JP4513569B2 - 遷移金属化合物、共役ジエン重合用触媒、共役ジエン重合体の製造方法、ならびにポリイソプレンとその環化物およびそれらの製造方法 - Google Patents

遷移金属化合物、共役ジエン重合用触媒、共役ジエン重合体の製造方法、ならびにポリイソプレンとその環化物およびそれらの製造方法 Download PDF

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    • C08F36/04Homopolymers and copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, at least one having two or more carbon-to-carbon double bonds the radical having only two carbon-to-carbon double bonds conjugated

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、周期表第8族の遷移金属原子に複素環式化合物が配位してなる新規な遷移金属化合物、この遷移金属化合物を含有してなる共役ジエン重合用触媒、およびこの重合用触媒を用いる共役ジエン重合体の製造方法に関する。
さらに本発明は、特定の遷移金属化合物を触媒として用いて得られる新規なポリイソプレン、このポリイソプレンを環化させてなる新規なポリイソプレン環化物、およびそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
共役ジエンを重合するための触媒としては、チタン、バナジウム、コバルト、ニッケルなどの遷移金属化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒や、有機リチウム触媒が知られており、これらの触媒を用いてポリブタジエンやポリイソプレンが工業的に生産されている。また、ポリイソプレンを酸触媒などを用いて環化した環化物についても、塗料や接着剤としての用途が注目されている。
しかし最近は共役ジエン重合体やその環化物に求められる物性が多様化しており、それに伴い分子量分布、立体構造、共重合性などをより緻密に制御できる重合触媒が求められている。
【0003】
近年、種々のキレート配位子を有する遷移金属錯体化合物をオレフィンや共役ジエンの重合触媒として使用する研究が行われている。この種の錯体は、比較的安価で入手が容易な鉄やコバルトを中心金属として、高活性、立体選択性などの特徴を有する触媒が得られることから、その注目度が高まっている。
【0004】
例えば、ビスイミノピリジンを配位子として有する鉄またはコバルトの錯体とメチルアルミノキサンとからなる触媒が、エチレンを高活性で重合できることが報告されている(特表2000−516295号公報参照)。しかしこの触媒は、共役ジエンに対しては重合活性が極めて低いという問題点があった。
【0005】
また、ターピリジンを配位子として有する鉄錯体とメチルアルミノキサンとからなる触媒を用いてイソプレンを重合すると、高分子量のポリイソプレンが得られることも報告されている(高分子学会予稿集 2001年、50巻、1236頁参照)。しかしながらこの触媒を用いてブタジエンを重合した場合は、数千程度の低分子量のポリブタジエンしか得られないという問題点があった。
【0006】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
かかる状況のもと、本発明の目的は、ブタジエンやイソプレンなど多種の共役ジエンを高活性で重合できる触媒として有用であり、かつ安価で簡便に合成できる新規な遷移金属化合物、該化合物を含有してなる共役ジエン重合用触媒、およびこの触媒を用いる共役ジエン重合体の製造方法を提供することにある。さらには、特定の遷移金属化合物を触媒として用いることにより、新規の特異な構造を有するポリイソプレンおよびその環化物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、置換イミノピリジン類を配位させた鉄錯体を触媒として用いると、ブタジエン、イソプレンをはじめとする共役ジエンを極めて高活性で重合できることを見出し、この知見に基づき本発明を完成するに至った。
【0008】
かくして本発明によれば、一般式(1)
【0009】
【化1】
Figure 0004513569
【0010】
(式中、A〜Aは各々独立して炭素原子または窒素原子を表し、i、j、kおよびlは、それぞれA、A、AおよびAが炭素原子のときは1であり、窒素原子のときは0である。R〜Rはそれぞれ独立に(a)水素原子もしくはハロゲン原子、(b)酸素原子、窒素原子、ホウ素原子、硫黄原子、リン原子、けい素原子、ゲルマニウム原子もしくはスズ原子を含有する官能基、または(c)ハロゲン原子もしくは前記官能基で置換されていてもよい炭化水素基を表す。また、RとR、RとRまたはRとRは、互いに結合して環を形成していてもよい。)で表される複素環式化合物が周期表第8族遷移金属に配位してなる遷移金属化合物(A)が提供される。
【0011】
また本発明によれば、上記遷移金属化合物(A)を含有してなる共役ジエン重合用触媒が提供される。
本発明の遷移金属化合物(A)は、ブタジエンやイソプレンなどの共役ジエンの重合に対して優れた触媒活性を示す。共役ジエン重合用触媒としてこの遷移金属化合物(A)を用いれば、種々の立体構造を有する単独重合体および共重合体を得ることができる。
【0012】
上記共役ジエン重合用触媒においては、有機金属還元剤(B−1)、および前記遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B−2)から選ばれる少なくとも一種を、さらに含有することが好ましい。これらの化合物を含有することにより重合活性をさらに高めることができる。
【0013】
また、上記共役ジエン重合用触媒においては、上記遷移金属化合物(A)が、上記一般式(1)におけるRがハロゲン原子で置換されたアリール基である複素環式化合物が周期表第8族遷移金属に配位してなるものであることが好ましい。ここで、ハロゲン原子はフッ素原子であることが好ましい。共役ジエン重合用触媒として上記構造の遷移金属化合物(A)を用いることにより、後述のような新規の特異な構造を有するポリイソプレンおよびその環化物を得ることができる。
【0014】
本発明によれば、上記共役ジエン重合用触媒の存在下に、共役ジエンを重合することを特徴とする共役ジエン重合体の製造方法が提供される。この方法によれば、多種の構造の共役ジエン重合体を得ることができる。
【0015】
また本発明によれば、上記一般式(1)におけるRがハロゲン原子、好ましくはフッ素原子で置換されたアリール基である複素環式化合物が周期表第8族遷移金属に配位してなる遷移金属化合物(A)を含有してなる共役ジエン重合用触媒の存在下に、イソプレンを重合することを特徴とするポリイソプレンの製造方法が提供される。この方法によれば、後述のような新規の特異な構造を有するポリイソプレンおよびその環化物を得ることができる。
【0016】
本発明によれば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した重量平均分子量がポリスチレン換算で5,000〜2,000,000であるポリイソプレンであって、上記ポリイソプレン中に、シス1,4−結合で構成されており、当該シス1,4−結合の4位の炭素原子が3,4−結合で構成される単量体単位と結合している単量体単位(α)を、全単量体単位中25%以上含有するポリイソプレンが提供される。
【0017】
さらに本発明によれば、上記ポリイソプレンを酸触媒の存在下に環化させることを特徴とするポリイソプレン環化物の製造方法が提供される。
【0018】
