JP2004508841A - D−パントテン酸及び/又はその塩を含む動物用飼料サプリメント、それの改良された製造方法及びそれの使用 - Google Patents
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Abstract
本発明は、遊離D−パントテン酸及び/又はその塩を含む動物用飼料サプリメント並びにそれの改良された製造方法に関する。また本発明は動物用飼料分野における本動物用飼料サプリメントの使用にも関する。
Description
【0001】
本発明はD−パントテン酸を含む動物用飼料サプリメント、その改良された製造方法及びその使用に関する。
【0002】
補酵素Aの生合成における出発原料として、D−パントテン酸は植物界、動物界にひろく行き渡っている。食物によって十分な量のパントテン酸を摂取する人間とは対照的に、D−パントテン酸の欠乏症状が植物に対しても動物に対してもしばしば記載されてきた。従ってD−パントテン酸のアベイラビリティーは特に動物用飼料産業の大きな経済的関心事である。
【0003】
通常、D−パントテン酸の製造はD−パントラクトンとβ−アラニン酸カルシウムの化学合成によって行われる(Ullman‘s Encyclopedia of Industrial Chemistry,6th edition,1999,electronic release、「ビタミン」の章)。D−パントラクトンの調製のためにはジアステレオマー塩を経る手数のかかる古典的なラセミ化合物の分解が必要である。化学合成から得られる市販製品はたいていD−パントテン酸のカルシウム塩即ちD−パントテン酸カルシウムである。
【0004】
化学合成に比して、微生物を用いたバイオテクノロジー的製造方法の利点は、高等生物にとって利用可能なパントテン酸のD体の選択的(鏡像異性体のない)調製にある。従って化学合成で必要な面倒なラセミ化合物分解は必要ない。
【0005】
微生物によるD−パントテン酸の発酵製造法がとりわけ欧州特許第0590857号、国際公開公報第96/33283号、米国特許第6,013,492号、国際公開公報第97/10340号、ドイツ国特許第19846499号、欧州特許第1001027号、欧州特許第1006189号、欧州特許第1006192号、欧州特許第1006193号から多数知られている。
【0006】
英国特許第598177号明細書はアエロバクター・アエロゲネスによる2,3−ブチレングリコールの調製の副生成物として千分の一程度の範囲のパントテン酸の生成を記載する。しかしながら、パントテン酸の濃縮は、木炭による吸着とその後の溶出によってのみ可能である。
【0007】
欧州特許第1006189号明細書は、発酵液中最大1g/lのD−パントテン酸含量が達成されるパントテン酸塩の製造方法を記載する。このように発酵液中の僅かなパントテン酸含量、即ち固形物含量基準で10重量%未満は、しかしながら、D−パントテン酸を含む動物用飼料サプリメントの商業的生産には不適切である。これまでに記載されたこの方法の更なる欠点は、発酵培地からの生成物の単離に多数の面倒な仕上げ処理段階が必要なことである。工業的規模の経済的製造法は未だ開示されていない。
【0008】
米国特許第6,013,492号明細書は、培地からの不溶の成分(例えば細胞物質)の濾別、その濾液の活性炭への吸着、その後の有機溶剤好ましくはメタノールによるD−パントテン酸の溶出、水酸化カルシウムによる中和、そして最後のD−パントテン酸カルシウムの結晶化による発酵液から得たD−パントテン酸の仕上げ処理を記載する。これらの面倒な仕上げ処理段階の大きな欠点は所望の生成物の更なるロスである。加えて、工業的規模で製造する場合は、使用した溶媒の回収に更なるシステムが必要と考えられる。もう一つの欠点は大量の廃水がさらに発生することであり、これはそれ自体費用のかかる処理又は廃棄さえも必要とする。
【0009】
D−パントテン酸を産生する微生物の発酵により製造される動物用飼料添加物の製造方法がドイツ国特許第10016321A1号により周知である。しかしながらこの方法は発酵の後にアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物又は酸化物を加えることが必要である。
【0010】
従って本発明の課題は遊離D−パントテン酸及び/又はその塩を含む動物用飼料サプリメント並びに前述の欠点をもはや持たない改善されたそれの製造方法を提供することである。
【0011】
この課題は本発明によって見事に解決される。
【0012】
本発明は、
a)D−パントテン酸を産生する生物を、少なくとも1つの炭素源及び1つの窒素源を含む培地で、他の前駆物質を補給することなく発酵させ、
b)D−パントテン酸及び/又はその塩を含む発酵液を、さらなる仕上げ処理段階を行うことなく乾燥及び/又は製品化にもっていく、
遊離D−パントテン酸及び/又はその塩を含む動物用飼料サプリメントの製造方法である。
【0013】
また本発明に係る方法は発酵を、少なくとも6重量%、好ましくは7−25重量%の固形物含量及び/又は少なくとも2−15重量%、好ましくは4−15重量%のD−パントテン酸含量に達するまで行うことを特徴とする。
【0014】
この目的のために発酵はそれ自体公知の回分式、補給回分式(fed−batch)又は反復補給回分式(repeated−fed−batch)操作或いは連続プロセスによる方法で行うことができる。本発明で固形物含量とは、特に乾燥したバイオマス、ミネラル及びD−パントテン酸及び/又はその塩を含めた乾燥された発酵液を意味する。固形物含量を測定するには、発酵液の試料を無菌状態で採取し、例えば真空乾燥棚で120℃で12時間乾燥する。
【0015】
先行技術に対する本発明方法の特別の利点は、所望のタイプの動物用飼料サプリメントに対する要求を満たす製品を得るためには、発酵液をさらなる手数のかかる仕上げ処理、例えば活性炭による吸着を行わなくてよいことである。上記の要求とは、例えばD−パントテン酸含量が比較的高いこと及び標的生物に対する許容性が良好であること並びに、化学的に合成されたD−パントテン酸の価値に対応する本発明の製品の「ビタミン効果」の意味での生物学的な価値である。
【0016】
動物用飼料用としてはD−パントテン酸はたいていの場合飼料配合物に組込まれるので、D−パントテン酸の純度はそれ自体、この場合重要なことではないとみなされるべきである。反対に、まさに上記の製造方法による製品がD−パントテン酸のほかに、例えば比較的高いタンパク質含量並びに適宜発酵中に培地中に分泌される(恐らくは必須)アミノ酸、ミネラル、ビタミン及びその他の成分のような、動物の健康に役立つその他の発酵液の構成成分を含んでいるということは、本発明製品のさらなる利点として認められるべきである。
【0017】
本発明方法のもう一つの利点は、優れた生物学的な価値を有する製品の製造のために発酵液の面倒な仕上げ処理段階が不要であることである。特に本発明の方法は、所望の物質が有機溶剤をまったく使わずに製造されるのが特徴である。さらに本発明によれば発生する廃水の量が大幅に低減される。その結果費用のかかる仕上げ処理及び廃棄システムもまた不要になる。こうして本発明の方法は、在来の方法に比べてより簡単であること、失敗しにくいこと、時間がかからないこと、明らかに安上がりであること、従って経済的であること等により見事に特徴づけられる。
【0018】
この場合「産生する」という用語は本発明では、生物が自己代謝需要に必要である以上の量のD−パントテン酸及び/又はその塩を合成することができるということを意味する。本発明の有利な実施形態では、D−パントテン酸及び/又はその塩の合成された量が細胞内部に存在しないで、理想的には生物から培地中に完全に放出される。この排出は公知のメカニズムにより能動的又は受動的に行わせることができる。
【0019】
本発明で使用されるD−パントテン酸産生生物は微生物である。これらには本発明では真菌、酵母菌及び/又は細菌が挙げられる。本発明によれば、例えばケカビのような真菌又は、例えばサッカロミセス又はデバロミセスそしてこの場合好ましくはSaccharomyces cerevisiaeのような酵母菌を使用することが好ましい。本発明ではコリネ型細菌科の細菌又はバシラス科の細菌を使用するのが有利である。本発明で好ましいとされるものの例としては、コルネバクテリウム、エシェリキア(大腸菌)、バシラス、アルトロバクター、ブレビバクテリウム、シュードモナス、サルモネラ、クレブシエラ、プロテウス、アシネトバクター又はリゾビウムの各属の細菌が挙げられる。この場合特に好ましいとされるものの例としては、コルネバクテリウム・グルタミクム、ブレビバクテリウム・ブレベ若しくはバシラス・スブチリス(枯草菌)、バシラス・リケニフォルミス、バシラス・アミロリクエファシエンス、バシラス・セレウス、バシラス・レンチモルブス、バシラス・レンツス、バシラス・ヒルムス、バシラス・パントテンチクス、バシラス・シルクランス、バシラス・コアグランス、バシラス・メガテリウム、バシラス・プミルス、バシラス・ツリンギエンシス、バシラス・ブレビス、バシラス・ステアロテルモヒラス並びに16sRNAにより特徴づけられる他の1類バシラス種、又はアクチヌム・ミケタリスが挙げられる。以上の列挙は説明のためのものであり、決して本発明を限定するものでない。
【0020】
さらに本発明は、遊離D−パントテン酸及び/又はその塩を含む動物用飼料サプリメントの本発明に基づく製造のために遺伝子組み換え生物を使用することも包含する。このような遺伝子組み換え生物は例えば、化学的突然変異誘発とそのあとの適当な「スクリーニング法」による選択によって単離することができる。また本発明は、本発明の目的とする製品を製造するのに好適で、且つ、細胞膜を通してのD−パントテン酸及び/又はその塩の放出に関する組み換えも含めて、D−パントテン酸の方向への代謝フラックスに関して遺伝子組み換えを有するいわゆる生産者菌株も包含する。
【0021】
所望の製品の合成に必要な又はそれを促進する同種及び/又は異種ヌクレオチド配列の導入により得られる形質転換生物の使用も考えられる。この場合、単数又は複数の遺伝子が、ゲノム及び/又はベクターに局在して、単独及び/又は組合せで過剰発現及び/又は脱調節することが考えられる。このような形質転換生物は有利なことには、panB、panC、panD、panE並びに/或いはそれらの組合せ及び/又はpanBCDオペロンのような組織単位も含めた群から選択される追加のコピー及び/又は組み換え遺伝子を含み得る。更なる可能性は、例えば欧州特許第1006189号明細書、欧州特許第1006192号明細書、欧州特許第1006193号明細書又は欧州特許第1001027号明細書に記載されているように、例えばイソロイシン−バリン生合成経路のような生物の他の代謝経路を有利に操作することである。それによってパントテン酸生合成の分岐鎖前駆物質のアベイラビリティーが増大する。適切な場合は、この生合成経路のための遺伝子即ちilvB、ilvN、ilvC及び/又はilvDが過剰発現していることが有利である。
本発明にさらに含まれるのが、使用したD−パントテン酸産生生物での例えば過剰発現及び/又は脱調節によるアスパラギン酸−α−デカルボキシラーゼ(panD)の遺伝子組み換えである。つまり、有利なことには、例えば欧州特許第A−0590857号明細書に記載されているように、β−アラニンが、対応する非遺伝子的に操作された生物に比較してもっと高い濃度で細胞中にすでに存在し、従って前駆物質として培地に加える必要がない。パントテン酸(pan)及び/又はイソロイシン−バリン(ilv)生合成及び/又はアスパラギン酸−α−デカルボキシラーゼ(panD)が脱調節されている微生物が有利である。また微生物中のケトパントテン酸還元酵素(panE)の追加の過剰発現は更に有利である。
【0022】
