JP2004521111A - 局所麻酔薬および使用法 - Google Patents

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Abstract

本発明は非経口方法により投与される医薬製剤に関し、局所鎮痛効果が持続された医薬製剤に関する。さらに具体的には、本発明は局所鎮痛剤を含む医薬的に許容しうる生体適合性で、生分解性の担体、および局所鎮痛効果が持続するような様式による該担体の非経口投与に関する。
【選択図】図1

Description

【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、局所鎮痛効果の長期化をもたらす、非経口的方法により投与する製薬的製剤に関する。より具体的には、本発明は、局所麻酔薬を含む製薬上許容可能な生体適合性で生分解性の担体、および局所麻酔効果をより長期間得られる方法による、該担体の非経口投与に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
局所麻酔薬は、局所知覚麻痺および/または鎮痛をもたらす薬物である。全身麻酔薬として利用される化合物は、意識消失により疼痛を軽減するが、局所麻酔薬は、身体中の限局された投与領域の感覚を消失させることにより作用する。局所麻酔薬は、手術および痛みを伴う措置のための局所麻酔を提供してきた長い歴史をもつ薬物の一員である。一般に、これらの製品は、作用開始が急速であるが、比較的作用持続時間は短い。
【0003】
局所麻酔薬の投与技術において、様々な器具および製剤が知られている。例えば、局所麻酔薬は、溶液または懸濁液として、注射、注入、浸潤、灌注、塗布などにより送達される。注射または注入は迅速に行うことができる。また、局所効果の長期化が望ましい場合には、局所麻酔剤を重力点滴または注入ポンプを用いて継続的に投与すればよい。
【0004】
局所麻酔薬は、以下の米国特許:米国特許第5,618,563号;米国特許第5,747,060号;米国特許第5,700,485号;米国特許第5,942,241号;米国特許第5,922,340号;米国特許第6,046,187号に開示されている。
【0005】
比較的長時間作用する局所麻酔薬である、塩酸ブピバカインは、例えばエピネフリン(二酒石酸塩として、1:200,000)含有および非含有の無菌等張溶液中、塩酸マーカイン(登録商標)およびセンソルカイン(Sensorcaine)として市販されている。これは、局所浸潤、末梢神経ブロック、仙骨ブロック、および腰椎硬膜外ブロックを介した注射のためのものである。仙骨ブロック、腰椎ブロック、または末梢神経ブロックのためにヒトにマーカイン(登録商標)を注射すると、30分から45分以内にブピバカインの血中ピーク濃度に達し、その後、3〜6時間の間に微々たるレベルにまで低下する。
【0006】
より長い期間にわたり局所麻酔、疼痛寛解または鎮痛が得られる、局所麻酔薬の送達システムおよび送達法が望まれる。特に、鎮痛作用/麻酔作用の長期化が得られる投与可能な送達システムおよび送達法、または注射が非常に望まれると考えられる。
【発明の開示】
【0007】
(発明の目的および要約)
本発明の目的は、例えば、注射、浸潤、または植え込みにより投与でき、投与部位において、局所知覚麻痺、疼痛寛解、局所鎮痛、局所麻酔、または神経遮断の長期化をもたらす、局所麻酔製剤を提供することである。
【0008】
本発明の別の好適な実施態様の別の目的は、ヒト患者の所望の部位に投与した場合に、投与後に鎮痛活性が望むように開始され、持続時間が長期化された、適切な(例えば部分的または完全な)感覚ブロック(例えば局所鎮痛、局所麻酔、または両方)が得られ、しかも安全に得られる、生体適合性で生分解性の局所麻酔薬の放出制御型製剤を提供することである。
【0009】
前記の目的および他の目的に従って、本発明は、一部には局所麻酔薬を含む生体適合性で生分解性の放出制御性担体をヒト患者の所望の部位に投与することを特徴とする、放出制御型製剤およびヒトに局所麻酔を施す方法に関し、該製剤によりヒトの投与部位において、局所麻酔もしくは疼痛寛解(局所鎮痛)、局所知覚麻痺もしくは神経遮断が発現され(初回投与時の投与後約2時間未満に起こる)、効果は投与後少なくとも約1日間持続する。
【0010】
特定の実施態様において、本発明は、ブピバカイン遊離塩基と、遊離カルボン酸末端基を有する乳酸とグリコール酸の65:35DLコポリマーを含む生体適合性で生分解性ポリマーとを含有する、複数の放出制御型マイクロスフェアを含む製剤を、ヒトの部位に投与することを特徴とする、ヒトに局所鎮痛、局所麻酔、または神経遮断をもたらす方法に関する。該コポリマーは約40kDa〜約120kDaの分子量を有し、該マイクロスフェアは約60重量%〜約85重量%のブピバカイン遊離塩基を含み、該マイクロスフェアは非経口投与用の製薬上許容可能な媒体中に含まれ、該製剤は約2.25mg/ml〜約36.0mg/mlの濃度のブピバカイン遊離塩基を有し、該製剤は投与前に、総量約45mg〜約360mgのブピバカイン遊離塩基を含み、その結果として該製剤が初回投与後約2時間未満で投与部位において局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断をもたらし、局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断が初回投与後少なくとも約1日間持続するようになる。本発明は、この方法に利用される製剤に関する。
【0011】
特定の好適な実施態様において、局所鎮痛薬の持続時間は少なくとも約2日間であり、所望により、持続時間は投与後約2日間〜約7日間であり得る。特定の他の好適な実施態様において、局所鎮痛薬の持続時間は投与後約2日間〜約4日間であるか、または約3日間〜約5日間、または約4日間〜約7日間である。
【0012】
特定の実施態様において、製剤はさらに、即時放出形の第二の局所麻酔薬の投与量を含み、前記の第二の局所麻酔薬により、製剤投与後約5分間未満で活性が発現する。
【0013】
他の実施態様において、製剤は局所麻酔薬を含む多数の放出制御型マイクロスフェアを含む。特定の好適な実施態様において、製剤はさらに局所麻酔薬の作用を長期化するのに有効な量の増強剤を含む。
【0014】
特定の好適な実施態様において、製剤中に取り込まれた局所麻酔薬はブピバカイン遊離塩基である。
【0015】
本発明はさらに、患者のある部位で局所麻酔または局所鎮痛または疼痛寛解または神経遮断をもたらし、1用量の局所麻酔薬を含む多数の生体適合性で生分解性の放出制御型マイクロスフェアを含み、投与部位において局所鎮痛が発現され(投与後約2時間未満で)、局所鎮痛を投与後少なくとも約1日間持続させる製剤に関する。マイクロスフェアは、所望の部位に投与する前に、非経口的な注射用または浸潤用の製薬上許容可能な媒体に懸濁し得る。
【0016】
特定の好適な実施態様において、マイクロスフェアはさらに増強剤を含み、投与後少なくとも72時間持続する局所鎮痛をもたらす。
【0017】
特定の好適な実施態様において、マイクロスフェアはさらに増強剤を含み、投与後少なくとも約4日間続く局所鎮痛をもたらす。
【0018】
特定の好適な実施態様において、製剤は投与後約2日間から約7日間の期間にわたり、ヒト患者の投与部位において測定可能な感覚応答の変化をもたらす。
【0019】
特定の好適な実施態様において、本発明の局所麻酔製剤は増強剤を含み、投与後約4日間から約7日間の期間にわたり、ヒト患者の投与部位において測定可能な感覚応答の変化をもたらす。
【0020】
他の好適な実施態様において、製剤は有効量の増強剤を含まず、投与後約1日間から約3日間の期間にわたり、ヒト患者の投与部位において測定可能な感覚応答の変化をもたらす。所望により、製剤は増強剤を全く含まない。
【0021】
特定の好適な実施態様において、局所麻酔製剤はさらに、即時放出形の第二の局所麻酔薬を含み、該製剤の非経口投与後5分以内に活性が発現される。
【0022】
本発明はさらに、局所麻酔薬(任意の増強剤を含有または非含有)を含む本明細書に記載したものなどの、生体適合性で生分解性の放出制御担体を含む有効量の製剤を、ヒト患者または哺乳動物に投与することを特徴とする処置法に関する。
【0023】
放出制御型局所麻酔薬投与形は、麻酔薬が放出されるべき部位に、注射、浸潤、植え込み、または当業者に既知の任意の他の様式で投与し得る。これは、手術前でも、手術時でも、全身麻酔または外傷もしくは損傷の除去(中止)後または回復後でもよい。
【0024】
特定の好適な実施態様において、局所麻酔薬を生体適合性で生分解性のポリマー、好適にはマイクロスフェアまたはマイクロカプセルの形に取り込み、次にこれを、患者の所望の部位(例えば皮下)に投与(例えば注射、外套針または他の浸潤手段)するために製薬上許容可能な担体に懸濁する。マイクロスフェアに取り込まれた局所麻酔薬は、鎮痛持続時間が例えば投与後約4〜5日間に延長された、持続時間の延長された局所麻酔製剤(「EDLA」)でもよい。EDLA製剤の持続時間長期化は、増強剤(例えばデキサメタゾンなどのグルココルチコイド)の取り込みにより可能となる。他の好適な実施態様において、マイクロスフェアに取り込まれた局所麻酔薬は増強剤を取り込んでおらず、鎮痛持続時間は投与後約1〜約3日間である。このような製剤は、本明細書で、中程度の持続時間を有する局所麻酔薬(「IDLA」)と称する。好適な実施態様において、EDLA製剤でもIDLA製剤でも、投与部位における測定可能な感覚所見の変化の開始は(鎮痛の指標となる)、約2時間以内に起こる。
【0025】
特定の好適な実施態様において、本発明の製剤は、局所麻酔薬(ブピバカイン塩基など)が、任意選択の増強剤(デキサメタゾンなど)と共にまたはその不在下で、放出制御担体(PLGAなど)全体に均一に分布していない、マイクロカプセルを含む。特定の好適な実施態様において、マイクロカプセルは「殻」および「芯」を含み、薬物(群)の大部分は芯(例えば約60〜100%、好ましくは約70〜90%)に見出され、残りの薬物(群)は、マイクロカプセルの殻に見出される。さらに好適な実施態様において、このようなマイクロカプセルは好ましくは200ミクロンより小さい平均粒子サイズを有し、好ましくは約5〜約150ミクロン、より好ましくは約25〜約125ミクロンの粒度分布を有している。さらに好適な実施態様において、マイクロカプセルの「殻」は平均厚さが約1〜約10ミクロンであり、より好ましくは平均厚さは約3〜約5ミクロンである。
【0026】
特定の実施態様において、本発明はさらに、微小透析により測定できる、本明細書に開示したような特定の薬物動態パラメータを示す、開示の製剤および方法に関する。
【0027】
本明細書に使用したような「局所麻酔剤」または「局所麻酔薬」なる語は、局所の知覚麻痺、疼痛寛解、神経遮断、鎮痛、および/または麻酔をもたらす任意の薬物を意味する。この語はまた、例えば局在的にまたは浸潤もしくは注射などにより局所投与した場合に、感覚知覚および/または運動機能の局所的な完全または部分的な阻止をもたらす任意の薬物を含むが、これに限定されない。いずれの定義の下でも、このように誘導された局所状態は、本明細書では「局所鎮痛」とも称する。本発明の意図では、「局所麻酔薬」なる語はまた、例えば局在的にまたは浸潤もしくは注射などにより局所投与した場合に、感覚知覚および/または運動機能の局所的な完全または部分的な阻止をもたらす薬物を含むが、これに限定されない。一般的に知られている局所麻酔剤は、ブピバカイン、レボ−ブピバカイン、ロピバカイン、ベンゾカイン、ジブカイン、プロカイン、クロロプロカイン、プリロカイン、メピバカイン、エチドカイン、テトラカイン、リドカイン、およびキシロカイン、並びに、その麻酔活性誘導体、類似体およびその混合物も含む。「局所麻酔剤」なる語句はまた、典型的には全身投与されるが、局所効果のみが得られるように投与することもできる薬剤も含むことができる。「局所麻酔薬」なる語句は、従来の局所麻酔特性を伴うクラスの薬物(例えば、モルヒネ、フェンタニル、および、例えば侵害受容経路(求心性および/または遠心性)の領域性遮断を行なうことのできる薬剤)とは異なるクラスの薬物も含むことができる。局所麻酔薬は、塩の形、例えば、塩酸塩、臭化物塩、酢酸塩、クエン酸塩、炭酸塩または硫酸塩、あるいは遊離塩基の形を取りうる。遊離塩基は一般に、初期放出がよりゆるやかで、注射部位における局所麻酔薬の早期「ダンピング」は回避される。
【0028】
本発明の放出制御型製剤および方法は、これに限定されないが、微粒子、例えばマイクロスフェアまたはマイクロカプセルなど、リポソーム、ゲル、ペースト、トロカール、錠剤、植え込み可能な棒、ペレット、プレートまたはファイバーなどを含み、当分野で既知の用途、浸潤、植え込み、挿入、または注射用の任意のシステムと共に使用し得る。本明細書に使用した「マイクロスフェア」なる語は、薬物、例えば局所麻酔薬が生体適合性で生分解性のポリマー全体に(均一にまたは非均一に)分布しているマトリックスを包含するものとする。薬物(群)がポリマー全体に均一に分布していないマイクロスフェアは、これとは別に、本明細書ではマイクロカプセルと称する。「微粒子」なる語は、本明細書では、マイクロスフェアと同義語として使用する。ある好適な実施態様において、局所麻酔薬マイクロスフェアは、マイクロカプセルである。
【0029】
本明細書に使用した放出制御および持続放出なる語は、活性薬剤の放出持続時間長期化および/または作用持続時間長期化を示し、当分野ではよく理解されており、特記しない限り同義語であるものとする。
【0030】
本明細書に使用した、「患者」なる語は、広義には、本明細書に開示した組成物および方法で処置される任意の動物、好適にはヒトを意味する。開示された持続時間の延長された微粒子製剤により、活性薬剤の長期化した、ならびに効果的な投与ができる。特に、開示の方法および組成物は、局所麻酔の長期化が簡便または望ましい、鳥類および哺乳類などの、獣医療および畜産業に有用である。ある実施態様において、製剤は、好ましくは、イヌまたはネコなどのペット動物に使用され、他にはウマにも使用し得る。好適な実施態様において、「患者」なる語は、局所鎮痛または局所神経遮断または局所知覚麻痺の長期化が必要である、または望まれるヒトを含む。
【0031】
本明細書に使用したような「単位量」なる語は、哺乳動物被験体用の単位量として適した物理的に別個の単位を意味し、各単位は活性成分として、所定の量の局所麻酔薬を含む。本発明によると局所麻酔薬の適切な単位量の例は、適切な注射用容器中の液体調製物、適切な液体ベヒクル中で無菌注射用調製物を即時に調製するための、もしくは固形状植え込み剤として投与するための無菌乾燥調製物を含む。
【0032】
本明細書に使用した「Cmax」なる語は、1回投与後に得られる血漿中または組織中の薬物の最高濃度である。
【0033】
本明細書に使用した「Tmax」なる語は、投与形の投与後に、血漿中または組織中の薬物濃度が1回投与後に最高濃度に達するまでに経過する時間である。
【0034】
本明細書に使用した「AUC」なる語は、血漿中または組織中の濃度−時間の曲線下面積である。AUCtは、測定した区間の曲線下面積であり、AUC∞なる語は、曲線下の外挿面積である。
【0035】
本発明の目的における「平均」なる語は、薬物動態値の定義に使用する場合、例えば添付の実施例で検査したようなヒト個体群またはより大きな個体群で測定した算術的平均値を示す。
【0036】
詳細な説明
本発明の製剤は、非経口投与し得る。適切な投与位置としては、これに限定されないが、皮下、筋肉内、肋間、単一神経、硬膜外、または関節内が含まれる。本発明の別の好適な実施態様の目的は、生体の以下の領域:頚部の表在および/または深在頚神経叢ブロック、斜角筋間、鎖骨上、鎖骨下、および腋窩から近づく腕神経叢、上肢筋皮神経、肘領域の神経(尺骨神経、正中神経、橈骨神経、外側前腕皮神経);手首領域の神経(尺骨神経、正中神経、橈骨神経);腰仙骨神経叢(大腰筋区画、腰神経叢、坐骨神経、総腓骨神経、表在および深在腓骨神経、前脛骨神経、腓骨神経、前脛骨神経、筋皮神経、脛骨神経);膝関節神経(総腓骨神経、脛骨神経、伏在神経);腰硬膜外、頚部、胸部および腰部脊髄神経根、肋間神経、胸部脊髄神経、脊髄副神経、舌下神経;外側大腿皮神経、肩甲上神経大腿神経、閉鎖神経、仙骨神経;産科学における子宮頚管傍および陰部ブロックに、局所鎮痛または麻酔を行なうことである。さらに本発明の製剤は、疼痛療法領域の遮断、特に交感神経遮断に感受性である、以下の神経:星状神経節叢、腹腔神経叢、腰交感神経、内臓神経、迷走神経;ガッセル神経節、翼口蓋神経節、後上歯槽神経、歯槽神経、眼窩下および前上歯槽神経、下歯槽神経、舌神経、上咽頭神経、下咽頭神経もしくは半回神経、眼神経の分枝(涙腺、前頭、および鼻毛様体)、下顎神経、篩骨神経、おとがい神経、舌神経、顔面神経、舌咽神経、眼窩上神経および滑車上神経を含む頭部領域;上顎神経および口蓋神経;眼窩下神経、おとがい神経、後頭神経、筋膜発痛点および肋間ブロック(胸部脊髄神経根、手背枝、肋骨角における腹側枝、後腋窩腺における腹側枝の遮断;背外側肋間ブロック);鼠径神経および腸骨下腹神経;頚神経叢;横隔神経;硬膜外ブロック(分節ブロック、連続的硬膜外ブロック、仙骨およびくも膜下ブロック、および脳脊髄幹ブロック、並びに本発明の製剤が有用であると考えられる任意の他の位置に関して使用できる。
【0037】
ある好適な実施態様において、本発明の製剤および方法は以下のように、インビトロで、生体適合性で生分解性の担体から局所麻酔薬を溶出することによりさらに特徴づけられる。
【表1】
Figure 2004521111
【0038】
前記したインビトロでの溶出範囲を、100RPM、37℃、pH3.0、900mlの10mMリン酸ナトリウム緩衝液中、USP IIパドル法により明記されたインビトロ条件に局所麻酔製剤をかけることにより決定することができる。
【0039】
ある好適な実施態様において、溶出範囲(前記に示したように決定)は、以下の通りである。
【表2】
Figure 2004521111
【0040】
本発明の製剤および方法のインビボでの効力は、ラットで、ホットプレートモデルを使用して、例えばIACUC No9511−2199に詳述した手順に従ってさらに評価することができる。本発明の製剤で確立された効力基準は、12秒間のカットオフ(このカットオフは、動物に対してあらゆる可能性のある傷害を予防するために課される)を用い、平均潜伏時間が約2秒間より長いことである。2秒間の潜伏時間は、局所麻酔薬が統計学的に有意な効果を有することを示すものである。好ましくは、ラットのホットプレートモデル下での平均潜伏時間は7秒間より長い。好ましくは、レスポンダーの比率は50%以上である。好ましくは、本発明の製剤ではラットホットプレートモデル下での平均潜伏時間は約7秒間より長く約12秒間までであり、効果を示すラットの比率は検査したラット中少なくとも約50%である。
【0041】
ヒトモデルにおける感覚検査は、局所麻酔製剤の検査に有用である。添付の実施例では、本発明による局所麻酔活性を、7つの特異的な様式:1)機械的感覚検査(フォン・フライ毛を使用した機械的疼痛検出閾値);2)1本のフォン・フライ毛を使用した閾値上(機械的)検査;3)温熱感覚検査(温検出閾値);4)熱疼痛検出閾値;5)閾値上(熱)検査;6)冷検出閾値;および7)触覚感覚検査(機械的接触検出閾値)を使用して、効果の発現、ピーク密度および持続時間に関して調べた。種々の程度またはレベルの結果は、患者が局所疼痛寛解、局所知覚麻痺、および/または局所神経遮断にかかっていることを示す。本発明の製剤および方法の麻酔活性を、局所部位における投与後に達成された全身の血漿中レベルなどの種々の活性の目安により、安全性の点でさらに特徴づけた。
【0042】
本発明の製剤は、好ましくはヒトの投与部位において、投与後約2時間未満に局所鎮痛効果が始まり、その効果は投与後少なくとも約1日間〜約7日間持続する。効果の持続時間は少なくとも1日間であるが、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、またはそれ以上でもよい。
【0043】
ある好適な実施態様において、該製剤はさらに、局所麻酔薬の効果を長期化するに有効な量の増強剤を含む。このような実施態様において、該製剤は投与後少なくとも約4日間局所鎮痛が持続し、場合によっては、好ましくは投与後約4日間〜約7日間持続する。このような製剤の例として、添付実施例の、特に実施例2の製剤が挙げられる。ある他の好適な実施態様において、局所鎮痛の持続時間はより短く、例えば投与後約24時間〜約36時間持続する。このような製剤の例として、添付実施例の、特に実施例1の製剤が挙げられる。
【0044】
しかし、以下に説明するように、当業者には、例示した製剤は結果として生じる鎮痛または麻酔の持続時間を変化させることなく改変できることが容易に理解されるだろう。
【0045】
製剤
必要時間持続する局所麻酔および/または鎮痛を提供するために、活性薬剤の持続放出を提供することができる、麻酔部位への局所浸潤もしくは注射に適した製薬上許容可能なベヒクルまたは製剤を使用することができる。当分野で知られている放出の緩徐な製剤は、特に、外科挿入用、または植え込み、挿入、注入または注射用の持続放出微粒子、例えばマイクロスフェアまたはマイクロカプセルとしてのコーティングされたペレット剤、ポリマー製剤もしくはポリマーマトリックスを含む。これらにおいて、活性医薬の緩徐な放出はマトリックスからの持続的拡散もしくは制御拡散および/または調製物のコーティングの選択的な分解またはポリマーマトリックスの選択的分解を介して達成される。患者の好適な局所部位へ薬剤を持続的にまたは即時に送達するための他の製剤またはベヒクルは、例えば、懸濁液、エマルジョン、ゲル、リポソーム、および皮下または筋肉内投与に許容される当技術分野で知られるあらゆる他の好適な送達ベヒクルまたは製剤を含む。
【0046】
局所麻酔薬の放出を制御するために、放出制御担体として、種々の生体適合性材料を使用することができる。当業者に知られているあらゆる製薬上許容可能な生体適合性ポリマーを利用することができる。生体適合性の放出制御性物質は、インビボで約1年以内に分解することが好ましく、好ましくは約3ヶ月以内に、より好ましくは約2ヶ月以内に分解する。より好ましくは、放出制御性物質は1〜3ヶ月以内に相当量が分解し、該物質の少なくとも50%は無毒性残渣に分解して体外に排出され、約2週間以内に、好ましくは約2日後から約7日後までの期間に薬物の100%が放出される。放出を持続させるだけでなく、所望の放出速度を提供するために、分解性で放出制御性の物質は、好ましくは加水分解により、表面侵食またはバルク侵食により分解する。しかし、これらの製剤の薬物動態的放出プロファイルは、所望の時間にわたり所望の可逆的局所麻酔効果を提供するためには、1次、0次、2段階または多段階であってもよい。
【0047】
適切な生体適合性ポリマーを、放出制御性材料として使用することができる。ポリマー材料は、生体適合性で生分解性のポリマーを含むことができ、ある好適な実施態様において、好ましくは乳酸とグリコール酸のコポリマーである。本発明の製剤に有用である好適な放出制御性物質は、ポリ酸無水物、ポリエステル、乳酸とグリコール酸のコポリマー(好ましくは、乳酸とグリコール酸の重量比が4:1以下、すなわち、80重量%以下の乳酸対20重量%以上のグリコール酸)、および、触媒または分解促進化合物を含む(例えば、無水マレイン酸などの無水触媒を少なくとも1重量%含む)ポリオルトエステルを含む。ポリエステルの例としては、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、およびポリ乳酸とポリグリコール酸のコポリマーが含まれる。他の有用なポリマーには、タンパク質ポリマー、例えばコラーゲン、ゼラチン、フィブリンおよびフィブリノーゲン、並びに多糖類、例えばヒアルロン酸が含まれる。
【0048】
ポリマー材料は、当業者に知られている任意の方法により調製することができる。例えば、ポリマー材料が、乳酸とグリコール酸のコポリマーからなる場合、このコポリマーは米国特許第4,239,539号(ルードヴィッヒら)に示された手順により調製することができる。あるいは、乳酸とグリコール酸のコポリマーを、当業者に知られている任意の他の手順により調製してもよい。
【0049】
本発明のマイクロスフェアの調製において、市販されている様々なポリ(ラクチド−コ−グリコリド)材料(PLGA)を使用することができる。例えば、アルカミーズ社(旧メディソルブ・テクノロジーズ・インターナショナル・エル・ピー(オハイオ州シンシナティ))から、ポリ(d,l−乳酸−コ−グリコール酸)が市販されている。Medisorbから市販されている好適な製品は、MEDISORB 5050 DLとして知られている、50:50のポリ(D,L)乳酸−コ−グリコール酸である。この製品は、50%ラクチドと50%グリコリドのモル%組成を有する。市販されている他の好適な製品は、Medisorb65:35DL、75:25DL、85:15DLおよびポリ(d,l−乳酸)(d,l−PLA)である。また、ベーリンガー・インゲルハイム(ドイツ)からそのRESOMER(登録商標)の商標名で、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(例えばPLGA50:50(RESOMER RG 502)、PLGA75:25(レソマーRG 752)およびd,l−PLA(RESOMER RG206))が市販されており、そしてバーミンガム・ポリマー(アラバマ州バーミンガム)からもポリ(ラクチド−コ−グリコリド)が市販されている。これらのコポリマーは、様々な範囲の分子量および乳酸対グリコール酸比率で入手可能である。
【0050】
他の有用なポリマーには、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリカプロラクトン、ポリホスファゼン、ポリホスホエステル、多糖類、タンパク質性ポリマー、可溶性多糖類誘導体、可溶性タンパク質性ポリマー誘導体、ポリペプチド、ポリエステルおよびポリオルトエステル、またはこれらのいずれかの混合物もしくはブレンドが含まれる。本発明で有用な製薬上許容可能なポリ酸無水物は、水に不安定な無水物結合を有する。薬物放出速度は、利用する具体的なポリ酸無水物ポリマーおよびその分子量により調節できる。多糖類は、ポリ−1,4−グルカン、例えばデンプングリコーゲン、アミロース、アミロペクチンおよびその混合物であり得る。生分解性の親水性または疎水性ポリマーは、加水分解されたアミロペクチン、加水分解されたアミロペクチンのヒドロキシアルキル誘導体(例えばヒドロキシエチルデンプン(HES)、ヒドロキシエチルアミロース、ジアルデヒドデンプンなど)などを含む、ポリ−1,4−グルカンの水溶性誘導体であってもよい。ポリ酸無水物ポリマーは、分岐でも鎖状でもよい。本発明に有用であるポリマーの例には、(ポリ(乳酸)および/またはポリ(グリコール酸)のホモポリマーおよびコポリマーの他に)、ポリ[ビス(p−カルボキシフェノキシ)プロパン無水物](PCPP)、ポリ[ビス(p−カルボキシ)メタン無水物](PCPM)、オリゴマー化した不飽和脂肪酸のポリ酸無水物、追加のカルボン酸を含むように修飾されているアミノ酸から調製したポリ酸無水物ポリマー、芳香族ポリ酸無水物組成物、および他の物質とポリ酸無水物のコポリマー、例えば脂肪酸末端のポリ酸無水物、例えば不飽和脂肪酸または不飽和脂肪族酸のダイマーおよび/またはトリマーのモノマーから重合したポリ酸無水物が含まれる。ポリ酸無水物は、参照して本明細書に組み込まれた、米国特許第4,757,128号に示した方法に従って調製し得る。ポリオルトエステルポリマーは、例えば、参照して本明細書に組み込まれた、米国特許第4,070,347号に示したように調製し得る。ポリホスホエステルは、米国特許第6,008,318号、第6,153,212号、第5,952,451号、第6,051,576号、第6,103,255号、第5,176,907号および第5,194,581号に示したように調製および使用することができ、これら文献の全体を本明細書に参照して組み込まれる。
【0051】
また、タンパク質様ポリマーも使用することもできる。タンパク質様ポリマーおよびこれらの可溶性誘導体には、ゲル化生分解性合成ポリペプチド、エラスチン、アルキル化コラーゲン、アルキル化エラスチンなどが含まれる。生分解性合成ポリペプチドには、ポリ−(N−ヒドロキシアルキル)−L−アスパラギン、ポリ−(N−ヒドロキシアルキル)−L−グルタミン、N−ヒドロキシアルキル−L−アスパラギンおよびN−ヒドロキシアルキル−L−グルタミンと他のアミノ酸とのコポリマーが含まれる。提唱されるアミノ酸には、L−アラニン、L−リジン、L−フェニルアラニン、L−バリン、L−チロシンなどが含まれる。
【0052】
他の実施態様において、実際に局所麻酔薬の担体として作用する放出制御性物質は、生体接着性ポリマー、例えばペクチン(ポリガラクツロン酸)、ムコ多糖類(ヒアルロン酸、ムチン)または無毒性レクチンをさらに含むことができ、あるいは、ポリマー自体が生体接着であることもできる(例えばポリ酸無水物または多糖、例えばキトサン)。
【0053】
生分解性ポリマーがゲルを含む実施態様において、1つのこのような有用なポリマーとしては、熱でゲル化するポリマー、例えばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド(PEO−PPO)ブロックコポリマー、例えばBASF Wyandotteのプルロニック(登録商標)F127である。このような場合、局所麻酔製剤は、30℃を超える温度(例えば患者に注射する場合)で急速にゲル化する自由に流動する液体として注射器により注射し得る。その後、ゲルシステムは投与部位において、定常的に局所麻酔薬の用量を放出する。
【0054】
マイクロスフェア
本発明のある実施態様において、マイクロスフェアは圧縮成形などの方法ではなく、製剤全体に局所麻酔薬を均一に分散する方法、例えばエマルジョン調製、溶媒流し込み、噴霧乾燥または加熱融解を使用して製造する。ある好適な実施態様において、マイクロスフェアはマイクロスフェアの中心へと局所麻酔薬を集中させる、すなわちマイクロカプセルを形成する方法を使用して製造される。ある好適な実施態様においては、マイクロスフェアの外側へと局所麻酔薬を集中させることが許容される。
【0055】
本発明のある好適な実施態様において、基剤は増強剤と共にまたはその不在下で、局所麻酔剤の負荷された多数のマイクロカプセルを含む。マイクロカプセルは、例えば、局所麻酔剤を有機溶媒に溶解または分散し、壁形成材料(ポリスチレン、アルキルセルロース、ポリエステル、多糖類、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、セルロースアセテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ジブチルアミノヒドロキシプロピルエーテル、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール−ジエチルアミノアセテート、2−メチル−5−ビニルピリジンメタクリレート−メタクリル酸コポリマー、ポリプロピレン、ビニルクロリド−ビニルアセテートコポリマー、ジステアリン酸グリセロールなど)を該溶媒に溶かし;その後、局所麻酔剤と壁形成材料を含む溶媒を連続相処理媒体に分散させ、その後、一部の溶媒を蒸発して、局所麻酔剤を懸濁液に含むマイクロカプセルを得て、最後に残りの溶媒をマイクロカプセルから抽出することにより調製することができる。この手順は、米国特許第4,389,330号および第4,530,840号に、より詳細に記載されている。
【0056】
ポリマー材料の場合、生体適合性は、標準的な技術を使用してポリマーを形成するモノマーおよび/またはポリマーを再結晶化することにより増強できる。
【0057】
所望の放出プロファイルは、特定のポリマー分子量および親水性、異なる放出速度を有するポリマー混合物および/または、局所麻酔剤および/または増強剤の種々の負荷量%を用いて達成することができる(例えば、1日、3日および1週間で放出する局所麻酔剤および/または増強剤)。さらに、同じまたは異なる放出制御プロファイルを有する1種以上の異なる局所麻酔剤を有するマイクロスフェアの混合物を使用して、処置過程において種々の活性強度および活性スペクトルという利点を得ることができる。
【0058】
マイクロスフェアは好ましくは、局所浸潤または注射に適したサイズ分布範囲で製造される。マイクロカプセル、マイクロスフェアもしくは他の粒子の直径および形状を操作して、放出特性を改変することができる。例えば、平均直径は異なるが組成は同じマイクロスフェアと比較した場合、直径のより大きなマイクロカプセルまたはマイクロスフェアは、一般的に、放出速度が遅く組織浸透度が低いが、直径がより小さいマイクロカプセルまたはマイクロスフェアは、これと反対の結果をもたらす。注射可能なマイクロカプセルまたはマイクロスフェアの平均直径は、例えば、直径約5ミクロン〜約200ミクロンなどのサイズ範囲にある。より好適な実施態様において、マイクロカプセルまたはマイクロスフェアの平均直径範囲は約20〜約130ミクロンである。
【0059】
本発明の局所麻酔製剤の調製に使用し得る、例えば円柱形などの他の粒子形状を使用しても、放出速度を改変することができる。なぜなら、これらの形状は球状に比べて質量に対する表面積の比率が大きいためである(これはこのような代替的な幾何学的形状に固有な特徴である)。
【0060】
本発明のある好適な実施態様に使用されるポリマー、特に、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(本明細書では「PLGA」と称する)は、好ましくは約5キロダルトン(kDa)〜約200kDaの分子量を有している。好ましくは、分子量は約20kDa〜約50kDaである。好適なポリマー材料のインヘレント粘度は約0.19〜約0.7dl/gであり、最も好ましくは約0.25〜約0.43dl/gである。ある好適な実施態様において、これらのポリマーの末端はカルボン酸の酸末端である。ある好適な実施態様において、マイクロスフェアに使用されるポリマーはポリ(ラクチド−コ−グリコリド)であり、乳酸とグリコール酸の比は、約75:25から約50:50、好ましくは65:35である。ある好適な実施態様において、ポリマーは乳酸とグリコール酸の65:35DLコポリマーである(インヘレント粘度は約0.25〜約0.42dL/g;分子量は約40kDaで、遊離カルボキシル基を有する)。ある好適な実施態様において、ポリマーに取り込まれた局所麻酔薬はブピバカイン塩基である。
【0061】
局所麻酔薬は、好ましくは0.1重量%〜90重量%またはそれ以上、好ましくは5重量%〜80重量%またはそれ以上、より好ましくは65〜80重量%の比率で、マイクロスフェアに取り込まれる。さらにより好適な実施態様において、局所麻酔薬は約70〜75重量%で負荷される。
【0062】
本発明のマイクロスフェアからの局所麻酔薬の拡散放出は、ポリマー特性(分子量(MW)、コモノマー比および親水性)の改変を含み、プロセスパラメータの変更またはポロソゲン(無機塩およびポリエチレングリコール)の添加によるマトリックス有孔度の増加、および薬物の溶出速度/溶解度の増加による多くの方法で変化させることができる。
【0063】
マトリックスの拡散率
スフェアからの拡散は、以下の式に示すフィックの第一法則の改変により数学的に表現される。
【数1】
Figure 2004521111
【0064】
ポリマーマトリックスを通る薬物の流出(dM/dt)は、拡散係数(D)、マトリックスの有孔度(ε)、放出媒体中の薬物の溶解度(Cs)、マトリックスの半径(R)、スフェア境界層表面(r)、薬物が表面に到達するために移動しなければならない距離(h)、および細孔屈曲度(T)に依存する。式1で証明されるように、薬物の特性を変化させることなく拡散放出を変化させる選択肢は、マトリックスの有孔度を増加(細孔屈曲度を減少)し、スフェアの半径(粒子サイズ)を変化させ、ポリマーの分子量を減少(Dを増加)することにより制御できる。
【0065】
ある好適な実施態様において、マイクロスフェアは多孔性マイクロカプセルである。このような環境では、マイクロカプセルからの拡散率は、以下の式2により、より良く特徴づけできる。
【数2】
Figure 2004521111
【0066】
ポリマーマトリックスを通る薬物の流出(dM/dt)は、拡散係数(D)、マトリックスの有孔度(ε)、放出媒体中の薬物の溶解度(Cs)、スフェア境界層表面(r)、薬物が表面に到達するために移動しなければならない距離(h)、および細孔屈曲度(T)に依存する。式2で証明されるように、薬物の特性を変化させることなく拡散放出を変化させる選択肢は、マトリックスの有孔度を増加(細孔屈曲度を減少)させること、カプセル化したポリマー殻の厚さを変化(hを減少)させること、スフェア表面積(r)を増加させることに限定されない。
【0067】
ポリマー特性の変化
ポリマー特性、例えば、分子量(MW)、コモノマー比およびポリマー末端基の種類は、カプセル化している殻の構造の決定、および殻を通しての薬物拡散に役割を果たすことができる。カプセル化している殻マトリックスの水和が増加するにつれて、膨潤マトリックスにおける細孔屈曲度(拡散抵抗性)の減少および溶出と輸送の増加により、拡散速度も増加する。
【0068】
ポリマーの分子量は、放出プロファイルの操作に使用できる。一般に、低分子量のポリマーでは、より大きな孔(細孔屈曲度の減少)および流出の増加を有するカプセル化殻の形成により放出は増加する。
【0069】
コモノマー比
コモノマー比はポリマーの別の重要な特性であり、放出パターンの改変に使用できる。乳酸はグリコール酸よりも疎水性が高いので、乳酸含量を減少することによりマトリックスの親水性を増加でき、マトリックスの水和を増加できる(同時に細孔屈曲度は減少する)。コモノマー比の改変は投与形の効力に大きな影響を及ぼす。
【0070】
末端基
PLGAは、合成プロセスの性質に応じて、エステルまたは遊離カルボン酸の末端となる。カルボン酸末端のポリマーは、イオン化できる官能基があるため、より親水性が高い。これらのポリマーは、より親水性の低いエステルが末端にあるポリマーに比べて、より急速に水和して、より急速に水解する。より親水性の高いポリマーはまた、より多孔性のカプセル化殻を生じる。これらの効果は、分子量のより小さいポリマーでは末端基に対する外形の長さの比が小さくなるので、より顕著である。より分子量の大きいポリマーでは、ポリマーの物理化学的特性はポリマー骨格により支配されるので、末端基を変化させてもあまり効果はない。さらに親水性ポリマーを急速に水和すると、ポリマー殻マトリックスを通るブピバカインの溶出はより速くなり、放出速度はより速くなる。
【0071】
薬物の溶出を増加させる関連した現象が、微小環境効果である。これは、より分子量の小さい親水性PLGAを使用した場合、マイクロスフェア中をより低いpH環境にできることを指す。pHは、最初に存在するカルボン酸残基をイオン化することにより生じる。このような局所酸性環境は、ブピバカイン塩基の溶出を助け、これによりその放出速度を増加する。
【0072】
ポリマーブレンド
ポリマーブレンド化により、放出を変化させる別の潜在的な可能性が提供される。ポリマーブレンド化により、薬物をカプセル封入したままで放出プロファイルは改変される。
【0073】
ポロソゲン
カプセル化殻マトリックスを通る拡散を増加させる別の可能性は、有孔度を増加させることである。ポロソゲンを製剤に加えると、容易に孔が形成できる。無機塩および水溶性ポリマー、例えばポリエチレングリコールを含む種々の可能性がある。
【0074】
ポロソゲンとしての無機塩
塩化カルシウムはエチルアセテートに可溶性であり、それ故、インライン滅菌ろ過を台無しにすることなく有機相に直接使用できる。CaClの他に、NaCl、クエン酸塩およびアスコルビン酸塩を使用して有孔度を増加できる。ポリエチレングリコール(PEG)は、多孔性を誘導するのに使用できる水溶性ポリマーである。その実用において多能性である広い範囲の分子量でPEGが入手可能である。有用なPEGには、例えば分子量8000および4600のPEGが含まれる。
【0075】
放出速度を変化させる他の技術
局所麻酔薬の塩(例えばブピバカインHCl)は、塩基(例えばブピバカイン塩基)よりも良好な水溶性を示す。これは、カプセル封入された薬物の溶出速度を高め、それにより放出速度を増加させる傾向がある。ブピバカインHClのブピバカイン塩基への添加によっても、ポロソゲンである薬物物質を得ることができる。
【0076】
薬物負荷
例えば、より低分子量のポリマーにシフトした場合には、急激な放出、作用の持続時間の短縮または毒性学的懸念を回避するために、マイクロスフェアへ負荷する薬物を減少させてもよい。
【0077】
溶媒抽出速度
溶媒をマイクロスフェアから取り除く速度は、マイクロスフェアの形態に影響を及ぼす場合がある(以下に示した製造法を参照のこと)。急速に溶媒を除去すると、非常に多孔性の内部構造を有するマイクロスフェアが得られ、一方、溶媒をゆっくりと除去するとポリマーが欠けた内腔が生じる。
【0078】
マイクロスフェアの製造法
ある好適な実施態様において、局所麻酔製剤は薬物を含むマイクロカプセルの製造中に調製される。製剤は、増強剤と共にまたはその不在下で、局所麻酔剤を負荷した複数のマイクロカプセルとして調製し得る。
【0079】
本発明の好適な実施態様において、局所麻酔マイクロスフェア製剤は、(i)界面活性剤および/または増粘剤(処理水)を含む水溶液と、ブピバカイン塩基原料および生体適合性で生侵食性ポリマーを含む有機溶媒(油)から「水中油滴型」エマルジョンを形成し;(ii)乳化後にクエンチ水を使用して、局所麻酔薬を負荷したマイクロカプセルを形成および硬化させ、溶媒を除去することにより調製される。ある好適な実施態様において、水相は適当量のポリビニルアルコール(PVA)を水に加え、加熱してPVAを溶かし、その後、適当量のエチルアセテートを加えることにより、エマルジョンのプロセス水(水相)を形成する。ある好適な実施態様において、有機相は、ポリマーを適切な溶媒に溶かし、その後、ブピバカイン塩基を加え、溶けるまで混合することにより調製される。
【0080】
増強剤がマイクロカプセルに含まれる実施態様において、増強剤はまた、局所麻酔薬の添加前または添加後に有機相に添加できる。ある好適な実施態様において、増強剤はデキサメタゾンであり、ブピバカイン塩基の添加前または添加後に有機溶媒に加える。
【0081】
マイクロカプセルは、例えば、有機溶媒中に局所麻酔剤を溶解または分散し、そして該溶媒中に壁形成材料(ポリスチレン、アルキルセルロース、ポリエステル、多糖類、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、酢酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ジブチルアミノヒドロキシプロピルエーテル、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール−ジエチルアミノアセテート、2−メチル−5−ビニルピリジンメタクリレート−メタクリル酸コポリマー、ポリプロピレン、ビニルクロリド−ビニルアセテートコポリマー、グリセロールジステアレートなど)を溶解し、次に、局所麻酔剤と壁形成物質を含む溶媒を連続相処理媒体中に分散させ、次に溶媒の一部を蒸発または抽出して、カプセル化懸濁液として局所麻酔剤を含むマイクロカプセルを得て、最後に、マイクロカプセルから残りの溶媒を抽出することにより調製される。この手順は、米国特許第4,389,330号および第4,530,840号に、より詳細に記載されている。
【0082】
マイクロカプセルおよびマイクロスフェアの製造法は公知であり、添付の実施例に代表される。マイクロカプセルおよび/またはマイクロスフェアの適切な製造法の例には、溶媒抽出、溶媒蒸発、相分離および流動床コーティングが含まれる。
【0083】
溶媒抽出/蒸発法では、有機溶媒に溶解可能である場合、生分解性ポリマーを揮発性または水溶性の有機溶媒に溶解し、薬物をこの有機層に添加し、この有機相を2%未満のポリビニルアルコールを含む水中で乳化し、最後に減圧下において溶媒を除去して、または大過剰の水の添加により、個々の硬化した単一構造のマイクロスフェアを形成することで、局所麻酔剤を生分解性ポリマー中に閉じ込めることができる。
【0084】
相分離マイクロカプセル化法は、水溶性の薬剤をポリマーの中に捕捉してマイクロカプセルおよびマイクロスフェアを調製するのに適している。相分離には、シリコーン油などの非溶媒の添加による、有機溶媒からのポリマーのコアセルベーションが含まれる。当該出願の開示内容は全て、参照して本明細書に組み込まれるが、マイクロカプセル/マイクロスフェアは第WO95/13799号に記載のようなラムスタックらのプロセスにより調製される。ラムスタックらのプロセスは、実質的に、活性薬剤およびポリマーを含む第一相および第二相を用意し、これらの相を、スタティックミキサーを通してクエンチ液中にポンピングし、活性薬剤を含む微粒子を形成させる。第一相および第二相は、場合により、実質的に非混和性であってもよく、第二相は、好ましくはポリマーおよび活性薬剤のための溶媒を含まず、乳化剤の水溶液を含む。
【0085】
流動床コーティングにおいて、薬物はポリマーと共に有機溶媒中に溶解される。次に、例えばワースタ式エア・サスペンションコーティング装置によりこの溶液が処理され、最終的なマイクロカプセル製品が形成される。
【0086】
植え込み剤
生分解性持続放出性材料は、放出制御性局所麻酔植え込み剤の製造に使用される。この植え込み剤は、例えば圧縮成形、射出成形、およびスクリュー押出しなどにより製造され、それにより局所麻酔剤がポリマーに負荷される。植え込み可能なファイバーは、例えば局所麻酔剤を持続放出性材料とブレンドし、次に、この混合物を例えば加圧下において押出して、生分解性ファイバーを得ることによって製造することができる。ある好適な実施態様において、増強剤を植え込み剤に取り込むこともできるし、あるいは植え込み剤の表面上にコーティングすることもできる。
【0087】
特定の位置、例えば関節にフィットするように形成されたペレット剤、平板状剤、または固形製剤は、外科的に麻酔剤を放出させたい部位に配置される。また、微粒子を含むゲル、ペーストまたは懸濁液を含む持続放出性ゲル、ペーストまたは懸濁液を、局所麻酔を得るために投与することもできる。背中または頚部の関節を処置するために、関節内注射により1箇所以上の椎間関節に投与形を投与することができる。
【0088】
他の製剤
ある製剤は、米国特許第6,120,789号および第5,990,194号に記載の製剤など、ヒトまたは動物において、固体マトリックスのインサイチューでの形成のための非ポリマー組成物を含み得る。このような組成物は、生体適合性の非ポリマー材料および製薬上許容可能な有機溶媒からなり、生分解性および/または生体内侵食性であり、水性液体または体液に実質的に不溶性である。有機溶媒成分は、非ポリマー材料を可溶化し、水または他の水性媒体への混和性から分散性までの溶解性を示す。動物またはヒトの植え込み部位に配置した場合、非ポリマー組成物は最終的に固体構造へと変換される。
【0089】
米国特許第5,747,058号に記載のような、他のある製剤において、(i)周囲条件または生理的条件下でニートで結晶化しないような、37℃で少なくとも5,000cPの粘度を有する非ポリマー性で水不溶性で高粘性の液体担体材料(HVLCM);および(ii)送達される物質を含む、物質を放出制御するための組成物が提供される。HVLCMは、粘度を下げる水溶性または混和性溶媒、例えばエタノール、ジメチルスルホキシド、エチルラクテート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、トリアセチン、N−メチルピロリドン、プロピレンカーボネート、グリコフロール、トリクロロフルオロメタンおよびジクロロフルオロメタンなどのフレオン、ジメチルエーテル、プロパン、ブタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジエチレンカーボネート、ブチレングリコール、N−(ベータ−ヒドロメチル)ラクトアミド、ジオキソラン、および他のアミド、エステル、エーテル、アルコールと混合して、より粘性の低い液体担体材料(LVLCM)を形成することができ、投与前に送達したい物質と混合される。LVLCMは、好ましくは、1000cPより低い、より特定すると200cPより低い粘度を有し、インビボでの用途に有用である。投与時に、組成物は生体内または表面上に配置され、溶媒がLVLCMから散逸または拡散して除去され、時間をかけて物質を放出するような粘性の高い植え込み剤または組成物がインサイチューで形成される。溶媒およびHVLCMを適切に選択することにより、多種多様な投与前および投与後の組成物粘度を達成できる。本明細書に記載したようなHVLCMは生分解性である。HVLCMは、溶媒と混合すると粘度がかなり減少し、制御送達するための基剤と混合できるLVLCMを形成する。LVLCM/基剤組成物は、典型的には、HVLCM/基剤組成物よりも生体内に配置し易い。なぜなら、シリンジまたは他の植え込み手段により、容易に流入または流出でき、エマルジョンとして容易に製剤化できるからである。ある場合では、2つの酢酸と6つのイソ酪酸部分を用いてエステル化したスクロース分子であるスクロースアセテートイソブチレート(「SAIB」)がHVLCMとして使用される。SAIBは、経口的に無毒性であり、食品産業でエマルジョンを安定化させるのに現在使用されている。SAIBは非常に粘性の液体であり、少し熱を加えるか、溶媒を加えると、粘度が劇的に変化するという異常な特性を有する。多くの生体適合性溶媒に可溶性である。溶液中またはエマルジョン中にある場合、SAIBは注射またはエアゾールスプレーにより施薬できる。SAIBは、物質の送達速度に影響を及ぼし得るセルロースエステルおよび他のポリマーと適合性を有する。他の場合では、HVLCMは、ステアレートエステル、例えばプロピレングリコール、グリセリル、ジエチルアミノエチルおよびグリコールのエステル、ステアレートアミドおよび他の長鎖脂肪酸アミド、例えばN,N’−エチレンジステアラミド、ステアラミドMEAおよびDEA、エチレンビステアラミド、ココアミドオキシド、長鎖脂肪酸アルコール、例えばセチルアルコールおよびステアリルアルコール、長鎖エステル、例えばミリスチルミリステート、ベヘニルエルケートおよびグリセリルホスフェートである。他の場合では、HVLCMは、アセチル化スクロースジステアレート(Crodesta A−10)である。HVLCMは、所望の効果を達成する任意の量で組成物に存在する。例えば、組織コーティングとしてまたは粘着予防のために、HVLCMは、保護フィルムまたはボーラスとして単独で使用しても、または、材料の特性または効果を増強する基剤と共に使用してもよい。HVLCMは組成物の全重量に対して、典型的には約99.5重量%〜約10重量%、より典型的には95重量%〜25重量%、最も典型的には85〜45重量%の範囲の量で制御送達組成物中に存在する。
【0090】
本発明の他の実施態様において、放出制御性材料は、人工脂質小胞すなわちリポソームを含む。薬物送達システムとしてのリポソームの使用は公知であり、その特性および臨床的な応用についての総合的な総説が入手可能でり、例えばバレンホルツおよびアムセレム、「Liposome Technology」第二版、ジー・グレゴリアディス編、CRC Press、1922;リヒテンベルクおよびバレンホルツ、Methods for Biochemical Analysis、33、デー・グリックら編、1988を参照のこと。リポソームは、水または水性緩衝液の区画により仕切られた1以上の同心脂質二重層からなる構造として定義される。これらの中空構造、これは内部に水性区画を有するが、20nmから10μmの直径を有するように調製される。これらは、その最終サイズおよび調製方法に応じて、SUV、小さな単ラメラ小胞(20〜50nm);LUV、大きな単ラメラ小胞(100nm);REV、逆層蒸発小胞(0.5μm);およびMLV、多重層小胞(2〜10μm)に分類される。
【0091】
本明細書に記載したリポソームのサイズは変化する。好ましくは、リポソームは、100nm〜10μまたはそれ以上の直径を有する。天然レシチン、例えば卵および大豆から得たもの、および合成レシチンを含む多種多様な脂質材料が、リポソームを形成するために使用される、ただし脂質は免疫原性がなく生分解性であることが好ましい。また、ドンブの米国特許第5,188,837号に記載されたようなポリマーの組合せで形成される脂質ベースの材料が使用される。
【0092】
それぞれの相転移温度と共に使用される合成レシチンの例としては、ジ−(テトラデカノイ)ホスファチジルコリン(DTPC)(23℃)、ジ−(ヘキサデカノイル)ホスファチジルコリン(DHPC)(41℃)およびジ−(オクタデカノイル)ホスファチジルコリン(DOPC)(55℃)が挙げられる。ジ−(ヘキサデカノイル)ホスファチジルコリンが、単独の、または主要のレシチンとして好ましく、任意で少量のジ−(オクタデカノイル)またはジ−(テトラデカノイル)化合物と共に用いられる。使用される他の合成レシチンは不飽和合成レシチン、例えばジ−(オレイル)ホスファチジル−コリンおよびジ−(リノレイル)ホスファチジルコリンである。他の脂質(例えば全脂質の5〜40重量%の割合)は、例えばコレステロールまたはコレステロールステアレートが主要なリポソーム形成脂質、通常リン脂質であるが、これに加え、リポソーム膜構造を改変し、主要リポソーム形成脂質の性質に応じてより流動性にするかまたは剛性にするために含まれていてもよい。
【0093】
ある実施態様において、脂質内に局所麻酔剤と共に増強剤が取り込まれる。他の好適な製剤において、局所麻酔剤を含む脂質は製薬上許容可能な水性媒体に分散される。この水性媒体の中に増強剤は取り込まれる。他の実施態様において、局所麻酔薬の用量の一部は、即時放出形で水性媒体中に取り込まれる。得られた製剤は水性懸濁液であり、この懸濁液は、遊離水性相とリポソーム相の間に分配された局所麻酔剤および/または増強剤を含む。
【0094】
さらに他の実施態様において、局所麻酔薬を含むリポソームは、麻酔すべき患者の所望の部位に投与するのに有用な水性の製薬的懸濁液を形成するための増強剤をリポソームが含むような水相で合わされる。これは注射または植え込みにより行なわれる。リポソームは、適量のリン脂質またはリン脂質混合物、または適切な溶媒(エタノールなど)中で流動している任意の他の所望の脂質可溶性成分(例えばコレステロール、コレステロールステアレート)をもつリン脂質と溶解し、蒸発乾固することにより調製される。次に、局所麻酔薬の水溶液を、任意で増強剤を含む水溶液が添加され、脂質膜が分散するまで混合される。得られた懸濁液は、サイズの異なるリポソームを含み、必要であれば分画して望まれないサイズのものは除去される。この分画は、カラムゲルクロマトグラフィー、遠心分離、超遠心分離により、或いは同じく当分野では公知である透析により行なうことができる。リポソームの前記調製法は、可能な手順の単なる例である。当業者であれば、多くの異なるリポソーム調製法を考え得る。これらは全て本開示により包含される。
【0095】
用途
可能な用途としては、局所神経もしくは神経エレメント遮断が望まれる任意の状態が含まれ、局所麻酔および/または局所鎮痛の両方、運動神経遮断および他の医学目的のための局所麻酔が含まれる。使用には、手術または措置の最中およびその後の疼痛を軽減するための、術前、術中および術後の投与が含まれる。利点は、特に、形成外科措置、および強力な鎮痛を必要とする措置に重要であり、長期化された局所鎮痛により罹患率は減少し、転帰は改善および向上するだろう。
【0096】
他の用途には、裂傷、骨折または結合組織歪みおよび分裂の結果、組織傷害が生じている、外傷患者に使用することが含まれる。使用にはまた、蛇または昆虫にかまれたための疼痛、または、医学的容態、例えば、膵炎または腎結石に因る疼痛の処置も含み得る。これらの製剤はまた、術後の痛み、交感神経により維持される痛み、複合性局所性疼痛症候群、神経因性疼痛、または他の形態の慢性的な痛みのような種々の形態の持続する痛みの処置に用いられ得る。本発明の方法の前記の適用は単に例として記載され、ヒトおよび獣の両方に実践するための他の用途は、直ちに当業者に理解されるだろう。
【0097】
局所麻酔薬は、ゼンツ、パンハス、ニーセル、クロイシャー、Regional Anesthesia、イヤー・ブック・メディカル・パブリッシャーズ社、シカゴ(1988)およびアドリアニ、Labat’s Regional Anesthesia、ウォレン・エイチ・グリーン社、セントルイス(1985)(両方の全体を参考として本明細書に組み込まれる)に記載のように、特定の神経を標的化することにより疼痛を遮断するために使用される。手術前、最中または手術後に、疼痛を、当分野で公知の種々の技術により以下の身体領域に適用した局所麻酔剤(EDLAを含む多くの形態で存在する)を使用して、疼痛を遮断し得る:頚部の表在および/または深在頚神経叢ブロック、斜角筋間、鎖骨上、鎖骨下、および腋窩から近づく腕神経叢、上肢筋皮神経、肘領域の神経(尺骨神経、正中神経、橈骨神経、外側前腕皮神経);手首領域の神経(尺骨神経、正中神経、橈骨神経);腰仙骨神経叢(大腰筋区画、腰神経叢、坐骨神経、総腓骨神経、表在および深在腓骨神経、前脛骨神経、腓骨神経、前脛骨神経、筋皮神経、脛骨神経);膝関節神経(総腓骨神経、脛骨神経、伏在神経);腰硬膜外、頚部、胸部および腰部脊髄神経根、肋間神経、胸部脊髄神経、脊髄副神経、舌下神経;外側大腿皮神経、肩甲上神経大腿神経、閉鎖神経、仙骨神経;産科学における子宮頸管傍および外陰部ブロック。
【0098】
以下は、疼痛療法領域の遮断、特に交感神経遮断に感受性の神経である:星状神経節叢、腹腔神経叢、腰交感神経、内臓神経、迷走神経。頭部領域は以下を含む:ガッセル神経節、翼口蓋神経節、後上歯槽神経、眼窩下および前上歯槽神経、下歯槽神経、舌神経、上咽頭神経、下咽頭神経もしくは半回神経、眼神経の分枝(涙腺、前頭、および神経鼻毛様体)、下顎神経、篩骨神経、おとがい神経、舌神経、顔面神経、舌咽神経、眼窩上神経および滑車上神経;上顎神経および口蓋神経;眼窩下神経、おとがい神経、後頭神経、筋膜発痛点および肋間ブロック(胸部脊髄神経根、手背枝、肋骨角における腹側枝、後腋窩腺における腹側枝の遮断;背外側肋間ブロック)。鼠径神経および神経腸骨下腹;頚神経叢;横隔神経;硬膜周囲ブロック(分節ブロック、連続的硬膜外ブロック、仙骨およびくも膜下ブロック、脳脊髄幹ブロック。
【0099】
