JP3892821B2 - フラーレンの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新しい炭素材料であるフラーレン、中でもC60、C70、C76、C78、C82、C84の分子構造を有するフラーレンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、炭素数60、70、84等の閉殻構造型のカーボンクラスター(球状の巨大分子)という新しいタイプの分子状炭素物質が合成されたが、この特殊な分子構造を有するカーボンクラスターはフラーレンとも称され、その分子骨格を構成する炭素数によって、フラーレンC60、同C70、同C84などと呼ばれている(単に、C60、C70、C84等とも呼ばれる)。
これらフラーレン類(以下、単に「フラーレン」と言う)は新しい炭素材料であり、また特殊な分子構造から特異な物性を示すことが期待されるので、その性質及び用途開発についての研究が盛んに進められている。フラーレンは例えば、ダイヤモンドコーティング、電池材料、塗料、断熱材、潤滑材、医薬品、化粧品などの分野への応用が期待されている。
【0003】
フラーレンの製造方法としては、アーク放電法、抵抗加熱法、レーザー蒸発法や燃焼法等が知られているが、ベンゼンなどの環状芳香族炭化水素を不完全燃焼させる燃焼方法は、大量のフラーレンを安価に製造する方法として期待されている。
また、フラーレンを含む煤状物質から、フラーレンを分離する方法としては、溶媒抽出法が知られている。これはフラーレンがベンゼン、トルエン、二硫化炭素等の有機溶媒に溶解するのに対し、その他の煤状物質の多くを占める、いわゆる「煤」である炭素系高分子成分はグラファイトやアモルファスカーボンに似て有機溶媒に溶解しにくい、という性質を利用した方法である。
【0004】
また煤状物質からフラーレンを分離する別の方法としては、高真空下で煤状物質を加熱し、フラーレンを昇華させる方法(昇華法)も知られている。この昇華法は、たとえば400℃以上の高温、0.133Pa(10−3Torr)以下の高真空条件を必要とする特殊な分離方法であり、それに比べ溶媒抽出法は操作が容易なため広く用いられている。
更に抽出で得られたフラーレンは、主としてC60とC70とを含む溶液であり、この溶液から単一のフラーレンを分離するには、カラムクロマト分離、分別再結晶等の他に、フラーレンを包接化する方法等が適用されている。
【0005】
その他、煤状物質からのフラーレン分離方法としては、C60を含有する煤状物質を有機溶媒により抽出して得られた、主としてC60を含む溶液を、活性炭と接触処理した後、得られた処理液から、有機溶媒を分離除去することにより、C60を精製する方法がある(例えば、特許文献1参照。)。
またフラーレンの分離精製装置としては、加熱容器、トラップ、減圧装置を含むバッチ式の分離精製装置が知られている。具体的には、フラーレンを加熱して昇華させるための加熱容器と、該加熱容器に接続されており、昇華したフラーレンを析出させるためのトラップと、加熱容器及びトラップの内部を減圧吸引するための減圧装置とを少なくとも備え、加熱容器、トラップ、減圧装置がこの順序で配設されているものである(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−85711号公報
【特許文献2】
特開平9−227111号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしこれらの分離精製方法は、いずれもバッチ式であり、少量の煤状物質を対象とした精製技術である。故に、大量の煤状物質を精製対象とする工業的規模でのフラーレン製造には不向きである。
またこの煤状物質には、カーボンブラックに代表される様な、現在、工業的に価値の高い煤である炭素系高分子成分等が大量に含まれている。よって大量の煤状物質から、これら炭素系高分子成分をも有効に利用するためにも、炭素系高分子成分とフラーレンとを出来るだけ効率良く分離できる、フラーレンの製造装置及び製造方法の開発が望まれていた。
【0008】
またフラーレンの製造方法においても、フラーレンと共に生成する多環状芳香族化合物が問題となっていた。具体的には例えば、制御された温度・圧力条件下でトルエン等の有機物を不完全燃焼させる方法(燃焼法)によってフラーレンを製造する場合、C60とC70を主とする複数のフラーレンを含んだ煤状物質が生成することが知られている。
【0009】
この多環状芳香族化合物は、ベンゾピレンに代表される様に、芳香族化合物の中でも組成的に水素原子の割合が少なく、フラーレン類と類似している。従って、フラーレン類に混在している場合にはフラーレンの反応性を阻害したり、フラーレンの固有の性質に影響を与える可能性がある。また一般的にこれら多環状芳香族化合物は毒物であり、安全性の面から、極力低減する必要がある。
【0010】
しかし、フラーレン類と多環状芳香族化合物の溶媒への溶解度を比較すると、一般的に多環状芳香族化合物の溶解度の方が10倍以上高い。その為、煤状物質を溶媒で抽出すると、フラーレン類のみを選択的に抽出することは困難で、煤状物質中の多環状芳香族化合物をも、殆ど抽出液へ同時に抽出してしまう。その為、この抽出液からフラーレンを固体として得るべく、例えば抽出液を濃縮・乾燥したり、抽出液を濃縮して析出した固形分を濾別し乾燥して(主としてフラーレンを含む)固体を得たとしても、この固体中には、通常0.01〜10%程度の多環状芳香族化合物が含まれてしまうという問題がある。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、フラーレンの大量製造の際、生成する大量の煤状物質からフラーレンを効率良く分離回収するフラーレンの製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
【0012】
【0013】
第1の発明に係るフラーレンの製造方法は、炭化水素原料を不完全燃焼させるか又は炭化水素原料を熱分解することにより、フラーレン、多環状芳香族化合物、及び炭素系高分子成分を含む煤状物質含有気流を生成させる工程と、前記工程で得られた高温状態の前記煤状物質含有気流を耐熱性フィルターに通して、前記多環状芳香族化合物及び前記フラーレンの混合物を主体とする気化物を気流状態で分離する工程とを有する。
【0014】
第2の発明に係るフラーレンの製造方法は、第1の発明に係るフラーレンの製造方法において、気流状態の前記気化物の温度を、前記フラーレンが固化する温度以下で、前記多環状芳香族化合物の気化温度以上にして、固化した前記フラーレンを回収している。
第3の発明に係るフラーレンの製造方法は、第2の発明に係るフラーレンの製造方法において、前記フラーレンの回収は、別の耐熱性フィルターを用いて行っている。