また本発明によれば、重クロロホルムを溶媒として測定した13C−NMRスペクトルにおいて、58−61ppmにメチン炭素に由来するピークを有するポリイソプレン環化物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、1)遷移金属化合物、2)共役ジエン重合用触媒、3)共役ジエン重合体の製造方法、4)ポリイソプレンの製造方法、5)ポリイソプレン、6)ポリイソプレン環化物の製造方法、および7)ポリイソプレン環化物の項目に分けて詳細に説明する。
【0020】
1)遷移金属化合物
本発明の遷移金属化合物(A)は、周期表第8族の遷移金属原子に、一般式(1)で表される複素環式化合物(以下、置換イミノピリジン類ということがある。)が配位してなる。
【0021】
【化2】
Figure 0004513569
【0022】
式(1)中、A〜Aは各々独立して炭素原子または窒素原子を表し、i、j、kおよびlは、それぞれA、A、AおよびAが炭素原子のときは1であり、窒素原子のときは0である。また、R〜Rはそれぞれ独立に(a)水素原子もしくはハロゲン原子、(b)酸素原子、窒素原子、ホウ素原子、硫黄原子、リン原子、けい素原子、ゲルマニウム原子もしくはスズ原子を含有する官能基、または(c)ハロゲン原子もしくは前記官能基で置換されていてもよい炭化水素基を表す。
【0023】
前記ハロゲン原子としては、例えば、F、Cl、Br、I原子等が挙げられる。酸素原子、窒素原子、ホウ素原子、硫黄原子、リン原子、けい素原子、ゲルマニウム原子またはスズ原子を含有する官能基の具体例としては、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、ニトロ基、ニトロソ基、アミド基、アミノ基、シアノ基、ピリジル基やピリミジル基などの含窒素複素環基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホニル基、ホスフィノ基、シリル基およびシリル基のけい素原子をゲルマニウム原子またはスズ原子に置換した基などが挙げられる。
【0024】
炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基等の炭素数1〜20のアルキル基;シクロペンチル基、シクロへキシル基、アダマンチル基等の炭素数3〜20のシクロアルキル基;ベンジル基、1−フェニルエチル基、1−(α−ナフチル)エチル基、1−(β−ナフチル)エチル基等の炭素数7〜20のアラルキル基;ビニル基、プロペニル基、アリル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の炭素数2〜20のアルケニル基;エチニル基、プロピニル基等の炭素数2〜20のアルキニル基;フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−tert−ブチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,6−ジエチルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基、メシチル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等の炭素数6〜20のアリール基;などが挙げられる。これらの炭化水素基は、その水素原子の一部または全部が、前記のハロゲン原子または官能基で置換されていてもよい。
【0025】
上記の中でも、安定な遷移金属錯体を形成するとの観点から、Rとしては炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または含窒素複素環式化合物基が好ましく、フェニル基、2−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,6−ジエチルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基、メシチル基、ナフチル基などのアリ−ル基;2−アミノフェニル基、4−アミノフェニル基、2−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、2−ニトロフェニル基、4−ニトロフェニル基、2−アセトキシフェニル基、4−アセトキシフェニル基などの官能基で置換されたアリ−ル基;2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、2,3,4−トリフルオロフェニル基、2,3,6−トリフルオロフェニル基、2,4,5−トリフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基などのハロゲン原子で置換されたアリール基;がより好ましく、ハロゲン原子で置換されたアリール基がさらに好ましい。ハロゲン原子で置換されたアリール基としては、フッ素原子で置換されたアリール基が特に好ましい。
【0026】
また、Rとしては、上記炭化水素基の中でも、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロへキシル基、1−フェニルエチル基、1−ナフチルエチル基、1―tert−ブチルエチル基、tert−ブチル基などの、官能基を有しないアルキル基;ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−クロロエチル基、3−フルオロプロピル基、2−アミノエチル基、3−アミノプロピル基、2−アセチルエチルアミノエチル基、エトキシエチル基、エトキシアセチル基、メトキシカルボニルエチル基、エトキシカルボニルエチル基などの、官能基を有するアルキル基;
【0027】
フェニル基、2−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,6−ジエチルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基、メシチル基、ナフチル基などの、官能基を有しないアリ−ル基;2−アミノフェニル基、4−アミノフェニル基、2−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、2−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2−ニトロフェニル基、4−ニトロフェニル基、2−アセトキシフェニル基、4−アセトキシフェニル基などの、官能基を持つアリ−ル基を挙げることができる。
【0028】
一般式(1)で表される置換イミノピリジン類の好ましい具体例としては、2−(1−フェニルイミノエチル)ピリジン、2−[1−(2−メチルフェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(3−メチルフェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(4−メチルフェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(2−フェニルメチルフェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(2,6−ジメチルフェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(2,6−ジイソプロピルフェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(2−tert−ブチルフェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−(1−メシチルイミノエチル)ピリジン、2−(1−フェニルイミノエチル)−4−メチルピリジン、2−[1−(1−ナフチルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(2−ナフチルイミノ)エチル]ピリジンなどのアリール基を有するイミノピリジン;
