JP2004516239A - メラニン凝集ホルモン受容体リガンド - Google Patents
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Abstract
Q,X,Y,Z及びR1,R9及びR12−R19が本明細書に定義された式(I)の化合物及び製剤学的に許容できるその塩が開示されている。これらの化合物はMCH1受容体の選択的モジュレーターであり、したがってそれは各種の代謝、摂食及び性的障害の治療に有用である。そのような障害の治療法及び包装された医薬品組成物も開示されている。
Description
【0001】
(発明の背景)
本願は2000年7月6日出願の米国仮出願S.N.60/216,081からの優先権を主張する。
【0002】
(技術分野)
本発明はメラニン凝集ホルモン1型(MCH1)受容体のモジュレーターである1−フェニル−2−アミノメチルシクロプロパン類を包含するフェニルシクロアルキルメチルアミノ及びフェニルアルケニルアミノ誘導体に関する。本発明はまたそのような化合物を含む医薬組成物に関する。
【0003】
(関連する技術の記載)
メラニン凝集ホルモン即ちMCHはヒトを含む多くの脊椎動物の視床下部内で作られる環状の19個のアミノ酸の神経ペプチドである。ラットにおいて、視床下部の側脳室中へのMCHのI.C.V.注入は同様な処置をした対照動物に比べてカロリー消費が増加することが示されている。更にob/ob遺伝子型を有するラットは痩せたob/+遺伝子型のマウスと比較してMCH mRNAの発現の50−80%増加を示す。MCHノックアウトマウスは摂食低下(hypophagia)と代謝速度の増加のためにMCHを産生する同胞よりもやせている。従ってMCHは摂餌行動と体重の重要な調節要因であると考えられる。
【0004】
MCH1受容体は最初にヒトcDNAと遺伝子ライブラリーから得られ、ソマトスタチン受容体との相当な配列の同一性を有する402個のアミノ酸のG−共役蛋白質受容体として特徴づけられた。この受容体はSLC−1受容体と命名された。MCH1受容体のラットのオルソログ(orthologue)がLakaye等(BBA(1998) 1401:216−220)によってラット脳cDNAライブラリーから単離され、7つの膜貫通αヘリックスと3つの共通(コンセンサス)N−グリコシルグリコシル化部位を有する353個のアミノ酸の蛋白質をコードすることが見いだされた。Lakayeが報告したラットのMCH1受容体は5’イントロンが除かれている以外は以前に開示されたヒトのMCH1受容体と相同であった。従ってLakaye等はMCH1受容体のN−末端の「修正」アミノ酸配列が、以前に開示されたMCH1受容体遺伝子を含むヒトクロモソーム22の128kb断片に関し寄託された配列(Genbank受け入れ番号:Z86090)内に見出されると推測した。
【0005】
以前に報告された402個のアミノ酸のMCH1受容体蛋白質はMCHと相互作用しない。従ってLakayeが最初に報告した353個のアミノ酸の受容体が、現在ではヒトMCH1受容体の正確な完全長の配列であると考えられている。
【0006】
ラット脳切片の免疫組織化学の研究によって、MCH1受容体が脳内に広く発現していることが示されている。MCH1受容体の発現は嗅結節、大脳皮質、黒質、海馬の基底前脳CA1,CA2及びCA3野、扁桃、及び視床下部、視床、中脳及び菱脳の核に見られた。強い信号が摂餌行動に関係があることが知られている脳の2つの領域である視床下部の前正中及び背正中核に観察された。
【0007】
HEK293細胞中に発現したMCH1受容体は、MCHに結合すると、細胞内カルシウムの用量依存性放出を媒介する。MCH受容体を発現している細胞もまた、フォルスコリンで上昇したサイクリックAMPの百日咳毒素感受性の用量依存性阻害を行うことが示されており、これは受容体がGi/oG蛋白質のαサブユニットに共役することを示す。
【0008】
MCHは摂食及びエネルギーバランスの重要な調節要因であることが示されているので、MCH1受容体の活性を調節できるリガンドは摂食障害及び代謝障害の治療に非常に望ましい。肥満の治療には、経口投与が可能で、低分子量の、MCH1受容体の非ペプチドアンタゴニストが特に求められる。
【0009】
(発明の概要)
本発明は、小さな分子のMHC受容体リガンド、特にMCH1受容体リガンドである新規化合物、特に1−フェニル−2−アミノメチルシクロプロパン類を含むフェニルシクロアルキルメチルアミノ及びフェニルアルケニルアミノ化合物を提供する。これらの化合物は非ペプチドで、アミノ酸を含まず、MCH受容体で1マイクロモル未満のKiを示す。好ましいMCH1受容体はヒトとサルのMCH受容体を含む哺乳動物の受容体で、クローニングされ、遺伝子組み換えで発現した受容体であっても、又は自然に発現した受容体でもよい。
【0010】
ある実施形態では、これらの化合物は次の性質の1つ以上を有し、また2つ以上、3つ以上又は全部を有することが好ましい:1)多アリール構造(複数の縮合していない又は縮合したアリール基を有する)である。2)in vivoで経口投与できる(致死量以下の又は製剤学的に許容できる経口用量によって食欲の低下等の検出可能なin vivo効果を与えるように)。3)ナノモルの濃度でMCH受容体へのMHCの結合を阻害できる。4)ナノモル以下の濃度でMCH受容体へのMHCの結合を阻害できる。
【0011】
本発明はまた特異的且つ好ましくは高い親和性でMCH受容体に結合する下に示す式Iの新規化合物を提供する。
【0012】
本発明はまた少なくとも1つの製剤学的に許容できる担体とともに、式Iの化合物を含む医薬組成物を提供する。本化合物は特に代謝、摂食及び性的障害の治療に有用である。本発明はさらに本発明の化合物の十分な濃度をもって、そのような治療が必要な患者を治療する方法を含む。好ましい濃度はin vitroでMCHのMCH1受容体への結合を阻害するのに十分な濃度である。本発明はそのような状態を患っているヒト、ペット動物又は食用動物を本発明の化合物の有効量で治療することを意図する。
【0013】
本発明にはそのような治療が必要な患者にレプチン、レプチン受容体アゴニスト又はメラノコルチン受容体4(MC4)アゴニストとともにMCH1受容体モジュレーターを投与することを含む摂食障害、特に肥満と神経性大食症の治療法が含まれる。
【0014】
別の態様においては、本発明は受容体の活性のアッセイに本発明の化合物を陽性対照として使用する方法及び適切に標識された本発明の化合物を組織切片における受容体、特にMCH受容体の位置決定のプローブとして使用する方法を提供する。
【0015】
本発明はMCH1受容体へのMCHの結合の阻害剤として、またMCH媒介情報伝達の阻害剤として有用な化合物及び組成物を提供する(例えばMCH結合及びMCH媒介情報伝達のアッセイの標準物質として使用できる)。本発明はさらにin vivoのMCH受容体、好ましくは視床下部にあるMCH1受容体へのMHCの結合を阻害する方法を含む。
【0016】
従って本発明の広範な実施の形態は式Iの化合物と製剤学的に許容できる塩に向けられている。
式中、Qは下式の基を示し、
式中、AはC1−C3アルキル、C1−C3アルコキシ、ハロゲン、ハロ(C1−C3)アルキル、ハロ(C1−C3)アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、及びモノ若しくはジ(C1−C3)アルキルアミノから独立して選択される置換基で任意によりモノ、ジ又はトリ置換されたC1−C5アルキレンであり;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、及びR8は同じか又は異なり、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルキルチオ、ヒドロキシ、アミノ、モノ若しくはジ(C1−C6)アルキルアミノ、ハロ(C1−C6)アルキル、ハロ(C1−C6)アルコキシ、C1−C6アルカノイル、C1−C6アルコキシカルボニル、−COOH、−SO2NH2、モノ若しくはジアルキルスルホンアミド、−C(O)NH2、又はモノ若しくはジ(C1−C6)アルキルカルボキサミドを示し;
R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19は独立して水素又はC1−C6アルキルを示し;
Wは窒素又はC−Raを示し、Raは水素、ヒドロキシ、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルキル又はシアノであり;
Xはハロゲン、シアノ、ニトロ、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C2−C6アルコキシ、C1−C6アルキルチオ、ヒドロキシ、アミノ、モノ若しくはジ(C1−C6)アルキルアミノ、ハロ(C1−C6)アルキル、ハロ(C1−C6)アルコキシ、C1−C6アルカノイル、C1−C6アルコキシカルボニル、−COOH、−CONH2、モノ若しくはジ(C1−C6)アルキルカルボキサミド、−SO2NH2、モノ若しくはジ(C1−C6)アルキルスルホンアミドを示し;あるいは
Xは水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルキルチオ、ヒドロキシ、アミノ、モノ若しくはジ(C1−C6)アルキルアミノ、ハロ(C1−C6)アルキル、ハロ(C1−C6)アルコキシ、C1−C6アルカノイル、C1−C6アルコキシカルボニル、−COOH、−CONH2、モノ若しくはジ(C1−C6)アルキルカルボキサミド、−SO2NH2、及びモノ若しくはジ(C1−C6)アルキルスルホンアミドからなる群から選ばれる、同じか又は異なる5つまでの置換基で任意により置換されたフェニル基を示し;
Yは酸素、硫黄、−S(O)−又は−SO2−であり;そして、
ZはC1−C6アルキル又はモノ、ジ若しくはトリフルオロメチルである。
【0017】
本発明はまた式Iの化合物を調製するために有用な中間体及び方法を提供する。
【0018】
(発明の詳しい説明)
本発明は特にQが環でAがC1−C2アルキルで任意により置換されるメチレンである式Iの化合物と塩を含む。
【0019】
本発明はまた特にWが窒素又はCHで、Aがメチレンである式Iの化合物及び塩に向けられる。このクラスの好ましい化合物と塩はR10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19が水素であるものである。このクラスの他の好ましい化合物と塩はR10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19が水素であり、Xがハロゲンであり、Yが酸素であり、ZがC1−C6アルキルであるものである。Wが窒素又はCHであり、Aがメチレンであり、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19が水素であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、及びR8が同じか又は異なり、水素、ハロゲン、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシを示し、Xが水素、ハロゲン、又はフェニル、最も好ましくはハロゲンであり、Yが酸素であり、そしてZがC1−C6アルキルである式1の化合物と塩もまた好ましい。
【0020】
本発明によって特に提供されるのは式IIの化合物
と製剤学的に許容できるその塩であり、AがC1−C2アルキルで任意により置換されるメチレンであり、R1−R1 9、W、X、Y、及びZは式Iについて定義した通りである。
【0021】
式IIの好ましい化合物と塩はWが窒素又はCHであるものである。
【0022】
式IIの他の好ましい化合物と塩はWが窒素又はCHであり、R10、R11、R12、R13、R15、R17、R18及びR19が水素であるものである。
【0023】
Wが窒素又はCHであり、R10、R11、R12、R13、R15、R17、R18及びR19が水素であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、及びR8が独立して水素、ハロゲン、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシを示し、R14とR16は同じか又は異なり、水素かメチルのいずれかであり、Xが水素、ハロゲン、又はフェニルであり、Yが酸素であり、さらにZがC1−C6アルキルである式IIの化合物と塩もまた好ましい。
【0024】
特に好ましい式IIの化合物と塩はWが窒素又はCHであり、R1、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19が水素であり、R2、R3、R4及びR5が独立して水素、C1−C2アルキル、C1−C2アルコキシ又はハロゲンであり、Xがハロゲンであり、Yが酸素であり、ZがC1−C6アルキルであるものである。
【0025】
本発明はさらに式III
の化合物と製剤学的に許容できるその塩を提供する。式中、R1−R1 9、W、X、Y、及びZは式Iについて定義した通りである。
【0026】
好ましい式IIIの化合物と塩はR13、R15、R17、R19が水素であり、R10、R11、R12、R14、R16及びR18が独立して水素又はメチル、より好ましくは水素を示すものである。
【0027】
R10−R1 9が水素であり、Wが窒素又はCHである式IIIの化合物と塩も好ましい。
【0028】
より好ましい式IIIの化合物と塩はR10−R1 9が水素であり、Wが窒素又はCHであり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、及びR8が独立して水素、ハロゲン、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシであり、Xが水素又はハロゲンであり、Yが酸素であり、ZがC1−C6アルキルであるものである。
【0029】
特に好ましい式IIIの化合物と塩はR10−R1 9が水素であり、Wが窒素又はCHであり、R1、R2、R3、R4が独立して水素、ハロゲン、C1−C2アルキル又はC1−C2アルコキシを示し、R5、R6、R7、及びR8が水素であり、Xがハロゲンであり、Yが酸素であり、ZがC1−C6アルキルであるものである。
【0030】
本発明の他の実施形態は式IV
の化合物と製剤学的に許容できるその塩に向けられる。R1−R1 9、W、X、Y、及びZは式Iについて定義した通りである。
【0031】
式IVの好ましい化合物と塩はR13、R15、R17、R19が水素であり、R10、R11、R12、R14、R16及びR18が独立して水素又はメチル、好ましくは水素を示すものである。
【0032】
R10−R1 9が水素であり、Wが窒素又はCHである式IVの化合物と塩も好ましい。
【0033】
より好ましい式IVの化合物と塩はR10−R1 9が水素であり、Wが窒素又はCHであり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、及びR8が独立して水素、ハロゲン、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシであり、Xが水素又はハロゲンであり、Yが酸素であり、ZがC1−C6アルキルであるものである。
【0034】
特に好ましい式IVの化合物と塩はR10−R1 9が水素であり、Wが窒素又はCHであり、R1、R2、R3、R4が独立して水素、ハロゲン、C1−C2アルキル又はC1−C2アルコキシであり、R5、R6、R7、及びR8が水素であり、Xがハロゲンであり、Yが酸素であり、ZがC1−C6アルキルであるものである。
【0035】
本発明はまた式V
の化合物と製剤学的に許容できるその塩を提供する。Qは下式の基であり、
式中、AはC1−C3アルキル、C1−C3アルコキシ、ハロゲン、ハロ(C1−C3)アルキル、ハロ(C1−C3)アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、及びモノ若しくはジ(C1−C3)アルキルアミノから独立に選択される置換基で任意によりモノ、ジ又はトリ置換されるC1−C5アルキレンであり;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、及びR8は同じか又は異なり、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルキルチオ、ヒドロキシ、アミノ、モノ若しくはジ(C1−C6)アルキルアミノ、ハロ(C1−C6)アルキル、ハロ(C1−C6)アルコキシ、C1−C6アルカノイル、C1−C6アルコキシカルボニル、−COOH、−SO2NH2、モノ若しくはジアルキルスルホンアミド、−C(O)NH2、又はモノ若しくはジ(C1−C6)アルキルカルボキサミドを示し;
R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19は独立して水素又はC1−C6アルキルを示し;
Wは窒素又はC−Raであり、ここでRaは水素、ヒドロキシ、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルキル又はシアノを示す;
Xはハロゲン、シアノ、ニトロ、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルキルチオ、ヒドロキシ、アミノ、モノ若しくはジ(C1−C6)アルキルアミノ、ハロ(C1−C6)アルキル、ハロ(C1−C6)アルコキシ、C1−C6アルカノイル、C1−C6アルコキシカルボニル、−COOH、−CONH2、モノ又はジ(C1−C6)アルキルカルボキサミド、−SO2NH2、モノ若しくはジ(C1−C6)アルキルスルホンアミドを示し;又は
Xは水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C1−C6アルキニル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルキルチオ、ヒドロキシ、アミノ、モノ若しくはジ(C1−C6)アルキルアミノ、ハロ(C1−C6)アルキル、ハロ(C1−C6)アルコキシ、C1−C6アルカノイル、C1−C6アルコキシカルボニル、−COOH、−CONH2、モノ若しくはジ(C1−C6)アルキルカルボキサミド、−SO2NH2、及びモノ若しくはジ(C1−C6)アルキルスルホンアミドからなる群から選択される、同じか又は異なる5つまでの置換基で任意により置換されるフェニルを示し;
Yは酸素、硫黄、−S(O)−、−SO2−であり;そして、
ZはC1−C6アルキル又はモノ、ジ若しくはトリフルオロメチルである。
【0036】
式Vの化合物はMCH1受容体リガンドの調製において有用な中間体である。
【0037】
好ましい式Vの化合物はQが下式の基を示し、
式中、AはC1−C2アルキルでより任意に置換されるメチレンであるか又はAは一重結合であるものである。そのような化合物を式VAの化合物として言及する。
【0038】
本発明は特にWが窒素又はCHである式VAの化合物に向けられる。
【0039】
より好ましい式VAの化合物はWが窒素又はCHであり、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19が水素であるものである。
【0040】
他の好ましい式VAの化合物はWが窒素又はCHであり、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19が水素であり、Xがハロゲンであり、Yが酸素であり、ZがC1−C6アルキルであるものである。
【0041】
特に好ましい式VAの化合物はWが窒素又はCHであり、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19が水素であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、及びR8が同じか又は異なり、水素、ハロゲン、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシを示し、Xがハロゲンであり、Yが酸素であり、ZがC1−C6アルキルであるものである。
