JP2004526652A - シェル形状の炭素微粒子製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】より実用的で高い生産性及びエネルギー効率を有するシェル形状の炭素微粒子製造方法の提供。
【解決手段】本発明はシェル形状の炭素微粒子を製造する方法に関する。 本発明の方法は炎内部や熱分解工程中に生成される微粒子形態の炭化水素化合物にレーザビームを放射して微粒子の化学反応を伴う物理的構造変化を誘導することによって、中空の結晶構造を有する炭素微粒子を連続的に製造する段階を含む。
【選択図】図1

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は炭化水素を利用した炎や熱分解工程で発生する炭素ばい煙粒子からセル形状の炭素粒子を製造する方法に係り、より詳細には炭素ばい煙粒子の初期段階の物質にレーザを放射して粒子の大きさ、形状及び結晶構造を変化させることによって一般ばい煙とは異なる構造及び物性を有するシェル形状の炭素粒子を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シェル形状の炭素微粒子は、その構造的特異性に起因して非常に優れる電気的、光学的、機械的、化学的物性を有しており、このために色々な分野で現在の技術的限界を克服しうる未来の素材として認識されている。液晶表示素子は、有機化合物が液晶状に存在する時に体系的方式で光と相互作用する電気的活性を帯びる特性を表示装置に利用したものである。このような液晶表示素子は小型であり重量が軽くて消費電力が少ないだけでなく、人体に有害な電磁波が発生されないという利点があって、電子計算機またはノート型パソコンをはじめとして、デスクトップコンピュータ用モニタまたはテレビモニタに至るまで広範囲に使われている。
【0003】
シェル形状の炭素微粒子を製造する既存の方法は、物理的方法、化学的方法及び後処理方法に区分できる。
【0004】
物理的方法は、基本的に母材である炭素物質(例、黒鉛)に高出力のレーザやアーク電極を通した強いエネルギーを放射してシェル形状の炭素微粒子を製造する方法である。しかし、このような物理的の方法は母材の急激な消耗及び変形を誘発するので、母材を頻繁に交換しなければならず、生成される粒子上物質のうち1%未満の極少数だけがフラーレン、炭素ナノチューブを含んだシェル形状の炭素微粒子であり、残り大部分は非晶質構造を有するばい煙粒子であるので、その収率が非常に低い。
【0005】
化学的な方法は、主に気状や液状の炭化水素物質を燃焼させたり、前記物質に熱を加えることによって一連の化学反応を通した熱分解過程を利用してシェル形状の炭素微粒子を製造する方法である。このような化学的方法は物理的の方法に比べて装置及び方法が相対的に簡単でエネルギー消耗量が少なく、連続的製造が可能であるが、物理的方法と同様に付随的に生成されるばい煙粒子に比べてシェル形状の炭素粒子量が非常に小さくてその収率がむしろ物理的方法よりも低く、供給された炭化水素物質に比べては0.01%以下である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
後処理方法は前記のような物理的方法や化学的な方法を通じて製造されるばい煙やカーボンブラックのような非晶質炭素粒子を収去して、このばい煙粒子に再びレーザ放射、電子ビーム放射及び加熱の方法を通じて別途の物理的エネルギーを加えることによって非晶質炭素粒子をシェル形状の炭素微粒子に変化させる方法である。このような後処理方法はその収率が相対的に高いのに反して、ばい煙粒子を生成させた後再び収去して再処理しなければならない工程上の非連続性が問題点として認識されており、再処理対象である炭素粒子が物理的及び化学的に安定した状態なので、この構造を変形するためには相対的に非常に大きいエネルギーや長時間の処理過程が要求される。
【0007】
したがって、より実用的で高い生産性及びエネルギー効率を有するシェル形状の炭素微粒子製造方法が切実に要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記のような物理的方法や化学的方法及び後処理方法が有する低い実用性と生産性とを改善するために創案されたものであって、最小限のエネルギーを使用しつつ高純度のシェル形状炭素微粒子を連続的に製造しうる方法を提供する。
