JP2004538344A - 担持オレフィン重合触媒 - Google Patents

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Abstract

担持後周期遷移金属オレフィン重合触媒を形成する方法であって、反応性官能基を通常含有する既に形成された遷移金属錯体が、コンプリメンタリー反応性官能基を含有する担体上に置かれる方法が記載される。中性三座配位子の後周期遷移金属錯体を含有する新規な重合触媒構成成分もまた記載される。

Description

【技術分野】
【0001】
担持後周期遷移金属オレフィン重合触媒を形成する方法であって、反応性官能基を通常含有する既に形成された遷移金属錯体がコンプリメンタリー反応性官能基を含有する担体上に置かれる方法が記載される。
【背景技術】
【0002】
オレフィン重合触媒系は重要な商業技術である。多くの場合、これらの触媒系は、それらの触媒活性に不可欠である遷移金属錯体を含有する。近年、鉄、コバルト、パラジウムおよびニッケルのような後周期遷移金属を含有する重合触媒が開発されてきており、ある場合にはこれらの重合触媒系はユニークなポリマーを形成する。当該技術では、遷移金属(錯体)がポリマーまたはシリカ、アルミナ、ハロゲン化マグネシウムなどの無機化合物のような担体の一部である場合、遷移金属を含有する重合触媒がしばしば有利に用いられることは周知である。これらの担持触媒は、いわゆる気相または液体スラリー重合法で特に有用である。
【0003】
遷移金属含有重合触媒を担持する簡単な方法では、適切な遷移金属化合物の溶液を所望の担体と混合し、溶剤を蒸発させる。多くのかかる場合には、遷移金属含有重合触媒は単に(ペンキが壁に塗られるように)担体上へコーティングされてもよいし、除去されてもよい。ある場合には、シリカのような担体をアルキルアルミニウム化合物のような重合系のもう一つの化合物と前反応させ、次にこの担体を遷移金属含有重合触媒と混合してもよい。
【0004】
遷移金属含有重合触媒を担体に添加するための、別のあまり一般的でない方法は、共有結合によるものであり、その結合は担体および遷移金属含有重合触媒の両方に結合しており、例えば不均一触媒含有メタロセン型触媒の調製を記載している(特許文献1)を参照されたい。メタロセンはアニオン性配位子を有する。
【0005】
(特許文献2)は、それらに結合した中性配位子が結合されている後周期遷移金属を含有する担持重合触媒を製造する方法を記載している。その中に記載された方法では、配位子を最初に担体に結合させ、次に配位子を所望の遷移金属と配位させる。
【0006】
(特許文献3)および(特許文献4)は、遷移金属が陰イオン性配位子と錯体を形成するが、中性配位子とは錯体を形成しない、担持遷移金属重合触媒の調製を記載している。
【0007】
(特許文献5)は、遷移金属を含有する様々な担持重合触媒の調製を記載している。幾つかの中性配位子が使用されているが、金属は、配位子が担体に結合するまで配位子と錯体を形成しない。
【0008】
(特許文献6)および(特許文献7)は、オレフィン重合触媒として中性三座配位子を含有するある種の鉄およびコバルト錯体の使用を記載している。担持触媒について述べられてはいるが、中性三座配位子に反応性基を有するものについては何ら言及されていない。
【0009】
上述の刊行物のすべてが、完全に記載されているかのようにあらゆる目的のために本明細書に参照により援用される。
【0010】
【特許文献1】
EP−A−0953580
【特許文献2】
米国特許第6,030,917号明細書
【特許文献3】
国際特許WO 00/56786号
【特許文献4】
国際特許WO 00/56787号
【特許文献5】
国際特許WO 99/28352号
【特許文献6】
米国特許第5,955,555号明細書
【特許文献7】
国際特許WO 99/12981号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、担持オレフィン重合触媒構成成分の調製方法であって、
a)6〜10族遷移金属(IUPAC表記法)と、第1反応性基を含有する中性二座または中性三座配位子との遷移金属錯体を、
【0012】
b)それにコンプリメンタリー(complimentary)第2反応性基を結合した固体担体と、
第1反応性基とコンプリメンタリー第2反応性基とが相互作用して、イオン結合または共有結合を形成するような条件下に接触させる工程を含む方法に関する。
【0013】
本発明はまた、6〜10族遷移金属と中性三座配位子との遷移金属錯体および担体を含む担持オレフィン重合触媒構成成分であって、前記中性三座配位子と前記担体との間のイオン結合または共有結合によって前記遷移金属錯体が前記担体に結合している重合触媒構成成分に関する。
【0014】
なお、本発明はさらに、重合条件下において1種以上のオレフィンをオレフィン重合触媒と接触させる工程を含む1種以上の前記オレフィンの重合方法であって、前記オレフィン重合触媒が前述の三座配位子ベースの重合触媒構成成分、または前述の方法によって得られた重合触媒構成成分を含む方法に関する。
【0015】
本発明のこれらのおよび他の特徴および利点は、次の詳細な説明を読むことから普通の当業者によってさらに容易に理解されるであろう。明確にするために、別個の実施形態に関連して下に記載される本発明の幾つかの特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせとして提供されてもよいことが認められるべきである。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態に関連して記載される本発明の様々な特徴はまた、別個にまたは任意のサブコンビネーションとして提供されてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本明細書では、ある種の用語が使用される。それらの幾つかは次のとおりである。
「ヒドロカルビル基」は、炭素および水素のみを含有する一価の基である。ヒドロカルビルの例として、非置換アルキル、シクロアルキルおよびアリールが挙げられるかもしれない。特に明記しない限り、本明細書ではヒドロカルビル基は1〜約30個の炭素原子を含有することが好ましい。
【0017】
「置換ヒドロカルビル」とは、本明細書では重合触媒系の運転を実質的に妨害しない1種以上の(タイプの)置換基を含有するヒドロカルビル基を意味する。幾つかの重合において好適な置換基は、ハロ、エステル、ケト(オキソ)、アミノ、イミノ、カルボキシル、ホスファイト、ホスホナイト、ホスフィン、ホスフィナイト、チオエーテル、アミド、ニトリル、およびエーテルの幾つかまたはすべてを含んでもよい。存在する場合に好ましい置換基はハロ、エステル、アミノ、イミノ、カルボキシル、ホスファイト、ホスホナイト、ホスフィン、ホスフィナイト、チオエーテル、およびアミドである。どの重合でどの置換基が有用であるかは、場合によっては、米国特許第5,880,241号(これもまた、完全に記載されているかのようにあらゆる目的のために本明細書に参照により援用される)だけでなく、先に援用された米国特許第5,955,555号を参照することによって決定されるかもしれない。特に明記しない限り、置換ヒドロカルビル基は本明細書では1〜約30個の炭素原子を含有することが好ましい。「置換された」の意味には、窒素、酸素、および/または硫黄のような1種以上のヘテロ原子を含有する鎖または環が含まれ、置換ヒドロカルビルの自由原子価はヘテロ原子にあってもよい。置換ヒドロカルビルでは、トリフルオロメチルにおけるように水素のすべてが置換されてもよい。
