JP2004524028A - 動物飼料用添加物としてのd−パントテン酸および/またはその塩の製造方法 - Google Patents

動物飼料用添加物としてのd−パントテン酸および/またはその塩の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明はD-パントテン酸および/またはその塩の改良された製造方法、および動物飼料用添加物としてのそれの使用に関する。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明はD-パントテン酸および/またはその塩の改良された製造方法に関し、また動物飼料添加物としてのそれの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
補酵素Aの生合成の出発素材として、D-パントテン酸は動植物界に広く分布している。食物を通してパントテン酸の十分な量を摂取する人間とは対照的に、D-パントテン酸欠乏症の症状が植物のみならず動物についても数多く報告されている。D-パントテン酸のアベイラビリティはそれゆえに特に動物飼料産業界では大きな経済的関心事である。
【0003】
一般的には、D-パントテン酸はD-パントラクトンとβ-アラニン酸カルシウムから化学合成反応により製造される(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, 6th edition, 1999、電子出版、“Vitamins”の章)。D-パントテン酸の製造は、ジアステレオマー塩を経由しての複雑な古典的ラセミ体分離を必要とする。この化学合成反応から得られる市販の製品は通常D-パントテン酸のカルシウム塩、すなわちD-パントテン酸カルシウムである。
【0004】
化学合成に比較して、微生物を使ったバイオテクノロジーによる製造方法の利点は、高等生物が摂取することができるパントテン酸のD体を選択的(鏡像異性体的に純粋)に産生することである。化学合成反応で必要とされる複雑なラセミ体分離は従って必要ない。
【0005】
多数の、微生物を使ったD-パントテン酸の発酵製造方法が公知であり、例えばEP 0 590 857、WO 96/33283、US 6,013,492、WO 97/10340、DE 198 46 499、EP 1 001 027、EP 1 006 189、EP 1 006 192およびEP 1 006 193に記載のものである。
【0006】
しかるにEP 1 006 189およびEP 1 001 027は、発酵溶液中のD-パントテン酸含有量最大1 g/Lを達成するパントテン酸の製造方法を記載している。しかしながら、そのような低い発酵溶液中のパントテン酸の含有量、すなわち固形分基準で10重量%より低いものは、D-パントテン酸含有の動物飼料サプリメントの経済的な製造には向いていない。これまでに記載されたこの方法のさらなる欠点は、発酵培地から生成物を単離するには数多くの複雑な後処理工程を必要とすることである。工業スケールでの経済的な製造方法は開示されていない。
【0007】
ドイツ出願公開DE 100 16 321は、D-パントテン酸含有の動物飼料サプリメントの発酵製造方法を記載している。しかしながら、この方法の重大な欠点は、上述のD-パントテン酸の発酵製造方法と同じように、目的とする生成物の経済的収量を得るためには、パントテン酸前駆体β-アラニンを、発酵培地を介して微生物に供給しなければならないことである。
【0008】
さらに、US 6,013,492およびWO 96/332839は、培養培地から不溶構成成分(例えば細胞材料)を濾過分離し、その濾液を活性炭に吸着させ、そのあと有機溶媒(好ましくはメタノール)でD-パントテン酸を溶出させ、水酸化カルシウムで中和しそしてそのあとD-パントテン酸カルシウムを結晶化させることによる、発酵溶液からのD-パントテン酸の後処理を記載している。結晶化の際に貴重な生成物のロスが起ること、また、生成物から分離するのに困難が伴い且つ複雑な溶媒回収工程を必要とする有機溶媒を用いること、が見過ごせない欠点である。
【0009】
EP 0 590 857は、微生物の培養にβ-アラニンのフィード(供給)を必要とするD-パントテン酸の発酵製造方法を記載している。この方法では発酵溶液を濾過してバイオマスを分離し、そのあと陽イオン交換体を通過させ次いで陰イオン交換体を通過させ、そのあと水酸化カルシウムで中和させ、蒸発により濃縮し、活性炭を加え、もう一度濾過を行いそしてメタノールおよび塩化カルシウムを加えることで結晶化させる。得られるパントテン酸カルシウム含有の生成物は、カルシウム塩の形態にあるD-パントテン酸以外に塩化カルシウムもモル比1:1で含有する。この塩化カルシウムの含有量を減らすには電気透析とそのあとのスプレー乾燥を必要とする。この工程は、複雑な工程段階が多数あることまた有機溶媒を使用することから、経済的でなくまた環境上もよくないという欠点を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、D-パントテン酸および/またはその塩を含有する動物飼料サプリメントならびに、上述の欠点を持たない、D-パントテン酸および/またはその塩の改良された製造方法を提供することにある。経済的な理由から、ここではβ-アラニンの供給が大幅に低下しているかまたは全く必要としない方法が望ましい。さらに、パントテン酸の二価の塩はその一価の塩よりもより低い吸湿特性を有する、従って例えば動物飼料サプリメントなどのその先の用途においてより低い凝集の傾向を示すので、D-パントテン酸をその二価の塩の形態、そして特にアルカリ土類金属塩の形態で製造するのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、この目的は本発明により有利に達成されることを見出した。
【0012】
本発明はD-パントテン酸および/またはその塩の製造方法に関し、その方法は、
a)パントテン酸(pan)および/またはイソロイシン/バリン(ilv)の生合成が調節解除されていて且つ培養培地中での発酵により少なくとも2 g/LのD-パントテン酸の塩を生成する少なくとも1種のD-パントテン酸産生生物を用い、該培養培地に遊離β-アラニンおよび/またはβ-アラニン塩0〜20 g/Lを供給する工程、
b)生成したD-パントテン酸塩に、多価陽イオン含有塩を供給してD-パントテン酸の多価塩を生成させる工程、
c)前記D-パントテン酸の多価塩を含有している溶液をナノ濾過により処理し、該D-パントテン酸の多価塩を濃縮する工程、および
d)前記D-パントテン酸の多価塩を含有しているナノ濾過濃縮液を乾燥および/または剤形化させる工程、
を有する。
【0013】
本発明の1つの実施形態では、前記工程c)の濃縮液が、D-パントテン酸の多価塩を含有している懸濁液である。
【0014】
加えて、発酵を、それ自体公知のバッチ式、流加式もしくは繰り返し流加式の方法により、または連続工程方式で行うことができる。得られるパントテン酸を中和するには、この場合通常の緩衝液システム、例えばNaOH、KOHまたはアンモニアを含有するリン酸緩衝液が用いられる。
【0015】
本発明のさらなる実施形態では、工程a)において、本培養培地中で発酵により、少なくとも10 g/L、好ましくは少なくとも20 g/L、特に好ましくは少なくとも40 g/L、なかでも特に好ましくは少なくとも60 g/L、そしてなかでも少なくとも70 g/LのD-パントテン酸の塩が生成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の意味するところでは、「産生する」という表現は、生物が、それ自体の代謝ニーズに必要とされるよりもさらに多い量のD-パントテン酸および/またはその塩を合成できるということを意味する。本発明の有利な実施形態では、合成されるD-パントテン酸および/またはその塩の量は細胞の内側には存在せず、むしろ理想的には生物により培養培地中に完全に放出される。この排出は、それ自体公知の機序により、能動的あるいは受動的であり得る。
【0017】
本発明では用いるD-パントテン酸産生生物は微生物である。これらには本発明では真菌、酵母および/または細菌が挙げられる。本発明では、例えばケカビなどの真菌、または、例えばSaccharomycesもしくはDebaromycesなどの酵母、を用いるのが好ましく、これらの中ではSaccharomyces cerevisiaeが好ましい。有利には、本発明ではコリネ型細菌またはBacillaceaeを用いる。本発明の範囲内にあるもので好ましいものは例えば、Corynebacterium属、Escherichia属、Bacillus属、Arthrobacter属、Bevibacterium属、Pseudomonas属、Salmonella属、Klebsiella属、Proteus属、Acinetobacter属、またはRhizobium属の細菌である。この場合特に好ましいのは、例えば、Corynebacterium glutamicum、Brevibacterium breveまたはBacillus subtilis、B. licheniformis、B. amyloliquefaciens、B. cereus、B. lentimorbus、B. lentus、B. firmus、B. pantothenticus、B. circulans、B. coagulans、B. megaterium、B. pumilus、B. thuringiensis、B. brevis、B. stearothermophilusおよびその16sRNAにより特徴づけられるグループ1の他のBacillus種、あるいはActinum mycetalisである。この掲載は説明のためのものであって、決して本発明を限定するものではない。
