JPH0585711A - フラーレンc60の精製方法 - Google Patents

フラーレンc60の精製方法

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JPH0585711A
JPH0585711A JP3276270A JP27627091A JPH0585711A JP H0585711 A JPH0585711 A JP H0585711A JP 3276270 A JP3276270 A JP 3276270A JP 27627091 A JP27627091 A JP 27627091A JP H0585711 A JPH0585711 A JP H0585711A
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fullerene
activated carbon
solvent
solution
soot
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JP3276270A
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Kazuyoshi Shigematsu
一吉 重松
Ichiro Nasuno
一郎 那須野
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 グラファイト等の炭素のアーク放電、レーザ
ーアブレーションなどによって得られたスス等のフラー
レンC60を含有するススやその有機溶媒による抽出によ
り得られたフラーレンC60を不純物とともに含有する溶
液から、十分に高純度のフラーレンC60を、効率よく分
離回収する方法であって、しかも、操作及び工程が簡単
で、空時収率が大きく、工業的規模の大量生産にも容易
に適用することができる実用上著しく有用な、フラーレ
ンC60の精製方法を提供する。 【構成】 フラーレンC60を含有するススより、有機溶
媒により抽出したフラーレンC60を不純物とともに含む
溶液を、活性炭と接触処理した後、得られた処理液より
有機溶媒を分離除去することによりフラーレンC60を精
製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フラーレンC60の精製
方法に関し、より詳しく言うと、例えば、グラファイト
のアーク放電やレーザーアブレーション等によって得ら
れるスス等のフラーレンC60を含有するスス、あるいは
該フラーレンC60含有ススを有機溶媒により抽出するこ
とによって得られた粗製フラーレンC60の溶液から高純
度のフラーレンC60を効率よく分離回収することができ
る実用上著しく有用なフラーレンC60の精製方法に関す
る。
【0002】なお、本発明の方法によって得られた精製
フラーレンC60は、例えば、導電材料、超導電体の素材
等として、電気・電子材料分野をはじめてとする各種の
フラーレンC60利用分野に好適に利用することができ
る。
【0003】
【従来の技術】最近、炭素数60、70、84等の閉殻
構造型のカーボンクラスター(球状の巨大分子)という
新しいタイプの分子状炭素物質が合成され、注目されて
いる。この特殊な構造を有するカーボンクラスターは、
フラーレンとも称され、その分子骨格を構成する炭素数
によって、フラーレンC60、同C70、同C84などと呼ば
れている(単に、C60、C70、C84等とも呼ばれ
る。)。これらのフラーレン類は、新しい炭素材料であ
り、また特殊な分子構造を有することからも特異な物性
を示すことが期待されるので、その性質及び用途開発に
ついての研究が盛んに進められている。例えば、フラー
レン類は、球状の巨大分子であることなど分子レベルで
の潤滑剤としての用途が見込まれており、また、均一な
炭素数の不飽和性の巨大炭素分子であることなどから、
黒鉛等に代わる高特性の導電材料としての期待も大き
い。
【0004】これら各種の炭素数のフラーレンの中で
も、フラーレンC60は最も合成が容易であり、また、用
途の点でも期待が大きい。実際、ごく最近、フラーレン
60にカリウムをドープすると絶対温度18Kでも超伝
導体となることが見出され、ルビジウム、セシウム等の