【0018】
「(不活性)官能基」とは、本明細書では、配位子と担体との間のイオン結合または共有結合に関与する以外の、その基を含有する化合物がさらされるプロセス条件下で不活性であるヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビル以外の基を意味する。官能基はまた、それらが存在する化合物が関与するかもしれない本明細書で記載されるいかなるプロセスも実質的に妨害しない。官能基の例には、幾つかのハロ基(例えばフルオロおよび幾つかの非活性化クロロ)、−OR22(式中、R22はヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルである)のようなエーテルが挙げられる。官能基が金属原子の近くにあってもよい場合、官能基は、それらの化合物中で金属原子に配位するとして示される基よりも強く金属原子に配位するべきではなく、すなわちそれらは所望の配位基に置き換わるべきではない。
【0019】
「活性化剤」、「共触媒」または「触媒活性化剤」とは、遷移金属化合物と反応して活性化された触媒種を形成する化合物を意味する。この遷移金属化合物は、最初に添加されてもよいし、または遷移金属化合物と酸化剤との反応によるようにその場で形成されてもよい。好ましい触媒活性化剤は、「アルキルアルミニウム化合物」、すなわち、アルミニウム原子に結合した少なくとも1個のアルキル基を有する化合物である。例えば、アルコキシド、水素化物およびハロゲンのような他の基もまた、その化合物においてアルミニウムに結合していてもよい。
【0020】
「アルキル基」および「置換アルキル基」は、それらの通常の意味を有する(置換ヒドロカルビルの下での置換について上を参照されたい)。特に明記しない限り、アルキル基および置換アルキル基は好ましくは1〜約30個の炭素原子を有する。
【0021】
「アリール」とは、自由原子価が芳香環の炭素原子にある一価の芳香族基を意味する。アリールは、縮合していてもよい、単結合または他の基によって連結されていてもよい1個以上の芳香環を有する。
【0022】
「置換アリール」とは、「置換ヒドロカルビル」の上の定義で述べられたように置換された一価の芳香族基を意味する。アリールと同様に、置換アリールは、縮合していてもよい、単結合または他の基によって連結されていてもよい1個以上の芳香環を有するが、置換アリールが複素芳香環を有する場合、置換アリール基の自由原子価は、炭素の代わりに複素芳香環の(窒素のような)ヘテロ原子にあることができる。
【0023】
「中性」配位子とは、電気的に中性である、すなわち電荷を有さない配位子を意味する。言い換えると、配位子がイオンではないことである。しかしながら、配位子は、陰イオンである官能基であるが、配位子が遷移金属と錯体を形成した場合には、遷移金属に配位せず、従って担体と自由にイオン結合または共有結合できる官能基を含有してもよい。
【0024】
「二座」配位子とは、二座配位子であることができる配位子、すなわち、それが2つのサイト、多くの場合ヘテロ原子サイトを有し、遷移金属原子に即座に配位することができる配位子を意味する。両サイトが遷移金属に配位することが好ましい。
【0025】
「三座」配位子とは、三座配位子であることができる配位子、すなわち、それが3つのサイト、多くの場合ヘテロ原子サイトを有し、遷移金属原子に即座に配位することができる配位子を意味する。3つのサイト全てが遷移金属に配位することが好ましい。
【0026】
「第1反応性基」とは、基、通常は、反応性である(下記参照)官能基であって、その存在がオレフィン重合触媒系の構成成分としての遷移金属錯体の機能を実質的に妨害しない官能基を意味する。典型的には、この基は、錯体の触媒機能への潜在的な妨害を回避するために、遷移金属錯体中の遷移金属原子そのものから幾分離れた場所に置かれる。
【0027】
「コンプリメンタリー第2反応性基」とは、担体の一部であるか、または担体上に置かれている反応性基であって、第1反応性基と接触するプロセス条件下で通常反応して(すなわち、同様な状態で通常反応して)担体と遷移金属錯体とを事実上連結する、好ましくは共有結合で連結する反応性基を意味する。
【0028】
「中性三座配位子がイオン結合または共有結合によって前記担体に結合する」とは、配位子が中性三座配位子に結合した基を通して、遷移金属および/または遷移金属に結合した任意の他の配位子(中性三座配位子以外の)を含む「橋かけ基」を通してではなく、前記担体に結合していることを意味する。
【0029】
遷移金属錯体と担体とが混合される時、第2反応性基はまだ担体上に存在しないかもしれないが、担体と「反応して」担体上にコンプリメンタリー第2反応性基を形成する別の試薬が添加されてもよい(遷移金属錯体が接触させられる前、それと同時に、またはその後で)。遷移金属錯体の第1反応性基は、担体と接触する前に形成されることが好ましいが、それもまた同様な方法で形成されてもよい。
【0030】
第1反応性基は、中性二座または中性三座配位子に共有結合している任意の反応性基であってもよい。反応性基は、ヒドロキシル、カルボキシル、アミノ、カルボキシルエステル、アルコキシシラン、チオール、シロキサン、シラノール、ヒドロシラン(水素化ケイ素)、アミノシラン、ハロシラン、アルミニウム、亜鉛またはマグネシウムに結合したアルキル基、ボラン、スルホネートエステル、エポキシド、ケトン、アルデヒド、カルボン酸塩、イソシアネート、アンモニウム塩、ホスフィン、およびスルホネート塩が含まれるが、これらに限定されない。好ましい第1反応性基は、ヒドロキシル、アミノ、カルボキシル、カルボキシルエステル、アルコキシシラン、ハロシランであり、ヒドロキシルおよびアミノが特に好ましい。通常、第1反応性基を含有する中性二座または三座配位子は、合成され、次に適切な遷移金属化合物との反応によって遷移金属原子に配位させられる。典型的で有用なタイプの中性二座および三座配位子は、それらのすべてが完全に記載されているかのようにあらゆる目的のために本明細書に参照により援用される、米国特許第5,932,670号、同第6,034,259号、同第5,714,556号、同第6,103,658号、同第6,174,976号、WO 98/47934、WO 98/40420、WO 99/46302、WO 99/46303、WO 99/46304、WO 00/06620、WO 00/18776、WO 00/20427、WO 00/50470およびWO 00/59914においてだけでなく、先に援用された米国特許第5,880,241号、同第5,955,555号およびWO 99/12981にも見出される。これらの参考文献は、どの遷移金属がこれらのタイプの配位子で有用であるかを記載し、また、これらの配位子と適切な遷移金属との錯体をどのように製造するかも記載しており、この点に関してさらなる詳細について参照されてもよい。
