JP2004532326A - 炭化水素ストリーム中の硫黄、窒素および不飽和化合物の接触酸化プロセス - Google Patents

炭化水素ストリーム中の硫黄、窒素および不飽和化合物の接触酸化プロセス Download PDF

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Abstract

炭化水素化石油中に存在する、硫黄、窒素汚染物質および不飽和化合物の接触酸化のためのプロセスを開示している。このプロセスは、少なくとも1種の過酸化物、少なくとも1種の酸および微粉粗酸化鉄の存在下で酸化をもたらすことを包含する。このプロセスにより、化石油媒体中に一般に存在する汚染物質に対し、改善された酸化力が発揮される。これは、油媒体に対して特に親和性のある褐鉄鉱クレーのようなオキシ水酸化鉄の存在により反応媒体中に生成するヒドロキシルラジカルおよび過酸の組み合わせにより誘導される。このプロセスには、精製のためのフィード原料から深度脱硫および深度脱窒素製品の調製に至るまで、種々の用途がある。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は化石油の炭化水素ストリーム中に存在する硫黄、窒素、および不飽和化合物の、過酸および微粉粗酸化鉄の存在下での接触酸化のプロセスに関し、このプロセスは常圧および周囲温度または自己発熱によるそれより高い温度で実行される。さらに具体的には、本発明は、油相の過酸の酸化ポテンシャルを高める褐鉄鉱クレーの触媒作用の助けを借りて硫黄、窒素および不飽和化合物を同時に除去するプロセスに関する。ここで、過酸はその形で添加されるか、過酸化物と有機酸の組み合わせにより、系中で発生する。本発明のプロセスは特に、石油、液化石炭、頁岩油およびタールから得られる軽質、中間および重質留分からの硫黄、窒素、および不飽和化合物除去に適しているが、好ましいストリームは重質ディーゼル油または軽油である。酸化プロセスの生成物は相対的にもとの油より軽質で、プロセスの条件により、硫黄化合物は 0.010 重量%〜0.2 重量%の範囲であり、窒素化合物は 0.0010 重量%〜 0.15 重量%の範囲である。本発明のプロセスはさらに、フィード中に存在するオレフィン類の最大 50 重量%までを除去することも含む。
【背景技術】
【0002】
過酸化物の助けによる酸化は、化石油の精製の有望な経路であり、例えば、主として燃料として使われ、硫黄含有率に関する国際規格が一層厳しくなっている化石炭化水素ストリーム中に存在する硫黄および窒素化合物の除去のようないくつかの目標を目指すことができる。
さらに、一つの用途は、水素化処理のようなプロセスで使用するストリームから、上記の化合物を除去することであって、この場合、窒素化合物の含有量が多いと、触媒が失活する可能性がある。
【0003】
基本的には、過酸化物酸化により、硫黄および窒素不純物が一層高い極性を有する化合物に転化され、これら化合物は、硫黄および窒素化合物で汚染された炭化水素とは相対的に混ざらない極性溶媒に対して、より高い親和性を示す。このように、この処理自体が、酸化反応工程ならびにそれに続く酸化生成物の、極性溶媒による抽出および/または吸着および/または蒸留による分離工程を包含する。
【0004】
酸化物を炭化水素から分離する工程と同様に、過酸化物を用いる酸化工程は種々の研究の対象となってきた。
例えば、EP0565324A1には、石油、頁岩油または石炭から有機硫黄を除去することだけに焦点を置いた技術が記載されており、ここでは、H2O2 のような酸化剤による、触媒とともに添加された有機酸(例えばHCOOH またはAcOH)存在下に、初期 30℃、次いで 50℃に加熱する酸化反応工程が用いられ、次いで(a)例えば、N,N'-ジメチルフォルムアミド、ジメチルスルホキシド、N,N'-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、アセトニトリル、トリアルキルフォスフェート類、メチルアルコール、ニトロメタンのような溶剤による溶剤抽出工程、または(b)アルミナもしくはシリカゲルによる吸着工程、または(c)酸化された硫黄化合物の沸点上昇による分離収率が改善されている蒸留工程が用いられる。
【0005】
チャパドス(D. Chapados)等の“提案されている超低硫黄分ディーゼル燃料についての要求を経済的に達成するための、硫黄含有化合物の選択酸化および抽出を用いる脱硫”、NPRA 2000 年会、3 月 26-28, 2000, サンアントニオ(San Antonio)、テキサス(Texas)、報告書AM-00-25、に類似の処理の概念が用いられており、ここでも、油類中の硫黄分の削減に焦点を置いた精製法を目的としていて、酸化工程は 100℃未満、常圧で進み、極性溶剤抽出工程および吸着工程がこれに続く。著者等はさらに溶剤回収装置および、溶剤回収装置からの濃縮物(抽出された酸化生成物)を生物学的処理する別の装置の使用を示唆している。この装置は上記の抽出された酸化生成物を炭化水素類に転化する。
【0006】
引用したチャパドス(Chapados)等の参照文献によれば、反応相は、過酸化水素と有機酸の反応により生成した過酸中間体の分極した -O-OH の部分が、基本的にはベンゾチオフェンおよびジベンゾチオフェンおよびそれらのアルキル基を持つ関連化合物のようなスルフィド類である硫黄化合物に対して求電子酸化を起こし、スルホキシドおよびスルホン類を生成する酸化から成っている。
【0007】
米国特許3,487,800によれば、N-酸化物(いいかえればニトロン)を生成するための、キノリンおよびそのアルキル関連化合物のような窒素化合物の酸化は、これらの化合物を酸化窒素と反応させると、同じように促進される。
過酸化物/有機酸の組み合わせから誘導された過酸による硫黄含有化合物の酸化の機構を、ジベンゾチオフェンをモデル化合物として、添付の図1に示す。
【0008】
米国特許2,804,473によれば、アミン類の有機過酸による酸化によって N-オキシドが生成し、従って、過酸化物/有機酸の組み合わせから誘導された過酸による窒素含有化合物の酸化について、キノリンをモデル化合物とする添付の図2に示すように、硫黄含有化合物の場合と類似の反応経路が期待される。さらに同じ米国特許に低分子量の脂肪族過酸の製造プロセスが記載されている。この特許によれば、過酸は、不飽和化合物の酸化による相当するアルキレンオキシド誘導体すなわちエポキシ化合物を生成するような種々の反応に有用である。
【0009】
添付の図3に示すように、過酸化水素は O2 および H2O を生成する不安定な中間体に自然に分解し、このようなプロセスが光、熱および主として媒体の pHの作用により促進されることもよく知られている。
【0010】
米国特許5,917,049には、少なくとも1個の窒素原子を持つジカルボン酸の調製プロセスが記載されているが、ここでは、少なくとも1個の窒素原子をもつ縮合ベンゼン環をもつ相応するヘテロ環化合物が、過酸化水素、ブレンステッド酸および鉄化合物の存在下で酸化される。好ましい鉄化合物は硝酸鉄で、硝酸がブレンステッド酸として用いられる。この反応は水媒体で行われる。
さらに、米国特許4,311,680では、H2S、メルカプタン類、およびジスルフィド類のような硫黄含有化合物だけを、天然ガスのようなガスストリームから、このガスストリームを、過酸化水素の水溶液の存在下で Fe2O3 固定床を通して流すことにより除去するプロセスが開示されている。
【0011】
他方、いくつかの刊行物では、都市排水および工業排水から汚染物質を除去することをもっぱら目的とするフェントン試薬の使用が報告されている。例えば、ウオーリング(C. Walling)による“フェントン試薬再考”Accts. Chem. Res., Vol.8, P 125-131 (1975)、米国特許6,126,838および米国特許6,140,294を参照されたい。
フェントン試薬は1894年から知られており、もともとは、添付の図4に示すようにヒドロキシルラジカルOH・ を発生させるための、H2O2 および鉄イオンだけの水媒体中の混合物である。ヒドロキシラジカルは、知られている最も反応性に富んだ化学種の一つである。その相対酸化力(ROP)ROP=2.06(Cl2 の ROP=1.0 として)は、例えば、一重項酸素(ROP=1.78)> H2O2(ROP=1.31)>HOO・ (ROP=1.25)> 過マンガン酸塩(ROP=1.24)よりも高く、それにより無数の化合物と反応することができる。
【0012】
しかし、添付の図5に示すように、Fe3+ の存在によるか、過酸化水素の自然分解によって、副反応によりヒドロキシルラジカルは消費され、あるいは競争反応が起こる。
このような副反応は、媒体中の pH を下げることによって最小化することができる。これは、プロトンによる酸性により H2O2 のH+ および OOH- への解離平衡が逆行し(添付の図3に示すように)、その結果、発生したOOH- が、所望のヒドロキシルラジカルの発生でなく、より多くの H2O2 を、H2O および O2 に転化させる HOO・ に変化することが防がれる。他方、過度に pH を低くすると、H2O2 の O2 への分解に触媒作用をするFe(OH)3 の沈殿が起こる。
従って、pH 2.0 〜 6.0 として、後に反応の pH を6.1 〜 9.0 に調節して、硫酸第一鉄が在来のフェントン試薬の二価の鉄陽イオンの源のときの残留硫酸第一鉄の凝集による生成物を、よく分離できるようにすることが推奨される。
【0013】
しかし、遊離第二鉄がどんな形でも生成し、ヒドロキシルラジカルを消費し、またはその発生を抑制する場合(図5のように)、遊離第二鉄は、錯化剤(例えばリン酸塩、炭酸塩、EDTA、ホルムアルデヒド、クエン酸のような)により、これらの薬剤が、同時に、水媒体中に溶解していて酸化反応に必要な第一鉄陽イオンを捕集しない場合に限り、捕集できる。
【0014】
固体母材に付着していて、ヒドロキシルラジカル発生に有用なものとして知られている活性な鉄源は、針鉄鉱のようなオキシ水酸化鉄 FeOOH の結晶で、土壌水分資源の汚染物質として見出されたヘキサクロロベンゼンの酸化に用いられる。
【0015】
バレンタイン(R. L. Valentine)およびワン(H. C. A. Wang)は、“過酸化水素によるキノリンの酸化鉄表面接触酸化”,Journal of Environmental Engineering, 124(1), 31-38(1998)、において、半結晶酸化鉄であるフェリハイドライトおよび針鉄鉱のような、第一鉄の水懸濁液を用いる、もっぱら排水に適用する方法について記述している。フェリハイドライトおよび針鉄鉱は、どちらも、モデルとなる水汚染物質キノリンの過酸化水素酸化の触媒として前もって合成された。キノリンは約 10 mg/liter 水溶液濃度で存在し、溶液の性質は天然の水環境を模したものである。著者等の用いた酸化鉄の中で、錯化剤(例えば炭酸塩)を含む結晶針鉄鉱懸濁液により、41 時間の反応の後、水溶液からの高率のキノリンの低減が見られた。著者によれば、錯化剤は、触媒表面に吸着し、H2O2 の分解を規制した。記事にはできた生成物については記載が無く、使用された針鉄鉱は、Fe(OH)3 を 70℃および pH=12 で 60 時間エージングして合成した純粋な結晶物質であった。
