JP2004517841A - オキシラン化合物を調製する方法 - Google Patents

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Abstract

オキシラン化合物を調製する方法であって、工程に:(i)アルキルアリールを酸化してアルキルアリールヒドロペルオキシドを得るステップと、(ii)ステップiで得られたアルキルアリールヒドロペルオキシドの少なくとも一部を触媒の存在下でオレフィンと接触させてオキシラン化合物とアルキルアリールヒドロキシルを得るステップと、(iii)ステップ(ii)の反応生成物からオキシラン化合物を分離するステップと、(iv)オキシラン化合物を分離した反応生成物の少なくとも一部を水素と接触させて、1個より多いアルキル置換基を含むアルキルアリール化合物であるアルキルアリールを得、少なくともその一部をステップ(i)にリサイクルするステップとが含まれる。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、オキシラン化合物を調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロピレンオキシド等のオキシラン化合物を調製する方法は、知られてから久しい。文献US−A−3,350,422には、オレフィン系不飽和化合物、好ましくはプロピレンを、可溶性バナジウム化合物の有効溶解触媒量の存在下で有機ヒドロペルオキシドと反応させるステップを含む方法が記述されている。エポキシ化反応の間にその有機ヒドロペルオキシドは、ほとんど定量的に、対応するアルコールに転化することが記述されている。そのアルコールは、副生物として回収することができ、あるいは、脱水してオレフィンとし、そのオレフィンを水素化しかつ酸化してヒドロペルオキシドにするか、または、水素化分解して炭化水素とし、次いで酸化によってヒドロペルオキシドにすることによりヒドロペルオキシドに再転化することができる。
【0003】
文献NL−C−1010372には、プロペンをエチルベンゼンヒドロペルオキシドと反応させてプロピレンオキシドと1−フェニルエタノールを得るステップを含む方法が記述されている。この1−フェニルエタノールは、その後脱水して、他の化学反応の有用な出発原料であるスチレンを得ている。文献NL−C−1012749には、類似の方法が記述されており、プロペンをクメンヒドロペルオキシドと反応させてプロペンオキシドと2−フェニル−2−プロパノールを得ている。後者は、その後脱水して、工業的応用が可能とされるα−メチルスチレンにすることが記述されている。
【0004】
オキシラン化合物を製造するための従来技術の方法において副生する製品の多くに対して、適当なはけ口を見出すことはしばしばできる。しかしながら、プロピレンオキシド等のオキシラン化合物だけを取り出すことができれば有益であり得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
オキシラン化合物を、余分な化合物を同時に調製することを必要としないで調製することを可能にする方法が今や見出された。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、工程に:
(i)アルキルアリールを酸化してアルキルアリールヒドロペルオキシドを得るステップと、
(ii)ステップ(i)で得られたアルキルアリールヒドロペルオキシドの少なくとも一部を触媒の存在下でオレフィンと接触させてオキシラン化合物とアルキルアリールヒドロキシルを得るステップと、
(iii)ステップ(ii)の反応生成物からオキシラン化合物を分離するステップと、
(iv)オキシラン化合物を分離した反応生成物の少なくとも一部を水素と接触させてアルキルアリールを得、少なくともその一部をステップ(i)にリサイクルするステップとを含み、
この方法では、アルキルアリールが1個より多いアルキル置換基を含むアルキルアリール化合物であるオキシラン化合物を調製する方法に関するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
上記の方法において、1個より多いアルキル置換基を含むアルキルアリール化合物を使用することにより、エチルベンゼンまたはクメンを使用する同様の方法におけるよりもアルキルアリールの量を少なくすることができるようになることが見出された。理論に束縛されることを望まずに述べれば、アルキルアリールのリットルあたり酸化時間あたりのヒドロペルオキシド基の数で測定すると、1個より多いアルキル置換基を含有するアルキルアリール置換基は、1個より多いヒドロペルオキシド基を担うことができるばかりでなく、存在するアルキル置換基をヒドロペルオキシド基により早く転化させることができるものと思われる。