【0018】
さらに本発明はまた、遊離のD-パントテン酸および/またはその塩を含有する動物飼料用サプリメントの改良された製法に遺伝子改変生物を用いることも含む。そのような遺伝子改変生物は、例えば化学的突然変異誘発とそのあとの適切な「スクリーニング方法」を用いる選別[selection]により単離することができる。本発明では、本発明の意味において本生成物を産生するのに好適であり且つ、細胞膜を通してのD-パントテン酸および/またはその塩の分泌に関する遺伝子改変も含めて、その代謝フラックスに関してD-パントテン酸の方向に遺伝子改変がなされた「産生用菌株」と呼ばれるものもまた含まれる。これは例えば、用いる生物の適切な代謝生合成の経路中の鍵となる位置の改変により達成できる。
【0019】
目的とする生成物を合成するのに必要である、または必要とされ得る相同および/または非相同ヌクレオチド配列の導入により得られる遺伝子導入生物を用いることも考えられる。この場合は、そのゲノム中および/またはベクター上に個々におよび/または組み合せで局在化された1つ以上の遺伝子の過剰発現および/または調節解除が考えられる。
【0020】
このタイプの遺伝子導入生物は有利にも、panB、panC、panD、panEおよび/またはこれらの組み合せさらには/あるいはpanBCDオペロンなどの組織ユニットから構成される群から選択される追加のコピーおよび/または遺伝子改変された遺伝子を含有することができる。加えて、例えばEP 1 006 189、EP 1 006 192、EP 1 006 193またはEP 1 001 027に記載されているように、例えばイソロイシン-バリン生合成経路などの他の代謝経路をこの生物中で都合良く操作することができる。その結果、パントテン酸生合成の分岐鎖前駆体物質がますます利用可能となる。有利には、適切な場合はこの生合成経路の遺伝子、すなわちilvB、ilvN、ilvCおよび/またはilvDを過剰発現させる。
【0021】
さらに、用いる本D-パントテン酸産生生物中の、例えば過剰発現および/または調節解除によるアスパラギン酸α-デカルボキシラーゼ(panD)の遺伝子改変も本発明に包含される。
【0022】
本発明の意味するところでは、用語「調節解除[deregulation]」とは、微生物中で1つの酵素の活性を変更または改変するために、生合成の代謝経路においてその酵素をコードする少なくとも1個の遺伝子を変更または改変することを意味する。遺伝子産物がもっと多量に生成するよう、あるいはもっと高い活性をもつように、生合成代謝経路の1つの酵素をコードする少なくとも1個の遺伝子を変更するのが好ましい。用語「調節解除された代謝経路」は、1つ以上の酵素の活性が変更または改変されるように、1つ以上の酵素をコードする1個以上の遺伝子が変更または改変されている生合成代謝経路も包含する。
【0023】
変更または改変としては、限定するものではないが、以下のようなものが含まれ得る:内因性プロモーターまたは調節エレメントの除去;強力プロモーター、誘導プロモーターの導入あるいは複数プロモーターの同時導入;目的遺伝子産物の発現を変えるために行う調節塩基配列の除去;目的遺伝子の染色体位置の変更;目的遺伝子の近辺または遺伝子の中、例えばリボソーム結合部位(RBS)におけるDNA塩基配列の変更;ゲノム中で目的遺伝子のコピー数を増大させることまたは様々なコピー数のプラスミドを導入することによる目的遺伝子のコピー数の増大;遺伝子の転写および/または目的遺伝子産物を生じる翻訳において役割を演じるタンパク質(例:調節タンパク質、サプレッサ、エンハンサー、転写活性化因子など)の改変。これには、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いること、あるいはリプレッサータンパク質をブロックすることなど、先行技術に属する、遺伝子の発現を調節解除する他の全ての可能性も含まれる。
【0024】
調節解除は、例えば、目的遺伝子産物のフィードバック調節の除去につながる、あるいは目的遺伝子産物のより大きいまたはより小さい特異的活性につながる、遺伝子のコード領域における変更も含み得る。
【0025】
さらに、本発明では、パントテン酸前駆体の流出および/または補酵素Aを生じるパントテン酸のフラックスに作用する、酵素の遺伝子改変が有利である。そのような酵素をコードする遺伝子の例は:alsD、avtA、ilvE、ansB、coaA、coaX 等である。この掲載は説明のためだけであって、断じて本発明を制限するものではない。
【0026】
加えて、パントテン酸産生に至適な量の補因子(例えば、メチレンテトラヒドロ葉酸、レドックス等価体など)の細胞産生を確保する遺伝子工学的改変が有利である。
【0027】
従って有利なことには、上述した遺伝子改変がなされていない生物と比較して、β-アラニンが細胞中に高められた濃度で既に存在するので、その結果、例えばEP-A 0 590 857で必要とされているようには、培養培地に前駆体として加える必要はない。パントテン酸(pan)および/またはイソロイシン-バリン(ilv)ならびに/あるいはアスパラギン酸-α-デカルボキシラーゼ(panD)の生合成が調節解除されている微生物が有利である。さらに、微生物中のケトパント酸レダクターゼ(panE)のさらなる過剰発現が有利である。
【0028】
本発明では、適切ならば、補酵素Aの生合成に必要であるcoaA遺伝子の活性が低くなっている、あるいは完全に停止されている(例えばBacillus種において)場合はさらに有利である。これは、Bacillusが、coaAに加えて、この酵素作用のための別の遺伝子(= coaX)を含んでいるためである。この遺伝子coaXまたはそれの対応する酵素の活性もまた、coaA自体が、低下した酵素活性ではあるがなお十分な酵素活性を有している場合は、すなわちcoaAの酵素活性が完全には失われていない場合は、変える、好ましくは減らす、あるいは消すことさえもできる。各種遺伝子の過剰発現に加えて、これら遺伝子のプロモーター領域の遺伝子操作もまた、この操作が上記遺伝子産物の過剰発現を引き起こす場合は、有利である。
【0029】
本発明の1つの実施形態では、PCT/US 出願番号 0025993に記載されている細菌株、例えばBacillus subtilis[枯草菌] PA 824および/またはその派生株、が用いられる。本発明の好ましい実施形態では、US 出願番号 60/262,995に記載されている微生物Bacillus subtilis PA 668が本発明の方法において使用される。これらの菌株Bacillus subtilis PA 824およびPA 668は以下のようにして作成した。
【0030】
遺伝子型trpC2(Trp-)をもつ菌株Bacillus subtilis 168(Marburg 菌株 ATCC 6051)から出発して、菌株PY79を、Trp+マーカー(Bacillus subtilis 野生型 W23 からのもの)の形質導入を経て作成した。古典的遺伝子工学手法によりΔpanBおよびΔpanE1変異をこの菌株PY79中に導入した(例えば、Harwood, C.R. and Cutting, S.M. (editors), Molecular Biological Methods for Bacillus (1990) John Wiley & Sons, Ltd., Chichester, England に記載されている)。
【0031】
得られた菌株を、Bacillus subtilis 菌株 PA221(遺伝子型 P26panBCD、trpC2(Trp-))のゲノムDNAおよびBacillus subtilis 菌株 PA303(遺伝子型 P26panE1)のゲノムDNAで形質転換した。結果として得られる菌株PA327は遺伝子型P26panBCD、P26panE1を有し、トリプトファン栄養要求株(Trp-)である。Bacillus subtilis 菌株 PA327を、前もってβ-アラニン5 g/Lとα-ケトイソ吉草酸5 g/Lが補充されているSVY培地(Difco Veal Infusion Broth 25 g/L、Difco Yeast Extract 5 g/L、グルタミン酸Na 5 g/L、硫酸アンモニウム 2.7 g/Lを水で740 mLとし、高圧加熱滅菌、そのあとpH 7.0の1 M リン酸カリウム 200 mLと50% 滅菌グルコース溶液 60 mLを加えた)を用いる培養液10 mL中で用いて、最高3.0 g/L(24 時間)のパントテン酸力価を達成した。