【0042】
とりわけ好ましい式Vの化合物には、Qが下式の基であり、
式中、AがC1−C2アルキルで任意に置換されるメチレンであるものが包含される。これらの化合物は本明細書中以下式VI−Aの化合物として言及する。式VI−Aの具体的な化合物にはAがメチレンで、R10とR11がメチル又は好ましくは水素であるものが含まれる。
【0043】
式VAの具体的な化合物にはWが窒素又はCHであるものが含まれる。V及びVAの好ましい化合物にはR10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19が水素であるものが含まれる。
【0044】
式VAの他の具体的な化合物にはXがハロゲンであり、Yが酸素であり、ZがC1−C6アルキルであるものが含まれる。
【0045】
さらに他の式VAの具体的な化合物にはR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、及びR8が同じか又は異なり、水素、ハロゲン、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシであり、Xがハロゲンであり、Yが酸素であり、ZがC1−C6アルキルであるものが含まれる。
【0046】
式Iから式VAの化合物においてはシアノ又はニトロ基が5個以下であることが好ましく、3個以下であることがより好ましい。R1、R2、R3、R4、R5の2個以下が水素でない置換基であることが好ましい。R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19の5個以下が水素でない置換基であることが好ましく、3個以下が水素でない置換基であることがより好ましい。
【0047】
式Iの代表的な化合物を表1に示す。
【0048】
【0049】
ある状況では、本発明の化合物は1つ以上の不斉炭素原子を含むことができ、従って本化合物は異なった立体異性体で存在し得る。これらの化合物は例えばラセミ体又は光学活性体であり得る。このような場合、単一のエナンチオマー、即ち光学活性体は不斉合成又はラセミ体の分割によって得られる。本発明の化合物の不斉合成は以下の例1に示した方法を用いて実施できる。α−メチルベンジル基を有する化合物(R3はメチル、R4は水素)についてはRエナンチオマーが好ましい。ラセミ体の分割は、例えば分割剤の存在下での結晶化のような従来の方法で、又は例えばキラルHPLCカラムを用いたクロマトグラフィーによって遂行される。
【0050】
式1によって包含される本発明の代表的な化合物には表1の化合物及び製剤学的に許容できるそれらの酸付加塩が含まれるが、これらに限定されるものではない。さらに、本発明の化合物が酸付加塩として得られた場合は、遊離塩基は酸塩の溶液を塩基性化することにより得られる。逆に製品が遊離塩基である場合は付加塩、特に製剤学的に許容できる付加塩は、その遊離塩基を適切な有機溶剤に溶解し、塩基化合物から酸付加塩を調製する従来の手順に従って、その溶液を酸で処理することにより、製造することができる。
【0051】
毒性のない製剤学的塩には塩酸、燐酸、臭化水素酸、硫酸、スルフィン酸、蟻酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、硝酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、ヨウ化水素酸、酢酸のような飽和脂肪酸、HOOC−(CH2)n−COOH(nは0−4)等が含まれる。当業者は幅広い毒性のない製剤学的付加塩を認識するであろう。
【0052】
本発明はまた式Iの化合物のアシル化したプロドラッグも包含する。当業者は式Iに包含される化合物の毒性のない製剤学的に許容できる付加塩及びアシル化したプロドラッグを調製するために採用し得る各種の合成法を認識するであろう。
【0053】
化合物に各種の互変異性体がある場合は、本発明は1つの特定の互変異性体に限定されない。本発明は化合物のすべての互変異性体を含む。
【0054】
本発明はヒトのメラニン凝集ホルモン受容体を含むメラニン凝集ホルモン受容体に高親和性で結合する化合物に関する。本発明はまたヒトとサルのメラニン凝集ホルモン受容体を含むメラニン凝集ホルモン受容体に高選択性で結合する化合物を含む。特別な理論に縛られることを望まないが、式Iの化合物とメラニン凝集ホルモン受容体の相互作用が、これらの化合物の医薬品としての有用性を与えると考えられている。
【0055】
本発明はそのような治療が必要な患者を障害の症状を変えるのに十分な本発明の化合物の量で治療する方法を包含する。
【0056】
本発明の化合物及び組成物を用いて治療できる疾患及び/又は障害は摂食障害、性障害、肥満、大食症、食欲不振、糖尿病、心臓病、脳卒中、無オルガスムス症、又は心因性インポテンツである。
【0057】
本発明はまた、本発明の化合物の少なくとも1つの化合物と製剤学的に許容できる少なくとも1つの担体又は賦形剤を共に含む医薬組成物を提供する。そのような医薬組成物には、例えば肥満又は多食のような摂食障害又は無オルガスムス症又は心因性インポテンツのような性的障害の治療のようなメラニン凝集ホルモン受容体の変調に反応する障害の治療のための包装された医薬組成物が含まれる。包装された医薬組成物には、上述の少なくとも1つのメラニン凝集ホルモン受容体の変調の治療有効量を保持する容器と、含有された組成物はメラニン凝集ホルモン受容体の変調に反応する障害の治療のために患者で使用されるべきことを示した指示書(例えばラベル)が含まれる。
【0058】
本発明はまた、メラニン凝集ホルモン受容体へのメラニン凝集ホルモンの結合を阻害する方法にも関連し、その方法は本発明の化合物をin vitroでメラニン凝集ホルモン受容体へのメラニン凝集ホルモンの結合を阻害するのに十分な濃度でメラニン凝集ホルモン受容体を発現している細胞に接触させることを含む。この方法には、例えばin vitroでメラニン凝集ホルモン受容体へのメラニン凝集ホルモンの結合を阻害するのに十分な式Iの化合物の量を与えられた患者において、in vivoでメラニン凝集ホルモン受容体へのメラニン凝集ホルモンの結合を阻害することが含まれる。in vitroでメラニン凝集ホルモン受容体へのメラニン凝集ホルモンの結合を阻害するのに十分な式Iの化合物の量は、例えば例5に記載したアッセイのような、メラニン凝集ホルモン受容体結合アッセイによって容易に測定できる。in vitroでの結合を測定するのに使用されるメラニン凝集ホルモン受容体を含む膜は、例えばクローニングしたヒト又はサルのメラニン凝集ホルモン受容体を発現しているHEK293細胞、特にそのような受容体を発現しているHEK293細胞のような各種の源から得られる。
【0059】
本発明はまた、MCH受容体の情報伝達活性を変化させる方法、特にMCH受容体に媒介される細胞内カルシウムの放出を変化させる方法に関し、その方法にはそのような受容体を発現している細胞を本発明化合物の有効量に暴露することが含まれる。この方法には例えばin vitroでMCH受容体の情報伝達活性を変化させるのに十分な式Iの化合物の量が与えられた患者において、in vivoでMCH受容体の情報伝達活性を変化させることが含まれる。MCH受容体の情報伝達活性を変化させるのに十分な化合物の量は、例えば例6に記載したカルシウムの動員(mobilization)アッセイのようなMCH受容体の情報伝達アッセイによって測定できる。
【0060】
本発明によって提供されるメラニン凝集ホルモン受容体リガンドとその標識誘導体はまた、メラニン凝集ホルモン受容体への候補医薬品の結合能の測定において、標準物質及び試薬として有用である。
【0061】
本発明によって提供されるメラニン凝集ホルモン受容体リガンドの標識誘導体は陽電子放射断層撮影法(PET)造影又は単一光子放射断層撮影法(SPET)の放射性トレーサーとしても有用である。
【0062】
本発明の好ましい化合物は殺真菌活性を示さない。そのような殺真菌活性の欠如は固体MAG培地上32℃で48時間生長させたAspergillus nidulans 株 R153のコロニーサイズのわずか40%の減少(100ppmの化合物で処理し、非処理の対照と比較した時)で証明できる。BENOMYLを任意により陽性対照として使用できる。MAG培地は2%麦芽エキス、0.2%ペプトン、1%グルコース及び微量元素であり、pHは6.5である。微量元素の5000倍濃縮物は10g/L EDTA、4.4g/L ZnSO4・7H2O、1.01g/L MnCl2・4H2O、0.32g/L CoCl2・6H2O、0.315g/L CuSO4・5H2O、0.22g/L (NH4)6Mo7O24・H2O、1.47g/L CaCl2・2H2O及び1.0g/L FeSO4・7H2Oからなる。培地は1.5%の寒天を加えて固めてある。
【0063】
代わりに、そのような殺真菌作用の欠如は小麦上のPuccinia recondita(赤さび病)、大麦上のErysiphe graminis(うどんこ病)、リンゴ上のVenturia inaequalis(赤かび病、黒色斑点)及びピーナツ上のCercospora arachidicola(早期斑点病)の60%から100%の各感染頻度で証明できる。
【0064】
殺真菌活性の測定に採用される技術は次の通りである。植物を4cmの直径のミニスポット中のJohn Innes Potting Compost(適宜、No1又はSeed)の中で生長させる。細かい砂をポットの底に置き、試験する化合物が根から取り込まれるのを容易にする。
【0065】
試験される化合物は、例えば水性Dispersol Tと共にビード粉砕で、又は使用直前に必要な濃度に希釈されるアセトン/エタノール溶液として製剤化される。葉には100p.p.m.a.i.懸濁液をスプレーし、同じ植物の根には土壌を介して適用する。(スプレーは最大保持で適用し、根は約40ppma.i./乾燥土壌と同等の最終濃度に浸す)。スプレーが穀物に適用される場合は、最終濃度0.1%のTween 20を加える。
【0066】
大部分の試験で、試験化合物は植物に病気が接種される1日又は2日前に土壌(根)と葉(スプレーで)に適用される。例外はErysiphe graminisの試験で、この場合、植物は処置の24時間前に接種される。接種後、植物は感染が起きるような適切な環境に置き、病気が評価できるようになるまで接種される。接種と評価の間の期間は病気と環境によって4日から14日まで変わる。
【0067】
化学的記述及び用語
本発明の化合物には不斉中心がある;本発明はすべての光学異性体とその混合物を含む。
【0068】
炭素−炭素の二重結合を有する本発明の化合物にはZ型とE型がある;本化合物のすべての異性体が本発明に含まれる。
【0069】
式Iに1回を超すいかなる変更が生じた時、そのたびに現れる定義は他のすべての場合に現れる定義に無関係である。
【0070】
本発明中の「C1−C6アルキル」は1−6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝したアルキル又はシクロアルキル基を意味し、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、nーブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、2−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル及び3−メチルペンチルである。好ましいC1−C6アルキル基はメチル、エチル、プロピル、ブチル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ノルボルニル等である。特に好ましいアルキル基はメチルとエチルである。
【0071】
本発明中の「C1−C6アルコキシ」は酸素ブリッジによって結合した指定された炭素数のアルキル基を意味し、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、ter−ブトキシ、ペントキシ、2−ペンチル、イソペントキシ、ネオペントキシ、ヘキソキシ、2−ヘキソキシ、3−ヘキソキシ及び3−メチルペントキシである。好ましいアルコキシ基はC1−C4アルコキシ基である。特に好ましいアルコキシ基はメトキシとエトキシである。
【0072】
「ハロゲン」にはフッ素、塩素、臭素と沃素が含まれる。Xは式Iから式Vまでの式でハロゲンであり、臭素が特に好ましい。
【0073】
「ハロアルキル」は1つ以上のハロゲン原子で置換された特定の炭素数を有する分枝した又は直鎖の飽和脂肪族炭化水素基を含む。ハロアルキルの例にはモノ、ジ、トリ−フルオロメチル、モノ、ジ、トリ−クロロメチル、モノ、ジ、トリ、テトラ−又はペンタ−フルオロエチル及びモノ、ジ、トリ、テトラ又はペンタ−クロロエチルが含まれるが、これらに限定されるものではない。典型的なハロアルキル基はトリフルオロメチル及びジフルオロメチルである。本発明の化合物に好ましくは5個以下、より好ましくは3個以下のハロアルキル基があることが好ましい。
【0074】
「ハロアルコキシ」は酸素ブリッジによって結合した指定された炭素数の上に定義したハロアルコキシ基を示す。
【0075】
毒性のない「製剤学的に許容できる塩」には塩酸塩、硫酸塩、燐酸塩、二燐酸塩、臭化水素酸塩及び硝酸塩又はリンゴ酸塩、マレエート、フマル酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、2−ヒドロキシスルホン酸塩、サリチル酸塩及びステアリン酸塩が含まれるが、これらの塩に限定されるものではない。同様に製剤学的に許容できるカチオンにはナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、リチウム及びアンモニウムが含まれるが、これらに限定されるものではない。本発明は式Iの化合物のプロドラッグを包含する。
【0076】
医薬製剤
当業者は式Iに包含される化合物の、製剤学的に許容できる毒性のないプロドラッグの調製のために採用される各種の合成方法を認識するであろう。当業者は本発明化合物の溶媒和物を調製するために使用される、例えば水、エタノール、鉱油、植物油及びジメチルスルホキシドのような製剤学的に許容できる毒性のない幅広い各種溶剤を認識するであろう。
【0077】
一般式Iの化合物は従来の毒性のない製剤学的に許容できる担体、アジュバント及び溶媒を含む用量単位製剤で経口、局所、非経口、吸入又はスプレー又は経直腸で投与できる。ピル、カプセル、エリキシル、シロップ、薬用ドロップ、トローチ等の型での投与が特に好ましい。本明細書中で使用されている非経口と言う用語には皮下注射、皮内、血管内(例えば静脈内)、筋肉内、脊椎、くも膜下注射等又は注入技術が含まれる。さらに一般式Iの化合物と製剤学的に許容できる担体を含む医薬製剤が提供されている。1つ以上の一般式Iの化合物を1つ以上の毒性のない製剤学的に許容できる担体及び/又は希釈剤及び/又はアジュバント及び必要であれば他の活性成分と共に用いてもよい。一般式Iの化合物を含む医薬品組成物は例えば、錠剤、トローチ、薬用ドロップ、水性又は油性懸濁液、分散性粉末又は顆粒、エマルジョン、硬カプセル又は軟カプセル、シロップ又はエリキシルのような経口使用に適した剤型であってもよい。
【0078】
経口用の組成物は技術分野で公知の医薬組成物の製造方法に従って調製でき、そのような組成物は製剤学的に優雅で味のよい製剤を提供するために甘味剤、フレーバー剤、着色剤及び防腐剤からなる群から選ばれた1つ以上の添加剤を含んでもよい。錠剤は錠剤の製造に適した毒性がなく、製剤学的に許容できる賦形剤との混合物中に活性成分を含む。これらの賦形剤は例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、乳糖、燐酸カルシウム又は燐酸ナトリウムのような不活性希釈剤;例えばコーンスターチ、アルギン酸のような粒状化剤及び崩壊剤;例えば澱粉、ゼラチン又はアラビアゴムのような結合剤及び例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクのような潤滑剤である。錠剤はコーティングされていなくてもよく、又は消化管中での崩壊と吸収を遅らせ、それによって長期間にわたって持続する作用を与えるために公知の技術でコーティングされていてもよい。例えばグリセリルモノステアレート又はグリセリルジステアレートのような時間遅延物質を使用できる。
【0079】
経口用の製剤は、例えば炭酸カルシウム、燐酸カルシウム又はカオリンのような不活性固体希釈剤と活性成分を混合した硬ゼラチンカプセルとして、又は活性成分を水又は例えばピーナッツ油、液状パラフィン若しくはオリーブ油のような油媒体と混合した軟カプセルとして提供できる。
【0080】
水性懸濁液は水性懸濁液の製造に適した賦形剤との混合物中に活性物質を含む。そのような賦形剤は例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム塩、メチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、アラビアゴムのような懸濁剤;分散又は湿潤剤の例としてはレシチンのような天然由来のホスファチド又はアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合物、例えばポリオキシエチレンステアレート、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、エチレンオキシドと脂肪酸とヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合物、例えばポリオキエチレンソルビトールモノオレエート、又はエチレンオキシドと脂肪酸とヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとの縮合物、例えばポリエチレンソルビタンモノオレエート等である。水性懸濁液は、例えばエチル、n−プロピルp−ヒドロキシベンゾエートのような1つ以上の防腐剤、1つ以上の着色剤、1つ以上のフレーバー剤及び1つ以上の蔗糖又はサッカリンのような甘味剤を含んでもよい。
【0081】
油性懸濁液は例えばラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油若しくはココナッツ油のような植物油又は液状パラフィンのような鉱物油中に活性成分を懸濁して製剤化してもよい。油性懸濁液は例えば、みつろう、硬パラフィン又はセチルアルコールのような増粘剤を含んでもよい。味のよい経口製剤を提供するために上述したような甘味剤及びフレーバー剤を加えてもよい。これらの組成物はアスコルビン酸のような抗酸化剤を加えて保存される。
【0082】
水を加えることによって水性懸濁液を調製するのに適した分散性粉末と顆粒は、活性成分を分散剤又は湿潤剤、懸濁剤及び1つ以上の防腐剤との混合物で提供する。適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤は既に上述したもので例示されている。例えば甘味剤、フレーバー剤及び着色剤のような賦形剤を更に添加してもよい。
【0083】
本発明の医薬品組成物は水中油型のエマルジョンであってもよい。油層は例えばオリーブ油若しくはラッカセイ油のような植物油又は液状パラフィンのような鉱物油あるいはこれらの混合物であってもよい。適切な乳化剤は例えばアラビアゴム、トランガカントゴムのような天然由来のゴム、例えば大豆、レシチン、等の天然由来のホスファチド、脂肪酸とヘキシトール無水物から誘導されるエステル又は部分エステル、例えばソルビタンモノオレエート、及びその部分エステルとエチレンオキシドとの縮合物、例えばポリオキエチレンソルビタンモノオレエートであってもよい。エマルジョンは甘味料及びフレーバー剤をまた含んでもよい。
【0084】
