JP2005205248A - 写真廃液の電解酸化処理方法及び電解酸化処理効率の改良方法 - Google Patents

写真廃液の電解酸化処理方法及び電解酸化処理効率の改良方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 写真廃液のCOD(あるいはTOC)を効果的に、かつ継続して電解する際のCOD(あるいはTOC)低減効率の低下が抑止された電解酸化処理方法を提示すること。
【解決手段】 写真廃液の電解酸化処理において、該処理によって写真廃液中に発生して放出されるガスを空気又は酸化性気体混合空気によって希釈しながら電解酸化することを特徴とする写真廃液の電解酸化処理方法(電解酸化処理効率の改良方法)。
とくに陽極に導電性ダイヤモンド電極を使用すると効果が大きい。
【選択図】 なし

Description

本発明は写真廃液の処理方法に関するもので、具体的には写真廃液が下水道法の排出基準を満たすレベルまで処理できる電解酸化処理効率の改良方法に関する。
写真廃液(写真処理廃液)は、種々の写真処理工程から排出される廃液で、通常混合された状態で回収されて処理されるが、廃液組成の多様性が効果的な廃液処理手段を見出すことを困難にしており、種々の工業廃液の中でも最も処理が困難なものの1つである。従来から多くの処理法が開示されているが、除去率・処理コストの両面で尚多くの問題がある。
そのため、現実的な対応策として、写真廃液は廃液回収業者により回収され、焼却処理されているが、大気環境及び水域環境中に環境有害物質物質を排出することなく焼却処理するには、焼却技術,設備コスト、廃液の輸送などの点で問題点を含んでおり、焼却処理は現在の現実的な対応手段ではあっても満足な手段ではなく、写真廃液のより優れた処理技術が引き続き検討されている。
写真廃液処理に関して従来より開示されている方法は、主として生物処理、化学処理及び物理処理である。
生物処理法は、例えば活性汚泥による写真廃液の処理法をはじめ多くの処理方法が開示されているが、これらは通常廃液を10〜50倍に希釈したものを処理期間(平均滞留時間)15〜50日でCODの50〜80%、及びBOD の50〜80%が分解除去できるとされている。
化学処理(酸化法)にはオゾン酸化法、過酸化水素酸化法、その他の化学酸化剤による酸化法、電解酸化法などが知られている。一般に化学処理によるCODの除去率(低減率)は50%程度とされている。
物理処理には高圧加熱法、噴霧焼却法、蒸発乾燥法等がある。写真廃液中には多量のハロゲン化物イオンが含まれているので、反応装置の応力腐食を起こす危険がある。また、熱回収のための熱交換器のスケール、残渣、廃ガス等の処理にも問題がある。
さらに、無機または有機高分子吸着剤を使用する吸着除去法、逆浸透法、透析法などが提案されている。
しかし、写真廃液のように廃液中に多種多様な環境汚染化学物質が含まれている場合、上記のいずれの方法でも単独では十分に満足な結果は得られない。
例えば、上記のようにCOD及び/又はBODの除去率が不満足なことに加えて、1)化学的酸化法では、大量の化学薬品の消費に伴う高コスト化、2)電解酸化法では、電極の汚染に伴うCOD除去率の低下、3)吸着除去法では、吸着剤の吸着能の低下と使用量の増大、4)蒸発法では、悪臭および有害物質の飛散、5)生物処理法では、有害物質の存在による微生物のCOD成分処理能の低下、6)逆浸透法または透析法では、カラムまたは膜の寿命低下などの問題がある。
その中では、電解酸化法は、強力な化学酸化剤を用いる酸化処理に比べ操作が容易且つ安全で、小型化が可能であり、生物処理や物理的手段よりも簡易であるという利点を持っているので、例えば特許文献1には電流密度を規定して電解酸化中の発泡を抑制してCOD低減効率を改善する電解酸化方法、特許文献2には、写真廃液を酸性化しておいてこれに高電を圧印加して有機成分を酸化ガス化して廃液から除去する方法、特許文献3には、電解酸化処理のあとで微生物処理を行なう複合処理によりCOD低減効率を改善する廃液処理方法が提示されている。
しかしながら、写真廃液の電解過程において、有機成分濃度が高い時点では、電解時に発生した酸化種が効率よく有機物を分解するが、多くの場合、酢酸、ギ酸、シュウ酸等の低級脂肪酸まで分解されると、さらなる分解の電解効率が悪化し電力を浪費してしまう。 この点も近年の電極の改良、電解条件の工夫等でかなりの改善がなされるに至った。すなわち、特許文献4には、電極表面を蒸着ダイヤモンドで被覆した陽極を使用した電解酸化法が開示されている。この電極を用いれば印加電圧を上げることができて有機物の分解効果が向上することが示されているが、分解率のさらなる向上が依然として必要な状況にある。
とくに、写真処理機から排出される現像系廃液、定着系廃液、水洗系廃液やそれらの混合廃液を一段階で無害化処理を行おうとすると、電解酸化の進行に伴って電解酸化効率の低下が大きいという問題は、上記の電極技術だけでは解決できない。
この出願の発明に関連する前記の先行技術には、次の文献がある。
特開平8−296081号公報 特開平7−323290号公報 特開平6−320184号公報 特開平7−299467号公報