アルカリ金属の添加によって次々に高温超伝導体が得ら
れことも示され、多方面からの注目を集めている[Na
ture,350,320−322(1991)、Na
ture,350,600−601(1991)]。
【0005】このように、フラーレンC60は、電気・電
子分野をはじめとする各種の利用分野において、新材
料、新素材としての期待が極めて大きく、それゆえ、で
きるだけ高純度のものを大量に生産する技術の開発が望
まれている。
【0006】ところで、これらフラーレン類は、グラフ
ァイト等の炭素のアーク放電(抵抗加熱法)やレーザー
アブレーション(レーザー蒸発法)によって容易に生成
することが知られているが、その際、得られるのはフラ
ーレン類を少量含有するススである。そこで、フラーレ
ン類をこのスス状物質から分離(濃縮)精製する技術が
重要となる。この分離・精製方法を含めた従来のフラー
レン類の製造技術としては、上記の方法で得たススか
ら、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素により抽出
分離して粗製のフラーレン類とし、さらに、これを中性
アルミナカラム等用いてクロマト分離によって単離精製
するという方法が知られている[Nature,34
7,354−358(1990)]。ここで、フラーレ
ン類の抽出に芳香族炭化水素を用いるのは、フラーレン
類に対する溶解性等の点で有利であるからである。
【0007】しかしながら、該スス状物質から単に芳香
族溶媒等によって抽出するだけでは、十分に高純度のフ
ラーレン類を得ることが困難である。実際、フラーレン
60を含有するススを芳香族炭化水素等の有機溶媒によ
って抽出するとフラーレンC60を効率よく抽出できるも
のの得られた抽出液中にはフラーレンC60の他に種々の
不純物が含有されており、この溶液からそのまま溶媒を
分離除去しただけでは高純度のフラーレンC60を得るこ
とができない。
【0008】そこで、高純度のフラーレンC60を得るた
めに、従来、上記のように抽出法で得た粗製のフラーレ
ンC60(フラーレンC60と不純物を含有する溶液や粉
体)をカラムクロマト法によって分離精製し高純度のフ
ラーレンC60を得るという方法を採用していた。しかし
ながら、こうしたカラムクロマトによる精製法では、少
量の精製には容易に適用できるものの、大量の精製品を
得る目的には実用的でないなどの問題点がある。それゆ
え、上記のスス等のフラーレンC60を含有するススやそ
の有機溶媒抽出によって得られた粗製フラーレンC60
溶液から、高純度のフラーレンC60を容易に大量生産可
能な工業的な精製法の開発が強く望まれていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の事情
を鑑みてなされたものである。本発明の目的は、グラフ
ァイト等の炭素のアーク放電、レーザーアブレーション
などによって得られたスス等のフラーレンC60を含有す
るススやその有機溶媒による抽出により得られたフラー
レンC60を不純物とともに含有する溶液から、十分に高
純度のフラーレンC60を、効率よく分離回収する方法で
あって、しかも、操作及び工程が簡単で、空時収率が大
きく、工業的規模の大量生産にも容易に適用することが
できる実用上著しく有用な、フラーレンC60の精製方法
を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、各種の方法によっ
て得られたフラーレンC60含有ススから、適当な有機溶
媒を用いて抽出したフラーレンC60を不純物とともに含
む溶液に対して、活性炭に接触させるという特定の処理
を施すことによって該不純物を活性炭とともに効率よく
除去することができ、得られた処理液から常法に従って
有機溶媒を分離除去することによって十分に高純度のフ
ラーレンC60を収率よく得ることができることを見出し
た。また、この方法は、原料ススやその抽出液を大量に
効率よく処理するという工業的規模の大量生産にも容易
に適用することができ、しかも、操作が簡単で工程も少
ないので工業的に極めて有利な精製方法であることが分
かった。
【0011】以上の知見に基づいて、本発明者らは、本