【0031】
コンプリメンタリー第2反応性基は、接触条件下で(遷移金属化合物と担体との接触)普通は第1反応性基と反応する官能基である。かかるペアは当該技術では周知である。例えば、ヒドロキシル基とコンプリメンタリーである官能基は、イソシアネート、ハロゲン化アシル、アルコキシシラン、アミノシラン、ハロシラン、アルミニウム、亜鉛またはマグネシウムに結合したアルキル基、エポキシド、カルボキシル、カルボン酸無水物、およびボランを含む。表Iは、他の第1反応性基とコンプリメンタリー第2反応性基として有用な潜在的基とをリストする。このリストは、任意の第1反応性基についてすべて包括したものではない。
【0032】
【表1】
Figure 2004538344
【0033】
官能基の好ましい「ペア」は、ヒドロキシルとアルミニウムアルキル、ヒドロキシルとハロシラン、ヒドロキシルとアルコキシシラン、ヒドロキシルとエポキシド、ヒドロキシルとカルボン酸無水物、アミノとアルミニウムアルキル、アミノとハロシラン、アミノとハロゲン化アルキル、アルデヒドとアルミニウムアルキル、ケトンとアルミニウムアルキル、エステルとアルミニウムアルキルとを含み、ヒドロキシルとアルミニウムアルキル、アミノとアルミニウムアルキルとが特に好ましい。原則としてかかる「ペア」において、第1反応性基は第2反応性基と互換性があることに注目されたい。この互換性は、任意の特定の第2反応性基を含有する担体を合成する能力だけでなく、第1反応性基を含有する配位子を合成し、次に遷移金属錯体を形成する能力によってある程度限定されるであろう。
【0034】
第1および第2反応性基の反応性ペアは、お互いに反応して2つの基が元々結合していた部分の間に結合を形成するほとんどの状況下で通常期待される。これらの結合は共有結合またはイオン「結合」であってもよい。これらの第1および第2反応性基は、第1と第2反応性基との反応によって共有結合が形成されると通常考えられるように選ばれることが好ましい。また、中性二座または三座配位子は、中性二座または三座配位子に結合した基を通して、遷移金属および/または遷移金属に結合した任意の他の配位子(中性三座配位子以外の)を含む「橋かけ基」を通してではなく、担体に結合することが好ましい。第1反応性基が中性二座または三座配位子に結合している場合、これは通常そのケースであろう。
【0035】
担体が何であるか次第で、第2官能基は「本来」担体の一部であってもよい。例えば、担体が有機ポリマーである場合、そのポリマーを調製するために使用されたモノマーの1つの一部であった官能基が第2官能基であってもよい。この例は、アミノ第1反応性基と反応することができるハロ基であろう。担体が無機材料、例えばシリカベースである場合、第1反応性基であるヒドロキシル基は、シラノールまたはシロキサンと反応して(シリカが高度に脱水されている場合には特に)、シリカ担体上へアルコキシシラン基として本質的に配位子を結合させる。
【0036】
上述したように、第1および/または第2反応性基は、金属錯体と担体との接触の前に、その最中にまたはその後に形成されてもよい。例えば、アルミニウムに結合したアルキル基のすべてが反応しないようなやり方で、シリカ担体をアルキルアルミニウム化合物と反応させてもよい。これは、アルキルアルミニウム化合物をシリカ表面に結合させると通常考えられている。次に、配位子に結合したヒドロキシル基を有する遷移金属錯体が加えられる。これらの条件下でヒドロキシル基は担体の表面上の残っているアルキルアルミニウム基(の幾つか)と通常反応する。その手順はまた、「逆に」(遷移金属錯体をアルキルアルミニウム化合物と反応させ、次にシリカ担体を加えて)行うことができる。第3の手順では、ヒドロキシル基付きの遷移金属錯体、シリカおよびアルキルアルミニウム化合物が本質的に同時に接触させられてもよい。ジアルコキシシラン、ジハロシラン、ジアミノシランおよび水素化ケイ素のようなケイ素化合物が、アルキルアルミニウム化合物の使用と類似の方法で使用されてもよい。他の手順は、当業者には明らかであり、また、先に援用された米国特許第6,030,917号、WO 99/28352、WO 00/56786、WO 00/56787およびEP−A−0953580に見出されるかもしれない。
【0037】
好ましい中性二座配位子は、
【0038】
【化1】
Figure 2004538344
【0039】
(式中、
13およびR16は、それぞれ独立してヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり(ただし、イミノ窒素原子に結合した原子はそれに結合した少なくとも2個の炭素原子を有する)、かつ、
14およびR15は、それぞれ独立して水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは不活性官能基であり、またはR14およびR15は共にヒドロカルビレンもしくは置換ヒドロカルビレンであって炭素環を形成する)
である。
【0040】
14およびR15がそれぞれ独立して置換ヒドロカルビルである場合の例として、R14が−A(R17)(R18)であり、R15が−E(R19)(R20)であり、式中、AおよびEはそれぞれ独立して窒素、酸素、リンまたは硫黄であり、R17およびR19はそれぞれ独立して、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルまたは共に環を形成し、R18およびR20はそれぞれ独立して水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルである(ただし、Aが酸素または硫黄である場合、R18は存在せず、Eが酸素または硫黄である場合、R20は存在しない)場合が挙げられるかもしれない。
【0041】
(I)の好ましい一実施形態において、R14およびR15の少なくとも1つは、第1反応性基を構成する不活性官能基、またはかかる不活性官能基を含有する置換ヒドロカルビルである。より好ましくは、R14およびR15の少なくとも1つは、かかる不活性官能基を含有する置換ヒドロカルビルである。
【0042】
(I)の別の好ましい実施形態において、R13およびR16の少なくとも1つは、第1反応性基を構成する不活性官能基を含有する置換ヒドロカルビルである。特に好ましい実施形態において、R13およびR16の少なくとも1つは、イミノ窒素から離れた場所(例えば、4−位)にかかる不活性官能基で置換されている置換アリール、またはかかる不活性官能基を含有する置換ヒドロカルビル(例えば、置換アルキル)である。
【0043】
好ましい中性三座配位子は、
【0044】
【化2】
Figure 2004538344
【0045】
(式中、
