
生物処理法は、例えば活性汚泥による写真廃液の処理法については、多くの処理方法が開示されているが、これらは通常廃液を10〜50倍に希釈したものを処理期間(平均滞留時間)15〜50日でCOD の50〜80%、及びBOD の50〜80%が分解除去できるとされている。
【0004】
化学処理(酸化法)にはオゾン酸化法、過酸化水素酸化法、その他の化学酸化剤による酸化法、電解酸化法等がある。オゾン酸化法は、無機COD 成分の分解除去及び現像主剤である芳香族化合物のベンゼン環分解に有効な手段であるが、有機BOD 成分を除去する効果は殆どない。過酸化水素を用いる方法には、例えば過酸化水素に触媒を組み合わせた過酸化水素−第二鉄塩法(フェントン法)が有機・無機成分いずれに対しても効果があるが、処理コストが高い点に問題がある。そのほか酸化剤として過硫酸塩を使用する方法、強酸性液中に酸化剤を加えて硫黄化合物を安定化して析出させる方法、塩素、次亜塩素酸塩によって酸化する方法及び過硫酸塩を加えて加熱する処理法などが知られている。
電解酸化法には、特許文献1、などが開示されている。
一般に化学処理によるCOD の除去率(低減率)は50%程度とされている。
【0005】
物理処理には高圧加熱法、噴霧焼却法、蒸発乾燥法等がある。写真廃液中には多量のハロゲン化物イオンが含まれているので、反応装置の応力腐食が問題となる。また、熱回収のための熱交換器のスケール、残渣、廃ガス等の処理にも問題がある。
さらに、無機または有機高分子吸着剤を使用する吸着除去法、逆浸透法、透析法などが提案されている。
【0006】
しかし、写真処理廃液のように廃液中に多種多様な環境汚染化学物質が含まれている場合、上記のいずれの方法でも単独では十分に満足な結果は得られない。例えば、1)化学的酸化法では、大量の化学薬品の消費に伴う高コスト化、2)電解酸化法では、電極の汚染に伴うCOD除去率の低下、3)吸着除去法では、吸着剤の吸着能の低下と使用量の増大、4)蒸発法では、悪臭および有害物質の飛散、5)微生物処理法では、有害物質の存在による微生物のCOD成分処理能の低下、6)逆浸透法または透析法では、カラムまたは膜の寿命低下などの問題がある。
【0007】
上記の熱を利用する物理処理についての新たな処理方法として、近年、液相中に含まれる難分解性の有害成分を、放電プラズマによって分解処理を行う方法が提唱されている。しかしながら、液相中で放電プラズマを発生させるためには、通常、平行平板電極が使用されているが、プラズマ発生にアルゴンガスが必要であり、また、発生するプラズマと被分解物質との接触面積および時間が短く、分解効率が極めて悪い。
そこで、有害物質にマイクロ波を直接照射して放電による分解処理することが考えられるが、この方法であれば設備が大型化することなく処理できる。しかしながら、一般的に、水中や空気中にマイクロ波を照射しても放電を起こさせることは容易でなく、そのままマイクロ波を照射してプラズマを発生させて処理を行うには、膨大な電力を消費するので総エネルギー量に対する分解効率が悪い。通常、負荷した電力量の約半分しかマイクロ波に変換しないので、残りの電力量は熱に変換されて無駄となってしまう。
そこで、特許文献2では、高周波誘導プラズマを発生させて瞬時に被処理物を加熱・気化させる方法が開示されている。さらに、特許文献3では、特定のプラズマ誘起体にマイクロ波を照射することにより、水中や空気中で効率よく誘起プラズマを発生させることができることと、それが燃焼ガスの無害化等に利用できることが開示されている。
【0008】
この出願の発明に関連する前記の先行技術には、次ぎの文献がある。
【特許文献1】
特開平8−296081号公報
【特許文献2】
特開平5−96298号公報
【特許文献3】
特開平7−299467号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように従来開示されているいずれの湿式廃液処理手段も、また廃液処理手段同士を組み合わせた複合処理手段も、完全な解決とはならず、とくに現像所で実施するのは困難であり、また、プラズマ利用による廃液処理手段は、現像所などでの小規模でかつ水系の処理に対する実用性に問題がある。写真廃液処理手段としては、BOD及びCODのいずれをも排水基準値以下に低減させ得る手段であって、とくに現像所においても実施できる小規模で実用可能の廃液処理手段が強く望まれている。
また、写真廃液は、高塩濃度の水溶液であり、銀、鉄等の重金属も含有しているので、それらの除去も必要であり、さらに、熱処理手段による場合は発生するアンモニアを含む有害な分解ガスの無害化も必要である。
【0010】
本発明は、上記した背景からなされたものであり、その目的は、写真廃液のBOD及びCODを効果的に低減できて、かつ銀,鉄などの重金属も除去でき、さらに有害ガスの環境放出もない写真廃液処理方法を提示することであり、さらなる目的は、上記機能を有していて、しかも現像所に適用可能な、すなわちオンサイト処理可能な、写真廃液処理方法を提示することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的に対して、プラズマの利用にかかわる従来の問題を解決するべく、プラズマ誘起体の水中での効果の向上方法、水中でのマイクロ波誘起プラズマの発生状態の制御と溶存有機物、無機物等の分解特性の関係などを検討し、それに基づいて、分解処理システム全体の分解効率向上および運転コストの低減を可能とする処理方法を鋭意研究した結果、写真処理廃液中に特定のプラズマ誘起体を投入してマイクロ波を照射することによって処理液成分を分解できることを見出した。