シロップ及びエリキシルには例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール又は蔗糖を配合してもよい。そのような製剤はまた緩和薬、防腐剤及びフレーバー剤及び着色剤を含んでもよい。医薬組成物は滅菌した注射用水性又は油脂性懸濁物の剤型であってもよい。この懸濁物は公知の方法に従って上述の適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を用いて製剤化され得る。滅菌した注射用製剤はまた、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液のような毒性のない非経口で許容できる希釈剤又は溶剤中の滅菌した注射用溶液又は懸濁物であってもよい。許容できるビヒクル及び溶媒の中で採用されるのは水、リンゲル溶液及び等張の塩化ナトリウム溶液である。さらに滅菌した硬化油が従来から溶剤又は懸濁媒体として採用されている。この目的のために合成したモノ及びジグリセリドを含め、刺激のないすべての硬化油を採用できる。更にオレイン酸のような脂肪酸が注射製剤に有用である。
【0085】
一般式Iの化合物はまた例えば薬物の経直腸投与に座薬の形で投与できる。これらの製剤は、薬物と常温で固体であるが直腸の温度で液体であり、従って直腸内で融解して薬物を放出する適切な刺激のない賦形剤を混合して調製できる。そのような物質はココアバター及びポリエチレングリコールである。
【0086】
一般式Iの化合物は滅菌した媒体中で非経口投与してもよい。薬物は使用するビヒクルと濃度によって、ビヒクル中に懸濁又は溶解できる。例えば、局所麻酔剤、防腐剤及び緩衝剤のようなアジュバントを溶剤に溶解することができるので、有利である。
【0087】
ヒト以外の動物に投与する場合は、組成物を餌又は飲み水に加えてもよい。動物が餌と一緒に組成物の適量を摂取するように、これらの動物の餌及び飲み水の組成物を製剤化することは便利である。また、組成物を餌又は飲み水に添加するためのプレミックスとしての提供することも便利である。
【0088】
上に示した状態の治療には、約0.1mgから約140mg/kg体重/日の用量レベルが有用である(患者1人1日当たり約0.5mgから約7g)。単回用量剤型を製造するために担体物質と組み合わされる活性成分の量は治療される宿主と投与形態によって異なる。用量単位剤型は一般に約1mgから約500mgの活性成分を含む。
【0089】
投与回数も使用する化合物と治療される特定の病気の種類によって異なる。しかし大抵の障害の治療には、1日当たり4回以下の投与法が好ましい。肥満等の摂食障害の治療には、1日あたり1回又は2回の投与計画が特に好ましい。インポテンスの治療には速く有効量に達する単回投与が望ましい。
【0090】
特定の患者のための特定の用量レベルは、使用する特定の化合物の活性、年齢、体重、一般健康状態、性別、食事、投与時期、投与経路及び排泄速度、併用薬及び治療中の特定の疾患の重症度等の各種の因子に依存する。
【0091】
本発明の好ましい化合物は望ましい薬理学的性質を有する。そのような性質は経口でのバイオアベイラビリティー、低毒性、低血清蛋白質結合及びin vitroとin vivoの望ましい半減期等であるが、これらに限定されない。CNS障害の治療に使用される化合物には血液脳関門の通過が必要である一方、末梢の障害に使用される化合物は脳内レベルが低いことがよく好ましい。
【0092】
これらの望ましい薬理学的性質を予測するためにアッセイを用いることができる。バイオアベイラビリティーを予測するのに用いられるアッセイにはCaco−2細胞単層を含むヒトの腸細胞の単層を超える輸送等がある。培養肝細胞に対する毒性は化合物の毒性を予測するのに用いることができる。ヒトにおける化合物の血液脳関門の通過は、化合物を静脈内投与した実験動物での化合物の脳内レベルから予測できる。
【0093】
血清蛋白質結合はアルブミン結合アッセイから予測できる。そのようなアッセイはOravcova等のレビュー(Journal of Chromatography B(1996)Volume 677、pages1−27)に記載されている。
【0094】
化合物の半減期は化合物の投与頻度に逆比例する。in vitroでの化合物の半減期はKuhnzとGieschenが記載しているミクロソームの半減期のアッセイから予測できる(Drug Matabolism and Disposition,(1998)Volume 26,Pages 1120−1127)。
【0095】
式Iの化合物は標準的なin vitro MCH受容体結合アッセイ及び/又はカルシウム動員アッセイ、特に後に示す例5と6で特定されたアッセイで良好な活性を示す。「標準的なin vitro 受容体結合アッセイ」とは後に示す例5で定義したプロトコールのことである。「標準的なMCH 1受容体カルシウム動員アッセイ」とは後に示す例6で定義したプロトコールのことである。in vitro MCHI受容体結合アッセイで定義され、例5に示した標準において、一般的に式Iの好ましい化合物のKiは約1マイクロモル以下であり、Kiが約100ナノモル以下であることがより好ましく、Kiが約10ナノモル以下であることがさらに好ましく、1ナノモル以下がよりさらに好ましい。一般的に式Iの好ましい化合物はMCHI受容体のアンタゴニストであり、後に例6で例示する、定義された標準的なin vitro MCH 1受容体媒介カルシウム動員アッセイにおいて、EC50の値は約4マイクロモル以下であり、約1マイクロモル以下がより好ましく、約100ナノモル以下のEC50の値がさらに好ましく、さらに約10ナノモル以下又は1ナノモル以下がより好ましい。
【0096】
式Iの好ましい化合物はドーパミン受容体、特にヒトのドーパミンD2及びD4受容体と相互作用しない。ドーパミン受容体結合アッセイは後に示す例9に記載する方法を用いて実施できる。式Iの好ましい化合物は例9に記載するドーパミンD2及びD4受容体結合アッセイのような標準的なドーパミン受容体結合アッセイで1マイクロモルを超すKi値を示す。
【0097】
例
化合物の調製
本発明の化合物は本質的に図式1に示した合成手順に従って調製できる。一般構造式7の2−フェニルアシルシクロアルキル化合物を還元剤の存在下で4−アリールピペラジン又はピペリジンと縮合して一般式Iの化合物を提供できる。還元剤は水素化硼酸ナトリウム、トリアセトキシ水素化硼酸ナトリウム、水素化リチウムアルムニウム、アラン等であってもよい。替わりに酸塩化物又は酸をピペラジンと結合してアミドを作り、引き続きそれを還元して所望の式Iの化合物を得ることができる。
【0098】
本発明の特定の化合物の調製(化合物1の1S,2Sエナンチオマー)を図式2に記載し、使用する合成工程を例1に示す。図式2の範囲内において、1S、2S 2−フェニルシクロプロパンカルボン酸(9)を1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(EDCI)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)の存在下で1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)ピペラジンと縮合させた。得られたアミド11をテトラヒドロフラン中で、アランで還元して所望のアミンを得た。
【0099】
当業者は下記例で示されるように、本発明に包含される化合物を製造するために出発原料を変え、また追加の工程を用いることができることを理解するであろう。特に断らない限り、試薬と溶剤は標準の市販グレードであり、さらに精製せずに使用される。
図式1
図式2
化合物1の1S,2Sエナンチオマーの調製
【0100】
例1
(1S,2S)−1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−フェニルシクロプロピル)メチルピペラジンの調製
以下の例中の番号9−11の化合物は図式2に示した化合物を表す。
1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)ピペラジン(10)
1−(3−メトキシフェニル)ピペラジン二臭化水素化物(3.5g、10mmol)の溶液をDMSO(30mL)に溶解し、大気に開放されたフラスコ中で65℃で4時間加熱する。冷却後、混合物を1Nの水酸化ナトリウム溶液100mLを含む分液濾斗に注ぎ、エチルエーテル(3X100mL)で抽出する。有機抽出物を乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、濃縮して固体の1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)ピペラジンを得る。1H NMR(400MHz、CDCl3)7.34−7.36(d,J=2.2Hz,1H,),6.47(s,1H),6.38−6.41(d,J=2.8Hz,1H)),3.87(s,3H,OMe),3.11−3.13(m,4H),3.01−3.03(m,4H)
【0101】
(1S,2S)−1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−フェニルシクロプロピル)カルボニルピペラジン(11)
EDCI(0.42 g, 2.2 mmol),DMAP(0.27 g, 2.2 mmol)及びHOBT(0.23 g, 2.2mmol)をクロロホルム(15mL)中の酸9(0.34g、2.1mmol)とピペラジン10(0.54g、2.0mmol)の溶液に加え、得られた溶液を一夜攪拌する。溶液を水(10mL),飽和NaHCO3溶液(10mL),ブライン(10mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥する。濾過後、溶液を濃縮し、得られた油をカラムクロマトグラフィーでクロロホルム中の2%メタノールで溶出して精製し、所望のアミド11を白色の粘着性固体として得る。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ7.1−7.5(m、6H),6.50(s,1H),6.40(d,J=7Hz,1H),3.89(s,3H,OMe),3.8(bm,4H),3.2(bm,4H),2.5(m,1H),1.98(m,1H),1.70(m,1H),1.35(m,1H),LCMS(CI)416(M+1)
【0102】
(1S,2S)−1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−フェニルシクロプロピル)メチルピペラジン(化合物1、表1)
アラントリエチルアミン錯体(3.13mL,1.57 mmol)の溶液を0℃でTHF(10mL)中のアミド11(0.65g、1.57mmol)溶液に加える。45分後水で反応を終了させ、エーテルで抽出する。有機抽出物を乾燥(MgSO4)し、濾過し、濃縮して得られた無色の油をカラムクロマトグラフィーで5%メタノール/クロロホルムで溶出して、無色の油として所望の化合物1を得る。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ7.38(d,J=7Hz,1H),7.1−7.35(m,5H),6.45(d,J=1Hz,1H),6.40(dd,J=7,1Hz,1H),3.88(s,3H,OMe),3.2(m,4H),2.7(m,4H),2.63(m,1H),2.40(dd,J=12,5Hz,1H),1.70(m,1H),1.25(m,1H),0.85−1.0(m,2H)
【0103】
例2
次の化合物は本質的に図式1と2に関連して記載し、さらに例1に挙げた手順によって調製できる。有機合成の専門家には次の化合物を調製するのに適した改変は極めて明白であろう。
a)1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−フェニルシクロプロピル)メチルピペラジン
b)1R,2R−1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−フェニルシクロプロピル)メチルピペラジン
c)1−(4−ヨード−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−フェニルシクロプロピル)メチルピペラジン
d)1−(4−クロロ−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−フェニルシクロプロピル)メチルピペラジン
e)1−(4−フェニル−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−フェニルシクロプロピル)メチルピペラジン
f)1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−[トランス−2−(3−メトキシフェニル)シクロプロピル]メチルピペラジン
g)1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−[4−クロロフェニル]シクロプロピル)メチルピペラジン(化合物4)
h)1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−[2−メチルフェニル]シクロプロピル)メチルピペラジン(化合物2)
i)1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−[4−メトキシフェニル]シクロプロピル)メチルピペラジン
j)1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−([3−フェニル]プロペン−2−イル)ピペラジン(化合物5)
k)1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−([3−{2−メチルフェニル}]プロペン−2−イル)ピペラジン(化合物6)
l)1−(3−メトキシフェニル)−4−([3−フェニル]プロペン−2−イル)ピペラジン
m)1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−([3−{メチルフェニル}]プロペン−2−イル)ピペラジン
n)1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−([3−{2−メチルフェニル}]プロペン−2−イル)ピペラジン
o)1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−([3−{3−クロロフェニル}]プロペン−2−イル)ピペラジン
p)1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−([3−{3−エトキシフェニル}]プロペン−2−イル)ピペラジン
q)1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−([3−{2,3−ジメトキシフェニル}]プロペン−2−イル)ピペラジン
r)1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−([3−{3,4−ジメトキシフェニル}]プロペン−2−イル)ピペラジン
s)1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−([3−{2,5−ジメトキシフェニル}]プロペン−2−イル)ピペラジン
t)1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−([3−{2,4−ジメトキシフェニル}]プロペン−2−イル)ピペラジン
u)1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−フェニルシクロプロピル)メチルピペリジン
v)1−(4−ヨード−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−フェニルシクロプロピル)メチルピペリジン
w)1−(4−クロロ−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−フェニルシクロプロピル)メチルピペリジン
x)1−(4−メチル−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−フェニルシクロプロピル)メチルピペリジン
y)1−(4−トリフルオロメチル−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−フェニルシクロプロピル)メチルピペリジン
z)1−(4−ブロモ−3−エトキシフェニル)−4−(トランス−2−フェニルシクロプロピル)メチルピペリジン
【0104】
例3
MCH1受容体発現細胞
ヒトのMCH1受容体、サルのMCH1受容体又はヒトMCH1受容体/ヒトβ2アドレナリン作動性受容体のキメラ受容体を発現している細胞又は組み換え細胞の調製物を次の放射性リガンド結合アッセイ及びカルシウム動員アッセイに使用できる。そのようなMCH1受容体の発現ベクターの調製は、例えば2000年7月6日出願の米国仮出願第60/216,081及び2001年4月19日出願の米国仮出願第60/284,835のページ19−20及び配列表に既に記載されており、MCH1受容体のクローニングと発現に関するこれら教示について引用により本明細書中に組み込む。
【0105】
サルのMCH受容体を発現するHEK293細胞の調製
HEK293細胞に、標準的な燐酸カルシウム沈殿手順によって、前に記載したアカゲザルのMCH発現ベクター又は他のMCH1発現ベクターを用いて安定してトランスフェクションする。
【0106】
細胞は10%のウシ胎児血清、25mM HEPES及び500ug/mLG418が補給されたDMEM高グルコース培養培地(カタログ#10−017−CV, MEDIATECH, Herndon,VA)中で約48−72時間、37°C 5%CO2で集密的になるまで増殖させる。細胞は穏やかに遠心分離してペレット化する。細胞のペレットは冷PBSで2回洗浄し、5mMのEDTAを含む冷PBS中に収穫し、−80°Cで貯蔵する。
【0107】
サルのMCH受容体を発現しているCHO細胞の調製
CHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞に、標準的な燐酸カルシウム沈殿手順によってMCH1発現ベクターを用いてトランスフェクションする。
【0108】
細胞は10%のウシ胎児退治血清、25mM HEPES及び500ug/mL(活性)G418が補給されたHamのF12培養培地(カタログ#10−080−CV, MEDIATECH, Herndon,VA)中で約48−72時間,37°C, 5%CO2で集密的になるまで増殖させる。細胞は穏やかに遠心分離してペレット化する。細胞のペレットは冷PBSで2回洗浄し、5mMのEDTAを含む冷PBS中に収穫し、−80°Cで貯蔵する。
【0109】
例4
精製膜
−80°Cで冷凍貯蔵したHEK293細胞に洗浄緩衝液(1.0mMCaCl2,5.0mM MgCl2,120mM NaCl,PH7.4を加えた25mMのHepes)を加えて融解し、5に設定したBRINKMAN POLYTRONを用いて30秒間ホモジナイズする。細胞を48,000xgで10分間遠心分離する。上清を捨て、ペレットを新しい洗浄緩衝液に再度懸濁し、再度均質化する。得られた膜調製物の蛋白質濃度をBradfold蛋白質アッセイ(BioRad Laboratories, Hercules, CA)を用いて測定する。この測定で1Lの細胞の培養で通常50−75mgの全膜蛋白質が得られる。
【0110】
例5
キメラ受容体モジュレーターの放射性リガンド結合アッセイ
サルのMCH受容体を発現しているHEK293細胞からの精製膜を例3で述べた手順で調製する。膜のホモジネートを前記と同様遠心分離し、50ug膜蛋白質/150ul結合緩衝液のアッセイ容積のために、結合緩衝液(洗浄緩衝液+0.1%BSA及び1.0uMの最終濃度のホスホラミドン)中333ug/mLの蛋白濃度になるまで再懸濁する。ホスホラミドンはSIGMA BIOCHEMICALs、St.Louis,MO(cat#R−7385)製である。