、R、R、RよびRは、それぞれ独立して水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、または不活性官能基であり(ただし、互いにビシナルのR、RおよびRのいずれか2つは共に環を形成してもよい)、かつ、
およびRはアリールまたは置換アリールである)
である。
【0046】
(II)の好ましい一実施形態において、R、R、R、RよびRの少なくとも1つは、第1反応性基を構成する不活性官能基、またはかかる不活性官能基を含有する置換ヒドロカルビルである。より好ましくは、R、R、R、RよびRの少なくとも1つ(および特にR、RおよびRの少なくとも1つ)は、かかる不活性官能基を含有する置換ヒドロカルビルである。
【0047】
(II)の別の好ましい実施形態において、RおよびRの少なくとも1つは、第1反応性基を構成する不活性官能基を含有する置換アリールである。特に好ましい実施形態において、RおよびRの少なくとも1つは、イミノ窒素から離れた場所(例えば、4−位)にかかる不活性官能基で置換されている置換アリール、またはかかる不活性官能基を含有する置換ヒドロカルビル(例えば、置換アルキル)である。
【0048】
(I)および(II)の他の好ましい形態において、R、R、R13およびR16は、それぞれ独立して、ジオルト(置換アリール)である。すなわち、イミノ窒素原子に結合した炭素原子の両オルト位にアリールまたは置換アリール基を有することが好ましく、R、R、R13およびR16が2,6−ジアリール(または置換ジアリール)フェニル基であることがさらにより好ましい。好ましい置換基R、R、R13およびR16は、これによって参照により援用されるWO 00/50471およびWO 01/42257における類似の錯体[これらの参考文献で見出されるたとえどのタイプの錯体であろうとも、本明細書の(I)および(II)の両方に適用できる]中に見出されるかもしれない。従って、R、R、R13およびR16に有用な基は、2,6−ジフェニルフェニル、2,6−ビス(2−メチルフェニル)フェニルおよび2,6−ビス(4−t−ブチルフェニル)フェニルのような基を含む。ジオルト置換に加えて、本明細書で記載されるような、第1反応性基または第1反応性基を含有する基をはじめとする、他の基もまたR、R、R13およびR16部分に置換されてもよい。
【0049】
好ましい遷移金属は8〜10族にある。好ましい具体的な遷移金属はFe、Co、Pd、Ni、MnおよびRuであり、より好ましい金属はFe、Co、PdおよびNiである。(I)ではNiおよびPdが好ましい金属であり、Niが特に好ましいが、(II)ではFeおよびCoが好ましく、Feが特に好ましい。
【0050】
本発明の担持触媒での重合(オリゴマー化を含めて)にとって好ましいオレフィンは、エチレン、またはエチレンと式RCH=CH(式中、Rはn−アルキルである)のオレフィンとの組み合わせであり、後者はエチレン共重合体を与える。オレフィンの別の好ましい組み合わせは、エチレンとアクリル酸メチルのような極性基を含有するオレフィンとである。どのオレフィンを重合させるためにどの触媒を使用することができるかは、先に援用された米国特許第5,880,241号、同第5,932,670号、同第5,955,555号、同第6,034,259号、同第5,714,556号、同第6,103,658号、同第6,174,976号、WO 98/47934、WO 98/40420、WO 99/12981、WO 99/46302、WO 99/46303、WO 99/46304、WO 00/06620、WO 00/18776、WO 00/20427、WO 00/50470およびWO 00/59914ならびに当業者に公知の他の参考文献において見出されるであろう。
【0051】
本発明の担持触媒向けの重合条件もまた、それらのすべてがまた、まるで完全に記載されているかのようにあらゆる目的のために本明細書に参照により援用される、米国特許第5,852,145号、同第6,063,881号、同第6,114,483号、同第6,150,482号、WO 97/48735、WO 98/56832、WO 99/50318、WO 99/62963、WO 99/62967、WO 00/10945、WO 00/22007およびWO 00/50475だけでなく、上述の援用された参考文献で開示されているように、既に公知のこれらのクラスのものについて以前に報告された条件と同じである。これらの参考文献はまた、用いられるかもしれない重合プロセスのタイプ(気相、スラリーなど)、添加されるかもしれない改質剤(例えば水素)、および様々な種類のポリマー生成物を作り出すために2種以上の重合触媒の使用のような様々な方法でのこれらのタイプの遷移金属触媒を含有するオレフィン重合触媒の使用を記載している。これらのプロセスのすべてが本発明の担持触媒に同等に適用できる。例えば、それらの1つまたは両方が第1反応性基を通して結合している、2種以上の遷移金属錯体が触媒担体上にあってもよい。
【0052】
好ましい担体は有機ポリマー、特にそれらのポリマー「構造」の一部としてコンプリメンタリー第2反応性基を含有するもの、シリカ、シリカゲル、またはアルミナのような無機酸化物、ハロゲン化マグネシウム、チタニア、および粘土鉱物である。特に好ましい担体は、有機ポリマー、特にそれらのポリマー「構造」の一部としてコンプリメンタリー第2反応性基を含有するもの、シリカ、アルミナ、およびアルミナシリケートである。担体上への遷移金属錯体のローディングは、他の同様な担持触媒で従来用いられたものと同じであってもよい。
【0053】
遷移金属と錯体を形成した中性三座配位子を含有する6〜10族遷移金属錯体および担体を含む、担持オレフィン重合触媒構成成分(ただし、前記中性三座配位子はイオン結合または共有結合によって前記担体に結合している)は、本明細書に記載される方法によって製造されてもよい。すなわち、完全に形成された錯体(遷移金属を含む)を担体と接触させてもよく、または配位子(遷移金属なしの)を担体と接触させ、次に配位子を遷移金属と錯体形成させることができる。
【実施例】
【0054】
実施例において、次の省略形が用いられる。
【0055】
【化3】
Figure 2004538344
【0056】
An−
dme−1,2−ジメトキシエタン
Me−メチル
MMAO−イソブチル基で変性したメチルアルミノキサン
Rt−室温
THF−テトラヒドロフラン
TLC−薄層クロマトグラフィー
【0057】
錯体の幾つかを記載するのに次の取り決めが用いられる。すなわち、(i)DAB(ii)(式中、DABはα−ジイミンを表し、(i)は窒素に結合した基であり((I)のR13およびR16を参照されたい)、(ii)はα−ジイミンの2個の炭素原子上の基である((I)のR14およびR15を参照されたい))が用いられる。この用語に関するより詳細は、先に援用された米国特許第6,034,259号に見出される。
【0058】
実施例1
3−(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン−1−オールの合成