さらに、写真廃液のような高濃度の無機塩の存在下では、誘起プラズマが途中で消失し十分に分解が進まないこと、プラズマ分解により生成する難溶性の無機塩が誘起体を汚染してプラズマ発生を抑止してしまうこと、また、マイクロ波を吸収し加熱されて反応管を破損してしまうことなどの問題があって廃液成分の分解が阻害されることが判明したが、本発明者らは、プラズマ誘起体にマイクロ波を照射して廃液成分を分解するためのプラズマ反応容器とは別に廃液タンクを設けて、処理すべき廃液をプラズマ反応容器と廃液タンクとの間で循環させる方式とすれば、途中でプラズマが消失することもなく、効率よく有機物を分解できることを見出した。
さらに、循環経路の途中で、分解時に発生する難溶性の無機塩を廃液から除去することにより、誘起体の汚染や無機塩によるマイクロ波の吸収による効率低下を防いで、長期間にわたり、安定的に写真廃液の無害化処理を継続して実施できることを見出した。
また、写真廃液をプラズマ反応容器内に滞留せずに流動させる方式とすれば、とくに廃液槽との間を循環させる方式とすれば、同様に効率低下を防いで、安定して写真廃液の無害化処理を継続できることも判明した。
また、廃液中の誘起プラズマによる分解の際に発生する部分分解ガス成分についても、発生ガスと空気を混合し、ガス反応容器内に誘起体を設置し少量の電力でプラズマを発生させて酸化分解できることがわかった。
【0012】
従って、本発明は、下記の写真廃液処理方法、重金属除去方法、銀回収方法、及びそれら各方法用の装置である。
(1)写真廃液中にプラズマ誘起体を配置して、該廃液の外部から該プラズマ誘起体にマイクロ波を照射して該廃液の該プラズマ誘起体周辺部を加熱することを特徴とする写真廃液処理方法。
【0013】
(2)写真廃液中にプラズマ誘起体を配置して、該廃液の外部から該プラズマ誘起体にマイクロ波を照射して該廃液の該プラズマ誘起体周辺部を加熱することによって低沸点の分解ガスを発生させたのち、該分解ガスを該廃液から分離除去することを特徴とする上記(1)に記載の写真廃液処理方法。
(3)写真廃液がアンモニウムイオンを含有する廃液であり、分解ガスがアンモニアを含むガスであることを特徴とする上記(2)に記載の写真廃液
(4)写真廃液から分離除去した低沸点の分解ガス中にプラズマ誘起体を配置して、該プラズマ誘起体にマイクロ波を照射して該分解ガスを加熱することを特徴とする上記(2)又は(3)に記載の写真廃液処理方法。
【0014】
(5)写真廃液中にプラズマ誘起体を配置して、該廃液の外部から該プラズマ誘起体にマイクロ波を照射して該廃液の該プラズマ誘起体周辺部を加熱して難水溶性無機化合物・単体を生成させたのち、該無機化合物・単体を該廃液から分離除去することを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の写真廃液処理方法。
【0015】
(6)写真廃液槽と、プラズマ誘起体を反応容器内に配置したプラズマ反応容器と、該反応容器外部から該プラズマ誘起体にマイクロ波を照射するように配されたマイクロ波照射装置と、該写真廃液槽からプラズマ反応容器に写真廃液を送液する送液管と、該プラズマ反応容器から照射された写真廃液を該写真廃液槽に還流させる還流管と、からなる写真廃液処理装置を用いて、写真廃液を写真廃液槽とプラズマ反応容器との間を循環させながら該プラズマ誘起体にマイクロ波を照射して該プラズマ誘起体周辺部の写真廃液を加熱することを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の写真廃液処理方法。
(7)写真廃液槽と、プラズマ誘起体を反応容器内に配置したプラズマ反応容器と、該反応容器外部から該プラズマ誘起体にマイクロ波を照射するように配されたマイクロ波照射装置と、該写真廃液槽からプラズマ反応容器に写真廃液を送液する送液管と、該プラズマ反応容器から照射された写真廃液を該写真廃液槽に還流させる還流管と、マイクロ波照射によって発生した低沸点の分解ガスにマイクロ波を照射するように配されたマイクロ波照射手段と、からなる写真廃液処理装置を用いて、写真廃液を写真廃液槽とプラズマ反応容器との間を循環させながら該プラズマ誘起体に該マイクロ波を照射して該廃液の該プラズマ誘起体周辺部を加熱し、発生した該分解ガスを写真廃液から分離除去したのち、除去した分解ガスにマイクロ波を照射することを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の写真廃液処理方法。
【0016】
