JPH0597417A - フラーレン類の精製方法 - Google Patents

フラーレン類の精製方法

Info

Publication number
JPH0597417A
JPH0597417A JP3281842A JP28184291A JPH0597417A JP H0597417 A JPH0597417 A JP H0597417A JP 3281842 A JP3281842 A JP 3281842A JP 28184291 A JP28184291 A JP 28184291A JP H0597417 A JPH0597417 A JP H0597417A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fullerenes
fullerene
fluorenes
soot
solvent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP3281842A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuyoshi Shigematsu
一吉 重松
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Idemitsu Kosan Co Ltd filed Critical Idemitsu Kosan Co Ltd
Priority to JP3281842A priority Critical patent/JPH0597417A/ja
Publication of JPH0597417A publication Critical patent/JPH0597417A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/54Improvements relating to the production of bulk chemicals using solvents, e.g. supercritical solvents or ionic liquids

Landscapes

  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Compounds Of Unknown Constitution (AREA)
  • Working-Up Tar And Pitch (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 グラファイト等の炭素のアーク放電、レーザ
ーアブレーションなどによって得られたススやベンゼン
等の不完全燃焼によって得られたスス等フラーレン含有
ススや、該ススから得られた粗製フラーレン類などのフ
ラーレン類を含有する原料から、所望の各種の炭素数の
フラーレン類(特にフラーレンC60をはじめ、また場合
に応じて、C70、C84等の他の各種のフラーレン類)を
個別に、あるいは各種の炭素数のフラーレン類の混合物
として、選択性よくすなわち十分に高純度の状態で効率
よく分離回収する方法であって、しかも、工業的規模の
大量生産にも容易に適用することができる実用上著しく
有用な、フラーレン類の精製方法を提供する。 【構成】 フラーレン類を含有する原料より、超臨界抽
出を行うことによりフラーレン類を精製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フラーレン類の精製方
法に関し、より詳しく言うと、例えば、グラファイトか
らアーク放電やレーザーアブレーション等によって得ら
れるスス、ベンゼン等の不完全燃焼によって得られるス
スなどのフラーレン類を含有するスス、あるいは該フラ
ーレン類含有ススから芳香族炭化水素等の有機溶媒によ
る通常の溶媒抽出によって得られた粗製フラーレン類等
のフラーレン類を含有する原料から高純度のフラーレン
類(C60やC70、C84等)を、各々の単独のフラーレン
類としてあるいは混合フラーレン類として、効率よく分
離回収することができ、しかも工業的規模の大量生産方
式にも容易に適用することができる実用上著しく有用な
フラーレン類の精製方法に関する。
【0002】なお、本発明の方法によって得られた精製
フラーレンC60等の精製フラーレン類は、例えば、導電
材料、超伝導体の素材等として、電気・電子材料分野を
はじめとする各種のフラーレン利用分野に好適に利用す
ることができる。
【0003】
【従来の技術】最近、炭素数60、70、84等の閉殻
構造型のカーボンクラスター(球状の巨大分子)という
新しいタイプの分子状炭素物質が合成され、注目されて
いる。この特殊な構造を有するカーボンクラスターは、
フラーレンとも称され、その分子骨格を構成する炭素数
によって、フラーレンC60、同C70、同C84などと呼ば
れている(単に、C60、C70、C84等とも呼ばれ
る。)。これらのフラーレン類は、新しい炭素材料であ
り、また特殊な分子構造を有することからも特異な物性
を示すことが期待されるので、その性質及び用途開発に
