JP2004516030A - 新規耐熱性ガラクトース異性化酵素及びそれを利用したタガトースの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は新規の耐熱性ガラクトース異性化酵素及びそれを利用したタガトースの製造方法を提供する。
【解決手段】自然界の遺伝子源から耐熱性及び反応平衡が増大されたガラクトース異性化酵素遺伝子をスクリーニングし、これを含んだ発現ベクターで形質転換させた微生物を培養してガラクトース異性化酵素を製造した。前記製造された酵素を利用してガラクトースからタガトースを製造した結果、前記異性化酵素は55℃の高温でも46−50%の高い転換収率でタガトースを生成する非常に優れた効果を示した。
【選択図】図2
【解決手段】自然界の遺伝子源から耐熱性及び反応平衡が増大されたガラクトース異性化酵素遺伝子をスクリーニングし、これを含んだ発現ベクターで形質転換させた微生物を培養してガラクトース異性化酵素を製造した。前記製造された酵素を利用してガラクトースからタガトースを製造した結果、前記異性化酵素は55℃の高温でも46−50%の高い転換収率でタガトースを生成する非常に優れた効果を示した。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規の耐熱性ガラクトース異性化酵素及びそれを利用したタガトースの製造方法に関するものであり、より詳細には、高温においても高い酵素活性を示す新規耐熱性ガラクトース異性化酵素及びガラクトースからタガトースを高収率で製造する方法に関する。また、本発明は、耐熱性ガラクトース異性化酵素をコードする遺伝子、該遺伝子を挿入された発現ベクターなどの遺伝子材料に関する。自然界の遺伝子源から耐熱性及び反応平衡が増大なガラクトース異性化酵素遺伝子をスクリーニングし、これを含んだ発現ベクターに形質転換させた微生物を培養してガラクトース異性化酵素を製造した後、前記製造された酵素を利用してガラクトースからタガトースが製造される。
【0002】
【従来の技術】
タガトースはガラクトースの異性体であり、フルクトースとほとんど同程度の甘味度を有し、また、フルクトースと最も類似の甘味の質を有していることが知られている。体内吸収時にほとんど代謝されなく、また、熱量に寄与しないためにノンカロリー甘味料の機能を有する。砂糖代替の甘味料として最も多く利用されている糖アルコール類などが一定量以上を摂取したときに下痢を誘発する緩下剤効果(laxative effect)があるのに反して、タガトースはそのような副作用がない長所がある。また、糖アルコール類とは異なり、砂糖のように加熱により褐変するので食品加工時に適切な風味を加えることができるという長所がある。前記した特性のためにタガトースは砂糖代替の甘味料として関心を集めているだけでなく、市場潜在力が大きい物質でもある(Zehener、1988、EP 257626; Marzur、1989、EP 0341062A2)。
【0003】
現在D−タガトースは主に化学的方法または生物学的方法等により製造されている。米国特許第4,273,922(1981.6.16)はD−タガトースの化学的製造方法を記載している。これによれば、3級または4級アミンの存在下でアルドース糖にほう酸を添加してケトースを製造するとき、ほう酸とケトースとが複合体を形成して平衡がタガトースを生成する方向に効果的に移動することが開示されている。韓国特許第99−190671号にはpH10以上、温度−15〜40℃で金属水酸化物−タガトース複合体から構成される不溶性沈殿物が形成されるまで可溶性アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩触媒の存在下でガラクトース水溶液を金属水酸化物によって異性化させる方法が開示されている。しかしながら、このような従来の化学的方法は、現在では、タガトースの大量生産には適していないと評価されている。すなわち、化学的方法は経済性や収率の面では満足な場合もあるが、化学工程であるために工程自体が複雑で特定の条件で反応させる必要があり、非効率的であり、また、産業廃棄物を生じる問題点もあった。
【0004】
そのために、化学的方法と同じ経済性であれば、環境を破壊しない生物学的な方法に対する要求が増大している。特に環境破壊などを考慮すると、廃棄生物資源等から得ることができる安価の炭水化物から微生物を利用してタガトースを生産する生物学的方法は、きわめて経済的であり、また、環境上好ましい。事実、そのような生物学的方法が盛んに行われている。このような生物学的な方法を利用したタガトースの生産の著しい進歩は日本のIzumori グループによりなされた。彼らは、アルトロバクター菌株(Arthrobacter strain)由来のガラクチトール脱水素酵素(galactitol dehydrogenase)を利用した生物転換方法を開発し、これによって、70−80%の転換収率でガラクチトールをタガトースに転換させている(Izumori and Tsuzuki、Production of D−tagatose from D−galactitol by Mycobacterium smegmatis、J. Ferment. Technol., 66、225−227(1988))。しかしながら、前記方法は基質として使われるガラクチトールが効果で多量に供給することが困難なだけでなく、ガラクチトール脱水素酵素が高価なNAD(nicotine−adenine dinucleotide)を補因子として必要とするという問題点があった。
【0005】
アルドースまたはアルドース誘導体をケトースまたはケトース誘導体に転換する酵素的方法は当業界でよく知られている。例えば、グルコースをフルクトースに転換させる工程は商業的な規模で広く実施されている。しかしながら、ガラクトースをタガトースに転換させる酵素的方法は最近まで広く利用されていない実情であった。
【0006】
最近本発明者らは大腸菌由来のアラビノース異性化酵素を利用してガラクトースからタガトースを製造する方法を特許出願(大韓民国特許出願第99−16118号; PCT WO Patent Pending PCT/KR99/00661)し、この方法により約20%の収率でガラクトースからタガトースを生産することを報告した(Kim et al, High Production of D−Tagatose, a Potential Sugar Substitute, using Immobilized L−Arabinose Isomerase, Biotechnol. Prog. MS090−0400 (accepted); ”Preparation of L−Arabinose Isomerase Orginated from Escherichis coli as a Biocatalyst for D−Tagatose Production”, Biotechnol. Letts. 22(3):197−199(2000);”Bioconversion of D−Galactose to D−Tagatose by Expression of L− Arabinose Isomerase ”Biotecnol. Appl, Biochem., 31(1):1−4(2000))。しかし、使用した酵素には熱安定性及び転換収率が低い短所があった。
【0007】