バレンタイン(Valentine)等によって用いられたような純粋な針鉄鉱は、天然で遊離した形での存在はほとんど見出せないが、ある種の天然鉱物の成分として存在し得る。
【0016】
米国特許5,755,977には、少なくとも1種の汚染物質を含む水またはガスストリームのような汚染された流体を、連続プロセスで、過酸化水素もしくはオゾンまたはその両方の存在下において、微粒子状の針鉄鉱触媒と反応器中で接触させて有機汚染物質を分解させるプロセスが記載されている。微粒子状の針鉄鉱は、天然の鉱物の形で用いてもよいと記されている。しかし、実際に著者が実施例で用いた微粒子状の針鉄鉱材料は市販品の精製された形のもので天然の原鉱石ではなかった。
【0017】
針鉄鉱は天然には、いわゆる褐鉄鉱および/またはサプロライト鉱物クレーに見出せるが、これはラテライト性ニッケル鉱床のようなラテライト(侵食性でない風化、すなわち雨によって天然に産出)中に産出し、特にニッケル鉱石が豊富な(表面から5〜10m)層に近い層にある。このようなクレーはいわゆ褐鉄鉱帯(または単純に褐鉄鉱)を構成し、Si および Mg の自然の激しい溶解により Al、Ni 濃度(0.8〜1.5 重量%)が高まり、また Cr および主として水和物の形 FeOOH、すなわちFeOOH.nH2O としての Fe(40〜60 重量%)濃度も高まる。
【0018】
褐鉄鉱帯の下の層はラテライト性ニッケルの量が多く、針鉄鉱結晶としての鉄の量はより低い。これは、いわゆるサプロライト帯または蛇紋岩遷移帯(25〜40 重量% Fe および 1.5〜1.8 重量% Ni)であり、すぐケイニッケル鉱帯(10〜25 重量% Fe および 1.8〜3.5 重量% Ni)に続き、これが工業用途の粗ニッケル鉱石であるケイニッケル鉱の主な産出源である。
【0019】
公開文献には、さらに、結晶性のオキシ水酸化鉄 FeOOH は合成プロセスにより純結晶を得ることができる数種の結晶型となることができることが記載されている。このような型は、α-FeOOH(上述の針鉄鉱)、γ-FeOOH(鱗鉄鉱)、β-FeOOH(アカガナイト)または、さらにδ'-FeOOH(フェロキサイト)であり、最後のものは磁性も有する。最も一般的な結晶型は針鉄鉱および鱗鉄鉱である。
【0020】
褐鉄鉱中で最も多いオキシ水酸化鉄の結晶型は、針鉄鉱として知られているα-FeOOH である。針鉄鉱(α-FeOOH)は連結していない層として結晶化し、その層は二つの分子量の大きい、規則性のある一組の連鎖で出来ている。これは、例えば、合成型の鱗鉄鉱石(γ-FeOOH)とは異なっており、鱗鉄鉱は同じ二つの規則性の互いに連結した連鎖である。この構造的な違いにより、α-FeOOH は、連結していない層間で遊離化学種の移動を起こしやすい。
【0021】
褐鉄鉱は、低い含有量のニッケル、クロム、コバルト、カルシウム、マグネシウム、アルミニウムおよびシリコンの酸化物の他に産出地によって、鉄を 40〜60 重量%含有している。
褐鉄鉱の固有表面積は 40〜50 m2/g であり、その上低原価の鉱物であり、粉末化が容易で取扱いも易しい。化石炭化水素疎水性混合物に対する褐鉄鉱の分散性は優れている。
【0022】
T. Kaneko 等が“石炭液化における鉄触媒の活性相への変化”, Energy and Fuels 1998, 12, 897-904 で、また、T. Okui 等が“超重質炭化水素資源の利用に関する国際シンポジウム(AIST-NEDO)”,東京,2000年9月 において報告したように、褐鉄鉱は、化石油に磁硫鉄鉱(Fe1-xS)の前駆体として容易に分散することが見出された。
【0023】
この挙動は、フェントン試薬を生成させるには水媒体が必要な、硫酸第一鉄または硝酸第一鉄のようなFe(II) 塩の挙動とは異なる。
このように、本発明は、過酸化物単独で作用する従来法による酸化に加えて、油相に存在する硫黄および窒素汚染物に直接フェントン型酸化を実施するのに、粉末褐鉄鉱石が油に分散する性質を利用している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
このように、この文献では、化石油中の有機化合物の、過酸(または過酸化物および有機酸)の存在下での酸化のみが記述されている。他方、水またはガス媒体のフェントン試薬を用いる処理プロセスが記載されている。しかし、この文献中には、疎水性の化石油媒体中の有機化合物を、過酸(または過酸化物/酸の組み合わせ)存在下において、この油媒体中で触媒活性を持つ鉄の源として粉末褐鉄鉱石のような酸化鉄が触媒作用を示す接触酸化することを目的とした、本願に記載し請求されているプロセスに関する記述も示唆もない。
【課題を解決するための手段】
【0025】
広義には、本発明は、化石油中に高い含有量で存在する硫黄、窒素および不飽和化合物接触酸化のためのプロセスに関し、その酸化は、過酸化物/有機酸および褐鉄鉱クレーのような天然状態で使用される粗酸化鉄を原料とする触媒の存在下で達成される。
本発明は、また、上述の化石油から、硫黄、窒素および不飽和化合物を、接触酸化により同時に除去することを目的としている。
本プロセスにより、精製のためのフィード原料または深度脱硫もしくは深度脱窒素された最終製品ができる。
硫黄、窒素および不飽和化合物で汚染された炭化水素ストリーム中の硫黄、窒素および不飽和化合物を、接触酸化する本プロセスは、下記の工程を含む。
a)微粉粗酸化鉄を準備すること;
b)少なくとも1種の酸を準備すること;
c)少なくとも1種の過酸化物を準備すること;
d)大気圧下および周囲と同じか超える温度の下で、撹拌しながら、上記の有機酸、上記の硫黄、窒素および不飽和化合物で汚染された炭化水素ストリーム、次いで過酸を得るために上記の過酸化物を混合し、そのときの過酸化物および有機酸の、炭化水素ストリーム中に存在する硫黄および窒素の合計に対する相対的なモル量は少なくとも 3.0 で、pH は 2.0〜6.0 で、不飽和物、硫黄および窒素汚染物質が部分的に酸化された炭化水素ストリームが得られるに必要な時間をかけるように、硫黄および窒素汚染物質と同様に不飽和化合物を酸化すること;
e)大気圧下で、周囲温度と同じか超える温度で、この周囲温度を超える温度はプロセス自体から生じるのであるが、撹拌しながら、上記の部分的に酸化された炭化水素ストリームに、酸化鉄、炭化水素ストリームならびに酸化された不飽和化合物、硫黄および窒素化合物のスラリーが得られるように、触媒量の上記微紛粗酸化鉄を加えることによって発生したヒドロキシルラジカル酸化剤の存在下で、反応条件を1〜2時間、および酸性 pH を 2.0〜6.0 に保ち、上記不飽和化合物を硫黄および窒素汚染物質と同様に、さらに酸化すること;
f)反応の終了後、水相および油質の炭化水素相を含む反応媒体を濾過し、消費された酸化鉄触媒を分離すること;
g)有機物に富んだ水相を分離するためデカンテーションすること;
h)出来た油質の炭化水素相の pH を 6.1〜9.0 に変えて、油相を回収すること;
i)酸化物質が所望の水準になるように抽出するために油相を後処理すること;および
j)硫黄化合物を 0.01 重量%〜0.2 重量%および窒素化合物を 0.001 重量%〜0.15 重量%、最終のオレフィン含有量が最初のオレフィン含有量の最大 50 %である後処理された炭化水素相を回収すること。
【0026】
別の方法では、微紛粗酸化鉄は最初に、硫黄、窒素および不飽和化合物で汚染された炭化水素ストリームに加えられる。
さらに別の方法では、リン酸のような鉱酸を、有機酸および過酸化物の添加前に、全容量ベースにして、0.1 容量%〜10 容量%を酸化助剤として使用する。
【0027】
このように、本発明は、酸素、窒素および不飽和化合物を、これらの化合物で汚染された化石油から、過酸化物および有機酸で酸化する接触酸化のためのプロセスを提供するもので、この酸化は、褐鉄鉱のような粗鉄鉱から反応時に発生する、活性な固定鉄源により助けられる。
【0028】
本発明は、また、酸素、窒素および不飽和化合物を、これらの化合物で汚染された化石油から、過酸化物および有機酸による酸化により同時に除去するプロセスを提供するもので、この酸化は、褐鉄鉱のような粗鉄鉱から反応時に発生する活性な固定鉄源により助けられる。
【0029】
本発明は、さらに、酸素、窒素および不飽和化合物を、これらの化合物で汚染された化石油中から、大気圧および周囲温度と同じか超える温度で、接触酸化するためのプロセスを提供するもので、このようなプロセスが、そのプロセス自体または任意の他の工業プロセス中で使用できるエネルギー源となっている。
【0030】
本発明は、さらに、酸素、窒素および不飽和化合物を、これらの化合物で汚染された化石油中から、接触酸化するためのプロセスを提供するもので、この改善された酸化により、褐鉄鉱が存在しない場合の酸化化合物に比べ、褐鉄鉱の存在下で、ある種の溶媒に対し溶解性が大きい酸化化合物が生成する。
【0031】
本発明は、さらに、酸素、窒素および不飽和化合物を、これらの化合物で汚染された化石油中から、接触酸化するためのプロセスを提供するもので、ここで、微紛褐鉄鉱触媒の油媒体中の分散性が、硫黄、窒素、および不飽和化合物汚染物質を含む油の酸化の改善に寄与している。
【0032】
本発明は、さらに、上記化合物で汚染された化石油から、0.2 重量%未満の硫黄含有量の炭化水素ストリームを得るための接触酸化プロセスを提供するもので、このストリームは、水素化処理または接触分解のようなさらに精製するプロセスのためのフィード原料として有用である。
【0033】
本発明はさらに、2.0 重量%の総N および 2 重量%の総S で汚染された炭化水素ストリームから、深度脱硫および深度脱窒素された、0.015 重量%未満の硫黄含有量および 0.001 重量%窒素含有量である炭化水素ストリームを得るための接触酸化プロセスを提供する。
【0034】
本発明はさらに、40 重量%を上限とするオレフィン類を有する炭化水素ストリームから、もとのオレフィン類の約 50 重量%を除去するための接触酸化プロセスを提供する。
【0035】
(好ましい形態の詳細な説明)
前述のように、本発明の、硫黄、窒素、および不飽和化合物を、これら化合物で汚染された化石炭化水素ストリームから接触酸化するためのプロセスは、過酸化物類、少なくとも1種の酸および微紛粗酸化鉄鉱石の存在下で、硫黄、窒素、および不飽和化合物を酸化することにより起こる。