【0111】
競合結合アッセイは室温でファルコン96ウェルの丸底ポリプロピレンプレートで行う。各アッセイウェルに、上記のように調製した結合緩衝液中のMCH受容体を含む膜、150ul、結合緩衝液中の50ulの125I−Tyr MCH,50ulの結合緩衝液及びDMSO中の2ulの試験化合物を加える。125I−Tyr MCH(比活性=2200Ci/mMol)はNEN,Boston,MA(Cat#NEX 373)から購入し、結合緩衝液中で希釈して、30pMの最終アッセイ濃度とする。
【0112】
非特異的結合は1uMの非標識MCHの存在下で測定した結合と定義する。MCHはBACHEM U.S.A.,King of Prussia, PA(Cat#H−1482)から購入する。非特異的MCH結合の測定のために使用する各アッセイウェルに結合緩衝液中のMCH受容体を含む膜150ul,結合緩衝液中の50ulの125I−Tyr,25ulの結合緩衝液中の非標識MCH及び25ulの結合緩衝液を加える。
【0113】
アッセイプレートは室温で1時間培養する。膜はWALLACガラス繊維フィルター(PERKIN−ELMER,Gaithersburg MD)上に収穫し、それを使用前に2時間、1.0%PEI(ポリエチレンイミン)に前もって浸す。フィルターは一昼夜乾燥させ、WALLAC BETA SCINTシンチレーション液を加えた後、WALLAC 1205 BETA PLATEカウンター中で計測する。
【0114】
飽和結合に関して、125I−TyrMCHの濃度は7から1,000pMまで変化する。通常、飽和結合曲線あたり11の濃度点を集める。
【0115】
平衡結合パラメーターはコンピュータープログラムFitPTM(BIOSOFT, Ferguson,MO)を使って測定値をアロステリックなHillの方程式に当てはめて求めた。
【0116】
例6
サルのMCH受容体の機能アッセイ
カルシウム動員アッセイ
メラニン凝集ホルモン受容体を発現している細胞のメラニン凝集ホルモンに対する反応は次のアッセイを用いて観察できる。このアッセイはまた、試験化合物がメラニン凝集ホルモン受容体のアゴニスト又はアンタゴニストとして作用するかの測定のためにも使用できる。
【0117】
MCH1受容体発現ベクターを安定してトランスフェクションしたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞をFALCON黒壁、透明な底の96ウェルのプレート(#3904、BECTON−DICKINSON,Franklin Lakes,NJ)中で15,000細胞/ウェルの密度まで増殖させる。アッセイを実施する前に培養培地を96ウェルプレートから取り除く。Fluo−3カルシウムに感受性のある染料(Molecular Probes,Eugene,OR)を各ウェルに加える(染料溶液:1mgFLUO−3 AM,440uL DMSO及び440uL 20%プルロン酸のDMSO溶液を1:4に希釈し、希釈溶液50uLを各ウェルに加える)。プレートをアルミニウムフォイルで覆い、37℃で1−2時間培養する。培養後、染料溶液をプレートから取り除き、細胞を100uLのKRH緩衝液(0.05mM KCl,0.115M NaCl,9.6mM NaH2PO4,0.01mM MgSO4,25mM HEPES, pH7.4)で1回洗浄し、余分な染料を除去する。洗浄後、80uLのKRH緩衝液を各ウェルに加える。
【0118】
アゴニスト作用の測定
ヒトMCH又は試験化合物のいずれかを加えて、蛍光反応を480nMでの励起と530nMの放出により、下記のようにFLIPRTMプレートリーダー(Molecular Devices, Sunnyvale,CA)で観察できる。
【0119】
アンタゴニスト作用の測定
試験化合物がMCH受容体を発現している細胞のMCHに対する反応と拮抗する能力を測定するために、先ずMCHのEC50を測定する。
【0120】
直ぐ上に記載したように調製した、細胞の各ウェルに、更に20uLのKRH緩衝液と1uL DMSOを加える。FLIPR装置によって、KRH緩衝液中の100uLのヒトMCHを自動的に各ウェルに移す。1nMから3uMの最終MCH濃度の8点の濃度反応曲線を用いてMCH EC50を測定する。
【0121】
試験化合物をDMSOに溶解し、20uLのKRH緩衝液で希釈し、上に記載したように調製した細胞に加える。調製した細胞と試験化合物を含む96ウェルプレートを暗所室温で0.5−6時間培養する。培養は6時間を超えないことが重要である。蛍光反応を測定する直前に、KRH緩衝液中で2xEC50まで希釈した100ulのヒトMCHを、96ウェルプレートの各ウェルに、最終試料容積が200uLで、最終MCH濃度がEC50になるようにFLIPR装置によって自動的に加える。アッセイウェル中の試験化合物の最終濃度は1uMと5uMの間である。通常、MCHの1つのEC50に暴露された細胞は約10,000相対的蛍光単位の蛍光反応を示す。MCH受容体のアンタゴニストは対照細胞と比べて統計的に重要なパラメトリック検定を用いた測定で、p≦0.05の有意に少ない反応を示す。通常、MCH受容体のアンタゴニストは対応した対照と比べて、対照細胞に関する蛍光反応を約20%,好ましくは約50%、最も好ましくは約80%低下する。
【0122】
アゴニスト作用の測定
化合物がMCH受容体のアゴニストとして作用する能力は上記の方法を用いて、MCHの非存在下で、MCH受容体を発現する細胞の蛍光反応を測定することによって決定される。細胞にバックグラウンド以上の蛍光を生じる化合物がMCH1受容体のアゴニストである。
【0123】
例7
本発明の放射性標識プローブ化合物の調製
本発明の化合物は、放射性同位体である原子を少なくとも1つ含む先駆体を用いて合成を行うことによって、放射性標識プローブとして調製される。放射性同位体は、炭素(好ましくは14C)、水素(好ましくは3H)、硫黄(好ましくは35S)、又は沃素(好ましくは125I)の少なくとも1つから選ばれることが好ましい。そのような放射性標識プローブは放射性標識プローブ化合物の受注合成専門の放射性同位体供給業者によって便宜に合成されている。そのような業者はAmersham Corporation,Arlington Heights,IL;Cambridge Isotope Laboratories,Inc.Andover, MA;SRI International,Menlo Park, CA;Wizard Laboratories,West Sacramento, CA;ChemSyn Laboratories,Lexena,KS;American Radiolabeled Cheicals, Inc., St.Louis,MO;及びMoravek Biochemicals Inc.,Brea,CA等である。
【0124】
トリチウム標識プローブ化合物は、通常トリチウム化酢酸中でのプラチナ触媒交換法、トリチウム化トリフルオロ酢酸中での酸触媒交換法又はトリチウムガスとの不均一触媒交換法で触媒的に調製される。そのような調製は、本発明の化合物を基質として用いて、前パラグラフに示したいずれかの業者によって受注合成として通常行われている。更に特定の先駆体について、適宜トリチウムガスによるトリチウム−ハロゲン交換、トリチウムガスによる不飽和結合の還元又は硼酸トリチウムを用いた還元を行うことができる。
【0125】
例8
培養細胞及び組織試料中のメラニン受容体のプローブとしての本発明の化合物の使用
培養細胞又は組織試料中のメラニン凝集ホルモン受容体の受容体オートラジオグラフイー(受容体マッピング)は前記の例で記載した本発明の放射標識化合物を用いて、Current Protocols in Pharmacology(1998)John Wiley&Sons, New Yorkの8.1.1から8.1.9節にKuharが記載しているようにin vitroで実施する。
【0126】
例9
D 2 及びD 4 受容体の結合活性の測定
次のアッセイは化合物のドーパミンD2及びD4受容体への結合親和性を測定するための標準的なアッセイである。
【0127】
遺伝子組み換えで発現している霊長類のD2及びヒトのD4ドーパミン受容体を含むチャイニーズハムスターの卵巣(CHO)細胞のペレットをアッセイに使用する。試料を120mMのNaCl、5mMのMgCl2及び1mMのEDTAを含む、0.05MのトリスHCl緩衝液100容量(w/vol)中でホモジナイズする。ついで試料を30,000xgで遠心分離し、再懸濁し、再ホモジナイズする。ついで記載したように、試料を遠心分離し、最終組織試料を使用するまで凍結する。組織を120mMのNaClを含む0.05MのトリスHCL緩衝液に1:20(wt/vol)で再懸濁する。
【0128】
ドーパミン作動性結合についてのインキュベーションは25℃で行い、1.0mlの全インキュベーション液中に、0.4mlの組織試料、0.1nMの3H−YM 09151−2(ネモナプライド、cis−5−クロロ−2メトキシ−4−(メチルアミノ)−N−(2−メチル−2−(フェニルメチル)−3−ピロリジニル)ベンズアミド)及び問題の化合物を含む。非特異的結合は1マイクロモルのスピペロンの存在下での結合と定義する;更に添加することなしに、非特異的結合は全結合の20%未満である。
【0129】
本発明とそれを製造し、使用する様式及び方法について、関連する技術当業者が同じものを製造し、使用することができるように、完全、明確、詳細かつ正確な用語で記載した。この記載は本発明の好ましい実施形態の記載であり、請求項に記載した本発明の精神又は範囲から逸脱することなく修正できることを理解すべきである。発明の主題を特に指摘し、明確に請求するために、以下の請求項で本明細書を締めくくる。
(発明の背景)
本願は2000年7月6日出願の米国仮出願S.N.60/216,081からの優先権を主張する。
【0002】
(技術分野)
本発明はメラニン凝集ホルモン1型(MCH1)受容体のモジュレーターである1−フェニル−2−アミノメチルシクロプロパン類を包含するフェニルシクロアルキルメチルアミノ及びフェニルアルケニルアミノ誘導体に関する。本発明はまたそのような化合物を含む医薬組成物に関する。
【0003】
(関連する技術の記載)
メラニン凝集ホルモン即ちMCHはヒトを含む多くの脊椎動物の視床下部内で作られる環状の19個のアミノ酸の神経ペプチドである。ラットにおいて、視床下部の側脳室中へのMCHのI.C.V.注入は同様な処置をした対照動物に比べてカロリー消費が増加することが示されている。更にob/ob遺伝子型を有するラットは痩せたob/+遺伝子型のマウスと比較してMCH mRNAの発現の50−80%増加を示す。MCHノックアウトマウスは摂食低下(hypophagia)と代謝速度の増加のためにMCHを産生する同胞よりもやせている。従ってMCHは摂餌行動と体重の重要な調節要因であると考えられる。
【0004】
MCH1受容体は最初にヒトcDNAと遺伝子ライブラリーから得られ、ソマトスタチン受容体との相当な配列の同一性を有する402個のアミノ酸のG−共役蛋白質受容体として特徴づけられた。この受容体はSLC−1受容体と命名された。MCH1受容体のラットのオルソログ(orthologue)がLakaye等(BBA(1998) 1401:216−220)によってラット脳cDNAライブラリーから単離され、7つの膜貫通αヘリックスと3つの共通(コンセンサス)N−グリコシルグリコシル化部位を有する353個のアミノ酸の蛋白質をコードすることが見いだされた。Lakayeが報告したラットのMCH1受容体は5’イントロンが除かれている以外は以前に開示されたヒトのMCH1受容体と相同であった。従ってLakaye等はMCH1受容体のN−末端の「修正」アミノ酸配列が、以前に開示されたMCH1受容体遺伝子を含むヒトクロモソーム22の128kb断片に関し寄託された配列(Genbank受け入れ番号:Z86090)内に見出されると推測した。
【0005】
以前に報告された402個のアミノ酸のMCH1受容体蛋白質はMCHと相互作用しない。従ってLakayeが最初に報告した353個のアミノ酸の受容体が、現在ではヒトMCH1受容体の正確な完全長の配列であると考えられている。
【0006】
ラット脳切片の免疫組織化学の研究によって、MCH1受容体が脳内に広く発現していることが示されている。MCH1受容体の発現は嗅結節、大脳皮質、黒質、海馬の基底前脳CA1,CA2及びCA3野、扁桃、及び視床下部、視床、中脳及び菱脳の核に見られた。強い信号が摂餌行動に関係があることが知られている脳の2つの領域である視床下部の前正中及び背正中核に観察された。
【0007】
HEK293細胞中に発現したMCH1受容体は、MCHに結合すると、細胞内カルシウムの用量依存性放出を媒介する。MCH受容体を発現している細胞もまた、フォルスコリンで上昇したサイクリックAMPの百日咳毒素感受性の用量依存性阻害を行うことが示されており、これは受容体がGi/oG蛋白質のαサブユニットに共役することを示す。
【0008】
MCHは摂食及びエネルギーバランスの重要な調節要因であることが示されているので、MCH1受容体の活性を調節できるリガンドは摂食障害及び代謝障害の治療に非常に望ましい。肥満の治療には、経口投与が可能で、低分子量の、MCH1受容体の非ペプチドアンタゴニストが特に求められる。
【0009】
(発明の概要)
本発明は、小さな分子のMHC受容体リガンド、特にMCH1受容体リガンドである新規化合物、特に1−フェニル−2−アミノメチルシクロプロパン類を含むフェニルシクロアルキルメチルアミノ及びフェニルアルケニルアミノ化合物を提供する。これらの化合物は非ペプチドで、アミノ酸を含まず、MCH受容体で1マイクロモル未満のKiを示す。好ましいMCH1受容体はヒトとサルのMCH受容体を含む哺乳動物の受容体で、クローニングされ、遺伝子組み換えで発現した受容体であっても、又は自然に発現した受容体でもよい。
【0010】
ある実施形態では、これらの化合物は次の性質の1つ以上を有し、また2つ以上、3つ以上又は全部を有することが好ましい:1)多アリール構造(複数の縮合していない又は縮合したアリール基を有する)である。2)in vivoで経口投与できる(致死量以下の又は製剤学的に許容できる経口用量によって食欲の低下等の検出可能なin vivo効果を与えるように)。3)ナノモルの濃度でMCH受容体へのMHCの結合を阻害できる。4)ナノモル以下の濃度でMCH受容体へのMHCの結合を阻害できる。
【0011】
本発明はまた特異的且つ好ましくは高い親和性でMCH受容体に結合する下に示す式Iの新規化合物を提供する。
【0012】
本発明はまた少なくとも1つの製剤学的に許容できる担体とともに、式Iの化合物を含む医薬組成物を提供する。本化合物は特に代謝、摂食及び性的障害の治療に有用である。本発明はさらに本発明の化合物の十分な濃度をもって、そのような治療が必要な患者を治療する方法を含む。好ましい濃度はin vitroでMCHのMCH1受容体への結合を阻害するのに十分な濃度である。本発明はそのような状態を患っているヒト、ペット動物又は食用動物を本発明の化合物の有効量で治療することを意図する。
【0013】
本発明にはそのような治療が必要な患者にレプチン、レプチン受容体アゴニスト又はメラノコルチン受容体4(MC4)アゴニストとともにMCH1受容体モジュレーターを投与することを含む摂食障害、特に肥満と神経性大食症の治療法が含まれる。
【0014】
別の態様においては、本発明は受容体の活性のアッセイに本発明の化合物を陽性対照として使用する方法及び適切に標識された本発明の化合物を組織切片における受容体、特にMCH受容体の位置決定のプローブとして使用する方法を提供する。
【0015】
本発明はMCH1受容体へのMCHの結合の阻害剤として、またMCH媒介情報伝達の阻害剤として有用な化合物及び組成物を提供する(例えばMCH結合及びMCH媒介情報伝達のアッセイの標準物質として使用できる)。本発明はさらにin vivoのMCH受容体、好ましくは視床下部にあるMCH1受容体へのMHCの結合を阻害する方法を含む。
【0016】
従って本発明の広範な実施の形態は式Iの化合物と製剤学的に許容できる塩に向けられている。
式中、Qは下式の基を示し、
式中、AはC1−C3アルキル、C1−C3アルコキシ、ハロゲン、ハロ(C1−C3)アルキル、ハロ(C1−C3)アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、及びモノ若しくはジ(C1−C3)アルキルアミノから独立して選択される置換基で任意によりモノ、ジ又はトリ置換されたC1−C5アルキレンであり;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、及びR8は同じか又は異なり、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルキルチオ、ヒドロキシ、アミノ、モノ若しくはジ(C1−C6)アルキルアミノ、ハロ(C1−C6)アルキル、ハロ(C1−C6)アルコキシ、C1−C6アルカノイル、C1−C6アルコキシカルボニル、−COOH、−SO2NH2、モノ若しくはジアルキルスルホンアミド、−C(O)NH2、又はモノ若しくはジ(C1−C6)アルキルカルボキサミドを示し;
R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19は独立して水素又はC1−C6アルキルを示し;
Wは窒素又はC−Raを示し、Raは水素、ヒドロキシ、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルキル又はシアノであり;
Xはハロゲン、シアノ、ニトロ、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C2−C6アルコキシ、C1−C6アルキルチオ、ヒドロキシ、アミノ、モノ若しくはジ(C1−C6)アルキルアミノ、ハロ(C1−C6)アルキル、ハロ(C1−C6)アルコキシ、C1−C6アルカノイル、C1−C6アルコキシカルボニル、−COOH、−CONH2、モノ若しくはジ(C1−C6)アルキルカルボキサミド、−SO2NH2、モノ若しくはジ(C1−C6)アルキルスルホンアミドを示し;あるいは
Xは水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルキルチオ、ヒドロキシ、アミノ、モノ若しくはジ(C1−C6)アルキルアミノ、ハロ(C1−C6)アルキル、ハロ(C1−C6)アルコキシ、C1−C6アルカノイル、C1−C6アルコキシカルボニル、−COOH、−CONH2、モノ若しくはジ(C1−C6)アルキルカルボキサミド、−SO2NH2、及びモノ若しくはジ(C1−C6)アルキルスルホンアミドからなる群から選ばれる、同じか又は異なる5つまでの置換基で任意により置換されたフェニル基を示し;
Yは酸素、硫黄、−S(O)−又は−SO2−であり;そして、
ZはC1−C6アルキル又はモノ、ジ若しくはトリフルオロメチルである。
【0017】
本発明はまた式Iの化合物を調製するために有用な中間体及び方法を提供する。
【0018】
(発明の詳しい説明)
本発明は特にQが環でAがC1−C2アルキルで任意により置換されるメチレンである式Iの化合物と塩を含む。
【0019】
本発明はまた特にWが窒素又はCHで、Aがメチレンである式Iの化合物及び塩に向けられる。このクラスの好ましい化合物と塩はR10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19が水素であるものである。このクラスの他の好ましい化合物と塩はR10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19が水素であり、Xがハロゲンであり、Yが酸素であり、ZがC1−C6アルキルであるものである。Wが窒素又はCHであり、Aがメチレンであり、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19が水素であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、及びR8が同じか又は異なり、水素、ハロゲン、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシを示し、Xが水素、ハロゲン、又はフェニル、最も好ましくはハロゲンであり、Yが酸素であり、そしてZがC1−C6アルキルである式1の化合物と塩もまた好ましい。