上記のように従来開示されているいずれの廃液処理手段も、BOD及びCODのいずれをも定常的に排水基準値以下に低減させることは困難であって、完全な解決とはならない。その中で、電解酸化処理は、操作が容易且つ安全で、小型化が可能であり、生物処理や物理的手段よりも簡易であるという利点を持っていながら、廃液処理を持続して行なう際に、COD低減効率の減少が大きいという問題が解決できていない。
本発明は、上記した背景からなされたものであり、その目的は、写真廃液のCODを効果的に低減できる写真廃液処理方法を提示することであり、具体的には、写真廃液のCODを持続しても電解効率の低下が少なく効果的にCOD低減処理を行なうことができる電解酸化処理方法を提示することである。
本発明者は、上記目的の解決方法を見出すために、廃液が含むCOD寄与成分の減少に見合う速度低下以上にCOD減少速度が低下してしまう原因を追求する過程で、写真廃液の電解酸化処理中に発生し廃液から放出されるガスを希釈して除去しながら電解を行ったところ、驚くべきことにCOD減少速度の上記異常な低下が解消して、COD寄与成分の残存量に見合った速度で電解が進行することが認められた。
本発明は、この発見をもとにさらに検討を重ねてなされたものであり、以下の構成のものである。
(1)写真廃液の電解酸化処理において、該処理によって写真廃液中に発生して放出されるガスを空気又は酸化性気体混合空気によって希釈しながら電解酸化することを特徴とする写真廃液の電解酸化処理方法。
(2)空気又は酸化性気体混合空気による希釈が、写真廃液1リットルにつき、0.1リットル/分以上10リットル/分以下の空気又は酸化性気体混合空気の供給によって行なわれることを特徴とする上記(1)に記載の写真廃液の電解酸化処理方法。
(3)電解酸化処理が、陽極に導電性ダイヤモンド電極を用いて行なわれることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の写真廃液の電解酸化処理方法。
(4)酸化性気体混合空気がオゾン含有空気であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の写真廃液の電解酸化処理方法。
(5)写真廃液のpHが6以上のもとで電解酸化されることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の写真廃液の電解酸化処理方法。
(6)写真廃液の電解酸化処理において、該処理によって写真廃液中に発生して放出されるガスを空気又は酸化性気体混合空気によって希釈しながら電解酸化することを特徴とする写真廃液の電解酸化処理効率の改良方法。
上記より明らかなように、本発明の写真廃液の電解酸化処理方法の特徴は、電解酸化処理中に廃液中に発生して放出されるガスを空気又は酸化性気体混合空気によって希釈しながら電解酸化を行うことである。写真廃液を電解酸化処理すると電解酸化の進行と共にCODは減少するが、前記したように電解効率もそれに伴って低下して酸化分解速度が減速していく。しかしながら、処理中の廃液から発生し放出されるガスを空気又は酸化性気体混合空気によって希釈しながら電解酸化処理を行うと意外にもこのような電解効率の低下が抑えられてCODの減少が予想外に効果的に進行して、下水道への排水基準を満たすに至る。
廃液から発生し放出されるガスを空気又は酸化性気体混合空気によって希釈しながら電解酸化処理を行う本発明の電解酸化処理によって、電解酸化の進行に伴う分解速度の減速が抑止されて写真廃液のBOD及びCOD(あるいはTOC)を下水道法の排水基準を満たすレベルまで少ない消費電力で効果的に低減できる。
以下、本発明をさらに具体的に詳述する。
なお、排水中の酸素消費性有機物については、法規制上はCOD値、BOD値が採られているが、排水基準観点からは、写真廃液については、CODとTOCは、実質的に同じ意味を有し、測定の簡易性からはTOCが容易であるので、本明細書ではCODに代えてTOCを用いて記述する場合もある。発明の目的に対してはいずれを用いても技術的内容に変わりはない。
[写真廃液の構成と水質特性]
本発明の写真廃液の処理方法について説明するに先だって、写真廃液について構成と水質特性を中心に説明する。以下「写真廃液」を「写真廃液」と記すこともある。
写真廃液は、カラー写真或いはモノクローム写真の現像廃液の他、定着廃液または写真製版等写真工業で発生した多くの種類の廃液が含まれている。定着廃液は溶存している銀を回収した残液が処理の対象となる。
したがって、写真廃液には処理液処方に含まれて消費されなかった構成薬品、すなわち現像液由来の現像主薬、アルカリ化合物、緩衝剤、亜硫酸塩やヒドロキシルアミン誘導体などの補恒剤、アルカリハライドなど、定着系処理液由来のチオ硫酸や亜硫酸のアンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アルカリハライドなど、漂白系処理液由来のポリアミノポリカルボン酸鉄(III)錯塩などの漂白剤、再ハロゲン化剤、緩衝塩など、その他各工程槽から排出される硬水軟化剤、界面活性剤などの機能性化合物など、が含まれているほかに、処理中に感光材料から溶出した例えばゼラチンや感光色素などの溶出成分及び処理中に生じた反応生成物が混在しており、多岐に亘る化学成分を含んでいる。
