JP2005187251A - フラーレン類の分離方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 フラーレン類および多環状芳香族炭化水素を含有する煤状物質から、分子量がC70よりも大きいフラーレン類を大量に効率よく分離回収する方法を提供すること。
【解決手段】 少なくともフラーレンC60、フラーレンC70およびフラーレンC70よりも分子量が大きいフラーレン類を含むフラーレン混合物の第1溶媒溶液を活性炭に通液してフラーレンC60およびフラーレンC70を含む溶液を回収した後、第1溶媒よりもフラーレン類に対する溶出力が大きい第2溶媒で該活性炭に吸着されたフラーレンC70よりも分子量が大きいフラーレン類を脱離回収する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、フラーレン類の混合物から分子量がフラーレンC70よりも大きいフラーレン類を活性炭によって回収する方法に関する。
1990年に、炭素数60、70、84等の閉殻構造型のカーボンクラスター(球状の巨大分子)という新しいタイプの分子状炭素物質が合成され、注目された。この特殊な分子構造を有するカーボンクラスターはフラーレン類と称されており、フラーレン類は「20個以上の炭素原子がそれぞれ隣接する3原子と結合しかつ閉じた球状ないし扁平球状構造を持つ分子(各環の員数は不問)」と定義されている。フラーレン類は、分子骨格を構成する炭素数によって、フラーレンC60、フラーレンC70、フラーレンC84などと呼ばれている(以下、本明細書においてC60、C70、C84などという)。これらのフラーレン類は、新しい炭素材料であり、また特殊な分子構造を有していることから特異な物性を示すことが予測される。このため、ダイヤモンドコーティング、電池材料、塗料、断熱材、潤滑材、化粧品、癌治療薬などの幅広い分野への利用が期待されている。したがって、フラーレン類の性質および用途開発についての研究が盛んに進められている。
フラーレン類の製造方法としては、(1)グラファイトなど炭素質材料からなる電極を原料として、この電極間でアーク放電を行い原料を蒸発させて製造する方法(アーク放電法)、(2)炭素質原料に高電流を流して原料を蒸発させて製造する方法(抵抗加熱法)、(3)高エネルギー密度のパルスレーザー照射によって炭素質原料を蒸発させて製造する方法(レーザー蒸発法)、(4)ベンゼンなどの有機物を不完全燃焼させて製造する方法(燃焼法)などが知られている。しかし、現状ではいずれの製造方法によっても単一のフラーレン、あるいは有益なC60〜C84フラーレン類だけを製造することはできず、通常はC60およびC70を主とする複数のフラーレンとその他多数の炭素化合物との混合物(この燃焼生成物は「煤」と呼ばれることがある)として生成する。煤中のフラーレン類の含有量は、効率的といわれるアーク放電法でも10〜30%程度で、C70:C60の生成比は約1:10である。
燃焼法によりフラーレン類を製造する場合、制御された条件下でトルエン等の有機物を不完全燃焼させると、C60とC70を主とする複数のフラーレン類を含んだ煤状物質が生成する(例えば特許文献1参照)。典型的には煤状物質中には、通常10〜30重量%程度のフラーレン類と、10ppm〜5重量%の多環状芳香族炭化水素が含まれている。また、残分はグラファイト構造を持つ炭素およびグラファイト構造を骨格とし若干の水素原子を有する高分子の炭化水素やカーボンブラック等(以下、「炭素系高分子成分」と称することがある)である。
フラーレン類と多環状芳香族炭化水素の溶媒への溶解度を比較すると、多環状芳香族炭化水素の溶解度はフラーレン類の溶解度よりも通常10倍以上高い。そのため、煤状物質から溶媒で抽出しても、フラーレン類のみを選択的に抽出することは困難で、煤状物質中の多環状芳香族炭化水素もほとんど抽出液側へ同時に抽出される。そのため、抽出後の液を濃縮・乾燥した固体、もしくは、抽出後の液を濃縮することにより析出した固形分を濾別し乾燥した固体中は、通常0.01〜10%程度の多環状芳香族炭化水素を含んだフラーレン類となる。
ベンゾピレンに代表されるように多環状芳香族炭化水素は炭化水素の中でも水素原子の割合が少なく、構造的にもフラーレン類と類似している。従って、多環状芳香族炭化水素がフラーレン類に混在している場合には、フラーレンの反応性を阻害したり、フラーレンの固有の性質を遮蔽したりする可能性がある。また、安全上からもこれら多環状芳香族炭化水素は極力減少させる必要があると考えられている。
高純度のフラーレンを得るためには煤からまずフラーレン類のみを分離する必要がある。燃焼生成物「煤」からフラーレン類を分離する方法としては、(1)フラーレン類がベンゼン、トルエン、二硫化炭素等の有機溶媒に溶解し、その他の不純物成分が溶解しにくいという性質を利用して、このような有機溶媒を用いて煤からフラーレン類を抽出する方法(溶媒抽出法)、(2)高真空下で煤を加熱し、フラーレン類を昇華させる方法(昇華法)が知られている。このうち昇華法は、たとえば400℃以上の高温条件と圧力0.133Pa(10-3Torr)以下の高真空条件を必要とする特殊な分離方法であるため、それに比べて操作が容易な溶媒抽出法がよく用いられている。さらに抽出で得られたフラーレン類(主としてC60とC70の混合物)を含む溶液からの単一のフラーレンを分離するために、カラムクロマトグラフィー、分別再結晶、フラーレンの包接化などの方法が使用されている。