第4の発明に係るフラーレンの製造方法は、第1の発明に係るフラーレンの製造方法において、前記耐熱性フィルターを通過した気流の温度を下げて、前記多環状芳香族化合物及び前記フラーレンを固化及び/又は液化させて回収している。
【0015】
第5の発明に係るフラーレンの製造方法は、第4の発明に係るフラーレンの製造方法において、前記多環状芳香族化合物及びフラーレンの混合物から、フラーレンの溶解度が低く、且つ多環状芳香族化合物の溶解度の高い有機溶媒によって前記多環状芳香族化合物を溶出分離して残った純度を高めたフラーレンを得ている。
第6の発明に係るフラーレンの製造方法は、第4の発明に係るフラーレンの製造方法において、前記多環状芳香族化合物及びフラーレンの混合物を加熱して、前記多環状芳香族化合物を気化分離し、残ったフラーレンを得る。
【0016】
第7の発明に係るフラーレンの製造方法は、第1〜第6の発明に係るフラーレンの製造方法において、前記炭化水素原料は、炭素数6〜20の芳香族炭化水素からなる。
なお、第1〜第7の発明に係るフラーレンの製造方法において、前記煤状物質含有気流は、旋回流となって配管(通路)内を流れるものであってもよい。
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここに、図1は本発明の第1の実施の形態に係るフラーレンの製造装置の概略構成図、図2は本発明の第2の実施の形態に係るフラーレンの製造装置の概略構成図、図3は煤状物質を加熱した際の重量減少を示したグラフ、図4は同煤状物質を加熱した際に発生したガスの定性分析結果を示すグラフである。
【0021】
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係るフラーレンの製造装置10は、フラーレン生成装置の一例であるフラーレン生成炉11と、煤状物質からフラーレン及びその他の成分、具体的には条件に応じて多環状芳香族化合物や炭素系高分子成分を分離する分離装置12と、分離装置12を経由したガスを冷却するガス冷却装置13と、ガス冷却装置13によって降温されたガスを吸引する真空ポンプからなる減圧装置14とを有する。以下、これらについて詳しく説明する。
【0022】
この実施の形態では、フラーレンの生成は燃焼法を用いているので、フラーレン生成炉11は、内部の圧力を大気圧に対して減圧条件、好ましくは真空に近い状態(例えば、20Torr以上100Torr以下)としている。このフラーレン生成炉11の側面又は底面に設けた図示しない導入管から導入されたトルエンやベンゼン等のフラーレン炭化水素原料(以下、単に炭化水素原料という)をガス化し、酸素と混ぜて混合ガスとし、フラーレン生成炉11内に導入している。
【0023】
そして、フラーレン生成炉11内には、炭化水素原料を不完全燃焼させるためのバーナー15を備える。バーナー15には炭素質原料と酸素との混合ガスが供給される。このような構造により、連続的に、フラーレンを含む煤状物質を含む気流(煤状物質含有気流)を製造することができる。この実施の形態では、このフラーレン生成炉11から発生する高温の煤状物質含有気流から、フラーレンを分離して、連続的かつ大量のフラーレンの製造が行われている。
【0024】
フラーレン生成炉11の下流には、ガス降温手段16を介して分離装置12が設置されている。このガス降温手段16は、この実施の形態では、周囲を所定温度に冷却されたパイプ(配管、通路)17と、このパイプ17内に斜め接線方向から気流を吹き込む導入口(図示せず)とを有し、高温で乱流状態の煤状物質含有気流がこのパイプ17内を通過することによって、周囲から抜熱され、所定の温度(例えば、多環状芳香族化合物の液化温度以上でフラーレンの固化温度以下、又はフラーレンの固化温度以上で分離装置12の耐熱温度以下)まで降温されて、分離装置12内に送られている。
【0025】
なお、パイプ17内に旋回流を発生させる導入口は、入口側のフランジ18に設けてもよいし、フラーレン生成炉11に接続される排気管19に更に複数に分岐管を接続し、この分岐管を、パイプ17の上流側の位置で斜め接線方向に接続してもよい。このように構成することによって、通過する気流がパイプ17内の内側面に積極的に接するので、効率的に冷却される。また、気流には気化が困難な炭素系高分子成分(カーボンブラックを含む)を多量に有し、通常のストレートな気流の流れでは、パイプ17内の内壁部分の流速が遅くなって、パイプ17内が徐々に閉塞される傾向にあるが、以上のように気流旋回機構を設けることによって、内壁近傍に積極的に気流を流すので、固形物の堆積を減ずることができる。
【0026】
また、ガス降温手段16として、パイプ17を通過する煤状物質含有気流を乱流状態にして通過させることによって、煤状物質含有気流の温度を下げることもできる。この場合は、パイプ17内に煤状物の閉塞が発生しやすいので、できる限り通過するガスの速度を増すのが望ましい。
【0027】
分離装置12は、フラーレン生成炉11から発生する煤状物質含有気流中の固形分と気流分を分離するためのもので、内部に耐熱性フィルター20を備える。耐熱性フィルター20の耐熱温度はより高いことが好ましいが、実際は、気化した多環状芳香族化合物を通過させてフラーレン及び炭素系高分子成分(煤状物)を回収する場合には、ガスの温度に応じて300〜500℃(より好ましくは、400〜500℃)の耐熱温度で十分であり、気化したフラーレン及び多環状芳香族化合物を通過させて、炭素系高分子成分を回収する場合には、600〜750度の耐熱温度のフィルターを使用する必要がある。
【0028】
分離装置12の構造は、通常の集塵機等に使用されるバッグフィルター構造となって、このバッグフィルターが前記した耐熱性フィルター20によって構成されている。このような耐熱性フィルター20としては例えば、日本ポール社製焼結金属フィルターや富士フィルター社製焼結金属フィルター等が挙げられる。フィルター目開きの大きさは、フラーレンを生成させる燃焼条件や煤状物質の性状によって適宜選択する。
【0029】
分離装置12には、その上部に定期的に付着した固化物(例えば、炭素系高分子成分とフラーレン又は炭素系高分子成分)を除去するパルスジェット機構21が設けられている。このパルスジェット機構21は、高圧の不活性ガス(例えば、窒素やアルゴン)等を貯留するタンク22と、電磁弁23とを有し、電磁弁23を定期的に短時間パルス的に開けることによって、耐熱性フィルター20内にガスを入れ、周囲に付着した固化物を下方に落下させ、排出弁24を開けて外部に排出できるようになっている。
そして、分離装置12の上部には、耐熱性フィルター20を通過したガスを外部に排出するガス出口25が設けられている。