グルコース異性化酵素と同様に、アラビノース異性化酵素は図2に示すように生体内(in vivo)と試験管内(in vitro)で異なる触媒作用示す。すなわち、生体内ではアラビノースをリブロースに異性化させるが、試験管内(生体外)ではガラクトースをタガトースに転換させる。グルコース異性化酵素に触媒される反応と同様に、アラビノース異性化酵素に触媒されるアルドースであるガラクトースとケトースであるタガトースとの間の異性化反応の平衡は反応温度によって変化する。反応温度が高温であるほどケトース側へ平衡がかたよる。このことは、グルコース異性化酵素を利用したフルクトース製造において明らかとなっている。
【0008】
したがって、本発明者らは高温でも安定に酵素活性を維持して全体的な反応速度の平衡をタガトース側に移動させることができる新規耐熱性ガラクトース異性化酵素を探索した。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ガラクトースをタガトースに変換できる熱安定性酵素を得るべく本発明者らが研究した結果、ある好熱性微生物からスクリーンした遺伝子が耐熱性ガラクトース異性化酵素をコードし、その存在下でガラクトースが高収率でタガトースに異性化されることを見出した。本発明でクローン化したアラビノース異性化能を有する熱安定性酵素は、ガラクトースとタガトースの反応の平衡をタガトース生成方向に偏らせることが見出され、該酵素を“ガラクトース異性化酵素”と称する。
【0010】
したがって、本発明の目的は自然界からクローニングして得た新規の耐熱性ガラクトース異性化酵素の遺伝子塩基配列を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、前記遺伝子によりコードされる、高温でも効率よくガラクトースをタガトースに変換できる新規耐熱性ガラクトース異性化酵素のアミノ酸配列を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、ガラクトース異性化酵素と比較してより高い触媒活性を示す新規耐熱性ガラクトース異性化酵素をコードする組み換え遺伝子を提供することである。
本発明の他の目的は、前記遺伝子を含む組み換え発現ベクターを提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、前記発現ベクターにより形質転換された微生物を利用してガラクトース異性化酵素を製造する方法を提供することである。
【0014】
本発明の他の目的は、前記方法により製造された耐熱性ガラクトース異性化酵素を利用して高い収率でタガトースを製造する方法を提供することである。
【0015】
本発明の他の目的及び利点は下記説明によってより明らかになるであろう。
【0016】
【課題を解決するための手段】
以下、本発明の構成を詳細に説明する。
本発明は、自然界の遺伝子源から、耐熱性及び反応平衡が改善された新規のガラクトース異性化酵素遺伝子をスクリーニングし、これを含んだ発現ベクターにより形質転換させた大腸菌を培養して大量に得たガラクトース異性化酵素の存在下でガラクトースからタガトースを製造することをその特徴とする。
【0017】
本発明において、耐熱性菌株は温泉地域から分離した。分離した耐熱性菌株から得たDNA混合物を、公知の3種のアラビノース異性化酵素の塩基配列、Escherichia coli(配列番号3)、Bacillus subtilis(配列番号4)、Salmonella typhimurium(配列番号5)、から誘導した共通DNA断片を用いたPCR反応に使用した。得られた3種のPCR産物をサブクローン化して発現ベクターにし、ホスト細胞に導入した。形質転換体において、発現ベクター挿入により発現させた酵素(タンパク質)が高温条件でガラクトース−タガトース転換する活性を有することが確認された。タガトース異性化活性があるクローンから分離したガラクトース異性化酵素をコードする遺伝子の塩基配列を決定した結果、公知のアラビノース異性化酵素遺伝子の塩基配列及びアミノ酸配列とはほとんど相同性がなかった。詳細には、塩基配列及びアミノ酸配列の相同性は、大腸菌とは各々9.5%(配列番号3)、20.0%であり、枯草菌(Bacillus subtilis)とは各々61.6%(配列番号4)、55.4%であり、サルモネラ菌とは各々58.5%、54.3%であった。また、本発明の異性化酵素は55℃でも安定に反応を触媒することができ、約46−50%の転換収率を示すことが分かった。
【0018】
図1は、異性体であるタガトースとガラクトースとの化学構造を示す。図2に示すように、他のガラクトース異性化酵素と同じく、本発明のガラクトース異性化酵素は、図2に示すように、生体内と生体外反応において異なる触媒作用を示す。すなわち、本発明の異性化酵素は、生体外反応ではガラクトースをタガトースに異性化し、生体内反応ではアラビノースをリブロースに異性化する。
【0019】
得られたDNA配列から、DNAにより発現されるアミノ酸は498個のアミノ酸からなり、分子量が56kDaであると推論することができる。実験により、本発明の異性化酵素によるガラクトースからタガトースへの転換の最適反応温度とpHは各々60℃及び7.5−8.5であることが分かった。
【0020】
下記で詳細に説明するように、ガラクトースのタガトースへの転換活性を有する異性化酵素を”ガラクトース異性化酵素”と命名し、その塩基配列(配列番号1)及びアミノ酸配列(配列番号2)を各々図5及び図6に図示した。
【0021】
本発明が、Sambrook等(Sambrook et al. Molecular Cloning : Alaboratory Manual, 2ed. Vol. 1. pp. 101−104、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989))により開示された方法などの公知の技術により本発明のガラクトース異性化酵素をコードする塩基配列にハイブリダイゼーション(hybridization)することができるDNAまたはRNA配列も含むことは当業者に明らかである。
【0022】
したがって、本発明で言及する核酸分子は、前記塩基配列から帰納的に類推可能な塩基配列または前記開示した方法により製造されるガラクトース異性化酵素のアミノ酸配列を有する核酸分子だけでなく、本発明の核酸配列にハイブリッド可能な塩基配列またはコドン縮重した塩基配列を有する核酸分子も含む。
【0023】
本発明のガラクトース異性化酵素遺伝子から、人為的な突然変異を誘導する、in−vitro分子進化または特定部位進化により活性が変化した多様な酵素の製造が可能である。変性酵素を製造する技術としては、例えば、化学的突然変異、error−prone PCR(mutagenic PCR)、カセット突然変異(cassette mutagenesis)、DNAシャッフリング(DNA shuffling)法などが当業界で知られている。本発明の好ましい態様においては、遺伝子突然変異はerror−prone PCR (mutagenic PCR)により行われた。この方法によって、元のガラクトース異性化酵素活性が約11倍も増加された突然変異酵素が得られた(配列番号6)。
【0024】
本発明は耐熱性ガラクトース異性化酵素だけでなく、アミノ酸配列(配列番号2)および配列中のアミノ酸残基がほとんど変化を生じない他のアミノ酸残基で置換された機能的に同等な分子にも関する。例えば、元の配列内のひとつ以上のアミノ酸を機能的に同等に作用しほとんど変化を生じない同様の極性を有する他のアミノ酸で置換することができる。配列内のアミノ酸と置換するアミノ酸は、はそのアミノ酸が属するクラスの他のものから選択される。例えば、無極性(疎水性)は、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、プロリン、及びメチオニンを含む。極性の中性アミノ酸は、グリシン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、及びグルタミンを含む。陽性電荷を帯びた塩基性アミノ酸は、アルギニン、リジン及びヒスチジンを含む。陰性電荷を帯びた酸性アミノ酸は、アスパラギン酸、グルタミン酸を含む。