【0020】
本発明によって特に提供されるのは式IIの化合物
と製剤学的に許容できるその塩であり、AがC1−C2アルキルで任意により置換されるメチレンであり、R1−R1 9、W、X、Y、及びZは式Iについて定義した通りである。
【0021】
式IIの好ましい化合物と塩はWが窒素又はCHであるものである。
【0022】
式IIの他の好ましい化合物と塩はWが窒素又はCHであり、R10、R11、R12、R13、R15、R17、R18及びR19が水素であるものである。
【0023】
Wが窒素又はCHであり、R10、R11、R12、R13、R15、R17、R18及びR19が水素であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、及びR8が独立して水素、ハロゲン、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシを示し、R14とR16は同じか又は異なり、水素かメチルのいずれかであり、Xが水素、ハロゲン、又はフェニルであり、Yが酸素であり、さらにZがC1−C6アルキルである式IIの化合物と塩もまた好ましい。
【0024】
特に好ましい式IIの化合物と塩はWが窒素又はCHであり、R1、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19が水素であり、R2、R3、R4及びR5が独立して水素、C1−C2アルキル、C1−C2アルコキシ又はハロゲンであり、Xがハロゲンであり、Yが酸素であり、ZがC1−C6アルキルであるものである。
【0025】
本発明はさらに式III
の化合物と製剤学的に許容できるその塩を提供する。式中、R1−R1 9、W、X、Y、及びZは式Iについて定義した通りである。
【0026】
好ましい式IIIの化合物と塩はR13、R15、R17、R19が水素であり、R10、R11、R12、R14、R16及びR18が独立して水素又はメチル、より好ましくは水素を示すものである。
【0027】
R10−R1 9が水素であり、Wが窒素又はCHである式IIIの化合物と塩も好ましい。
【0028】
より好ましい式IIIの化合物と塩はR10−R1 9が水素であり、Wが窒素又はCHであり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、及びR8が独立して水素、ハロゲン、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシであり、Xが水素又はハロゲンであり、Yが酸素であり、ZがC1−C6アルキルであるものである。
【0029】
特に好ましい式IIIの化合物と塩はR10−R1 9が水素であり、Wが窒素又はCHであり、R1、R2、R3、R4が独立して水素、ハロゲン、C1−C2アルキル又はC1−C2アルコキシを示し、R5、R6、R7、及びR8が水素であり、Xがハロゲンであり、Yが酸素であり、ZがC1−C6アルキルであるものである。
【0030】
本発明の他の実施形態は式IV
の化合物と製剤学的に許容できるその塩に向けられる。R1−R1 9、W、X、Y、及びZは式Iについて定義した通りである。
【0031】
式IVの好ましい化合物と塩はR13、R15、R17、R19が水素であり、R10、R11、R12、R14、R16及びR18が独立して水素又はメチル、好ましくは水素を示すものである。
【0032】
R10−R1 9が水素であり、Wが窒素又はCHである式IVの化合物と塩も好ましい。
【0033】
より好ましい式IVの化合物と塩はR10−R1 9が水素であり、Wが窒素又はCHであり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、及びR8が独立して水素、ハロゲン、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシであり、Xが水素又はハロゲンであり、Yが酸素であり、ZがC1−C6アルキルであるものである。
【0034】
特に好ましい式IVの化合物と塩はR10−R1 9が水素であり、Wが窒素又はCHであり、R1、R2、R3、R4が独立して水素、ハロゲン、C1−C2アルキル又はC1−C2アルコキシであり、R5、R6、R7、及びR8が水素であり、Xがハロゲンであり、Yが酸素であり、ZがC1−C6アルキルであるものである。
【0035】
本発明はまた式V
の化合物と製剤学的に許容できるその塩を提供する。Qは下式の基であり、
式中、AはC1−C3アルキル、C1−C3アルコキシ、ハロゲン、ハロ(C1−C3)アルキル、ハロ(C1−C3)アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、及びモノ若しくはジ(C1−C3)アルキルアミノから独立に選択される置換基で任意によりモノ、ジ又はトリ置換されるC1−C5アルキレンであり;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、及びR8は同じか又は異なり、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルキルチオ、ヒドロキシ、アミノ、モノ若しくはジ(C1−C6)アルキルアミノ、ハロ(C1−C6)アルキル、ハロ(C1−C6)アルコキシ、C1−C6アルカノイル、C1−C6アルコキシカルボニル、−COOH、−SO2NH2、モノ若しくはジアルキルスルホンアミド、−C(O)NH2、又はモノ若しくはジ(C1−C6)アルキルカルボキサミドを示し;
R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19は独立して水素又はC1−C6アルキルを示し;
Wは窒素又はC−Raであり、ここでRaは水素、ヒドロキシ、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルキル又はシアノを示す;
Xはハロゲン、シアノ、ニトロ、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルキルチオ、ヒドロキシ、アミノ、モノ若しくはジ(C1−C6)アルキルアミノ、ハロ(C1−C6)アルキル、ハロ(C1−C6)アルコキシ、C1−C6アルカノイル、C1−C6アルコキシカルボニル、−COOH、−CONH2、モノ又はジ(C1−C6)アルキルカルボキサミド、−SO2NH2、モノ若しくはジ(C1−C6)アルキルスルホンアミドを示し;又は
Xは水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C1−C6アルキニル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルキルチオ、ヒドロキシ、アミノ、モノ若しくはジ(C1−C6)アルキルアミノ、ハロ(C1−C6)アルキル、ハロ(C1−C6)アルコキシ、C1−C6アルカノイル、C1−C6アルコキシカルボニル、−COOH、−CONH2、モノ若しくはジ(C1−C6)アルキルカルボキサミド、−SO2NH2、及びモノ若しくはジ(C1−C6)アルキルスルホンアミドからなる群から選択される、同じか又は異なる5つまでの置換基で任意により置換されるフェニルを示し;
Yは酸素、硫黄、−S(O)−、−SO2−であり;そして、
ZはC1−C6アルキル又はモノ、ジ若しくはトリフルオロメチルである。
【0036】
式Vの化合物はMCH1受容体リガンドの調製において有用な中間体である。
【0037】
好ましい式Vの化合物はQが下式の基を示し、
式中、AはC1−C2アルキルでより任意に置換されるメチレンであるか又はAは一重結合であるものである。そのような化合物を式VAの化合物として言及する。
【0038】
本発明は特にWが窒素又はCHである式VAの化合物に向けられる。
【0039】
より好ましい式VAの化合物はWが窒素又はCHであり、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19が水素であるものである。
【0040】
他の好ましい式VAの化合物はWが窒素又はCHであり、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19が水素であり、Xがハロゲンであり、Yが酸素であり、ZがC1−C6アルキルであるものである。
【0041】
特に好ましい式VAの化合物はWが窒素又はCHであり、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19が水素であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、及びR8が同じか又は異なり、水素、ハロゲン、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシを示し、Xがハロゲンであり、Yが酸素であり、ZがC1−C6アルキルであるものである。
【0042】
とりわけ好ましい式Vの化合物には、Qが下式の基であり、
式中、AがC1−C2アルキルで任意に置換されるメチレンであるものが包含される。これらの化合物は本明細書中以下式VI−Aの化合物として言及する。式VI−Aの具体的な化合物にはAがメチレンで、R10とR11がメチル又は好ましくは水素であるものが含まれる。
【0043】
式VAの具体的な化合物にはWが窒素又はCHであるものが含まれる。V及びVAの好ましい化合物にはR10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19が水素であるものが含まれる。
【0044】
式VAの他の具体的な化合物にはXがハロゲンであり、Yが酸素であり、ZがC1−C6アルキルであるものが含まれる。
【0045】
さらに他の式VAの具体的な化合物にはR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、及びR8が同じか又は異なり、水素、ハロゲン、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシであり、Xがハロゲンであり、Yが酸素であり、ZがC1−C6アルキルであるものが含まれる。
【0046】
式Iから式VAの化合物においてはシアノ又はニトロ基が5個以下であることが好ましく、3個以下であることがより好ましい。R1、R2、R3、R4、R5の2個以下が水素でない置換基であることが好ましい。R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19の5個以下が水素でない置換基であることが好ましく、3個以下が水素でない置換基であることがより好ましい。
【0047】
式Iの代表的な化合物を表1に示す。
【0048】
【0049】
ある状況では、本発明の化合物は1つ以上の不斉炭素原子を含むことができ、従って本化合物は異なった立体異性体で存在し得る。これらの化合物は例えばラセミ体又は光学活性体であり得る。このような場合、単一のエナンチオマー、即ち光学活性体は不斉合成又はラセミ体の分割によって得られる。本発明の化合物の不斉合成は以下の例1に示した方法を用いて実施できる。α−メチルベンジル基を有する化合物(R3はメチル、R4は水素)についてはRエナンチオマーが好ましい。ラセミ体の分割は、例えば分割剤の存在下での結晶化のような従来の方法で、又は例えばキラルHPLCカラムを用いたクロマトグラフィーによって遂行される。
【0050】
式1によって包含される本発明の代表的な化合物には表1の化合物及び製剤学的に許容できるそれらの酸付加塩が含まれるが、これらに限定されるものではない。さらに、本発明の化合物が酸付加塩として得られた場合は、遊離塩基は酸塩の溶液を塩基性化することにより得られる。逆に製品が遊離塩基である場合は付加塩、特に製剤学的に許容できる付加塩は、その遊離塩基を適切な有機溶剤に溶解し、塩基化合物から酸付加塩を調製する従来の手順に従って、その溶液を酸で処理することにより、製造することができる。
【0051】
毒性のない製剤学的塩には塩酸、燐酸、臭化水素酸、硫酸、スルフィン酸、蟻酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、硝酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、ヨウ化水素酸、酢酸のような飽和脂肪酸、HOOC−(CH2)n−COOH(nは0−4)等が含まれる。当業者は幅広い毒性のない製剤学的付加塩を認識するであろう。
【0052】
本発明はまた式Iの化合物のアシル化したプロドラッグも包含する。当業者は式Iに包含される化合物の毒性のない製剤学的に許容できる付加塩及びアシル化したプロドラッグを調製するために採用し得る各種の合成法を認識するであろう。
【0053】
化合物に各種の互変異性体がある場合は、本発明は1つの特定の互変異性体に限定されない。本発明は化合物のすべての互変異性体を含む。
【0054】
本発明はヒトのメラニン凝集ホルモン受容体を含むメラニン凝集ホルモン受容体に高親和性で結合する化合物に関する。本発明はまたヒトとサルのメラニン凝集ホルモン受容体を含むメラニン凝集ホルモン受容体に高選択性で結合する化合物を含む。特別な理論に縛られることを望まないが、式Iの化合物とメラニン凝集ホルモン受容体の相互作用が、これらの化合物の医薬品としての有用性を与えると考えられている。
【0055】
本発明はそのような治療が必要な患者を障害の症状を変えるのに十分な本発明の化合物の量で治療する方法を包含する。
【0056】
本発明の化合物及び組成物を用いて治療できる疾患及び/又は障害は摂食障害、性障害、肥満、大食症、食欲不振、糖尿病、心臓病、脳卒中、無オルガスムス症、又は心因性インポテンツである。
【0057】
本発明はまた、本発明の化合物の少なくとも1つの化合物と製剤学的に許容できる少なくとも1つの担体又は賦形剤を共に含む医薬組成物を提供する。そのような医薬組成物には、例えば肥満又は多食のような摂食障害又は無オルガスムス症又は心因性インポテンツのような性的障害の治療のようなメラニン凝集ホルモン受容体の変調に反応する障害の治療のための包装された医薬組成物が含まれる。包装された医薬組成物には、上述の少なくとも1つのメラニン凝集ホルモン受容体の変調の治療有効量を保持する容器と、含有された組成物はメラニン凝集ホルモン受容体の変調に反応する障害の治療のために患者で使用されるべきことを示した指示書(例えばラベル)が含まれる。
【0058】
本発明はまた、メラニン凝集ホルモン受容体へのメラニン凝集ホルモンの結合を阻害する方法にも関連し、その方法は本発明の化合物をin vitroでメラニン凝集ホルモン受容体へのメラニン凝集ホルモンの結合を阻害するのに十分な濃度でメラニン凝集ホルモン受容体を発現している細胞に接触させることを含む。この方法には、例えばin vitroでメラニン凝集ホルモン受容体へのメラニン凝集ホルモンの結合を阻害するのに十分な式Iの化合物の量を与えられた患者において、in vivoでメラニン凝集ホルモン受容体へのメラニン凝集ホルモンの結合を阻害することが含まれる。in vitroでメラニン凝集ホルモン受容体へのメラニン凝集ホルモンの結合を阻害するのに十分な式Iの化合物の量は、例えば例5に記載したアッセイのような、メラニン凝集ホルモン受容体結合アッセイによって容易に測定できる。in vitroでの結合を測定するのに使用されるメラニン凝集ホルモン受容体を含む膜は、例えばクローニングしたヒト又はサルのメラニン凝集ホルモン受容体を発現しているHEK293細胞、特にそのような受容体を発現しているHEK293細胞のような各種の源から得られる。
【0059】
本発明はまた、MCH受容体の情報伝達活性を変化させる方法、特にMCH受容体に媒介される細胞内カルシウムの放出を変化させる方法に関し、その方法にはそのような受容体を発現している細胞を本発明化合物の有効量に暴露することが含まれる。この方法には例えばin vitroでMCH受容体の情報伝達活性を変化させるのに十分な式Iの化合物の量が与えられた患者において、in vivoでMCH受容体の情報伝達活性を変化させることが含まれる。MCH受容体の情報伝達活性を変化させるのに十分な化合物の量は、例えば例6に記載したカルシウムの動員(mobilization)アッセイのようなMCH受容体の情報伝達アッセイによって測定できる。
【0060】
本発明によって提供されるメラニン凝集ホルモン受容体リガンドとその標識誘導体はまた、メラニン凝集ホルモン受容体への候補医薬品の結合能の測定において、標準物質及び試薬として有用である。
【0061】
本発明によって提供されるメラニン凝集ホルモン受容体リガンドの標識誘導体は陽電子放射断層撮影法(PET)造影又は単一光子放射断層撮影法(SPET)の放射性トレーサーとしても有用である。
【0062】
本発明の好ましい化合物は殺真菌活性を示さない。そのような殺真菌活性の欠如は固体MAG培地上32℃で48時間生長させたAspergillus nidulans 株 R153のコロニーサイズのわずか40%の減少(100ppmの化合物で処理し、非処理の対照と比較した時)で証明できる。BENOMYLを任意により陽性対照として使用できる。MAG培地は2%麦芽エキス、0.2%ペプトン、1%グルコース及び微量元素であり、pHは6.5である。微量元素の5000倍濃縮物は10g/L EDTA、4.4g/L ZnSO4・7H2O、1.01g/L MnCl2・4H2O、0.32g/L CoCl2・6H2O、0.315g/L CuSO4・5H2O、0.22g/L (NH4)6Mo7O24・H2O、1.47g/L CaCl2・2H2O及び1.0g/L FeSO4・7H2Oからなる。培地は1.5%の寒天を加えて固めてある。
【0063】
代わりに、そのような殺真菌作用の欠如は小麦上のPuccinia recondita(赤さび病)、大麦上のErysiphe graminis(うどんこ病)、リンゴ上のVenturia inaequalis(赤かび病、黒色斑点)及びピーナツ上のCercospora arachidicola(早期斑点病)の60%から100%の各感染頻度で証明できる。
【0064】
殺真菌活性の測定に採用される技術は次の通りである。植物を4cmの直径のミニスポット中のJohn Innes Potting Compost(適宜、No1又はSeed)の中で生長させる。細かい砂をポットの底に置き、試験する化合物が根から取り込まれるのを容易にする。
【0065】
試験される化合物は、例えば水性Dispersol Tと共にビード粉砕で、又は使用直前に必要な濃度に希釈されるアセトン/エタノール溶液として製剤化される。葉には100p.p.m.a.i.懸濁液をスプレーし、同じ植物の根には土壌を介して適用する。(スプレーは最大保持で適用し、根は約40ppma.i./乾燥土壌と同等の最終濃度に浸す)。スプレーが穀物に適用される場合は、最終濃度0.1%のTween 20を加える。
【0066】
大部分の試験で、試験化合物は植物に病気が接種される1日又は2日前に土壌(根)と葉(スプレーで)に適用される。例外はErysiphe graminisの試験で、この場合、植物は処置の24時間前に接種される。接種後、植物は感染が起きるような適切な環境に置き、病気が評価できるようになるまで接種される。接種と評価の間の期間は病気と環境によって4日から14日まで変わる。
【0067】
化学的記述及び用語
本発明の化合物には不斉中心がある;本発明はすべての光学異性体とその混合物を含む。
【0068】
