JP2003268028A - エチレン系重合体の製造方法 - Google Patents

エチレン系重合体の製造方法

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JP2003268028A
JP2003268028A JP2002078800A JP2002078800A JP2003268028A JP 2003268028 A JP2003268028 A JP 2003268028A JP 2002078800 A JP2002078800 A JP 2002078800A JP 2002078800 A JP2002078800 A JP 2002078800A JP 2003268028 A JP2003268028 A JP 2003268028A
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Masatoshi Takagi
雅敏 高木
Kei Ono
圭 小野
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】比較的高温でも失活が抑制され、原料モノマー
が極性官能基を有していても失活しないオレフィン重合
用触媒成分を用いたエチレン系重合体の製造方法を提供
する。 【解決手段】エチレン、あるいはエチレンおよび1種以
上のエチレン以外のオレフィン性モノマーを、以下の成
分a)、成分b)および成分c)の存在下、重合させる
ことを特徴とするエチレン系重合体の製造方法。 成分a)周期律表第8族、第9族、第10族の遷移金属
から選ばれる金属のイオン 成分b)分子内に酸性置換基を有する、周期律表第15
族の元素の化合物 成分c)下記一般式(1)で表される化合物 R−OH (1) (一般式(1)中、Rは水素もしくは置換基を有しても
よく、オレフィン性二重結合を有さない脂肪族炭化水素
基または芳香族炭化水素基)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定の触媒を用い
る、エチレンの単独重合反応方法あるいはエチレンと1
種以上のエチレン以外のオレフィン性モノマーとの共重
合反応方法に関する。さらに詳しくは、高温の反応条件
でも触媒系が失活しない(共)重合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】エチレン、プロピレン等のオレフィン重
合用触媒として、活性点として前周期遷移金属を有する
Zieglar-Natta触媒、メタロセン触媒が工業的に用いら
れている。これらの触媒は高い活性を示すが、反応系中
に極性官能基が存在すると失活してしまうため、極性官
能基を有する原料モノマーを使用することはできない。
【0003】一方、近年、Ni,Pdなどの後周期遷移
金属錯体が、オレフィンの重合触媒になりうることが示
されてきており、その中のいくつかの例で、極性官能基
を有するオレフィンが共重合成分として用いられてい
る。例えば、WO9623010号公報には、ジイミン
型配位子を有するカチオン性Pd及びNi錯体により、
エチレンの単独重合及びエチレン/アクリル酸メチルの
共重合が進行することが示されている。
【0004】また、WO9842664号公報およびW
O9842665号公報には、サリチルアルジミン型配
位子を有する中性Ni錯体により、エチレン/極性官能
基含有α−オレフィンまたはエチレン/極性官能基含有
ノルボルネンの共重合が進行することが示されている。
これらの反応で得られる極性官能基含有ポリマーは、そ
の含有する極性官能基の性質により、印刷性、接着性、
ガスバリア性などの機能が付与された機能性ポリマーと
して、極めて有用な新規材料である。
【0005】しかしながら、上述した新規触媒による重
合は、比較的低い温度、具体的には室温以下〜40℃程
度の範囲の報告が一般的である。この温度条件で重合反
応を行うことは、工業的製法としては極めて不利であ
り、より高温でも安定に使用できる触媒が求められてい
る。一方、WO2000−06615号公報には、パラ
