JP2010025170A - 駆動力断続装置、駆動力断続装置の制御方法、四輪駆動車両及び四輪駆動車両の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】二輪駆動状態と四輪駆動状態とを切り替える際の異音や振動の発生を低減することができる駆動力断続装置、駆動力断続装置の制御方法、四輪駆動車両及び四輪駆動車両の制御方法を提供する。
【解決手段】駆動力断続装置16は、インターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33との間に配置される摩擦クラッチ41と、摩擦クラッチ41を押圧するカム機構45と、インターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33とを相対回転不能に連結するドグクラッチ55,56と、カム機構45を駆動する駆動機構60とを備えた。そして、摩擦クラッチ41によりインターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33との相対回転速度を小さくした後に、ドグクラッチ55,56によりインターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33とを連結させるようにした。
【選択図】図2
【解決手段】駆動力断続装置16は、インターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33との間に配置される摩擦クラッチ41と、摩擦クラッチ41を押圧するカム機構45と、インターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33とを相対回転不能に連結するドグクラッチ55,56と、カム機構45を駆動する駆動機構60とを備えた。そして、摩擦クラッチ41によりインターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33との相対回転速度を小さくした後に、ドグクラッチ55,56によりインターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33とを連結させるようにした。
【選択図】図2
Description
本発明は、駆動力断続装置、駆動力断続装置の制御方法、四輪駆動車両及び四輪駆動車両の制御方法に関するものである。
従来、前輪側と後輪側との間でトルクを伝達するプロペラシャフトにおけるトルク伝達方向の下流側に設けられ、エンジンの駆動力伝達経路を変更して二輪駆動状態と四輪駆動状態とを切り替えるための切り替え手段(例えばトランスファ)を備えた所謂パートタイム式の四輪駆動車両がある。このような四輪駆動車両として、二輪駆動時にはトルク伝達が遮断される補助駆動輪(例えば、後輪)側のディファレンシャルと同補助駆動輪との間のトルク伝達を遮断し、四輪駆動時にはこれらの間をトルク伝達可能に連結する駆動力断続装置を備えたものが知られている。
例えば特許文献1には、リヤディファレンシャルに連結されたインナシャフト及び後輪に連結されたアウタシャフトの外周にそれぞれ形成されたスプラインと噛合するカップリングスリーブにより、これらシャフト間のトルク伝達を断続するようにした駆動力断続装置が開示されている。そして、このような駆動力断続装置により、二輪駆動時に後輪の回転によって後輪側の駆動伝達系(リヤディファレンシャルやプロペラシャフト等)が無用に回転することを防止し、同駆動伝達系において発生する振動・騒音の低減や燃費の向上を図っている。
特開昭60−219124号公報
ところで、上記特許文献1では、インナシャフトとアウタシャフトとの回転が同期していれば、インナシャフトに設けられたカップリングスリーブが円滑にアウタシャフトのスプラインと噛合するが、両シャフトの回転が同期していない場合には、カップリングスリーブがアウタシャフトに弾発的に当接する。そのため、特にその相対回転速度が大きい場合には、カップリングスリーブがアウタシャフトに当接する際に異音や振動が発生し、その結果、運転者に不快感を与える虞があった。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、二輪駆動状態と四輪駆動状態とを切り替える際の異音や振動の発生を低減することができる駆動力断続装置、駆動力断続装置の制御方法、四輪駆動車両及び四輪駆動車両の制御方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、二輪駆動状態と四輪駆動状態とを切り替え可能な四輪駆動車両に搭載され、二輪駆動時にトルク伝達が遮断される補助駆動輪側のディファレンシャル装置の出力ギヤ及び該出力ギヤからトルクが伝達されて駆動される前記補助駆動輪の何れか一方に連結された第1駆動軸と、前記出力ギヤ及び前記補助駆動輪の何れか他方に連結され前記第1駆動軸に対して相対回転可能な第2駆動軸とのトルク伝達を断続する駆動力断続装置であって、前記第1駆動軸と前記第2駆動軸との間に配置され軸方向に押圧されることにより前記第1駆動軸と前記第2駆動軸との相対回転速度を小さくする摩擦クラッチと、前記摩擦クラッチを軸方向に押圧する押圧手段と、軸方向に押圧されて前記第1駆動軸と前記第2駆動軸とを相対回転不能に連結する噛み合いクラッチとを備え、前記噛み合いクラッチは、前記摩擦クラッチが押圧されて前記第1駆動軸と前記第2駆動軸との相対回転速度が小さくなった後に、前記第1駆動軸と前記第2駆動軸とを相対回転不能に連結することを要旨とする。
上記構成によれば、二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替える際に、二輪駆動時に第1駆動軸と第2駆動軸との間に生じた相対回転速度(回転速度差)を、押圧手段が摩擦クラッチを摩擦係合させることで小さくでき、第1駆動軸及び第2駆動軸の回転同期が図られる。そして、摩擦クラッチにより第1駆動軸と第2駆動軸との相対回転速度が小さくなった後に、噛み合いクラッチ(例えばカップリングスリーブやドグクラッチ等)により第1駆動軸と第2駆動軸とが相対回転不能に連結される。従って、第1駆動軸と第2駆動軸との相対回転速度が大きい状態で、噛み合いクラッチによりこれら駆動軸が相対回転不能に連結されず、異音や振動が発生することを低減できる。その結果、二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替える際に、運転者に不快感を与えることを防止できる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の駆動力断続装置において、前記押圧手段は、前記第1駆動軸に対して軸方向移動可能且つ相対回転不能に設けられ前記摩擦クラッチを押圧可能な第1カム部材と、前記第1カム部材と対向し、前記第1駆動軸に対して相対回転可能に設けられた第2カム部材とを有し、前記第1カム部材と前記第2カム部材との相対回転により前記摩擦クラッチを軸方向に押圧するカム機構であることを要旨とする。
上記構成によれば、第1カム部材と第2カム部材とが相対回転することで、同第1カム部材により摩擦クラッチが押圧されるため、例えばモータ等のアクチュエータで摩擦クラッチを押圧する押圧部材を駆動して摩擦クラッチを押圧する場合に比べ、押圧手段を簡単な構成にすることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の駆動力断続装置において、前記噛み合いクラッチは、前記第1カム部材及び前記第2駆動軸との各対向面にそれぞれ形成され、前記摩擦クラッチを摩擦係合させた状態で、前記第1カム部材が前記摩擦クラッチの摩擦係合力を増大させるように軸方向移動することにより、前記第1駆動軸と前記第2駆動軸とを相対回転不能に連結することを要旨とする。
上記構成によれば、第1カム部材が摩擦クラッチの摩擦係合力を増大させるように軸方向移動することにより、第1駆動軸と第2駆動軸とが噛み合いクラッチによって相対回転不能に連結される。そのため、噛み合いクラッチを第1カム部材に対して独立して移動可能に設け、摩擦クラッチと個別に噛み合いクラッチを押圧して第1駆動軸と第2駆動軸とを連結する場合に比べ、装置を簡素化することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の駆動力断続装置において、前記押圧手段は、前記第2カム部材に固着される同期用磁性部材と、前記同期用磁性部材を磁化させる同期用電磁コイルと、前記同期用磁性部材と対向して非回転部位に設けられる同期用磁石と、前記同期用磁性部材が前記同期用磁石に吸引されるように前記同期用電磁コイルに電流を供給することで、前記第1カム部材と前記第2カム部材との間に相対回転を発生させる押圧制御手段とを備えたことを要旨とする。
上記構成によれば、同期用磁性部材が同期用磁石に吸引されるように同期用電磁コイルに電流が供給されることで、同期用磁性部材とともに第2カム部材が同期用磁石の配置された非回転部位側に吸引される。その結果、回転する第2カム部材と非回転部位との間で摩擦が生じることで、第1カム部材と第2カム部材との間に相対回転が生じ、摩擦クラッチが押圧される。このように、第2カム部材が非回転部位と摺接するため、第2カム部材が逆回転する部材と摺接する場合に比べ、摩擦時に第2カム部材に加わる負荷を少なくすることができる。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の駆動力断続装置において、前記押圧制御手段は、前記噛み合いクラッチにより前記第1駆動軸と前記第2駆動軸とが相対回転不能に連結された状態で、前記同期用磁性部材が前記同期用磁石に反発されるように前記同期用電磁コイルに電流を供給することを要旨とする。
上記構成によれば、第1駆動軸と第2駆動軸とが噛み合いクラッチにより連結された状態で、同期用磁性部材と同期用磁石とが反発するように同期用電磁コイルに電流が供給されるため、噛み合いクラッチによる連結後に第2カム部材と非回転部位との間で摩擦が生じることが防止される。従って、第2カム部材と非回転部位との間で発生する摩擦熱により、駆動力断続装置が過熱することを防止できる。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の駆動力断続装置において、前記押圧手段は、前記第1カム部材に固着される保持用磁石と、前記保持用磁石と対向し前記第2駆動軸に設けられた保持用磁性部材と、前記保持用磁性部材を磁化させる保持用電磁コイルとを備え、前記押圧制御手段は、前記噛み合いクラッチにより前記第1駆動軸と前記第2駆動軸とが連結された状態で、前記保持用磁性部材が前記保持用磁石に吸引されるように前記保持用電磁コイルに電流を供給することを要旨とする。
上記構成によれば、第1駆動軸と第2駆動軸とが連結された状態で、保持用磁性部材が保持用磁石に吸引されるように保持用電磁コイルに電流が供給されるため、第1カム部材が軸方向の第2駆動軸側に吸引されて噛み合いクラッチの噛合が保持される。従って、噛み合いクラッチによる連結後に第2カム部材と非回転部位との間で摩擦を生じさせることなく、例えば車両走行時に車輪から伝達される振動等により、第1駆動軸と第2駆動軸との連結が解除されてしまうことを防止できる。