炭素−炭素の二重結合を有する本発明の化合物にはZ型とE型がある;本化合物のすべての異性体が本発明に含まれる。
【0069】
式Iに1回を超すいかなる変更が生じた時、そのたびに現れる定義は他のすべての場合に現れる定義に無関係である。
【0070】
本発明中の「C1−C6アルキル」は1−6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝したアルキル又はシクロアルキル基を意味し、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、nーブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、2−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル及び3−メチルペンチルである。好ましいC1−C6アルキル基はメチル、エチル、プロピル、ブチル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ノルボルニル等である。特に好ましいアルキル基はメチルとエチルである。
【0071】
本発明中の「C1−C6アルコキシ」は酸素ブリッジによって結合した指定された炭素数のアルキル基を意味し、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、ter−ブトキシ、ペントキシ、2−ペンチル、イソペントキシ、ネオペントキシ、ヘキソキシ、2−ヘキソキシ、3−ヘキソキシ及び3−メチルペントキシである。好ましいアルコキシ基はC1−C4アルコキシ基である。特に好ましいアルコキシ基はメトキシとエトキシである。
【0072】
「ハロゲン」にはフッ素、塩素、臭素と沃素が含まれる。Xは式Iから式Vまでの式でハロゲンであり、臭素が特に好ましい。
【0073】
「ハロアルキル」は1つ以上のハロゲン原子で置換された特定の炭素数を有する分枝した又は直鎖の飽和脂肪族炭化水素基を含む。ハロアルキルの例にはモノ、ジ、トリ−フルオロメチル、モノ、ジ、トリ−クロロメチル、モノ、ジ、トリ、テトラ−又はペンタ−フルオロエチル及びモノ、ジ、トリ、テトラ又はペンタ−クロロエチルが含まれるが、これらに限定されるものではない。典型的なハロアルキル基はトリフルオロメチル及びジフルオロメチルである。本発明の化合物に好ましくは5個以下、より好ましくは3個以下のハロアルキル基があることが好ましい。
【0074】
「ハロアルコキシ」は酸素ブリッジによって結合した指定された炭素数の上に定義したハロアルコキシ基を示す。
【0075】
毒性のない「製剤学的に許容できる塩」には塩酸塩、硫酸塩、燐酸塩、二燐酸塩、臭化水素酸塩及び硝酸塩又はリンゴ酸塩、マレエート、フマル酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、2−ヒドロキシスルホン酸塩、サリチル酸塩及びステアリン酸塩が含まれるが、これらの塩に限定されるものではない。同様に製剤学的に許容できるカチオンにはナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、リチウム及びアンモニウムが含まれるが、これらに限定されるものではない。本発明は式Iの化合物のプロドラッグを包含する。
【0076】
医薬製剤
当業者は式Iに包含される化合物の、製剤学的に許容できる毒性のないプロドラッグの調製のために採用される各種の合成方法を認識するであろう。当業者は本発明化合物の溶媒和物を調製するために使用される、例えば水、エタノール、鉱油、植物油及びジメチルスルホキシドのような製剤学的に許容できる毒性のない幅広い各種溶剤を認識するであろう。
【0077】
一般式Iの化合物は従来の毒性のない製剤学的に許容できる担体、アジュバント及び溶媒を含む用量単位製剤で経口、局所、非経口、吸入又はスプレー又は経直腸で投与できる。ピル、カプセル、エリキシル、シロップ、薬用ドロップ、トローチ等の型での投与が特に好ましい。本明細書中で使用されている非経口と言う用語には皮下注射、皮内、血管内(例えば静脈内)、筋肉内、脊椎、くも膜下注射等又は注入技術が含まれる。さらに一般式Iの化合物と製剤学的に許容できる担体を含む医薬製剤が提供されている。1つ以上の一般式Iの化合物を1つ以上の毒性のない製剤学的に許容できる担体及び/又は希釈剤及び/又はアジュバント及び必要であれば他の活性成分と共に用いてもよい。一般式Iの化合物を含む医薬品組成物は例えば、錠剤、トローチ、薬用ドロップ、水性又は油性懸濁液、分散性粉末又は顆粒、エマルジョン、硬カプセル又は軟カプセル、シロップ又はエリキシルのような経口使用に適した剤型であってもよい。
【0078】
経口用の組成物は技術分野で公知の医薬組成物の製造方法に従って調製でき、そのような組成物は製剤学的に優雅で味のよい製剤を提供するために甘味剤、フレーバー剤、着色剤及び防腐剤からなる群から選ばれた1つ以上の添加剤を含んでもよい。錠剤は錠剤の製造に適した毒性がなく、製剤学的に許容できる賦形剤との混合物中に活性成分を含む。これらの賦形剤は例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、乳糖、燐酸カルシウム又は燐酸ナトリウムのような不活性希釈剤;例えばコーンスターチ、アルギン酸のような粒状化剤及び崩壊剤;例えば澱粉、ゼラチン又はアラビアゴムのような結合剤及び例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクのような潤滑剤である。錠剤はコーティングされていなくてもよく、又は消化管中での崩壊と吸収を遅らせ、それによって長期間にわたって持続する作用を与えるために公知の技術でコーティングされていてもよい。例えばグリセリルモノステアレート又はグリセリルジステアレートのような時間遅延物質を使用できる。
【0079】
経口用の製剤は、例えば炭酸カルシウム、燐酸カルシウム又はカオリンのような不活性固体希釈剤と活性成分を混合した硬ゼラチンカプセルとして、又は活性成分を水又は例えばピーナッツ油、液状パラフィン若しくはオリーブ油のような油媒体と混合した軟カプセルとして提供できる。
【0080】
水性懸濁液は水性懸濁液の製造に適した賦形剤との混合物中に活性物質を含む。そのような賦形剤は例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム塩、メチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、アラビアゴムのような懸濁剤;分散又は湿潤剤の例としてはレシチンのような天然由来のホスファチド又はアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合物、例えばポリオキシエチレンステアレート、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、エチレンオキシドと脂肪酸とヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合物、例えばポリオキエチレンソルビトールモノオレエート、又はエチレンオキシドと脂肪酸とヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとの縮合物、例えばポリエチレンソルビタンモノオレエート等である。水性懸濁液は、例えばエチル、n−プロピルp−ヒドロキシベンゾエートのような1つ以上の防腐剤、1つ以上の着色剤、1つ以上のフレーバー剤及び1つ以上の蔗糖又はサッカリンのような甘味剤を含んでもよい。
【0081】
油性懸濁液は例えばラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油若しくはココナッツ油のような植物油又は液状パラフィンのような鉱物油中に活性成分を懸濁して製剤化してもよい。油性懸濁液は例えば、みつろう、硬パラフィン又はセチルアルコールのような増粘剤を含んでもよい。味のよい経口製剤を提供するために上述したような甘味剤及びフレーバー剤を加えてもよい。これらの組成物はアスコルビン酸のような抗酸化剤を加えて保存される。
【0082】
水を加えることによって水性懸濁液を調製するのに適した分散性粉末と顆粒は、活性成分を分散剤又は湿潤剤、懸濁剤及び1つ以上の防腐剤との混合物で提供する。適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤は既に上述したもので例示されている。例えば甘味剤、フレーバー剤及び着色剤のような賦形剤を更に添加してもよい。
【0083】
本発明の医薬品組成物は水中油型のエマルジョンであってもよい。油層は例えばオリーブ油若しくはラッカセイ油のような植物油又は液状パラフィンのような鉱物油あるいはこれらの混合物であってもよい。適切な乳化剤は例えばアラビアゴム、トランガカントゴムのような天然由来のゴム、例えば大豆、レシチン、等の天然由来のホスファチド、脂肪酸とヘキシトール無水物から誘導されるエステル又は部分エステル、例えばソルビタンモノオレエート、及びその部分エステルとエチレンオキシドとの縮合物、例えばポリオキエチレンソルビタンモノオレエートであってもよい。エマルジョンは甘味料及びフレーバー剤をまた含んでもよい。
【0084】
シロップ及びエリキシルには例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール又は蔗糖を配合してもよい。そのような製剤はまた緩和薬、防腐剤及びフレーバー剤及び着色剤を含んでもよい。医薬組成物は滅菌した注射用水性又は油脂性懸濁物の剤型であってもよい。この懸濁物は公知の方法に従って上述の適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を用いて製剤化され得る。滅菌した注射用製剤はまた、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液のような毒性のない非経口で許容できる希釈剤又は溶剤中の滅菌した注射用溶液又は懸濁物であってもよい。許容できるビヒクル及び溶媒の中で採用されるのは水、リンゲル溶液及び等張の塩化ナトリウム溶液である。さらに滅菌した硬化油が従来から溶剤又は懸濁媒体として採用されている。この目的のために合成したモノ及びジグリセリドを含め、刺激のないすべての硬化油を採用できる。更にオレイン酸のような脂肪酸が注射製剤に有用である。
【0085】
一般式Iの化合物はまた例えば薬物の経直腸投与に座薬の形で投与できる。これらの製剤は、薬物と常温で固体であるが直腸の温度で液体であり、従って直腸内で融解して薬物を放出する適切な刺激のない賦形剤を混合して調製できる。そのような物質はココアバター及びポリエチレングリコールである。
【0086】
一般式Iの化合物は滅菌した媒体中で非経口投与してもよい。薬物は使用するビヒクルと濃度によって、ビヒクル中に懸濁又は溶解できる。例えば、局所麻酔剤、防腐剤及び緩衝剤のようなアジュバントを溶剤に溶解することができるので、有利である。
【0087】
ヒト以外の動物に投与する場合は、組成物を餌又は飲み水に加えてもよい。動物が餌と一緒に組成物の適量を摂取するように、これらの動物の餌及び飲み水の組成物を製剤化することは便利である。また、組成物を餌又は飲み水に添加するためのプレミックスとしての提供することも便利である。
【0088】
上に示した状態の治療には、約0.1mgから約140mg/kg体重/日の用量レベルが有用である(患者1人1日当たり約0.5mgから約7g)。単回用量剤型を製造するために担体物質と組み合わされる活性成分の量は治療される宿主と投与形態によって異なる。用量単位剤型は一般に約1mgから約500mgの活性成分を含む。
【0089】
投与回数も使用する化合物と治療される特定の病気の種類によって異なる。しかし大抵の障害の治療には、1日当たり4回以下の投与法が好ましい。肥満等の摂食障害の治療には、1日あたり1回又は2回の投与計画が特に好ましい。インポテンスの治療には速く有効量に達する単回投与が望ましい。
【0090】
特定の患者のための特定の用量レベルは、使用する特定の化合物の活性、年齢、体重、一般健康状態、性別、食事、投与時期、投与経路及び排泄速度、併用薬及び治療中の特定の疾患の重症度等の各種の因子に依存する。
【0091】
本発明の好ましい化合物は望ましい薬理学的性質を有する。そのような性質は経口でのバイオアベイラビリティー、低毒性、低血清蛋白質結合及びin vitroとin vivoの望ましい半減期等であるが、これらに限定されない。CNS障害の治療に使用される化合物には血液脳関門の通過が必要である一方、末梢の障害に使用される化合物は脳内レベルが低いことがよく好ましい。
【0092】
これらの望ましい薬理学的性質を予測するためにアッセイを用いることができる。バイオアベイラビリティーを予測するのに用いられるアッセイにはCaco−2細胞単層を含むヒトの腸細胞の単層を超える輸送等がある。培養肝細胞に対する毒性は化合物の毒性を予測するのに用いることができる。ヒトにおける化合物の血液脳関門の通過は、化合物を静脈内投与した実験動物での化合物の脳内レベルから予測できる。
【0093】
血清蛋白質結合はアルブミン結合アッセイから予測できる。そのようなアッセイはOravcova等のレビュー(Journal of Chromatography B(1996)Volume 677、pages1−27)に記載されている。
【0094】
化合物の半減期は化合物の投与頻度に逆比例する。in vitroでの化合物の半減期はKuhnzとGieschenが記載しているミクロソームの半減期のアッセイから予測できる(Drug Matabolism and Disposition,(1998)Volume 26,Pages 1120−1127)。
【0095】
式Iの化合物は標準的なin vitro MCH受容体結合アッセイ及び/又はカルシウム動員アッセイ、特に後に示す例5と6で特定されたアッセイで良好な活性を示す。「標準的なin vitro 受容体結合アッセイ」とは後に示す例5で定義したプロトコールのことである。「標準的なMCH 1受容体カルシウム動員アッセイ」とは後に示す例6で定義したプロトコールのことである。in vitro MCHI受容体結合アッセイで定義され、例5に示した標準において、一般的に式Iの好ましい化合物のKiは約1マイクロモル以下であり、Kiが約100ナノモル以下であることがより好ましく、Kiが約10ナノモル以下であることがさらに好ましく、1ナノモル以下がよりさらに好ましい。一般的に式Iの好ましい化合物はMCHI受容体のアンタゴニストであり、後に例6で例示する、定義された標準的なin vitro MCH 1受容体媒介カルシウム動員アッセイにおいて、EC50の値は約4マイクロモル以下であり、約1マイクロモル以下がより好ましく、約100ナノモル以下のEC50の値がさらに好ましく、さらに約10ナノモル以下又は1ナノモル以下がより好ましい。
【0096】
式Iの好ましい化合物はドーパミン受容体、特にヒトのドーパミンD2及びD4受容体と相互作用しない。ドーパミン受容体結合アッセイは後に示す例9に記載する方法を用いて実施できる。式Iの好ましい化合物は例9に記載するドーパミンD2及びD4受容体結合アッセイのような標準的なドーパミン受容体結合アッセイで1マイクロモルを超すKi値を示す。
【0097】
例
化合物の調製
本発明の化合物は本質的に図式1に示した合成手順に従って調製できる。一般構造式7の2−フェニルアシルシクロアルキル化合物を還元剤の存在下で4−アリールピペラジン又はピペリジンと縮合して一般式Iの化合物を提供できる。還元剤は水素化硼酸ナトリウム、トリアセトキシ水素化硼酸ナトリウム、水素化リチウムアルムニウム、アラン等であってもよい。替わりに酸塩化物又は酸をピペラジンと結合してアミドを作り、引き続きそれを還元して所望の式Iの化合物を得ることができる。
【0098】
本発明の特定の化合物の調製(化合物1の1S,2Sエナンチオマー)を図式2に記載し、使用する合成工程を例1に示す。図式2の範囲内において、1S、2S 2−フェニルシクロプロパンカルボン酸(9)を1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(EDCI)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)の存在下で1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)ピペラジンと縮合させた。得られたアミド11をテトラヒドロフラン中で、アランで還元して所望のアミンを得た。
【0099】
当業者は下記例で示されるように、本発明に包含される化合物を製造するために出発原料を変え、また追加の工程を用いることができることを理解するであろう。特に断らない限り、試薬と溶剤は標準の市販グレードであり、さらに精製せずに使用される。
図式1
図式2
化合物1の1S,2Sエナンチオマーの調製
【0100】
例1
(1S,2S)−1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−フェニルシクロプロピル)メチルピペラジンの調製
以下の例中の番号9−11の化合物は図式2に示した化合物を表す。
1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)ピペラジン(10)
1−(3−メトキシフェニル)ピペラジン二臭化水素化物(3.5g、10mmol)の溶液をDMSO(30mL)に溶解し、大気に開放されたフラスコ中で65℃で4時間加熱する。冷却後、混合物を1Nの水酸化ナトリウム溶液100mLを含む分液濾斗に注ぎ、エチルエーテル(3X100mL)で抽出する。有機抽出物を乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、濃縮して固体の1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)ピペラジンを得る。1H NMR(400MHz、CDCl3)7.34−7.36(d,J=2.2Hz,1H,),6.47(s,1H),6.38−6.41(d,J=2.8Hz,1H)),3.87(s,3H,OMe),3.11−3.13(m,4H),3.01−3.03(m,4H)
【0101】
(1S,2S)−1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−フェニルシクロプロピル)カルボニルピペラジン(11)
EDCI(0.42 g, 2.2 mmol),DMAP(0.27 g, 2.2 mmol)及びHOBT(0.23 g, 2.2mmol)をクロロホルム(15mL)中の酸9(0.34g、2.1mmol)とピペラジン10(0.54g、2.0mmol)の溶液に加え、得られた溶液を一夜攪拌する。溶液を水(10mL),飽和NaHCO3溶液(10mL),ブライン(10mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥する。濾過後、溶液を濃縮し、得られた油をカラムクロマトグラフィーでクロロホルム中の2%メタノールで溶出して精製し、所望のアミド11を白色の粘着性固体として得る。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ7.1−7.5(m、6H),6.50(s,1H),6.40(d,J=7Hz,1H),3.89(s,3H,OMe),3.8(bm,4H),3.2(bm,4H),2.5(m,1H),1.98(m,1H),1.70(m,1H),1.35(m,1H),LCMS(CI)416(M+1)
【0102】
(1S,2S)−1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−フェニルシクロプロピル)メチルピペラジン(化合物1、表1)