(8)チオ硫酸銀錯塩を含有する写真廃液中にプラズマ誘起体を配置して、該廃液の外部から該プラズマ誘起体にマイクロ波を照射して該廃液の該プラズマ誘起体周辺部を加熱して難水溶性銀塩を生成させたのち、該銀塩を該廃液から分離除去することを特徴とする写真廃液中の銀の回収方法。
(9)チオ硫酸銀錯塩を含有する写真廃液が、定着廃液及び漂白定着廃液から選ばれる廃液であることを特徴とする上記(8)に記載の写真廃液中の銀の回収方法。
【0017】
(10)写真廃液槽と、プラズマ誘起体を反応容器内に配置したプラズマ反応容器と、該反応容器外部から該プラズマ誘起体にマイクロ波を照射するように配されたマイクロ波照射装置と、該写真廃液槽からプラズマ反応容器に写真廃液を送液する送液管と、該プラズマ反応容器から照射された写真廃液を該写真廃液槽に還流させる還流管と、から構成されたことを特徴とする写真廃液処理装置。
(11)さらに、マイクロ波の照射によって生成する難溶性無機塩を分離回収する回収手段を備えたことを特徴とする上記(10)に記載の写真廃液処理装置。
(12)さらに、マイクロ波照射によって発生した低沸点の分解ガスにマイクロ波を照射するように配されたマイクロ波照射手段を備えたことを特徴とする上記(10)又は(11)に記載の写真廃液処理装置。
【0018】
以下、本発明をさらに具体的に詳述する。
【発明の実施の形態】
[写真処理廃液の構成と水質特性]
本発明の写真処理廃液の処理方法について説明するに先だって、写真処理廃液について構成と水質特性を中心に説明する。なお、本明細書では、「写真処理廃液」を「写真廃液」と記すこともある。
写真処理廃液は、カラー写真或いはモノクローム写真の現像廃液の他、定着廃液または写真製版等写真工業で発生した多くの種類の廃液が含まれている。定着廃液については、銀含有定着廃液に対して溶存している銀を回収するためと、溶存している銀を回収した残液に排水基準を満たすためと、いずれの場合にも本発明の方法を適用することができる。
【0019】
したがって、写真廃液には処理液処方に含まれて消費されなかった構成薬品、すなわち現像液由来の現像主薬、アルカリ化合物、緩衝剤、亜硫酸塩やヒドロキシルアミン誘導体などの補恒剤、アルカリハライドなど、定着系処理液由来のチオ硫酸や亜硫酸のアンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アルカリハライドなど、漂白系処理液由来のポリアミノポリカルボン酸鉄(III)錯塩などの漂白剤、再ハロゲン化剤、緩衝塩など、その他各工程槽から排出される硬水軟化剤、界面活性剤などの機能性化合物など、が含まれているほかに、処理中に感光材料から溶出した例えばゼラチンや感光色素などの溶出成分及び処理中に生じた反応生成物が混在しており、多岐に亘る化学成分を含んでいる。
写真廃液を水質環境要因からみれば、高濃度のBOD 、COD 、窒素、リンを含み、且つ、生物処理または化学処理によっても難分解性成分が多量に含まれている。処理の種類及びその処理の各工程からの廃液の混合比率によりかなり変動はするが、おおよそCOD 30,000〜50,000 mg/l、BOD 5,000 〜15,000 mg/l、TOC(Total Organic Carbon) 10,000〜25,000 mg/l、ケルダール窒素 10,000 〜15,000 mg/l、トータル燐 100〜500mg/l の範囲である。COD:BOD:TOC の比率は概ね 4:1:1.5でCOD が高い特徴があり、またC:N:P の元素比率はほぼ 100:100:1でN の含有率が高い特徴がある。
【0020】
[廃液処理]
本発明の方法によるプラズマによる写真処理廃液の処理方法と装置について述べる。
本発明においては、写真廃液をセラミックスプラズマ誘起体が設置された反応容器に導入し、マイクロ波の照射によって、プラズマ誘起体から水相中でプラズマを発生させ、短時間、高効率かつ低コストで成分化合物を分解する。廃液の処理工程で排出される揮発性の部分分解生成ガス(後述する再度のプラズマ加熱でさらに分解させる工程で生じる高次の分解ガスと区別する意味において部分分解生成ガス又は部分分解ガスと呼ぶが、区別の必要のない場合は単に分解ガスと呼ぶ)についても同様に、ガス反応器内に誘起体を設置することによって、少量の電力でも効率よくプラズマを生じさせて、連続的に有害物質を分解処理する。
本発明の実施の態様の具体例を図1〜3に示すが、本発明の態様はこれらに限定されるものではない。
【0021】
図1は、前記(1)及び(6)に述べた本発明の写真廃液処理を行なう操作および装置の概略図である。図1において、廃液処理装置は、写真廃液槽1と、プラズマ誘起体3を反応容器2内に配置したプラズマ反応容器2と、該反応容器2外部から該プラズマ誘起体3にマイクロ波を照射するように配されたマイクロ波照射装置4と、該写真廃液槽1からプラズマ反応容器2に写真廃液を送液ポンプ5によって送液する送液管6と、該プラズマ反応容器2から照射された写真廃液を該写真廃液槽1に還流させる還流管7と、から構成されている。
この写真廃液処理装置において、写真廃液は写真廃液槽1とプラズマ反応容器2との間を送液管6と還流管7とを経て循環しており、プラズマ誘起体2にマイクロ波を照射して廃液のプラズマ誘起体3周辺部を加熱してプラズマを発生させ、廃液成分は熱分解される。