写真廃液を水質環境要因からみれば、高濃度のBOD 、COD 、窒素、リンを含み、且つ、生物処理または化学処理によっても難分解性成分が多量に含まれている。処理の種類及びその処理の各工程からの廃液の混合比率によりかなり変動はするが、おおよそCOD 30,000〜50,000 mg/l、BOD 5,000 〜15,000 mg/l、TOC(Total Organic Carbon) 10,000〜25,000 mg/l、ケルダール窒素 10,000 〜15,000 mg/l、トータル燐 100〜500mg/l の範囲である。COD:BOD:TOC の比率は概ね 4:1:1.5でCOD が高い特徴があり、またC:N:P の元素比率はほぼ 100:100:1でN の含有率が高い特徴がある。
[電解酸化処理]
本発明の方法による写真廃液の電解酸化処理について述べる。
<廃液の調整>
本発明において、写真廃液は、pHの調製や、支持電解質の添加を行うことなしに電解処理に供して良い。必要があれば電解酸化処理に先だって又は電解中に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ剤を用いてpHの調整が行ってもよい。電解中に被処理液は酸性化すると成分中の臭素イオン、塩素イオン、沃素イオンが酸化されてそれぞれのハロゲンガスが発生するので、これを防止するためである。また、CODの分解効率にもアルカリ性のpHが好ましい。添加されるアルカリ剤は、固体、水溶液、懸濁液などのいずれの形であってもよく、添加方法も電解酸化処理に先だって添加してもよく、また自動調整装置と連動させながら電解をすすめてもよい。pHは電解操作中7以上に維持されるように調整されるのが好ましいが、pH8以上であることがより好ましい。
一方、鉄錯塩化合物の加水分解による沈澱生成を抑止するために、pHは12.5以下であることが好ましい。
<陽極>
本発明では、生成する沈澱物の除去を行いながら電解酸化を行う限り、酸化電位が高い公知の電極材料、例えば白金、炭素とくにグラファイト、酸化鉛など、の陽極を用いることができるが、導電性ダイヤモンドを陽極用電極物質として使用することが好ましく、この電極を用いれば廃液中の難生分解性物質の電気分解を一層効率良く行うことができる。 本発明において“導電性ダイヤモンド電極”とは1MΩcm未満の電気抵抗率を有するダイヤモンド電極を意味するが、誤解の恐れのない限り“導電性”を省略して記すこともある。
導電性ダイヤモンドについて述べる。電極物質であるダイヤモンドは、粉末ダイヤモンドを基体であるチタン、ニオブ、タンタル、シリコン、カーボン、ニッケル、タングステンカーバイド等の板、打抜き板、金網、粉末焼結体、金属繊維焼結体等の表面に後述の方法により被覆して構成してもよく、また板状のダイヤモンドをそのまま電極として使用しても良いが、コスト面から前者を採用することが望ましい。前者におけるダイヤモンド被覆層を本明細書では、ダイヤモンド層と記す。又密着性の確保と基体の保護とを目的として基体とダイヤモンド層の間に中間層を設けることが好ましい。中間層の材質としては基体を構成する金属の炭化物や酸化物が使用できる。基体表面は密着性と反応面積増大に寄与するため研磨することが望ましい。又電極物質としてダイヤモンド以外に少量の他の電極物質を含有していても良い。基体はダイヤモンドの集電体としても機能し、ダイヤモンド板を使用する場合には、別に集電体を用意してダイヤモンド電極への給電を行う必要がある。
ダイヤモンド層の基体表面への形成方法としては、熱フィラメントCVD法、マイクロ波プラズマCVD法、プラズマアークジェット法、PVD法などが開発されている。次に代表的な熱フィラメントCVD法について説明する。炭素源となるアルコールなどの有機化合物を水素ガス中等の還元雰囲気に保ち、炭素ラジカルが生成する温度1800〜2400℃に維持する。このとき電極基体を、ダイヤモンドが析出する別の温度(750 〜950 ℃)領域に設置する。水素に対する好ましい有機化合物ガス濃度は0.1 〜10容量%、供給速度は反応容器の寸法にも依るが0.01〜10リットル/分、圧力は15〜760 mmHgである。ダイヤモンド微細粒子は通常0.01〜1μm程度の粒径を有し、本発明では前記条件により前記基体上にダイヤモンド粉末を蒸着させて、厚さ0.1 〜50μm好ましくは1〜10μmの厚さのダイヤモンド層とする。この厚さは基体への電解液の浸入を防ぐために好適な厚さである。 生成するダイヤモンド層に良好な導電性を付与するためには原子価の異なる元素を微量添加(ドーピング)することが必要で、例えばリンや硼素を1〜100000ppm 、好ましくは100 〜10000 ppm 程度含有させる。この添加物の原料化合物としては毒性の少ない酸化硼素や五酸化二リンなどが好ましい。