このように実施される接触酸化によって、汚染された化石炭化水素ストリームから、硫黄、窒素、および不飽和化合物を同時に除去することができる。
【0036】
本発明の酸化および硫黄、窒素、および不飽和化合物の同時除去の手段によって酸化される炭化水素ストリームには、単独あるいは任意の量で混合されている、原油もしくは原油の重質留分、燃料、潤滑油、単独であるいは任意の量で混合されている、原頁岩油もしくはその分別物、液化石炭油および関連製品またはオイルサンドおよび関連製品が含まれる。
【0037】
本発明のプロセスで扱われるのに好ましい炭化水素ストリームは、約500℃までの終点沸点(EBP)を有するものであり、すなわち、軽油ストリームおよび重質ディーゼル油または軽質ディーゼル油のような中間留分が単独か任意の量で混合されたものである。
【0038】
本発明のプロセスで扱われるストリームは、概して、石油誘導体のストリームならびに頁岩油および関連誘導体ストリームにつき、2.0 重量%の総 N を上限とし、2.0 重量%の総 S を上限として含有する。
また、このストリームは、40 重量%を上限とする不飽和化合物、さらに具体的には、直鎖または環状オレフィン化合物、例えばモノオレフィン類、ジオレフィン類または3個以上の2重結合を有するオレフィン類を含有する。
【0039】
本発明の酸化プロセスは、過酸化物および少なくとも1種類の酸の組み合わせで実現し、この酸化は微紛粗酸化鉄により活性化される。
結晶型、半結晶型および非晶型の酸化鉄化合物を使用できる。有用な酸化鉄は、α-FeOOH(針鉄鉱)、γ-FeOOH(鱗鉄鉱)、β-FeOOH(アカガナイト)または、さらにδ'-FeOOH(フェロキサイト)のような前述のオキシ水酸化鉄であり、最後のものは磁性も有する。好ましいオキシ水酸化鉄の形態は褐鉄鉱クレーである。
【0040】
褐鉄鉱クレーは、例えば、ブラジル、オーストラリア、インドネシア、ベネズエラおよびその他の国の世界中のおびただしい天然産品に豊富に存在する。いくつかの場合には、褐鉄鉱は、ニッケル採鉱活動の廃棄物で、従って低原価の物質である。
【0041】
本発明の目的のためには、褐鉄鉱クレーは天然の状態で使用され、粒度分析で 0.71 mm(25 タイラーメッシュ)未満、好ましく0.25 mm(60 タイラーメッシュ)未満にまで微紛化されるだけである。
粒度分析範囲が 0.04 mm(325 タイラーメッシュ)以下の粒径の褐鉄鉱鉱石が使用でき、それにより高度の分散性が可能となり、従って、固体の褐鉄鉱と油相の接触面積が大きくでき、これが結局酸化反応の強さを増大させる。
褐鉄鉱の表面積は 40〜50 m2/g である。褐鉄鉱の鉄含有量は約 40〜60 重量%である。
【0042】
微紛褐鉄鉱が油相に対して強い親和性を有することは理解されるべきである。すなわち、微紛褐鉄鉱は油によって濡れ、通常水相にある過酸化物(過酸化水素および過酸)と相互作用をする。従って、特定の理論に特に結びつけるつもりはないが、微紛褐鉄鉱に存在する針鉄鉱表面が、これらの過酸化物を油相にに運ぶという仮説が立てられる。同時にこれらの過酸化物は、Fe(III) を Fe(II) に活性化する Fe の固定したサイトを作り、Fe(II) がヒドロキシルラジカル生成の触媒となる。
【0043】
本発明のプロセスで触媒として使用されるべき褐鉄鉱の量は、例えば、プロセスに投入される炭化水素油の重量を基礎に、0.01〜5.0 重量%、さらに好ましくは 1.0〜3.0 重量%のかなり大幅な限度内を変化してもよい。
【0044】
この鉄触媒は、上述の酸化物類を粉砕、混練、粒状化および焼成して調製することができ、鉄の形態は水酸化物、酸化物または炭酸塩であり、単独か、またはアルミナ、シリカ、マグネシア、水酸化カルシウム、酸化マンガン等の無機材料と混合されている。
【0045】
これに代えて、化石油の有機物質の室温における酸化は、特に、実施例の軽油に比べて粘度の高い化石油媒体の場合にそうであるが、コロイド相でも実現することができる。
【0046】
本発明の実施に有用な過酸化物は、無機のものでも、有機のものでもよい。
過酸化物に似てオゾンも同様に、単独または過酸化物と混合して使用できる。
【0047】
好ましくは無機過酸化物はヒドロペルオキシドで、過酸化水素であってもよい。
過酸化水素は、好ましくは、過酸化水素水溶液の重量を基礎にして、10 重量%〜90 重量%水溶液として使用されるが、さらに好ましくは 25 重量%〜60 重量% H2O2 を含有の水溶液である。
有機過酸化物は、ROOH の式のアシルヒドロペルオキシドであってよく、ここで R=アルキル、Hn+2CnC(=O)- (n>=1)、アリール-C(=O)-、HC(=O)- である。
【0048】
有機酸は、好ましくは、カルボン酸 RCOOH または RC(=O)OC(=O)R の形のカルボン酸の脱水した無水物で、R は H、または CnHn+2 (n>=1) または XmCH3-mCOOH (m=1〜3, X=F, Cl, Br)、ポリカルボン酸 -[R(COOH)-R(COOH)]x-1- (x>=2)またさらには安息香酸または任意の量のその混合物である。
無機酸は、強い無機酸なら任意でよく、例えば、炭酸、リン酸の溶液または pH 2.0〜6.0 の相当する緩衝液のように希釈して使用される。
【0049】
本発明において、酸化がヘテロ原子有機化合物を目的としている場合、過酸化物/ヘテロ原子および有機酸/ヘテロ原子のモル比は双方とも 2.0 以上である。これにより、このようなヘテロ原子化合物を、次の工程で容易に除去できることを可能にする酸化が確実になる。
本発明の圧力および温度パラメーターについては、圧力は大気圧である。本プロセスの温度は 20℃〜100℃であり、周囲温度より高い温度は、外部加熱が全くない環境であっても、もっぱらこのプロセスの発熱的な性格によって起こる。
【0050】
反応時間は 1〜2 時間であるが、粗酸化鉄使用済み触媒と酸化生成物を、数時間または数日間接触させることは、これら酸化化合物が使用済み触媒に吸着されるのに好都合である。
このプロセスで放出されるエネルギーは、任意の単位操作の熱エネルギーを利用できるような工程の分野に振り向けることができる。
反応媒体中の酸の存在と言う観点では、媒体の pH は一般に、2.0〜6.0 の間で変化する酸性で、好ましくは 3.0 である。
【0051】
炭化水素ストリームのような化石油媒体の酸化ならびに S- および N- 化合物の除去のための、本発明の実施に当たって予想される酸化するための化合物を添加する順序については、本発明の概念から、二つの方式が予想される。
すなわち、一つの本発明の好ましい方式によれば、酸化鉄は化石油媒体に添加され、ある時間撹拌され、次いで過酸化物および酸が添加される。混合物全体を 1〜2 時間撹拌する。酸の作用によって、反応混合物の pH は 2.0〜6.0 に保たれる。熱が放出される。
別の本発明の好ましい方式によれば、有機酸は、撹拌下で化石油媒体に最初に数分間で添加され、次いで酸化鉄および過酸化物が添加される。最終の混合物は1〜2 時間の間、周囲温度で撹拌される。
【0052】
上記の方式の一つの変形した方式は、化石油媒体に最初に鉱酸を添加し、次いで酸化鉄、有機酸および過酸化物が添加される。反応条件には、反応媒体を酸化反応に必要な時間撹拌することと、酸性 pH 2.0〜6.0 にすることが含まれる。
さらに別の方式では、過酸化物を化石油媒体に最初に加え、次いで、単独か酸化鉄と混合した形で酸を加える。
さらに別の方式には、酸化鉄、過酸化物および酸を、撹拌、酸性 pH 2.0〜6.0および酸化時間の反応条件下で油媒体に同時に加えることが包含されている。
酸化後に、媒体は、飽和 NaOH 溶液または硫酸ナトリウム溶液により pH 6.1〜9.0 に中和される。
【0053】
微紛化された、褐鉄鉱粒子の表面全体に見られる鉄成分は、油相と接触している過酸化物(例えばH2O2)と、ヒドロキシルラジカルを発生させるために反応するのに適している。このヒドロキシルラジカルは、この油相に存在する窒素および硫黄汚染物質と同じく不飽和化合物のような有機化合物を酸化する活性がある。
発生したヒドロキシルラジカルは強力な酸化剤であり、その酸化活性は、実質的に化石油および関連製品の酸化を改善している有機過酸のイオン酸化活性と結び付けられる。後に本明細書で比較例として示すように、生成した酸化化合物は、油が過酸化物−有機酸の組み合わせだけで処理された場合に比べ、極性溶媒に対し強い親和性を示す。
【0054】
このように本発明のプロセスは、基本的に、二つの反応機構を相乗効果を発揮するように結合した、周囲温度での酸化工程を包含している:(1)少なくとも1種類の過酸化物と酸化鉄の結晶表面との反応で生成するフリーラジカル経由の反応機構を(2)過酸化物と有機酸の反応により発生する過酸中間体の作用を経由する酸化と組み合わせる。
本明細書中で、出願人により実施された研究により、このような二つの結合された酸化機構により、酸化反応の結果である軽質の生成物を含む、硫黄、窒素および不飽和化合物の総量が低含有量である最終生成物が得られるとの結論が得られた。
【0055】
このように生成した硫黄および窒素酸化化合物の数が、過酸のみに基づいた最新技術によるプロセスにより生成した酸化化合物の数よりも多いだけでなく、本発明のプロセスにより、直鎖、環状、ヘテロ原子を含むものであるか否かによらず、不飽和炭化水素の部分の酸化が可能となり、このため溶媒抽出または吸着による反応生成物の除去が容易になる。
【0056】
意外なことに、過酸化物/有機酸/褐鉄鉱という発明性のある組み合わせの結果、硫黄化合物の除去の程度は、窒素化合物の除去程度との相対において、過酸化物/有機酸/褐鉄鉱の組の成分量に強く依存しており、過酸化物および有機酸のモル比が大きくなると、硫黄化合物の除去が、窒素化合物の除去との相対において、一層際立ってくる。加えて、過酸化物のモル比が大きくなると、不飽和化合物のある程度の除去に有利となる。このように、本発明は、処理する炭化水素フィード原料の汚染条件に容易に適応できる柔軟性のあるプロセスに関する。
【0057】
このプロセスの柔軟性により、重要な成果が導かれる。すなわち、酸化/反応後、の処置をどの程度まで進めるかにもよるが、二つの独特な最終製品が得られる。
1.完全な酸化と完全な反応後の処置により深度脱硫および深度脱窒素された、厳しい環境規制による水準の硫黄、窒素および不飽和化合物含有量の中間留分である最終製品が得られる。このような製品の S 含有量は 0.015 重量%(150 ppm)未満、N 含有量は 0.001 重量% (10 ppm)未満である。オレフィン含有量は原料油を基にして最大 50 重量%減である。質量バランス収率は、原料油を基にして、少なくとも 50 重量%に達する。