また、同一または類似の活性を示し、元のアミノ酸配列(配列番号2)とのアミノ酸相同性が約90−100%であるタンパク質、その断片およびその誘導体も本発明の範囲に含まれる。
さらに、本発明のガラクトース異性化酵素と同等の酵素活性を有し、または、同一または類似のアミノ酸配列を有する異性化酵素を他の微生物、例えば、大腸菌(E. coli)、バチラス(Bacillus)、サルモネラ(Salmonella)、エンテロバクター(Enterobacter)、シュードモナス(Pseudomonas)、ラクトバシラス(Lactobacillus)、ジモモナス(Zymomonas)、グラコノバクター(Gluconobacter)、リゾビウム(Rhizobium)、アシネトバクター(Acetobacter)、ロードバクスター(Rhodobacter)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)等から得ることもできる。
【0025】
本発明は熱安定性ガラクトース異性化酵素として前記した蛋白質をコードするヌクレオチド配列を有するDNAだけでなく、該DNAが挿入された組み換え発現ベクターも含む。当業者は、当業界に知られたクローン技術を用いて、ガラクトース異性化酵素をコードする遺伝子または転写/解読調節配列を有するその突然変異体からなる発現ベクターを製造することができるであろう。前記組み換え発現ベクターは選択された宿主内で作用するかぎりいかなるベクターも作用可能である。例えば、ファージ、プラスミド、コスミドなどの通常の発現ベクターが利用できる。発現ベクターを製造する方法は公知であり、例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning, Cold Spring Harbor Laboratory(1989)に詳述されている。
【0026】
このようにして製造された組み換え発現ベクターにより宿主細胞を形質転換させることができる。組み換えDNAの適当な発現細胞としては細菌、放線菌類、酵母、かび、動物細胞、昆虫細胞、または植物細胞などが利用される。
【0027】
本発明の耐熱性ガラクトース異性化酵素コード遺伝子またはこれと同等な機能の配列を有する遺伝子が挿入された組み換え発現ベクターで形質転換した後、宿主細胞を適当な培地と条件で培養してガラクトース異性化酵素を製造することができる。
【0028】
前記方法により製造されたガラクトース異性化酵素は、遊離状態でまたは適切な担体に固定化して、適切な条件下でガラクトースをタガトースに転換するのに使用される。
本発明の実施態様において、好熱性菌株からPCR法によりクローニングして得た耐熱性ガラクトース異性化酵素をコードする遺伝子を大腸菌に導入した。培養後、遺伝子を含む細胞を溶解し細胞質ゾルを酵素源として得た。酵素源をガラクトース5g/lを含んだpH7.0緩衝溶液に加えて55℃で反応させた。比較のため、形質転換されていない大腸菌JM105、大腸菌由来のアラビノース異性化酵素(araA of E.coli)を含む組み換え発現ベクターpTC101(大韓民国特許出願第99−16118;国際特許出願 PCT/KR99/00661)で形質転換された大腸菌を溶解して細胞質ゾルを得、本発明のガラクトース異性化酵素を含む細胞質ゾルの場合と同様にして、これをガラクトースの転換に用いた。その結果、大腸菌由来のアラビノース異性化酵素はそのようは高温ではほとんど酵素活性を示さなかったが、本発明の新規耐熱性ガラクトース異性化酵素は高温でもガラクトースからタガトースへの変換を有効に触媒した。また、タガトースの生成収率は48%であった。この収率は、大腸菌由来のアラビノース異性化酵素の存在下、室温でガラクトースをタガトースに変換する場合にえられる収率30%に比べて著しく増加している。
【0029】
本発明のガラクトース異性化酵素により高収率でガラクトースから製造されるタガトースは、様々な応用分野を有し、例えば、低カロリー食品の甘味料及び充填剤、光学的活性化合物の合成中間体、及び洗剤、化粧品及び薬学的製剤の添加剤として利用される。
【0030】
本発明のガラクトース異性化酵素は、改善された熱安定性を有するので、高温でのガラクトースからタガトースへの変換を触媒することができ、反応の平衡位置をタガトース生成の方向に移動させる。従来の化学的方法とは異なり、本発明の耐熱性異性化酵素を利用したタガトースの生物的製造方法は環境を破壊することがない。また、ガラクトースはガラクチトールより安価なので、ガラクチトール脱水素酵素を利用した方法と比べて、本発明の生物学的方法は生産費用を大きく減らすことができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を通じて本発明の構成及び作用効果をより詳細に説明する。ただし、下記実施例は本発明を例示するための目的だけであり、本発明の権利範囲が下記実施例により限定されることはない。
【0032】
実施例1:高温性細菌からの遺伝子ライブラリー調製
高温性細菌の遺伝子ライブラリーを得るために韓国の江原道三陟市の温泉地域近隣の土壌サンプルを採取した。これら土壌サンプルを蒸溜水に懸濁させた後、希釈なしでLB固体培地に塗抹した後、55℃の高温で培養した。24時間培養後に培地上に出現した高温性細菌コロニーをLB液体培地に接種して55℃の高温で12時間再培養した。このように得られた高温性細菌プールから高温性細菌の遺伝子ライブラリーを製造した。この時、ライブラリーの製造はSambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2ndEd., Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)に記載の方法に従った。
【0033】
実施例2:高温性細菌の遺伝子ライブラリーからのガラクトース異性化酵素のスクリーニング及びクローニング
第1段階:ガラクトース異性化酵素遺伝子のPCR及び組み換え発現ベクターの製造 実施例1で得た高温性細菌の遺伝子ライブラリーをPCRによりスクリーンしてガラクトース異性化酵素遺伝子を見出した。PCR反応に使用したプライマーは、(a)塩基配列が明らかになったE. coli、B. subtilis、S. typhimuriumのaraAの塩基配列のコンセンサス配列の一部、(b)少なくとも一の、サブクローニングのための制限酵素切断部位、および(c)15個以下の塩基を有すること基準として製造した。図3に示したように、合成プライマーは次の配列を有する。
【0034】
また、非特定部位の会合性を損なわないために、PCR増幅のアニーリング温度は45℃と比較的低く設定した。PCR増幅は熱循環器中で、96℃、30秒間の変性;45℃、30秒間のアニーリング;および72℃、3分間の伸長からなるサイクルを反復して行い、DNA断片を製造した。ゲル電気泳動(図4)の結果、DNA断片はそれぞれ1.5、2,5、4kbの大きさを有していた。
【0035】
それぞれのPCR産物を2.9kbの発現ベクターであるpLEX(Invitrogen、USA)に接合させ、これを用いて大腸菌JM105の形質転換を行った。