ついての研究が盛んに進められている。例えば、フラー
レン類及びそのフッ化物等の誘導体は、球状の巨大分子
特有の優れた潤滑性能を有していることも見出されてお
り、分子レベルでの高機能潤滑剤としての用途が見込ま
れている。また、フラーレン類は、共役二重結合系の不
飽和巨大炭素分子であるので、そのままでも高い導電性
を有しており、その誘導体とともに、黒鉛等に代わる高
特性の導電材料としての期待も大きい。
【0004】これら各種の炭素数のフラーレンの中でも
フラーレンC60は、少なくとも従来合成法では最も収量
が大きく、また、用途の点でも特に期待が大きい。実
際、ごく最近、フラーレンC60にカリウムをドープする
と絶対温度18Kでも超伝導体となることが見出され、
ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属の添加によって
次々に高温超伝導体が得られることも示され、多方面か
らの注目を集めている[Nature,350,320
−322(1991)、Nature,350,600
−601(1991)]。
【0005】したがって、高純度のフラーレンC60を容
易に量産できる分離技術の開発に対する要望は特に大き
い。また、フラーレンC70やフラーレンC84等のフラー
レンC60以外のフラーレン類も、高純度のものを多量に
得る分離技術が確立されたならば、その詳しい物性等の
研究が広く進められて、フラーレンC60同様に超伝導体
や導電体の素材等としての利用可能性が見出されること
が大いに期待される。
【0006】このように、フラーレンC60等のフラーレ
ン類は、電気・電子分野をはじめとする各種の利用分野
において、新材料、新素材としての期待が極めて大き
く、それゆえ、できるだけ高純度のものを効率よくしか
も大量に生産する技術の開発が望まれている。
【0007】ところで、これらフラーレン類は、グラフ
ァイト等の炭素のアーク放電(抵抗加熱法)やレーザー
アブレーション(レーザー蒸発法)、あるいはベンゼン
の不完全燃焼等によって容易に生成することが知られて
いるが、その際、得られるのはフラーレン類を少量含有
するススである。なお、こうして得られたスス中には、
通常、各種の炭素数のフラーレン類が含まれており、中
でも、通常はフラーレンC60が最も多く、フラーレンC
70やC84等の他のフラーレン類はこれに比べてかなり少
ない。
【0008】そこで、これらのフラーレン類をこの原料
ススから分離精製する技術が重要となる。この分離・精
製方法を含めた従来のフラーレン類の製造技術として
は、上記の方法で得たススから、ベンゼン、トルエン等
の芳香族炭化水素を抽出溶媒として通常の溶媒抽出法よ
り抽出分離して粗製のフラーレン類とし、さらに、これ
を中性アルミナカラム等用いてクロマト分離によって単
離精製するという方法が知られている[Nature,
347,354−358(1990)など]。ここで、
フラーレン類の抽出に芳香族炭化水素を用いるのは、フ
ラーレン類に対する溶解性等の点で有利であるからであ
る。なお、フラーレン類は、こうした芳香族炭化水素の
他に、例えば、二硫化炭素、テトラヒドロフラン等にも
溶解することが知られている。
【0009】しかしながら、該フラーレン類含有ススか
ら芳香族溶媒等の有機溶媒を抽出溶媒として通常の溶媒
抽出法によって分離回収するという従来の抽出法では、
十分に高純度のフラーレン類を得ることは困難である。
実際、フラーレンC60等フラーレン類を含有するスス
を、ベンゼンやトルエン等の芳香族炭化水素溶媒によっ
て抽出すると、抽出液中にはフラーレン類(フラーレン
60だけでなくフラーレンC70やC84等の他のフラーレ
ン類)の他に種々の不純物(例えば、炭素数300〜5
000に及ぶ無定形の炭素)が多量に含有されている。
【0010】すなわち、従来の抽出法による精製方法で
は、芳香族溶媒等による通常の溶媒抽出法を用いている
ので、分離選択性が著しく悪く、上記不純物を多量に含
有している粗製フラーレン類が得られ、個々のフラーレ
ンの単離はもとより、高純度のフラーレン類混合物さえ
も得ることが困難である。
【0011】そこで、高純度のフラーレンC60等の各フ
ラーレン類を単離するために、従来、上記のように溶媒
抽出法で得た粗製のフラーレン類又はその溶液をカラム
クロマト法によって分離精製するという手段が用いられ
てきた。しかしながら、こうしたカラムクロマトによる
精製法は、少量の精製には容易に適用できるものの、精
製品の大量生産には不適当であり、工業的規模の精製法
としては実用的でないなどの問題点がある。
【0012】それゆえ、上記のフラーレン類含有ススや
粗製のフラーレン類等のフラーレン類含有原料から、高
純度のフラーレンC60等の各種のフラーレン類を効率よ
くしかも容易に大量生産することができる工業的に有利
な精製法の開発が強く望まれていた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の事情
を鑑みてなされたものである。本発明の目的は、グラフ