【0032】
Bacillus subtilis 菌株 PA221(遺伝子型 P26panBCD、trpC2(Trp-))の作成は次のようにして行った。
【0033】
古典的遺伝子工学手法により、Bacillus subtilis GP275プラスミドライブラリーから出発して、E. coliのpanBCDオペロンの塩基配列情報(参照:Merkel et al., FEMS Microbiol. Lett., 143, 1996:247-252)を用いて、BacillusのpanBCDオペロンのクローニングを行った。このクローニングには、E. coli 菌株 BM4062(birts)および、Bacillusオペロンは birA 遺伝子の近くにあるという情報を用いた。panBCDオペロンを、E. coli中で複製することができるプラスミド中に導入した。このpanBCDオペロンの発現を改善するために、Bacillus subtilis ファージ SP01の強力構成プロモーター(P26)を用い、またpanB遺伝子の前にあるリボソーム結合部位(=RBS)を人工RBSで置き換えた。Bacillusの元々のpanB遺伝子の直ぐ上流にあるDNA断片を、上記プラスミド上のP26panBCDカセットの前にライゲーション(連結)した。このプラスミドをBacillus subtilis 菌株 RL-1(古典的突然変異誘発により得られるBacillus subtilis 168の派生株(Marburg 菌株 ATCC 6051)、遺伝子型 trpC2(Trp-))中に導入し、そして相同組換えにより、元々のpanBCDオペロンをp26panBCDオペロンで置き換えた。得られた菌株はPA221と呼び、遺伝子型P26panBCD、trpC2(Trp-)を有する。
【0034】
このBacillus subtilis 菌株 PA221を、前もってβ-アラニン5 g/Lとα-ケトイソ吉草酸5 g/Lが補充されているSVY培地を含有する培養液10 mL中で用いて、最高0.92 g/L(24 時間)のパントテン酸力価を達成した。
【0035】
Bacillus subtilis 菌株 PA303(遺伝子型 P26panE1)の作成は次のようにして行った。
E. coli panE 遺伝子塩基配列を用いて、Bacillus panE 塩基配列を同じようにしてクローニングした。B. subtilis には、panE1 および panE2と呼ばれるE. coli panE遺伝子の二つの相同体が存在することを見出した。欠失解析によりpanE1遺伝子がパントテン酸産生の90%を担い、panE2遺伝子を欠失させてもパントテン酸の産生には有意な影響がないことが分かった。ここでもまた、panBCD オペロンのクローニングと同様に、プロモーターを強力構成プロモーターP26 で置き換え、panE1遺伝子の前にあるリボソーム結合部位を人工結合部位で置き換えた。このP26panE1 断片を、P26panE1断片がBacillus subtilisゲノムの元のpanE1遺伝子座中に組込まれることができるように作成されたベクター中にクローニングした。形質転換および相同組換えの後に得られる菌株はPA303と呼ばれ、遺伝子型 P26panE1を有している。
【0036】
このBacillus subtilis 菌株 PA303を、前もってβ-アラニン5 g/Lとα-ケトイソ吉草酸5 g/Lが補充されているSVY培地を用いた培養液10 mL中で用いて、最高1.66 g/L(24 時間)のパントテン酸力価を達成した。
【0037】
PA327を、P26ilvBNCオペロンとスペクチノマイシンのマーカー遺伝子を有しているプラスミドで形質転換することにより別の菌株を構築した。P26ilvBNC オペロンをamyE遺伝子座中に組み込み、組み込みはPCRにより確認した。1つの形質転換株をPA340と呼んだ(遺伝子型 P26panBCD、P26panE1、P26ilvBNC、specR、trpC2(Trp-))。
このBacillus subtilis 菌株 PA340を、前もってβ-アラニン5 g/Lだけが補充されている、SVY培地を含有している培養液10 mL中で用いて、最高3.6 g/L(24 時間)のパントテン酸力価を達成した;前もってβ-アラニン5 g/Lとα-ケトイソ吉草酸5 g/Lが補充されている、SVY培地を含有する培養液10 mL中では、最高4.1 g/L(24 時間)のパントテン酸力価を達成した。
【0038】
さらに、菌株PA340中に調節解除されたilvDカセットを導入した。このためには、人工RBS2を含んでいる、P26プロモーターのコントロール下にあるilvD遺伝子を含んでいるプラスミドをPA340中に導入した。このP26ilvD遺伝子を元のilvD遺伝子座中に相同組換えにより組み込んだ。この結果得られた菌株 PA374は、遺伝子型 P26panBCD、P26panE1、P26ilvBNC、P26ilvD、specRおよびtrpC2(Trp-)を有する。
【0039】
このBacillus subtilis 菌株 PA374を、前もってβ-アラニン5 g/Lだけが補充されている、SVY培地を含有する培養液10 mL中で用いて、最高2.99 g/L(24 時間)のパントテン酸力価を達成した。
【0040】
β-アラニンを供給することなく菌株 PA374を用いてパントテン酸を産生させるために、アスパラギン酸-α-デカルボキシラーゼをコードする遺伝子panDの追加のコピーを菌株PA374中に導入した。このためには、菌株 PA401の染色体DNAをPA374中に導入した。菌株PA377をテトラサイクリン選別により得た。
【0041】
結果として得られた菌株 PA377は遺伝子型 P26panBCD、P26panE1、P26ilvBNC、P26ilvD、specR、tetRおよびtrpC2(Trp-)を有する。
【0042】
Bacillus subtilis 菌株 PA377をSVY培地を含有する培養液10 mL中で用いて、最高1.31 g/L(24 時間)のパントテン酸力価を達成した。
【0043】
Bacillus subtilis 菌株 PA401(遺伝子型 P26panD)の調製は次のようにして行った。
【0044】
Bacillus subtilis panD遺伝子をpanBCDオペロンから、テトラサイクリンマーカー遺伝子を持つベクター中にクローニングした。プロモーターP26および上記した人工RBSをpanD遺伝子の前にクローニングした。制限消化により、テトラサイクリンマーカー遺伝子とP26panD遺伝子を含んでいる断片を調製した。この断片を再ライゲーションし、上述の菌株 PA221を形質転換した。断片は菌株 PA211のゲノム中に組み込まれていた。この結果得られた菌株 PA401は遺伝子型P26panBCD、P26panD、tetRおよびtrpC2(Trp-)を有している。
【0045】
このBacillus subtilis 菌株 PA401を、前もってα-ケトイソ吉草酸5 g/Lが補充されているSVY培地を含有する培養液10 mL中で用いて、最高0.3 g/L(24 時間)のパントテン酸力価を達成した。前もってD-パントテン酸5 g/LとL-アスパラギン酸10 g/Lが補充された、SVY培地を含有する培養液10 mLでは、最高2.2 g/L(24 時間)のパントテン酸力価を達成した。
【0046】
菌株 PA377から出発して、菌株 PY79由来の染色体DNAによる形質転換によりトリプトファン原栄養菌株を作成した。この菌株PA824は遺伝子型P26panBCD、P26panE1、P26ilvBNC、P26ilvD、specR、tetRおよびTrp+を有する。
【0047】
Bacillus subtilis 菌株 PA824を、SVY培地の培養液10 mL中で用いて前駆体の供給なしで最高4.9 g/L(48 時間)のパントテン酸力価を達成した(コントロールのPA377は48時間で最高3.6 g/L)。この菌株の正確な作成法は、PCT/US出願番号0025993に記載されている。
【0048】
PA668の調製は次のように行った。
【0049】
Bacillus panB遺伝子を野生型panBCD オペロンからクローニングし、クロラムフェニコール耐性遺伝子に加えてvpr遺伝子座のB. subtilis 塩基配列も含んでいるベクター中に挿入した。
【0050】
強力構成プロモーターP26をpanB遺伝子の5'末端の前に導入した。P26panB遺伝子、クロラムフェニコール耐性のマーカー遺伝子ならびにBacillus subtilis vpr 塩基配列を含んでいる1つの断片を制限消化により得た。単離した断片を再ライゲーションし、菌株PA824を形質転換するのに用いた。結果として得られた菌株をPA668と呼んだ。PA668の遺伝子型は:P26panBCD、P26panE1、P26ilvBNC、P26ilvD、P26panB、specR、tetR、CmRおよびTrp+である。