ある実施態様において、製剤は局所麻酔薬(例えば、ブピバカイン)および生体適合性で生分解性のポリマーを含むマイクロカプセルを含む。ある好適な実施態様において、ポリマーは、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)である。ある好適な実施態様において、ポリマーは、インヘレント粘度が約0.25〜約0.42dL/gであり、分子量が約40kDaである、乳酸とグリコール酸の65:35DLコポリマーである。他の好適な実施態様において、製剤は、局所麻酔薬、所望により増強剤、およびポリマー、例えば約40kDa〜約120kDaの分子量を有する乳酸とグリコール酸の65:35DLコポリマーを含むマイクロスフェアを含む。他のある実施態様において、ポリマーの分子量は、約120kDaである。他の実施態様において、製剤は例えば約20kDa〜約120kDaまでの、種々の分子量のポリマーを利用したマイクロスフェア混合物を含む。
【0100】
製剤を皮下または筋肉内注射に使用する、ある好適な実施態様において、製剤は約2.25mg/ml〜約36.0mg/mlの濃度のブピバカイン遊離塩基を与え、約22.5mg〜約360mgのブピバカイン遊離塩基の1単位量を与え、該製剤は投与部位において局所鎮痛および/または局所麻酔を投与後約2時間未満で発現し、その効果は投与後少なくとも約2日間持続する。製剤を皮下または筋肉内注射に使用するある好適な実施態様において、製剤および方法は、例えば、媒体約16mlに対し、ブピバカインの強度を約4.5mg/mlで、媒体中に約6.25mg/mlの濃度のマイクロスフェアを含む。ある他の好適な実施態様において、製剤および方法はさらに、該媒体約8mlに対し、ブピバカインの強度は約9mg/mlで、媒体中に約12.5mg/mlの濃度で含まれるマイクロスフェアを含む。製剤を皮下または筋肉内注射に使用する、ある好適な実施態様において、製剤および方法はさらに、デキサメタゾンを例えば約2.5mcg/mlから約10.0mcg/mlの濃度で含む。ある好適な実施態様において、製剤および方法は、該媒体約4mlに対し、ブピバカインの強度は約18mg/mlで、マイクロスフェアを約25.0mg/mlの濃度で含む。
【0101】
投与法
本発明の製剤は好ましくは、処置される局所領域に効果持続時間の延長をもたらす。例えば、このような製剤により、局所鎮痛、局所知覚麻痺(麻酔)または局所疼痛寛解が、投与部位に、1日間、2日間、3日間またはそれ以上の期間にもたらされる。それ故、製剤は勿論、このような望ましい結果を得るために改変することができる。
【0102】
本発明の製剤は、これに限定されないが、切創または傷害(例えば裂傷)組織である筋肉、顔面、皮下および皮膚の組織への浸潤を含む注射、浸潤または注入により投与される。動脈内投与も考えられる。これらの使用は、手術後(例えば、開復術および腹腔鏡を含む切開)および外傷後(例えば裂傷)が考えられる。特定の適応症としては、ヘルニア修復のための外科的切開、腸骨稜移植部位、乳腺手術、帝王切開、会陰切開および一般的な腹部切開(胆嚢切除、大腸摘除/修復、胃修復など)の近傍組織における浸潤を含む。
【0103】
本明細書に記載したマイクロスフェアおよび他の注射可能な基剤を、製薬上許容可能なベヒクル(例えば、水)に取り込んで、注射のための懸濁液を調製可能である。最終復元製品の粘度は、投与経路に適した範囲となる。ある例では、最終復元製品の粘度は、所望の部位における皮下または筋肉内注射に適していると考えられるようなものであり、例えば約5〜15cps、好ましくは約8〜12cpsである。マイクロスフェアに好適な希釈剤としては、等張性を維持するための約5%のマンニトールまたは0.9%の塩化ナトリウム;分散剤として約0.01%〜約0.5%のポリソルベート80(またはポリソルベート20);および、所望の粘度を得るための約0.5%〜約3.0%のカルボキシメチルセルロースナトリウム(またはメチルセルロース)が含まれる。
【0104】
本発明のマイクロスフェアは好ましくは、注射、浸潤、注入などにより、所望の投与部位に注射するのに適したサイズ範囲で単位量として取り込まれる。注射および/または浸潤または注入による投与のために、本発明に記載の製剤は、マイクロスフェアの分散および懸濁、およびその後の注射および/または浸潤または注入に適した、当分野で既知のベヒクル中に懸濁(例えばマイクロスフェア用)または溶解(例えば製剤の即時放出性局所麻酔成分用)される。該ベヒクルには、単に例として、適切な界面活性剤および増粘剤などを含む等張な緩衝化または非緩衝化ベヒクルが含まれ、所望により、任意の他の既知の成分または薬剤、例えば着色剤、保存剤、抗生物質、エピネフリンおよび他の当分野で既知の成分を含み得る。全身投与および/または局所注射および/または浸潤により製剤を投与するための当分野で既知のベヒクルのより完全な列挙は、当分野で標準的な参考テキスト、例えば、REMINGTONS PHARMACEUTICAL SCIENCES、第16版1980および第17版1985、両者共、マック・パブリッシング・カンパニー(ペンシルバニア州イーストン)により出版されているが、これに記載されている。
【0105】
好適な投与法において、マイクロスフェアは、麻酔剤を放出したい部位に注射することにより投与される。このような投与は、シリンジおよび針またはトロカールを使用して行われる。また、本明細書に記載の製剤は、これらの教示は本明細書に組み込まれるが、シュナイダーら、Anesthesiology、74:270−281(1991)により報告されたような様式特異的な遮断を生じる、あるいはマスターズら、Soc.Neurosci.Abstr.、18:299(1992)により報告されたような、単回注射による遮断よりも持続放出に有用である物理化学的特性を有する局所麻酔剤を投与するために用いられる。
【0106】
皮下注射に適した形状で調製したマイクロスフェアの懸濁液は、当分野で公知の方法を使用して注射される。針の使用が好ましい。選択した針は、必要である限り、可能な限り、内径の小さい(大きな)ゲージである。一般に、皮下投与では、20〜23ゲージの1インチの針が使用される。本発明で使用される微粒子では、内径サイズを大きくすべきである(例えば18ゲージまで)。またこれにより、プラスチック注入カテーテルに入れている、穿刺針を取り出すことができる。いくつかの手順では、「皮膚のような」針が使用される。このような針は、内径は同じであるが長く、よって「皮膚のように」見える。心臓周囲などの位置では、皮膚のような針用のゲージは、同じであるが、針の長さは3〜4インチである。
【0107】
局所麻酔または鎮痛の必要な患者の部位に設置するに適した本発明に記載の微粒子(例えばマイクロカプセル)は所望により、例えば使用前に再水和する凍結乾燥形で調製することができる。例えば凍結乾燥粒子形の製剤はまた、望ましくは、滅菌された単位投与形で調製され、患者に設置するに許容される溶液中に懸濁した場合に、少なくとも1名の患者において、長期化された局所麻酔を誘発するに十分な量の該凍結乾燥粒子を含む容器に提供される。
【0108】
局所麻酔薬
本発明の製剤および方法に含まれる局所麻酔剤には、単に例として、ブピバカイン、ロピバカイン、ジブカイン、プロカイン、クロロプロカイン、プリロカイン、メピバカイン、エチドカイン、テトラカイン(N−ブチルテトラカインを含むがこれに限定されない)、リドカイン(N−β−フェニルエチルリドカインを含むがこれに限定されない)、アミノ安息香酸エチル、オキシブロカイン、オキセサゼイン、ベンゾキサジネート、プロパラカイン、ベンゾカイン、ブタンベン、ハロタン、イソフルラン、エンフルラン、メトキシフラン、キシロカイン、および、ブピバカインの通常の結晶形、並びに麻酔活性のあるその誘導体、類似体および混合物などが挙げられる。局所麻酔薬は、塩の形、例えば塩酸塩、臭化物塩、酢酸塩、クエン酸塩、炭酸塩または硫酸塩である。より好ましくは、局所麻酔剤は遊離塩基の形である。好適な局所麻酔剤はブピバカイン遊離塩基である。
【0109】
ある実施態様において、ブピバカイン遊離塩基は、1種以上の結晶状ブピバカイン多形を含む。ある好適な実施態様において、マイクロスフェアは、ブピバカインの結晶多形を含むマイクロスフィアである。ブピバカイン塩基原料のX線回折パターンと、マイクロスフェア中の変化した結晶形のブピバカインのそれとを比較すると、回折パターンに違いが認められる。主な違いは、約7.5、12.5、および20という°2θにおいて観察される。ブピバカイン塩基の融解転移(DSCサーモグラムで示されているように)は、本明細書で、ブピバカイン塩基(原料)について107.6℃と同定された。結晶状ブピバカイン多形の融解温度は、少なくとも2つの多形に対応して、94.4℃および100.8℃と同定された。このようなブピバカインの結晶状多形の粉末X線回折により、°2θが約7〜約9では約400〜約600カウント/秒(好ましくは約500カウント/秒)のピークが出現し;°2θが約12.5では実質的にピークはなく(例えば約100カウント/秒)、°2θが約20〜約21では約1300〜約1500カウント/秒のピークが出現する。これは、ブピバカイン原料において、°2θが約7〜約9では実質的にピークがなく(例えば約0カウント/秒)、°2θが約12.5では約700カウント/秒のピークが出現し(例えば約100カウント/秒);および°2θが19〜20では約750カウント/秒のピークが出現し、°2θが20〜21では実質的にピークがない(例えば200カウント/秒)ことで区別される。
【0110】
本発明のブピバカインの新規結晶多形(群)はまた、表1に示した以下のX線回折特性を本質的に示すものとして特徴づけられる。
【表3】
Figure 2004521111
【0111】
ある好適な実施態様において、製剤の鎮痛活性の発現時間は、即時放出形の比較的即効性の有効量の局所麻酔薬、例えばリドカインを併用投与または組合せ投与することにより短縮される。このような場合、鎮痛活性の開始は、即時から、投与約2時間後未満、好ましくは製剤投与約0分後から約5分間後までのいずれでもありうる。リドカインの濃度範囲は、例えば約0.5%〜約2%である。例えば本発明のさらなる実施態様には、希釈剤中にすぐ使用できるおよび/または濃縮されたリドカイン溶液(例えば20%)を混合することを含み、これにより、懸濁したマイクロスフェアの性能は、リドカインと希釈剤を混合した後の希釈剤の品質(例えば、望ましい懸濁ベヒクル特性を維持しながらの、リドカインの希釈効果)に依存する。本発明の別の実施態様において、リドカイン10%(濃縮)を希釈剤と合わせ、希釈剤による希釈を最小限にし、これによりリドカインの治療レベルを達成する。本発明のさらに別の実施態様において、リドカイン20%(濃縮)を希釈剤と合わせ、希釈剤による希釈をさらに最小限にし、これによりリドカインの治療レベルを達成する。好ましくは、このような混合溶液の粘度の最適な範囲は約8cSt〜約12cStである。
【0112】
増強剤
ある好適な実施態様において、局所麻酔製剤はまた、ある量の増強剤、例えばグルココルチコステロイド剤または非グルココルチコイド剤を含み、これは投与に適したどのような形状で提供されてもよい。本発明に記載の増強剤は、局所麻酔薬の投与前、同時または投与後に、局所麻酔薬を投与する部位に送達されると、局所麻酔薬の持続時間を長期化および/または局所麻酔剤の効力を増強する組成物または化合物である。増強剤の使用により得られる効力の増強は、放出制御型ブピバカインのインビトロ放出(溶出)に基づいては予測できない。本発明の放出制御性製剤が増強剤を含有することによって、インビトロにおいて製剤からのブピバカイン薬剤の溶出速度が実質的に変化したり、長期化されたりすることはないが、同製剤を、インビボで投与した場合には、局所麻酔の迅速な発現、および投与部位における局所麻酔の有意な時間延長をもたらす。ヒト臨床用途の増強剤の最適濃度も、以下に記載するような通常の動物スクリーニングによって容易に決定され、さらに特に記載した場合には通常の臨床的経験により調整することができる。
【0113】
本明細書に開示した増強剤は、持続放出形の局所麻酔剤の投与、例えば、局所用途、浸潤および/または注射の前、同時に、もしくはその後に投与することができ、それぞれ、インビボにおける局所麻酔の実質的な長期化を伴う。1つの実施態様において、局所麻酔剤および増強剤は、浸潤用の注射に用いる単一媒体中に局所麻酔剤と増強剤の両方を含むマイクロスフェア中で同時に投与される。これとは別に、局所麻酔剤および増強剤は、例えば注射または浸潤に適した単一(または別々)の媒体(群)に懸濁された別々のマイクロスフェアの形で投与される。さらなる実施態様において、単なる例として、局所麻酔剤と血管収縮剤を合わせた放出制御型マイクロスフェアの投与後に、このような組合せ製剤および/または活性成分として局所麻酔剤のみまたは血管収縮剤のみを含むマイクロスフェアを1回以上さらに投与してもよい。
【0114】
本発明に記載のマイクロスフェアは、単独で、あるいは局所麻酔薬の持続時間を長期化するのに有効な量のグルココルチコイドまたは非グルココルチコステロイド増強剤を含む溶液と組合せて投与することができる。さらに、好適な実施態様において、マイクロスフェアは局所麻酔薬の持続時間を長期化するに有効な量の増強剤を含む。別の方法において、増強剤が持続性放出のための別個のマイクロスフェア製剤に製剤化される場合、1つ以上の増強剤を、持続放出性局所麻酔剤の投与前、投与と同時、または投与後に投与することができる。増強剤のための放出制御速度は、局所麻酔薬の放出制御速度と同じであっても異なっていてもよい。この別個のマイクロスフェアは、1回の注射で、即ち単一の注射ベヒクルで、あるいは同時または別々の時間に数回に分けて注射することによって投与することができる。他の実施態様において、注射用担体または持続放出性担体中の注射用溶液として、持続放出性局所麻酔薬の効力が弱まった後に、追加の局所麻酔薬を同時投与せずに初回の局所麻酔薬を再活性化するために、遮断すべき神経に追加量の増強剤を投与することもできることが判明した。
【0115】
増強剤が製剤に含まれている製剤に関する本発明の実施態様において、増強剤を放出制御形または即時放出形で含むことができる。増強剤は、任意の製薬上許容可能な担体に取り込まれる。例えば、増強剤を局所麻酔薬を含むマイクロカプセル中またはその表面上に取り込んでも、投与に適した別々の粒子(例えばマイクロスフェア、マイクロカプセル)に取込んでもよい。別法として、増強剤を放出制御形または即時放出形で、浸潤または注射に適した製薬上許容可能な水性媒体に取り込んでもよい(別々に、または局所麻酔薬を含むマイクロカプセルと共に)。
【0116】
本発明のある実施態様において、増強剤は、グルココルチコステロイド剤、アルカリ化剤、非グルココルチコイドステロイドを含む以下の一般的なタイプまたはクラスの薬剤の1つ以上から得られ、それは例えば、神経活性ステロイドおよび/またはγ−アミノ酪酸(「GABA」)受容体のステロイド性モジュレーターもしくは非ステロイド性モジュレーター、細胞膜横断イオン輸送モジュレーター、例えばナトリウム、カリウムおよび/もしくはカルシウム細胞膜横断輸送の遮断剤または増強剤のような一価および二価金属イオンの膜輸送モジュレーター、解熱剤、アドレナリン作動性受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、例えばα−2受容体アゴニスト、例えば細胞内微小管の形成または破壊のいずれかを生じさせうる薬剤を含むチューブリン結合剤、浸透圧性多糖類、カリウムATPチャネルのアゴニストおよびアンタゴニスト、すなわちカリウムATPチャネルを開閉可能)、Na,K−ATPアーゼ阻害剤および増強剤、ニューロキニンアンタゴニスト、PLC(すなわちホスファチジルイノシトール特異的ホスホリパーゼC)阻害剤、白血球グルコース代謝拮抗剤、並びに抗痙攣薬である。増強剤はまた、例えばcAMPに基づく中枢神経刺激薬、精神安定剤、鎮静剤、抗うつ薬、抗発作剤、ロイコトリエンアゴニストおよび阻害剤、プロスタグランジンアゴニストおよび阻害剤、ホスホジエステラーゼアゴニストおよび阻害剤、並びに前記のいずれかの組合せでもよい。放出制御形で提供される血管収縮剤も、当分野でこれまで知られてきた即時放出性形の血管収縮剤と比べて、局所麻酔薬の持続期間および効力の予想外かつ驚くべき増強をもたらす。前記した種類の増強剤は、単独でも各々のこのような薬剤の混合物または組合せ剤としても使用でき、望みのときに局所麻酔薬の有効な増強をもたらすことができる。
【0117】
一つの実施態様において、増強剤は、当分野において公知の任意のグルココルチコステロイド剤、単に例示として、デキサメタゾン、コルチゾン、プレドニゾン、ヒドロコルチゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ベタメタゾン、フルニソリド、メチルプレドニゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、アルクロメタゾン、アムシノニド、クロベタゾール、フルドロコルチゾン、二酢酸ジフロラゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオロメトロン、フルランドレノリド、ハルシノニド、メドリゾン、およびモメタゾン、ロピドカインおよび、これらの製薬的に許容可能な混合物およびその塩、並びにその他の誘導体およびその類似体などが挙げられる。
【0118】
グルココルチコステロイド剤が、局所麻酔薬を含む放出制御性製剤のマイクロカプセルに含まれている場合には(例えばマイクロカプセル)、グルココルチコステロイド剤の有用な負荷量は、例えば基剤の0.005重量%〜30重量%であるということがわかっている。
【0119】
グルココルチコステロイド剤が、局所麻酔薬を含む微粒子が懸濁された適切なベヒクルに含まれている場合、グルココルチコステロイド剤は、例えば、局所麻酔薬に対し約0.005重量%〜約15重量%の範囲で存在する。
【0120】
別の実施態様において、増強剤はアルカリ化剤を含む。本明細書で使用するアルカリ化増強剤は、持続放出形の局所麻酔剤が存在する媒体(例えば注射媒体または注射部位環境)のpHを高め、約6.0〜約8.5、好ましくは約7.5〜約8.5のpHにすることが好ましい。好ましくは、アルカリ化剤は、例えば炭酸塩緩衝液、例えば炭酸ナトリウムである。局所注射または浸潤に製薬上許容可能なその他のアルカリ化剤ももちろん有効に使用され得る。増強剤にはまた、非グルココルチコイドステロイドを含んでもよく、これには例えば、アンドロゲン、例えばテストステロン、その活性誘導体、類似体および代謝産物;エストロゲン、例えばエストラジオール、その活性誘導体、類似体および代謝産物;プロゲスチン、例えばプロゲステロン、その活性誘導体、類似体および代謝産物;並びにこれらのいずれかの混合物などがある。
【0121】
さらに別の実施態様において、増強剤は、神経活性ステロイド、例えば、1つ以上のクラスの麻酔薬ステロイドである。本発明の増強剤として有用な神経活性ステロイドには、GABA受容体を調節するものも含まれる。好適な神経活性ステロイドには、単に例示として、アルテシンとその主要成分、アルファキサロンとその活性類似体、誘導体およびその混合物、並びに5−α−プレグナン−3α−21−ジオール−20−オン(テトラヒドロ−デオキシコルチコステロンすなわちTHDOC)および/またはアロテトラヒドロコルチゾン(17−β構造);並びにデヒドロエピアンドロステロン(「DHE」)、その活性類似体、誘導体および混合物が含まれる。好ましくは、神経活性ステロイドは、マイクロスフェアを担持するベヒクル中に約0.01重量%〜約1重量%、最も好ましくは約0.05重量%〜約0.5重量%の濃度の添加物として存在する。
【0122】
増強剤には、GABA受容体の非ステロイド性モジュレーターも含まれ、これにはGABA受容体に対するGABA阻害効果を増強できるものが含まれる。好ましくは、これにはベンゾジアゼピン、例えば、ジアゼパム、その活性誘導体、類似体および代謝産物ならびのこれらの混合物が含まれる。より好ましくは、ジアゼパムはベヒクル中に約0.01重量%〜約1重量%、最も好ましくは約0.05重量%〜約0.5重量%の濃度の添加物として存在する。当然、当業者はベンゾジアゼピンの効力が大幅に変化することを理解し、その他のベンゾジアゼピンの濃度範囲をジアゼパムの効力を参考にして調節するであろう。
【0123】
本発明のさらに別の態様において、増強剤は、細胞膜横断イオン輸送のモジュレーターである。一価金属イオンおよび多価金属イオンの輸送が調節される。薬剤には、例えば、ナトリウム、カリウム、およびカルシウムチャネルモジュレーター(例えば、ニフェジピン、ニトレンジピン、ベラパミルなど)が含まれる。好適な実施態様において、これらには、限定はされないが、アミノピリジン、ベンザミル、ジアゾキシド、5,5ジフェニルヒダントイン、ミノキシジル、テトラエチルアンモニウムおよびバルプロ酸も含まれる。本発明に従って使用できる、このような増強剤には、天然に存在する部位1ナトリウムチャネル遮断剤、例えばテトロドトキシン、サキシトキシン、デカルバモイルサキシトキシン、ネオサキシトキシンおよび他の類似作用を示す構造的に相同な毒素が含まれる。さらに、これらの毒素と、他の薬剤、例えば血管収縮剤、グルココルチコイド、αアゴニスト(エピネフリン、フェニレフリン)、β−遮断剤(プロプラノロール)、および中枢末梢混合α−2アゴニスト(クロニジン)および/またはアドレナリン作用薬物との組合せを、増強剤として使用してもよい。このような組合せは、国際特許公開公報WO98/51290号に記載されており、これは参照して本明細書に組み込まれる。両親媒性および/または親油性溶媒を、このような毒素を使用して一緒に、本発明の製剤に包含することは、国際特許公開公報WO98/51290号に記載のように、本発明に関する、さらに他の代替的な増強法と考えられる。好ましくは、イオン輸送調節剤は、マイクロスフェアを担持するベヒクル中に約0.01重量%〜約5重量%、最も好ましくは約0.05重量%〜約1.5重量%の濃度の添加剤として存在する。
【0124】
増強剤は、例えば解熱剤、例えば、アミノピリン、フェナゾン、ジピロン、アパゾン、フェニルブタゾン、それらの誘導体および類似体も含む。好ましくは、アミノピリンが、マイクロスフェアを含むベヒクル中に約0.01重量%〜約0.5重量%の濃度、より好適な実施態様では約0.05重量%〜約0.5重量%の濃度で含まれる。
【0125】
別の好適な増強剤は、アドレナリン作動性受容体モジュレーター、例えば、α−2受容体アゴニストを増強剤として含み、増強剤として使用できる。単に例として、α−2受容体アゴニストのクロニジンは、局所麻酔薬の有用な増強をもたらすが、本発明で局所麻酔を増強可能なその他の公知のα−2受容体モジュレーターも使用できる。クロニジンが、マイクロスフェアを含有するベヒクル中に、約0.01重量%〜約0.5重量%の濃度、好適な実施態様においては約0.05%〜約1%の濃度で含まれることが好ましい。
【0126】
細胞質微小管の形成または破壊を促進できるチューブリン結合剤を本発明の増強剤として用いてもよい。このような薬剤には、例えばコルヒチンおよびビンカアルカロイド類(ビンクリスチンおよびビンブラスチン)、タキソール、並びにそれらの活性誘導体、類似体、代謝産物および混合物が含まれる。当然、薬剤によっては2つ以上のカテゴリーに分類されるものもあり、例えばコルヒチンは白血球におけるグルコース代謝を阻害することも知られている。コルヒチンはマイクロスフェアを含有するベヒクル中に約0.01重量%〜約1.0重量%の濃度で、そしてより好適な実施態様においては約0.05重量%〜約0.5重量%の濃度で含まれることが好ましい。
【0127】
本発明と共に使用し得る他の増強剤には、バニロイド、例えば天然および合成カプサイシン、レシニフェラトキシンが含まれる。
【0128】
浸透圧性多糖類も、増強剤として使用できる。一つの好適な実施態様において、浸透圧性多糖類にはデキストランが含まれる。より好ましくは、本発明のデキストラン増強剤は、約20kDa〜約200kDa、またはそれ以上の分子量を有する。患者の所望の部位への注射または浸潤に適した形のデキストランを含有する溶液は、約3.0〜約8.5のpH、好適な態様においては約7.0〜約8.5のpH範囲に緩衝化されることが好ましい。
【0129】
本発明の別の好適な実施態様は、カリウム−ATPチャネルアゴニストを増強剤として用いる。好適なカリウム−ATPチャネルアゴニストは、例えば増強剤として有用なジアゾキシド、その活性誘導体、類似体、代謝産物および混合物である。
【0130】
ナトリウム/カリウムATPアーゼ阻害剤も、本発明の増強剤として好ましい。好ましくは、ナトリウム/カリウムATPアーゼ阻害剤は局所麻酔を増強するのに有効な強心配糖体である。本発明において有用な強心配糖体には、例えばウアバイン、ジゴキシン、ジギトキシン、これらの活性誘導体、類似体、代謝産物、並びにこれらのいずれかの混合物が含まれる。
【0131】
さらに、本発明に従って使用し得る増強剤には、例えば、ニューロキニンアンタゴニストが含まれ、これには例えば、例えば受容体およびイオンチャネル命名法補刊行、Trends in Pharmacological Sciences 18:64−65(その全開示内容が参照して本明細書に組み込まれる)に一覧されているような当分野で周知のスパンチド(spantide)およびその他のサブスタンスP受容体のペプチド阻害剤などがある。PLC(即ち、ホスファチジルイノシトール特異的ホスホリパーゼC)阻害剤としては、例えば1−[6−[[17−β−3−メトキシエストラ−1,3,5(10)−トリエン−17−イル]アミノ]ヘキシル]−1−H−ピロール−2,5−ジオンなどがあり、細胞膜電位を安定させる抗発作剤としては、例えばベンゾジアゼピン、バルビツレート、デオキシバルビツレート、カルバマゼピン、スクシンアミド、バルプロ酸、オキサザリジンビオン、フェナセミド、これらの活性誘導体、類似体、代謝産物および混合物などがある。好ましくは、抗発作増強剤はフェニトイン、最も好ましくは5,5−ジフェニルヒダントインである。
【0132】
局所的に作用する血管収縮剤はまた、即時放出性血管収縮剤よりも優れた有効な局所麻酔増強をもたらす。放出制御形の血管収縮剤がいかにして局所麻酔活性を大幅に長期化するのかについてのいずれの仮説にも限定されるつもりはないが、放出制御性血管収縮剤は、制御された無毒性の血管収縮活性をもたらし、これが処置組織領域からの局所麻酔薬の流出率を低下して、組織中の局所麻酔薬の有効な濃度を長期化すると信じられている。当分野において、血管収縮剤、例えば、エピネフリンが局所麻酔薬活性を最長約1時間長期化すること、そして局所麻酔をさらに長期化しようとして過剰量のエピネフリンまたは他の血管収縮剤を投与すると、局所循環が中断されて組織の壊死および壊疽につながることが知られている。放出制御性血管収縮剤が、局所麻酔を実質的に長期化できる有効な血管収縮活性をもたらす安全かつ有効な局所組織濃度を生じることができる。さらに予想外だったのは、局所循環床、即ち血管が、血管収縮剤に対して長期間の間応答しつづけたことである、すなわち、例えば受容体脱感作または平滑筋疲労または耐性により長期化効果が妨げられない。放出制御型製剤からの緩やかな放出はまた、毒素反応、例えば局所組織壊死の危険性を大幅に低下させる。
【0133】
先に記載した血管収縮増強剤は、局所麻酔薬の投与前、投与と同時、または投与後に投与することができる。本発明の一つの実施態様において、血管収縮剤の少なくとも一部は局所麻酔薬と共に放出制御性製剤中に製剤化される。別の実施態様において、血管収縮剤は単一のまたは別個の放出制御性製剤中で調製される。
【0134】
本発明で増強剤として使用し得る血管収縮剤には、カテコールアミン、例えばエピネフリン、ノルエピネフリンおよびドーパミン、同様にメタラミノール、フェニレフリン、メトキサミン、メフェンテルミン、メチセルギド、エルゴタミン、エルゴトキシン、ジヒドロエルゴタミン、スマトリプタンおよび類似体、α−1およびα−2アドレナリン作動性アゴニスト、例えばクロニジン、グアンファシン、グアナベンズおよびドパ(即ち、ジヒドロキシフェニルアラニン)、メチルドパ、エフェドリン、アンフェタミン、メタンフェタミン、メチルフェニデート、エチルノルエピネフリン、リタリン、ペモリン、およびその他の交換神経作用剤が含まれ、これらの活性代謝産物、誘導体および混合物も含まれる。
【0135】
より好適な実施態様において、前記列挙した増強剤の少なくとも一部は、局所麻酔剤と共に、製剤の重量に対して約0.01重量%〜約30重量%以上の濃度で持続放出性製剤に含有されている。好ましくは、血管収縮剤は、製剤の総重量に対して、約0.005重量%〜約20重量%、より好ましくは約0.05重量%〜約5重量%の量で、持続放出性製剤に含有されている。血管収縮剤が即時放出性形で注射ベヒクルに存在する場合には、注射ベヒクルに対して、約0.01重量%〜約5重量%またはそれ以上の量で存在する。血管収縮剤はまた、局所麻酔薬の割合、例えば、血管収縮薬に対するブピバカインの割合が、約10:1〜約20,000、好ましくは約100:1〜約2000:1、そして約500:1〜約1500:1となるようにしてもよい。
【0136】
当業者にはまた、本発明のその他の増強剤が他の種類および分類に属する公知の薬剤もしくは活性薬剤をあまねく含むことが理解されよう。このような増強剤は、以下に記載される当分野で公知の動物感覚および運動量プロトコールを用いた通常のスクリーニングにより容易に同定される。
【0137】
当業者には、増強剤および局所麻酔薬の量が、選択される薬剤の相対効力、局所鎮痛、局所麻酔および/または局所神経遮断の所望の深度および持続期間に応じて変化することが理解されよう。特定の任意の増強剤の最適濃度および/または最適分量もしくは量が、局所麻酔が誘発される前、途中または後に別個に投与される注射ベヒクル中に存在するにしても、マイクロスフェア製剤中に含有させるにしても、処置パラメーター内での変動を配慮するように調節され得ることが理解されよう。このような処置パラメーターには、特定のマイクロスフェア製剤のポリマー組成、使用される特定の局所麻酔薬、並びに、例えばヒトもしくは非ヒト、成人もしくは子供、麻酔される感覚刺激の種類について、製剤を適用する臨床的用途、局所麻酔の処置部位、患者のタイプが含まれる。
【0138】
さらに、所与の製剤のための任意の特定の増強剤の濃度および/または量は、動物内(例えばラット)での通常のスクリーニングによって、また、以下に記載するホットプレート足引っ込みアッセイおよび/または運動機能アッセイを使用して、増強剤の濃度および/または量の範囲をスクリーニングすることによって容易に同定することができる。
【0139】
局所麻酔薬を含む持続放出性基剤(例えば微粒子)中に増強剤が含まれる場合、増強剤の有効な負荷量は、基剤の約0.001%〜約30重量%であり、好ましくは基剤の約0.01%〜約5重量%であることが判明した。局所麻酔薬を含まない持続放出性基剤(例えばマイクロスフェア)の中に増強剤が含まれる場合、増強剤の有効な負荷量は基剤の約0.001重量%〜約90重量%またはそれ以上、好ましくは基剤の約0.001重量%〜約30重量%、より好ましくは基剤の約0.01重量%〜約5重量%であることが判明した。
【0140】
増強剤が(水性)注射媒体の一部として含まれる場合、増強剤は、局所麻酔薬に対して約0.01重量%〜約15重量%で存在することができる。
【0141】
実施例は、前記増強剤が局所麻酔薬のインビボでの持続時間を長期化し、局所麻酔薬のインビトロ放出の時間経過を有意に変化させないことを示す。
【0142】
追加の活性薬剤
本発明の製剤はさらに、類似の治療効果、他の治療効果、または異なる治療効果をもたらす1つ以上の他の活性薬剤を含む。他の活性薬剤(群)は、ヒトまたは獣医用途のための薬剤および/または診断物質などの、製薬上活性な薬剤である。例えば、局所麻酔薬により与えられる局所鎮痛に加えて、従来の局所麻酔薬の特性を伴う薬物とは異なるが、鎮痛を与えることのできるクラスの薬物も製剤に含まれる。このような薬物は限定されないが、オピオイド、例えばモルヒネ、フェンタニル、コカイン、コデイン、侵害受容経路、すなわち求心性および/または遠心性の領域的遮断をもたらすことのできる薬剤が含まれる。
【0143】
本発明の製剤に取り入れることのできる別の製薬的活性薬剤には、例えば、スルフィソキサゾール、ペニシリンG、アンピシリン、セファロスポリン、アミカシン、ゲンタマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、クリンダマイシン、イソニアジド、リファンピン、並びにこれらの誘導体、塩、および混合物などの抗生物質;アムホテリシンB、ナイスタチン、ケトコナゾールなどの抗真菌性剤;アシクロビル、アマンタジンなどの抗ウイルス剤;シクロホスファミド、メトトレキサート、エトレチナートなどの抗癌剤、およびその他の当分野で公知の抗感染剤、抗腫瘍剤またはそれらの組合わせなどが含まれる。
【0144】
活性薬剤は、製薬的および/または診断的な用途またはそれらの組合わせのための酵素、抗体、抗原または他の生物学的タンパク質もしくはペプチドでもよい。活性薬剤はまた、単に例示であるが、当分野で公知の薬剤、例えば軟骨および/または結合組織を保護または再生するのに有効なポリペプチドまたはペプチド誘導体でもよい。
【0145】
本発明に従って、追加薬剤として関節内に投与することのできる診断剤には、例えば、色素、生体色素、放射線不透過性色素、磁気共鳴画像色素、電子スピン色素、放射性同位元素標識された部分および当業者に明白なその他の薬剤、またはそれらの組合せが含まれる。好適な実施態様において、製剤は、例えば当分野で公知の任意の無毒性かつ放射線不透過性の色素、例えば、ヨウ素化合物などを含み、投与部位の可視化の精度向上を助け、所望であれば時間が経過しても部位に残存している放出制御性材料の位置をモニターすることができるように調製できる。別の実施態様において、このような任意の放射線不透過性色素の少なくとも一部は懸濁用ベヒクル中に存在して、注射部位の位置決定を助ける。
【0146】
プロドラッグは当分野において周知であり、酸素の存在下でもしくは不在下で、高温、代謝酵素、空洞化および/もしくは圧力にさらされると、または本発明に記載の製剤(例えばマイクロカプセル)から放出されると細胞間または細胞内環境において活性薬剤を形成する不活性薬剤前駆体を含む。追加活性薬剤として含まれる適切なプロドラッグは当業者に明らかである。
【0147】
本方法の製剤に取り入れられる抗体の例として、一般に、工業用抗体、並びに生物工学プロセスで用いる抗体およびその誘導体、並びに診断および治療の目的のための抗体が挙げられる。このような抗体には、例えばモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体および組換え抗体の形態のIgA、IgD、IgG、IgE、IgMおよびこれらの組合せ、触媒性抗体、並びに抗原結合抗体が含まれる。さらに、抗体の断片を完全な抗体と共にまたは別々に取り入れることもできる。例えば、抗体断片には、軽鎖および/または重鎖、軽鎖または重鎖の組合せ、並びにFab、Fv、Fc、Fdおよびより小さい断片が含まれ、これには可変領域の活性部分、並びにこのような断片および/もしくは軽鎖および重鎖の非天然的組合せの活性部分、またはそれらの組合せなどが挙げられる。抗体活性を有する組換えポリペプチドもまた、他の分子、例えば薬剤、プロドラッグおよび/または診断標識部分、分析標識部分またはそれらの組合せと連結される工学操作された抗体または抗体断片と同様、この方法により微粒子に取り込むことができる。
【0148】
取り入れることのできる遺伝物質の例として、例えば、天然または合成起源のRNAおよびDNAなどの核酸が挙げられ、これには組換えRNAおよびDNA、アンチセンスRNAおよびDNA、並びにこれらの核酸の化学誘導体、例えば、ホスホンアミドが含まれる。取り入れることのできる遺伝物質の型には、例えば、発現ベクター、例えばプラスミド、ファージミド、コスミド、酵母人工染色体(YAC)、欠質または「ヘルパー」ウイルス、抗遺伝子核酸、一本鎖および二本鎖RNA、並びにインビボまたはインビトロで細胞を形質転換するための、または遺伝子治療のためのウイルスベクター、例えばレトロウイルスベクター、アデノウイルスベクターなど、またはこれらの組合せに担持されている遺伝子が含まれる。
【0149】
本方法の製剤に取り入れることのできる酵素の例として、一般に、診断および治療目的の酵素が含まれ、これには例えばリボヌクレアーゼ、ノイラミニダーゼ、トリプシン、グリコーゲンホスホリラーゼ、アミノペプチダーゼ、トリプシン、キモトリプシン、アミラーゼ、ムラミダーゼ、ジエステラーゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、並びに繊維素溶解酵素、リゾチーム、デキストラナーゼ、およびリボザイムまたはそれらの組合わせが列挙されるが、これらは当業者には容易に思い付くもののほんの一部である。
【0150】
追加の活性薬剤(群)はポリマー溶媒に可溶性でも不溶性でもよく、液体、溶液、ペースト、固体などを含む、任意の製薬上許容可能な状態であっても、局所麻酔薬および所望により増強剤と共に、例えばマイクロスフェアに含まれていてもよい。
【0151】
当分野において公知の方法も、本発明の局所麻酔製剤の投与前および投与後における局所組織濃度、マイクロスフェアからの拡散速度、および局所血流をアッセイするのに利用できる。このような方法の1つに、微小透析法がある(ティー・イー・ロビンソンら,1991,MICRODIALYSIS IN THE NEUROSCIENCES,Techniques,第7巻,第1章,1−64頁に総説があり、その全内容は参照して本明細書に組み込まれる)。
【0152】
ロビンソンによって概説される方法は、簡単に説明すると以下のとおりである。微小透析用ループを試験動物内にインサイチューで配置する。透析液をループにポンプで流す。本発明のマイクロスフェアをループ近くに注射すると、放出された薬物、例えばブピバカインおよび血管収縮薬増強剤が、それらの局所組織濃度に比例して透析物に回収される。ここで、活性薬剤の拡散の進行具合は、公知の活性薬剤濃度を使用した適切な較正手順によって決定することができる。血管収縮薬増強剤については、血管収縮効果の減衰および持続期間を、マーカー物質、例えばメチレンブルーまたは放射性同位元素標識アルブミンの局所組織からのクリアランス速度によって測定できる。
【0153】
前記の用語の定義またはさらなる説明は、当分野で公知であり、アルバート・L・レーニンジャーの「生化学」、ワース・パブリッシャーズ社およびルーバート・ストライヤーの「生化学」、ダブリュ・エイチ・フリーマン・アンド・カンパニー、両文献とも本明細書中に参照して組み込まれるが、などの標準的な生化学の参考テキストを参照すれば見つけられよう。
【0154】
局所麻酔薬の形態や混合状態(例えば遊離塩基か塩か)および調製方法を変更するだけでなく、ポリマー物質に取り込まれる薬物の%、および、カプセル化している殻マトリックスの厚さおよび有孔度を操作することにより、所定の負荷量および結果的な維持量を送達するようなシステムを作成することができる。
【0155】
本明細書に引用した全ての文献は、あらゆる目的で全体が参照して組み込まれる。
【0156】
本発明の実施態様
ある実施態様において、本発明は、ヒトの投与部位において、局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断が初回投与後2時間未満に起こり、局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断が初回投与後少なくとも約1日間持続するに有効な生体適合性で生分解性の担体および局所麻酔薬を含む、多数のマイクロスフェアを含む製剤をヒトの部位に投与することを含む、ヒトに局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断をもたらす方法に関し、投与部位における局所麻酔レベルは全身血漿中の局所麻酔薬レベルの少なくとも100倍、150倍、175倍または200倍である。本発明はまた、この方法に使用される製剤にも関する。
【0157】
ある実施態様において、本発明は上記製剤および方法に関し、該製剤がさらに、初回投与後少なくとも約2日間局所鎮痛が持続するように、前記増強剤を含まない該製剤を投与して得られる時間より長い時間、局所麻酔作用を長期化するに有効な量の増強剤を含んでおり、投与部位における増強剤のレベルが、全身血漿中の増強剤レベルの少なくとも200倍、250倍または300倍である製剤および方法に関する。
【0158】
ある実施態様において、本発明はヒトの投与部位において局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断が初回投与後約2時間未満に起こり、局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断が初回投与後少なくとも約1日間持続するに有効な、生体適合性で生分解性の担体およびブピバカインもしくはその製薬上許容可能な塩を含む1単位量のマイクロスフェアをヒトの投与部位に投与することを特徴とする、ヒトに局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断をもたらす方法に関し、微小透析法により測定される該部位の組織中のブピバカインのCmaxの平均値が、約35,000ng/mlから投与部位における毒性濃度より低い濃度までである方法に関する。本発明は本方法で使用される製剤に関する。
【0159】
ある実施態様において、本発明は上記製剤および方法に関し、該製剤がさらに、局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断が初回投与後少なくとも約2日間持続するように、前記増強剤を含まない該製剤を投与して得られる時間より長い時間、ブピバカインの効果を長期化するに有効な量のデキサメタゾンもしくは製薬上許容可能な塩を含んでおり、微小透析法により測定した該部位の組織中のデキサメタゾンのCmaxの平均値が、約45ng/mlから投与部位における毒性濃度より低い濃度までである製剤および方法に関する。
【0160】
ある実施態様において、本発明は局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断が初回投与後約2時間未満に起こり、初回投与後少なくとも約1日間持続する、局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断をヒトの投与部位にもたらすに有効な生体適合性で生分解性の担体およびブピバカインもしくはその製薬上許容可能な塩を含む1単位量のマイクロスフェアを投与することを特徴とする、ヒトに局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断をもたらす方法に関し、ブピバカインのTmaxの平均値が投与後約10時間〜約45時間の時点に存在する方法に関する。本発明はまた、本方法に使用される製剤に関する。
【0161】
ある実施態様において、上記製剤および方法に関し、該製剤がさらに、局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断が初回投与後少なくとも約2日間持続するように、デキサメタゾンを含まない該マイクロスフェアを投与して得られる時間より長い時間、ブピバカインの効果を長期化するに有効な量のデキサメタゾンもしくは製薬上許容可能な塩を含んでおり、デキサメタゾンのTmaxの平均値が投与後約5時間〜約40時間の時点に存在する製剤および方法に関する。
【0162】
ある実施態様において、局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断が初回投与後約2時間未満に起こり、初回投与後少なくとも約1日間持続する、局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断をヒトの投与部位にもたらすに有効な、生体適合性で生分解性の担体およびブピバカインもしくはその製薬上許容可能な塩を含む1単位量のマイクロスフェアを投与することを特徴とする、局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断をもたらす方法に関し、微小透析法により測定した96時間後の該部位の組織中のブピバカインのAUCtの平均値が、微小透析法により測定したところ、約2,000,000ng/mlh〜約4,000,000ng/mlhである方法に関する。本発明はまた、本方法に利用される製剤に関する。
【0163】
ある実施態様において、本発明は前記製剤および方法に関し、該製剤がさらに、局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断が初回投与後少なくとも約2日間持続するように、デキサメタゾンを含まない該マイクロスフェアを投与して得られる時間より長い時間、ブピバカインの効果を長期化するに有効な量のデキサメタゾンもしくは製薬上許容可能な塩を含んでいる、微小透析法により測定した96時間後の該部位の組織中のデキサメタゾンのAUCtの平均値が約800ng/mlh〜約3,000ng/mlhである製剤および方法に関する。
【0164】
ある実施態様において、本発明は、血漿中ブピバカインのCmaxの平均値が約250ng/mlより低い、前記製剤および方法に関する。
【0165】
ある実施態様において、本発明は、血漿中デキサメタゾンのCmaxの平均値が約0.50ng/mlより低い、前記製剤および方法に関する。
【0166】
ある実施態様において、本発明は、血漿中ブピバカインのTmaxの平均値が約25〜約50時間である、前記製剤および方法に関する。
【0167】
ある実施態様において、本発明は、血漿中デキサメタゾンのTmaxの平均値が約12〜約30時間後の時点に存在する、前記製剤および方法に関する。
【0168】
ある実施態様において、本発明は、96時間における血漿中ブピバカインのAUCtの平均値が約12,000ng/mlhより低い、前記製剤および方法に関する。
【0169】
ある実施態様において、本発明は、96時間における血漿中デキサメタゾンのAUCの平均値が約15ng/mhより低い、前記製剤および方法に関する。
【0170】
ある実施態様において、本発明は、製剤が投与3時間後で1.0未満;投与24時間後で1.0未満;投与48時間後で1.0未満;投与72時間後で1.0未満;または投与96時間後で1.0未満という、ピン刺し疼痛応答検査平均値により特徴づけられる効果をもたらす前記製剤および方法に関する。ある実施態様において、本発明は、前記の2つ以上の時点または全時点で、前記のピン刺し検査結果をもたらす方法および製剤に関する。
【0171】
ある実施態様において、本発明は、製剤が投与後3時間後に0.6未満;投与24時間後に0.6未満;投与48時間後に0.6未満;投与72時間後に0.6未満;または投与96時間後に0.6未満である体感応答検査平均値により特徴づけられる効果をもたらす前記製剤および方法に関する。
【0172】
ある実施態様において、本発明は、製剤が投与3時間後に基線より少なくとも3℃高い;投与24時間後に基線より少なくとも3℃高い;投与48時間後に基線より少なくとも3℃高い;投与72時間後に基線より少なくとも3℃高い;または投与96時間後に基線より少なくとも3℃高い、温検出閾値結果平均値により特徴づけられる効果をもたらす前記製剤および方法に関する。
【0173】
ある実施態様において、本発明は、製剤が投与3時間後に基線より少なくとも3℃高い;投与24時間後に基線より少なくとも3℃高い;投与48時間後に基線より少なくとも3℃高い;または投与72時間後に基線より少なくとも3℃高い、熱疼痛検出閾値結果平均値により特徴づけられる効果をもたらす前記製剤および方法に関する。
【0174】
ある実施態様において、本発明は本明細書に開示した製剤の調製法に関する。
【0175】
ある実施態様において、本発明は、ヒトの部位に局所麻酔薬を投与し、1つ以上の時間区間で、微小透析法により該部位の組織中の該局所麻酔薬濃度を測定することを特徴とする、投与部位における局所麻酔薬の局所濃度を検出する方法に関する。
【0176】
ある実施態様において、本発明は、ヒトの部位にコルチコステロイドを投与し、1つ以上の時間区間で、微小透析法により該部位の組織中の該局所麻酔薬濃度を測定することを特徴とする、投与部位におけるコルチコステロイドの局所濃度を検出する方法に関する。
【0177】
1つの実施態様において、本発明は、局所麻酔薬を含む、生体適合性で生分解性の担体を含む、ヒトに局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断をもたらす製剤に関し、該製剤は、ヒトの投与部位に、局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断を初回投与時の投与後約2時間未満にもたらし、局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断が投与後少なくとも約2日間持続し、投与後の血漿中局所麻酔薬レベルは毒性レベルに達しない。
【0178】
該製剤がさらに、放出制御形の局所麻酔薬のみを使用して得られる時間よりも長い時間、局所麻酔薬の効果を長期化するに有効な量で増強剤を含んでおり、該製剤が局所鎮痛を投与後少なくとも約4日間持続する、前記実施態様。
【0179】
局所鎮痛の持続時間が投与後約2日間〜約4日間である、前記実施態様。
【0180】
局所鎮痛の持続時間が投与後約4日間〜約7日間である、前記実施態様。
【0181】
即時放出形で第二の局所麻酔薬の用量をさらに含み、第二の局所麻酔薬により、該製剤が前記製剤の投与後約5分以内に活性を発現する、前記実施態様。
【0182】
該担体が該局所麻酔薬および生体適合性で生分解性のポリマーを含むマイクロスフェアを含む、前記実施態様。
【0183】
局所麻酔薬がブピバカイン遊離塩基である、前記の任意の実施態様。
【0184】
効果が少なくとも約2日間持続する、前記の任意の実施態様。
【0185】
該製剤がさらに、グルココルチコステロイド、ニューロステロイド、血管収縮剤、細胞膜横断イオン輸送モジュレーター、チューブリン結合剤、ナトリウム/カリウムATPアーゼ阻害剤、および前記のいずれかの組合せからなる群より選択される、有効量の増強剤を含む、前記の任意の実施態様。
【0186】
ポリマーが、インヘレント粘度を約0.25〜約0.42dL/gの範囲で有し、分子量が約40kDaであり、遊離カルボン酸末端基を有する、乳酸とグリコール酸の65:35DLコポリマーである、前記の任意の実施態様。
【0187】
局所麻酔薬がブピバカイン遊離塩基であり、増強剤がデキサメタゾンであり、ポリマーが乳酸とグリコール酸のコポリマーである、前記の任意の実施態様。
【0188】
担体がポリ酸無水物、ポリエステル、乳酸とグリコール酸のコポリマー、ポリオルトエステル、タンパク質、および多糖類からなる群より選択されるポリマーを含むマイクロスフェアを含む、前記の任意の実施態様。
【0189】
担体がさらに、約0.001〜約30重量%の負荷量で取り込まれるグルココルチコステロイドを含む、前記の任意の実施態様。
【0190】
グルココルチコイドがデキサメタゾンである、前記の実施態様。
【0191】
局所麻酔薬が約60重量%〜約85重量%の負荷比率で放出制御形態に取り込まれている、前記の任意の実施態様。
【0192】
製剤が多数のマイクロカプセルを含む、前記の任意の実施態様。
【0193】
担体が注射用の製薬上許容可能なベヒクルに懸濁されている、前記の任意の実施態様。
【0194】
ブピバカイン遊離塩基と、インヘレント粘度が約0.25〜約0.42dL/gであり、分子量が約40kDaであり、遊離カルボン酸末端基を有する、乳酸とグリコール酸の65:35DLコポリマーを含む生体適合性で生分解性のポリマーとを含有する多数の放出制御型マイクロスフェアを含む、ヒトに局所鎮痛をもたらす製剤であって、該ブピバカイン遊離塩基は、約60重量%〜約85重量%の薬剤負荷量で該マイクロスフェアに含まれており、該マイクロスフェアは約2.25mg/ml〜約36.0mg/mlのブピバカイン遊離塩基濃度をもたらすのに十分な濃度で非経口投与用の製薬上許容可能な媒体に含まれ、約45mg〜約360mgの単位量のブピバカイン遊離塩基をもたらし、該製剤は投与部位において局所鎮痛を投与後2時間未満に発現し、局所鎮痛は投与後少なくとも約1日間持続する。
【0195】
マイクロスフェアが約6.25mg/mlの濃度で媒体に含まれており、約16mlの媒体で、ブピバカインの強さが約4.5mg/mlである、前記実施態様。
【0196】
マイクロスフェアがさらにデキサメタゾンを含み、該製剤が約2.5mcg/mlのデキサメタゾンを含む、前記実施態様。
【0197】
マイクロスフェアが約12.5mg/mlの濃度で媒体に含まれており、約8mlの媒体で、ブピバカインの強さが約9mg/mlである、前記実施態様。
【0198】
マイクロスフェアがさらにデキサメタゾンを含み、該製剤が約5.0mcg/mlのデキサメタゾンを含む、前記実施態様。
【0199】
マイクロスフェアが約25.0mg/mlの濃度で媒体に含まれており、約4mlの媒体で、ブピバカインの強さが約18mg/mlである、前記実施態様。
【0200】
マイクロスフェアがさらにデキサメタゾンを含み、該製剤が約10.0mcg/mlのデキサメタゾンを含む、前記実施態様。
【0201】
マイクロスフェアが約3.125mg/mlの濃度で媒体に含まれており、約16mlの媒体で、ブピバカインの強さが約2.25mg/mlであり、デキサメタゾンの強さが約1.25mcg/lである、前記実施態様。
【0202】
ポリマーが、遊離カルボン酸基を末端に有する、乳酸とグリコール酸のコポリマーである、前記の任意の実施態様。
【0203】
担体が約0.25〜約0.42dL/gのインヘレント粘度、約10kDa〜約150kDaの分子量を有する、乳酸とポリグリコール酸の65:35DLコポリマーである、前記の任意の実施態様。
【0204】
担体が約0.2〜約0.6dL/gのインヘレント粘度および約20kDa〜約80kDaの分子量を有する、乳酸とポリグリコール酸の65:35DLコポリマーである、前記の任意の実施態様。
【0205】
担体が約0.7〜約1.0dL/gのインヘレント粘度および約100kDa〜約150kDaの分子量を有する、乳酸とポリグリコール酸の65:35DLコポリマーである、前記の任意の実施態様。
【0206】
担体が約0.25〜約0.42dL/gのインヘレント粘度および約40kDa〜約120kDaの分子量を有する、乳酸とポリグリコール酸の65:35DLコポリマーである、前記の任意の実施態様。
【0207】
局所麻酔薬を含む生体適合性で生分解性の担体を含む、ヒトに局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断をもたらす製剤であって、該製剤は局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断をヒトの投与部位に初回投与時の投与後約2時間未満でもたらし、局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断が投与後少なくとも約2日間持続し、投与後の血漿中局所麻酔薬レベルが毒性レベルに到達せず、該製剤が100RPM、37℃、pH3.0、10mMリン酸ナトリウム緩衝液900ml中、USP IIパドル法により特定されるインビトロ条件下で、以下のようにインビトロで生体適合性で生分解性の担体からの局所麻酔薬の溶出をもたらす:
【表4】
Figure 2004521111
【0208】
製剤がさらに、ラットにおいてホットプレートモデルを使用して評価され、約2秒間〜約12秒間より長い平均潜伏時間をもたらす、前記の任意の実施態様。
【0209】
製剤がさらに、ラットにおいてホットプレートモデルを使用して評価され、約7秒間〜約12秒間より長い平均潜伏時間をもたらす、前記の任意の実施態様。
【0210】
検査したラットの少なくとも50%が、記載した潜伏時間範囲を経験する、前記実施態様。
【0211】
製剤が100RPM、37℃、pH3.0、10mMリン酸ナトリウム緩衝液900ml中、USP IIパドル法により特定されたインビトロ条件下で、以下のようなインビトロでの生体適合性で生分解性の担体からの局所麻酔薬の溶出をもたらす、前記の任意の実施態様:
【表5】
Figure 2004521111
【0212】
局所麻酔薬を含む生体適合性で生分解性の担体に局所麻酔薬を含む製剤を投与することを特徴とするヒトの部位における局所鎮痛を長期化する方法であって、該製剤は非経口投与でき、該製剤により局所麻酔または疼痛寛解または神経遮断が初回投与時の投与後約2時間未満に発現され、局所鎮痛が投与後少なくとも約2日間持続する。
【0213】
本発明の実施態様:非経口投与
製剤を非経口投与した場合に、ヒト患者において機械的疼痛検出閾値検査で疼痛感覚を生じる、最小の力すなわちフォン・フライ毛の最小号数により特徴づけられる効果をもたらす以下のような、前記の任意の実施態様:約13〜約17という基線検査値に基づいて、投与2時間後に約13〜約18;投与4時間後に約13〜約18;投与8時間後に約14〜約18;投与24時間後に約13〜約18;投与48時間後に約13〜約18;投与72時間後に約13〜約18;投与96時間後に約12〜約18;投与144時間後に約11〜約18;投与約168時間後に約15〜約18;投与192時間後に約15〜約18。
【0214】
製剤を非経口投与した場合に、ヒト患者において機械的疼痛検出閾値検査で疼痛感覚を生じる、最小の力すなわちフォン・フライ毛の最小号数により特徴づけられる効果をもたらす以下のような、前記の任意の実施態様:フォン・フライ毛の最小号数10およびフォン・フライ毛の最大可能号数18という基線値に基づいて、投与2時間後に少なくとも約13;投与4時間後に少なくとも約13;投与8時間後に少なくとも約14;投与24時間後に少なくとも約13;投与48時間後に少なくとも約13;投与72時間後に少なくとも約13;投与96時間後に少なくとも約12;投与144時間後に少なくとも約12;投与168時間後に少なくとも約12;投与192時間後に少なくとも約12。
【0215】
製剤を非経口投与した場合に、以下のように、ヒト患者において機械的疼痛検出閾値検査で疼痛感覚を生じる、最小の力すなわちフォン・フライ毛の最小号数により特徴づけられる、患者個体群間の作用の中央値をもたらす、前記の任意の実施態様:約15という基線検査値に基づいて、投与2時間後に約16〜約17;投与4時間後に約16〜約17;投与8時間後に約18;投与24時間後に約17.5〜約18;投与48時間後に約17〜18;投与72時間後に約16〜約18;投与96時間後に約15〜約16.5;投与144時間後に約15〜約16。