【0030】
図2はこのような分離装置12と同一の分離装置27を直列2段に重ねたものであり、途中に別のガス降温手段28を配置している。なお、図2に示す本発明の第2の実施の形態に係るフラーレンの製造装置29において、前記したフラーレンの製造装置10と同一の構成要素は同一の番号を付してその詳しい説明を省略する。
この分離装置27に、例えば分離装置12を出たガスの温度(例えば、600℃)をガス降温手段28によって更に(例えば、400度)に下げて供給すると、分離装置12を通過した気体状のフラーレンはガス降温手段28によって固化し、分離装置27によって回収される。一方、凝固温度の更に低い多環状芳香族化合物は、更に分離装置27も通過することになる。
【0031】
分離装置27のガス出口25(第1の実施の形態に係るフラーレンの製造装置10においては、分離装置12のガス出口25となる)には、ガス冷却装置13が設けられている。このガス冷却装置13は通常の熱交換器と、同一又は近似した構造となって、気流内に含まれる多環状芳香族化合物が液化し、下部のドレーンから排出されるようになっている。
なお、ガス冷却装置13に流入するガス温度が500℃以上ある場合には、ガス内に気化されたフラーレンを含む。この場合、ガス冷却装置13がガスを200〜100℃程度に冷却すると、フラーレンの固化物と多環状芳香族化合物の液化物を得る。
【0032】
このガス冷却装置13に後続する減圧装置14は通常の真空ポンプからなっている。なお、フラーレンの昇華温度は真空度によっても変化するので、供給する炭化水素原料、酸素、不活性ガスの量から、最も効率的にフラーレンを回収できる圧力になるように減圧装置14を制御する。
なお、ガス冷却装置13の前に、更に、温度を下げることによって生成したフラーレンや多環状芳香族化合物を回収する特別な装置を設けて、ガス冷却装置13は減圧装置14に通ずる気体を所定温度以下に冷却するためのみに使用してもよい。
【0033】
続いて、本発明の一実施の形態に係るフラーレンの製造方法について述べる。
工程(1)
本発明の工程(1)においては、フラーレンを含む煤状物質含有気流を得る。この際、フラーレンは原料となる炭化水素(炭化水素原料)をフラーレン生成炉11を用いて不完全燃焼させる燃焼法によって行うが、場合によっては、高熱下に炭化水素原料を分解させる熱分解法によって製造することもできる。
フラーレン製造の際には、多環状芳香族化合物(PAH)や炭素系高分子成分(カーボンブラックを含む煤状成分)も同時に生ずるので、この煤状物質含有気流は、フラーレン、多環状芳香族化合物、及び炭素系高分子成分を含有する煤状物質を含む気流(煤状物質含有気流)となる。
【0034】
燃焼法はフラーレンの大量生産に向き、またフラーレン合成域における最高温度が約2000℃程度と他の方法と比べて比較的低温であり、またフラーレンが気相の状態で存在し、フラーレン以外の、特に煤状物質の多くを占める炭素系高分子成分が固体の状態で存在している温度領域が特定しやすく、フラーレンの分離を効率的に行えるので好ましい。
燃焼法によりフラーレンを製造する場合、圧力条件としては大気圧に対して減圧下で行うのが一般的であり、減圧度は適宜選択すればよい。具体的な圧力条件としては、例えば20〜100Torr(更に好ましくは、30〜50Torr)となるように、減圧装置14の排気量が調整されている。
フラーレン生成炉11内の温度条件としては、先述した圧力条件に応じて適宜選択すればよいが、中でも1600〜2000℃が好ましく、特に1700〜1900℃であることが好ましい。
【0035】
フラーレンの原料となる炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、メチルナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素が好適に用いられる。また、炭化水素原料としては、これらの芳香族炭化水素に併用してヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素を用いても良い。
【0036】
燃焼法において用いる炭化水素原料は、同時に熱源としても作用する。即ちこの炭化水素原料は酸素と反応して発熱してフラーレンの生成が可能となる温度に上昇させると共に、炭化水素原料が脱水素されることにより、フラーレン骨格を形成するための炭素ユニットを生成するものである。炭素ユニットは一定の圧力、温度条件で集合してフラーレン類を形成する。
【0037】
燃焼法に於いて用いる酸素の使用量としては、炭化水素原料の種類によっても若干異なるが、炭化水素原料中の炭素の量と使用する酸素のモル比、C/O比が0.7〜1.3であることが好ましく、1.0〜1.2であることが更に好ましい。
燃焼法における反応系には、酸素以外に、フラーレンに対して不活性ガスを存在させていてもよい。本実施の形態において不活性ガスとは、フラーレン類と実質的に反応しない気体を意味する。不活性ガスの種類としては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、窒素及びこれらの混合物が挙げられる。
【0038】
燃焼法により得られた煤状物質含有気流中には、フラーレン及び多環状芳香族化合物が含まれる。これら以外の残部は、通常、グラファイト構造を持つ炭素グラファイト構造を骨格として若干の水素原子を有する、高分子の炭化水素やカーボンブラック等(炭素系高分子成分)である。
工程(1)にて得られる煤状物質含有気流には、フラーレン類が5重量%以上含まれていることが好ましく、更には10%以上、特に15%以上含まれていることが好ましい。
また、本実施の形態により製造されるフラーレン類は、フラーレン構造を有していれば炭素数に制限はないが、通常は炭素数60〜84のフラーレンであり、中でもC60とC70の割合が全フラーレン中において50%以上であることが好ましく、更には70%以上、特に80%以上であることが好ましい。
【0039】
工程(1)で得られる煤状物質含有気流は、通常、速度が緩やかで、300℃以上の温度を有するものである。この気流をそのまま次の工程(2)へ供しても良いし、例えば先述の不活性ガス流を供給して気流速度を上昇させ、工程(2)での効率を高めても良いし、また必要に応じてこの煤状物質含有気流を加熱しても良い。
この際、煤状物質含有気流の温度は、フラーレン及び/又は多環状芳香族化合物が気体で存在できる温度以上であればよく、具体的には400℃以上であることが好ましい。また煤状物質含有気流の温度が高すぎるとフラーレン製造装置への負荷が大きく、温度上昇に見合う効果の増加が少なくなるので、2000℃以下、中でも1500℃以下であることが好ましい。