1994年にTourらはカラムクロマトグラフィーの分離剤として活性炭を用い、特定の炭素数のフラーレンを単離する方法を提示した(特許文献1参照)。この方法は実験室レベルの少ない量を1回だけ処理する操作を行うには優れた方法であるが、大量処理には向かないという欠点があった。このため、コストや作業負荷を考えると工業プロセスとしては適用できないという問題があった。
また、この他にも活性炭を用いてフラーレンを分離する方法が従来より知られているが(例えば特許文献2、3参照)、フラーレン類の分離効率は必ずしもよくなかった。特にC60およびC70と、C70より分子量が大きいフラーレン類をそれぞれ分離回収することについては、意図されていなかった。また、工業プロセスとして大量処理するには適さない点も種々指摘されており、各フラーレン類を大量に効率よく分離する方法を開発することが求められていた。
米国特許第5,273,729号明細書 米国特許第5,310,532号明細書 米国特許第5,662,876号明細書
本発明は、フラーレン類および多環状芳香族炭化水素を含有する煤状物質から、分子量がC70よりも大きいフラーレン類を大量に効率よく分離回収する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、フラーレン混合物溶液を活性炭に通液させてC60およびC70を含む溶液を回収した後に、フラーレン類に対する溶出力が大きい溶媒を活性炭に通液することによってC70よりも分子量が大きいフラーレン類を効率よく回収できることを見いだして、本発明を提供するに至った。
即ち、本発明のフラーレン類の分離方法は、(1)少なくともC60、C70およびC70よりも分子量が大きいフラーレン類を含むフラーレン混合物の第1溶媒溶液を活性炭に通液してC60およびC70を含む溶液を回収する第1工程を行った後、(2)第1溶媒よりもフラーレン類に対する溶出力が大きい第2溶媒で該活性炭に吸着されたC70よりも分子量が大きいフラーレン類を脱離回収する第2工程を行うことを特徴とする。
本発明の好ましい態様としては、以下に記載するものを挙げることができる。これらの態様は特に矛盾がない限り適宜組み合わせることができる。
本発明で用いる第1溶媒および第2溶媒は、芳香族炭化水素化合物からなる溶媒であることが好ましい。例えば、第1溶媒として1,2,4−トリメチルベンゼンまたはテトラリン、第2溶媒として1−メチルナフタレンを用いることができる。
本発明では、第1工程および第2工程を行った後の活性炭を用いて、さらに第1工程および第2工程を1回以上繰り返すことが好ましい。このとき、第1工程および第2工程を行った後の活性炭を、第2溶媒よりもフラーレン類に対する溶出力が小さい溶媒(例えば第1溶媒)で洗浄した後に、さらに第1工程および第2工程を1回以上繰り返すことが好ましい。また、本発明では、活性炭を充填材として充填したカラムの形態で活性炭を使用することが好ましい。
本発明で用いるフラーレン混合物は、(工程A)フラーレン類、多環状芳香族炭化水素、および炭素系高分子物質を含有する煤状物質を不活性ガスの下で加熱して多環状芳香族炭化水素を昇華して煤状物質から分離する工程、(工程B)フラーレン類および炭素系高分子物質を含有する煤状物質と抽出溶媒とを混合してフラーレン類が溶解した抽出液を得る工程により調製したものであることが好ましい。フラーレン類、多環状芳香族炭化水素、および炭素系高分子物質を含有する煤状物質は、炭化水素化合物の燃焼および/または熱分解によって得られたものであることが好ましい。
本発明にしたがって、少なくともC60、C70およびC70よりも分子量が大きいフラーレン類を含むフラーレン混合物の第1溶媒溶液を活性炭に通液してC60およびC70を含む溶液を回収した後、第1溶媒よりもフラーレン類に対する溶出力が大きい第2溶媒で該活性炭に吸着されたC70よりも分子量が大きいフラーレン類を脱離回収することによって、C60およびC70と、C70よりも分子量が大きいフラーレン類とを効率よく大量に分離回収することができる。また、使用した活性炭を繰り返し利用することができる。
発明を実施するための形態
以下において、本発明のフラーレン類の分離方法について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
(1)第1工程
本発明の分離方法では、まず、少なくともC60、C70およびC70よりも分子量が大きいフラーレン類を含むフラーレン混合物の第1溶媒溶液を活性炭に通液してC60およびC70を含む溶液を回収する第1工程を行う。