十分な電導性を付与するためのドーピングには、プラズマ増強CVD(PECVD)ダイヤモンド蒸着法を利用することが好ましい。ドーピングされた電極の製作方法の詳細は、例えば、Ramesham, Thin Solid Films 229巻 (1993)、 44〜50頁に記載されている。 PECVDダイヤモンド層は、マイクロ波プラズマにより活性化したメタン及び水素ガスの混合物から製造したホウ素ドーピング化多結晶質ダイヤモンドである。この方法によるダイヤモンド層の蒸着は当業者によく理解されている(例えば、Klages, Appl.Phys. A56巻 (1993) 、513〜526頁 を参照)。
熱フィラメントCVD(HFCVD)法(Klages, Appl.Phys. A56巻 (1993) 、513〜526頁を参照)により製造したダイヤモンド層は、Advanced Technology Materials.Inc., 7 Commerce Drive, Danbury,CT 06810から市販されている。
ダイヤモンド電極の製法としては、特開平8-225395号公報段落0007に記載されている真空チャンバー内での化学蒸着法も好ましい。
<陰極>
陰極としては、電解の休止期間中に腐食を起こさないよう十分の耐蝕性と通電性を持つものならいずれの材料でもよいが、ステンレスの板又は棒が特に適している。しかし、他の電極、例えば炭素電極や種々の金属電極も使用できる。陰極・陽極を対にした形、陰極を両側から陽極が挟むサンドイッチ構造の形、あるいは陰極と陽極とを交互に配した多数枚配列構造などの適切な形が選択される。陰極の形状は、線状、棒状、板状などのいずれであってもよい。
また、本発明の一態様として、陰極にも導電性ダイヤモンド電極を用いることができる。また、両極に導電性ダイヤモンド電極を用いる場合には、極性を反転させながら電解を行うことも電極を正常な状態に維持するために好ましい。反転の間隔と時間は、両極の形状が同じであれば、格別の規定は不要である。
<電極アセンブリー>
電極アセンブリに効率よく電流を供給して効果的に電解を進行させるために、電源から電導性基板への電気的接続が良好なことが必要である。そのため、電源、すなわち電流制御ユニットもしくは電圧制御ユニット、例えば電位可変電池など、から電導性基板への電気抵抗が少ないことが必要であり、好ましい電気的接触が可能な接合材料としては、電導性エポキシ樹脂、例えば、銀エポキシ樹脂(銀エポキシ樹脂は電線又は他の導電材料を基板にしっかり固定することができる)によるか、又は電極アセンブリと導電材料間に圧力を加えて電極アセンブリと導電材料間の直接の物理的接触を行うものであってもよい。
電解酸化の際の電流密度は、一般に10mA/cm2 の程度であり、電極での電圧降下は、10〜100Vの範囲であり、電流値と抵抗値の二乗の積である電力消費は極めて大きく、相当のエネルギーが抵抗加熱となって失われてしまう。好ましい電極は、100Ωcm未満の抵抗率、及び100mA/cm2 の電流密度で電圧降下は1V未満となる厚さのダイヤモンド層を有する電極である。このような電極であれば、適当な電流密度で、抵抗加熱から生じる電力損が僅かな状態で機能する。最も好ましい電極は、0.1Ωcm未満の抵抗率を有し、電流密度1A/cm2 で、電極での電圧降下が0.1V未満となるような厚さを有する電極である。
<電解槽の構造>
本発明においては、電解槽の構造は公知の各種の構成で用いることができる。すなわち、陽極と陰極の間に仕切りがない単一室セルであってもよく、又は陽極と陰極が膜で仕切られた分割セルであってもよい。最も簡単な実施態様は、単一室セルである。単一室セルでは、陽極と陰極を隔てるバリヤーがなく、したがって溶質は陽極と陰極間を移動するのに制限を受けない。このような単一室セル方式は、一般的には陽極で酸化された成分がその後陰極で還元されるという可能性を持っている。しかしながら、本発明では写真廃液の成分の電気酸化分解反応は、大半がC−H及びC−C結合の切断並びにC−O及びO−H結合の形成であって酸化種は殆ど非可逆的な酸化を受けているのでそのリスクの可能性は少ない。
したがって、単一室セル方式の装置を用いることもできる。
2室セルにおいては、イオン交換膜、ミクロ濾過過膜、半透膜、多孔性膜、などの通電性隔膜を陽極と陰極の間に挿入し、この隔膜はあるタイプのイオン種のみを陽極液から陰極液へ又はその逆方向へ通過させることができる。膜の機能は、陽極液と陰極液が混合することなく電気的中性を保持することである。また、適当な膜を用いれば、その膜を通過して移動するイオンの性質を制御することができる。例えば、陰極室でチオ硫酸イオンや亜硫酸イオンが還元されて生成した硫黄イオンにとって硫化銀が生成して沈澱し、陰極室内で捕集する本発明の好ましい態様が可能である。
しかしながら、2室セルにおいては、膜の耐久性が限られているので、ファウリングを生じないように適切に交換するなどの管理が必要である。
単一室セル及び2室セルの使用についての先の記載が与えられた場合、簡易という立場からは、単一室セルの使用が好ましい。しかしながら、隔膜の適切な管理とプロセス管理が可能ならば、より好ましい形態は2室セルである。
本発明における電解酸化は、バッチ方式、再循環方式、連続方式のいずれの方式を用いても良く、廃液処理の規模や処理の程度に応じて、適宜最も都合がよい方式を選択できる。