2.温和な酸化と温和な反応後の処置により、硫黄、窒素、および不飽和化合物含有量が、水素化処理または他のプロセスのような精製プロセスに向けることができる水準である製品が得られる。このような製品の N 含有量は 0.1 重量%(1000 ppm)未満である。最終製品の質量バランス収率は、原料油を基にして、80〜90 重量%に達する。
【0058】
これらの二つの製品の種類は、互いにつながっており、その結果、多くの中間の製品品種が、多数の酸化後の処置(抽出/吸着)および使用される処理剤の量を変化させることにより得ることができることは理解されなくてはならない。従って、例えば、酸化後の油は、さらに精製プロセスにかけるために、ブライン抽出だけを行うか、または引き続き種々の量のブラインだけ、エチルアルコールだけの抽出を行うか、さらに DMF 抽出を行い、最後の仕上げは吸着工程とすることで、それ以上の処理をしなくても使用できる中間留分が得られる。
【0059】
この柔軟性ある酸化後の処置の他の重要な特徴は、抽出回数を多くすると、より高品質の製品が得られ、最終製品の収率は低くなる。他方、酸化後の処置に手をかけないと、何らかの意味で低品質の製品の収率は高くなる。
【0060】
酸化後の硫黄および窒素化合物の分離は容易に行える。例えば、このような化合物は使用済み触媒に触れさせることで抽出できる。
あるいは、酸化生成物は少なくとも1種の極性有機溶媒で抽出でき、この抽出物は、ヘテロ原子化合物か否かは別として、酸化化合物に富んでいる。これらの化合物は、溶媒の蒸発により濃縮され、溶媒は再使用される。
【0061】
別な方法では、処理された、触媒、酸化化合物および化石油のスラリーは、塩の水溶液で洗われ、酸化化合物に富んだ残渣が生ずる。
あるいは、本発明の原理によれば、処理される炭化水素ストリームは、前もって、一次的なコロイドを作るために、コロイドミルで30秒間激しく撹拌することにより、界面活性剤溶液中で乳化してもよく、このコロイドは約2時間、そのまま保たれ、この時間は酸化反応に必要な時間である。この方法により、明らかに、油/水、の大きな接触表面が、反応の間だけ、安定化する。この乳化水溶液中の界面活性剤含有量は、処理されるべき炭化水素ストリームの性質により、1.5 重量%〜2.5 重量%で変化させることができる。
有用な界面活性剤は、主として、エトキシ化ラウリルアルコール、エトキシ化アルキルフェノール(例えばエトキシ化ノニルフェノール、エトキシ化オクチルフェノール)、N−アルキルグリコースアミド、直鎖(fatty)アルコールアミド、直鎖(fatty)オキシドアミドといった任意のエトキシ化直鎖(fatty)アルコールのような非イオン系界面活性剤である。
【0062】
硫黄および窒素化合物の除去で得られる収率は、上記の界面活性剤の助けにより増大する。しかし、難点は、水相を処理された油から濾過および分離する工程が困難になるため、酸化後の工程の実施が、より難しくなる可能性があることで、粘度の高い油の場合は、特にそうである。界面活性剤の使用による問題を避ける一つの方法は、pH を 8.0〜9.0 に調整することで、これにより濾過された反応生成物の相間での分離が改善される。
【0063】
酸化生成物は、例えば、極性有機溶媒によって抽出できるが、この溶媒は分留により再生後、再使用できる。溶媒は、N,N'-ジメチルホルムアミド、N,N'-ジメチルスルホキシド、N,N'-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、アセトニトリル、トリアルキルフォスフェート、ニトロメタン、エチルアルコール、メチルアルコール、フルフラール単独または任意の量の混合物が使用できる。
【0064】
別な方法では、酸化生成物は吸着により抽出され、アルミナまたはシリカゲルが好ましい吸着剤である。吸着工程は、単独でもまたは抽出工程の後の仕上げ処理として用いることもできる。
【0065】
酸化後の精製技術の任意な組み合わも、本発明のプロセスで作られる酸化生成物の分離に用いることができることは、当業者には明らかである。
本発明で採用される好ましい方法によれば、一般に、酸化生成物の分離は2工程で達成される。
【0066】
第1の工程では、濾過およびデカンテーションにより分離された中間油が得られ、ブラインによる抽出および蒸留水による洗浄の後、通常 2 %〜15 重量%除去率の、硫黄除去分の少ない中間油が得られる。
【0067】
第2の工程では、中間油は乾燥され、分析グレードのN,N'-ジメチルホルムアミド(DMF)のような非プロトン性極性溶媒で撹拌下で洗浄して、次いで、残存 DMF を除くために、酸性のブラインで洗う。中性の NaCl(10 重量%)溶液で二回洗ったDMF に富んだ抽出物は、総 N = 800 ppm および塩基性 N = 160 ppm(総 N/ 塩基性 N = 5)で、一方、もとの油は、総 N/ 塩基性 N = 1.1であり、これは、抽出された窒素化合物は、大部分非塩基性の窒素化合物であり、酸化により、塩基的性質を失ったものであることを示している。
【0068】
N,N'-ジメチルホルムアミド(DMF)のような非プロトン性極性溶媒を用いるヘテロ原子化合物の抽出はよく知られた方法である。しかし、水洗い(EP 0565324で用いられるような)では、油中の DMF の残存は防げないことが分かった。この残存分により、窒素含有量の評価が邪魔される。これが本出願では、水が10重量% NaCl ブラインで置き換えられた理由であるが、ブラインにより DMF 除去が改善される。しかし、微量の DMF はもとの油に残る。従って、N,N'-ジメチルホルムアミドの互変異性挙動を利用するために、酸性ブラインが使用された。酸性のブラインは、KH2PO3 を添加することにより調製され、KH2PO3 が、DMF のエノール形と相互作用をする遊離プロトンを、水媒体に供給し、互変異性のバランスを移して、油相から DMF を除去する推進力を増大させる。この挙動は添付の図6に示されている。
【0069】
発生するヒドロキシルラジカルは強力な酸化剤であり、その酸化作用は、有機過酸(有機酸および過酸化物の反応で発生するか、それ自体として添加される)の酸化作用と結びつけられて、化石油の有機化合物の酸化は改善され、生成した酸化化合物は、過酸化物−有機酸の組み合わせだけの存在下で処理された場合に比べ、極性溶媒に対するより大きい親和性を持つ。
【0070】
本発明のプロセスは、過酸経由の酸化と組み合わせたヒドロキシルラジカル経由の酸化を促進し、酸化されていないヘテロ原子化合物とともに、ニトロン類(またはN-オキシド)、スルフォキシド類、およびスルホン類のようなヘテロ原子含有化合物ならびに水酸基を持つ化合物の混合物を生成する。このことは、N,N'-ジメチルホルムアミドに可溶化された生成物および使用済み触媒にデカンテーションする有機物のフーリエ変換赤外分析によって説明される。赤外分析は、FT-IR Nicolet Magna 750 分光光度計によって実施された。
【0071】
軽油の酸化反応生成物を、N,N'-ジメチルホルムアミドで抽出し、溶媒をリン酸塩緩衝溶液(ph=4)で洗浄し、無水 MgSO4 上で乾燥して得られた抽出物の試料のスペクトルを次のように図7に示す。すなわち、
a)アルコールおよび/またはフェノールの O-H 結合の伸縮振動に典型的な広い 3200〜3600 cm-1 の吸収帯;
b)アルキル、芳香族および他の不飽和炭化水素の−C-H 伸縮に典型的な〜2854 cm-1、〜2924 cm-1 および 〜2959 cm-1、の大きく強い吸収帯。
c)加えて、ジスルフィドのようなもとの酸化されていない化合物の存在とともにニトロン類、スルホキシド類およびスルホン類の存在を示す〜1382 cm-1、〜1456 cm-1 〜1600 cm-1 および 1300〜1312 cm-1 付近の吸収帯。ジスルフィド類の存在は、特に〜1456 cm-1 および 〜1600 cm-1 付近の吸収帯で示される。
【0072】
反応が終了した後、本発明の使用済みの触媒は、通常、水洗され、n−ヘプタン洗浄され、減圧下、70℃で乾燥器で数時間乾燥され、油媒体の 〜0.2 %相当の有機物による重量増を示す固体物質が得られる。
【0073】
保持された有機物は、触媒から CH3Cl を用いて溶出し、蒸留により濃縮することができ、FT-IR 分析により図8に示すスペクトルの物質が得られる。アルキルアルコールおよび/またはフェノール化合物のような水酸基部分に特徴的な3200〜3700 cm-1 の吸収帯は現れていない。3000〜3100 cm-1 の顕著な吸収帯の組は、DMF 抽出物について観察された、アルキル、アルケニルおよび/または芳香族環の -C-H 伸縮振動と同じ組を示している。鋭く非常に強い〜1460 cm-1 および 〜1380 cm-1 の吸収帯、ならびにより小さい〜1605 cm-1 の吸収帯は、ジスルフィドまたはその他の使用済み酸化鉄中のもののような酸化されていない生成物とともに、N−オキシドおよび/またはスルホキシドを示している。これらの吸収帯の強度は DMF 抽出物中の相当物と同じ高さで、酸化鉄が、同様に、酸化された硫黄および窒素化合物の何種類かを吸着するよう作用する可能性があることを示している。
【0074】
処理された炭化水素ストリームからの、硫黄および窒素化合物の除去の有効性を評価するのに使用する分析機器に関しては、総窒素量は、ANTEK 法(ASTM D-5762)による化学ルミネセンスにより定量され;塩基性窒素含有量は、HClO4を用いる電位差滴定で定量された(N-2373/UOP-269)。総硫黄量は紫外蛍光法を用いて定量した(ASTM 法 D-5354)。
さらに、飽和、芳香族およびオレフィン化合物の含有量は、ASTM 法 D-5186-91 によって定義されている超臨界流体クロマトグラフィー測定によって定量した。
【0075】
反応後、触媒は有機化合物を溶出してリサイクルすることができ、あるいは、さらに、使用済み触媒の 40〜60 重量%の鉄を利用することのできるものならどんな工業用途でも目指すことができる。このような使用法の一つは、冶金工業のためのフィードとすることである。
【0076】
実施例
次に示す実施例は、本発明のプロセスの生成物を精製工程に向けることも、そのまま使用できる最終製品に向けることも可能であることを説明している。これら実施例は、また、従来法の非接触酸化と比較するとともに、硫黄および窒素を褐鉄鉱接触酸化により除去する技術を確立するために設定された実験室条件の最適化における実験作業の進歩を説明している。しかし、これら実施例は本発明を制限するものと解釈されるべきではない。
【実施例1】
【0077】
本実施例は、溶媒抽出に先立つ単純なブライン抽出工程が相当な量の窒素含有量の除去に十分であることを示している。補足のDMF による抽出工程も用いられた。