【0051】
PA668の2つのコロニーを単離し、1つをPA668-2Aと呼び、もう1つの方をPA668-24と呼ぶ。
【0052】
B. subtilis 菌株 PA668-2Aを用いて、前駆体の供給なしのSVY培地の培養液10 mL中48時間で1.5 g/Lのパントテン酸力価が達成される。アスパラギン酸10 g/Lが補充されている培養液10 mL中では、最高5 g/Lの力価が達成される。
【0053】
B. subtilis 菌株 PA668-24を用いて、前駆体の供給なしのSVY培地の培養液10 mL中48時間で1.8 g/Lのパントテン酸力価が達成される。L-アスパラギン酸10 g/Lが補充されている培養液10 mL中では、最高4.9 g/Lの力価が達成される。
【0054】
菌株の正確な作成法についてはPCT/US出願番号0025993およびUS出願番号60/262,995を参照されたい。
【0055】
上述の菌株PA377を用いて、グルコース溶液が連続供給されている10 L規模でのSVY培地(Difco Veal Infusion Broth 25 g/L、Difco Yeast Extract 5 g/L、トリプトファン5 g/L、グルタミン酸Na 5 g/L、(NH4)2SO4 2 g/L、KH2PO4 10 g/L、K2HPO4 20 g/L、CaCl2 0.1 g/L、MgSO4 1 g/L、クエン酸ナトリウム1 g/L、FeSO4・7H2O 0.01 g/L、ならびに以下の組成の微量塩溶液 1 mL/L:Na2MoO4・2H2O 0.15 g、H3BO3 2.5 g、CoCl2・6H2O 0.7 g、CuSO4・5H2O 0.25 g、MnCl2・4H2O 1.6 g、ZnSO4・7H2O 0.3 g、水で1 Lにする)中のグルコース制限発酵において、36時間(48時間)で発酵ブロス中のパントテン酸濃度18〜19 g/L(22〜25 g/L)が達成される。
【0056】
酵母エキス培地(Difco Yeast Extract 10 g/L、グルタミン酸Na 5 g/L、(NH4)2SO4 8 g/L、KH2PO4 10 g/L、K2HPO4 20 g/L、CaCl2 0.1 g/L、MgSO4 1 g/L、クエン酸ナトリウム 1 g/L、FeSO4・7H2O 0.01 g/L、ならびに上記の微量塩溶液1 mL/L)中での、PA377のトリプトファン原栄養派生株であるPA824のグルコース制限発酵の場合は、グルコース溶液が連続供給されている10 L規模において、36時間、48時間および72時間で、発酵ブロス中以下のパントテン酸濃度が達成される:20 g/L、28 g/Lおよび36 g/L。
【0057】
培地のさらなる至適化により、Difco Yeast Extract 10 g/L、NZアミンA(Quest International GmbH, Erftstadt) 10 g/L、グルタミン酸ナトリウム 10 g/L、(NH4)2SO4 4 g/L、KH2PO4 10 g/L、K2HPO4 20 g/L、CaCl2 0.1 g/L、MgSO4 1 g/L、クエン酸ナトリウム 1 g/L、FeSO4・7H2O 0.01 g/Lおよび上記の微量塩溶液1 mL/Lから構成される培地中のグルコース制限発酵に菌株PA824を用いて、グルコース溶液が連続供給されている10 L規模において36時間(48時間)で、発酵ブロス中パントテン酸濃度37 g/L(48 g/L)が達成される。
【0058】
さらなる培地の至適化により、また発酵時間を長くすることにより、また工程と菌株の改良により、またこれらの個々の段階を組み合せることにより、発酵ブロス中のパントテン酸濃度をさらに増大させることが考えられる。例えば、上述のパントテン酸濃度は、上記PA824の派生株である菌株の発酵によっても達成可能である。派生株は古典的な菌株生育により、またさらなる遺伝子工学的な操作により調製することができる。培地、菌株および発酵方法の開発により、発酵ブロス中のパントテン酸力価を40、45、50、55、60、65、70、75、80、85および90 g/Lよりも大きくすることができる。
【0059】
本発明の方法の重要な優位点は、出発化合物として、少なくとも1種の炭素源および窒素源以外には他の前駆体を含んでいない培養培地中で発酵を行うことにある。すなわちD-パントテン酸の生合成は、他の前駆体の供給には依存しないことである。本発明の意味するところでは、そのような前駆体は、β-アラニンおよび/またはL-アスパラギン酸および/またはL-バリンおよび/またはα-ケトイソ吉草酸および/またはこれらの組み合せのような物質である。
【0060】
本発明の好ましい実施形態では、D-パントテン酸産生生物の発酵を、炭素源と窒素源を含有し、発酵の過程で遊離のβ-アラニンおよび/またはβ-アラニンの塩を加えないまたは供給しない培養培地中で行う。すなわちD-パントテン酸を、少なくとも10 g/L培養培地、好ましくは少なくとも20 g/L、特に好ましくは少なくとも40 g/L、非常に好ましくは少なくとも60 g/L、そしてなかでも少なくとも70 g/Lの範囲で製造するのに、本発明では遊離のβ-アラニンおよび/またはβ-アラニンの塩の供給を必要としない。
【0061】
前駆体の供給に依存しないということは、前駆体の多くは大変高価であるので、公知の方法と比較した場合、本発明の方法の特に重要な経済的優位点である。
【0062】
しかしながら、本発明はβ-アラニンおよび/またはβ-アラニン塩を添加することを排除するものではなく、従ってD-パントテン酸の収率はβ-アラニンおよび/またはβ-アラニン塩を加えることによりさらに増大させることができる。例えばパントテン酸の必要とされる全ての前駆体が十分な量存在するとすると、panD遺伝子の活性のみがパントテン酸産生のさらなる増加を制限するので、パントテン酸の収率は、遊離のβ-アラニンおよび/またはβ-アラニンの塩を加えることにより、例えばさらに50%増やすことができる。
【0063】
本発明の有利な実施形態では、パントテン酸の収率をさらに50%増やすために培養培地に最高20 g/Lの遊離のβ-アラニンおよび/またはβ-アラニンの塩を加えることができる。培養培地には約15 g/Lの遊離のβ-アラニンおよび/またはβ-アラニンの塩を加えるのが好ましい。
【0064】
上述の生物を発酵させる培養培地に用いるのに本発明で適切な炭素源の例は、デンプン加水分解物(単糖類、二糖類、オリゴ糖類)などの糖類(グルコースもしくはスクロースが好ましい)、ならびにビート糖蜜もしくはサトウキビ糖蜜、タンパク質、タンパク質加水分解物、ダイズミール、コーン・スティープ・リカー[corn steep liquor]、脂肪、遊離脂肪酸、前の発酵からの再循環細胞もしくはその加水分解物、および酵母エキス、である。この掲載は本発明に対して限定を行うものではない。
【0065】
さらに、本発明の方法は、全糖質含有量を発酵の終点まで最低限に抑えられるという点が、さもなければ粘着のため後に行なわれる発酵溶液の乾燥および/または剤形化が困難になると考えられるので、有利な特徴である。これは本発明では、(流加式、繰り返し流加式または連続工程式の場合)炭素源の濃度が実質的にゼロとなるように、(回分式培養の場合)炭素源が消費されたあと、あるいは(流加式もしくは繰り返し流加式の工程方式の場合)炭素の供給を停止および/または調節したあと、発酵をさらにしばらくの間続けることにより達成できる。
【0066】
これは本発明では、炭素源(例えば砂糖水)の添加を中断したあと、発酵溶液中で溶解酸素濃度(pO2)がその飽和値の少なくとも80%、好ましくは90%、そして特に好ましくは95%に到達するまで発酵を続けることにより達成される。
【0067】
本発明で好適な窒素源の例は、アンモニア、硫酸アンモニウム、尿素、タンパク質、タンパク質加水分解物あるいは酵母エキスである。この掲載もまた本発明に対して限定的なものではない。
【0068】
さらに、本発酵培地にはアミノ酸やビタミンなどの無機塩類および/または微量元素を含ませる。適切な発酵培地の正確な組成は当業者には十分知られており、また入手可能である。
【0069】
発酵培地に適当なD-パントテン酸産生生物を接種したあと(当業者には知られている細胞密度で)、適切ならば消泡剤を加えて、その生物を培養する。培地のpHの必要な調節は、各種の無機もしくは有機のアルカリもしくは酸(例えば、NaOH、KOH、アンモニア、リン酸、硫酸、塩酸、蟻酸、コハク酸、クエン酸など)を用いて行うことができる。
【0070】
発酵の際に用いる緩衝液システムのため(これは、先に述べたように、例えばNaOH、KOH、アンモニア、リン酸、硫酸、塩酸、蟻酸、コハク酸、クエン酸などであり得る)、生成するD-パントテン酸は、発酵溶液中で、用いる緩衝液システムに依存して、それぞれの塩の形態で存在する。この場合、特に一価陽イオンの形態にあるD-パントテン酸の塩は不利であるので、発酵溶液は本発明ではナノ濾過により後処理される。
【0071】