電極表面積は、ダイヤモンド電極のダイヤモンド層の粗さを制御することによって、巨視的には同じ幾何学的表面であっても、微細な表面粗さによって表面積の変化を与えることができる。それは、ダイヤモンド層を蒸着させる際の蒸着条件を変更して結晶サイズを変更することによって行われる。電極表面が滑らかでなく、かなりの粗さが表面に存在するならば、測定された顕微鏡による幾何学的面積は、みかけの電極表面積より大きく、電流密度はみかけの電流密度より低くなる。粗い電極表面は電極全体を通じて非均一の電流密度を生じるので、状況は実際さらに複雑となる。粗い電極は表面に凹凸を有し、電流密度は凸部で局部的に最高、凹部で最低になる。また、鋭角の末端表面で局部的に電流密度は特に高くなる。その結果、電極表面上のある部分は、算出電流密度より高い電流密度下で作用し、別の領域は算出電流より低い電流密度で作用することになる。
上記した不均一性はあっても、高表面積電極は、反応がおこることができる電極表面をより多く提供できるので、粗い電極表面を有することは有利である。多結晶性ダイヤモンド層は、本来その表面が粗く、その結果、電解反応の容積効率の点では優れた表面積特性を与える。電極表面積に加えて、電解槽のデザインにより生じる電流密度の変動についても考慮しなければならない。電流は、陽極と陰極の間に流れるので、電極の位置は最も均一な電流密度分布を得るように設定するのがよい。ダイヤモンド層電極を有する電解槽は、陽極と陰極の直接接触すなわちショートさせるようなことなく、しかも電極間間隙をできるだけ小さく保つことが望ましい。数センチメートルを超える大きい電極間距離でも許容できるが、好ましい電極間間隙は、0.1mm〜50mmの範囲内であり、最も好ましい状態は電極間間隙が0.5mm〜20mmの範囲内にある。
本発明における写真廃液の電解酸化は、電流密度が1mA/cm2〜10A/cm2、流速/電解槽容積比が0.001〜1000min-1であり、電極表面積が顕微鏡により測定した幾何学的電極表面と等しいか、又はそれより大きく、とくに幾何学的電極表面の1〜5倍の表面積であることが好ましい。しかしながら、さらに好ましい状態は、電流密度が20mA/cm2〜2A/cm2 の範囲であり、流速/電解槽容積比が0.01〜100sec-1であり、本発明の最良形態は、電流密度が50mA/cm2 〜800mA/cm2 であり、流速/電解槽容積比が1〜100min-1の範囲であり、電極表面積が、顕微鏡で測定した幾何学的電極面積の少なくとも2倍の場合である。
本発明では、陰極に導電性ダイヤモンド電極を用いることも好ましい。陰極にステンレス電極等を使用して電解を行なうと、陰極にスケールが付着して槽電圧が高くなり、ついには通電不能となるため、定期的なスケール除去が必要である。スケールの付着を防止するために、電極の極性をごく短時間逆転する考案(特開平3−109988号、特開平5−4087、特開平6−63558等の各公報)が報告されている。これらの方法を用いると、電解槽の陰極面上に付着生成するカルシウムイオンやマグネシウムイオンの水酸化物等を、電極の極性を逆転させることによりつまり前記水酸化物等の付着面を陽分極させることによりカルシウムイオン及びマグネシウムイオンとして被処理水中に再溶解させて電極から除去しながら電解反応が可能であり、前記したことであるが、被処理水の電気化学的処理をおこなう陰極と陽極の両方にダイヤモンド電極を用いると、これら特許の記載の内容と同様、逆電圧を印加することにより電極におけるスケールの付着を充分に防止することができ好ましい。
[発生ガスの希釈]
写真廃液の電解酸化処理中に発生し廃液から放出されるガスの希釈に使用する気体は空気を用いることが安価で好ましい。希釈用の気体の供給は、電解槽の上部空間の陰極部側に供給し、陽極部側に排出する場合でも、その逆方向でもいずれでもよい。
希釈に用いる空気の量は、廃液1Lに対して0.1〜20L/分が好ましく、1〜20L/分がより好ましく、1〜10L/分がさらに好ましい。
希釈に用いる空気量が少ないと十分な効果が得られない。希釈空気量を好ましい量の範囲より多くしても、それ以上の効果の増大はほとんど見られず、逆に送風のための消費エネルギーの増加によるランニングコストの増加,騒音,気散する悪臭物質等の捕集設備のサイズ増など弊害が大きい。
なお、発生ガスを希釈しながら電解酸化する本発明の写真廃液処理方法によって、写真廃液は下水道に排出可能なレベルまで処理可能であるが、必要があれば電解酸化処理の後にさらに生物処理を行うこともできる。生物処理を併用する場合には、電解酸化工程の処理負荷を軽減させることが可能となる。組み合わせてもよい生物処理は、公知の生物処理方法のいずれでもよく、通常の活性汚泥処理、海洋性微生物などの耐塩性菌による生物処理、特許文献3で用いている微生物処理などを用いることができる。
[オゾン含有空気]