さらに補酵素Aの合成に必要なcoaA遺伝子の活性が適宜低減されている、或いは(例えばバシラス種の場合)完全に消滅されていると更に有利である。これは、coaA以外に、バシラスがこの酵素機能の別の遺伝子(=coaX)を含むからである。このcoaX遺伝子又はその対応する酵素の活性は、coaAそれ自体が、低下していてもなお十分な酵素活性を有するかぎり、即ちcoaAの酵素活性が完全には失われていないかぎり、改変、好ましくは低減、或いは消去でさえすることもできる。上記様々な遺伝子の過剰発現以外に、これら遺伝子のプロモーター領域の遺伝子操作も、この操作が遺伝子産物の過剰発現をもたらす場合又有利である。
【0023】
本発明の1実施形態では、例えばPA668及び/又はその誘導体のような、付属書類(PCT/米国出願第0025993号)に記載されている細菌株が使用される。好ましい実施形態では、付属書類(PCT/米国出願第0025993号)に記載されている微生物、枯草菌PA377が本発明の方法において本発明に従って使用される。この枯草菌株PA377は次のようにして調製した。
【0024】
遺伝子型trpC2(Trp−)を有する枯草菌株168(Marburg株ATCC6051)から出発して、Trp+マーカー(枯草菌野生型W23から得たもの)の形質導入によりPY79株を作った。古典的な遺伝子工学的方法(例えばC.R.Harwood及びS.M.Cutting(編者),Molecular Biological Methods for Bacillus(1990)John Wiley & Sons,Ltd.,Chichester,En−glandに記載されているように)によりこのPY79株にΔpanB及びΔpanE1突然変異を導入した。その結果生じる株を枯草菌株PA221(遺伝子型P26panBCD,trpC2(Trp−))のゲノムDNA及び枯草菌株PA303(遺伝子型P26panE1)のゲノムDNAで形質転換した。その結果生じる株PA327は遺伝子型P26panBCD、P26panE1を有し、トリプトファン栄養素要求性突然変異体(Trp−)である。β−アラニン5g/l及びαケトイソ吉草酸塩5g/lを補充したSVY培地(Difco子牛肉浸出肉汁25g/l、Difco酵母菌抽出物5g/l、グルタミン酸ナトリウム5g/l、硫酸アンモニウム2.7g/l、水を補充して740mlとし、高圧加熱滅菌、続いて200mlのpH7.0の1Mリン酸カリウム、及び60mlの滅菌50%グルコース溶液を添加)による10mlの培養で、枯草菌株PA327により3.0g/l(24時間)に及ぶパントテン酸力価を得た。
【0025】
枯草菌株PA221(遺伝子型P26panBCD,trpC2(Trp−))の調製を次に説明する。大腸菌のpanBCDオペロンの配列情報(Merkelら、FEMS Microbiol.Lett.,143,1996:247−252参照)を利用して、古典的遺伝子工学的方法を使って、枯草菌GP275プラスミド・ライブラリーから出発してバシラスのpanBCDオペロンをクローニングした。このクローニングのためには、大腸菌株BM4062(birts)を使用し、またバシラス・オペロンがbirA遺伝子の近傍にあるという情報を利用した。panBCDを、大腸菌で複製可能なプラスミドに導入した。このオペロンの発現を改善するために、枯草菌ファージSP01(P26)の強力な構成プロモーターを使用し、panB遺伝子の前のリボソーム結合部位(=RBS)を人工RBSに置き換えた。バシラスの天然性panB遺伝子の直ぐ上流に位置するDNAフラグメントを、プラスミドのP26panBCDカセットの前に連結した。このプラスミドを枯草菌株RL−1(古典的突然変異誘発によって得られた枯草菌168(Marburg株ATCC6051)、遺伝子型trpC2(Trp−)の誘導体)に形質導入し、相同的組換えにより天然panBCDオペロンをP26panBCDオペロンに置き換えた。その結果生じる株はPA221と呼ばれ、遺伝子型P26panBCD,trpC2(Trp−)を有する。β−アラニン5g/l及びαケトイソ吉草酸塩5g/lを補充したSVY培地による10mlの培養で枯草菌株PA221により0.92g/l(24時間)に及ぶパントテン酸力価を得た。
【0026】
枯草菌株PA303(遺伝子型P26panE1)の調製を次に説明する。大腸菌panE遺伝子配列を利用してバシラスpanE配列を同様にクローニングした。枯草菌には、大腸菌のpanE遺伝子のpanE1及びpanE2と呼ばれる2つの相同体が存在することが判明した。欠失分析によってpanE1遺伝子はパントテン酸産生の90%を担うが、panE2遺伝子の欠失はパントテン酸産生に対して有意な影響がないことが明らかになった。この場合も、panBCDオペロンのクローニングと同様に、プロモーターを強力な構成プロモータP26に置き換え、panE1遺伝子の前のリボソーム結合部位を人工結合部位に置き換えた。枯草菌のゲノム中の原panE1座に組込むことができるように設計されたベクター中に、P26panE1フラグメントをクローニングした。形質転換と相同的組換えの後に生じる株はPA303と呼ばれ、遺伝子型P26panE1を有する。β−アラニン5g/l及びαケトイソ吉草酸塩5g/lを補充したSVY培地による10mlの培養で、枯草菌株PA303により1.66g/l(24時間)に及ぶパントテン酸力価を得た。
【0027】
P26ilvBNCオペロン及びスペクチノマイシンマーカー遺伝子を含むプラスミドでPA327を形質導入して更なる株の構築を行った。P26ilvBNCオペロンがamyE座に組込まれた。このことはPCRで検証された。1つの形質転換体はPA340(遺伝子型P26panBCD、P26panE1、P26ilvBNC、specR、trp(Trp−))と名づけられた。5g/lのβ−アラニンだけを補充したSVY培地による10mlの培養で枯草菌株PA340により3.6g/l(24時間)に及ぶパントテン酸力価を、またβ−アラニン5g/l及びαケトイソ吉草酸塩5g/lを補充したSVY培地による10mlの培養では4.1g/l(24時間)に及ぶパントテン酸力価を得た。
【0028】
またPA340株に脱調節ilvDカセットを導入した。そのために人工RBS2を有するP26プロモーターの制御下でilvD遺伝子を含むプラスミドをPA340に形質転換した。その際P26ilvD遺伝子が相同的組換えにより原ilvD座に組込まれた。その結果生じる株PA374は遺伝子型P26panBCD、P26panE1、P26ilvBNC、P26ilvD、specR及びtrpC2(Trp−)を有する。5g/lのβ−アラニンだけを補充したSVY培地による10mlの培養で枯草菌株PA374により2.99g/l(24時間)に及ぶパントテン酸力価を得た。
【0029】
PA374株によりβ−アラニン補給なしでパントテン酸を産生させるために、アスパラギン酸−α−デカルボキシラーゼをコードする遺伝子panDの追加のコピーをPA374株に導入した。そのために後述のPA401株の染色体DNAをPA374に形質導入した。テトラサイクリンで選択してPA377株を得た。その結果生じるPA377株は遺伝子型P26panBCD、P26panE1、P26ilvBNC、P26ilvD、specR、tetR及びtrpC2(Trp−)を有する。前駆物質の補給なしのSVY培地による10mlの培養で枯草菌株PA377により1.31g/l(24時間)に及ぶパントテン酸力価を得た。
【0030】
枯草菌株PA401(遺伝子型P26panD)の調製を次に説明する。枯草菌panD遺伝子をpanBCDオペロンから、テトラサイクリン・マーカー遺伝子をもつベクターにクローニングした。panD遺伝子の前にP26プロモーター及び上記の人工RBSをクローニングした。テトラサイクリン・マーカー遺伝子とP26panD遺伝子を含むフラグメントを制限消化により調製した。このフラグメントを再連結し、上記のPA221株に形質導入した。その際フラグメントがPA211株のゲノムに組込まれた。その結果生じるPA401株は遺伝子型P26panBCD、P26panD、tetR及びtrpC2(Trp−)を有する。αケトイソ吉草酸塩5g/lを補充したSVY培地の10mlの培養で枯草菌株PA401により0.3g/l(24時間)に及ぶパントテン酸力価を得た。Dパント酸5g/l及びLアスパラギン酸塩10g/lを補充したSVY培地による10mlの培養で2.2g/l(24時間)に及ぶパントテン酸力価を得た。株の詳しい構造は付属書類のPCT/米国出願第0025993号で明らかである。
【0031】
グルコース溶液を連続補給しつつある10リットル規模のSVY培地(Difco子牛肉浸出肉汁25g/l、Difco酵母菌抽出物5g/l、トリプトファン5g/l、グルタミン酸ナトリウム5g/l、(NH4)2SO42g/l、KH2PO410g/l、K2HPO420g/l、CaCl20.1g/l、MgSO41g/l、クエン酸ナトリウム1g/l、FeSO4×7H2O0.01g/l及び下記の組成の微量塩溶液1ml/l(0.15gNa2MoO4×2H2O、2.5gH3BO3、0.7gCoCl2×6H2O、0.25gCuSO4×5H2O、1.6gMnCl2×4H2O、0.3gZnSO4×7H2O、水を注ぎ足して1lとする))中での上記PA377株によるグルコース制限発酵により、36時間(48時間)で発酵原液中のパントテン酸濃度18−19g/l(22−25g/l)を得た。培地、菌株及び発酵法の改良によって発酵原液中のパントテン酸力価を40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、さらには90g/lを超えて高めることができる。
【0032】
本発明の重要な利点は、出発化合物として、少なくとも1つの炭素源及び窒素源のほかに他の前駆物質を含まない培地で発酵が行われることである。即ちD−パントテン酸の生合成が他の前駆物質の補給に依存しないのである。本発明によればこのような前駆物質とは、例えばβ−アラニン及び/又はL−アスパラギン酸塩及び/又はLバリン及び/又はαケトイソ吉草酸塩のような物質並びに/或いはこれらの組合せを意味する。
本発明の方法の好ましい実施形態ではD−パントテン酸産生生物の発酵が、前駆物質として少なくとも1つの炭素源及び1つの窒素源を含むが、β−アラニンは添加されない培地で行われる。多くの前駆物質はすこぶる高価であるから、前駆物質の補給に依存しないということは特に本発明方法の重要な経済的利点である。
【0033】
本発明に基づき上記の生物の発酵培地で使用するのに好適な炭素源の例は、例えばデンプン加水分解物(単糖、二糖、オリゴ糖)、好ましくはグルコース又はサッカロース、並びにビート又はサトウキビ糖蜜のような糖、タンパク質、タンパク質加水分解物、大豆粉、コーンスティープリカー(corn steep liquor)、脂肪、遊離脂肪酸、すでに行われた発酵から回収した細胞又はその加水分解物、及び酵母菌抽出物である。以上の列挙も本発明を限定するものではない。好適な窒素源の次の例、即ちアンモニア、硫酸アンモニウム、尿素、タンパク質、タンパク質加水分解物又は酵母菌抽出物も同様である。また発酵培地は無機塩及び/又はアミノ酸及びビタミンのような微量成分を含む。多数の好適な発酵培地の詳しい組成は知られており、当業者には入手可能である。
適当なD−パントテン酸産生生物を当業者に周知の細胞密度で発酵培地に接種した後、適切な場合は消泡剤を添加して生物の培養を行う。発酵終了時に発酵液の乾燥固形物含量が少なくとも6重量%、遊離D−パントテン酸含量が少なくとも2重量%、好ましくは少なくとも4重量%となるように発酵を行う。そのためには炭素源を補給しつつ回分式、補給回分式又は反復補給回分式操作で発酵を行う或いは連続的に操作することができる。発酵温度は10−70℃、好ましくは20−50℃である。発酵槽を酸素、空気又は窒素その他の不活性ガスとの混合物で曝気を行う。pH値は4−8、好ましくは5−7.5の範囲の値に調節し、適切な場合は適当な塩基及び/又は酸を計量投入して調節する。