ァイトや石炭等の炭素のアーク放電、レーザーアブレー
ションなどによって得られたススやベンゼン等の不完全
燃焼によって得られたスス等のフラーレン含有ススや、
該ススから得られた粗製フラーレン類などのフラーレン
類を含有する原料から、所望の各種の炭素数のフラーレ
ン類(特にフラーレンC60をはじめ、また場合に応じ
て、C70、C84等の他の各種のフラーレン類)を個別
に、あるいは各種の炭素数のフラーレン類の混合物とし
て、選択性よくすなわち十分に高純度の状態で効率よく
分離回収する方法であって、しかも、工業的規模の大量
生産にも容易に適用することができる実用上著しく有用
な、フラーレン類の精製方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記目的を
達成すべく鋭意研究を重ねた結果、各種の方法によって
得られたフラーレン類を含有ススから、超臨界抽出とい
う特定の抽出法を用いることによって、従来の芳香族溶
媒等による通常の溶媒抽出では除去が困難であった前記
無定形炭素等の不純物を容易に除去することができ、し
たがって、極めて高純度のフラーレンC60等の所望のフ
ラーレン類を容易に効率よく抽出回収することができる
ことを見出した。また、この超臨界抽出に用いる超臨界
抽出溶媒(抽出剤)について種々検討を行った結果、広
範囲の特定の種類の化合物あるいはその混合物が特に有
効に適用でき、さらに、この抽出剤の種類を適宜選定す
ることによって、フラーレンC60だけでなく、C70やC
84等の他の炭素数のフラーレン類をも個別に単離するこ
とができ、また、場合によっては、これらのフラーレン
類を種々の組成の混合物として高い精製度で得ることが
できることも見出した。
【0015】なお、この超臨界抽出による精製法は、グ
ラファイトや石炭等から得られたフラーレン含有ススに
対してだけでなく、該ススから従来の溶媒抽出法で分離
回収した粗製フラーレン類等の他の同類のフラーレン類
含有原料についても有効に適用できることを見出した。
【0016】以上の知見に基づいて、本発明者は、本発
明を完成するに至った。すなわち、本発明は、フラーレ
ン類を含有する原料より、超臨界抽出を行うことを特徴
とするフラーレン類の精製方法を提供するものである。
【0017】本発明の方法において、前記フラーレン類
を含有する原料すなわち前記超臨界抽出に供するフラー
レン類含有物としては、通常は、グラファイトや石炭等
の炭素類から、公知の方法[例えば、アーク放電法(抵
抗加熱法等)やレーザーアブレーション(レーザー蒸発
法等)など]等の各種の方法によって得られたフラーレ
ン含有ススやベンゼン等の芳香族炭化水素の不完全燃焼
によって得られたフラーレン含有ススが好適に使用され
るが、必ずしもこれに限定されるものではなく、例え
ば、該ススから従来の芳香族溶媒等による通常の溶媒抽
出法によって得られた粗製フラーレン類等の種々の同類
のフラーレン類含有物が使用可能であり、さらには異な
った製法によるあるいは異なった組成のフラーレン類含
有物を適宜混合するなどして併用してもよい。
【0018】なお、上記のグラファイト等のアーク放電
やレーザーアブレーション等によって得られたススやベ
ンゼン等の不完全燃焼によって得られたスス中に含まれ
るフラーレン類の濃度は、一般に、極めて低く、また、
フラーレン類の種類としては、通常、フラーレンC60
最も多く、フラーレンC70やC84等の他のフラーレン類
はこれに比べてかなり少ないことが知られている。ま
た、これらのススからベンゼン、トルエン等の芳香族溶
媒などによる通常の有機溶媒抽出によって分離された粗
製フラーレン類中には、フラーレン類はかなり高い濃度
にまで濃縮されているが、通常、上記同様に各種フラー
レン類の混合物として含有されており、いずれの場合に
もこれらフラーレン類とともに種々の不純物(例えば、
炭素数300〜5000に及ぶ無定形の炭素)が多量に
含有されている。
【0019】すなわち、本発明の方法において前記超臨
界抽出に供するフラーレン類含有原料としては、フラー
レン類の濃度がかない低いものからかなり高いものまで
各種の濃度のものが使用可能であり、また、そのフラー
レン類自体の組成としても各種の組成のものが使用可能
である。
【0020】本発明の方法においては、前記超臨界抽出
に使用する抽出剤すなわち超臨界抽出溶媒としては、各
種のものが使用可能であるが、中でも、二酸化炭素、一
酸化炭素、ハロゲン化炭化水素、アルカン類、アルケン
類、アセチレン類、ケトン類、エーテル類及びアルコー
ル類から選ばれる1種の化合物又は2種以上の化合物の
混合物が好適に使用される。
【0021】前記アルカン類としては、通常、メタン、
エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプ
タン、オクタン等の炭素数が1〜10程度の直鎖状又は
分岐状のものや、シクロペンタン、シクロヘキサン等の
炭素数が5〜8程度のシクロアルカン類などが1種単独
であるいは2種以上の混合物として好適に使用される
が、必ずしも、これらに限定されるものではない。