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の駆動力断続装置において、前記押圧手段は、前記第1駆動軸に対して軸方向移動可能且つ相対回転不能に設けられ前記摩擦クラッチを押圧する押圧部材と、前記第2駆動軸及び前記押圧部材を通過する磁束を発生させる駆動用電磁コイルとを備え、前記第2駆動軸及び前記押圧部材には、該第2駆動軸と該押圧部材との間のギャップを通過する磁路を径方向と非平行にする磁路形成部が形成されたことを要旨とする。
上記構成によれば、駆動用電磁コイルに電流を供給することで、電磁誘導作用により押圧部材が軸方向の第2駆動軸側に吸引されて移動し、摩擦クラッチが押圧部にて押圧される。そのため、例えば押圧手段をカム機構により構成する場合に比べ、簡単な構成とすることができる。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の駆動力断続装置において、前記噛み合いクラッチは、前記第2駆動軸と前記押圧部材との各対向面にそれぞれ形成され、前記摩擦クラッチを摩擦係合させた状態で、前記押圧部材が前記摩擦クラッチの摩擦係合力を増大させるように軸方向移動することにより、前記第1駆動軸と前記第2駆動軸とを相対回転不能に連結することを要旨とする。
上記構成によれば、押圧部材が摩擦クラッチの摩擦係合力を増大させるように軸方向移動することにより、第1駆動軸と第2駆動軸とが噛み合いクラッチによって相対回転不能に連結される。そのため、噛み合いクラッチを押圧部材に対して独立して移動可能に設け、摩擦クラッチと個別に噛み合いクラッチを押圧して第1駆動軸と第2駆動軸とを連結する場合に比べ、装置を簡素化することができる。
また、押圧手段をカム機構により構成した場合と異なり、第2カム部材を非回転部位に押し付けることで第1カム部材を軸方向の第2駆動軸側に移動させず、押圧部材を直接第2駆動軸側に移動させている。従って、駆動用電磁コイルによって押圧部材が軸方向の第2駆動軸側に移動させる際に、摩擦熱が発生しないため、別途保持用の電磁コイルを設けて噛み合いクラッチの噛合を保持せずともよく、押圧手段を簡単な構成にすることができる。
請求項9に記載の発明は、二輪駆動状態と四輪駆動状態とを切り替え可能な四輪駆動車両に搭載され、二輪駆動時にトルク伝達が遮断される補助駆動輪側のディファレンシャル装置の出力ギヤ及び該出力ギヤからトルクが伝達されて駆動される前記補助駆動輪の何れか一方に連結された第1駆動軸と、前記出力ギヤ及び前記補助駆動輪の何れか他方に連結され前記第1駆動軸に対して相対回転可能な第2駆動軸とのトルク伝達を断続する駆動力断続装置の制御方法であって、前記第1駆動軸と前記第2駆動軸との間に配置された摩擦クラッチを軸方向に押圧して、前記第1駆動軸と前記第2駆動軸との相対回転速度を小さくした後に、噛み合いクラッチを軸方向に押圧して、前記第1駆動軸と前記第2駆動軸とを相対回転不能に連結させることを要旨とする。
上記構成によれば、第1駆動軸と第2駆動軸との相対回転速度が大きい状態で、噛み合いクラッチによりこれら駆動軸が相対回転不能に連結されず、異音や振動が発生することを低減できる。その結果、二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替える際に、運転者に不快感を与えることを防止できる。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の駆動力断続装置の制御方法において、前記駆動力断続装置は、前記第1駆動軸に対して軸方向移動可能且つ相対回転不能に設けられ前記摩擦クラッチを押圧可能な第1カム部材、並びに前記第1カム部材と対向し前記第1駆動軸に対して相対回転可能に設けられた第2カム部材とを有し、前記第1カム部材と前記第2カム部材との相対回転により前記摩擦クラッチを軸方向に押圧するカム機構と、前記第2カム部材に固着される同期用磁性部材と、前記同期用磁性部材を磁化させる同期用電磁コイルと、前記同期用磁性部材と対向して非回転部位に設けられる同期用磁石とを備えてなるものであって、前記同期用磁性部材が前記同期用磁石に吸引されるように前記同期用電磁コイルに電流を供給して、前記第1カム部材と前記第2カム部材との間に相対回転を発生させることを要旨とする。
上記構成によれば、回転する第2カム部材と非回転部位との間で摩擦が生じることで、第1カム部材と第2カム部材との間に相対回転が生じ、摩擦クラッチが押圧される。このように、第2カム部材が非回転部位と摺接するため、第2カム部材が逆回転する部材と摺接する場合に比べ、摩擦時に第2カムに加わる負荷を少なくすることができる。
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の駆動力断続装置の制御方法において、前記噛み合いクラッチにより前記第1駆動軸と前記第2駆動軸とが相対回転不能に連結された状態で、前記同期用磁性部材と前記同期用磁石とが反発するように前記同期用電磁コイルに電流を供給することを要旨とする。
上記構成によれば、第1駆動軸と第2駆動軸とを噛み合いクラッチにより相対回転不能に連結した後に、第2カム部材と非回転部位との間で摩擦が生じることが防止されるため、第2カム部材と非回転部位との間で発生する摩擦熱により、駆動力断続装置が過熱することを防止できる。
請求項12に記載の発明は、請求項10又は11に記載の駆動力断続装置の制御方法において、前記駆動力断続装置は、前記第1カム部材の外周に設けられる保持用磁石と、前記保持用磁石と対向し前記第2駆動軸に設けられた保持用磁性部材と、前記保持用磁性部材を磁化させる保持用電磁コイルとを備え、前記第1駆動軸と前記第2駆動軸とが前記第1カム部材及び前記第2駆動軸にそれぞれ形成された前記噛み合いクラッチにより相対回転不能に連結されるものであって、前記噛み合いクラッチにより前記第1駆動軸と前記第2駆動軸とが相対回転不能に連結された状態で、前記保持用磁性部材が前記保持用磁石に吸引されるように前記保持用電磁コイルに電流を供給することを要旨とする。
上記構成によれば、第1駆動軸と第2駆動軸とが相対回転不能に連結された状態で、保持用磁性部材が保持用磁石に吸引されように保持用電磁コイルに電流が供給されるため、第1カム部材が軸方向の第2駆同軸側に吸引されて噛み合いクラッチの噛合が保持される。従って、噛み合いクラッチによる連結後に第2カム部材と非回転部位との間で摩擦を生じさせることなく、例えば車両走行時に車輪から伝達される振動により、第1駆動軸と第2駆動軸との連結が解除されてしまうことを防止できる。
請求項13に記載の発明は、前輪側と後輪側との間でトルクを伝達するプロペラシャフトにおけるトルク伝達方向の下流側に設けられ、二輪駆動時にトルク伝達が遮断される補助駆動輪側のディファレンシャル装置の出力ギヤ及び該出力ギヤからトルクが伝達されて駆動される前記補助駆動輪の何れか一方に連結された第1駆動軸と、前記出力ギヤ及び前記補助駆動輪の何れか他方に連結され前記第1駆動軸に対して相対回転可能な第2駆動軸とのトルク伝達を断続する駆動力断続装置を備え、二輪駆動状態と四輪駆動状態とを切り替え可能な四輪駆動車両であって、前記駆動力断続装置は、前記第1駆動軸と前記第2駆動軸との間に配置され軸方向に押圧されることにより前記第1駆動軸と前記第2駆動軸との相対回転速度を小さくする摩擦クラッチと、前記摩擦クラッチを軸方向に押圧する押圧手段と、軸方向に押圧されて前記第1駆動軸と前記第2駆動軸とを相対回転不能に連結する噛み合いクラッチとを備え、前記噛み合いクラッチは、前記摩擦クラッチが押圧されて前記第1駆動軸と前記第2駆動軸との相対回転速度が小さくなった後に、前記第1駆動軸と前記第2駆動軸とを相対回転不能に連結することを要旨とする。
上記構成によれば、第1駆動軸と第2駆動軸との相対回転速度が大きい状態で、噛み合いクラッチによりこれら駆動軸が相対回転不能に連結されず、異音や振動が発生することを低減できる。その結果、二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替える際に、運転者に不快感を与えることを防止できる。
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の四輪駆動車両において、前記プロペラシャフトと前記ディファレンシャル装置との間に設けられ駆動源から前記各補助駆動輪間のトルク伝達容量を変更可能なトルクカップリングと、前記噛み合いクラッチにより前記第1駆動軸と前記第2駆動軸とを相対回転不能に連結する前に、前記トルクカップリングのトルク伝達容量を直結状態よりも小さくするカップリング制御手段とを備えたことを要旨とする。
摩擦クラッチにより、第1駆動軸と第2駆動軸との回転同期が図られていても、噛み合いクラッチにより第1駆動軸と第2駆動軸とが相対回転不能に連結されると、その瞬間に補助駆動輪から駆動伝達系に伝達されるトルクが急激に増加する。そのため、相対回転不能に連結される際に、プロペラシャフトのように慣性モーメントが大きな部材にて異音が発生する虞がある。この点、上記構成によれば、プロペラシャフトとディファレンシャル装置との間に設けられたトルクカップリングのトルク伝達容量が直結状態よりも小さく設定されるため、補助駆動輪から駆動力伝達系に伝達されるトルクが急増しても、プロペラシャフトに伝達されるトルクが急増することを防止でき、異音が発生することを低減できる。
請求項15に記載の発明は、請求項13又は14に記載の四輪駆動車両において、前記プロペラシャフトにおける前記トルク伝達方向の上流側に設けられ、駆動源の駆動力伝達経路を変更して二輪駆動状態と四輪駆動状態とを切り替える切り替え手段と、前記第1駆動軸と前記第2駆動軸との相対回転速度を小さくした後に、前記切り替え手段にて前記駆動力伝達経路を変更して二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替える切り替え制御手段とを備えたことを要旨とする。
切り替え手段にて二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替える際に、プロペラシャフトと切り替え手段の出力軸との回転同期を同切り替え手段にて図る場合には、その構造が複雑になってしまう。この点、上記構成によれば、第1駆動軸と第2駆動軸との相対回転速度を小さくする際に、プロペラシャフトが回転する。従って、切り替え手段の出力軸とプロペラシャフトとの相対回転速度が小さくなるため、切り替え手段にて二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替える際にこれらの回転同期を図らずともよく、切り替え手段を簡易な構成にすることができる。
請求項16に記載の発明は、前輪側と後輪側との間でトルクを伝達するプロペラシャフトにおけるトルク伝達方向の下流側に設けられ、二輪駆動時にトルク伝達が遮断される補助駆動輪側のディファレンシャル装置の出力ギヤ及び該出力ギヤからトルクが伝達されて駆動される前記補助駆動輪の何れか一方に連結された第1駆動軸と、前記出力ギヤ及び前記補助駆動輪の何れか他方に連結され前記第1駆動軸に対して相対回転可能な第2駆動軸とのトルク伝達を断続する駆動力断続装置を備え、二輪駆動状態と四輪駆動状態とを切り替え可能な四輪駆動車両の制御方法であって、前記第1駆動軸と前記第2駆動軸との間に配置された摩擦クラッチを軸方向に押圧して、前記第1駆動軸と前記第2駆動軸との相対回転速度を小さくした後に、噛み合いクラッチを軸方向に押圧して、前記第1駆動軸と前記第2駆動軸とを相対回転不能に連結させることを要旨とする。
