JP2001072654A - 遷移金属錯体の製造方法 - Google Patents

遷移金属錯体の製造方法

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JP2001072654A
JP2001072654A JP37269299A JP37269299A JP2001072654A JP 2001072654 A JP2001072654 A JP 2001072654A JP 37269299 A JP37269299 A JP 37269299A JP 37269299 A JP37269299 A JP 37269299A JP 2001072654 A JP2001072654 A JP 2001072654A
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transition metal
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metal complex
salicylideneamine
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JP37269299A
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Kenichi Ishizaki
謙一 石崎
Akira Washimi
章 鷲見
Kaoru Kimura
馨 木村
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Toagosei Co Ltd
Original Assignee
Toagosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 極性モノマーに由来する構成単量体単位の含
有率が高い共重合体を効率よく製造することができるオ
レフィン重合用触媒などの用途に有用な金属錯体を提供
する。 【解決手段】 2個の中性配位子をシス位置に有する周
期表第10族の遷移金属化合物を窒素原子に置換基を有
するサリチリデンアミン誘導体に反応させて遷移金属錯
体を得た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オレフィンの重合
用触媒、特にオレフィンと極性モノマーの共重合用触
媒、すなわちエチレン等のオレフィンとアクリル酸メチ
ル等の極性モノマーを効率よく共重合し得る触媒、極性
モノマーの重合用触媒又はミカエル付加反応などの触媒
として有用な遷移金属錯体の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】一般にポリオレフィンは優れた性質を有
する高分子であるが、接着性、印刷性、染色性に劣って
いる。そこでポリオレフィンが有する上記欠点を解消す
るため、オレフィンに極性モノマーを共重合させること
が種々考えられている。この様な共重合用触媒として多
量のルイス酸化合物の使用が開示されているが(特開昭
59−43003号公報、特開昭60−262807号
公報、特開昭61−278508号公報)、製品が夾雑
物を多く含むものになるという問題点をも有するもので
ある。
【0003】また、クロム系触媒も知られているが(特
開昭61−278508号公報、特開平1−28220
4号公報)、クロム系触媒は有毒なクロム化合物を含有
していること、極性モノマーに由来する構成単位の含有
率が高い共重合体が得られにくいという問題点を有する
ものである。
【0004】さらに、オレフィンと極性モノマーの共重
合用触媒として、ルイス酸又はイオン化イオン性化合物
及び周期表第8族、第9族又は第10族の遷移金属化合
物からなる触媒(特開平9−302018号公報)、ロ
ジウム化合物とアリールホウ素化合物からなる触媒(特
開平10−298231号公報)等も提案されている
が、これらの触媒も共重合体中の極性モノマーに由来す
る構成単量体単位の含有率を高いものにするには不充分
なものである。
【0005】一方、カチオン性の金属錯体もオレフィン
の重合触媒として古くから知られている。例えば周期表
第4族から選ばれる遷移金属の化合物、テトラフェニル
ほう酸トリエチルアンモニウム等の配位錯体(特開平4
−309508号公報)、嵩高いジイミン配位子とカウ
ンターアニオンとしてテトラアリールボレートを有する
パラジウム錯体( J.Am.Chem.Soc.,118 , p 267 (199
6))などがある。また最近、中性の金属錯体、例えばサ
リチルアルドイミン配位子(以下、多用されている名称
を用いサリチリデンアミン誘導体という)を有するニッ
ケル錯体(Organometallics,17,p 3149(1998))など
が提案されている。しかし、これらの重合触媒は、オレ
フィンと極性モノマーの共重合に利用した場合、得られ
る共重合体が極性モノマーに由来する構成単量体単位の
含有率の高いものになりにくく、充分な活性を有してい
るものとはいえないものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、極性モノマ
ーに由来する構成単量体単位の含有率が高いオレフィン
と極性モノマーの共重合体を効率よく製造することがで
きる重合用触媒として利用できる金属錯体を求めるべく
検討を行ったものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来の方
法における上記問題点を解決すべく鋭意検討した結果、
前記のサリチリデンアミン誘導体を有するニッケル錯体
において、錯体原料として2個の中性配位子をシス位置
に有する周期表第10族の遷移金属化合物を用いたも
の、すなわち、2個の中性配位子をシス位置に有する周
期表第10族の遷移金属化合物を、窒素原子に置換基を
有するサリチリデンアミン誘導体に反応させて得られる
遷移金属錯体が、極性モノマーに由来する構成単量体単
位の含有率が高いオレフィンと極性モノマーの共重合体
を極めて効率よく製造することができる重合用触媒とし
て利用できることを見いだして、本発明を完成したので
ある。
【0008】すなわち、本発明は、2個の中性配位子を
シス位置に有する周期表第10族の遷移金属化合物を窒
素原子に置換基を有するサリチリデンアミン誘導体を反
応させることを特徴とする遷移金属錯体の製造方法に関
するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明における第一の原料である遷移金属化合物
は、前記サリチリデンアミン誘導体配位子を有するニッ
ケル錯体(Organometallics,17,p 3149(1998))の原
料である遷移金属化合物等において2個存在する中性配
位子がシス位置にあるものであり、より具体的に言え
ば、周期表第10族の遷移金属原子を核とし、該遷移金
属に4個結合している置換基又は原子の内、2個がお互
いシス位置にある中性配位子であるものであり、残りの
内の1個は、当然のことであるが、錯体形成可能な求核