2−[1−(2−フルオロフェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(3−フルオロフェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(4−フルオロフェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(2,3−ジフルオロフェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(2,4−ジフルオロフェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(2,5−ジフルオロフェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(2,6−ジフルオロフェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(3,4−ジフルオロフェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(3,5−ジフルオロフェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(2,3,4−トリフルオロフェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(2,3,6−トリフルオロフェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(2,4,5−トリフルオロフェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(2,4,6−トリフルオロフェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−(1−ペンタフルオロフェニルイミノエチル)ピリジン、2−[1−(2−クロロフェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(3−クロロフェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(4−クロロフェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(2,6−ジクロロフェニルイミノ)エチル]ピリジンなどのハロゲン原子で置換されたアリール基を有するイミノピリジン;
【0029】
2−[1−(2−シアノフェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(3−シアノフェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(4−シアノフェニルイミノ)エチル]ピリジンなどのシアノ基で置換されたアリール基を有するイミノピリジン;2−[1−(2−メトキシフェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(3−メトキシフェニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(4−メトキシフェニルイミノ)エチル]ピリジンなどのアルコキシ基で置換されたアリール基を有するイミノピリジン;
【0030】
2−[1−(2−ピリジルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(3−ピリジルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(4−ピリジルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(8−キノリニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(8−イソキノリニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(4−ピリミジニルイミノ)エチル]ピリジン、2−[1−(2−ピリミジニルイミノ)エチル]ピリジン、2−(1−トリアジニルイミノエチル)ピリジンなどの含窒素複素環式化合物基を有するイミノピリジン;2−(1−メチルイミノエチル)ピリジン、2−(1−イソプロピルイミノエチル)ピリジン、2−(1−tert−ブチルイミノエチル)ピリジン、2−(1−シクロへキシルイミノエチル)ピリジン、2−(1−アダマンチルイミノエチル)ピリジンなどの前記Rがアルキル基であるイミノピリジン;
【0031】
上記置換イミノピリジンのピリジンがピラジンに置き換わった置換イミノピラジン;上記置換イミノピリジンのピリジンがピリダジンに置き換わった置換イミノピリダジン;上記置換イミノピリジンのピリジンがトリアジンに置き換わった置換イミノトリアジン;上記置換イミノピリジンのピリジンがキノリンに置き換わった置換イミノキノリン;上記置換イミノピリジンのピリジンがキナゾリンに置き換わった置換キナゾリン;上記置換イミノピリジンのピリジンがキノクサリンに置き換わった置換イミノキノクサリン;上記置換イミノピリジンのピリジンがフタラジンに置き換わった置換イミノフタラジン;などを挙げることができる。
【0032】
上記の置換イミノピリジン類は、Naturforsch,1981年,36b,823−832ページに記載の方法で合成することができ、具体的には、アセチルピリジン誘導体と一級アミンとの縮合反応により合成することができる。
【0033】
本発明で用いられる周期表第8族の遷移金属原子としては、鉄、ルテニウム、オスミウムなどが挙げられる。
本発明の遷移金属化合物(A)は、上記の置換イミノピリジン類が周期表第8族の遷移金属原子に配位した化合物であれば、いずれのものも含まれる。中でも、鉄に置換イミノピリジン類が配位した鉄錯体が、触媒活性が高いので好ましく、特に下記一般式(2)で表される鉄錯体が好ましい。
【0034】
【化3】
Figure 0004513569
【0035】
一般式(2)中、点線は配位結合を表し、A〜A、i、j、k、lおよびR〜Rは、一般式(1)と同様である。mは1〜3の整数を表し、mが2以上の場合には複数のR〜Rで示される基のうち少なくとも2個の基が結合されていてもよい。Xは、任意のアニオン性配位子を示し、nは、Feの価数を満たす整数である。nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、また、Xで示される複数の基が互いに結合して環を形成しても良い。
【0036】
一般式(2)において、mが1または2であると錯体の安定性および触媒活性が高いので好ましい。mの値は、置換イミノピリジン類の構造と錯体の合成条件を適宜選択することにより任意に調整できる。
前記アニオン性配位子(X)は中心金属(Fe)から引き離されたときに負の電荷を持つ配位子であればいかなるものでもよい。アニオン性配位子(X)の具体例としては、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素等のハロゲン原子;水素原子;アセチルアセトネート等のジケトネート基;置換基を有していてもよいシクロペンタジエニル基、置換基を有していてもよいアリル基、アルケニル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルキルスルフォネート基、アリールスルフォネート基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルフォニル基及びアルキルスルフィニル基が挙げられる。これらの中でもハロゲン原子が好ましい。
【0037】