希釈に用いるオゾン含有空気は、オゾナイザーで発生させたオゾン含有気体に空気を混合させて所定のオゾン濃度としたオゾン含有空気、オゾナイザーに所定のオゾン濃度となるように直接大量の空気を送り込んで直接的に得たオゾン含有空気、あるいはオゾナイザーで発生させたオゾン含有気体と混合用空気を別々に電解酸化中に発生するガスに送り込んで、混合槽内で所定のオゾン濃度となるように配した系、などのいずれの方法をも用いることができる。
オゾン含有空気のオゾン濃度は、0.01〜200mg/Lであり、好ましくは0.1〜100mg/Lであり、より好ましくは0.1〜50mg/Lである。
オゾンを得るには、既存のオゾナイザー(オゾン発生装置)のいずれを用いても良い。 オゾンを発生させるには無声放電を行わせたり、コロナ放電を利用したり、あるいは電解反応を利用するなどの方法が採られているが、本発明に用いるオゾン発生装置は、いずれであっても特に制約はなく通常市販されているオゾン発生装置から選択して使用することができる。その中では無声放電を利用する方法が好ましい。無声放電は2つの電極の間に誘電体を介して交流高電圧をかけた時、その間隙に起こる放電現象を指すもので、放電の際にその空間に介在する酸素の一部がオゾンに変化する。誘電体は普通ガラスを用い、空間間隙は数mm、電圧は交流50〜500サイクル数千ボルトから場合によっては2万ボルトぐらいまでが使われる。
オゾン発生装置は、平板型の相対する電極群からなるものや、筒状のオゾン発生管を縦型または横型に配置したものなどがあるが、本発明にはそのいずれも使用できる。また、原料は酸素、空気いずれでもよいが、本発明においては空気を利用する方が安価で好ましい。
[排出ガスの処理]
希釈して排出されるガスは、必要により熱交換を行い、さらに亜硫酸塩水溶液などのオゾン捕集液で処理したり、水酸化ナトリウム水溶液などの捕集液で酸性ガス、悪臭ガスを処理したり、または触媒によって分解除去したりなど、残存しているかもしれない未反応オゾンやNOx,SOxなどの酸性ガス,さらには硫化水素などの悪臭ガス吸収除去してから排出するが、触媒による分解除去が好ましい。触媒としては活性炭、金属酸化物などが用いられるが、金属酸化物は触媒の損失が少ない点で好ましい。さらに、金属酸化物触媒は電解酸化処理で発生する水素ガスの酸化処理も行ってくれることから安全性の面でも特に好ましい。
[写真処理液]
本発明に適用される写真廃液は、写真処理液成分を主成分としているが、写真廃液には、写真処理液に添加されている素材のほか写真処理過程で生成した現像主薬の酸化体、硫酸塩、ハライドなどの反応生成物や、感光材料から溶け出した微量のゼラチン、感光色素、界面活性剤などの成分が含まれている。
写真処理液は、カラー感光材料と黒白感光材料の処理に用いられるが、処理されるカラー感光材料としてはカラーペーパー、カラー反転ペーパー、撮影用カラーネガフィルム、カラー反転フィルム、映画用ネガもしくはポジフィルム、直接ポジカラー感光材料などを挙げることができ、黒白感光材料としては、Xレイフィルム、印刷用感光材料、マイクロフィルム、撮影用黒白フィルムなどを挙げることができる。
写真処理液にはカラー処理液、黒白処理液、製版作業に伴う減力液、現像処理タンク洗浄液などがあり、黒白現像液、カラー現像液、定着液、漂白液、漂白定着液、画像安定化液などが挙げられる。
カラー現像液は、通常、芳香族第一級アミンカラー現像主薬を主成分として含有する。それは主にp−フェニレンジアミン誘導体であり、代表例はN,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン、2−アミノ−5−ジエチルアミノトルエン、2−メチル−4−〔N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ〕アニリン、N−エチル−N−(β−メタンスルホンアミドエチル)−3−メチル−4−アミノアニリンである。また、これらのp−フェニレンジアミン誘導体は硫酸塩、塩酸塩、亜硫酸塩、p−トルエンスルホン酸塩などの塩である。該芳香族第一級アミン現像主薬の含有量は現像液1リットル当り約0.5g〜約10gの範囲である。
また黒白現像液中には、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−ヒドロキシメチル−4−メチル−3−ピラゾリドン、N−メチル−p−アミノフェノール及びその硫酸塩、ヒドロキノン及びそのスルホン酸塩などが含まれている。
カラー及び黒白現像液には保恒剤として、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、メタ亜硫酸ナトリウム、メタ亜硫酸カリウム等の亜硫酸塩や、カルボニル亜硫酸付加物を含有するのが普通で、これらの含有量は現像液1リットル当たり0g〜5gである。
カラー及び黒白現像液中には、保恒剤として種々のヒドロキシルアミン類を含んでいる。ヒドロキシルアミン類は置換又は無置換いずれも用いられる。置換体としてはヒドロキシアルミン類の窒素原子が低級アルキル基によって置換されているもの、とくに2個のアルキル基(例えば炭素数1〜3)によって置換されたN,N−ジアルキル置換ヒドロキシルアミン類が挙げられる。またN,N−ジアルキル置換ヒドロキシルアミンとトリエタノールアミンなどのアルカノールアミンの組合せも用いられる。ヒドロキシルアミン類の含有量は現像液1リットル当り0〜5gである。