攻撃を受けることにより脱離する原子又は有機基である
遷移金属化合物(以下、単に遷移金属化合物という。)
である。
【0010】周期表第10族の遷移金属原子の具体例と
しては、ニッケル、パラジウム、白金等が挙げられる。
これらは金属原子を中心として平面上に4個の置換基又
は原子が配位又は結合できるもの(以下、平面4配位と
いう。)である。モデル的に説明すると正方形の中心に
金属原子があり、4個の頂点に置換基又は原子が存在す
るものである。2個の置換基又は原子が隣接する頂点の
位置にある場合をお互いにシス位置にあるといい、対角
の位置にある場合をお互いにトランス位置にあるとい
う。
【0011】本発明における遷移金属化合物において、
2個の中性配位子はお互いシス位置にあるものであり、
該中性配位子とは、それ自身も単独で安定に存在する化
合物である。具体例としては芳香族化合物、オレフィン
化合物、一酸化炭素、エーテル化合物、アセトニトリ
ル、ベンゾニトリル、トリフェニルホスフィン等のホス
フィン化合物、ホスファイト化合物、ノルボルナジエ
ン、1,5−シクロオクタジエン等の環状ジエン化合
物、エチレンジアミン等のジアミン化合物等が挙げられ
る。2個の中性配位子はそれぞれ同一のものであっても
よいし、異なるものであってもよい。上記中性配位子の
うち、環状ジエン化合物、ジアミン化合物等は1分子が
中性配位子2個分として配位する場合もある(以下、中
性配位子2個分として配位する配位子のことを2座中性
配位子といい、中性配位子1個分として配位する配位子
のことを単座中性配位子という)。アセトニトリル、ベ
ンゾニトリル、ホスフィン化合物は、後述する遷移金属
錯体の安定性と触媒としての活性のバランスが良好であ
るために好ましい中性配位子である。
【0012】遷移金属化合物が有する錯体形成可能な求
核攻撃を受けることにより脱離する原子又は有機基とし
ては、遷移金属が求核攻撃を受けるとアニオンとして脱
離する原子又は有機基等が挙げられる。フッ素原子、塩
素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、メト
キシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基等
は、遷移金属化合物を後述する錯体形成反応の容易なも
のとするために好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素
原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子はより好ましく、塩
素原子、臭素原子は特に好ましいものである。
【0013】遷移金属化合物に存在する第4の置換基又
は原子としては、特に制限はないが、水素原子、炭化水
素基、酸素含有炭化水素基又はイオウ含有炭化水素基
は、オレフィンと極性モノマーの共重合用触媒としての
活性が高い遷移金属錯体を与えるために好ましいもので
ある。具体例としては、水素原子、メチル基、エチル
基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、
イソブチル基、t−ブチル基等のアルキル基、シクロペ
ンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フ
ェニル基等のアリール基、o−トリル基、p−トリル
基、メシチル基、2,4,6−トリ−t−ブチルフェニ
ル基等のアルキルアリール基、ベンジル基等のアリール
アルキル基、メトキシエチル基、p−メトキシフェニル
基等の酸素含有炭化水素基、メチルチオエチル基、p−
メチルチオフェニル基等のイオウ含有炭化水素基等が挙
げられる。以上の様な構成を有する遷移金属化合物の具
体例としては、クロロ(メチル)(ノルボルナジエン)
パラジウム(II)、クロロ(メチル)(1,5−シクロ
オクタジエン)パラジウム(II)、クロロ(メチル)
(エチレンジアミン)パラジウム(II)、cis−クロ
ロ(メチル)ビス(ベンゾニトリル)パラジウム(I
I)、cis−クロロ(メチル)ビス(トリフェニルホ
スフィン)パラジウム(II)等が挙げられる。
【0014】本発明における第二の原料である窒素原子
に置換基を有するサリチリデンアミン誘導体(以下、単
にサリチリデンアミン誘導体という。)は、遷移金属化
合物と反応して遷移金属錯体を形成するものである前記
したように公知のものである。以下に二種類のサリチリ
デンアミン誘導体、すなわち2座配位子であるサリチリ
デンアミン誘導体(以下、2座サリチリデンアミン誘導
体という。)と3座配位子であるサリチリデンアミン誘
導体(以下、3座サリチリデンアミン誘導体という。)
を例示して説明する。本発明においては下記式1に示す
構造式で表される2座サリチリデンアミン誘導体は、オ
レフィンと極性モノマーの共重合用触媒としての活性が
高い遷移金属錯体を与えるために好ましいものである。
【0015】
【化1】
【0016】上記式1におけるR2、R3、R4、R5、R
6、R7、R8、R9及びR10は水素原子又は有機基を表
す。具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、
n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソ
ブチル基、t−ブチル基等のアルキル基、シクロペンチ
ル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニ
ル基等のアリール基、o−トリル基、p−トリル基、メ
シチル基、2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル基等
のアルキルアリール基、ベンジル基等のアリールアルキ
ル基、メトキシエチル基、p−メトキシフェニル基等の
酸素含有炭化水素基、メチルチオエチル基、p−メチル
チオフェニル基等のイオウ含有炭化水素基、ジメチルア
ミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基、ト
リメチルシリル基、トリブチルシリル基等のシリル基、
メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ
基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、o−トリルオ
キシ基、p−トリルオキシ基等のアルキルアリールオキ
シ基、ベンジルオキシ基等のアリールアルキルオキシ
基、及びニトロ基等が挙げられる。R2、R3、R4
5、R6、R7、R8、R9及びR10はそれぞれ同一のも
のでも異なっているものでもよく、また、上記の有機基
の原子の一部が脱離したもの同士が相互に連結して環を
形成しているものであってもよい。R2、R6又はR10
少なくとも1個がイソプロピル基、t−ブチル基、シク
ロアルキル基、アリール基、アルキルアルール基、アリ
ールアルキル基等の嵩高い置換基である2座サリチリデ
ンアミン誘導体は、オレフィンと極性モノマーの共重合
用触媒として使用した場合、共重合体の分子量を大きい