なお、本実施の形態における多環状芳香族化合物とは、少なくとも一つ以上の芳香環を有し、2環以上が縮合している芳香族化合物を示す。多環状芳香族化合物の具体例としては、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ペンゾピレン等が挙げられる。
【0040】
工程(2)
工程(2)では、先述の工程(1)で得られた、フラーレン、多環状芳香族化合物及び炭素系高分子成分を含む煤状物質含有気流から、フラーレン及び/又は多環状芳香族化合物を気体状態で分離する。
分離の方式としては、以下の工程(2−1)、工程(2−2)が挙げられる(なお、工程(2−1)、工程(2−1−1)及び工程(2−1−2)は参考例として記載する)。
工程(2−1)
煤状物質含有気流から、気体状態で多環状芳香族化合物を分離する。次にフラーレンと炭素系高分子成分との混合物から、フラーレンを分離する方法。
工程(2−2)
気体状態のフラーレンと気体状態の多環状芳香族化合物を、炭素系高分子成分等の煤状物質に含まれる他の物質と分離し、次にフラーレンと多環状芳香族化合物との混合物から、フラーレンを分離する方法。
これらの工程について説明する。
【0041】
工程(2−1)
図1に示すフラーレンの製造装置10を用いて、フラーレンの製造を行う。そして、フラーレン生成炉11から発生する煤状物質含有気流をガス降温手段16を通じて温度を下げて、分離装置12内に流す。
この工程では、煤状物質含有気流から、気体状態で多環状芳香族化合物を分離する。この際の分離条件としては、多環状芳香族化合物が気体状態で存在し、フラーレンを含む残りの炭素系高分子成分が固体状態(例えば、粉体)であれば、任意の温度、圧力条件を適宜選択すればよく、経済性を考えて、最適な条件で実施すればよい。
一般的に圧力は100〜2×105Paが好ましく、更には1000〜1.4×105Paであること好ましい。常圧では装置が簡単になるメリットがあり、減圧下では分離条件温度が低くても多環状芳香族化合物が気体状態で存在するので分離が可能であり、経済的メリットがある。
【0042】
また分離条件温度は、圧力にもよるが、好ましくは200℃以上570℃以下である。多環状芳香族化合物が気体状態で存在できる温度は、当然、圧力によって変化するので、分離条件温度は適宜選択すればよい。温度が低すぎると多環状芳香族化合物が固体として析出する場合があり、逆に温度が高すぎるとフラーレンも気体状態となるので多環状芳香族化合物と共に分離されてしまい、フラーレンの回収率が低下する場合がある。この制御は、分離装置12内に入るガス温度を測定しながらガス降温手段16を制御することによって行う。
【0043】
多環状芳香族化合物の分離に際しては、工程(1)で得られた煤状物質含有気流をそのまま用いても良いが、先述のような不活性ガスを更に添加して全体温度を下げてもよい。中でも分離装置12内における気体中の酸素含有量を10体積%以下とするのが好ましく、更には5体積%以下、特に1体積%とするのが好ましい。酸素含有量が多いとフラーレンの酸化物が生成する場合があり、フラーレンの収率が低下する場合がある。
【0044】
分離装置12で分離された多環状芳香族化合物は、気流に同伴されて、例えば、図1には図示しない析出装置(分離装置12とガス冷却装置13との間に配置される)にて温度が下げられることによって、固体又は液体の多環状芳香族化合物として回収すればよい。この析出装置は、分離装置12と同一装置内に設けても、また別の装置として設けてもよい。この多環状芳香族化合物の回収は、バッチ式又は連続式のいずれでもよい。析出した多環状芳香族化合物の回収は、そのまま固体又は液体として、又は溶媒に溶解して回収してもよい。
【0045】
多環状芳香族化合物の析出、回収の方法は、従来公知の、気体状態物質を液化(又は固化)させて回収する技術を用いればよい。例えば、冷却した回転ドラムに気体状態の多環状芳香族化合物を含有するガスを接触させて多環状芳香族化合物を析出させ、間欠的もしくは連続的にスクレーパーで掻き取り回収する方法が挙げられる。また、回転ドラムに付着した多環状芳香族炭化水素を有機溶媒により溶解し除去・回収してもよい。
【0046】
また別の方法としては、気体状態の多環状芳香族化合物を、水又は有機溶媒のスプレーゾーンを通過させるか、又は気体状態の多環状芳香族化合物を含むガスを、水又は有機溶媒中へ吹き込むことでガスを冷却し、多環状芳香族化合物を析出(あるいは有機溶媒に溶解)させて回収する方法が挙げられる。この際、水中に多環状芳香族化合物を析出させて回収した際には、更に有機溶媒で多環状芳香族化合物を抽出すればよい。
【0047】
工程(2−1)で多環状芳香族化合物を分離した後、フラーレンと炭素系高分子成分の混合物からフラーレンを分離する。
フラーレンと炭素系高分子成分とを分離する方法は特に制限はないが、例えばフラーレンと炭素系高分子成分を含む煤状混合物を抽出溶媒と混合して、フラーレンが溶解した抽出液を得る方法(工程(2−1−1))と、フラーレン及び炭素系高分子成分を含む煤状混合物を、不活性ガス等の存在下で加熱し、フラーレンを昇華分離する方法(工程(2−1−2))が挙げられる。
【0048】
工程(2−1−1)
フラーレンを溶解した抽出液を得る場合の抽出溶媒としては、好ましくは芳香族炭化水素を含む溶媒が用いられる。
芳香族炭化水素としては、分子内に少なくとも1つのベンゼン核を有する炭化水素化合物であり、具体的にはベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、1,2,3−トリメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリメチルベンゼン、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、1,2,3,5−テトラメチルベンゼン、ジエチルベンゼン、シメン等のアルキルベンゼン類、1−メチルナフタレン等のアルキルナフタレン類、テトラリン等が挙げられる。
これらのうち1,2,3−トリメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン及びテトラリンが好ましい。
【0049】
抽出溶媒としては上述した芳香族炭化水素の他に、更に脂肪族炭化水素や塩素化炭化水素等の有機溶媒を、単独又はこれらのうち2種以上を任意の割合で用いてもよい。