発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、フラー
レンC60を含有するススより、有機溶媒により抽出した
フラーレンC60を不純物とともに含む溶液を、活性炭と
接触処理した後、得られた処理液より有機溶媒を分離除
去することを特徴とするフラーレンC60の精製方法を提
供するものである。
【0012】本発明の方法においては、フラーレンC60
を含有するススより、有機溶媒により抽出したフラーレ
ンC60を不純物とともに含む溶液を、活性炭と接触処理
することが重要である。
【0013】ここで、前記有機溶媒による抽出処理工程
の原料として使用されるフラーレンC60含有スス(以
下、原料ススと呼ぶことがある。)は、その製造方法と
しては特に制限はなく、公知の方法等の各種の方法によ
って製造されたものを使用することができる。具体的に
は、例えば、グラファイトのアーク放電やレーザーアブ
レーションにより得られたフラーレンC60含有スス等が
好適に使用される。なお、これらのフラーレンC60を含
有する原料ススには、有機溶媒抽出に供する前に必要に
応じて適宜、例えばエーテル洗浄処理等の前処理が施さ
れてもよい。また、これらのフラーレンC60含有スス
は、1種単独で使用してもよく、あるいは異なった方法
や条件によって製造されたものを混合するなど2種以上
を混合物等として併用してもよい。
【0014】前記原料スス(フラーレンC60含有スス)
からフラーレンC60(粗製フラーレンC60)の抽出に抽
出剤として使用する前記有機溶媒としては、フラーレン
60に対して十分な溶解性を有するものであれば各種の
有機溶媒(単独溶媒又は混合溶媒)が使用可能である
が、通常は、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、
メシチレン等の芳香族炭化水素などが好適に使用され
る。なお、これらの芳香族炭化水素は、1種単独溶媒と
しても、あるいは2種以上の混合溶媒としても好適に使
用することができる。また、これらの抽出用芳香族炭化
水素溶媒は、本発明の目的を阻害しない範囲で、他の有
機溶媒等の他の成分を含有した状態で使用することもで
きる。
【0015】この抽出方法としても、特に制限はなく、
公知の方法等の各種の抽出方法が採用可能であり、例え
ば、ソックスレー抽出法、加熱加圧による連続抽出法等
の各種の方法を単独であるいは適宜組み合わせて使用す
ることができる。
【0016】こうして抽出工程から回収された有機溶媒
抽出液は、フラーレンC60とともに各種の不純物(例え
ば、フラーレンC60以外のフラーレン類や他の形態の炭
素類もしくは炭素化合物等)を含有している粗製のフラ
ーレンC60の溶液である。
【0017】本発明の方法においては、このように有機
溶媒により抽出されたフラーレンC60を不純物とともに
含む溶液を活性炭との接触処理に供する。
【0018】この活性炭との接触処理に供する溶液(以
下、この活性炭処理に供する粗製フラーレン溶液を原料
溶液と呼ぶことがある。)としては、通常は、前記有機
溶媒抽出によって得た抽出液そのものが好適に使用され
るが、場合によっては、該抽出液に対して適宜濃度や組
成の調整を行った溶液も好適に使用される。
【0019】もちろん、上記のようにして得た抽出液か
ら有機溶媒を分離除去して得られた粗製のフラーレンC
60を再び前記芳香族炭化水素等の適当な溶媒に溶解し、
その溶液を前記活性炭との接触処理に供してもよい。す
なわち、予め有機溶媒による抽出によって得られた粗製
のフラーレンC60(粉末等)が入手可能な場合には、そ
の溶液を前記活性炭との接触処理に供してもよく、ま
た、予め前記のようにして有機溶媒によって抽出された
フラーレンC60と不純物とともに含む溶液が入手可能な
場合には、これを活性炭との接触処理に供することがで
きる。このように有機溶媒による抽出処理がすでになさ
れている場合には、前記有機溶媒による抽出工程を省略
することができる。
【0020】前記活性炭との接触処理に供する溶液(フ
ラーレンC60を不純物とともに含む溶液)における溶媒
としては、前記した芳香族炭化水素もしくはこれを主成
分とする芳香族炭化水素系溶媒が好適に使用される。す
なわち、本発明の方法においては、前記抽出用溶媒とし