ジウムまたはニッケルイオン、及びpKaが3以下の酸
性置換基と少なくとも1つの芳香族置換基を有する周期
律表第V族の元素を有する化合物からなる触媒系を用
い、エチレンと極性官能基を有する環状オレフィン、特
に官能基置換ノルボルネン類との共重合が進行する例が
報告されている。報告されている実施例中に記載されて
いる反応温度は最高で90℃であり、これは工業的に有
利に共重合体の製造が可能な温度条件であるので極めて
魅力的な触媒系である。
【0006】しかしながら、本発明者らが上記発明の触
媒系を用い、種々の反応条件で、エチレン/置換及び無
置換ノルボルネンの共重合を行ったところ、確かに共重
合は進行するものの経時的な失活が見られ、触媒由来の
黒色の金属が生成することがわかった。特にこの現象は
環状オレフィン化合物の濃度が低い場合に顕著であり、
このことは、特に比較的少量の置換/無置換ノルボルネ
ンを含有する共重合体の製造に支障をきたすものであ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、比較的高温で
も失活が抑制され、原料モノマーが極性官能基を有して
いても失活しないオレフィン重合用触媒成分を用いたエ
チレン系重合体の製造方法を提供することが望まれてい
た。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者が鋭意
検討を重ねた結果、エチレンの単独重合反応あるいはエ
チレンと1種以上のエチレン以外のオレフィン性モノマ
ーとの共重合反応を行う際に、反応系にエタノールを存
在させることにより、特に高温反応条件下での触媒の失
活が押さえられ、良好な収率で目的とするエチレン系重
合体が得られることを見いだし、本発明を完成した。
【0009】すなわち、本発明の要旨は、(i)エチレ
ンあるいは(ii)エチレンおよび1種以上のエチレン以
外のオレフィン性モノマーを、以下の成分a)、成分
b)および成分c)の存在下重合させることを特徴とす
るエチレン系重合体の製造方法に存する。 成分a)周期律表第8族、第9族、第10族の遷移金属
から選ばれる金属のイオン 成分b)分子内に酸性置換基を有する、周期律表第15
族の元素の化合物 成分c)下記一般式(1)で表される化合物 R−OH (1) (一般式(1)中、Rは水素もしくは置換基を有しても
よく、オレフィン性二重結合を有さない脂肪族炭化水素
基または芳香族炭化水素基)
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明においては、反応原料であるエチレンあるいはエ
チレンおよび1種以上のエチレン以外のオレフィン性モ
ノマーを、以下の成分a)、成分b)および成分c)の
存在下で重合させて、エチレン系重合体を製造する。 成分a)周期律表第8族、第9族、第10族の遷移金属
から選ばれる金属のイオン 成分b)分子内に酸性置換基を有する、周期律表第15
族の元素の化合物 成分c)下記一般式(1)で表される化合物 R−OH …(1) (一般式(1)中、Rは水素もしくは置換基を有しても
よく、オレフィン性二重結合を有さない脂肪族炭化水素
基または芳香族炭化水素基)反応原料 本発明では反応原料としてエチレンあるいはエチレンお
よび1種以上のエチレン以外のオレフィン性モノマーを
用いる。 反応原料が、エチレン及び1種以上のエチレ
ン以外のオレフィン性モノマーであると、生成物は共重
合体となる。この際、2種類以上の反応原料の比率を変
えることにより、エチレン単独重合体では発現できない
性質の材料を製造することが可能なため、好ましい。
エチレン以外のオレフィン性モノマーとしては、プロピ
レン、1−ブテン、1−ヘキセンなどのα−オレフィン
類、ノルボルネン、シクロペンテン等の環状オレフィン
類、スチレン、ビニルナフタレン等のスチレン類、など
があげられる。これらのオレフィン類の中でも環状オレ
フィンモノマーはその骨格構造のため反応性が高く、好
ましい。なかでも、反応性の高さからノルボルネン類ま
たはスチレン類がより好ましく、ノルボルネン類が更に
好ましい。
【0011】エチレン以外のオレフィン性モノマーは置