【0216】
製剤を非経口投与した場合に、ヒト患者において機械的疼痛検出閾値検査で疼痛感覚を生じる、最小の力すなわちフォン・フライ毛の最小号数により特徴づけられる、患者個体群間の効果の中央値をもたらす以下のような、前記の任意の実施態様:約15という基線検査値に基づいて、投与2時間後に約13.5〜17.5;投与4時間後に約11.5〜約18;投与8時間後に約11.5〜約18;投与24時間後に約13〜約18;投与48時間後に約15〜約18;投与72時間後に約15.5〜約18;投与96時間後に約15〜約18;投与144時間後に約15〜約16。
【0217】
製剤を非経口投与した場合に、刺激の半数が、疼痛感覚または不愉快感を生じるようなフォン・フライ毛の最小号数の中央値が以下の通りである、ヒト患者における機械的疼痛検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記の任意の実施態様:約15という基線検査中央値に基づいて、投与2時間後に約16〜約17;投与4時間後に約16〜約17;投与8時間後に約18;投与24時間後に約17.5〜約18;投与48時間後に約17〜約18;投与72時間後に約16〜約18;投与96時間後に約15〜約16.5;投与144時間後に約15〜約16。
【0218】
製剤を非経口投与した場合に、刺激の半数が、疼痛感覚または不愉快感を生じるようなフォン・フライ毛の最小号数の中央値が以下の通りである、ヒト患者における機械的疼痛検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記の任意の実施態様:約15という基線検査中央値に基づいて、投与2時間後に約16〜約17;投与4時間後に約16〜約17;投与8時間後に約18;投与24時間後に約17.5〜約18;投与48時間後に約17〜約18;投与72時間後に約16〜約18;投与96時間後に約15〜約16.5;投与144時間後に約15〜約16。
【0219】
製剤を非経口投与した場合に、刺激の半数が、疼痛感覚または不愉快感を生じるようなフォン・フライ毛の最小号数の中央値が以下の通りである、ヒト患者における機械的疼痛検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記の任意の実施態様:投与2時間後に約17;投与4時間後に約17;投与8時間後に約18;投与24時間後に約18;投与48時間後に約18;投与72時間後に約18;投与96時間後に約16.5。
【0220】
製剤を非経口投与した場合に、刺激の半数が、疼痛感覚または不愉快感を生じるようなフォン・フライ毛の最小号数の中央値が以下の通りである、ヒト患者における機械的疼痛検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記の任意の実施態様:約15という基線検査値に基づいて、投与2時間後に約13.5〜約17.5;投与4時間後に約11.5〜約18;投与8時間後に約11.5〜約18;投与24時間後に約13〜約18;投与48時間後に約15〜約18;投与72時間後に約15.5〜約18;投与96時間後に約15〜約18;投与144時間後に約15〜約16。
【0221】
投与144時間後に機械的疼痛検出閾値が約16である、前記の任意の実施態様。
【0222】
基線の機械的疼痛検出閾値の中央値が約14.5〜約16.5である、前記の任意の実施態様。
【0223】
刺激の半数が疼痛感覚または不愉快感を生じるようなフォン・フライ毛の最小号数の中央値が以下の通りである、ヒト患者における機械的疼痛検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記の任意の実施態様:約15という基線検査値に基づいて、投与2時間後に約16;投与4時間後に約16;投与8時間後に約18;投与24時間後に約17.5;投与48時間後に約17。
【0224】
投与72時間後に約16という機械的疼痛検出閾値により特徴づけられる効果をもたらす、前記の任意の実施態様。
【0225】
局所麻酔薬を含む、生体適合性で生分解性の担体を含む、ヒトに局所鎮痛をもたらす製剤であって、該製剤は非経口投与でき、該製剤は製剤を神経周囲、皮下または筋肉内投与した場合に、刺激の半数が疼痛感覚または不愉快感を生じるようなフォン・フライ毛の最小号数が、基線検査中央値が約15である場合に、投与約2時間後〜約48時間後に約16〜約18となる、ヒト患者における機械的疼痛検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす製剤。
【0226】
刺激の半数が疼痛感覚または不愉快感を生じるようなフォン・フライ毛の最小号数が、投与約2時間後〜72時間後に約16〜約18である、前記に示した任意の実施態様。
【0227】
刺激の半数が疼痛感覚または不愉快感を生じるようなフォン・フライ毛の最小号数が、投与約2時間後〜96時間後に少なくとも約16である、前記に示した任意の実施態様。
【0228】
刺激の半数が疼痛感覚または不愉快感を生じるようなフォン・フライ毛の最小号数が、投与約2時間後〜少なくとも5日後に少なくとも約16である、前記に示した任意の実施態様。
【0229】
製剤を神経周囲、皮下または筋肉内投与した場合に、刺激の半数が疼痛感覚または不愉快感を生じるようなフォン・フライ毛の最小号数の平均値が以下の通りである、ヒト患者における機械的疼痛検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様:投与2時間後に約15.6〜約16.9;投与4時間後に約15.7〜約17.3;投与8時間後に約16.4〜約17.7;投与24時間後に約16.2〜約18;投与48時間後に約15.7〜約17.8;投与72時間後に約15.5〜約17.5;投与96時間後に約15.1〜約16.9;投与144時間後に約15.1〜約16.8。
【0230】
製剤を神経周囲、皮下または筋肉内投与した場合に、刺激の半数が疼痛感覚または不愉快感を生じるようなフォン・フライ毛の最小号数の平均値が以下の通りである、ヒト患者における機械的疼痛検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様:投与2時間後に約13〜約17.7;投与4時間後に約11〜約18;投与8時間後に約11〜約18;投与24時間後に約13〜約18;投与48時間後に約14〜約18;投与72時間後に約14〜約18;投与96時間後に約15〜約18.4;投与144時間後に少なくとも約15。
【0231】
刺激の半数が、疼痛感覚または不愉快感を生じるようなフォン・フライ毛の最小号数の平均値が以下の通りである、ヒト患者における機械的疼痛検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様:投与2時間後に約16.46±0.39;投与4時間後に約16.85±0.42;投与8時間後に約17.38±0.31;投与24時間後に約17.92±0.08;投与48時間後に約17.33±0.47;投与72時間後に約17.0±0.54;投与96時間後に約16.33±0.54。
【0232】
投与144時間後に機械的疼痛検出閾値が約16.17±0.6である、前記に示した任意の実施態様。
【0233】
基線の機械的疼痛検出閾値の平均値が約15.38±0.27である、前記に示した任意の実施態様。
【0234】
刺激の半数が疼痛感覚または不愉快感を生じるようなフォン・フライ毛の最小号数の平均値が以下の通りである、ヒト患者における機械的疼痛検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様:約15.31±0.33の基線に基づいて、投与2時間後に約16.08±0.49;投与4時間後に約16.23±0.53;投与8時間後に約16.85±0.44;投与24時間後に約16.75±0.51;投与48時間後に約16.25±0.57。
【0235】
投与72時間後の機械的疼痛検出閾値が約16.08±0.54であることにより特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様。
【0236】
局所麻酔薬を含む生体適合性で生分解性の担体を含む、ヒトに局所鎮痛をもたらす製剤であって、該製剤は非経口投与でき、該製剤は非経口投与した場合に、刺激の半数が疼痛感覚または不愉快感を生じるようなフォン・フライ毛の最小号数の平均値が、投与約2時間後〜約96時間後で約15.1〜約18であるヒト患者における機械的疼痛検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす。
【0237】
刺激の半数が疼痛感覚または不愉快感を生じるようなフォン・フライ毛の最小号数の平均値が投与約2時間後〜少なくとも約48時間後で約15.7〜約17.8である、前記に示した任意の実施態様。
【0238】
製剤を神経周囲、皮下または筋肉内に投与した場合に、ヒト患者において接触または圧力の感覚をもたらす最小の力すなわちフォン・フライ毛の最小号数が以下の通りである、機械的接触検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様:投与2時間後に約8〜約15;投与4時間後に約9〜約18;投与8時間後に約9〜約18;投与24時間後に約9〜約18;投与48時間後に約9〜約18;投与72時間後に約9〜約15;投与96時間後に約9〜約14;投与144時間後に約9〜約14。
【0239】
製剤を神経周囲、皮下または筋肉内に投与した場合に、ヒト患者において接触または圧力の感覚をもたらす最小の力すなわちフォン・フライ毛の最小号数が以下の通りである、機械的接触検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様:投与2時間後に約4〜約15;投与4時間後に約4〜約18;投与8時間後に約5〜約18;投与24時間後に約3〜約18;投与48時間後に約4〜約16;投与72時間後に約4〜約18;投与96時間後に約3〜約18。
【0240】
製剤を神経周囲、皮下または筋肉内に投与した場合に、ヒト患者において接触または圧力の感覚をもたらす最小の力すなわちフォン・フライ毛の最小号数の中央値が以下の通りである、機械的接触検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様:約9という基線検査中央値に基づいて、投与2時間後に約11;投与4時間後に約11〜約12;投与8時間後に約12〜約14;投与24時間後に約13〜約14;投与48時間後に約11〜約13;投与72時間後に約10〜約11.5;投与96時間後に約10.5〜約11;投与144時間後に約10〜約11.5。
【0241】
製剤を神経周囲、皮下または筋肉内に投与した場合に、ヒト患者において接触または圧力の感覚をもたらす最小の力すなわちフォン・フライ毛の最小号数の中央値が以下の通りである、機械的接触検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様:約9という基線検査中央値に基づいて、投与2時間後に約11;投与4時間後に約12;投与8時間後に約14;投与24時間後に約14;投与48時間後に約13;投与72時間後に約11.5;投与96時間後に約11;投与144時間後に約11.5。
【0242】
ヒト患者において接触または圧力の感覚をもたらす最小の力すなわちフォン・フライ毛の最小号数の中央値が以下の通りである、機械的接触検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様:約9という基線検査中央値に基づいて、投与2時間後に約11;投与4時間後に約11;投与8時間後に約12;投与24時間後に約13;投与48時間後に約11。
【0243】
ヒト患者において接触または圧力の感覚をもたらす最小の力すなわちフォン・フライ毛の最小号数の中央値が以下の通りである、ヒト患者における機械的接触検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様:投与72時間後に約10。
【0244】
局所麻酔薬を含む生体適合性で生分解性の担体を含む、ヒトに局所鎮痛をもたらす製剤であって、該製剤は非経口投与でき、該製剤は神経周囲、皮下または筋肉内に投与した場合に、ヒト患者において接触または圧力の感覚をもたらす最小の力すなわちフォン・フライ毛の最小号数の中央値が投与約2時間後〜少なくとも約96時間後に約11〜約14である、ヒト患者における機械的接触検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす。
【0245】
刺激の半数が疼痛感覚または不愉快感を生じるようなフォン・フライ毛の最小号数の中央値が、投与約2時間後〜少なくとも約144時間後に約11〜約14である、前記に示した任意の実施態様。
【0246】
局所麻酔薬を含む生体適合性で生分解性の担体を含む、ヒトに局所鎮痛をもたらす製剤であって、該製剤は非経口投与でき、該製剤は神経周囲、皮下または筋肉内に投与した場合に、ヒト患者において接触または圧力の感覚をもたらす最小の力すなわちフォン・フライ毛の最小号数の中央値が、基線検査中央値が約9である場合に、投与約2時間後〜少なくとも約48時間後に約11〜約13である、ヒト患者における機械的接触検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす。
【0247】
刺激の半数が疼痛感覚または不愉快感を生じるようなフォン・フライ毛の最小号数の中央値が投与約2時間後〜少なくとも約72時間後に約10〜約13である、前記に示した任意の実施態様。
【0248】
製剤を神経周囲、皮下または筋肉内に投与した場合に、ヒト患者において接触または圧力の感覚をもたらす最小の力すなわちフォン・フライ毛の最小号数の平均値が以下の通りである、機械的接触検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様:約8.8〜9.2という基線検査平均値に基づいて、投与2時間後に約10.4〜約11.7;投与4時間後に約11.0〜約12.5;投与8時間後に約12.1〜約14.0;投与24時間後に約12.0〜約15.0;投与48時間後に約10.8〜約14.0;投与72時間後に約9.9〜約12.4;投与96時間後に約10.1〜約11.7;投与144時間後に約9.8〜約11.7。
【0249】
製剤を神経周囲、皮下または筋肉内に投与した場合に、ヒト患者において接触または圧力の感覚をもたらす最小の力すなわちフォン・フライ毛の最小号数の平均値が以下の通りである、機械的接触検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様:約5〜約9.9という基線検査平均値に基づいて、投与2時間後に約5〜約12.9;投与4時間後に約4〜約13.5;投与8時間後に約5〜約15;投与24時間後に約5〜約15.6;投与48時間後に約5〜約16.2;投与72時間後に約5〜約16.2;投与96時間後に約3〜約15.2。
【0250】
ヒト患者において接触または圧力の感覚をもたらす最小の力すなわちフォン・フライ毛の最小号数の平均値が以下の通りである、機械的接触検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様:約9.0±0.23という基線値に基づいた、9.1±0.23という基線機械的疼痛検出閾値の平均値に基づいて、投与2時間後に約11.08±0.64;投与4時間後に約11.77±0.72;投与8時間後に約13.5±0.82;投与24時間後に約14.08±0.88;投与48時間後に約13.5±0.53;投与72時間後に約12±約0.41;投与96時間後に約11.25±約0.46。
【0251】
投与120時間後に約11.33±0.38という機械的接触検出閾値の平均値をもたらす、前記に示した任意の実施態様。
【0252】
ヒト患者において接触または圧力の感覚をもたらす最小の力すなわちフォン・フライ毛の最小号数の平均値が以下の通りである、機械的接触検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様:投与2時間後に約10.92±0.57;投与4時間後に約11.69±0.67;投与8時間後に約12.85±0.74;投与24時間後に約12.83±0.84;投与48時間後に約11.67±0.9。
【0253】
投与72時間後に約10.42±0.48という機械的接触検出閾値の平均値によりさらに特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様。
【0254】
基線の機械的疼痛検出閾値の平均値が約8.85±0.1である、前記に示した任意の実施態様。
【0255】
局所麻酔薬を含む生体適合性で生分解性の担体を含む、ヒトに局所鎮痛をもたらす製剤であって、該製剤は非経口投与でき、該製剤が神経周囲、皮下または筋肉内に投与した場合に、ヒト患者において接触または圧力の感覚をもたらす最小の力すなわちフォン・フライ毛の最小号数の中央値が、約8.8〜約9.2という基線検査平均値に基づいて、投与約2時間後〜約96時間後に約10.4〜約15である、ヒト患者における機械的接触検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす。
【0256】
刺激の半数が疼痛感覚または不愉快感を生じるようなフォン・フライ毛の最小号数の平均値が投与約2時間後〜少なくとも約144時間後に約10.4〜約15である、前記に示した任意の実施態様。
【0257】
局所麻酔薬を含む生体適合性で生分解性の担体を含む、ヒトに局所鎮痛をもたらす製剤であって、該製剤は非経口投与でき、該製剤が神経周囲、皮下または筋肉内に投与した場合に、ヒト患者において接触または圧力の感覚をもたらす最小の力すなわちフォン・フライ毛の最小号数の平均値が、基線検査平均値が約8.8〜約9.0である場合に、投与約2時間後〜少なくとも約48時間後に約10.4〜約13.7である、ヒト患者における機械的接触検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす。
【0258】
刺激の半数が疼痛感覚または不愉快感を生じるようなフォン・フライ毛の最小号数の平均値が投与約2時間後〜少なくとも約72時間後に約9.9〜約13.7である、前記に示した任意の実施態様。
【0259】
製剤を神経周囲、皮下または筋肉内に投与した場合に、ヒト患者が知覚する32℃からの最少の温度上昇の中央値が以下のような温度℃に存在する、温検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様:約39.9〜41.95という基線検査中央値に基づいて、投与2時間後に約40.5〜約44.05;投与4時間後に約40.15〜約44.85;投与8時間後に約40.15〜約46.3;投与24時間後に約41.7〜約46.35;投与48時間後に約41.55;投与72時間後に約40.4〜約46.55;投与96時間後に約41.1〜約45.7。
【0260】
局所麻酔薬を含む生体適合性で生分解性の担体を含む、ヒトに局所鎮痛をもたらす製剤であって、該製剤は非経口投与でき、該製剤を神経周囲、皮下または筋肉内に投与した場合に、ヒト患者が知覚する32℃からの最少の温度上昇の中央値が、約41.6〜約42.6という基線検査中央値に基づいて、投与約2時間後〜少なくとも約48時間後に約43〜約46.9である、温検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす。
【0261】
製剤を神経周囲、皮下または筋肉内に投与した場合に、ヒト患者が知覚する32℃からの最少の温度上昇の平均値が以下のような温度℃に存在する、加温検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様:約41.1〜42.5という基線検査平均値に基づいて、投与2時間後に約43.2〜約46.5;投与4時間後に約44.1〜約46.2;投与8時間後に約44.8〜約46.9;投与24時間後に約45.6〜約46.9;投与48時間後に約44.1〜約46.9;投与72時間後に約42.6〜約45.9;投与96時間後に約41.5〜約44.9;投与144時間後に約42.0〜約43.5。
【0262】
製剤を神経周囲、皮下または筋肉内に投与した場合に、ヒト患者が知覚する32℃からの最少の温度上昇の平均値が以下のような温度℃に存在する、加温検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様:約39〜約44.08という基線検査平均値に基づいて、投与2時間後に約40.2〜約44.7;投与4時間後に約40.3〜約45.6;投与8時間後に約39〜約46.4;投与24時間後に約40.1〜約47.2;投与48時間後に約39.1〜約47.2;投与72時間後に約39〜約46.9;投与96時間後に約39.7〜約46.2。
【0263】
ヒト患者が知覚する32℃からの最少の温度上昇の平均値が以下のような温度℃に存在する、温検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様:約41.97±0.56という基線の温検出閾値の平均値に基づいて、投与2時間後に約43.82±約0.65;投与4時間後に約44.69±約0.64;投与8時間後に約45.35±0.56;投与24時間後に約46.39±0.54;投与48時間後に約46.09±0.76;投与72時間後に約45.19±0.67;投与96時間後に約44.19±0.7。
【0264】
投与144時間後に温検出閾値の平均値が約43.01±0.5となる、前記に示した任意の実施態様。
【0265】
ヒト患者が知覚する32℃からの最少の温度上昇の平均値が以下のような温度℃に存在する、温検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様:約41.64±0.54という基線検査値に基づいて、投与2時間後に約45.72±約0.76;投与4時間後に約45.42±約0.78;投与8時間後に約46.22±0.65;投与24時間後に約46.11±0.49;投与48時間後に約44.72±0.65。
【0266】
投与72時間後の温検出閾値の平均値が約42.97±0.4であることによりさらに特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様。
【0267】
局所麻酔薬を含む生体適合性で生分解性の担体を含む、ヒトに局所鎮痛および/または麻酔をもたらす製剤であって、該製剤は皮下投与でき、該製剤を神経周囲、皮下または筋肉内に投与した場合に、ヒト患者が知覚する32℃からの最少の温度上昇の平均値が、基線検査平均値が約41.1〜約42.5である場合に、投与約2時間後〜少なくとも約96時間後に約41.5℃〜約46.9℃に存在する、温検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす。
【0268】
ピン刺しは接触または圧力として知覚される、少なくとも0.5時間後に発現し、少なくとも約14時間持続する効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様。
【0269】
効果が約110時間持続する、前記に示した任意の実施態様。
【0270】
少なくとも約1時間後に開始され、少なくとも約3時間持続する、触覚知覚ブロックをもたらす、前記に示した任意の実施態様。
【0271】
少なくとも約1時間後に発現し、少なくとも約2日間持続する、52℃の温度が痛いと知覚されない効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様。
【0272】
効果が少なくとも約2日間持続する、前記に示した任意の実施態様。
【0273】
温度が痛いと知覚されることにより特徴づけられ、少なくとも約1時間後に発現し、少なくとも約2日間持続する効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様であって、該温度は製剤投与前に痛いと知覚される温度より少なくとも3℃高い。
【0274】
持続時間が少なくとも約4日間である、前記に示した任意の実施態様。
【0275】
少なくとも約1時間後に発現し、少なくとも約4日間続く、52℃の温度が温かいと知覚されない効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様。
【0276】
製剤を神経周囲、皮下または筋肉内に投与した場合に、ヒト患者が痛いと知覚する32℃を超える最低温度の中央値が以下の通りである、熱疼痛検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様:約48.9〜約49.1という基線検査中央値に基づいて、投与2時間後に約49.1〜約50.2;投与4時間後に約49.9〜約50.9;投与8時間後に約50.9〜約51;投与24時間後に約50.4〜約50.75;投与48時間後に約50.1〜約51.05;投与72時間後に約49.4〜約50.65;投与96時間後に約49.05〜約50.3;投与144時間後に約49.4〜約50.4(℃)。
【0277】
製剤を神経周囲、皮下または筋肉内に投与した場合に、ヒト患者が痛いと知覚する32℃を超える最低温度の中央値が以下の通りである、熱疼痛検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様:約46.8〜約49という基線検査中央値に基づいて、投与2時間後に約47.15〜約49.2;投与4時間後に約47.05〜約50.3;投与8時間後に約47.3〜約50.35;投与24時間後に約47.3〜約51.7;投与48時間後に約47.75〜約51.85;投与72時間後に約46.85〜約50.95;投与96時間後に約47.45〜約51.2(℃)。
【0278】
製剤を神経周囲、皮下または筋肉内に投与した場合に、ヒト患者が痛いと知覚する32℃を超える最低温度の平均値が以下の通りである、熱疼痛検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様:約47.9〜約49.2という基線検査平均値に基づいて、投与2時間後に約48.8〜約50.2℃;投与4時間後に約49.2〜約50.9;投与8時間後に約49.8〜約50.9;投与24時間後に約50.5〜約51.6;投与48時間後に約49.4〜約51.8;投与72時間後に約48.6〜約51.2;投与96時間後に約47.9〜約51.1;投与144時間後に約48.9〜約50.5。
【0279】
製剤を神経周囲、皮下または筋肉内に投与した場合に、ヒト患者が痛いと知覚する32℃を超える最低温度の平均値が以下の通りである、熱疼痛検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様:約48.52±0.59という基線熱疼痛検出閾値の平均値に基づいて、投与2時間後に約49.25±0.42;投与4時間後に約49.65±0.41;投与8時間後に約50.15±0.36;投与24時間後に約51.09±0.46;投与48時間後に約51.17±0.64;投与72時間後に約50.73±0.48;投与96時間後に約50.7±0.43(℃)。
【0280】
投与144時間後に熱疼痛検出閾値の平均値が約49.93±0.52となる、前記に示した任意の実施態様。
【0281】
製剤を神経周囲、皮下または筋肉内に投与した場合に、ヒト患者が痛いと知覚する32℃を超える最低温度の平均値が以下の通りである、熱疼痛検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様:約48.63±0.55という基線検査値に基づいて、投与2時間後に約49.54±0.63;投与4時間後に約50.38±0.53;投与8時間後に約50.35±0.52;投与24時間後に約50.88±0.42;投与48時間後に約49.84±0.47(℃)。
【0282】
投与72時間後に熱疼痛検出閾値の平均値が約49.11±0.48であることによりさらに特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様。
【0283】
製剤を神経周囲、皮下または筋肉内に投与した場合に、ヒト患者が冷たいと知覚する32℃の基線からの最低温度の平均値が以下の通りである、冷検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様:投与24時間後に約24〜約24.5℃;投与48時間後に約24.5〜約29.5;投与72時間後に約27.5〜約29.8;投与96時間後に約29〜約30;投与120時間後に約29.7〜約30.2(℃)。
【0284】
製剤を神経周囲、皮下または筋肉内に投与した場合に、ヒト患者が、注射領域を5回、フォン・フライ毛17号で刺激することで、検査した患者の結果の中央値に基づいて、バーバル・ランク尺度0〜10(0=疼痛なし、10=患者が想像できる最悪の疼痛)で疼痛を以下のように特徴づける機械的疼痛応答検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様:約2という基線検査結果中央値に基づいて、投与2時間後に約1;投与4時間後に約1;投与8時間後に約1;投与24時間後に約0〜約0.5;投与48時間後に約0〜約0.5;投与72時間後に約0〜約1;投与96時間後に約0〜約1;投与144時間後に約1。
【0285】
製剤を神経周囲、皮下または筋肉内に投与した場合に、ヒト患者が、注射領域を5回、フォン・フライ毛17号で刺激することで、検査した患者の結果の中央値に基づいて、バーバル・ランク尺度0〜10(0=疼痛なし、10=患者が想像できる最悪の疼痛)で疼痛を以下のように特徴づける機械的疼痛応答検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様:約1〜約2.5という基線検査結果中央値に基づいて、投与2時間後に約1〜約3.5;投与4時間後に約1〜約4;投与8時間後に約0〜約4.5;投与24時間後に約0〜約3.5;投与48時間後に約0〜約4;投与72時間後に約0〜約3;投与96時間後に約0〜約2.5。
【0286】
製剤を神経周囲、皮下または筋肉内に投与した場合に、ヒト患者が、注射領域を5回、フォン・フライ毛17号で刺激することで、検査した患者の結果の平均値に基づいて、バーバル・ランク尺度0〜10(0=疼痛なし、10=患者が想像できる最悪の疼痛)で疼痛を以下のように特徴づける機械的疼痛応答検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様:約1.6〜約2.2という基線検査結果平均値に基づいて、投与2時間後に約0.9〜約1.5;投与4時間後に約0.7〜約1.3;投与8時間後に約0.5〜約1.3;投与24時間後に約0.2〜約0.8;投与48時間後に約0.2〜約1.0;投与72時間後に約0.3〜約1.3;投与96時間後に約0.4〜約2.1;投与144時間後に約0.6〜約2.0。
【0287】
製剤を神経周囲、皮下または筋肉内に投与した場合に、ヒト患者が、注射領域を5回、フォン・フライ毛17号で刺激することで、検査した患者の結果の平均値に基づいて、バーバル・ランク尺度0〜10(0=疼痛なし、10=患者が想像できる最悪の疼痛)で疼痛を以下のように特徴づける機械的疼痛応答検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様:約1.2〜約3.3という基線検査結果平均値に基づいて、投与2時間後に約0.9〜約4;投与4時間後に約0.5〜約5;投与8時間後に約0.1〜約6;投与24時間後に約0〜約4;投与48時間後に約0〜約5;投与72時間後に約0〜約3;投与96時間後に約0〜約3。
【0288】
製剤を神経周囲、皮下または筋肉内に投与した場合に、ヒト患者が、注射領域を5回、フォン・フライ毛17号で刺激することで、検査した患者の結果の平均値に基づいて、バーバル・ランク尺度0〜10(0=疼痛なし、10=患者が想像できる最悪の疼痛)で疼痛を以下のように特徴づける機械的疼痛応答検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様:約1.85±0.3という基線機械的疼痛応答平均値に基づいて、投与2時間後に約1.31±0.17;投与4時間後に約1.08±0.18;投与8時間後に約0.77±0.26;投与24時間後に約0.33±0.14;投与48時間後に約0.58±0.42;投与72時間後に約0.83±0.49;投与96時間後に約1.08±0.66。
【0289】
製剤を神経周囲、皮下または筋肉内に投与した場合に、ヒト患者が、注射領域を5回、フォン・フライ毛17号で刺激することで、検査した患者の結果の平均値に基づいて、バーバル・ランク尺度0〜10(0=疼痛なし、10=患者が想像できる最悪の疼痛)で疼痛を以下のように特徴づける機械的疼痛応答検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様:約1.85±0.27という基線機械的疼痛応答平均値に基づいて、投与2時間後に約1.15±0.22;投与4時間後に約0.92±0.18;投与8時間後に約1.08±0.26;投与24時間後に約0.58±0.19;投与48時間後に約0.75±0.28;投与72時間後に約1±0.33;投与96時間後に約1.42±0.71。
【0290】
製剤を神経周囲、皮下または筋肉内に投与した場合に、ヒト患者が、注射領域を5回、フォン・フライ毛17号で刺激することで、検査した患者の結果の平均値に基づいて、バーバル・ランク尺度0〜10(0=疼痛なし、10=患者が想像できる最悪の疼痛)で疼痛を以下のように約1.6〜約2.2という基線検査結果平均値に基づいて、投与約2時間後〜約72時間後に約0.2〜約1.5という検査した患者の結果の平均値に基づいて特徴づける、機械的疼痛応答検査により特徴づけられる作用をもたらす、前記に示した任意の実施態様。
【0291】
製剤を神経周囲、皮下または筋肉内に投与した場合に、ヒト患者が、注射部位を45℃で5秒間刺激することで、検査した患者の結果の中央値に基づいて、バーバル・ランク尺度0〜10(0=疼痛なし、10=患者が想像できる最悪の疼痛)で疼痛を以下のように特徴づける熱疼痛応答検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様:約2という基線検査結果中央値に基づいて、投与2時間後に約0〜約1;投与4時間後に約0;投与8時間後に約0;投与24時間後に約0;投与48時間後に約0〜約1;投与72時間後に約0〜約1;投与96時間後に約0〜約0.5;投与144時間後に約0。
【0292】
製剤を神経周囲、皮下または筋肉内に投与した場合に、ヒト患者が、注射部位を45℃で5秒間刺激することで、検査した患者の結果の中央値に基づいて、バーバル・ランク尺度0〜10(0=疼痛なし、10=患者が想像できる最悪の疼痛)で疼痛を以下のように特徴づける熱疼痛応答検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様:約1.5〜約5という基線検査結果中央値に基づいて、投与2時間後に約1〜約5.5;投与4時間後に約1〜約5;投与8時間後に約0.5〜約5.5;投与24時間後に約0〜約5;投与48時間後に約0〜約5;投与72時間後に約0〜約4.5;投与96時間後に約0〜約4。
【0293】
製剤を神経周囲、皮下または筋肉内に投与した場合に、ヒト患者が、注射部位を45℃で5秒間刺激することで、検査した患者の結果の平均値に基づいて、バーバル・ランク尺度0〜10(0=疼痛なし、10=患者が想像できる最悪の疼痛)で疼痛を以下のように特徴づける熱疼痛応答検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様:約1.9〜約2.9という基線検査結果中央値に基づいて、投与2時間後に約0.5〜約1.4;投与4時間後に約0.2〜約1.3;投与8時間後に約0.1〜約1.1;投与24時間後に約0〜約0.8;投与48時間後に約0.4〜約1.5;投与72時間後に約0.3〜約1.2;投与96時間後に約0.3〜約1.8;投与144時間後に約0.5〜約2.0。
【0294】
製剤を神経周囲、皮下または筋肉内に投与した場合に、ヒト患者が、注射部位を45℃で5秒間刺激することで、検査した患者の結果の平均値に基づいて、バーバル・ランク尺度0〜10(0=疼痛なし、10=患者が想像できる最悪の疼痛)で疼痛を以下のように特徴づける熱疼痛応答検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様:約1.5〜約5.5という基線検査結果平均値に基づいて、投与2時間後に約0.75〜約6;投与4時間後に約0.6〜約6;投与8時間後に約0.4〜約7;投与24時間後に約0〜約6;投与48時間後に約0〜約6;投与72時間後に約0〜約6;投与96時間後に約0〜約5。
【0295】
製剤を神経周囲、皮下または筋肉内に投与した場合に、ヒト患者が、注射部位を45℃で5秒間刺激することで、検査した患者の結果の平均値に基づいて、バーバル・ランク尺度0〜10(0=疼痛なし、10=患者が想像できる最悪の疼痛)で疼痛を以下のように特徴づける熱疼痛応答検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様:約2.46±約0.48という基線熱疼痛応答平均値に基づいて、投与2時間後に約0.69±0.24;投与4時間後に約0.92±0.42;投与8時間後に約0.69±0.38;投与24時間後に約0.5±0.29;投与48時間後に約0.92±0.53;投与72時間後に約0.75±0.49;投与96時間後に約0.83±0.58。
【0296】
製剤を神経周囲、皮下または筋肉内に投与した場合に、ヒト患者が、注射部位を45℃で5秒間刺激することで、検査した患者の結果の平均値に基づいて、バーバル・ランク尺度0〜10(0=疼痛なし、10=患者が想像できる最悪の疼痛)で疼痛を以下のように特徴づける熱疼痛応答検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様:約2.38〜約0.51という基線熱疼痛応答平均値に基づいて、投与2時間後に約0.92±0.47;投与4時間後に約0.46±0.24;投与8時間後に約0.38±0.24;投与24時間後に約0.17±0.17;投与48時間後に約0.92±0.47;投与72時間後に約0.92±0.29。
【0297】
刺激の半数が疼痛感覚または不愉快感を生じるようなフォン・フライ毛の最小号数の中央値が以下の通りである、機械的疼痛検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様:投与2時間後に約17;投与4時間後に約17;投与8時間後に約18;投与24時間後に約18;投与48時間後に約18;投与72時間後に約18;投与96時間後に約16.5。
【0298】
刺激の半数が疼痛感覚または不愉快感を生じるようなフォン・フライ毛の最小号数の中央値が以下の通りである、機械的疼痛検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様:投与2時間後に約16;投与4時間後に約16;投与8時間後に約18;投与24時間後に約17.5;投与48時間後に約17。
【0299】
刺激の半数が疼痛感覚または不愉快感を生じるようなフォン・フライ毛の最小号数の中央値が、基線検査中央値が約15である場合に、投与約2時間後〜約48時間後に約16〜約18である機械的疼痛検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様。
【0300】
刺激の半数が疼痛感覚または不愉快感を生じるようなフォン・フライ毛の最小号数の平均値が投与約2時間後〜約96時間後に約15.1〜約18である、機械的疼痛検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様。
【0301】
ヒト患者において接触または圧力の感覚をもたらす最小の力すなわちフォン・フライ毛の最小号数の中央値が、基線検査中央値が約9である場合に、投与約2時間後〜少なくとも約96時間後に約11〜約14である、ヒト患者における機械的接触検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様。
【0302】
ヒト患者において接触または圧力の感覚をもたらす、最小の力すなわちフォン・フライ毛の最小号数の中央値は、投与約2時間後〜少なくとも約48時間後に約10〜約13である(ただし、基線検査中央値は約9である)、ヒト患者における機械的接触検出閾値検査により特徴づけられる作用をもたらす、前記に示した任意の実施態様。
【0303】
ヒト患者において接触または圧力の感覚をもたらす、最小の力すなわちフォン・フライ毛の最小号数の平均値が、基線検査平均値が約8.8〜約9.2である場合に、投与約2時間後〜少なくとも約96時間後に約10.4〜約15である、ヒト患者における機械的接触検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様。
【0304】
ヒト患者において接触または圧力の感覚をもたらす最小の力すなわちフォン・フライ毛の最小号数の平均値が、基線検査平均値が約8.8〜約9.0である場合に、投与約2時間後〜少なくとも約48時間後に約10.4〜約13.7である、ヒト患者における機械的接触検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様。
【0305】
ヒト患者が知覚する32℃からの最少の温度上昇の中央値が、約41.6〜約42.6という基線検査中央値に基づいて、投与約2時間後から少なくとも約48時間後に約43〜46.8である、温検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様。
【0306】
ヒト患者が知覚する、32℃からの最少の温度上昇の平均値が、基線検査平均値は約41.1〜約42.5である場合、投与約2時間後〜約96時間後に約41.5℃〜約46.9℃に存在する、温検出閾値検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様。
【0307】
ヒト患者が、注射領域を5回、フォン・フライ毛17号で刺激することで、検査した患者の結果の平均値に基づいて、バーバル・ランク尺度0〜10(0=疼痛なし、10=患者が想像できる最悪の疼痛)で疼痛を以下のように、約1.6〜約2.2という基線検査結果平均値に基づいて、投与約2時間後〜約72時間後の約0.2〜約1.5という検査患者の結果平均値に基づいて特徴づける機械的疼痛応答検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した任意の実施態様。
【0308】
肋間投与のための実施態様
局所麻酔薬を含む生体適合性で生分解性の担体を含む、ヒトに局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断をもたらす前記に示した実施態様であって、該製剤はヒトにおいて、肋間投与後に、局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断を初回投与時の投与後約6時間未満で発現し、局所鎮痛は投与後少なくとも約1日間持続する。
【0309】
局所鎮痛、局所麻酔、または神経遮断が肋間投与約1時間後から約3時間後以内にもたらされる、前記に示した実施態様。
【0310】
局所鎮痛、局所麻酔、または神経遮断の持続時間が肋間投与後少なくとも約2日まである、前記に示した実施態様。
【0311】
局所鎮痛、局所麻酔、または神経遮断の持続時間が肋間投与後少なくとも約4日まである、前記に示した実施態様。
【0312】
局所鎮痛、局所麻酔、または神経遮断の持続時間が肋間投与後少なくとも約10日まである、前記に示した実施態様。
【0313】
局所鎮痛、局所麻酔、または神経遮断の最大効果が得られるまでの時間が肋間投与の約6時間後から約2日後までに存在する、前記に示した実施態様。
【0314】
局所鎮痛、局所麻酔、または神経遮断の最大作用が得られるまでの時間が肋間投与の9日後までに存在する、前記に示した実施態様。
【0315】
局所鎮痛、局所麻酔、または神経遮断の発現が肋間投与の約3時間後から約6時間後までに生じる、前記に示した実施態様。
【0316】
局所鎮痛、局所麻酔、または神経遮断の持続時間が肋間投与した場合に、約44時間〜約75時間である、前記に示した実施態様。
【0317】
局所鎮痛、局所麻酔、または神経遮断の持続時間が効果発現後、約5時間〜約110時間である、前記に示した実施態様。
【0318】
局所鎮痛、局所麻酔、または神経遮断の持続時間が効果発現後、約30時間〜約100時間である、前記に示した実施態様。
【0319】
局所鎮痛、局所麻酔、または神経遮断の持続時間が効果発現後、約44時間〜約75.0時間である、前記に示した実施態様。
【0320】
肋間神経により神経支配される領域にピンを刺すことにより評価され、O、1または2により、ここでOは被験者がピン刺しを全く感じなかったことを意味し、1は、被験者が2回または3回のピン刺しを接触または圧力と感じたことを意味し、2は、被験者が2回または3回のピン刺しを痛烈と感じたことを意味するが、検査した患者の結果の平均値に基づいて、疼痛度を以下のように、すなわち投与1時間後に約1〜約2;投与2時間後に約0.5〜約1.5;投与6時間後に0〜約1;投与24時間後に約0〜約0.75のように評価した、ピン刺し疼痛応答検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した実施態様。
【0321】
投与6時間後〜24時間後までにピン刺し検査に基づいて100%の感覚ブロックをもたらす、前記に示した実施態様。
【0322】
投与約2日後にピン刺し検査に基づいて100%の感覚ブロックをもたらす、前記に示した実施態様。
【0323】
投与約3日後にピン刺し検査に基づいて100%の感覚ブロックをもたらす、前記に示した実施態様。
【0324】
投与約4日後にピン刺し検査に基づいて100%の感覚ブロックをもたらす、前記に示した実施態様。
【0325】
効果の持続時間が少なくとも投与約4日後まで続く、前記に示した実施態様。
【0326】
該製剤の鎮痛/麻酔の効果の平均持続時間が約2日間〜約4日間である、前記に示した実施態様。
【0327】
投与後2時間以内に体感検査に基づいて100%の感覚ブロックをもたらす、前記に示した実施態様。
【0328】
投与約2時間後から約24時間後までに体感検査に基づいて100%の感覚ブロックをもたらす、前記に示した実施態様。
【0329】
ヒト患者が、注射部位刺激時の知覚麻痺を、バーバル・ランク尺度0〜10、すなわち0=無感覚ではない、10=完全に無感覚)で、検査した患者の結果の平均値に基づいて、以下のように、すなわち投与2時間後に約0〜約4;投与6時間後に約0〜約3;投与12時間後に約0〜約2;24時間後に約0〜約2で特徴づける、知覚麻痺応答検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した実施態様。
【0330】
投与2日後で完全な無感覚を示す、前記に示した実施態様。
【0331】
投与4日後で完全な無感覚を示す、前記に示した実施態様。
【0332】
投与6日後で完全な無感覚を示す、前記に示した実施態様。
【0333】
投与8日後で完全な無感覚を示す、前記に示した実施態様。
【0334】
局所麻酔薬の血漿中最高レベルが肋間投与した場合に、全身毒性反応を引き起こす濃度を超えない、前記に示した実施態様。
【0335】
麻酔薬がブピバカインであり、ブピバカインの血漿中最大濃度(Cmax)が肋間投与した場合に、4000ng/mLを超えない、前記に示した実施態様。
【0336】
ブピバカインのCmaxの平均値が肋間投与した場合に、250ng/mLを超えない、前記に示した実施態様。
【0337】
ブピバカインのCmaxの平均値が肋間投与した場合に、約50ng/mLを超えない、前記に示した実施態様。
【0338】
ブピバカインのCmaxの平均値が肋間投与した場合に、約10〜約20ng/mLである、前記に示した実施態様。
【0339】
増強剤がデキサメタゾンであり、デキサメタゾンのCmaxの平均値が300ng/mLを超えない、前記に示した実施態様。
【0340】
デキサメタゾンのCmaxが250ng/mLを超えない、前記に示した実施態様。
【0341】
デキサメタゾンのCmaxが200ng/mLを超えない、前記に示した実施態様。
【0342】
ブピバカイン遊離塩基と、インヘレント粘度が約0.25〜約0.42dL/gであり、分子量が約20kDa〜約80kDaであり、遊離カルボン酸末端基を有する、乳酸とグリコール酸の65:35DLコポリマーを含む生体適合性で生分解性のポリマーとを含有する、多数の放出制御型マイクロスフェアを含む、ヒトに局所鎮痛をもたらす製剤であって、該ブピバカイン遊離塩基は、該マイクロスフェアに約60重量%〜約85重量%の薬物負荷量で含まれており、該マイクロスフェアは約4.5mg/ml〜約36.0mg/mlのブピバカイン遊離塩基濃度をもたらすに十分な濃度で、肋間注射用の製薬上許容可能な希釈剤に含まれており、約45mg〜約360mgの単位量のブピバカイン遊離塩基をもたらし、該製剤は投与部位において局所鎮痛を投与後約6時間未満に発現し、局所鎮痛は投与後少なくとも1日間持続する。
【0343】
即時放出形の第二の局所麻酔薬の用量をさらに含む、前記に示した実施態様であって、前記の第二の局所麻酔薬は、肋間投与後約5分以内に活性を発現する製剤をもたらす。
【0344】
ブピバカイン遊離塩基と、インヘレント粘度が約0.25〜約0.42dL/gであり、分子量が約40kDaであり、遊離カルボン酸末端基を有する、乳酸とグリコール酸の65:35DLコポリマーを含む生体適合性で生分解性のポリマーとを含有する、多数の放出制御型マイクロスフェアを含む、ヒトに局所鎮痛をもたらす製剤であって、該ブピバカイン遊離塩基は、該マイクロスフェアに約60重量%〜約85重量%の薬物負荷量で含まれており、該マイクロスフェアが約4.5mg/ml〜約36.0mg/mlのブピバカイン遊離塩基濃度をもたらすに十分な濃度で、肋間注射用の製薬上許容可能な希釈剤に含まれており、約45mg〜約360mgの単位量のブピバカイン遊離塩基をもたらし、該製剤は投与部位において局所鎮痛を投与後約2時間未満に発現し、局所鎮痛は投与後少なくとも約1日間持続する。
【0345】
即時放出形の第二の局所麻酔薬の用量をさらに含む、前記に示した実施態様であって、前記の第二の局所麻酔薬は、肋間投与後約5分以内に活性を発現する製剤をもたらす。
【0346】
表在腓骨投与の実施態様
局所麻酔薬を含む生体適合性で生分解性の担体を含む、ヒトに局所鎮痛、局所麻酔、または神経遮断をもたらす製剤であって、該製剤はヒトの単一神経に投与した後に、局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断を初回投与時の投与後約6時間未満で発現し、局所鎮痛は単一神経への投与後少なくとも約1日間持続する。
【0347】
単一神経が表在腓骨神経である、前記に示した実施態様。
【0348】
局所鎮痛発現が投与後30分以内である、前記に示した実施態様。
【0349】
発現後の局所鎮痛持続時間が約1日間〜約7日間である、前記に示した実施態様。
【0350】
疼痛度を表在肋間神経により神経支配される領域にピンを刺すことにより評価し、Oは被験者がピン刺しを全く感じなかったことを意味し(麻酔)、1は、被験者が2回または3回のピン刺しを接触または圧力と感じたか、または、1回を接触または圧力として感じ、1回を痛烈と感じたことを意味し、2は、被験者が2回または3回のピン刺しを痛烈と感じたことを意味する、O、1または2により評価するピン刺し応答検査により、局所麻酔薬を測定する、前記に示した実施態様。
【0351】
血漿中ブピバカイン最高濃度が27mgのブピバカイン投与に基づく約25ng/mL未満である、前記に示した実施態様。
【0352】
血漿中ブピバカイン最高濃度が27mgのブピバカイン投与に基づく約15ng/mL未満である、前記に示した実施態様。
【0353】
血漿中ブピバカイン最高濃度が27mgのブピバカイン投与に基づく約5ng/mL未満である、前記に示した実施態様。
【0354】
投与後7日間まで、ヒト患者に温度知覚ブロックをもたらす、前記に示した実施態様。
【0355】
投与後5日間まで、ヒト患者に温度知覚ブロックをもたらす、前記に示した実施態様。
【0356】
投与後2日間まで、ヒト患者に温度知覚ブロックをもたらす、前記に示した実施態様。
【0357】
投与後1日間まで、ヒト患者に温度知覚ブロックをもたらす、前記に示した実施態様。
【0358】
温度変化を、評価領域に冷アルコール綿で触れ、ヒトに「この綿で皮膚に触った時に、温度変化を感じたら教えてください」と指示することにより測定する、ここで「はい」は、ヒトが、温度変化を感じたことを示し、「いいえ」は、ヒトが温度変化を感じなかったことを示す、前記に示した実施態様。
【0359】
投与後30分以内にヒト患者の知覚麻痺が発現される、前記に示した実施態様。
【0360】
ヒト患者が注射部位刺激時の知覚麻痺を、0=無感覚ではない、10=完全に無感覚であるバーバル・ランク尺度0〜10で特徴づける知覚麻痺応答検査により、知覚麻痺を測定する、前記に示した実施態様。
【0361】
ヒト患者は、注射部位刺激時の知覚麻痺を、0=無感覚ではない、10=完全に無感覚であるバーバル・ランク尺度0〜10で、検査した患者の結果の平均値に基づいて、以下のように、すなわち投与1時間後に約0〜約5;投与6時間後に約0〜約4;投与12時間後に約0〜約3、24時間後に0〜約3で特徴づける、知覚麻痺応答検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した実施態様。
【0362】
ブピバカイン遊離塩基と、インヘレント粘度が約0.2〜約1.0dL/gであり、分子量が約20kDa〜約150kDaである、乳酸とグリコール酸の65:35DLコポリマーを含む生体適合性で生分解性のポリマーとを含有する多数の放出制御型マイクロスフェアを含む、ヒトに局所鎮痛をもたらす、前記に示した実施態様であって、該ブピバカイン遊離塩基は、該マイクロスフェアに約60重量%〜約85重量%の薬物負荷量で含まれており、該マイクロスフェアは約4.5mg/ml〜約36.0mg/mlのブピバカイン遊離塩基濃度をもたらすに十分な濃度で、表在腓骨神経への注射用の製薬上許容可能な希釈剤に含まれており、約45mg〜約360mgの単位量のブピバカイン遊離塩基をもたらし、該製剤は投与部位において局所鎮痛を投与後約6時間未満に発現し、局所鎮痛は投与後少なくとも1日間持続する。
【0363】
即時放出形の第二の局所麻酔薬の用量をさらに含む、前記に示した実施態様であって、前記の第二の局所麻酔薬は、腓骨神経への投与後約5分以内に活性を発現する製剤をもたらす。
【0364】
ブピバカイン遊離塩基と、インヘレント粘度が約0.2〜約1.0dL/gであり、分子量が約20kDa〜約150kDaである、乳酸とグリコール酸の65:35DLコポリマーを含む生体適合性で生分解性のポリマーとを含有す多数の放出制御型マイクロスフェアを含む、ヒトに局所鎮痛をもたらす、前記に示した実施態様であって、該ブピバカイン遊離塩基は、該マイクロスフェアに約60重量%〜約85重量%の薬物負荷量で含まれており、該マイクロスフェアは約4.5mg/ml〜約36.0mg/mlのブピバカイン遊離塩基濃度をもたらすに十分な濃度で、表在腓骨神経への投与用の製薬上許容可能な希釈剤に含まれており、約45mg〜約360mgの単位量のブピバカイン遊離塩基をもたらし、該製剤は投与部位において局所鎮痛を投与後約2時間未満に発現し、局所鎮痛は投与後少なくとも1日間持続する。
【0365】
即時放出形の第二の局所麻酔薬の用量をさらに含む、前記に示した実施態様であって、前記の第二の局所麻酔薬は、該製剤の表在腓骨神経への投与後約5分以内に活性を発現する製剤をもたらす。
【0366】
表在橈骨神経への投与のための実施態様
局所麻酔薬を含む生体適合性で生分解性の担体を含む、ヒトに局所鎮痛、局所麻酔、または神経遮断をもたらす前記の任意の実施態様の製剤であって、該製剤はヒトの表在橈骨神経に投与した後に、局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断を初回投与時の投与後約6時間未満で発現し、局所鎮痛は単一神経への投与後少なくとも約1日間持続する。
【0367】
該神経が表在橈骨神経である、前記実施態様。
【0368】
局所鎮痛発現が投与約0.25時間後〜約6時間後である、前記に示した実施態様。
【0369】
発現後の局所鎮痛持続時間が約15時間〜約240時間である、前記に示した実施態様。
【0370】
疼痛度が表在橈骨神経により神経支配される領域にピンを刺すことにより評価され、Oは被験者がピン刺しを全く感じなかったことを意味し(麻酔)、1は、被験者が2回もしくは3回のピン刺しを接触もしくは圧力と感じたか、または、1回を接触もしくは圧力と感じ、1回を痛烈と感じたことを意味し(鎮痛)、2は、被験者が2回または3回のピン刺しを痛烈と感じたことを意味する、O、1または2により評価する、ピン刺し応答検査により局所鎮痛を測定する、前記に示した実施態様。
【0371】
血漿中ブピバカイン最高濃度が56.25mgのブピバカイン投与に基づく約50ng/mL未満である、前記に示した実施態様。
【0372】
血漿中ブピバカイン最高濃度が56.25mgのブピバカイン投与に基づく約35ng/mL未満である、前記に示した実施態様。
【0373】
血漿中ブピバカイン最高濃度が56.25mgのブピバカイン投与に基づく約25ng/mL未満である、前記に示した実施態様。
【0374】
血漿中ブピバカイン最高濃度が56.25mgのブピバカイン投与に基づく約15ng/mL未満である、前記に示した実施態様。
【0375】
投与7日後まで、ヒト患者の温度知覚ブロックをもたらす、前記に示した実施態様。
【0376】
投与5日後まで、ヒト患者の温度知覚ブロックをもたらす、前記に示した実施態様。
【0377】
投与2日後まで、ヒト患者の温度知覚ブロックをもたらす、前記に示した実施態様。
【0378】
投与1日後まで、ヒト患者の温度知覚ブロックをもたらす、前記に示した実施態様。
【0379】