て芳香族炭化水素(系)溶媒を用い、その抽出工程から
得られた抽出液を活性炭との接触処理に供するという連
続方式が好適に採用することができるので、この点にお
いても工程を著しく簡略化することができるという利点
を有している。
【0021】前記活性炭としては、石炭系、石油系等の
鉱物もしくは鉱油系の活性炭、木炭系のものやヤシガラ
炭等の植物系の活性炭、骨炭等の動物系の活性炭など各
種のものが使用可能である。これらの中でも、通常は、
鉱油系や植物系の活性炭が好適に使用される。活性炭の
形状、粒径としても特に制限はなく、例えば、粉末状、
粒状のものなどいずれのものも使用可能である。その形
状や粒径は、接触効率やその後の分離工程の効率等を考
慮して適宜選定すればよい。なお、これらの各種の活性
炭は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合す
るなどして併用することもできる。
【0022】前記溶液と活性炭との接触処理方式として
は、特に制限はなく、各種の処理方式が適用可能であ
る。通常は、例えば、前記溶液に活性炭を添加し、攪拌
することによって処理する方式が好適に採用される。そ
の際、処理温度を、通常、常温〜200℃、好ましくは
常温〜100℃の範囲の温度に設定するのがよい。この
処理における系の圧力としては、特に制限はなく、常圧
もしくは処理系の自圧、加圧などいずれも採用可能であ
る。すなわち、この活性炭との接触処理は、常温常圧
下、加熱常圧下、加熱加圧下、常温加圧下など種々の条
件で実施することができる。この活性炭処理を十分に行
うための処理時間は、活性炭の種類、使用量、処理条件
等の他の条件によって異なるので一律に定めることがで
きないが、通常は、1分間〜2時間程度の処理で十分で
ある。
【0023】なお、前記活性炭処理は、上記のような活
性炭を懸濁状態で用いる方式に限定されるものではな
く、例えば、活性炭を固定層等として用いて、これに前
記溶液を流通させる方式などの他の方式によっても好適
に行いうる。
【0024】活性炭の使用量は、処理に供する溶液中の
溶質1gに対して、通常、0.01〜100g、好まし
くは0.05〜10gの範囲に選定するのが適当であ
る。ここで、もし活性炭の使用量が、処理する溶液中の
溶質1g当たり0.01g未満であると該溶液からの不
純物の除去(活性炭による吸着除去)が不十分となり、
したがって、得られた処理液中に不純物が残留しやす
く、本発明の目的を十分にに達成することができなくな
る。一方、活性炭の使用量が、処理する溶液中の溶質1
g当たり100gを超えると該溶液中のフラーレンC60
の活性炭に対する吸着量が無視できなくなり、所望のフ
ラーレンC60の収率(回収率)が低下することがある。
【0025】以上のように、有機溶媒抽出によって得ら
れたフラーレンC60を不純物とともに含む溶液を活性炭
と接触処理することによって、該溶液中の不純物が活性
炭に選択的に吸着され、したがって、この活性炭処理後
の溶液は、原料溶液中のフラーレンC60がほぼそのまま
残された高純度のフラーレンC60の溶液となる。
【0026】本発明の方法においては、以上のようにし
て活性炭との接触処理を行った後、その生成系から、処
理された溶液である高純度のフラーレンC60溶液を回収
すべく、活性炭(不純物を吸着した活性炭)を分離除去
する。この活性炭と処理された溶液の分離は、公知の方
法等の各種の方法によって容易に行うことができる。
【0027】例えば、前記活性炭処理を懸濁方式によっ
て行った場合には、前記活性炭の分離除去を、濾過法、
遠心分離法などによって好適に行うことができる。中で
も濾過による分離方法が特に好適に使用される。この濾
過による分離は、常法に従って容易に行うことができ、
例えば、常温常圧濾過、加熱常圧濾過、加熱加圧濾過、
常温加圧濾過、常温減圧濾過、加熱減圧濾過等の各種の
濾過方式を適用して行うことができる。活性炭を固定層
として用いた流通方式の場合には、活性炭と処理液は自
動的に分離されるが、この場合、もし、回収液中に活性
炭等の固体微粒子が混入した場合には、該微粒子を上記
のように濾過法等によって除去すればよい。
【0028】なお、以上のように濾過等によって分離さ
れた活性炭には、一般に、微量のフラーレンC60が溶媒