脂肪族炭化水素としては、環式、非環式等、任意の脂肪族炭化水素が使用できる。環式脂肪族炭化水素の例としては、単環式、多環式のものが挙げられ、例えば単環式ではシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンなどが挙げられる。また単環式脂肪族炭化水素の誘導体であるメチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、1,2−ジメチルシクロヘキサン、1,3−ジメチルシクロヘキサン、1,4−ジメチルシクロヘキサン、イソプロピルシクロヘキサン、n−プロピルシクロヘキサン、t−ブチルシクロヘキサン、n−ブチルシクロヘキサン、イソブチルシクロヘキサン、1,2,4−トリメチルシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルシクロヘキサン等も挙げられる。多環式としては、デカリンなどが挙げられる。
非環式脂肪族炭化水素の例としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ドデカン、n−テトラデカンなどが挙げられる。
【0050】
塩素化炭化水素としては、ジクロロメタン、クロロフォルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、1−クロロナフタレンなどが挙げられる。
その他、炭素数6以上のケトン、炭素数6以上のエステル類、炭素数6以上のエーテル類、二硫化炭素等を用いても良い。
【0051】
抽出溶媒におけるフラーレンの溶解度が低すぎるとフラーレンの抽出効率が低下するので、フラーレンの溶解度としては5g/リットル以上であることが好ましく、更には10g/リットル以上、特に15g/リットル以上であることが好ましい。また、工業的観点から、これらの抽出溶媒の中でも常温液体で沸点が100〜300℃、中でも120〜250℃のものが好適である。
【0052】
抽出溶媒は、フラーレンを十分に抽出できるだけの量を用いる必要がある。通常、煤状混合物中のフラーレン含有量に対し、5〜400重量倍量、経済性を考えると、40〜200重量倍量程度使用するのが好ましい。抽出は、バッチ式、セミ連続式、連続式、又はそれらの組み合わせ等、形式、装置は特に限定されない。
なお、煤状混合物には通常5〜30重量%のフラーレンが含まれているが、抽出効率の観点から、フラーレンに対して用いる抽出溶媒の量を上述した範囲とするのが好ましいことから、抽出操作に先立って、煤状物質の一部を分析して、煤状物質中のフラーレン含有量を測定しておくのが好ましい。
【0053】
抽出装置としては撹拌混合槽が好適に使用できる。抽出の際、容器内の圧力は特に制限はなく、常圧で実施すればよい。抽出時の温度としては通常−10〜150℃であり、好ましくは5〜80℃であり、更に好ましくは30〜50℃である。これら範囲であれば抽出効率向上の面から好ましいが、抽出効率は温度依存性が小さいのでエネルギーコスト的に常温程度で行うのが有利である。
抽出工程においては、更に必要に応じて、抽出液に超音波等を照射しながら抽出を行うと、抽出時間が短くなるので好ましい。
【0054】
こうして得られた抽出液には、フラーレンが溶解しており、また、多環芳香族化合物は前の工程(工程(2−1))にて既に除去されているので、抽出液から用いた有機溶媒等を留去すること等により、高純度のフラーレンを得ることが出来る。
尚、フラーレンを抽出した後に残ったスラリーには、工業上有用な炭素系高分子成分が含まれている。よってこのスラリーから、未溶解物を濾別し、再利用することが可能である。濾別は、減圧濾過、加圧濾過、重力濾過、フィルター濾過、又はそれらの組み合わせ等、方法、装置は特に限定されないが、中でも加圧濾過が好ましい。
【0055】
工程(2−1−2)
多環状芳香族化合物が分離された、フラーレンと炭素系高分子成分を含む煤状混合物は、多環状芳香族化合物を気体状態で分離した際の温度よりも、高温条件下に付すことにより、フラーレンを気体状態で煤状混合物から分離できる。一般的に、多環状芳香族化合物を分離した後、フラーレンは固体となっているので、煤状混合物を加熱することでフラーレンを昇華し分離できる。
【0056】
昇華する際の条件は、常圧もしくは5000Pa程度の減圧下で実施する。常圧では装置が簡単になるメリットがあり、減圧下ではフラーレンの昇華温度が低くなるメリットがある。経済性を考えて、最適な条件で実施すればよい。窒素又はヘリウム等の不活性ガスを、煤状混合物1gに対し、前の工程から持ち込まれる不活性ガス量との合計が1〜10000ml/分程度、好ましくは5〜5000ml/分程度であることが好ましい。不活性ガスの流通は連続的であっても間欠的であってもよい。
【0057】
置換が十分に実施されないと、フラーレンの酸化物が生成する場合がある。昇華を実施する際の不活性ガスは、予熱しても良いし、予熱しなくても良い。昇華に用いる装置は、バッチ式、固定床型、流動層型、連続型等特に限定はしない。
この工程では、煤状混合物又はこれを含む気流から、気体状態でフラーレンを分離する。この際の分離条件としては、フラーレンが気体状態で存在できれば、任意の温度、圧力条件を適宜選択すればよく、経済性を考えて、最適な条件で実施すればよい。
一般的に圧力は5000Pa程度の減圧下で行うのが好ましい。常圧では装置が簡単になるメリットがあり、減圧下では分離条件温度が低くてもフラーレンが気体状態で存在するので分離が可能であり、経済的メリットがある。
【0058】
また分離条件温度は、圧力にもよるが、通常400℃〜1400℃、更には600〜1200℃、特に800℃〜1100℃であることが好ましい。フラーレンが気体状態で存在できる温度は、当然、圧力によって変化するので、分離条件温度は適宜選択すればよい。
温度が低すぎるとフラーレンが充分気体状態とならないので収率が低下する場合があり、逆に温度が高すぎると経済的に不利になるばかりか、僅かな酸素が存在している場合などは、この酸素がフラーレンと反応して酸化物となってしまい、フラーレンの収率が低下する場合がある。
【0059】
工程(2−2)
次に、気体状態のフラーレンと、気体状態の多環状芳香族化合物を、炭素系高分子成分等の煤状物質に含まれる他の物質と分離し、次にフラーレンと多環状芳香族化合物との混合物から、フラーレンを分離する方法について説明する。
この工程(2−2)では、工程(1)で得られた、フラーレン、多環状芳香族化合物、及び炭素系高分子成分を含む煤状物質含有気流を、先述の工程(2−1−2)の条件下に付すことで、フラーレンと多環状芳香族化合物とを、この煤状物質含有気流から気体状態で分離することが出来る。この際の分離条件は、先述の工程(2−1−2)と同様である。
この様にして分離された、気体状態の、フラーレンと多環状芳香族化合物は、一般的にこれらを冷却して固体状又は液体状の混合物とする。ついで、例えば以下に示す工程(2−2−1)、工程(2−2−2)及び工程(2−2−3)の様な方法によって、フラーレンと多環状芳香族化合物とを分離すればよい。
【0060】
工程(2−2−1)