カラー及び黒白現像液は、pH9〜12である。上記pHを保持するためには、各種緩衝剤が用いられる。緩衝剤としては、炭酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、グリシン塩、N,N−ジメチルグリシン塩、ロイシン塩、ノルロイシン塩、グアニン塩、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン塩、アラニン塩、アミノ酪酸塩、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール塩、バリン塩、プロリン塩、トリスヒドロシアミノメタン塩、リシン塩などを用いることができる。特に炭酸塩、リン酸塩、四ホウ酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩は、溶解性やpH9.0以上の高pH領域での緩衝能に優れ、現像液に添加しても写真性能面への悪影響(カブリなど)がなく、安価であるといった利点を有し、これらの緩衝剤が多く用いられる。該緩衝剤の現像液への添加量は通常現像液1リットル当たり0.1モル〜1モルである。
その他、現像液中にはカルシウムやマグネシウムの沈澱防止剤として、或いは現像液の安定性向上のために各種キレート剤が添加される。その代表例としてニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ニトリロ−N,N,N−トリメリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N′,N′−テトラメチレンホスホン酸、1,3−ジアミノ−2−プロパノール四酢酸、トランスシクロヘキサンジアミン四酢酸、1,3−ジアミノプロパン四酢酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸等を挙げることができる。これらのキレート剤は必要に応じて2種以上併用されることもある。
現像液は、各種の現像促進剤を含有する。現像促進剤としては、チオエーテル系化合物、p−フェニレンジアミン系化合物、4級アンモニウム塩類、p−アミノフェノール類、アミン系化合物、ポリアルキレンオキサイド、1−フェニル−3−ピラゾリドン類、ヒドラジン類、メソイオン型化合物、チオン型化合物、イミダゾール類等である。
多くのカラーペーパー用カラー現像液は、上記のカラー現像主薬、亜硫酸塩、ヒドロキシルアミン塩、炭酸塩、硬水軟化剤などと共にシルキレングリコール類やベンジルアルコール類を含んでいる。一方カラーネガ用現像液、カラーポジ用現像液、一部のカラーペーパー用現像液は、これらのアルコール類を含んでいない。
また、現像液中には、カブリ防止の目的で、臭素イオンを含有することが多いが、塩化銀を主体とする感光材料に対しては臭素イオンを含まない現像液を用いることもある。その他、無機カブリ防止剤としてNaClやKClなどの塩素イオンを与える化合物を含有していることがある。また各種有機カブリ防止剤を含有していていることも多い。有機カブリ防止剤としては、例えば、アデニン類、ベンズイミダゾール類、ベンズトリアゾール類及びテトラゾール類を含有していてよい。これらのカブリ防止剤の含有量は現像液1リットル当り0.010g〜2gである。これらのカブリ防止剤は処理中に感光材料中から溶出し、現像液中に蓄積するものも含まれる。特に本発明において上記したような臭素イオンや塩素イオン等の総ハロゲンイオン濃度が混合液1リットル当たり1ミリモル以上であるような廃液においても有効に処理することができる。特に臭素イオン濃度が混合液1リットル当たり1ミリモル以上の場合に有効である。
また、現像液中には、アルキルホスホン酸、アリールホスホン酸、脂肪酸カルボン酸、芳香族カルボン酸等の各種界面活性剤を含有している。
黒白写真処理においては、現像処理の後に定着処理が行なわれる。カラー写真処理においては、現像処理と定着処理の間に通常漂白処理が行なわれ、漂白処理は定着処理と同時に漂白定着(ブリックス)で行なわれることもある。漂白液には、酸化剤として鉄(III) 又はCo(III) のEDTA、ジエチレントリアミン五酢酸、ニトリロトリ酢酸、1,3−ジアミノ−プロパン四酢酸塩、ホスホノカルボン酸塩そのほか過硫酸塩、キノン類などが含まれている。そのほか、臭化アルカリ、臭化アンモニウムなどの再ハロゲン化剤、硼酸塩類、炭酸塩類、硝酸塩類を適宜含有する場合もある。定着液や漂白定着液には通常チオ硫酸塩(ナトリウム塩、アンモニウム塩)、酢酸塩、ホウ酸塩、アンモニウム又はカリ明ばん亜硫酸塩などを含有していている。