【0036】
第2段階:形質転換体選別
前記第1段階で形質転換された大腸菌を、選択標識としてアンピシリンを含む寒天培地に塗抹し、アンピシリン耐性がある菌株を1次に選別した。1次選別された菌株約150個をそれぞれ液体培養した後、細胞を取り出し、超音波装置を利用して溶解し細胞質ゾルを得た。各細胞質ゾルをガラクトースを含む緩衝液に入れて高温(55℃)で24時間反応させた。タガトースの生成可否により、ガラクトース異性化酵素遺伝子を有するクローニングされた菌株を選別した。
【0037】
実施例3:クローニングされたガラクトース異性化酵素遺伝子の塩基配列及びアミノ酸配列の決定
前記実施例2で選別された菌株からベクターを分離し、制限酵素(EcoRI−KpnI)で切断した。得られたDNA断片塩基配列を決定し、決定した塩基配列からコードされている蛋白質のアミノ酸配列を決定した。ガラクトース異性化酵素遺伝子の塩基配列及びアミノ酸配列を図5及び図6に示した。
【0038】
クローニングされた耐熱性ガラクトース異性化酵素遺伝子を含むベクターをpL151M0と命名し、その遺伝地図を図7に図示した。前記組み換え発現ベクターpL151M0を制限酵素で切断してその断片の大きさをゲル電気泳動で確認した(図8)。
【0039】
実施例4:ガラクトース培地でのタガトースの製造
前記実施例2で得られた新規の耐熱性ガラクトース異性化酵素の遺伝子を含む大腸菌JM105/pL151M0と他の比較群の高温でのタガトース転換能力をテストした。比較群として、形質転換されていない大腸菌JM105と大腸菌由来のアラビノース異性化酵素(araA of E.coli)を含む組み換え発現ベクターpTC101(大韓民国特許出願第99−16118号;国際特許出願 PCT/KR99/0066l)で形質転換した大腸菌を使用した。それぞれの菌体を液体培養後、溶解して細胞質ゾルを酵素源として得た。ガラクトース5g/lを含んだpH7.0緩衝溶液に細胞質ゾルを添加して55℃で反応させた。12時間後、システイン−カルバゾール発色法により生成したタガトースを定量した。結果を図9に示す。72時間後にも生成タガトースを定量し、その結果を下記表1に示した。
表1
本発明の耐熱性タガトース異性化酵素と公知酵素との間の
タガトースの生産量比較
【0040】
表1から明らかなように、大腸菌由来のアラビノース異性化酵素は高温ではタガトースをほとんど生産しないが、本発明の新規な耐熱性ガラクトース異性化酵素は高温でも酵素活性を示した。また、本発明の酵素の存在下では、ガラクトース−タガトース反応の収率もそのような高温でも約48%と高い値を示す。常温で大腸菌由来のアラビノース異性化酵素により達成される収率が高々30%程度であることを考えると、著しく増大したことが分かる。ガラクトース異性化酵素の熱安定性の増大による平衡常数の増加はグルコース異性化酵素での場合(Bhosale et al, Molecular and industrial aspects of glucose isomerase, Microbiol. Rev., 60:280−300)とも一致するものであり、アルドース−ケトース間の平衡常数は、通常の反応と同様、温度に依存することを示している。
【0041】
実施例5:最適反応温度と最適pHの決定
決定されたDNA配列から、本発明のガラクトース異性化酵素は分子量が56kDaであり、498個のアミノ酸からなると推論される。最適反応温度と最適pHを求めるために、温度とpHを変化させながら酵素の相対活性を測定した。温度とpHに対する活性の変化を図10及び図11に図示した。その結果、最適反応温度とpHは各々60℃及び7.5−8.5であることがわかった。
【0042】
実施例6:ガラクトース異性化酵素遺伝子の分子進化
error−prone PCR法を利用して本発明の耐熱性ガラクトース異性化酵素遺伝子の改良を行った。形質変換されていないガラクトース異性化酵素遺伝子を鋳型としてerror−prone PCR法を実施した。PCR産物を制限酵素で切断した後、ベクターpKK223−3(AP Biotech, Genbank: M77749)にサブクローニングした。サブクローニングされたコロニーをアンピシリンを含有したLB−寒天プレート上で選別した。コロニーを96−ウェルプレートに移して60℃で6時間ガラクトース(1%)培地でさらに培養した。各ウェルをシステイン−カルバゾール処理して目視出来るようにし、させた後ELISAリーダを使用して560nmで吸光度を測定した。pL151M0を含有するコロニーに比較して活性が増加されたガラクトース異性化酵素を生産するコロニーを選別した。1000個のコロニーのうち、6個のコロニーが元のガラクトース異性化酵素に比べてはるかに増大した触媒活性を示した。結果を表2に示す。
表2
改良前後のガラクトース異性化酵素の活性比較
【0043】
改良されたガラクトース異性化酵素は改良前のガラクトース異性化酵素より11倍も高い活性を示した。最も高い活性を示すコロニーからプラスミドを分離して前記改良遺伝子のDNA塩基配列を決定した。これを図12に図示した。配列のうち、置換された塩基にはアンダーラインを付した。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の耐熱性ガラクトース異性化酵素およびその突然変異体を利用すれば高い温度でも安定に高い収率でガラクトースからタガトースを製造することができる。
【0045】
以上では本発明を実施例によって詳細に説明したが、本発明は実施例によって限定されず、本発明が属する技術分野において通常の知識を有するものであれば本発明の思想と精神を離れることなく、本発明を修正または変更できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】タガトース及びガラクトースの化学構造を示す図である。
【図2】ガラクトース異性化酵素とグルコース異性化酵素の生体内、生体外反応での酵素作用の相違を示す図である。
【図3】ガラクトース異性化酵素をクローニングするための、6塩基配列からなる、PCRプライマー塩基配列を示す図である。
【図4】電気泳動により分離した、天然由来の高温性細胞のPCR産物を示すUV写真である。
【図5】本発明に従ってクローニングしたガラクトース異性化酵素遺伝子の塩基配列(配列番号1)を示す図である。
【図6】前記遺伝子によりコードされるガラクトース異性化酵素のアミノ酸配列(配列番号2)を示す図である。
【図7】本発明のガラクトース異性化酵素コード遺伝子が挿入された組み換え発現ベクターpL151MOのプラスミド地図を示すものである。
【図8】pL151MOの制限酵素切断写真である。
【図9】公知のアラビノース異性化酵素と本発明のガラクトース異性化酵素の活性を比較するための装置を示す図である。
【図10】反応温度に対する本発明のガラクトース異性化酵素の相対的な活性を示すグラフである。
【図11】pHに対する本発明のガラクトース異性化酵素の相対的な活性を示すグラフである。
【図12】天然由来の遺伝子材料をスクリーンして得たガラクトース異性化酵素の遺伝子を突然変異させた遺伝子の塩基配列(配列番号6)を示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は新規の耐熱性ガラクトース異性化酵素及びそれを利用したタガトースの製造方法に関するものであり、より詳細には、高温においても高い酵素活性を示す新規耐熱性ガラクトース異性化酵素及びガラクトースからタガトースを高収率で製造する方法に関する。また、本発明は、耐熱性ガラクトース異性化酵素をコードする遺伝子、該遺伝子を挿入された発現ベクターなどの遺伝子材料に関する。自然界の遺伝子源から耐熱性及び反応平衡が増大なガラクトース異性化酵素遺伝子をスクリーニングし、これを含んだ発現ベクターに形質転換させた微生物を培養してガラクトース異性化酵素を製造した後、前記製造された酵素を利用してガラクトースからタガトースが製造される。