上記構成によれば、第1駆動軸と第2駆動軸との相対回転速度が大きい状態で、噛み合いクラッチによりこれら駆動軸が相対回転不能に連結されず、異音や振動が発生することを低減できる。その結果、二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替える際に、運転者に不快感を与えることを防止できる。
請求項17に記載の発明は、請求項16に記載の四輪駆動車両の制御方法において、前記噛み合いクラッチにより前記第1駆動軸と前記第2駆動軸とを相対回転不能に連結する前に、前記プロペラシャフトと前記ディファレンシャル装置との間に設けられ駆動源から前記各補助駆動輪間へのトルク伝達容量を変更可能なトルクカップリングのトルク伝達容量を直結状態よりも小さくするようにしたことを要旨とする。
上記構成によれば、プロペラシャフトとディファレンシャル装置との間に設けられたトルクカップリングのトルク伝達容量が直結状態よりも小さく設定されるため、各補助駆動輪から駆動力伝達系に伝達されるトルクが急増しても、プロペラシャフトに伝達されるトルクが急増することを防止でき、異音が発生することを低減できる。
請求項18に記載の発明は、請求項16又は17に記載の四輪駆動車両の制御方法において、前記摩擦クラッチを摩擦係合させて前記第1駆動軸と前記第2駆動軸との相対回転速度を小さくした後に、前記プロペラシャフトにおける前記トルク伝達方向の上流側に設けられ駆動源の駆動力伝達経路を変更して二輪駆動状態と四輪駆動状態とを切り替える切り替え手段にて二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替えることを要旨とする。
上記構成によれば、切り替え手段の出力軸とプロペラシャフトとの相対回転速度が小さくなるため、切り替え手段にて二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替える際にこれらの回転同期を図らずともよく、切り替え手段を簡易な構成にすることができる。
本発明によれば、二輪駆動状態と四輪駆動状態とを切り替える際の異音や振動の発生を低減することが可能な駆動力断続装置、駆動力断続装置の制御方法、四輪駆動車両及び四輪駆動車両の制御方法を提供することができる。
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、車両1は、前輪駆動車をベースとする四輪駆動車であり、車両1の前部(図1において左側)には駆動源としてのエンジン2が搭載され、そのエンジン2に組み付けられたトランスアクスル3には、一対の左側及び右側フロントアクスル4L,4Rに常時連結されている。また、トランスアクスル3には、切り替え手段としてのトランスファ5が一体に設けられており、同トランスファ5を介してプロペラシャフト7に連結されている。プロペラシャフト7は、トルクカップリング8を介してドライブピニオンシャフト9と連結可能にされ、そのドライブピニオンシャフト9は、ディファレンシャル装置としてのリヤディファレンシャル10を介して一対の左側及び右側リヤアクスル11L,11Rと連結されている。なお、トルクカップリング8は、リヤディファレンシャル10とともに、車両1のフレーム(図示略)に固定されたデフキャリヤ12内に収容されている。
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、車両1は、前輪駆動車をベースとする四輪駆動車であり、車両1の前部(図1において左側)には駆動源としてのエンジン2が搭載され、そのエンジン2に組み付けられたトランスアクスル3には、一対の左側及び右側フロントアクスル4L,4Rに常時連結されている。また、トランスアクスル3には、切り替え手段としてのトランスファ5が一体に設けられており、同トランスファ5を介してプロペラシャフト7に連結されている。プロペラシャフト7は、トルクカップリング8を介してドライブピニオンシャフト9と連結可能にされ、そのドライブピニオンシャフト9は、ディファレンシャル装置としてのリヤディファレンシャル10を介して一対の左側及び右側リヤアクスル11L,11Rと連結されている。なお、トルクカップリング8は、リヤディファレンシャル10とともに、車両1のフレーム(図示略)に固定されたデフキャリヤ12内に収容されている。
トランスファ5は、内蔵したドグクラッチ等の噛み合いクラッチにより同トランスファ5の出力軸(図示略)とプロペラシャフト7との間のトルク伝達を断続可能に連結している。なお、本実施形態では、噛み合いクラッチは、エンジン2の負圧を利用したアクチュエータにより駆動されるようになっている。そして、トランスファ5は、出力軸とプロペラシャフト7との間のトルク伝達を断続することで、エンジン2の駆動力伝達経路を変更して二輪駆動状態と四輪駆動状態とを切り替える。
詳しくは、噛み合いクラッチを非噛合状態とすることで、プロペラシャフト7へのトルク伝達が遮断され、即ちエンジン2からプロペラシャフト7側への駆動力伝達経路が遮断され、車両1は二輪駆動状態になる。つまり、二輪駆動状態では、エンジン2のトルクは、トランスアクスル3からそれぞれ左側及び右側フロントアクスル4L,4Rを介して左側及び右側前輪13L,13Rに伝達される。
また、噛み合いクラッチを噛合状態とすることで、プロペラシャフト7にトルクが伝達され、即ちエンジン2からプロペラシャフト7側への駆動力伝達経路が接続され、車両1は四輪駆動状態となる。つまり、四輪駆動状態では、エンジン2のトルクは、二輪駆動状態と同様に左側及び右側前輪13L,13Rにそれぞれ伝達されるとともに、トランスアクスル3からトランスファ5、プロペラシャフト7、トルクカップリング8、ドライブピニオンシャフト9、リヤディファレンシャル10及び左側及び右側リヤアクスル11L,11Rを介して左側及び右側後輪14L,14Rに伝達される。
従って、本実施形態では、左側及び右側前輪13L,13R側がプロペラシャフト7のトルク伝達方向における上流側となり、左側及び右側後輪14L,14Rがプロペラシャフト7のトルク伝達方向における下流側となる。また、左側及び右側後輪14L,14Rにより左右一対の補助駆動輪が構成される。
トルクカップリング8は、電磁コイルに供給される電流量に応じて、プロペラシャフト7側及びドライブピニオンシャフト9側のそれぞれに設けられた各クラッチプレート間の摩擦係合力が変化する電磁クラッチ15を備えており、その摩擦係合力に基づくトルクを入力側のプロペラシャフト7から出力側のドライブピニオンシャフト9へと伝達する。つまり、トルクカップリング8(電磁クラッチ15)は、左側及び右側後輪14L,14Rへ伝達可能なトルク、即ちトルク伝達容量を調整する。なお、トルクカップリング8は周知の構成を有しており、その詳細は、例えば特開2005−3167号公報を参照されたい。
そして、本実施形態の車両1は、リヤディファレンシャル10と左側リヤアクスル11Lとの間のトルク伝達を断続可能にする駆動力断続装置16を備えている。駆動力断続装置16は、二輪駆動時にリヤディファレンシャル10と左側及び右側後輪14L,14Rとの間のトルクを遮断し、四輪駆動時にリヤディファレンシャル10と左側及び右側後輪14L,14Rとの間をトルク伝達可能に連結するようになっている。
次に、駆動力断続装置16の詳細な構成についてリヤディファレンシャル10の構成とともに説明する。
図2に示すように、リヤディファレンシャル10は、デフキャリヤ12内に配置された略円筒状をなすデフケース21を有している。デフケース21は、一端(図2における左側)が開口した有底円筒状のハウジング21aと、ハウジング21aの開口部に固着され同開口部を閉塞する円板形状のエンドプレート21bとを備えている。ハウジング21aの右側面及びエンドプレート21bの左側面には、それぞれ円筒状の左側及び右側回転軸筒22L,22Rが固着されている。なお、左側及び右側回転軸筒22L,22Rは、左側回転軸筒22Lの中心軸線と右側回転軸筒22Rの中心軸線とが一致するように配置されている。ここで、互いに一致する左側及び右側回転軸筒22L,22Rの中心軸線を中心軸線L1とする。
図2に示すように、リヤディファレンシャル10は、デフキャリヤ12内に配置された略円筒状をなすデフケース21を有している。デフケース21は、一端(図2における左側)が開口した有底円筒状のハウジング21aと、ハウジング21aの開口部に固着され同開口部を閉塞する円板形状のエンドプレート21bとを備えている。ハウジング21aの右側面及びエンドプレート21bの左側面には、それぞれ円筒状の左側及び右側回転軸筒22L,22Rが固着されている。なお、左側及び右側回転軸筒22L,22Rは、左側回転軸筒22Lの中心軸線と右側回転軸筒22Rの中心軸線とが一致するように配置されている。ここで、互いに一致する左側及び右側回転軸筒22L,22Rの中心軸線を中心軸線L1とする。
そして、デフケース21は、その左右両側に固着された左側及び右側回転軸筒22L,22Rがデフキャリヤ12の左側及び右側側壁12L,12Rに設けられた一対の円錐ころ軸受け23a,23bを介して同デフキャリヤ12に対し、中心軸線L1を中心として回転可能に支持されている。デフケース21は円錐ころ軸受け23a,23bにより所定の予圧が付与された状態で支持されており、その回転ガタが低減されている。
デフケース21のエンドプレート21bの右側面外周には、ハイポイドギヤよりなるリングギヤ24が中心軸線L1と同軸上に固定されている。リングギヤ24には、ドライブピニオンシャフト9の先端に固着されたハイポイドギヤよりなるドライブピニオン9aが噛合されている。従って、ドライブピニオンシャフト9(ドライブピニオン9a)が回転することによって、これに噛合するリングギヤ24を介して、デフケース21が中心軸線L1を回転中心に回転するようになっている。
右側回転軸筒22Rには、右側リヤアクスル11Rが貫挿され、その貫挿された右側リヤアクスル11Rの基端は、ハウジング21aを貫通しデフケース21内に突出している。なお、右側リヤアクスル11Rは、ハウジング21aに対して相対回転可能に貫通している。そして、右側リヤアクスル11Rの基端には、ベベルギヤよりなる右側サイドギヤ27Rが固着されている。
左側回転軸筒22Lには、後述する駆動力断続装置16のインターミディエイトシャフト32が回転可能に貫挿され、その貫挿されたインターミディエイトシャフト32の基端は、エンドプレート21bを貫通しデフケース21内に突出している。なお、インターミディエイトシャフト32は、エンドプレート21bに対して相対回転可能に貫通している。そして、インターミディエイトシャフト32の基端には、ベベルギヤよりなる左側サイドギヤ27Lが固着されている。
また、デフケース21には、中心軸線L1と直交するようにピニオンシャフト25が固着されている。このピニオンシャフト25は、ベベルギヤよりなる一対のデフピニオン26a,26bを回転可能に支持している。一対のデフピニオン26a,26bは、左側及び右側サイドギヤ27L,27Rと噛合している。