とともに付着している。そこで、フラーレンC60の回収
率をより高めるために、付着したフラーレンC60を回収
すべく該活性炭を適当な洗浄用溶媒によって洗浄するこ
とも好適に行われる。この洗浄回収液は、前記分離回収
液に混合してまとめて回収してよい。
【0029】この洗浄用溶媒としては、通常、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、メシチレン等の前記芳香族炭
化水素(系)溶媒が好適に使用される。この洗浄用溶媒
は、活性炭処理に供した溶液を構成している溶媒と、必
ずしも同じ種類及び組成のものでなくてもよいが、溶媒
のリサイクル使用による経済性の向上等のプロセス全体
の効率を考慮した場合、同様のものが好適に使用され
る。例えば、前記抽出用溶媒としてトルエンを用い、抽
出工程で得られたトルエン溶液を前記活性炭処理に供し
た後、分離した活性炭をトルエンで洗浄する方法を特に
好ましい態様として例示することができる。
【0030】以上のようにして、活性炭処理により不純
物が選択的にかつ十分に除去された処理液(高純度のフ
ラーレンC60の溶液)を効率よく分離回収することがで
きる。
【0031】本発明の方法においては、以上のようにし
て活性炭処理工程から分離回収された処理液(高純度の
フラーレンC60の溶液)から、有機溶媒を分離除去する
ことによって高純度に精製されたフラーレンC60を得
る。この処理液からの有機溶媒の分離除去は、種々の方
法によって行うことができるが、通常は、常法に従って
該溶液から有機溶媒を、減圧蒸留や常圧蒸留等、好まし
くは減圧蒸留によって、留去する方法が好適に採用され
る。このように有機溶媒を留去することによって、その
残渣として固体状(結晶状)の精製フラーレンC60が得
られる。こうして得られる精製フラーレンC60は、乾燥
の程度によっては、結晶中に数%程度の溶媒を含有した
状態で得られるが、本発明で言う精製フラーレンC
60は、このように微量の溶媒を含有しているものであっ
てもよい。もちろん、必要に応じて、適宜乾燥させて、
溶媒を十分に除去してもよい。すなわち、前記有機溶媒
の分離除去もしくは精製フラーレンC60の乾燥は必ずし
も完全に行わないでもよく、製品の使用目的等に応じて
種々の乾燥度の精製フラーレンC60として取得すること
ができる。また、場合によっては、有機溶媒の分離除去
の程度を調節して、種々の濃度の精製フラーレンC60
溶液又は分散液として回収し、これを本発明の方法によ
る製品として利用することもできるし、さらには、前記
活性炭処理後回収された高純度の精製フラーレンC60
溶液を、本発明の方法における中間製品として利用する
こともできる。
【0032】また、有機溶媒を分離除去して得た精製フ
ラーレンC60を、再結晶して、さらに高純度の精製フラ
ーレンC60とすることもできる。
【0033】以上、本発明の精製方法によって、フラー
レンC60を含有する原料スス(あるいは、すでに有機溶
媒抽出された粗製フラーレンC60の溶液)から、高純度
に精製されたフラーレンC60を収率よく、しかも簡単な
操作及び工程によって効率よく回収することができる。
また、本発明の方法の場合、溶媒抽出、活性炭処理、溶
媒留去等の溶媒分離等のいずれも大量生産方式に適した
工程からなっているので、高度に精製されたフラーレン
60を容易に大量生産することもできるので、例えば、
従来のカラム分離を用いる精製法等と比較して工業的に
著しく有利である。
【0034】本発明の方法によって得られた精製フラー
レンC60(あるいは、その溶液)は、例えば、導電材
料、超伝導体の素材など、電気・電子分野をはじめとす
る各種のフラーレンC60利用分野に好適に使用すること
ができる。その際、この精製フラーレンC60は、使用目
的に応じて、種々の乾燥度の粉末(結晶)、溶液、分散
液、他の各種の物質との混合物や組成物等の種々の形態
で利用することができる。
【0035】
【実施例】以下に、本発明の実施例によって本発明をよ
り具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定
されるものではない。 実施例1 原料ススとして、グラファイトのアーク放電によって得