温度変化を、評価領域に冷アルコール綿で触れ、ヒトに「この綿を皮膚に触れた時に、温度変化を感じたら教えてください」と指示することにより測定する、ここで「はい」は、ヒトが、温度変化を感じたことを示し、「いいえ」は、ヒトが温度変化を感じなかったことを示す、前記に示した実施態様。
【0380】
投与後30分以内にヒト患者の知覚麻痺開始をもたらす、前記に示した実施態様。
【0381】
ヒト患者が注射部位刺激時の知覚麻痺を、0=無感覚ではない、10=完全に無感覚であるバーバル・ランク尺度0〜10で特徴づける、知覚麻痺応答検査により知覚麻痺を測定する、前記に示した実施態様。
【0382】
ヒト患者が、注射部位刺激時の知覚麻痺を、0=無感覚ではない、10=完全に無感覚であるバーバル・ランク尺度0〜10で、検査した患者の結果平均値に基づいて、以下のように特徴づける、すなわち投与1時間後に約0〜約5;投与6時間後に約0〜約4;投与12時間後に約0〜約3、24時間後に0〜約3のような、知覚麻痺応答検査により特徴づけられる効果をもたらす、前記に示した実施態様。
【0383】
投与2日後に完全に無感覚(0)をもたらす、前記に示した実施態様。
【0384】
投与5日後に完全に無感覚(0)をもたらす、前記に示した実施態様。
【0385】
投与7日後に完全に無感覚(0)をもたらす、前記に示した実施態様。
【0386】
麻酔薬がブピバカインであり、製剤のブピバカインCmaxが27mgの用量に基づく250ng/ml未満である、前記に示した実施態様。
【0387】
製剤のブピバカインCmaxが27mgの用量に基づく200ng/ml未満である、前記に示した実施態様。
【0388】
製剤のブピバカインCmaxが27mgの用量に基づく150ng/ml未満である、前記に示した実施態様。
【0389】
製剤のブピバカインCmaxが27mgの用量に基づく100ng/ml未満である、前記に示した実施態様。
【0390】
血漿中最大ブピバカイン濃度が27mgの用量に基づく約50ng/ml未満である、前記に示した実施態様。
【0391】
ブピバカイン遊離塩基と、インヘレント粘度が約0.2〜約1.0dL/gであり、分子量が約20kDa〜約150kDaである、乳酸とグリコール酸の65:35DLコポリマーを含む生体適合性で生分解性のポリマーとを含有する、多数の放出制御型マイクロスフェアを含む、ヒトに局所鎮痛をもたらす前記に示した実施態様であって、該ブピバカイン遊離塩基は、該マイクロスフェアに約60重量%〜約85重量%の薬物負荷量で含まれており、該マイクロスフェアは約4.5mg/ml〜約36.0mg/mlのブピバカイン遊離塩基濃度をもたらすに十分な濃度で表在橈骨神経への投与用の製薬上許容可能な希釈剤に含まれており、約45mg〜約360mgの単位量のブピバカイン遊離塩基をもたらし、該製剤は投与部位において局所鎮痛を投与後約6時間未満に発現し、局所鎮痛は投与後少なくとも約1日間持続する。
【0392】
即時放出形の第二の局所麻酔薬の用量をさらに含む、前記に示した実施態様であって、前記の第二の局所麻酔薬は、単一神経への投与後約5分以内に活性を発現する製剤をもたらす。
【0393】
ブピバカイン遊離塩基と、インヘレント粘度が約0.2〜約1.0dL/gであり、分子量が約20kDa〜約150kDaである、乳酸とグリコール酸の65:35DLコポリマーを含む生体適合性で生分解性のポリマーとを含有する、複数の放出制御型マイクロスフェアを含む、ヒトに局所鎮痛をもたらす前記に示した実施態様であって、該ブピバカイン遊離塩基は、該マイクロスフェアに約60重量%〜約85重量%の薬物負荷量で含まれており、該マイクロスフェアは約4.5mg/ml〜約36.0mg/mlのブピバカイン遊離塩基濃度をもたらすに十分な濃度で表在橈骨神経への投与用の製薬上許容可能な希釈剤に含まれており、約45mg〜約360mgの単位量のブピバカイン遊離塩基をもたらし、該製剤は投与部位において局所鎮痛を投与後約2時間未満に発現し、局所鎮痛は投与後少なくとも約1日間持続する。
【0394】
即時放出形の第二の局所麻酔薬の用量をさらに含む、前記に示した実施態様であって、前記の第二の局所麻酔薬は、該製剤の表在橈骨神経への投与後約5分以内に活性を発現する製剤をもたらす。
【0395】
好適な実施態様の説明
以下の実施例は、本発明の種々の態様を例示する。それらはいかなる場合にも特許請求の範囲を限定するものではない。
【0396】
実施例1
ブピバカイン/ポリマーマイクロカプセル(IDLA)の製造
実施例1で、ポリマーとブピバカインを含むマイクロカプセルを、以下のように調製した。水中油滴型エマルジョンを、界面活性剤を含む水溶液(処理水)と、薬物とポリマーを含む有機溶媒(油状)溶液とから形成した。乳化に続き、水でクエンチしてマイクロカプセルを硬化させ、溶媒を除去した。
【0397】
材料:
以下のように処理水(水相)を調製した:1Kgのポリビニルアルコール(PVA)を、100Lの注射用水(WFI)に加えた。WFIを混合し、約95℃まで加熱し、PVAを溶解した。PVAの溶解には、約3時間要し、その後、溶液の温度を約25℃まで下降させた。最後に、7.3L(6.5Kg)のエチルアセテートNF(Spectrum)を、PVA溶液中に加え攪拌し、エマルジョンの処理水(水相)を形成した。
【0398】
ポリマー/薬物溶液(有機相)を以下のように調製した:周囲条件下、1.4KgのMedisorb65:35DL−3A PLGA(インヘレント粘度=0.25〜0.42dL/g、分子量約40kDa、「40K」、親水性(酸性末端基))を、37.3L(33.4Kg)のエチルアセテートNFに溶解した。次に、3.6Kgのブピバカイン塩基(Orgamol)をこのポリマー溶液に加え、溶けるまで混合した。クエンチ溶液は、約18〜22℃で約2500LのWFIから構成されていた。このバッチの調製処方を、以下の表2に示す:
【表6】
Figure 2004521111
【0399】
プロセス:
6エレメントスタチックミキサーにより、1.375インチ直径を介して有機相および水相を同時に注入し、エマルジョンを形成した。有機相は2Kg/分の速度で、水相は4Kg/分の速度で、クエンチ溶液中に注入し、これを機械的に攪拌した。有機相と水相の両方を、インラインフィルターを通してろ過し、その後、スタチックミキサーに移した。次に、クエンチ溶液を1.5時間攪拌したあと、生成物を125および25μmのふるいにかけた。これらのふるいは、SWECOサニタリーセパレーターに設置されていた。SWECOセパレーターは、マイクロカプセルの収集および乾燥用に設計されており、振動を起こすことのできるモーターの上に存在する積み重ねられた2つのふるいからなる。SWECOセパレーターでマイクロカプセルを収集した後、SWECOを減圧することによりマイクロカプセルを乾燥した。約60時間後に乾燥したマイクロカプセルを収集し、収量(25〜125μm)は3.157Kgであった。
【0400】
実施例2
ブピバカイン/デキサメタゾン/ポリマーマイクロカプセル(EDLA)の製造
実施例2で、ポリマー、ブピバカインおよび増強剤(デキサメタゾン)を含むマイクロカプセルを以下のように調製した。水中油滴型エマルジョンを、界面活性剤を含む水溶液(処理水)と、薬物とポリマーを含む有機溶媒(油状)溶液とから形成した。乳化に続き、水でクエンチしてマイクロカプセルを硬化させ、溶媒を除去した。
【0401】
材料:
処理水(水相)は、以下のように調製した:1Kgのポリビニルアルコール(PVA)を、100Lの注射用水(WFI)に加えた。WFIを混合し、約95℃まで加熱し、PVAを溶解した。PVAの溶解には、約3時間要し、その後、溶液の温度を約25℃まで下降させた。最後に、7.3L(6.5Kg)のエチルアセテートNF(Spectrum)を、PVA溶液中に加え攪拌し、エマルジョンの処理水(水相)を形成した。
【0402】
ポリマー/薬物溶液(有機相)は以下のように調製した:周囲条件下、1.4KgのMedisorb65:35DL−3A PLGA(インヘレント粘度=0.25〜0.42dL/g、分子量約40kDa、「40K」、親水性(酸性末端基))を、37.3L(33.4Kg)のエチルアセテートNFに溶解した。次に、2.8gのデキサメタゾン(アップジョン)を加えた。その後、3.6Kgのブピバカイン塩基(Orgamol)をポリマー溶液に加え、溶けるまで混合した。クエンチ溶液は、約18〜22℃で約2500LのWFIから構成されていた。
【0403】
このバッチの調製処方を、以下の表3に示す:
【表7】
Figure 2004521111
【0404】
プロセス:
6エレメントスタチックミキサーにより、1.375インチ直径を介して有機相および水相を同時に注入し、エマルジョンを形成した。有機相は2Kg/分の速度で、水相は4Kg/分の速度で、クエンチ溶液中に注入し、これを機械的に攪拌した。有機相と水相の両方を、インラインフィルターを通してろ過し、その後、スタチックミキサーに移した。次に、クエンチ溶液を1.5時間攪拌したあと、該生成物を125および25μmのふるいにかけた。ふるいは、SWECOサニタリーセパレーターに設置されていた。SWECOセパレーターは、マイクロカプセルの収集および乾燥用に設計されており、振動を起こすことのできるモーターの上に存在する積み重ねられた2つのふるいからなる。SWECOセパレーターでマイクロカプセルを収集した後、SWECOを減圧することによりマイクロカプセルを乾燥した。約60時間後に乾燥したマイクロカプセルを収集し、収量(25〜125μm)は3.365Kgであった。
【0405】
実施例2A
3%過剰な40Kマイクロスフェアの製造
実施例2Aで、75%のブピバカイン塩基負荷量を有する、ポリマー、ブピバカイン、および増強剤(デキサメタゾン)を含むマイクロカプセルを、実施例2の材料およびプロセスを使用して調製した。このバッチの調製処方を表3Aに示す:
【表8】
Figure 2004521111
【0406】
実施例2B
40Kマイクロスフェアの10Kg規模のバッチの製造
実施例2Bで、75%のブピバカイン塩基負荷量を有する、ポリマー、ブピバカイン、および増強剤(デキサメタゾン)を含むマイクロカプセルを、実施例2の材料およびプロセスを使用して調製した。このバッチの調製処方を表3Bに示す:
【表9】
Figure 2004521111
【0407】
実施例3
120Kマイクロスフェアの製造
高分子量のポリマーを使用して製剤を製造するために、実施例2に使用したのと同じプロセスを、120kDaのポリマー、例えば、酸末端基を有する65/35DL PLGA「120K」に使用した。薬物とポリマーの相対量比は、高分子量製剤(「120K」)でも同じであった。
【0408】
このバッチの調製処方を、以下の表4に示す:
【表10】
Figure 2004521111
【0409】
実施例4
80K EDLAマイクロスフェアの製造
材料:
処理水(水相)は、以下のように調製した:30gのPVA(Spectrum)を3.0Lの脱イオン水に加え、溶けるまで混合しながら65〜70℃まで加熱することにより、1%ポリビニルアルコール(PVA)貯蔵溶液を調製した。PVA溶液を周囲温度まで冷却し、9.5〜3.0Lであった。次に、375mlのVA貯蔵溶液を、1125mlの脱イオン水で希釈した。最後に、90ml(80.1g)のエチルアセテートNF(Fisher)を、エマルジョン形成前に処理水に加えて攪拌した。
【0410】
ポリマー/薬物溶液(有機相)は、以下のように調製した:周囲条件下、5.6gのMedisorb65:35DL PLGA(インヘレント粘度=0.5〜0.6dl/g)を、150ml(133.5Kg)のエチルアセテートNFに溶解した。次に、0.0115gのデキサメタゾン(アップジョン)を加えた。その後、14.4gのブピバカイン塩基(Orgamol)をポリマー溶液に加え、溶解するまで超音波処理した。最後に、有機相を0.22μmのPTFEフィルターを通してろ過した。
【0411】
クエンチ溶液は、室温(RT)で8Lの脱イオン水から構成されていた。
【0412】
プロセス
21エレメントスタチックミキサー(Cole Parmer)により、1/2インチ直径を介して有機相および水相を同時に注入し、エマルジョンを形成した。有機相は500ml/分の速度で、水相は1000ml/分の速度で、クエンチ溶液中に注入し、これを機械的に攪拌した(500rpm)。クエンチ溶液を1.5時間攪拌し、その後、生成物を125および25μmのふるいにかけた。25〜125μmの部分を10μmろ紙上に収集し、減圧下で4時間乾燥させ、その後、一晩風乾させた。ブピバカイン/デキサメタゾンを負荷したマイクロスフェア(EDLA)のプロセス収量は14.2gであった。
【0413】
実施例4A
80K EDLAマイクロスフェアの製造(スケールアップ)
高分子量を有する別のポリマーを使用して製剤を製造するために、実施例2に使用したのと同じプロセスを、80kDaのポリマー、例えば、酸末端基を有する65/35DL PLGA、「80K」にも使用した。薬物とポリマーの相対量比は高分子量製剤(「80K」)と同じであった。
【0414】
このバッチの調製処方を以下の表5に示す:
【表11】
Figure 2004521111
【0415】
実施例4では、ポリマー、ブピバカイン、および増強剤(デキサメタゾン)を含むマイクロカプセルを、以下のように調製した。界面活性剤を含む水溶液(処理水)と薬物とポリマーを含む有機溶媒(油状)溶液から、水中油滴型懸濁液を形成した。乳化に続き、水でクエンチしてマイクロカプセルを硬化させ溶媒を除去した。
【0416】
実施例5
注射液媒体の調製
注射液媒体は、下記の表6に示したような成分を使用して調製した。媒体は等張性である。等張性媒体はカルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリソルベート80、マンニトールを滅菌水中で混合することにより調製した。その後、得られた等張性希釈剤をろ過し、最終的にオートクレーブにかけて滅菌した。
【表12】
Figure 2004521111
【0417】
十分量の注射用滅菌水USP/EP(WFI)を、滅菌容器中で、500〜600RPMで混合した。WFIの温度は、+15℃〜+30℃であった。混合速度を上げて渦を発生させ、カルボキシメチルセルロースナトリウムUSP(CMC)をWFI中に移した。混合速度を、その後500〜600RPMまで下げた。この溶液を、60±5分間混合した。CMCを溶解後、ポリソルベート80、NF(Tween80)を容器に加えた。この溶液を10±3分間混合した。Tween80を分散させた後、マンニトールUS/EPを容器に加えた。この溶液を10±3分間混合した。マンニトールUS/EPを溶解後、溶液のpHを測定した。pHが7.2を超えている場合、少量の追加分の0.01N氷酢酸を加えることによりpHを調整した。pHが7.6より低い場合、少量の追加分の0.01N水酸化ナトリウムを加えることによりpHを調整した。溶液を各々の追加分を加えた後に、500〜600RPMで、5±1分間混合した。pHを調整した後、十分量のWFIを加えて最終の溶液重量とした。溶液を10±2分間混合した。溶液のpHを測定した。pHが7.2を超えている場合、少量の追加分の0.01N氷酢酸を加えることによりpHを調整した。pHが7.6より低い場合、少量の追加分の0.01N水酸化ナトリウムを加えることによりpHを調整した。溶液を各々の追加分を加えた後に、500〜600RPMで、5±1分間混合した。
【0418】
得られた等張性希釈剤に、0.2μmのミリポア・デュラポアフィルターを使用して、清澄ろ過を行なった。滅菌したバイアルに、ろ過した等張性希釈剤を無菌的に充填した。その後、バイアルを滅菌シールで封をした。その後、封じたバイアルを、最後にバリカン滅菌装置中123℃±1℃で、42±1分間、D値2.17で滅菌した。
【0419】
インビトロでの、実施例1および2のマイクロカプセルからのブピバカインの放出
インビトロでの、実施例1および2のマイクロカプセルからのブピバカインの放出を調べた。溶出は、100rpm、37℃、USP装置2パドル法<711>を使用して実施した。10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH3.0)900mlを含む容器1個あたり、マイクロカプセル製剤に関係なく80mg±3mgの試料を使用した。試料(透明溶液)を、予め設定された時間区間で取り出して、ブピバカイン塩基についてHPLCで解析した。HPLC条件は以下の通りである:
カラム:ウォーターズ・ノバパック、C18、150×3.9mm
温度:25℃
流速:2.0mL/分
移動相:30:70 CHCH:HO(50mM CNaと0.2%TEAを含む、pH6.0)
注入容量:50μl
検出:240nm
【0420】
インビトロでの、実施例1および2の放出を図1に示す。ブピバカインとデキサメタゾンを含む、ブピバカイン負荷PLGA(約40kDa)マイクロカプセル(実施例2;代替的に本明細書では「EDLA」とも称する)からのインビトロでのブピバカインの放出は、デキサメタゾンを含まないマイクロカプセル(実施例1;代替的に本明細書では「IDLA」とも称する)からのその放出と実質的に同じである。それ故、デキサメタゾンの存在もしくは不在は、インビトロでのマイクロカプセルからのブピバカインの放出機序に全く影響を及ぼさない。
【0421】
インビトロでの40K、80Kおよび120Kマイクロスフェアからの
ブピバカインの放出
インビトロでの、実施例2(バッチ1〜4)、2A、3および4のマイクロスフェアからのブピバカインの放出を調べた。溶出は、USP装置2パドル法を使用して100rpm、37℃で実施した。10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH3.0)900mlを含む容器1個あたり、マイクロカプセル製剤に関係なく80mg±3mgの試料を使用した。試料(透明溶液)を予め設定された時間区間で取り出し、ブピバカイン塩基についてHPLCで解析した。HPLC条件は以下の通りである:
カラム:ウォーターズ・ノバパック、C18、150×3.9mm
温度:25℃
流速:2.0mL/分
移動相:30:70 CHCH:HO(50mM CNaと0.2%TEAを含む、pH6.0)
注入容量:50μl
検出:240nm
【0422】
結果:
インビトロでの、低分子量PLGA(約40K)マイクロスフェアからのブピバカインの放出は、図2に示したように、高分子量PLGA(約80Kおよび約120K)からの放出に比べてかなり放出が多いことが示される。80Kおよび120Kのマイクロスフェアからの放出は、4時間経過するとほぼ無視できる。しかし、4時間経過すると薬物の11.289%が80Kポリマーから放出され、これに対し、120Kポリマーでは1%である。これは放出の拡散性に基づくと考えられ、高分子量のポリマーでは、低分子量のポリマーに比べて強固な障壁が付与される。さらに、低分子量のポリマーが示す親水性により、マイクロスフェアの水和(湿潤)が促進され、従ってブピバカインの溶出速度はより速くなる。
【0423】
インビトロでの3つのポリマー(約40K、80Kおよび120K)からのブピバカインの放出パターンと、ブピバカイン塩基からの放出パターンとを、以下の表7に列挙する:
【表13】
Figure 2004521111
【0424】
データを図1にグラフで示す。
製剤に関する前記のインビトロデータおよびインビボ効力に基づいた溶出範囲を、以下の表7Aに列挙する。
【表14】
Figure 2004521111
【0425】
インビトロでの、実施例2Bのマイクロスフェアからのブピバカインの放出を調べた。溶出は、100rpm、37℃で、USP装置2パドル法<711>を使用して実施した。10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH3.0)900mlを含む容器1個あたり、マイクロスフェア製剤に関係なく80mg±3mgの試料を使用した。試料(透明溶液)を予め設定された時間区間で取り出し、ブピバカイン塩基についてHPLCで解析した。表7Bのその後の24時間の溶出放出速度は、実施例2Bの製剤により製造したバッチ(10Kgの規模のバッチ)に基づく好適な放出速度である。
【表15】
Figure 2004521111
【0426】
前記のインビトロでの溶出データに基づいた好適な溶出範囲を以下の表7Cに列挙する。
【表16】
Figure 2004521111
【0427】
インビボでのブピバカインマイクロカプセル検査−ホットプレートモデル
インビボでのいくつかの製剤の効力を、ラットにおいてホットプレートモデルを使用して評価した。手順は、IACUC No 9511−2199に詳述されている。以下は手順を言い換えている。
【0428】
平均体重275gの雄Sprague Dawleyラット(インディアナ州インディアナポリス、ハーラン・ラボラトリーズ)を使用した。ホットプレート試験は、動物の身体をやさしく抑え、一方で後足の足裏表面を、56℃に加熱したホットプレートに置くことからなる。潜伏時間の基線値は、ラット片側坐骨神経周囲に、局所麻酔薬を注射する前に決定した。
【0429】
マイクロスフェアを注射するために、ラットをイソフルランで簡潔に麻酔し、神経刺激措置中の随意的骨格筋収縮を防いだ。局所麻酔薬を注射するために、無菌で22ゲージのSTIMEX−4パリレンコーティング針(ニュージャージー州フランクリンレークス、ベクトン・ディッキンソン)を、1 1/2インチの18ゲージ針(ベクトン・ディッキンソン)に挿入した(使用前、18ゲージ針から古いSTIMEX−4非コーティング針を繰り返し挿入することにより、バールが除去された。バールは、マイクロスフェア注射中に針が詰まった報告の原因の場合がある。バールは、パリレンコーティングが削り出されるのを防ぐためにも除去する。その後、針をパッケージングし、オートクレーブ中で滅菌した)。STIMEX−4針をパリレンでコーティングし、コーティングされていない先端を除く、針全体の電気伝導性を防いだ。注射部位の毛を抜き、10%プロビドンアイオダインで飽和した滅菌綿棒で清潔にし、滅菌等張生理食塩水で飽和させた綿棒で濯いだ。表面皮膚に18ゲージ針をやさしく刺し、18ゲージ/STIMEX−4針の組合せが、神経周囲の組織に挿入できるようにした。電極の取り付けられた、18ゲージ/STIMEX針を、大腿の大転子と骨盤の坐骨結節の間の皮膚に挿入した。電極を前肢に配置した。坐骨神経に送られる電気パルス(Digi Stim II(登録商標):<0.9mA、および1Hz)により後肢は屈曲し、骨格組織または結合組織に針を間違えて配置すると、後肢を刺激できなかった。事実、極めて近傍に配置すると、Digi Stimの解読値は≦0.2mAとなった。18ゲージ/STIMIX−4針を組合せて配置する場合、STIMEX−4針を除去しても、18ゲージ針は坐骨神経の近傍に配置したままであった。注射直前に、マイクロスフェアを手短にボルテックスにかけて懸濁し、その後、1ml使い捨てシリンジに入れた。シリンジ容量をさらに0.07ml(すなわち0.6mlの注射容量+0.07ml=0.67ml;0.6mlが送達される)増加した。これは18ゲージ針のデッドスペースを示すからである。従って、0.67mlの注射により、0.6mlマイクロスフェアが坐骨神経の周囲に堆積した。
【0430】
医師および獣医師は、日常的に、STIMEX針および神経刺激物質を使用して、ヒトおよび動物の神経周囲に局所麻酔薬を注射する。ヒトにより0.9mA未満は検出されないという点で、刺激は痛くもストレスもない。注射の成功は、注射した後肢における、ほぼ即座の局所麻酔および筋肉脱力により裏付けられた。動物を寝床のあるプラスチックケージ内で飼い、注射した肢に損傷が生じるのを防いだ。我々の経験から、注射した肢の外皮は完全に無傷であり、発赤、圧痛またはひりひり感は観察されないことが示された。外皮の健康状態は毎日視診する。ラットは措置後にストレスを全く示さず、食物および水を獲得する上での難儀さは全くなかった。薬物注射後の試験肢の引っ込み潜伏時間検査を評価し、12秒間のカットオフ時間を使用して、結果を混乱させる可能性のある全ての傷害を予防した。局所麻酔は、ホットプレート潜伏時間(秒)として数量化した。
【0431】
時間経過試験が、2因子反復測定分散分析ANOVAを用いて解析された。薬物処理と時間の相互作用に関する有意F値により、Tukey検定を使用したこの後の比較が可能になった。Turkey検定により、治験担当医師は、時間経過全体を通じた、あらゆる対のデータ間の多重比較ができる。
【0432】
用量−応答曲線を、最小二乗線形回帰分析を使用して分析した。50%有効投与量(ED50)値を計算するために、各ラットのホットプレート潜伏時間の基線値および検査値の両方が最大可能効果%(MPE%)値へと変換された。12秒間の最大カットオフ時間を使用して、注射した肢への傷害を予防した。MPE%値をMPE%=[(検査値−対照値)(12−対照値)−1]×100のように、ハリス&ピアソン(1964)の方法に従って計算した。95%信頼限界のED50値は、ブリス(1967)の方法に従って計算された。ED50の計算は、全ての用量−応答曲線における個々のラットの散布図の線形回帰分析に基づいていた。ブリス(1967)は、ED50値の標準誤差を計算する以下の公式を開発した。95%信頼限界(以下、右)は、ブリス(1967)の式に基づく。
【数1】
Figure 2004521111
【0433】
計算
インビボでの、実施例1および2のマイクロカプセルの検査
結果:
データを、実施例1については図2に、実施例2については図3にグラフで示した。2つのデータセット:平均潜伏時間およびレスポンダーの比率をグラフにした。平均潜伏時間は、検査した全動物の平均潜伏時間を示す。エラーバーは平均の標準誤差を示す。7秒間におよぶ潜伏時間を好ましいと判断する。レスポンダーの比率は、注射した全動物数に対する比率としての、7秒より長い潜伏時間を有する動物数の目安である。このモデルで確立された効力基準は、平均潜伏時間は7秒より長く、レスポンダーの比率は50%以上である。
【0434】
図2は、実施例1の72%ブピバカインを負荷した40kDaマイクロスフェア製剤についての、平均潜伏時間およびレスポンダーの比率のデータを示す。デキサメタゾンを全く含まないこと以外は実施例2と同一である、この製剤は24時間を通じて麻酔効果を示し、24時間後の時点ではレスポンダーの比率は50%を下回る。
【0435】
図2は、実施例2の、72%ブピバカインと0.04%デキサメタゾンを負荷した40kDaマイクロカプセル製剤についての、平均潜伏時間およびレスポンダーの比率のデータを示す。この製剤は40時間続く有意な麻酔効果を示す(平均潜伏時間は7秒より長く;レスポンダーの比率は50%以上である)。
【0436】
インビボでの40K、80K、および120Kマイクロスフェアの検査
結果:
ラットホットプレートモデル潜伏時間(秒)により示された、3つのポリマー(約40K、80Kおよび120K)のインビボでの効力を以下の表8に列挙する:
【表17】
Figure 2004521111
【0437】
上記の表のデータセットを図2にグラフで示した。7秒間を超える潜伏時間が好ましいが、2秒後でも、統計学的に有意な効果を示した。12秒間のカットオフを課して、結果を混乱する可能性のある全ての傷害を予防した。
【0438】
実施例6
コモノマー比
コモノマー比は、放出パターンを改変するのに使用できる別の重要なポリマーの特性である。乳酸はグリコール酸よりも疎水性が高いので、乳酸含量を低減すると、マトリックスの親水性が増加し、マトリックスの水和が増加する。これらのポリマー間の分子量には差があるが、これだけではこれらのマイクロスフェアの放出特性の大きな差異を説明できない。
【0439】
実施例7
ポリマー分子量およびコモノマー比の複合操作
ポリマー分子量は、放出プロファイルを操作するのに使用される。一般に、低分子量のポリマーは細孔屈曲度が低く流入量が大きいために、放出が増加する。近年の研究は、低分子量の50/50PLGAに焦点を当てている。低分子量の50/50ポリマーを使用した場合には、放出は有意に増強される。しかし、2つの低分子量ポリマー、分子量約12Kおよび約30Kの放出プロファイルを区別することは難しい。
【0440】
これらの製剤を、1つの神経あたり1用量50mgのマイクロスフェアでインビボで検査した(ラットホットプレート検査)。黒丸は平均潜伏時間(秒)±平均標準誤差を示す。7秒より長い潜伏時間(破線)は十分な麻酔効果を示した。バーは7秒間より長い潜伏時間を記録した動物の%を示し、破線は50%に対応する。50/50マイクロスフェアは、平均潜伏時間が7秒間を超過したまま、即座に麻酔をもたらし、48時間中に50%を超える応答する動物数をもたらす。54および60時間後に麻酔効果は中程度になり、平均潜伏時間は7秒間より短くなり、応答する動物数は50%を下回る。この製剤は優れた効果発現時間および持続時間を示した。これに対し75/25PLGAマイクロスフェアは、試験した期間(24時間)中、麻酔効果を全く示さなかった。即時麻酔が必要であるため、これは許容不可能な製剤と見なされた。このインビボでの応答は、インビトロ検査により予測されており、過酷な条件下(pH1.2)でさえ、製剤はほんの中程度の放出しか示さなかった。これらのインビボでのプロファイルは、コモノマー比の改変が投与形の効力に有意な影響を及ぼし得ることを適切に示す。65/35低分子量PLGAが放出速度を増強できない場合、現在の65/35PLGAからのコモノマー比の変化が示される。
【0441】
実施例8
(末端基)
PLGAは、合成プロセスの性質に応じて、エステルまたは遊離カルボン酸を末端とする。カルボン酸末端ポリマーは、官能基がイオン化可能であるために、親水性がより高い。これらのポリマーは、より親水性の低いエステル末端ポリマーと比べて、より急速に水和して、より急速に分解する。分子量の小さいポリマーでは、末端基に対する外形長さの比が小さいので、この効果はより顕著である。より高分子量のポリマーでは、ポリマーの物理化学特性はポリマー骨格により支配されるため、末端基を変化させてもあまり効果がない。分解が増えることにより、細孔屈曲度は減少し、拡散速度は増加する。さらに、急速な水和により、ブピバカインの溶出は速くなり、ポリマーマトリックスを通っての放出速度も速くなる。
【0442】
薬物の溶出を増加する関連した現象は、微小環境効果である。これは、より低分子量の親水性PLGAを使用した場合に、ミクロスフェア中のpH環境がより低い可能性があることを意味する。低pHは、最初から存在し、水性媒体中でこのポリマーが分解すると絶えず生成されるカルボン酸残基のイオン化により生じる。このような局所の酸性環境は、ブピバカインの溶出を助け、これによりその放出速度は増加する。
【0443】
実施例9
ポリマーブレンド
ポリマーをブレンドすることで、所望の増強剤を含むまたは含まない局所麻酔薬を含むポリマーマイクロスフェアからの放出を操作できる別の潜在的な可能性がもたらされる。前記したように、50/50PLGA(分子量10〜12K)では放出速度の増加が示されたが、貯蔵時に結晶が形成されることから不安定であると見なされた。50/50低分子量および65:35高分子量のポリマーのブレンド(現在のプロセスに使用されたポリマー)数個を、安定な製剤を形成する試みから、1:1、3:1、および9:1の比で評価した。ポリマーを活性成分と共に有機相中で合わせ、溶液をろ過した。他のプロセス段階は通常通りに進行させた。
【0444】
1:1のブレンドは0.5時間で66%を放出し、24時間で約96%を放出した。3:1および9:1は、薬物を非常に迅速に放出し、0.5時間で100%を超えて放出した(アッセイにより変動)。これらの放出条件は非常に攻撃的であったことに注意すべきである。より高いpH(3.0または5.0)のような僅かに攻撃性の低い条件では、より緩徐な放出プロファイルが得られ、インビボでの放出と良好に相関する。これらの結果は、薬物をカプセル封入したままで放出プロファイルを改変する上での、ポリマーブレンドの有用性を示している。
【0445】
50/50(約12K)および65/35(約120K)のPLGAマイクロスフェアの1:1ブレンドを投与した後の、インビボでの動物の応答を検査した。製剤を投与した1時間後、潜伏時間は、12秒間まで増加した(最大の許容可能な潜伏時間)。麻酔効果は12時間を通じて持続され、潜伏時間は約10秒であった。24時間までに、平均潜伏時間は約7秒まで下降し、応答する動物数は40%を下回る。これは疼痛の遮断が不十分であることを示し、それ故、この製剤は24時間以前に効力を失った。一見したところでは、このプロファイルはインビトロデータと良好に相関していないようである。しかし、インビトロデータをより詳しく調べると、インビボ挙動についての説明が示唆される。インビトロデータは、使用した極めて酸性(pH1.2)な条件下でさえ、非常に急速な初期放出を示し、その後、非常にゆっくりとした放出がなされている。インビボでは、pH条件が中性に近く(pH6.8〜7.4)、初期放出後の放出は、麻酔を生じるには十分ではない場合がある。インビボデータを考えると、この製剤では所望の作用持続時間が得られない。
【0446】
50/50(約12K)および65/35(約120K)PLGAマイクロスフェアの3:1ブレンドを投与後の、インビボでの動物の応答を検査した。この場合、麻酔は急速に生じ、30時間を通じて維持された。36時間後まで、平均潜伏時間は約7秒間であり、応答した動物の%は50%を下回り、麻酔の減衰を示した。インビトロでの放出は極めて迅速であるので、インビボでの結果と殆ど相関させることができなかった。しかし、現在のインビトロ放出条件下では、極めて迅速な放出によっても、より長時間におよび効力が得られると思われる。これらのポリマーの9:1ブレンドを投与した後のインビボでの応答を調べると、このことはより明らかとなる。
【0447】
これらのポリマーの9:1ブレンドの投与後の応答プロファイルが示される。前と同じように、麻酔効果は投与後1時間以内に実現され、36時間にわたり持続した。48時間後までに、潜伏時間は基線潜伏時間に近づき、どの動物も7秒間より長い潜伏時間を示さなかった。
【0448】
要約すると、ブレンドのインビボでの結果は、1:1ブレンドが僅か1日間しか効果がないことを示した。3:1および9:1ブレンドは、約2日間持続する効力を示し、3日後に消失した。これらの結果は、低分子量ポリマーと高分子量ポリマーの他の比を用いてさらに調べると、3日間の間効力を延長できるという点で見込みがあるようである。
【0449】
実施例10
ポロシノゲン
マトリックスからの拡散を増加させる別の可能性は、マトリックス有孔度を増加させることである。ポロシノゲンを製剤に加えて、孔形成を容易にすることができる。無機塩および水溶性ポリマー、例えばポリエチレングリコールを含む種々の可能性がある。
【0450】
ポロシノゲンとしての無機塩
塩化カルシウムはエチルアセテートに可溶性であり、それ故、インライン滅菌ろ過を台無しにすることなく、有機相に直接使用できる。溶媒抽出技術を使用して、0.01%、0.025%、0.05%および0.1%を取り込んだEDLAマイクロスフェアが製造された。これらのマイクロスフェアの放出プロファイルを図A10に示す。pH1.2および37℃での放出プロファイルは、0.01%の最も低い塩濃度の放出さえ、5mLのEtOHが、CaClなしで添加されている対照マイクロスフェアと比べて、かなり増加していることを示している。これらのマイクロスフェアのSEMは球状で、結晶がないことを示す。0.01%CaClマイクロスフェアの投与後のインビボでの応答プロファイル(ホットプレート検査)を図A11に示す。麻酔は投与後1時間以内に生じ、30時間持続する。36ないし48時間でいくつかの辺縁麻酔が明白に認められたが、54時間までに消失した。
【0451】
塩化カルシウムに加え、2つの他のナトリウム塩(アスコルビン酸ナトリウムおよびクエン酸ナトリウム)が、有孔度を増加させて製造するために使用された。これらの塩はエチルアセテートに可溶性である。放出プロファイルは対照マイクロスフェアに類似している。これらの塩は極めて低い比率(0.1%および0.2%)で取り込まれ、濃度を5倍〜10倍から1%まで増加させることは、系の放出速度論により重大な影響を及ぼす。
【0452】
使用された塩の比率が低くても放出は増加するので、使用された最も効果的な塩はCaClである。さらに、EtOHに可溶であることから、有機相のインライン滅菌ろ過は損なわれない。
【0453】
ポロシノゲンとしてのPEG
ポリエチレングリコール(PEG)は、有孔度を誘導するために使用できる水溶性ポリマーである。多種多様な分子量のPEGが入手可能であり、汎用性がある。2つのPEG(分子量800および4600)はEtOHに溶解され、ポロシノゲンとしてEDLAマイクロスフェアに取り込まれた。マイクロスフェアはPAに提出され、インビトロ放出検査は実行中である。薬物負荷はPEGの添加によって損なわれなかった。
【0454】
実施例11
放出速度を増加させるための他の技術
塩形のブピバカインは、塩基よりも良好な水溶解性を有する。これは、カプセル封入された薬物の溶出速度を増加させ、これにより放出速度は増加する。ブピバカインHClを使用する上での限界は、現在の製造プロセスにおける有機溶媒であるエチルアセテートへの溶解の限界にある。
【0455】
溶媒がマイクロスフェアから除去される速度は、マイクロスフェアの形態に影響を及ぼすことが示された。溶媒を急速に除去すると、非常に有孔率の高い内部構造を有するマイクロスフェアが生じるが、溶媒をゆっくりと除去するとポリマーの欠失した内腔が生じる。
【0456】
実施例12
薬物負荷
バーストを減少するための最も簡単な方法の1つは、薬物負荷を減少することである。37℃、pH1.2の緩衝液中、50/50低分子量PLGA(分子量10〜12K)の2つのロットの相対放出を検査した。負荷量の少ないマイクロスフェアは56%のバーストを示し、一方、72%負荷マイクロスフェアは77%のバーストを示す。前回同様、この放出はインビボ条件を模倣しておらず、バーストの差とは無関係に放出プロファイルはかなり変化する。それにも関わらず、バースト効果に対する負荷の効果はこの放出プロファイルで適切に示され、低分子量ポリマーからのバーストが所望より多いと確認された場合には、有用であると立証できる。
【0457】
実施例A
皮下注射として投与された、持続時間の延長した局所麻酔薬の感覚遮断プロファイル
実施例2に従って調製した局所麻酔製剤(EDLA)を、ヒト被験者の各腓腹の内側面に皮下注射として投与し、所望の感覚ブロックを生じる濃度を決定する。試験の第1部では、120K EDLA製剤では最大濃度5.0%まで、40K EDLA製剤では2.5%までの濃度を増加させて評価する。各EDLA製剤は、参照のためブピバカイン水(0.5%)と比較する。第1部に続いて、さらに比較試験(第2部)を実施して、実施例1の製剤(IDLA)により得られる感覚ブロックと、同量(1.25%)のEDLA製剤により得られる感覚ブロックとを比較する。
【0458】
被験者および評価者の両者が、評価の最初の4日間の間は、各部位に注射する処置について知らされていない。無作為計画で、EDLAを注射する腓腹、ブピバカイン水を注射する腓腹が指定される。両方のセットの実験で、ヒト被験者は2回の注射、すなわち1回のEDLA注射を一方の腓腹に1回のブピバカイン水0.5%注射を他方の腓腹に(第1部)、あるいは1回のEDLA注射を一方の腓腹に1回のIDLA注射を他方の腓腹に受ける(第2部)。被験者は、処理48時間前に各腓腹を剃るように指示される。35×60mmの長方形が右腓腹と左腓腹の内側面上に描かれた。22ゲージで1 1/2インチの針およびルアーロックシリンジを使用して、計5mLの試験薬が、2回に分割して、各2.5mLずつ注射され:針は長方形の反対の角に挿入され、針の挿入毎に2.5mLの薬物を「扇を広げたような」様式で注射し、長方形内の皮下組織を飽和する(全容量5ml)。各浸潤液は、1回の注射として、試験薬の調製1時間以内に投与される。
【0459】
試験に使用された製剤が、以下の表A1に記載され、ここで、「LMW−EDLA」は低分子量(40kD)ポリマーを使用した実施例2の製剤を意味し;「HMW−EDLA」は、高分子量(120kD)ポリマーを使用した実施例2の製剤を意味し;「IDLA」は、低分子量(40kD)ポリマーを使用した実施例1の製剤(デキサメタゾン非含有)を意味する。HMW−EDLA(「120K−EDLA」)の用量は、表A1に記載したのと同じ手順に従って再構成し使用される。
【表18】
Figure 2004521111
【0460】
各試験は、全体で14日間と6週間の安全性評価期間、および6ヶ月の長期安全性評価の期間を有する。
【0461】
効力検査
ヒトモデルにおける局所麻酔薬の検査は、しばしば3つの一般的領域に焦点を当てる:機械的試験(ピン刺し、フォン・フライ毛)、温熱検査(温、熱、冷)、および触覚検査(接触)である。大きさ、伝導速度、髄鞘形成などに基づいて、種々の伝導神経に対する局所麻酔薬の作用を広く定義するために、複数の検査様式が使用される。これらの異なる様式で検査する特異性は、これら全文献の全体を本明細書に参照して組み込まれるが、例えばDahlら、Pain、53:43−51(1993);モイニッチェら、Brit.J.of Anaesthesia、71:201−205(1993);ペダーセンら、Anesthesiology、84(5):1020−1026(1996);モイニッチェら、Regional Anesthesia、18:300−303(1993);ペダーセンら、Brit.J.of Anaesthesia、76(6):806−810(1996);およびペダーセンら、Pain、74:139−151(1998)に記載されている。
【0462】
本明細書に報告した試験では、以下の7個の特異的様式が感覚応答の測定した変化に基づく、効果の発現、ピーク密度、および持続時間を参考にしながら、局所鎮痛薬、局所麻酔薬および神経遮断の目安として使用される。評価は、注射の2、4、6、8、24、48、72および96時間後、ならびに、6、7、および8日後に実施される。
【0463】
機械的:
1)漸増的に硬くなるフォン・フライ毛を使用した機械的疼痛検出閾値;
2)フォン・フライ毛17号を使用した、閾値上機械的疼痛応答;
触覚的:
3)漸増的に硬くなるフォン・フライ毛を使用した機械的接触検出閾値
熱的:
4)温検出閾値;
5)熱疼痛検出閾値;
6)閾値上熱疼痛応答;および
7)冷検出閾値。
【0464】
これらの各様式および、これらの様式を使用して検査した効力の結果を以下に詳しく考察する。
【0465】
機械的および触覚的検査
機械的疼痛検出閾値は、明確な疼痛感または不快感を生じる最小の力すなわちフォン・フライ毛の最小号数として定義される。機械的接触検出閾値は、接触または圧力の感覚を生じる最小の力すなわちフォン・フライ毛の最小号数として定義される。機械的接触検出閾値および機械的疼痛検出閾値は、漸増的に硬いフォン・フライ毛(VFH)(スウェーデン、ストックホルム、Somedic A/B)を使用して同時に決定した。平衡に対抗して僅かに曲がるまで押した各VFHは力を示し、これは毛の号数の増加と共に、対数的に増加し、全部で3〜402ミリニュートン(mN)を網羅している(VFH7号=3mN;VFH8号=13mN;VFH9号=20mN;VFH10号=39mN;VFH11号=59mN;VFH12号=98mN;VFH13号=128mN;VFH14号=133mN;VFH15号=314mN;VFH16号=350mN;VFH17号=402mN)。
【0466】
注射領域を、各VFHで8回、1秒間あたり約2回の刺激という速度で、VFH7号から始めてVFH17号まで刺激する。接触または圧力として感じられるVFHの最小号数(機械的接触検出閾値)および8回中半分の刺激が痛いまたは不愉快である毛の最小号数(機械的疼痛検出閾値)を記録する。手順をさらに2回繰り返し、3回の測定の中央値を報告する。VFH17号が接触または圧力の感覚を生じない場合、機械的接触検出閾値に18を割り当てた。VFH17号が疼痛または不快を全く生じない場合、機械的疼痛検出閾値に18を割り当てる。1本のフォン・フライ毛に対する閾値上機械的疼痛応答を、注射領域を5回、VFH17号(402mN)で刺激することにより決定する。被験者は、ゼロ(0)=疼痛なし、10=想像できる最悪の疼痛である0〜10のVRS尺度を使用して疼痛を評価する。
【0467】
これらの実験を行いたい場合には、以下のデータが予期される。
【0468】
機械的疼痛検出閾値
第1部の機械的疼痛検出閾値検査の結果を下記の表A2に作表し、図A1に示す。表A2および図A1から分かるように、2時間後の検査時点ですでに、機械的疼痛検出閾値検査において、基線からの測定可能な変化が認められる。その効果は製剤(LMW−EDLA)によっては約6時間後〜約24時間で最大に達するが、8日目に終了する検査期間中に機械的疼痛検出閾値が連続的に増加し続けることにより、ある例では最大効果が観察されない(HMW−EDLA)。効力が測定される最後である、少なくとも8日間検査したいくつかの製剤で、この効果が持続する。
【表19】
Figure 2004521111
Figure 2004521111
【0469】
第2部の1.25%40K EDLAおよび1.25%40K IDLAの時間に対する平均疼痛検出閾値を図A2に示す。
【0470】
機械的疼痛検出ブロックの発現および持続時間
機械的疼痛検出閾値を使用した機械的疼痛検出ブロックの発現時間は、フォン・フライ毛17号を用いた検査で疼痛が全く生じない最初の時間であり、すなわち8回適用中4回未満で、3回中少なくとも2回の反復検査で疼痛を感じる。40K EDLAの機械的疼痛検出ブロックの開始は平均3〜38時間後で、中央値は3〜16時間後の範囲である。より高濃度の40K EDLAでは、最低濃度(38時間)に比べて平均発現時間が早いことが示される(3時間後)。1.25%の120K EDLAの機械的疼痛検出ブロックの発現時間は、81および60時間後(平均値および中央値)であり、これは1.25%40K EDLAで観察されたものより遅い(5時間後、平均値および中央値)。
【0471】
第2部では、第1部で最小有効量として選択された1.25%濃度の40K EDLAを、同濃度の40K IDLAと比較する。1.25%40K EDLAおよび1.25%40K IDLAの、時間に対する機械的疼痛検出閾値の平均値を図A2および添付の表に示す。機械的疼痛検出ブロックの発現は、1.25%40K EDLA(12および6時間後、平均値および中央値)の方が1.25%40K IDLA(49および8時間後、平均値および中央値)に比べて早い。結果を以下の表A3に示す。
【表20】
Figure 2004521111
【0472】
機械的疼痛検出ブロックの持続時間は、機械的疼痛検出ブロックの発現から終了までの時間である。機械的疼痛検出ブロックの終了は、VFH17号が疼痛を生じない最後の評価時点と17号以下のVFHが疼痛を生じた最初の評価時点の間の中点である。結果を表A4に示す。
【表21】
Figure 2004521111
【0473】
第1部では、40K EDLAにおける機械的疼痛検出ブロックの持続時間の平均値の範囲は50〜129時間であり、中央値の範囲は20〜129時間である。より高濃度の40K EDLAは、最低濃度(50時間)に比べて、より長い平均持続時間(129時間)を示す。持続時間は1.25%40K EDLAでは80および76時間(平均値および中央値)であり、1.25%120K EDLAでは111および104時間(平均値および中央値)である。ブピバカイン水の機械的疼痛検出ブロックの持続時間は予期したよりも短い(48時間および34時間、平均値および中央値)。
【0474】
第2部では、第1部で最低有効量として選択された1.25%濃度の40K EDLAを、同濃度の40K IDLAと比較する。機械的疼痛検出ブロック持続時間の長さは、1.25%40K IDLAに比べて(42および12時間、平均値および中央値)、1.25%40K EDLAではほぼ2倍である(80および76時間、平均値および中央値)。さらに、機械的疼痛検出閾値平均値は、40K IDLAに比べて、40K EDLAではより緻密なブロックを示す。図A2および要約の表A10に示したように、機械的疼痛閾値の平均値を使用すると、40K EDLAでは機械的疼痛閾値の基線からの最大増加は+2.5で、これは注射24時間後に生じ、これに対して40K IDLAでは注射8時間後に生じるが、+1.6である。
【0475】
要約すると、機械的疼痛検出閾値検査の結果は、感覚所見の測定可能な変化は2時間以内に起こり、その効果はIDLAとEDLAとでは類似していることを示す。効果の持続時間は、デキサメタゾンにより明らかに影響を受ける。この効果はIDLAでは2〜3日間であるが、EDLAでは4〜5日間である。機械的疼痛検出閾値が基線に戻ることにより評価されるブロックの持続時間については、40K IDLAよりも40K EDLAの方が僅かに遅い。
【0476】
閾値上機械的疼痛応答
上記で考察したように、本検査は被験者に疼痛の応答を生じると判定された1本の硬いフォン・フライ毛を用いて行なう。疼痛応答は、注射領域を5回、VFH17号で刺激することにより判定する。被験者は疼痛を、0=疼痛なし、10=想像できる最悪の疼痛であるバーバル・ランク尺度0〜10(VRS)でランク付けする。
【0477】
第1部では、閾値上機械的疼痛応答(VRSスコア)の基線平均値は約1.7〜約2.5の範囲である。感覚ブロックは、VRSスコアの変化により示され、EDLA製剤投与後に基線(2.0)からの減少を示し、投与2時間後で約1に、投与24時間後に約0〜約0.5まで減少する。この効果は投与後少なくとも8日間の間観察される。基線からの最大減少は、40Kおよび120K EDLAの両方について、投与約24時間後に起こる。高濃度の40K EDLAは、最低濃度に比べて基線からの大きな減少とより長い持続時間を示す。時間に対する閾値上機械的疼痛応答平均値(VRS)スコアを、図A5および図A3に示す。
【表22】
Figure 2004521111
Figure 2004521111
【0478】
第2部では、閾値上機械的疼痛応答検査のVRSスコア平均値を使用して測定されたように、機械的刺激(VFH17号)に対する疼痛応答の遮断の密度は、40K EDLAの方が40K IDLAに比べて大きく、基線からの最大下降はそれぞれ1.6対1.3であり、40K EDLAの方がブロックはより長く持続する。基線から8日目までの各評価時点における、閾値上機械的疼痛応答(VRS)スコア平均値を図A4に示す。
【0479】
機械的接触検出閾値
機械的接触検出閾値は、8回中4回のVFH適用における、接触または圧力の感覚を生じるVFHの最小号数である。第1部では、機械的接触検出閾値の基線平均値は、約4.5〜約9.5の範囲である。感覚ブロックは測定した閾値の変化により示され、EDLA製剤投与後に基線からの増加を示し、投与2時間後に約1に増加し、投与24時間後に約9〜約15に増加する。この効果は投与後少なくとも8日間観察される。基線からの最大増加は、40Kおよび120K EDLAの両方共、投与約24時間後に起こる。高濃度の40K EDLAは、最低濃度に比べて基線からの大きな変化とより長い持続時間を示す。時間に対する機械的接触検出閾値の平均値を図A6および図A5に示す。
【表23】
Figure 2004521111
Figure 2004521111
【0480】
第2部では、機械的接触検出閾値平均値は同様に、40K IDLAに比べて40K EDLAの方が緻密なブロックを示す。疼痛閾値の基線平均値からの最大増加は、検査により決定した閾値平均値を使用すると、40K EDLAでは+5であり、これに対して、40K IDLAでは+4であり、40K EDLAおよびIDLAでは、それぞれ2日後、1日後まで続く。全濃度のEDLAおよび1.25%40K EDLAおよび1.25%40K IDLAにおける、時間に対する機械的接触検出閾値の平均値を図A6に示す。
【0481】
温熱検査
注射領域における閾値上熱疼痛応答は、注射領域上でコンピューター管理された15×25mmのサーモード(サーモステスト、スウェーデン、ストックホルム、SomedicA/B)を使用して、5秒間続く45℃の刺激により判定される。被験者は、その疼痛を0=疼痛なし、10=想像できる最悪の疼痛であるバーバル・ランク尺度0〜10(VRS)で評価される。
【0482】
温検出閾値は知覚される32℃からの温度の最小増加として定義され、熱疼痛検出閾値は疼痛として知覚される最小温度として定義され、冷検出閾値は知覚される32℃からの最小減少として定義される。温検出閾値、熱疼痛検出閾値および冷検出閾値は、注射領域におけるコンピューター管理したサーモステスト(スウェーデン、ストックホルム、SomedicA/B)で判定する。特定の感覚に到達するとすぐに、被験者はボタンを押すように指示されている。熱閾値は32℃の基線から判定され、1秒間あたり1℃の変化速度で増加(温検出閾値および熱疼痛検出閾値)または減少(冷検出閾値)する。温検出閾値および熱疼痛検出閾値におけるカットオフ上限は52℃である。冷検出閾値におけるカットオフ下限は25℃である。
【0483】
温検出閾値、熱疼痛検出閾値および冷検出閾値は、各刺激の間には10秒間の間隔をおいて3回の測定の中央値として計算される。被験者が温感または疼痛を52℃で知覚しない場合には53℃の値が温検出閾値として記録され、被験者が52℃まで疼痛を知覚しない場合には、53℃の値が熱疼痛検出閾値として記録され;被験者が25℃で冷感または疼痛を知覚しない場合には、24℃の値が冷検出閾値に記録される。
【0484】
閾値上熱疼痛応答
第1部における閾値上熱疼痛応答検査(VRSスコア)の結果を、以下の表A7および図A7に示す。結果は、投与前のVRSスコアの基線平均値2.3から最大値5は、投与24時間後には約0〜1まで減少することを示し、検査期間中、ほぼこの低いレベルで維持される。
【表24】
Figure 2004521111
Figure 2004521111
【0485】
第2部では、閾値上熱疼痛応答の遮断は全体的に、40K EDLAに比べて40K IDLAの方が僅かに大きく、40K IDLAでは熱疼痛閾値の最大減少は2.2であるのに対し、40K EDLAでは2.0である(基線に対して、40K IDLAでは−2.2、40K EDLAでは−2.0)。しかし、遮断は40K EDLAの方が長く続き、40K EDLAでは基線からの変化−1.5が7日後および8日後に観察されたが、これに対して、40K IDLAでは3日後および4日後に観察された。40K IDLAの基線からの下降は8日後に−1.1であり、40K EDLA(8日後に−1.5)に比べて基線の神経機能により速く戻ったことを示す。時間に対する1.25%40K EDLAおよびIDLAの閾値上熱疼痛応答平均値を図A8に示す。
【0486】
熱疼痛検出閾値
32℃に設定された電気サーモードが注射領域に装着された場合に、熱疼痛検出閾値は疼痛として知覚される最低温度である。温度を52℃まで1℃/秒で上昇させる。第1部の熱疼痛検出閾値検査結果を、以下の表A8および図A9に示す。結果は、痛いと知覚される最低温度として定義される熱疼痛検出閾値は、投与前の基線平均値48から、24時間後には約51まで増加し、少なくとも4日間はほぼこのレベルで維持されることを示す。
【表25】
Figure 2004521111
Figure 2004521111
【0487】
第2部では、熱疼痛検出閾値を使用した熱疼痛検出ブロックの発現時間は、熱疼痛検出閾値検査の3回中少なくとも2回の反復試験で、52℃のカットオフ点を使用して、疼痛が示されない最初の時間として定義される。熱疼痛検出ブロックの終了は、熱疼痛検出閾値が52℃より高い最後の検査時点と熱疼痛検出閾値=52℃である最初の検査時点の間の中点である。熱疼痛検出ブロックの持続時間は、熱疼痛検出ブロックの発現から熱疼痛ブロックの終了までの時間である。これらの結果は表A8に提示し、図A10に示す。
【0488】
熱疼痛検出ブロックの発現時間および持続時間
熱疼痛検出ブロックの発現時間は、熱疼痛検出閾値の3回中2回の反復試験で、52℃のカットオフ点まで疼痛検出が示されない最初の時間、すなわち53℃という中央値が記録される最初の時間と定義される。被験者は7日間(168時間)検査する。平均発現時間が168時間ということは、効果が全くないことを示す。
【表26】
Figure 2004521111
【0489】
温度知覚は機械的疼痛前に遮断されるので、熱疼痛検出ブロックはより感度の高いブロックの目安である。これは、2.5%および5.0%の濃度の120K EDLAについての熱疼痛検出ブロック(機械的疼痛検出ブロックは、これらのどちらの濃度でも、効果を全く示さない)、および3つの濃度全ての40K EDLAの感覚ブロックにより裏付けられる。第1部(参照としてのブピバカイン水を用いての、EDLAの用量応答と比較)では、1.25%濃度の120K EDLAでは、熱疼痛検出ブロックの開始は全く観察されない。1.25%40K EDLAにおける熱疼痛検出ブロックの発現時間は、108時間および132時間(平均値および中央値)である。ブピバカイン水における熱疼痛検出ブロックの発現時間は、140および168時間(平均値および中央値)である。1.25%濃度の120K EDLAでは効果が全く観察されないので、2.5%120K EDLAを2.5%40K EDLAと比較する。熱疼痛検出ブロックの発現時間は、2.5%40K EDLAの方が2.5%120K EDLAに比べて速い(それぞれ、120および168[平均値および中央値]並びに136および168時間)。
【0490】
第2部では、熱疼痛検出ブロックの発現時間は、1.25%40K EDLAでは90および48時間後(平均値および中央値)であり、1.25%40K IDLAでは119および168時間後(平均値および中央値)である。熱疼痛検出閾値の平均値は、40K IDLAに比べて40K EDLAの方が僅かに緻密なブロックであることを示す。熱疼痛閾値の基線からの最大増加は、40K EDLAおよび40K IDLAでは同じ(+2)であるが;最大のブロック密度は、40K EDLA(4日間まで)の方が40K IDLA(1日間)に比べてより長く続く。
【0491】
熱疼痛検出ブロックの持続時間
熱疼痛検出ブロック持続時間は、熱疼痛ブロックの開始から終了までの時間である。熱疼痛検出ブロックの終了は、熱疼痛検出閾値は52℃より高い最後の評価時点と熱疼痛検出閾値が52℃以下である最初の評価時点の間の中点である。熱疼痛検出ブロックの持続時間を表A10に示す。
【表27】
Figure 2004521111
【0492】
第1部では、熱疼痛検出ブロックの持続時間は、1.25%40K EDLAでは22および18時間(平均値および中央値)である。熱疼痛検出ブロックは、1.25%120K EDLAでは全く観察されない。ブピバカイン水における熱疼痛検出ブロックの持続時間は、短い(1.25%40K EDLA/ブピバカイン水処理の対では、0.5および0時間(平均値および中央値))。