【0034】
また本方法は好都合なことに全糖含量が発酵終了までに最小量までに低減させておくという点に特徴がある。というのは、さもなければこれがねばつきによって発酵液のその後の乾燥及び/又は製品化の妨げとなるからである。これは本発明では、炭素源が消費された後(回分式操作での培養の場合)、又は炭素供給(補給回分式又は反復補給回分式操作により行われるプロセスで)が停止された後、及び/又は炭素源濃度が実質的にゼロになるように調節された後(補給回分式、反復補給回分式又は連続的プロセス操作の場合)、発酵をさらにしばらく続行することによって達成される。これは本発明では炭素源(例えば糖溶液)の計量投入を停止した後溶解酸素濃度(pO2)が発酵液中の飽和値の少なくとも80%、好ましくは90%、特に好ましくは95%に達するまで発酵を続行することによって行われる。
【0035】
またさらなる仕上げ処理段階を行うことなく発酵液を乾燥及び/又は製品化にもっていくことが本発明の方法ではさらに必須である。即ち例えば活性炭上への吸着による精製のような、発酵液から得た所望のD−パントテン酸含有生成物を単離するための面倒な仕上げ処理段階は不要である。また発酵液からのバイオマスの除去も絶対に必要というものでもない。したがって、本発明の製品即ちD−パントテン酸含有動物用飼料サプリメントのタンパク質含量は50重量%に及ぶことがあり得る。
【0036】
発酵液の乾燥及び/又は製品化は元来公知の方法例えば噴霧乾燥、噴霧顆粒化、流動床乾燥、流動床顆粒化、ドラム乾燥又はスピンフラッシュ乾燥のような方法により行う。(Ullman‘s Encyclopedia of Industrial Chemistry,6th edition,1999,electron−ic release、「固体物質の乾燥」の章)。対流式乾燥のガス入口温度は100−280℃、好ましくは120−210℃の範囲である。ガス出口温度は50−180℃、好ましくは60−150℃である。所望の粒子径分布及びそれに関連する生成物の特質を調整するために、微細粒を除去してリサイクルすることが可能である。また粗大物質を粉砕機で粉砕して同様にそのあとリサイクルすることもできる。本発明の生成物は例えばベージュないしブラウンの色調を有する。また5重量%未満、好ましくは1−3重量%、特に好ましくは0.5−2重量%の残留含水量を含む。生成物の団塊化を回避するために、含水量は5重量%を超えてはならない。上記の方法の概略ブロックフロー図を図1にまとめた。
【0037】
上記の本発明の方法の1実施形態では発酵液の乾燥及び/又は製品化の前に、適切な場合は発酵液からバイオマスの除去が行われる。この除去はほぼ完全に又は部分的にだけ行うことができる。バイオマスの部分的な除去が好ましい。それによってタンパク質含有量を10重量%以下に引き下げることができる。バイオマスのほぼ完全な除去を達成するためには、例えば遠心分離によって水性液から固形物分を除去することができる。本発明の別の実施形態では乾燥最終製品を基準にしてタンパク質含有量を5重量%未満にさえ調整することも可能である。この除去したバイオマスは、種々の製造バッチからくる発酵液中のD−パントテン酸含有量にある許容範囲内で現われる当然の変動を補償するのに、都合よく用いることができる。例えば、複数の異なるバッチからバイオマスを除去した後、前に除去されたバイオマスを新たに加えることにより一定に保たれるパントテン酸及び/又はその塩の含量を有する製品を供給することが可能である。このことは再現性のある一定品質の製品を約束する。
【0038】
本発明方法の別の実施形態では、発酵液の乾燥及び/又は製品化の前及び、適切な場合は、バイオマスの除去の後に、D−パントテン酸及び/又はその塩を含む固形物含量を高めるために発酵液の濃縮を行うことができる。これは、例えば、コストの都合上、適切な場合は多段式プロセスで行うことができ、また製品を損なうことを避けるために大気圧以外にも真空中でも行うことができる、蒸発による水の除去によって行うことができる。もう一つの可能性は膜法を利用することである。この場合例えばなナノ濾過法及び/又は逆浸透のような方法を使用することができる。D−パントテン酸含有量20ないし50重量%まで濃縮することができる。その水は、適切な場合は、同時に発酵工程へリサイクルすることができる。それによって廃水発生量を減少することができるから、廃水処理費が大幅に引き下げられる利点がある。これを図2に概略図で示す。
【0039】
本発明の好ましい実施形態ではバイオマスの除去と残っている発酵液の濃縮、適切な場合は同時に水のリサイクルの組合せが行われる。ブロックフロー図による説明を図3に示す。この目的のためには、製品中の有価物質を一定量に調整するために、本発明の方法において発酵の終了後にバイオマス又はその一部を、例えばセパレ−ション、遠心分離、限外濾過、精密濾過又は深床濾過あるいはこれらの組合せによって除去することができる。こうして得たバイオマスを改めて再びデカンターによりさらに水分を除去することができる。デカンターからの透明流出液は次にセパレーターの入口へ戻される。細胞の分離によって製品中のD−パントテン酸含有量を高め、或いはその含有量を、発酵からの変動する含量も問題なく処理することができるように色々な部分が一緒に混ぜ合わせられている一定の値に調整することができる。その後発酵液をさらに濃縮することができる。遊離D−パントテン酸及び/又はその塩を基準とするその含量は20−95重量%、好ましくは30−90重量%である。得られる生成物が、60−80重量%、特に80重量%より多いという高い遊離D−パントテン酸及び/又はその塩の含有量を有しているのが特に好ましい。
【0040】
本発明の方法の別の実施形態では、発酵液の乾燥及び/又は製品化の前に下記の諸段階
1)バイオマスの細胞溶解及び/又は死滅及び/又は
2)発酵液からのバイオマスの除去及び/又は
3)更なる添加物の添加及び/又は
4)好ましくは水の除去による発酵液の濃縮及び適切な場合は同時に発酵工程へのその水のリサイクル及び/又は
5)段階1)ないし4)の組合せ
の少なくとも1つを行うことができる。
【0041】
従って、バイオマスの細胞溶解及び/又は死滅が、まだ発酵液に在る間に、又は発酵液からバイオマスを除去した後に初めて行われる方法も本発明の主題である。これは例えば好ましくは80−200℃での熱処理及び/又は、好ましくは硫酸又は塩酸による酸処理及び/又は、好ましくはリゾチームにより酵素的に行うことができる。説明のためのブロックフロー図を図4に示す。
【0042】
本発明の方法の別の実施形態では、D−パントテン酸の含量を一定に調整するために及び/又は製品の特性例えばダスト挙動、流動特性、含水容量及び貯蔵安定性を改善するために、濃縮の前及び/又は乾燥及び/又は製品化の前に更なる添加物及び/又はそれらの混合物を添加する手順が記載される。このような添加物及び/又はそれらの混合物の例は、糖、例えばラクトース又はマルトデキストリンをベースとするもの、穀物製品又は豆果製品、例えばトウモロコシ穂軸粉砕物、フスマ及び大豆ミールをベースとするもの、無機塩特にカルシウム、マグネシウム、ナトリウム、及びカリウム塩をベースとするもの、並びにD−パントテン酸又はその塩自体(化学的に又は発酵により調製されたD−パントテン酸塩)である。添加は乾燥の前及び/又は顆粒化又は製品化段階自体の間に行うことができる。これを図5に要約して示す。
【0043】
本発明の別の実施形態では、本発明の方法のなるべく遅い段階、即ち好ましくは発酵液の仕上げ処理の前及び/又は間に、即ち発酵液の濃縮及び/又は乾燥及び/又は製品化の前及び/又は間に(図5を参照)カルシウム塩を添加することによって、D−パントテン酸カルシウムが調製される。この場合製品化した最終製品中にD−パントテン酸2モルにつき約1モルのカルシウム塩が含まれるように、カルシウム塩の添加によりカルシウムイオンの含量を調整する。その際発酵液中にすでに含まれているカルシウムイオンの含量を考慮することが可能でありそうするのが有利である。カルシウム塩としては例えば酸化カルシウム、水酸化カルシウム、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム及び/又はその他のカルシウム塩を使用することができる。
【0044】
従って本発明はまた調合製品中のD−パントテン酸の含有量基準で1モルのカルシウムイオンがD−パントテン酸2モルにつきカルシウム塩の形態で添加物として濃縮,乾燥及び/又は製品化の前に加えられる方法にも関する。
【0045】
本発明の方法の別の実施形態における更なる可能性は、発酵培地の組成及び、この場合特に特定のカチオンを有する無機塩の選択により、D−パントテン酸の選択された塩を多量に含む生成物を製造することである。例えば、リン酸一水素二カリウム/リン酸二水素カリウム緩衝液を使用することによって、発酵中でもD−パントテン酸カリウムを十分に含む製品を製造することができる。考えられる塩は例えばD−パントテン酸のカルシウム、カリウム、マグネシウム、ナトリウム又はアンモニウム塩又はそれらの混合物である。ブロックフロー図を図6に示す。
【0046】
本発明では上記のすべての実施形態及び図1ないし6に示した手順を自由に組み合わせることができる。
【0047】
また本発明はさらに、少なくとも、乾燥物質基準で、少なくとも30−95重量%の遊離D−パントテン酸及び/又はその塩、0.1−15重量%の全糖分及び5ないし50重量%未満のタンパク質含量を含む、少なくとも1つのD−パントテン酸産生生物の発酵によって得られる発酵液をベースとする上記の方法の1つにより製造された動物用飼料サプリメントに関する。
【0048】
本発明に係る動物用飼料サプリメントは、50−95重量%、好ましくは70−95重量%、特に好ましくは60−80重量%そして特に80重量%より多くの遊離D−パントテン酸及び/又はその塩を含むのが特徴である。
【0049】
本発明によれば本発明の動物用飼料サプリメントのベースとしての処理前の発酵液は少なくとも10g/l、好ましくは少なくとも20g/lそして特に好ましくは少なくとも40g/lのD−パントテン酸及び/又はその塩を含む。
【0050】
また本発明の動物用飼料サプリメントはD−パントテン酸のカルシウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩及び/又はアンモニウム塩並びに/或いはそれらの混合物をさらに含み得る。
【0051】
本発明の動物用飼料サプリメントの特定の実施形態は少なくとも下記成分を有する乾燥物質組成を特徴とする。即ち
a)遊離D−パントテン酸及び/又はその塩 少なくとも30−95重量%
b)タンパク質 最大50重量%
c)全糖 最大15重量%
d)ミネラル 最大20重量%
【0052】
本発明によれば動物用飼料サプリメントは上限として最大50重量%、下限として10重量%未満、好ましくは7重量%未満、特に好ましくは5重量%未満のタンパク質含量を含む。動物用飼料サプリメントの全糖分は最大約15重量%であり、下限としては約0.1重量%未満であり、すべての中間段階が考えられる。含水量については、本発明のD−パントテン酸含有製品は5重量%未満、好ましくは1−3重量%そして特に好ましくは0.5−2重量%の残留含水量を特徴とする。
【0053】
また本発明は、D−パントテン酸産生生物の非活性量、活性量及び/又は増殖可能量を含む動物用飼料サプリメントに関する。これらは、微生物、好ましくは真菌、酵母菌及び/又は細菌であることが好ましい。本発明の動物用飼料サプリメントはケカビ属の真菌、サッカロミセス属の酵母菌及び/又は腸内細菌科例えば大腸菌、サルモネラ例えばサルモネラ科・チフィムリウム、プロテウス・ブルガリス、シュードモナス科例えばシュードモナス科・マルトフィリア、バシラス科例えば枯草菌又はバシラス・セレウス、コリネ型細菌科の細菌例えばコリネバクテリウム・グルタミクム又はブレビバクテリウム・ブレベ及び/又はアクチヌム・ミケタリス並びに/或いはこれらの混合物の非活性量、活性量及び/又は増殖可能量を含むことが特に好ましい。特に好ましいのはバシラス属そしてこの場合枯草菌種の細菌である。本発明は、動物用飼料サプリメントの製造に好適な遺伝子組み換え及び/又は形質転換生物及び/又は生産株も同じく包含する。但し上記の列挙は本発明を限定するものではない。