【0022】前記アルケン類としては、通常、エチレ
ン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテ
ン、オクテン等の炭素数が2〜10程度の直鎖状又は分
岐状のものや、シクロペンテン、シクロヘキセン、シク
ロオクテン等の炭素数が5〜8程度のシクロアルケン類
もしくは環構造を有するアルケン類などが1種単独であ
るいは2種以上の混合物として好適に使用されるが、必
ずしも、これらに限定されるものではなく、例えば、ジ
エン類やジエン類を含有する炭化水素等のアルケン類含
有炭化水素も適宜使用可能である。
【0023】前記アセチレン類としては、通常、アセチ
レン、メチルアセチレン、ジメチルアセチレン等の炭素
数が2〜6程度のものが1種単独であるいは2種以上の
混合物として好適に使用されるが、必ずしも、これらに
限定されるものではない。
【0024】前記ハロゲン化炭化水素としては、前記例
示の各種の炭化水素に、少なくとも1種のハロゲン原子
(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、好ま
しくは、フッ素原子、塩素原子、特に好ましくは塩素原
子)が置換してなる各種のハロゲン化炭化水素及びこれ
らの2種以上の混合物などを挙げることができるが、必
ずしも、これらに限定されるものではない。なお、特に
好ましいハロゲン化炭化水素として、例えば、塩化メチ
ル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロ
ロジフルオロメタン、ジクロロエタン、ジフルオロエタ
ン、ジクロロエチレン等の低級の塩化及び/又はフッ化
炭化水素などを挙げることができる。
【0025】前記ケトン類としては、通常、例えば、ア
セトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロ
ヘキサノン、シクロペンタノン等の炭素数2〜8程度の
ものが1種単独であるいは2種以上の混合物として好適
に使用されるが、必ずしも、これらに限定されるもので
はない。
【0026】前記エーテル類としては、通常、例えば、
ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジエチルエ
ーテル、エチルプロピルエーテル等の炭素数が2〜8程
度のものが1種単独であるいは2種以上の混合物として
好適に使用されるが、必ずしも、これらに限定されるも
のではない。
【0027】前記アルコール類としては、通常、例え
ば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ
プロパノール、各種の、ブタノール、ペンタノール、ヘ
キサノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール
等の炭素数が1〜8程度のものが1種単独であるいは2
種以上の混合物として好適に使用されるが、必ずしも、
これらに限定されるものではない。
【0028】なお、使用する超臨界抽出溶媒(超臨界抽
出剤)の種類及び組成は、使用するフラーレン類含有原
料の種類や組成や特に目的とする精製フラーレン類の種
類や組成に応じて、適宜選定すればよいのであるが、通
常は、各種上記の種々の超臨界抽出溶媒(超臨界抽出
剤)用化合物の中でも、二酸化炭素、エーテル類、ケト
ン類が特に好適に使用される。
【0029】これらをはじめ、上記の各種の超臨界抽出
溶媒用化合物は、場合に応じて、1種単独で使用しても
よいし、あるいは任意の組成の混合物として使用するこ
とができる。
【0030】本発明の方法においては、前記超臨界抽出
は、使用に供する超臨界抽出溶媒(超臨界抽出剤)の臨
界点(臨界温度、臨界圧、臨界密度)を超える条件(温
度、圧力、密度)で実施される。その際、2種以上の化
合物からなる超臨界抽出溶媒(超臨界抽出剤)を使用す
る場合には、実質的に超臨界状態が達成されているなら
ば、例えば、いずれか1種の主成分の化合物の臨界点を
超える条件で実施してもよい。使用する超臨界抽出方式
としては、特に制限はなく、公知の方式など各種の方式
が適宜採用可能である。例えば、この超臨界抽出に際し
て、濾過法を組合せた超臨界抽出方式も好適に使用でき
る。
【0031】以上のように超臨界抽出を行うことによっ
て、目的とする所望のフラーレン類(単品又は混合物)
を極めて選択よく、しかも高い収率で抽出分離すること
ができる。こうして得られたフラーレン類含有抽出物か
らの目的とするフラーレン類の回収は、脱圧あるいは溶
媒(抽出剤)を蒸発させるなど常法に従って容易に行う
ことができる。この溶媒(抽出剤)を分離後得られた精
製物を、必要に応じて、トルエン等の適当な良溶媒を用
いて溶解して溶液として回収することもできる。さら
に、この溶液から溶媒を留去するなどして分離除去し、
目的とする精製フラーレン類を、種々の乾燥度で取得す
ることもできる。
【0032】なお、本発明の方法においては、前記各種
のフラーレン類を含有する原料から、適宜超臨界抽出溶