この工程では、まずフラーレン混合物の第1溶媒溶液を活性炭と接触させる。このとき、フラーレン混合物の第1溶媒溶液をあらかじめ調製しておいてから活性炭と接触させるのが一般的であるが、フラーレン混合物、第1溶媒、および活性炭の3成分を一度に混合してもよい。また、フラーレン混合物の第1溶媒溶液をあらかじめ調製しておいて、活性炭と混合する際に第1溶媒を追加しながら混合してもよい。
第1溶媒とフラーレン混合物を混合して溶液を調製する場合には、フラーレン混合物に含まれているすべての成分が第1溶媒に溶解することは必ずしも必要とされない。ただし、フラーレン混合物に含まれているC60、C70およびC70よりも分子量が大きいフラーレン類の全量または大部分が第1溶媒に溶解することが好ましい。このため、必要に応じて粉砕や攪拌などの手段を採ることにより、フラーレン混合物中に含まれているC60、C70およびC70よりも分子量が大きいフラーレン類の全量または大部分が第1溶媒に溶解するように手当してもよい。
本発明の第1工程においては、上記のように第1溶媒を個別に用意してフラーレン混合物や活性炭と混合することができるが、必ずしも第1工程において第1溶媒を個別に用意して添加しなくてもよい。フラーレン混合物は、その調製方法によっては溶液状態で得られることがある。その場合は、この溶液をそのまま本発明の第1工程に供して活性炭と接触させても構わない。このように、フラーレン混合物を固体状態で取得せずに溶液状態で取得して、そのまま本発明の第1工程に使用しても構わない。この場合は、フラーレン混合物の溶液に含まれている溶媒が、第1溶媒として適した溶媒であることが必要とされる。第1溶媒として適当な溶媒については、後述する。
本発明の第1工程において混合するフラーレン混合物と活性炭の重量比は、特に制限されないが、通常1:100〜10:1の範囲内であり、好ましくは1:20〜5:1の範囲内であり、より好ましくは1:10〜3:1の範囲内である。また、第1溶媒100mlあたり、活性炭は通常0.02g〜10g使用し、好ましくは0.05g〜5g使用し、さらに好ましくは0.1g〜2g使用する。
本発明では、活性炭をカラム中に充填して該カラムにフラーレン混合物の第1溶媒溶液を導入することが好ましい。ただし、カラムを用いずに、フラーレン混合物、第1溶媒、および活性炭の3成分を含む混合物をバッチ内で形成することも可能である。このとき、活性炭による吸着を迅速かつ効率よく行うために、バッチ内で攪拌羽根や攪拌棒などを使って攪拌してもよい。攪拌は活性炭がほぼ均一に分散する程度に行うことが好ましい。
第1工程において、フラーレン混合物の第1溶媒溶液を活性炭に接触させた後は、液体成分を取り出す。カラムを用いる場合は、カラムの下方から流出する流出液を収集する。フラーレン混合物、第1溶媒、および活性炭の3成分を含む混合物をバッチ内で形成した場合は、混合物を濾過する。なお、カラムから流出液を収集する際や濾過する際には、回収されるC60やC70の収量を上げるために、第2溶媒よりもフラーレン類に対する溶出力が小さい溶媒、好ましくは第1溶媒を用いて洗浄してもよい。また、作業時間を短縮するために吸引してもよい。吸引は、濾過操作等の実施中たえず行ってもよいし、濾過操作等の最終段階でのみ行ってもよい。
第1工程を行う際の温度は特に制限されない。必要に応じて加熱ないし冷却しながら第1工程を行ってもよい。第1工程の温度は、通常は0℃〜150℃、好ましくは10℃〜60℃、より好ましくは15℃〜40℃である。
第1工程によって得られる液体成分は、C60やC70の含有比率が高い。用途によっては、液体成分をそのままの状態で使用に供してもよい。また、液体成分に対してさらに活性炭と接触させるなどの精製工程を行うことによって、より純度を高くしてから使用に供してもよい。
(2)第2工程
第2工程では、第1工程で得られた活性炭に対して、第1溶媒よりもフラーレン類に対する溶出力が大きい第2溶媒を接触させることにより、該活性炭に吸着されたC70よりも分子量が大きいフラーレン類を脱離させ回収する。
第1工程で得られた活性炭はそのままの状態で第2工程に使用することが、作業効率の観点から好ましい。例えば、カラム内に充填されている場合は、カラム内に充填したまま第2溶媒を通液することにより第2工程を行うことが好ましい。また、第1工程でバッチ処理した場合は、濾過後に残った活性炭上にそのまま第2溶媒を通液させることが好ましい。ただし、回収率をできるだけ高めたい場合は、第1工程の濾過後に残った活性炭をバッチに移して第2溶媒と混合し、攪拌した後に再度濾過してもよい。通液や濾過の詳細については、第1工程の説明を参照することができる。
第2工程で用いる第2溶媒の量は、活性炭1gあたり通常10ml〜5000mlであり、好ましくは20ml〜2500mlであり、より好ましくは50ml〜1000mlである。第2工程を行う際の温度は特に制限されない。必要に応じて加熱しながら第2工程を行ってもよい。第2工程の温度の好適な範囲は、第1工程における好適な温度範囲と同じである。
第2工程によって得られる液体成分は、C70よりも分子量が大きいフラーレン類の含有比率が高い。得られた液体成分は、さらに精製することによって所望の分子量を有するフラーレンの純度を上げることができる。また、混合物のまま使用に供してもよい。
(3)材料の再利用