【0054】
また本発明は、好ましくは糖及び/又は穀類及び/又は豆果及び/又は無機塩及び/又は(別製の化学的及び/又は発酵的に製造された)D−パントテン酸及び/又はその塩並びに/或いはこれらの混合物をベースとする更なる添加物を含む動物用飼料サプリメントを包含する。
【0055】
また本発明に係る動物用飼料サプリメントは、見掛け密度0.35ないし0.7kg/l、好ましくは0.4ないし0.6kg/lの製品の形態にあることを特徴とする。本発明ではそれは10−2000μm、好ましくは20−1500μm、特に好ましくは25−1000μm、最も好ましくは30−800μmの範囲の平均粒径を有する。それはベージュないしブラウンの色を有する。本発明の動物用飼料サプリメントは、コーティングが施された(「コーティングつき」)粉末、顆粒、ペレット並びに/或いはこれらの組合せの形態にあり得る。例えば配合物をコーティングすることによる本発明の動物用飼料サプリメントの製品化は、例えば、製品の特性例えばダスト挙動、流動性、含水容量及び貯蔵安定性等の改善に役立つ。
【0056】
また本発明は前記の特性を有する動物用飼料サプリメントの、動物用飼料及び/又は動物用飼料サプリメントの添加物としての使用に関する。
【0057】
下記の例は本発明を説明するためのものであり、限定するものではない。
【0058】
実施例1:枯草菌によるD−パントテン酸含有発酵液の調製
攪拌器とガス導入装置を有する14リットル容量の実験用発酵槽に下記の組成の水性発酵培地を仕込んだ;
酵母菌抽出物 20g/l
トリプトファン 5g/l
硫酸アンモニウム 2g/l
グルタミン酸ナトリウム 5g/l
【0059】
滅菌の後、下記の培地成分をさらに加えた。
KH2PO4 10g/l
K2HPO4×3H2O 20g/l
グルコース 10g/l
MgCl2×6H2O 1g/l
CaCl2×2H2O 0.1g/l
クエン酸ナトリウム 1g/l
FeSO4×7H2O 0.01g/l
微量塩溶液 6ml/l
【0060】
微量塩溶液の組成は次の通りである:
0.15gNa2MoO4×2H2O、2.5gH3BO3、0.7gCoCl2×6H2O、0.25gCuSO4×5H2O、1.6gMnCl2×4H2O、0.3gZnSO4×7H2Oに水を注ぎ足して1リットルとする。微量塩溶液の添加は無菌濾過を経て行う。初期液量は6リットルである。上記の含量はこの値を基準にしたものである。
【0061】
この溶液に枯草菌PA377の接種培地(OD600=9.5)60mlを加え、37℃、200rpmで12リット毎分の曝気速度で発酵させる。この菌株はPCT/米国出願第0025993号の添付書類に記載されている。
【0062】
72時間かけて4.5リットルの無菌の水溶液を計量投入した。組成は次のとおりであった:
グルコース 400g/l
CaCl22×H2O 0.4g/l
酵母菌抽出物 25g/l
【0063】
発酵中に発酵槽流入空気中にアンモニアを計量投入するか又はリン酸を計量投入することによってpH値を7.2に保った。アンモニアは同時に発酵の窒素源として利用される。攪拌装置の回転数を制御して溶解酸素含量を飽和値の30%に維持した。炭素源の計量投入を停止した後、溶解酸素含量(pO2)が飽和値の95%の値に達するまで発酵を続けた。その上で発酵を停止し、生物を熱的に死滅させた。そのためには発酵液を100℃に1時間保った。プレートアウトにより死滅を検証した。72時間後に停止した時のD−パントテン酸の濃度は28g/lであった。また、β−アラニンの補給なしで20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85及び90g/lより多いパントテン酸力価を有する発酵原液も同様に調製することもできる。
【0064】
この発酵においては、D−パントテン酸のカリウム塩即ちD−パントテン酸カリウムが十分に得られるように、リン酸水素二カリウム/リン酸二水素カリウムを発酵に使用することによってD−パントテン酸の対イオンを調製した。
【0065】
実施例2:大腸菌によるD−パントテン酸含有発酵液の細胞分離及び乾燥
D−パントテン酸含有発酵液の調製を米国特許第6,013,492号明細書の実施例1に従って大腸菌IFO814/pFV31で行う。それに続いて、炭素源が完全に消費されるまで溶解酸素含量(pO2)が80%を超えて上昇するまで発酵にガスをさらに供給する。続いて細胞をセパレーターで除去する。ここでD−パントテン酸含量は38.5g/lである。真空(<100mbar)下で回転蒸発器により固形物含量約45重量%まで蒸発した後、濃縮液を下記の条件で実験用噴霧乾燥装置で乾燥する:
ガス入口温度 100−250℃
ガス出口温度 60−150℃
【0066】
平均粒径20−300μmの自由流動性生成物が得られる。
【0067】
実施例3:バイオマスの除去が付加された、枯草菌から得たD−パントテン酸含有発酵液の乾燥
実施例1の発酵液(1リットル)を下記の条件で実験用噴霧乾燥装置で乾燥する;
ガス入口温度 100−250℃
ガス出口温度 60−150℃
【0068】
平均粒径20−300μmの自由流動性生成物が得られる。
【0069】
実施例4:添加物としてラクトースを含むD−パントテン酸含有発酵液の細胞除去及び乾燥
実施例1の発酵液(1リットル)のバイオマスを遠心分離機で遠心分離する。30gのラクトースを上澄みに混合し、実験用噴霧乾燥装置で下記の条件で乾燥する:
ガス入口温度 100−250℃
ガス出口温度 60−150℃
【0070】
粒径40−500μm、遊離D−パントテン酸含量>30重量%の自由流動性生成物が得られる。
【0071】
実施例5:例えば最終製品中のD−パントテン酸の固定濃度を調整するための、添加物として化学的に調製されたD−パントテン酸カルシウムを含むD−パントテン酸含有発酵液の乾燥
実施例1の発酵液(1リットル)のバイオマスを遠心分離機で遠心分離する。化学的に調製されたD−パントテン酸カルシウム100gを上澄みに混合し、実験室用噴霧乾燥装置で下記の条件で乾燥する:
ガス入口温度 100−250℃
ガス出口温度 60−150℃
【0072】
粒径40−500μm、遊離D−パントテン酸含量>60重量%の自由流動性生成物が得られる。
【0073】
実施例6:発酵液から得たD−パントテン酸の製品中のカルシウム含量の調整
D−パントテン酸含有発酵液はバイオマスの除去の後に固形物含量95g/l、その内70g/lはD−パントテン酸、25g/lは他の固形物(発酵培地によって決まる塩、バイオマスの残り、その他の固体成分。カルシウムイオンなし)を含む。
【0074】
次に各種のカルシウム塩を加えた際に調合製品中に生じるD−パントテン酸含量を以下に示す。その場合、D−パントテン酸2モルにつき1モルのカルシウムイオンが含まれるように、カルシウム含量を調整した。
【0075】
添加したカルシウム塩 調合製品中のD−パントテン酸含量
(D−パントテン酸2モルにつき1モル) (重量%)
添加せず 74
Ca(OH)2 66
CaO 67
CaSO4 57
CaHPO4 60
CaCO3 63
Ca(Cl)2 62
【図面の簡単な説明】
【図1】発酵液の乾燥及び/又は製品化によるD−パントテン酸塩の製造方法のブロックフロー図である。
【図2】追加の濃縮段階及び除去された水の発酵へのリサイクルを伴う、発酵液の乾燥及び/又は製品化によるD−パントテン酸塩の製造方法のブロックフロー図である。
【図3】細胞除去を伴う発酵液の乾燥及び/又は製品化によるD−パントテン酸塩の製造方法のブロックフロー図である。
【図4】発酵の後(A)及び/又は細胞除去の後(B)に細胞の溶解及び/又は生物の死滅を行うD−パントテン酸塩の製造方法のブロックフロー図である。
【図5】乾燥の前に添加物を加えるD−パントテン酸塩の製造方法のブロックフロー図である。
【図6】発酵培地中に使用する塩の選択により所望のカチオンが得られる、D−パントテン酸塩の製造方法のブロックフロー図である。
本発明はD−パントテン酸を含む動物用飼料サプリメント、その改良された製造方法及びその使用に関する。
【0002】
補酵素Aの生合成における出発原料として、D−パントテン酸は植物界、動物界にひろく行き渡っている。食物によって十分な量のパントテン酸を摂取する人間とは対照的に、D−パントテン酸の欠乏症状が植物に対しても動物に対してもしばしば記載されてきた。従ってD−パントテン酸のアベイラビリティーは特に動物用飼料産業の大きな経済的関心事である。
【0003】
通常、D−パントテン酸の製造はD−パントラクトンとβ−アラニン酸カルシウムの化学合成によって行われる(Ullman‘s Encyclopedia of Industrial Chemistry,6th edition,1999,electronic release、「ビタミン」の章)。D−パントラクトンの調製のためにはジアステレオマー塩を経る手数のかかる古典的なラセミ化合物の分解が必要である。化学合成から得られる市販製品はたいていD−パントテン酸のカルシウム塩即ちD−パントテン酸カルシウムである。
【0004】
化学合成に比して、微生物を用いたバイオテクノロジー的製造方法の利点は、高等生物にとって利用可能なパントテン酸のD体の選択的(鏡像異性体のない)調製にある。従って化学合成で必要な面倒なラセミ化合物分解は必要ない。
【0005】
微生物によるD−パントテン酸の発酵製造法がとりわけ欧州特許第0590857号、国際公開公報第96/33283号、米国特許第6,013,492号、国際公開公報第97/10340号、ドイツ国特許第19846499号、欧州特許第1001027号、欧州特許第1006189号、欧州特許第1006192号、欧州特許第1006193号から多数知られている。
【0006】
英国特許第598177号明細書はアエロバクター・アエロゲネスによる2,3−ブチレングリコールの調製の副生成物として千分の一程度の範囲のパントテン酸の生成を記載する。しかしながら、パントテン酸の濃縮は、木炭による吸着とその後の溶出によってのみ可能である。
【0007】
欧州特許第1006189号明細書は、発酵液中最大1g/lのD−パントテン酸含量が達成されるパントテン酸塩の製造方法を記載する。このように発酵液中の僅かなパントテン酸含量、即ち固形物含量基準で10重量%未満は、しかしながら、D−パントテン酸を含む動物用飼料サプリメントの商業的生産には不適切である。これまでに記載されたこの方法の更なる欠点は、発酵培地からの生成物の単離に多数の面倒な仕上げ処理段階が必要なことである。工業的規模の経済的製造法は未だ開示されていない。
【0008】
米国特許第6,013,492号明細書は、培地からの不溶の成分(例えば細胞物質)の濾別、その濾液の活性炭への吸着、その後の有機溶剤好ましくはメタノールによるD−パントテン酸の溶出、水酸化カルシウムによる中和、そして最後のD−パントテン酸カルシウムの結晶化による発酵液から得たD−パントテン酸の仕上げ処理を記載する。これらの面倒な仕上げ処理段階の大きな欠点は所望の生成物の更なるロスである。加えて、工業的規模で製造する場合は、使用した溶媒の回収に更なるシステムが必要と考えられる。もう一つの欠点は大量の廃水がさらに発生することであり、これはそれ自体費用のかかる処理又は廃棄さえも必要とする。
【0009】
D−パントテン酸を産生する微生物の発酵により製造される動物用飼料添加物の製造方法がドイツ国特許第10016321A1号により周知である。しかしながらこの方法は発酵の後にアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物又は酸化物を加えることが必要である。