ものにすることが容易であるために好ましく、2個以上
が嵩高い置換基である2座サリチリデンアミン誘導体は
より好ましいものである。
【0017】2座サリチリデンアミン誘導体の具体的な
例を下記式で示すが、これらに限定されるものではな
い。
【0018】
【化2】
【0019】上記12個の構造式をまとめて式2とい
う。上記の式中、Meはメチル基を、i-Prはiso-プロピル
基を、t-Buはtert-ブチル基を表す。
【0020】2座サリチリデンアミン誘導体は、たとえ
ば下記式3に示す反応式で例示されるように、サリチル
アルデヒド類とアニリン類を反応させることによって製
造することができる。
【0021】
【化3】
【0022】本発明においては下記式4に示す構造式で
表される3座サリチリデンアミン誘導体は、オレフィン
と極性モノマーの共重合用触媒としての活性が高く、安
定性がよい遷移金属錯体を与えるために好ましいもので
ある。
【0023】
【化4】
【0024】上記式4におけるR11、R12、R13
14、R15、R16、R17及びR18は水素原子又は有機基
を表す。具体例としては、水素原子、メチル基、エチル
基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、
イソブチル基、t−ブチル基等のアルキル基、シクロペ
ンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フ
ェニル基等のアリール基、o−トリル基、p−トリル
基、メシチル基、2,4,6−トリ−t−ブチルフェニ
ル基等のアルキルアリール基、ベンジル基等のアリール
アルキル基、メトキシエチル基、p−メトキシフェニル
基等の酸素含有炭化水素基、メチルチオエチル基、p−
メチルチオフェニル基等のイオウ含有炭化水素基、ジメ
チルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ
基、トリメチルシリル基、トリブチルシリル基等のシリ
ル基、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等のアルコ
キシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、o−トリ
ルオキシ基、p−トリルオキシ基等のアルキルアリール
オキシ基、ベンジルオキシ基等のアリールアルキルオキ
シ基、及びニトロ基等が挙げられる。R11、R12
13、R14、R15、R16、R17及びR18はそれぞれ同一
のものでも異なっているものでもよく、また、上記の有
機基の原子の一部が脱離したもの同士が相互に連結して
環を形成しているものであってもよい。
【0025】R11、R12またはR18の少なくとも1個が
アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキル
アルール基、アリールアルキル基等である3座サリチリ
デンアミン誘導体は、得られる遷移金属錯体がオレフィ
ンと極性モノマーの共重合用触媒として使用した場合、
重合物の分子量を大きいものにすることが容易であるた
めに好ましく、2個以上がこれらの基である3座サリチ
リデンアミン誘導体はより好ましいものである。
【0026】下記式5に3座サリチリデンアミン誘導体
の具体的な例を示すが、これらに限定されるものではな
い。
【0027】
【化5】
【0028】上記9個の構造式をまとめて式5という。
上記の式5中のMe、i-Pr、t-Buは前述の式2のものと同
じ意味のものである。
【0029】3座サリチリデンアミン誘導体は、例えば
下記式6に示す反応式で例示されるように、サリチルア
ルデヒド類とエチレンジアミン類を反応させることによ
って製造することができる。
【0030】
【化6】
【0031】上記遷移金属化合物とサリチリデンアミン
誘導体を反応させることにより、遷移金属錯体を得る具
体的製造方法を以下に例示して説明する。
【0032】第一の方法は、Organometallics,17,p 314
9(1998)に記載された方法に準じて、溶媒中でサリチ
リデンアミン誘導体と水素化ナトリウム等を反応させ、
フェノキシドを形成させた後、該フェノキシドと遷移金
属化合物を反応させて遷移金属錯体を得るという方法で
ある。この時使用するサリチリデンアミン誘導体が2座
サリチリデンアミン誘導体であり、かつ、遷移金属化合
物が2座中性配位子である場合には、トリフェニルホス
フィン等の単座中性配位子を共存させて反応させること
が好ましい。その理由は、遷移金属錯体が安定性と触媒
としての活性のバランスが良好なものとなるためであ
る。
【0033】第二の方法は、溶媒中で塩基の存在下、サ
リチリデンアミン誘導体と遷移金属化合物を反応させて
遷移金属錯体を得る方法である。第一の方法と同様、サ
リチリデンアミン誘導体が2座サリチリデンアミン誘導
体であり、かつ、遷移金属化合物が2座中性配位子であ
る場合には、トリフェニルホスフィン等の単座中性配位
子を共存させて反応させることが好ましい。
【0034】反応温度は通常−40〜120℃であり、
好ましくは−20〜80℃である。反応時間は通常5分
間〜100時間であり、好ましくは30分間〜10時間
である。溶媒の具体例としては、ヘキサン、ヘプタン、
オクタン、シクロヘキサン、ミネラルオイル、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等の不活性炭化水素、クロロホ
ルム、メチレンクロリド、ジクロロエタン、クロロベン
ゼン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
【0035】上記反応により得られる遷移金属錯体の構
造を例示したものが式7および式8である。式7は2座
サリチリデンアミン誘導体を使用して得られる遷移金属
錯体の構造を例示したものである。
【0036】
【化7】
【0037】式7におけるMは周期表第10族の遷移金
属原子を、Lは中性配位子を表し、R1は上記遷移金属
化合物の第4の置換基を表す。R2〜R10は式1のもの
と同じものである。式7に示す構造式で表される遷移金
属錯体中の1個残った中性配位子と、サリチリデンアミ
ン誘導体のフェノール部分に由来する酸素原子の、遷移
金属原子を中心とする位置関係はトランスとなっている
ものと思われる。その理由は、上記反応の主反応は「遷
移金属化合物中の求核攻撃を受けることにより脱離する
原子又は有機基が上記酸素原子と置換し、遷移金属化合
物中の2個の中性配位子のうち上記置換された酸素原子
とシスの位置にあるものがサリチリデンアミン誘導体の
窒素原子と置換する」ことによると考えられる。なお、
2座中性配位子を有する遷移金属化合物を原料とした場
合、遷移金属錯体中でそのまま中性配位子として存在す
ることもあるし、単座中性配位子を共存させたときは置
換により該単座中性配位子が遷移金属に配位することも
ある。
【0038】2座サリチリデンアミン誘導体を使用して
得られる遷移金属錯体を製造する反応の際、アクリル酸
アルキルエステル及び/又はメタクリル酸アルキルエス