従って、デフケース21が中心軸線L1を中心に回転するとき、一対のデフピニオン26a,26bは、互いに対向する状態で中心軸線L1を中心にして公転するとともに、ピニオンシャフト25の中心軸線L2を回転中心として互いに独立して自転可能に設けられている。
そして、一対のデフピニオン26a,26bが中心軸線L1を中心にして公転するとき、デフピニオン26a,26bと噛合する左側及び右側サイドギヤ27L,27Rは、中心軸線L1を回転中心として回転する。従って、本実施形態では、左側サイドギヤ27Lにより出力ギヤが構成される。
デフキャリヤ12の左側には、駆動力断続装置16が設けられている。駆動力断続装置16は、円筒ドラム形状のハウジングケース31を有している。ハウジングケース31は、その右側側壁31Rがデフキャリヤ12の左側側壁12Lに固定されている。なお、右側側壁31Rは、左側回転軸筒22Lに対して非接触となっている。
なお、デフキャリヤ12及びハウジングケース31内は図示しないシール部材によりシールされており、内部には潤滑油が充填されている。デフキャリヤ12内には、デフピニオン26a,26bが浸る程度(例えば、70%程度)の充填率で充填されている。
ハウジングケース31内には、左側回転軸筒22Lを介してデフケース21内に突出させた軸状のインターミディエイトシャフト32が配置されている。第1駆動軸としてのインターミディエイトシャフト32は、ハウジングケース31の右側側壁31Rを回転可能に貫通してデフケース21内まで突出し、前記したようにデフケース21内において左側サイドギヤ27Lが固着されている。従って、インターミディエイトシャフト32は、左側サイドギヤ27Lとともに、中心軸線L1を中心として一体回転する。
また、ハウジングケース31内には、クラッチハウジング33が設けられている。第2駆動軸としてのクラッチハウジング33は、有底筒状に形成されるとともに、その円筒部34がハウジングケース31内に配置されている。また、クラッチハウジング33の底部35中央に形成した円筒形状の軸受部36は、ハウジングケース31の左側側壁31Lから突出し、その軸受部36の外周面がボール軸受け37を介してハウジングケース31に対して回転可能に支持されている。軸受部36の左側開口部には、左側リヤアクスル11Lが一体回転可能に固定されている。一方、軸受部36の右側開口部には、インターミディエイトシャフト32が貫挿され、ボール軸受け38を介してインターミディエイトシャフト32を回転可能に支持している。
インターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33の円筒部34との間には、摩擦クラッチ41が設けられている。摩擦クラッチ41は、インターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33とをトルク伝達可能に連結する多板式の摩擦クラッチであって、交互に配置される複数のインナクラッチプレート42と複数のアウタクラッチプレート43とを有している。
具体的には、各インナクラッチプレート42はインターミディエイトシャフト32の外周にスプライン嵌合され、同インターミディエイトシャフト32に対して、それぞれ軸方向移動可能、且つ相対回転不能に支持されている。従って、各インナクラッチプレート42は、インターミディエイトシャフト32と一体回転可能に設けられている。一方、各アウタクラッチプレート43はクラッチハウジング33の円筒部34内周にスプライン嵌合され、同クラッチハウジング33に対して、それぞれ軸方向に移動可能、且つ相対回転不能に支持されている。従って、各アウタクラッチプレート43は、クラッチハウジング33と一体回転可能に設けられている。
そして、摩擦クラッチ41は、これら各インナクラッチプレート42及びアウタクラッチプレート43が軸方向に押圧され、互いに摩擦係合することにより、インターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33とをトルク伝達可能に連結するようになっている。このとき、インターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33との間の伝達トルクは、各インナクラッチプレート42及びアウタクラッチプレート43の摩擦係合力、即ち軸方向の押圧力に応じて変化する。
摩擦クラッチ41の右側には、カム機構45が設けられている。カム機構45は、第1カム部材としての第1ランプリング46と、第2カム部材としての第2ランプリング47とを備えている。
第1ランプリング46は、インターミディエイトシャフト32の外周にスプライン嵌合され、同インターミディエイトシャフト32に対して、軸方向移動可能且つ相対回転不能に支持されている。従って、第1ランプリング46は、インターミディエイトシャフト32と一体回転可能に設けられている。なお、インナクラッチプレート42がスプライン嵌合するスプラインと第1ランプリング46がスプライン嵌合するスプラインとは、軸方向に連続して形成されている。第1ランプリング46は、クラッチハウジング33の円筒部34の内径よりも大径の外径を有する大径部48と、同大径部48の左側に円筒部34に内径よりも小径の外径を有する押圧部49を有している。
一方、第2ランプリング47は、第1ランプリング46とハウジングケース31の右側側壁31Rとの間に配置され、インターミディエイトシャフト32に相対回転可能に支持されている。従って、第1ランプリング46と第2ランプリング47とは、互いに相対回転可能に設けられている。
第1ランプリング46と第2ランプリング47とは、その対向面51,52が周方向に沿ってその軸方向厚さが異なる傾斜面に形成されている。そして、第1ランプリング46と第2ランプリング47とが相対回転することで、対向面(傾斜面)51,52の傾斜角に応じて第1ランプリング46と第2ランプリング47とが離間し、第1ランプリング46(押圧部49)が摩擦クラッチ41を押圧するようになっている。
第1ランプリング46の大径部48と押圧部49との間の段差面53は、円筒部34の開口端側の軸方向端面54と相対向する。この段差面53と軸方向端面54とには、軸方向に突出したドグクラッチ55,56がそれぞれ形成されている。従って、本実施形態では、段差面53及び軸方向端面54により対向面が構成されている。そして、これらドグクラッチ55,56が噛合することで、クラッチハウジング33と第1ランプリング46、即ちインターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33とが相対回転不能に連結されるようになっている。従って、本実施形態では、ドグクラッチ55,56によって噛み合いクラッチが構成される。
また、クラッチハウジング33の底部35と、同底部35側に設けられたアウタクラッチプレート43との間には、弾性部材57が配置されている。弾性部材57は、例えばウェーブワッシャよりなり、ドグクラッチ55,56によりインターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33とが連結された状態で、ドグクラッチ55,56の締結を解除する方向に第1ランプリング46を押圧するようになっている。
カム機構45の外側には、駆動機構60が設けられている。駆動機構60は、同期用磁性部材61、同期用磁石62、同期用電磁コイル63、保持用磁性部材64、保持用磁石65及び保持用電磁コイル66を備えている。
同期用磁性部材61は、円環状に形成された磁性体であって、第2ランプリング47の外周面に固着されている。また、同期用磁石62は、同期用磁性部材61と略同径の円環状に形成された永久磁石であって、同期用磁性部材61と軸方向に対向するようにハウジングケース31の右側側壁31Rに埋設されている。本実施形態では、非回転部位としての右側側壁31Rには、第2ランプリング47が摺接する摩擦材67(例えば、スラストワッシャ)が設けられている。
同期用電磁コイル63は、同期用磁性部材61の径方向外側に配置されるようにハウジングケース31の内側に固定されている。同期用電磁コイル63に電流を供給すると、同期用磁性部材61を磁化させ、同期用磁石62に対して同期用磁性部材61を吸引又は反発させることで、第2ランプリング47に軸方向へ移動させるための力を付与するようになっている。
保持用磁石65は、円環状に形成された永久磁石であって、第1ランプリング46の外周面に固着されている。また、保持用磁性部材64は、円環状に形成された磁性体であって、保持用磁石65と軸方向に対向するようにクラッチハウジング33の円筒部34に固着されている。
保持用電磁コイル66は、保持用磁性部材64の径方向外側に配置されるようにハウジングケース31の内側に固定されている。保持用電磁コイル66に電流を供給すると、保持用磁性部材64を磁化させ、保持用磁石65に対して吸引又は反発させることで、第1ランプリング46に軸方向へ移動する力を付与するようになっている。
本実施形態では、同期用磁石62及び保持用磁石65は、それぞれ軸方向に沿って異なる極性に着磁されており、同期用磁石62と保持用磁石65とは、その極性が反対になるように、即ち同期用磁石62と保持用磁石65とが反発するように配置されている。
従って、同期用電磁コイル63に電流を供給して、同期用磁性部材61が同期用磁石62に吸引されることで、第2ランプリング47が右側側壁31R側に移動し、同右側側壁31Rとの間で摩擦する。これにより、第1ランプリング46と第2ランプリング47との間に相対回転が発生し、第1ランプリング46が摩擦クラッチ41を押圧するようになっている。なお、同期用磁石62と保持用磁石65とは、その極性が反対になるように配置されているため、同期用磁性部材61は保持用磁石65に吸引されない。そして、第1ランプリング46がさらに軸方向に移動する(第2ランプリング47と離間する)ことでドグクラッチ55,56が噛合し、インターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33とが相対回転不能に連結されるようになっている。従って、本実施形態では、カム機構45及び駆動機構60により、押圧手段が構成されている。
さらに、保持用電磁コイル66に電流を供給して、保持用磁性部材64に保持用磁石65が吸引されることで、第1ランプリング46の移動が規制され、ドグクラッチ55,56の締結が保持されるようになっている。なお、この状態では、弾性部材57も第1ランプリング46に押圧されて変形しており、ドグクラッチ55,56の噛合を解除する方向に押圧力を付与している。
そして、保持用電磁コイル66への電流供給が停止すると、弾性部材57の押圧力により、車両1の停止後、速やかにドグクラッチ55,56の締結が解除されて、インターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33とが相対回転可能になる。従って、リヤディファレンシャル10と左側リヤアクスル11Lとの間のトルク伝達が遮断されるようになっている。なお、四輪駆動状態で車両1が走行している場合には、第1ランプリング46からクラッチハウジング33にトルク伝達がされてドグクラッチ55,56間に周方向の力が作用しているため、これらの噛合を解除しようとすると、ドグクラッチ55,56間に軸方向の摩擦力が作用する。従って、保持用電磁コイル66への電流供給が停止された場合でも、弾性部材57の押圧力ではドグクラッチ55,56の噛合が解除されないようになっている。
