JP2004514848A - 駆動トルクの伝達のための装置 - Google Patents

Abstract

駆動装置（２）と連結された入力軸（３）のトルクを第１又は第２の出力軸（４、５）に伝達するための装置を説明する。入力軸（３）によって送られるトルクは切換え装置（６）の制御に応じてそれぞれ２つの出力軸（４、５）の一方に加えられる。切換え装置（６）は電磁カップリング（７）を有する。電磁カップリング（７）によって入力軸（３）と第１又は第２の出力軸（４又は５）の間に動力伝達を生じさせることができる。電磁カップリング（７）は軸方向及び回転運動可能に構成された連結部材（８）を有する。連結部材（８）は入力軸（３）と遊転不能に結合され、電磁カップリング（７）の通電に応じて入力軸（３）と第１又は第２の出力軸（４又は５）の間に動力伝達を生じさせる。
【選択図】図１

Description

【０００１】
本発明は駆動装置と連結された入力軸から第１又は第２の出力軸へトルクを伝達するための装置に関する。
【０００２】
駆動トルクの伝達装置は変速機技術の実際から周知であり、その場合しばしば２つの出力軸を交互に駆動することが問題になる。このために通常２台の機械、例えば電動モータが使用される。２台の電動モータでそれぞれ一方の出力軸が操作され、電動モータは電子制御装置により軸の逐次動作のためにそれぞれ一方の駆動ユニットだけが作動するように制御される。
【０００３】
ところが２個の出力軸のために２つの駆動ユニットを使用すれば大きな取付け場所が必要であり、それは例えば自動車変速機で通常見られる窮屈な取付け場所条件のもとで問題である。
【０００４】
そこで本発明の課題は、構造が簡単で取付け場所が小さく、簡単な制御によってその機能を実現することができる、１個又は２個の出力軸へのトルク伝達のための装置を提供することである。
【０００５】
本発明によればこの課題は請求項１に挙げた特徴によって解決される。
【０００６】
入力軸と遊転不能に結合された電磁カップリングの連結部材によって入力軸と第１又は第２の出力軸の間に動力伝達を生じさせることができる本発明の駆動トルク伝達装置によって、それぞれ一方の出力軸と連結された２個のユニットに対して１個の独立の駆動装置が使用されるという利点がある。
【０００７】
その場合１台の機械又は駆動装置の単一の電動モータだけで２つの出力軸を交互に駆動することができ、このため一方でははるかに小さな取付け場所しか必要でなく、また製造費を低減することもできることが特に有利である。
【０００８】
さらに入力軸と第１又は第２の出力軸の間の動力伝達の切換えのための電磁カップリングの通電と駆動装置の動作を調整するだけでよいから、電磁カップリング制御用の簡単な制御調整技術によって入力軸による２つの出力軸の駆動を実現できるという利点がある。
【０００９】
本発明に基づき電磁カップリングを使用することによって、さらに本発明装置のコンパクトで摩耗の少ない構造が得られ、それが第２の駆動装置の省略と相俟って取付け場所の一層の減少と装置の寿命の延長をもたらす利点がある。
【００１０】
本発明に基づく装置は自動車の装置、特にパワートランスファの逐次駆動のために特に有利であることが証明された。それによって四輪駆動車で例えば多板ロッキングとオフロード走行シフトを１つの駆動装置だけで簡単に駆動することができる。
【００１１】
発明のその他の利点と改良は特許請求の範囲及び以下で図面に基づき原理に関して説明する実施例で明らかである。
【００１２】
図面の単一の図は、駆動装置２と連結された入力軸３から第１の出力軸４又は第２の出力軸５へ導かれるトルクの伝達装置１を示す。
【００１３】
入力軸３のトルクは切換え装置６の制御に従ってそれぞれ２つの出力軸４、５の一方に働く。切換え装置６は電磁カップリング７を有する。電磁カップリング７によって入力軸３と第１又は第２の出力軸４、５の間に駆動トルクの伝達のための動力伝達が成立する。
【００１４】
電磁カップリング７は軸方向及び回転運動可能に構成された連結部材８を有する。連結部材８は入力軸３と遊転不能に結合され、電磁カップリング７の通電に応じて入力軸３と第１の出力軸又は第２の出力軸５との間に動力伝達を成立させる。