【0008】
本発明による方法で使用するアルキルアリール化合物は、1個より多いアルキル置換基を含むアルキルアリール化合物である。本発明による方法でアルキルアリール化合物の混合物が存在する場合、該アルキルアリール化合物の混合物は、重量平均で1個より多いアルキル置換基を有する必要がある。好ましくは、本発明で使用するアルキルアリール化合物は、1個より多いアルキル置換基を含み、その少なくとも1つは、3〜10個の炭素原子を含む枝分れしたアルキル置換基である。数個の置換基を含有するアルキルアリール化合物には、数個のヒドロペルオキシド基を含有することができるという利点がある。しかしながら、潜在的な副反応を考慮すると、置換基の存在は3個以下であることが好ましい。アルキルアリール化合物またはアルキルアリール化合物の混合物は、好ましくは、重量平均で1.5〜2.5個の置換基を有する。最も好ましくは、アルキルアリール化合物は、約2個のアルキル置換基を含有する。最も好ましくは、アルキルアリール化合物はジ(イソプロピル)ベンゼンである。異なるアルキルアリール化合物の混合物を使用することもできるが、この特定の化合物に対する工程条件を最適化することができるようにするためには単一タイプの化合物の方が好ましい。
【0009】
好ましくは、本発明で使用するアルキルアリールは、適当な触媒の存在下でプロペンをベンゼンと反応させる方法であるクメンの製造方法により調製する。上記の方法は、文献EP−A−361755およびEP−A−371738に記載されている。これらの方法は、通常、副産物としてジイソプロピルベンゼンを含んでいる。通常、粗製の反応生成物は、最初の蒸留カラムに送りそこでベンゼンを分離する。続いて、最初のカラムのボトム生成物を2番目のカラムに送ってそこでクメンを分離し、最後に、2番目のカラムのボトム生成物を3番目の蒸留カラムに送り、そこでジイソプロピルベンゼンを分離する。
【0010】
通常、ジイソプロピルベンゼンは、アルキル交換反応ユニットに送り、そこでアルキル交換反応触媒の存在下でジイソプロピルベンゼンをベンゼンと反応させてクメンを得る。本発明による方法は、好ましくは、プロペンとベンゼンを反応させる工程で調製されたジイソプロピルベンゼンの一部を使用する。
【0011】
アルキルアリールの酸化は、当技術分野で知られているどれか適当な方法で実行することができる。酸化は、希釈剤存在下の液相で行うことができる。この希釈剤は、好ましくは、反応条件の下で液体であり、出発原料および得られた生成物と反応しない化合物である。しかしながら、その希釈剤はまた反応中に必然的に存在する化合物でもあり得る。たとえば、アルキルアリールがジ(イソプロピル)ベンゼンである場合、希釈剤も同様にジ(イソプロピル)ベンゼンであることができる。当分野の技術者には知られているであろうごとく、酸化の途中では水を存在させることができる。水が存在する場合は、水は、若干塩基性の方が好ましい。その水は、好ましくは、7より上から8の間のpHを有する。
【0012】
ステップ(i)で得られた生成物は、ステップ(ii)でそのまま使用することができ、または、いくつかの化合物を分離する方が好ましいこともあり、あるいは、得られた生成物の一部を使用するのみとし他の部分は他の工程で使用する方が好ましいこともあり得る。各アルキル基は、ヒドロペルオキシド基、ヒドロキシル基に転化することができ、または転化しないまま残すことができるので、広範な化合物をステップ(i)の生成物中に存在させることができることは、当分野の技術者であれば認識するであろう。意外なことに、ステップ(i)の生成物をステップ(ii)で使用前に精製する必要はないことが見出された。
【0013】
オルト置換のアルキルアリールを含有する化合物は、本発明による方法で使用するにはあまり好ましくないことがわかっている。オルト置換のアルキルアリールは、一般に反応性が低いことがわかった。好ましくは、本発明の方法のステップ(i)で使用するアルキルアリールの少なくとも80重量%は、メタ置換またはパラ置換のアルキルアリールである。より好ましくは、本発明の方法で使用するアルキルアリールの少なくとも90重量%、より特定すれば、少なくとも95重量%は、メタ置換またはパラ置換のアルキルアリールである。
【0014】