【0022】
図2は、前記(1)に述べた写真廃液処理を行なう図1の装置に、前記(5)に述べたプラズマによって発生した難水溶性無機化合物・単体を捕集分離する手段を付加したものである。図2の各数字記号は、図1と同じ意味のものである。図2においては、写真廃液槽1とプラズマ反応容器2との間に沈澱物除去手段8が設けられているが、そのほかは図1に述べた内容と同じである。沈澱物は、プラズマ誘起体周辺部の加熱によって生成した難水溶性無機化合物・単体であり、沈澱物除去手段8で捕集されて装置内を巡還する廃液から除去される。捕集される難水溶性無機化合物・単体は、漂白剤として用いられた鉄錯塩やその分解物、あるいはチオ硫酸銀錯塩の分解によって生じた硫化銀やハロゲン化銀及び無機硫黄である。後者は、回収後公知の方法によって精錬されて金属銀に再生し、再利用される。沈澱物除去手段8は、図2では写真廃液槽1とプラズマ反応容器2との間に設けられているが、送液管6のプラズマ反応容器2とポンプ5の間に設けられていてもよく、還流管7に設けられていてもよく、あるいは廃液槽1に付属していてもよい。
【0023】
図3は、前記(5)に加えて、さらに前記(7)に述べた本発明の写真廃液処理をも行なう操作および装置の概略図であって、プラズマによって発生した部分分解ガスをさらに分解して除去する手段を図2の装置に付加したものであって、図3の各数字記号も、図1及び2と同じ意味のものである。図3において,写真廃液槽1の上部には、廃ガス送気管12を経てプラズマ誘起体10を内部に配置したプラズマ反応容器9が設けられており、該プラズマ誘起体10にマイクロ波を照射するようにマイクロ波照射装置11が配されており、プラズマ反応容器9の上部には排気管13が備えられている.プラズマ反応容器9は、図3では写真廃液槽1の上部に設けられているが、プラズマ反応容器2の上部や、還流管7に設けられていてもよい。
加熱処理された写真廃液は、低沸点の分解ガスとして酢酸のような低分子有機化合物蒸気を含有する場合や、アンモニウム塩の分解によって生じたアンモニアなどを含有することもある。これらの低沸点蒸気や気体は、更なるプラズマ加熱によって環境に無害な形になって排出される。
【0024】
・マイクロ波発振器
マイクロ波照射に使用するマイクロ波発振器についても、廃液処理工程および部分分解生成ガス処理工程で同じものを使用することができる。マイクロ波の周波数としては、市販品の入手の可能性などから、例えば2.45GHzの発振周波数を用いることができるが、水分子への吸収・加熱を防いで効率的に放電を誘起する観点からは、この周波数に限定されるものではなく、誘起体に作用させて放電を生じ得る波長を幅広く用いることできる。また、出力も限定されるものではないが、例えば100〜1500W程度の発振器を用いることができる。
マイクロ波照射においては電極が不要であり、照射を受ける写真廃液を含む反応容器の外部から照射可能である。そして反応容器の中のプラズマ誘起体に向けて、マイクロ波を照射して、プラズマを発生させる。一般的には、水中や空気中に電磁波吸収体を存在させないでマイクロ波を照射しても放電は起こり難いが、本発明では、廃液中にプラズマ誘起体を配置しており、外部からマイクロ波を照射した場合、その内部で集中的・局所的に放電が生じる。このプラズマ誘起体の特徴を利用して、水中に存在する有害物質をプラズマによって分解処理する。
【0025】
・プラズマ誘起体
プラズマ誘起体は、マイクロ波の照射を受けるとプラズマが発生し易い物質で構成されている。廃液処理工程および部分分解生成ガス処理工程で用いられるプラズマ誘起体は同じものを使用することができ、ブロック状、粒状またはハニカムなどの多孔質形状で、具体的には、例えばグラファイトブロック、粒状活性炭、SiC焼結体の他、導電性の高いペロブスカイト型酸化物の粒子又はブロック片等が挙げられる。誘起体の形状とサイズは特に限定されるものではないが、例えば約2〜3mm角程度のブロックや、10〜30mmの気孔を有する多孔体を使用することができる。
プラズマ誘起体の作用は、形状的に電界の集中を起しやすくすること、マイクロ波を吸収しやすくガス成分の電子を放出しやすいこと、また、放電が持続的に起こること、等が挙げられる。
好ましいプラズマ誘起体としては、廃液処理工程には、FeSi等の誘起体が好ましく、部分分解生成ガス処理工程には、SiC焼結体等が好ましく用いられる。
【0026】
・反応容器
反応容器は、連続的に大量の廃液を処理できるように廃液槽と反応容器を循環させることが好ましい。循環ポンプ、配管、廃液槽等の材質は特に限定されないが、写真処理廃液によって腐食しないものを選ぶことが好ましく、写真処理機に通常用いられるステンレス、テフロン等が好ましい。
廃液処理工程および部分分解生成ガス処理工程で用いられる反応容器の材質は、耐熱性のある素材であり、マイクロ波の吸収反射を防ぐことの出来る、セラミックスや耐熱プラスチック、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス等を用いることができる。反応容器は、たとえば内径は、5〜30mm、長さ5〜100cm程度で行うことができ、装置のサイズを現像所に導入可能としている。