一般式(2)で表される化合物の具体例としては、{2−[1−(2,6−ジイソプロピルフェニルイミノ)エチル]ピリジン}鉄(II)ジクロリド、[2−(1−フェニルイミノエチル)ピリジン]鉄(II)ジクロリド、{2−[1−(2,6−ジメチルフェニルイミノ)エチル]ピリジン}鉄(II)ジクロリド、[2−(1−メシチルイミノエチル)ピリジン]鉄(II)ジクロリドなどのmが1でありRがアリール基である化合物;{2−[1−(ペンタフルオロフェニルイミノ)エチル]ピリジン}鉄(II)ジクロリド、{2−[1−(2−フルオロフェニルイミノ)エチル]ピリジン}鉄(II)ジクロリド、{2−[1−(3−フルオロフェニルイミノ)エチル]ピリジン}鉄(II)ジクロリド、{2−[1−(4−フルオロフェニルイミノ)エチル]ピリジン}鉄(II)ジクロリド、{2−[1−(2,6−ジフルオロフェニルイミノ)エチル]ピリジン}鉄(II)ジクロリド、{2−[1−(3,5−ジフルオロフェニルイミノ)エチル]ピリジン}鉄(II)ジクロリド、{2−[1−(2,4,6−トリフルオロフェニルイミノ)エチル]ピリジン}鉄(II)ジクロリドなどのmが1でありRがハロゲン原子で置換されたアリール基である化合物;
ビス{2−[1−(2,6−ジイソプロピルフェニルイミノ)エチル]ピリジン}鉄(II)ジクロリド、ビス[2−(1−フェニルイミノエチル)ピリジン]鉄(II)ジクロリド、ビス{2−[1−(2,6−ジメチルフェニルイミノ)エチル]ピリジン}鉄(II)ジクロリド、ビス[2−(1−メシチルイミノエチル)ピリジン]鉄(II)ジクロリドなどのmが2でありRがアリール基である化合物;ビス{2−[1−(ペンタフルオロフェニルイミノ)エチル]ピリジン}鉄(II)ジクロリド、ビス{2−[1−(2−フルオロフェニルイミノ)エチル]ピリジン}鉄(II)ジクロリド、ビス{2−[1−(3−フルオロフェニルイミノ)エチル]ピリジン}鉄(II)ジクロリド、ビス{2−[1−(4−フルオロフェニルイミノ)エチル]ピリジン}鉄(II)ジクロリド、ビス{2−[1−(2,6−ジフルオロフェニルイミノ)エチル]ピリジン}鉄(II)ジクロリド、ビス{2−[1−(3,5−ジフルオロフェニルイミノ)エチル]ピリジン}鉄(II)ジクロリド、ビス{2−[1−(2,4,6−トリフルオロフェニルイミノ)エチル]ピリジン}鉄(II)ジクロリドなどのmが2でありRがハロゲン原子で置換されたアリール基である化合物;等を挙げることができる。
【0038】
本発明の遷移金属化合物(A)の製造方法は、特に限定されないが、例えば、上記の置換イミノピリジン類と、アニオン性配位子を有する第8族遷移金属化合物とを接触させることにより合成することができる。アニオン性配位子を有する第8族遷移金属化合物の具体例としては、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、臭化鉄(II)、臭化鉄(III)、ヨウ化鉄(II)、ヨウ化鉄(III)、塩化ルテニウム(II)、臭化ルテニウム(II)、塩化オスミウム(II)、塩化オスミウム(III)などのハロゲン化物;鉄(II)アセテート、鉄(III)アセチルアセトナート、鉄(III)エトキシドなど;を挙げることができる。
【0039】
置換イミノピリジン類とアニオン性配位子を有する第8族遷移金属化合物とを接触させる方法は特に限定されない。例えば、有機溶媒に溶解または分散した置換イミノピリジン類と、有機溶媒に溶解または分散したアニオン性配位子を有する第8族遷移金属化合物とを混合する方法が挙げられる。
【0040】
用いる有機溶媒は、置換イミノピリジン類およびアニオン性配位子を有する第8族遷移金属化合物を溶解または分散して、反応に影響しないものであれば、特に限定されない。
【0041】
このような有機溶媒としては、具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン系脂肪族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン系芳香族炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリルなどの含窒素炭化水素系溶媒;ジエチルエ−テル、テトラヒドロフランなどの脂肪族エ−テル系溶媒;アニソール、フェネトールなどの芳香族エーテル系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ビシクロヘプタン、トリシクロデカン、シクロオクタンなどの脂環族炭化水素などが挙げられる。これらの中でも、置換イミノピリジン類およびアニオン性配位子を有する第8族遷移金属化合物の溶解性に優れ、その後の重合反応への影響が少なく、入手容易な芳香族炭化水素系溶媒やエーテル系溶剤が好ましい。
【0042】
置換イミノピリジン類を含む溶液の濃度、およびアニオン性配位子を有する第8族遷移金属化合物を含む溶液の濃度は任意に選択できる。
【0043】
置換イミノピリジン類のアニオン性配位子を有する第8族遷移金属化合物に対する混合割合は、1〜10倍が好ましく、1〜8倍がより好ましく、1〜5倍が特に好ましい。置換イミノピリジン類のアニオン性配位子を有する第8族遷移金属化合物に対する割合が少なすぎると、未反応のアニオン性配位子を有する第8族遷移金属化合物が残り、副反応が進行するおそれがある。一方、多すぎると、未反応の置換イミノピリジン類が残り、重合活性が低下するおそれがある。
置換イミノピリジン類とアニオン性配位子を有する第8族遷移金属化合物との混合は不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。この場合、置換イミノピリジン類を含む溶液にアニオン性配位子を有する第8族遷移金属化合物を含む溶液を加えても良いし、その逆でもよく、また、両者を同時に別の容器に加えて混合してもよい。
【0044】
遷移金属化合物(A)を得る反応温度は特に限定されないが、通常、−100℃〜+200℃、好ましくは−80℃〜+180℃、より好ましくは−70℃〜+170℃である。反応温度が低すぎると反応の進行が遅くなり、高すぎると副反応が起こったり、生成物が分解するおそれがある。反応時間は特に限定されないが、通常1分間〜1週間の間である。
【0045】
目的物である遷移金属化合物(A)は、例えば、不溶な有機溶媒に反応液を加えて析出させる方法により単離することができる。また、反応に用いた溶媒を留去して得られる残留物または反応液を、そのまま重合用触媒の調製に用いることもできる。
【0046】
遷移金属化合物(A)の構造は、X線結晶構造解析、H−および13C−NMRスペクトル測定、元素分析などにより同定することができる。
【0047】
2)共役ジエン重合用触媒
本発明の共役ジエン重合用触媒は、前記遷移金属化合物(A)を含有してなる。遷移金属化合物(A)は単独でも重合活性を示すが、有機金属還元剤(B−1)、および前記一般式(1)で表される遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物(B−2:以下、イオン対形成化合物という。)から選ばれる少なくとも一種と組み合わせると重合活性が高くなるので好ましい。
【0048】
有機金属還元剤(B−1)としては、例えば、炭素数1〜20の炭化水素基を有する周期表第1族、第2族、第12族、第13族または第14族の有機金属化合物を挙げることができる。なかでも、有機リチウム化合物、有機マグネシウム化合物、有機亜鉛化合物、有機アルミニウム化合物、有機スズ化合物が好ましく、有機リチウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機スズ化合物が特に好ましい。
【0049】
有機リチウム化合物としては、n−ブチルリチウム、メチルリチウム、フェニルリチウム、ネオペンチルリチウム、ネオフィルリチウムなどを挙げることができる。
有機マグネシウム化合物としては、ブチルエチルマグネシウム、ブチルオクチルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、エチルマグネシウムクロリド、n−ブチルマグネシウムクロリド、アリルマグネシウムブロミド、ネオペンチルマグネシウムクロリド、ネオフィルマグネシウムクロリドなどを挙げることができる。
有機亜鉛化合物としては、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジフェニル亜鉛などを挙げることができる。
【0050】