次に、上記のように構成した車両1の電気的構成について図1に従って説明する。
押圧制御手段、カップリング制御手段及び切り替え制御手段としてのECU71は、トルクカップリング8(電磁クラッチ15)に電気的に接続されている。ECU71は、車両の走行状態に応じてトルクカップリング8(電磁クラッチ15)に駆動電流を供給し、この電流供給を通じてトルクカップリング8の作動を制御することにより、左側及び右側後輪14L,14Rへ伝達可能なトルク、即ちトルク伝達容量を制御する。
押圧制御手段、カップリング制御手段及び切り替え制御手段としてのECU71は、トルクカップリング8(電磁クラッチ15)に電気的に接続されている。ECU71は、車両の走行状態に応じてトルクカップリング8(電磁クラッチ15)に駆動電流を供給し、この電流供給を通じてトルクカップリング8の作動を制御することにより、左側及び右側後輪14L,14Rへ伝達可能なトルク、即ちトルク伝達容量を制御する。
具体的には、ECU71は、アクセル開度センサ72及び車輪速センサ73a〜73dと接続されている。ECU71は、各車輪速センサ73a〜73dにより検出された各車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrlに基づいて車速V及び左側及び右側前輪13L,13Rと左側及び右側後輪14L,14Rとの間の車輪速差ΔWを算出する。そして、ECU71は、これら車速V,車輪速差ΔW及びアクセル開度信号Saに基づいてトルク伝達容量の制御目標値(目標トルク)を演算する。
つまり、車両1は、ECU71が演算したトルク伝達容量の目標トルクが「0」の場合には二輪駆動状態となり、目標トルクが「0」より大きい場合には四輪駆動状態となる。ECU71は、演算した目標トルクに応じて制御信号を出力することでトランスファ5を制御し、二輪駆動状態と四輪駆動状態とを切り替えるようになっている。
また、ECU71は、駆動力断続装置16に電気的に接続されている。ECU71は、駆動力断続装置16の同期用電磁コイル63及び保持用電磁コイル66に、それぞれ独立して駆動電流を供給するようになっている。
具体的には、ECU71は、演算した目標トルクが「0」の場合、即ち二輪駆動時には、リヤディファレンシャル10と左側及び右側後輪14L,14Rとの間のトルクを遮断する。また、ECU71は、演算した目標トルクが「0」より大きい場合、即ち四輪駆動時には、リヤディファレンシャル10と左側及び右側後輪14L,14Rとの間をトルク伝達可能に連結するように同期用電磁コイル63及び保持用電磁コイル66の作動を制御する。
次に、車両1の作用について、二輪駆動状態から四輪駆動状態への切り替えを中心として説明する。
先ず、車両1が二輪駆動状態では、エンジン2のトルクはプロペラシャフト7に伝達されない。このとき、駆動力断続装置16により、リヤディファレンシャル10と左側及び右側リヤアクスル11L,11Rとの間のトルク伝達が遮断されている。即ち、図2に示すように、インナクラッチプレート42とアウタクラッチプレート43とが摩擦係合せず、ドグクラッチ55,56も噛合していない状態となっている。
先ず、車両1が二輪駆動状態では、エンジン2のトルクはプロペラシャフト7に伝達されない。このとき、駆動力断続装置16により、リヤディファレンシャル10と左側及び右側リヤアクスル11L,11Rとの間のトルク伝達が遮断されている。即ち、図2に示すように、インナクラッチプレート42とアウタクラッチプレート43とが摩擦係合せず、ドグクラッチ55,56も噛合していない状態となっている。
ここで、車両1の走行により、左側及び右側後輪14L,14Rが回転するため、左側及び右側リヤアクスル11L,11Rが回転する。この右側リヤアクスル11Rの回転に伴って右側サイドギヤ27Rが回転する。上述のように、二輪駆動状態では、インターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33との間のトルク伝達が遮断されているため、左側リヤアクスル11Lの回転によってクラッチハウジング33のみが回転する。また、右側リヤアクスル11Rの回転による右側サイドギヤ27Rの回転は、デフピニオン26a,26bの自転を介して左側サイドギヤ27Lに伝達され、同左側サイドギヤ27Lは右側サイドギヤ27Rと同じ回転速度で逆回転する。従って、インターミディエイトシャフト32は、左側サイドギヤ27Lとともに右側サイドギヤ27Rと同じ回転速度で逆回転する。この状態では、デフピニオン26a,26bは公転せず、デフケース21及びリングギヤ24が回転しない。
そのため、リングギヤ24によりデフキャリヤ12内の潤滑油が撹拌されず、この撹拌抵抗によるトルクの損失を防止して燃費の低下を防止できる。なお、デフピニオン26a,26b及び左側及び右側サイドギヤ27L,27Rは、リングギヤ24に比べ小径であるとともにベベルギヤにより構成されてため、これらが潤滑油内で回転することによるトルクの損失は十分に小さい。また、プロペラシャフト7は、エンジン2からトルクが伝達されず、且つリングギヤ24が回転しないため、二輪駆動状態では停止した状態となる。従って、プロペラシャフト7が回転することによる振動や騒音を低減できるとともに、トルクの損失を防止することができる。
次に、二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替える際には、ECU71は、先ず、トルクカップリング8のトルク伝達容量が直結状態(最大のトルク伝達容量)よりも小さくなるように電磁クラッチ15に対して電流制御を行う。
次いで、ECU71は、同期用電磁コイル63に対して、同期用磁性部材61が同期用磁石62に吸引されるように電流を流す。これにより、図3に示すように、第1ランプリング46と第2ランプリング47との間に相対回転が生じ、この相対回転によって、第1ランプリング46を摩擦クラッチ41側に移動させる。そして、第1ランプリング46にて摩擦クラッチ41が押圧されることによって、摩擦クラッチ41が摩擦係合する。従って、インターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33との相対回転速度が小さくなり、これらの回転同期が図られる。なお、本実施形態では、ECU71は、同期開始時点での各車輪速Vrl,Vrr及び同期用電磁コイル63に供給する電流量に基づいて、回転同期を図るための同期時間を決定している。
このように回転同期が図られて左側及び右側サイドギヤ27L,27Rが徐々に同一方向に回転し始めると、デフピニオン26a,26bが公転、即ちデフケース21及びリングギヤ24が回転し始める。これにより、徐々にドライブピニオンシャフト9が回転し、トルクカップリング8を介してプロペラシャフト7が回転する。
次いで、同期時間が経過し、インターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33との回転同期が略完了すると、ECU71は同期用電磁コイル63に供給する電流を増加させる。これにより、図4に示すように、第1ランプリング46がクラッチハウジング33側にさらに移動しようとする。そして、各ドグクラッチ55,56の周方向位置が噛合可能な位置になると、噛合して第1ランプリング46とクラッチハウジング33、即ちインターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33とが一体回転するように(相対回転不能に)連結される。
そして、ECU71は、インターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33とが相対回転不能に連結された後に、継続して保持用電磁コイル66に、保持用磁性部材64が保持用磁石65に吸引されるように電流を流す。これによって、ドグクラッチ55,56の締結を保持する。なお、上記のように、車両1の走行時には、締結を解除しようとするとドグクラッチ55,56間に軸方向の摩擦力が作用するため、保持用電磁コイル66に流す電流は、回転同期を図る際等に同期用電磁コイル63に供給される電流に比べ小さい。
またこのとき、図5に示すように、ECU71は、同期用電磁コイル63に、同期用磁性部材61と同期用磁石62とが反発するように電流を流す。これによって、第2ランプリング47をハウジングケース31の右側側壁31Rから離間させる。従って、第2ランプリング47と右側側壁31Rとが摺接することが防止される。
その後、ECU71は、トランスファ5を制御して、エンジン2のトルクがプロペラシャフト7に伝達されるようにし、二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替える。このとき、トランスファ5の出力軸及びプロペラシャフト7の回転は略同期しているため、トランスファ5にてトランスファ5の出力軸とプロペラシャフト7との回転同期を図ることなく、二輪駆動状態から四輪駆動状態への切り替えが行われる。
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の作用・効果を奏する。
(1)駆動力断続装置16は、インターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33との間に配置される摩擦クラッチ41と、摩擦クラッチ41を押圧するカム機構45と、インターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33とを相対回転不能に連結するドグクラッチ55,56と、カム機構45を駆動する駆動機構60とを備えた。そして、摩擦クラッチ41によりインターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33との相対回転速度を小さくした後に、ドグクラッチ55,56によりインターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33とを連結させるようにした。そのため、二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替える際に、車両1の走行中にインターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33との間で生じた相対回転速度を、カム機構45が摩擦クラッチ41を摩擦係合させることで小さくすることができ、インターミディエイトシャフト32及びクラッチハウジング33の回転同期が図られる。そして、摩擦クラッチ41によりインターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33との相対回転速度が小さくなった後に、これらがドグクラッチ55,56により相対回転不能に連結される。従って、インターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33との相対回転速度が大きい状態で、これらがドグクラッチ55,56により相対回転不能に連結されず、異音や振動が発生することを低減できる。その結果、二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替える際に、運転者に不快感を与えることを防止できる。