ハロゲン化銀写真感光材料の処理においては、定着処理あるいは漂白定着処理行なった後、水洗及び/又は安定処理を行なうことが一般的である。水洗処理においては、その処理槽にバクテリアが繁殖し、生成した浮遊物が感光材料に付着する等の問題が生じることがある。このような問題の解決策として、水洗水に特開昭61−131632号に記載のカルシウムイオン、マグネシウムイオンを低減させる方法を用いることができる。また、特開昭57−8542号に記載のイソチアゾロン化合物やサイアベンダゾール類、塩素化イソシアヌール酸ナトリウム等の塩素系殺菌剤、その他ベンゾトリアゾール等、堀口博著「防菌防黴剤の化学」、衛生技術会編「微生物の滅菌、殺菌、防黴技術」、日本防菌防黴学会編「防菌防黴剤事典」に記載の殺菌剤を用いることもある。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、これらは本発明の範囲をなんら限定するものではない。
[実施例1]
<写真廃液試料>
試験用の写真廃液として、デジタルミニラボFRONTIER350(富士写真フイルム株式会社製)を用いて、市販のカラーペーパー(フジカラーペーパーsuper)にカラーネガからプリント焼き付けを行って、フジカラーカラーペーパー用処理剤CP-48Sを用いて処理して得た現像、漂白定着、水洗、各浴からのオーバーフロー液、すなわち現像廃液、漂白定着廃液、水洗廃液を混合したものを用いた。
<電解槽>
電解槽として三井物産プラント(株)より購入した、陽極,陰極とも導電性ダイヤモンド電極を装備した「ダイアセル」(商品名)を使用した。電極面積は陽極陰極ともに70cm2であり、電極間距離は10mm、電解槽容積は70cmである。
<電解>
上記電解槽を使用して前記写真廃液1Lを毎分2Lで循環させて、電流量25Aで表1に記載の時間の電解を行った。電流密度は、357mA/cmであった。
電解後の反応液を、水酸化ナトリウムでpH6.7に中和し、濾過して、沈殿した硫化銀と水酸化鉄などを除去し、濾液中のTOC(JIS法(JIS K0102、工業排水試験方法)に定められている方法による)を分析した。なお、電解前の廃液試料のTOCは11500mg/Lであった。
<発生ガスの希釈>
電解槽の上部空間には送気管を設けて空気又はオゾンガス混合空気を導入できるようにすると共に上部空間中のこの気体の槽内導入部から離れた個所に排気口を設けて電解中に発生したガスを直接又は気体を上記導入気体で希釈された後排気されるようにした。
試験は、A:希釈用の気体を導入しない場合(希釈なし)、B:5L/分の空気で希釈した場合(空気希釈)、C:オゾン濃度1mg/Lのオゾン含有空気5L/分で希釈した場合(オゾン含有空気希釈)の3通りの方法で前記条件のもとで所定時間行なった。電解処理後にサンプリングして廃液中の残留TOCを測定し、その結果を表1に示す。
Figure 2005205248
表1において、電解中に発生するガスを空気で希釈することにより、24時間で80%以上の有機成分(TOC寄与成分)が酸化されたことがわかる。希釈を行わない場合に比べ、1.5倍以上のTOC低減速度(通電時間平均)が得られた。
さらに、オゾン含有空気による希釈を行った場合はさらに顕著な効果が得られ、24時間で85%以上の有機成分が酸化された。
なお、表1の条件Bのもとでさらに電解酸化処理を継続したところ、被処理写真廃液のCOD(あるいはTOC)を下水道法の排水基準を満たすレベルまで少ない消費電力で低減させることができた。

Claims (6)

  1. 写真廃液の電解酸化処理において、該処理によって写真廃液中に発生して放出されるガスを空気又は酸化性気体混合空気によって希釈しながら電解酸化することを特徴とする写真廃液の電解酸化処理方法。
  2. 空気又は酸化性気体混合空気による希釈が、写真廃液1リットルにつき、0.1リットル/分以上10リットル/分以下の空気又は酸化性気体混合空気の供給によって行なわれることを特徴とする請求項1に記載の写真廃液の電解酸化処理方法。
  3. 電解酸化処理が、陽極に導電性ダイヤモンド電極を用いて行なわれることを特徴とする請求項1または2に記載の写真廃液の電解酸化処理方法。
  4. 酸化性気体混合空気がオゾン含有空気であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の写真廃液の電解酸化処理方法。
  5. 写真廃液のpHが6以上のもとで電解酸化されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の写真廃液の電解酸化処理方法。
  6. 写真廃液の電解酸化処理において、該処理によって写真廃液中に発生して放出されるガスを空気又は酸化性気体混合空気によって希釈しながら電解酸化することを特徴とする写真廃液の電解酸化処理効率の改良方法。
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JP2010179214A (ja) * 2009-02-04 2010-08-19 Eco Earth Engineering Kk 廃液処理方法
CN113277654A (zh) * 2021-05-28 2021-08-20 金川集团股份有限公司 一种利用电化学方法处理电积高纯锰废液的方法及装置
JP2022069974A (ja) * 2020-10-26 2022-05-12 トーメイダイヤ株式会社 ダイヤモンド電極及びその製法

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