有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムジクロリドなどのアルキルアルミニウムまたはアルキルアルミニウムハライドを挙げることができる。さらに、上記の有機アルミニウムと水との反応によって得られる従来公知のアルミノキサンを挙げることができる。
有機スズ化合物としては、テトラメチルスズ、テトラ(n−ブチル)スズ、テトラフェニルスズなどを挙げることができる。
【0051】
有機金属還元剤(B−1)の添加量は用いる有機金属還元剤によって異なるが、一般式(1)で表される遷移金属化合物中の金属原子:有機金属還元剤中の金属原子のモル比で、1:0.01〜1:100,000が好ましく、1:0.05〜1:50,000がより好ましい。添加量が少なすぎると重合活性が不十分となるおそれがある。逆に添加量が多すぎると重合活性が飽和する一方で、副反応が起こりやすくなる。
【0052】
イオン対形成化合物(B−2)は、特に限定されないが、有機ホウ素化合物や、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物などを挙げることができる。なかでも、有機ホウ素化合物が好ましい。
有機ホウ素化合物としては、一般式:BQまたは一般式:G(BQで表されるホウ素化合物(ただし、Q〜Qはそれぞれ独立してハロゲン原子、またはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、Gは無機または有機のカチオンである。)や、ボランもしくはカルバボラン、またはそれらのアニオンの塩もしくは遷移金属錯体が挙げられる。
上記の有機ホウ素化合物の具体例としては、トリメチルホウ素、トリエチルホウ素、トリ−n−ブチルホウ素、トリフェニルホウ素、トリス(パーフルオロフェニル)ホウ素、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(パーフルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラキス(パーフルオロフェニル)ボレートなどを挙げることができる。
【0053】
イオン対形成化合物(B−2)の添加量は用いるイオン対形成化合物によって異なるが、(遷移金属化合物(A):イオン対形成化合物)のモル比で、1:1〜10が好ましく、1:1〜5がより好ましい。
有機金属還元剤(B−1)およびイオン対形成化合物(B−2)はそれぞれ一種単独で、または二種以上を組み合わせて用いられ、両者を併用してもよい。
【0054】
遷移金属化合物(A)と、有機金属還元剤(B−1)およびイオン対形成化合物(B−2)から選ばれる少なくとも一種とを組み合わせた触媒の調製は、通常有機溶媒中で、上記の各成分を混合して行う。用いる有機溶媒としては、各成分を溶解または分散させることができ、反応に影響されないものであれば特に限定されず、前述の遷移金属化合物(A)の製造に用いる溶媒と同様のものを挙げることができる。調製した触媒の溶液または分散液は、そのまま重合反応に用いることができる。
【0055】
3)共役ジエン重合体の製造方法
本発明の製造方法は、上記の重合用触媒の存在下に、共役ジエンを重合することにより共役ジエン重合体を製造することよりなる。共役ジエンとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエンなどの直鎖状または分岐状の共役ジエン;シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,3−シクロオクタジエンなどの環状共役ジエンが挙げられる。
なかでも、炭素数が4〜20の直鎖状または分岐状の共役ジエンが好ましく、ブタジエンおよびイソプレンがより好ましい。これらの共役ジエンは一種単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0056】
本発明の製造方法において、共役ジエンに対する重合用触媒の使用量は特に限定されないが、(遷移金属化合物(A)):(共役ジエン)のモル比で表すと、通常1:100〜1:2,000,000、好ましくは1:500〜1,000,000、より好ましくは1:1,000〜1:500,000の範囲である。使用する触媒量が多すぎると触媒除去が困難となる一方で、触媒量が少なすぎる場合には十分な反応活性が得られなくなる場合がある。
【0057】
本発明における重合方法は特に限定されず、溶解重合、懸濁重合などの液相重合法または気相重合法のいずれも採用できる。
液相重合法で用いる有機溶媒は、共役ジエンおよび重合体が所定の条件で溶解または分散し、重合に影響しないものであれば特に限定されず、前述の遷移金属化合物(A)の製造に用いる溶媒と同様のものを挙げることができる。
【0058】
共役ジエンの溶媒中の濃度は、溶媒に対して1〜50重量%が好ましく、2〜45重量%がより好ましく、3〜40重量%が特に好ましい。単量体の濃度が低すぎる場合は生産性が悪く、高すぎる場合は重合後の溶液粘度が高すぎて、重合体の回収が困難となる場合がある。
【0059】
重合反応は、単量体と重合触媒を混合することにより開始する。重合温度は特に制限はないが、通常、−50℃〜+200℃、好ましくは0℃〜+170℃である。重合時間は特に制約されないが、通常、1分間〜100時間である。重合反応における圧力は特に制限はないが、通常、常圧〜10MPa、好ましくは常圧〜5MPaである。
【0060】
本発明の共役ジエン重合体の製造方法において、重合体の分子量を調節するために、連鎖移動剤を添加することができる。連鎖移動剤としては、共役ジエンの重合において従来から使用されるものが同様に使用でき、その具体例として、1,2−ブタジエンなどのアレン類、シクロオクタジエンなどの環状ジエン類および水素などが挙げられる。
【0061】
重合反応の停止は、通常、所定の転化率に達した時点で、重合系に重合停止剤を添加することによって行われる。重合停止剤としては、例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブタノールなどのアルコール類;塩酸などの無機酸;クエン酸、安息香酸などの有機酸;などが挙げられる。また、これらの重合停止剤は2種類以上の混合物として使用してもよい。
【0062】
重合反応停止後の重合体は、常法に従い回収することができる。すなわち、気相重合の場合は析出した重合体をそのまま回収すればよく、液相重合の場合はスチームストリッピング法、貧溶媒中で重合体を析出させる方法などを用いることができる。
【0063】
重合体の分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーなどにより測定することができる。また、重合体の異性体比は、H−および13C−NMRなどにより測定することができる。
【0064】
4)ポリイソプレンの製造方法
本発明のポリイソプレンの製造方法は、前記の共役ジエン重合体の製造方法において、共役ジエン重合用触媒として、前記一般式(1)におけるRがハロゲン原子で置換されたアリール基である複素環式化合物が周期表第8族遷移金属に配位してなる遷移金属化合物(A)を含有する触媒を用い、共役ジエンとしてイソプレンを用いる製造方法である。前記一般式(1)におけるRはフッ素原子で置換されたアリール基であることが好ましい。
本発明のポリイソプレンの製造方法における遷移金属化合物(A)としては、具体的には、前記一般式(2)で表される化合物において、mが1でありRがハロゲン原子で置換されたアリール基である化合物や、mが2でありRがハロゲン原子で置換されたアリール基である化合物として例示したものをいずれも好ましく用いることができる。
その他、重合触媒の調製方法や重合方法等は、特に限定されず、前記の2)共役ジエン重合触媒および3)共役ジエン重合体の製造方法において説明した原料、方法をいずれも用いることができる。
【0065】
5)ポリイソプレン