第2工程終了後の活性炭は、フラーレン類が脱着されているので、本発明の分離方法を実施するために再利用することができる。すなわち、第2工程終了後の活性炭を、そのまま別のフラーレン混合物を分離するために行う第1工程および第2工程に用いることができる。再利用はフラーレン類を分離可能である限り何度でも行うことができる。したがって、本発明によれば、使い捨てにされることが多かった活性炭を有効に利用し、フラーレンの分離コストを抑えることができる。
活性炭を再利用する際には、再利用に先立って活性炭をさらに洗浄しておくことが好ましい。洗浄の際に用いる溶媒は、第2溶媒よりもフラーレン類に対する溶出力が小さい溶媒であることが好ましい。好ましくは、第1溶媒で洗浄する。第1溶媒で洗浄しておけば、再利用する際にフラーレン混合物の第1溶媒溶液を活性炭に迅速になじませることができる。
本発明の分離方法で用いた第1溶媒および第2溶媒も、蒸留などを行うことによって回収し、再利用することができる。
(4)フラーレン混合物
本発明のフラーレン混合物の分離方法が適用されるフラーレン混合物は、少なくともC60、C70およびC70よりも分子量が大きいフラーレン類を含有するものであればその組成は特に制限されない。また、フラーレン混合物はいかなる方法によって得られたものであってもよい。
本発明で使用するフラーレン混合物として好ましいものは、フラーレン類、多環状芳香族炭化水素および炭素系高分子成分を含む煤状物質であり、より好ましくは該煤状物質から多環状芳香族炭化水素を除去した煤状物質、あるいは該煤状物質からさらに炭素系高分子成分を除去したC60、C70およびC70よりも分子量が大きいフラーレン類を含む混合物である。より具体的には、後述する工程Aや工程Bを行う前の粗混合物や、下記工程Aや工程Bを行った後の抽出液(すなわち、C60、C70の他にC70よりも分子量が大きいフラーレン類などを含む混合溶液)をフラーレン混合物として用いることができる。
フラーレン類を大量に生産するには、炭化水素原料を不完全燃焼させる燃焼法、または高熱下に炭化水素原料を分解させる熱分解法を用いることが好ましく、なかでも燃焼法を用いることが特に好ましい。燃焼法によりフラーレン類を製造する際の圧力は、1330〜13300Pa(10〜100Torr)が好ましく、3990〜6650Pa(30〜50Torr)がさらに好ましい。温度は、800〜2500℃が好ましく、1000〜2000℃がさらに好ましい。
フラーレン類を製造する際の原料としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、メチルナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の炭素数6〜15の芳香族炭化水素が好適に用いられる。また、これらの芳香族炭化水素とともに、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素を原料として併用してもよい。
燃焼法において、原料は熱源としても作用する。即ち、原料炭化水素は酸素と反応して発熱し、温度をフラーレンの生成が可能となる温度に上昇させるとともに、原料炭化水素が脱水素されることにより、フラーレン骨格を形成するための炭素ユニットを生成するものと考えられている。炭素ユニットは一定の圧力、温度条件で集合してフラーレン類を形成する。
酸素の使用量は、原料炭化水素の種類によって若干異なるが、例えば原料炭化水素としてトルエンを用いた場合には、トルエンに対して0.5〜9倍モルが好ましく、1〜5倍モルがさらに好ましい。
燃焼法における反応系には、酸素以外に、フラーレンに対して不活性な気体を存在させていてもよい。これら不活性気体としては例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン、窒素、二酸化炭素等が挙げられる。
燃焼法により得られた煤状物質中には、フラーレン類および多環状芳香族炭化水素が含まれ、それ以外の残部は通常炭素グラファイト構造を骨格として若干の水素原子を有する高分子の炭化水素やカーボンブラック等の炭素系高分子成分である。煤状物質には、フラーレン類が5重量%以上含まれていることが好ましく、10%以上含まれていることがさらに好ましく、15%以上含まれていることが特に好ましい。製造されるフラーレン類は、上記定義にあてはまるものであればその炭素数に制限はないが、通常は炭素数60〜84のフラーレンであり、中でもC60とC70の割合が全フラーレン中好ましくは50%以上であり、さらに好ましくは70%以上であり、特に好ましくは80%以上である。
本発明で用いるフラーレン混合物が燃焼法または熱分解法により製造されたものである場合は、燃焼法または熱分解法により生成する煤状物質(フラーレン類、多環状芳香族炭化水素および炭素系高分子成分を含有する)を、まず不活性ガスの下で加熱して、多環状芳香族炭化水素を昇華して煤状物質から分離する工程(工程A)を実施し、次いで抽出溶媒と混合し、フラーレン類を溶解した抽出液を得る工程(工程B)を実施しておくことが好ましい。このような工程Aおよび工程Bを経たものに対して本発明の分離方法を行えば、より効率よくフラーレンを分離することができる。