工程(2−2)を経て、気体状態で得られたフラーレン及び多環状芳香族化合物を、冷却してこれらの固体状又は液体状混合物とし、この混合物を加熱して多環状芳香族化合物を気体状態で分離する工程。
工程(2−2−2)
工程(2−2)を経て気体状態で得られたフラーレン及び多環状芳香族化合物を冷却し、多環状芳香族化合物を気体状態としたまま、フラーレンを固体として分離する工程。
工程(2−2−3)
工程(2−2)を経て、気体状態で得られたフラーレン及び多環状芳香族化合物を、冷却してこれらの固体状又は液体状混合物とし、この混合物から、フラーレンの溶解度が低く、且つ多環状芳香族化合物の溶解度の高い有機溶媒によって多環状芳香族化合物を抽出し、分離する工程。
これら各工程について説明する。
【0061】
工程(2−2−1)
工程(2−2−1)においては、図1に示すフラーレンの製造装置10を用い、気体状態で得られたフラーレン及び多環状芳香族化合物(気体)を、冷却してこれらの固体状又は液体状混合物とする。そしてこの混合物を加熱し、フラーレンと多環状芳香族化合物を分離する。
この分離の条件としては、多環状芳香族化合物を気体状態で分離できれば、任意の温度、圧力をとることができる。例えば先述の工程(2−1)における、煤状物質含有気流から気体状態で多環状芳香族化合物を分離する際と同様の温度、圧力条件下で、多環状芳香族化合物を気体状態で分離すればよい。この際の温度、圧力条件は、経済性を考えて、最適な条件で実施すればよい。
中でも、先述の工程(2−1)における、煤状物質含有気流から気体状態で多環状芳香族化合物を分離する際と同様の温度、圧力条件における好ましい範囲とすることが、この工程(2−2−1)においても好ましい。
【0062】
工程(2−2−2)
工程(2−2−2)においては、気体状態で得られたフラーレン及び多環状芳香族化合物(気体)を、多環状芳香族化合物だけが気体状態となるように、つまりフラーレンが固体状となり、気体状態の多環状芳香族化合物と分離できる状態にまで冷却し、フラーレンと多環状芳香族化合物とを分離する。
この方法により、フラーレンを分離する場合には、具体的には図2に示すフラーレンの製造装置29を用いる。即ち、分離装置12内を通過させる気体の温度を例えば500〜750℃程度として、多環状芳香族化合物とフラーレンを気化状態で通過させて、炭素系高分子成分を分離装置12が回収する。そして、分離装置12を通過した気体の温度をガス降温手段28で下げて、例えば300〜400℃として、分離装置27を通過させる。この状態では多環状芳香族化合物は気体であるので、そのまま分離装置27を通過し、フラーレンを主体とする成分が分離装置27で回収される。多環状芳香族化合物については、先に述べた方法で回収することになる。
【0063】
この分離の条件としては、フラーレンが固体状となり、且つ多環状芳香族化合物が気体状態で存在できれば、任意の温度、圧力をとることができる。例えば先述の工程(2−1)における、煤状物質含有気流から気体状態で多環状芳香族化合物を分離する際と同様の温度、圧力条件下で、フラーレンを固体状として、多環状芳香族化合物を分離すればよい。この際の温度、圧力条件は、経済性を考えて、最適な条件で実施すればよい。
中でも、先述の工程(2−1)における、煤状物質含有気流から気体状態で多環状芳香族化合物を分離する際と同様の温度、圧力条件における好ましい範囲とすることが、この工程(2−2−2)においても好ましい。
【0064】
工程(2−2−3)
この工程(2−2−3)では、フラーレン及び多環状芳香族化合物を含む固体状又は液体状混合物から、フラーレンの溶解度が低く、且つ多環状芳香族化合物の溶解度の高い有機溶媒を抽出溶媒として用い、多環状芳香族化合物を抽出する工程である。
この抽出溶媒、つまりフラーレン類の溶解度が低い溶媒(以下、貧溶媒と称することがある)の具体例としてはメタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン等の炭素数1〜4のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等の炭素数3〜5のケトン類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等の炭素数2〜5のエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド等の炭素数3〜5のアミド類及びこれらを含む混合溶媒が挙げられる。これらのうち、アルコール類が好ましく、なかでも炭素数3以下のものが好ましく、特に2−プロパノール(イソプロピルアルコール)が好ましい。
【0065】
これら貧溶媒のフラーレンC60の溶解度としては、1g/リットル以下であることが好ましく、更には100mg/リットル以下、特に50mg/リットル以下であることが好ましい。
貧溶媒は直接、先述の固体状又は液体状混合物と接触させても良いが、一般的には、この混合物を一旦、フラーレン及び多環状芳香族化合物の双方が高い溶解性を示す有機溶媒に溶解して溶液とし、これに貧溶媒を添加してフラーレンを析出させる。
【0066】
この際の貧溶媒の使用量は、この溶液調整に用いた有機溶媒量に対し、0.1〜50重量倍量、中でも1〜30重量倍量程度であることが好ましい。貧溶媒の量が少ないと、フラーレンの析出量が少なくなり、回収できるフラーレンが減少する。多すぎると、これらの操作を行う容器容量が大きくなり、経済的にロスが発生する。
貧溶媒を混合する温度としては、通常、−20〜150℃であり、中でも−10〜100℃、更には10〜80℃、特に30〜60℃であることが好ましい。
貧溶媒を混合することにより析出したフラーレンは、濾過等により回収すればよい。
一方、多環状芳香族炭化水素の殆どは析出せずに溶媒中に溶解しているので、フラーレン類を取り除いた後の溶液は、その溶媒を留去すること等により多環状芳香族化合物を固体として回収することが出来る。
なお、この場合には、フラーレンの製造装置10を用いることになる。
【0067】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明の要旨を超えない限り、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0068】
(実施例1)
トルエンを原料として燃焼法により得られた煤状物質3.8mgを、熱重量測定装置(セイコー社製 TG−DTA6300)を用い、乾燥窒素ガス100cc/分中で、室温より20℃毎分にて1150℃まで加熱し、重量の変化を測定した。
得られた結果を図3に示す。
図3において、左縦軸は、重量3.8mgに対する減量率を、右縦軸は原料率の変化率を、横軸は加熱温度を示す。