換基を有していても、置換基を有していなくてもよく、
置換基を有する場合、置換基は極性でも非極性でもよ
い。しかし、本発明のエチレン系重合体の製造方法は、
従来、極性官能基を有するモノマーを比較的高温で重合
するのが困難だったのに対して、60℃以上もの高温に
おいても良好な重合反応を行える点で有利であって、エ
チレン以外のオレフィン性モノマーが極性の置換基を有
する場合に適している。極性の置換基の例としては、ヒ
ドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、エーテル基、
及びこれらを有する置換基などがあげられる。
【0012】反応原料の混合割合 共重合体の製造において用いられるエチレンとエチレン
以外のオレフィン性モノマーの比率は、目的とする共重
合体の物理特性によって所望の比率に設定することがで
き、特に限定されないが、比率が偏ると、モノマーの性
質が発揮されないので、エチレンに対するエチレン以外
のオレフィン性モノマーの比率が通常0.001以上、
好ましくは0.01以上、通常100以下、好ましくは
10以下である。すなわち、エチレンのみを用いて単独
重合体を製造する方法、またはエチレンと1種類以上の
エチレン以外のオレフィン性モノマーを用いて共重合体
を得る方法のいずれでもよいが、生成する重合体の性質
から、共重合体を得る方法に適用するのが工業的にはよ
り有意義である。触媒成分 本発明では、反応系に以下の成分a)、成分b)および
成分c)を存在させる。
【0013】成分a) 成分a)は周期律表第8族、第9族、第10族の遷移金
属から選ばれる金属のイオンである。第8族の遷移金属
としては鉄、ルテニウムが好ましく、鉄がより好まし
い。第9族の遷移金属としてはコバルト、ロジウムが好
ましく、コバルトがより好ましい。第10族の遷移金属
としてはニッケル、パラジウムが好ましい。これらの金
属の中でも、反応系中に極性官能基が共存していても失
活しづらいことから、第10族の遷移金属が好ましく、
パラジウム、ニッケルがより好ましく、パラジウムが最
も好ましい。
【0014】成分a)は、反応活性点となる金属原子を
提供するものであって、下記の成分b)と反応すること
で安定な錯体を形成し、重合触媒となる。これらの金属
は反応系中ではイオンとして存在する。これらの金属イ
オンは通常2価であり、金属の有機または無機の塩、あ
るいは錯体の形で反応系に供給される。特にパラジウム
の塩が好ましく、具体的には、酢酸パラジウム、パラジ
ウムアセチルアセトナート、塩化パラジウム、臭化パラ
ジウム、(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム
(メチル)クロリド、塩化ニッケル、臭化ニッケル、お
よびニッケルアセチルアセトナートなどがあげられる。
【0015】成分b) 成分b)は分子内に酸性置換基を有する、周期律表第1
5族の元素の化合物である。上記成分a)に対する配位
子して、成分a)と反応して安定でかつ重合活性を有す
る錯体を形成するものである。成分b)として用いられ
る配位子は、分子内に酸性置換基と周期律表第5族の元
素を有する化合物であり、通常、以下の一般式(2)で
表される。
【0016】 (R1)(R2)Q−(R3)−XH …(2) ここでQは周期律表第15族の元素であり、窒素原子、
リン原子が好ましく、リン原子がより好ましい。R1
よびR2はQに対して酸素原子、窒素原子,または炭素
原子で結合する置換基である。これらのうち、炭素原子
で結合した置換基が好ましく、特に炭素数6〜18の芳
香族基が好ましい。具体的には、フェニル基、ナフチル
基、フェナントリル基、アントラニル基があげられる
が、フェニル基またはナフチル基が特に好ましい。
【0017】またこれらの芳香族基は置換基を有してい
てもよい。置換基としては、第15族元素から見てオル
ト位に−OMe,−OEt、−OPr、−OBu,−O
PhなどのC1〜C10のエーテル型酸素置換基を有し
ているものが、生成する重合体の分子量向上が期待でき
るため、より好ましい。XHは酸性を示す官能基であ
り、具体的には−SO3H基、−CO2H基、−P(=