以下において、これらの工程Aおよび工程Bについて順に説明する。
(工程A)
多環状芳香族化合物を昇華する際の条件としては、圧力は100〜2×105Paが好ましく、1000〜1.4×105Paがさらに好ましい。常圧で行う場合は装置が簡単になるメリットがあり、減圧下で行う場合は多環状芳香族炭化水素の昇華温度が低くなるメリットがある。経済性を考えて、最適な条件を選択して実施すればよい。また温度は、好ましくは100℃〜800℃である。昇華温度は圧力によって変化するので適宜選択すればよいが、常圧の場合には200℃〜700℃が好ましく、特に300℃〜600℃が好ましい。温度が低すぎると多環状芳香族炭化水素の昇華が不十分となり、温度が高すぎるとフラーレン類も昇華し、フラーレン類の回収率が低下する。
昇華に用いる装置は、上述の温度/圧力となる昇華条件に耐えうるものであれば、バッチ式、固定床型、流動層型、連続型等、特に限定はしない。昇華装置に用いられる材質としては、石英ガラス、ステンレス等の金属類、セラミックス、ガラス等が挙げられる。昇華は不活性ガスの存在下で行うが、本発明において不活性ガスとは、昇華の温度/圧力条件でフラーレン類と実質的に反応しない気体を意味する。
不活性ガスの種類としては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、窒素およびこれらの混合物が挙げられる。フラーレン類の反応を避けるためには、昇華に際して昇華装置中を実質的に不活性ガスにより置換し、昇華装置内の気体中の酸素の含有量を10体積%以下とするのが好ましく、5体積%以下とするのがより好ましく、1体積%とするのが特に好ましい。酸素の含有量が多い場合には、フラーレン類の酸化物が生成する場合がある。
また、多環状芳香族炭化水素の昇華は、不活性ガス流通下に行うのが好ましい。不活性ガスの流通下に行う方法としては、例えば昇華装置に不活性ガスの流入口および排出口を設けておき、連続的に不活性ガスを流入および排出させながら、所定の温度に昇温する方法を挙げることができる。不活性ガスは昇華装置に流入させる前に、予備的に加熱しておいてもよい。
不活性ガスの流通下に昇華を行う場合の不活性ガスの流通量としては、煤状物質1gに対して好ましくは1〜10000ml/minであり、さらに好ましくは5〜5000ml/minである。不活性ガスの流通は連続的であっても間欠的であってもよい。
昇華装置から昇華した多環状芳香族炭化水素は不活性ガスに同伴されて析出装置に導かれ、そこにおいて温度が下げられることによって析出する。析出装置は、昇華装置と同一装置内に設けても分離して設けても構わない。また、バッチ式、連続式のいずれであっても構わない。析出した多環状芳香族炭化水素は、機械的に集めて回収しても、溶媒に溶解して回収しても構わない。多環状芳香族炭化水素を析出して回収した後の不活性ガスは、大気中に放出するかリサイクルして使用する。操作時間は、温度、圧力、ガス流通量によって異なるが、通常10分〜12時間程度である。
(工程B)
次に、多環状芳香族炭化水素が分離されたフラーレン類および炭素系高分子成分を含有する煤状物質を、抽出溶媒と混合し、フラーレン類を溶解した抽出液を得る工程を実施する。抽出溶媒としては、炭素系高分子成分が実質的に溶解しない溶媒を選択する。抽出溶媒としては、好ましくは芳香族炭化水素を含む溶媒が用いられる。芳香族炭化水素化合物としては、後述する第1溶媒および第2溶媒で用いられるものと同様なものが用いられる。
抽出溶媒のフラーレン類の溶解度が低すぎると抽出効率が低下するので、フラーレンの溶解度として好ましくは5g/L以上、さらに好ましくは10g/L以上、特に好ましくは15g/L以上である溶媒を用いる。また、工業的観点から、これらの抽出溶媒の中でも常温で液体であって沸点が通常100〜300℃、中でも120〜250℃のものが好適である。
抽出溶媒は、フラーレン類を十分に抽出できるだけの量を用いる必要がある。通常、煤状物質中のフラーレン類の量に対して5〜400重量倍量、経済性を考えると40〜200重量倍量程度使用するのが好ましい。抽出に際しては、バッチ式、セミ連続式、連続式、またはそれらの組み合わせ等を採用することができ、形式や装置の詳細は特に限定されない。
煤状物質には通常5〜30重量%のフラーレン類が含まれている。抽出効率の観点から、フラーレン類に対して用いる抽出溶媒の量を上記範囲とするのが好ましいことから、抽出操作に先立って、煤状物質の一部を分析して、煤状物質中のフラーレン含有量を測定しておくのが好ましい。こうして得られた抽出液にはC60、C70およびC70よりも分子量が大きいフラーレン類が含まれている。
(2)活性炭
本発明の分離方法で用いる活性炭は、吸着性の強い、大部分が炭素質の炭である。活性炭の種類および製法については、本発明の分離方法を実施することができるものである限り特に制限されない。