図3に示した、重量減少を示すグラフ、及び重量変化率を示すグラフから明らかな通り、温度が100℃以上となると重量が徐々に減少し、400℃付近から重量減少が加速されていることが判る。そして500℃以上の高温領域に於いて煤状物質の重量が急激に減少する。これはフラーレンの昇華温度が400〜800℃である事を考慮すると、煤状物質中の多量のフラーレンが昇華することで、煤状物質の急激な重量減が生じたことが判る。
【0069】
更に、四重極形質量分析装置(日本電子製オートマスAM2−15型)を用い、煤状物質を加熱した際に発生したガス成分の定性分析を以下の条件で行った。結果を図4に示す。
測定法 :EI法
ファーネス部温度 :290℃
トランスファーチューブ温度 :285℃
GCオーブン温度 :285℃
インターフェース温度 :285℃
イオン化室温度 :260℃
フォトマル電圧 :450V
イオン化電圧 :70eV
イオン化電流 :300μA
マスレンジ :10〜400amu
スキャンスピード :1000msec
【0070】
図4において、縦軸はイオンスペクトルの相対強度を、横軸は加熱温度を示す。図4より、煤状物質を加熱して発生したガス中には、ベンゼン(分子量78)、トルエン(分子量92)、キシレン(分子量106)等の芳香族化合物や、ナフタレン(分子量128)、アントラセン(分子量178)等の多環状芳香族化合物の存在を示すピークが、フラーレンの昇華温度より低い温度範囲に於いて確認された。これによって、ベンゼン等の芳香族化合物はもちろん、多環状芳香族化合物も気体状態で分離できることが判る。
以上の実施例により、燃焼法によって得られた、フラーレン、多環状芳香族化合物、及び炭素系高分子成分を含む煤状物質から、フラーレン及び/又は多環状芳香族化合物を気体状態で分離出来る。よってこのような煤状物質を含有する気流から、フラーレン及び/又は多環状芳香族化合物を、連続的に、気体状態で分離することが可能であり、そしてこの煤状物質を含む気流から、連続的にフラーレンを分離可能であることが判る。
【0071】
(参考例1、実施例2)
次に、本発明の作用効果を確認するために行った例について説明する。この参考例1、実施例2においては、図1に示すフラーレンの製造装置10を使用した。なお、炭化水素原料としてはトルエン(純度は高い)を使用し、トルエンと酸素をバーナー15に供給する前に、ガス化したトルエンの供給路及び酸素の供給路にそれぞれ流量調節器A、Bを設け、更にそれぞれの流量調節器A、Bを通過したトルエン及び酸素を混合する混合室を設け、予め所定量で所定割合のトルエン及び酸素をバーナー15に供給できる構造としている。この流量調節器A、Bを調整することによって、トルエンが燃焼する際の酸素に対するトルエン中の炭素の元素組成比(C/O比)を所定比に調整した混合ガスを作製し、この作製した混合ガスをバーナー15の蓄圧室内で保持して、バーナー15の吐出口から吐出させることで、混合ガスを炉内で安定的に供給している。
【0072】
そして、減圧装置(真空ポンプ)14を作動させて、フラーレン生成炉11内を排気して、フラーレン生成炉11の内部を、所定の減圧状態に保持している。これによって、バーナー15から吐出した混合ガスをこの減圧状態下で不完全燃焼させながら、生成した煤状物質含有気流を排気管19及びガス降温手段16を介して分離装置12へ供給している。
分離装置12を経た気流は、一旦ガス冷却装置13によって十分に低い温度に冷却されて減圧装置14に送られる。ここで、30はバルブを示す。
【0073】
次に、本発明の参考例1及び実施例2の手順について詳細に説明する。
トルエンが燃焼する際の酸素に対するトルエン中の炭素の元素組成比(C/O比)を0.7以上かつ1.3以下、好ましくは1.0以上かつ1.2以下になるように、各流量調節器A、Bでトルエン量及び酸素量をそれぞれ調整して混合室内に導入して混合ガスを作製する。
次いで、減圧装置14を作動させてフラーレン生成炉11内を排気しながら、バーナー15の吐出部から混合ガスを、例えば、70〜100cm/秒の速度でフラーレン生成炉11内に吐出して燃焼させる。このとき、フラーレン生成炉11内が例えば、20Torr以上かつ100Torr以下、好ましくは30Torr以上かつ50Torr以下の減圧状態に維持されるように、減圧装置14の排気量を調節する。
【0074】
トルエンと酸素の混合ガスは、炉内に供給される前に十分に予混合された状態であるため、トルエンの燃焼が均一に進行して、フラーレン生成炉11内の温度を均一かつ高温(例えば、1600〜2000℃、好ましくは1700〜1900℃)にすることができる。
また、C/O比炉内圧力を所定の範囲に制御しているため、未燃焼のトルエンが加熱されて分解する際に煤状物質の生成が抑制されて、フラーレン前駆体が多量に生成する。このため、フラーレンの生成速度が向上して、フラーレンの収率を上げることができる。
【0075】
ここで、燃焼ガスの温度を更に上げるために、混合ガスをフラーレン生成炉11内に吐出する前に予熱することが好ましい。方法としては、例えば、配管に電気や熱媒のヒーターを巻いて混合ガスが通過する際に加熱する。この予熱の温度は混合ガスが気体状態を維持する温度以上であればよく、フラーレンの収率を上げるためには極力高温度の方が好ましい。ただし、自然発火による爆発等を防止するため、炭素含有化合物、即ちトルエンの自己着火温度未満にしておく。
このフラーレンの製造装置10を用いて実験した例を、従来例と比較しながら表1に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
なお、参考例1、実施例2及び比較例における分離装置入口側温度は、ガス降温手段16を制御することによって、煤状物質含有気流の温度を制御した。
煤状物質中のフラーレンの量は、液体クロマトグラフィーによって測定し、煤状物質中の多環状芳香族化合物の量は、ガスクロマトグラフィーによって測定した。
表1からも分かるように、分離装置12に供給される煤状物質含有気流の温度を570℃にすると(参考例1の場合)、煤状物質含有気流中の多環状芳香族化合物が気化して耐熱性フィルター20を通過し、フラーレンは結果的に煤状物質に含まれていることが分かる。
また、分離装置12に供給される煤状物質含有気流の温度を630℃にすると(実施例2の場合)、分離装置12で回収されるフラーレンの量が減少し、分離装置12の後段のガス冷却装置13内に溜まるフラーレン量が増加する。従って、この場合は、図2に示すフラーレンの製造装置29を用いてフラーレンを回収することもできる。
【0078】
1.前記した液体クロマトグラフィーの条件
装置:Agilent社製1100
溶離液:48vol% TOL/MeOH 0.8mリットル/分
カラム:YMC−Pack ODS−AM,S−3μm,12nm
75*4.6mmI.D.