本発明による方法において、低反応性アルキルアリールの蓄積を防止するためには、本発明による方法が、低反応性アルキルアリール化合物の少なくとも一部を除去するさらなるステップを含むことが特に好ましい。好ましくは、上記の方法のステップは、ステップ(i)の生成物の少なくとも一部を蒸留にかけるステップである。ボトム生成物をステップ(ii)で使用することができる。蒸留した生成物は、比較的多量の低反応性アルキルアリールを含有するであろう。この生成物は、上記のアルキル交換ユニットに送ることができる。アルキル交換ユニット中でその生成物は、反応性がより高い化合物を含有する生成物に転化させるか、または、芳香族基に単一のアルキル置換基を含有する化合物に転化させることができる。
【0015】
ステップ(i)で得られたアルキルアリールヒドロペルオキシドは、ステップ(ii)で、オキシラン化合物およびヒドロキシアルキルアリールを得るために、触媒の存在下でオレフィンと接触させる。上記の工程で適切に使用することができる触媒は、シリカおよび/またはケイ酸塩上にチタンを含む。好ましい触媒は、文献EP−B−345856に記載されている。上記の触媒は、固体シリカおよび/または無機シリカライトと化学的に結合しているチタンを含み、その触媒は、a)ケイ素化合物にガス状の四塩化チタンを含浸させるステップと、b)得られたステップa)の反応生成物をか焼するステップと、c)ステップb)の生成物を加水分解するステップとにより得ることができる。反応は、一般に中位の温度および圧力、特に温度は、0〜200℃の範囲内、好ましくは25〜200℃の範囲内で進行する。正確な圧力は、反応混合物を液体状態に維持するのに十分である限り重要ではない。大気圧で十分であるかもしれない。一般に圧力は、1〜100×10N/mの範囲内である。
【0016】
本発明の方法で使用するオレフィンは、調製するオキシラン化合物に依存する。好ましくは、オレフィンは、2〜10個の炭素原子、より好ましくは、2〜8個の炭素原子を含有する。最も好ましくは、オレフィンはプロペンである。
【0017】
エポキシ化反応が終結したら、所望の生成物を含む液体混合物を触媒から分離する。オキシラン化合物は、次に当分野の技術者が適当であると認める何らかの方法で反応生成物から分離する。液体反応生成物は、分別蒸留、選択抽出および/または濾過によって処理することができる。触媒、存在するかもしれない溶媒、未反応のオレフィンまたはアルキルアリールヒドロペルオキシドをさらに利用するためにリサイクルすることができる。
【0018】
方法のステップ(ii)は、移動床または流動床のスラリーの形態をした触媒により行うことができる。しかしながら、大規模な工業用の適用には固定床の方が好ましい。工程は、バッチ方式、半連続式または連続式で行うことができる。反応物を含有する液体は次いで触媒層を通過させればよく、その結果反応域からの溶出液には実質的に触媒がない。
【0019】
続いて、オキシラン化合物を分離したヒドロキシアルキルアリールを含有する反応生成物の少なくとも一部を水素化にかける。使用することができる水素化処理は、100〜330℃、好ましくは140〜330℃、好ましくは180〜330℃、好ましくは180〜320℃の温度、および、0.1〜100×10N/m、より好ましくは0.1〜50×10N/m、最も好ましくは0.1〜30×10N/mの圧力で、反応生成物を水素と接触させるステップを含む。触媒と接触する水素対アルキルアリール水酸化物の比(mol/mol)は、好ましくは少なくとも0.5、より好ましくは少なくとも1.0、最も好ましくは少なくとも1.4である。水素化処理は、水素化触媒の存在下で行う。一般に、水素化触媒は固体の担体上に金属を含有し、その金属が水素化の触媒作用をする。好ましい触媒は、担体上に0.5〜5重量%の金属または金属化合物を含有する触媒である。好ましくは、金属または金属化合物として存在する金属は、the Handbook of Chemistry and Physics,63rd Editionの元素の周期律表の族1b、2b、3a、4a、4b、5b、6b、7b、8から選択される1つまたは複数の金属である。最も好ましくは、金属または金属化合物として存在する金属は、パラジウムである。上記の触媒は、高い転化率を与えられることがわかった。
【0020】