【0002】
【従来の技術】
タガトースはガラクトースの異性体であり、フルクトースとほとんど同程度の甘味度を有し、また、フルクトースと最も類似の甘味の質を有していることが知られている。体内吸収時にほとんど代謝されなく、また、熱量に寄与しないためにノンカロリー甘味料の機能を有する。砂糖代替の甘味料として最も多く利用されている糖アルコール類などが一定量以上を摂取したときに下痢を誘発する緩下剤効果(laxative effect)があるのに反して、タガトースはそのような副作用がない長所がある。また、糖アルコール類とは異なり、砂糖のように加熱により褐変するので食品加工時に適切な風味を加えることができるという長所がある。前記した特性のためにタガトースは砂糖代替の甘味料として関心を集めているだけでなく、市場潜在力が大きい物質でもある(Zehener、1988、EP 257626; Marzur、1989、EP 0341062A2)。
【0003】
現在D−タガトースは主に化学的方法または生物学的方法等により製造されている。米国特許第4,273,922(1981.6.16)はD−タガトースの化学的製造方法を記載している。これによれば、3級または4級アミンの存在下でアルドース糖にほう酸を添加してケトースを製造するとき、ほう酸とケトースとが複合体を形成して平衡がタガトースを生成する方向に効果的に移動することが開示されている。韓国特許第99−190671号にはpH10以上、温度−15〜40℃で金属水酸化物−タガトース複合体から構成される不溶性沈殿物が形成されるまで可溶性アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩触媒の存在下でガラクトース水溶液を金属水酸化物によって異性化させる方法が開示されている。しかしながら、このような従来の化学的方法は、現在では、タガトースの大量生産には適していないと評価されている。すなわち、化学的方法は経済性や収率の面では満足な場合もあるが、化学工程であるために工程自体が複雑で特定の条件で反応させる必要があり、非効率的であり、また、産業廃棄物を生じる問題点もあった。
【0004】
そのために、化学的方法と同じ経済性であれば、環境を破壊しない生物学的な方法に対する要求が増大している。特に環境破壊などを考慮すると、廃棄生物資源等から得ることができる安価の炭水化物から微生物を利用してタガトースを生産する生物学的方法は、きわめて経済的であり、また、環境上好ましい。事実、そのような生物学的方法が盛んに行われている。このような生物学的な方法を利用したタガトースの生産の著しい進歩は日本のIzumori グループによりなされた。彼らは、アルトロバクター菌株(Arthrobacter strain)由来のガラクチトール脱水素酵素(galactitol dehydrogenase)を利用した生物転換方法を開発し、これによって、70−80%の転換収率でガラクチトールをタガトースに転換させている(Izumori and Tsuzuki、Production of D−tagatose from D−galactitol by Mycobacterium smegmatis、J. Ferment. Technol., 66、225−227(1988))。しかしながら、前記方法は基質として使われるガラクチトールが効果で多量に供給することが困難なだけでなく、ガラクチトール脱水素酵素が高価なNAD(nicotine−adenine dinucleotide)を補因子として必要とするという問題点があった。
【0005】
アルドースまたはアルドース誘導体をケトースまたはケトース誘導体に転換する酵素的方法は当業界でよく知られている。例えば、グルコースをフルクトースに転換させる工程は商業的な規模で広く実施されている。しかしながら、ガラクトースをタガトースに転換させる酵素的方法は最近まで広く利用されていない実情であった。
【0006】
最近本発明者らは大腸菌由来のアラビノース異性化酵素を利用してガラクトースからタガトースを製造する方法を特許出願(大韓民国特許出願第99−16118号; PCT WO Patent Pending PCT/KR99/00661)し、この方法により約20%の収率でガラクトースからタガトースを生産することを報告した(Kim et al, High Production of D−Tagatose, a Potential Sugar Substitute, using Immobilized L−Arabinose Isomerase, Biotechnol. Prog. MS090−0400 (accepted); ”Preparation of L−Arabinose Isomerase Orginated from Escherichis coli as a Biocatalyst for D−Tagatose Production”, Biotechnol. Letts. 22(3):197−199(2000);”Bioconversion of D−Galactose to D−Tagatose by Expression of L− Arabinose Isomerase ”Biotecnol. Appl, Biochem., 31(1):1−4(2000))。しかし、使用した酵素には熱安定性及び転換収率が低い短所があった。
【0007】
グルコース異性化酵素と同様に、アラビノース異性化酵素は図2に示すように生体内(in vivo)と試験管内(in vitro)で異なる触媒作用示す。すなわち、生体内ではアラビノースをリブロースに異性化させるが、試験管内(生体外)ではガラクトースをタガトースに転換させる。グルコース異性化酵素に触媒される反応と同様に、アラビノース異性化酵素に触媒されるアルドースであるガラクトースとケトースであるタガトースとの間の異性化反応の平衡は反応温度によって変化する。反応温度が高温であるほどケトース側へ平衡がかたよる。このことは、グルコース異性化酵素を利用したフルクトース製造において明らかとなっている。
【0008】
したがって、本発明者らは高温でも安定に酵素活性を維持して全体的な反応速度の平衡をタガトース側に移動させることができる新規耐熱性ガラクトース異性化酵素を探索した。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ガラクトースをタガトースに変換できる熱安定性酵素を得るべく本発明者らが研究した結果、ある好熱性微生物からスクリーンした遺伝子が耐熱性ガラクトース異性化酵素をコードし、その存在下でガラクトースが高収率でタガトースに異性化されることを見出した。本発明でクローン化したアラビノース異性化能を有する熱安定性酵素は、ガラクトースとタガトースの反応の平衡をタガトース生成方向に偏らせることが見出され、該酵素を“ガラクトース異性化酵素”と称する。
【0010】