O)(OH)2基、−P(=O)(Ph)OH基などが
あげられる。特にこの中で、強い酸性を示す置換基、具
体的にはpKaがおよそ3以下の置換基がより好まし
い。最も好ましいのは−SO3H基である。
【0018】R3は置換基(R1)(R2)Q−と置換基
−XHを互いに結合させる連結基であり、炭素数6から
18の芳香族環であるものが好ましい。この芳香環上に
は連結基としての作用に悪影響を及ぼさない限り、任意
の置換基を有していても良い。またこの化合物が
(R1)(R2)Q−と−XHの2つの官能基で1つの金
属に配位できる形に(R1)(R2)Q−と−XHが位置
したもの、例えばR3がベンゼン環であり、Qから見て
オルト位にXHが位置するものがより好ましい。
【0019】(R1)(R2)Q−R−XHで表される化
合物の特に好ましい例としては以下の化合物があげられ
る。 (Ph)2P−(O−C64)−SO3H …(3) (Ph)2P−(O−C64)−CO3H …(4) (Ph)2P−(O−C64)−P(=O)(OH)2 …(5) (O−OMe−C642P−(O−C64)−SO3H …(6) (O−OMe−C642P−(O−C64)−CO3H …(7) (O−OMe−C642P−(O−C64)−P(=O)(OH)2 …( 8) (O−NMe2−C642P−(O−C64)−SO3H …(9) (O−NMe2−C642P−(O−C64)−CO3H …(10) (O−NMe2−C642P−(O−C64)−P(=O)(OH)2 … (11) (α−Naphthyl)2P−(O−C64)−SO3H …(12) (α−Naphthyl)2P−(O−C64)−CO3H …(13) (α−Naphthyl)2P−(O−C64)−P(=O)(OH)2 … (14) (O−Me−Ph)2P−(O−C64)−SO3H …(15) (O−Me−Ph)2P−(O−C64)−CO3H …(16) (O−Me−Ph)2P−(O−C64)−P(=O)(OH)2 …(17 ) (Ph)2N−(O−C64)−SO3H …(18) (Ph)2N−(O−C64)−CO3H …(19) (Ph)2N−(O−C64)−P(=O)(OH)2 …(20) (O−OMe−C642N−(O−C64)−SO3H …(21) (O−OMe−C642N−(O−C64)−CO3H …(22) (O−OMe−C642N−(O−C64)−P(=O)(OH)2 …( 23) (O−NMe2−C642N−(O−C64)−SO3H …(24) (O−NMe2−C642N−(O−C64)−CO3H …(25) (O−NMe2−C642N−(O−C64)−P(=O)(OH)2 … (26) (α−Naphthyl)2N−(O−C64)−SO3H …(27) (α−Naphthyl)2N−(O−C64)−CO3H …(28) (α−Naphthyl)2N−(O−C64)−P(=O)(OH)2 … (29) (O−Me−Ph)2N−(O−C64)−SO3H …(30) (O−Me−Ph)2N−(O−C64)−CO3H …(31) (O−Me−Ph)2N−(O−C64)−P(=O)(OH)2 …(32 )成分c) 成分c)は下記一般式(1)で表される化合物である。
【0020】R−OH …(1) 一般式(1)中、Rは水素、もしくは、置換基を有して
もよく、オレフィン性二重結合を有さない脂肪族炭化水
素基または芳香族炭化水素基である。上記成分a)と成
分b)からなる触媒系でも重合反応は進行するが、特に
工業的に有利な、60℃以上、さらには70℃以上の比
較的高温の反応条件で反応を行うと、触媒の失活が観測
される。この触媒系に成分c)を加えることにより、高
温条件での触媒の失活が抑制できる。
【0021】成分c)は少なすぎると効果が明確に発現
しないため、用いる成分c)の種類にもよるが、通常重
合時の溶媒の0.1重量%以上加えることが好ましい。
ただし、多すぎると重合自体が進行しなくなるため好ま
しくなく、通常溶媒の20重量%以下の量で用いられ
る。RがHである場合、成分c)は水である。