【0010】
従って本発明の課題は遊離D−パントテン酸及び/又はその塩を含む動物用飼料サプリメント並びに前述の欠点をもはや持たない改善されたそれの製造方法を提供することである。
【0011】
この課題は本発明によって見事に解決される。
【0012】
本発明は、
a)D−パントテン酸を産生する生物を、少なくとも1つの炭素源及び1つの窒素源を含む培地で、他の前駆物質を補給することなく発酵させ、
b)D−パントテン酸及び/又はその塩を含む発酵液を、さらなる仕上げ処理段階を行うことなく乾燥及び/又は製品化にもっていく、
遊離D−パントテン酸及び/又はその塩を含む動物用飼料サプリメントの製造方法である。
【0013】
また本発明に係る方法は発酵を、少なくとも6重量%、好ましくは7−25重量%の固形物含量及び/又は少なくとも2−15重量%、好ましくは4−15重量%のD−パントテン酸含量に達するまで行うことを特徴とする。
【0014】
この目的のために発酵はそれ自体公知の回分式、補給回分式(fed−batch)又は反復補給回分式(repeated−fed−batch)操作或いは連続プロセスによる方法で行うことができる。本発明で固形物含量とは、特に乾燥したバイオマス、ミネラル及びD−パントテン酸及び/又はその塩を含めた乾燥された発酵液を意味する。固形物含量を測定するには、発酵液の試料を無菌状態で採取し、例えば真空乾燥棚で120℃で12時間乾燥する。
【0015】
先行技術に対する本発明方法の特別の利点は、所望のタイプの動物用飼料サプリメントに対する要求を満たす製品を得るためには、発酵液をさらなる手数のかかる仕上げ処理、例えば活性炭による吸着を行わなくてよいことである。上記の要求とは、例えばD−パントテン酸含量が比較的高いこと及び標的生物に対する許容性が良好であること並びに、化学的に合成されたD−パントテン酸の価値に対応する本発明の製品の「ビタミン効果」の意味での生物学的な価値である。
【0016】
動物用飼料用としてはD−パントテン酸はたいていの場合飼料配合物に組込まれるので、D−パントテン酸の純度はそれ自体、この場合重要なことではないとみなされるべきである。反対に、まさに上記の製造方法による製品がD−パントテン酸のほかに、例えば比較的高いタンパク質含量並びに適宜発酵中に培地中に分泌される(恐らくは必須)アミノ酸、ミネラル、ビタミン及びその他の成分のような、動物の健康に役立つその他の発酵液の構成成分を含んでいるということは、本発明製品のさらなる利点として認められるべきである。
【0017】
本発明方法のもう一つの利点は、優れた生物学的な価値を有する製品の製造のために発酵液の面倒な仕上げ処理段階が不要であることである。特に本発明の方法は、所望の物質が有機溶剤をまったく使わずに製造されるのが特徴である。さらに本発明によれば発生する廃水の量が大幅に低減される。その結果費用のかかる仕上げ処理及び廃棄システムもまた不要になる。こうして本発明の方法は、在来の方法に比べてより簡単であること、失敗しにくいこと、時間がかからないこと、明らかに安上がりであること、従って経済的であること等により見事に特徴づけられる。
【0018】
この場合「産生する」という用語は本発明では、生物が自己代謝需要に必要である以上の量のD−パントテン酸及び/又はその塩を合成することができるということを意味する。本発明の有利な実施形態では、D−パントテン酸及び/又はその塩の合成された量が細胞内部に存在しないで、理想的には生物から培地中に完全に放出される。この排出は公知のメカニズムにより能動的又は受動的に行わせることができる。
【0019】
本発明で使用されるD−パントテン酸産生生物は微生物である。これらには本発明では真菌、酵母菌及び/又は細菌が挙げられる。本発明によれば、例えばケカビのような真菌又は、例えばサッカロミセス又はデバロミセスそしてこの場合好ましくはSaccharomyces cerevisiaeのような酵母菌を使用することが好ましい。本発明ではコリネ型細菌科の細菌又はバシラス科の細菌を使用するのが有利である。本発明で好ましいとされるものの例としては、コルネバクテリウム、エシェリキア(大腸菌)、バシラス、アルトロバクター、ブレビバクテリウム、シュードモナス、サルモネラ、クレブシエラ、プロテウス、アシネトバクター又はリゾビウムの各属の細菌が挙げられる。この場合特に好ましいとされるものの例としては、コルネバクテリウム・グルタミクム、ブレビバクテリウム・ブレベ若しくはバシラス・スブチリス(枯草菌)、バシラス・リケニフォルミス、バシラス・アミロリクエファシエンス、バシラス・セレウス、バシラス・レンチモルブス、バシラス・レンツス、バシラス・ヒルムス、バシラス・パントテンチクス、バシラス・シルクランス、バシラス・コアグランス、バシラス・メガテリウム、バシラス・プミルス、バシラス・ツリンギエンシス、バシラス・ブレビス、バシラス・ステアロテルモヒラス並びに16sRNAにより特徴づけられる他の1類バシラス種、又はアクチヌム・ミケタリスが挙げられる。以上の列挙は説明のためのものであり、決して本発明を限定するものでない。
【0020】
さらに本発明は、遊離D−パントテン酸及び/又はその塩を含む動物用飼料サプリメントの本発明に基づく製造のために遺伝子組み換え生物を使用することも包含する。このような遺伝子組み換え生物は例えば、化学的突然変異誘発とそのあとの適当な「スクリーニング法」による選択によって単離することができる。また本発明は、本発明の目的とする製品を製造するのに好適で、且つ、細胞膜を通してのD−パントテン酸及び/又はその塩の放出に関する組み換えも含めて、D−パントテン酸の方向への代謝フラックスに関して遺伝子組み換えを有するいわゆる生産者菌株も包含する。
【0021】
所望の製品の合成に必要な又はそれを促進する同種及び/又は異種ヌクレオチド配列の導入により得られる形質転換生物の使用も考えられる。この場合、単数又は複数の遺伝子が、ゲノム及び/又はベクターに局在して、単独及び/又は組合せで過剰発現及び/又は脱調節することが考えられる。このような形質転換生物は有利なことには、panB、panC、panD、panE並びに/或いはそれらの組合せ及び/又はpanBCDオペロンのような組織単位も含めた群から選択される追加のコピー及び/又は組み換え遺伝子を含み得る。更なる可能性は、例えば欧州特許第1006189号明細書、欧州特許第1006192号明細書、欧州特許第1006193号明細書又は欧州特許第1001027号明細書に記載されているように、例えばイソロイシン−バリン生合成経路のような生物の他の代謝経路を有利に操作することである。それによってパントテン酸生合成の分岐鎖前駆物質のアベイラビリティーが増大する。適切な場合は、この生合成経路のための遺伝子即ちilvB、ilvN、ilvC及び/又はilvDが過剰発現していることが有利である。
本発明にさらに含まれるのが、使用したD−パントテン酸産生生物での例えば過剰発現及び/又は脱調節によるアスパラギン酸−α−デカルボキシラーゼ(panD)の遺伝子組み換えである。つまり、有利なことには、例えば欧州特許第A−0590857号明細書に記載されているように、β−アラニンが、対応する非遺伝子的に操作された生物に比較してもっと高い濃度で細胞中にすでに存在し、従って前駆物質として培地に加える必要がない。パントテン酸(pan)及び/又はイソロイシン−バリン(ilv)生合成及び/又はアスパラギン酸−α−デカルボキシラーゼ(panD)が脱調節されている微生物が有利である。また微生物中のケトパントテン酸還元酵素(panE)の追加の過剰発現は更に有利である。
【0022】
さらに補酵素Aの合成に必要なcoaA遺伝子の活性が適宜低減されている、或いは(例えばバシラス種の場合)完全に消滅されていると更に有利である。これは、coaA以外に、バシラスがこの酵素機能の別の遺伝子(=coaX)を含むからである。このcoaX遺伝子又はその対応する酵素の活性は、coaAそれ自体が、低下していてもなお十分な酵素活性を有するかぎり、即ちcoaAの酵素活性が完全には失われていないかぎり、改変、好ましくは低減、或いは消去でさえすることもできる。上記様々な遺伝子の過剰発現以外に、これら遺伝子のプロモーター領域の遺伝子操作も、この操作が遺伝子産物の過剰発現をもたらす場合又有利である。
【0023】
本発明の1実施形態では、例えばPA668及び/又はその誘導体のような、付属書類(PCT/米国出願第0025993号)に記載されている細菌株が使用される。好ましい実施形態では、付属書類(PCT/米国出願第0025993号)に記載されている微生物、枯草菌PA377が本発明の方法において本発明に従って使用される。この枯草菌株PA377は次のようにして調製した。
【0024】
遺伝子型trpC2(Trp−)を有する枯草菌株168(Marburg株ATCC6051)から出発して、Trp+マーカー(枯草菌野生型W23から得たもの)の形質導入によりPY79株を作った。古典的な遺伝子工学的方法(例えばC.R.Harwood及びS.M.Cutting(編者),Molecular Biological Methods for Bacillus(1990)John Wiley & Sons,Ltd.,Chichester,En−glandに記載されているように)によりこのPY79株にΔpanB及びΔpanE1突然変異を導入した。その結果生じる株を枯草菌株PA221(遺伝子型P26panBCD,trpC2(Trp−))のゲノムDNA及び枯草菌株PA303(遺伝子型P26panE1)のゲノムDNAで形質転換した。その結果生じる株PA327は遺伝子型P26panBCD、P26panE1を有し、トリプトファン栄養素要求性突然変異体(Trp−)である。β−アラニン5g/l及びαケトイソ吉草酸塩5g/lを補充したSVY培地(Difco子牛肉浸出肉汁25g/l、Difco酵母菌抽出物5g/l、グルタミン酸ナトリウム5g/l、硫酸アンモニウム2.7g/l、水を補充して740mlとし、高圧加熱滅菌、続いて200mlのpH7.0の1Mリン酸カリウム、及び60mlの滅菌50%グルコース溶液を添加)による10mlの培養で、枯草菌株PA327により3.0g/l(24時間)に及ぶパントテン酸力価を得た。
【0025】
枯草菌株PA221(遺伝子型P26panBCD,trpC2(Trp−))の調製を次に説明する。大腸菌のpanBCDオペロンの配列情報(Merkelら、FEMS Microbiol.Lett.,143,1996:247−252参照)を利用して、古典的遺伝子工学的方法を使って、枯草菌GP275プラスミド・ライブラリーから出発してバシラスのpanBCDオペロンをクローニングした。このクローニングのためには、大腸菌株BM4062(birts)を使用し、またバシラス・オペロンがbirA遺伝子の近傍にあるという情報を利用した。panBCDを、大腸菌で複製可能なプラスミドに導入した。このオペロンの発現を改善するために、枯草菌ファージSP01(P26)の強力な構成プロモーターを使用し、panB遺伝子の前のリボソーム結合部位(=RBS)を人工RBSに置き換えた。バシラスの天然性panB遺伝子の直ぐ上流に位置するDNAフラグメントを、プラスミドのP26panBCDカセットの前に連結した。このプラスミドを枯草菌株RL−1(古典的突然変異誘発によって得られた枯草菌168(Marburg株ATCC6051)、遺伝子型trpC2(Trp−)の誘導体)に形質導入し、相同的組換えにより天然panBCDオペロンをP26panBCDオペロンに置き換えた。その結果生じる株はPA221と呼ばれ、遺伝子型P26panBCD,trpC2(Trp−)を有する。β−アラニン5g/l及びαケトイソ吉草酸塩5g/lを補充したSVY培地による10mlの培養で枯草菌株PA221により0.92g/l(24時間)に及ぶパントテン酸力価を得た。