テル(以下、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとい
う。)を添加するのは、得られる遷移金属錯体が極性モ
ノマーに由来する構成単量体単位の含有率が高いオレフ
ィンと極性モノマーの共重合体を効率よく製造すること
ができる重合用触媒となるために好ましい方法である。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例は、アクリル
酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−プロピ
ル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチ
ル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−t−ブチル、
アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−n−プロピ
ル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブ
チル、メタクリル酸イソブチル等である。
【0039】(メタ)アクリル酸アルキルエステルの使
用量は、遷移金属化合物を1としたときのモル比で1〜
20の範囲であることが好ましく、1〜10の範囲であ
ることがより好ましい。理由は、遷移金属化合物に対す
る(メタ)アクリル酸アルキルエステルの使用割合が少
なすぎれば、遷移金属錯体の触媒としての活性を高める
効果が不十分なものとなる場合があり、多すぎれば経済
的に無駄なためである。
【0040】また2座サリチリデンアミン誘導体を使用
して得られる遷移金属錯体は、単独でオレフィンと極性
モノマーの共重合用などの触媒として用いることができ
るが、ルイス酸または特定の金属化合物等の添加剤を添
加されたものは、より高い活性を有するものとなるため
共重合用などの触媒として好ましいものである。ここで
いう特定の金属化合物とは、上記遷移金属錯体中の中性
配位子に対する親和力が該遷移金属錯体中の遷移金属原
子より大きい金属化合物である。
【0041】ルイス酸の例としては、BR3(Rはフッ
素原子、メチル基、トリフルオロメチル基等の置換基を
有してもよいフェニル基又はフッ素原子である。)で表
される化合物が挙げられ、具体例としてはトリフルオロ
ボロン、トリフェニルボロン、トリス(4−フルオロフ
ェニル)ボロン、トリス(3,5−ジフルオロフェニ
ル)ボロン、トリス(4−フルオロメチルフェニル)ボ
ロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリ
ス(p−トリル)ボロン、トリス(o−トリル)ボロ
ン、トリス(3,5−ジメチルフェニル)ボロン等が挙
げられる。これらのルイス酸は、1種を単独で使用する
こともできるし、2種以上を併用することもできる。特
定の金属化合物の具体例としては、ビス(1,5−シク
ロオクタジエン)ニッケル、ビス(1,5−シクロオク
タジエン)パラジウム等が挙げられる。
【0042】式8は3座サリチリデンアミン誘導体を使
用して得られる遷移金属錯体の構造を例示したものであ
る。
【0043】
【化8】 式8におけるMは周期表第10族の遷移金属原子を、R
19は上記遷移金属化合物の第4の置換基を表す。R11〜R
18は式4のものと同じものである。
【0044】本発明の製造方法により得られた遷移金属
錯体は、オレフィンの重合用触媒、特にオレフィンと極
性モノマーの共重合用触媒、極性モノマーの重合用触媒
又はミカエル付加反応用触媒として有用なものである。
以下、本発明の遷移金属錯体の特長を生かした用途の例
として、該遷移金属錯体を触媒として使用するオレフィ
ンと極性モノマーの共重合について説明する。共重合に
際して遷移金属錯体は、上記例示した方法により得られ
たものをそのまま触媒として使用することもできるし、
単離して触媒として使用することもできる。
【0045】共重合に用いられるオレフィンの具体例と
しては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペン
テン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1
−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセ
ン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコ
セン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペン
テン等のα−オレフィンが挙げられる。これらのオレフ
ィンは1種を単独で使用することもできるし、2種以上
を併用することもできる。
【0046】また極性モノマーの具体例としては、アク
リル酸、メタクリル酸、フマル酸、無水マレイン酸、イ
タコン酸、無水イタコン酸、ビシクロ[2.2.1]−
5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸等のα,β−不飽
和カルボン酸及びこれらの酸のナトリウム、カリウム、
リチウム、亜鉛、マグネシウム、カルシウム等の金属
塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸
−n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸
−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−t
−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリ
ル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−n−
プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−
n−ブチル、メタクリル酸イソブチル等のα,β−不飽
和カルボン酸エステル、マレイン酸、イタコン酸、無水
マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸及びその酸無水物、
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、
カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビ
ニル、トリフルオロ酢酸ビニル等のビニルエステル類、
アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタ
コン酸モノグリシジルエステル等のグリシジル基含有ラ
ジカル重合性単量体等が挙げられる。これらの極性モノ
マーは1種を単独で使用することもできるし、2種以上
を併用することもできる。
【0047】共重合においてオレフィンと極性モノマー
の割合は、特に制限されないが、通常、オレフィンの割
合が1〜99モル%、好ましくは5〜99モル%、より