酢酸パラジウム(68mg)と720mgのトリス−o−トリルホスフィンとを窒素雰囲気下シュレンク(Schlenk)チューブ中で混合した。15mlのトリエチルアミンの後、6gの4−ブロモ−2,6−ジメチルアニリンと3.2gのアクリル酸メチルとを加え、チューブ油浴中で100℃に加熱し、その温度に6時間保持した。混合物を水に加えて、エチルエーテルで3回抽出した。真空で乾燥した後に6.2gの黄色固体を得た。固体をTHFに溶解し、3.5gの水素化リチウムアルミニウムを加えた。6時間後に反応混合物を水中へ注ぎ、カラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘキサン:酢酸エチル2:1)によって精製した。3−(4−アミノ−3,5−ジメチル−フェニル)プロパン−1−オールと3−(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン−1−オールとの混合物(3.5g)を得た。混合物を酢酸エチルに溶解し、50mgのパラジウム(10重量%)−炭素を加えた。溶液を通して水素を1時間バブルした。パラジウム触媒と溶媒とを除去した後、3.1gの3−(4−アミノ−3,5−ジメチル−フェニル)−プロパ−2−エン−1−オールを得た。H−NMR(200MHz,CDCl):6.77(s,2H)、3.64(t,2H)、3.47(bs,2H)、2.54(t,2H)、2.15(s,6H)、1.82ppm(m,2H)。
【0059】
実施例2
(2,6−Me −4−(3−ヒドロキシプロピル)Ph) DABAnの合成
3−(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン−1−オール(2.9g)と1.33gアセナフトキノンとを60mlのトルエンに溶解した。0.1mlの硫酸を加えた後に溶液を還流し、ディーン−スターク(Dean−Stark)トラップを用いることによって生成した水を除去した。赤色の生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、溶剤 酢酸エチル:ヘキサン3:1)によって精製した。収量:2.2gのジイミン。H−NMR(200MHz,CDCl):7.86(d,2H)、7.37(t,2H)、6.97(s,4H)、6.69(d,2H)、3.74(カルテット(quart.),4H)、2.72(t,4H)、2.13(s,8H)、1.97ppm(t,4H)。
【0060】
実施例3
(2,6−Me −4−(3−ヒドロキシプロピル)Ph) DABAnNiBr の合成
(2,6−Me−4−(3−ヒドロキシプロピル)Ph)DABAn(1785mg)と993mgの臭化ニッケル(NiBr)・dmeとを30mlの塩化メチレン(CHCl)中で16時間撹拌した。溶媒を除去した後に茶色粉末をジエチルエーテルで3回洗浄した。収量:2.5gの茶色粉末。
【0061】
実施例4
担体、SiO /Me Alの合成
シリカ(グレース(Grace)XPO 2402)8gを40mlの乾燥トルエンと混合し、ヘキサン溶液(アルドリッチ(Aldrich))中の12mlの2Mトリメチルアルミニウム(MeAl)を加えた。2時間後にシリカをトルエンで3回、ペンタンで1回洗浄した。その後、材料を真空中25℃で乾燥した。
【0062】
実施例5
担体、SiO /Me AlClの合成
シリカ(グレース(Grace)XPO 2402)6gを30mlの乾燥トルエンと混合し、ヘキサン溶液(アルドリッチ(Aldrich))中の15mlの1M塩化ジメチルアルミニウム(MeAlCl)を加えた。2時間後にシリカをトルエンで3回、ペンタンで1回洗浄し、それから真空中で乾燥した。
【0063】
実施例6
SiO /Me Al上への(2,6−Me −4−(3−ヒドロキシプロピル)Ph) DABAnNiBr の担持
400mgの実施例4からのSiO/MeAlを、10mlのCHCl中の56.4mg(2,6−Me−4−(3−ヒドロキシプロピル)Ph))DABAnNiBr(実施例3からの)の溶液と混合した。1時間後に透明なCHCl相を真空にさらし、残った茶色固体をCHClで1回洗浄した。
【0064】
実施例7
SiO /Me Al上への(2,6−Me −4−(3−ヒドロキシプロピル)Ph) DABAnNiBr の担持
100mgの実施例4からのSiO/MeAlを、12mlのCHCl中の58.7mg(2,6−Me−4−(3−ヒドロキシプロピル)Ph))DABAnNiBr(実施例3からの)の溶液と混合した。1時間後に着色したCHCl相を濾過し、茶色固体をCHClで1回洗浄した。
【0065】
実施例8
SiO /Me AlCl上への(2,6−Me −4−(3−ヒドロキシプロピル)Ph) DABAnNiBr の担持
200mgの実施例5からのSiO/MeAlClを、60mlのCHCl中の24mg(2,6−Me−4−(3−ヒドロキシプロピル)Ph))DABAnNiBr(実施例3からの)の溶液と混合した。2時間後にわずかに黄色の溶液をデカントし、残った黄色固体をCHClで2回洗浄した後真空中で乾燥した。
【0066】
実施例9
実施例6の触媒を用いたエチレンの重合
100mlペンタンと1.2mlの0.91Mエチルアルミニウムセスキクロリドのトルエン溶液とを、300mlのパール(Parr(登録商標))オートクレーブ中へポンプ送液した。実施例6で合成した触媒(6.5mg)を加えて、反応器を60℃に加熱し、1.03MPaエチレンで加圧した。2時間後にメタノールの添加によって重合を止めた。白色のポリエチレン粒子(27.4g)を得た。
【0067】
実施例10
実施例6の触媒を用いたエチレンの重合
100mlペンタンと、0.1mlの0.91Mエチルアルミニウムセスキクロリドのトルエン溶液と、実施例6で合成した6.9mgの触媒とを300mlオートクレーブ中で混ぜ合わせた。60℃および1.03MPaエチレンで2時間後に、28.1gのポリエチレン(PE)を得た。
【0068】
実施例11
実施例7の触媒を用いたエチレンの重合
100mlペンタンと、1.0mlの0.91Mエチルアルミニウムセスキクロリドのトルエン溶液と、実施例7で合成した3.7mgの触媒とを300mlオートクレーブ中で混ぜ合わせた。60℃および1.03MPaエチレンで2時間後に、38.2gのポリエチレンを得た。
【0069】
実施例12
実施例8の触媒を用いたエチレンの重合
100mlペンタンと、1.7mlの1M MeAlClのヘキサン溶液と、実施例8で合成した40.5mgの触媒とを300mlオートクレーブ中で混ぜ合わせた。50℃および1.10MPaエチレンで30分後に、21gのポリエチレンを得た。
【0070】
実施例13
2,6−ビス[1−(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニルイミノ)エチル]ピリジンの合成
4−アミノ−m−クレゾール(450mg)と300mg2,6−ジアセチルピリジンとを20mlのメタノールに溶解した。4滴のギ酸を添加し、溶液を2日間撹拌した。黄色固体を冷メタノールで洗浄した。収量:600mg。H−NMR(200MHz,CDCl):8.35(d,2H)、7.85(t,1H)、6.53〜6.74(6H)、4.50(s,2H)、2.32(s,6H)、2.09ppm(s,6H)。