本発明のポリイソプレンは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した重量平均分子量がポリスチレン換算で5,000〜2,000,000であるポリイソプレンであって、このポリイソプレン中に、シス1,4−結合で構成されており、当該シス1,4−結合の4位の炭素原子が3,4−結合で構成される単量体単位と結合している単量体単位(α)を、全単量体単位中25%以上含有するポリイソプレンである。
【0066】
シス1,4−結合で構成されており、当該シス1,4−結合の4位の炭素原子が3,4−結合で構成される単量体単位と結合している単量体単位(α)を25%以上含有するポリイソプレンとは、具体的には、一般式(3)で示されるシス1,4−結合と3,4−結合との交互共重合単位を含有するポリイソプレンであり、一般式(3)に示したシス1,4−結合で構成される単量体単位(α)を25%以上含有するものである。一般式(3)で示されるように、単量体単位(α)は、その4位の炭素原子において、3,4−結合で構成される単量体単位と結合している。
【0067】
【化4】
Figure 0004513569
【0068】
本構造は、Hおよび13C−NMR測定により同定することができる。また、本構造が重合体中に占める割合もHおよび13C−NMR測定から求めることができる。
単量体単位(α)の割合は、重合体全単量体単位中に25%以上、好ましくは30%以上、より好ましくは35%以上である。一般式(3)で示される構造単位の割合が高いほど、後述の本発明のポリイソプレン環化物を容易に製造することができる。
【0069】
本発明のポリイソプレンの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した値が、ポリスチレン換算で5,000〜2,000,000、好ましくは10,000〜1,500,000、より好ましくは20,000〜1,000,000の範囲のものである。この範囲であると後述の環化物の製造が容易となる。
【0070】
本発明のポリイソプレンの製造方法は特に限定されないが、例えば、前記本発明のポリイソプレンの製造方法、すなわち共役ジエン重合用触媒として、前記一般式(1)におけるRがハロゲン原子で置換されたアリール基である複素環式化合物が周期表第8族遷移金属に配位してなる遷移金属化合物(A)を含有する触媒を用いてイソプレンを重合することにより製造することができる。
【0071】
6)ポリイソプレン環化物の製造方法
本発明のポリイソプレン環化物の製造方法は、前記本発明のポリイソプレンを酸触媒の存在下に環化させることを特徴とする製造方法である。環化反応は、通常、炭化水素系溶媒中で行われる。
【0072】
酸触媒は、環化反応に通常用いられるものであればよく、例えば、硫酸;フルオロメタンスルホン酸、ジフルオロメタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸などの有機スルホン酸およびこれらの無水物またはアルキルエステルなどの有機スルホン酸化合物;三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、四塩化スズ、四塩化チタン、塩化アルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロリド、エチルアンモニウムクロリド、臭化アルミニウム、五塩化アンチモン、六塩化タングステン、塩化鉄などの金属ハロゲン化物類;などが挙げられる。これらの酸触媒は、単独でも、2種以上を併用してもよい。なかでも、有機スルホン酸化合物が好ましく、パラトルエンスルホン酸がより好ましい。
【0073】
酸触媒の使用量は、本発明のポリイソプレン100重量部当たり、通常0.05〜20重量部、好ましくは0.1〜15重量部、より好ましくは0.3〜10重量部である。
【0074】
反応に用いる炭化水素系溶媒としては、環化反応を阻害しないものであれば特に限定されないが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素;などが挙げられ、なかでも、沸点が70℃以上のものが好ましい。また、共役ジエン重合体の重合反応に用いられる溶媒をそのまま用いることもでき、この場合は、重合が終了した重合反応液に酸触媒が加えられる。
【0075】
溶媒の使用量は、本発明のポリイソプレンの固形分濃度が、通常1〜60重量%、好ましくは2〜40重量%となる範囲である。
【0076】
環化反応は、加圧、減圧または大気圧いずれの圧力下でも行うことができるが、操作の簡便性の点から大気圧下で行うことが望ましく、なかでも乾燥気流下、とくに乾燥窒素や乾燥アルゴンの雰囲気下で行うと水分由来の副反応を抑えることができる。
【0077】
また、反応温度や反応時間は常法に従えばよく、反応温度は、通常20〜200℃、好ましくは50〜150℃であり、反応時間は、通常1〜20時間、好ましくは3〜10時間である。
【0078】
以上のようにして得られた本発明のポリイソプレン環化物は、通常、常法により、環化触媒を不活性化した後、環化触媒残渣を除去し、不活性溶媒を除去して、固形物として取得することができる。
【0079】
7)ポリイソプレン環化物
本発明のポリイソプレン環化物は、重クロロホルムを溶媒として測定した13C−NMRスペクトルにおいて、58−61ppmにメチン炭素に由来するピークを有するポリイソプレン環化物である。
【0080】
従来公知のポリイソプレン環化物は、13C−NMRスペクトル測定において、58−61ppmにはピークを有さない。
これに対して、本発明のポリイソプレン環化物は、58−61ppmにメチン炭素に由来するピークを有するものである。これは、従来のポリイソプレン環化物が6員環構造を有するのに対し、環構造が5員環であるためと推測される。このような構造を有する本発明のポリイソプレン環化物は、前記本発明のポリイソプレンを環化することにより得ることができる。具体的な製造方法は、前記6)ポリイソプレン環化物の製造方法において述べたとおりである。
【0081】
本発明のポリイソプレン環化物の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算値)による測定値で、通常、3,000〜2,000,000、好ましくは5,000〜1,500,000、より好ましくは8,000〜1,000,000の範囲である。
本発明のポリイソプレン環化物は、必要に応じて水素化反応や、極性基含有化合物による変性反応に供することができる。
【0082】
水素化反応方法は本発明のポリイソプレン環化物に水素を付加するものであれば特に限定されず、公知の方法により行うことができる。すなわち、通常の水素化触媒の存在下に、本発明の環化ポリイソプレンを水素と接触させればよい。水素化触媒は、オレフィン化合物の水素化に一般的に用いられるものであれば使用可能であり、例えば、不均一系触媒としては、ニッケル、パラジウム、白金またはこれらの金属をカーボン、シリカ、ケイソウ土、アルミナ、酸化チタンなどの担体に担持させた固体触媒を用いることができる。また、均一系触媒としては、周期律表第8族の金属を含むものを用いることができる。
【0083】
水素化反応は、触媒の種類に応じて、0.01〜10MPaの水素圧下、通常0〜200℃、好ましくは20〜150℃の範囲で選択された条件下に行うことができる。
【0084】
変性反応に使用する極性基含有化合物は、本発明のポリイソプレン環化物に極性基を導入することができる化合物であれば特に限定されるものではなく、例えば、酸無水物基、カルボキシル基、水酸基、チオール基、エステル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、シアノ基、シリル基、ハロゲンなどの極性基を有するエチレン性不飽和化合物等が挙げられる。
【0085】
極性基含有化合物を本発明のポリイソプレン環化物に導入する方法は特に限定されないが、エチレン性不飽和化合物を付加する場合には、一般にエン付加反応またはグラフト重合反応と呼ばれる公知の反応に従えばよい。
【0086】
この付加反応は、本発明のポリイソプレン環化物と極性基含有化合物とを、必要に応じてラジカル発生剤の存在下に反応させることによって行われる。