好ましくは10〜99モル%の範囲である。なお、オレ
フィンのみの重合又は極性モノマーのみの重合は従来公
知の触媒により可能であり、本発明の遷移金属錯体から
なる触媒を使用する意義は小さいものであるが、もちろ
んこのような重合の場合にも本発明の遷移金属錯体から
なる触媒は使用することができる。オレフィンと極性モ
ノマーの共重合に際し、オレフィン及び極性モノマー以
外に、これらと共重合可能な他のモノマーを併用するこ
ともでき、併用する場合には、全モノマー中に占める他
のモノマーの割合は80モル%以下であることが好まし
く、70モル%以下であることが更に好ましい。他のモ
ノマーの割合が多すぎるとオレフィン及び極性モノマー
の特性が発現しにくいために好ましくない。共重合可能
な他のモノマーの具体例は、ブタジエン、1,4−ヘキ
サジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、1,8
−ノナジエン、1,9−デカジエン等の共役又は非共役
ジエン、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテ
ン、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン等の環式
不飽和炭化水素等である。これらの他のモノマーは1種
を単独で使用することもできるし、2種以上を併用する
こともできる。
【0048】オレフィンと極性モノマーの共重合に際し
て使用する遷移金属錯体の量は、共重合で用いる全モノ
マーを1としたときの、遷移金属錯体のモル比が、10
-6〜10-1であるのが好ましく、10-5〜10-2である
のが更に好ましい。理由は、10-6より小さいと、触媒
が失活しポリマーが得られなかったり、また得られても
分子量が高くなりすぎたりする場合があり、10-1より
大きいと、生成ポリマーの分子量が低すぎて物性が悪く
なる場合があるからである。
【0049】重合方法は特に制限されず、公知の懸濁重
合法、溶液重合法等の液相重合法や気相重合法等が用い
られる。液相重合法で使用できる溶媒の例は、ヘキサ
ン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ミネラルオ
イル、ベンゼン、トルエン、キシレン等の不活性炭化水
素、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、
クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素等である。重合
温度は、通常−50〜250℃の範囲が好適で、重合圧
力は常圧〜19.6MPa(常圧〜200kgf/cm
2)の範囲が好適である。重合方式としては、回分式、
半連続式、連続式のいずれをとることもでき、また重合
途中で反応条件を変えることも可能である。
【0050】
【作用】Organometallics,17,p 3149(1998)に記載さ
れている中性の金属錯体、例えばサリチリデンアミン誘
導体と中性配位子をトランス位置に有する遷移金属化合
物から得られた遷移金属錯体は、オレフィンと極性モノ
マーの共重合に利用した場合、得られる共重合体が極性
モノマーに由来する構成単量体単位の含有率の高いもの
になりにくく、充分な活性を有しているものとはいえな
いものであるのに対して、本発明の製造方法により得ら
れたサリチリデンアミン誘導体と中性配位子をシス位置
に有する遷移金属化合物から得られた遷移金属錯体は、
充分な共重合活性を有するものである。
【0051】
【実施例】以下、実施例及び比較例により、本発明をよ
り具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何
ら限定されるものではない。なお、特に断りのない限
り、操作はすべて窒素雰囲気下で行った。本明細書にお
いて、ポリマーの分子量は、ゲルパーミエーションクロ
マトグラフィ(以下、GPCという)によるポリスチレ
ン換算分子量を意味する。測定条件は以下の通りであ
る。 カラム:TSKgel G4000HXL及びG2500HXL 溶媒: テトラヒドロフラン 検出器:RI 流速: 1ml/分 共重合体の組成は、1H-NMR測定より算出した。
【0052】(実施例1) (サリチリデンアミン誘導体A−1の合成)100ml
のナス型フラスコにエタノール50ml、2,6−ジイ
ソプロピルアニリン5.32g(30mmol)、サリ
チルアルデヒド3.66g(30mmol)、モレキュ
ラーシーブ3A10gを採取し、室温で15時間攪拌し
た。モレキュラーシーブを濾別後、反応液を減圧濃縮し
た。残査をシリカゲルカラムにて精製し、下記式9に示
す構造式で表されるサリチリデンアミン誘導体A−1を
黄色オイルとして6.91g得た(収率82%)。
【0053】
【化9】
【0054】得られたサリチリデンアミン誘導体A−1
の同定データを下記に示す。1 H−NMR(CDCl3,400MHz):δ=1.17(s,6H);δ
=1.19(s,6H);δ=3.00(m,2H);δ=6.9-7.5(m,6H);
δ=8.30(s,1H);δ=13.04(bs,1H)
【0055】(遷移金属錯体A−2の合成)十分乾燥し
たシュレンク反応管に水素化ナトリウム0.05g(2.1mmo
l)を採取し、乾燥テトラヒドロフラン10mlを加え、氷
冷下攪拌した。ここへサリチリデンアミン誘導体A−1
を0.562g(2.0mmol)含有する乾燥テトラヒドロフラン
溶液3mlをゆっくり滴下した。滴下完了後、氷浴をはず
しそのまま室温で2時間攪拌し、サリチリデンアミン誘
導体A−1のフェノキシド溶液を調製した。別に、十分
乾燥したシュレンク反応管にクロロ(メチル)(1,5
−シクロオクタジエン)パラジウム(II)0.531 g
(2.0mmol)を採取し、トリフェニルホスフィン1.049g
(4.0mmol)、乾燥ベンゼン5mlを加え、室温で撹拌
し、先に調製したサリチリデンアミン誘導体A−1のフェ
ノキシド溶液を全量滴下した。そのまま室温で10時間
撹拌後、減圧下で溶媒を留去し、乾燥ジクロロメタン5m
lを加えた。不溶物を濾別後、減圧下で溶媒を約0.5mlに
濃縮し乾燥n-ペンタン15mlを加えた。生成した沈殿
を濾別、乾燥n-ペンタン5mlで2回洗浄後、真空乾燥し、
下記式10に示す構造式で表される遷移金属錯体A−2
を黄白色固体として0.435g得た(収率32.7%)。
【0056】
【化10】
【0057】式10において、Phはフェニル基を表
す。
【0058】得られた遷移金属錯体A−2の同定データ
を下記に示す。1 H−NMR(CDCl3,400MHz):δ=0.18 (s,3H);
δ=1.05 (t,6H);δ=2.59 (q,4H);δ=2.78(t,2H)
;δ=3.76(m,2H);δ=6.2-6.4(m,2H);δ=7.0-7.8
(m,20H);δ=8.00 (d,1H)
【0059】(参考例1) (重合反応)十分乾燥した100mlオートクレーブにトル
エン20ml、遷移金属錯体A−2を66mg(Pd原子換算で0.