したがって、本発明の目的は自然界からクローニングして得た新規の耐熱性ガラクトース異性化酵素の遺伝子塩基配列を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、前記遺伝子によりコードされる、高温でも効率よくガラクトースをタガトースに変換できる新規耐熱性ガラクトース異性化酵素のアミノ酸配列を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、ガラクトース異性化酵素と比較してより高い触媒活性を示す新規耐熱性ガラクトース異性化酵素をコードする組み換え遺伝子を提供することである。
本発明の他の目的は、前記遺伝子を含む組み換え発現ベクターを提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、前記発現ベクターにより形質転換された微生物を利用してガラクトース異性化酵素を製造する方法を提供することである。
【0014】
本発明の他の目的は、前記方法により製造された耐熱性ガラクトース異性化酵素を利用して高い収率でタガトースを製造する方法を提供することである。
【0015】
本発明の他の目的及び利点は下記説明によってより明らかになるであろう。
【0016】
【課題を解決するための手段】
以下、本発明の構成を詳細に説明する。
本発明は、自然界の遺伝子源から、耐熱性及び反応平衡が改善された新規のガラクトース異性化酵素遺伝子をスクリーニングし、これを含んだ発現ベクターにより形質転換させた大腸菌を培養して大量に得たガラクトース異性化酵素の存在下でガラクトースからタガトースを製造することをその特徴とする。
【0017】
本発明において、耐熱性菌株は温泉地域から分離した。分離した耐熱性菌株から得たDNA混合物を、公知の3種のアラビノース異性化酵素の塩基配列、Escherichia coli(配列番号3)、Bacillus subtilis(配列番号4)、Salmonella typhimurium(配列番号5)、から誘導した共通DNA断片を用いたPCR反応に使用した。得られた3種のPCR産物をサブクローン化して発現ベクターにし、ホスト細胞に導入した。形質転換体において、発現ベクター挿入により発現させた酵素(タンパク質)が高温条件でガラクトース−タガトース転換する活性を有することが確認された。タガトース異性化活性があるクローンから分離したガラクトース異性化酵素をコードする遺伝子の塩基配列を決定した結果、公知のアラビノース異性化酵素遺伝子の塩基配列及びアミノ酸配列とはほとんど相同性がなかった。詳細には、塩基配列及びアミノ酸配列の相同性は、大腸菌とは各々9.5%(配列番号3)、20.0%であり、枯草菌(Bacillus subtilis)とは各々61.6%(配列番号4)、55.4%であり、サルモネラ菌とは各々58.5%、54.3%であった。また、本発明の異性化酵素は55℃でも安定に反応を触媒することができ、約46−50%の転換収率を示すことが分かった。
【0018】
図1は、異性体であるタガトースとガラクトースとの化学構造を示す。図2に示すように、他のガラクトース異性化酵素と同じく、本発明のガラクトース異性化酵素は、図2に示すように、生体内と生体外反応において異なる触媒作用を示す。すなわち、本発明の異性化酵素は、生体外反応ではガラクトースをタガトースに異性化し、生体内反応ではアラビノースをリブロースに異性化する。
【0019】
得られたDNA配列から、DNAにより発現されるアミノ酸は498個のアミノ酸からなり、分子量が56kDaであると推論することができる。実験により、本発明の異性化酵素によるガラクトースからタガトースへの転換の最適反応温度とpHは各々60℃及び7.5−8.5であることが分かった。
【0020】
下記で詳細に説明するように、ガラクトースのタガトースへの転換活性を有する異性化酵素を”ガラクトース異性化酵素”と命名し、その塩基配列(配列番号1)及びアミノ酸配列(配列番号2)を各々図5及び図6に図示した。
【0021】
本発明が、Sambrook等(Sambrook et al. Molecular Cloning : Alaboratory Manual, 2ed. Vol. 1. pp. 101−104、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989))により開示された方法などの公知の技術により本発明のガラクトース異性化酵素をコードする塩基配列にハイブリダイゼーション(hybridization)することができるDNAまたはRNA配列も含むことは当業者に明らかである。
【0022】
したがって、本発明で言及する核酸分子は、前記塩基配列から帰納的に類推可能な塩基配列または前記開示した方法により製造されるガラクトース異性化酵素のアミノ酸配列を有する核酸分子だけでなく、本発明の核酸配列にハイブリッド可能な塩基配列またはコドン縮重した塩基配列を有する核酸分子も含む。
【0023】
本発明のガラクトース異性化酵素遺伝子から、人為的な突然変異を誘導する、in−vitro分子進化または特定部位進化により活性が変化した多様な酵素の製造が可能である。変性酵素を製造する技術としては、例えば、化学的突然変異、error−prone PCR(mutagenic PCR)、カセット突然変異(cassette mutagenesis)、DNAシャッフリング(DNA shuffling)法などが当業界で知られている。本発明の好ましい態様においては、遺伝子突然変異はerror−prone PCR (mutagenic PCR)により行われた。この方法によって、元のガラクトース異性化酵素活性が約11倍も増加された突然変異酵素が得られた(配列番号6)。
【0024】
本発明は耐熱性ガラクトース異性化酵素だけでなく、アミノ酸配列(配列番号2)および配列中のアミノ酸残基がほとんど変化を生じない他のアミノ酸残基で置換された機能的に同等な分子にも関する。例えば、元の配列内のひとつ以上のアミノ酸を機能的に同等に作用しほとんど変化を生じない同様の極性を有する他のアミノ酸で置換することができる。配列内のアミノ酸と置換するアミノ酸は、はそのアミノ酸が属するクラスの他のものから選択される。例えば、無極性(疎水性)は、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、プロリン、及びメチオニンを含む。極性の中性アミノ酸は、グリシン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、及びグルタミンを含む。陽性電荷を帯びた塩基性アミノ酸は、アルギニン、リジン及びヒスチジンを含む。陰性電荷を帯びた酸性アミノ酸は、アスパラギン酸、グルタミン酸を含む。
また、同一または類似の活性を示し、元のアミノ酸配列(配列番号2)とのアミノ酸相同性が約90−100%であるタンパク質、その断片およびその誘導体も本発明の範囲に含まれる。
さらに、本発明のガラクトース異性化酵素と同等の酵素活性を有し、または、同一または類似のアミノ酸配列を有する異性化酵素を他の微生物、例えば、大腸菌(E. coli)、バチラス(Bacillus)、サルモネラ(Salmonella)、エンテロバクター(Enterobacter)、シュードモナス(Pseudomonas)、ラクトバシラス(Lactobacillus)、ジモモナス(Zymomonas)、グラコノバクター(Gluconobacter)、リゾビウム(Rhizobium)、アシネトバクター(Acetobacter)、ロードバクスター(Rhodobacter)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)等から得ることもできる。
【0025】