このためには、本発明では、生成したD-パントテン酸塩に、まず多価陽イオン含有の塩を供給してD-パントテン酸の多価塩を生成させる。本発明では、工程a)の発酵の間に、好ましくはその終点で、あるいはその後で、多価陽イオン含有の塩を固形物もしくは水溶液の形態で加えることができる。多価陽イオン含有の水溶液は、例えば連続的に供給することができる。
【0072】
加えて、ナノ濾過の上流の工程において、すなわち本発明の方法の工程c)のナノ濾過の前に、溶液中で沈殿した細胞塊もしくは成分を除去することができる。この場合この除去は、デカンテーションもしくは膜濾過、好ましくは限外濾過により行うことができる。本発明の方法の1つの実施形態では、この膜濾過は透析濾過として行なわれる。ここでもまた、本発明では多価陽イオン含有の塩を、D-パントテン酸塩含有溶液の膜濾過の間に、もしくはその後で、固形物もしくは水溶液の形態で加えることができる。例えば、多価陽イオン含有の水溶液がここで連続的に供給される。
【0073】
溶液中で沈殿した細胞塊および/または成分、例えば若干可溶性のあるいは不溶性のリン酸塩または硫酸塩、酵素、ホルモン、タンパク質、抗生物質、発熱物質、ウイルス、多糖類、コロイド、界面活性剤、殺菌剤あるいはその他の無機物質などの除去は、重力、遠心力、圧力もしくは真空を利用して行なわれる。典型的な方法としては、なかでも次のようなものがある:デカンテーション、水簸選別[elutriation]、篩分、風力分級、選別分級、濾過、透析、沈降、精密濾過、限外濾過、浮上分離、泡分別、シンク・スイム[sink-swim]分離、清澄分離、遠心沈降もしくは分離など。フィード側と透過液側との差圧により動作する精密濾過あるいは限外濾過などの膜分離法は、膜分離としてまとめられる。これらの方法は、例えばその分離限界が異なる。従って、限外濾過の場合、カットオフ限界は、例えば精密濾過の場合のようには粒子径に基づくものではなく、モル質量に基づいており、そしてこれは約103 〜2×106 Daの範囲内にある。限外濾過では、濾液(透過液[permeate])に加えて、濃縮液[retentate]と呼ばれるものも生成される。
【0074】
固形物質を除去するのには、あるいは溶解している中分子量および高分子量物質を濃縮または低減するのには、有利には非対称構造多孔質膜を用いる。
【0075】
1つの有利な実施形態では、本発明で用いられる膜は、実際の分離を行う分離用の層、およびこの分離用層を支えまたこの分離用層よりも粗い孔を有する一層もしくは多層の支持用の層から構成される。上記分離用層および支持用層は、有機もしくは無機ポリマー、セラミック、金属またはカーボンから構成され得、そして反応媒体中および工程温度において安定なものでなければならない。このようなものの例を表1に掲載するが、これらは本発明を限定するものではない。
【0076】
膜は、それ自体公知である平面型モジュール、管型モジュール、多チャンネルエレメント型モジュール、毛細管型モジュールまたはコイル型モジュール内のフレキシブルなチューブ、管、毛細管、中空糸または平膜の形態で用いることができる。
【0077】
濃縮液側と透過液側の間の最適膜差圧は基本的には1〜40 barであり、膜の孔径もしくはカットオフ限界(分子量単位で表わされる)、膜の機械的安定性および膜のタイプに依存する。膜差圧が高いほど一般的にはより高い透過液フラックスが得られる。フィード(処理される溶液)が過大な圧力で供給される場合は、膜差圧は透過液側圧力を大きくすることにより適応させることができる。
【0078】
使用温度は生成物の安定性および膜の安定性によって変わる。約20〜90℃、好ましくは約40〜70℃である。温度が高いほどより高い透過液フラックスが得られる。例えば表2の膜を用いることができるが、これらは本発明を限定するものではない。
【0079】
本発明では細胞分離を特別のタイプの膜濾過、すなわち透析濾過によっても有利に行うことができる。
【0080】
透析濾過は、D-パントテン酸の多価塩を含有している溶液を、容器、ポンプおよび1つ以上の膜モジュールからなる循環路の中を通し、そして膜モジュールの中の圧力を透過液が出てくるように設定することによりバッチ式に行うことができる。連続的にまたは時々、分離すべき生成物を含有していない、あるいはそれを、分離用循環路に加える時点の濃度よりも低い濃度で含有している水もしくは水溶液を加える。本発明では、この水溶液は、例えばハロゲン化カルシウムまたはハロゲン化マグネシウムあるいはこれらの組み合せ、好ましくは塩化カルシウムおよび/または塩化マグネシウムなどの多価陽イオンの塩を含有し得る。
【0081】
この透析濾過による細胞分離は本発明では、好ましくは直列に連結された複数の膜モジュールを用いることで、あるいはそれぞれの場合1つ以上の膜モジュールを収容しているポンプ循環路を直列に連結することで連続的に行うこともできる。この膜モジュールまたはポンプ循環路の上流で、またはそれらの間に、あるいはそれらの下流で、分離すべき生成物を含有していない、あるいはそれを、その供給場所の濃度よりも低い濃度でのみ含有している水または水溶液を加えることができ、この場合、バッチ式の場合と同じように、この水溶液は、例えばハロゲン化カルシウムまたはハロゲン化マグネシウムあるいはこれらの組み合せ、好ましくは塩化カルシウムおよび/または塩化マグネシウムなどの多価陽イオンの塩を含有し得る。
【0082】
本発明では限外濾過または透析濾過は、発酵産出物を用いて直接、あるいは例えば遠心分離、デカンテーションあるいは似た方法によりその発酵生成物を処理した後行うことができる。
【0083】
本発明では溶液中で沈殿した細胞塊または成分が除去されている場合は、本発明の方法の工程b)における、多価陽イオン含有の塩の添加を、限外濾過または透析濾過の間に、あるいはその後で行うことができる。本発明の方法の実施形態においては、加えられる多価陽イオンは、例えば、カルシウムおよび/またはマグネシウムの塩化物、硝酸塩、水酸化物、蟻酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、グリシン酸塩および/または乳酸塩である。この場合多価陽イオン、例えばCa2+ を濃度0.05〜50 mol Ca2+ /mol D-パントテン酸塩、好ましくは0.2〜2 mol Ca2+ /mol D-パントテン酸塩で供給することができる。
【0084】
本発明の方法の工程c)において、D-パントテン酸の多価塩を含有している溶液を次にナノ濾過により後処理し、このD-パントテン酸の多価塩が濃縮されそして同時に不要の一価イオン、好ましくは一価陽イオン、例えばアンモニウムイオン、ナトリウムイオンあるいはカリウムイオンが低減される。本発明の方法では、一価陽イオン、好ましくはアンモニウムイオン、カリウムイオンおよび/またはナトリウムイオンの含有量は、濃度≦5 g/kg溶液に低減される。
【0085】
本発明には全ての市販されている入手可能なナノ濾過システムが含まれる。分離は非対称構造多孔質膜で行うのが有利である。本発明の好ましい実施形態では、実際の分離を行う分離用の層、およびこの分離用層を支えまたこの分離用層よりも粗い孔を有する一層もしくは多層の支持用の層から構成される膜がこのために用いられる。この分離用層および支持用層は、有機ポリマー、セラミック、金属またはカーボンから構成され得、そして反応媒体中および工程温度において安定なものでなければならない。分離用層に好ましい材料は、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、あるいはポリピペラジン樹脂である。この分離用層はまた正または負の表面電荷を有し得る。陰イオン官能性ナノ濾過膜の一例はDESAL 5 DK膜であるが、本発明は、この膜を専ら使用することに限定されるものではない。
【0086】
この膜はフレキシブルなチューブ、毛細管、中空糸あるいは平膜の形態で用いることができ、またそれ自体公知である平面型モジュール、管型モジュール、多チャンネルエレメント型モジュール、毛細管型モジュールあるいはコイル型モジュール中で用いることができる。
【0087】
本発明の方法の有利な実施形態では、工程c)のナノ濾過においては、5〜100 bar、好ましくは20〜80 bar、そして特に好ましくは40〜70 barの範囲内にある膜差圧をかける。
【0088】
工程温度は有利には20〜80℃、好ましくは30〜60℃である。さらに、ナノ濾過は、当業者には公知の方法で、連続式であるいは1つまたは複数の段階のバッチ式で行うことができる。
【0089】
1つの好ましい実施形態では、それぞれの場合1つまたは複数のナノ濾過の段階の前に、多価陽イオン含有の塩を、固形物もしくは水溶液の形態で加える。本発明では、これら多価陽イオンは、カルシウムおよび/またはマグネシウムの塩化物、硝酸塩、水酸化物、蟻酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、グリシン酸塩および/または乳酸塩として加えられる。この場合多価陽イオンとして、Ca2+ を、濃度0.05〜50 mol Ca2+ /mol D-パントテン酸塩、好ましくは0.2〜2 mol Ca2+ /mol D-パントテン酸塩(混合した後の状態に基づく)で供給することができる。