プラズマ分解反応時に発生する熱により水が蒸発するため、反応容器上部に冷却管を設けて、不要な蒸気発生を防いでも良く、また、発生した熱を熱交換器により写真現像処理機の処理液の保温等に用いても良い。
【0027】
・沈殿物の除去
沈殿物の除去手段には、沈降槽又はフィルター、あるいはその組み合わせを用いるのが好ましい。沈降槽は、通常、排水の活性汚泥処理で用いる汚泥分離用ものでよい。沈降槽中の液の流れは、廃液槽との間で十分液交換される速度の流れが有れば良く、流速が速すぎると沈降が不十分で好ましくない。一方反応容器と廃液槽の間の循環は、プラズマ誘起体表面での液交換(撹拌)が熱分解反応の進行の要因であるため、速いほうが好ましい。
沈殿物が銀含有物である場合には、公知の方法によって銀の回収が行われる。
【0028】
沈殿物の除去に用いられるフィルターとしては、UF膜、RO膜、多孔性ポリマーの単膜フィルター、セラミック単膜フィルター、パルプ繊維フィルターが使用できる。0.05〜50μm、好ましくは0.1〜30μm、より好ましくは0.2〜10μmのポアサイズを有するものであればいずれでもよい。
具体的には、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスルホン、アクリルニトリル等の多孔性ポリマーの単膜フィルター、多孔性ガラス、素焼き板、火成岩板、発泡性窒化物等のセラミック単膜フィルター、濾紙、0.01デニールの繊維(ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン)の繊維フィルター、等が上げられる。これらのフィルターの市販品としては、ユアサ(株)製の各種ユミクロン膜、ミリポア社製のミリポアフィルター(例えば、ミリポアAA、DA、HA、PH、GS、FG、UC、UM、US、GU、HP等が挙げられる)、(株)クラレ製精密ろ過フィルター(SF−301、SF−101、SF−401)、ゴアテックス社製のゴアテックス膜等が挙げられる。
【0029】
本発明におけるろ過法としては、比較的短時間で沈澱が充分フィルターにより捕集できればいずれの方法でも使用することができる。好ましくは、密閉状態で、均一の圧力0.1〜0.8kg/cm2 をかけてろ過することが、好ましい。上記フィルターによる濾過方法は、液をフィルターに1回透過させるだけの一過式で充分であるが、場合によって多段一過式、一段ないし多段循環式等でもよい。本発明に用いるフィルターの形状あるいは大きさは、目的、用途等に応じて適宜選択すればよい。好ましくは、袋形のフィルターを用い、その外側から処理液を流入させ、袋形のフィルターの内部からろ液を流出させる方式がより好ましい。
【0030】
[写真処理液]
写真処理液は、カラー感光材料と黒白感光材料の処理に用いられる。処理されるカラー感光材料としてはカラーペーパー、カラー反転ペーパー、撮影用カラーネガフィルム、カラー反転フィルム、映画用ネガもしくはポジフィルム、直接ポジカラー感光材料などを挙げることができ、黒白感光材料としては、Xレイフィルム、印刷用感光材料、マイクロフィルム、撮影用黒白フィルムなどを挙げることができる。
【0031】
本発明に適用される写真処理廃液は、写真処理液成分を主成分としているが、写真処理廃液には、写真処理液に添加されている素材のほか写真処理過程で生成した現像主薬の酸化体、硫酸塩、ハライドなどの反応生成物や、感光材料から溶け出した微量のゼラチン、感光色素、界面活性剤などの成分が含まれている。
【0032】
写真処理液にはカラー処理液、黒白処理液、製版作業に伴う減力液、現像処理タンク洗浄液などがあり、黒白現像液、カラー現像液、定着液、漂白液、漂白定着液、画像安定化液などが挙げられる。
【0033】
カラー現像液は、通常、芳香族第一級アミンカラー現像主薬を主成分として含有する。それは主にp−フェニレンジアミン誘導体であり、代表例はN,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン、2−アミノ−5−ジエチルアミノトルエン、2−メチル−4−〔N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ〕アニリン、N−エチル−N−(β−メタンスルホンアミドエチル)−3−メチル−4−アミノアニリンである。また、これらのp−フェニレンジアミン誘導体は硫酸塩、塩酸塩、亜硫酸塩、p−トルエンスルホン酸塩などの塩である。該芳香族第一級アミン現像主薬の含有量は現像液1リットル当り約0.5g〜約10gの範囲である。
【0034】
また黒白現像液中には、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−ヒドロキシメチル−4−メチル−3−ピラゾリドン、N−メチル−p−アミノフェノール及びその硫酸塩、ヒドロキノン及びそのスルホン酸塩などが含まれている。
【0035】