本発明に用いられる活性炭の好ましい例として、直径2nm以下の細孔の積算ポアボリュームが0.3cm3/g以上の活性炭を挙げることができる。直径2nm以下の細孔ではC60に対するの吸着力が比較的小さく、C70より分子量が大きいフラーレン類に対する吸着力が比較的高い。このような細孔の積算ポアボリュームが0.3cm3/g以上であれば、活性炭の使用量を比較的少なくすることができるため工業的に有利である。このため、直径2nm以下の細孔の積算ポアボリュームが0.3cm3/g以上の活性炭を利用すれば、後述する第1溶媒および第2溶媒を適宜選択することによって、C60およびC70と、C70より分子量が大きいフラーレン類とを効率よく分離することができる。
直径2nm以下の細孔の積算ポアボリュームが0.3cm3/g以下であると、フラーレン類に対する吸着能力が低いため、C60とC70と、C70よりも分子量が大きいフラーレン類との分離性が低くなる場合がある。直径20Å以下の細孔の積算ポアボリュームは、好ましくは0.4cm3/g以上であり、更に好ましくは0.5cm3/g以上である。上限は特に規定されないが、通常10cm3/g以下である。
また、活性炭の比表面積は1600m2/g以上であることが好ましく、2000m2/g以上であることがより好ましく、2500m2/g以上であることが特に好ましい。比表面積が上記範囲であれば、1回当たりのフラーレン類の処理能力が大きくなる。
更にまた、活性炭は30μm以下の粒径を持つ粒子の割合が40%以下であるものが好ましく、30%以下であるものがより好ましく、25%以下であるものが特に好ましい。30μm以下の小粒径の活性炭の割合が上記範囲であれば、フラーレン類の混合物を処理する操作が容易となる。
フラーレン混合物の溶液を通液する吸着材料は、活性炭のみで構成されていてもよいし、たとえばシリカゲルのようなフラーレンをほとんど吸着しない粒子と活性炭との混合物から構成されていてもよい。当業者であれば、シリカゲルのようなフラーレンをほとんど吸着しない粒子と活性炭の使用割合は本発明のフラーレン類の分離方法を効率的に行なう観点から適宜選択できる。
(6)第1溶媒および第2溶媒
本発明においてフラーレン類を活性炭で処理する際に用いる第1溶媒および第2溶媒は、本発明にしたがってフラーレン類を分離しうるものであれば特にその種類は制限されない。第1溶媒および第2溶媒として好ましいものは、芳香族炭化水素化合物を含むものである。芳香族炭化水素化合物としては、分子内に少なくとも1つのベンゼン核を有する炭化水素化合物であり、具体的にはベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、1,2,3−トリメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリメチルベンゼン、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、1,2,3,5−テトラメチルベンゼン、ジエチルベンゼン、シメン等のアルキルベンゼン類、1−メチルナフタレン等のアルキルナフタレン類、テトラリン等が挙げられる。これらの内では、1,2,4−トリメチルベンゼン(TMB)およびテトラリンを用いることが好ましい。
溶媒には、芳香族炭化水素の他に、さらに脂肪族炭化水素や塩素化炭化水素等の有機溶媒を、単独でまたはこれらのうち2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
脂肪族炭化水素としては、環式や非環式等、任意の脂肪族炭化水素を使用することができる。環式脂肪族炭化水素の例としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンなどの単環式脂肪族炭化水素、その誘導体であるメチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、1,2−ジメチルシクロヘキサン、1,3−ジメチルシクロヘキサン、1,4−ジメチルシクロヘキサン、イソプロピルシクロヘキサン、n−プロピルシクロヘキサン、t−ブチルシクロヘキサン、n−ブチルシクロヘキサン、イソブチルシクロヘキサン、1,2,4−トリメチルシクロヘキサン,1,3,5−トリメチルシクロヘキサン、多環式としてデカリンなどが挙げられる。非環式脂肪族炭化水素の例としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ドデカン、n−テトラデカンなどが挙げられる。
塩素化炭化水素としては、ジクロロメタン、クロロフォルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、1−クロロナフタレンなどが挙げられる。その他、炭素数6以上のケトン、炭素数6以上のエステル類、炭素数6以上のエーテル類、二硫化炭素等が挙げられる。