【0493】
1.25%濃度の120K EDLAでは効果が観察されないので、2.5%120K EDLAを2.5%40K EDLAと比較する。熱疼痛検出ブロックの持続時間は、2.5%40K EDLAの方が2.5%120K EDLAに比べて長い(それぞれ、24および0(平均値および中央値)ならびに12および0時間)。
【0494】
第2部では、第1部で最小有効量として選択された1.25%濃度の40K EDLAを、同濃度の40K IDLAと比較する。熱疼痛検出ブロックの持続時間は、1.25%40K EDLA(18および0時間、平均値および中央値)の方が1.25%40K IDLA(6および0時間、平均値および中央値)と比べて3倍長い。
【0495】
時間に対する温検出閾値
温検出閾値は知覚される温度の最小上昇であり、基線温度の32℃から始まり、52℃まで1℃/秒で温度を上昇させる。被験者が52℃まで温かいと知覚しない場合、温検出閾値として53℃の値が記録される。
【0496】
第1部では、測定可能な最初の変化は、2時間以内に起こり、3時間までにピークに達する。基線平均値40〜42から約46までの温検出閾値の増加が観察され、24時間以内から遅くて72時間後までに生じる。時間に対する温検出閾値は、表A11および図A11に示す。
【表28】
Figure 2004521111
Figure 2004521111
【0497】
第2部の結果を図A12に示す。温検出閾値の平均値は、40K EDLAおよび40K IDLAのブロック密度が等しいことを示し(基線から+4)、40K EDLAの方が40K IDLAに比べて発現が遅く(それぞれ24時間対6時間)、終了が遅い(40K EDLA対40K IDLAで、それぞれ2日間対1日間)。効果の持続時間はEDLAで劇的に長い。
【0498】
冷検出閾値
この検査は、冷たいと検出できるように設計された温度に1回さらすことにより行われる。これらの結果を図A13に示す。
【0499】
結論
全体的に、40K EDLAの方が40K IDLAに比べて、より緻密で長い感覚ブロックが観察される。効果の密度は基線からの増加により測定される。以下の表A12に示したように、機械的疼痛閾値および熱疼痛閾値、ならびに機械的接触閾値および温閾値において、密度は、40K IDLAに比べて40K EDLAでは等価かまたはより大きく、持続時間は、40K EDLAの方が40K IDLAに比べて一般に長い。
【表29】
Figure 2004521111
【0500】
実施例B
デキサメタゾンおよびブピバカイン水を含む長時間作用型ブピバカイン
(120K EDLA)を皮下浸潤した後の感覚ブロックの発現時間および持続時間
二重盲検無作為不完全ブロック試験を実施して、ヒト被験者の各腕に投与した場合の、ブピバカイン水(AB)と比較した120K EDLAの感覚遮断の特徴(鎮痛および麻酔の発現時間および持続時間)および安全性プロファイルを評価した。試験の全期間は、14日間のスクリーニング期間は含まない14日間であり、これに先立って初回来診と試験薬の投与が行なわれた。120kEDLAについて最大2.5%までの漸増濃度で評価が行われた。
【0501】
15名の健常な男性および女性のボランティアが参加した。被験者は、妊娠および尿中薬物検診並びに生命徴候および感覚の鋭敏さ(ピン刺し検査、熱検査、および触覚検査)の基線評価について、注射前の夕方に施設に報告した。EDLA注射が翌朝に投与された。被験者は、注射後の最初の24時間施設に留まり、感覚遮断の発現時間およびその程度並びに有害事象について、特定の間隔をおいて評価された。退院時に被験者は、施設に、注射後の6日間毎日(ほぼ24時間毎に)、そして再度、最終の経過観察評価のために14日後(2週間後)に戻るように指示された。ピン刺し検査、熱検査、および触覚検査を使用した感覚遮断検査が来診時に毎回行われ、注射部位の反応、残留効果または他の副作用を決定するために被験者を評価した。
【0502】
デキサメタゾン含有または不含の、ブピバカインを含むマイクロスフェア調製物である、すなわち、それぞれ120K EDLA1.25%および120K IDLA1.25%、およびマイクロスフェア粉末(プラセボ)を検査した。120K EDLA1.25%、120K IDLA1.25%、およびマイクロスフェア粉末(プラセボ)の製剤が、皮下注射液(6mL)として各腕の掌側に投与された。各注射部位が、治験担当医師が毎日3日間、その後の8週間は7日間毎に検査し、注射6ヵ月後に再度検査された。遅くに膨潤または硬化が出現した注射部位が、輪郭を描いた硬化領域の腕の写真と共に、硬化領域を測定することにより、周期的に評価された。治験担当医師および出資者が病変について生検に適していると考えた場合、生検が実施された。膨潤または硬化は軽度で疼痛を伴わない傾向があり、思いがけない出来事が起こることなく寛解した。
【0503】
機械的刺激(ピン刺し)および触覚刺激(綿ボール)の評価において、基線およびその後の注射後の時点:15、30、45および60分後、1.5、2、2.5、3、6および12時間後、並びに1、2、3、4、5、6、7、および14日間後に評価が行われた。温熱刺激評価、温検出閾値および熱疼痛検出閾値(それぞれWDTおよびHPDT)が、基線および注射の1、2、3、6および12時間後、注射の1、2、3、4、5、6、7、および14日後に行われた。縫合が注射3時間後に行われ、感覚ブロック深度の他の目安として使用された。
【0504】
感覚ブロック度の評価において、ピン刺しに対する知覚変化により評価が行われた。被験者の目を横に向けて、評価者は5回、各注射領域にピンを刺した。評価者は、被験者に「ピン刺しを感じましたか」と質問した。被験者がピン刺しを感じたと答えれば、ピン刺しは、痛烈であったか、それとも接触感または圧力感のようなものであったかを尋ねた。
【0505】
感覚ブロックに関するピン刺し検査に対する応答は、以下のように分類された:
麻酔 0=被験者はピン刺しを全く感じなかった。
鎮痛 1=被験者はピン刺しを感じたが、穿刺は接触または圧力として感知された。
ブロックなし 2=被験者は痛烈なピン刺しを感じた。
【0506】
鎮痛/麻酔
120K EDLAの注射20回中10回(50%)で鎮痛または麻酔が得られた。鎮痛/麻酔の発生率は濃度により変動した。120K EDLA2.5%の注射5回中4回(80%)、120K EDLA0.625%の注射5回中3回(60%)、120K EDLA0.312%の注射5回中2回(40%)、120K EDLA1.25%の注射5回中1回(20%)で鎮痛が得られた。0.25%および0.5%ABを投与された全被験者(100%)が、鎮痛/麻酔を報告した。
【0507】
鎮痛/麻酔の持続時間は、鎮痛/麻酔の発現時間から痛烈な感覚に戻った時間までの時間として定義された。鎮痛/麻酔の発現時間および持続時間は共に変動的であった。120K EDLA0.312%注射後の鎮痛/麻酔の平均発現時間は、3.1時間後であり(0.3〜6時間後の範囲);鎮痛/麻酔の平均持続時間は0時間である(すなわち、開始直後の評価時に、鎮痛/麻酔が全くなかった)。120K EDLA0.625%の注射では、鎮痛/麻酔の平均発現時間は1.2時間後であった(0.3〜3時間後の範囲)。120K EDLA0.625%のレシピエントが、最長の鎮痛/麻酔平均持続時間(56.3時間)を示したが、持続時間の幅も最も広かった(0.0〜167.8時間)。1回の120K EDLA1.25%注射後に鎮痛/麻酔が生じ、注射0.5時間後に開始され、0.5時間持続した。120K EDLA2.5%の注射後の平均発現時間は、24.7時間後(0.3〜72.0の範囲)であり、平均持続時間は14.9時間(0.0〜48.0の範囲)であった。
【0508】
0.25%および0.5%ABの両方の注射後の鎮痛/麻酔の平均発現時間は0.3時間後(0.3〜0.5時間の範囲)であった。0.25%ABの注射による鎮痛/麻酔の平均持続時間は16.3時間(1.5〜47.8の範囲)であり、0.5%ABの注射による鎮痛/麻酔の平均持続時間は38.8時間(2.8〜143.8の範囲)であった。鎮痛/麻酔の発生率、発現時間および持続時間に関する結果を表B1に要約する。
【表30】
Figure 2004521111
【0509】
120K EDLAのどの注射によっても、上で定義したような麻酔が得られなかった(被験者はピン刺しを全く感じなかった)。0.25%ABの注射の5回中3回(60%)および0.5%ABの注射5回中4回(80%)により麻酔が得られた。0.25%AB注射の平均麻酔発現時間は0.7時間後(0.3〜1.0時間の範囲)であり、0.5%AB注射では平均発現時間は0.9時間後(0.3〜1.5の範囲)であった。
【0510】
温熱刺激
温検出閾値および熱疼痛検出閾値の判定を、実施例Aに記載したようなコンピューター管理した半導体サーモードを使用して行なった。検出閾値は、32℃という基線温度から1℃温度上昇/秒で、最大52℃まで判定した。被験者は、温感が検出されたら(温検出閾値)、そして再度、疼痛感が知覚されたら(熱疼痛検出閾値)、押しボタンを作動させるように指示された。これらの値を記録し、サーモードを基線温度まで戻した。52℃のカットオフ限界に達し、被験者が疼痛を知らせなかった場合、サーモードは自動的に基線に戻った。52℃まで温感または疼痛を知覚しなかった被験者は、53℃とランク付けされた。
【0511】
温検出閾値は温感が知覚された最低温度と定義され、熱疼痛検出閾値は痛いと知覚される最低温度と定義された。「疼痛」の解釈は被験者にまかせ、試験中、同じ解釈を適用するように指示された。各閾値は、各刺激間に10秒間間隔をとって行なった3回の判定の中央値として計算した。時点別の、温検出閾値および熱疼痛検出閾値の平均値は、各評価時点における平均検出温度と定義された。温熱疼痛ブロックは、53℃を熱疼痛検出閾値として定義された。
【0512】
温熱疼痛ブロック
120K EDLAの20回中19回(95%)の注射により温熱疼痛ブロックが得られ、ABの10回中9回(90%)の注射により温熱疼痛ブロック得られた。温熱疼痛ブロックの発現時間および持続時間を表B2に要約する。温熱疼痛ブロックの持続時間は、温熱疼痛ブロックの発現時間と熱刺激による疼痛感が戻った時間の間の時間であった(熱疼痛検出閾値≦52℃)。発現は、AB(平均発現時間は、0.25%では1.3時間であり、0.5%では0.6時間であった)および120K EDLA2.5%(平均発現時間、1.6時間)では急速に起こった。他の120K EDLA処理の平均発現時間はより変動が大きく、3〜7日間後という発現が遅い場合があったために、はるかに遅い。熱疼痛ブロックの平均持続時間も変動し、120K EDLA0.625%の88.8時間から120K EDLA2.5%の233.6時間の範囲に及んだ。0.25%ABのブロックの平均持続時間は161.3時間であり、0.5%ABでは133.8時間であった。
【表31】
Figure 2004521111
【0513】
温熱疼痛閾値変化の発生率、発現時間および持続時間を表B3に要約する。温熱疼痛閾値変化は53℃未満であり、初期の数値とは3℃以上異なる熱疼痛検出閾値スコアとして定義された。120K EDLAの注射20回中16回(80%)で温熱疼痛閾値が変化した。AB注射の全10回(100%)で疼痛閾値が変化した。
【0514】
疼痛閾値変化の平均発現時間は、大半の120K EDLA処理(120K EDLA0.312%、0.625%、および1.25%で、それぞれ、2.0、5.4および5.0時間後)よりもAB処理(0.25%ABで17.2時間後および0.5%ABで31.8時間後)の方が長かった。しかし、120K EDLA2.5%の発現時間は、この処理による疼痛閾値発現時間の変化が1つにおいて遅いため、118時間後であった。
【0515】
温熱疼痛変化検出の持続時間は、温熱疼痛ブロック発現時間と熱疼痛検出閾値が基線レベルに戻った時間までの間の時間であった。疼痛閾値変化の平均持続時間は0.25%ABで162.8時間であり、0.5%ABでは205.8時間であった。120K EDLA処理では、平均持続時間の範囲は108時間(120K EDLA2.5%)〜268.2時間(0.625%)であった。
【表32】
Figure 2004521111
【0516】
熱ブロック
被験者は、温検出閾値が53℃に達した場合には、熱ブロックを有すると考えられた。120K EDLAを投与された20名中3名(15%)の被験者は、熱ブロックを経験した。ABを投与された10名中6名(60%)の被験者は、表B4に示したように、熱ブロックを示した。2つのAB処理群における熱ブロックの発現は比較的迅速であり:0.25%ABでは1.0時間後で、0.5%ABでは1.5時間後であった。120K EDLAを投与された被験者では、熱ブロックの平均発現はより遅く:120K EDLA0.625%では12時間後であり、120K EDLA2.5%では18時間後であった。熱ブロックの持続時間はAB処理群で類似していたが(0.25%ABでは8時間、0.5%ABでは6.5時間)、120K EDLA群では大きく異なっていた(120K EDLA0.625%では108時間、120K EDLA2.5%群では持続せず)。
【表33】
Figure 2004521111
【0517】
触覚知覚ブロック
触覚刺激(綿ボール)の評価において、接触に対する感受性を、綿ボールを注射領域の皮膚に軽くブラッシングした時の被験者の「接触」知覚能により評価した。評価者が綿ボールで該領域を検査している間、被験者は横を向いていた。被験者は、「腕に何かが触れていると感じるかどうか教えてください」と頼まれた。被験者は「はい」または「いいえ」と答えた。
【0518】
表B5に示したように、20回中僅か2回(10%)の120K EDLA処理で触覚がブロックされたが、AB処理では10回中7回(70%)で触覚知覚がブロックされた。AB注射における触覚知覚ブロックの平均発現時間は、温熱疼痛ブロックまたは熱ブロックよりも速かった:0.25%ABでは0.4時間後、0.5%ABでは0.3時間後。120K EDLAで注射した後、触覚知覚ブロックの平均発現時間は短かった:120K EDLA0.625%および120K EDLA2.5%は両方共に2.5時間後で、これは触覚知覚ブロックを経験した唯一の処理群であった。
【0519】
触覚ブロックの平均持続時間は0.25%ABでは2.2時間であり、0.5%ABでは7.8時間であった。120K EDLA2.5%による処理から生じた触覚ブロックは全く持続せず、120K EDLA0.625%による処理では触覚ブロックの持続時間は3.5時間となった。
【表34】
Figure 2004521111
【0520】
総合固定時の疼痛
縫合固定時の疼痛は、感覚ブロックの深度を評価する他の方法として使用された。4−0絹縫合糸を十分な厚さで固定し、注射領域のいくらかの皮下組織を取り込んだ。被験者は、0=「疼痛なし」、10=「想像できる最悪の疼痛」である11ポイントのバーバル・ランク尺度を使用して、縫合糸挿入時の疼痛をランク付けした。120K EDLAを投与された全被験者が、表B6に示したように、縫合固定時に少なくともいくらかの疼痛を報告した。120K EDLA0.625%を投与された被験者が最も高く報告し(平均値6.6)、120K EDLA2.5%を投与された被験者は最も低く報告した(平均値3.2)。AB(0.25%または0.5%のいずれか)を投与された被験者は誰も、縫合配置時に疼痛を報告しなかった。
【表35】
Figure 2004521111
【0521】
注射時の疼痛
注射時の疼痛の評価において、注射毎に、被験者は注射の疼痛(針の挿入によるものではない)を評価するように依頼された。注射時の疼痛は、0=疼痛なし、10=想像できる最悪の疼痛を示す11ポイントのバーバル・ランク尺度を使用してランク付けした。スコア平均値を表B7に要約する。注射時の疼痛は120K EDLA0.625%処理群で最も高く(平均値5.2)ランク付けされ、120K EDLA2.5%処理群で最も低く(平均値、2.6)ランク付けされた。
【表36】
Figure 2004521111
【0522】
効力の要約
感覚遮断データを表B8に要約する。120K EDLAを投与された被験者間の鎮痛/麻酔の発生率は濃度依存的ではなかった。全体的に、120K EDLAを投与された被験者の50%が鎮痛を経験し、麻酔を報告した者はいなかった。ABを投与された全被験者が鎮痛を報告し、70%が麻酔を経験した。鎮痛/麻酔の平均持続時間は、120K EDLA処理群では0〜56時間であり、AB処理群では16〜39時間であった。
【0523】
温熱疼痛ブロックは、120K EDLAレシピエントの95%で生じたが、ABを投与された被験者では90%であった。温熱疼痛ブロックの平均発現時間の範囲は、120K EDLAでは注射後1.6時間〜50時間であり、ABでは0.6時間〜1.3時間であった。温熱疼痛ブロックの平均持続時間の範囲は、120K EDLAでは89〜234時間であり、ABでは134〜161時間であった。
【0524】
120K EDLAでの処理は、被験者の80%で温熱疼痛検出に変化を生じ;AB処理により、全被験者の温熱疼痛検出が変化を生じた。温熱疼痛検出変化の平均発現時間は、120K EDLA0.312%、0.625%および1.25%では注射後6時間未満であり、120K EDLA2.5%では118時間後であった。温熱疼痛検出変化の平均発現時間の範囲は、ABでは注射後17〜32時間後であった。温熱疼痛検出変化の持続時間の範囲は、120K EDLAでは108〜268時間であり、ABでは163〜206時間であった。
【0525】
熱ブロックは120K EDLAを投与された被験者の15%に生じたが、ABレシピエントでは60%に生じた。熱ブロックの平均発現時間は、ABを投与された被験者においてほぼ10倍短かった。熱ブロック持続時間の範囲は、120K EDLAでは0〜108時間であり、ABでは6.5〜8時間であった。
【0526】
120K EDLA処理中僅か10%でしか触覚がブロックされなかったが、一方、AB処理の70%で触覚がブロックされた。触覚ブロックの平均発現時間は、120K EDLA被験者では注射2.5時間後であり、AB被験者では0.5時間後未満であった。触覚ブロックの持続時間の範囲は120K EDLAでは0〜3.5時間であり、ABでは2〜8時間であった。
【0527】
120K EDLAを投与された全被験者が縫合固定時に疼痛を報告したが、ABを投与された被験者は誰も縫合固定時に疼痛を経験しなかった。
【表37】
Figure 2004521111
【0528】
結論
120K EDLAの皮下浸潤後の感覚遮断は、発現時間、持続時間および120K EDLA濃度により変動した。120K EDLAを投与された被験者の半分は鎮痛を報告したが、麻酔を報告した者はいなかった。ABの皮下浸潤を投与された全被験者が鎮痛を経験し、70%が麻酔を経験した。120K EDLAまたはABにさらされた大半の被験者が、温熱疼痛ブロックおよび温熱疼痛検出変化を経験した。120K EDLAを投与された被験者は、ABを投与された被験者よりも熱ブロックおよび触覚ブロックの発生率がはるかに低かった。
【0529】
大半の有害事象は部位特異的であり、この製剤では予想されていた。大半は軽度で、介入なく寛解した。どの有害事象も重度または重篤ではなかった。全身的有害事象が相対的になかったことから、血漿中ブピバカイン最小濃度を特徴とする安全性プロファイルが示唆された。
【0530】
実施例C
肋間神経遮断剤として投与したEDLAおよびIDLAの感覚遮断および薬物動態
実施例2に従って調製された局所麻酔製剤(EDLA)が肋間神経T9、T10、およびT11に投与された。試験の第1部において、40K EDLAおよび120K EDLAを漸増量で使用して、両側肋間神経遮断剤がヒト被験者に投与された。被験者は、一方に120Kまたは40K EDLAを、他方にブピバカイン水0.25%を投与され、これにより、検査製品の有効量を決定する上での被験者自体の対照として作用する。第2部では、第1部で4日間のブロック持続時間を示した120K EDLAおよび40K EDLAの2用量を、等用量の120Kおよび40K IDLAと比較した(実施例1に従って調製した、デキサメタゾンを含まないマイクロスフェア中にブピバカインを取り込んだ、中程度の持続時間の局所麻酔薬)。40K EDLAおよび120K EDLAを使用した肋間神経遮断剤を片側のみに(左側)投与し、等量の40K IDLAまたは120K IDLAを比較のため他の被験者に投与した。第3部では、5.0%の40K EDLAを一方の側(左側)に投与した。各処理群における血漿中ブピバカインおよびデキサメタゾン濃度を決定した。
【0531】
どちら側に試験薬か活性比較対照薬(0.25%ブピバカイン水)を投与するかに関して、全被験者が無作為に割り当てられた。肋間神経T9、T10およびT11の両側分節ブロックを、参照して本明細書に組み込まれるコパック・ディー・ジェイおよびトンプソン・ジー・イー、Neural Blockade、第3版、クーザン・エム・ジェイおよびブリデンバウフ・ピー・オー編、ニューヨーク、NY:リッピンコット・レーベン・パブリッシャーズ、1998による、「胸部および腹部の、腹腔および下腹神経叢、肋間、胸膜、および抹消神経の遮断」に記載のように、ヴァージニア・メイソン・クリニックで使用される標準的な慣行に従って実施した。各ブロック部位における皮膚への浸潤は、エピネフリンを含まないリドカイン0.5〜1%を使用して、該部位上に皮膚膨疹を作ることにより行なった。このように使用したリドカインの総量は、40mg(4〜8mL)を超えなかった。遮断は、腹臥位の被験者の肋骨角に行なった。全てのEDLAまたはIDLA製剤が、1神経あたり2mLの容量で投与された(片側あたり6mL)。
表C1およびC2に、比較した試験処理を列挙する。
【表38】
Figure 2004521111
【表39】
Figure 2004521111
【0532】
100mgのブピバカインを負荷したマイクロスフェア(約72重量%のブピバカインおよび0.04%重量%のデキサメタゾン)を含むEDLA(120Kおよび40K)が10mlバイアルで供給された。100mgのブピバカイン負荷マイクロスフェア(約72重量%のブピバカイン)を含むIDLA(120Kおよび40K)が10mLバイアルで供給された。
【0533】
効力検査
全被験者において、基線ピン刺し検査、体感試験検査(温度知覚ブロック)、および知覚麻痺レベル検査(これらは両側に行なった)を使用して、注射0分後、15分後、1、2、3、6、12、24、48、72、および96時間後およびその後ブロックが寛解するまで毎日(約24時間毎)、感覚ブロックが評価された。全3部の試験の被験者から血液サンプルを、血漿中ブピバカインおよびデキサメタゾンレベルについて判定するために同時に採取した。ピン刺しに対する応答についての鎮痛/麻酔の発現時間および持続時間(初期)、麻酔発生率、温度知覚ブロックの発現時間および持続時間、ブロック不成功割合、知覚麻痺度、時間に対する血漿中薬物濃度、薬物動態パラメータ(Cmax、Tmax、AUC)および血漿中薬物濃度に関連した麻酔度/鎮痛度が判定された。安全性の変数には、注射時の疼痛、注射部位での局所反応、他の感覚/反応の存在(痒み、刺痛、灼熱感、疼痛、知覚過敏)、有害事象の発生率および重度、生命徴候の基線からの変化、および、臨床検査値(血液検査、臨床化学検査、尿検査を含む)の基線からの変化が含まれる。
【0534】
ピン刺し検査を以下のように実施した:治験担当医師は、肋間神経により神経支配される領域の、対応する腹部の四分の一区の鎖骨中央線にピンを刺すことにより、感覚ブロック度を評価した。歯科用針(または類似のタイプの針)の尖っていない末端を使用して、前記の腹部の四分の一区上の皮膚を軽く叩くことにより評価がなされた。感覚ブロックの密度は以下の基準を使用して分類した:
0=被験者は、ピン刺しを全く感じなかった。
1=被験者は、2回または3回(3回中)のピン刺しを、接触または圧力と感じた。
2=被験者は、2回または3回(3回中)のピン刺しを、痛烈と感じた。
【0535】
2回のピン刺ししか感じられず、1回は接触または圧力と感じられ、もう1回は痛烈と感じられた場合、あるいは1回のピン刺ししか感じられなかった場合、レベル「1」(接触/圧力)を割り当てた。
【0536】
鎮痛および/または麻酔の発現時間、終了時間および持続時間の点についても、効力が評価された。鎮痛発現時間は、ピン刺し検査により特定の領域で鎮痛(接触/圧力)または麻酔(ピン刺しが全く感じられない)が示される時間と定義した。一旦、感覚ブロックの発現時間が決定されると、ブロックを示す領域(群)に外科用ペンで印を付けた。ペンで輪郭を描いた領域は、ピン刺し検査領域と称した。検査を一貫性をもって行なうために、その後の全てのピン刺し検査はこれらの部位(群)内に含まれた。感覚ブロック発現時間のためのピン刺し検査は、投与開始前(基線)および注射約30分後、1、2、3、6、および12時間後に、治験担当医師が行なった。
【0537】
鎮痛/麻酔の持続時間は、鎮痛/麻酔発現時間とピン刺しに応答して痛烈な感覚が戻った時間の間の時間として定義された。ブロックの終了時点は、鎮痛/麻酔が報告された最後の評価時間と鎮痛/麻酔がもはやなくなった次の評価時間との中点として見積もられた。鎮痛が断続的に生じる場合には、全持続時間は、これらの期間の合計であった。被験者は、感覚遮断が終了したと判定されるまで、治験担当医師によるピン刺し検査のために、注射後約24時間毎に試験施設に戻った。被験者は、1日に少なくとも1回、治験担当医師の評価後約12時間毎に、自宅でピン刺し法を実施し、感覚ブロックの密度を自己評価し、日記に結果を記録するやり方について指示された。自己評価は、終了に関係なく計14日間続けた。温度知覚ブロック(体感検査)を、アルコール綿棒で処理領域に触れることにより評価した。被験者は、温度変化が感じられれば「はい」と答え、変化が知覚されなければ「いいえ」と答えるように指示された。温度知覚ブロックの発現時点は、被験者が温度変化を感じなくなった最初の時間と定義された。終了は体感検査で基線値に戻ることと定義された。
【0538】
知覚麻痺度は、各時点における知覚麻痺ランク分布として測定され、0=全く無感覚ではない、10=完全に無感覚である11ポイントの数字によるランク付け尺度に基づいた。被験者は、腹部の感覚遮断領域への接触後に、知覚麻痺度をランク付けするように依頼された。
【0539】
全ての検査様式を使用した効力評価が、基線(時間0)、注射の約30分後、1、2、3、6および12時間後、および遮断が終了するまで24時間毎に1回、治験担当医師により行なわれ、ブロックの終了に関係なく、治験担当医師の評価の約12時間後、24時間毎に1回(+/−90分)、14日間、被験者により行なわれた。血漿中ブピバカインおよびデキサメタゾン濃度、並びに、標準的な薬物動態目安(Cmax、Tmax、AUC)の判定のために、0時間(投与前)、注射の15分後、1、2、3、6、12、24、48、72および96時間後、および遮断が終了するまで24時間毎に、試験の第1部、第2部、第3部で血液を採取した。
【0540】
結果
ピン刺しに対する応答により評価される鎮痛および/麻酔を、EDLA製剤もしくはIDLA製剤またはブピバカイン水の投与後の時間の関数として表C3および図C1〜C5に示す。
【表40】
Figure 2004521111
Figure 2004521111
Figure 2004521111
【0541】
表C3および図C1〜C5に示した結果から分かるように、接触または圧力としてのピン刺し感覚あるいはピン刺し無感覚が、EDLA製剤またはIDLA製剤の投与後6時間以内に達成され、場合によっては1〜3時間以内に達成された。通常感覚に戻るまでの時間は、1〜4日間まで変動し、製剤によっては少なくとも10日間かかった。最大効果までの時間も同じように変動し、最大効果は6時間から2日間の間で達成され、ある製剤の投与後では9日間かかった。これに対し、0.25%ブピバカイン水による鎮痛/麻酔は0.5から1時間以内で達成されたが、投与後12時間までに完全に消失した。
【0542】
鎮痛発現時間は、ピン刺し検査で、特定領域での鎮痛(接触/圧力)または麻酔(ピン刺しを全く感じない)が示された時間として定義された。鎮痛/麻酔の持続時間は、鎮痛/麻酔の発現時間とピン刺しに応答して痛烈な感覚が戻った時間の間の時間として定義された。ブロック終了は、鎮痛/麻酔が報告された最後の評価時間と鎮痛/麻酔がもはやなくなった次の評価時間との間の中点として見積もられた。
【0543】
表C4に報告し、図C1、C2およびC5にグラフで示したように、(上で定義した)ブロック発現は、40K EDLAの全用量で被験者の89%において3〜6時間以内に起こり、これに対し、120K EDLA群では被験者の22%に起こった。40K EDLAによるブロックでは、ブロック発現が1〜3時間以内に80%で観察された。ブピバカイン水0.25%は鎮痛/麻酔の発現が最短であり、被験者の100%において1時間以内に発現された。2.5%用量/濃度の40K EDLAにおいて最も急速に発現され、被験者の100%で、2時間以内に鎮痛/麻酔が発現されたと報告している(これに対して、0.312%=0%、0.625%=50%、1.25%=50%)。本試験で投与した最大用量の40K EDLAは、5.0%が他の40K群と発現時間が類似しており、被験者の66%において、1時間以内に鎮痛/麻酔が発現された。120K EDLAを投与された被験者の中で、1.25%用量が最も急速に発現され、被験者の67%が3〜6時間以内に鎮痛/麻酔を報告した。
【0544】
第1部において、2.5%濃度の40K EDLAが、第2部の等量の40K IDLAと比較するために選択された。結果は、40K EDLA2.5%が40K IDLA2.5%と比較して、僅かにブロック発現時間が早く、2時間以内に成功した感覚ブロックの66%が起こり、これに対して、IDLAでは50%であることを示した。これらの結果から、40K製剤(EDLAおよびIDLAの両方)は、120K製剤よりも、鎮痛/麻酔の発現がより早く生じること、EDLAはIDLAよりも僅かにより発現が急速であることが示唆される。表C4は、これらの結果を要約する。
【0545】
図C3は、40K EDLA2.5%および40K IDLA2.5%の鎮痛全時間経過を示し、ブロック発現時間が40K EDLA2.5%および40K IDLAの両方で類似しているが、40K EDLAの方が持続時間はより長かった(それぞれ、1日間対2日間)ことを示す。120K IDLA1.25%の鎮痛全時間経過は、ブロック発現時間および持続時間の両方において40K製剤より長く、効果のピークは48時間後であり、5日後までに通常の感覚に戻った(図C4参照)。図C5に示したような、40K EDLA5.0%の鎮痛全時間経過により、40K EDLAおよびIDLA2.5%製剤と同等なブロック発現時間が示され、より低濃度の40K製剤の局所麻酔薬による処理と比べて、ブロック持続時間は長いことが示される。
【表41】
Figure 2004521111
【0546】
鎮痛/麻酔の持続時間は、鎮痛/麻酔の発現時間とピン刺し検査に対する痛烈な感覚が戻った(すなわち鎮痛/麻酔の消失)時間の間の時間として定義された。鎮痛の持続時間は、120K EDLA2.5%の方が40K EDLA2.5%に比べて長く(75.0時間対44.3時間)、両方の製剤がブピバカイン水(7〜10時間)よりも持続時間が長かった。表C5は、結果を要約する。
【0547】
用量−反応相関は、120K EDLA(1.25%=64時間、2.5%=75時間)および40K EDLA(0.312%=5時間、0.625%=39時間、1.25%=43時間、2.5%=44時間)の両方で明白であった。0.312%の濃度の40K EDLAは僅かな効力を示し、ブロック持続時間は、ABよりも短かった(5時間対8時間)。40K EDLA(5.0%)の最大濃度は2.5%濃度と比べ、ブロック持続時間はほぼ2倍であった(それぞれ86時間と45時間)。1.25%の120K IDLA製剤は比較的長い鎮痛/麻酔持続時間を生じた(72時間)。
【0548】
第1部で、2.5%濃度の40K EDLAが、第2部の40K IDLAと比較するために選択された。図C3が示すように、鎮痛/麻酔の持続時間は2.5%40K EDLA(45時間)の方が、2.5%40K IDLA(20時間)に比べて長かった。これらのデータは、デキサメタゾンがブピバカインの作用持続時間を延長することを示す以前の所見を支持する。
【表42】
Figure 2004521111
【0549】
鎮痛/麻酔の発生率
全ての40K EDLA用量群において、被験者の67%〜100%で鎮痛が観察された。用量−応答効果は、鎮痛および麻酔を経験した被験者の比率から明白であった:鎮痛:0.312%=被験者の67%、0.625%=83%、1.25%=67%、2.5%=100%;5.0%=100%、麻酔:0.312%=被験者の33%、0.625%=67%、1.25%=100%、2.5%=100%、5.0%=83%。比較のために、ブピバカイン水で検査した被験者において、被験者の100%で鎮痛が観察され、被験者の83%に麻酔が観察された。対照的に、120K EDLA群では被験者の0〜100%が鎮痛を報告し;被験者の0〜67%が麻酔を経験した。
【0550】
40K2.5%の比較では、EDLAは、IDLAよりも鎮痛がより多く認められた(EDLA=被験者の100%;IDLA=被験者の67%)。5.0%濃度の40K EDLAにより被験者の83%に麻酔が生じ、被験者の100%に鎮痛が生じた。結果を、表C6の処理群により要約する。
【表43】
Figure 2004521111
【0551】
体感検査
体感検査(温度知覚)に対する応答により評価される鎮痛および麻酔を以下の表C7に、EDLA製剤もしくはIDLA製剤またはブピバカイン水投与後の時間の関数として示す。
【表44】
Figure 2004521111
Figure 2004521111
【0552】
体感検査に対する応答により定義される温度知覚ブロックは、EDLA製剤またはIDLA製剤投与後6時間以内に達成された。ある場合では、温度知覚ブロックが1〜3時間以内で達成された。通常感覚に戻るまでに、1〜4日間の間で変動した。最大効果までの時間も同じように変動し、最大効果はEDLA製剤またはIDLA製剤投与後2時間から2日間の間で達成された。
【0553】
温度知覚ブロックの発現時間は、被験者が温度変化を感じなくなった最初の時間と定義された。鎮痛/麻酔データと同様、温度知覚ブロック発現までの時間の結果により、大方、40K EDLA群の被験者は、120K群よりも発現時間が短かったことが判明した。表C8で分かるように、120K EDLA群の被験者(用量を通じて11%)に比べてより多くの40K群の被験者が3〜6時間以内に温度知覚遮断を経験した(用量を通じて83%)。ブピバカイン水0.25%において、温度知覚ブロックの発現が最も急速であり、被験者の89%において1時間以内に発現された。
【0554】
鎮痛/麻酔発現と同様に、2.5%40K EDLAが、発現までの時間の点で、最も有効な用量であり、被験者の100%が2時間以内に温度知覚ブロックを示した(これに対して、0.312%=0、0.0625%=17%、1.25%=33%)。最大用量の40K EDLA5.0%は、他の40K群よりも僅かに発現時間が遅く、被験者の50%が最初の6時間以内に温度知覚ブロックを示し、その他は次の6時間で温度知覚ブロックを示した。
【0555】
40K EDLA製剤は、40K IDLAよりも温度知覚ブロック開始がより急速であった(40K EDLA=1時間以内に33%;IDLA=1時間以内に17%)。IDLA120K群の1名の被験者は、注射12時間後まで、温度知覚遮断を示さなかった。これらのデータの結果は鎮痛/麻酔結果と類似しており、EDLAをこれらの肋間神経に選択した用量で投与することにより、IDLAより迅速に効果が発現されることが示唆される。
【表45】
Figure 2004521111
【0556】
表C8から分かるように、温度知覚ブロックの持続時間は、用量を通じて、120K EDLA群(温度知覚ブロックを経験した患者において全体で53時間)の方が40K EDLA群(31時間)に比べて長かった。この効果は、主に120K1.25%群では事実であり、温度知覚ブロックの平均持続時間は70時間であった。これは他のどの群よりも長かった。鎮痛/麻酔結果と同様に、ブピバカイン水は平均作用持続時間が比較的短かった(約9時間)。
【0557】
40K EDLA群内で、用量−効果相関が観察され、最低用量では温度知覚ブロック持続時間は最短であり、最高用量では持続時間は最長であった(0.312%=3時間、0.625%=27時間、1.25%=25時間、2.5%=40時間)。相関は120K EDLA群ではあまり明瞭ではなかった(0.625%=ブロックなし、1.25%=70時間、2.5%=36時間)。これらの結果により、EDLAは、ブピバカイン水よりも長時間効果を有することを示している。
【0558】
図C6および表C8が示すように、温度知覚ブロックの持続時間は、40K EDLA2.5%群(32時間)の方が40K IDLA2.5%群(13.5時間)よりも長く、デキサメタゾンをEDLA製剤に添加すると、作用持続時間が延長するという概念が支持される。40K EDLA最大用量5.0%では、他のあらゆる40K EDLA群(60時間)で見られるよりも、温度知覚ブロック平均持続時間が長いが、試験第1部の120K群(1.25%=70時間)で見られる最長持続時間ほどではない。
【0559】
知覚麻痺度
0=無感覚ではない、10=完全に無感覚という0〜10の尺度で知覚麻痺度として評価した鎮痛および麻酔を、以下の表C9および図C7〜C10に、EDLA製剤もしくはIDLA製剤またはブピバカイン水投与後の時間の関数として示す。
【表46】
Figure 2004521111
Figure 2004521111
Figure 2004521111
Figure 2004521111
【0560】
知覚麻痺尺度0〜10で定義される知覚麻痺度は、EDLA製剤またはIDLA製剤投与後6時間以内に達成された。ある場合では、知覚麻痺が1〜3時間以内に達成された。通常の感覚に戻るまでの時間は1〜4日間で変動した。
【0561】
図C7、C8およびC10は、40Kおよび120K EDLAについての、時間に対する知覚麻痺度の結果を示す。選択した用量の40K EDLA(2.5%)の平均知覚麻痺スコアは、選択した用量の120K EDLAのスコアよりも(1.25%、注射12時間後にピーク知覚麻痺スコア4.7)早く(注射後3時間)、高い(平均知覚麻痺スコア10)ピークを示した。40K EDLA群内では、選択した2.5%の用量を除いた全ての用量群が注射12時間後にピークに達する知覚麻痺スコアを示した。用量−応答相関を、40K EDLA群のピークスコアの点から観察した(0.312%=2.7、0.625%=7.3、1.25%=10、2.5%=10)。
【0562】
用量−応答相関は、120K EDLA用量群ではあまり明瞭ではなかった(0.625%=ブロックなし、1.25%=4.7、2.5%=1.7)。40K製剤と同様に、ピーク知覚麻痺までの時間は注射12時間後において一貫していた。最も早いピークの知覚麻痺スコアは活性対照群、すなわち0.25%ブピバカイン水で見られた(注射2時間後にピーク知覚麻痺スコア9.2)。40K EDLA2.5%用量群(注射3時間後に完全に無感覚)は、早く高いピークを示し、この薬物の大半の用途に理想的である。5%の40K EDLA製剤のピーク知覚麻痺スコアは8.7であり、発現は6時間後であった(図C10参照)。
【0563】
IDLA製剤に関して、120K IDLA1.25%を投与された被験者1名について、ピークの知覚麻痺スコア10が2日後に報告された。40K IDLA2.5%製剤は、40K EDLA2.5%に比べて(注射12時間後にピーク知覚麻痺スコア7.8)、ピークまでの時間が短く(6時間)、ピーク知覚麻痺スコアが小さかった(6.2)(図C9)。試験のこの部におけるEDLA群の12時間という発現時間は、試験第1部のこの用量群で見られる早いピーク(3時間)とは対照的である。これらのデータは、40K IDLAと比べて40K EDLAの方がピーク知覚麻痺が高い(しかし遅い)ことを示唆する。
【0564】
薬物動態結果
結果を、表C10に、時間に対する、処理別に要約し、図C11〜C15にグラフで提示する。この試験で有効な鎮痛/麻酔を生じた、EDLA、IDLAおよびABの全ての血漿中ブピバカインレベルは、ムーア・デー・シー、マーサー・エル・イー、ブリデンバウフ・ピー・オー、「Arterial and venous plasma levels of bupivacaine following peripheral nerve block」、Anesth Analg.1976、55巻、763−68頁(参照して本明細書に組み込まれる)によれば、全身毒性反応が生じると考えられているレベル(すなわち4000ng/mL)よりもかなり低かった。
【0565】
図C11、C12およびC15が示すように、40K EDLAのブピバカイン濃度は、特に3つの最も高い40K EDLA用量群(1.25%、2.5%、5.0%)において、120K EDLAで見られる濃度より高い傾向があった。1.25%40K EDLAおよび2.5%40K EDLAの両方において、早い血漿中濃度のピーク(注射約15分後)、これは120K用量群で見られるものと類似していたが、並びに注射約6〜12時間後に起こる第二ピークが示された。第二ピークは120K EDLAでは観察されなかった。この第二ピークの正確な理由は不明であるが、初めの早いピークは本試験で対照として投与したブピバカイン水の放出に起因し、後のピークはEDLAマイクロスフェアからのブピバカインの持続放出に起因することが示唆される。デキサメタゾンレベルの第二ピークも、同時に1.25%120K EDLAでは観察された。
【0566】
第2部では、2.5%EDLA40K製剤と2.5%IDLA40K製剤の比較により、図C13に示したように、血漿中ブピバカイン濃度(約50ng/mL)の小さな初めの早いピークのみが示された。1.25%の高分子量製剤である120K EDLAおよびIDLAでは、約48時間後にそれぞれ、約10ng/mLおよび40ng/mLの遅いピークのみが示された(図C14)。5.0%40K EDLA用量群(図C15)は、早い濃度ピークを示されなかったが、むしろ、遅いピーク(ピーク時間=24時間)を示した。これらの観察は、第1部の試験で見られた初めの早いピークが主に、対照処理として投与されたブピバカイン水の放出に起因するというさらなる証拠である。
【0567】
5.0%を除く全ての40K群において、血漿中ブピバカイン濃度は、注射72時間後までに(5.0%群では96時間後までに)、基線(検出不可能)レベルに戻った。120K EDLA群では、血漿中ブピバカイン濃度は、第1部の1.25%および2.5%の120K EDLA群のみで見られるいくらかの残留低レベル(8.7〜13.0ng/mL)を除いて、実質的に注射96時間後までに基線(注射前)の検出不可能レベルに戻った。これらのデータは、1.25%および2.5%120K EDLAを介して投与されたブピバカインが最大用量の40K EDLAを除いた全てのものよりも、より長時間、体内に留まることを示唆する。
【0568】
全ての用量の120K EDLA製剤において、血漿中平均デキサメタゾンレベルは測定した時点で検出不可能(ゼロ)であった。しかし、いくつかの40K EDLA群では、検出可能なデキサメタゾン濃度が認められた(データは示していない)。特に、3つの最も高い用量群(1.25%、2.5%、および5.0%)において、血漿中デキサメタゾンが検出可能であった。これらのレベルは、注射の約6〜12時間後にピークに達し(1.25%ピークレベル=42.9ng/mL;2.5%=91.0ng/mLおよび103.2ng/mL(それぞれ第1部および第2部);5.0%=196.8ng/mL)、図C11に示した、1.25%および2.5%40K群に見られる血漿中ブピバカインレベルの第二ピーク、および40K5.0%群に見られる遅いピークと相関しているようであった。どのIDLA群にもデキサメタゾンは検出できなかった。
【0569】
ブピバカインおよびデキサメタゾン薬物動態パラメータ
表C10で分かるように、ブピバカインのピーク濃度が生じる時間(tmax)は、第2部および第3部に比べて、第1部の120Kおよび40K群の方がより短く;第1部ではブピバカイン水を併用投与することに因る可能性が最も高い。薬物の最大濃度(Cmax)は、120Kおよび40K EDLA群内および群間の両方で、用量間で類似しているが(それぞれ130.3ng/dlおよび167.0ng/dL)、2.5%40K EDLA(167ng/dl)および5.0%40K EDLA(227.8ng/dl)群で見られる濃度はより高く例外である。どの患者も検出可能なブピバカインレベルを示さなかったので、試験の第2部の1.25%120K EDLA群のCmaxデータは報告されていなかった。なぜなら、;しかし、40K製剤では、EDLA群に比べて、IDLA群の方が、より高いCmaxが観察された。
【0570】
第1部の被験者では、ブピバカインの総AUCは、EDLAおよびABの両方の注射に由来するブピバカインを反映する。検査した4つの濃度のEDLA 40Kでは、ブピバカイン平均AUCsの範囲は、1093〜4087ng/mL−hrであり;EDLA濃度とブピバカインAUCの間には直接的な相関があった。第2部で2.5%EDLA40Kを投与された(同時にABを投与しない)被験者のブピバカイン平均AUCは、第1部の同濃度のEDLA40Kを投与された(同時にABを投与する)被験者より低かった。第3部の被験者(5.0%EDLA50K、ABを投与せず)が、最も高い総AUC(7943ng/mL−hr)を示した。第2部で2.5%IDLA40Kを投与された被験者は、EDLAを投与された被験者よりも高い平均ブピバカインAUCsを有し、おそらく平均Cmaxがより高いからと考えられる。EDLA120Kを投与された9名の被験者およびIDLA120Kを投与された被験者のブピバカインAUCsも、表C10に示す。
【表47】
Figure 2004521111
【0571】
血漿中デキサメタゾンの薬物動態パラメータが試験第1部または第2部において報告された。第3部(40K EDLA5.0%)では、血漿中デキサメタゾンでは、平均tmaxは7時間であり、Cmaxは198ng/dlであった。
【0572】
要約および結論
用量群間で、40K EDLAは120K EDLAに比べて、鎮痛/麻酔発現が早かったが、ブピバカイン水は両方のEDLA群よりも発現が急速であった(2時間以内に100%発現)。2.5%40K EDLA用量が最も効力が高く(2時間以内に100%開始)、次いで、1.25%120K EDLA用量であったが(3〜6時間以内に67%);40K EDLAほど効果が高くなかった。EDLAでは、IDLAと比べて、発現がより急速であった(EDLA、2時間以内に66%;IDLA、2時間以内に50%)。
【0573】
試験第1部で選択された用量(120K EDLA=1.25%、40K EDLA=2.5%)での鎮痛/麻酔の持続時間は、120K EDLA群(68時間)の方が、40K EDLA群(35時間)よりも長かった。ブピバカイン水は、作用持続時間が比較的短かった(8〜9時間)。用量群の中で、用量−効果相関は、120K EDLA群(1.25%=64時間、2.5%=75時間)および40K EDLA群(0.312%=5時間、0.625%=39時間、1.25%=43時間、2.5%=44時間)の両方で明白であった。EDLAとIDLAの比較に関して、EDLAはIDLAに比べて、鎮痛/麻酔効果の持続時間がより長かった(EDLA=45時間、IDLA=20時間)。これらのデータは、デキサメタゾンがEDLAの鎮痛/麻酔効果の持続時間を延長することを示唆する。
【0574】
全てのブピバカイン水による感覚ブロックは、鎮痛を伴わない麻酔のみを示した。40K EDLA製剤によるブロックは、最も多くの鎮痛をもたらした(0.312%=ブロックの67%、0.625%=ブロックの17%;5.0%=ブロックの17%)。これらの所見は、全体的に、EDLAはブピバカイン水に比べて鎮痛を伴うことが多いようであり、40K用量製剤は、この点で120K製剤よりも効果が高いことを示唆する。EDLA対IDLAの比較においては、IDLA(0%)被験者に比べて、EDLA被験者(50%)の方が、より多くの鎮痛が見られた。
【0575】
温度知覚ブロックデータの発現時間は鎮痛/麻酔データに非常に似ていた。最も早い温度知覚ブロックの発現はブピバカイン水群において見られた(1時間以内に89%)。120K EDLA群に比べて(11%)、40K EDLA群(用量間)の方において、より多くの被験者が3〜6時間以内の発現時間を有していた。40K EDLA群内で、2.5%用量群が最も効果が高かった(2時間以内に100%開始)。40K EDLAは、IDLAと比較して温度知覚ブロックの発現がより急速であった(1時間以内に33%対1時間以内に17%)。
【0576】
温度知覚ブロック持続時間は、120K EDLA群(用量間)の方が40K EDLA群に比べて長かった(それぞれ56時間対24時間)。ブピバカイン水は、最も持続時間が短かった(9時間)。EDLAはまた、IDLAよりも温度知覚ブロック持続時間が長く(それぞれ32時間対13.5時間)、デキサメタゾンがブピバカイン水の作用持続時間を延長するという概念を支持する。
【0577】
選択された用量(2.5%)で、40K EDLAは、選択された用量の120K EDLAよりも、ピーク知覚麻痺スコアまでの時間が短く、より高いピークスコアを示した[(1.25%)40K=注射3時間後にスコア10;120K=注射12時間後にスコア4.7]。ピークスコアの用量−効果相関が40K EDLAで観察されたが、120K EDLA群では観察されなかった。最も早いピーク知覚麻痺スコアが、ブピバカイン水群で見られた(注射2時間後にスコア9.2)。EDLA群およびIDLA群は、ピーク知覚麻痺スコアの発現に関して類似していた(EDLA=12時間後に7.8;IDLA=6時間後に6.2)。
【0578】
40K EDLA群の3つの最も高い用量群の血漿中ブピバカイン濃度は、120K EDLA群で見られる濃度よりも高かった。1.25%および2.5%40K EDLA用量群はまた、注射の約6〜12時間後に生じる、血漿中の予期せぬ第二のピークレベルを示し;この効果は他のどの群にも見られなかった。最も高い40K EDLA群以外の全ての群において、血漿中ブピバカインレベルは注射の72時間後までに基線(0)に戻り、一方、ブピバカインは、注射の少なくとも96時間後までは、120K EDLAで処理した被験者の血漿中に依然として検出可能であった。重要なことには、本試験で効果的な鎮痛/麻酔を生じたEDLA、IDLAおよびABについての全ての血漿中ブピバカインレベルが、全身毒性反応が生じると考えられているレベル(すなわち4000ng/mL)よりかなり下であった。
【0579】
血漿中デキサメタゾン濃度は、3つの最も高い40K EDLA用量(1.25%、2.5%、および5.0%)を除く全ての被験者において検出不可能であり、血漿中レベルは注射の約6〜12時間後にピークに達した。これらのピークは、1.25%および2.5%40K群に見られる血漿中ブピバカインレベルの第二ピーク、および40K5.0%群に見られる遅いピークと相関していると思われた。
【0580】
表在橈骨神経の例
実施例D
表在橈骨神経ブロックにおける、デキサメタゾンを含むおよび含まないEDLA
二重盲検無作為2期交差比較試験により、デキサメタゾンを含む0.5%ブピバカイン水(AB−D)と比べた2.5%120K EDLAの効力および安全性を評価し、各々、表在橈骨神経ブロック剤として投与した。
【0581】
マイクロスフェア濃度が2.5%となり、1mLあたり18.75mgのブピバカインおよび10μgのデキサメタゾンを供給するような、120K EDLA(2.5%)懸濁液を調製した。3mLの120K EDLA懸濁液を、1回の注射液として投与し、これにより56.3mgのブピバカインおよび30μgのデキサメタゾンを供給した。
【0582】
ブピバカイン水濃度が0.5%となるように、AB−D溶液を調製した。AB−D溶液には、5mgのブピバカインおよび10μgのデキサメタゾンを含んでいた。3mLのAB−Dを1回の注射液として投与し、15mgのブピバカイン水および30μgのデキサメタゾンを供給した。
【0583】
処理を右手首または左手首に注射液として投与した。各被験者は、処理期間1の間に一方の手首に1回の試験薬を1回注射され、期間2に交差した後、被験者は逆の手首に第二の処理を投与された。注射部位は、親指を伸ばすと突出する、解剖学的「タバコ窩」に同定した。長母指伸筋腱および短母指伸筋腱に印を付け、第1中手骨の底部とは逆の長伸筋腱上で同定した。21ゲージ針を、背側結節と同じくらい遠位の腱に沿って近位に向け、2mLの2.5%120K EDLA懸濁液または0.5%AB−D溶液を皮下注射した。その後、針を引き抜き、タバコ窩を横切って正しい角度で、短母指腱を丁度越えた点に再度向ける。その後、さらに他の1mL溶液を注射した。
【0584】
効力測定としては、鎮痛/麻酔の発現時間および持続時間、温度知覚ブロックの発現時間および持続時間、鎮痛/麻酔の発生率および完全にブロックされる割合、並びに薬物動態的および薬力学的測定であった。安全性評価には注射時の疼痛が含まれた。
【0585】
鎮痛/麻酔ブロック検査および温度知覚ブロック検査を、基線感覚知覚を確立するために0時間目に、および注射後1時間まで、またはブロック発現まで5分毎に実施した。1時間後、鎮痛/麻酔ブロックおよび温度知覚ブロック検査は12時間の間を1時間毎に、またはブロックが終了するまで継続した。その後、ブロックが終了しなかった場合、鎮痛/麻酔ブロック検査および温度知覚ブロック検査は、薬物を投与した日の起きている間は1時間毎に実施し、その後はブロックが終了するまで約4〜6時間毎に実施した。ブロックの終了は、手の全部分に通常の感覚が戻ること、および鎮痛/麻酔ブロックおよび温度知覚ブロックの基線値に戻ることと定義された。被験者は、注射の24、48、および72時間後に経過観察の効力および安全性評価のため、および採血のために、その施設に戻った。
【0586】
鎮痛/麻酔の発現時間および持続時間(ピン刺し)
鎮痛/麻酔ブロックの評価において、図D1に示したように、手の甲の三角形領域にピンを刺した。歯科用針の尖っていない末端で皮膚を、痛烈な感覚を生じるに十分な圧力(非罹患領域を最初に検査することにより決定)を使用して、軽く叩くことにより評価した。各領域を3回ピンで刺し、被験者はもし感じれば何回感じたかを尋ねられた。感覚ブロックは以下のようにランク付けした:麻酔=被験者は3回中0回のピン刺しを感じた:鎮痛=被験者は、3回中2回または3回の、接触または圧力として知覚されるピン刺しを感じた;または、ブロックなし=被験者は3回中2回または3回の、痛烈と知覚されるピン刺しを感じた。
【0587】
被験者が2回のピン刺しを感じ、その1回は接触または圧力と知覚され、他方は痛烈と知覚されたと報告した場合、ブロックは鎮痛と記載された。3回中2回のピン刺しが鈍痛(すなわち、痛烈ではなく、接触または圧力として知覚される)である場合には、被験者は鎮痛を示すと判断した。また、僅か1回のピン刺ししか感じられない場合には、被験者は麻酔を示すと判断した。
【0588】
表D1は、領域Cのみで生じる鎮痛の発現時間および持続時間を示す。
【表48】
Figure 2004521111
【0589】
麻酔/鎮痛の発現時間は、ピン刺しの疼痛感覚が全く記録されない最初の時間(鎮痛の場合)、あるいは接触または圧力の感覚が全く記録されない最初の時間(麻酔の場合)として表された。120K EDLAまたはAB−D処理により、どの被験者も麻酔にかからなかった。鎮痛の発現はより遅かった(2.5%120K EDLAでは15分〜6時間に対して、0.5%AB−Dでは15分〜1時間)。両方の処理終了(初回)は変動的であった(2.5%120K EDLAでは6〜38時間、0.5%AB−Dでは2〜19時間)。
【0590】
鎮痛/鎮痛の持続時間は、麻酔/鎮痛の発現時間と疼痛(ブロックが鎮痛とランク付けされた場合)あるいは接触または圧力(ブロックが麻酔とランク付けされた場合)の感覚に戻った時間の間の時間として表された。120K EDLAによる鎮痛/麻酔の持続時間は評価領域によって異なっていた。大半の被験者は領域Cで鎮痛を経験した。被験者の中には、領域D、すなわち、母指球および親指の領域(図D1参照)で、発現の遅い鎮痛(7日目を過ぎて)を報告した者もいた。初回ブロック終了後の鎮痛の再発現は、手の中の異なる部分で生じた(領域Dとして同定される母指球の領域)。
【0591】
表D1に示したように、120K EDLAを投与された2名の被験者は、2期以上の鎮痛/麻酔を経験し;それ故、全持続時間は、ブロック全期間の総計として表される。2.5%120K EDLAを投与された3名の被験者の領域Cでのブロック持続時間の範囲は19時間〜7日間であった。0.5%AB−D(被験者6)を投与された1名の被験者は、3期間のブロックを経験し、最後の終了は注射後の93:30時間後であった。全体の鎮痛持続時間は、この群では13〜19時間であった。
【0592】
完全なブロックの割合は、注射後3時間以内に麻酔が記録されたブロックの比率として定義された。「部分的ブロック」は、成功裡な神経ブロックとして定義された。部分的ブロックは、ピン刺しに応答して鎮痛を示すが、麻酔は示さない被験者を含むものであった。
【0593】
120K EDLAでもAB−Dでも麻酔が得られなかった。120K EDLAおよびAB−Dの両方共から鎮痛が得られ、120K EDLA処理群では3名、AB−D処理群では3名であった。3mLの0.5%ブピバカイン水を投与された被験者に麻酔が生じなかったことは、この用量では通常麻酔を生じることから意外であった。麻酔が生じなかったことは、おそらく高度に分岐している表在橈骨神経の解剖学的形態により、そしてこの神経の被験者間の解剖学的ばらつきにより説明できる。
【0594】
温度知覚ブロックの発現時間および持続時間
温度知覚(体感検査)は、4つの各評価領域を、冷アルコール綿棒で接触することにより評価された。被験者は、「この綿で皮膚に触れた時に、温度変化を感じたら教えてください」と指示された。応答は、「はい」(被験者は温度変化を感じた)または「いいえ」(被験者は温度変化を感じなかった)と記録された。
【0595】
温度知覚ブロックの発現は、2.5%120K EDLAを注射した15分後から6時間後の間に起こったが、疼痛ブロックより僅かに遅く、AB−Dでは疼痛ブロック発現と同時に起こった(1時間後)。温度知覚ブロック持続時間は、温度ブロック開始と冷たい感覚に戻るまでの間の時間として表された。温度ブロック持続時間は、疼痛知覚遮断の時間経過に追随したが、通常、両方の処理においてより短く、終了は、通常、感覚遮断の終了の数時間前になされた。