カラー及び黒白現像液には保恒剤として、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、メタ亜硫酸ナトリウム、メタ亜硫酸カリウム等の亜硫酸塩や、カルボニル亜硫酸付加物を含有するのが普通で、これらの含有量は現像液1リットル当たり0g〜5gである。
【0036】
カラー及び黒白現像液中には、保恒剤として種々のヒドロキシルアミン類を含んでいる。ヒドロキシルアミン類は置換又は無置換いずれも用いられる。置換体としてはヒドロキシアルミン類の窒素原子が低級アルキル基によって置換されているもの、とくに2個のアルキル基(例えば炭素数1〜3)によって置換されたN,N−ジアルキル置換ヒドロキシルアミン類が挙げられる。またN,N−ジアルキル置換ヒドロキシルアミンとトリエタノールアミンなどのアルカノールアミンの組合せも用いられる。ヒドロキシルアミン類の含有量は現像液1リットル当り0〜5gである。
【0037】
カラー及び黒白現像液は、pH9〜12である。上記pHを保持するためには、各種緩衝剤が用いられる。緩衝剤としては、炭酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、グリシン塩、N,N−ジメチルグリシン塩、ロイシン塩、ノルロイシン塩、グアニン塩、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン塩、アラニン塩、アミノ酪酸塩、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール塩、バリン塩、プロリン塩、トリスヒドロシアミノメタン塩、リシン塩などを用いることができる。特に炭酸塩、リン酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩は、溶解性やpH9以上の高pH領域での緩衝能に優れ、現像液に添加しても写真性能面への悪影響(カブリなど)がなく、安価であるといった利点を有し、これらの緩衝剤が多く用いられる。該緩衝剤の現像液への添加量は通常現像液1リットル当たり0.1モル〜1モルである。
【0038】
その他、現像液中にはカルシウムやマグネシウムの沈澱防止剤として、或いは現像液の安定性向上のために各種キレート剤が添加される。その代表例としてニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ニトリロ−N,N,N−トリメリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N′,N′−テトラメチレンホスホン酸、1,3−ジアミノ−2−プロパノール四酢酸、トランスシクロヘキサンジアミン四酢酸、1,3−ジアミノプロパン四酢酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸等を挙げることができる。これらのキレート剤は必要に応じて2種以上併用されることもある。
【0039】
現像液は、各種の現像促進剤を含有する。現像促進剤としては、チオエーテル系化合物、p−フェニレンジアミン系化合物、4級アンモニウム塩類、p−アミノフェノール類、アミン系化合物、ポリアルキレンオキサイド、1−フェニル−3−ピラゾリドン類、ヒドラジン類、メソイオン型化合物、チオン型化合物、イミダゾール類等である。
【0040】
多くのカラーペーパー用カラー現像液は、上記のカラー現像主薬、亜硫酸塩、ヒドロキシルアミン塩、炭酸塩、硬水軟化剤などと共にシルキレングリコール類やベンジルアルコール類を含んでいる。一方カラーネガ用現像液、カラーポジ用現像液、一部のカラーペーパー用現像液は、これらのアルコール類を含んでいない。
【0041】
また、現像液中には、カブリ防止の目的で、臭素イオンを含有することが多いが、塩化銀を主体とする感光材料に対しては臭素イオンを含まない現像液を用いることもある。その他、無機カブリ防止剤としてNaClやKClなどの塩素イオンを与える化合物を含有していることがある。また各種有機カブリ防止剤を含有していていることも多い。有機カブリ防止剤としては、例えば、アデニン類、ベンズイミダゾール類、ベンゾトリアゾール類及びテトラゾール類を含有していてせよい。これらのカブリ防止剤の含有量は現像液1リットル当り0.010g〜2gである。これらのカブリ防止剤は処理中に感光材料中から溶出し、現像液中に蓄積するものも含まれる。特に本発明において上記したような臭素イオンや塩素イオン等の総ハロゲンイオン濃度が混合液1リットル当たり1ミリモル以上であるような廃液においても有効に処理することができる。特に臭素イオン濃度が混合液1リットル当たり1ミリモル以上の場合に有効である。
【0042】
また、現像液中には、アルキルホスフォン酸、アリールホスフォン酸、脂肪酸カルボン酸、芳香族カルボン酸等の各種界面活性剤を含有している。
【0043】