【0090】
本発明の方法では、工程a)の発酵の間に、好ましくはその終点で、またはその後で、あるいは細胞分離の間に、またはその後で、多価陽イオン含有の塩を固形物もしくは水溶液の形態で加える。
【0091】
本発明ではさらに、ナノ濾過の間に多価陽イオン含有の塩を加えるのが有利であり得る。加えて、多価陽イオン含有の水溶液を連続的に供給することもできる。
【0092】
本発明の方法のさらなる実施形態では、ナノ濾過の上流にある1つまたは複数の工程段階において、種々の生成物濃度の溶液が生じ得る。そのような溶液は、その溶液を、生成物濃度が上昇する順にある順次的ナノ濾過工程に供給するナノ濾過によりさらに処理することができる。
【0093】
本発明では、上述の本発明の方法の結果、主にパントテン酸の多価塩が、ナノ濾過の濃縮液中で濃縮される。透過液溶液中では、主に一価イオンが濃縮され、陰イオン官能性ナノ濾過膜を用いる場合は、一価陽イオンが濃縮される。濃縮液中の一価陽イオン、好ましくはアンモニウムイオン、カリウムイオンおよび/またはナトリウムイオンの含有量をこの場合濃度≦5 g/kg溶液に下げることができる。
【0094】
本発明ではナノ濾過の透過液またはその一部を、本発明の方法の工程a)の発酵に再循環することができる。この透過液またはその一部の再循環は連続的に行うことができる。ナノ濾過に加えて行なわれる上述の工程段階は、多価塩の形態にあるD-パントテン酸塩の予備濃縮またはさらなる濃縮に役立つ。
【0095】
本発明で用いるナノ濾過のさらなる優位点は、一価陽イオン(濃縮液側溶液中)の低減が、濃縮液側の容量低減と同時に達成され得ることである。従ってD-パントテン酸塩含有の発酵溶液のナノ濾過による後処理は、本発明ではD-パントテン酸塩を製造するためのイオン交換および濃縮工程として用いることができる。
【0096】
これは有利なことには、そのあとの工程段階の簡略化、そして同時に高効率化につながる。例えば、乾燥におけるエネルギー消費を濃度の点から大幅に減らすことができる。
【0097】
本発明の1つの好ましい実施形態では、発酵溶液から細胞塊が、遠心分離および/またはデカンテーションおよび/または限外濾過により除去される。0.05〜50 mol(Ca2+)イオン/molパントテン酸イオン、好ましくは0.2〜2 mol Ca2+イオン/molパントテン酸イオンを加えたあと(これらは、好ましくは0.01〜10 mol Ca2+/Lの希薄溶液の形態で投入される)、得られた溶液をナノ濾過モジュール中に導入する。この時の膜差圧は、約5〜100 bar、好ましくは約20〜80 bar、特に好ましくは40〜70 barの範囲内にする。この場合ナノ濾過の前またはその際に、Ca2+イオン含有水溶液を、膜を横切って流れる溶液にそのフィード側で加えることができる。濃縮液は、出発溶液の30〜200%の容量にする。そして、存在する一価陽イオンの約5〜99%、好ましくは30〜80%が除去される。
【0098】
好ましくはD-パントテン酸カルシウム、D-パントテン酸マグネシウムまたはそれらの混合物を含有している濃縮液を次に乾燥および/または剤形化する。D-パントテン酸カルシウムおよび/またはマグネシウムを含有している溶液の乾燥および/または剤形化は、それ自体公知の方法、例えばスプレー乾燥、スプレー顆粒化、流動層乾燥、流動層顆粒化、ドラム乾燥あるいは遠心脱水フラッシュ乾燥((Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, 6th edition, 1999、電子出版、“Drying of Solid Materials”の章)により行なわれる。対流乾燥におけるガス入口温度は100〜280℃、好ましくは120〜210℃の範囲内である。ガス出口温度は50〜180℃、好ましくは60〜150℃である。望ましい粒子径分布、またそれと関係する製品特性を得るためには、微細粒子を分離して再循環させることもできる。加えて、粒の粗い材料は粉砕機で粉砕して同様にそのあと再循環させることもできる。
【0099】
本発明の方法は、不要の陽イオンが効率的にまた実質的に完全に除去され、そして同時に、そのあとの工程段階、特に乾燥工程および/または剤形化工程を簡略化またはより効率化する容量低減がなされるという特徴を有する。加えて、高い製品収率と同時に、生成物の分解が起らないか、起っても極めて低い生成物分解だけである。多価陽イオンの塩溶液を、発酵の間に、またはその終点で、あるいは限外濾過もしくは透析濾過の間に、またはその終点で、あるいはナノ濾過工程の間に供給することにより、および/または透過液を発酵溶液に再循環することにより、多価イオン、好ましくは二価イオン、例えばカルシウムイオンまたはマグネシウムイオンの形態にあるD-パントテン酸塩の収率がさらに上がる。
【0100】
加えて上述の方法においては、本発明により複雑な後処理工程が減るのが特徴であり、特に有機溶媒を使用することが省かれると同時に優れた生物学的価値を有する目的製品が得られる。加えて本発明では、発生する廃水の量が相当減る。従ってこれは、複雑な処理プラントおよび廃棄プラントのさらなる節約につながる。このように本発明の方法は、従来の方法に比べて、より簡単であること、誤りをより起しにくいこと、時間がよりかからないこと、際立ってより安価であること従ってより経済的であることを有利な特徴としている。
【0101】
しかしながらこれは、本発明の方法を変えることができるということを排除するものではない。これまでに記載した本発明の方法は、当業者にはよく知られている以下の工程段階の1つ以上を補充することができる。この場合、以下の工程段階とこれまでに教示した工程段階との考えられ得る全ての組み合せは本発明に包含される。
【0102】
例えば、本発明の方法で得られた溶液は、例えば加熱(滅菌)あるいは例えばパスツール式低温滅菌または滅菌濾過などの他の方法により殺菌することができる。
【0103】
本発明のさらなる実施形態では、濃縮液の乾燥および/または剤形化の前に、溶菌および/またはバイオマスの滅菌および/または発酵溶液からのバイオマスの除去および/またはさらなる添加物の添加および/または発酵溶液の濃縮(好ましくは水の除去による)等の工程の少なくとも1つ、またはそれらを組み合せたものを行うことができる。
【0104】
従って本発明はまた、溶菌および/またはバイオマスの滅菌を、まだ発酵溶液中に在るうちに、あるいはバイオマスが発酵溶液から分離される前に行う方法にも関する。これは、例えば温度処理により(好ましくは80〜200℃)、および/または酸処理により(好ましくは硫酸または塩酸により)、および/または酵素的に(好ましくはリゾチームで)行うことができる。
存在する細胞塊をナノ濾過により直接分離すること、すなわち多価陽イオンと一価陽イオンの交換と同時に分離することも考えられる。
【0105】
ナノ濾過による後処理で得られる溶液は、乾燥および/または剤形化する前に、適当な蒸発器、例えば流下膜式蒸発器、薄膜型蒸発器あるいはロータリーエバポレータにより濃縮することができる。そのような蒸発器は、例えば、GIG社(4800 Attnang Puchheim, Austria)、GEA Canzier社(52303 Deuren, Germany)、Diessel社(31103 Hildesheim, Germany)、Pitton(35274 Kirchhain, Germany)等の会社が製作している。
【0106】
最終製品の色調を良くするには、本方法で得られる溶液に少量の活性炭を加え、そして得られる懸濁液をそのあと濾過するさらなる濾過工程を実施することでできる。あるいは、発酵で得られる溶液を、小型の活性炭ベッドの中に通すこともできる。これに必要とされる、使用される活性炭の量は、溶液の数重量%の範囲内であり、当業者の知識と経験の範囲内のものである。
【0107】
これらの濾過操作は、濾過操作の前にそれぞれの溶液に市販の通常の凝集助剤(例えばBASF AG(Ludwigshafen)のSedipur CF 902あるいはSedipur CL 930)を加えることにより簡易化することができる。
【0108】
本発明の1つの有利な実施形態では、発酵産物(発酵ブロス)を加熱により滅菌し、そしてそのあと細胞塊を、遠心分離、濾過あるいはデカンテーションにより分離する。この発酵産物を基準にして市販の通常の凝集助剤50〜1000 mg/kg、好ましくは100〜200 mg/kgを加えた後、得られる懸濁液を活性炭と砂の短いベッドを通過させて濾過することにより高D-パントテン酸含有量の、バイオマス無しの溶液を得る。この処理された溶液を次にナノ濾過により処理する。
【0109】