還流器付きの丸底 500 ml フラスコ中で、3g の褐鉄鉱(25 メッシュ、約 45重量% Fe、中央ブラジルのニッケル鉱山産)を、ディレードコーキング法で製造した軽質軽油(187℃〜372℃)(d20/4=0.862、総S=5,500ppm、総N=2,790ppm、塩基性N=2,535ppm)に加え、混合物を15 分間、激しく撹拌し続けた。次いで、20ml の 30% H2O2 を加え[モル比、H2O2/(N+S)=6.6]、混合物の pH=3.0 とするために 4ml の分析グレードの蟻酸[HCOOH/(N+S)モル比=3.4]を加え、1.5 時間室温で激しく撹拌を続けた。生成物を濾過し、NaOH 飽和溶液で pH 6〜7になるまで中和した。油相は、デカンテーションおよび 50 ml のブライン(10 重量% NaCl)で抽出して分離され、次いで蒸留水で洗浄し、ゆっくりしたデカンテーションにより安定な懸濁液として水相が得られる他に、総N=1,530 ppm(62 %除去)および総S=5,000 ppm(2 %除去)の中間油が得られた。残った触媒は、水および n−ペンタンで洗われ、60℃の乾燥器中で真空下で乾燥され、7 %の重量増を示した。この中間油は、溶媒抽出に先だって残余の水分を除去するために、無水 MgSO4 および活性 3A モレキュラーシーブ(Baker 社)と合わせて、1時間激しく撹拌した。これを等容の N,N'-ジメチルホルムアミド(DMF)分析グレードで2時間激しく撹拌して洗浄し、次いで、NaCl 溶液(10重量%)で、残余の溶媒を除くために、撹拌下で1時間洗浄した。さらに、他の相、すなわち DMF に富んだ抽出分は、NaCl 中性溶液(10 重量%)で、同様に DMF を除去するため2回洗浄し、総N = 800 ppm および塩基性N = 160 ppm すなわち、総N/ 塩基性N = 5 で、一方、もとの油は、総N/ 塩基性N = 1.1であり、これは、抽出された窒素化合物は、大部分非塩基性の窒素化合物であり、酸化により、塩基的性質を失ったものであることを示している。処理された最終製品の油は、活性 3A モレキュラーシーブ(Baker 社)上で乾燥され、透明な黄味を帯びた色を呈し、d20/4=0.81、総S=2,290ppm(55.1%合計除去率)、塩基性N=185ppm(92.7%合計除去率)、総N=331.4ppm(88.1%合計除去率)であった。
【実施例2】
【0078】
本実施例は、実施例1と比較して、厳しい酸化条件を用いる、硫黄および窒素化合物の同時除去について説明している。ブライン抽出の後でも、より良好な硫黄化合物の除去が観察された。
還流器付きの丸底 500 ml フラスコ中で、3g の褐鉄鉱(25 メッシュ、約 45重量% Fe、中央ブラジルのニッケル鉱山産)を、ディレードコーキング法で製造した軽質軽油(187℃〜372℃、d20/4=0.862、総S=5,100ppm、総N=2,790ppm、塩基性N=2,535ppm)に加え、混合物を15 分間、激しく撹拌し続けた。次いで、20ml の 30% H2O2 を加え、混合物の pH=2.0〜3.0 とするために 10 ml の分析グレードの蟻酸[HCOOH/(N+S)モル比=8.6]を加え、30 分室温で激しく撹拌を続け、さらに 20ml の H2O2(30 重量%)を加え、合計 40 ml[H2O2/(N+S)モル比=13.1]とした。最終の混合物はさらに 1.5 時間激しい撹拌を続けた。次いで、約1時間後に、発熱反応であるという観点から、フラスコは冷却された。生成物は濾過され、pH は、NaOH 飽和溶液で、8〜9 に調整された。油相を分離し、50 ml のブライン(10 重量% NaCl)で抽出し、次いで蒸留水で洗浄し、ゆっくりしたデカンテーションにより安定な懸濁液として水相が得られる他に、総N=1,245 ppm (54 %除去)および総S=4,330 ppm(15 %除去)の中間油が得られた。この中間油は、活性 3A モレキュラーシーブ(Baker 社)と接触させて、2時間激しく撹拌し、これを等容の N,N'-ジメチルホルムアミド(DMF)分析グレードで2時間激しく撹拌して洗浄した。次いで、NaCl 溶液(10 重量%)で、残余の溶媒を除くために、撹拌下で1時間洗浄した。最終の処理された油は、乾燥され、d20/4=0.80、総S=1,199ppm(76.5%合計除去率)、総N=292ppm(89.5%合計除去率)であった。
【実施例3】
【0079】
本実施例は、硫黄および窒素化合物の除去量を増すために、コロイドが用いられる本発明のプロセスを説明するもので、実施例1の過酸化物、酸および触媒量はそのままとしている。本例は、また、さらに精製工程にかけるのに適した生成物を得ることができることを説明している。
反応に先だって、150 ml のディレードコーキング法で製造した軽質軽油(187℃〜372℃)(d20/4=0.862、総 S=5,100ppm、総 N=2,790ppm、塩基性N=2,535ppm)および 50 ml の 0.25 重量%界面活性剤(ノニルフェノールエトキシレート)の一時的コロイド混合物を調製した。このコロイド混合物が一時的と呼ばれるのは、界面活性剤の量および種類が、反応時間の完了前に、液滴が合体するのを避けるように選ばれているためである。還流器付きの丸底 500 ml フラスコ中で、3g の褐鉄鉱(25 メッシュ、約 45重量% Fe、中央ブラジルのニッケル鉱山産)を、前もっての調製物に加え、この混合物を15 分間、激しく撹拌し続けた。次いで、10ml の 30% H2O2 を加え[モル比、H2O2/(N+S)=6.6]、2 ml の分析グレードの蟻酸[HCOOH/(N+S)モル比=3.4]および 1 ml の中性の 0.1M、KH2PO4/NaOH 溶液を加えた。得られた混合物(pH=3.0)は 1 時間室温で激しく撹拌された。次いで生成物を濾過し、NaOH 飽和溶液で pH 6〜7に調整した。油相は、容易に分離され、50 ml のブライン(10 重量% NaCl)で抽出され、次いで蒸留水で洗浄し、総N=936.2 ppm (66.4 %除去)および総S=4,815 ppm(5.6 %除去)の中間油が得られた。この中間油を等容の N,N'-ジメチルホルムアミド(DMF)分析グレードで2時間激しく撹拌して洗浄し、次いで、等容の KH2PO4 3 重量%溶液(pH=5.0)で、残余の溶媒を除くために、撹拌下で1時間洗浄し、蒸留水で洗浄した。最終製品の油は、活性 3A モレキュラーシーブ(Baker 社)とともに洗われ、透明な黄味を帯びた色を呈し、総S=1,522 ppm(70.2%合計除去率)、総N=173.7ppm(93.8%合計除去率)であった。
【実施例4】
【0080】
本実施例は、本発明に従って硫黄および窒素化合物の除去を改善するための、コロイドの使用についてさらに説明するもので、実施例2の過酸化物、酸および触媒量はそのままとしている。
反応に先だって、150 ml のディレードコーキング法で製造した軽質軽油(187℃〜372℃)(d20/4=0.862、総S=5,100ppm、総N=2,790ppm、塩基性N=2,535ppm)および 50 ml の 0.25 重量%界面活性剤(ノニルフェノールエトキシレート)の一時的コロイド混合物を調製した。コロイド混合物は、実施例3と同様に調製された。還流器および冷却バス付きの丸底 500 ml フラスコ中で、5g の褐鉄鉱(25 メッシュ、約 45重量% Fe、中央ブラジルのニッケル鉱山産)を、前もって調製したコロイドに加え、混合物を15 分間、激しく撹拌し続けた。次いで、30 ml の 30 重量% H2O2 を加え、15 ml の分析グレードの蟻酸[HCOOH/(N+S)モル比=8.6]および 1.5 ml の中性の 0.1M、KH2PO4/NaOH 溶液を加えた。得られた混合物(pH=3.0)は、30 分室温で、冷却しながら激しく撹拌を続けた。さらに 30 重量%の H2O2 30ml を、H2O2/(N+S)モル比=13.1 とするために加え、さらに 1.5 時間自己発熱により 23℃〜60℃まで変わる温度で、激しい撹拌を続けた。次いで、生成物を濾過し、pH は、NaOH 飽和溶液で、9 に調整した。油相を非常にゆっくり分離し、100 ml のブライン(10 重量% NaCl)で抽出し、次いで蒸留水で洗浄し、総 N=1,123 ppm (60 %除去)および総 S=4,439 ppm(13 %除去)の油が得られた。この中間油を、活性 3A モレキュラーシーブ(Baker 社)と接触させて、2時間激しく撹拌し、濾過後、これを等容の N,N'-ジメチルホルムアミド(DMF)分析グレードで2時間激しく撹拌して洗浄し、次いで、NaCl 溶液(10重量%)で、残余の溶媒を除くために、撹拌下で1時間洗浄した。最終の油は、黄味のある透明な色で、d20/4=0.78、総S=1,243ppm(75.6%合計除去率)、総N=235ppm(91.6%合計除去率)であった。
【実施例5】
【0081】
本実施例は、本発明が頁岩油の処理に応用できることを説明している。
還流器付きの丸底 500 ml フラスコ中で、5g の褐鉄鉱(25 メッシュ、約 45重量% Fe、中央ブラジルのニッケル鉱山産)を、150 ml の頁岩油(170℃〜395℃)(d20/4=0.92、総S=8,400ppm、総N=8,600ppm)に加え、混合物を15 分間、激しく撹拌し続けた。次いで、20ml の 30重量% H2O2 を加え[モル比、H2O2/(N+S)=2.2]、10 ml の分析グレードの蟻酸[HCOOH/(N+S)モル比=2.9]および 1.0 ml の 10 重量% CaCO3 溶液を加えた。得られた混合物(pH=3.0)を 1.5 時間、強い発熱反応の性質を弱めるために冷却下で激しく撹拌を続けた。次いで、生成物を濾過し、Na2SO4 5 重量%溶液で pH を9 に調整した。油相は、等容の N,N'-ジメチルホルムアミド(DMF)で抽出し、次いでリン酸塩緩衝溶液(pH=4〜5)で洗浄した。得られた油は、水で洗浄し、無水 MgSO4 で乾燥し、総N=1,443 ppm(83.2%合計除去率)総S=3,753 ppm(55.3%合計除去率)、であった。
【実施例6】
【0082】
本実施例は触媒の粒度分析の効果を説明するものである。この例は、実施例5に用いられた量より少ない酸化物を使用して、N−含有化合物をよりよく除去し、S−化合物はそれほど低くなく除去することが可能であることを示している。