黒白写真処理においては、現像処理の後に定着処理が行なわれる。カラー写真処理においては、現像処理と定着処理の間に通常漂白処理が行なわれ、漂白処理は定着処理と同時に漂白定着(ブリックス)で行なわれることもある。漂白液には、酸化剤として鉄(III) 又はCo(III) のEDTA、ジエチレントリアミン五酢酸、ニトリロトリ酢酸、1,3−ジアミノ−プロパン四酢酸塩、ホスホノカルボン酸塩そのほか過硫酸塩、キノン類などが含まれている。そのほか、臭化アルカリ、臭化アンモニウムなどの再ハロゲン化剤、硼酸塩類、炭酸塩類、硝酸塩類を適宜含有する場合もある。定着液や漂白定着液には通常チオ硫酸塩(ナトリウム塩、アンモニウム塩)、酢酸塩、ホウ酸塩、アンモニウム又はカリ明ばん亜硫酸塩などを含有していている。
【0044】
ハロゲン化銀写真感光材料の処理においては、定着処理あるいは漂白定着処理行なった後、水洗及び/又は安定処理を行なうことが一般的である。水洗処理においては、その処理槽にバクテリアが繁殖し、生成した浮遊物が感光材料に付着する等の問題が生じることがある。このような問題の解決策として、水洗水に特開昭61−131632号に記載のカルシウムイオン、マグネシウムイオンを低減させる方法を用いることができる。また、特開昭57−8542号に記載のイソチアゾロン化合物やサイアベンダゾール類、塩素化イソシアヌール酸ナトリウム等の塩素系殺菌剤、その他ベンゾトリアゾール等、堀口博著「防菌防黴剤の化学」、衛生技術会編「微生物の滅菌、殺菌、防黴技術」、日本防菌防黴学会編「防菌防黴剤事典」に記載の殺菌剤を用いることもある。
【0045】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、これらは本発明の範囲をなんら限定するものではない。
本実施例では、写真廃液として、富士写真フイルム製プリンタF350を用いて、市販のカラーペーパー(フジカラーペーパーsuper)にカラーネガからプリント焼き付けを行って、フジカラーカラーペーパー用処理材CP−48Sを用いて処理したときに得られる、現像、漂白定着、水洗の各浴からのオーバーフロー液として得られる現像廃液、漂白定着廃液、水洗廃液を混合したものを用いた。
反応容器には、内径10mm、長さ50cm石英ガラスの反応管を用いた。プラズマ誘起体として、SiC焼結体を約1〜10mm角のブロックに破砕したものを0.5g用いた。
マイクロ波の発信器としては、新日本無線(株)製NJA2103A を用い、2.45GHzのマイクロ波を発振させた。
【0046】
(実施例1)
SiC焼結体を入れた現像廃液5mlの反応管に、150Wのマイクロ波をそれぞれ20分間の連続照射し、プラズマ分解を行った。なお、10分間プラズマ処理すると、反応管上部に還流器を取り付けていても、水の蒸発のため廃液量が約3mlへと減少したので、純水を加えて5mlにした後、更に10分間プラズマ処理を行った。プラズマ発生の初期には、白い発光が観察された。しかし、時間の経過とともに、黒い物質が溶液内に生成し、反応管壁に付着し、20分後にはプラズマが消失した。
【0047】
分解後の廃液のTOC(総有機炭素)と、主成分のEDTAを分析した結果を、表に示す。大半の有機成分が分解されたことが示されており、プラズマは反応開始から20分後に消失したが、その間に廃液の無害化が効果的に行われたことが判る。なお、TOCは、JIS法(JIS K0102、工業排水試験方法)によって求め、EDTAは、イオンクロマト法によって求めた。
【0048】
【表1】
【0049】
また、分解後の廃液中の、無機成分の定量結果を下表に示す。
有機成分だけでなく、銀、鉄等の重金属及びチオ硫酸塩が除去でき、アンモニア(JIS法(JIS K0102、工業排水試験方法)によるアンモニア性窒素)も除去することが出来ており、本方式の、写真廃液の無害化に対する有効性は明らかである。
【0050】
【表2】
【0051】
(実施例2)
2.0gのSiC焼結体を設置した容積20mlの反応管と1Lの廃液タンクの間で廃液を循環できる廃液処理装置を組み立て、写真廃液を1L/分で循環させつつ、反応管に150Wのマイクロ波を連続して9時間照射した。廃液タンク内の廃液の温度は、実験開示直後は25℃であったが、マイクロ波照射中に徐々に上昇し、3時間後に70℃に達したが、その後、9時間までは65℃〜70℃であった。廃液タンクの内部には徐々に黒色の沈殿物が堆積し、循環流れにより揺動されて、完全には沈降しなかったが、プラズマ発生は、途中停止することなく、廃液1L全量を処理できた。反応後の廃液のTOCは、2000に低下しており、効率よく有機物を分解できている。その上、この実験装置のサイズと能力から本発明の方法は、現像所でも実施が可能であると判断できる。
【0052】
(実施例3)
反応管と、廃液タンクとの間に、不要物を沈降させる沈降槽を設けた以外は、実施例2と同様に実験を行った。反応後のTOCは、1200に低下しており、さらに効率よく有機物を分解できている。
沈降物の組成は、Ag(ハロゲン化銀、硫化銀など)、Fe(鉄の酸化物、水酸化物など)及び硫黄であり、廃液の無害化と同時に簡便にAg含有固形物を回収できた。
【0053】
【発明の効果】