(1)駆動力断続装置16は、インターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33との間に配置される摩擦クラッチ41と、摩擦クラッチ41を押圧するカム機構45と、インターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33とを相対回転不能に連結するドグクラッチ55,56と、カム機構45を駆動する駆動機構60とを備えた。そして、摩擦クラッチ41によりインターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33との相対回転速度を小さくした後に、ドグクラッチ55,56によりインターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33とを連結させるようにした。そのため、二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替える際に、車両1の走行中にインターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33との間で生じた相対回転速度を、カム機構45が摩擦クラッチ41を摩擦係合させることで小さくすることができ、インターミディエイトシャフト32及びクラッチハウジング33の回転同期が図られる。そして、摩擦クラッチ41によりインターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33との相対回転速度が小さくなった後に、これらがドグクラッチ55,56により相対回転不能に連結される。従って、インターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33との相対回転速度が大きい状態で、これらがドグクラッチ55,56により相対回転不能に連結されず、異音や振動が発生することを低減できる。その結果、二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替える際に、運転者に不快感を与えることを防止できる。
(2)カム機構45により、摩擦クラッチ41を押圧するようにしたため、例えばモータ等のアクチュエータで押圧部材を駆動して摩擦クラッチ41を押圧する場合に比べ、簡単な構成で摩擦クラッチ41を押圧することができる。
(3)ドグクラッチ55,56を、第1ランプリング46の段差面53及びクラッチハウジング33の軸方向端面54に形成し、摩擦クラッチ41が噛合した状態で、第1ランプリング46を摩擦クラッチ41の摩擦係合力を増大させるように第1ランプリング46を軸方向移動させることにより、互いに噛合するようにした。従って、第1ランプリング46が摩擦クラッチ41の摩擦係合力を増大させるように軸方向移動されることにより、インターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33とがドグクラッチ55,56により相対回転不能に連結される。そのため、例えばドグクラッチ56を第1ランプリング46に対して独立して移動可能に設け、別途設けられたアクチュエータ等によりドグクラッチ55,56を押圧してインターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33とを相対回転不能に連結する場合に比べ、駆動力断続装置16を簡素化することができる。
(4)駆動機構60は、第2ランプリング47に固着される同期用磁性部材61と、同期用磁性部材61を磁化させる同期用電磁コイル63と、ハウジングケース31の右側側壁31Rに同期用磁性部材61と軸方向に対向して配置される同期用磁石62とを備えた。ECU71は、同期用磁性部材61が同期用磁石62に吸引されるように同期用電磁コイル63に電流を供給することで、第2ランプリング47が同期用磁性部材61とともに同期用磁石62の埋設された右側側壁31R側に吸引されるようにした。従って、第2ランプリング47と右側側壁31Rとの間で摩擦が生じるため、例えば第2ランプリング47がこれと逆回転するクラッチハウジング33に摺接する場合に比べ、第2ランプリング47に加わる負荷を少なくすることができる。
(5)ECU71は、ドグクラッチ55,56によりインターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33とが連結された状態で、同期用磁性部材61と同期用磁石62とが反発するように同期用電磁コイル63に電流を供給するようにした。そのため、ドグクラッチ55,56の締結後に第2ランプリング47と右側側壁31Rとの間で摩擦が生じることが防止される。従って、第2ランプリング47と右側側壁31Rとの間で発生する摩擦熱により、駆動力断続装置16が過熱することを防止できる。
(6)駆動機構60は、第1ランプリング46に固着される保持用磁石65と、保持用磁石65と対向しクラッチハウジング33に設けられた保持用磁性部材64とを備えた。ECU71は、ドグクラッチ55,56によりインターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33とが連結された状態で、保持用磁性部材64と保持用磁石65とが吸引するように保持用電磁コイル66に電流を供給するようにした。そのため、ドグクラッチ55,56による連結後に第2ランプリング47と右側側壁31Rとの間で摩擦が生じさせることなく、例えば車両走行時に左側及び右側後輪14L,14Rから伝達される振動により、インターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33との連結が解除されてしまうことを防止できる。
(7)リヤディファレンシャル10とトランスファ5との間に設けられエンジン2から左側及び右側後輪14L,14Rへのトルク伝達容量を変更可能なトルクカップリング8を備えた。そして、ECU71は、インターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33との相対回転速度を小さくする際に、即ち、これらをドグクラッチ55,56にて相対回転不能に連結する前に、トルクカップリング8のトルク伝達容量を直結状態よりも小さくするようにした。
ここで、摩擦クラッチ41により、インターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33との回転同期が図られていても、ドグクラッチ55,56によりインターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33とが一体回転するように連結されると、その瞬間に左側及び右側後輪14L,14Rから駆動伝達系に伝達されるトルクが急激に増加する。そのためプロペラシャフト7のように、慣性モーメントが大きな部材にて異音が発生する虞がある。この点、本実施形態によれば、トルクカップリング8によりプロペラシャフト7に伝達されるトルクが小さく設定されるため、リヤディファレンシャル10からトルクカップリング8に伝達されるトルクが急増しても、プロペラシャフト7に伝達されるトルクが急増することを防止でき、異音が発生することを低減できる。
また、ECU71は、インターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33との相対回転速度を小さくする際に、トルクカップリング8のトルク伝達容量を直結状態よりも小さくするようにした。そのため、ドグクラッチ55,56の締結時のみならず、回転同期開始時においても、プロペラシャフト7へ伝達されるトルクの急増を確実に防止することができ、異音の発生を確実に防止できる。
(8)ECU71は、ドグクラッチ55,56によりインターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33とを連結させた後に、トランスファ5にて二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替えるようにした。
二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替える際に、トランスファ5にて、プロペラシャフト7とトランスファ5の出力軸との回転同期を図る場合には、同トランスファ5の構造が複雑になってしまう。この点、本実施形態では、トランスファ5にて二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替える際に、トランスファ5の出力軸とプロペラシャフト7との回転同期が略完了しているため、トランスファ5にてこれらの回転同期を図らずともよく、トランスファ5を簡易な構成にすることができる。
(9)電磁クラッチ15を有するトルクカップリング8をデフキャリヤ12内に収容させるとともに、駆動力断続装置16をデフキャリヤ12に固定した。そして、駆動力断続装置16の駆動機構60を電磁コイル(同期用電磁コイル63及び保持用電磁コイル66)にて駆動するようにした。従って、トルクカップリング8と駆動力断続装置16とが近接してされているため、ECU71から電流を供給するためのワイヤハーネスの短縮化を図ることができる。
(10)ドグクラッチ55,56によりインターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33とが連結された状態で、ドグクラッチ55,56の締結を解除する方向に第1ランプリング46を押圧する弾性部材57を設けた。そのため、ECU71が保持用電磁コイル66に供給する電流を停止すると、車両1の停止後にドグクラッチ55,56の締結が解除される。従って、四輪駆動状態から二輪駆動状態に切り替える際に、車両1の停止時に保持用磁性部材64と保持用磁石65とが反発するように保持用電磁コイル66に電流を供給せずともよく、消費電流の増大を防止できる。
(第2実施形態)
以下、本発明を具体化した第2実施形態を図面に従って説明する。なお、本実施形態と上記第1実施形態との主たる相違点は、駆動力断続装置の構成である。このため、説明の便宜上、第1実施形態と同一の部分については同一の符号を付すこととして、その説明を省略する。
以下、本発明を具体化した第2実施形態を図面に従って説明する。なお、本実施形態と上記第1実施形態との主たる相違点は、駆動力断続装置の構成である。このため、説明の便宜上、第1実施形態と同一の部分については同一の符号を付すこととして、その説明を省略する。
図6に示すように、デフキャリヤ12の左側には、駆動力断続装置81が設けられている。駆動力断続装置81は、非磁性材料からなる円筒ドラム形状のハウジングケース82を備えている。本実施形態では、ハウジングケース82は、有底筒状の本体部83と、本体部83の開口部を閉塞するとともにデフキャリヤ12の左側側壁12Lに固定される蓋部84とから構成されている。