【0071】
実施例14
2,6−ビス[1−(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニルイミノ)エチル]ピリジン鉄(II)クロリドの合成
実施例13からの2,6−ビス[1−(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニルイミノ)エチル]ピリジン(73mg)と38mgの塩化第一鉄(FeCl)・4HOとを10mlのTHF中で16時間撹拌した。カニュール移送(transfer)によって溶媒を除去した後、黒色粉末をTHFで3回洗浄した。収量90mg。
【0072】
実施例15
SiO /Me Alへの2,6−ビス[1−(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニルイミノ)エチル]ピリジン鉄(II)クロリドの担持
100mgの実施例4からのSiO/MeAlを、10mlのトルエン中の10.5mgの2,6−ビス[1−(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニルイミノ)エチル]ピリジン鉄(II)クロリドの溶液と混合した。4時間後にトルエン相をデカントし、黒色固体をトルエンで1回洗浄した。
【0073】
実施例16
実施例15の触媒を用いたエチレンの重合
100mlペンタンと1ml MMAOトルエン溶液(7重量%Al)とを300mlのパール(Parr(登録商標))オートクレーブにポンプ送液した。実施例15で合成した触媒(15.9mg)を加えて、反応器を60℃に加熱し、1.03MPaのエチレンで加圧した。60分後に水の添加によって重合を止めた。25℃でペンタンに不溶の粒子を濾過した(6.1g)。分液漏斗でペンタン相を水から分離した。ペンタン相からペンタンを蒸留し(ヘッド温度38℃)、6.2gのオイルを得、それは20℃に冷やすと固体になった。ペンタンに不溶の固体は80〜110℃の融点を有したが、ペンタン相中の物質はH NMRによって分析して、主として12個の炭素原子の平均鎖長さのα−オレフィンであることが分かった。
【0074】
実施例18
2,6−ビス[1−(2,6−ジメチル−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェニルイミノ)エチル]ピリジンの合成
実施例1に記載した方法に従って3−(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)ピロパン−1−オール(2.5g)を合成した。その2gと0.9gの2,6−ジアセチルピリジンとを3mlのメタノールに溶解した。2滴のギ酸を添加し、溶液を40時間還流した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、溶剤 酢酸エチル:ヘキサン1:1)によって精製した。収量 1.5gの黄色粉末。H−NMR(200MHz,CDCl):8.46(d,2H)、7.93(t,1H)、6.92(s,4H)、3.65(t,4H)、2.63(t,4H)、2.22(s,6H)、2.01(s,12H)、1.86ppm(クィンテット(quin.),4H)。
【0075】
実施例19
2,6−ビス[1−(2,6−ジメチル−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェニルイミノ)エチル]ピリジン鉄(II)クロリドの合成
500mgの2,6−ビス[1−(2,6−ジメチル−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェニルイミノ)エチル]ピリジンと190mgのFeCl・4HOとを7mlのTHF中で80分間撹拌した。濾過後に残ったパープル粉末をTHFで2回、ジエチルエーテルで1回洗浄した。収量 600mg。
【0076】
実施例20
SiO /Me Alへの2,6−ビス[1−(2,6−ジメチル−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェニルイミノ)エチル]ピリジン鉄(II)クロリドの担持
300mgの実施例4からのSiO/MeAlを10mlのCHCl中の2,6−ビス[1−(2,6−ジメチル−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェニルイミノ)エチル]ピリジン鉄(II)クロリドと混合した。60分後に透明なCHCl相をデカントし、残った緑色固体をCHClで1回洗浄した。
【0077】
実施例21
実施例20の触媒を用いたエチレンの重合
100mlのペンタンと、1.0mlのMMAOトルエン溶液(7重量%Al)と、0.3mlのトリメチルアルミニウム(ヘキサン中2M溶液)とを300mlのパール(Parr(登録商標))オートクレーブ中へポンプ送液した。実施例20で合成した不均一触媒(8.0mg)を添加して懸濁液を25℃で5分間撹拌した。次に、反応器を80℃に加熱し、2.75MPaのエチレンで加圧した。120分後にメタノールの添加によって重合を止めた。白色のポリエチレン粒子(51.9g)を得た。
【0078】
実施例22
(4−(4−アミノ−3,5−Me −ベンジル)−2,6−Me −Ph) DABAnの合成
3gの4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルアニリン)(アルドリッチ(Aldrich)から)と0.54gアセナフトキノンとを50mlのトルエンに溶解した。4滴の硫酸を添加し、溶液を14時間還流し、ディーン−スターク(Dean−Stark)トラップを用いることによって生成した水を除去した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ、溶剤 酢酸エチル:ヘキサン1:1)によって精製した。収量 1.2gの赤色粉末。H−NMR(200MHz,CDCl):7.89(d,2H)、7.37(t,2H)、7.01(s,4H)、6.87(s,4H)、6.74(s,2H)、3.84(s,4H)、3.53(s,4H)、2.19(s,12H)、2.06ppm(s,12H)。
【0079】
実施例23
(4−(4−アミノ−3,5−Me −ベンジル)−2,6−Me −Ph) DABAnNiBr の合成
60mgの(4−(4−アミノ−3,5−Me−ベンジル)−2,6−Me−Ph)DABAnと28mgのNiBr・dmeとを5mlのCHCl中で14時間撹拌した。溶媒を真空により除去した後、茶色の生成物をジエチルエーテルで2回洗浄した。収量 70mgの茶色粉末。
【0080】
実施例24
SiO /Me Al上への(4−(4−アミノ−3,5−Me −ベンジル)−2,6−Me −Ph) DABAnNiBr の担持
100mgの実施例4からのSiO/MeAlを2mlのCHCl中の17.5mgの(4−(4−アミノ−3,5−Me−ベンジル)−2,6−Me−Ph)DABAnNiBrの溶液と混合した。60分後にCHCl相を真空にさらし、残った茶色固体をCHClで3回洗浄した。