アラントリエチルアミン錯体(3.13mL,1.57 mmol)の溶液を0℃でTHF(10mL)中のアミド11(0.65g、1.57mmol)溶液に加える。45分後水で反応を終了させ、エーテルで抽出する。有機抽出物を乾燥(MgSO4)し、濾過し、濃縮して得られた無色の油をカラムクロマトグラフィーで5%メタノール/クロロホルムで溶出して、無色の油として所望の化合物1を得る。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ7.38(d,J=7Hz,1H),7.1−7.35(m,5H),6.45(d,J=1Hz,1H),6.40(dd,J=7,1Hz,1H),3.88(s,3H,OMe),3.2(m,4H),2.7(m,4H),2.63(m,1H),2.40(dd,J=12,5Hz,1H),1.70(m,1H),1.25(m,1H),0.85−1.0(m,2H)
【0103】
例2
次の化合物は本質的に図式1と2に関連して記載し、さらに例1に挙げた手順によって調製できる。有機合成の専門家には次の化合物を調製するのに適した改変は極めて明白であろう。
a)1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−フェニルシクロプロピル)メチルピペラジン
b)1R,2R−1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−フェニルシクロプロピル)メチルピペラジン
c)1−(4−ヨード−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−フェニルシクロプロピル)メチルピペラジン
d)1−(4−クロロ−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−フェニルシクロプロピル)メチルピペラジン
e)1−(4−フェニル−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−フェニルシクロプロピル)メチルピペラジン
f)1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−[トランス−2−(3−メトキシフェニル)シクロプロピル]メチルピペラジン
g)1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−[4−クロロフェニル]シクロプロピル)メチルピペラジン(化合物4)
h)1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−[2−メチルフェニル]シクロプロピル)メチルピペラジン(化合物2)
i)1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−[4−メトキシフェニル]シクロプロピル)メチルピペラジン
j)1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−([3−フェニル]プロペン−2−イル)ピペラジン(化合物5)
k)1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−([3−{2−メチルフェニル}]プロペン−2−イル)ピペラジン(化合物6)
l)1−(3−メトキシフェニル)−4−([3−フェニル]プロペン−2−イル)ピペラジン
m)1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−([3−{メチルフェニル}]プロペン−2−イル)ピペラジン
n)1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−([3−{2−メチルフェニル}]プロペン−2−イル)ピペラジン
o)1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−([3−{3−クロロフェニル}]プロペン−2−イル)ピペラジン
p)1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−([3−{3−エトキシフェニル}]プロペン−2−イル)ピペラジン
q)1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−([3−{2,3−ジメトキシフェニル}]プロペン−2−イル)ピペラジン
r)1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−([3−{3,4−ジメトキシフェニル}]プロペン−2−イル)ピペラジン
s)1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−([3−{2,5−ジメトキシフェニル}]プロペン−2−イル)ピペラジン
t)1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−([3−{2,4−ジメトキシフェニル}]プロペン−2−イル)ピペラジン
u)1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−フェニルシクロプロピル)メチルピペリジン
v)1−(4−ヨード−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−フェニルシクロプロピル)メチルピペリジン
w)1−(4−クロロ−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−フェニルシクロプロピル)メチルピペリジン
x)1−(4−メチル−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−フェニルシクロプロピル)メチルピペリジン
y)1−(4−トリフルオロメチル−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−フェニルシクロプロピル)メチルピペリジン
z)1−(4−ブロモ−3−エトキシフェニル)−4−(トランス−2−フェニルシクロプロピル)メチルピペリジン
【0104】
例3
MCH1受容体発現細胞
ヒトのMCH1受容体、サルのMCH1受容体又はヒトMCH1受容体/ヒトβ2アドレナリン作動性受容体のキメラ受容体を発現している細胞又は組み換え細胞の調製物を次の放射性リガンド結合アッセイ及びカルシウム動員アッセイに使用できる。そのようなMCH1受容体の発現ベクターの調製は、例えば2000年7月6日出願の米国仮出願第60/216,081及び2001年4月19日出願の米国仮出願第60/284,835のページ19−20及び配列表に既に記載されており、MCH1受容体のクローニングと発現に関するこれら教示について引用により本明細書中に組み込む。
【0105】
サルのMCH受容体を発現するHEK293細胞の調製
HEK293細胞に、標準的な燐酸カルシウム沈殿手順によって、前に記載したアカゲザルのMCH発現ベクター又は他のMCH1発現ベクターを用いて安定してトランスフェクションする。
【0106】
細胞は10%のウシ胎児血清、25mM HEPES及び500ug/mLG418が補給されたDMEM高グルコース培養培地(カタログ#10−017−CV, MEDIATECH, Herndon,VA)中で約48−72時間、37°C 5%CO2で集密的になるまで増殖させる。細胞は穏やかに遠心分離してペレット化する。細胞のペレットは冷PBSで2回洗浄し、5mMのEDTAを含む冷PBS中に収穫し、−80°Cで貯蔵する。
【0107】
サルのMCH受容体を発現しているCHO細胞の調製
CHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞に、標準的な燐酸カルシウム沈殿手順によってMCH1発現ベクターを用いてトランスフェクションする。
【0108】
細胞は10%のウシ胎児退治血清、25mM HEPES及び500ug/mL(活性)G418が補給されたHamのF12培養培地(カタログ#10−080−CV, MEDIATECH, Herndon,VA)中で約48−72時間,37°C, 5%CO2で集密的になるまで増殖させる。細胞は穏やかに遠心分離してペレット化する。細胞のペレットは冷PBSで2回洗浄し、5mMのEDTAを含む冷PBS中に収穫し、−80°Cで貯蔵する。
【0109】
例4
精製膜
−80°Cで冷凍貯蔵したHEK293細胞に洗浄緩衝液(1.0mMCaCl2,5.0mM MgCl2,120mM NaCl,PH7.4を加えた25mMのHepes)を加えて融解し、5に設定したBRINKMAN POLYTRONを用いて30秒間ホモジナイズする。細胞を48,000xgで10分間遠心分離する。上清を捨て、ペレットを新しい洗浄緩衝液に再度懸濁し、再度均質化する。得られた膜調製物の蛋白質濃度をBradfold蛋白質アッセイ(BioRad Laboratories, Hercules, CA)を用いて測定する。この測定で1Lの細胞の培養で通常50−75mgの全膜蛋白質が得られる。
【0110】
例5
キメラ受容体モジュレーターの放射性リガンド結合アッセイ
サルのMCH受容体を発現しているHEK293細胞からの精製膜を例3で述べた手順で調製する。膜のホモジネートを前記と同様遠心分離し、50ug膜蛋白質/150ul結合緩衝液のアッセイ容積のために、結合緩衝液(洗浄緩衝液+0.1%BSA及び1.0uMの最終濃度のホスホラミドン)中333ug/mLの蛋白濃度になるまで再懸濁する。ホスホラミドンはSIGMA BIOCHEMICALs、St.Louis,MO(cat#R−7385)製である。
【0111】
競合結合アッセイは室温でファルコン96ウェルの丸底ポリプロピレンプレートで行う。各アッセイウェルに、上記のように調製した結合緩衝液中のMCH受容体を含む膜、150ul、結合緩衝液中の50ulの125I−Tyr MCH,50ulの結合緩衝液及びDMSO中の2ulの試験化合物を加える。125I−Tyr MCH(比活性=2200Ci/mMol)はNEN,Boston,MA(Cat#NEX 373)から購入し、結合緩衝液中で希釈して、30pMの最終アッセイ濃度とする。
【0112】
非特異的結合は1uMの非標識MCHの存在下で測定した結合と定義する。MCHはBACHEM U.S.A.,King of Prussia, PA(Cat#H−1482)から購入する。非特異的MCH結合の測定のために使用する各アッセイウェルに結合緩衝液中のMCH受容体を含む膜150ul,結合緩衝液中の50ulの125I−Tyr,25ulの結合緩衝液中の非標識MCH及び25ulの結合緩衝液を加える。
【0113】
アッセイプレートは室温で1時間培養する。膜はWALLACガラス繊維フィルター(PERKIN−ELMER,Gaithersburg MD)上に収穫し、それを使用前に2時間、1.0%PEI(ポリエチレンイミン)に前もって浸す。フィルターは一昼夜乾燥させ、WALLAC BETA SCINTシンチレーション液を加えた後、WALLAC 1205 BETA PLATEカウンター中で計測する。
【0114】
飽和結合に関して、125I−TyrMCHの濃度は7から1,000pMまで変化する。通常、飽和結合曲線あたり11の濃度点を集める。
【0115】
平衡結合パラメーターはコンピュータープログラムFitPTM(BIOSOFT, Ferguson,MO)を使って測定値をアロステリックなHillの方程式に当てはめて求めた。
【0116】
例6
サルのMCH受容体の機能アッセイ
カルシウム動員アッセイ
メラニン凝集ホルモン受容体を発現している細胞のメラニン凝集ホルモンに対する反応は次のアッセイを用いて観察できる。このアッセイはまた、試験化合物がメラニン凝集ホルモン受容体のアゴニスト又はアンタゴニストとして作用するかの測定のためにも使用できる。
【0117】
MCH1受容体発現ベクターを安定してトランスフェクションしたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞をFALCON黒壁、透明な底の96ウェルのプレート(#3904、BECTON−DICKINSON,Franklin Lakes,NJ)中で15,000細胞/ウェルの密度まで増殖させる。アッセイを実施する前に培養培地を96ウェルプレートから取り除く。Fluo−3カルシウムに感受性のある染料(Molecular Probes,Eugene,OR)を各ウェルに加える(染料溶液:1mgFLUO−3 AM,440uL DMSO及び440uL 20%プルロン酸のDMSO溶液を1:4に希釈し、希釈溶液50uLを各ウェルに加える)。プレートをアルミニウムフォイルで覆い、37℃で1−2時間培養する。培養後、染料溶液をプレートから取り除き、細胞を100uLのKRH緩衝液(0.05mM KCl,0.115M NaCl,9.6mM NaH2PO4,0.01mM MgSO4,25mM HEPES, pH7.4)で1回洗浄し、余分な染料を除去する。洗浄後、80uLのKRH緩衝液を各ウェルに加える。
【0118】
アゴニスト作用の測定
ヒトMCH又は試験化合物のいずれかを加えて、蛍光反応を480nMでの励起と530nMの放出により、下記のようにFLIPRTMプレートリーダー(Molecular Devices, Sunnyvale,CA)で観察できる。
【0119】
アンタゴニスト作用の測定
試験化合物がMCH受容体を発現している細胞のMCHに対する反応と拮抗する能力を測定するために、先ずMCHのEC50を測定する。
【0120】
直ぐ上に記載したように調製した、細胞の各ウェルに、更に20uLのKRH緩衝液と1uL DMSOを加える。FLIPR装置によって、KRH緩衝液中の100uLのヒトMCHを自動的に各ウェルに移す。1nMから3uMの最終MCH濃度の8点の濃度反応曲線を用いてMCH EC50を測定する。
【0121】
試験化合物をDMSOに溶解し、20uLのKRH緩衝液で希釈し、上に記載したように調製した細胞に加える。調製した細胞と試験化合物を含む96ウェルプレートを暗所室温で0.5−6時間培養する。培養は6時間を超えないことが重要である。蛍光反応を測定する直前に、KRH緩衝液中で2xEC50まで希釈した100ulのヒトMCHを、96ウェルプレートの各ウェルに、最終試料容積が200uLで、最終MCH濃度がEC50になるようにFLIPR装置によって自動的に加える。アッセイウェル中の試験化合物の最終濃度は1uMと5uMの間である。通常、MCHの1つのEC50に暴露された細胞は約10,000相対的蛍光単位の蛍光反応を示す。MCH受容体のアンタゴニストは対照細胞と比べて統計的に重要なパラメトリック検定を用いた測定で、p≦0.05の有意に少ない反応を示す。通常、MCH受容体のアンタゴニストは対応した対照と比べて、対照細胞に関する蛍光反応を約20%,好ましくは約50%、最も好ましくは約80%低下する。
【0122】
アゴニスト作用の測定
化合物がMCH受容体のアゴニストとして作用する能力は上記の方法を用いて、MCHの非存在下で、MCH受容体を発現する細胞の蛍光反応を測定することによって決定される。細胞にバックグラウンド以上の蛍光を生じる化合物がMCH1受容体のアゴニストである。
【0123】
例7
本発明の放射性標識プローブ化合物の調製
本発明の化合物は、放射性同位体である原子を少なくとも1つ含む先駆体を用いて合成を行うことによって、放射性標識プローブとして調製される。放射性同位体は、炭素(好ましくは14C)、水素(好ましくは3H)、硫黄(好ましくは35S)、又は沃素(好ましくは125I)の少なくとも1つから選ばれることが好ましい。そのような放射性標識プローブは放射性標識プローブ化合物の受注合成専門の放射性同位体供給業者によって便宜に合成されている。そのような業者はAmersham Corporation,Arlington Heights,IL;Cambridge Isotope Laboratories,Inc.Andover, MA;SRI International,Menlo Park, CA;Wizard Laboratories,West Sacramento, CA;ChemSyn Laboratories,Lexena,KS;American Radiolabeled Cheicals, Inc., St.Louis,MO;及びMoravek Biochemicals Inc.,Brea,CA等である。
【0124】
トリチウム標識プローブ化合物は、通常トリチウム化酢酸中でのプラチナ触媒交換法、トリチウム化トリフルオロ酢酸中での酸触媒交換法又はトリチウムガスとの不均一触媒交換法で触媒的に調製される。そのような調製は、本発明の化合物を基質として用いて、前パラグラフに示したいずれかの業者によって受注合成として通常行われている。更に特定の先駆体について、適宜トリチウムガスによるトリチウム−ハロゲン交換、トリチウムガスによる不飽和結合の還元又は硼酸トリチウムを用いた還元を行うことができる。
【0125】
例8
培養細胞及び組織試料中のメラニン受容体のプローブとしての本発明の化合物の使用
培養細胞又は組織試料中のメラニン凝集ホルモン受容体の受容体オートラジオグラフイー(受容体マッピング)は前記の例で記載した本発明の放射標識化合物を用いて、Current Protocols in Pharmacology(1998)John Wiley&Sons, New Yorkの8.1.1から8.1.9節にKuharが記載しているようにin vitroで実施する。
【0126】
例9
D 2 及びD 4 受容体の結合活性の測定
次のアッセイは化合物のドーパミンD2及びD4受容体への結合親和性を測定するための標準的なアッセイである。
【0127】
遺伝子組み換えで発現している霊長類のD2及びヒトのD4ドーパミン受容体を含むチャイニーズハムスターの卵巣(CHO)細胞のペレットをアッセイに使用する。試料を120mMのNaCl、5mMのMgCl2及び1mMのEDTAを含む、0.05MのトリスHCl緩衝液100容量(w/vol)中でホモジナイズする。ついで試料を30,000xgで遠心分離し、再懸濁し、再ホモジナイズする。ついで記載したように、試料を遠心分離し、最終組織試料を使用するまで凍結する。組織を120mMのNaClを含む0.05MのトリスHCL緩衝液に1:20(wt/vol)で再懸濁する。
【0128】
ドーパミン作動性結合についてのインキュベーションは25℃で行い、1.0mlの全インキュベーション液中に、0.4mlの組織試料、0.1nMの3H−YM 09151−2(ネモナプライド、cis−5−クロロ−2メトキシ−4−(メチルアミノ)−N−(2−メチル−2−(フェニルメチル)−3−ピロリジニル)ベンズアミド)及び問題の化合物を含む。非特異的結合は1マイクロモルのスピペロンの存在下での結合と定義する;更に添加することなしに、非特異的結合は全結合の20%未満である。
【0129】
本発明とそれを製造し、使用する様式及び方法について、関連する技術当業者が同じものを製造し、使用することができるように、完全、明確、詳細かつ正確な用語で記載した。この記載は本発明の好ましい実施形態の記載であり、請求項に記載した本発明の精神又は範囲から逸脱することなく修正できることを理解すべきである。発明の主題を特に指摘し、明確に請求するために、以下の請求項で本明細書を締めくくる。
Claims (48)
- 下式
又はその製剤学的に許容できる塩である化合物:
式中、Qは下式の基を示し、
式中AはC1−C3アルキル、C1−C3アルコキシ、ハロゲン、ハロ(C1−C3)アルキル、ハロ(C1−C3)アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、及びモノ又はジ(C1−C3)アルキルアミノから独立に選択される置換基で任意によりモノ−、ジ−又はトリ−置換されたC1−C5アルキレンである;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、及びR8は同じか又は異なり、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルキルチオ、ヒドロキシ、アミノ、モノ若しくはジ(C1−C6)アルキルアミノ、ハロ(C1−C6)アルキル、ハロ(C1−C6)アルコキシ、C1−C6アルカノイル、C1−C6アルコキシカルボニル、−COOH、−SO2NH2、モノ若しくはジアルキルスルホンアミド、−C(O)NH2、又はモノ若しくはジ(C1−C6)アルキルカルボキサミドを表す;