【0022】Rが脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水
素基の場合に、オレフィンを有しないものに限定され
る。その理由は、オレフィン結合を有するアルコール基
質は一般に高価で工業的に入手が難しい上、望まない形
での重合反応による重合体への取り込みが起こってしま
うためである。脂肪族炭化水素基の炭素数は通常1〜8
である。具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、
ブチル基、オクチル基、及びその異性体があげられる。
中でも、直鎖状かつ1級のアルコールが最も好ましい。
【0023】芳香族炭化水素基の炭素数は通常6〜20
である。具体的にはフェニル基、ナフチル基、アントラ
ニル基等が挙げられ、工業的に入手容易であるため、フ
ェニル基が好ましい。これら炭化水素基が置換基を有す
る場合、置換基の種類、位置および数は特に限定されな
いが、反応系で安定なものであって、触媒に対して悪影
響を及ぼさない置換基である必要がある。
【0024】また、置換基を含めた炭化水素基全体の分
子量が300以下、更には200以下であると、最終的
に得られたポリマーからR−OHを除きやすいので好まし
い。成分c)が存在すると触媒の失活を抑制できる理由
としては、成分a)に由来する金属中心の空配位座に、酸
素原子によって成分c)が配位することによって、触媒
活性種を安定化させるためと考えられる。
【0025】一般に後周期遷移金属は、酸素原子や窒素
原子等の極性原子との結合が十分強くないので、Ziegla
r-Natta触媒やMetallocene触媒といった前周期遷移金属
を活性中心とする重合触媒と比較して、これらの元素に
よる触媒種の失活が比較的軽微である。従って成分c)
は、成分a)由来の金属中心に対してはオレフィンと比
較して弱い配位力で配位するため、オレフィンの重合反
応を妨げず、不安定種は安定化する程度に配位座を占め
る。しかしながら、成分c)の濃度が高すぎると、比較
的弱い配位力の成分c)であってもオレフィンの金属中
心への配位を抑制するので、重合速度が低下してしまう
と考えられる。
【0026】反応溶媒 本発明で用いられる反応溶媒は、通常、炭化水素溶媒ま
たはハロゲン化炭化水素溶媒である。具体的には溶媒と
して工業的に容易に使用できる炭化水素化合物で、ヘキ
サン、ヘプタン等の飽和炭化水素、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン等の芳香族炭化水素などがあげられる。
【0027】重合反応方法 本発明の(共)重合反応方法は特に限定されず、反応原
料、成分a)、成分b)および成分c)を一定の温度以
上に保つと(共)重合反応が開始される。通常、以下
(A)〜(C)を任意の順序で混合し、任意の段階で温
度設定を行い、反応を開始する。 (A)成分a)と成分b)を適当な溶媒中で予備攪拌し
たもの (B)反応溶媒と成分c)を混合したもの (C)反応原料 以下、(A)〜(C)について説明する。(A)成分a)と成分b)を適当な溶媒中で予備攪拌し
たもの 成分a)と成分b)を、適当な溶媒中で攪拌する。攪拌
の際の温度は室温付近〜50℃、時間は0.2〜10時
間である。
【0028】溶媒としては成分a)、成分b)を溶解す
る溶媒、例えば塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン
などのハロゲン化炭化水素類などが好ましく用いられ
る。またこの際、反応原料であるオレフィン化合物を存
在させると、安定な触媒溶液が得られるためより好まし
い。成分a)と成分b)の比率は、通常モル比で1:1
0〜1:1、好ましくは1:5〜1:1の範囲である。
成分b)が少ないと、成分a)の金属の安定化効果が不
十分な傾向にあり、一方、成分b)が多すぎると、成分
a)の金属中心の反応点を配位子が塞いでしまうため、
活性が低くなる傾向にある。
【0029】また成分a)の濃度は、およそ0.1〜1
00mMの範囲である。この予備混合の際、更に有機又
は無機の化合物を添加してもよい。例えば、オレフィン