【0081】
実施例25
実施例24の触媒を用いたエチレンの重合
100mlのペンタンと、1.0mlの0.91Mエチルアルミニウムセスキクロリドのトルエン溶液とを300mlパール(Parr(登録商標))オートクレーブ中へポンプ送液した。実施例24で合成した触媒(11.9mg)を添加して、反応器を60℃に加熱し、1.03MPaのエチレンで加圧した。120分後にメタノールの添加によって重合を止めた。白色のポリエチレン粒子(38.7g)を得た。
【0082】
実施例26
2,6−ビス[1−(4−アミノ−2,3,5,6−テトラメチル−フェニルイミノ)エチル]ピリジンの合成
800mgの2,3,4,5−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン(アルドリッチ(Aldrich)から)と200mg2,6−ジアセチルピリジンとを6mlのメタノールに溶解した。2滴のギ酸を添加して、溶液を16時間撹拌した。黄色結晶が沈殿し、それを冷メタノールで2回洗浄した。500mgの黄色粉末を得た。H−NMR(200MHz,CDCl):8.44(d,2H)、7.91(t,1H)、3.45(s,4H)、2.15(s,6H)、2.13(s,12H)、1.94ppm(s,12H)。
【0083】
実施例27
2,6−ビス[1−(4−アミノ−2,3,5,6−テトラメチル−フェニルイミノ)エチル]ピリジン鉄(II)クロリドの合成
2,6−ビス[1−(4−アミノ−2,3,5,6−テトラメチル−フェニルイミノ)エチル]ピリジン(240mg)と95mgのFeCl・4HOとを5mlのTHF中で60分間撹拌した。濾過した後に残った灰色粉末をTHFで3回、ジエチルエーテルで1回洗浄した。収量 220mg。
【0084】
実施例28
SiO /Me Al上への2,6−ビス[1−(4−アミノ−2,3,5,6−テトラメチル−フェニルイミノ)エチル]ピリジン鉄(II)クロリドの担持
100mgの実施例4からのSiO/MeAlを25mlのCHCl中の11.6mg2,6−ビス[1−(4−アミノ−2,3,5,6−テトラメチル−フェニルイミノ)エチル]ピリジン鉄(II)クロリドと混合した。2時間後にCHCl相をデカントし、残った黒色固体をCHClで2回洗浄した。
【0085】
実施例29
実施例28の触媒を用いたエチレンの重合
100mlペンタンと1.5mlのMMAOトルエン溶液(7重量%Al)とを300mlパール(Parr)(登録商標)オートクレーブ中へポンプ送液した。実施例28で合成した触媒(13.6mg)を添加し、反応器を60℃に加熱し、2.75MPaのエチレンで加圧した。30分後にメタノールの添加によって重合を止めた。白色のポリエチレン粒子(17.1g)を得た。
【0086】
実施例30
2−(4−アミノ−3,5−ジブロモフェニル)エタン−1−オールの合成
ゴムセプタムでキャップした1Lの丸底フラスコ中で、2−(4−アミノフェニル)エタノール(15g、109.3ミリモル)を450mlの氷酢酸に溶解した。シリンジを使って臭素(12.4ml、242ミリモル)を室温(RT)で20分以内に滴々加えた。室温でさらに30分間撹拌した後、反応混合物を2Lの氷水中へ注いだ。生じた固体をブフナー(Buchner)濾過器で濾過し、300mlの氷水で5回洗浄した。こうして得た二臭素化物はほとんど酢酸エステル形態であった。収量 34g(92.3%)。H−NMR(300MHz,CDCl) 7.21(s,芳香族、2H)、4.42(幅広いシングレット(brs),NH,2H)、4.14(t,CH−O,2H)、2.75(t,CH−Ph,2H)、1.95ppm(s,CH−COOR,3H)。酢酸エステルの加水分解は、粗二臭素化物(20g)をMeOH(150ml)中に溶解し、炭酸カリウム(KCO)(20g)、10mlの水を加えて、室温で1時間撹拌することによって達成された。次に溶液を濾過し、ロータリーエバポレーターでMeOHを除去した。次に二臭素化物をジエチルエーテル(150ml)に溶解し、残存する汚染物質を除去するために水(150ml)で洗浄した。水相をジエチルエーテルで抽出した。両エーテル相を組合わせて溶剤を除去した(ロータリーエバポレーター)。ベージュ色の固体を得た。収量 12.8g(73.1%)。H−NMR(300MHz,CDCl) 7.21(s,芳香族、2H)、4.42(brs,NH,2H)、3.77(t,CH−O,2H)、2.69(t,CH−Ph,2H)、1.58ppm(brs,OH,1H)。
【0087】
実施例31
2−(4−アミノ−3,5−ジフェニル)エタノールの合成
2−(4−アミノ−3,5−ジブロモ)エタノール(12.2g、41.4ミリモル)と、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(5.6g、5.0ミリモル)と、フェニルボロン酸(15.6g、127.9ミリモル)と炭酸ナトリウム(NaCO)(26.4g、248.7ミリモル)とを、350mlのトルエン、75mlのエタノールおよび125mlの水の脱ガスした混合物に溶解し、アルゴン下に72時間還流した。アルゴン下に冷却した後、水相をジエチルエーテルで抽出し、有機相と混ぜ合わせた。粗生成物を不活性雰囲気下にカラムクロマトグラフィー(シリカゲル/CHCl)によって精製した。第1カラム(幅=45mm、長さ=100mm)を粗い分離を行うために使用し、第2カラム(幅=45mm、長さ=210mm)は、第2主分画(橙色バンド)として所望のオルトジフェニル置換アミンを分離した。カラムクロマトグラフィーに引き続き、TLCを行った。オルトジフェニル置換アミンは、UVランプ下に特徴的な青色スポットを与えた。溶剤を除去した後、6.9gの黄色固体を得た(57.2%)。H−NMR(300MHz,CDCl) 7.3〜7.5(m,芳香族、10H)、6.98(s,芳香族,2H)、3.84(t,CH−O,2H)、2.82ppm(t,CH−Ph,2H)。
【0088】
実施例32
2,3−ブタンジオン−ビス(2,6−ジフェニル−4−ヒドロキシエチルフェニルイミン)の合成
1Lの密閉丸底フラスコ中で2.2当量の2−(4−アミノ−3,5−ジフェニル)エタノール(3g、10.4ミリモル)をベンゼンに溶解し、触媒量のp−トルエンスルホン酸一水和物を添加した(110mg、0.58ミリモル)。次に撹拌しながらシリンジによって1当量の2,3−ブタンジオン(0.41ml、4.69ミリモル)を滴々加えた。その後、フラスコをディーン−スターク(Dean−Stark)トラップと還流冷却器とに連結した。混合物を48時間還流した後、溶媒を除去した、粗生成物を短いカラム(シリカ、幅=45mm、長さ=100mm)で精製した。ジイミンは、未反応アミンの溶出後に、および溶剤混合物をCHCl/EtOAc(5:1)からCHCl/EtOAc(2:1)へ変えた後に、第2橙色バンドとして溶出した。溶剤を除去し、ジイミンを暖かい塩化メチレンに溶解してペンタンを加えることによってさらに精製した。−30℃で一晩保管すると、明るい黄色の固体が沈殿した。収量 1.0g(33.9%)。H−NMR(300MHz,CDCl) 7.08〜7.25(m,芳香族、24H)、3.86(t,CH−O,4H)、2.87(t,CH−Ph,4H)、1.38ppm(s,CH−C=N,6H)。分析値。C4440に対する計算値:C,84.04;H,6.41;N,4.46;O,5.09 実測値:C,83.02;H,6.41;N,4.31;O,5.12。