媒(超臨界抽出剤)の種類及び組成を選定したり、超臨
界抽出の条件を調節することによって、目的とする各種
のフラーレン類(フラーレンC60をはじめ、フラーレン
70、C84等)を、それぞれ単一の精製フラーレンとし
て、あるいは混合フラーレン類として、著しく高い純度
(精製度)で、効率よく得ることができる。例えば、フ
ラーレンC60をその分離にふさわしい超臨界抽出溶媒
(超臨界抽出剤)や条件によって超臨界抽出して回収し
た後、残った抽出残渣から、フラーレンC60の場合とは
異なる適当な超臨界抽出溶媒(超臨界抽出剤)を用い
て、フラーレンC70やC84等の他のフラーレン類を順次
分離回収する方法なども好適に採用することができる。
【0033】以上、本発明の精製方法によって、前記各
種のフラーレン類含有原料から、高純度に精製されたフ
ラーレンC60、さらにはフラーレンC70、フラーレンC
84等の各種のフラーレン類を単品として、あるいは混合
フラーレン類として、収率よく、しかも簡単な操作及び
工程によって効率よく回収取得することができる。ま
た、本発明の方法の場合、超臨界抽出という大量生産方
式に適した工程からなっているので、高度に精製された
フラーレンC60等の所望のフラーレン類を容易に大量生
産することもできるので、例えば、従来のカラム分離を
用いる精製法等と比較して工業的に著しく有利である。
【0034】本発明の方法によって得られた精製フラー
レンC60をはじめとする各種のフラーレン類や混合フラ
ーレン類は、例えば、導電材料、超伝導体の素材など、
電気・電子分野をはじめとする様々なフラーレン利用分
野に好適に使用することができる。その際、この精製フ
ラーレン類は、使用目的に応じて、種々の乾燥度の粉末
(結晶)、溶液、分散液、他の各種の物質との混合物や
組成物等の種々の形態で利用することができる。
【0035】
【実施例】以下に、本発明の実施例によって本発明をよ
り具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定
されるものではない。 実施例1 フラーレン類含有原料として、グラファイトのアーク放
電によって得られたフラーレンC60等を含有するススを
用い、該スス1gをソックスレー抽出用円筒濾紙に詰
め、粉体が出ないように綿で栓をして、1リットルのオ
ートクレーブ中に挿入した。次いで、該オートクレーブ
に液化二酸化炭素を約500g装填し、温度40℃、圧
力75Kg/cm2 に2時間保持した後、オートクレー
ブを冷却し、ガスを徐々に放出した。その後、オートク
レーブより円筒濾紙を抽出残渣とともに取り出してか
ら、オートクレーブ内に適量のトルエンを注ぎ込み、目
的物をこれに溶解し、トルエン溶液として回収した。こ
の回収したトルエン溶液からトルエンを蒸発させると目
的とする精製物である黒色の粉体が得られた。収量は1
2mgであった。
【0036】この得られた精製物をマススペクトルで分
析したところC60に由来するピーク[M+ =720(12
60)、M+ =721(1259 131 )、M+ =722
1258 132 )、M2+=360(1260)など天然同
位元素組成のC60に特有のピーク)のみが観察された。
また、13C−NMR(ベンゼン−d6)分析では、14
3.2ppmにフラーレンC60に特有のピークが観察さ
れた。これらの結果等から、上記の得られた精製物が純
粋なフラーレンC60であることが確認された。
【0037】実施例2 実施例1において、二酸化炭素に代えてアセトン300
gを超臨界抽出溶媒(超臨界抽出剤)として用い、か
つ、温度を250℃、圧力を50Kg/cm2 とした以
外は、実施例1と同様に操作して目的とする精製物を得
た。該精製物の収量は16mgであった。この精製物も
実施例1で得た精製物と同様のマススペクトル及び1 3
−NMRスペクトルを示し、これが、純粋なフラーレン
60であることが確認された。
【0038】比較例1 実施例1で用いたものと同じ原料スス1gをトルエンで
通常の抽出法によってソックスレー抽出し、抽出液を得
た。この抽出液から溶媒のトルエンを留去したところフ
ラーレンC60を主成分とし不純物を含む抽出物(粗製フ
ラーレンC60類)が得られた。この抽出物の収量は、9
3mgであった。次に、この得られた抽出物(粗製のフ
ラーレンC60)を、中性アルミナを分離剤とし、ヘキサ
ンを展開溶媒として、カラムクロマト分離を行い、フラ
ーレンC60に相当するフラクションを分取した。この分
取液から溶媒を留去し、精製物を79mg得た。この精
製物は、実施例1で得た精製物と同様のマススペクトル
及び13C−NMRの結果を与え、同様に純粋なフラーレ
ンC60であることが確認された。
【0039】なお、上記カラムクロマト分離の際の中性
アルミナの使用量は1kg、展開溶媒の使用量は21リ
ットルであり、分離に要した時間は12時間であった。
このように、従来の通常の溶媒抽出法では、純粋なフラ
ーレンC60等のフラーレン類を得ることはできないし、
また、従来法であるカラムクロマト分離による精製法の
場合は、少量の精製に対しても多量の分離剤や展開溶媒