【0026】
枯草菌株PA303(遺伝子型P26panE1)の調製を次に説明する。大腸菌panE遺伝子配列を利用してバシラスpanE配列を同様にクローニングした。枯草菌には、大腸菌のpanE遺伝子のpanE1及びpanE2と呼ばれる2つの相同体が存在することが判明した。欠失分析によってpanE1遺伝子はパントテン酸産生の90%を担うが、panE2遺伝子の欠失はパントテン酸産生に対して有意な影響がないことが明らかになった。この場合も、panBCDオペロンのクローニングと同様に、プロモーターを強力な構成プロモータP26に置き換え、panE1遺伝子の前のリボソーム結合部位を人工結合部位に置き換えた。枯草菌のゲノム中の原panE1座に組込むことができるように設計されたベクター中に、P26panE1フラグメントをクローニングした。形質転換と相同的組換えの後に生じる株はPA303と呼ばれ、遺伝子型P26panE1を有する。β−アラニン5g/l及びαケトイソ吉草酸塩5g/lを補充したSVY培地による10mlの培養で、枯草菌株PA303により1.66g/l(24時間)に及ぶパントテン酸力価を得た。
【0027】
P26ilvBNCオペロン及びスペクチノマイシンマーカー遺伝子を含むプラスミドでPA327を形質導入して更なる株の構築を行った。P26ilvBNCオペロンがamyE座に組込まれた。このことはPCRで検証された。1つの形質転換体はPA340(遺伝子型P26panBCD、P26panE1、P26ilvBNC、specR、trp(Trp−))と名づけられた。5g/lのβ−アラニンだけを補充したSVY培地による10mlの培養で枯草菌株PA340により3.6g/l(24時間)に及ぶパントテン酸力価を、またβ−アラニン5g/l及びαケトイソ吉草酸塩5g/lを補充したSVY培地による10mlの培養では4.1g/l(24時間)に及ぶパントテン酸力価を得た。
【0028】
またPA340株に脱調節ilvDカセットを導入した。そのために人工RBS2を有するP26プロモーターの制御下でilvD遺伝子を含むプラスミドをPA340に形質転換した。その際P26ilvD遺伝子が相同的組換えにより原ilvD座に組込まれた。その結果生じる株PA374は遺伝子型P26panBCD、P26panE1、P26ilvBNC、P26ilvD、specR及びtrpC2(Trp−)を有する。5g/lのβ−アラニンだけを補充したSVY培地による10mlの培養で枯草菌株PA374により2.99g/l(24時間)に及ぶパントテン酸力価を得た。
【0029】
PA374株によりβ−アラニン補給なしでパントテン酸を産生させるために、アスパラギン酸−α−デカルボキシラーゼをコードする遺伝子panDの追加のコピーをPA374株に導入した。そのために後述のPA401株の染色体DNAをPA374に形質導入した。テトラサイクリンで選択してPA377株を得た。その結果生じるPA377株は遺伝子型P26panBCD、P26panE1、P26ilvBNC、P26ilvD、specR、tetR及びtrpC2(Trp−)を有する。前駆物質の補給なしのSVY培地による10mlの培養で枯草菌株PA377により1.31g/l(24時間)に及ぶパントテン酸力価を得た。
【0030】
枯草菌株PA401(遺伝子型P26panD)の調製を次に説明する。枯草菌panD遺伝子をpanBCDオペロンから、テトラサイクリン・マーカー遺伝子をもつベクターにクローニングした。panD遺伝子の前にP26プロモーター及び上記の人工RBSをクローニングした。テトラサイクリン・マーカー遺伝子とP26panD遺伝子を含むフラグメントを制限消化により調製した。このフラグメントを再連結し、上記のPA221株に形質導入した。その際フラグメントがPA211株のゲノムに組込まれた。その結果生じるPA401株は遺伝子型P26panBCD、P26panD、tetR及びtrpC2(Trp−)を有する。αケトイソ吉草酸塩5g/lを補充したSVY培地の10mlの培養で枯草菌株PA401により0.3g/l(24時間)に及ぶパントテン酸力価を得た。Dパント酸5g/l及びLアスパラギン酸塩10g/lを補充したSVY培地による10mlの培養で2.2g/l(24時間)に及ぶパントテン酸力価を得た。株の詳しい構造は付属書類のPCT/米国出願第0025993号で明らかである。
【0031】
グルコース溶液を連続補給しつつある10リットル規模のSVY培地(Difco子牛肉浸出肉汁25g/l、Difco酵母菌抽出物5g/l、トリプトファン5g/l、グルタミン酸ナトリウム5g/l、(NH4)2SO42g/l、KH2PO410g/l、K2HPO420g/l、CaCl20.1g/l、MgSO41g/l、クエン酸ナトリウム1g/l、FeSO4×7H2O0.01g/l及び下記の組成の微量塩溶液1ml/l(0.15gNa2MoO4×2H2O、2.5gH3BO3、0.7gCoCl2×6H2O、0.25gCuSO4×5H2O、1.6gMnCl2×4H2O、0.3gZnSO4×7H2O、水を注ぎ足して1lとする))中での上記PA377株によるグルコース制限発酵により、36時間(48時間)で発酵原液中のパントテン酸濃度18−19g/l(22−25g/l)を得た。培地、菌株及び発酵法の改良によって発酵原液中のパントテン酸力価を40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、さらには90g/lを超えて高めることができる。
【0032】
本発明の重要な利点は、出発化合物として、少なくとも1つの炭素源及び窒素源のほかに他の前駆物質を含まない培地で発酵が行われることである。即ちD−パントテン酸の生合成が他の前駆物質の補給に依存しないのである。本発明によればこのような前駆物質とは、例えばβ−アラニン及び/又はL−アスパラギン酸塩及び/又はLバリン及び/又はαケトイソ吉草酸塩のような物質並びに/或いはこれらの組合せを意味する。
本発明の方法の好ましい実施形態ではD−パントテン酸産生生物の発酵が、前駆物質として少なくとも1つの炭素源及び1つの窒素源を含むが、β−アラニンは添加されない培地で行われる。多くの前駆物質はすこぶる高価であるから、前駆物質の補給に依存しないということは特に本発明方法の重要な経済的利点である。
【0033】
本発明に基づき上記の生物の発酵培地で使用するのに好適な炭素源の例は、例えばデンプン加水分解物(単糖、二糖、オリゴ糖)、好ましくはグルコース又はサッカロース、並びにビート又はサトウキビ糖蜜のような糖、タンパク質、タンパク質加水分解物、大豆粉、コーンスティープリカー(corn steep liquor)、脂肪、遊離脂肪酸、すでに行われた発酵から回収した細胞又はその加水分解物、及び酵母菌抽出物である。以上の列挙も本発明を限定するものではない。好適な窒素源の次の例、即ちアンモニア、硫酸アンモニウム、尿素、タンパク質、タンパク質加水分解物又は酵母菌抽出物も同様である。また発酵培地は無機塩及び/又はアミノ酸及びビタミンのような微量成分を含む。多数の好適な発酵培地の詳しい組成は知られており、当業者には入手可能である。
適当なD−パントテン酸産生生物を当業者に周知の細胞密度で発酵培地に接種した後、適切な場合は消泡剤を添加して生物の培養を行う。発酵終了時に発酵液の乾燥固形物含量が少なくとも6重量%、遊離D−パントテン酸含量が少なくとも2重量%、好ましくは少なくとも4重量%となるように発酵を行う。そのためには炭素源を補給しつつ回分式、補給回分式又は反復補給回分式操作で発酵を行う或いは連続的に操作することができる。発酵温度は10−70℃、好ましくは20−50℃である。発酵槽を酸素、空気又は窒素その他の不活性ガスとの混合物で曝気を行う。pH値は4−8、好ましくは5−7.5の範囲の値に調節し、適切な場合は適当な塩基及び/又は酸を計量投入して調節する。
【0034】
また本方法は好都合なことに全糖含量が発酵終了までに最小量までに低減させておくという点に特徴がある。というのは、さもなければこれがねばつきによって発酵液のその後の乾燥及び/又は製品化の妨げとなるからである。これは本発明では、炭素源が消費された後(回分式操作での培養の場合)、又は炭素供給(補給回分式又は反復補給回分式操作により行われるプロセスで)が停止された後、及び/又は炭素源濃度が実質的にゼロになるように調節された後(補給回分式、反復補給回分式又は連続的プロセス操作の場合)、発酵をさらにしばらく続行することによって達成される。これは本発明では炭素源(例えば糖溶液)の計量投入を停止した後溶解酸素濃度(pO2)が発酵液中の飽和値の少なくとも80%、好ましくは90%、特に好ましくは95%に達するまで発酵を続行することによって行われる。
【0035】
またさらなる仕上げ処理段階を行うことなく発酵液を乾燥及び/又は製品化にもっていくことが本発明の方法ではさらに必須である。即ち例えば活性炭上への吸着による精製のような、発酵液から得た所望のD−パントテン酸含有生成物を単離するための面倒な仕上げ処理段階は不要である。また発酵液からのバイオマスの除去も絶対に必要というものでもない。したがって、本発明の製品即ちD−パントテン酸含有動物用飼料サプリメントのタンパク質含量は50重量%に及ぶことがあり得る。
【0036】
発酵液の乾燥及び/又は製品化は元来公知の方法例えば噴霧乾燥、噴霧顆粒化、流動床乾燥、流動床顆粒化、ドラム乾燥又はスピンフラッシュ乾燥のような方法により行う。(Ullman‘s Encyclopedia of Industrial Chemistry,6th edition,1999,electron−ic release、「固体物質の乾燥」の章)。対流式乾燥のガス入口温度は100−280℃、好ましくは120−210℃の範囲である。ガス出口温度は50−180℃、好ましくは60−150℃である。所望の粒子径分布及びそれに関連する生成物の特質を調整するために、微細粒を除去してリサイクルすることが可能である。また粗大物質を粉砕機で粉砕して同様にそのあとリサイクルすることもできる。本発明の生成物は例えばベージュないしブラウンの色調を有する。また5重量%未満、好ましくは1−3重量%、特に好ましくは0.5−2重量%の残留含水量を含む。生成物の団塊化を回避するために、含水量は5重量%を超えてはならない。上記の方法の概略ブロックフロー図を図1にまとめた。
【0037】
上記の本発明の方法の1実施形態では発酵液の乾燥及び/又は製品化の前に、適切な場合は発酵液からバイオマスの除去が行われる。この除去はほぼ完全に又は部分的にだけ行うことができる。バイオマスの部分的な除去が好ましい。それによってタンパク質含有量を10重量%以下に引き下げることができる。バイオマスのほぼ完全な除去を達成するためには、例えば遠心分離によって水性液から固形物分を除去することができる。本発明の別の実施形態では乾燥最終製品を基準にしてタンパク質含有量を5重量%未満にさえ調整することも可能である。この除去したバイオマスは、種々の製造バッチからくる発酵液中のD−パントテン酸含有量にある許容範囲内で現われる当然の変動を補償するのに、都合よく用いることができる。例えば、複数の異なるバッチからバイオマスを除去した後、前に除去されたバイオマスを新たに加えることにより一定に保たれるパントテン酸及び/又はその塩の含量を有する製品を供給することが可能である。このことは再現性のある一定品質の製品を約束する。
【0038】
本発明方法の別の実施形態では、発酵液の乾燥及び/又は製品化の前及び、適切な場合は、バイオマスの除去の後に、D−パントテン酸及び/又はその塩を含む固形物含量を高めるために発酵液の濃縮を行うことができる。これは、例えば、コストの都合上、適切な場合は多段式プロセスで行うことができ、また製品を損なうことを避けるために大気圧以外にも真空中でも行うことができる、蒸発による水の除去によって行うことができる。もう一つの可能性は膜法を利用することである。この場合例えばなナノ濾過法及び/又は逆浸透のような方法を使用することができる。D−パントテン酸含有量20ないし50重量%まで濃縮することができる。その水は、適切な場合は、同時に発酵工程へリサイクルすることができる。それによって廃水発生量を減少することができるから、廃水処理費が大幅に引き下げられる利点がある。これを図2に概略図で示す。