【0087】
付加反応は、固相状態で行なっても、溶液状態で行なってもよいが、反応制御がし易い点で、溶液状態で行なうことが好ましい。使用される溶媒としては、例えば、前述したような環化反応における炭化水素系溶媒と同様のものが挙げられる。
【0088】
また反応温度や反応時間は常法に従えばよく、反応温度は、通常、30〜250℃であり、反応時間は、通常、0.5〜5時間である。
【0089】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0090】
【実施例】
以下に、実施例、及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。実施例中の部および%は、特に断りのない限り重量基準である。
(1)置換イミノピリジン類の同定は、H−NMRおよび13C−NMR測定(重クロロホルム溶媒中、室温)により行った。
(2)生成した置換イミノピリジン類が配位した遷移金属化合物の同定は、H−NMR測定(重クロロホルム溶媒中、室温)および元素分析により行った。
(3)重合体の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、テトラヒドロフランを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算値として測定した。
(4)重合体の共重合比および異性体比は、H−NMRおよび13C−NMR測定(重クロロホルム溶媒中、室温)により求めた。
(5)単量体単位(α)の全単量体単位に対する割合は、13C−NMR測定により、単量体単位(α)における4位の炭素原子に由来する約126ppmのシグナル強度pと、シス1,4−結合で構成されており、当該シス1,4−結合の4位の炭素原子が1,4−結合で構成される単量体単位と結合している単量体単位における4位の炭素原子に由来する約125ppmのシグナル強度qとを測定し、下式により算出した。
単量体単位(α)の全単量体単位に対する割合(%)=
{p/(p+q)}×(全単量体単位中の1,4−結合の割合)×(全1,4−結合単量体単位中のシス1,4−結合の割合)×100
【0091】
製造例1 2−(1−フェニルイミノエチル)ピリジンの合成
2−アセチルピリジン200部、アニリン500部及びパラトルエンスルホン酸3部をナスフラスコに入れ、トルエン4350部を加えた。この混合物を加熱還流下、6時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、溶媒を減圧留去すると、次第に黄色い沈殿が析出した。これを濾別し、−20℃に冷やしたペンタン1430部で洗い、減圧乾燥することにより、2−(1−フェニルイミノエチル)ピリジン175部を得た。
【0092】
得られた2−(1−フェニルイミノエチル)ピリジンのNMRスペクトルデータを以下に示す。
H−NMR(δppm):2.35(s,3H),6.83(d,J=7.4Hz,2H),7.10(t,J=7.4Hz,1H),7.3−7.4(m,3H),7.76(dt,J=1.7,8.0Hz,1H),8.26(d,J=8.0Hz,1H),8.67(d,J=4.6Hz,1H)。
13C−NMR(δppm):16.3(s),119.1,121.3,123.5,124.7,128.9,136.3,148.4,151.2,156.7,167.2(s)。
【0093】
製造例2 2−[1−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニルイミノ)エチル]ピリジンの合成
2−アセチルピリジンの量を120部、パラトルエンスルホン酸の量を2部とし、アニリン500部に代えて2,3,4,5,6−ペンタフルオロアニリン298部を用いたほかは製造例1と同様にして、2−[1−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニルイミノ)エチル]ピリジン15部を得た。
【0094】
得られた2−[1−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニルイミノ)エチル]ピリジンのNMRスペクトルデータを以下に示す。
H−NMR(δppm):2.43(s,3H),7.43(dd,J=4.0,1.7Hz,1H),7.82(dt,J=8.0,1.7Hz,1H),8.31(d,J=8.0Hz,1H),8.69(d,J=4.0Hz,1H)。
13C−NMR(δppm):18.1(s),122.2,125.8,136.7(s),125.4(t,JCF=17Hz),136−140(m),148.8,155.0,175.0(s)。
【0095】
製造例3 2−[1−(2,6−ジイソプロピルフェニルイミノ)エチル]ピリジンの合成
2−アセチルピリジン300部、2,6−ジイソプロピルアニリン630部及びパラトルエンスルホン酸5部をガラス製フラスコに入れ、トルエン5220部を加えた。この混合物を加熱還流下、6時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、溶媒を減圧留去すると、次第に黄色い沈殿が析出した。これを濾別し、−20℃に冷やしたペンタン1700部で洗い、減圧乾燥することにより、2−[1−(2,6−ジイソプロピルフェニルイミノ)エチル]ピリジン402部を得た。
【0096】
実施例1 ビス[2−(1−フェニルイミノエチル)ピリジン]鉄(II)ジクロリドの合成
アルゴン気流下、製造例1で得た2−(1−フェニルイミノエチル)ピリジン41部及び塩化鉄(II)13部をガラス反応器に入れ、塩化メチレン665部を加えた。この混合物を室温で17時間攪拌した。溶媒を減圧除去した後、得られた残渣をペンタンで洗浄し、減圧乾燥することにより、化合物a 47部を得た。
【0097】
化合物aのH−NMRスペクトルは以下の通りであった。
δppm:−13.4(brs,6H),17.3(brs,4H),20.1(brs,2H),55.5(brs,2H),63.7(brs,2H)。
【0098】
この化合物aの元素分析の結果は、炭素58.9%、水素4.3%、窒素10.3%であった。元素分析結果は、ビス[2−(1−フェニルイミノエチル)ピリジン]鉄(II)ジクロリドの計算値(炭素60.2%、水素4.7%、窒素10.8%)とほぼ一致した。
以上より、化合物aはビス[2−(1−フェニルイミノエチル)ピリジン]鉄(II)ジクロリドであると同定した。
【0099】
実施例2 ビス{2−[1−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニルイミノ)エチル]ピリジン}鉄(II)ジクロリドの合成
2−(1−フェニルイミノエチル)ピリジン41部に代えて製造例2で得た2−[1−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニルイミノ)エチル]ピリジン57部を用い、塩化鉄(II)を8.4部、塩化メチレンを400部としたほかは、実施例1と同様にしてビス{2−[1−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニルイミノ)エチル]ピリジン}鉄(II)ジクロリド(化合物b)45部を得た。
【0100】
実施例3 {2−[1−(2,6−ジイソプロピルフェニルイミノ)エチル]ピリジン}鉄(II)ジクロリドの合成
2−(1−フェニルイミノエチル)ピリジン41部に代えて製造例3で得た2−[1−(2,6−ジイソプロピルフェニルイミノ)エチル]ピリジン45部を用い、塩化鉄(II)を20部、塩化メチレンを2046部としたほかは、実施例1と同様にして化合物c 41部を得た。
この化合物cの元素分析の結果は、炭素55%、水素5.6%、窒素6.6%であった。元素分析結果は、{2−[1−(2,6−ジイソプロピルフェニルイミノ)エチル]ピリジン}鉄(II)ジクロリドの計算値(炭素56%、水素5.9%、窒素6.9%)とよく一致した。