次に行うこの溶液の乾燥は、例えばスプレー乾燥により行うことができる。これは並流で、向流であるいは混成流で行うことができる。噴霧化(atomization)には、いずれの公知の噴霧器(atomizer)も用いることができ、特に一流体型噴霧ノズルまたは二流体型噴霧ノズルの遠心噴霧器(アトマイザーディスク)がよい。好ましい乾燥温度条件は、塔入口温度を150〜250℃、塔出口温度を70〜130℃とする。しかしながら、乾燥をもっと高い温度レベルで、あるいはもっと低い温度レベルで行うこともできる。非常に低い残留水分率を達成するには、流動床の下流にさらなる乾燥工程を設けることができる。
【0110】
このスプレー乾燥は、スプレー乾燥器と流動床を組み合せたものであり、Niro社(Copenhagen, Denmark)およびAPV-Anhydro社(Copenhagen, Denmark)で製作されているFSD乾燥機またはSBD乾燥機(FSD: fluidized spray dryer[流動スプレー乾燥機]; SBD: spray bed dryer[スプレー床式乾燥機])で行うこともできる。
【0111】
このスプレー乾燥においては流動化助剤を加えることができる。これにより、特に微細粉末の場合、乾燥機壁への付着を減らすことができまた流動特性を良くすることができる。使用できる流動化助剤は、なかでもケイ酸塩、ステアリン酸塩、リン酸塩、コーンスターチである。
【0112】
原理的には乾燥はスプレー流動床でも行うことができ、この場合これは連続式のみならず回分式にも運転することができる。溶液を上部から(上部スプレー)、また底部から(底部スプレー)のみならず、側部から(側部スプレー)もスプレーすることができる。
【0113】
本発明はさらに動物飼料添加物および/または動物飼料サプリメントとして使用される組成物にも関し、それは以下の工程によって調製され得る:
a)パントテン酸(pan)および/またはイソロイシン/バリン(ilv)の生合成が調節解除されていて且つ培養培地中での発酵により少なくとも2 g/LのD-パントテン酸の塩を生成する少なくとも1種のD-パントテン酸産生生物を用い、該培養培地に遊離β-アラニンおよび/またはβ-アラニン塩0〜20 g/L、好ましくは0 g/Lを供給する工程、
b)生成したD-パントテン酸塩に、多価陽イオン含有の塩を供給してD-パントテン酸の多価塩を生成させる工程、
c)前記D-パントテン酸の多価塩を含有している溶液をナノ濾過により処理し、該D-パントテン酸の多価塩を濃縮する工程、および
d)前記D-パントテン酸の多価塩を含有しているナノ濾過濃縮液を乾燥および/または剤形化する工程。
【0114】
本発明の1つの実施形態では、工程c)のナノ濾過の前に、溶液中に沈殿した細胞塊または成分の除去を、好ましくは膜濾過により、特に好ましくは限外濾過により、そして中でも特に好ましくは透析濾過により行うことで調製することができる組成物が含まれる。本発明はさらに、溶液中に沈殿した細胞塊または成分を除去する間に、またはその後で、多価陽イオン含有の塩(固形物形態でもしくは水溶液として)を供給することにより調製することができる組成物に関する。本発明ではこれらの塩は、さらなる実施形態において、ナノ濾過の間に供給することもできる。
【0115】
本発明では本組成物は、それがD-パントテン酸の塩を少なくとも1-100重量%、好ましくは少なくとも20-100重量%、そして特に好ましくは少なくとも50重量%の濃度で含んでいることを特徴としている。本発明は、二価陽イオンの形態、好ましくはD-パントテン酸カルシウムおよび/またはD-パントテン酸マグネシウムの形態でD-パントテン酸の塩を含んでいる組成物に関する。本発明では、一価陽イオンの形態でのD-パントテン酸の塩の含有量が≦5 g/kgであることを特徴としている組成物が好ましい。
【0116】
本発明では上述の方法により、食品添加物の要求事項を満足するD-パントテン酸カルシウムまたはD-パントテン酸マグネシウムが得られる。これらの要求事項は、例えば、D-パントテン酸塩の比較的高い含有量およびその標的生物に対する高い適合性ならびに、本発明製品の「ビタミン活性」の意味においての生物学的価値である。
【実施例】
【0117】
以下の実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
実施例1
撹拌機と14 L容量のガス導入装置を有する実験室発酵槽中に、以下の組成の水性発酵培地を投入した。
【表1】
Figure 2004524028
滅菌のあと、以下の滅菌培地成分をさらに加えた。
【表2】
Figure 2004524028
表中の微量塩溶液は次のような組成を有していた:Na2MoO4・2H2O 0.15 g、H3BO3 2.5 g、CoCl2・6H2O 0.7 g、CuSO4・5H2O 0.25 g、MnCl2・4H2O 1.6 g、ZnSO4・7H2O 0.3 gを水で合計1 Lとした。この微量塩溶液は滅菌濾過を経て加えた。初期液体容量を5 Lとした。上記で設定された含有量はこの値に基づく。
【0118】
この溶液に、Bacillus subtilis PA668の接種培養菌(OD = 10)100 mLを加え、そしてこの接種培養液を、ガス流量12 L/分で激しく撹拌しながら43℃で発酵させた。この菌株は米国特許出願番号第60/262,995に記載されている。
【0119】
47時間で、滅菌水溶液2.1 Lを加えた。その組成は以下のとおりであった。
【表3】
Figure 2004524028
発酵中はpHを25%濃度のアンモニア溶液または20%濃度のリン酸を加えることにより7.2に保った。アンモニアは本発酵に対しては同時に窒素源として役立たせる。撹拌羽根の回転スピードを制御して溶解酸素含有量をその飽和値の30%に保った。炭素源の添加を停止した後、発酵を、溶解酸素含有量(pO2)がその飽和値の95%の値に到達するまで続けた。48時間後の停止時におけるD-パントテン酸塩濃度は22.8 g/Lであった。
【0120】
同様にして、β-アラニン供給無しのパントテン酸力価が20よりも大きい、25よりも大きい、30よりも大きい、35よりも大きい、40よりも大きい、45よりも大きい、50よりも大きい、55よりも大きい、60よりも大きい、65よりも大きい、70よりも大きい、75よりも大きい、80よりも大きい、85よりも大きい、そして90 g/Lよりも大きい発酵ブロスを製造することもできる。
【0121】
実施例2
実施例1で製造された発酵産物7000mLを、セラミック1チャンネル管型モジュール(Atech社、Gladbeck, Germany)を用いて超遠心分離を行った。この場合最初に20 kD(10 nm)の孔幅を有する膜、そして次に50 nmの孔幅を有する膜を用いた。
【0122】
実験中の温度は40℃であり、オーバーフロー速度は4 m/秒であり、そして膜差圧(TMP = [p(フィード) + p(濃縮液)]/2 - p(透過液))は、特に断らない限り1 barであった。
【0123】
図1に膜通過フラックス(透過液フラックス)を、濃縮係数MK(MK(t) = mフィード/m濃縮液 (t))の関数としてプロットする。
【0124】
この図より、小さい孔幅(20 kD)の膜が、大きい孔幅(50 nm)の膜に比べて、明らかに高いフラックスを有していることが分かる。
【0125】
実施例3
実施例1で製造された発酵産物7000 mLを実施例2と同様に限外濾過を行い、この場合用いた膜は孔幅20 kDであった。
【0126】
図2には、既に遠心分離が行なわれた発酵産物を用いての濃縮は、実施例2よりも明らかに高いことが示されている。
【0127】
実施例4
パントテン酸カルシウム含有水溶液1000 mL(表3の濃縮液フィードの列参照)を、最大処理容量約1.5 Lの撹拌機付き圧力セルの中に入れた。「フィード」圧は、このセル中で窒素加圧によりかけ、膜オーバーフローは、電磁結合により駆動される錨型撹拌羽根を用いての撹拌により行った。
【0128】
Moersに在るOsmonics Deutschland GmbHから入手したナノ濾過膜DESAL 5 DKを用いた。
【0129】
膜の完全性を試験するため、上述の溶液を用いての実験の前、またその間そしてその後、MgSO4 溶液(2000 重量ppm)を用いての排除試験を行った。
【0130】
不透過率を、表3の右側2つの列に掲載する。この場合不透過率は次のように定義される:Ri = 1 - ci, 透過液/ci, 濃縮液;式中 Ri = 成分iの不透過率、ci, 透過液 = 透過液中の成分iの濃度、ci, 濃縮液 = 濃縮液中の成分iの濃度。
【0131】
上記濃度は、上記非定常状態実験で、定められた時点において瞬間的に達成される濃度を意味し、上記実験の終了のあと得られる分離液の濃度ではない。不透過率Ri は、理想的な場合においては濃度に依存するものではなく、これは、上記分離液中の濃度からその報告値を計算するときのベースとしても用いた。
表3から、Ca2+ およびパントテン酸塩はそれぞれ84 %および99 %の不透過率である、すなわちそのような濃度で濃縮液中に存在していることが分かる。
【0132】
実施例5
パントテン酸ナトリウムの水溶液(0.2 mol/L)の後処理において、実施例4と同様の条件下で、ナノ濾過による濃縮を行った。表4には、パントテン酸塩の不透過率は80 %であることが示されている。