【0596】
薬物動態的/薬力学的測定
血漿中ブピバカイン濃度を、各サンプリング時に決定した。血漿中ブピバカイン濃度を決定するために、注射15分後、30分後、および、1、2、3、6、9、および12時間後、7日後の経過観察時に血液を採取した。血漿中ブピバカインの薬物動態(PK)パラメータ(Cmax、Tmax、AUCt)を決定した。ブロックなし、鎮痛、または麻酔として測定した、血漿中ブピバカイン濃度と応答度の関係を観察した。
【0597】
120K EDLAを投与された3名全員の被験者の薬物動態パラメータは推定不可能であった。AB−Dでは、最大暴露(Cmax)は204、249、および182ng/mLであり、全暴露(AUCt)は被験者2、4、および6について、それぞれ、356.8、424.1、および477.9ng/mL・hであった。
【0598】
2.5%120K EDLAを投与された被験者間で、2名の被験者(被験者1および3)の血漿中ブピバカイン濃度が検出不可能であるか、または実質的に検出不可能であった(表D2)。
【表49】
Figure 2004521111
【0599】
いずれかの被験者における2.5%120K EDLAによる最大濃度は、31.3ng/mL(被験者5)であったが、一方、ブピバカイン水では249.0ng/mL(被験者4)であった。同時に、3mLの2.5%120K EDLAで送達された最大ブピバカイン用量は56.25mgであったが、一方、3mLの0.5%ブピバカイン水として送達されたのは15mgであった。
【0600】
2.5%120K EDLAによる鎮痛の発現および終了は変動的であり、血漿中濃度との明白な関係は全く示されず、注射部位に限局された局所薬力学効果が示唆される(図D2)。対照的に、ブピバカイン水(0.5%AB−D)を投与された被験者2、4および6の血漿中ブピバカイン濃度は、予測した通りに挙動し、即座の放出と比較的速い下降を示し、ほぼ鎮痛効果と一致した(図D3)。
【0601】
実施例E
表在橈骨神経ブロック剤におけるEDLAの漸増用量
非盲検、比較対照、用量−反応試験により、表在橈骨神経ブロック剤として投与した漸増用量の120K EDLAを評価した。両側神経ブロック剤は、最低用量の120K EDLA(3mLの0.312%懸濁液)を一方の手首に、最低用量のAB(3mLの0.25%溶液)を反対の手首に使用して、3名の被験者に投与された。感覚ブロックの発現時間および持続時間が評価された。120K EDLAの活性の持続時間が3日間未満である場合、さらに3名の被験者が参加し、より高用量(濃度および/または容量)の120K EDLAおよびより高用量のAB(0.5%)使用した神経ブロック剤が第二群に投与された。前の群への神経ブロック剤投与では、所望の3〜4日間の作用持続時間が示されなかった場合、各々の追加群の3名の被験者が参加し、より高用量の120K EDLAが投与された。120K EDLAの最大濃度は2.5%であり;最大容量は3mLであった。
【0602】
効力の目安には、鎮痛/麻酔の発現時間および持続時間、温度知覚ブロックの発現時間および持続時間、麻酔発生率および失敗したブロックの割合、並びに知覚麻痺度が含まれていた。安全性の目安には注射時の疼痛が含まれていた。
【0603】
鎮痛/麻酔の発現時間および持続時間(ピン刺し)
鎮痛/麻酔は、効力の目安であるピン刺しに対する応答を使用して評価された。感覚ブロックは、表在橈骨神経ブロックにより神経支配されている、図D1に示したような、各々の手の甲の4つの各指定領域にピンを刺すことにより評価された。
【0604】
鎮痛/麻酔(感覚ブロック)の発現時間を、6時間まで間隔をおいて、すなわち30分間以内、30分から1時間;1〜2時間;2〜3時間;3〜6時間、および6時間を過ぎて実施した評価の結果に従ってカテゴリー化した。鎮痛持続時間は、注射後6時間まで、その後はブロック終了まで約12時間毎に実施した評価の結果によりカテゴリー化した。鎮痛/麻酔の発現時間および持続時間の評価は4つの評価領域で行ない、神経支配の個々の変動を決定した。最も一貫したブロック発生率が、領域A、B、およびCではなく、親指の母指球および橈側境界である評価領域Dで観察された。表E1は、処理別の、領域Dでのブロックの発現時間および持続時間に関するデータを提供する。
【表50】
Figure 2004521111
【0605】
表E1に提供した結果から分かるように、領域Dにおいて、ABに比べて120K EDLAの方が鎮痛/麻酔の発現時間はより遅く、持続時間はより長かった。発現時間の範囲は1〜6時間であり、平均持続時間は3.60±1.42日間であった。範囲は0.02〜9.18日間であり、これは、0.5%ABで観察された持続時間(平均値、0.52日間;範囲、0.04〜1.19日間)よりもかなり長かった。
【0606】
領域Dにおいて、1.25%濃度の120K EDLAでは6名中5名の被験者にある程度のブロックがなされ、これに対し0.625%および0.312%濃度では、それぞれ3名中2名および3名中1名であった。120K EDLAを投与された3名の被験者(被験者008、010、および011)に、それぞれ注射の15日後、17日後、および50日後に感覚ブロックが再発現した。
【0607】
最も明確なブロックが低濃度EDLAではなく、最も高い濃度のEDLA(1.25%)で観察された。評価領域における効果の差異を評価し易くするために、1.25%EDLAにおけるブロックの発現時間および持続時間を、評価領域別に表E2に示す。
【表51】
Figure 2004521111
【0608】
1.25%120K EDLAによる感覚ブロック発現時間は、4つの評価領域で同じように変動的であったが、領域Dでの持続時間は顕著により長かった(領域A、BおよびCでは、それぞれ0.55±0.53、0.36±0.24、および0.78±0.34日間に対して、5.38±1.86日間)。1.25%120K EDLAを投与された1名の被験者では、ブロックが再発現され、これは注射の50日後まで続いた。
【0609】
0.5%AB処理では、発現は一般に、15分後から1時間後の間に起こり;ブロック持続時間は、評価領域B、CおよびDの間で同等であった(約12時間)。領域Aにおけるブロックの持続時間は、幾分より短かった(0.35±0.14、すなわち、約10時間)。
【0610】
図E1は、50日間までの、各処理におけるピン刺しスコア平均値を示し、これは全ての被験者が示したブロック持続時間の最大値であった。1.25%の濃度の120K EDLAは最も明確なブロックを示し、治療の可能性のある用量として最も関心が高い。表E3は、7日間までの、各評価領域毎、および合わせた領域における0.5%ABの場合と比較した1.25%120K EDLAのピン刺しスコア平均値を要約したものである。
【表52】
Figure 2004521111
【0611】
ブロックの持続時間延長が、領域Cで120K EDLAにより起こり、被験者8および10において1.25%120K EDLAで観察された鎮痛の持続時間延長(それぞれ15日間および17日間まで)で説明された。図E1に示したように、領域A、CおよびDのスパイクは、41日後に被験者11が経験したブロックの再開を示し、これは50日後まで寛解することなく、領域Dで継続された。一般に、ABに比べて120K EDLAによるブロックは遅く確立されるが、領域Dでは開始が早い(30分後)。120K EDLAでは、領域AおよびBでは持続時間はABと類似しており、領域CおよびDではより長く、持続時間はそれぞれ、2日後および7日後まで延長された。0.5%ABでは、ブロックは30分後から3時間後までの間に起こり、全領域で1日後の終わりまでに終了した。
【0612】
温度知覚ブロックの発現時間および持続時間
温度知覚を実施例Dに示したように評価した。温度ブロックの発現時間は、6時間まで間隔をおいて、すなわち30分間以内、30分〜1時間;1〜2時間;2〜3時間;3〜6時間、および6時間を過ぎて実施した評価の結果に従ってカテゴリー化した。温度ブロックの持続時間は、注射6時間後まで、その後はブロック終了まで約12時間毎に実施した評価の結果によりカテゴリー化した。温度ブロックの発現時間および持続時間の評価は4つの評価領域で行ない、マイクロスフェア調製物の分散性、および局所麻酔薬の処分を決定した。
【0613】
EDLAにより、領域A、B、およびCに比べて、親指の母指球および橈側境界である評価領域Dで、最も明確な温度ブロックが得られた。領域Dでのブロックの発現時間および持続時間は、処理別に表E4に示す。
【表53】
Figure 2004521111
【0614】
評価領域Dにおける温度ブロックを試験することにより、1.25%濃度の120K EDLAが、より低い濃度に比べて、最も一貫した効果を示すことが判明した(表E6)。発現時間は1時間〜6時間の間であり、平均持続時間は2.08±1.56日間であった。範囲は0.02〜8.16日間であり、0.5%ABを投与した同じ群で観察された持続時間よりも長かった(平均、0.45±0.17日間;範囲、0.01〜1.18日間)。最低(0.132%)濃度は、温度知覚に対する効果が全くなく、0.625%濃度はほんの小さな効果しかなかった。それに比べて、AB0.5%では、1時間以内に温度ブロックが得られ;ブロックは約1時間から1日間の間持続した。
【0615】
ピン刺し評価と同様に、最も一貫した温度知覚ブロックが1.25%濃度の120K EDLAで観察された。表E5は、4つの評価領域における1.25%濃度についての温度ブロックの発現時間および持続時間を要約する。
【表54】
Figure 2004521111
【0616】
1.25%濃度の120K EDLAでは、温度ブロック発現時間は全ての評価領域間で、約1時間から6時間超過まで変動した。持続時間の上限は、領域A(1.12日間)、B(1.08日間)、およびC(1.42日間)に比べて、領域D(8.16日間)において顕著に長かった。領域Aでは発現時間はより遅く、持続時間はより短くなる傾向があったが、0.5%ABにおける領域間評価では、活性の差異は殆ど示されなかった。
【0617】
120K EDLAによる温度知覚ブロックの発現時間は疼痛知覚ブロックの発現時間と認め得る程に異なっていなかったが、持続時間は短かった(それぞれ温度および疼痛のブロックについて、2.08±1.56対5.38±1.86)
【表55】
Figure 2004521111
【0618】
処理間の主な差異は、120K EDLAを用いて、特に1.25%120K EDLAを用いて、領域CおよびDで生じるブロックの持続時間延長であった。領域Cでは、これらの差異は主に、2名の被験者における1.25%120K EDLAの効果時間延長により説明された。120K EDLA処理では、温度知覚遮断は1から3時間の間に起こり、2日目までに終了(感覚ブロックの終了よりも1日遅い)するが、領域Dは例外で、温度ブロックは7日後を過ぎても継続された。AB処理を用いての温度知覚ブロックは30分間以内に起こり、2日後までに終了し、感覚ブロック終了(1日後)よりも後であった。
【0619】
鎮痛/麻酔の発生率
表E7は、処理別の、領域Dにおける麻酔、鎮痛、およびブロック不成功の発生率を示す。
【表56】
Figure 2004521111
【0620】
領域Dでは、120K EDLAを投与された3名の被験者(25%)、および0.5%ABを投与された4名の被験者(33%)に麻酔が報告された。麻酔は、最低濃度(0.312%)の120K EDLAを投与された3名中0名の被験者に、0.625%120K EDLAを投与された3名中1名の被験者に、1.25%120K EDLAを投与された3名中2名の被験者に麻酔が生じた。ABでは、0.5%濃度でしか麻酔が得られなかった(3mL)。
【0621】
鎮痛/麻酔は、12中8箇所(67%)の120K EDLA注射部位で生じ、全ての用量で少なくとも1回は生じ、低い120K EDLA用量/濃度よりも高い方が、より一貫して生じた(1.25%120K EDLAで83%の発生率、0.625%で67%、0.312%で33%)。鎮痛/麻酔は、ABで処理した部位の100%で観察された(0.25%および0.5%)。4名の被験者(33%)が、120K EDLA処理でブロックなしを報告し、2名が0.312%を投与され、1名が0.625%120K EDLAを投与され、1名が1.25%120K EDLAを投与された。
【0622】
表E8は、評価領域別の麻酔、鎮痛、および感覚ブロック不成功の全体的発生率(120K EDLA全体およびAB全体)を示す。
【表57】
Figure 2004521111
【0623】
注射した手の上の4つの指定した評価領域の中で、親指の母指球および外側境界の近位にある領域Dが、120K EDLA処理で最も一貫したブロックを示し、被験者の67%が少なくとも鎮痛を示し、25%は麻酔を示した。領域Aは120K EDLA処理に対して最も小さい応答性を示し、33%が鎮痛を示し、8%が麻酔を示した。この結果は、マイクロスフェアの挙動の内因的な変動性ではなく、表在橈骨神経の解剖学的構造の既知の変動性に関連していると考えられた。
【0624】
ブピバカイン水0.5%より、比較的一貫したブロックがなされ、鎮痛/麻酔に関して評価領域間にはほんの小さな差異しか認められなかった。しかし、麻酔のみは、他の評価領域に比べて領域Dでより頻繁に観察され、この観察は120K EDLA処理で見られる領域Dにおける比較的高い応答性と一致していた。
【0625】
知覚麻痺度
知覚麻痺レベルの評価において、被験者または治験担当医師は、各手の上の4つの各評価領域に触れることにより、知覚麻痺レベルを評価した。被験者は、0は、「全く無感覚ではない」に相当し、10は、「完全に無感覚」に相当する11ポイント尺度に基づいた知覚麻痺度をランク付けするように依頼された。知覚麻痺スコアレベルは、ABの急速な発現およびより短い持続時間、120K EDLAのより緩徐な発現およびより長い持続時間を反映する傾向があった。表E9に、時間毎の、7日までの知覚スコアの平均レベルを要約する。
【表58】
Figure 2004521111
【0626】
表E9に示したように、ABについては30分間後から2日後までの各時点で、ある程度のレベルの知覚麻痺が生じたが、120K EDLAでは、30分間後から7日後を超過するまでの間にある程度のレベルの知覚麻痺が生じた。知覚麻痺スコアレベルは、範囲の大きさは120K EDLA(0.33〜4.25)とAB(1.25〜8.17)では類似していたが、120K EDLAに比べて、ABでは全時点で高くなる傾向があった。1.25%120K EDLAでの、時間に対する知覚麻痺レベルスコアは、ABに比べて、1日後の遅い時間帯までの全時点では低かったが、1日後の遅い時間帯には、ABスコアが下降し、120K EDLAスコアが最も高かった。知覚麻痺スコアレベルは、ABでは注射1時間後に最も高く、120K EDLAでは1日目午後に最も高く、120K EDLA処理を続けると、7日後まである程度の知覚麻痺レベルが示された。ピン刺しおよび温度知覚評価の結果と一致して、知覚麻痺スコアレベル平均値により、大半の120K EDLA活性は、領域CおよびDで起こり、領域Dでは効果がより早く発現され、顕著な持続時間延長が示された。
【0627】
結論
領域Dでは、最高濃度(1.25%)の120K EDLAにより、被験者の83%に麻酔/鎮痛が得られ、被験者の3分の2に麻酔または鎮痛が得られた。1.25%用量/濃度の120K EDLAにより、全ての効力の目安によれば、より濃度の低いEDLAに比べて、最も一貫した鎮痛効果が示された。発現は1から6時間の間であり、持続時間は少なくとも5日間であった。評価領域Dは他の評価領域に比べて、120K EDLAおよびABに対して比較的より大きな応答を示した。この結果は、マイクロスフェアの挙動の内因的な変動性ではなく、表在橈骨神経の解剖学的構造の既知の変動性に関連していると考えられた。
【0628】
実施例F
表在橈骨神経に投与した場合の、40K EDLAおよび40K IDLAの
安全性および感覚遮断特徴の評価
非盲検、比較対照、漸増用量−応答試験により、40K EDLA、40K IDLA、およびブピバカイン水(AB)を比較した。この試験は2部構成で実施した。第1部では、1用量の40K EDLAが、約3〜5日間の持続時間の感覚ブロックを示すまで、両側表在橈骨神経ブロック剤を一連の3名の被験者の群に投与した。ブピバカイン水(0.5%)を、参照処理(AB)として使用した。感覚ブロックの持続時間を評価した後(3日間未満の場合)、次の3名の被験者の群が参加し、より高い用量(濃度)の40K EDLAおよび一定用量の参照処理(AB)を使用して、両側神経遮断剤が投与された。前の群の神経ブロックの評価および寛解後に、その他の3名の被験者の群が参加した各々の次の3名の被験者の群における、40K EDLA濃度の調整を決定した。40K EDLAの濃度は、0.624%、1.25%および2.5%であった。1回の注射あたりの容量は3mLであった。同容量(3mL)を、40K EDLA、40K IDLAおよびABの注射に使用した。
【0629】
第2部では、6名の被験者が、一方の手首(利き手でない方の手首)にのみ、表在橈骨神経ブロック剤を投与された。3名の被験者に、第1部で1.25%と同定された、選択された用量の40K EDLAが投与された。他の3名の被験者には、等量の40K IDLAが投与された。注射の0、3、および6時間後に、その後ブロックが寛解するまで毎日、血漿中ブピバカインおよびデキサメタゾンレベルのために血液試料を採取した。さらに、橈骨神経伝導の振幅および速度の変化を評価した。
【0630】
効力評価には、鎮痛/麻酔の発現時間および持続時間、温度知覚ブロックの発現時間および持続時間、鎮痛/麻酔の発生率、およびブロック不成功率、知覚麻痺度、機械的接触検出閾値、および薬物動態目安が含まれていた。延長遮断後の神経回復の程度および時期を決定するために、神経伝導試験を実施して、橈骨感覚応答の潜伏時間および振幅を測定した。
【0631】
表在橈骨神経は、親指の近くの橈側境界から手の甲の中央までの、手の領域を神経支配する。この領域は、図D1に示したように、4つの検査領域に分割し、A、B、CおよびDと命名した。効力評価は、これらの4つの評価領域で実施した。おそらく遠位橈骨神経支配のパターンの多様性のために、A領域からD領域までの局所麻酔効果のパターンは被験者内および被験者間で変動がある。40K EDLA用量間では、ブロックの最も一貫した発生率および持続時間が、領域A、BおよびDではなく、評価領域Cで観察された。それ故、領域Cのデータを、全ての効力の目安(一時および二次)に提示する。
【0632】
鎮痛/麻酔の発現時間および持続時間
ピン刺し検査を4つの各々の指定領域(A、B、CおよびD)で行ない、基線ピン刺し結果から最も顕著に変化を示したようである領域に、ほぼ10セント硬貨のサイズの円で印を付けた。全てのその後のピン刺し検査は、これらの4つの各円内で、および4つの指定した各領域内で行なった。領域が感覚ブロックを示さない場合には、領域をピン刺しで検査しても、円を描かなかった。各円を約3回、針の尖っていない末端で「突き刺し」、被験者に何回のピン刺しを感じたかを述べるように依頼した。被験者が何回かのピン刺しを感じた場合、被験者に何回を痛烈として、または接触/圧力として感じたかを尋ねた。痛烈として、または接触/圧力(鎮痛とランク付け)として感じたピン刺しの数を、各領域について、0=被験者はピン刺しを感じなかった(麻酔とランク付け);1=被験者は、接触/圧力として、3回中2回(ブロック不成功とランク付け)または3回中3回のピン刺しを感じた;または2=被験者は、痛烈として、3回中2回または3回中3回のピン刺しを感じた、と記録した。僅か2回のピン刺ししか感じられず、1回は接触/圧力として感じ、他方は痛烈と感じた場合、あるいは、1回のピン刺ししか感じなかった場合、レベル「1」(接触/圧力)を割り当てた。
【0633】
麻酔を伴うまたは伴わない鎮痛の発現時間および持続時間を、治験担当医師および被験者が評価した。麻酔を伴うまたは伴わない鎮痛の発現時間は、手の甲上でのピン刺し検査で、鎮痛(接触/圧力)または麻酔(ピン刺しを全く感じない)が示される最初の時間と定義した。感覚ブロックの発現時間のためのピン刺し検査は、基線、注射約0.5、1、2、3、および6時間後に実施した。
【0634】
麻酔を伴うまたは伴わない鎮痛の持続時間は、特定の領域における、麻酔を伴うまたは伴わない鎮痛の発現時間とピン刺しに対する痛烈な感覚が戻るまでの時間の間の時間として定義された。被験者は、感覚ブロックが終了と判定されるまで、治験担当医師によるピン刺し検査のために、約24時間毎に試験施設に戻った。
【0635】
最初の自己評価は、注射の12時間後、その後は毎日の再受診時毎の治験担当医師の評価に従って、約12時間毎に実施した。自己評価は午前に1回、夕方にもう1回、注射後14日間連続的に、終了に関係なく継続した。全被験者は、終了に関係なく、7日後および14日後に評価するため戻った。
【0636】
鎮痛/麻酔の発現時間:40K EDLA対AB
試験第1部で評価領域における差異の効果を説明するために、表F1に、評価領域別に、1.25%40K EDLAについての、ブロックの発現時間および持続時間を示す。
【表59】
Figure 2004521111
【0637】
1.25%40K EDLAによる鎮痛/麻酔の発現は、評価領域CおよびDの方が領域AおよびBに比べて僅かに速かった。領域CおよびDでは6時間以内に発現され、67%ブロックされたが、一方、領域AおよびBでは6時間以内に発現され、33%ブロックされた。0.5%AB処理では、発現は一般に、全領域で3時間以内に起こった。領域AおよびCでは、30分間未満に100%のブロックが起こった。40K EDLA用量間で、ブロック発現は、領域Cで6時間以内に起こり、78%ブロックされ、これに対し、ABでは30分間以内に100%ブロックされた。表F2はこれらの結果を要約する。
【表60】
Figure 2004521111
【0638】
ブロックの開始は、高濃度の40K EDLAに比べて、低濃度の方が僅かに遅く、表F2に示したように、発現は6時間以内に起こり、0.625%および1.25%濃度では67%ブロックされ、2.5%濃度では100%ブロックされた。図F1は、ブピバカイン水と比較した、1.25%40K EDLAにより6時間以内に鎮痛/麻酔の発現を示す被験者の比率を示す。
【0639】
鎮痛/麻酔の持続時間は、最初の鎮痛発現時間とピン刺し検査に応答して痛烈な感覚が戻った(すなわち鎮痛消失)時間の間の時間として定義された。
【0640】
表F2に示したように、1.25%40K EDLAにおける感覚ブロックの持続時間は、他の領域(領域A、BおよびDでそれぞれ、0.16±0.10、0.37±0.17、および0.98±0.97日間)に比べて、領域C(1.53±0.82)で顕著に長かった。0.5%AB処理では、持続時間は領域B(0.38±0.35日間)と領域C(0.33±0.20日間)では類似していた。0.5%AB処理後に、より短い持続時間が、領域A(0.05±0.02日間)および領域D(0.04±0.02日間)で観察された。従って全体的に、ABでの鎮痛持続時間は領域CおよびDで40K EDLAで見られるものより短いが、領域AおよびBで見られるものとほぼ等しかった。
【0641】
領域Cにおける鎮痛/麻酔の平均持続時間は、40K EDLAでは1.80日間(用量間)であり、ABでは0.62日間であった。1.25%40K EDLA濃度を、持続時間をABと比較するために選択された。鎮痛持続時間は、1.25%40K EDLAの方が、ABに比べて長かった(1.5日間対0.3日間)。2.5%40K EDLA群は、低濃度に比べて、長い感覚ブロック平均持続時間を示した(0.625%=1.7日間;1.25%=1.5日間;2.5%=2.2日間;図F2)。
【0642】
第1部の1.25%濃度の40K EDLAが、第2部の等濃度の40K IDLAと比較するために選択された。鎮痛の時間経過を図F3に示す。第2部の領域Cの結果は、鎮痛発現が40K EDLAと40K IDLAとでは類似しており、6時間以内に起こり、40K EDLAでは100%ブロックされ、40K IDLAでは67%ブロックされることを示した。鎮痛発現は、1.25%40K EDLAおよび1.25%40K IDLAの両方において、30分間以内に起こり、67%ブロックされた。領域Cでのブロック持続時間は、両方の群が類似していた(1.25%40K EDLAでは0.84日間、1.25%40K IDLAでは1.09日間)。
【0643】
1.25%40K EDLAは、領域CおよびD(67%のブロックが6時間未満に生じた)の方が、領域AおよびBに比べて(33%のブロックが、6時間未満に生じた)、僅かに発現が速かった。用量間で、ブロック発現は、40K EDLAでは6時間以内に78%のブロックが領域Cで起こり、これに対し、0.5%ABでは30分間以内に100%のブロックが起こった。
【0644】
1.25%40K EDLAでは、鎮痛/麻酔の持続時間は、領域Cにおいて顕著により長かった(領域A、BおよびDで、それぞれ、0.16、0.37および0.98日間に対して、1.5日間)。用量間で、鎮痛/麻酔の持続時間は、40K EDLAによる感覚ブロックの方がAB群による感覚ブロックよりも長かった。40K EDLAによるブロックでの鎮痛の平均持続時間は1.53日間〜2.23日間であり、最長の持続時間は最高濃度の40K EDLAで認められた(0.625%=1.65日間、1.25%=1.53日間および2.5%=2.23日間)。ABブロックにおける鎮痛の平均持続時間は、0.33日間〜1.00日間であった。
【0645】
温度知覚ブロックの発現時間および持続時間
温度知覚ブロックは、実施例Dに示したように、基線および、注射0.5、1、2、3および6時間後に評価した。最初の自己評価は注射の12時間後、その後は毎日の再受診時毎の治験担当医師の評価に従って、約12時間毎に実施した。自己評価は午前に1回、夕方にもう1回、注射後14日間連続的に、終了に関係なく継続した。温度知覚遮断は、0=「はい」(温度変化が知覚された)、1=「いいえ」(温度変化は知覚されなかった)という尺度0〜1でランク付けした。以下に提示したデータは領域Cのものであり、その領域は最長の鎮痛持続時間を与えることが示された。結果を表F3に示す:
【表61】
Figure 2004521111
【0646】
温度知覚ブロックの結果は鎮痛の結果と類似していた;40K EDLAは、僅かに発現が早かった(40K EDLAでは6時間以内に100%、これに対し40K IDLAでは6時間以内に67%)。表F3に示した結果から確認できるように、領域Cでの温度知覚ブロック発現は、全用量間でAB(30分間以内に100%)の方が全用量間の40K EDLA(30分間以内に22%)よりも早かった。図F4に示したように、6時間以内の温度知覚ブロック発現は、漸進的に高い濃度の40K EDLAでより確実に観察された(0.625%では33%、1.25%では67%、2.5%では100%)。2.5%40K EDLA群は、2時間以内に100%応答率であった。
【0647】
用量間で、温度知覚ブロック持続時間は、領域Cでは、40K EDLAの方がABよりも長かった(それぞれ1.41日間対0.64日間)。領域Cでの温度知覚ブロックは、1.25%40K EDLAの方が、より高濃度およびより低濃度に比べて長かった(0.625%40K EDLA=1.11日間;1.25%=3.10日間;2.5%=0.03日間)(表F3)。40K EDLA用量間での温度知覚ブロックの平均持続時間は40K EDLA群では0.03〜3.10日間であり、一方ABでは、感覚ブロックの平均持続時間は0.37〜0.95日間であった。2.5%40K EDLA群における温度知覚ブロックの温度持続時間が短いのは、一部には、ブロックの持続時間を報告する場合に、初めの温度知覚ブロック時間のみを利用したためであった。図F5に示したように、領域Cでの温度知覚遮断は、1.25%40K EDLAの方が1.25%40K IDLAよりも長かった(40K EDLAでは2.85日間、これに対し40K IDLAでは0.49日間)。
【0648】
鎮痛/麻酔の発生率
鎮痛/麻酔の発生率の評価において、被験者が2回または3回のピン刺しを接触/圧力として感じたと報告した場合に、感覚ブロックを鎮痛とランク付けた。被験者がピン刺し応答で感覚がないと報告した場合、感覚ブロックを麻酔とランク付けた。あらゆる時点における、麻酔対鎮痛を経験した被験者数(%)を計算した。感覚ブロック不成功率は、麻酔も鎮痛も示されなかったブロックの比率として定義された。あらゆる時点におけるブロック不成功率を計算した。結果を表F4に示す:
【表62】
Figure 2004521111
【0649】
領域Cにおける鎮痛発生率は、表F4に示したように、40K EDLAとABでは同じであった(鎮痛=両方の群共に100%)。麻酔発生率は40K EDLAが僅かに高かった(全ての投与群間で、40K EDLAでは56%の麻酔発生率、ABでは44%)。40K EDLA用量群間で、領域Cにおけるブロック発生率はかなり一貫していた。40K EDLAの全ての用量によるブロックの100%に鎮痛が生じた。0.625%および2.5%群(67%)の被験者に比べて1.25%群(33%)の被験者の方が、麻酔頻度が僅かに低かった。
【0650】
1.25%濃度では40K EDLA群および40K IDLA群の両方で、領域Cにおいて同じ割合(100%)の鎮痛が示された。麻酔発生率は、1.25%40K EDLA群(67%)の方が1.25%40K IDLA群(33%)に比べて高かった。本試験で投与した全ての感覚ブロック剤が領域Cでは成功した。
【0651】
領域Aでは、試験第1部中、40K EDLAの用量間で67%のブロックが不成功であり、ABでは11%のブロックが不成功であった。領域Aでは、試験第2部で、1.25%40K EDLAでは33%のブロックが不成功であり、1.25%40K IDLAでは67%のブロックが不成功であった。試験領域Bでは、第1部中、40L EDLAおよびABの両方について11%のブロックが不成功であった。領域Bでは、試験第2部中、1.25%40K EDLA群では不成功なブロックは全くなかったが、1.25%40K IDLA群では67%のブロックが不成功であった。最後に、領域Dでは、試験第1部中に観察された不成功なブロックは全くなかった。試験第2部中に、1.25%40K EDLA群では、領域Dで、不成功なブロックは全く見られず;1.25%40K IDLA群では、領域Dで、33%のブロックが不成功であった。
【0652】
知覚麻痺度
知覚麻痺度は、手の甲の感覚遮断領域に触れた後に知覚麻痺度をランク付けするように被験者に尋ねることにより評価された。各時点における知覚麻痺ランク分布として定義される知覚麻痺度は、11ポイントのランク付け尺度、すなわち0は、全く無感覚ではないに相当し、10は完全に無感覚に相当、に基づく。知覚麻痺度は、基線、注射0.5、1、2、3および6時間後において評価された。最初の自己評価は注射の12時間後、その後は毎日の再受診時毎の治験担当医師の評価に従って、注射後14日間連続的に、終了に関係なく、約12時間毎に実施された。
【0653】
1.25%群のピーク知覚麻痺スコアは注射1日後に見られたが、ABのピーク知覚麻痺スコアは注射30分後に観察された。40K EDLA用量間では、領域Cにおける平均ピーク知覚麻痺スコアが注射1日後では7.89であり、ABで見られるのとほぼ等しく、ピーク知覚麻痺スコアは9.33であり、注射30分後という早くに生じた。領域Cにおける最も高い知覚麻痺スコア平均値および各用量群でのピーク知覚麻痺時間は、以下の通りであった:0.625%40K EDLA=注射12時間後および1日後の両方においてスコア7;1.25%40K EDLA=1日後にスコア9、2.5%40K EDLA=1日後にスコア7.67。ピーク知覚麻痺スコアは、40K EDLA群では、より遅くに見られた。
【0654】
図F6に示したように、1.25%40K EDLAおよび1.25%40K IDLAの領域Cにおけるピーク知覚麻痺スコアは極めて類似していた。注射6時間後に生じた40K IDLAではスコアは8.33であったのに比べ、1.25%40K EDLAの平均知覚麻痺スコアは8で、注射12時間後および1日後の両方で生じた。従って、ピーク知覚麻痺スコアは類似しているが、ピーク知覚麻痺スコアは40K IDLA群でははるかに早くに達成された。
【0655】
機械的接触検出閾値
機械的接触検出閾値は、接触感または圧力感を生じる最小の力すなわちフォン・フライ毛(VFH)の最小号数として定義された。機械的接触検出閾値は、20個の漸進的に硬いフォン・フライ毛(スウェーデン、ストックホルム、Somedic A/B)を使用して決定した。手の甲の上の各4つの指定領域を3回、VFH1.65号(最も硬くない)からVFH6.65号(最も硬い)までの各VFHで刺激した。3回中2回の刺激が検出(接触または圧力として感知)されるVFHの最少号数を記録した。VFH6.65号が全く接触感または圧力感を生じない場合(3回中2回の刺激)、7という数値を割り当てた。主任の治験担当医師が、機械的接触検出閾値を、基線、注射の0.5、1、2、3および6時間後に;その後は終了まで24時間毎に;終了に関係なく7日後および14日後に評価した。
【0656】
試験第1部では、40K EDLA感覚ブロックとAB感覚ブロックは類似した機械的接触検出閾値スコアを示した。用量間で、40K EDLA群での領域Cにおけるピーク機械的接触検出閾値スコアは5.10であり、注射1日後に生じた。ABでのピーク機械的接触検出閾値スコアは5.04であり、注射1時間後に起こった。従って、ピーク機械的接触検出閾値スコアは、AB群の方が40K EDLA群に見られるよりも早い発現が見られた。類似した機械的接触検出閾値スコアが、3つの40K EDLA用量群間で得られた:0.625%40K EDLA=1日後に4.78;1.25%40K EDLA=1日後に5.54;2.5%40K EDLA=1日後に4.98。
【0657】
40K EDLAおよび40K IDLAの機械的接触検出閾値は、図F7に見られるようなものであった。1.25%40K EDLAのピーク機械的検出閾値スコアは4.85であり、1日後に起こり、これに対して、1.25%40K IDLAではスコアは4.36であり、注射6時間後に生じた。従って、類似したピークが40K EDLA群および40K IDLA群で見られ、ピークスコアまでの潜伏発現時間がより長いことが40K EDLA群で観察された。類似した機械的接触検出閾値スコアが、40K EDLAおよびAB群で観察された。用量間で、領域Cにおける40K EDLA群のピーク機械的接触検出閾値スコアは5.54であり、一方、AB群のピーク機械的接触検出スコアは5.04であった。類似した機械的接触検出閾値スコアが、3つの40K EDLA用量群で得られた(0.625%=4.78、1.25%=5.54、2.5%=4.98)。
【0658】
薬物動態結果
時間に対する血漿中ブピバカイン濃度およびデキサメタゾン濃度を、第2部で、40K EDLA処理被験者および40K IDLA処理被験者について決定した。薬物動態パラメータ(Cmax、TmaxおよびAUC)を、血漿中40K EDLAおよび40K IDLA濃度から計算した。
【0659】
被験者から、投与前(基線)、注射の3および6時間後、およびブロック終了と判定されるまで約24時間毎に採血した。デキサメタゾンおよびブピバカイン濃度を、液体クロマトグラフィーを使用して決定した。較正範囲は、デキサメタゾンで0.05〜300ng/mLであり、ブピバカインでは5.00〜300ng/mLであり、一方、定量限界は、デキサメタゾンで0.05ng/mLであり、ブピバカインでは5.00ng/mLであった。
【0660】
血漿中ブピバカイン濃度に関するデータを、図F8に処理群別に要約する。40K EDLAおよび40K IDLAにおける血漿中平均ブピバカイン濃度対時間の曲線は、互いに顕著に異なっていた。1.25%40K EDLA群は、注射3時間後に、早期のピーク平均値92.67ng/mlを示した。このピークレベル(40K IDLA群よりも早く見られた)は、注射6時間後および2日後に、ほぼこのレベルに維持されていたが、注射1日後には45.73ng/mlに下降した。40K EDLA群の血漿中ブピバカインレベルは、依然として、注射4日後にも52.85ng/mlに上昇していた。5および6日後に収集した1名の被験者試料では、血漿中ブピバカインレベルは、28.2ng/ml(5日後)および19ng/ml(6日後)という基線に近いレベルまで戻っていた。
【0661】
1.25%40K IDLA注射後に、血漿中ブピバカインレベルは、24時間後にピーク平均値106.03ng/mlを示した(図F8)。血漿中ブピバカインレベルの上昇が、依然として注射2日後にも観察された(60.23ng/ml)。しかし、注射3日後および4日後に、ブピバカインレベルは、それぞれ14.8ng/mlおよび6.28ng/mlまで下降した。
【0662】
1.25%40K EDLAまたは40K IDLAの注射後に測定したが、血漿中デキサメタゾン濃度は大半の時点で検出不可能であった。検出可能である40K EDLA群における血漿中デキサメタゾン平均濃度は、注射の3時間後(0.1ng/ml)、6時間後(0.12ng/ml)、および2日後(0.02ng/ml)で観察された。血漿中ブピバカイン薬物動態パラメータを以下の表F5に要約する:
【表63】
Figure 2004521111
【0663】
表F5で分かるように、ピークのブピバカイン濃度の出現時間(Tmax)は、40K EDLA群と40K IDLA群では類似していた(40K EDLA群では注射27時間後、40K IDLA群では注射24時間後)。しかし、薬物の最大濃度(Cmax)は、40K EDLA群の方がより高かった(40K EDLA群は153.03ng/mlで、40K IDLA群は106.03ng/ml)。40K EDLA群のCmaxがより高いこと、およびブピバカイン濃度上昇が維持される時間がより長いことにより、40K EDLA群の方が40K IDLA群に比べて、総ブピバカインAUCは増加した。40K EDLA群の総AUC平均は6842.7nghr/mlであるが、40K IDLA群では3333.7nghr/mlであった。
【0664】
試験第2部で、40K EDLAまたは40K IDLA群のいずれかについても血漿中デキサメタゾン薬物動態パラメータは報告されなかった。40K EDLA群で検出可能である非常に低い血漿中デキサメタゾン平均濃度が、注射3時間後(0.1ng/ml)、6時間後(0.12ng/ml)および2日後(0.02ng/ml)に観察された。
【0665】
神経伝導検査
潜在的な神経傷害を評価するために、基線(注射前)からの神経伝導の振幅および速度の変化を評価した。神経伝導試験を実施して、薬物の神経生理学的効果の時間経過、特に、時間に対する神経生理学的感覚応答の振幅、潜伏時間および長さ、および通常の感覚に戻るまでの時間を決定した。神経伝導試験を、試験薬の注射に割り当てられた手の右および/または左の表在橈骨神経に実施した。手の皮膚温度を、標準的な慣行/方法を使用して測定した。最小皮膚温度を、神経伝導検査中32℃に維持し、温度が最小値より下降した場合には、温熱パックを使用して手を温めた。導電ゲルでコーティングされた2つの記録用の環状電極を、親指根に装着し、刺激用電極を、手首から約2cmという近くの手首に装着した。電極ペーストに結合させた外側電極を、刺激用電極と記録用電極の間の皮膚にテープでとめた。段階的な強度の刺激を使用して、1秒間の1,000分の1以下(1m秒)持続する、1回の電気パルスを、最大感覚応答が得られるまで次第に増加させた。その後、強度を僅かに増加させて、標準的な慣行に従って、確実に最大を超える刺激とした。
【0666】
この神経の解剖学的変動性に追随するような、表在橈骨神経およびその分岐の道程の幾分のばらつきが予期された。従って、ディスク記録電極を、皮膚の最初のくもの巣状空間にテープで固定した。くもの巣状空間の応答振幅は、5マイクロボルト以上であった。応答振幅により、別の部位がより優れていると示唆された場合、治験担当医師は、神経の遠位分岐上の記録電極の配置を変更した。一旦、ある被験者における信頼性のある評価モンタージュが決定されると、同一のモンタージュを、試験課程を通じて使用し、橈骨応答の潜伏時間および振幅を測定した。感覚応答振幅、潜伏時間および距離[刺激用電極と記録用電極の間の]、並びに、皮膚温度を記録した。さらに、刺激用電極と記録用電極の配置を記載した。
【0667】
神経伝導検査を、基線、注射の1、6、および24時間後に、その後は7日後および14日後に;そして、6週間後の経過観察時に実施した。神経伝導検査の結果は、6週間後の評価で異常であり(正常範囲から+/−20%逸脱)、検査を3および6ヵ月後の経過観察来診時に繰り返した。結果が6週間後の評価で正常であった場合、これ以上の神経伝導検査は必要とされなかった。神経伝導の振幅および/または速度の変化を、処置別に要約した。注射後の生命徴候を、対応があるt検定を使用して基線評価と比較した。注射前および注射後に記録した臨床検査値をシフト表を使用して分析した。
【0668】
表F6は、神経伝導振幅の変化に関して得られたデータを提供する。
【表64】
Figure 2004521111
【0669】
ブピバカイン水(0.5%)、40K EDLAおよび40K IDLAの全てにおいて、1時間後に始まる伝導インパルスの振幅が減少した。一般に、神経伝導振幅に対する効果は、より高濃度の40K EDLAでは大きく、1.25%40K EDLAの方が1.25%40K IDLAよりも大きかった。0.5%ABの効果は、1時間後にどの濃度の40K EDLAよりも大きく、その差異は24時間までに逆転した。
【0670】
表F7は、神経伝導速度の変化に関して得られたデータを提供する。
【表65】
Figure 2004521111
【0671】
神経伝導速度に対する効果は、全ての薬剤および濃度について小さかった。この効果は、40K EDLAの方が40K IDLA群よりも僅かに大きく、効果は漸増濃度の40K EDLAと相関していた。全ての処理群で、伝導および振幅の変化は7日後の評価時に寛解またはほぼ寛解していた。
【0672】
結論
一般に、40K EDLAは、鎮痛および温度知覚ブロックの両方において、0.5%ABよりも長い作用発現時間および作用持続時間を示した。領域Cにおける鎮痛/麻酔の平均持続時間は、40K EDLAでは1.80日間(用量間)であり、ブピバカイン水(用量間)では0.62日間であった。評価領域Cでは、40K EDLA群の中で、最も一貫した発現時間および最長の持続時間が得られた。従って、報告された効力の結果は、領域Cから得た結果に焦点を置いた。デキサメタゾンは一般に、効力の目安である40K EDLAの作用を延長する上で、より効果的であった(すなわち、1.25%40K EDLA群では2.85日間の温度知覚ブロックに対して、1.25%40K IDLA群では0.49日間、)。40K EDLA群は、40K IDLA群よりも、ブピバカインへの全身暴露がより多いことが示された(40K EDLAでは総AUC平均は6842nghr/mlであり、40K IDLAでは3333.7nghr/ml)。従って、1.25%および2.5%の40K EDLA製剤は、持続時間の延長された局所麻酔薬の安全かつ効果的な製造法であるようである。
【0673】
感覚神経遮断に対するデキサメタゾンの効果
第2部の結果は、極めて低い用量のデキサメタゾンが、40K EDLAの持続時間および効力を延長するという潜在的な効果を示しているようである。試験第2部では、1.25%40K EDLAにより、より急速に鎮痛/麻酔が発現され(6時間以内に被験者の100%)、1.25%40K IDLAと比べて(発現=6時間以内に67%;平均持続時間=1.09日間)、作用持続時間が類似していた(平均=0.84日間)。
【0674】
温度知覚ブロック開始までの時間の結果(体感検査)は、鎮痛の結果と類似していた;40K EDLAは、僅かに開始が早かった(40K EDLAでは6時間以内に100%であるのに対して、40K IDLAでは6時間以内に67%)。温度知覚ブロック持続時間は、40K EDLAの方が、40K IDLAと比較して、はるかに長かった(40K EDLAでは2.85日間に対して、40K IDLAでは0.49日間)。
【0675】
40K EDLAは、40K IDLAと比べて(ピーク知覚麻痺スコア=8.33)、類似した知覚麻痺スコア度(ピーク知覚麻痺スコア=8)を生じた。
【0676】
同じ割合(100%)の鎮痛が、40K EDLAおよび40K IDLAの両方で認められた。麻酔の発生率は、40K EDLA群(67%)の方が、40K IDLA群(33%)に比べて僅かに高かった。
【0677】
類似した様式で、40K EDLAおよび40K IDLAの機械的接触検出閾値は、類似した応答を生じた。40K EDLAのピーク機械的接触検出閾値スコアは4.85であり、注射1日後に生じ、一方、40K IDLAのピーク機械的接触検出閾値スコアは4.36であり、注射6時間後に生じた。従って、ピーク機械的接触検出閾値スコアは、40K EDLA群と40K IDLA群では類似しているが、40K EDLA群のピークスコアに到達するには、より長い時間が必要とされた。
【0678】
安全性の要約
40K EDLA、40K IDLAおよびABは全て、橈骨神経伝導振幅の時間限定減少を伴った。1.25%40K EDLA/0.5%AB群中の0.5%ABおよび1.25%40K IDLAにさらされた橈骨神経の14日後の評価の際に出現した2つの統計学的に有意な変化を含む、橈骨神経伝導速度の小さな変化が観察されたが、臨床的に重要であると判断されなかった。
【0679】
実施例G
表在腓骨神経に投与した場合の持続時間の延長された局所麻酔薬(EDLA)
および中程度の持続時間を有する局所麻酔薬(IDLA)の感覚遮断特徴
非盲検、比較対照、2部、用量−応答試験は、漸増用量レベルの120K EDLAおよび40K EDLAを評価して、有効量を同定した。有効量における最適な製剤の感覚ブロック期間は3〜5日間である。ブピバカイン活性の持続時間を延長する上でのデキサメタゾンの役割も評価された。5回の処理は、実施例2に従って調製した120K EDLAおよび40K EDLA、および、120K IDLAおよび40K IDLA(実施例1に従って調製)、およびブピバカイン水(AB)であった。検査薬および濃度を、全て3mLの注射液で投与したが、以下の表G1に示す。
【表66】
Figure 2004521111
【0680】
ブピバカイン局所活性の持続時間を延長する上でのデキサメタゾンの役割を評価するために、40K IDLA製剤が含まれる。120K EDLA対120K IDLAおよび40K EDLA対40K IDLAを検査する手順は僅かに異なっていた。120K EDLAまたは120K IDLAを片側に注射することにより、血漿中のブピバカインおよびデキサメタゾン濃度を評価できた。40K EDLAおよび40K IDLAを両側に投与された被験者の血漿中濃度は評価されなかった。投与処理を以下の表G2に示す。
【表67】
Figure 2004521111
【0681】
投与された各表在腓骨神経遮断剤について、最大に足底を屈曲させ、足を僅かに内転させることにより表在腓骨神経の中間分岐を突出させ、その表在道程の最も容易に同定され、外側(腓骨)踝のちょうど内側および僅かに離れた場所に印を付けた。針を内側踝に再度向けて、追加的な医薬を皮下注射した時に2〜4cm進め、表在腓骨神経の内側分岐を麻酔した。
【0682】
第1部では、被験者は、120K EDLA(0.625%、1.25%、または2.5%)を、表在腓骨神経ブロック剤として一方の足に、AB0.5%を表在腓骨神経ブロック剤として反対の足に投与された。40K EDLA製剤を評価するために、被験者は40K EDLA(0.312%、0.625%、1.25%または2.5%)を表在腓骨神経ブロック剤として一方の足に、AB0.5%を表在腓骨神経ブロック剤として反対の足に投与された。
【0683】
第2部で、40K EDLAを、120K EDLAと、および40K IDLAと比較するために、1.25%濃度が選択された。被験者は、1.25%の120K EDLAまたはIDLAを、左足への片側注射を受けた。その他の被験者は、1.25%40K EDLAを片足に、1.25%40K IDLAを他方の足にと、両側注射を受けた。
【0684】
効力測定は、鎮痛(麻酔を伴うまたは伴わない)の発現時間および持続時間、鎮痛(麻酔を伴うまたは伴わない)の発生率、温度知覚ブロックの発現時間および持続時間、知覚麻痺度、感覚ブロック不成功数(%)、および薬物動態的/薬力学的目安であった。安全性変数には、注射時の疼痛が含まれていた。
【0685】
鎮痛(麻酔を伴うまたは伴わない)の発現時間および持続時間
感覚遮断は、歯科用針(または類似のタイプの針)の尖っていない末端を使用して、足の背側上の皮膚を軽く叩くことにより評価された。第三および第四中足骨上の領域を一時検査領域として指定した。その他の領域(群)も、感覚ブロックを示すとして同定され;これらの領域は二次検査領域として指定した。感覚ブロックを示す一次および二次領域に、外科用ペンで印を付け、ピン刺し検査領域を指定した。その後、ピン刺し検査を一貫してこれらの部位内で実施した。
【0686】
一次および二次領域を、ピン刺しを使用して3回検査し、被験者は何回のピン刺しを感じたかを尋ねられた。感覚ブロックの密度は、0=麻酔、1=鎮痛、2=ブロックなしという0〜2尺度でランク付けた。ランク付けは、0=被験者は0回(3回中)のピン刺しを感じた;1=被験者は2回または3回(3回中)のピン刺しを接触または圧力と感じたか、あるいは、被験者は2回(3回中)のピン刺しを、1回は接触または圧力と感じ、1回は痛烈と感じた;2=被験者は2回または3回(3回中)のピン刺しを痛烈と感じた、とスコアを付けた。
【0687】
鎮痛(麻酔を伴うまたは伴わない)の発現時間は、足の上面のピン刺し検査により、鎮痛(接触または圧力)または麻酔(ピン刺しを全く感じない)が示された最初の時間と定義された。感覚ブロックの発現時間についてのピン刺し検査を、投与前(基線)および注射約30分後、1、2、3および6時間後に実施した。
【0688】
全用量間では(第1部および第2部)、ブロック発現は、40K EDLAでは3時間以内に起こり、67%ブロックされ、これに対し、ABでは100%ブロックされ、120K EDLAでは4%ブロックされた。1.25%濃度では、ブロック発現は、40K EDLAでは3時間以内に起こり、100%ブロックされ、これに対し、120K EDLAでは11%ブロックされた(図G1およびG2)。ブロック発現は、低濃度や高濃度の40K EDLAに比べてより速く、0.625%および2.5%濃度では、発現は3時間以内に起こり、67%ブロックされたが、1.25%濃度では100%ブロックされた。これらの結果を表G3に要約する。
【0689】
ブロック発現は、1.25%40K IDLAに比べて、1.25%40K EDLAの方が速く、40K EDLAでは1時間以内に起こり、33%ブロックされるが、40K IDLAでは0%ブロックであった。図G3および表G3に示したように、40K EDLAでは、発現は3時間以内に起こり、83%ブロックされるが、40K IDLAでは33%ブロックされた。試験第2部で、1.25%120K EDLAおよび1.25%120K IDLAでは、応答が全く観察されなかった。この所見に関する明白な理由はなかった。1名の被験者(被験者21)が、最適状態には及ない注射を投与された(薬物は懸濁液調製の1時間後に注射されなかった)。これらの被験者で見積もった血漿中ブピバカイン濃度は、検出限界より低かった。
【表68】
Figure 2004521111
【0690】
鎮痛持続時間は、鎮痛(麻酔を伴うまたは伴わない)発現時間とピン刺しに対する痛烈な感覚が戻った時間の間の時間と定義された。被験者は、感覚遮断終了と判定されるまで、評価者によるピン刺し検査のために、注射後約24時間毎に試験施設に戻った。評価は、ブロックの終了まで12時間毎に1回、その後は終了に関係なく、24時間毎に1回全14日間実施した。用量間で、ブロック持続時間(麻酔を伴うまたは伴わない鎮痛)は、40K EDLAの方が、ABと比べて、より長く(40K EDLA=2.3日間、AB=0.5日間)、120K EDLA(2.8日間)で観察されたものより短かった。鎮痛持続時間は、1.25%40K EDLAの方が、1.25%120K EDLAよりも長く(3.1日間対1.7日間)、両方の製剤が参照薬物(0.2〜0.6日間)よりも持続時間が長かった。表G4は、これらの結果を要約する。
【0691】
1.25%および2.5%濃度の40K EDLA(3mL)において、より低濃度と比較して、感覚ブロックの平均持続時間がより長いことが観察された(0.312%=1.2日間;0.625%=2.3日間;1.25%=3.1日間;2.5%=2.5日間;図G1およびG2参照)。2.5%濃度の120K EDLAにより、最長のブロック平均持続時間が得られた(4.2日間)。120K EDLAを投与された個々の被験者の感覚ブロック持続時間は延長された。1.25%および2.5%120K EDLAを投与された6名の被験者は、試験14日後まで通常の感覚に戻らなかった。
【0692】
鎮痛持続時間は、1.25%40K EDLA(3mL)の方が、1.25%40K IDLAと比べて長かった(それぞれ、2.1日間対0.6日間)。図G3に示したように、ピン刺しスコア平均値により、40K EDLAの方が、40K IDLAよりも速く発現されたことが示され(2時間対3時間)、かなり長く持続した(3日間対12時間)。40K IDLAおよびAB(40K/AB処理対の用量間)のブロックの持続時間は、類似していた(範囲、それぞれ0.1〜0.8日間対0.2〜0.8日間)。
【表69】
Figure 2004521111
【0693】
麻酔を伴うまたは伴わない鎮痛の発生率
鎮痛(麻酔を伴うまたは伴わない)の発生率の評価において、被験者が2回または3回のピン刺しを接触または圧力と感じた場合に、感覚ブロックを鎮痛としてランク付けした。被験者がピン刺しに応答した感覚はないと報告した場合、感覚ブロックを麻酔とランク付けた。あらゆる時点で、鎮痛を経験した被験者の数(%)を計算した。
【0694】
40K EDLA濃度間で、鎮痛および麻酔の発生率はEDLAとABは類似していた(40EDLAおよびABの両方において、鎮痛=100%、麻酔=93%)。鎮痛および麻酔の発生率は、40K EDLAにおいてより確実であった。麻酔を伴うまたは伴わない鎮痛はそれぞれ、40K EDLA対120K EDLAで、被験者の100%対67%で生じた。麻酔はそれぞれ、40K EDLA対120K EDLAで、被験者の100%対22%で生じた。これらの結果を表G5に示す。
【表70】
Figure 2004521111
【0695】
麻酔を伴うまたは伴わない鎮痛の発生率は、40K EDLA用量群間で信頼できるものであり、全被験者および全用量群の100%で生じた。麻酔は0.312%の濃度では67%のブロックが生じたが、これに対し、他の全ての40K EDLA濃度では100%で生じた(表G5参照)。120K製剤は、用量間でより一貫性が低く、鎮痛は2.5%濃度では100%のブロックが生じたが、1.25%では67%で、0.625%では50%であった。麻酔はより頻度が低く、2.5%120K EDLA濃度では83%のブロックが生じ、1.25%では22%、0.625%では17%であった。麻酔を伴うまたは伴わない鎮痛は、40K EDLAおよび40K IDLAで被験者のそれぞれ100%対67%で生じ、麻酔も同じ割合で生じた(40K EDLAおよび40K IDLAで、それぞれ100%対67%)。
【0696】
温度知覚ブロックの発現時間および持続時間
温度知覚ブロックの評価において(体感検査−発現時間および持続時間)、温度知覚は、感覚遮断領域をアルコール綿で触れた時の、知覚される温度変化により評価された。被験者は、温度変化を感じた場合には「はい」と答え、変化が知覚されなかった場合には「いいえ」と答えるよう指示された。答えは、1=「いいえ」、0=「はい」である0〜1の尺度に変換した。温度知覚遮断は、ブロック終了まで12時間毎に1回、その後は終了に関係なく全14日間、24時間毎に1回評価された。
【0697】
発現時間は、被験者が温度変化を感じなくなった最初の時間として定義された。終了は、体感検査で基線値へ戻ることとして定義された。表G6の第1部で示したように、用量間で、温度知覚ブロック発現時間は、120K EDLAで観察されたもの(6時間後に48%ブロック、48%ブロックを確立できない)に比べて、120K EDLAよりも40K EDLAの方が早かった(6時間後またはそれより前に、80%のブロック発現)。温度知覚ブロック発現時間は、1.25%120K EDLAに比べて、1.25%40K EDLAの方が早かった(6時間以内で、40K EDLAでは100%に対して120K EDLAでは11%)。両方の製剤が、ABより遅く発現され、1時間未満で100%ブロックされた(図G4参照)。
【0698】
3時間以内の温度知覚の発現時間は、より高濃度の40K EDLAでより確実に観察された(0.625%=67%、1.25%=67%、2.5%=67%)。温度知覚遮断は、3時間以内に、最低濃度(0.312%)の40K EDLAで、または全ての濃度の120K EDLAでも観察されなかった(表G6の第1部参照)。
【0699】
温度知覚ブロックの結果は、鎮痛の結果と一致し;1時間以内のブロック開始は、40K IDLAよりも、40K EDLAでより確実に生じた(40K EDLA=33%、40K IDLA=0%(表G6の第2部)。図G5に示したように、温度知覚ブロックの平均スコアにより、1.25%40K IDLAよりも1.25%40K EDLAの方が発現が早く、より長く持続したことを示した。
【表71】
Figure 2004521111
【0700】
温度知覚ブロック持続時間の評価において、温度知覚ブロック持続時間は、冷たさに応答するブロックの発現時間と冷たい感覚が戻った時間の間の時間として定義された。温度知覚ブロック持続時間の結果を表G7に要約する。用量間で、温度知覚ブロック持続時間は、40K EDLAの方が、ABに比べて(それぞれ、3.2日間対0.5日間)、また120K EDLAに比べて(1.4日間)、より長かった。温度知覚ブロック持続時間は、40K EDLAの方が、120K EDLAに比べて、長かった(40K EDLA=3.2日間;120K EDLA=1.4日間)。温度知覚ブロック持続時間は、低濃度の40K EDLAよりも、高濃度の40K EDLAの方が長かった(0.312%=1.2日間;0.625%=2.3日間;1.25%=3.2日間;2.5%=4.2日間)。平均持続時間は、40K EDLAの方が、40K IDLAに比べて長かった(それぞれ1.4日間対0.5日間)。40K IDLAでのブロック持続時間は、ABで観察されたものと類似していた(0.5日間に対して、ABの0.2〜0.8日間)。