【００１５】
入力軸３の出力軸４、５に面した軸端区域にフランジ状カラー９が形成され、連結部材８のこの場合ダイヤフラムスプリングとして形成された弾性部材１０がカラー９に遊転不能に固定されている。
【００１６】
本例ではフランジ状カラー９は入力軸３に固着された中空円筒形の部材１１と一体に形成され、中空円筒形部材１１と入力軸３の結合は出力軸４、５の反対側の中空円筒形部材１１の末端区域及び出力軸４、５の反対側の入力軸３の末端区域に設けられている。第１の出力軸４が中空円筒形部材１１の中心穴１２に侵入するように、中空円筒形部材１１は入力軸３の軸方向に延びており、フランジ状カラー９及び中空円筒形部材１１に作用する半径方向力を受けるためのころがり軸受１３が第１の出力軸４と中空円筒形部材１１の間に配置されている。
【００１７】
中空円筒形部材１１及び第１の出力軸４と中空円筒形部材１１の間の転がり軸受１３の配置又は設計は、部品相互の正確な位置決めと全装置１のコンパクトな構造を保証する。
【００１８】
また電磁カップリング７は、Ｕ字形横断面を有する環状磁石本体１６の中に配置された一体的鋳込コイルを有する。
【００１９】
連結部材８は弾性部材１０に加えてＬ形横断面の環状案内部材１７で構成され、案内部材１７は電磁カップリング７の磁石本体１６の上で回転運動及び入力軸３の軸方向の運動を行なうようになっている。磁石本体１６の上の案内部材１７の案内は、入力軸３の回転運動が中空円筒形部材１１、弾性部材１０及び案内部材１７に伝達され、案内部材１７によって遂行されるように形成されている。
【００２０】
横断面が少なくとも近似的にＵ字形に形成された環状伝達部材１８が案内部材１７に固定され、案内部材１７と伝達部材１８は電磁カップリング７のアーマチャー（可動鉄片）をなす。電磁カップリング７の通電状態で案内部材１７と伝達部材１８は板ばねとして形成された弾性部材１０の可逆変形によって生じる保持力に抗して、入力軸３の軸方向に２つの出力軸４、５の方向へ磁石本体１６の案内に沿って移動させられる。
【００２１】
第２の出力軸５は第１の出力軸４を取り囲む中空軸として形成され、電磁カップリング７の電流遮断状態で入力軸３と第２の出力軸５の間に遊転不能な結合が生じるように、入力軸３を向いた軸端と連結部材８又は伝達部材１８の歯１９を伝動結合することができる。伝達部材１８の歯１９は伝達部材１８の全周に伸びる内歯として形成され、第２の出力軸５の歯形とかみ合う。この歯形は入力軸３を向いた第２の出力軸５の漏斗状に広がる端部に形成されている。
【００２２】
伝達部材１８と第２の出力軸５の間の噛み合い結合の代わりに非噛み合い結合、例えば２つの摩擦面による摩擦結合を設けることは、もちろん当業者の裁量にゆだねられる。さらに上記の歯の代わりに他の適当な種類の噛み合い結合によって遊転不能な結合を形成することもできる。
【００２３】
第１の出力軸４は入力軸３に面した軸端区域にカラー２０を備えている。電磁カップリング７の通電状態で入力軸３と第１の出力軸４の間に遊転不能な結合が生じ、入力軸３から導入される駆動トルクが連結部材８を経て第１の出力軸４に伝達されるように、カラー２０と連結部材８又は伝達部材１８が接触する。
【００２４】
図によれば第１の出力軸４のカラー２０はプレスばめにより第１の出力軸４と結合された別個のフランジ状部材として形成されている。しかしカラー２０を出力軸４と一体に形成し、また第１の出力軸４とカラー２０の間に噛み合いまたは非噛み合いのいずれにせよ遊転不能な結合を設けることは、もちろん当業者の裁量にゆだねられる。
【００２５】
電磁カップリング７の通電状態で連結部材８又は案内部材１７と伝達部材１８は電磁カップリング７の一体的鋳込コイル１４が発生する電磁界によって軸方向にカラー２０に押し付けられ、その際伝達部材の歯１９が第２の出力軸５の歯形とのかみ合いから外される。こうして電磁カップリング７の通電状態で入力軸３と第２の出力軸５の結合が解除され、伝達部材１８とカラー２０の間に摩擦結合が生じるから、連結部材８を介して入力軸３と第１の出力軸４の間で動力伝達が行われる。