還流器付きの丸底 500 ml フラスコに、ディレードコーキング法で製造した軽質軽油、100 ml(187℃〜372℃)(d20/4=0.862、総S=5,300ppm、総N=2,590ppm、塩基性N=2,346ppm)、10 ml の分析グレードの蟻酸[HCOOH/(N+S)モル比=8.8]および 1 ml の 10 重量%CaCO3 溶液を加え、混合物を 5 分間、激しく撹拌し続けた。次いで、3g の褐鉄鉱(80 メッシュ、約 45重量% Fe、中央ブラジルのニッケル鉱山産)を加え、混合物を15 分間、完全に撹拌した。15 ml の 30 重量% H2O2 [モル比、H2O2/(N+S)=5.0]を加えた。得られた混合物(pH=3.0)を23<T<26℃に制御した周囲温度で 1.5 時間激しく撹拌を続けた。生成物を濾過し、Na2SO4 5 重量%で中和した。油相を分離し、100 ml N,N'-ジメチルホルムアミド(DMF)分析グレードで2時間激しく撹拌して抽出した。抽出残油は等容のリン酸塩緩衝溶液(pH=4)で撹拌下で1時間、残溶媒を除去するために洗浄した。最終に処理された油を無水 MgSO4 で乾燥して、総S=1,333 ppm(74.9%合計除去率)、総N=146 ppm(94.4 %合計除去率)の油が得られた。この油をシリカゲルで吸着し、透明な黄色を呈する、d20/4=0.75、総 S=1,513 ppm(71.5%合計除去率)、総 N=13.4 ppm(99.5 %合計除去率)の最終の油が得られた。
【実施例7】
【0083】
本実施例は、2回の DMF 抽出とそれに続くエチルアルコール抽出について説明するものである。
還流器および冷却バス付きの丸底 500 ml フラスコに、ディレードコーキング法で製造した軽質軽油、100 ml(162℃〜360℃)(d20/4=0.861、総S=5,300ppm、総N=2,590ppm、塩基性N=2,346ppm)、10 ml の分析グレードの蟻酸[HCOOH/(N+S)モル比=8.8]を加え、混合物を5 分間、激しく撹拌し続けた。次いで、3g の褐鉄鉱(60 メッシュ、約 45 重量% Fe、中央ブラジルのニッケル鉱山産)を加え、混合物を15 分間、完全に撹拌した。25 ml の 30 重量% H2O2 [モル比、H2O2/(N+S)=8.4]を加えた。得られた混合物(pH=3.0)を23<T<26℃に制御した温度で 1.5 時間激しく撹拌を続けた。次いで生成物を濾過した。次いで、油相を分離し、100 ml N,N'-ジメチルホルムアミド(DMF)分析グレードで1時間激しく撹拌して抽出した。油相を分離し、50 ml N,N'-ジメチルホルムアミド(DMF)分析グレードで1時間激しく撹拌して抽出した。抽出残油は等容のリン酸塩緩衝溶液(pH=4)で撹拌下で1時間、残溶媒を除去するために洗浄した。このようにして得られた油を 70 ml のエチルアルコール(95% vol/vol)で1時間激しく撹拌して抽出した。処理された油を無水 MgSO4 で乾燥して、透明な強い緑色を呈する、d2 0 / 4=0.82、総S=1,518 ppm(71.4 %合計除去率)、総N=125.3 ppm(95.2 %合計除去率)の油が得られた。
【実施例8】
【0084】
本実施例は、抽出はエチルアルコールだけで、次いでシリカゲル吸着を用いることを説明している。本実施例は、さらに精製工程にかけるフィード原料の製造に焦点をおいている。
フィードは、重質ディーゼル油、LCO(軽質循環油)および軽質軽油の調合物で、次の特性を有する:d20/4=0.882、総S=4,837ppm、総N=1,587ppm、および蒸留範囲139℃〜473℃。
還流器および冷却バス付きの丸底 500 ml フラスコに、上述のフィード 100 ml、10 ml の分析グレードの蟻酸[モル比 HCOOH/(N+S)=11.1]を加え、混合物を5 分間、激しく撹拌し続けた。次いで、3g の褐鉄鉱(60 メッシュ、約 45 重量% Fe、中央ブラジルのニッケル鉱山産)を加え、混合物を15 分間、完全に撹拌した。次いで、20 ml の 30 重量% H2O2 [モル比 H2O2/(N+S)=8.5]を加えた。得られた混合物(pH=3.0)を20<T<23℃に制御した温度で 1.5 時間激しく撹拌を続けた。次いで生成物を濾過した。次いで、油相を分離し、50 ml エチルアルコール(95% vol)で1時間激しく撹拌して抽出した。集められた油相は、95 ml の体積で、50 ml エチルアルコール(95% vol)でさらに1時間激しく撹拌して再び抽出した。油相を集め、90 ml 体積の、総S=2,287 ppm(52.7 %除去率)、総N=280.6 ppm(82.3 %除去率)の中間製品 A が得られた。次いで、油相を等量の蒸留水で、1時間激しく撹拌して洗い、次いで2時間活性化モレキュラーシーブ 3A (Baker) とともに撹拌して、アルコールおよび水含有量 <0.5 質量%、総S=1,819 ppm(62.4%合計除去率)、総N=184.6 ppm(88.4 %合計除去率)の中間製品 B が得られた。この油をシリカゲル吸着処理し、僅かに緑色を帯びた透明な黄色を呈する、d20/4=0.86、総S=1,545 ppm(71.4%合計除去率)、総N=68.2 ppm(95.7 %合計除去率)の最終製品が得られた。
【実施例9】
【0085】
本実施例は、無機酸による第1の段階とそれに続く有機酸による段階を含む反応を説明するものである。 DMF 抽出とそれに続くシリカゲル吸着が用いられた。得られた生成物は、さらに精製工程にかけることができる。除去の程度は前の諸例より高い。
還流器付き、冷却装置なしの丸底 500 ml フラスコに、ディレードコーキング法で製造した軽質軽油 100 ml(d20/4=0.861、総S=5,300ppm、総N=2,590ppm、塩基性N=2,346ppm、162℃〜360℃、)および 3g の褐鉄鉱(60 メッシュ、約 45 重量% Fe、中央ブラジルのニッケル鉱山産)を加え、混合物を15 分間、激しく撹拌し続けた。次いで、10 ml のリン酸塩緩衝溶液(pH= 3)を加え、混合物を15 分間完全に撹拌した。次いで、10 ml の 30 重量% H2O2 を加え、混合物(pH=5)を、1時間、20℃〜24℃で完全に撹拌した。次いで、10 ml の分析グレードの蟻酸[モル比 HCOOH/(N+S)=8.8]を加え、さらに 20 ml の 30 重量% H2O2 を最終のモル比が H2O2/(N+S)=10.1 になるように加え、混合物を、1時間、反応系の自己発熱による 24℃〜31℃の温度で、完全に撹拌した。次いで生成物を濾過した。油相(95 ml)を分離し、100 ml N,N'-ジメチルホルムアミド(DMF)分析グレードで1時間激しく撹拌して抽出した。集められた油相(77 ml 容積)は等容のリン酸塩緩衝溶液(pH= 3)で1時間、激しく撹拌して残留溶媒を除くために洗浄し、無水 MgSO4 で乾燥し、総S=1,286 ppm(75.7 %除去率)、総N=84.5 ppm(96.7 %除去率)の中間製品が得られた。この中間油をシリカゲル吸着処理し、僅かに黄味を帯びた透明な、d20/4=0.79、総S=1,230 ppm(76.8 %合計除去率)、総 N=47.1 ppm(98.2 %合計除去率)の最終製品が得られた。
【実施例10】
【0086】
本実施例は、フィードにディレードコーキング法で製造し、その結果オレフィン分に富んだ軽質軽油を用いる最適な反応条件の組み合わせを説明するものである。無機酸が有機酸と組み合わされている。この方式により、オレフィン類とともに硫黄および窒素化合物が高度に除去される。
還流器付き、冷却装置なしの丸底 500 ml フラスコ中に、ディレードコーキング法で製造した軽質軽油 200 ml(d20/4=0.861、総S=5,300ppm、総N=2,590ppm、塩基性N=2,346ppm、162〜360℃、飽和化合物 47.3 重量%、オレフィン類 20 重量%、芳香族類 33.1 重量%)および 3g の褐鉄鉱(150 メッシュ、約 45 重量% Fe、中央ブラジルのニッケル鉱山産)を加え、混合物を15 分間、激しく撹拌し続けた。次いで、0.5 ml の分析グレード H3PO4 を加え、pH を 5〜6 とし、混合物をさらに 15 分間完全に撹拌した。次いで、10 ml の 50 重量% H2O2 を加え、混合物(pH=5)は、1時間、初め 23℃で、自己発熱により 32℃で終わる温度で完全に撹拌された。次いで、10 ml の分析グレードの蟻酸[モル比 HCOOH/(N+S)=8.8]を加え、追加の3g の褐鉄鉱(150 メッシュ)およびさらに10 ml の 50 重量% H2O2 を最終のモル比が H2O2/(N+S)= 11.2 になるように加え、混合物を、pH = 3 で1時間、初め 32℃で、反応系が強力な発熱反応の性格を持つことによる自己発熱により23 分後、97.5℃になり、その後周囲温度で反応終了まで完全に撹拌された。次いで生成物を濾過し、油相を分離し、オレフィン類は、もとのフィード原料に比べて 50.3 %減少した。この油相を 100 ml N,N'-ジメチルホルムアミド(DMF)分析グレードで1時間激しく撹拌して抽出した。集められた油相は等容のリン酸塩緩衝溶液(pH= 3)で1時間、激しく撹拌して残留溶媒を除くために洗浄し、無水 MgSO4 で乾燥し、総S=796 ppm(85%除去率)、総N=81.5 ppm(96.9 %合計除去率)の中間製品が得られた。この中間油をシリカゲル吸着処理し、透明な、d20/4=0.78、総 S=662 ppm(87.5%合計除去率)、総N=10 ppm(99.6 %合計除去率)の最終製品が得られた。
【実施例11】
【0087】
本実施例は、大部分常圧直留フィード原料から成るフィード原料を用いる最適反応条件を説明するものである。無機酸が有機酸と組み合わされ、オレフィン除去とともに深度脱硫および深度脱窒素が行われる。
還流器付き、冷却装置なしの丸底 500 ml フラスコ中に、重質ディーゼル油(60 % vol/vol)、軽質循環油(14 % vol/vol)およびディレードコーキング法で製造した軽質軽油(26 vol/vol%)で調合した軽油 200 ml(d20/4=0.882、総S=4,837ppm、総 N=1,587ppm、139℃〜473℃、飽和化合物 51 重量%、オレフィン類 7 重量%、芳香族類 41.6 重量%)を加えた。次いで、1 ml の分析グレード H3PO4、10 ml の分析グレードの蟻酸 HCOOH/(N+S)=5.7 および25 ml の 50 重量% H2O2、H2O2/(N+S)=9.1を加え、混合物を5分間撹拌し続けた。次いで、6 g の褐鉄鉱(150 メッシュ、約 45 重量% Fe、中央ブラジルのニッケル鉱山産)、5 ml の分析グレードの蟻酸をHCOOH/(N+S)モル比=8.5 になるように、10 ml の 50 重量% H2O2 水溶液を H2O2/(N+S)=10.9 になるように加え、混合物(pH 2〜3)を初め 23℃で、反応系が強力な発熱反応の性格を持つことによる自己発熱により30 分後 98℃になり、その後終了までに 35℃に下げられる温度条件で、1時間激しく撹拌し続けた。反応混合物は、さらに 6g の量の褐鉄鉱(150 メッシュ)を加え、35℃の温度が周囲温度に下がるまでさらに1時間撹拌を続けた。次いで生成物を濾過し、油相を分離し、オレフィン類は、もとのフィード原料に比べて 55.7 %減少した。この油相を等容の N,N'-ジメチルホルムアミド(DMF)分析グレードで1時間激しく撹拌して抽出した。集められた油相は等容のリン酸塩緩衝溶液(pH= 3)で1時間、激しく撹拌して残留溶媒を除くために洗浄し、無水 MgSO4 で乾燥し、シリカゲルで吸着処理し、透明な、d20/4=0.80、総S=145 ppm(97.0%合計除去率)、総N=5 ppm(99.7 %合計除去率)の最終製品が得られた。