本発明は、前記目的を達成するために、炎または熱分解方式によって炭化水素物質から炭素核が生成されないばい煙前駆体を形成する段階、前記ばい煙前駆体にレーザを放射して、ばい煙前駆体の表面の炭化反応を促進する段階及び前記炭化反応の結果、ばい煙前駆体の表面には炭素層が形成され、前記ばい煙前駆体の内部物質は加熱によって外部へ抜け出て、シェル形状の炭素粒子が形成される段階を含むことを特徴とするシェル形状の炭素微粒子製造方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、添付された図面を参照しつつ本発明をより具体的に説明する。
【0010】
本発明は前述したような既存の物理的方法、化学的方法及び後処理方法が抱いている問題点を解決しようと創案されたものであって、化学的方法を通じて生成されている炭素粒子の生成過程のうちレーザビームを放射することによって化学反応及び物理的結晶構造の変化を同時に誘発させて最小限のエネルギーを使用しつつ高純度の炭素微粒子を連続的に製造することを特徴とする。
【0011】
ばい煙前駆体やばい煙粒子を生成させる方式では、各種の炎を利用して炭化水素物質を酸化剤と反応させる燃焼方式や、加熱炉を利用して炭化水素物質を加熱する熱分解方式がある。炭化水素物質を燃焼させたり、前記物質に熱を加えて約1000K以上の温度となる場合、一連の化学反応を通した炭化水素の熱分解過程が進行され、この過程で最終的に非晶質結晶構造を有する微細炭素粒子であるばい煙粒子が生成される。
【0012】
図1は、熱分解方式で生成されるばい煙粒子の生成過程を説明するための図面であって、各生成段階別ばい煙及びばい煙前駆体粒子の形状を示している。示されたようにばい煙粒子の生成は炭化水素物質の熱分解及びこれから派生される一連の化学反応及び物理的現象によってばい煙前駆体1、炭素核2、初期段階のばい煙粒子3、成熟段階のばい煙粒子4の順に進行される。ばい煙粒子が生成されるメカニズムを段階別に注意深く見れば、次のようである。
【0013】
炭化水素の熱分解過程で化学的で安定した5角環及び6角環分子構造を有する多環芳香族炭化水素(PAH:Polycyclic Aromatic Hydrocarbon)が生成され、生成されたPAH分子は周辺の炭化水素と反応してさらに大きい分子量を有するPAH分子に成長する。また、このようなPAHの成長過程は必然的にPAHの炭素構成比(C/H比)の増大現象を伴う。
【0014】
PAHが成長して分子量が大きくなるほどPAH分子の沸点が増加され、分子量が約1000〜2000amu以上になればPAH粒子は相対的に高温である約1000Kでも凝縮現象が発生する。したがって、熱分解過程で急激な成長反応によって分子量が十分に大きいPAHが生成されれば、このようなPAH分子が凝縮して炎内または炉内でばい煙前駆体1であるPAH液滴を形成する。
【0015】
このように生成されたばい煙前駆体1はまだ高い反応性を維持しているので、外部の炭化水素気体と反応して成長を持続する一方、液滴の内部でも一連の化学反応が進行されてPAH分子間の化学的結合が進行される。このような内外部の化学反応過程からPAH分子内の炭素原子数が増加し、水素原子数が減少し、炭素構成比が急増するが、この過程を炭化過程という。このような過程で、液滴の表面や内部に完全に炭化された地域が部分的に発生するが、このような現象を炭素核2の生成という。
【0016】
核生成が行われば、PAH液滴内で炭素核を中心に早い炭化またはPAH液滴のばい煙粒子の転換が連鎖的に進行される。この過程でPAH液的が消耗され、炭素核2が成長して初期段階のばい煙粒子3が発生する。PAH液滴が完全にばい煙に転換されれば、ばい煙粒子は大体炭素で構成され、このような段階の炭素微粒子を成熟段階のばい煙粒子4という。
【0017】
図2は、燃焼方式によって炭化水素物質の熱分解を誘発してばい煙前駆体1を生成する過程を示す。図示されたように、一個または数個のノズルで構成されたバーナ21を通じて炭化水素物質22及び酸化剤が別途にまたは混合・噴射されて炎23を形成し、炎内部で熱分解が進行して各段階のばい煙粒子が生成される。この場合、ノズルを通じて別途の物質の燃料をさらに供給できる。
【0018】
図3は、炎外部で未燃炭化水素の熱分解によって発生するばい煙粒子生成過程を示す。図示されたように、バーナ21から噴射された炭化水素22、酸化剤が炎23を形成し、炎後流から未燃炭化水素が熱分解されて各段階のばい煙粒子1、2、3及び4が生成される。
【0019】
図4は、炭化水素物質を直接加熱してばい煙粒子を生成させる過程を説明するための構成図である。図示されたように、炭化水素または炭化水素を含んだ混合物22が炉41に供給され、排出口42に向かって移動しつつ熱分解過程によって各段階のばい煙粒子が生成される。
【0020】