以上より、化合物cは{2−[1−(2,6−ジイソプロピルフェニルイミノ)エチル]ピリジン}鉄(II)ジクロリドであると同定した。
【0101】
(ブタジエンの重合)
実施例4
窒素置換したガラス反応器中で、実施例1で得たビス[2−(1−フェニルイミノエチル)ピリジン]鉄(II)ジクロリド(化合物a)0.39部とトルエン339部に溶解したメチルアルミノキサン33.5部とを混合して触媒液を調製した。
次いで窒素置換した攪拌機付きの耐圧ガラス反応器に、ブタジエン158部とトルエン2420部を仕込み、上記の触媒液を添加して重合を開始した。室温で3時間反応させた後、重合反応液を多量の塩酸酸性メタノールに注いでポリマーを完全に析出させ、濾別洗浄後、50℃で18時間減圧乾燥して重合体158部を得た。
得られた重合体のMwは2,090,000、Mnは1,090,000で、1,2−結合/1,4−結合の比は67/33であった。重合反応条件および結果を表1に示す。
【0102】
比較例1
ビス[2−(1−フェニルイミノエチル)ピリジン]鉄(II)ジクロリド0.39部に代えて、2,6−ビス−(1−フェニルイミノエチル)ピリジン鉄(II)ジクロリド(化合物d)0.45部を用いたほかは実施例4と同様に重合反応を行ったが、重合体は得られなかった。重合反応条件および結果を表1に示す。
【0103】
実施例5、6
表1に示す反応条件としたほかは実施例4と同様に重合反応を行った。結果を表1に示す。
【0104】
(イソプレンの重合)
実施例7
ブタジエン158部に代えて、イソプレン174部を用いたほかは実施例4と同様に重合反応を行い、重合体174部を得た。得られた重合体のMwは1,060,000、Mnは344,000で、3,4−結合/1,4−結合の比は51/49、1,4−結合に占めるシス/トランスの比は94/6であった。重合反応条件および結果を表1に示す。
【0105】
実施例8〜11
表1に示す反応条件としたほかは実施例7と同様に重合反応を行った。結果を表1に示す。
【0106】
実施例12
窒素置換したガラス反応器中で、実施例2で得たビス{2−[1−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニルイミノ)エチル]ピリジン}鉄(II)ジクロリド(化合物b)1.07部とトルエン1549部に溶解したトリイソブチルアルミニウム12.0部とを混合した。さらに、トリチルテトラキス(パーフルオロフェニル)ボレート1.69部を加えて触媒液を調製した。
次いで窒素置換した攪拌機付きの耐圧ガラス反応器中で、イソプレン123部とトルエン1210部を混合し、この混合液を上記の触媒液に0℃で30分間かけて連続的に添加して重合を行った。混合液添加終了後さらに0℃で3時間反応させた後、重合反応液を多量の塩酸酸性メタノールに注いでポリマーを完全に析出させ、濾別洗浄後、50℃で18時間減圧乾燥して重合体120部を得た。
得られた重合体のMwは507,000、Mnは298,000で、3,4−結合/1,4−結合の比は46/54、1,4−結合に占めるシス/トランスの比は99/1であった。単量体単位(α)の全単量体単位に対する割合は、45%であった。
【0107】
(イソプレンとブタジエンのランダム共重合)
実施例13
イソプレン123部に代えてイソプレン115部とブタジエン49部との混合物を用いたほかは、実施例9と同様に重合反応を行い、重合体164部を得た。得られた重合体のMwは1,180,000、Mnは845,000で、共重合比はイソプレン単位/ブタジエン単位の比で60/40であった。また、イソプレン単位に占める3,4−結合/1,4−結合の比は46/54、ブタジエン単位に占める1,2−結合/1,4−結合の比は78/22であった。結果を表1に示す。
【0108】
(イソプレンとブタジエンのブロック共重合)
実施例14
窒素置換したガラス反応器中で、ビス{2−[1−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニルイミノ)エチル]ピリジン}鉄(II)ジクロリド(化合物b)1.07部とトルエン339部に溶解したメチルアルミノキサン42.7部とを混合して触媒液を調製した。
次いで窒素置換した攪拌機付きの耐圧ガラス反応器に、イソプレン59部、さらにトルエン2420部を仕込み、上記の触媒液を添加して重合を開始した。−10℃で2時間反応させた後(重合体のMwは350,000、Mnは303,000)、重合反応液にトルエン432部に溶解したブタジエン128部を加え、さらに−10℃で2時間反応させた。重合反応液を多量の塩酸酸性メタノールに注いでポリマーを完全に析出させ、濾別洗浄後、50℃で18時間減圧乾燥して重合体178部を得た。
得られた重合体のMwは757,000、Mnは538,000で、イソプレン単位/ブタジエン単位の比は25/75であった。また、イソプレン単位に占める3,4−結合/1,4−結合の比は43/57、ブタジエン単位に占める1,2−結合/1,4−結合の比は78/22であった。
【0109】
(ポリイソプレン環化物の合成)
実施例15
窒素置換したガラス反応器中で、実施例12で得られたポリイソプレン120部とパラトルエンスルホン酸6部をトルエン2,300部に溶解し、80℃で5時間反応させた。水36部に溶解した炭酸ナトリウム4部を加えさらに1時間攪拌した後、反応混合物をろ過した。ろ液をメタノールに注いでポリマーを完全に析出させ、濾別洗浄後、50℃で18時間減圧乾燥してポリイソプレン環化物113部を得た。得られた環化物のMwは419,000、Mnは227,000であった。この環化物について13C−NMR測定を行ったところ、58.4ppm、58.7ppm、59.3ppmおよび59.9ppmの位置にメチン炭素に由来するピークが観測された。
また、H−NMR測定におけるポリマー中の全プロトンに占めるオレフィン性プロトンの割合は17.8%から6.2%に減少し、ポリイソプレン環化物が得られたことが確認できた。
【0110】
【表1】
Figure 0004513569
【0111】
【産業上の利用可能性】
本発明の遷移金属化合物(A)は種々の構造を有する共役ジエン重合体の重合触媒として有用である。この遷移金属化合物(A)を特定構造のものとすることにより、立体選択性を有する重合触媒が得られるので、要求特性に応じた共役ジエン重合体を比較的安価で簡便な方法で得ることができる。
本発明のポリイソプレンおよびその環化物は、新規の特異な構造を有することから従来とは異なる特性を有しうる。特に本発明のポリイソプレン環化物は、多環構造を生成しにくい点で有用であり、塗料、接着剤、電気・電子材料、印刷インキ用ビヒクル、光学材料、レジスト、ドライフィルムレジスト等、多種多様な用途に応用される。

Claims (5)

  1. ビス[2−(1−フェニルイミノエチル)ピリジン]鉄(II)ジクロリド、ビス{2−[1−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニルイミノ)エチル]ピリジン}鉄(II)ジクロリドおよび{2−[1−(2,6−ジイソプロピルフェニルイミノ)エチル]ピリジン}鉄(II)ジクロリドから選ばれる少なくとも1つの遷移金属化合物(A)を含有してなる共役ジエン重合用触媒。
  2. 有機金属還元剤(B−1)、および前記遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(B−2)から選ばれる少なくとも一種を、さらに含有する請求項1に記載の共役ジエン重合用触媒。
  3. 請求項1または2に記載の共役ジエン重合用触媒の存在下に、共役ジエンを重合することを特徴とする共役ジエン重合体の製造方法。
  4. 請求項1または2に記載の共役ジエン重合用触媒の存在下に、イソプレンを重合することを特徴とするポリイソプレンの製造方法。
  5. 請求項4に記載のポリイソプレンの製造方法を用いて製造されたポリイソプレンを、酸触媒の存在下に環化させることを特徴とするポリイソプレン環化物の製造方法。
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