写真廃液中にプラズマ誘起体を配置して、該廃液の外部から該プラズマ誘起体にマイクロ波を照射して該廃液の該プラズマ誘起体周辺部を加熱することを特徴とする本発明の写真廃液の処理方法によって、写真廃液のBOD及びCODを下水道法の排水基準を満たすレベルまで効果的に低減でき、さらに銀,鉄などの重金属も除去でき、さらに有害ガスの環境放出も可能である。この方法は、現像所においても実用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の写真廃液処理方法の一態様に係る廃液処理操作および装置の概略図である。
【図2】本発明の写真廃液処理方法の別の態様に係る廃液処理操作および装置の概略図である。
【図3】本発明の写真廃液処理方法のさらに別の態様に係る廃液処理操作および装置の概略図である。
【符号の説明】
1.写真廃液槽
2.反応容器
3.プラズマ誘起体
4. マイクロ波照射装置
5. 送液ポンプ
6.送液管
7.還流管
8.沈澱物除去手段
9.プラズマ反応容器
10.プラズマ誘起体
11.マイクロ波照射装置
12.廃ガス送気管
13.排気管
Claims (12)
- 写真廃液中にプラズマ誘起体を配置して、該廃液の外部から該プラズマ誘起体にマイクロ波を照射して該廃液の該プラズマ誘起体周辺部を加熱することを特徴とする写真廃液処理方法。
- 写真廃液中にプラズマ誘起体を配置して、該廃液の外部から該プラズマ誘起体にマイクロ波を照射して該廃液の該プラズマ誘起体周辺部を加熱することによって低沸点の分解ガスを発生させたのち、該分解ガスを該廃液から分離除去することを特徴とする請求項1に記載の写真廃液処理方法。
- 写真廃液がアンモニウムイオンを含有する廃液であり、分解ガスがアンモニアを含むガスであることを特徴とする請求項2に記載の写真廃液
- 写真廃液から分離除去した低沸点の分解ガス中にプラズマ誘起体を配置して、該プラズマ誘起体にマイクロ波を照射して該分解ガスを加熱することを特徴とする請求項2又は3に記載の写真廃液処理方法。
- 写真廃液中にプラズマ誘起体を配置して、該廃液の外部から該プラズマ誘起体にマイクロ波を照射して該廃液の該プラズマ誘起体周辺部を加熱して難水溶性無機化合物・単体を生成させたのち、該無機化合物・単体を該廃液から分離除去することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の写真廃液処理方法。
- 写真廃液槽と、プラズマ誘起体を反応容器内に配置したプラズマ反応容器と、該反応容器外部から該プラズマ誘起体にマイクロ波を照射するように配されたマイクロ波照射装置と、該写真廃液槽からプラズマ反応容器に写真廃液を送液する送液管と、該プラズマ反応容器から照射された写真廃液を該写真廃液槽に還流させる還流管と、からなる写真廃液処理装置を用いて、写真廃液を写真廃液槽とプラズマ反応容器との間を循環させながら該プラズマ誘起体にマイクロ波を照射して該プラズマ誘起体周辺部の写真廃液を加熱することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の写真廃液処理方法。
- 写真廃液槽と、プラズマ誘起体を反応容器内に配置したプラズマ反応容器と、該反応容器外部から該プラズマ誘起体にマイクロ波を照射するように配されたマイクロ波照射装置と、該写真廃液槽からプラズマ反応容器に写真廃液を送液する送液管と、該プラズマ反応容器から照射された写真廃液を該写真廃液槽に還流させる還流管と、マイクロ波照射によって発生した低沸点の分解ガスにマイクロ波を照射するように配されたマイクロ波照射手段と、からなる写真廃液処理装置を用いて、写真廃液を写真廃液槽とプラズマ反応容器との間を循環させながら該プラズマ誘起体にマイクロ波を照射して該プラズマ誘起体周辺部の写真廃液を加熱し、発生した該分解ガスを写真廃液から分離除去したのち、除去した分解ガスにマイクロ波を照射することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の写真廃液処理方法。
- チオ硫酸銀錯塩を含有する写真廃液中にプラズマ誘起体を配置して、該廃液の外部から該プラズマ誘起体にマイクロ波を照射して該廃液の該プラズマ誘起体周辺部を加熱して難水溶性銀塩を生成させたのち、該銀塩を該廃液から分離除去することを特徴とする写真廃液中の銀の回収方法。
- チオ硫酸銀錯塩を含有する写真廃液が、定着廃液及び漂白定着廃液から選ばれる廃液であることを特徴とする請求項8に記載の写真廃液中の銀の回収方法。
- 写真廃液槽と、プラズマ誘起体を反応容器内に配置したプラズマ反応容器と、該反応容器外部から該プラズマ誘起体にマイクロ波を照射するように配されたマイクロ波照射装置と、該写真廃液槽からプラズマ反応容器に写真廃液を送液する送液管と、該プラズマ反応容器から照射された写真廃液を該写真廃液槽に還流させる還流管と、から構成されたことを特徴とする写真廃液処理装置。
- さらに、マイクロ波の照射によって生成する難溶性無機塩を分離回収する回収手段を備えたことを特徴とする請求項10に記載の写真廃液処理装置。
- さらに、マイクロ波照射によって発生した低沸点の分解ガスにマイクロ波を照射するように配されたマイクロ波照射手段を備えたことを特徴とする請求項10又は11に記載の写真廃液処理装置。
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