カラム温度:40℃ 波長:308nm
注入量:5μリットル (サンプル中C60=100〜400ppm)
(サンプル中C70=50〜300ppm)
【0079】
2.煤状物質中の中のフラーレンの分析の手順
(1)10mリットルスクリュー管に煤状物質を0.015g精秤する(A)。
(2)次に、トリメチルベンゼン(TMB)=7mリットル(6g)を添加して、溶媒添加量を精秤する(B)。
(3)混合後、超音波で15分処理して室温まで冷却する。
(4)デスミックフィルター(0.5μm−PTFE)をプラスティック注射器にセットする。
(5)注射器にLCサンプルを1mリットル程度加え、LCバイアル瓶へ濾過する。
(6)LC分析を実施する。
希釈率=B/A (約400)
【0080】
1.前記したガスクロマトグラフィーは以下の条件で行った。
装置:HP6850 Series(FID)
カラム:DB−1HT 15m*0.25mm 0.1μm
(プレカラム:Deact Fused Silica 1m*0.25mm)
オーブン温度:60℃→12℃/分→350℃(2分) トータル=26.17分
注入口温度:350℃ 検出器温度:360℃
カラム流量1mリットル/分(He=52.8kPa) カラム+メイクアップ流量:30mリットル/分
注入方法:スプリットレス(パージ時間2分) パージ流量:50mリットル/分
水素流量:35mリットル/分 Air流量:350mリットル/分
洗浄:サンプル→洗浄3回、ポンプ5回 注入後洗浄5回
注入量:1μリットル
取り込み速度:20Hz
【0081】
2.煤状物質中の多環状芳香族化合物の分析の手順(煤状物質中の多環状芳香族化合物分析(検出限界=20ppm)
※トルエン(TOL)溶液中の煤状物質濃度が高いと、多環状芳香族化合物成分はトルエンに抽出されず、多環状芳香族化合物成分内に残存するので下記の希釈率とする。
(1)25mリットル三角フラスコにサンプルを0.01g精秤する[A]。
(2)トルエンを5mリットル加えて、超音波で15分処理して抽出する。
(3)予め、10mリットルガラス製注射器にデスミックフィルター(0.5μm−PTFE)をセットして、TOL=5mリットルを2回に分けて、洗浄を実施する。(フィルターからのBlank抑制)
(4)100mリットルナスフラスコ(蓋込み)の空重量を精秤する[B]。
(5)注射器にサンプル全量を投入し、>50mリットルナスフラスコヘ濾過液を回収する(固形分除去)
(6)注射器に再度TOL=5mリットルを投入し、ナスフラスコヘ洗浄濾液を回収する。
(7)ナスフラスコをエバポレーターにセットして乾固させる。
(8)エバポレーター条件(温度=50℃、減圧=250→60torr)
(9)TOL=1mリットルを多環状芳香族化合物専用注射器にて添加する。
(10)ナスフラスコ内の多環状芳香族化合物成分を溶解させる(手動)。
(11)サンプル+ナスフラスコ(蓋込み)を精秤する[C]。
(12)GCバイアル瓶へサンプルを移し、GC分析を実施する。
(13)計算方法
多環状芳香族化合物s(ppm)=IS濃度(ppm)/IS面積*全多環状芳香族化合物s面積*([C]−[B])/[A]
※TOL溶媒ブランクを差し引く。
【0082】
【発明の効果】
以上説明した本発明によれば、フラーレンの製造、フラーレンと他の煤成分の分離を1つの装置内で連続的に行うことができ、且つ大量のフラーレンを連続的に生産することが可能となる。
次世代を担う新材料、新素材として多方面から注目されているフラーレンを工業的規模で製造した場合、同時に大量の生成される煤状物質からフラーレンを効率良く分離、回収することが出来る。
更に、フラーレンの製造過程で発生する多環状芳香族化合物の分離を効率よく行い、より品質の高いフラーレンを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るフラーレンの製造装置の概略構成図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係るフラーレンの製造装置の概略構成図である。
【図3】煤状物質を加熱した際の重量減少を示したグラフである。
【図4】同煤状物質を加熱した際に発生したガスの定性分析結果を示すグラフである。
【符号の説明】
10:フラーレンの製造装置、11:フラーレン生成炉、12:分離装置、13:ガス冷却装置、14:減圧装置、15:バーナー、16:ガス降温手段、17:パイプ、18:フランジ、19:排気管、20:耐熱性フィルター、21:パルスジェット機構、22:タンク、23:電磁弁、24:排出弁、25:ガス出口、27:分離装置、28:ガス降温手段、29:フラーレンの製造装置、30:バルブ
Claims (7)
- 炭化水素原料を不完全燃焼させるか又は炭化水素原料を熱分解することにより、フラーレン、多環状芳香族化合物、及び炭素系高分子成分を含む煤状物質含有気流を生成させる工程と、
前記工程で得られた高温状態の前記煤状物質含有気流を耐熱性フィルターに通して、前記多環状芳香族化合物及び前記フラーレンの混合物を主体とする気化物を気流状態で分離する工程とを有することを特徴とするフラーレンの製造方法。 - 請求項1記載のフラーレンの製造方法において、気流状態の前記気化物の温度を、前記フラーレンが固化する温度以下で、前記多環状芳香族化合物の気化温度以上にして、固化した前記フラーレンを回収することを特徴とするフラーレンの製造方法。
- 請求項2記載のフラーレンの製造方法において、前記フラーレンの回収は、別の耐熱性フィルターを用いて行うことを特徴とするフラーレンの製造方法。
- 請求項1記載のフラーレンの製造方法において、前記耐熱性フィルターを通過した気流の温度を下げて、前記多環状芳香族化合物及び前記フラーレンを固化及び/又は液化させて回収することを特徴とするフラーレンの製造方法。
- 請求項4記載のフラーレンの製造方法において、前記多環状芳香族化合物及びフラーレンの混合物から、フラーレンの溶解度が低く、且つ多環状芳香族化合物の溶解度の高い有機溶媒によって前記多環状芳香族化合物を溶出分離して残った純度を高めたフラーレンを得ることを特徴とするフラーレンの製造方法。
- 請求項4記載のフラーレンの製造方法において、前記多環状芳香族化合物及びフラーレンの混合物を加熱して、前記多環状芳香族化合物を気化分離し、残ったフラーレンを得ることを特徴とするフラーレンの製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のフラーレンの製造方法において、前記炭化水素原料は、炭素数6〜20の芳香族炭化水素からなることを特徴とするフラーレンの製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2003060316A JP3892821B2 (ja) | 2003-03-06 | 2003-03-06 | フラーレンの製造方法 |
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