ハウジングケース82内には、左側回転軸筒22Lを介してデフケース21内に突出させた軸状のインターミディエイトシャフト86が配置されている。第1駆動軸としてのインターミディエイトシャフト86は、ハウジングケース82の蓋部84との間にボール軸受け87を介して回転可能に支持され、デフケース21内まで突出してデフケース21内において左側サイドギヤ27Lが固着されている。従って、インターミディエイトシャフト86は、左側サイドギヤ27Lとともに、中心軸線L1を中心として一体回転する。
また、ハウジングケース82内には、クラッチハウジング88が設けられている。第2駆動軸としてのクラッチハウジング88は、磁性材料により構成されるとともに、有底筒状に形成され、その円筒部89がハウジングケース82内に配置されている。また、クラッチハウジング88の底部90中央に形成した円筒形状の軸受部91は、ハウジングケース82の本体部83の底部から突出し、その軸受部91の外周面がボール軸受け92を介してハウジングケース82に対して回転可能に支持されている。軸受部91の左側開口部には、左側リヤアクスル11Lが一体回転可能に固定されている。一方、軸受部91の右側開口部には、インターミディエイトシャフト86が貫挿され、ドライベアリング93を介してインターミディエイトシャフト86を回転可能に支持している。なお、ドライベアリング93は、インターミディエイトシャフト86との摺動部がアルミなどの非磁性材料により構成されている。
インターミディエイトシャフト86とクラッチハウジング88の円筒部89との間には、摩擦クラッチ101が設けられている。摩擦クラッチ101は、インターミディエイトシャフト86とクラッチハウジング88とをトルク伝達可能に連結する多板式の摩擦クラッチであって、交互に配置される複数のインナクラッチプレート102と複数のアウタクラッチプレート103とを有し、上記第1実施形態における摩擦クラッチ41と同様に構成されている。即ち、各インナクラッチプレート102はインターミディエイトシャフト86の先端部の外周にスプライン嵌合されるとともに、各アウタクラッチプレート103はクラッチハウジング88の円筒部89内周の底部90側にスプライン嵌合されている。
摩擦クラッチ101の右側には、略円環状に形成された押圧部材105が設けられている。押圧部材105は、磁性材料からなるとともに、インターミディエイトシャフト86の外周にスプライン嵌合され、同インターミディエイトシャフト86に対して、軸方向移動可能且つ相対回転不能に支持されている。従って、押圧部材105は、インターミディエイトシャフト86と一体回転可能に設けられている。なお、インナクラッチプレート102がスプライン嵌合するスプラインと押圧部材105がスプライン嵌合するスプラインとは、軸方向に連続して形成されている。
押圧部材105は、クラッチハウジング88の円筒部89の内径よりも小径の外径を有する押圧部106と、押圧部106の外径よりも大径の外径を有する大径部107とを備えている。本実施形態では、円筒部89の内周面及び大径部107の外周面には、ハウジングケース82の蓋部84側(図6における右側)に向かうにつれてそれぞれ内径又は外径が大きくなるようなテーパ面108,109が形成されている。これらテーパ面108,109は、互いに平行に形成されるとともに、軸方向に沿って対向するように形成されている。つまり、これらテーパ面108,109の間のギャップG、即ちクラッチハウジング88と押圧部材105との間のギャップGを通過する磁路が径方向と非平行となるように形成されている。従って、本実施形態では、テーパ面108,109によって磁路形成部が構成されている。
また、押圧部材105には、大径部107の径方向外側部分からハウジングケース82の蓋部84に向かって延びた後、径方向外側に向かって延出された延出部110が形成されている。延出部110のクラッチハウジング88側の軸方向端面112は、円筒部89の開口端側の軸方向端面113と相対向する。これら各軸方向端面112,113には、ドグクラッチ114,115が形成されている。従って、本実施形態では、これら各軸方向端面112,113により対向面が構成されている。そして、ドグクラッチ114,115が噛合することで、押圧部材105とクラッチハウジング88、即ちインターミディエイトシャフト86とクラッチハウジング88とが相対回転不能に連結されるようになっている。従って、本実施形態では、ドグクラッチ114,115によって連結手段が構成される。
クラッチハウジング88の底部90と、同底部90側に設けられたアウタクラッチプレート103との間には、弾性部材116が配置されている。弾性部材116は、例えばウェーブワッシャよりなり、ドグクラッチ114,115によりインターミディエイトシャフト86とクラッチハウジング88とが連結された状態で、ドグクラッチ114,115の締結を解除する方向に押圧部材105を押圧するようになっている。
クラッチハウジング88の円筒部89の外側には、駆動用電磁コイル121が設けられている。駆動用電磁コイル121は、クラッチハウジング88におけるテーパ面108の径方向外側に配置されるとともに、環状のヨーク122に包囲された状態で本体部83の内周に固定されている。
そして、駆動用電磁コイル121に電流を供給すると、図6に一点鎖線で示すように、同駆動用電磁コイル121にて発生した磁束がヨーク122、クラッチハウジング88のテーパ面108、ギャップG、押圧部材105のテーパ面109及びヨーク122を通過する磁路Mが形成されるようになっている。なお、ドライベアリング93は、その摺接部が非磁性材料により構成されているため、磁束がインターミディエイトシャフト86側へ漏洩することが防止されている。ここで、上記のようにギャップGの間では、磁束は各テーパ面108,109と直交する磁路を通過する、即ち径方向と非平行な磁路を通過する。従って、この磁気誘導作用により、押圧部材105が軸方向のクラッチハウジング88の底部90側に吸引されるになっている。
つまり、駆動力断続装置81は、駆動用電磁コイル121に電流を供給し、押圧部材105をクラッチハウジング88側に吸引させて移動させることで、押圧部106により摩擦クラッチ101が押圧されるようになっている。そして、押圧部材105をさらに軸方向のクラッチハウジング88側に吸引させて移動させることで、ドグクラッチ114,115が噛合し、インターミディエイトシャフト86とクラッチハウジング88とが相対回転不能に連結する、即ち一体回転するようになっている。従って、本実施形態では、押圧部材105及び駆動用電磁コイル121により、押圧手段が構成されている。
そして、駆動用電磁コイル121への電流供給が停止すると、弾性部材116の押圧力により、車両1の停止後、速やかにドグクラッチ114,115の締結が解除されて、インターミディエイトシャフト86とクラッチハウジング88とが相対回転可能になる。従って、リヤディファレンシャル10と左側リヤアクスル11Lとの間のトルク伝達が遮断されるようになっている。なお、車両1の走行時は、押圧部材105からクラッチハウジング88にトルク伝達がされてドグクラッチ114,115間に周方向の力が作用するため、これらの噛合を解除しようとすると、ドグクラッチ114,115間に軸方向の摩擦力が作用する。従って、駆動用電磁コイル121への電流供給が停止された場合でも、弾性部材116の押圧力ではドグクラッチ114,115の噛合が解除されないようになっている。
なお、上記のように構成された駆動力断続装置81は、カップリング制御手段及び切り替え制御手段としてのECU71に接続されている(図1参照)。ECU71は、駆動用電磁コイル121に駆動電流を供給するようになっている。そして、ECU71は、車両1の走行状態に応じて演算したトルクカップリング8の目標トルクに基づいて、上記第1実施形態と同様に、駆動用電磁コイル121の作動を制御する。
次に、車両1の作用について、二輪駆動状態から四輪駆動状態への切り替えを中心として説明する。
先ず、車両1が二輪駆動状態では、上記第1実施形態1と同様、図6に示すように、インナクラッチプレート102とアウタクラッチプレート103とが摩擦係合せず、ドグクラッチ114,115も噛合していない状態となっている。そして、車両1が二輪駆動状態で走行中には、インターミディエイトシャフト86は、左側サイドギヤ27Lとともに右側サイドギヤ27Rと同じ回転速度で同右側サイドギヤ27Rと逆方向に回転する。
先ず、車両1が二輪駆動状態では、上記第1実施形態1と同様、図6に示すように、インナクラッチプレート102とアウタクラッチプレート103とが摩擦係合せず、ドグクラッチ114,115も噛合していない状態となっている。そして、車両1が二輪駆動状態で走行中には、インターミディエイトシャフト86は、左側サイドギヤ27Lとともに右側サイドギヤ27Rと同じ回転速度で同右側サイドギヤ27Rと逆方向に回転する。
次に、二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替える際には、ECU71は、先ず、トルクカップリング8のトルク伝達容量が直結状態よりも小さくなるように電磁クラッチ15に対して電流制御を行う。
次いで、図7に示すように、ECU71は、駆動用電磁コイル121に対して、押圧部材105がクラッチハウジング88側に吸引されるように電流を流す。これにより、押圧部材105が底部90側に移動し、摩擦クラッチ101を押圧部106にて押圧する。そして、摩擦クラッチ101が摩擦係合することで、インターミディエイトシャフト86とクラッチハウジング88との相対回転速度が小さくなり、これらの回転同期が図られる。なお、ECU71は、上記第1実施形態と同様に、同期開始時点での各車輪速Vrl,Vrr及び駆動用電磁コイル121に供給する電流量に基づいて、回転同期を図るための同期時間を決定している。
このように回転同期が図られて左側及び右側サイドギヤ27L,27Rが徐々に同一方向に回転し始めると、デフピニオン26a,26bが公転、即ちデフケース21及びリングギヤ24が回転し始める。これにより、徐々にドライブピニオンシャフト9が回転し、トルクカップリング8を介してプロペラシャフト7が回転する。
次いで、同期時間が経過し、インターミディエイトシャフト86とクラッチハウジング88との回転同期が略完了すると、ECU71は駆動用電磁コイル121に供給する電流を増加させる。これにより、図8に示すように、押圧部材105が軸方向のクラッチハウジング88側にさらに移動しようとする。そして、各ドグクラッチ114,115の周方向位置が噛合可能な位置になると、噛合して押圧部材105とクラッチハウジング88、即ちインターミディエイトシャフト86とクラッチハウジング88とが一体回転するように(相対回転不能に)連結される。
そして、本実施形態では、ECU71は、インターミディエイトシャフト86とクラッチハウジング88とが相対回転不能に連結された後においても、継続して駆動用電磁コイル121に、電流を供給する。これによって、ドグクラッチ114,115の締結を保持する。なお、上記のように、車両1の走行時にはドグクラッチ114,115間に軸方向の摩擦力が作用するため、駆動用電磁コイル121に流す電流は、回転同期を図る際等に供給する電流に比べ小さい。
その後、ECU71は、トランスファ5を制御して、エンジン2のトルクがプロペラシャフト7に伝達されるようにし、二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替える。