【表72】
Figure 2004521111
【0701】
知覚麻痺度
知覚麻痺は、各時点における知覚麻痺ランク分布として定義されるパラメータ、すなわち知覚麻痺度により評価し、0=全く無感覚ではない、10=完全に無感覚という11ポイントのバーバル・ランク付け尺度に基づくものであった。被験者は、足の上面の感覚遮断領域に触れた後に知覚麻痺度をランク付けするように依頼された。知覚麻痺度は、ブロック終了まで12時間毎に1回、その後は終了に関係なく24時間毎に1回全14日間評価した。
【0702】
図G6に示したように、40K EDLA製剤は120K EDLAに比べて、より高い知覚麻痺度を示した。40K EDLA用量間で、注射後のピーク知覚麻痺スコア平均値は8.2であり、これに対して120K EDLAでは2.4であった。知覚麻痺ピーク平均値は、40K EDLAおよび120K EDLAの両方において、注射12時間後に生じた。ABにおける同等な知覚麻痺レベル(スコア平均値、8.6)は、注射2時間後に生じた。
【0703】
40K EDLA群内で、各濃度における、最も高い知覚麻痺スコア平均値およびピーク知覚麻痺時間は、以下の通りであった:0.312%=12時間後に7.7;0.625%=12時間後に7.5;1.25%=6時間後に10;2.5%=2日後に9.3。120K EDLA群内での、各濃度における、最も高い知覚麻痺スコア平均値およびピーク知覚麻痺時間は、以下の通りであった:0.625%=2日後に1.8;1.25%=12時間後に2.8;2.5%=3日後に3.7。40K EDLAおよび40K IDLAのピーク知覚麻痺スコアは、顕著に異なっていた。1.25%40K EDLAのピーク知覚麻痺スコア平均値は9で、2日後に生じ、これに対し、40K IDLAでは4.8で、注射6時間後に生じた(図G7)。
【0704】
感覚ブロック不成功数(%)
感覚ブロック不成功の比率の評価において、麻酔も鎮痛も示されなかった評価の比率を、各々の標準化検査で、時点別に計算した。用量間で(第1部および第2部)、ブロック不成功の割合は、40K EDLAおよびABでは0%であるのに対し、120K EDLAでは38%のブロックが不成功であった。ブロック不成功の割合は、40K EDLAの方が40K IDLAよりも低かった(それぞれ0%対33%)。120K EDLAおよび120K IDLAによる全(100%)てのブロックが、表G8に示したように、不成功であった。
【表73】
Figure 2004521111
【0705】
薬物動態的/薬力学的目安
薬物動態的/薬力学的目安の評価において、被験者から、投与前(基線)、注射の3および6時間後、およびブロック終了と判定されるまで約24時間毎に採血した。時間に対する血漿中ブピバカインおよびデキサメタゾン濃度を、120K EDLAおよび120K IDLAについて決定した。デキサメタゾン濃度およびブピバカイン濃度を、MS−MS検出技術を使用して、液体クロマトグラフィーを使用して決定した。較正範囲は、デキサメタゾンでは50.0〜6400pg/mLであり、ブピバカインでは5.00〜640ng/mLであり、定量限界(LOQ)はデキサメタゾンでは50.0pg/mLであり、ブピバカインでは5.00ng/mLであった。
【0706】
結果は、血漿中ブピバカイン濃度およびデキサメタゾン濃度がアッセイの検出限界より低いことを示した(ブピバカインでは5.0ng/mL、デキサメタゾンでは50.0pg/mL、データは示していない)。
【0707】
注射時の疼痛
注射時の疼痛スコア平均値を表G9に示す。注射時の疼痛スコアに関して、120K EDLA群は、ABおよび120K IDLAと比べた場合に、注射時に僅かにより多くの疼痛を経験したようであった(平均スコアの範囲は、120K EDLAでは3.8〜5.7;ABでは3.8〜4.7;2.7が、120K IDLA群のスコア平均値であった)。この効果は、40K EDLA群では、その活性対照または40K IDLAほど明白ではなかった。
【表74】
Figure 2004521111
【0708】
結論
一般にEDLAは、鎮痛(麻酔を伴うまたは伴わない)および温度知覚ブロックの両方の点で、0.5%ABよりも作用発現時間および作用持続時間が長かった。デキサメタゾンは、EDLAの作用を持続するのに効果的であり;IDLAは一般に、ABに類似した作用持続時間を示した。40K EDLA製剤、特に1.25%および2.5%濃度のものは、持続時間の延長された局所麻酔薬の安全かつ効果的な製造法のようであった。
【0709】
実施例H
足療手術後の術後鎮痛のために
末梢神経ブロック剤として投与した40K EDLAの効力
二重盲検、無作為、用量範囲探索試験で、手術後に3〜5日間持続する鎮痛ブロックが得られるような、40キロダルトン(K)の持続時間の延長された局所麻酔薬(EDLA)の用量を評価した。試験に参加した各患者が、片側足療手術(1箇所の骨切除を伴う腱膜瘤切除)を受けるように計画された。患者に、手術用麻酔のために18mLのブピバカイン水0.5%(90mg)を含む末梢神経ブロック剤(Mayo Block)を投与した。手術終了時に、18mlの40K EDLA0.625%、1.25%または2.5%(それぞれ81mg、162mgまたは324mgのブピバカイン)、あるいは、18mlの注射用生理食塩水(プラセボ)を使用した他の麻酔ブロック剤を受けるように、患者は無作為に割付けられた。手術後に、全患者は、術後疼痛寛解のために必要時、ヒドロコドン5mg/500mgアセトアミノフェン(APAP(Lortab))を4時間毎に服用する処方箋を受け取った。
【0710】
試験の期間は、約6日間(+/−1日間)であった。手術の14日後(+/−2日間)、3ヶ月後(+/−2週間)に経過観察評価が必要とされ、6ヶ月後(+/−2週間)に長期の経過観察が必要とされた。さらに、患者に、1日後から6日後の評価まで毎日、手術の6週間後(+/−1週間)に再び電話で連絡をとった。
【0711】
特定量の希釈剤を、100mg40K EDLAミクロスフェア(72重量%のブピバカインおよび0.04%のデキサメタゾン)粉末を含むバイアルに加えて、以下の表H1に示したような、特定のミクロスフェア濃度とした:
【表75】
Figure 2004521111
【0712】
患者の手術当日およびその前に実施した基線評価/手順には、基線疼痛スコア(0〜10の尺度)および知覚麻痺度評価が含まれていた。
【0713】
足療手術(1箇所の骨切除を伴う腱膜瘤切除)前に、全患者に、手術用麻酔のために、18mLの0.5%ブピバカイン水を含む末梢神経ブロック剤(Mayo Block)を投与した。追加の0.5%ブピバカイン水を、10mLまで必要であれば、さらに麻酔するために術中に投与した。
【0714】
創傷を閉じた後、患者に対照として18mLの注射用標準生理食塩水、または18mLの40K EDLA0.625%、1.25%もしくは2.5%を使用した追加のブロック剤を投与した。術後のMayo Blockを、術前Mayo Blockと同じ様式および技術で投与した。
【0715】
手術後に、全ての患者が、標準的な術後介護に関する指示、並びに効力評価の結果の記録に関する指示を受けた。評価者は、初回の術後1時間目の評価を実施した。評価者に助けられ、患者は退院時に第二回目の評価を実施し、結果を記録した。
【0716】
患者は、6日後の術後来診までに、毎日評価を完了させるように指示された。患者は、0〜10の尺度に基づいて、1日2回、起床時に1回、就寝前に再度疼痛スコアをつけ、疼痛救出医薬を服用する前にも追加の疼痛スコア(疼痛により夜中に起きることを含む−「睡眠の質」)をつけた。また、毎晩就寝前に、疼痛の質の評価(最近24時間の疼痛のタイプ)を記録し、服用した疼痛救出医薬の錠剤の数および服用した時刻を記録した。全ての患者が、手術6日後に、術後疼痛評価(疼痛スコアおよび疼痛の質)および知覚麻痺度のために、実施施設に戻ることが必要とされた。
【0717】
効力
評価/手順には、疼痛スコア、疼痛強度(疼痛の質)、睡眠の質、知覚麻痺度、および疼痛救出医薬が含まれていた。
【0718】
疼痛スコア
0〜10の尺度に基づいた疼痛スコアを、1日2回(朝および晩)、および疼痛救出医薬服用前に測定した。患者に、横に並んだ11ポイント尺度を見てから、疼痛が最もよく表現されている数字を囲むことにより、術後疼痛度(0=疼痛なし;10=想像できる最悪の疼痛)を評価するように依頼した。
【0719】
毎日の疼痛スコア平均値は、プラセボと比べて、1.25%および2.5%EDLA濃度による処理の間には差異があることを示していた。これらの差異は術後の最初の2日間で最も明白であった。
【0720】
最初の疼痛までの時間
患者は、前記で考察した0〜10の尺度を使用して、3より大きい最初の疼痛までの時間を記録するように指示された。1.25%および2.5%のEDLAは、ヒト患者において、疼痛の知覚を少なくとも1日間遅延するという効力を示した。図H1に示したように、製剤はまた、1.25%および2.5%のEDLAで、3より大きな最初の疼痛までの時間の中央値が約21時間および43時間という用量反応相関を示した。
【0721】
疼痛強度(疼痛の質)
疼痛強度(疼痛の質)を1日の最後に測定した。患者に、疼痛レベルを、尺度0〜3と以下の各形容詞、すなわち0=なし;1=軽度;2=中等度;3=重度:ズキズキ、撃たれるような、突き刺すような、痛烈な、痙攣するような、差し込むような、熱く燃えるような、うずくような、深刻な、触ると痛い、割れるような、疲れ消耗するような、吐き気のあるような、怖い、および罰を受け悲惨なような、でランク付けすることにより、過去24時間に経験した疼痛の質を評価するように依頼した。
【0722】
睡眠の質
睡眠の質を測定した。患者に、何回夜中に起きて疼痛救出医薬を服用したかを記録するように依頼した。患者が疼痛のために起きた場合、時刻、疼痛スコア(0〜10の尺度)評価、および服用した疼痛救出医薬の錠剤の数を記録した。処置間には、疼痛のために夜に起きた回数における有意な差異はなかった。
【0723】
知覚麻痺度
知覚麻痺度(接触に対する)を1日2回測定した(朝および晩)。患者は、遮断領域の知覚麻痺度を判定するように依頼された。患者は、人差し指を使用して術足の上面領域に接触し、11ポイント尺度(0=全く無感覚ではない;10=完全に無感覚)に基づいて、知覚麻痺度をランク付けするように依頼された。
【0724】
疼痛救出医薬
疼痛救出医薬を測定した。全患者が、術後の抑えきれない疼痛の際に服用する40錠のLortabの処方箋を受け取った。患者は、1〜2個の錠剤を4時間毎に随時、すなわち術後疼痛が不愉快になった場合のみであって、疼痛が予期される時ではない場合に、服用するよう指示された。患者は、医薬の服用前に疼痛レベル(0〜10尺度に基づいた疼痛スコア)を記録し、服用した時刻および錠剤の数と共に、疼痛スコアを記録するように指示された。
【0725】
救出薬の全用量(使用した救出用錠剤の総数)は、プラセボと比べて、全用量のEDLAについて、統計学的に差異があり、2.5%EDLA製剤が最大の効力を示した。最初に救出用医薬を使用するまでの時間も効力を示した。図H2に示したように、最初に救出薬を使用するまでの時間についての用量反応相関を観察し、効力のランク順位は2.5%>1.25%>0.625%EDLA>プラセボであった。
【0726】
実施例I
安全性評価
持続時間延長局所麻酔薬(EDLA)が、組織刺激を引き起こす能力を評価するために、並びに皮下注射後に遅くに発症した膨潤/硬化の安全性および病因を評価するために、試験を実施した。製剤は安全であることが示された。
【0727】
これらの試験に使用した注射用医薬には、1.25%、2.5%、5.0%濃度の120K EDLA、1.25%濃度の120K IDLA、並びに0.25%および0.5%濃度のブピバカイン水が含まれていた。これらの試験にはまた、2つのプラセボ注射液が含まれていた:1)マイクロスフェア自体に起因するあらゆる作用を分離除去するための希釈剤(ブピバカインを含まない)に懸濁した空のマイクロスフェア(濃度1.25%);2)希釈剤の作用を研究するための希釈剤のみを含む注射液。
【0728】
腕の掌側表面に全ての注射液(0.2〜6mL)を皮下投与した。1mLあたりに投与する実際の活性薬物の用量(mg)を以下の表I1に示す。
【0729】
【表76】
Figure 2004521111
【0730】
安全性評価には、注射液に対する有害事象および局所応答が含まれていた。
【0731】
安全性評価
1.有害事象の要約
6名の被験者(37.5%)が、8件の有害事象を報告し、その中の6件は試験薬に関連があると判断された。最も一般的な有害事象は、それぞれ、そう痒症および疼痛として定義される痒みおよび灼熱感である。医薬に関連していない有害事象は2件あった。
【0732】
疼痛(火傷)の有害事象が、2名の被験者(1番、13番)により報告され、空マイクロスフェア、並びに0.25%および0.5%EDLAを投与された部位が含まれていた。そう痒症は被験者15番に観察され、7箇所中5箇所の部位に出現し、3つのEDLA濃度、ブピバカイン水0.5%および希釈剤の部位が含まれていた。
【0733】
生命徴候の臨床的に有意な変化は、試験中いかなる時刻にも全く記録されなかった。重度の有害事象または死亡はなかった。
【0734】
注射に対する局所反応
この試験で測定したような注射時の疼痛には、処理間での明確な差異はなかった。しかし、3つのEDLA濃度では、「疼痛なし」のカテゴリーに属する部位の比率が最も高く、この応答を示すのは16名中15名の被験者(87.5%)であるのに対し、0.5%ブピバカイン水では16名中3名(18.8%)であった。
【0735】
7箇所の注射部位で25%〜64%までの多様に記録された皮膚の色変化についてのパターンは観察されなかった。部位の80%以上が24〜37時間後までに通常に戻ると記録された。皮膚色の領域(mm)は、処理部位の差はなく、初回領域は7つの検査部位の間で10〜14mmであった。その後、変色領域は3時間後までに、2〜6mmの範囲までに著しく消失した。
【0736】
注射部位での膨疹の上昇は、注射の15分後、大半の部位で「盛り上がる」と認められ、その後、3〜6時間後に大半が寛解してなくなった。上昇の発生率は、希釈剤のみでは部位の81.3%で上昇があったが、2つのブピバカイン水注射液ほど頻繁ではなかった。この効果は、ブピバカインの生理的特性に起因する可能性が最も高い。空マイクロスフェアおよび3つのEDLA濃度では、その検査部位の75%以上において上昇した。
【0737】
痒み、灼熱、膨潤などの局所反応は、3件の灼熱に関する報告、および3件の痒みに関する報告では稀であった。3件の灼熱感が、空マイクロスフェア並びに2.5%および5.0%EDLAで報告された。3件の痒み応答が希釈剤で報告され、1.25%EDLAで2回報告された。
【0738】
前記の要約は、組織刺激試験におけるこれらの濃度のEDLA注射の良性で安全なプロファイルを提供する。EDLAに対する応答は、希釈剤、空マイクロスフェアまたは2つのブピバカイン水濃度で見られるものとは差はなかった。結果は、これらの容量および濃度のEDLA注射に対する皮膚または皮膚内組織刺激反応は全くないことを示している。
【0739】
特別安全性変数は、発症の遅い膨潤/硬化、これは、注射部位内または注射部位の近傍で生じた硬化/膨潤と規定されたが、を評価し、注射の約5日後以降、および薬物容量および/または針(機械的)刺激に因る即時の注射後膨潤の寛解後に評価した。遅くに膨潤/硬化が発症した全ての注射部位を生検し、組織を組織学的に調べた。計10回の生検を実施し、その中の5回は両側であった。
【0740】
組織学的な検討の結果
組織反応
組織性/細胞性反応(例えば、膿瘍、線維症、壊死および新血管新生)を、組織/マイクロスフェア界面に見られる細胞(例えば、好酸球、線維芽細胞、異物巨細胞、リンパ球、マクロファージ、単球、および多形核白血球)を分類および定量することにより特徴づけ、0(なし)、1(最小)、2(軽度)、3(中程度)、または4(大規模)とランク付けた。
【0741】
全3つの処理に由来する生検から、有意な組織反応が生じた。プラセボ生検の50%が、少なくともいくらかの組織反応を示した。IDLA注射部位の生検では、何らかの(最小、軽度または中程度)組織反応を示した試料の比率が最も高く(64%)、その次はEDLA注射部位の生検であり(58%)、その次はプラセボ注射部位の生検(50%)であった。
【0742】
生検に存在する細胞タイプに見られる最大の処理特異的差異は、線維芽細胞、マクロファージおよび多形核白血球の存在であった。EDLA生検の80%が線維芽細胞に関して「最小の」ランク付けを受けたが、IDLA試料の全部が「最小」ランク付けを受け、プラセボ生検の唯1つ(50%)が「最小」とランク付けた。マクロファージに関しては、全3つのIDLA生検が、「軽度」(33%)または「中程度」(67%)とランク付けられ、一方、EDLA試料の40%およびプラセボ試料の50%が、「軽度」または「中程度」とランク付けられた。EDLA試料の40%が、多形核白血球の存在に関して最小または軽度とランク付けられたが、全てのプラセボ生検が「なし」とランク付けられた。
【0743】
全3つの処理の生検が、膿瘍および壊死に関して類似したランク付けを示した。線維症のランク付けは、線維芽細胞で観察されたものと類似し:EDLA生検の80%が最小とランク付けられ、IDLA試料の100%が最小とランク付けられ、プラセボ試料の僅か50%が最小とランク付けられた。EDLAおよびIDLA生検ではまた、プラセボ試料よりも、僅かにより多くの新血管新生が示された。
【0744】
マイクロスフェアの配置および分解
マイクロスフェアの配置/生分解の評価において、マイクロスフェアは、存在または不在とマークされた。マイクロスフェアが存在する場合、マイクロスフェアの生分解程度は、1)眼で見て明らかな分解がない、2)部分的に分解、または3)大規模に分解とランク付けた。
【0745】
マイクロスフェアは、1つのEDLA試料を除き、全ての生検に存在していた。2つのプラセボ生検は、ポリマー粒子の明らかな分解を全く示さなかったが、IDLAおよびEDLA注射部位に由来する試料中の全てのマイクロスフェアが部分的な分解を示した。
【0746】
組織反応の全体的な特徴
組織反応の病因プロファイルは、以下のカテゴリー:1)急性炎症、2)慢性炎症、3)肉芽組織、4)異物反応、5)線維症、6)線維膜、7)感染、および8)薬物/化学物質による反応の中から選択された。
【0747】
組織反応位置は、焦点性(マイクロスフェアの植え込み部位内)または分散性(マイクロスフェアの植え込み部位外)であることが示された。0(なし)から4(大規模)までの5点のランク付け尺度がここでも使用され、反応にスコアを付けた。IDLAで処理した注射部位に由来する生検が最大の全体的な組織反応を示したが、EDLA試料のみがマイクロスフェアの植え込み部位外の組織反応を示した。3つのEDLA生検が、分散性で慢性の炎症を示し、3つが、分散性の薬物/化学物質による毒性反応を示した。あらゆる処理に由来するその他のどの生検も、マイクロスフェアの植え込み部位外(分散性)では組織反応を示さなかった。急性炎症、肉芽組織および感染は、どの生検でも観察されなかった。1つのEDLA生検を除く、全ての生検が慢性炎症を示した。EDLA試料の60%がマイクロスフェアの植え込み部位(分散性)外に慢性炎症を示した。マイクロスフェアの植え込み部位内(焦点性)の慢性炎症が、IDLAおよびプラセボ生検の全部と、EDLA試料の20%に観察された。薬物/化学物質による毒性反応の評価は慢性炎症と同じであった:EDLA試料の60%が分散性な位置を示し、IDLAおよびプラセボ試料の全部が焦点性な位置を示した。1つのIDLA生検が、線維膜を示す唯一の生検であった。線維症および異物反応(存在する場合)は、マイクロスフェアの植え込み部位内でのみ観察された。
【0748】
全体的な評価ランク付け
全体的に、EDLA注射部位の生検が、最も少ない組織反応を示し、次いでプラセボ注射部位の生検であり、さらにIDLA注射部位の生検であった。どの生検も、肉芽組織または感染を示すと評価されなかった。EDLA注射部位の1つの生検が、急性炎症に関して軽度のランク付けで評価されたが、全ての他の生検は、急性炎症が全くないとランク付けされた。EDLA生検の2つ(40%)が、中程度の慢性炎症を有するとランク付けされ、1つ(20%)が、慢性炎症はないと示された。残りの2つのEDLA生検が、最小または軽度の慢性炎症を有するとランク付けされ、これは全てのIDLAおよびプラセボ生検も同様であった。IDLA試料の1つ(33%)が、線維膜に関して最小とランク付けされ、全ての他のIDLA生検、並びにEDLA生検およびプラセボ生検は全く示さないとランク付けされた。
【0749】
全3つの処理注射部位の生検がいくつかの異物反応を示した。1つのEDLA(20%)、2つのIDLA(67%)および1つのプラセボ(50%)の生検が、異物反応に関して中程度とランク付けされた。1つのEDLA試料(20%)が全く示さないとランク付けされ、残りの生検は最小の異物反応を示すとランク付けされた。唯1つのEDLA生検(20%)が、薬物/化学物質による毒性反応を全く示さないとランク付けされた。全ての他の生検が、最小または軽度の薬物/化学物質による毒性反応を示した。
【0750】
より有意な組織反応を有する部位
IDLA/プラセボ処理対は全く生検せず、それ故、比較した唯一の処理対はEDLA/プラセボおよびEDLA/IDLAであった。これらの処理対を、より多くの組織について分析した場合、EDLA/プラセボ対ではカテゴリーの51.5%、EDLA/IDLA対ではカテゴリーの54.5%に差異が全く認められなかった。しかし、差異が認められた場合、プラセボ対よりもEDLA生検が選択されることが多く(36.4%対9.1%)、EDLA生検よりもIDLA生検が選択されることが多かった(33.3%対15.2%)。EDLA/プラセボ対に認められた最大の1つの差異は、新血管新生の比較においてであった:EDLA生検は、どちらの場合においても、より多くの新血管新生を有する部位として選択された。EDLA/IDLA処理対では最も顕著なことに、3個中2個(67%)のIDLA生検が、異物巨細胞、リンパ球、マクロファージおよび単球の存在をより多く有するとして選択された。
【0751】
より多くのマイクロスフェア分解および全体的な反応を示す部位
2個中2個(100%)のEDLA生検がそのプラセボ対よりも、より顕著な分解を示すとして選択され、3個中1個(33%)のIDLA生検がそのEDLA対よりも、より顕著なマイクロスフェア分解を示すとして選択された。他の2つの対は、マイクロスフェア分解に全く差異を示さなかった。
【0752】
大半の処理対が、8つの分類で全体反応を分析した場合、差異を全く示さなかった。EDLA/プラセボ対の63%に、EDLA/IDLA対の54%に差異が全く認められなかった。EDLA生検とプラセボ生検の間の差異が明白である場合、EDLAが、反応分類の31%において、より多くの全体反応を有するとして選択され、プラセボは事例の僅か6%でしか選択されなかった。両方のEDLA試料が、そのプラセボ対よりも、より顕著な慢性炎症を示した。EDLA/IDLA対の間で、IDLA生検は、全体的に、機会の33%で選択され、EDLAは13%で選択された。IDLA生検は、3中2個(67%)の対において、より顕著な全体的慢性炎症、薬物/化学物質による毒性反応、および異物反応を示すとして選択された。
【0753】
発現の遅い膨潤/硬化および生検評価:発現の遅い膨潤/硬化が、全注射部位の半数より多く(54%)で観察されたが、EDLA注射部位で最も頻繁であった。10個中8個(80%)のEDLA注射部位が、発現の遅い膨潤/硬化を示したが、僅か9個中5個(56%)のIDLA注射部位および9個中2個(22%)のプラセボ注射部位で、発現の遅い膨潤/効果が示された。膨潤/硬化発現までの平均時間は、全ての処理で類似しており、28.5〜30.1日間であった。プラセボ注射部位における発現の遅い膨潤/硬化の平均持続時間(70.4日間)は、EDLA(35.0日間)およびIDLA(28.1日間)注射部位の平均持続時間の二倍を上回った。膨潤/硬化の持続時間の範囲は、EDLA(7〜64日間)およびIDLA(7〜60日間)の注射部位で同等に幅広いが、プラセボ注射部位でははるかに密接していた(68〜72時間)。膨潤/硬化の最大面積の平均は、全処理において類似していた。
【0754】
結論
大半の有害事象は部位特異的であり、この製剤では予期されていた。大半が軽度で、介入することなく寛解した。全身有害事象が比較的ないことは、血漿中の最小ブピバカイン濃度により特徴づけられる安全なプロファイルを示唆した。6ヵ月後の経過観察時に全身有害事象は全くなく、6ヵ月後の経過観察時の有害事象は重篤または重度ではなかった。
【0755】
注射部位の54%で、本試験が基本的に評価するように設計された、発現の遅い膨潤/効果が出現した。これらの中の8箇所が、EDLAを投与され、5箇所がIDLAを投与され、2箇所がプラセボを投与された。遅い膨潤/硬化発現までの平均時間は、3つの処理で類似し、膨潤/硬化の最大平均面積も同様であった。
【0756】
両側の発現の遅い膨潤/硬化を示す5名の被験者を生検し、10個の生検を得た。5個の生検は、EDLA、3つのIDLAおよび2つのプラセボを投与された注射部位からのものであった。全ての生検が顕著な組織反応を示したが、IDLA生検が最も多く示し、プラセボ生検が最も少なかった。生検評価の第二部で生検対を再統合し、比較評価した。EDLA/IDLA生検を比較評価する場合、IDLA投与部位の生検をより顕著な組織および全体反応を有するとして選択することが多かった。EDLA/プラセボ生検を評価する場合、EDLA投与部位の生検を選択することが最も多かった。EDLA処理により、最も発現の遅い膨潤/硬化が生じたが、IDLAを投与された被験者の生検では、最も多くの組織反応が示され、プラセボを投与された被験者のかなりの割合で発現の遅い膨潤/硬化が出現した。
【0757】
実施例J
微小透析試験
DURAIN(登録商標)(40K EDLA(持続時間の延長された局所麻酔薬とも称する))を、浸潤により小さな神経末端を遮断することにより、および末梢投与により選択した末梢神経を遮断することにより、急性の術後/手法による疼痛の管理のための長時間作用局所麻酔薬を提供する手段として調査中である。
【0758】
製品は、アミドクラスの局所麻酔薬であるブピバカイン遊離塩基と、ブピバカインの作用持続時間を延長できることが観察されたために、DURAIN(登録商標)に単独で含まれる合成副腎皮質ステロイドであるデキサメタゾンを配合している。2つの活性成分が、65:35の比のポリ乳酸とグリコール酸のポリマー(分子量=40kD)からなる僅かに有孔性の殻に封入されている。以前に研究した製剤である120K EDLAは、分子量120kDのポリマーを使用している点で、DURAN(登録商標)とは異なっていた。ブピバカイン(遊離塩基)は、全マイクロカプセル質量の約72%を含み、デキサメタゾンは0.04%を含む。デキサメタゾンを含まない、ブピバカイン負荷マイクロスフェアは、40K IDLAと称する(中程度の持続時間の局所麻酔薬)。どちらの製品でも、無菌で、成分を負荷したマイクロカプセルは、貯蔵および発送のために乾燥粉末へと成形されている。特殊な希釈水に懸濁すると、注射に適した微細な懸濁液を形成する。
【0759】
DURAIN(登録商標)の投与後、活性成分は、最終的に注射部位で生分解可能であるマイクロカプセルから緩徐に拡散する。効果の発現(30〜60分以内)は、水性形態の局所麻酔薬で観察されたものよりかなり遅く、一方、効果の持続時間はかなり長い(5日間まで)。より発現が遅く、より持続時間が長く、(目的の)ブロック密度が低いことから、DURAIN(登録商標)は麻酔よりも鎮痛に適している。
【0760】
局所感覚検査を用いて、皮下組織と、血漿中のブピバカイン濃度およびデキサメタゾン濃度の相関を決定するための、40K EDLAおよびブピバカイン水の皮下投与の評価に、微小透析法が使用された。40K EDLA由来のブピバカインおよびデキサメタゾンの局所組織濃度と局所感覚応答の間の関係を研究するための、微小透析技術の利用可能性を決定するために、この試験を使用した。さらに、局所組織濃度と血漿中薬物濃度の間の関係も調べた。試験によりまた、時間に対する40K EDLAマイクロスフェア配置をモニタリングするための、非侵襲的MRI法の利用可能性も調査した。試験によりまた、局所血流に対する40K EDLAの効果を評価するために、レーザードップラーの利用可能性も探索した。局所麻酔薬は一般に、皮膚血管拡張を引き起こす。レーザードップラーによる皮膚血流速度の測定は、40K EDLAの効果持続時間の目安として評価された。
【0761】
2部構成の試験を、1つの実施施設で行なった。第1部は、組織中および血漿中ブピバカイン/デキサメタゾン濃度と局所感覚応答の間の関係を評価するために行なった、正常で健康な若い成人男性および女性の被験者における、非盲検、無作為化、並行群間比較法であった。各4名の被験者からなる3つの群を、以下の3つの処理の1つの皮下浸潤を投与されるように無作為に割り当てた:15mL 40K EDLA2.5%を片側の左の腓腹に投与;15mL 40K EDLA2.5%を両側の両方の腓腹に投与;または15mLブピバカイン水0.5%を両側の両方の腓腹に投与。血漿中および局所組織中の薬物濃度を評価し、感覚検査を、注射日に特定の間隔で、さらに3日間毎日実施した。MRIスキャニングを使用して滞留時間およびマイクロスフェアに対する局所組織応答を評価し、レーザードップラー評価を使用して、特定の時点における局所血流量を評価した。MRIスキャニングは、40K EDLA2.5%の投与を無作為に割り当てられた被験者にのみ実施した。試験第1部の中核時間(1日後〜4日後)は、第2部の開始前に完了した。
【0762】
第2部は、40K EDLAの用量(容量および濃度)と感覚応答の間の関係を探索するための、二重盲検(被験者/評価者)、無作為化、並行群間試験であった。各6名の被験者からなる2つの群は、7.5mL 40K EDLA2.5%を右腓腹に、15mL 40K EDLA2.5%を左の腓腹に、または、15mL 40K EDLA1.25%を右の腓腹に、15mLの40K EDLA2.5%を左の腓腹に投与された。4人の別の被験者は、両方の腓腹に、ブピバカイン水0.25%を両側投与されるように無作為に割付された。この部の被験者は、第1部と同じ時点で、類似の評価を受けた。組織中および血漿中薬物濃度は、第1部と同様に測定する予定であった。
【0763】
被験者は、4日間、薬力学変数、薬物動態変数、薬物動態−薬力学的変数、および安全性変数について評価された。安全性の追跡評価が、注射の2週間後(±2日間)、6週間後(±2週間)、3ヵ月後および6ヵ月後に実施された。薬力学変数には、感覚検査(ピン刺し検査、体感検査、温検出閾値、および熱疼痛検出閾値)、レーザードップラー評価を使用しての皮膚血流量評価、およびMRI評価が含まれていた。一次薬物動態変数には、AUCt(投薬開始から最後の定量可能な濃度までの、血漿中または組織中濃度時間経過プロファイル下の面積)、AUC∞(投薬開始から無限大の、血漿中または組織中濃度時間経過プロファイル下の面積)、Cmax(観察された最大の血漿中または組織中濃度)が含まれていた。薬物動態−薬力学変数には、皮下組織中および血漿中ブピバカイン濃度と、局所感覚応答の間の相関が含まれていた。安全性変数には、臨床検査、既往歴、生命徴候、理学的検査、心電図および有害事象が含まれていた。試験法は、図J−1に要約する。
【0764】
試験第1部には、3つの異なる処理群が存在した:片側15mLの40K EDLA2.5%による第一の処理群は、40K EDLAの投与によるブピバカインおよびデキサメタゾンの局所組織中および血漿中濃度の間の関係を決定するだけでなく、血漿中ブピバカイン濃度と感覚検査の関係、および組織中ブピバカイン濃度と感覚検査の関係を決定するためにも選択した。
【0765】
両側15mLの40K EDLA2.5%による第二の処理群は、全身暴露における用量比例性を確立するために、第一の処理の薬物動態プロファイルと比較するために選択された。さらに、微小透析用プローブを植え込みした腓腹を使用して、40K EDLAの局所組織濃度と感覚検査の間の関係を決定した。微小透析用プローブを植え込みした腓腹の感覚検査の結果は、プローブの存在が感覚検査に影響を及ぼすかどうかを決定するために、透析プローブを有さない反対の腓腹から得た結果と比較する予定であった。
【0766】
両側15mLのブピバカイン水0.5%による第三の処理群の合理性は、両側15mLの40K EDLA2.5%と類似していた。微小透析用プローブを植え込みした腓腹を使用して、ブピバカインの局所組織濃度と感覚検査の間の関係を決定した。微小透析用プローブを植え込みした腓腹の感覚検査の結果は、プローブの存在が感覚検査に影響を及ぼすかどうかを決定するために、透析プローブを有さない反対の腓腹から得た結果と比較する予定であった。
【0767】
第1部の全3つの処理群では、レーザードップラーを使用して、局所血流の変化を評価し、試験薬の効果持続時間を評価した。さらに、第1部の全3つの処理群は、微小透析用プローブを植え込みした部位における、ブピバカインの局所放出に対する、局所pH変化の効果を調べるために、評価する予定であった。MRIを使用して、40K EDLA2.5%を注射した部位のみでの、時間に対するマイクロスフェアの滞留時間および配置を評価した。
【0768】
第2部には、3つの異なる処理群が存在した:右腓腹に7.5mLの40K EDLA2.5%、左腓腹に15mLの40K EDLA2.5%による第一の処理群が、局所組織ブピバカイン暴露および感覚検査に対する、40K EDLAの容量および用量の効果(濃度を一定に維持しながら)を調べるために選択された。
【0769】
右腓腹に15mLの40K EDLA1.25%、左腓腹に15mLの40K EDLA2.5%による第二処理群が、局所組織ブピバカイン暴露および感覚検査に対する、40K EDLAの用量および濃度の効果(濃度を一定に維持しながら)を調べるために選択された。この処理群の15mL40K EDLA1.25%処理はまた、40K EDLAの濃度および容量の効果(濃度を一定に維持しながら)を調べるために、第一処理群の7.5mL40K EDLA2.5%と比較する予定であった。
【0770】
両側に15mLのブピバカイン水0.25%による第三の処理群が、第2部の他の2つの処理群の血漿中濃度および局所血流評価と比較するための対照として選択された。
【0771】
第2部の全3つの処理群では:血漿中濃度は、各々の両側の処理組合せのために決定する予定であり;局所血流は、各部位においてレーザードップラーにより評価する予定であった。
【0772】
試験で投与した処理を、以下の表J−1に示す。
【表77】
Figure 2004521111
【0773】
試験に使用した調査薬を、以下の表J−2に列挙する:
【表78】
Figure 2004521111
【0774】
40K EDLAおよび希釈剤は、PPLPのために、プルデュー・フレデリック社によりラベルを貼った容器で供給された。40K EDLAは、1バイアルあたり100mgの非盲検医薬を含む10mLバイアルで供給され、−5℃(23°F)で貯蔵された。希釈剤は、非盲検医薬の30mLバイアルで供給され、制御された室温で貯蔵された。AB(ブピバカイン水)は、アボット製薬会社製を購入した。
【0775】
来診および手順の計画を以下の表J−3に示す。
【表79】
Figure 2004521111
【0776】
薬物動態/薬力学の評価
薬物濃度測定
血漿中濃度
血漿中ブピバカイン濃度およびデキサメタゾン濃度を決定するための血液試料を、投薬直前(0時間);注射の0.5、1、3、6、12、24、48、72、および96時間後に2つの各試験期間中に入手した。各時点で、約4mLの静脈血液をEDTA含有チューブに入れた。
【0777】
組織濃度
組織中ブピバカインおよびデキサメタゾン濃度を、微小透析技術により決定した。微小透析用プローブを、中央下の腓腹上の注射部位に植え込んだ(膝と足首の間の中ほど)。注射は、約6cm×6cm平方の皮下組織の領域に行なった(図J−2に示したように)。A点およびB点の皮膚を、最初に、他に何も含まない0.5%リドカイン(計1mL)で麻酔した。その後、2インチで18ゲージの静注用カテーテルおよび針を、A点の皮膚を通し、皮下組織を通して約5cmの距離を進め、その後C点の皮膚で出した。その後、針を取り外し、静注用カテーテル先端を皮膚から2〜3mm突出した。特別注文のループ微小透析用プローブ(20mm「窓」、分子量排除6000ダルトン、10mcL/分で灌流している微小透析液で20分間準備)を、この遠位先端を通して挿入し、最終的に皮下組織の距離C−Dの距離に及んだ。微小透析プローブを10分間で平衡にし、(さらに10分間かけて基線試料を得た)後、初回の試験薬総容量の40%(処理に応じて6mLまたは3mL)を、扇を広げたように(4回通す)B点から注入した。第二の医薬40%を、同一の様式でA点(前記カテーテルの入口に近い)から注入した。最後の20%の試験薬(3mLまたは1.5mL)を、静注用カテーテルを通して注入すると、C点からD点へと引き出され、その後、完全に除去された。これは、微小透析プローブが、この最後の20%の注射液の中心に完全に存在ことを確実にするためであった。全量の試験薬の注入に要した時間は約5分間であった。透析液の回収は、最初の3時間は連続的であった(10mcL/分)−20分間のサンプリング期間(9つの試料、各200mcL)。この3時間の期間の後、微小透析プローブの接続を切り、キャップをした。各々のその後の試料回収前に、プローブのキャップを外し、再接続し、10分間透析溶液(10mcL/分)で10分間流した。その後、20分間の回収を、注射の5時間50分後、11時間50分後、23時間50分後に行なった。透析回収の中間時点が、感覚検査および採血に対応するように、回収を47、72および96時間後にも繰り返した。全ての局所組織透析試料のpHを、試験実施施設の実験室で測定した(実施施設は約50mcLを保持する予定であった)。残りの透析液を、薬物濃度の決定に使用した。
【0778】
薬物動態測定基準
以下の薬物動態測定基準は、血漿中濃度対時間データおよび組織濃度対時間データに由来するものであった。
一次:
・AUCt(ng/mL・h):時間=0から最後の定量可能な濃度までの、血漿中濃度−時間経過プロファイル下の面積
・AUC∞(ng/mL・h):時間=0から無限大までの、血漿中濃度−時間経過プロファイル下の面積
・Cmax(ng/mL):濃度−時間経過プロファイルから直接採用した、観察された最大の血漿中/組織中濃度
二次:
・tmax(h):投薬開始から観察された最大濃度までの時間
・t1/2(h):見かけの終末半減期
・MRT(h):平均滞留時間、すなわち、任意の特定の分子が生体内に存在する推定平均時間。
【0779】
薬力学目安
感覚検査
評価の計画:感覚検査は、基線、注射の30分後、1、3、6、12、24、48、72および96時間後に行なう予定であった。感覚検査には、以下が含まれていた。
・ピン刺し検査:評価者は、注射部位にピンを刺すことにより、感覚遮断度を評価した。痛烈な感じを生じるに十分な圧力(痛烈な感じを生じるに必要な圧力は、非処理領域で検査することにより決定した)を使用して、歯科用針の尖っていない末端を使用して、皮膚を軽く叩くことにより評価した。該領域を、針で3回刺し、被験者は、何回のピン刺しを感じたかを質問された。被験者が、ピン刺しを感じたと答えれば、被験者に、3回のピン刺しの中で何回痛烈と感じ、何回接触または圧力と感じたかを質問した。各検査領域のブロックの密度を決定し、元の文書に記録し、以下のようにCRFに文書化した:
0=被験者はピン刺しを全く感じなかった。
1=被験者は、2回または3回(3回中)のピン刺しを接触または圧力と感じた。
2=被験者は、2回または3回(3回中)のピン刺しを痛烈と感じた。
【0780】
2回しかピン刺しを感じず、1回は接触または圧力と感じ、もう1回は痛烈と感じた場合、あるいは、1回のピン刺ししか感じなかった場合、レベル1=接触または圧力を割り当てた。
【0781】
・温熱閾値:温検出閾値(WDT)および熱疼痛検出閾値(HPDT)を決定するための温熱刺激は、30℃から始めて、50℃のカットオフ限界まで1.5℃/秒の率で上昇する、特別注文のサーモード−サーモカップルを用いて実施した。被験者は、温感が検出された場合(WDT)、および再度疼痛感が感じられた場合(HPDT)にもボタンを押すように指示された。これらの数値を記録し、サーモードを基線温度に戻した。限界50℃に到達しても被験者が疼痛を指摘しなかった場合、サーモードは自動的に基線に戻った。50℃まで温感または疼痛を知覚しなかった被験者は、51℃とランク付けた。各閾値は、3回の判定(各判定は10秒間隔で行なった)の中央値として計算した。
・体感検査:体感評価は、注射領域をアルコール綿棒で触れることにより実施した。被験者は「この綿棒を皮膚に触れた時に、温度変化を感じたかどうか教えてください」と依頼された(綿棒を、腓腹の異なる部分にあて、知覚基線値を決定した)。被験者は、変化が知覚された場合には「はい」と答え、あるいは、変化が知覚されなかった場合には「いいえ」と答える予定であった。応答は0(被験者は温度変化を感じなかった)または1(被験者は温度変化を感じた)としてスコアを付けた。
【0782】
皮膚血流
評価計画:皮膚血流量を、基線、注射の30分後、1、3、6、12、24、48、72および96時間後に測定する予定であった。
【0783】
全注射部位、および左腓腹上から8cmの近傍にある対照部位における皮膚血流速度を、レーザードップラーフロープローブを使用して基線で検査した。注射部位での流速は、下記の式を使用して、対照部位での流れの変化について修正した:
血流速度の変化率=([S−S]/S)−[(C−C)/C])×100
ここでSは、注射部位の血流速度×注射後の分(m)であり、Sは、注射部位での血流速度基線値であり、Cは、対照部位での血流速度×注射後の分(m)であり、Cは、対照部位での血流速度基線値である。
【0784】
薬物動態/薬力学の評価
血漿中ブピバカイン濃度と感覚検査の関係は、時間に対する血漿中ブピバカイン濃度変化と感覚検査結果を直接比較することにより、第1部の片側15mLの40K EDLA2.5%処理について調べた。
【0785】
ブピバカインの局所組織濃度と感覚検査の間の関係を、時間に対するブピバカイン組織濃度変化と感覚検査結果を直接比較することにより、第2部の全処理間で調べた。第1部の組織データは、この分析には使用しなかった(9.8.2章参照)。
【0786】
MRI評価
評価計画:MRIスキャニングは、基線(試験薬の注射7日前以内)、注射の3および96時間後(±2日間)2(±2日間)週間後、6(±2週間)週間後で行なう予定であった。第1部では、40K EDLAを投与するように無作為割付された被験者のみがMRI評価を受けた。
【0787】
標準的なMRIシーケンスパラメータを使用して、可視化を行なった:
・マイクロスフェア:注射領域における密度シグナルおよび分布
・注射液/浮腫:密度シグナル。
【0788】
被験者の配置
表J−4は、処理群別に、処理に無作為割付された28名の被験者の配置を要約する。
【表80】
Figure 2004521111
【0789】
被験者の配置を、図J−3に示す。
【0790】
分析するデータセット
治療意図(ITT(Intent−to−Treat))個体群には、試験薬に無作為割付され、少なくとも1用量の試験薬を投与された全28名の被験者が含まれていた。
【0791】
薬物動態評価可能な個体群、効力評価可能な個体群、並びに効力および薬物動態評価可能な個体群は全て同じであり、プロトコール侵害のために、効力評価可能な個体群から完全に除外された被験者を差し引いたITT個体群が含まれていた。
【0792】
ITT個体群は、安全性評価の可能な個体群に使用した。
【0793】
各個体群に含まれる被験者の数を表J−5に提示する。
【表81】
Figure 2004521111
【0794】
暴露の程度
表J−6は、投与した試験薬の濃度および容量に基づいた、各処理群のブピバカインおよびデキサメタゾンの絶対用量を列挙する。
【表82】
Figure 2004521111
【0795】
血漿中濃度データ:第1部
表J−7は、第1部の全ての処理群の、時間に対する血漿中ブピバカインおよびデキサメタゾン平均濃度を示す。
【表83】
Figure 2004521111
【0796】
血漿中濃度データ:第2部
表J−8は、第2部の全処理群の、時間に対する血漿中ブピバカインおよびデキサメタゾン平均濃度を示す。
【表84】
Figure 2004521111
【0797】
血漿中薬物動態測定基準:第1部および第2部
表J−9(A)は、第1部の血漿中ブピバカインおよびデキサメタゾン濃度の薬物動態測定基準を示す。表J−9(B)は、第2部の血漿中ブピバカインおよびデキサメタゾン濃度の薬物動態測定基準を示す。
【表85】
Figure 2004521111
【0798】
試験第1部(表J−9(A))では、両側15mL AB0.5%処理により、比較的低いtmax平均値(0.81時間)を特徴とする、全身循環へのブピバカインの急速な分布が示された。対照的に、片側および両側の15mLの40K EDLA2.5%処理により、全身循環へのブピバカインの緩徐な分布が示された(tmax平均値=それぞれ59.4および58.9時間)。デキサメタゾンのtmax平均値はブピバカインよりも低く、片側および両側40K EDLA処理群間で類似していた(片側では22.5時間、両側では19.9時間)。AB処理のt1/2平均値およびMRTより、片側および両側40K EDLA処理の両方のt1/2平均値およびMRTの方がより長かった。
【0799】
漸増用量の40K EDLAで処理した後に、血漿中ブピバカイン濃度の用量比例性を決定するために、片側および両側15mLの40K EDLA2.5%処理のCmaxおよびAUCtを比較した。両側15mLの40K EDLA2.5%処理の血漿中Cmax平均値(287.8ng/mL)は、片側処理のCmax(162.0ng/mL)の2倍より僅かに低かった。同様に、両側15mLの40K EDLA2.5%処理で達成されたAUCt平均値(19220.4ng/mg・h)は、片側処理(9744.2ng/mL・h)の2倍より僅かに低かった。デキサメタゾン濃度は類似した用量比例関係を示した。両側15mLの40K EDLA2.5%処理から生じたCmax(0.45ng/mL)は、片側処理(0.28ng/mL)の2倍より僅かに低かった。同様に、両側15mLの40K EDLA2.5%処理で達成されたAUCt平均値(14.4ng/mL・h)は、片側処理(8.5ng/mL)の2倍より僅かに低かった。
【0800】
40K EDLA処理被験者におけるブピバカイン全用量はより多いにも関わらず、片側および両側15mLの40K EDLA2.5%処理の両方のCmaxは、両側AB処理(Cmax=443.5ng/mL)より低かった(片側40K ELDA=270.0mgブピバカイン、両側40K EDLA=540.0mgブピバカイン、両側AB=150.0mgブピバカイン)。
【表86】
Figure 2004521111
【0801】
試験第2部では、1つの40K EDLA処理群は、7.5mLの40K EDLA2.5%+15mLの40K EDLA2.5%を投与され、他方の群は、15mLの40K EDLA1.25%+15mLの40K EDLA2.5%を投与された。両方の処理が、同じ全用量のブピバカインを送達したが、Cmax、AUCtおよびtmaxの平均値は、15mLの40K EDLA1.25%+15mLの40K EDLA2.5%処理よりも僅かに高かった。しかし、これらのパラメータの変動は幾分大きいものである。デキサメタゾンの絶対用量も、これらの2つの処理で同じであったが、Cmax、AUCtおよびtmaxの平均値も、15mL 40K EDLA1.25%+15mLの40K EDLA2.5%処理より僅かに高かった。第1部のように、AB処理(75.0mgのブピバカイン)よりも、40K EDLA処理(405.0mgのブピバカイン)のブピバカイン全用量の方が多いにも関わらず、40K EDLA処理のCmax平均値(153.1および170.8ng/mL)は、ABのCmax(201.8ng/mL)よりも低かった。
【0802】
試験第1部のように、第2部のABでの処理により、7.5mLの40K EDLA2.5%+15mLの40K EDLA2.5%(tmax=31.3時間)または15mLの40K EDLA1.25%+15mLの40K EDLA2.5%(tmax=42.3時間)に比べて、血漿中へのブピバカインの分布は急速であった(tmax=0.71時間)。さらに、40K EDLA処理のMRT平均値は、AB処理のほぼ2倍であった(40K EDLAでは41.2および45.1時間に対して、ABでは20.5時間)。デキサメタゾンの平均MRT(21.7および20.7時間)は、40K EDLA処理によるブピバカイン(41.2および45.1時間)のほぼ半分であった。
【0803】
組織中ブピバカインおよびデキサメタゾン
組織中濃度データ:第1部
試験第1部では、ブピバカインの組織濃度は、使用したアッセイ条件下で測定するにはあまりにも高すぎる場合が多く;それ故、第1部には組織中ブピバカイン濃度または薬物動態測定基準の要約的な統計はない。
【0804】
組織中濃度データ:第2部
第2部の選択された時点におけるブピバカインおよびデキサメタゾン濃度を、表J−10(A)(ブピバカイン)およびJ−10(B)(デキサメタゾン)に提示する。
【表87】
Figure 2004521111
【表88】
Figure 2004521111
【0805】
組織薬物動態測定基準:第2部
表J−11(A)およびJ−11(B)は、それぞれ、試験第2部の組織中ブピバカインおよびデキサメタゾン濃度の薬物動態測定基準を示す。
【表89】
Figure 2004521111
【表90】
Figure 2004521111
【0806】
ブピバカインの局所濃度の測定における微小透析法の信頼性は、同一用量の40K EDLAを使用して、異なる部位で得られたブピバカインの組織薬物動態測定基準の類似性を決定することにより評価した。2つの15mLの40K EDLA2.5%処理では、得られた組織Cmax平均値(58472.7対54719.2ng/mL)およびAUCt(3756938.8対3526532.3ng/mL・h)は類似しており、微小透析法は、2つの異なる部位に40K EDLAとして送達された類似用量のブピバカイン投与後の、類似ピークおよびブピバカインへの全組織暴露を確実に検出できる。15mL AB0.25%で処理した2つの部位では、得られた組織Cmax(28919.8対24810.8ng/mL)およびAUCt(100563.5対137506.0ng/mL・h)も類似しており、これは、この方法が、同様にABとして送達された組織中ブピバカインを検出するのにも信頼できることを示す。
【0807】
40K EDLA用量と組織中ブピバカイン濃度の間の関係が、種々の用量の40K EDLAを送達した異なる部位で得られたブピバカインの組織薬物動態測定基準を比較することにより調べられた(表11.2.1.2.3A)。
【0808】
15mLのEDLA2.5%処理は、7.5mLの40K EDLA2.5%処理の2倍の用量のブピバカインを送達するが、15mLの40K EDLA2.5%処理に関するアッセイにより測定した平均Cmaxは、同じ被験者において、7.5mLの40K EDLA2.5%処理の2倍ではなかった(それぞれ46710.3対58472.7ng/mL)。同様に、同じ被験者の2つの処理の平均AUCt(それぞれ2688330.3対3756938.8ng/mL・h)は、2つの処理の間の全暴露の2倍を反映しなかった。注射容量は2つの処理間で異なっていたので、この差異が組織部位に送達されたブピバカインの全用量に影響を及ぼしたと考えられる。
【0809】
しかし、一方は2倍用量のブピバカインを送達するが、類似の注射容量(15mLの40K EDLA1.25%対15mL40K EDLA2.5%)を使用するような、同被験者における2つの処理の比較によっても、ブピバカインのCmaxまたはAUCtの平均値の倍化は示されない。15mLの40K EDLA1.25%処理により、Cmax41082.2ng/mLおよびAUCt2294113.0ng/mL・hが得られ、一方、15mLの40K EDLA2.5%処理により、Cmax54719.2ng/mLおよびAUCt3526532ng/mL・hが得られる。
【0810】
それ故、40K EDLAとして送達されたブピバカインの組織CmaxおよびAUCtは、用量を注射容量の増加によりまたは濃度の増加により増加するかどうかに関係なく、現在の試料サイズで検査した2つの用量における用量比例性は示されないと思われる。より高用量では、より高い組織ブピバカインCmaxおよびAUCtが得られるが、用量を2倍にしても、これらの終点は正確に二倍にならない。
【0811】
ブピバカインの組織tmax平均値は、3つの40K EDLA処理間で、大まかには類似しており、投与濃度は2.5%(31.6、33.7、および32.8時間)であり、1.25%濃度で投与した40K EDLAのtmax平均値は、ほぼ半分であった(15.0時間)。これは、tmaxが投与した40K EDLA濃度に依存していることを示唆し;7.5mLの40K EDLA2.5%および15mLの40K EDLA1.25%処理では、40K EDLAの全用量は同一であるにも関わらず、これが生じた。AB処理の組織tmax平均値(0.5および1.9時間)は、あらゆるEDLA処理よりもはるかに短かった。
【0812】
ブピバカインの組織t1/2平均値は、変動が大きかったが、2つの15mLの40K EDLA2.5%処理(32.6および25.0時間)の方が、7.5mLの40K EDLA2.5%処理(46.3時間)および15mLの40K EDLA1.25%処理(49.1時間)に比べて、僅かに短かった。ABとして送達されたブピバカインのt1/2平均値(34.0および36.4時間)は、40K ELDAとして送達されたブピバカインのt1/2と幾分の類似性を示した。
【0813】
ブピバカインの組織MRT平均値は、種々の40K EDLA処理間で大まかに均一であり(42.4、41.7、39.1および41.0時間)、AB処理よりも一貫して長かった(14.6および14.2時間)。
【0814】
デキサメタゾンの局所濃度測定における微小透析法の信頼性もまた、同一用量の40K EDLAを使用して、異なる部位で得られたデキサメタゾンの組織薬物動態測定基準の類似性を決定することにより評価された。2つの15mLのEDLA2.5%処理では、得られた組織Cmax平均値(91.5ng/mL対97.3ng/mL)およびAUCt平均値(2495.8対2723.6ng/mL・h)は、大まかに類似しており、微小透析法が、2つの異なる部位に40K EDLAとして送達した類似用量のデキサメタゾン投与後に、類似ピークおよび全デキサメタゾン暴露量を確実に検出できることを示す。
【0815】
40K EDLAの用量と組織中デキサメタゾン濃度の間の関係を、異なる用量の40K EDLAを送達した異なる部位で得られたデキサメタゾンの組織薬物動態測定基準を比較することにより調べた。15mLの40K EDLA2.5%処理では、7.5mLの40K EDLA2.5%の2倍の用量のデキサメタゾンが送達されるが、15mLの40K EDLA2.5%処理に関するアッセイにより測定したCmaxは、大きな変動はあったが、7.5mLの40K EDLA2.5%処理の2倍未満であった(58.4対91.5ng/mL)。同様に、2つの処理のAUCt(1831.2対2495.8ng/mL・h)は、2つの処理間での全暴露量の倍化は反映されず、これはおそらく変動が大きいことに起因するものである。注射容量は2つの処理の間で異なっているので、この差異は組織に送達されるデキサメタゾンの全用量に影響を及ぼし得るようである。
【0816】
一方は、2倍の用量のデキサメタゾンを送達するが、同じ注射容量を送達する(15mLの40K EDLA1.25%対15mLの40K EDLA2.5%)ような2つの処理の比較でも、デキサメタゾンのCmaxの倍化は示されないが(62.2対97.3ng/mL)、2つの処理間のAUCは大まかに二倍である(1396.5対2723.6ng/mL・h)。ここでも、変動が大きいこと、および試料サイズが比較的少ないことが、用量比例がない一因となる場合がある。
【0817】
それ故、ブピバカインと同様に、デキサメタゾンの組織CmaxおよびAUCtは、用量を注射容量の増加によりまたは濃度の増加により増加するかに関係なく、検査した2つの用量における許容可能な用量比例を示さない。より高用量では、より高い組織ブピバカインCmaxおよびAUCtが得られるが、用量の倍化により一貫して、これらの測定基準が倍化するわけではない。
【0818】
デキサメタゾンのtmaxは、7.5mLの40K EDLA2.5%処理の平均値(24.0時間)を大きく歪める95.2時間の数値を除いて、40K EDLA処理間でかなり一貫している(9.1、7.4、9.5時間)。t1/2は、40K EDLA処理間で幾分より一貫しており(20.8、21.4、26.9、19.0時間)、これはMRTも同様であった(31.7、28.3、25.2、26.9時間)。
【0819】
薬力学結果
薬動力学結果の分析は、効力の評価可能な個体群からのデータを使用して実施された。
【0820】
時間に対する感覚検査結果:第1部
表J−12(A)、J−12(B)、J−12(C)、およびJ−12(D)は、それぞれ、ピン刺し検査、体感検査、WDT検査およびHPDT検査における、第1部の、時間に対する感覚検査結果を示す。
【表91】
Figure 2004521111
【表92】
Figure 2004521111
【表93】
Figure 2004521111
【表94】
Figure 2004521111
【0821】
時間に対する感覚検査結果:第2部
表J−13(A)、J−13(B)、J−13(C)およびJ−13(D)は、それぞれピン刺し検査、体感検査、WDT検査およびHPDT検査における、第2部の時間に対する感覚検査結果を示す。
【表95】
Figure 2004521111
【表96】
Figure 2004521111