類や単座配位子などの、金属中心に配位して活性種を安
定化する化合物や、酸、塩基類等があげられる。オレフ
ィンを用いる場合にはそれ自体が反応するので、反応原
料として用いるオレフィン類の1つを用いることが好ま
しい。(B)反応溶媒と成分c)を混合したもの 成分c)を反応溶媒に対する体積比で0.01〜10
%、好ましくは0.1〜5%で混合する。混合のしかた
は特に限定されず、反応溶媒と成分c)とが十分に混合
されればよい。また(A)と(B)とを混合した際に成
分c)の量が成分a)に対して少なすぎると、高温での
十分な触媒安定化効果が得られず、多すぎると、重合活
性の低下が顕著になる傾向が見られる。用いる触媒の濃
度にもよるが、通常、成分a)に対するモル比で通常1
0倍以上、好ましくは50倍以上、より好ましくは10
0倍以上、通常10000倍以下、好ましくは8000
倍以下、より好ましくは5000倍以下となるように、
成分c)および成分a)の量を調節する。成分c)は成
分a)に対して過剰量用いることが好ましいが、これは
成分a)の活性点に対する配位平衡により作用するため
と考える。
【0030】(C)反応原料 反応原料はエチレンまたは、エチレンおよび1種以上の
エチレン以外のオレフィン性モノマーである。
【0031】エチレンとエチレン以外のオレフィンモノ
マーとの比率は、目的とする共重合体の性質にもよる
が、通常0:1〜1:2の範囲である。0:1は反応原
料がエチレンであることを表す。
【0032】反応条件 (A)〜(C)を任意の順序で混合し、任意の段階で温
度設定を行う。本発明の反応方法の一例としては、反応
器に(B)を入れた後(A)を加えて、昇温した後、
(C)を加えて反応させる。なお、原料の一部は、
(C)として用いずに、あらかじめ(A)または(B)
に加えておくこともできる。また、混合する際の供給形
態はガスとして供給してもよいし、溶媒に溶かして供給
してもよく、また溶媒を用いずに液体または固体状で加
えてもよい。
【0033】本反応は、バッチ反応、連続反応のいずれ
でも行うことができる。各成分の混合比率は任意である
が、通常、(A)は(B)の0.01体積%〜5体積%
である。また、成分(C)は、成分(A)中の遷移金属
原子の通常10倍以上、好ましくは100倍以上であ
る。反応原料であるエチレンである場合には、通常エチ
レンはガス状で供給され、反応圧が一定になるように連
続的に供給される。この際反応圧は、常圧〜50気圧に
制御される。反応温度は通常0℃〜120℃、好ましく
は室温〜100℃である。特に、工業プロセスとして有
利な条件である50℃〜100℃で反応を行うのが最も
好ましい。反応温度が低いと反応速度が不十分であり、
また反応温度が高すぎると、本発明の触媒系でも、触媒
の失活が顕著になる傾向にある。反応時間(連続反応の
場合の平均滞留時間)は通常5分〜5時間である。
【0034】重合体の回収法 反応後、重合体は、用いた溶媒中のスラリーまたは溶液
として回収される。重合体を単離する必要がある場合に
は、溶媒を除去すれば重合体を得ることができる。触媒
成分や残存オレフィン原料を除去する必要がある場合に
は、更にこの重合体を、ジクロロメタン、メタノールな
どの、生成重合体を溶解しない溶媒に分散させた後に濾
過、更に同一溶媒で洗浄することにより重合体を得る。
分離された触媒成分や残存オレフィン原料は再度重合反
応に使用することができる。
【0035】得られる重合体 生成する重合体の性質は、単独重合体か共重合体かで異
なり、また用いるオレフィン性化合物の種類や重合条件
などにより異なるので一概に規定することはできない
が、通常、融点がおよそ140℃以下、Mwが1000
〜1000000の範囲の重合体を得ることができる。
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発
明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限
定されない。
【0036】
【実施例】実施例1 酢酸パラジウム(2.2mg)、o−{ビス(o−メト
キシフェニル)ホスフィノ}ベンゼンスルホン酸(8.