【００２６】
電磁カップリング７の電流遮断状態で伝達部材１８と案内部材１７は、電磁カップリング７の通電状態で弾性部材１０に供給されたポテンシャルエネルギーによって入力軸３の軸方向にカラー２０から電磁カップリング７のコイル１４の方へ移動させられる。その場合伝達部材１８とカラー２０の間の摩擦結合が解除され、伝達部材１８の歯１９が再び第２の出力軸５の歯形とかみ合う。
【００２７】
駆動装置２の負担の軽減のために入力軸３の区域に電磁ブレーキ２１が設けられ、これによって入力軸３は電磁ブレーキ２１の通電に応じてある位置に遊転不能に保持される。電磁ブレーキ２１は一体的鋳込コイル２２を有し、コイル２２はＵ字形横断面で形成された環状磁石本体２４の中に配置されている。
【００２８】
さらに電磁ブレーキ２１は入力軸３と遊転不能に結合された、入力軸３の軸方向に移動可能なブレーキ部材２５を具備する。電磁ブレーキ２１の通電状態でブレーキ部材２５は入力軸３と電磁ブレーキ２１の間に動力伝達を形成する。電磁ブレーキ２１の電流遮断状態でブレーキ部材２５は電磁ブレーキ２１のコイル２２及び磁石本体２４に対して入力軸３の軸方向に間隔をおいて配置されている。電磁ブレーキ２１のブレーキ部材２５と磁石本体２４が接触し、磁石本体２４が装置１のハウジング２６に固定されていることにより、駆動装置から駆動トルク又は逆トルクを働かせないでも、入力軸３は電磁ブレーキ２１による負荷トルクで所望の定位置に保持される。
【００２９】
負荷トルクは例えば第１の出力軸４又は第２の出力軸５と連結された自動車変速機の装置から入力軸３に作用することができる。駆動装置２から両方の出力軸４、５又は一方の出力軸に掛かるトルクに対抗する逆トルクを働かせようとすると、駆動装置２のモータ例えば電動モータに持続的に通電しなければならない。ところが逆トルクの維持のために電動モータの持続的な通電が不可欠であり、それは大量のエネルギー使用を必要とし、駆動装置２の不要な温度上昇をもたらすから、このような通電は望ましくない。電磁ブレーキ２１の使用によって、これが見事に回避される。
【００３０】
電磁ブレーキ２１の通電状態から電流遮断状態に移行するときに、電磁ブレーキ２１のブレーキ部材２５と磁石本体２４の間の摩擦結合を確実に解除するために、入力軸３の軸フランジ２７とブレーキ部材２５の間に別の弾性部材２８が設けられ、電磁カップリング２１の通電状態でブレーキ部材２５の軸方向移動に基づき弾性部材２８に可逆変形が生じ、ポテンシャルエネルギーを蓄積する。電磁ブレーキ２１が電流遮断状態に移行すると、蓄積されたエネルギーはブレーキ部材２５を電磁ブレーキ２１の磁石本体２４からブレーキ部材２５の休止位置へと軸方向に移動させる。軸フランジ２７はプレスばめにより入力軸３に固着され、入力軸３の段部２９により入力軸３の軸方向に固定されている。
【００３１】
電磁カップリング７は電磁ブレーキ２１と同様にマウント１６によりハウジングに固定して不動に配置されている。また電磁カップリング７と電磁ブレーキ２１は基本的に同じ構造であるが、生じる電磁界が周囲の部品に及ぼす効果は相違する。電磁カップリング７の電磁界は連結部材８の反発を生じ、これに対して電磁ブレーキ２１の電磁界は電磁ブレーキ２１のアーマチャー（可動鉄片）をなすブレーキ部材２５の吸引を生じる。電磁界を最適に形成することができるように、磁石本体１６、２４は鉄製である。
【００３２】
入力軸３は玉軸受３０によってハウジング２６に支承され、玉軸受３０は入力軸３に作用する軸方向力を受ける。第２の出力軸５も玉軸受３３によりハウジング２６に回転可能に支承され、第１の出力軸４はころ軸受１３により中空円筒形部材１１に、また２個の別のころ軸受３２Ａ、３２Ｂ及び補助玉軸受３１により第２の出力軸５の中に回転可能に支承される。
【００３３】
上記の装置１は自動車の装置の逐次駆動のために使用され、この場合逐次駆動される装置は一方では後輪駆動装置のドライブトレイン及び前輪駆動装置のドライブトレインのロックのための多板ロッキング、他方ではトランスファケースのオフロード走行シフト装置である。