本発明は熱安定性ガラクトース異性化酵素として前記した蛋白質をコードするヌクレオチド配列を有するDNAだけでなく、該DNAが挿入された組み換え発現ベクターも含む。当業者は、当業界に知られたクローン技術を用いて、ガラクトース異性化酵素をコードする遺伝子または転写/解読調節配列を有するその突然変異体からなる発現ベクターを製造することができるであろう。前記組み換え発現ベクターは選択された宿主内で作用するかぎりいかなるベクターも作用可能である。例えば、ファージ、プラスミド、コスミドなどの通常の発現ベクターが利用できる。発現ベクターを製造する方法は公知であり、例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning, Cold Spring Harbor Laboratory(1989)に詳述されている。
【0026】
このようにして製造された組み換え発現ベクターにより宿主細胞を形質転換させることができる。組み換えDNAの適当な発現細胞としては細菌、放線菌類、酵母、かび、動物細胞、昆虫細胞、または植物細胞などが利用される。
【0027】
本発明の耐熱性ガラクトース異性化酵素コード遺伝子またはこれと同等な機能の配列を有する遺伝子が挿入された組み換え発現ベクターで形質転換した後、宿主細胞を適当な培地と条件で培養してガラクトース異性化酵素を製造することができる。
【0028】
前記方法により製造されたガラクトース異性化酵素は、遊離状態でまたは適切な担体に固定化して、適切な条件下でガラクトースをタガトースに転換するのに使用される。
本発明の実施態様において、好熱性菌株からPCR法によりクローニングして得た耐熱性ガラクトース異性化酵素をコードする遺伝子を大腸菌に導入した。培養後、遺伝子を含む細胞を溶解し細胞質ゾルを酵素源として得た。酵素源をガラクトース5g/lを含んだpH7.0緩衝溶液に加えて55℃で反応させた。比較のため、形質転換されていない大腸菌JM105、大腸菌由来のアラビノース異性化酵素(araA of E.coli)を含む組み換え発現ベクターpTC101(大韓民国特許出願第99−16118;国際特許出願 PCT/KR99/00661)で形質転換された大腸菌を溶解して細胞質ゾルを得、本発明のガラクトース異性化酵素を含む細胞質ゾルの場合と同様にして、これをガラクトースの転換に用いた。その結果、大腸菌由来のアラビノース異性化酵素はそのようは高温ではほとんど酵素活性を示さなかったが、本発明の新規耐熱性ガラクトース異性化酵素は高温でもガラクトースからタガトースへの変換を有効に触媒した。また、タガトースの生成収率は48%であった。この収率は、大腸菌由来のアラビノース異性化酵素の存在下、室温でガラクトースをタガトースに変換する場合にえられる収率30%に比べて著しく増加している。
【0029】
本発明のガラクトース異性化酵素により高収率でガラクトースから製造されるタガトースは、様々な応用分野を有し、例えば、低カロリー食品の甘味料及び充填剤、光学的活性化合物の合成中間体、及び洗剤、化粧品及び薬学的製剤の添加剤として利用される。
【0030】
本発明のガラクトース異性化酵素は、改善された熱安定性を有するので、高温でのガラクトースからタガトースへの変換を触媒することができ、反応の平衡位置をタガトース生成の方向に移動させる。従来の化学的方法とは異なり、本発明の耐熱性異性化酵素を利用したタガトースの生物的製造方法は環境を破壊することがない。また、ガラクトースはガラクチトールより安価なので、ガラクチトール脱水素酵素を利用した方法と比べて、本発明の生物学的方法は生産費用を大きく減らすことができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を通じて本発明の構成及び作用効果をより詳細に説明する。ただし、下記実施例は本発明を例示するための目的だけであり、本発明の権利範囲が下記実施例により限定されることはない。
【0032】
実施例1:高温性細菌からの遺伝子ライブラリー調製
高温性細菌の遺伝子ライブラリーを得るために韓国の江原道三陟市の温泉地域近隣の土壌サンプルを採取した。これら土壌サンプルを蒸溜水に懸濁させた後、希釈なしでLB固体培地に塗抹した後、55℃の高温で培養した。24時間培養後に培地上に出現した高温性細菌コロニーをLB液体培地に接種して55℃の高温で12時間再培養した。このように得られた高温性細菌プールから高温性細菌の遺伝子ライブラリーを製造した。この時、ライブラリーの製造はSambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2ndEd., Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)に記載の方法に従った。
【0033】
実施例2:高温性細菌の遺伝子ライブラリーからのガラクトース異性化酵素のスクリーニング及びクローニング
第1段階:ガラクトース異性化酵素遺伝子のPCR及び組み換え発現ベクターの製造 実施例1で得た高温性細菌の遺伝子ライブラリーをPCRによりスクリーンしてガラクトース異性化酵素遺伝子を見出した。PCR反応に使用したプライマーは、(a)塩基配列が明らかになったE. coli、B. subtilis、S. typhimuriumのaraAの塩基配列のコンセンサス配列の一部、(b)少なくとも一の、サブクローニングのための制限酵素切断部位、および(c)15個以下の塩基を有すること基準として製造した。図3に示したように、合成プライマーは次の配列を有する。
【0034】
また、非特定部位の会合性を損なわないために、PCR増幅のアニーリング温度は45℃と比較的低く設定した。PCR増幅は熱循環器中で、96℃、30秒間の変性;45℃、30秒間のアニーリング;および72℃、3分間の伸長からなるサイクルを反復して行い、DNA断片を製造した。ゲル電気泳動(図4)の結果、DNA断片はそれぞれ1.5、2,5、4kbの大きさを有していた。
【0035】
それぞれのPCR産物を2.9kbの発現ベクターであるpLEX(Invitrogen、USA)に接合させ、これを用いて大腸菌JM105の形質転換を行った。
【0036】
第2段階:形質転換体選別
前記第1段階で形質転換された大腸菌を、選択標識としてアンピシリンを含む寒天培地に塗抹し、アンピシリン耐性がある菌株を1次に選別した。1次選別された菌株約150個をそれぞれ液体培養した後、細胞を取り出し、超音波装置を利用して溶解し細胞質ゾルを得た。各細胞質ゾルをガラクトースを含む緩衝液に入れて高温(55℃)で24時間反応させた。タガトースの生成可否により、ガラクトース異性化酵素遺伝子を有するクローニングされた菌株を選別した。
【0037】
実施例3:クローニングされたガラクトース異性化酵素遺伝子の塩基配列及びアミノ酸配列の決定
前記実施例2で選別された菌株からベクターを分離し、制限酵素(EcoRI−KpnI)で切断した。得られたDNA断片塩基配列を決定し、決定した塩基配列からコードされている蛋白質のアミノ酸配列を決定した。ガラクトース異性化酵素遺伝子の塩基配列及びアミノ酸配列を図5及び図6に示した。
【0038】
クローニングされた耐熱性ガラクトース異性化酵素遺伝子を含むベクターをpL151M0と命名し、その遺伝地図を図7に図示した。前記組み換え発現ベクターpL151M0を制限酵素で切断してその断片の大きさをゲル電気泳動で確認した(図8)。
【0039】
実施例4:ガラクトース培地でのタガトースの製造