シェル形状の炭素粒子を製造する既存の後処理方法は、前記のように化学的方法で生成された成熟段階のばい煙粒子を収去した後、電子ビームやレーザを放射したり加熱する物理的方法で強いエネルギーを加えてばい煙粒子内の炭素原子を再配置させる物理的構造変化を誘導する方式よりなる。しかし、このような成熟段階のばい煙粒子は化学的及び物理的に安定した特性を有するので、成熟段階のばい煙粒子の物理的構造を変化させるためには莫大な量のエネルギーが要求される。また、粒子を収去した後に別途にエネルギーを加える方式であるので連続生産が不可能である。
【0021】
本発明は、既存の方式が有する短所を改善し、最小限のエネルギー使用を通じてシェル形状の炭素微粒子を連続的に生産するために創案された。
【0022】
本発明は、物理化学的に安定した成熟段階のばい煙の代わりに炭素核2が生成されないPAH液滴形態のばい煙前駆体1にレーザを放射して、ばい煙前駆体1を活性化させることによって外部気体との一連の化学反応を通した粒子表面の炭化反応を促進させる。
【0023】
ばい煙前駆体1は、化学的反応性が大きい水素を多量含有しているので、大体の炭素よりなる成熟段階のばい煙粒子に比べて化学的反応性が大きい。この時、放射されたレーザの強度が一定レベル以上になれば、急激な表面の炭化反応によって、前駆体粒子の内部で核生成のような可視的な物理的/化学的変化が誘発される前に、粒子表面にシェル構造の炭素層が形成され、以後の前駆体粒子の内部が加熱されてPAH液滴が蒸発しつつ炭素層の外部に抜け出て、引き続き持続される化学反応によって表面の炭素層が堅くなる方式でシェル形状の炭素粒子が製造されうる。
【0024】
本発明では、物理的に炭素粒子の決定構造を再配置する方式でない炭化反応を促進する方式を使用するので、電子の方式で要求されるエネルギー強度の約107〜108W/cm2に比べて約1/1000レベルの約104W/cm2のエネルギーを使用してシェル形状の炭素粒子を製造しうる。したがって、各種の炎や炉を利用して炭化水素物質を熱分解させる方法で生成されているばい煙生成過程でばい煙前駆体1が生成される地点に高出力連続式(CW:Continuous Wave)レーザを放射する場合、連続的にシェル形状の炭素粒子を製造しうる。
【0025】
図5は、本発明の一実施例によって、炎内部に生成されるばい煙前駆体1にレーザを放射してシェル形状の炭素微粒子を製造する方法を説明するための構成図である。図示されたように、球状集光レンズ51を利用してばい煙前駆体1にレーザ52を集中的に放射すれば、100nm以下の大きさを有するシェル形状の炭素微粒子53が生成される。この時、前記方式で生成された炭素粒子53は熱的化学的に安定して炎23によって酸化されずに外部に排出されるので、炎外部で炭素粒子53を収去しても、他の方法では収去装置を炎内部に挿入して炎内部で収去しても良い。
【0026】
本発明の他の実施例によれば、図6に示されたように前記レーザ放射法は炎外部で生成されるばい煙前駆体1にも適用できる。
【0027】
本発明の他の実施例によれば、図7に示されたように加熱炉41内で生成されるばい煙前駆体1にレーザ52を放射してシェル形状の炭素粒子53を製造する方法を説明しうる。
【0028】
また、図7はレーザ52を適切な位置に放射するために加熱炉41に透過窓71を設けた場合を示している。
【0029】
図8は、本発明の他の実施例に係り、加熱炉41の長さを調節して排出口41にばい煙前駆体91を排出させると同時に排出されるばい煙前駆体1にレーザ52を放射してシェル形状の炭素粒子を加熱炉41の外部で形成する場合を示す。
【0030】
図7及び図8のように加熱炉41を利用する場合は、炭化水素物質22の流量、成分、加熱炉41の温度及び大きさ、排出口42の位置を適切に設けて反応効率を増大させうる。
【0031】
以下では、本発明の具体的な実施例を挙げてより詳細に説明する。下記の実施例は、本発明の理解を助けるための例示的なものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0032】
図9は、本発明の実施例で使われたバーナ21の形状を説明するための構成図である。図9に示したように、バーナ21は5個の同心ノズルで構成されている。燃料ノズル93から水素(燃料)が1.0 lpmの流量で供給され、酸化剤ノズル94から酸素/窒素混合比(酸化剤)が1:1のモル比で混合されて1.0 lpmの流量で供給されて水素/酸素拡散炎23が形成される。内部に直径2mmの中央ノズル91から炭化水素物質22であるアセチレン(C22)が0.1 lpmの流量または7.0g/hrの質量流量で供給されば、外部に形成されている水素/酸素炎23と相互作用してばい煙前駆体1が生成される。また、ばい煙前駆体1の生成位置を適切に調節するために炎23及び炭化水素物質22間に遮断ガスノズル92を置いて遮断ガスである窒素を0.35 lpmの流量で供給する。炎の安定化のために外部ノズル95を通じて空気を50 lpmの流量で供給する。