【図面の簡単な説明】
【図１】
本発明に基づくトルク伝達装置の概略図である。
【符号の説明】
１　装置
２　駆動装置
３　入力軸
４　第１の出力軸
５　第２の出力軸
６　切換え装置
７　電磁カップリング
８　連結部材
９　フランジ状カラー
１０　弾性部材
１１　中空円筒形部材
１２　中心穴
１３　ころ軸受
１４　電磁カップリングの一体鋳造コイル
１６　電磁カップリングの磁石本体
１７　案内部材
１８　伝達部材
１９　伝達部材の歯
２０　カラー
２１　電磁ブレーキ
２２　電磁ブレーキの一体鋳造コイル
２４　電磁ブレーキの磁石本体
２５　ブレーキ部材
２６　ハウジング
２７　入力軸の軸フランジ
２８　弾性部材
２９　入力軸の段部
３０　玉軸受
３１　玉軸受
３２Ａ、３２Ｂ　ころ軸受
３３　玉軸受

Claims (12)

1. 駆動装置（２）と連結された入力軸（３）のトルクを第１又は第２の出力軸（４、５）に伝達するための装置において、切換え装置（６）の制御に応じて入力軸（３）のトルクを２つの出力軸（４、５）の一方にそれぞれ作用させることができ、切換え装置（６）が電磁カップリング（７）を有し、電磁カップリング（７）によって入力軸（３）と第１又は第２の出力軸（４又は５）の間に動力伝達を生じさせることができ、電磁カップリング（７）が軸方向及び回転運動可能に構成された連結部材（８）を有し、連結部材（８）が入力軸（３）と遊転不能に結合され、電磁カップリング（７）の通電に応じて入力軸（３）と第１又は第２の出力軸（４又は５）の間に動力伝達を生じさせる装置。
2. 入力軸（３）が出力軸（４、５）を向いた軸端区域にフランジ状のカラー（９）を有し、カラー（９）に連結部材（８）の弾性部材（１０）が遊転不能に固定されていることを特徴とする請求項１に記載の装置。
3. 第２の出力軸（５）が第１の出力軸（４）を取り囲む中空軸として形成され、電磁カップリング（７）の電流遮断状態で入力軸（３）と第２の出力軸（５）の間に遊転不能な結合が生じるように、入力軸（３）に面した出力軸（４）の軸端を連結部材（８）と伝動結合させることができることを特徴とする請求項１又は２に記載の装置。
4. 第１の出力軸（４）が入力軸（３）を向いた軸端区域にカラー（２０）を有し、電磁カップリング（７）の通電状態で入力軸（３）と第１の出力軸（４）の間に遊転不能な結合が生じるように連結部材（８）がカラー（２０）と接触することを特徴とする請求項１乃至３のいずれか一項に記載の装置。
5. 電磁カップリング（７）の通電状態で入力軸（３）と第２の出力軸（５）の間の結合が解除されることを特徴とする請求項１乃至４のいずれか一項に記載の装置。
6. 電磁カップリング（７）の電流遮断状態で入力軸（３）と第１の出力軸（４）の結合が解除されることを特徴とする請求項１乃至５のいずれか一項に記載の装置。
7. 入力軸（３）と第１又は第２の出力軸（４又は５）の間に遊転不能な結合を形成するために、それぞれ噛み合い結合又は非噛み合い結合が設けられていることを特徴とする請求項３乃至６のいずれか一項に記載の装置。
8. 駆動装置（２）の負担の軽減のために入力軸（３）の区域に電磁ブレーキ（２１）が設けられ、これによって入力軸（３）が電磁ブレーキ（２１）の通電に応じて遊転不能に１つの位置に保持されることを特徴とする請求項１乃至７のいずれか一項に記載の装置。
9. 電磁ブレーキ（２１）が入力軸（３）に対して遊転不能かつ入力軸（３）の軸方向に移動可能なブレーキ部材（２５）を有し、電磁ブレーキ（２１）の通電状態でブレーキ部材（２５）が入力軸（３）と電磁ブレーキ（２１）の間に動力伝達を形成することを特徴とする請求項８に記載の装置。
10. 電磁ブレーキ（２１）及び電磁カップリング（７）が１つのハウジングに固設されていることを特徴とする請求項８又は９に記載の装置。
11. 自動車変速機の装置の逐次駆動のために使用することを特徴とする請求項１乃至１０のいずれか一項に記載の装置。
12. 逐次駆動される装置がパワートランスファの多板ロッキング装置及びオフロード走行シフト装置であることを特徴とする請求項１１に記載の装置。