【0088】
比較例
EP0565324 で開示されている酸化処理は、石油関連製品中の硫黄化合物を、該油を H2O2 と蟻酸だけ、すなわち本発明のような固体触媒なしに、混合して酸化し、抽出と吸着によりフィード中の硫黄化合物を減らすと報告されている。しかし、このような刊行物では、窒素化合物の酸化および除去についても、オレフィン化合物類の酸化または除去についても言及されていない。
この点から、硫黄除去だけでなく、上記刊行物では考慮されなかった化合物の除去、すなわち、酸化後の生成物中のオレフィン化合物だけでなく、最終生成物中の窒素の除去の程度についても比較するためのデータが取れるように、本明細書で用いられたフィードについて、固体触媒を用いない酸化条件が本発明で実施された。
【0089】
この比較の目的で、異なる化学的性質を有する2種のフィード原料が試験された。
フィード原料1: 減圧蒸留石油残渣のディレードコーキング処理の副生物である軽油から成る沸点範囲 162-360℃の化石油。このフィード原料の性質は:(d20/4=0.861、総S=5,300ppm、総N=2,590ppm、塩基性N=2,346ppm、飽和化合物 47.3 重量%、オレフィン類 20 重量%、芳香族類 33.1 重量%)
フィード原料2: 直接常圧蒸留による重質ディーゼル油(60 % vol/vol)、軽質循環油(14 % vol/vol)およびディレードコーキング法で製造した軽質軽油(26 % vol/vol)で調合した、沸点範囲 139-473℃の化石油で、このフィード原料の全体としての性質は:(d20/4=0.882、総S=4,837ppm、総N=1,587ppm、飽和化合物 51 重量%、オレフィン類 7 重量%、芳香族類 41.6 重量%)
【0090】
比較例を次表に示すが、反応条件は、酸化鉄が無いという点を除いては、本発明で実施されたものと類似で、褐鉄鉱酸化鉄触媒を油媒体中で用いることにより改善された結果が得られることを示している。
1.石油残渣の、ディレードコーキングのような熱転化により生成する軽油(フィード原料1)については、褐鉄鉱酸化鉄による触媒作用のある場合の、硫黄、窒素およびオレフィン化合物の除去の程度は、固体触媒を用いない最新技術実験により到達した程度よりもいずれも優れている。
2.主として石油の直接蒸留生成物から調合される軽油(フィード原料2)については、どちらも高度の窒素除去ができるが、褐鉄鉱酸化鉄触媒を用いたときに、より顕著である。オレフィン不飽和化合物除去の場合も類似しているが、フィード原料1の結果に比べてわずかに優れている。フィード原料2のほうがオレフィン分が多い。
【0091】
最新技術による、非接触酸化試験は、油フィード原料を、前もって撹拌下で15分間モル比 HCOOH/H2O2=1.6 で混合した HCOOH および H2O2(水中 50 重量%)に注いで実施した。できた液体を1時間 30℃で激しく撹拌し、60℃になるようにさらに1時間加熱した。反応後の手順は接触反応の場合と同様であった。
【0092】
Figure 2004532326
(a) 最新技術と本発明の間の主な相違は、非接触最新技術のプロセスは、適当な酸化水準に達するのに少なくとも 60℃ に加熱することを要する一方、褐鉄鉱酸化鉄を用いる本発明のプロセスでは同じか、それ以上の酸化および除去水準に全く加熱なしに到達することであることが念頭に置かれるべきである。
(b) 酸化後の油中のオレフィン類、飽和および芳香族成分、すなわち、洗浄、抽出および吸着前の油生成物。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】過酸化水素および有機酸の存在下で、スルホキシド類およびスルホン類を発生するジベンゾチオフェンのようなモデル硫黄化合物の酸化機構の説明図である。
【図2】相当するN−酸化物の生成および有機酸の再生をするためのキノリンのようなモデル窒素化合物の酸化機構の説明図である。
【図3】過酸化水素の自然分解機構の説明図である。
【図4】ヒドロキシルラジカルを生成するためのフェントン試薬、すなわち H2O2 および第一鉄の混合物の組成の説明図である。
【図5】ヒドロキシルラジカルを消費したり、生成反応と競争反応となるような副反応の機構の説明図である。
【図6】N,N'-ジメチルホルムアミドの互変異性挙動の説明図である。
【図7】本発明による、化石炭化水素ストリーム中に存在する有機化合物の酸化反応により生じる DMF 可溶の酸化後の物質の FT-IR スペクトルである。
【図8】本発明による、化石炭化水素ストリーム中に存在する有機化合物の酸化反応に用いられた使用済み酸化鉄触媒からの溶出した生成物の FT-IR スペクトルである。

Claims (43)

  1. 硫黄、窒素および不飽和化合物で汚染された化石炭化水素ストリーム中の硫黄、窒素および不飽和化合物を、接触酸化する、下記の工程を包含するプロセス:
    a)微粉粗酸化鉄を準備すること;
    b)少なくとも1種の酸を準備すること;
    c)少なくとも1種の過酸化物を準備すること;
    d)大気圧下および周囲と同じか超える温度の下で、撹拌しながら、上記の有機酸、上記の硫黄、窒素および不飽和化合物で汚染された炭化水素ストリーム、次いで過酸を得るために上記の過酸化物を混合し、そのときの過酸化物および有機酸の、炭化水素ストリーム中に存在する硫黄および窒素の合計に対する相対的なモル量は少なくとも 3.0 で、pH は 2.0〜6.0 で、不飽和物、硫黄および窒素汚染物質が部分的に酸化された炭化水素ストリームが得られるに必要な時間をかけるように、硫黄および窒素汚染物質と同様に不飽和化合物を酸化すること;
    e)大気圧下で、周囲温度と同じか超える温度で、この周囲温度を超える温度はプロセス自体から生じるのであるが、撹拌しながら、上記の部分的に酸化された炭化水素ストリームに、酸化鉄、炭化水素ストリームならびに酸化された、不飽和化合物、硫黄および窒素化合物のスラリーが得られるように、触媒量の上記微紛酸化鉄を加えることによって発生したヒドロキシルラジカル酸化剤の存在下で、反応条件を1〜2時間、および酸性 pH を 2.0〜6.0 に保ち、上記不飽和化合物を硫黄および窒素汚染物質と同様に、さらに酸化すること;
    f)反応の終了後、水相および油質の炭化水素相を含む反応媒体を濾過し、消費された酸化鉄触媒を分離すること;
    g)有機物に富んだ水相を分離するためデカンテーションすること;
    h)出来た炭化水素相の pH を 6.1〜9.0 に変えて、油相を回収すること;
    i)酸化物質が所望の水準になるように抽出するために油相を後処理すること;および
    j)硫黄化合物が 0.01 重量%〜0.2 重量%および窒素化合物が 0.001 重量%〜0.15 重量%、最終のオレフィン含有量が最初のオレフィン含有量の最大 50 %である後処理された炭化水素相を回収すること。
  2. 硫黄、窒素および不飽和化合物で汚染された化石炭化水素ストリーム中の硫黄、窒素および不飽和化合物を、接触酸化により除去する、下記の工程を包含するプロセス:
    a)微粉粗酸化鉄を準備すること;
    b)少なくとも1種の酸を準備すること;
    c)少なくとも1種の過酸化物を準備すること;
    d)大気圧下および周囲と同じか超える温度の下で、撹拌しながら、上記の有機酸、上記の硫黄、窒素および不飽和化合物で汚染された炭化水素ストリーム、次いで過酸を得るために上記の過酸化物を混合し、そのときの過酸化物および有機酸の、炭化水素ストリーム中に存在する硫黄および窒素の合計に対する相対的なモル量は少なくとも 3.0 で、pH は 2.0〜6.0 で、不飽和物、硫黄および窒素汚染物質が部分的に酸化された炭化水素ストリームが得られるに必要な時間をかけるように、硫黄および窒素汚染物質と同様に不飽和化合物を酸化すること;
    e)大気圧下で、周囲温度と同じか超える温度で、この周囲温度を超える温度はプロセス自体から生じるのであるが、撹拌しながら、上記の部分的に酸化された炭化水素ストリームに、酸化鉄、炭化水素ストリームならびに酸化された、不飽和化合物、硫黄および窒素化合物のスラリーが得られるように、触媒量の上記微紛粗酸化鉄を加えることによって発生したヒドロキシルラジカル酸化剤の存在下で、反応条件を1〜2時間、および酸性 pH を 2.0〜6.0 に保ち、上記不飽和化合物を硫黄および窒素汚染物質と同様に、さらに酸化すること;
    f)反応の終了後、水相および油質の炭化水素相を含む反応媒体を濾過し、消費された酸化鉄触媒を分離すること;
    g)有機物に富んだ水相を分離するためデカンテーションすること;
    h)出来た炭化水素相の pH を 6.1〜9.0 に変えて、油相を回収すること;
    i)酸化物質が所望の水準になるように抽出/除去するために油相を後処理すること;および
    j)硫黄化合物が 0.01 重量%〜0.2 重量%および窒素化合物が 0.001 重量%〜0.15 重量%、最終のオレフィン含有量が最初のオレフィン含有量の最大 50 %である後処理された炭化水素相を回収すること。
  3. 硫黄、窒素および不飽和化合物で汚染された炭化水素ストリームを接触酸化して、精製プロセスに適した炭化水素ストリームを得るための、下記の工程を包含するプロセス:
    a)微粉粗酸化鉄を準備すること;
    b)少なくとも1種の酸を準備すること;
    c)少なくとも1種の過酸化物を準備すること;
    d)大気圧下および周囲と同じか超える温度の下で、撹拌しながら、上記の有機酸、上記の硫黄、窒素および不飽和化合物で汚染された炭化水素ストリーム、次いで過酸を得るために上記の過酸化物を混合し、そのときの過酸化物および有機酸の、炭化水素ストリーム中に存在する硫黄および窒素の合計に対する相対的なモル量は少なくとも 3.0 で、pH は 2.0〜6.0 で、不飽和物、硫黄および窒素汚染物質が部分的に酸化された炭化水素ストリームが得られるに必要な時間をかけるように、硫黄および窒素汚染物質と同様に不飽和化合物を酸化すること;