られたフラーレンC60含有ススを用い、該スス5gをソ
ックスレー抽出器を用いて1リットルのトルエンで抽出
処理して抽出液を得た。得られた抽出液全量を濃縮して
500mlの溶液とし、該溶液に活性炭粉末(和光純薬
社製)20gを添加し、70℃に加熱攪拌下で15分間
処理した。得られた処理混合液より、濾過によって活性
炭を分離除去し、濾過の活性炭を少量のトルエンで数回
洗浄し、洗液を濾液に混合して回収した。この回収液か
らエバポレーターを用いて溶媒のトルエンを留去し、得
られた残渣を真空下、100℃で12時間乾燥させ目的
とする精製物を得た。収量は260mgであった。この
得られた精製物をマススペクトルで分析したところC60
に由来するピーク[M+ =720(1260)、M+ =7
21(1259 131 )、M+ =722(1258 13
2 )、M2+=360(1260)など天然同位元素組成の
60に特有のピーク)のみが観察された。また、13C−
NMR分析では、143.2ppmにC60に特有のピー
クが観察された。これらの結果等から、上記の得られた
精製物が純粋なフラーレンC60であることが確認され
た。
【0036】実施例2 実施例1において、活性炭の添加量を5gとし、かつ、
加熱攪拌時間を2時間とした以外は、実施例1と同様に
して精製物を得た。収量は160mgであった。この精
製物も実施例1で得た精製物と同様のマススペクトル及
びNMRスペクトルを示し、これが、純粋なフラーレン
60であることが確認された。
【0037】比較例1 実施例1で用いたものと同じ原料スス5.0gを実施例
1と同様にしてトルエンで抽出処理し、抽出液を得た。
この抽出液から溶媒を留去したところフラーレンC60
主成分とし不純物を含むスス状物が450mg得られ
た。
【0038】次に、この得られたスス状物(粗製のフラ
ーレンC60)を、中性アルミナを分離剤とし、ヘキサン
を展開溶媒として、カラムクロマト分離を行い、フラー
レンC60に相当するフラクションを分取した。この分取
液から溶媒を留去し、精製物を380mg得た。この精
製物は、実施例1で得た精製物と同様のマススペクトル
及び13C−NMRの結果を与え、同様に純粋なフラーレ
ンC60であることが確認された。
【0039】なお、上記カラムクロマト分離の際の中性
アルミナの使用量は3kg、展開溶媒の使用量は21リ
ットルであり、分離に要した時間は12時間であった。
このように、従来法であるカラムクロマト分離による精
製法の場合は、少量の精製に対しても多量の分離剤や展
開溶媒を必要とし、操作時間も長く、従来から一般に言
われているように、大量生産には不適当であり、工業的
には不利であるということが確認された。
【0040】これに対して、上記実施例1及び2からも
容易にわかるように、本発明の活性炭処理等を用いる精
製方法は、短時間で高純度のフラーレンC60を単離精製
することができ、全工程を通して工業的大量処理が容易
であるので、工業的な精製方法として好適である。
【0041】
【発明の効果】本発明の方法によると、グラファイト等
の炭素のアーク放電、レーザーアブレーション等によっ
て得られたフラーレンC60含有ススより従来法等によっ
て有機溶媒で抽出された粗製のフラーレンC60の溶液に
対して、活性炭処理を行い不純物を選択的に吸着除去す
るという特定の方法を用いているので、極めて高純度の
フラーレンC60を、十分に高い回収率で効率よく分離回
収することができ、しかも、操作及び工程が簡単で、空
時収率も大きいので、工業的規模の大量生産にも容易に
適用することができる。すなわち、本発明によると、高
純度のフラーレンC60を得るための工業的な精製方法と
して著しく有利なフラーレンC60の精製方法を提供する
ことができる

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フラーレンC60を含有するススより、有
    機溶媒により抽出したフラーレンC60を不純物とともに
    含む溶液を、活性炭と接触処理した後、得られた処理液
    より有機溶媒を分離除去することを特徴とするフラーレ
    ンC60の精製方法。
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