【0039】
本発明の好ましい実施形態ではバイオマスの除去と残っている発酵液の濃縮、適切な場合は同時に水のリサイクルの組合せが行われる。ブロックフロー図による説明を図3に示す。この目的のためには、製品中の有価物質を一定量に調整するために、本発明の方法において発酵の終了後にバイオマス又はその一部を、例えばセパレ−ション、遠心分離、限外濾過、精密濾過又は深床濾過あるいはこれらの組合せによって除去することができる。こうして得たバイオマスを改めて再びデカンターによりさらに水分を除去することができる。デカンターからの透明流出液は次にセパレーターの入口へ戻される。細胞の分離によって製品中のD−パントテン酸含有量を高め、或いはその含有量を、発酵からの変動する含量も問題なく処理することができるように色々な部分が一緒に混ぜ合わせられている一定の値に調整することができる。その後発酵液をさらに濃縮することができる。遊離D−パントテン酸及び/又はその塩を基準とするその含量は20−95重量%、好ましくは30−90重量%である。得られる生成物が、60−80重量%、特に80重量%より多いという高い遊離D−パントテン酸及び/又はその塩の含有量を有しているのが特に好ましい。
【0040】
本発明の方法の別の実施形態では、発酵液の乾燥及び/又は製品化の前に下記の諸段階
1)バイオマスの細胞溶解及び/又は死滅及び/又は
2)発酵液からのバイオマスの除去及び/又は
3)更なる添加物の添加及び/又は
4)好ましくは水の除去による発酵液の濃縮及び適切な場合は同時に発酵工程へのその水のリサイクル及び/又は
5)段階1)ないし4)の組合せ
の少なくとも1つを行うことができる。
【0041】
従って、バイオマスの細胞溶解及び/又は死滅が、まだ発酵液に在る間に、又は発酵液からバイオマスを除去した後に初めて行われる方法も本発明の主題である。これは例えば好ましくは80−200℃での熱処理及び/又は、好ましくは硫酸又は塩酸による酸処理及び/又は、好ましくはリゾチームにより酵素的に行うことができる。説明のためのブロックフロー図を図4に示す。
【0042】
本発明の方法の別の実施形態では、D−パントテン酸の含量を一定に調整するために及び/又は製品の特性例えばダスト挙動、流動特性、含水容量及び貯蔵安定性を改善するために、濃縮の前及び/又は乾燥及び/又は製品化の前に更なる添加物及び/又はそれらの混合物を添加する手順が記載される。このような添加物及び/又はそれらの混合物の例は、糖、例えばラクトース又はマルトデキストリンをベースとするもの、穀物製品又は豆果製品、例えばトウモロコシ穂軸粉砕物、フスマ及び大豆ミールをベースとするもの、無機塩特にカルシウム、マグネシウム、ナトリウム、及びカリウム塩をベースとするもの、並びにD−パントテン酸又はその塩自体(化学的に又は発酵により調製されたD−パントテン酸塩)である。添加は乾燥の前及び/又は顆粒化又は製品化段階自体の間に行うことができる。これを図5に要約して示す。
【0043】
本発明の別の実施形態では、本発明の方法のなるべく遅い段階、即ち好ましくは発酵液の仕上げ処理の前及び/又は間に、即ち発酵液の濃縮及び/又は乾燥及び/又は製品化の前及び/又は間に(図5を参照)カルシウム塩を添加することによって、D−パントテン酸カルシウムが調製される。この場合製品化した最終製品中にD−パントテン酸2モルにつき約1モルのカルシウム塩が含まれるように、カルシウム塩の添加によりカルシウムイオンの含量を調整する。その際発酵液中にすでに含まれているカルシウムイオンの含量を考慮することが可能でありそうするのが有利である。カルシウム塩としては例えば酸化カルシウム、水酸化カルシウム、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム及び/又はその他のカルシウム塩を使用することができる。
【0044】
従って本発明はまた調合製品中のD−パントテン酸の含有量基準で1モルのカルシウムイオンがD−パントテン酸2モルにつきカルシウム塩の形態で添加物として濃縮,乾燥及び/又は製品化の前に加えられる方法にも関する。
【0045】
本発明の方法の別の実施形態における更なる可能性は、発酵培地の組成及び、この場合特に特定のカチオンを有する無機塩の選択により、D−パントテン酸の選択された塩を多量に含む生成物を製造することである。例えば、リン酸一水素二カリウム/リン酸二水素カリウム緩衝液を使用することによって、発酵中でもD−パントテン酸カリウムを十分に含む製品を製造することができる。考えられる塩は例えばD−パントテン酸のカルシウム、カリウム、マグネシウム、ナトリウム又はアンモニウム塩又はそれらの混合物である。ブロックフロー図を図6に示す。
【0046】
本発明では上記のすべての実施形態及び図1ないし6に示した手順を自由に組み合わせることができる。
【0047】
また本発明はさらに、少なくとも、乾燥物質基準で、少なくとも30−95重量%の遊離D−パントテン酸及び/又はその塩、0.1−15重量%の全糖分及び5ないし50重量%未満のタンパク質含量を含む、少なくとも1つのD−パントテン酸産生生物の発酵によって得られる発酵液をベースとする上記の方法の1つにより製造された動物用飼料サプリメントに関する。
【0048】
本発明に係る動物用飼料サプリメントは、50−95重量%、好ましくは70−95重量%、特に好ましくは60−80重量%そして特に80重量%より多くの遊離D−パントテン酸及び/又はその塩を含むのが特徴である。
【0049】
本発明によれば本発明の動物用飼料サプリメントのベースとしての処理前の発酵液は少なくとも10g/l、好ましくは少なくとも20g/lそして特に好ましくは少なくとも40g/lのD−パントテン酸及び/又はその塩を含む。
【0050】
また本発明の動物用飼料サプリメントはD−パントテン酸のカルシウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩及び/又はアンモニウム塩並びに/或いはそれらの混合物をさらに含み得る。
【0051】
本発明の動物用飼料サプリメントの特定の実施形態は少なくとも下記成分を有する乾燥物質組成を特徴とする。即ち
a)遊離D−パントテン酸及び/又はその塩 少なくとも30−95重量%
b)タンパク質 最大50重量%
c)全糖 最大15重量%
d)ミネラル 最大20重量%
【0052】
本発明によれば動物用飼料サプリメントは上限として最大50重量%、下限として10重量%未満、好ましくは7重量%未満、特に好ましくは5重量%未満のタンパク質含量を含む。動物用飼料サプリメントの全糖分は最大約15重量%であり、下限としては約0.1重量%未満であり、すべての中間段階が考えられる。含水量については、本発明のD−パントテン酸含有製品は5重量%未満、好ましくは1−3重量%そして特に好ましくは0.5−2重量%の残留含水量を特徴とする。
【0053】
また本発明は、D−パントテン酸産生生物の非活性量、活性量及び/又は増殖可能量を含む動物用飼料サプリメントに関する。これらは、微生物、好ましくは真菌、酵母菌及び/又は細菌であることが好ましい。本発明の動物用飼料サプリメントはケカビ属の真菌、サッカロミセス属の酵母菌及び/又は腸内細菌科例えば大腸菌、サルモネラ例えばサルモネラ科・チフィムリウム、プロテウス・ブルガリス、シュードモナス科例えばシュードモナス科・マルトフィリア、バシラス科例えば枯草菌又はバシラス・セレウス、コリネ型細菌科の細菌例えばコリネバクテリウム・グルタミクム又はブレビバクテリウム・ブレベ及び/又はアクチヌム・ミケタリス並びに/或いはこれらの混合物の非活性量、活性量及び/又は増殖可能量を含むことが特に好ましい。特に好ましいのはバシラス属そしてこの場合枯草菌種の細菌である。本発明は、動物用飼料サプリメントの製造に好適な遺伝子組み換え及び/又は形質転換生物及び/又は生産株も同じく包含する。但し上記の列挙は本発明を限定するものではない。
【0054】
また本発明は、好ましくは糖及び/又は穀類及び/又は豆果及び/又は無機塩及び/又は(別製の化学的及び/又は発酵的に製造された)D−パントテン酸及び/又はその塩並びに/或いはこれらの混合物をベースとする更なる添加物を含む動物用飼料サプリメントを包含する。
【0055】
また本発明に係る動物用飼料サプリメントは、見掛け密度0.35ないし0.7kg/l、好ましくは0.4ないし0.6kg/lの製品の形態にあることを特徴とする。本発明ではそれは10−2000μm、好ましくは20−1500μm、特に好ましくは25−1000μm、最も好ましくは30−800μmの範囲の平均粒径を有する。それはベージュないしブラウンの色を有する。本発明の動物用飼料サプリメントは、コーティングが施された(「コーティングつき」)粉末、顆粒、ペレット並びに/或いはこれらの組合せの形態にあり得る。例えば配合物をコーティングすることによる本発明の動物用飼料サプリメントの製品化は、例えば、製品の特性例えばダスト挙動、流動性、含水容量及び貯蔵安定性等の改善に役立つ。
【0056】
また本発明は前記の特性を有する動物用飼料サプリメントの、動物用飼料及び/又は動物用飼料サプリメントの添加物としての使用に関する。
【0057】
下記の例は本発明を説明するためのものであり、限定するものではない。
【0058】
実施例1:枯草菌によるD−パントテン酸含有発酵液の調製
攪拌器とガス導入装置を有する14リットル容量の実験用発酵槽に下記の組成の水性発酵培地を仕込んだ;
酵母菌抽出物 20g/l
トリプトファン 5g/l
硫酸アンモニウム 2g/l
グルタミン酸ナトリウム 5g/l
【0059】
滅菌の後、下記の培地成分をさらに加えた。
KH2PO4 10g/l
K2HPO4×3H2O 20g/l
グルコース 10g/l
MgCl2×6H2O 1g/l
CaCl2×2H2O 0.1g/l
クエン酸ナトリウム 1g/l
FeSO4×7H2O 0.01g/l
微量塩溶液 6ml/l
【0060】
微量塩溶液の組成は次の通りである:
0.15gNa2MoO4×2H2O、2.5gH3BO3、0.7gCoCl2×6H2O、0.25gCuSO4×5H2O、1.6gMnCl2×4H2O、0.3gZnSO4×7H2Oに水を注ぎ足して1リットルとする。微量塩溶液の添加は無菌濾過を経て行う。初期液量は6リットルである。上記の含量はこの値を基準にしたものである。
【0061】
この溶液に枯草菌PA377の接種培地(OD600=9.5)60mlを加え、37℃、200rpmで12リット毎分の曝気速度で発酵させる。この菌株はPCT/米国出願第0025993号の添付書類に記載されている。
【0062】
72時間かけて4.5リットルの無菌の水溶液を計量投入した。組成は次のとおりであった:
グルコース 400g/l
CaCl22×H2O 0.4g/l
酵母菌抽出物 25g/l
【0063】
発酵中に発酵槽流入空気中にアンモニアを計量投入するか又はリン酸を計量投入することによってpH値を7.2に保った。アンモニアは同時に発酵の窒素源として利用される。攪拌装置の回転数を制御して溶解酸素含量を飽和値の30%に維持した。炭素源の計量投入を停止した後、溶解酸素含量(pO2)が飽和値の95%の値に達するまで発酵を続けた。その上で発酵を停止し、生物を熱的に死滅させた。そのためには発酵液を100℃に1時間保った。プレートアウトにより死滅を検証した。72時間後に停止した時のD−パントテン酸の濃度は28g/lであった。また、β−アラニンの補給なしで20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85及び90g/lより多いパントテン酸力価を有する発酵原液も同様に調製することもできる。