オキシラン化合物を分離したヒドロキシアルキルアリールを含有する反応生成物の少なくとも一部を水素化するために使用する適切な触媒は、米国特許第5,475,159号に記載されている触媒である。これらの触媒は、銅化合物、亜鉛化合物、および、アルミニウム、ジルコニウム、マグネシウム、希土類およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む触媒である。上記の触媒は、比較的低温で好結果を与えることがわかった。本発明のステップ(iv)では、これらの触媒を100〜250℃の温度で使用するのが好ましい。好ましくは、上記触媒は、触媒の全体重量を基準として、酸化物として計算した銅を約10重量パーセントから約80重量パーセント含む。さらに、上記触媒は、好ましくは、触媒の全体重量を基準として、酸化物として計算した亜鉛を約10重量パーセントから約80重量パーセント含有する。好ましい触媒は、触媒の全体重量を基準として、酸化物として計算した銅を約10重量パーセントから約80重量パーセント、触媒の全体重量を基準として、酸化物として計算した亜鉛を約10重量パーセントから約80重量パーセント、および、触媒の全体重量を基準として、酸化物として計算した希土類を約0.1重量パーセントから約20重量パーセントを含有する。さらに好ましい触媒は、触媒の全体重量を基準として、酸化物として計算した銅を約10重量パーセントから約80重量パーセント、触媒の全体重量を基準として、酸化物として計算した亜鉛を約10重量パーセントから約80重量パーセント、および、触媒の全体重量を基準として、アルミニウムを約0.05重量パーセントから約30重量パーセントを含有する。さらに好ましい触媒は、触媒の全体重量を基準として、酸化物として計算した銅を約10重量パーセントから約80重量パーセント、触媒の全体重量を基準として、酸化物として計算した亜鉛を約10重量パーセントから約80重量パーセント、および、触媒の全体重量を基準として、ジルコニウムを約0.05重量パーセントから約30重量パーセントを含有する。別の好ましい触媒は、触媒の全体重量を基準として、酸化物として計算した銅を約10重量パーセントから約80重量パーセント、触媒の全体重量を基準として、酸化物として計算した亜鉛を約10重量パーセントから約80重量パーセント、触媒の全体重量を基準として、ジルコニウムを約0.05重量パーセントから約30重量パーセント、および、触媒の全体重量を基準として、アルミニウムを約0.05重量パーセントから約30重量パーセントを含有する。そしてさらに好ましい触媒は、触媒の全体重量を基準として、酸化物として計算した銅を約10重量パーセントから約80重量パーセント、触媒の全体重量を基準として、酸化物として計算した亜鉛を約10重量パーセントから約80重量パーセント、触媒の全体重量を基準として、マグネシウムを約0.05重量パーセントから約30重量パーセント、および、触媒の全体重量を基準として、酸化物として計算した希土類を約0.1重量パーセントから約20重量パーセントを含有する。
【0021】
水素化の後、水素化した生成物は全部または一部をリサイクルすることができる。水素化した生成物の一部のみをリサイクルする場合、所望の画分は、当分野の技術者が適当と認める何らかの方法で分離することができる。

Claims (6)

  1. (i)アルキルアリールを酸化してアルキルアリールヒドロペルオキシドを得るステップと、
    (ii)ステップ(i)で得られたアルキルアリールヒドロペルオキシドの少なくとも一部を触媒の存在下でオレフィンと接触させて、オキシラン化合物とアルキルアリールヒドロキシルを得るステップと、
    (iii)ステップ(ii)の反応生成物からオキシラン化合物を分離するステップと、
    (iv)オキシラン化合物を分離した反応生成物の少なくとも一部を水素と接触させて、アルキルアリールを得、少なくともその一部をステップ(i)にリサイクルするステップとを含み、
    該アルキルアリールが1個より多いアルキル置換基を含むアルキルアリール化合物である、オキシラン化合物を調製する方法。
  2. アルキルアリール化合物が、アルキル置換基が3〜10個の炭素原子を有する枝分れアルキル置換基であるアルキルベンゼンである請求項1に記載の方法。
  3. アルキルアリール化合物が、約2個のアルキル置換基を含有するアルキルアリール化合物である請求項1または2に記載の方法。
  4. アルキルアリール化合物が、ジ(イソプロピル)ベンゼンである請求項3に記載の方法。
  5. ステップ(ii)で、シリカおよび/またはケイ酸塩上にチタンを含む触媒の存在下、0〜200℃の範囲内の温度、および1〜100×10N/mの範囲内の圧力で、アルキルアリールヒドロペルオキシドとプロペンとを接触させる請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 方法のステップ(iv)における水素化を、180〜330℃の温度、および、0.1〜50×10N/mの圧力で行う請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
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