【0033】
本発明の実施例によれば、炎の長さは約50mm程度であり、これに対してばい煙前駆体1はバーナ21の出口の上の約10mm位置に生成される。したがって、図5のようにばい煙前駆体1の生成位置である10mm地点に約2.2×104W/cm2の強度を有するCO2レーザ52を放射する場合、レーザ52に放射されたばい煙前駆体1は約50nmの外径と約7nmのシェル厚さとを有する高純度のシェル形状炭素粒子53に転換される。この場合にレーザ52に放射された粒子は炎内から上部に2mmの距離を移送する前に、約90%以上がシェル形状炭素粒子53に転換され、これを経過時間に換算すれば約0.2ms以内である。本方法の実施例で、質量生成率は約0.4〜0.7g/hrとしてバーナに供給した炭化水素物質22の供給量に比べては約5〜10%の生成効率を有し、レーザ52の放射位置から5mm以内では炎内部で生成された全体粒子状物質の90%以上がシェル形状炭素粒子53である。生成されたシェル形状炭素粒子53は以後に加わる物理化学的な変化なしに後流に移送される反面、残っている炭化水素物質は一連の熱分解過程を通じて新しいばい煙粒子に成長する。したがって、放射位置から5mm以内で粒子を収去する場合に90%以上の収率を有し、収去位置が放射位置から遠ざかるほど収率が低くなって炎の後流では約50%程度の収率を有する。
【産業上の利用可能性】
【0034】
前述した本発明のばい煙前駆体レーザ放射によるシェル形状の炭素微粒子の製造方法によれば、本発明は従来の物理的方法、化学的方法、後処理方法の利点だけを組合わせすることによって、それぞれの方法が有していた限界である工程の非連続性、低い収率、低いエネルギー効率性のような限界を克服しうるだけでなく、この組合わせを通じて発生する上昇効果によって革新的な生産性及び収率の向上を成し遂げうる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】熱分解過程で生成される炭素粒子の段階別形状を概略的に説明する図面である。
【図2】炎内部における炭素粒子の生成過程を説明するための構成図である。
【図3】炎外部における炭素粒子の生成過程を説明するための構成図である。
【図4】加熱炉における炭素粒子の生成過程を説明するための構成図である。
【図5】炎内部で生成されるばい煙前駆体にレーザを放射してシェル形状の炭素微粒子を製造する方法を説明するための構成図である。
【図6】炎外部で生成されるばい煙前駆体にレーザを放射してシェル形状の炭素微粒子を製造する方法を説明するための構成図である。
【図7】加熱炉及びレーザ透過窓を利用する本発明の一実施例を説明するための構成図である。
【図8】透過窓のない加熱炉を利用する本発明の他の実施例を説明するための構成図である。
【図9】本発明の実施例で使われたバーナの構造を概略的に説明するための構成図である。
【符号の説明】
【0036】
1 ばい煙前駆体
2 炭素核
3 ばい煙粒子
4 ばい煙粒子
21 バーナ
22 炭化水素物質
23 酸素拡散炎
41 加熱炉
42 排出口
51 球状集光レンズ
52 レーザ
53 シェル形状炭素粒子
71 透過窓
91 中央ノズル
92 遮断ガスノズル
93 燃料ノズル
94 酸化剤ノズル
95 外部ノズル

Claims (4)

  1. a)炎または熱分解方式によって炭化水素物質から炭素核が生成されてないばい煙前駆体を形成する段階と、下記化学式1に示される1−[2−(トランス−4−アルキルシクロヘキシル)エチル]−4−アリルシクロヘキス−1−円液晶化合物と、
    b)前記ばい煙前駆体にレーザを放射して、ばい煙前駆体の表面の炭化反応を促進する段階と、
    c)前記炭化反応の結果、ばい煙前駆体の表面には炭素層が形成され、前記ばい煙前駆体の内部物質は加熱によって外部に抜け出てシェル形状の炭素粒子が形成される段階と、を含むことを特徴とするシェル形状の炭素粒子製造方法。
  2. a)段階で生成されたばい煙前駆体は、多環芳香族炭化水素の液滴形態を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. b)段階は、炎または加熱炉の内部に存在するばい煙前駆体にレーザを放射して実施されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. b)段階は、炎または加熱炉の外部に存在するばい煙前駆体にレーザを放射して実施されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
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