0mg)、ノルボルネン(200mg)を10mLフラ
スコに取り、系内を窒素置換した後に1,2−ジクロロ
エタン(1.8mL)を加え、室温で1時間攪拌した。
こうして得られた触媒溶液を0.2mL採取し、エタノ
ールを1.2体積%含むトルエン1.2mLとともに、
内容積10mLのオートクレーブに導入した。オートク
レーブを80℃に加熱したあと8Barのエチレンを導
入し、反応温度80℃を保ったまま1時間加熱攪拌し
た。
【0037】この間、反応器の内圧が8Barに保たれ
るように、エチレンを連続的に供給した。反応生成物か
ら溶媒を除去し、真空乾燥機で乾燥することにより、淡
黄色のエチレン/ノルボルネン共重合体135.5mg
を得た。 実施例2 反応温度を90℃とした以外は、実施例1と同様に行っ
た。エチレン/ノルボルネン共重合体が137.1mg
得られた。若干のPd金属析出が見られた。 実施例3 トルエンに適当量水を加え室温にて数分攪拌し、トルエ
ン層を抜き出した。この水含有トルエンを、実施例1の
エタノールを1.2体積%含むトルエンの代わりに用い
た以外は実施例1と同様に反応を行った。エチレン/ノ
ルボルネン共重合体が125.0mg得られた。重合体
の色は淡黄色であった。 実施例4 2,4,6−トリメチルフェノールを0.8重量%含む
トルエンを、1.2体積%含むトルエンの代わりに用い
た以外は実施例1と同様に反応を行った。エチレン/ノ
ルボルネン共重合体が112.6mg得られた。重合体
の色は淡黄色であった。 比較例1 溶媒に成分c)を含有しないトルエンを用いる以外は、
実施例1と同様に反応を行った。エチレン/ノルボルネ
ン共重合体が100.6mg得られたが、Pd金属の析
出が観測された。 比較例2〜4 本発明で規定した成分c)であるR−OHに該当しない
が、酸素原子を含み、一般には配位性化合物として用い
られている各種化合物を、成分c)に代えた以外は同様
に行なった。
【0038】即ち、実施例1において、エタノールを
1.2体積%含有するトルエンの代わりに、種々の配位
性化合物を1.2体積%含有するトルエンを用いた以外
は、実施例1と同様に反応を行った。生成した重合体の
重量、生成したポリマー(エチレン/ノルボルネン共重
合体)収量およびその外観を以下に示す。 配位性化合物 ポリマー収量(mg) 外観 比較例2 アセトン 83.6mg 黒色 比較例3 酢酸エチル 98.1mg 黒色 比較例4 テトラヒドロフラン 108.3mg 黒色 比較例5 反応温度を90℃とした以外は比較例1と同様に行っ
た。エチレン/ノルボルネン共重合体が54.6mg得
られたが、比較例1と比べてさらに顕著なPd金属の析
出が観測された。
【0039】
【発明の効果】本発明によると、エチレン系重合体を製
造する際に、触媒成分である金属を析出させず、比較的
高温での反応によっても失活が比較的少ない触媒系を提
供できる。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (i)エチレン、あるいは(ii)エチレ
    ンおよび1種以上のエチレン以外のオレフィン性モノマ
    ーを、以下の成分a)、成分b)および成分c)の存在
    下、重合させることを特徴とするエチレン系重合体の製
    造方法。 成分a)周期律表第8族、第9族、第10族の遷移金属
    から選ばれる金属のイオン 成分b)分子内に酸性置換基を有する、周期律表第15
    族の元素の化合物 成分c)下記一般式(1)で表される化合物 R−OH (1) (一般式(1)中、Rは水素、もしくは、置換基を有し
    てもよく、オレフィン性二重結合を有さない脂肪族炭化
    水素基または芳香族炭化水素基)
  2. 【請求項2】 反応原料が、エチレン及びエチレン以外
    の1種以上のオレフィンモノマーである、請求項1に記
    載のエチレン系重合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 1種以上のエチレン以外のオレフィン性
    モノマーが、置換及び無置換の環状オレフィンモノマー
    である、請求項2に記載のエチレン系重合体の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 1種以上のエチレン以外のオレフィン性
    モノマーが、極性置換基を有するオレフィンモノマーで
    ある、請求項2または3に記載のエチレン系重合体の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 成分a)が第10族遷移金属イオンであ
    る、請求項1に記載のエチレン系重合体の製造方法。
  6. 【請求項6】 成分a)がパラジウムイオンである、請
    求項5に記載のエチレン系重合体の製造方法。
  7. 【請求項7】 成分b)の酸性置換基のpKaが3以下
    である請求項1に記載のエチレン系重合体の製造方法
  8. 【請求項8】 成分b)の周期律表第15族の元素がリ
    ンである、請求項1に記載のエチレン系重合体の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 成分c)が炭素数1〜8の飽和脂肪族ア
    ルコール類である、請求項1に記載のエチレン系重合体
    の製造方法。
  10. 【請求項10】 成分c)の量が、成分a)に対して、
    モル比で10〜10000の範囲である、請求項1に記
    載のエチレン系重合体の製造方法。
  11. 【請求項11】 重合を60℃以上で行うことを特徴と
    する請求項1〜10のいずれか1項に記載のエチレン系
    重合体の製造方法。
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