1mmol)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロンを7
4mg(0.2mmol)入れ、−78℃に冷却後、アクリル酸メチ
ル8.69g(100mmol)を加え、エチレン0.2MPa(2atm)で
置換した。これを70℃に加温し10時間撹拌しながら重
合反応を行わせた後、重合反応系を−78℃に冷却し、メ
タノール5ml、ヘキサン20mlを加え、重合を停止させ
た。反応液から溶媒を減圧留去し、次に真空ポンプで減
圧乾燥してエチレン・アクリル酸メチル共重合体3.36 g
を得た。分析結果を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】(参考例2) (重合反応)エチレンの仕込み圧力を0.1MPa(1atm )
とした以外は、参考例1と同様に重合反応を行い、エチ
レン・アクリル酸メチル共重合体3.14gを得た。分析結
果を表1に示す。
【0062】(参考例3) (重合反応)アクリル酸メチルの仕込み量を4.35gとし
た以外は、参考例1と同様に重合反応を行い、エチレン
・アクリル酸メチル共重合体1.50gを得た。分析結果を
表1に示す。
【0063】(実施例2) (遷移金属錯体A−3の合成)十分乾燥したシュレンク
反応管にクロロ(メチル)(1,5−シクロオクタジエ
ン)パラジウム(II)0.531 g(2.0mmol)、サリチリ
デンアミン誘導体A−1を0.562g(2.0mmol)、炭酸カ
リウムを1.10g(8.0mmol)採取し、乾燥ジクロロメタン
5mlを加えた。そのまま室温で10時間撹拌、不溶物を
濾別後、減圧下で溶媒を約0.5mlに濃縮し乾燥n-ペンタ
ン15mlを加えた。生成した沈殿を濾別、乾燥n-ペン
タン5mlで2回洗浄後、真空乾燥し、黄白色固体の遷移金
属錯体A−3を0.531g得た。
【0064】(参考例4) (重合反応)十分乾燥した100mlオートクレーブにジク
ロロエタン20ml、遷移金属錯体A−3を44mg(Pd原子換
算で0.1mmol)入れ、−78℃に冷却後、アクリル酸メチ
ル8.69g(100mmol)を加え、エチレン0.2MPa(2atm)で
置換した。これを70℃に加温し10時間撹拌しながら重
合反応を行わせた後、重合反応系を−78℃に冷却し、メ
タノール5ml、ヘキサン20mlを加え、重合を停止させ
た。反応液から溶媒を減圧留去し、次に真空ポンプで減
圧乾燥してエチレン・アクリル酸メチル共重合体3.21 g
を得た。分析結果を表1に示す。
【0065】(実施例3) (遷移金属錯体A−4の合成)十分乾燥した100mlオー
トクレーブにクロロ(メチル)(1,5−シクロオクタ
ジエン)パラジウム(II)26mg (0.1mmol)、サリチ
リデンアミン誘導体A−1を34mg(0.12mmol)、炭酸カ
リウム55mg(0.4mmol)、アクリル酸メチル34mg(0.4mm
ol)、ジクロロエタンを20ml入れ、室温で5時間攪拌し
て、遷移金属錯体A−4の溶液を得た。
【0066】(参考例5) (重合反応)実施例3で得た遷移金属錯体A−4の溶液
を−78℃に冷却後、アクリル酸エチル10.01g(100mmo
l)を加え、エチレン0.2MPa(2atm)で置換した。これ
を70℃に加温し10時間撹拌しながら重合反応を行わせ
た後、重合反応系を−78℃に冷却し、メタノール5ml、
ヘキサン20mlを加え、重合を停止させた。反応液から溶
媒を減圧留去し、次に真空ポンプで減圧乾燥してエチレ
ン・アクリル酸メチル共重合体3.64 gを得た。分析結果
を表1に示す。
【0067】(実施例4) (サリチリデンアミン誘導体B−1の合成)100mlのナ
ス型フラスコにエタノール50ml、N,N−ジメチルエチレ
ンジアミン2.64g(30mmol)、サリチルアルデヒド3.66g
(30mmol)を採取し、室温で1時間攪拌した。反応液を
減圧濃縮後、残査をシリカゲルカラムにて精製し、下記
式11に示す構造式で表されるサリチリデンアミン誘導
体B−1を黄褐色オイルとして5.26g得た(収率90.0
%)。
【0068】
【化11】
【0069】得られたサリチリデンアミン誘導体B−1
の同定データを下記に示す。1 H−NMR(CDCl3,270MHz):δ=2.32(s,6H);δ
=2.66 (t,2H);δ=3.73 (t,2H);δ=6.87 (t,1H);
δ=6.95 (d,1H) ;δ=7.23-7.24 (m,2H) ;δ=8.37
(s,1H);δ=13.41 (s,1H)
【0070】(遷移金属錯体B−2の合成)十分乾燥し
たシュレンク反応管に水素化ナトリウム0.05g(2.1mmo
l)を採取し、乾燥テトラヒドロフラン10mlを加え、氷
冷下攪拌した。ここへサリチリデンアミン誘導体B−1
を0.390 g(2.0mmol)乾燥テトラヒドロフランに溶解し
た溶液3mlをゆっくり滴下した。滴下完了後、氷浴をは
ずしそのまま室温で2時間攪拌し、サリチリデンアミン
誘導体B−1のフェノキシド溶液を調製した。別に、十
分乾燥したシュレンク反応管にクロロ(メチル)(1,