前記実施例2で得られた新規の耐熱性ガラクトース異性化酵素の遺伝子を含む大腸菌JM105/pL151M0と他の比較群の高温でのタガトース転換能力をテストした。比較群として、形質転換されていない大腸菌JM105と大腸菌由来のアラビノース異性化酵素(araA of E.coli)を含む組み換え発現ベクターpTC101(大韓民国特許出願第99−16118号;国際特許出願 PCT/KR99/0066l)で形質転換した大腸菌を使用した。それぞれの菌体を液体培養後、溶解して細胞質ゾルを酵素源として得た。ガラクトース5g/lを含んだpH7.0緩衝溶液に細胞質ゾルを添加して55℃で反応させた。12時間後、システイン−カルバゾール発色法により生成したタガトースを定量した。結果を図9に示す。72時間後にも生成タガトースを定量し、その結果を下記表1に示した。
表1
本発明の耐熱性タガトース異性化酵素と公知酵素との間の
タガトースの生産量比較
【0040】
表1から明らかなように、大腸菌由来のアラビノース異性化酵素は高温ではタガトースをほとんど生産しないが、本発明の新規な耐熱性ガラクトース異性化酵素は高温でも酵素活性を示した。また、本発明の酵素の存在下では、ガラクトース−タガトース反応の収率もそのような高温でも約48%と高い値を示す。常温で大腸菌由来のアラビノース異性化酵素により達成される収率が高々30%程度であることを考えると、著しく増大したことが分かる。ガラクトース異性化酵素の熱安定性の増大による平衡常数の増加はグルコース異性化酵素での場合(Bhosale et al, Molecular and industrial aspects of glucose isomerase, Microbiol. Rev., 60:280−300)とも一致するものであり、アルドース−ケトース間の平衡常数は、通常の反応と同様、温度に依存することを示している。
【0041】
実施例5:最適反応温度と最適pHの決定
決定されたDNA配列から、本発明のガラクトース異性化酵素は分子量が56kDaであり、498個のアミノ酸からなると推論される。最適反応温度と最適pHを求めるために、温度とpHを変化させながら酵素の相対活性を測定した。温度とpHに対する活性の変化を図10及び図11に図示した。その結果、最適反応温度とpHは各々60℃及び7.5−8.5であることがわかった。
【0042】
実施例6:ガラクトース異性化酵素遺伝子の分子進化
error−prone PCR法を利用して本発明の耐熱性ガラクトース異性化酵素遺伝子の改良を行った。形質変換されていないガラクトース異性化酵素遺伝子を鋳型としてerror−prone PCR法を実施した。PCR産物を制限酵素で切断した後、ベクターpKK223−3(AP Biotech, Genbank: M77749)にサブクローニングした。サブクローニングされたコロニーをアンピシリンを含有したLB−寒天プレート上で選別した。コロニーを96−ウェルプレートに移して60℃で6時間ガラクトース(1%)培地でさらに培養した。各ウェルをシステイン−カルバゾール処理して目視出来るようにし、させた後ELISAリーダを使用して560nmで吸光度を測定した。pL151M0を含有するコロニーに比較して活性が増加されたガラクトース異性化酵素を生産するコロニーを選別した。1000個のコロニーのうち、6個のコロニーが元のガラクトース異性化酵素に比べてはるかに増大した触媒活性を示した。結果を表2に示す。
表2
改良前後のガラクトース異性化酵素の活性比較
【0043】
改良されたガラクトース異性化酵素は改良前のガラクトース異性化酵素より11倍も高い活性を示した。最も高い活性を示すコロニーからプラスミドを分離して前記改良遺伝子のDNA塩基配列を決定した。これを図12に図示した。配列のうち、置換された塩基にはアンダーラインを付した。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の耐熱性ガラクトース異性化酵素およびその突然変異体を利用すれば高い温度でも安定に高い収率でガラクトースからタガトースを製造することができる。
【0045】
以上では本発明を実施例によって詳細に説明したが、本発明は実施例によって限定されず、本発明が属する技術分野において通常の知識を有するものであれば本発明の思想と精神を離れることなく、本発明を修正または変更できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】タガトース及びガラクトースの化学構造を示す図である。
【図2】ガラクトース異性化酵素とグルコース異性化酵素の生体内、生体外反応での酵素作用の相違を示す図である。
【図3】ガラクトース異性化酵素をクローニングするための、6塩基配列からなる、PCRプライマー塩基配列を示す図である。
【図4】電気泳動により分離した、天然由来の高温性細胞のPCR産物を示すUV写真である。
【図5】本発明に従ってクローニングしたガラクトース異性化酵素遺伝子の塩基配列(配列番号1)を示す図である。
【図6】前記遺伝子によりコードされるガラクトース異性化酵素のアミノ酸配列(配列番号2)を示す図である。
【図7】本発明のガラクトース異性化酵素コード遺伝子が挿入された組み換え発現ベクターpL151MOのプラスミド地図を示すものである。
【図8】pL151MOの制限酵素切断写真である。
【図9】公知のアラビノース異性化酵素と本発明のガラクトース異性化酵素の活性を比較するための装置を示す図である。
【図10】反応温度に対する本発明のガラクトース異性化酵素の相対的な活性を示すグラフである。
【図11】pHに対する本発明のガラクトース異性化酵素の相対的な活性を示すグラフである。
【図12】天然由来の遺伝子材料をスクリーンして得たガラクトース異性化酵素の遺伝子を突然変異させた遺伝子の塩基配列(配列番号6)を示す図である。
Claims (9)
- 配列番号1の塩基配列を有し、耐熱性ガラクトース異性化酵素をコードする遺伝子、またはコドン縮重した塩基配列を有し、前記耐熱性ガラクトース異性化酵素と同一の機能を有するアミノ酸配列をコードすることを特徴とする遺伝子。
- 耐熱性ガラクトース異性化酵素をコードする遺伝子であって、請求項1の遺伝子の塩基配列と95%以上の配列相同性を有するか、または、コドン縮重した塩基配列を有し、前記耐熱性ガラクトース異性化酵素と同一の機能を有するアミノ酸配列をコードすることを特徴とする遺伝子。
- 前記塩基配列が配列番号6であることを特徴とする請求項2に記載の遺伝子。
- 配列番号2のアミノ酸配列を有する耐熱性ガラクトース異性化酵素蛋白質、または、一部のアミノ酸残基がこれと機能的に同一または類似の他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列を有することを特徴とする蛋白質誘導体。
- 請求項4のアミノ酸配列と95%以上の相同性を有することを特徴とする耐熱性ガラクトース異性化酵素蛋白質、または、一部のアミノ酸残基がこれと機能的に同一または類似の他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列を有することを特徴とする蛋白質誘導体。
- 請求項1ないし3のいずれかに記載のの遺伝子が挿入されたことを特徴とする組み換え発現ベクター。
- 請求項6に記載の組み換え発現ベクターにより形質転換されたことを特徴とする細胞。
- 請求項7に記載の形質転換された細胞を培養することを特徴とする耐熱性ガラクトース異性化酵素を製造する方法。
- 請求項4または5に記載の耐熱性ガラクトース異性化酵素、または、請求項8に記載の方法により製造された耐熱性ガラクトース異性化酵素を用いることを特徴とするガラクトースからタガトースを製造する方法。
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