    e)大気圧下で、周囲温度と同じか超える温度で、この周囲温度を超える温度はプロセス自体から生じるのであるが、撹拌しながら、上記の部分的に酸化された炭化水素ストリームに、酸化鉄、炭化水素ストリームならびに酸化された、不飽和化合物、硫黄および窒素化合物のスラリーが得られるように、触媒量の上記微紛粗酸化鉄を加えることによって発生したヒドロキシルラジカル酸化剤の存在下で、反応条件を1〜2時間、および酸性 pH を 2.0〜6.0 に保ち、上記不飽和化合物を硫黄および窒素汚染物質と同様に、さらに酸化すること;
    f)反応の終了後、水相および油質の炭化水素相を含む反応媒体を濾過し、消費された酸化鉄触媒を分離すること;
    g)有機物に富んだ水相を分離するためデカンテーションすること;
    h)出来た油質の炭化水素相の pH を 6.1〜9.0 に変えて、油相を回収すること;
    i)酸化物質が所望の水準になるように抽出するために油相を後処理すること;および
    j)0.1 重量%未満の窒素化合物を含有し、質量バランス収率が 80〜90 重量%台である、さらに精製することに適した、後処理された炭化水素相を回収すること。
  4. 硫黄、窒素および不飽和化合物汚染物質を含有する炭化水素ストリームを接触酸化して、深度脱硫および深度脱窒素した生成物を得るための、下記の工程を包含するプロセス:
    a)微粉粗酸化鉄を準備すること;
    b)少なくとも1種の酸を準備すること;
    c)少なくとも1種の過酸化物を準備すること;
    d)大気圧下および周囲と同じか超える温度の下で、撹拌しながら、上記の有機酸、上記の硫黄、窒素および不飽和化合物で汚染された炭化水素ストリーム、次いで過酸を得るために上記の過酸化物を混合し、そのときの過酸化物および有機酸の、炭化水素ストリーム中に存在する硫黄および窒素の合計に対する相対的なモル量は少なくとも 3.0 で、pH は 2.0〜6.0 で、不飽和物、硫黄および窒素汚染物質が部分的に酸化された炭化水素ストリームが得られるに必要な時間をかけるように、硫黄および窒素汚染物質と同様に不飽和化合物を酸化すること;
    e)大気圧下で、周囲温度と同じか超える温度で、この周囲温度を超える温度はプロセス自体から生じるのであるが、撹拌しながら、上記の部分的に酸化された炭化水素ストリームに、酸化鉄、炭化水素ストリームならびに酸化された、不飽和化合物、硫黄および窒素化合物のスラリーが得られるように、触媒量の上記微紛粗酸化鉄を加えることによって発生したヒドロキシルラジカル酸化剤の存在下で、反応条件を1〜2時間、および酸性 pH を 2.0〜6.0 に保ち、上記不飽和化合物を硫黄および窒素汚染物質と同様に、さらに酸化すること;
    f)反応の終了後、水相および油質の炭化水素相を含む反応媒体を濾過し、消費された酸化鉄触媒を分離すること;
    g)有機物に富んだ水相を分離するためデカンテーションすること;
    h)出来た油質の炭化水素相の pH を 6.1〜9.0 に変えて、油相を回収すること;
    i)酸化物質が所望の水準になるように抽出するために油相を後処理すること;および
    j)硫黄化合物が 0.015 重量%(150 ppm)未満で、窒素化合物が 0.001 重量%(10 ppm)未満であり、最終のオレフィン含有量が、もとのオレフィン含有量の最大 50 %であり、質量バランスによる収率が 50 重量%台である、後処理された、深度脱硫および深度脱窒素された生成物を回収すること。
  5. 化石炭化水素ストリームが、単独でまたは任意の量で混合されている原油もしくは原油の重質留分、燃料、潤滑油、原頁岩油もしくはその留分、または単独でまたは任意の量で混合されているその留分、液化石炭油および関連製品、オイルサンドおよび関連製品を包含する請求項1,2,3または4記載のプロセス。
  6. 化石炭化水素ストリームが、約500℃までの終点沸点(EBP)を有する、すなわち、軽油ストリームおよび重質ディーゼル油または軽質ディーゼル油のような中間留分で単独か任意の量で混合されたものである請求項1,2,3または4記載のプロセス。
  7. 炭化水素ストリームが、石油誘導体ストリームならびに頁岩油および関連誘導体ストリームにつき、2.0 重量%の総N および 2.0 重量%の総S を上限として含有し、40 重量%を上限とする不飽和化合物を、直鎖または環状であるモノオレフィン類、ジオレフィン類および3個以上の2重結合のオレフィン類として含有する請求項1,2,3または4記載のプロセス。
  8. 少なくとも1種の過酸化物が、アルキルヒドロペルオキシドおよび ROOH の式のアシルヒドロペルオキシドから選ばれる有機過酸化物であり、ここで R がアルキル、Hn+2CnC(=O)- (n>=1)、HC(=O)-、アリール-C(=O)-である請求項1,2,3または4記載のプロセス。
  9. 少なくとも1種の過酸化物が、過酸化水素 H2O2 から成る無機過酸化物である請求項1,2,3または4記載のプロセス。
  10. 過酸化物が有機および無機過酸化物の任意の量の混合物である請求項1,2,3または4記載のプロセス。
  11. 少なくとも1種の酸が、カルボン酸、ジカルボン酸およびポリカルボン酸から選ばれる有機酸である請求項1,2,3または4記載のプロセス。
  12. 有機酸が蟻酸、酢酸、XmCH3-mCOOH (m=1〜3, X=F, Cl, Br)である請求項11記載のプロセス。
  13. 酸が、リン酸、炭酸、およびこれらの緩衝溶液から選ばれる無機酸である請求項1,2,3または4記載のプロセス。
  14. 有機酸が無機酸の後に加えられる請求項12または13記載のプロセス。
  15. 接触酸化のための成分の添加順序を代えて、油媒体に有機酸、次いで、化石油媒体中の酸化鉄スラリーを得るために微紛粗酸化鉄、および少なくとも1種の過酸化物を加える請求項1,2,3または4記載のプロセス。
  16. 接触酸化のための成分の添加順序を代えて、接触酸化のための成分の添加順序が化石油媒体に無機酸、次いで、化石油媒体中の酸化鉄スラリーを得るために微紛粗酸化鉄、次いで有機酸および少なくとも1種の過酸化物を加える請求項1,2,3または4記載のプロセス。
  17. 接触酸化のための成分の添加順序を代えて、化石油媒体に少なくとも1種の過酸化物、次いで少なくとも1種の有機酸、および酸化鉄を加える請求項1,2,3または4記載のプロセス。
  18. 接触酸化のための成分の添加順序を代えて、少なくとも1種の有機酸および少なくとも1種の過酸化物を撹拌下で混合し、次いで化石油媒体および微紛粗酸化鉄を加える請求項1,2,3または4記載のプロセス。
  19. 接触酸化のための成分の添加順序を代えて、化石油媒体に微紛粗酸化鉄および過酸を加える請求項1,2,3または4記載のプロセス。
  20. 接触酸化のための成分の添加順序を代えて、化石油媒体に微紛粗酸化鉄、次いで、少なくとも1種の無機酸および過酸を加える請求項1,2,3または4記載のプロセス。
  21. 接触酸化のためのすべての成分を混合し、同時に化石油媒体に導入する点を代えた請求項1,2,3または4記載のプロセス。
  22. 該プロセスの温度が、外部加熱を何も加えることなしに、20℃〜100℃である請求項1,2,3または4記載のプロセス。
  23. 酸化鉄化合物が、非晶型、結晶型および半結晶型の酸化鉄化合物から選ばれる請求項1,2,3または4記載のプロセス。
  24. 微紛粗酸化鉄が式 FeOOH のオキシ水酸化鉄を包含する請求項1,2,3または4記載のプロセス。
  25. 微紛粗酸化鉄が式 FeOOH.nH2O の水和オキシ水酸化鉄を包含する請求項1,2,3または4記載のプロセス。
  26. オキシ水酸化鉄が、α-FeOOH(針鉄鉱)、γ-FeOOH(鱗鉄鉱)、β-FeOOH(アカガナイト)およびδ'-FeOOH(フェロキサイト)のような種々の結晶型から選ばれる請求項25記載のプロセス。
  27. オキシ水酸化鉄結晶が褐鉄鉱鉱石母材に埋めこまれていて、その鉄含有量が40〜60 重量%である請求項27記載のプロセス。
  28. 褐鉄鉱鉱石粒子が、粒度分析で 0.71 mm(25 タイラーメッシュ)以下である請求項27記載のプロセス。
  29. 褐鉄鉱鉱石粒子が、粒度分析で 0.25 mm(60 タイラーメッシュ)以下である請求項27記載のプロセス。
  30. 褐鉄鉱鉱石粒子が、粒度分析で 0.04 mm(325 タイラーメッシュ)以下である請求項27記載のプロセス。
  31. 微紛粗酸化鉄触媒の量が、該プロセスに投入される炭化水素ストリームの量を基礎にして、0.01〜5.0 重量%である請求項1,2,3または4記載のプロセス。
  32. 酸化鉄触媒の量が、該プロセスに投入される炭化水素ストリームの量を基礎にして、1.0〜3.0 重量%である請求項1,2,3または4記載のプロセス。
  33. 反応の最後に分離される使用済み鉄酸化触媒がリサイクルされる請求項1,2,3または4記載のプロセス。
  34. 反応の最後に分離される使用済み鉄酸化触媒が酸化有機化合物の除去のため溶出される請求項1,2,3または4記載のプロセス。
  35. 反応の最後に分離される使用済み鉄酸化触媒が、この使用済み触媒中に存在する 40〜60 重量%の鉄を使用できる任意の産業用途に使用される請求項1,2,3または4記載のプロセス。
  36. 後処理工程 j) が、油相から、酸化された化合物を水で抽出することを包含する請求項1,2,3または4記載のプロセス。
  37. 後処理工程 j) が、油相から、酸化された化合物を、最高 10 重量% NaCl ブライン水溶液で抽出することを包含する請求項1,2,3または4記載のプロセス。
  38. 後処理工程 j) が、油相から、酸化された化合物を、非プロトン性極性溶媒で抽出することを包含する請求項1,2,3または4記載のプロセス。
  39. 非プロトン性極性溶媒が、N,N'-ジメチルホルムアミド、N,N'-ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、N,N'-ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、トリアルキルフォスフェート、ニトロメタン、メチルアルコール、エチルアルコール、フルフラール、の単独または任意の量の混合物である請求項38記載のプロセス。
  40. ヘテロ原子有機化合物の酸化のための、過酸化物/ヘテロ原子および有機酸/ヘテロ原子のモル比が双方とも 2.0 以上である請求項1,2,3または4記載のプロセス。
  41. 抽出工程 j) が、酸化された化合物を吸着剤に吸着させることを包含する請求項1,2,3または4記載のプロセス。
  42. 吸着剤がアルミナである請求項41記載のプロセス。
  43. 吸着剤がシリカゲルである請求項41記載のプロセス。
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