本発明では、第1溶媒のフラーレン類に対する溶出力よりも第2溶媒のフラーレン類に対する溶出力が大きいことが必要とされる。フラーレン類に対する溶出力がより強いことは、フラーレンに対する溶解度がより大きいこととおおむね一致する。第1溶媒としては、フラーレン類の溶解度が通常1g/L以上、好ましくは2g/L以上、さらに好ましくは5g/L以上のものを用いるのがよい。また、第2溶媒としては、第1溶媒よりもフラーレン類の溶解度が通常5g/L以上高いものを用い、好ましくは10g/L以上高いものを用い、さらに好ましくは20g/L以上高いのものを用いるのがよい。芳香族溶媒の場合、分子内のベンゼン環の個数、炭素原子数、ハロゲン原子の数によって、フラーレン類の溶解度を調整することができる。また、使用時における温度を制御することによって、溶解度をコントロールしてもよい。
第1溶媒と第2溶媒の組み合わせについては、例えば、1,2,4−トリメチルベンゼン(TMB)と1−メチルナフタレン(1MN)の組み合わせを挙げることができる。また、その他の組み合わせとして、テトラリンと1−メチルナフタレン(1MN)の組み合わせ、トルエンとTMBの組み合わせ、トルエンとテトラリンの組み合わせ、トルエンと1MNの組み合わせ、テトラリンと1MNの組み合わせ、トルエンとo−ジクロロベンゼンの組み合わせなどを挙げることもできる。
以下に、活性炭への通液処理手順の一例を記載する。
1.フラーレン混合物を第1溶媒に溶解し、これを原料液とする。
2.活性炭に原料液を通液する。
3.活性炭を第1溶媒で洗浄する。2および3により、C60およびC70を含有する溶出液を回収する。
4.第1溶媒よりもフラーレン類に対する溶出力が強い第2溶媒を活性炭に通液する。これにより、C70よりも分子量が大きいフラーレン類を溶出液に回収する。
5.活性炭を第2溶媒よりも溶出力が小さい溶媒で洗浄する。
6.同じ活性炭を用いて1〜5の操作を繰り返す。これにより、活性炭単位質量あたりの原料処理量を増すことができる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<実施例1>
(充填カラムの作成)
関西熱化学株式会社製の活性炭MSC30の0.348gとシリカゲル0.720gを100mlビーカーに入れ1,2,4−トリメチルベンゼン(TMB)20mlと混合し、軽くスパチュラでかき混ぜることによりスラリーを調製した。内径4.6mm、充填層高100mmのステンレス製カラムの下流部出口にフィルターと栓を取りつけた後、上流部に吸着材充填用の容積25mlのパッカーを接合し、パッカーに先のスラリーを全量注ぎ入れた。パッカーのフタを締めたあと、バイブレータでカラムを振動させながらパッカーの上流からカラム下流部へ向けてTMBを30ml流通した。パッカーをカラムから取り外し、カラム上流部入り口にフィルターおよび栓をつけた。上の作業により活性炭充填カラムを作成した。
(フラーレン混合物の第1溶媒溶液(原料液)の調製)
本荘ケミカル株式会社製の混合フラーレン2.91gをTMB(第1溶媒)437.1gと混合し、室温で超音波洗浄機に10分間浸すことによって均一なフラーレン混合物の第1溶媒溶液を調製し、これを原料液とした。
(原料液負荷操作)
上述の活性炭充填カラムをカラムオーブンに設置した後、カラムに原料液を毎分2.25mlにて室温で通液させた。カラム下流部において溶出液をフラクションコレクターにより550滴(約6.5ml)を1分画として回収した。11分画分の原料溶出液を得た時点で原料液の通液を停止した。
(高分子量体の回収操作)
カラムオーブンの温度を120℃にしたのち、活性炭充填カラムに通過させる液を1−メチルナフタレン(1MN)(第2溶媒)とし、毎分2.25mlにて室温で通液させた。カラム下流部において溶出液をフラクションコレクターにより500滴(約6.5ml)を1分画として回収した。11分画分の溶出液を得た時点での1MNの通液を停止した。
(カラム洗浄操作)
活性炭充填カラムに通過させる液をTMBとし、毎分2.25mlにて室温で通液させた。カラム下流部において溶出液をフラクションコレクターにより550滴(約6.5ml)を1分画として回収した。11分画分の溶出液を得た時点でTMBの通液を停止した。カラムオーブンによる加熱を停止し、室温になるまで放冷した。
(分析)
上記の(原料負荷操作)から(カラム洗浄操作)に至る操作によって得られた分画液中の溶質濃度を液体クロマトグラフによって分析し、回収性能を計算した。(原料負荷操作)によってカラムから溶出した溶出液の中にC60およびC70が含まれていることが確認された。また、(原料負荷操作)においてカラムに通液した分子量がC70よりも大きいフラーレン量のうち、(高分子量体の回収操作)および(カラム洗浄操作)によってカラムから溶出した量は28.0%であった。
<実施例2>
実施例1の(高分子量体の回収操作)の前に以下の(カラム洗浄操作1)を行った。また、実施例1の(カラム洗浄操作)と同じ操作を実施例2では(カラム洗浄操作2)として行った。その他については実施例1と同じ操作を行った。
(カラム洗浄操作1)
活性炭充填カラムに通過させる液をTMBとし、毎分2.25mlにて室温において通液させた。カラム下流部において溶出液をフラクションコレクターにより550滴(約6.5ml)を1分画として回収した。11分画分の溶出液を得た時点でTMBの通液を停止した。
(分析)