5−シクロオクタジエン)パラジウム(II)0.531 g
(2.0mmol)を採取し、乾燥ベンゼン5mlを加え、室
温で撹拌し、先に調製したサリチリデンアミン誘導体B
−1のフェノキシド溶液を全量滴下した。そのまま室温
で10時間撹拌後、減圧下で溶媒を留去し、乾燥ジクロ
ロメタン5mlを加えた。不溶物を濾別後、減圧下で溶媒
を約0.5mlに濃縮し乾燥n-ペンタン15mlを加えた。
生成した沈殿を濾別、乾燥n-ペンタン5mlで2回洗浄後、
真空乾燥し、下記式12に示す構造式で表される遷移金
属錯体B−2を黄白色固体として0.568g得た(収率90.
3%)。
【0071】
【化12】
【0072】得られた遷移金属錯体B−2の同定データ
を下記に示す。1 H−NMR(CDCl3,270MHz):δ=0.43 (s,3H);
δ=2.76-2.78 (m,8H);δ=3.63 (m,2H);δ=6.50(t,
1H);δ=6.98(d,1H);δ=7.10 (d,1H);δ=7.21 (t,
1H) ;δ=7.99 (s,1H)
【0073】(参考例6) (重合反応)十分乾燥した100mlオートクレーブにジク
ロロエタン20ml、遷移金属錯体B−2の31mg(Pd原子換
算で0.1mmol)を入れ、−78℃に冷却後、アクリル酸メ
チル8.69g(100mmol)を加え、エチレン0.2MPa(2atm)
で置換した。これを70℃に加温し10時間撹拌しなが
ら重合反応を行わせた後、重合反応系を−78℃に冷却
し、メタノール5ml、ヘキサン20mlを加え、重合を停止
させた。反応液から溶媒を減圧留去し、次に真空ポンプ
で減圧乾燥してエチレン・アクリル酸メチル共重合体4.
02 gを得た。分析結果を表1に示す。
【0074】(参考例7) (重合反応)エチレンの仕込み圧力を0.1MPa(1atm)と
した以外は、参考例6と同様に重合反応を行い、エチレ
ン・アクリル酸メチル共重合体3.79gを得た。分析結果
を表1に示す。
【0075】(実施例5) (サリチリデンアミン誘導体C−1の合成)100mlのナ
ス型フラスコにエタノール50ml、N,N−ジエチルエチレ
ンジアミン3.49g(30mmol)、サリチルアルデヒド3.66g
(30mmol)を採取し、室温で1時間攪拌した。反応液を
減圧濃縮後、残査をシリカゲルカラムにて精製し、下記
式13に示す構造式で表されるサリチリデンアミン誘導
体C−1を黄褐色オイルとして6.24g得た(収率93.8
%)。
【0076】
【化13】
【0077】得られたサリチリデンアミン誘導体C−1
の同定データを下記に示す。1 H−NMR(CDCl3,270MHz):δ=1.03 (t,6H);
δ=2.58(q,4H);δ=2.75 (t,2H);δ=3.66 (t,2H);
δ=6.85 (t,1H);δ=6.94 (d,1H) ;δ=7.21-7.27
(m,2H) ;δ=8.32 (s,1H);δ=13.53 (bs,1H)
【0078】(遷移金属錯体C−2の合成)サリチリデ
ンアミン誘導体B−1にかえ、サリチリデンアミン誘導
体C−1を0.441g用いた以外は実施例4と同様な操作を
行い、下記式14に示す構造式で表される遷移金属錯体
C−2を黄白色固体として0.607g得た(収率89.2%)。
【0079】
【化14】
【0080】得られた遷移金属錯体C−2の同定データ
を下記に示す。1 H−NMR(CDCl3,270MHz):δ=0.37 (s,3H) ;
δ=1.43 (t,6H);δ=2.79-2.92 (m,6H);δ=3.79
(t,2H);δ=6.49(t,1H);δ=6.98(d,1H);δ=7.10
(d,1H);δ=7.20(t,1H) ;δ=8.50 (s,1H)
【0081】(参考例8) (重合反応)触媒として遷移金属錯体B−2の代わり
に、遷移金属錯体C−2を用いた以外は、参考例6と同
様に重合反応を行い、エチレン・アクリル酸メチル共重
合体4.10 gを得た。分析結果を表1に示す。
【0082】(実施例6) (サリチリデンアミン誘導体D−1の合成)100mlのナ
ス型フラスコにエタノール50ml、N,N−ジイソプロピル
エチレンジアミン4.33g(30mmol)、サリチルアルデヒ
ド3.66g(30mmol)を採取し、室温で1時間攪拌した。
反応液を減圧濃縮後、残査をシリカゲルカラムにて精製
し、下記式15に示す構造式で表されるサリチリデンア
ミン誘導体D−1を黄褐色オイルとして6.86g得た(収
率92.1%)。
【0083】
【化15】
【0084】得られたサリチリデンアミン誘導体D−1
の同定データを下記に示す。1 H−NMR(CDCl3,270MHz):δ=0.98 (s,6H) ;
δ=1.00(s,6H);δ=2.72(t,2H);δ=2.98-3.03 (m,2
H);δ=3.56 (t,2H);δ=6.84 (t,1H);δ=6.94 (d,
1H) ;δ=7.21-7.27(m,2H) ;δ=8.26 (s,1H);δ=1
3.69(bs,1H)
【0085】(遷移金属錯体D−2の合成)十分乾燥し
たシュレンク反応管にクロロ(メチル)(1,5−シク