【表97】
Figure 2004521111
【表98】
Figure 2004521111
【0822】
薬物動態−薬力学の関係
血漿中薬物動態−薬力学の関係
血漿中ブピバカイン濃度と感覚検査の間の関係を、第1部で、片側15mLの40K EDLA2.5%処理について調べた。ピン刺し検査では、鎮痛(スコア≦1.0)は、最初に、注射の3時間後に観察され、最後は注射の96時間後に観察された。片側15mLの40K EDLA2.5%処理後の血漿中ブピバカイン濃度は、1時間から6時間の観察の間に減少しており、それ故、鎮痛の発現と相関していなかった。同様に、体感検査結果は、血漿中ブピバカイン濃度が減少している間、1、3および6時間後の観察では一貫して0であった(0=なし、温度変化は知覚されなかった)。温検出閾値は、全ての注射後時点間で、基線からほぼ最大近くまで増加しているようであり、血漿中ブピバカイン濃度の変化と共に変化しなかった。熱疼痛検出閾値は、3および6時間後の観察時には僅かに減少したが、血漿中ブピバカイン濃度が上昇している間、24時間後の時点およびそれ以後でも減少した。それ故、局所感覚検査は、15mLの40K EDLA2.5%の投与後の血漿中ブピバカイン濃度とは関連していないようである。
【0823】
血漿中ブピバカイン濃度と感覚検査の間の関係はまた、第1部の両側AB0.5%処理について調べられた。両側AB0.5%処理後の血漿中ブピバカイン濃度は、注射30分後までに急速に増加し、その後、注射後96時間かけて次第に減少した。全ての感覚検査間の結果は、血漿中ブピバカイン濃度を反映した、大まかに類似したパターンを示し、最大またはほぼ最大の作用が注射30分後で、注射後96時間かけて作用が次第に減少した。
【0824】
組織薬物動態−薬力学の関係
組織ブピバカイン濃度および感覚検査の間の関係を、第2部の各処理について調べた。一般に、40K EDLA処理間でブピバカイン組織濃度は、時間と共に11時間50分または23時間50分の時点まで最大値まで増加し、その後、次第に時間と共に減少した。ピン刺し検査では、スコア平均値は、一般に時間をかけて最小値まで減少し、その6時間後から48時間後に再び増加した。体感検査では、スコア平均値は6時間後より前では最小値まで減少し、一般に96時間後の時点までほぼ最小値に留まった。WDTおよびHPDT検査では、最大作用は、一般に最大ブピバカイン濃度の時間窓に対応していた(注射の12〜24時間後)。それ故、ピン刺し、WDTおよびHPDT検査では、40K EDLA処理後の組織中ブピバカイン濃度は、時間的に感覚作用に大まかに対応しているようであるが、将来の研究では、これを決定的に実証する必要があるだろう。一般に、AB処理間では、ブピバカイン組織濃度は、注射1時間後に最大であり、その後、次第に注射後96時間かけて減少した。全感覚検査間の結果により、組織中ブピバカイン濃度に対する大まかに類似したパターンが示され、注射の30分後に最大または最大に近い作用が生じ、注射後96時間かけて作用が次第に減少した。
【0825】
時間に対する局所血流量変化
レーザードップラーにより評価した局所血流に対する、種々の容量および濃度の40K EDLAの効果を評価するために、血流速度に対する変化率に関する記述統計を、各時点で、各部位について計算し、局所血流量を第1部および第2部の各処理について評価した。第1部では、表J−14(A)およびJ−14(B)は、それぞれ40K EDLAおよびABでの、時間に対する、局所血流速度の変化率を示す。第2部では、表J−14(C)およびJ−14(D)は、それぞれ40K EDLAおよびABに関する時間に対する局所流速の変化率を示す。
【表99】
Figure 2004521111
【表100】
Figure 2004521111
【表101】
Figure 2004521111
【表102】
Figure 2004521111
【0826】
血流速度は、注射30分後に、40K EDLA群間で、基線の約85〜235%まで増加した。血流速度の増加はまた、30分後にABでも見られた(基線の17〜142%)。40K EDLAおよびABの両方における30分後の時点の後に、血流速度は、基線から、一貫性なく変化した。血流速度の差は、投与した40K EDLAの濃度または容量には関連していないようであった。
【0827】
効力および/または薬理的考察および結論
・両側AB0.5%での処理により、片側(59.4時間)または両側(58.9時間)の40K EDLA2.5%処理に比べて、急速にブピバカインが全身循環中に分布した(tmax=0.81時間)。血漿中ブピバカインへのピークおよび全暴露量は、片側40K EDLA2.5%処理に比べて、両側40K EDLA2.5%処理では約2倍であり;デキサメタゾンへのピークおよび全暴露量により、類似した用量比例的関係が示された。全処理間で、40K EDLAとしての血漿中ブピバカインのCmaxは、40K EDLA処理被験者のブピバカイン全用量はより多いにも関わらず、ABより一貫して低かった。
【0828】
・微小透析法により、同じ用量の40K EDLAで処理した2つの異なる部位、および、同じ用量のABで処理した2つの異なる部位における、ブピバカインの類似ピークおよび全組織暴露量が測定され;これは、デキサメタゾンについても同様であった。40K EDLAとしてのブピバカインのピークおよび全暴露量は、用量の増加と共に増加したが、用量を、容量の増加によりまたは濃度の増加により増加させたかどうかに関係なく、送達用量を倍化しても、ピークおよび全暴露量は2倍未満であり;これは、デキサメタゾンでも同様であった。
【0829】
・局所感覚検査は、片側15mLの40K EDLA2.5%処理における、血漿中ブピバカイン濃度とは関係ないようであったが、局所感覚検査結果は、両側15mLのAB0.5%処理における血漿中ブピバカイン濃度と大まかに相関していたようであった。局所感覚検査結果は、40K EDLAまたはABとして送達したブピバカインの局所組織濃度と大まかに相関しているようであった。
【0830】
・局所血流速度は、40K EDLAおよびAB処理の両方で、注射30分後に増加したが、その後の時点では処理により一貫性なく変化した。
【0831】
・現在の条件下におけるMRI検査は、40K EDLAの将来の研究において有用性は限定されていると結論づけられた。
【0832】
安全性評価
安全性分析は、試験薬を投与された全被験者に実施した。全体的に、計28名の被験者が含まれた。表J−15(A)は、処理別の局所有害事象の発生率を示す。表J−15(B)は、処理別の全身性有害事象の発生率を示す。
【表103】
Figure 2004521111
【0833】
局所有害事象は、各処理において、特定の注射部位の75〜100%で起こった。3つの最も一般的な局所有害事象は斑状出血、注射部位、および知覚減退であった。
【0834】
斑状出血が、第1部の3つの15mLの40K EDLA2.5%処理間で、12個中3個(25%)の特定の注射部位で起こり;第1部の2つの15mLのAB0.5%処理間で、8個中8個(100%)の特定の注射部位で起こった。第2部では、斑状出血が、7.5mLの40K EDLA2.5%処理では6個中4個(67%)の特定の注射部位で起こり、15mLの40K EDLA1.25%処理では6個中4個(67%)の特定の注射部位で起こった。斑状出血は、2つの15mLの40K EDLA2.5%処理間で、12個中9個(75%)の特定の注射部位で起こった。斑状出血は、2つの15mLのAB0.25%処理間で8個中2個(25%)の特定の注射部位で起こった。
【0835】
注射部位反応は、第1部で、3つの15mLの40K EDLA2.5%処理間で、12個中6個(50%)の特定の注射部位で起こったが、15mLのAB0.5%を注射した部位では起こらなかった(8個中0個の部位)。第2部では、注射部位反応は、7.5mLの40K EDLA2.5%では6個中2個(33%)の注射部位で起こり、15mLの1.25%40K EDLAでは6個中4個(67%)の注射部位で起こった。注射部位反応は、第2部で、2つの15mLの40K EDLA2.5%処理間で、12個中5個(42%)の特定の注射部位で起こった。注射部位反応は、第2部で、2つの15mLのAB0.25%処理間で、8個中2個(25%)の特定の注射部位で起こった。
【0836】
第1部では、知覚減退は、3つの15mLの40K EDLA2.5%処理間で、12個中4個(33%)の特定の注射部位で起こり;15mLのAB0.5%処理では起こらなかった(8個中0個)。第2部では、知覚減退が、2つの15mLの40K EDLA2.5%処理間で、12個中3個(25%)の特定の注射部位で起こった。知覚減退は、15mLの40K EDLA1.25%処理では6個中2個(33%)の注射部位で起こったが、7.5mLの40K EDLA2.5%処理では起こらなかった。知覚減退は、2つの15mLのAB0.25%処理間で8個中1個(13%)の特定の注射部位で起こった。
【表104】
Figure 2004521111
【0837】
第1部の片側15mLの40K EDLA2.5%処理は、全身性有害事象の最も高い発生率を伴った(4名中3名[75%]の被験者)。少なくとも1つの全身性有害事象を有する被験者の出現率は、他の処理間で17〜33%であった。
【0838】
最も一般的な全身性有害事象は、咽頭炎およびめまいであった。咽頭炎は、片側15mLの40K EDLA2.5%を投与された4名中1名(25%)の被験者、15mLの40K EDLA1.25%+15mLの40K EDLA2.5%を投与された6名中1名(17%)の被験者、および両側15mLのAB0.2%を投与された4名中1名(25%)の被験者に起こった。咽頭炎は、両側15mLの40K EDLA2.5%(4名中0名の被験者)、両側AB0.5%(4名中0名の被験者)、または7.5mLの40K EDLA2.5%+15mLの40K EDLA2.5%(6名中0名)を投与された被験者には起こらなかった。
【0839】
めまいは、7.5mLの40K EDLA2.5%+15mLの40K EDLA2.5%処理の6名中1名(17%)の被験者、および、15mLの40K EDLA1.25%+15mLの40K EDLA2.5%処理の6名中1名(17%)の被験者に起こった。めまいは、片側(4名中0名の被験者)または両側(4名中0名の被験者)の15mLの40K EDLA2.5%で処理した被験者には起こらず、ABの両方の濃度の両側注射で処理した被験者にも起こらなかった(8名中0名の被験者)。
【0840】
死亡または重篤な有害事象はなかった。中止に至るような有害事象はなかった。
【0841】
有害事象データを調べて、局所皮下組織反応(すなわち、注射部位反応、注射部位浮腫、および注射部位塊)および局所神経効果(すなわち、知覚減退、知覚過敏、知覚異常、および注射部位疼痛)を評価した。
【0842】
報告された局所皮下組織反応には、注射部位反応および注射部位塊が含まれていた。注射部位反応は、15mLの40K EDLA2.5%で処理した24個中11個(46%)の注射部位、AB0.5%で処理した8個中0個の注射部位、7.5mLの40K EDLA2.5%で処理した6個中2個(33%)の注射部位、15mLの40K EDLA1.25%で処理した6個中4個(67%)の注射部位、および15mLのAB0.25%で処理した8個中2個(25%)の注射部位で起こった。注射部位塊は、15mLの40K EDLA2.5%で処理した24個中2個(8%)の注射部位で起こったが、他の全ての処理では起こらなかった。
【0843】
局所神経効果には、知覚減退および注射部位疼痛が含まれていた。知覚減退は、15mLの40K EDLA2.5%で処理した24個中7個(29%)で、15mLのAB0.5%で処理した8個中0個の注射部位で、7.5mLの40K EDLA2.5%で処理した6個中0個の注射部位で、15mLの40K EDLA1.25%で処理した6個中2個(33%)の注射部位で、および15mLのAB0.25%で処理した8個中1個(13%)の注射部位で起こった。注射部位疼痛は、15mLの40K EDLA2.5%処理でのみ起こった(24個中1個[4%]の注射部位)。
【0844】
個々の被験者の変化:基線からのシフト
臨床検査値の大半は、検診時および注射96時間後には正常であった。臨床パラメータの、基線における正常値または高値から、終点における低値への変化、基線における正常値または低値から終点における高値へのシフトを、表J−16に提示する。
【表105】
Figure 2004521111
【0845】
シフト分析により、血液または臨床化学パラメータの臨床的に懸念されるシフトはないことが判明した。低値から高値または高値から低値へとシフトした被験者はいなかった。
【0846】
最も一般的な正常値から低値へのシフトはCOで起こった。COは、15mLのAB0.5%を両側投与された4名中1名(25%)の被験者、7.5mLの40K EDLA2.5%+15mLの40K EDLA2.5%を投与された6名中2名(33%)の被験者、15mLの40K EDLA1.25%+15mLの40K EDLA2.5%を投与された4名中1名(25%)の被験者で正常値から低値へとシフトしていた。COのシフトがなかったのは、15mLの40K EDLA2.5%を片側投与された被験者(4名中0名の被験者)、15mLの40K EDLA2.5%を両側投与された被験者(4名中0名の被験者、または15mLのAB0.5%を両側投与された被験者(4名中0名の被験者)においてであった。
【0847】
最も一般的な正常値から高値へのシフトは、塩化物で起こった。塩化物が正常値から高値へとシフトしたのは、15mLの40K EDLA2.5%を片側投与された4名中1名(25%)の被験者、7.5mLの40K EDLA2.5%+15mLの40K EDLA2.5%を投与された6名中2名(33%)の被験者、および15mLの40K EDLA1.25%+15mLの40K EDLA2.5%を投与された6名中1名(17%)の被験者においてであった。塩化物のシフトがなかったのは、15mLの40K EDLA2.5%(4名中0名の被験者)を両側投与、15mLのAB0.5%(4名中0名の被験者)を両側投与、または15mLのAB0.25%(4名中0名の被験者)を両側投与された被験者においてであった。
【0848】
肝機能検査の特殊分析
SGOTまたはSGPTの肝機能検査値が正常値の上限の3倍より高いことは、臨床的に重要と考えられた。検診と最後の来診の間に、正常値から正常値の上限の3倍より高くまで変化した肝機能検査値を示した被験者はいなかった。1名の被験者は、検診(136U/L)および注射96時間後(124U/L)の両方で、正常値の上限(35U/L)の3倍を超えるSGPTを示した。
【0849】
臨床的に顕著な臨床検査値異常
表J−17は、被験者およびパラメータ別の、臨床的に顕著な臨床検査値の異常を列挙する。
【表106】
Figure 2004521111
【0850】
1名の被験者(15mLのAB0.5%で両側処理)は、試験終了時に、臨床的に顕著に高いトリグリセリドレベルを示したが、この被験者のトリグリセリドレベルは、検診時には測定しなかった。第二の被験者(7.5mLの40K EDLA2.5%+15mLの40K EDLA2.5%で処理)も、試験終了時に、臨床的に顕著に高いトリグリセリドレベルを示した。第三の被験者(15mLの40K EDLA2.5%で両側処理)および第四の被験者(15mLの40K EDLA1.25%+15mLの40K EDLA2.5%で処理)は、試験終了時に、臨床的に顕著な低いヘマトクリット値を示した。第五の被験者(7.5mLの40K EDLA2.5%+15mLの40K EDLA2.5%で処理)は、試験終了時に、臨床的に顕著な低いCO値を示した。
【0851】
時間に対する要約的統計:生命徴候
表J−18は、基線および注射96時間後における、収縮期血圧、拡張期血圧、心拍数、呼吸数、および体温の要約的統計を提示する。
【表107】
Figure 2004521111
【0852】
検診から最後の来診(注射96時間後)までの以下の変化が、統計学的に有意であった(p<0.05):15mLのAB0.5%の両側処理における橈骨動脈拍動の減少、並びに、15mLの40K EDLA2.5%片側処理、15mLの40K EDLA2.5%両側処理、および15mLのAB0.25%両側処理における体温の低下。基線から最後の来診までの生命徴候結果の変化平均値はいずれも、臨床的に意義があるとは判断されなかった。
【0853】
臨床的に顕著な生命徴候の異常
表J−19は、臨床的に顕著な生命徴候の異常を、被験者およびパラメータ別に、該生命徴候およびパラメータの試験中の、全ての他の数値およびパラメータ、および選択した時点における他の関連した生命徴候パラメータと共に列挙する。
【表108】
Figure 2004521111
【0854】
被験者213番の拡張期血圧は薬物注射後に減少した。この被験者の拡張期血圧は、注射前は65であり、注射30分後に46であり、注射1時間後に43であり、注射3時間後に41であり、注射6時間後に47であり、注射12時間後に43であった。この被験者の拡張期血圧はまた、注射48および72時間後に臨床的に顕著に低下したが、注射96時間後には正常範囲に戻った。この被験者の他の生命徴候はいずれも臨床的に顕著に異常ではなかった。被験者107番は、注射1時間後に心拍数が低下した(49bpm)。この被験者の心拍数は、注射3時間後に正常範囲に戻り、その後も正常範囲に留まった。この被験者には、その他の臨床的に顕著な生命徴候の異常はなかった。
【0855】
被験者106番は、注射24時間後に、10回呼吸/分で呼吸数が臨床的に顕著に低かった。この被験者には、その他の臨床的に顕著な生命徴候の異常はなかった。検診後の呼吸数の数値が、臨床的に顕著な範囲の境界上にあったのは21名の被験者であった。これらの中で10名の被験者が、12回呼吸/分という呼吸数値であり、11名が、20回呼吸/分という呼吸数値であった。これらの数値はいずれかの1つの処理により一貫してもたらされるわけではなく、正常範囲の上限および下限の間に均一に分布しているので、試験薬投与の作用を反映していないようである。
【0856】
理学的検査所見および既往歴
試験終了時の異常な理学的検査所見が大半の被験者(28名中22名)に見られ、通常、皮膚および四肢に関連していた。大半が、試験薬の注射に対する局所反応を伴っているようであった。既往歴所見は注目すべきものではなかった。
【0857】
安全性の考察および結論
・死亡あるいはその他の重篤または重大な有害事象はなかった。
【0858】
・局所有害事象は、各処理において、独特な注射部位の75〜100%で起こった。3つの最も一般的な局所有害事象は、斑状出血、注射部位反応、および知覚減退であった。これらの事象は、40K EDLAおよびAB処理の両方で起こった。
【0859】
・15mLの40K EDLA2.5%の片側処理では、全身性有害事象の発生率が最も高かった(4名中3名[75%]の被験者)。最も一般的な全身性有害事象は、咽頭炎およびめまいであった。咽頭炎は、40K EDLAおよびAB処理の両方で生じるが、一方、めまいは、40K EDLAでは生じるが、AB処理では生じなかった。
【0860】
・検診から最後の来診までのシフト分析により、臨床検査パラメータに臨床的に懸念されるシフトはないことが判明した。臨床的に顕著な臨床検査値または生命徴候の異常はいずれも、重篤または重大な有害事象と判断されなかった。
【0861】
・検診の既往歴および理学的検査時、および、試験終了時のECG評価は、注目すべきものではなかった。
【0862】
微小透析の全体的な結論
この浸潤モデルでは、40K EDLAとして送達されたブピバカインのピークおよび血漿中全暴露量は、用量にほぼ比例した。ブピバカインの局所組織濃度を調べるために使用した微量透析法は、信頼性があるようであった。ブピバカインの局所組織濃度は、局所感覚検査に相関していないと思われた。全体的に、40K EDLAの皮下浸潤は十分な耐容性を示した。
【0863】
試験第1部:
ブピバカイン水
−ブピバカイン水は、急速に全身循環中に分布する。
−組織におけるブピバカインへのピーク暴露量は、例えば、血漿中の約40倍である。
【0864】
EDLA
−EDLA由来のブピバカインは、緩徐に全身循環中へ分布する。
−組織におけるブピバカインへのピーク暴露量は、例えば、血漿中の約200倍である。
−組織におけるデキサメタゾンへのピーク暴露量は、例えば、血漿中の約300倍である。
【0865】
試験第2部
EDLA
−EDLA由来のブピバカインは、緩徐に全身循環中へ分布する。
−1.25%EDLA15ml(405mgブピバカイン)由来の組織におけるブピバカインへのピーク暴露は、2.5%EDLA7.5ml(405mgブピバカイン)と類似している。
−組織におけるブピバカインへのピークおよび全暴露量は、用量の増加と共に増加する。全暴露量の増加は、比例しない。しかし、ピーク暴露量は比例的に増加する。
−局所的にもまたは全身的にも、ブピバカインおよびデキサメタゾンへのピークまたは全暴露量に対する、容量/濃度の見かけの効果はなかった。
【0866】
インビボ試験における全体的な安全性の結論
1回の注射に、一般的に認識され推奨されているブピバカイン水の最大用量は、エピネフリン(1:200,000)(マーカイン(登録商標)PI)と同時投与した場合、225mgである。推奨されるブピバカインの最大用量を確立する基本は、中枢神経系(CNS)および心血管系の毒性の危険性を最小限にすることである。文献において、血漿中のブピバカイン濃度の絶対毒性閾値に関して、一般的な合意がなされていないが、ブピバカイン毒性は、2〜4μg/mLを超える濃度で最も多く報告されている。ブピバカイン濃度は全身毒性の重要な決定因子のようであるが、特定の血液レベルが達成される速さは、局所麻酔剤の毒性プロファイルにも影響を及ぼす場合がある。
【0867】
最大の標識した1回量225mgを十分に超えるブピバカイン水の用量を、数日間にわたり、術後疼痛のために、留置用カテーテルにより慣用的に投与する。適切に配置された場合、これらのカテーテルにより、通常、安全かつ効果的な鎮痛が得られる。EDLAは、注射部位での無傷マイクロスフェアからの緩徐で局所的な拡散によりブピバカインを所望の神経エレメントに放出することによる、従来の連続的な局所麻酔薬の注入を模倣した、ポリマー性徐放性製剤である。
【0868】
血漿中局所麻酔薬濃度は、注射部位の関数としてかなり変動する。肋間神経研究において、EDLAおよびIDLAを、肋間神経の近傍に注入した。この区画は、微小透析研究(腓腹での浸潤)に使用したものより、より血管が多いことが知られ、一般に、局所麻酔薬水を投与した場合に最大Cmaxおよび最も早いTmaxを伴う区画として認められている。例えば、肋間神経ブロックは、局所浸潤後に見られる血漿中局所麻酔薬最大濃度の3倍より高い濃度を生じることが示されている。
【0869】
浸潤によるEDLA処理被験者(腓腹に540mgのブピバカイン)の血漿中ブピバカイン最大値Cmaxは、0.493μg/mL(Tmax=72時間)であった。同様に、観察された血漿中ブピバカイン濃度は、局所麻酔薬をより迅速に全身循環中に取り込むことが知られる、肋間投与について調べた。この場合、このモデルのEDLA処理被験者(216mgのブピバカイン)で観察された血漿中ブピバカインCmax最大値は、0.323μg/mL(Tmax=24時間)であった。同じ研究で、IDLA処理被験者(108mg)で観察された血漿中ブピバカイン最大値Cmaxは、0.259μg/mL(Tmax=24時間)であった。EDLAおよびIDLAを表在橈骨神経近傍に投与した後(各場合共に27mgのブピバカイン)、このモデルのEDLA処理被験者で観察された血漿中ブピバカイン最大値Cmaxは、0.262μg/mL(Tmax=72時間)であり、一方、IDLA処理被験者のそれは、0.151μg/mL(Tmax=24時間)に達した。これらの全ての研究において、ブピバカインのCmaxは、毒性閾値より十分に低かった。
【図面の簡単な説明】
【0870】
【図1】図1は、種々の実施例のインビトロでの放出を示したグラフである。
【図2】図2は、種々の実施例におけるインビボでの効力(ラットにおいてホットプレートモデルを使用して評価した平均潜伏時間およびレスポンダーの比率)を示したグラフである。
【図3】図3は、実施例2bの平均放出プロファイルを示したグラフである。
【図4】図A1は、40K EDLAおよび120K EDLAを投与した後に観察された、時間に対する、機械的疼痛検出閾値の平均値のグラフである。
【図5】図A2は、1.25%40K EDLAおよび1.25%40K IDLAにおける、時間に対する、機械的疼痛検出閾値の平均値グラフである。
【図6】図A3は、40K EDLAおよび120K EDLAを投与した後に観察された、時間に対する、閾値上機械的疼痛応答平均値(VRS)スコアのグラフである。
【図7】図A4は、1.25%40K EDLAおよび1.25%40K IDLAにおける、時間に対する、閾値上機械的疼痛応答平均値(VRS)スコアのグラフである。
【図8】図A5は、40K EDLAおよび120K EDLAを投与した後に観察された、時間に対する、機械的接触検出閾値の平均値のグラフである。
【図9】図A6は、1.25%40K EDLAおよび1.25%40K IDLAにおける、時間に対する、機械的接触検出閾値のグラフである。
【図10】図A7は、40K EDLAおよび120K EDLAにおける、時間に対する、閾値上熱疼痛応答検査平均値(VRSスコア)のグラフである。
【図11】図A8は、1.25%40K EDLAおよび1.25%40K IDLAにおける、時間に対する、閾値上熱疼痛応答検査平均値(VRSスコア)のグラフである。
【図12】図A9は、40K EDLAおよび120K EDLAにおける、時間に対する、平均熱疼痛検出閾値の平均値のグラフである。
【図13】図A10は、1.25%40K EDLAおよび1.25%40K IDLAにおける、時間に対する、熱疼痛検出閾値の平均値のグラフである。
【図14】図A11は、40K EDLAおよび120K EDLAにおける、時間に対する、温検出閾値の平均値のグラフである。
【図15】図A12は、1.25%40K EDLAおよび1.25%40K IDLAにおける、時間に対する、温検出閾値の平均値のグラフである。
【図16】図A13は、40K EDLAおよび120K EDLAの投与後に観察された、時間に対する、冷却検出閾値の平均値のグラフである。
【図17】図C1は、120K EDLA投与後に観察された、時間に対する、ピン刺しに対する平均応答のグラフである。
【図18】図C2は、40K EDLA投与後に観察された、時間に対する、ピン刺しに対する平均応答のグラフである。
【図19】図C3は、2.5%40K EDLAおよび2.5%40K IDLAにおける、時間に対する、ピン刺しに対する平均応答のグラフである。
【図20】図C4は、1.25%120K EDLAおよび120K IDLAにおける、時間に対する、ピン刺しに対する平均応答のグラフである。
【図21】図C5は、5.0%40K EDLAにおける、時間に対する、ピン刺しに対する平均応答のグラフである。
【図22】図C6は、2.5%40K EDLAおよび2.5%40K IDLAにおける、時間に対する、体感検査に対する平均応答のグラフである。
【図23】図C7は、120K EDLA投与後に観察された、時間に対する、知覚麻痺度の平均値のグラフである。
【図24】図C8は、40K EDLA投与後に観察された、時間に対する、知覚麻痺度の平均値のグラフである。
【図25】図C9は、2.5%40K EDLAおよび2.5%40K IDLAにおける、時間に対する、知覚麻痺度の平均値のグラフである。
【図26】図C10は、5.0%40K EDLAにおける、時間に対する、知覚麻痺度の平均値のグラフである。
【図27】図C11は、120K EDLAにおける、時間に対する、血漿中ブピバカイン濃度平均値のグラフである。
【図28】図C12は、40K EDLAにおける、時間に対する、血漿中ブピバカイン濃度平均値のグラフである。
【図29】図C13は、2.5%40K EDLAおよび2.5%40K IDLAにおける、時間に対する、血漿中ブピバカイン濃度平均値のグラフである。
【図30】図C14は、1.25%120K EDLAおよび1.25%120K IDLAにおける、時間に対する、血漿中ブピバカイン濃度平均値のグラフである。
【図31】図C15は、5.0%40K EDLAにおける、時間に対する、血漿中ブピバカイン濃度平均値のグラフである。
【図32】図D1は、ピン刺し検査に使用した、手の甲上の評価領域を示す。
【図33】図D2は、2.5%120K EDLAで処置した被験者の経験した鎮痛度/麻酔度、および、投与後の時間に対する血漿中ブピバカイン濃度を示す。
【図34】図D3は、ブピバカイン水(0.5%AB−D)で処理した被験者の経験した鎮痛度/麻酔度、および、投与後の時間に対する血漿中ブピバカイン濃度を示す。
【図35】図E1は、50日間までの時間に対する、120K EDLAまたはブピバカインのピン刺しスコア平均値を示す。
【図36】図F1は、40K EDLAまたはブピバカイン水で処理した場合の、鎮痛/麻酔を経験した被験者の比率を示す。
【図37】図F2は、40K EDLAまたはブピバカイン水で処理した被験者の経験した鎮痛/麻酔の持続時間の平均値および範囲を示す。
【図38】図F3は、1.25%40K EDLAまたは1.25%40K IDLAで処理した被験者の経験した、時間に対する、鎮痛/麻酔のグラフである。
【図39】図F4は、1.25%40K EDLAまたはブピバカイン水で処理した場合の、時間に対する、温度知覚ブロックを経験している被験者の比率を示す。
【図40】図F5は、40K EDLAまたはブピバカイン水で処理した被験者が経験した、時間に対する、温度知覚ブロックの持続時間の平均値および範囲のグラフである。
【図41】図F6は、1.25%40K EDLAおよび1.25%40K IDLAで処理した被験者の経験した、時間に対する、知覚麻痺スコアのグラフである。
【図42】図F7は、1.25%40K EDLAまたは1.25%40K IDLAで処理した被験者の経験した、時間に対する、ピーク機械的接触検出閾値のグラフである。
【図43】図F8は、1.25%40K EDLAおよび1.25%40K IDLAで処理した被験者における、時間に対する、血漿中平均ブピバカイン濃度平均値のグラフである。
【図44】図G1は、40K EDLAおよび120K EDLAで処理した被験者が経験した鎮痛度/麻酔度のグラフである。
【図45】図G2は、40K EDLAおよび120K EDLAで処理した被験者が経験した、鎮痛/麻酔の発現時間のグラフである。
【図46】図G3は、1.25%40Kおよび1.25%40K IDLAで処理した被験者が経験した鎮痛/麻酔レベル平均値のグラフである。
【図47】図G4は、40K EDLAおよび120K EDLAで処理した被験者が経験した、温度知覚ブロックのレベル平均値のグラフである。
【図48】図G5は、1.25%40K EDLAおよび1.25%40K IDLAで処理した被験者が経験した温度知覚ブロックのグラフである。
【図49】図G6は、40K EDLAおよび120K EDLAで処理した被験者が経験した知覚麻痺度のグラフである。
【図50】図G7は、1.25%40K EDLAおよび1.25%40K IDLAで処理した被験者が経験した知覚麻酔度のグラフである。
【図51】図H1は、40K EDLAまたはプラセボで処理した足手術患者が経験した、最初の疼痛が3より高くなるまでの時間のヒストグラムである。
【図52】図H2は、40K EDLAまたはプラセボで処理した足手術患者による、救出医薬を初めて使用するまでの時間のヒストグラムである。
【図53】図J1は、微小透析研究の第一部および第二部の試験法の要約を示す。
【図54】図J2は、微小透析研究における、皮下組織領域に行なった注射点を示す。
【図55】図J3は、微小透析研究における、被験者の生体内動態を示す。

Claims (93)

  1. ブピバカイン遊離塩基と、遊離カルボン酸末端基を有する乳酸とグリコール酸の65:35DLコポリマーを含む生体適合性で生分解性のポリマーとを含有する、多数の放出制御型マイクロスフェアを含む製剤を、ヒトの部位に投与することを含む、ヒトに局所鎮痛、局所麻酔、または神経遮断をもたらす方法であって、該コポリマーの分子量は約40kDa〜約120kDaであり、該マイクロスフェアは約60重量%〜約85重量%のブピバカイン遊離塩基を含み、該マイクロスフェアは非経口投与用の製薬上許容可能な媒体中に含まれ、該製剤は約2.25mg/ml〜約36.0mg/mlの濃度のブピバカイン遊離塩基を有し、該製剤が投与前には、総量約45mgから約360mgのブピバカイン遊離塩基を含んでおり、その結果、該製剤が投与部位において初回投与後約2時間未満で局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断をもたらし、初回投与後少なくとも約1日間局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断が持続するような方法。
  2. 該製剤がさらに、増強剤を含まない製剤の投与により得られる時間より長い時間、局所麻酔効果を長期化するのに有効な量の増強剤を含み、その結果、局所鎮痛、局所麻酔、または神経遮断が初回投与後少なくとも約2日間持続するような、請求項1の方法。
  3. 局所鎮痛の持続時間が、初回投与後約2日間から約4日間である、請求項1または2の方法。
  4. 局所鎮痛の持続時間が、初回投与後約4日間から約7日間である、請求項1または2の方法。
  5. 投与部位における局所麻酔レベルが、全身血漿中の局所麻酔レベルの少なくとも150倍である、請求項1または2の方法。
  6. 製剤がさらに、約2.5mcg/ml〜約10.0mcg/mlの濃度のデキサメタゾンを含む、請求項1の方法。
  7. マイクロスフェアがさらに、0.04重量%のデキサメタゾンを含む、請求項1の方法。
  8. マイクロスフェアが、約72重量%のブピバカイン塩基を含む、請求項1または2の方法。
  9. マイクロスフェアがさらに、ポリ酸無水物、ポリエステル、ポリオルトエステル、タンパク質および多糖類からなる群より選択されたポリマーを含む、請求項1または2の方法。
  10. 製剤が、100RPM、37℃、pH3.0、900mlの10mMリン酸ナトリウム緩衝液中での、USP IIパドル法により明記されたインビトロ条件下で、以下のような生体適合性で生分解性の担体からの局所麻酔薬のインビトロ溶出をもたらす、請求項1または2の方法。
    Figure 2004521111
  11. 製剤が、100RPM、37℃、pH3.0、900mlの10mMリン酸ナトリウム緩衝液中、USP IIパドル法により明記されたインビトロ条件下で、以下のような生体適合性で生分解性の担体からの局所麻酔薬のインビトロ溶出をもたらす、請求項1または2の方法。
    Figure 2004521111
  12. 製剤が神経周膜に投与される、請求項1または2の方法。
  13. 製剤が皮下投与される、請求項1または2の方法。
  14. 製剤が筋肉内に投与される、請求項1または2の方法。
  15. 製剤が、半数の刺激が疼痛感または不愉快感を生じるフォン・フライ毛の最小号数が、投与の約2時間後から少なくとも約48時間後までは約16〜約18であり、基線検査中央値が約15である、ヒト患者における機械的疼痛検出閾値検査により特徴づけられる効果を提供する、請求項12から14の方法。
  16. 製剤が、ヒト患者により知覚される32℃からの最小の温度上昇の中央値が、以下のような温度:約39.9〜約41.95℃という基線検査中央値に基づき、投与2時間後に約40.5〜約44.05℃;投与4時間後に約40.15〜約44.85℃;投与8時間後に約40.15〜約46.3℃;投与24時間後に約41.7〜約46.35℃;投与48時間後に約41.55℃;投与72時間後に約40.4〜約46.55℃;投与96時間後に約41.1〜約45.7℃であるように、温検出閾値検査により特徴づけられる効果を提供する、請求項12から14の方法。
  17. 製剤が、温度を痛いと知覚することにより特徴づけられる効果を提供し、該温度は製剤の投与前に痛いと知覚される温度より少なくとも3℃高く、少なくとも約1時間後に開始され、少なくとも約2日間持続する、請求項12から14の方法。
  18. ヒト患者が注射領域を5回フォン・フライ毛17号で刺激した時の疼痛を、検査した患者の結果の中央値に基づき、バーバル・ランク尺度0〜10(ただし、0=無痛、10=患者が想像できる最悪の疼痛):基線検査結果中央値が約2であることに基づき、投与2時間後に約1;投与4時間後に約1;投与8時間後に約1;投与24時間後に約0〜約0.5;投与48時間後に約0〜約0.5;投与72時間後に約0〜約1;投与96時間後に約0〜約1;投与144時間後に約1のように特徴づけられる、機械的疼痛応答検査により特徴づけられる効果を製剤が提供する、請求項12から14の方法。
  19. 投与が肋間に行われる、請求項1または2の方法。
  20. 疼痛度を肋間神経により神経支配される領域にピンを刺すことにより評価し、O、1または2により(ただし、Oは被験者がピン刺しを全く感じなかったことを意味し、1は、2回または3回のピン刺しを被験者が接触または圧力と感じたことを意味し、2は、被験者が2回または3回のピン刺しを痛烈と感じたことを意味する)、検査した患者の結果平均値に基づいて、投与1時間後に約1〜約2;投与2時間後に約0.5〜約1.5;投与6時間後に0〜約1;投与24時間後に約0〜約0.75と評価した、ピン刺し疼痛応答検査により特徴づけられる効果を製剤が提供する、請求項19の方法。
  21. ヒト患者が注射部位刺激時の知覚麻痺を、バーバル・ランク尺度0〜10(0=無感覚ではない、10=完全に無感覚)で、検査した患者の結果平均値に基づいて、投与2時間後に約0〜約4;投与6時間後に約0〜約3;投与12時間後に約0〜約2および24時間後に0〜約2と特徴づけた、知覚麻痺応答検査により特徴づけられる効果を製剤が提供する、請求項19の方法。
  22. ブピバカインのCmaxの平均値が、肋間投与した場合に、250ng/mLを超えない、請求項19の方法。
  23. ブピバカインのCmaxの平均値が、肋間投与した場合に、約10〜約20ng/mLである、請求項22の方法。
  24. 投与は単一神経に行ない、局所鎮痛はピン刺し応答検査により測定し、疼痛度は、表在腓骨神経の神経支配する領域をピンで刺すことにより評価し、O、1または2で評価し、ただし、Oは被験者がピン刺しを全く感じなかったことを意味し(麻酔)、1は、被験者が2回または3回のピン刺しを接触または圧力として感じたか、あるいは、1回は接触または圧力として感じ、1回は痛烈と感じたことを意味し(鎮痛)、2は、被験者が2回または3回のピン刺しを痛烈と感じたことを意味する、請求項1または2の方法。
  25. 投与を単一神経に行ない、血漿中ブピバカイン最高濃度が約25ng/mL未満である、請求項1の方法。
  26. 投与を単一神経に行ない、ヒト患者が注射部位刺激時の知覚麻痺を、バーバル・ランク尺度0〜10(0=無感覚ではない、10=完全に無感覚)で、検査した患者の結果平均値に基づいて、投与1時間後に約0〜約5;投与6時間後に約0〜約4;12時間後に約0〜約3および24時間後に0〜約3と特徴づけた、知覚麻痺応答検査により特徴づけられる効果を投与が提供する、請求項1の方法。
  27. 単一神経が表在腓骨神経である、請求項24から26の方法。
  28. 投与が表在橈骨神経に対して行われる、請求項1の方法。
  29. 局所鎮痛はピン刺し応答検査により測定し、その疼痛度が表在橈骨神経の神経支配する領域にピンを刺すことにより評価され、O、1、または2により評価し、ただし、Oは被験者がピン刺しを全く感じなかったことを意味し(麻酔)、1は、被験者が2回または3回のピン刺しを接触または圧力として感じたか、あるいは、1回は接触または圧力と感じ、1回は痛烈と感じたことを意味し(鎮痛)、2は、被験者が2回または3回のピン刺しを痛烈と感じたことを意味する、請求項28の方法。
  30. 血漿中ブピバカイン最高濃度が約100ng/mL未満である、請求項28の方法。
  31. ヒト患者が注射部位刺激時の知覚麻痺を、バーバル・ランク尺度0〜10(0=無感覚ではない、10=完全に無感覚)で、検査した患者の結果平均値に基づいて投与1時間後に約0〜約5;投与6時間後に約0〜約4;投与12時間後に約0〜約3、24時間後に0〜約3のように特徴づけた、知覚麻痺応答検査により特徴づけられる効果を製剤が提供する、請求項28の方法。
  32. ポリマーが約0.25〜約0.42dL/gの粘度を有する、請求項1の方法。
  33. ヒトの投与部位における局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断が初回投与後約2時間未満に生じ、局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断を初回投与後少なくとも約1日間持続させるに有効な、生体適合性で生分解性の担体およびブピバカインもしくは製薬上許容可能なその塩を含む1単位量のマイクロスフェアを、ヒトの部位に投与することを特徴とする、ヒトに局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断をもたらす方法であって、微小透析により測定した該部位の組織中のブピバカインのCmaxの平均値が、約35,000ng/mlから該部位における毒性濃度より低い濃度までであり、該投与部位における局所麻酔レベルは、全身の血漿中へと吸収される該局所麻酔レベルの少なくとも150倍である方法。
  34. 該マイクロスフェアがさらに、前記増強剤を含まない前記製剤の投与により得られる時間より長い時間、ブピバカインの効果を長期化するのに有効な量のデキサメタゾンもしくは製薬上許容可能なその塩を含み、その結果として局所鎮痛、麻酔または神経遮断が、初回投与後少なくとも約2日間持続するような方法であって、微小透析により測定した該部位の組織中のデキサメタゾンのCmaxの平均値が、約45ng/mlから部位における毒性濃度より低い濃度までであり、投与部位における増強剤のレベルが全身の血漿中に吸収された増強剤のレベルの少なくとも250倍である、請求項33の方法。
  35. ヒトに局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断をもたらす方法であって、ヒトの投与部位における局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断が初回投与後約2時間未満に生じ、局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断を初回投与後少なくとも約1日間持続させるに有効な、生体適合性で生分解性の担体およびブピバカインもしくは製薬上許容可能なその塩を含む1単位量のマイクロスフェアを投与することを特徴とし、該部位の組織中のブピバカインのTmaxの平均値が初回投与の約10時間後から約45時間後までの時点に存在する方法。
  36. 該マイクロスフェアがさらに、デキサメタゾンを含まない前記マイクロスフェアの投与により得られる時間より長い時間、ブピバカインの効果を長期化するのに有効な量のデキサメタゾンもしくは製薬上許容可能なその塩を含み、その結果として局所鎮痛、麻酔または神経遮断が初回投与後少なくとも約2日間持続するような方法であって、該部位の組織中のデキサメタゾンのTmaxの平均値が初回投与の約5時間後から約40時間後までの時点に存在する、請求項35の方法。
  37. 微小透析により測定した96時間後の該部位の組織中のブピバカインのAUCtの平均値が約2,000,000ng/mlh〜約4,000,000ng/mlhである、請求項33および35の方法。
  38. 該マイクロスフェアがさらに、デキサメタゾンを含まない前記マイクロスフェアの投与により得られる時間より長い時間、ブピバカインの効果を長期化するのに有効な量のデキサメタゾンもしくは製薬上許容可能なその塩を含み、その結果として局所鎮痛、麻酔または神経遮断が、初回投与後少なくとも約2日間持続するような方法であって、微小透析により測定した96時間後の該部位の組織中のデキサメタゾンのAUCtの平均値が約800ng/mlh〜約3,000ng/mlhである、請求項37の方法。
  39. 血漿中のブピバカインのCmaxの平均値が約250ng/mlより低い、請求項33または34の方法。
  40. 血漿中のデキサメタゾンのCmaxの平均値が約0.50ng/mlより低い、請求項34の方法。
  41. ブピバカインのTmaxの平均値が初回投与の約25時間後から約50時間後までの時点に存在する、請求項35または36の方法。
  42. デキサメタゾンのTmaxの平均値が初回投与の約12時間後から約30時間後までの時点に存在する、請求項35または36の方法。
  43. 血漿中の96時間後のブピバカインのAUCtの平均値が約12,000ng/mlhより低い、請求項33または35の方法。
  44. 血漿中の96時間後のデキサメタゾンのAUCtの平均値が約15ng/mlhより低い、請求項38の方法。
  45. 初回投与3時間後に、ピン刺し疼痛応答検査平均値が1.0未満であることにより特徴づけられる効果を製剤が提供する、請求項33から36の方法。
  46. 初回投与24時間後に、ピン刺し疼痛応答検査平均値が1.0未満であることにより特徴づけられる効果を製剤が提供する、請求項33から36の方法。
  47. 初回投与48時間後に、ピン刺し疼痛応答検査平均値が1.0未満であることにより特徴づけられる効果を製剤が提供する、請求項33から36の方法。
  48. 初回投与72時間後に、ピン刺し疼痛応答検査平均値が1.0未満であることにより特徴づけられる効果を製剤が提供する、請求項33から36の方法。
  49. 初回投与96時間後に、ピン刺し疼痛応答検査平均値が1.0未満であることにより特徴づけられる効果を製剤が提供する、請求項33から36の方法。
  50. 初回投与3時間後に、体感応答検査平均値が0.6未満であることにより特徴づけられる効果を製剤が提供する、請求項33から36の方法。
  51. 初回投与24時間後に、体感応答検査平均値が0.6未満であることにより特徴づけられる効果を製剤が提供する、請求項33から36の方法。
  52. 初回投与48時間後に、体感応答検査平均値が0.6未満であることにより特徴づけられる効果を製剤が提供する、請求項33から36の方法。
  53. 初回投与72時間後に、体感応答検査平均値が0.6未満であることにより特徴づけられる効果を製剤が提供する、請求項33から36の方法。
  54. 初回投与96時間後に、体感応答検査平均値が0.6未満であることにより特徴づけられる効果を製剤が提供する、請求項33から36の方法。
  55. 初回投与3時間後に、温検出閾値結果平均値が基線より少なくとも3℃上回ることにより特徴づけられる効果を製剤が提供する、請求項33から36の方法。
  56. 初回投与24時間後に、温検出閾値結果平均値が基線より少なくとも3℃上回ることにより特徴づけられる効果を製剤が提供する、請求項33から36の方法。
  57. 初回投与48時間後に、温検出閾値結果平均値が基線より少なくとも3℃上回ることにより特徴づけられる効果を製剤が提供する、請求項33から36の方法。
  58. 初回投与72時間後に、温検出閾値結果平均値が基線より少なくとも3℃上回ることにより特徴づけられる効果を製剤が提供する、請求項33から36の方法。
  59. 初回投与96時間後に、温検出閾値結果平均値が基線より少なくとも3℃上回ることにより特徴づけられる効果を製剤が提供する、請求項33から36の方法。
  60. 初回投与3時間後に、温検出閾値結果平均値が基線より少なくとも3℃上回ることにより特徴づけられる効果を製剤が提供する、請求項33から36の方法。
  61. 初回投与24時間後に、熱疼痛検出閾値結果平均値が基線より少なくとも3℃上回ることにより特徴づけられる効果を製剤が提供する、請求項33から36の方法。
  62. 初回投与48時間後に、熱疼痛検出閾値結果平均値が基線より少なくとも3℃上回ることにより特徴づけられる効果を製剤が提供する、請求項33から36の方法。
  63. 初回投与72時間後に、熱疼痛検出閾値結果平均値が基線より少なくとも3℃上回ることにより特徴づけられる効果を製剤が提供する、請求項33から36の方法。
  64. 生体適合性で生分解性の担体が乳酸とグリコール酸のコポリマーである、請求項33から36の方法。
  65. 局所麻酔薬がブピバカイン遊離塩基である、請求項33から36の方法。
  66. 局所麻酔薬がブピバカイン遊離塩基であり、増強剤がデキサメタゾンであり、ポリマーが乳酸とグリコール酸のコポリマーである、請求項33から36の方法。
  67. 担体がポリ酸無水物、ポリエステル、乳酸とグリコール酸のコポリマー、ポリオルトエステル、タンパク質および多糖類からなる群より選択されるポリマーを含む、請求項33から36の方法。
  68. 担体が注射用の製薬上許容可能なベヒクル中に懸濁されている、請求項33から36の方法。
  69. ブピバカイン遊離塩基と、遊離カルボン酸末端基を有する乳酸とグリコール酸の65:35DLコポリマーを含む生体適合性で生分解性のポリマーとを含有する、多数の放出制御型マイクロスフェアを含む製薬的製剤であって、該コポリマーが約40kDa〜約120kDaの分子量を有し、該マイクロスフェアが約60重量%〜約85重量%のブピバカイン遊離塩基を含み、該マイクロスフェアが非経口投与用の製薬上許容可能な媒体中に含まれており、その結果、該製剤が約2.25mg/ml〜約36.0mg/mlの濃度のブピバカイン遊離塩基を有し、投与前に総量約45mgから約360mgのブピバカイン遊離塩基を含む、製薬的製剤。
  70. ブピバカイン遊離塩基と、遊離カルボン酸末端基を有する乳酸とグリコール酸の65:35DLコポリマーを含む生体適合性で生分解性のポリマーとを含有する、多数の放出制御型マイクロスフェアを含んでおり、非経口投与用の製薬上許容可能な媒体で復元すると、ヒトへの非経口投与に適した1単位量の製薬的製剤であって、該コポリマーが約40kDa〜約120kDaの分子量を有し、該マイクロスフェアが約60重量%〜約85重量%のブピバカイン遊離塩基を含み、該マイクロスフェアが投与前に、総量約45mgから約360mgのブピバカイン遊離塩基を含む、1単位量の製薬的製剤。
  71. ポリマーの分子量が約40kDaである、請求項69または70の製剤。
  72. ポリマーの分子量が約120kDaである、請求項69または70の製剤。
  73. ポリマーが約0.25〜約0.42dL/gの粘度を有する、請求項69または70の製剤。
  74. マイクロスフェアが媒体中に、約6.25mg/mlの濃度で存在している、請求項69の製剤。
  75. 該製剤中のブピバカイン遊離塩基濃度が約4.5mg/mlである、請求項69および74の製剤。
  76. マイクロスフェアが媒体中に、約12.5mg/mlの濃度で存在している、請求項69の製剤。
  77. 該製剤中のブピバカイン遊離塩基濃度が約9.0mg/mlである、請求項69および76の製剤。
  78. マイクロスフェアが媒体中に、約25.0mg/mlの濃度で存在している、請求項69の製剤。
  79. 該製剤中のブピバカイン遊離塩基濃度が約18.0mg/mlである、請求項69および78の製剤。
  80. 該製剤中にデキサメタゾンをさらに約2.5mcg/ml〜約10.0mcg/mlの濃度で含む、請求項69の製剤。
  81. ヒトに局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断をもたらす方法であって、ヒトの投与部位における局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断が初回投与後約2時間未満で生じ、局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断持続が初回投与後少なくとも約1日間持続するに有効な、生体適合性で生分解性の担体および局所麻酔薬を含む、1単位量のマイクロスフェアを、ヒトの部位に投与することを特徴とし、微小透析により測定した該部位の組織中の局所麻酔薬のCmaxの平均値が、治療的に35,000ng/mlのブピバカインに等価なCmaxから該部位における毒性濃度より低い濃度までである方法。
  82. 該製剤がさらに、増強剤を含まない該製剤を投与することにより得られる時間より長い時間、局所麻酔薬の効果を長期化するに有効な量の増強剤を含み、その結果として局所麻酔が、初回投与後少なくとも約2日間持続するような方法であって、投与部位における増強剤のレベルが血漿中の増強剤のレベルの少なくとも250倍である、請求項81の方法。
  83. 該マイクロスフェアがさらに、増強剤を含まない該製剤の投与により得られる時間より長い時間、局所麻酔薬の効果を長期化するに有効な量のコルチコステロイドを含み、その結果として局所鎮痛、麻酔、または神経遮断が、初回投与後少なくとも約2日間持続するような方法であって、微小透析により測定した該部位の組織中のコルチコステロイドのCmaxの平均値が、治療的に45ng/mlのデキサメタゾンに等価であるCmaxから該部位における毒性濃度より低い濃度までである、請求項81の方法。
  84. ヒトの部位に局所麻酔薬を投与し、微小透析により、1つ以上の時間区間の、該部位の組織中の該局所麻酔薬の濃度を測定することを特徴とする、投与部位における局所麻酔薬の局所濃度を検出する方法。
  85. ヒトの部位にコルチコステロイドを投与し、微小透析により、1つ以上の時間区間の、該部位の組織中の該局所麻酔薬の濃度を測定することを特徴とする、投与部位におけるコルチコステロイドの局所濃度を検出する方法。
  86. ブピバカイン遊離塩基と、遊離カルボン酸末端基を有する乳酸とグリコール酸の65:35DLコポリマーを含む生体適合性で生分解性ポリマーとを含有する、多数の放出制御型マイクロスフェアを調製することを特徴とする、ヒトにおいて局所鎮痛、局所麻酔、または神経遮断を行なうに適した局所麻酔製剤を調製する方法であって、該コポリマーが約40kDa〜約120kDaの分子量を有し、該マイクロスフェアが約60重量%〜約85重量%のブピバカイン遊離塩基を含み、該マイクロスフェアが非経口投与用の製薬上許容可能な媒体中に含まれており、その結果、該製剤のブピバカイン遊離塩基濃度が約2.25mg/ml〜約36.0mg/mlとなり、該製剤が投与前に、総量約45mg〜約360mgのブピバカイン遊離塩基を含むような方法。
  87. 該マイクロスフェアがマイクロカプセルである、請求項1から68または81から86の方法。
  88. 該マイクロスフェアがマイクロカプセルである、請求項69から80の製剤。
  89. ブピバカイン遊離塩基と、遊離カルボン酸末端基を有する乳酸とグリコール酸の65:35DLコポリマーを含む生体適合性で生分解性ポリマーとを含有する、多数の放出制御型マイクロスフェアを含む製剤を、ヒトの部位に投与することを特徴とする、ヒトに局所鎮痛、局所麻酔、または神経遮断をもたらす方法であって、該コポリマーが約40kDa〜約120kDaの分子量を有し、該マイクロスフェアが約60重量%〜約85重量%のブピバカイン遊離塩基を含み、該マイクロスフェアが投与用の製薬上許容可能な媒体中に含まれ、該製剤のブピバカイン遊離塩基濃度は約2.25mg/ml〜約36.0mg/mlであり、投与前に、総量約45mg〜約360mgのブピバカイン遊離塩基を含んでおり、その結果、該製剤が初回投与後約2時間未満で、投与部位に局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断をもたらし、局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断が初回投与後少なくとも約1日間持続するような方法。
  90. ヒトの投与部位における局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断が初回投与後約2時間未満で生じ、局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断が初回投与後少なくとも1日間持続するに有効な、生体適合性で生分解性の担体およびブピバカインもしくは製薬上許容可能なその塩を含む、1単位量のマイクロスフェアを含む製薬的製剤であって、微小透析により測定した該部位の組織中のブピバカインのCmaxを平均値として、約35,000ng/mlから該部位における毒性濃度より低い濃度まで調製し、投与部位における局所麻酔薬のレベルが全身の血漿中に吸収された該局所麻酔薬のレベルの少なくとも150倍である、製薬的製剤。
  91. 該マイクロスフェアがさらに、増強剤を含まない製剤の投与により得られる時間より長い時間、ブピバカインの効果を長期化するに有効な量のデキサメタゾンもしくは製薬上許容可能なその塩を含み、その結果、局所鎮痛、麻酔、または神経遮断が、初回投与後少なくとも2日間持続する製剤であって、該製剤が微小透析により測定した該部位の組織中のデキサメタゾンのCmaxを平均値として、約45ng/mlから該部位における毒性濃度より低い濃度をもたらし、投与部位における増強剤のレベルが全身の血漿中に吸収された該局所麻酔薬のレベルの少なくとも250倍である、請求項90の記載の方法の製剤。
  92. ヒトの投与部位における局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断が初回投与後約2時間未満に生じ、局所鎮痛、局所麻酔または神経遮断が初回投与後少なくとも約1日間持続するに有効な、生体適合性で生分解性の担体およびブピバカインもしくは製薬上許容可能なその塩を含む1単位量のマイクロスフェアを含む、製薬的製剤であって、該製剤では、該部位の組織中のブピバカインのTmaxの平均値が初回投与の約10時間後から約45時間後までの時点に存在する、製薬的製剤。
  93. 該マイクロスフェアがさらに、デキサメタゾンを含まない製剤の投与により得られる時間より長い時間、ブピバカインの効果を長期化するに有効な量のデキサメタゾンもしくは製薬上許容可能なその塩を含み、その結果、局所鎮痛、麻酔、または神経遮断が、初回投与後少なくとも約2日間持続するような製剤であって、該製剤では該部位の組織中のデキサメタゾンTmaxの平均値が、初回投与の約5時間後〜約40時間後までの時点に存在する、請求項92の製剤。
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