を必要とし、操作時間も長く、従来から一般に言われて
いるように、大量生産には不適当であり、工業的には不
利であるということが確認された。
【0040】これに対して、上記実施例1及び2からも
容易にわかるように、本発明の超臨界抽出を用いる精製
方法は、短時間の操作で容易に効率よく高純度のフラー
レンC60を単離精製することができ、また、場合に応じ
て、超臨界抽出溶媒(超臨界抽出剤)及び条件等を適宜
選定することによって、場合に応じて、フラーレンC60
以外のフラーレンC70等の他のそれぞれのフラーレンや
混合フラーレンも同様に効率よく分離精製することがで
きる。
【0041】なお、本発明の方法では、抽出時間や条件
の最適化や抽出装置の選定もしくは改良によって、所望
のフラーレン類を収率をさらに容易に向上することがで
きるものと考えられる。いずれにしても、本発明の方法
は、フラーレンC60をはじめとする所望のフラーレン類
を高純度にしかも大量に生産する工業的精製法として著
しく優れている。
【0042】
【発明の効果】本発明の方法によると、グラファイト等
の炭素のアーク放電、レーザーアブレーション等によっ
て得られたススやベンゼン等の不完全燃焼等によって得
られたスス等のフラーレン類含有ススや、該ススより従
来の芳香族炭化水素等の有機溶媒による通常の抽出法に
よって得られた粗製のフラーレンなどのフラーレン類を
含有する原料に対して、超臨界抽出という特定の抽出分
離方法を適用して精製しているので、極めて高純度のフ
ラーレンC60(さらには、場合に応じて、フラーレンC
70やC84等の各フラーレンや混合フラーレン類)を、十
分に高い回収率で効率よく容易に分離回収することがで
き、しかも、従来のカラムクロマト分離法を必ずしも使
用する必要がないので、操作及び工程を著しく簡略化す
ることもでき、したがって、工業的規模の大量生産にも
容易に適用することができる。すなわち、本発明による
と、高純度のフラーレンC60等の所望のフラーレン類を
得るための工業的な精製方法として著しく有利なフラー
レンの精製方法を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10C 3/08 6958−4H

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フラーレン類を含有する原料より、超臨
    界抽出を行うことを特徴とするフラーレン類の精製方
    法。
  2. 【請求項2】 超臨界抽出溶媒として、二酸化炭素、一
    酸化炭素、ハロゲン化炭化水素、アルカン類、アルケン
    類、アセチレン類、ケトン類、エーテル類及びアルコー
    ル類から選ばれる1種、又は2種以上の混合物を用いる
    請求項1記載のフラーレン類の精製方法。
JP3281842A 1991-10-03 1991-10-03 フラーレン類の精製方法 Pending JPH0597417A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3281842A JPH0597417A (ja) 1991-10-03 1991-10-03 フラーレン類の精製方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3281842A JPH0597417A (ja) 1991-10-03 1991-10-03 フラーレン類の精製方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0597417A true JPH0597417A (ja) 1993-04-20

Family

ID=17644773

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3281842A Pending JPH0597417A (ja) 1991-10-03 1991-10-03 フラーレン類の精製方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0597417A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003347624A (ja) * 2002-05-27 2003-12-05 Konica Minolta Holdings Inc 有機半導体材料の精製方法、該精製方法を用いて得られた有機半導体材料及びそれを用いた半導体素子
WO2004040678A1 (ja) * 2002-10-31 2004-05-13 Mitsubishi Chemical Corporation リチウム二次電池用正極材料の添加剤、リチウム二次電池用正極材料、並びに、このリチウム二次電池用正極材料を用いた正極及びリチウム二次電池