【0089】
実施例33
2,3−ブタンジオン−ビス(2,6−ジフェニル−4−ヒドロキシエチルフェニルイミン)NiBr の合成
2,3−ブタンジオン−ビス(2,6−ジフェニル−4−ヒドロキシエチルフェニルイミン)(448mg、0.713ミリモル)とNiBr(dme)(200mg、0.648ミリモル)とをアルゴン下10mlの乾燥CHCl中で18時間撹拌した。真空下に溶媒を除去した後、茶色粉末を15mlの乾燥ジエチルエーテルで5回洗浄し、カニュール濾過した。収量 500mg(91.1%)。分析値。C4440NiBrに対する計算値:C,62.37;H,4.76;N,3.31;O,3.78 実測値:C,62.27;H,4.86;N,3.22;O,4.04。
【0090】
実施例34
担体SiO /Me Alの調製
シリカ(8g)を40mlの乾燥トルエンおよび12mlの2M MeAlヘキサン溶液と穏やかに混合した。シリカの破砕を避けるように、2時間反応混合物を数回穏やかにぐるぐるかき混ぜた。処理したシリカを、最後にトルエン(40ml)で3回、ペンタン(40ml)で1回洗浄した。材料を真空下25℃で乾燥した。
【0091】
実施例35
SiO /Me Alへの2,3−ブタンジオン−ビス(2,6−ジフェニル−4−ヒドロキシエチルフェニルイミン)NiBr の担持
2,3−ブタンジオン−ビス(2,6−ジフェニル−4−ヒドロキシエチルフェニルイミン)NiBr(100mg、実施例33から)を25mlCHCl中で15分間撹拌した。SiO/MeAl(600mg、実施例34から)を加えて、触媒前駆体と穏やかに混合した。ほとんど即座にすべての触媒前駆体はシリカに捕捉され、溶液は透明になった。反応を1時間進行させるにまかせ、その後CHCl相を真空下に除去し、茶色固体を15mlのCHClで1回洗浄した。カニュール濾過の後、茶色固体を真空下に乾燥した。

Claims (12)

  1. 担持オレフィン重合触媒構成成分の調製方法であって、
    a)6〜10族遷移金属(IUPAC表記法)と、第1反応性基を含有する中性二座または中性三座配位子との遷移金属錯体を、
    b)それにコンプリメンタリー第2反応性基を結合した固体担体と、
    第1反応性基とコンプリメンタリー第2反応性基とが相互作用して、イオン結合または共有結合を形成するような条件下に接触させる工程を含むことを特徴とする方法。
  2. 前記第1反応性基が、ヒドロキシル、カルボキシル、アミノ、カルボキシルエステル、アルコキシシラン、チオール、シロキサン、シラノール、ヒドロシラン、アミノシラン、ハロシラン、アルミニウム、亜鉛またはマグネシウムに結合したアルキル基、ボラン、スルホネートエステル、エポシキド、ケトン、アルデヒド、カルボン酸塩、イソシアネート、アンモニウム塩、ホスフィン、またはスルホネート塩であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第1反応性基が、ヒドロキシルまたはアミノであることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
  4. 前記コンプリメンタリー第2反応性基が、イソシアネート、ハロゲン化アシル、アルコキシシラン、シロキサン、シラノール、ヒドロシラン、アミノシラン、ハロシラン、アルミニウム、亜鉛またはマグネシウムに結合したアルキル基、ボラン、ホスフィン、またはハロゲン化アルキルであることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
  5. 前記担体が、有機ポリマー、無機酸化物またはハロゲン化マグネシウムであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  6. 前記中性二座配位子が、
    Figure 2004538344
    (式中、
    13およびR16は、それぞれ独立してヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり(ただし、イミノ窒素原子に結合した原子はそれに結合した少なくとも2個の炭素原子を有する)、かつ、R14およびR15は、それぞれ独立して水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは不活性官能基であり、またはR14およびR15は共にヒドロカルビレンもしくは置換ヒドロカルビレンであって炭素環を形成する)
    であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  7. 前記遷移金属がニッケルであることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
  8. 前記中性三座配位子が、
    Figure 2004538344
    (式中、
    、R、R、RよびRは、それぞれ独立して水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、または不活性官能基であり(ただし、互いにビシナルのR、RおよびRのいずれか2つは共に環を形成してもよい)、かつ、
    およびRはアリールまたは置換アリールである)
    であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  9. 前記遷移金属が鉄またはコバルトであることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
  10. 6〜10族遷移金属および中性三座配位子の遷移金属錯体と、担体とを含有する担持オレフィン重合触媒構成成分であって、前記遷移金属錯体が前記中性三座配位子と前記担体との間のイオン結合または共有結合によって前記担体に結合していることを特徴とする、担持オレフィン重合触媒構成成分。
  11. 前記中性三座配位子が、
    Figure 2004538344
    (式中、
    、R、R、RよびRは、それぞれ独立して水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、または不活性官能基であり(ただし、互いにビシナルのR、RおよびRのいずれか2つは共に環を形成してもよい)、かつ、
    およびRはアリールまたは置換アリールである)
    であることを特徴とする、請求項10に記載の担持オレフィン重合触媒構成成分。
  12. 前記遷移金属が鉄またはコバルトである、請求項11に記載の担持オレフィン重合触媒構成成分。
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