ロオクタジエン)パラジウム(II)0.531 g(2.0mmo
l)、サリチリデンアミン誘導体D−1の0.496 g(2.0m
mol)、炭酸カリウム1.10g(8.0mmol)を採取し、乾燥
ジクロロメタン5mlを加えた。そのまま室温で10時間
撹拌、不溶物を濾別後、減圧下で溶媒を約0.5mlに濃縮
し乾燥n-ペンタン15mlを加えた。生成した沈殿を濾
別、乾燥n-ペンタン5mlで2回洗浄後、真空乾燥し、下記
式16に示す構造式で表される遷移金属錯体D−2を黄
白色固体として0.454g得た(収率61.6%)。
【0086】
【化16】
【0087】得られた遷移金属錯体D−2の同定データ
を下記に示す。1 H−NMR(CDCl3,270MHz):δ=0.41 (s,3H) ;
δ=1.41 (d,6H) ;δ=1.62 (d,6H) ;δ=2.87 (t,2
H);δ=3.46-3.51 (m,2H);δ=3.72 (t,2H);δ=6.4
8(t,1H);δ=6.95(d,1H);δ=7.05 (d,1H);δ=7.20
(t,1H) ;δ=8.02(s,1H)
【0088】(参考例9) (重合反応)触媒として遷移金属錯体B−2の代わり
に、遷移金属錯体D−2を用いた以外は、参考例6と同
様に重合反応を行い、エチレン・アクリル酸メチル共重
合体3.92 gを得た。分析結果を表1に示す。
【0089】(参考例10) (比較重合反応)触媒として遷移金属錯体A−2の代わ
りに、クロロ(メチル)(1,5-シクロオクタジエン)パ
ラジウム(II)26mg(0.1mmol)を何ら処理せずその
まま触媒として用いた以外は、参考例1と同様に重合反
応を行ったが、共重合体は殆ど得られなかった。重合体
の収量を表1に示す。
【0090】(参考例11) (比較重合反応)触媒として遷移金属錯体A−2の代わ
りに、サリチリデンアミン誘導体A−1を28mg(0.1mmo
l)何ら処理せずそのまま触媒として用いた以外は、参
考例1と同様に重合反応を行ったが、共重合体は殆ど得
られなかった。重合体の収量を表1に示す。
【0091】(参考例12) (比較重合反応)遷移金属錯体A−3の代わりに、下記
式17で表されるパラジウム錯体28mg(0.05mmol)及び下
記式18で表されるホウ素化合物44mg(0.05mmol)からな
る触媒を用い、エチレン0.12MPa(1.2atm)及びアクリ
ル酸メチル2.583g(30mmol)をモノマーとして、ジクロロ
メタンを溶媒として使用し、かつ重合温度を40℃とし
た以外は、参考例4と同様に重合反応を行ったが、得ら
れた重合体は、構成モノマーとして極性モノマー(アク
リル酸メチル)単位をわずかしか含んでいないものであ
った。分析結果を表1に示す。
【0092】
【化17】
【0093】
【化18】
【0094】(比較例1) (遷移金属錯体Eの合成)クロロ(メチル)(1,5−
シクロオクタジエン)パラジウム(II)0.531 g(2.0
mmol)に代えて、trans−ブロモ(フェニル)ビス
(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)1.576
g(2.0mmol)を用いた以外は実施例1の遷移金属錯体A
−2の合成と同様にして、黄白色固体の遷移金属錯体E
を0.498g得た。
【0095】(参考例13) (重合反応)遷移金属錯体A−2の66mg(Pd原子換算で
0.1mmol)に代えて、遷移金属錯体Eを73mg用いた以外
は参考例1と同様に重合反応を行ったが、重合体はほと
んど得られなかった。重合体の収量を表1に示す。
【0096】
【発明の効果】本発明により得られる遷移金属錯体は、
極性モノマーに由来する構成単量体単位の含有率が高い
オレフィンと極性モノマーの共重合体を効率よく製造す
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C07F 15/00 C07F 15/00 C Fターム(参考) 4H006 AA02 AB40 AC59 4H050 AA02 AB40 WA11 WA29 WB11 WB13 WB14 WB16 WB21 4J015 DA04 DA09 DA14 EA00 4J028 AA01A AB00A AC45A AC48A BA00A BA01B BB00A BB00B BC12B BC13B EB01 EB02 EB03 EB04 EB05 EB07 EB08 EB09 EB10 EB25

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2個の中性配位子をシス位置に有する周
    期表第10族の遷移金属化合物を窒素原子に置換基を有
    するサリチリデンアミン誘導体に反応させることを特徴
    とする遷移金属錯体の製造方法。
JP37269299A 1999-07-05 1999-12-28 遷移金属錯体の製造方法 Pending JP2001072654A (ja)

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