CN1314766C (zh) * 1999-09-03 2007-05-09 日本化药株式会社 蒽并吡啶酮化合物、水基品红色油墨组合物和喷墨记录方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1314766C (zh) * 1999-09-03 2007-05-09 日本化药株式会社 蒽并吡啶酮化合物、水基品红色油墨组合物和喷墨记录方法
JP2003347624A (ja) * 2002-05-27 2003-12-05 Konica Minolta Holdings Inc 有機半導体材料の精製方法、該精製方法を用いて得られた有機半導体材料及びそれを用いた半導体素子
WO2004040678A1 (ja) * 2002-10-31 2004-05-13 Mitsubishi Chemical Corporation リチウム二次電池用正極材料の添加剤、リチウム二次電池用正極材料、並びに、このリチウム二次電池用正極材料を用いた正極及びリチウム二次電池

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Suzuki et al. Very Convenient and Efficient Purification Method for Fullerene (C60) with 5, 11, 17, 23, 29, 35, 41, 47-Octa-tert-butylcalix (8) arene-49, 50, 51, 52, 53, 54, 55, 56-octol.
Sivaraman et al. Solubility of C60 in organic solvents
Avent et al. Formation of C70Ph10 and C70Ph8 from the electrophile C70Cl10
US5662876A (en) Purification of fullerenes
JPH0597417A (ja) フラーレン類の精製方法
US5310532A (en) Purification of fullerenes
Boltalina et al. Preparation and characterisation of C60F18
US5200517A (en) Inclusion-complexing agent for use in isolation of xylene isomer(s) and/or ethylbenzene
CA2025618C (en) Process for isolating xylene isomer(s) and/or ethylbenzene and inclusion-complexing agent for use in isolation of xylene isomer(s) and/or ethylbenzene
WO2003076335A1 (en) Process for production of fullerenes and method for separation thereof
US20100249447A1 (en) Purification of fullerene derivatives from various impurities
JPH0585711A (ja) フラーレンc60の精製方法
US3620030A (en) Method of purifying vinyl fluoride contaminated with impurities by distillation in the presence of carbon dioxide or trifluoromethane
JPH07258123A (ja) ペンタフルオロエタンの精製法
JPH07237911A (ja) フラーレンの精製方法
US3321284A (en) Extraction of hydrazine from aqueous solution using a fluorinated alcohol
US2882326A (en) Separation of organic compounds using solid adsorbents containing adsorbed polynitro aromatic compounds
US3705925A (en) Method for separation of fatty alcohols from hydrocarbons
JPH03190855A (ja) パラフィンスルホン酸の分離回収法
US3212875A (en) Alkali metal preparation by decomposition of organometallic compounds
JPH05229966A (ja) 水素化フラーレンの製造法
US20070274894A1 (en) Separation of fullerene C60 and C70 using crystallization
JP4194283B2 (ja) 脂環式アルコール類の分離・精製方法
JPH0710512A (ja) フラーレン混合物から個々のフラーレンを単離および精製する方法
JP3861779B2 (ja) フラーレン類の製造方法