【0064】
この発酵においては、D−パントテン酸のカリウム塩即ちD−パントテン酸カリウムが十分に得られるように、リン酸水素二カリウム/リン酸二水素カリウムを発酵に使用することによってD−パントテン酸の対イオンを調製した。
【0065】
実施例2:大腸菌によるD−パントテン酸含有発酵液の細胞分離及び乾燥
D−パントテン酸含有発酵液の調製を米国特許第6,013,492号明細書の実施例1に従って大腸菌IFO814/pFV31で行う。それに続いて、炭素源が完全に消費されるまで溶解酸素含量(pO2)が80%を超えて上昇するまで発酵にガスをさらに供給する。続いて細胞をセパレーターで除去する。ここでD−パントテン酸含量は38.5g/lである。真空(<100mbar)下で回転蒸発器により固形物含量約45重量%まで蒸発した後、濃縮液を下記の条件で実験用噴霧乾燥装置で乾燥する:
ガス入口温度 100−250℃
ガス出口温度 60−150℃
【0066】
平均粒径20−300μmの自由流動性生成物が得られる。
【0067】
実施例3:バイオマスの除去が付加された、枯草菌から得たD−パントテン酸含有発酵液の乾燥
実施例1の発酵液(1リットル)を下記の条件で実験用噴霧乾燥装置で乾燥する;
ガス入口温度 100−250℃
ガス出口温度 60−150℃
【0068】
平均粒径20−300μmの自由流動性生成物が得られる。
【0069】
実施例4:添加物としてラクトースを含むD−パントテン酸含有発酵液の細胞除去及び乾燥
実施例1の発酵液(1リットル)のバイオマスを遠心分離機で遠心分離する。30gのラクトースを上澄みに混合し、実験用噴霧乾燥装置で下記の条件で乾燥する:
ガス入口温度 100−250℃
ガス出口温度 60−150℃
【0070】
粒径40−500μm、遊離D−パントテン酸含量>30重量%の自由流動性生成物が得られる。
【0071】
実施例5:例えば最終製品中のD−パントテン酸の固定濃度を調整するための、添加物として化学的に調製されたD−パントテン酸カルシウムを含むD−パントテン酸含有発酵液の乾燥
実施例1の発酵液(1リットル)のバイオマスを遠心分離機で遠心分離する。化学的に調製されたD−パントテン酸カルシウム100gを上澄みに混合し、実験室用噴霧乾燥装置で下記の条件で乾燥する:
ガス入口温度 100−250℃
ガス出口温度 60−150℃
【0072】
粒径40−500μm、遊離D−パントテン酸含量>60重量%の自由流動性生成物が得られる。
【0073】
実施例6:発酵液から得たD−パントテン酸の製品中のカルシウム含量の調整
D−パントテン酸含有発酵液はバイオマスの除去の後に固形物含量95g/l、その内70g/lはD−パントテン酸、25g/lは他の固形物(発酵培地によって決まる塩、バイオマスの残り、その他の固体成分。カルシウムイオンなし)を含む。
【0074】
次に各種のカルシウム塩を加えた際に調合製品中に生じるD−パントテン酸含量を以下に示す。その場合、D−パントテン酸2モルにつき1モルのカルシウムイオンが含まれるように、カルシウム含量を調整した。
【0075】
添加したカルシウム塩 調合製品中のD−パントテン酸含量
(D−パントテン酸2モルにつき1モル) (重量%)
添加せず 74
Ca(OH)2 66
CaO 67
CaSO4 57
CaHPO4 60
CaCO3 63
Ca(Cl)2 62
【図面の簡単な説明】
【図1】発酵液の乾燥及び/又は製品化によるD−パントテン酸塩の製造方法のブロックフロー図である。
【図2】追加の濃縮段階及び除去された水の発酵へのリサイクルを伴う、発酵液の乾燥及び/又は製品化によるD−パントテン酸塩の製造方法のブロックフロー図である。
【図3】細胞除去を伴う発酵液の乾燥及び/又は製品化によるD−パントテン酸塩の製造方法のブロックフロー図である。
【図4】発酵の後(A)及び/又は細胞除去の後(B)に細胞の溶解及び/又は生物の死滅を行うD−パントテン酸塩の製造方法のブロックフロー図である。
【図5】乾燥の前に添加物を加えるD−パントテン酸塩の製造方法のブロックフロー図である。
【図6】発酵培地中に使用する塩の選択により所望のカチオンが得られる、D−パントテン酸塩の製造方法のブロックフロー図である。
Claims (26)
- a)D−パントテン酸を産生する生物を少なくとも1つの炭素源及び1つの窒素源を含む培地で、他の前駆物質を補給することなく発酵させ、
b)D−パントテン酸及び/又はその塩を含む発酵液を、更なる仕上げ処理段階を行うことなく乾燥及び/又は製品化にもっていく、
遊離D−パントテン酸及び/又はその塩を含む動物用飼料サプリメントの製造方法。 - 前記発酵を、少なくとも6重量%、好ましくは7−25重量%の固形物含量及び/又は少なくとも2−15重量%、好ましくは4−15重量%のD−パントテン酸含量に達するまで行うことを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記炭素源の計量投入を停止及び/又は調節して、発酵液中の濃度を実質的にゼロに調節する並びに/或いは、溶解酸素濃度が飽和値の少なくとも80%、好ましくは90%、特に好ましくは95%に達するまで発酵を続行することを特徴とする請求項1又は2のいずれか1つに記載の方法。
- パントテン酸(pan)及び/又はイソロイシン−バリン(ilv)生合成及び/又はアスパラギン酸−α−デカルボキシラーゼが脱調節されたD−パントテン酸産生生物を使用することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の方法。
- バイオマスを、適切な場合は乾燥及び/又は製品化の前に発酵液から除去することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の方法。
- 前記発酵液を、乾燥及び/又は製品化の前及び、適切な場合はバイオマスの除去の後に水を除去することにより、適切な場合は同時にその水を発酵工程にリサイクルして濃縮することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の方法。
- 前記乾燥及び/又は製品化の前に下記の諸段階、即ち
1)前記バイオマスの溶解及び/又は死滅及び/又は
2)前記発酵液からのバイオマスの除去及び/又は
3)更なる添加物の添加及び/又は
4)前記発酵液の、好ましくは水の除去による、適切な場合は同時にその水を発酵工程へリサイクルすることを伴う濃縮及び/又は
5)段階1)ないし4)の組合せ、
の少なくとも1つを実施することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の方法。 - 前記バイオマスの溶解及び/又は死滅を、まだ発酵液中に在る間に又は発酵液からバイオマスを除去して初めて行うことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の方法。
- 前記発酵液に、濃縮、乾燥及び/又は製品化の前及び/又は間に更なる添加物及び/又は添加物の混合物を加えることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の方法。
- 前記製品中のD−パントテン酸含量を基準にして、D−パントテン酸2モルにつき1モルのカルシウムイオンをカルシウム塩の形態で添加物として濃縮、乾燥及び/又は製品化の前及び/又は間に加えることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載の方法。
- 少なくとも、乾燥物質基準で、30−95重量%の濃度の遊離D−パントテン酸及び/又はその塩、0.1−15重量%の全糖分並びに5−50重量%のタンパク質含量を含む、少なくとも1つのD−パントテン酸産生生物の発酵によって得られる発酵液をベースとする動物用飼料サプリメント。
- 前記動物用飼料サプリメントが、遊離D−パントテン酸及び/又はその塩を、50−95重量%、好ましくは70−95重量%、特に好ましくは60−80重量%、特に80重量%より多く含むことを特徴とする請求項11に記載の動物用飼料サプリメント。
- 前記処理前の発酵液が少なくとも10g/l、好ましくは少なくとも20g/l、特に好ましくは少なくとも40g/lのD−パントテン酸及び/又はその塩を含むことを特徴とする請求項11又は12のいずれか1つに記載の動物用飼料サプリメント。
- 前記動物用飼料サプリメントが、D−パントテン酸のカルシウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩及び/又はアンモニウム塩並びに/或いはそれらの混合物を含むことを特徴とする請求項11ないし13のいずれか1つに記載の動物用飼料サプリメント。
- 少なくとも下記の成分:
a)遊離D−パントテン酸及び/又はその塩 30−95重量%
b)タンパク質 最大50重量%
c)全糖 最大15重量%
d)ミネラル 最大20重量%
を含む乾燥物質組成を特徴とする請求項11ないし14のいずれか1つに記載の動物用飼料サプリメント。 - タンパク質含量が、10重量%未満、好ましくは7重量%未満、特に好ましくは5重量%未満である請求項11ないし15のいずれか1つに記載の動物用飼料サプリメント。
- 全糖分が、10重量%未満、好ましくは約0.5重量%、特に好ましくは約0.1重量%である請求項11ないし16のいずれか1つに記載の動物用飼料サプリメント。
- 残留含水量が、5重量%未満、好ましくは1−3重量%、特に好ましくは0.5−2重量%である請求項11ないし17のいずれか1つに記載の動物用飼料サプリメント。
- 前記動物用飼料サプリメントが、D−パントテン酸産生生物の非活性量、活性量及び/又は増殖可能量を含むことを特徴とする請求項11ないし18のいずれか1つに記載の動物用飼料サプリメント。
- 前記動物用飼料サプリメントが、微生物、好ましくは真菌、酵母菌及び/又は細菌の非活性量、活性量及び/又は増殖可能量を含むことを特徴とする請求項11ないし19のいずれか1つに記載の動物用飼料サプリメント。
- 前記動物用飼料サプリメントが、ケカビ属の真菌、サッカロミセス属の酵母菌及び/又は、腸内細菌科、サルモネラ科、シュードモナス科、バシラス科、コリネ型細菌のファミリーの及び/又はプロテウス及び/又はアクチヌム属の並びに/或いはそれらの混合物の菌の非活性量、活性量及び/又は増殖可能量を含むことを特徴とする請求項11ないし20のいずれか1つに記載の動物用飼料サプリメント。
- 前記動物用飼料サプリメントが、好ましくは糖及び/又は穀類及び/又は豆果及び/又は無機塩及び/又はD−パントテン酸、その塩並びに/或いはこれらの混合物をベースとする更なる添加物を含むことを特徴とする請求項11ないし21のいずれか1つに記載の動物用飼料サプリメント。
- 前記動物用飼料サプリメントが、見掛け密度0.35−0.7kg/l、好ましくは0.4−0.6kg/lの製品の形態にあることを特徴とする請求項11ないし22のいずれか1つに記載の動物用飼料サプリメント。
- 前記動物用飼料サプリメントが、10−2000μm、好ましくは20−1500μm、特に好ましくは25−1000μmそして最も好ましくは30−800μmの範囲の平均粒径を有することを特徴とする請求項11ないし23のいずれか1つに記載の動物用飼料サプリメント。
- 前記動物用飼料サプリメントが、コーティングを施された粉末、顆粒、ペレット並びに/或いはそれらの混合物であることを特徴とする請求項11ないし24のいずれか1つに記載の動物用飼料サプリメント。
- 動物用飼料及び/又は動物用飼料サプリメントへの添加物としての、請求項11ないし25のいずれか1つに記載の動物用飼料サプリメントの使用。
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