R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19は独立して水素又はC1−C6アルキルを表す;
Wは窒素又はC−Raで、Raは水素、ヒドロキシ、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルキル又はシアノを表す;
Xはハロゲン、シアノ、ニトロ、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルキルチオ、ヒドロキシ、アミノ、モノ若しくはジ(C1−C6)アルキルアミノ、ハロ(C1−C6)アルキル、ハロ(C1−C6)アルコキシ、C1−C6アルカノイル、C1−C6アルコキシカルボニル、−COOH、−CONH2、モノ若しくはジ(C1−C6)アルキルカルボキサミド、−SO2NH2、モノ若しくはジ(C1−C6)アルキルスルホンアミドを表し;又は
Xは水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルキルチオ、ヒドロキシ、アミノ、モノ又はジ(C1−C6)アルキルアミノ、ハロ(C1−C6)アルキル、ハロ(C1−C6)アルコキシ、C1−C6アルカノイル、C1−C6アルコキシカルボニル、−COOH、−CONH2、モノ若しくはジ(C1−C6)アルキルカルボキサミド、−SO2NH2、及びモノ若しくはジ(C1−C6)アルキルスルホンアミドからなる群から選択される、同じか又は異なる5つまでの置換基で任意により置換されていてもよいフェニルを表す;
Yは酸素、硫黄、−S(O)−又は−SO2−である;そして
ZはC1−C6アルキル又はモノ、ジ若しくはトリフルオロメチルである。 - AがメチレンでWが窒素である、請求項2の化合物又は塩。
- R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19が水素である、請求項3の化合物又は塩。
- Xがハロゲンであり;Yが酸素であり;そしてZがC1−C2アルキルである、請求項4の化合物又は塩。
- R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、及びR8が同じか又は異なり、水素、ハロゲン、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシを表し;
Xが水素、ハロゲン、又はフェニルであり;
Yが酸素であり;そして
ZがC1−C6アルキルである、請求項4の化合物又は塩。 - R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、及びR8が同じか又は異なり、水素、ハロゲン、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシを表し;
Xが水素であり;
Yが酸素であり;そして
ZがC1−C2アルキルである、請求項4の化合物又は塩。 - AがメチレンでWがCHである、請求項2の化合物又は塩。
- R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19が水素である、請求項8の化合物又は塩。
- Xがハロゲンであり;
Yが酸素であり;そして
ZがC1−C6アルキルである、請求項9の化合物又は塩。 - R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、及びR8が同じか又は異なり、水素、ハロゲン、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシを表し;
Xが水素、ハロゲン、又はフェニルであり;
Yが酸素であり;そして
ZがC1−C6アルキルである、請求項9の化合物又は塩。 - R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、及びR8が同じか又は異なり、水素、ハロゲン、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシを表し;
Xがハロゲンであり;
Yが酸素であり;そして
ZがC1−C2アルキルである、請求項9の化合物又は塩。 - AがメチレンでWが窒素又はCHである、請求項13の化合物又は塩。
- R10、R11、R12、R13、R15、R17、R18及びR19が水素である請求項14の化合物又は塩。
- R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、及びR8は独立して水素、ハロゲン、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシを表し;
R14とR16は同じか又は異なり、水素又はメチルのいずれかであり;
Xは水素、ハロゲン、又はフェニルであり;
Yは酸素であり;そして
ZはC1−C6アルキルである、請求項15の化合物又は塩。 - R1、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19は水素であり;
R2、R3、R4及びR5は独立して水素、C1−C2アルキル、C1−C2アルコキシ又はハロゲンであり;
Xはハロゲンであり;
Yは酸素であり;そして
ZがC1−C6アルキルである、請求項14の化合物又は塩。 - R13、R15、R17、R19は水素であり;
R10、R11、R12、R14、R16及びR18が独立して水素又はメチルを表す、請求項18の化合物又は塩。 - R10、R11、R12、R14、R16及びR18は水素である、請求項19の化合物又は塩。
- WはN又はCHである、請求項20の化合物又は塩。
- R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、及びR8は独立して水素、ハロゲン、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシを表し;
Xは水素又はハロゲンであり;
Yは酸素であり;そして
ZはC1−C6アルキルである、請求項21の化合物又は塩。 - R1、R2、R3、R4は独立して水素、ハロゲン、C1−C2アルキル、又はC1−C2アルコキシを表し;
R5、R6、R7、及びR8は水素であり;
Xがハロゲンであり;
Yが酸素であり;そして
ZがC1−C6アルキルである、請求項21の化合物又は塩。 - R13、R15、R17、R19は水素であり;
R10、R11、R12、R14、R16及びR18は独立して水素又はメチルを表す、請求項24の化合物又は塩。 - R10、R11、R12、R14、R16及びR18が水素である、請求項25の化合物又は塩。
- WがN又はCHである、請求項26の化合物又は塩。
- R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、及びR8は独立して水素、ハロゲン、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシを表し;
Xは水素又はハロゲンであり;
Yは酸素であり;そして
ZはC1−C6アルキルである、請求項27の化合物又は塩。 - R1、R2、R3、R4は独立して水素、ハロゲン、C1−C2アルキル、又はC1−C2アルコキシを表し;
R5、R6、R7、及びR8は水素であり;
Xはハロゲンであり;
Yが酸素であり;そして
ZがC1−C6アルキルである、請求項27の化合物又は塩。 - 1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−フェニルシクロプロピル)メチルピペラジン;
(1S,2S)−1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−フェニルシクロプロピル)メチルピペラジン;
1R,2R−1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−フェニルシクロプロピル)メチルピペラジン;
1−(4−ヨード−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−フェニルシクロプロピル)メチルピペラジン;
1−(4−クロロ−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−フェニルシクロプロピル)メチルピペラジン;
1−(4−フェニル−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−フェニルシクロプロピル)メチルピペラジン;
1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−[トランス−2−(3−メトキシフェニル)シクロプロピル]メチルピペラジン;
1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−[4−クロロフェニル]シクロプロピル)メチルピペラジン;
1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−[2−メチルフェニル]シクロプロピル)メチルピペラジン;
1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−[4−メトキシフェニル]シクロプロピル)メチルピペラジン;
1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−フェニルシクロプロピル)メチルピペリジン;
1−(4−ヨード−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−フェニルシクロプロピル)メチルピペリジン;
1−(4−クロロ−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−フェニルシクロプロピル)メチルピペリジン;
1−(4−メチル−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−フェニルシクロプロピル)メチルピペリジン;
1−(4−トリフルオロメチル−3−メトキシフェニル)−4−(トランス−2−フェニルシクロプロピル)メチルピペリジン;及び
1−(4−ブロモ−3−エトキシフェニル)−4−(トランス−2−フェニルシクロプロピル)メチルピペリジン;又はそれらの製剤学的に許容できる塩から選択される請求項1の化合物又は塩。 - 1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−([3 −フェニル]プロペン−2−イル)ピペラジン;
1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−([3−{2−メチルフェニル}]プロペン−2−イル)ピペラジン;
1−(3−メトキシフェニル)−4−([3−フェニル]プロペン−2−イル)ピペラジン;
1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−([3−{3−メチルフェニル}]プロペン−2−イル)ピペラジン;
1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−([3−{2−メトキシフェニル}]プロペン−2−イル)ピペラジン;
1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−([3−{3−クロロフェニル}]プロペン−2−イル)ピペラジン;
1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−([3−{3−エトキシフェニル}]プロペン−2−イル)ピペラジン;
1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−([3−{2,3−ジメトキシフェニル}]プロペン−2−イル)ピペラジン;
1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−([3−{3,4−ジメトキシフェニル}]プロペン−2−イル)ピペラジン;
1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−([3−{2,5−ジメトキシフェニル}]プロペン−2−イル)ピペラジン;及び
1−(4−ブロモ−3−メトキシフェニル)−4−([3−{2,4−ジメトキシフェニル}]プロペン−2−イル)ピペラジン、又はそれらの製剤学的に許容できる塩から選ばれる、請求項1の化合物又は塩。 - 下式で表される化合物:
式中、Qは下式の基を表し、
式中、AはC1−C3アルキル、C1−C3アルコキシ、ハロゲン、ハロ(C1−C3)アルキル、ハロ(C1−C3)アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、及びモノ又はジ(C1−C3)アルキルアミノから独立して選択される置換基で任意によりモノ−、ジ−、又はトリ−置換されるC1−C5アルキレン;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、及びR8は同じか又は異なり、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルキルチオ、ヒドロキシ、アミノ、モノ若しくはジ(C1−C6)アルキルアミノ、ハロ(C1−C6)アルキル、ハロ(C1−C6)アルコキシ、C1−C6アルカノイル、C1−C6アルコキシカルボニル、−COOH、−SO2NH2、モノ若しくはジアルキルスルホンアミド、−C(O)NH2、又はモノ若しくはジ(C1−C6)アルキルカルボキサミドを表し;
R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19は独立して水素又はC1−C6アルキルを表し;
Wは窒素又はC−Raであり、Raが水素、ヒドロキシ、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルキル又はシアノを表し;
Xはハロゲン、シアノ、ニトロ、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルキルチオ、ヒドロキシ、アミノ、モノ若しくはジ(C1−C6)アルキルアミノ、ハロ(C1−C6)アルキル、ハロ(C1−C6)アルコキシ、C1−C6アルカノイル、C1−C6アルコキシカルボニル、−COOH、−CONH2、モノ若しくはジ(C1−C6)アルキルカルボキサミド、−SO2NH2、モノ若しくはジ(C1−C6)アルキルスルホンアミドを表し;あるいは
Xは水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルキルチオ、ヒドロキシ、アミノ、モノ若しくはジ(C1−C6)アルキルアミノ、ハロ(C1−C6)アルキル、ハロ(C1−C6)アルコキシ、C1−C6アルカノイル、C1−C6アルコキシカルボニル、−COOH、−CONH2、モノ若しくはジ(C1−C6)アルキルカルボキサミド、−SO2NH2、及びモノ若しくはジ(C1−C6)アルキルスルホンアミドからなる群から選択される、同じか又は異なる5つまでのより置換基で任意により置換されていてもよいフェニルを表し;
Yは酸素、硫黄、−S(O)−又は−SO2−であり;
ZはC1−C6アルキル又はモノ、ジ若しくはトリフルオロメチルである。 - Wは窒素又はCHである、請求項32の化合物又は塩。
- R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18及びR19は水素である、請求項34の化合物又は塩。
- Xはハロゲンであり;
Yは酸素であり;そして
ZはC1−C2アルキルである、請求項35の化合物又は塩。 - R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、及びR8は同じか又は異なり、水素、ハロゲン、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、トリフルオロメチル又はトリフルオロメトキシを表し;
Xは水素であり;
Yは酸素であり;そして
ZはC1−C2アルキルである、請求項35の化合物。 - 少なくとも1つの製剤学的に許容できる担体又は賦形剤と組み合わされた請求項1の化合物又は塩を含む医薬組成物。
- 医薬組成物が注射液、ピル、カプセル、シロップ又は経皮パッチとして製剤化される請求項38の医薬組成物。
- 肥満を治療する方法であって、その方法がそのような治療を必要とする患者に請求項1の化合物の治療的有効量を投与することを含む、方法。
- 細胞又は組織試料中におけるMHC1受容体の存在を証明する方法であって、その方法が
複数の対応した細胞又は組織試料を調製すること、
細胞及び組織試料内でMCH1受容体へのMCHの結合を可能とする条件下で、その対応した細胞又は組織試料の少なくとも1つと、検出できるように標識された請求項1の選択された化合物又は塩の調製物を測定された第一のモル濃度で含み、選択された化合物又は塩の標識されていない調製物を測定された第一のモル濃度よりも大きい測定された第二のモル濃度で含む対照溶液とを接触させることによって少なくとも1つの対照試料を調製すること、
細胞及び組織試料内でMCH1受容体へのMCHの結合を可能とする条件下で、その対応した細胞又は組織試料の少なくとも1つを、検出できるように標識された選択された化合物又は塩の調製物を測定された第一のモル濃度で含み、請求項1のいかなる化合物又は塩の標識されていない調製物もその測定された第一の濃度以上の濃度で含まない試験溶液とを接触させることによって少なくとも1つの実験試料を調製すること、
結合していない選択された化合物又は塩を除去するために少なくとも1つ対照試料を洗浄して、少なくとも1つの洗浄した対照試料を調製すること、
結合していない選択された化合物又は塩を除去するために少なくとも1つ実験試料を洗浄して、少なくとも1つの洗浄した実験試料を調製すること、
少なくとも1つの洗浄した対照試料中のすべての残存している結合した検出できるように標識された選択された化合物又は塩の検出可能な標識の量を測定すること、
少なくとも1つの洗浄した実験試料中のすべての残存している結合した検出できるように標識された選択された化合物又は塩の検出可能な標識の量を測定すること、
少なくとも1つの洗浄した各実験試料中で測定した検出可能な標識の量を少なくとも1つの洗浄した各対照試料中で測定した検出可能な標識の量と比較すること、ここで少なくとも1つの洗浄した実験試料中の検出可能な標識の量が、少なくとも1つの洗浄した対照試料のいずれかの中で検出される量よりも多いことを示す比較によって、その実験試料中にMCH1受容体が存在することが証明される、
を含む方法。 - その化合物が放射能標識されている請求項42の方法。
- 検出がオートラジオグラフィーを用いて行われる、請求項42の方法。
- MCH1受容体の情報伝達活性を変える方法であって、そのような受容体を発現している細胞を細胞の電気生理学を検出可能なように変えるのに十分な濃度で、請求項1の化合物を含む溶液と接触させることを含み、その細胞の電気生理学の検出可能な変化がMCH1受容体の情報伝達活性の変化を示す、上記方法。
- 細胞が動物においてin vivoで接触している神経細胞であり、溶液が体液であり、細胞の電気生理学の変化がその動物の摂餌行動の再現性のある変化として検出される、請求項44の方法。
- 動物がヒトであり、細胞が脳細胞であり、液体が脳脊髄液である、請求項45の方法。
- 容器中に請求項38の医薬組成物と肥満患者の治療にその組成物を使用する指示書とを含む包装された医薬組成物。
- 肥満の治療に使用する薬物の調製における請求項1から37のいずれかの化合物の使用。
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