実施例2の(原料液負荷操作)から(カラム洗浄操作2)に至る操作によって得られた分画液中の溶質濃度を液体クロマトグラフによって分析し、回収性能を計算した。(原料負荷操作)および(カラム洗浄操作1)によってカラムから溶出した溶出液の中にC60およびC70が含まれていることが確認された。また、(原料液負荷操作)においてカラムに通液した分子量がC70よりも大きいフラーレン量のうち、(高分子量体回収操作)および(カラム洗浄操作2)によってカラムから溶出した量は20.0%であった。
<実施例3>
実施例1の(充填カラムの作成)から(カラム洗浄操作)を行った後の活性炭充填カラムに対し、実施例1の(原料液負荷操作)から(カラム洗浄操作)に至る操作を繰り返し行った(繰り返し工程)。
(分析)
上記の操作における分画液中の溶質濃度を液体クロマトグラフによって分析し、回収性能を計算した。繰り返し工程における(原料液負荷操作)の操作中、カラムに通液した分子量がC70よりも大きいフラーレン量のうち、繰り返し工程における(高分子量体回収操作)および(カラム洗浄操作)によってカラムから溶出した量は55.0%であった。
<比較例1>
実施例1の(高分子量体の回収操作)を行わなかったことと、(カラム洗浄操作)を室温で行ったことを変更した以外は、実施例1と同じ操作を行った。
(分析)
(原料液負荷操作)から(カラム洗浄操作)に至る操作によって得られた分画液中の溶質濃度を液体クロマトグラフによって分析し、回収性能を計算した。(原料液負荷操作)においてカラムに通液した分子量がC70よりも大きいフラーレン量のうち、(高分子量体回収操作)およびカラム洗浄操作によってカラムから溶出した量は8.1%であった。
本発明にしたがって、少なくともC60、C70およびC70よりも分子量が大きいフラーレン類を含むフラーレン混合物の第1溶媒溶液を活性炭に通液してC60およびC70を分離回収した後、第1溶媒よりもフラーレン類に対する溶出力が大きい第2溶媒で該活性炭に吸着されたC70よりも分子量が大きいフラーレン類を脱離回収することによって、C60およびC70と、C70よりも分子量が大きいフラーレン類とを効率よく大量に分離回収することができる。また、使用した活性炭を繰り返し利用することができるため、工業的な利用性が高い。さらに、分離回収した分子量がC70よりも大きいフラーレン類や、C60およびC70は、そのまま利用に供することもできるし、さらに精製して高純度品にすることもできる。

Claims (9)

  1. (1)少なくともフラーレンC60、フラーレンC70およびフラーレンC70よりも分子量が大きいフラーレン類を含むフラーレン混合物の第1溶媒溶液を活性炭に通液してフラーレンC60およびフラーレンC70を含む溶液を回収した後、(2)第1溶媒よりもフラーレン類に対する溶出力が大きい第2溶媒で該活性炭に吸着されたフラーレンC70よりも分子量が大きいフラーレン類を脱離回収することを特徴とする、フラーレン類の分離方法。
  2. 第1溶媒および第2溶媒として、芳香族炭化水素化合物からなる溶媒を用いることを特徴とする請求項1に記載のフラーレン類の分離方法。
  3. 第1溶媒が1,2,4−トリメチルベンゼンまたはテトラリンであり、第2溶媒が1−メチルナフタレンであることを特徴とする請求項1に記載の分離方法。
  4. (1)および(2)の工程を行った後の活性炭を用いて、さらに(1)および(2)の工程を1回以上繰り返すことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の分離方法。
  5. (1)および(2)の工程を行った後の活性炭を、第2溶媒よりもフラーレン類に対する溶出力が小さい溶媒で洗浄した後に、さらに(1)および(2)の工程を1回以上繰り返すことを特徴とする請求項4に記載の分離方法。
  6. (1)および(2)の工程を行った後の活性炭を第1溶媒で洗浄し、得られた活性炭を用いて(1)および(2)の工程をさらに1回以上繰り返すことを特徴とする請求項4に記載の分離方法。
  7. 活性炭を充填材として充填したカラムの形態で活性炭を使用することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の分離方法。
  8. フラーレン混合物として、(工程A)フラーレン類、多環状芳香族炭化水素、および炭素系高分子物質を含有する煤状物質を不活性ガスの下で加熱して多環状芳香族炭化水素を昇華して煤状物質から分離する工程、(工程B)フラーレン類および炭素系高分子物質を含有する煤状物質と抽出溶媒とを混合してフラーレン類が溶解した抽出液を得る工程により調製したフラーレン混合物を使用することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のフラーレンの分離方法。
  9. フラーレン類、多環状芳香族炭化水素、および炭素系高分子物質を含有する煤状物質が、炭化水素化合物の燃焼および/または熱分解によって得られたものであることを特徴とする、請求項8に記載のフラーレンの分離方法。

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