【0133】
実施例6
実施例4と同様の条件下におけるNaCl/CaCl2 等モル溶液の濃縮が表5にまとめられている。この表から、Ca2+ に対する膜の不透過率41 %または42 %は、パントテン酸塩と組み合せたカルシウムの高い不透過率(実施例5)と比較して相対的に低いことが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】孔幅50 nmおよび20 kDの膜を用いた場合の、濃縮係数MKの関数としての、限外濾過の間における発酵産出物の膜通過フラックス(透過液フラックス)のグラフである。
【図2】孔幅20 kDの膜を用いた場合の、濃縮係数MKの関数としての、限外濾過の間における、遠心分離された発酵産出物の膜通過フラックス(透過液フラックス)のグラフである。
【図3】表1 溶液中に沈殿した細胞塊または成分を除去するための非対称構造型膜の概要である。
【図4】表2 溶液中に沈殿した細胞塊または成分を除去するための膜およびその特性の概要である。
【図5】表3 パントテン酸Ca 0.1 mol/kgおよびNaCl 0.2 mol/kgを含有する水溶液中の、特にカルシウムイオンおよびパントテン酸塩の不透過率に関する、ナノ濾過の分析値の概要である。
【図6】表4 パントテン酸Na 0.2 mol/LおよびCaCl2 0.1 mol/Lを含有する水溶液中の、特にカルシウムイオンおよびパントテン酸塩の不透過率に関する、ナノ濾過の分析値の概要である。
【図7】表5 等モル量のNaClおよびCaCl2 を含有する水溶液中の、特にカルシウムイオンの不透過率に関する、ナノ濾過の分析値の概要である。

Claims (26)

  1. D-パントテン酸および/またはその塩の製造方法であって、
    a)パントテン酸(pan)および/またはイソロイシン/バリン(ilv)の生合成が調節解除されていて且つ培養培地中での発酵により少なくとも2 g/LのD-パントテン酸の塩を生成する少なくとも1種のD-パントテン酸産生生物を用い、該培養培地に遊離β-アラニンおよび/またはβ-アラニン塩0〜20 g/Lを供給する工程、
    b)生成したD-パントテン酸塩に、多価陽イオン含有塩を供給してD-パントテン酸の多価塩を生成させる工程、
    c)前記D-パントテン酸の多価塩を含有している溶液をナノ濾過により処理し、該D-パントテン酸の多価塩を濃縮する工程、および
    d)前記D-パントテン酸の多価塩を含有しているナノ濾過濃縮液を乾燥および/または剤形化する工程、
    を有する上記製造方法。
  2. 前記培養培地に遊離のβ-アラニンおよび/またはβ-アラニンの塩を供給しない、請求項1に記載の方法。
  3. 前記用いるD-パントテン酸産生生物が細菌、酵母または真菌である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記用いる微生物がBacillaceae科の細菌である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. Bacillus属そして好ましくはB. subtils種、B. licheniformis種またはB. amyloliquefaciens種の細菌を用いる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 工程a)において少なくとも10 g/L培養培地、好ましくは少なくとも20 g/L、特に好ましくは少なくとも40 g/Lそして極めて好ましくは少なくとも60 g/L培養培地のD-パントテン酸および/またはその塩の含量を生成させる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記溶液中で沈殿した細胞塊もしくは成分を、工程c)のナノ濾過の前に分離する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記分離を、デカンテーションまたは膜濾過、好ましくは限外濾過により行う、請求項7に記載の方法。
  9. 前記膜濾過を透析濾過として行う、請求項7または8に記載の方法。
  10. 前記工程a)の発酵の間に、好ましくはその終点で、またはその後で、あるいはD-パントテン酸塩含有溶液の膜濾過の間に、またはその後で、多価陽イオン含有塩を、固形物もしくは水溶液で加える、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 多価陽イオン含有塩を、ナノ濾過の間に固形物もしくは水溶液で加える、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 多価陽イオンを含有している水溶液を連続的に供給する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記多価陽イオンを、カルシウムおよび/またはマグネシウムの塩化物、硝酸塩、水酸化物、蟻酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、グリシン酸塩および/または乳酸塩として加える、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記供給される多価陽イオンが、濃度0.05〜50 mol Ca2+/mol D-パントテン酸塩、好ましくは0.2〜2 mol Ca2+/mol D-パントテン酸塩のCa2+ である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記工程c)のナノ濾過において、5〜100 bar、好ましくは20〜80 bar、そして特に好ましくは40〜70 barの範囲の、膜をはさんでの差圧をかける、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記工程c)のナノ濾過により、一価陽イオン、好ましくはアンモニウムイオン、カリウムイオンおよび/またはナトリウムイオンの含有量を濃度≦5 g/kg溶液に下げる、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記工程c)の透過液もしくはその一部を、前記工程a)の発酵に再循環する、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 前記透過液もしくはその一部を連続的に再循環する、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 前記工程c)の濃縮液が、D-パントテン酸の多価塩を含有している懸濁液である、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 動物飼料添加物および/または動物飼料サプリメントとして使用される組成物であって、
    a)パントテン酸(pan)および/またはイソロイシン/バリン(ilv)の生合成が調節解除されていて且つ培養培地中での発酵により少なくとも2 g/LのD-パントテン酸の塩を生成する少なくとも1種のD-パントテン酸産生生物を用い、該培養培地に遊離β-アラニンおよび/またはβ-アラニン塩0〜20 g/L、好ましくは0 g/Lを供給する工程、
    b)生成したD-パントテン酸塩に多価陽イオン含有塩を供給し、D-パントテン酸の多価塩を生成させる工程、
    c)前記D-パントテン酸の多価塩を含有している溶液をナノ濾過により処理し、該D-パントテン酸の多価塩を濃縮する工程、および
    d)前記D-パントテン酸の多価塩を含有しているナノ濾過濃縮液を乾燥および/または剤形化する工程、
    によって製造することができる上記組成物。
  21. 工程c)の前に、前記溶液中で沈殿している細胞塊もしくは成分を、好ましくは膜濾過により、特に好ましくは限外濾過により、そしてなかでも特に好ましくは透析濾過により分離することによって製造することができる、請求項20に記載の組成物。
  22. 前記溶液中で沈殿した細胞塊もしくは成分の分離の間に、またはその後で、多価陽イオン含有塩を供給する、請求項20または21に記載の組成物。
  23. 前記ナノ濾過の前でもしくはその間に、多価陽イオン含有塩を供給する、請求項20〜22のいずれか1項に記載の組成物。
  24. D-パントテン酸の塩を、二価陽イオンの形態で、好ましくはD-パントテン酸カルシウムおよび/またはD-パントテン酸マグネシウムの形態で含有する、請求項20〜23のいずれか1項に記載の組成物。
  25. D-パントテン酸の塩を、1〜100重量%、好ましくは20〜100重量%、そして特に好ましくは少なくとも50重量%の濃度で含有する、請求項20〜24のいずれか1項に記載の組成物。
  26. 一価陽イオンの形態にあるD-パントテン酸の塩の含量が≦5 g/kgである、請求項20〜25のいずれか1項に記載の組成物。
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