以上記述したように、本実施形態によれば、上記第1実施形態における(1)、(7)〜(10)と同様の作用・効果に加えて、以下の作用・効果を奏する。
以上記述したように、本実施形態によれば、上記第1実施形態における(1)、(7)〜(10)と同様の作用・効果に加えて、以下の作用・効果を奏する。
(11)押圧部材105をインターミディエイトシャフト86に対して軸方向移動可能且つ相対回転不能に設け、クラッチハウジング88及び押圧部材105を通過する磁束を発生させる駆動用電磁コイル121を備えた。そして、クラッチハウジング88及び押圧部材105に、これらの間のギャップGを通過する磁路Mを径方向と非平行にするテーパ面108,109を形成した。そのため、駆動用電磁コイル121に電流を供給することで、電磁誘導作用により押圧部材105が軸方向のクラッチハウジング88側に吸引されて移動し、摩擦クラッチ101が押圧部106にて押圧される。そのため、例えば押圧手段をカム機構により構成する場合に比べ、簡単な構成とすることができる。
(12)ドグクラッチ114,115を、クラッチハウジング88及び押圧部材105の各軸方向端面112,113に形成し、摩擦クラッチ101を摩擦係合させた状態で、摩擦クラッチ101の摩擦係合力を増大させるように押圧部材105を軸方向移動させることにより、互いに噛合するようにした。従って、押圧部材105が摩擦クラッチ101の摩擦係合力を増大させるように軸方向移動されることにより、インターミディエイトシャフト86とクラッチハウジング88とがドグクラッチ114,115により相対回転不能に連結される。そのため、例えばドグクラッチ115を押圧部材105に対して独立して移動可能に設け、別途設けられたアクチュエータ等によりドグクラッチ114,115を押圧してインターミディエイトシャフト86とクラッチハウジング88とを相対回転不能に連結する場合に比べ、駆動力断続装置81を簡素化することができる。
(13)ECU71は、ドグクラッチ114,115によりインターミディエイトシャフト86とクラッチハウジング88とが相対回転不能に連結された状態で、駆動用電磁コイル121への電流の供給を維持するようにした。そのため、押圧部材105が軸方向のクラッチハウジング88側に吸引されてドグクラッチ114,115の噛合が保持される。従って、例えば車両走行時に車輪から伝達される振動により、インターミディエイトシャフト86とクラッチハウジング88との連結が解除されてしまうことを防止できる。
また、押圧手段をカム機構により構成した場合(例えば、上記第1実施形態)と異なり、押圧部材105を直接クラッチハウジング88側に移動させている。従って、駆動用電磁コイル121によって押圧部材105が軸方向のクラッチハウジング88側に移動させた際に、第2カム部材と非回転部位(例えば、第2ランプリング46と右側側壁31R)との間のように摩擦熱が発生しないため、保持用の電磁コイルを設けずともよく、押圧手段を簡単な構成にすることができる。
(14)円筒部89の内周面及び大径部107の外周面に、ハウジングケース82の蓋部84側に向かうにつれてそれぞれ内径又は外径が大きくなるようなテーパ面108,109を形成した。そのため、円筒部89の内周面及び大径部107の外周面に径方向に沿った対向面を形成する場合に比べ、ギャップGの大きさに対して押圧部材105の軸方向移動量を大きくすることができる。
なお、上記各実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記第1実施形態では、非回転部位としての右側側壁31Rに第2ランプリング47が摺接する摩擦材67を設けたが、これに限らず、摩擦材67を設けずに第2ランプリング47が直接右側側壁31Rに摺接するようにしてもよい。
・上記第1実施形態では、非回転部位としての右側側壁31Rに第2ランプリング47が摺接する摩擦材67を設けたが、これに限らず、摩擦材67を設けずに第2ランプリング47が直接右側側壁31Rに摺接するようにしてもよい。
・上記第1実施形態では、ドグクラッチ55,56によりインターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33とが連結された状態で、同期用磁性部材61が同期用磁石62に反発されるように同期用電磁コイル63に電流を供給するようにしたが、これに限らない。例えば、第2ランプリング47と右側側壁31Rとの間に油溝を形成し、該油溝を流れる潤滑油の動圧で第2ランプリング47と右側側壁31Rとの間が離間するようにしてもよい。
・上記第1実施形態では、クラッチハウジング33の底部35と摩擦クラッチ41との間に弾性部材57を設けたが、これに限らず、ドグクラッチ55,56の締結を解除する方向に第1ランプリング46を押圧すれば、弾性部材57をその他の位置に配置してもよい。また、弾性部材57を設けずともよい。この場合には、駆動力断続装置16にて、リヤディファレンシャル10と左側リヤアクスル11Lとの間のトルク伝達を遮断する際に、ECU71が保持用磁性部材64と保持用磁石65とが反発するように保持用電磁コイル66に電流を供給することが好ましい。同様に、上記第2実施形態においても、弾性部材116をその他の場所に配置してもよく、また設けずともよい。
・上記第1実施形態では、第1ランプリング46と第2ランプリング47との各対向面51,52に、周方向に沿ってその軸方向厚さが異なる傾斜面を形成したが、これに限らない。例えば、第1ランプリング46と第2ランプリング47との各対向面51,52に、周方向に対して傾斜する複数のU字溝を互いに対向するように形成し、これらの間にカムフォロアを挟持してカム機構45を構成してもよい。
・上記第1実施形態では、ドグクラッチ55,56を、第1ランプリング46の段差面53及びクラッチハウジング33の軸方向端面54に形成し、摩擦クラッチ41が噛合した状態で、第1ランプリング46を摩擦クラッチ41の摩擦係合力を増大させるように第1ランプリング46を軸方向移動させることにより、互いに噛合するようにした。しかし、これに限らず、例えばドグクラッチ56を第1ランプリング46に対して独立して移動可能に構成するとともに別途アクチュエータを設け、このアクチュエータを駆動して、摩擦クラッチ41を押圧することと独立してインターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33とを相対回転不能に連結するようにしてもよい。同様に、上記第2実施形態において、ドグクラッチ115を押圧部材105に対して独立して移動可能に構成するとともに別途アクチュエータを設けてもよい。
・上記第1実施形態では、駆動機構60は、同期用電磁コイル63と保持用電磁コイル66とを備えたが、これに限らない。例えば、同期用電磁コイル63のみを設け、同期用磁性部材61を同期用磁石62に反発させることで、第1ランプリング46のドグクラッチ55とクラッチハウジング33のドグクラッチ56との締結が保持されるようにしてもよい。また、同期用電磁コイル63により同期用磁性部材61を同期用磁石62に吸引又は反発させることで、第2ランプリング47に軸方向の力が作用するようにしたが、これに限らず、その他の構成で第2ランプリング47に軸方向の力が作用するようにしてもよい。同様に、保持用電磁コイル66、保持用磁性部材64及び保持用磁石65以外の構成で第1ランプリング46に軸方向の力が作用するようにしてもよい。
・上記第1実施形態では、ECU71は、ドグクラッチ55,56によりインターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33とが連結された状態で、保持用磁性部材64と保持用磁石65とが吸引するように保持用電磁コイル66に電流を供給するようにした。しかし、これに限らず、車両1の停止時のみに保持用電磁コイル66に電流を供給するようにしてもよい。このようにしても、車両1の走行時に、弾性部材57の弾性力によってはドグクラッチ55,56の噛合は解除されずに締結状態が維持されるため、車両走行時においても継続して保持用電磁コイルに66に電流を供給する場合に比べ、消費電流の低減を図ることができる。同様に、第2実施形態において、車両1の停止時のみに駆動用電磁コイル121に電流を供給するようにしてもよい。
・上記第1実施形態では、駆動力断続装置16にてインターミディエイトシャフト32(左側サイドギヤ27L)とクラッチハウジング33(左側リヤアクスル11L)との回転同期を図り、これらをドグクラッチ55,56により連結した後に、トランスファ5にて二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替えたが、これに限らない。例えばドグクラッチ55,56によりインターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33とを連結する前に、トランスファ5にて二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替えてもよい。このようにしても、トランスファ5にて二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替える際に、トランスファ5の出力軸とプロペラシャフト7との回転同期が略完了しているため、トランスファ5にてこれらの回転同期を図らずともよく、トランスファ5を簡易な構成にすることができる。
また、トランスファ5にて二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替えた後に、インターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33との回転同期を図り、これらをドグクラッチ55,56により連結するようにしてもよい。第2実施形態においても、同様の手順で切り替えもよい。
・上記第2実施形態では、円筒部89の内周面及び大径部107の外周面に、ハウジングケース82の蓋部84に向かうに連れてそれぞれ内径又は外径が大きくなるようなテーパ面108,109を形成したが、これに限らず、ギャップGを通過する磁束が径方向と非平行であればよい。例えば、円筒部89の内周面及び大径部107の外周面にそれぞれ軸方向に沿って対向する対向面を形成してもよく、その他、円筒部89の内周面及び大径部107の外周面を中心軸線L1と非平行となるように形成すればよい。
・上記各実施形態では、ECU71は、同期開始時点での各車輪速Vrl,Vrr及び同期用電磁コイル63に供給する電流量に基づいて、回転同期を図るための同期時間を決定したが、これに限らない。例えば、同期開始後に各車輪速Vrl,Vrrが急増した場合などには、同期時間が変更するようにしてもよい。また、例えばロータリエンコーダ等により、インターミディエイトシャフト32,86の回転数を検出するとともに、各車輪速Vrl,Vrrからクラッチハウジング33,88の回転数を検出し、これら回転数に基づいて同期が完了したか否かを判定してもよい。
・上記各実施形態では、切り替え手段としてトランスファ5を用いたが、これに限らず、例えば車両1にトランスファ5を設けず、トルクカップリング8を切り替え手段として構成し、同トルクカップリング8のトルク伝達容量を変更することで、二輪駆動状態と四輪駆動状態とを切り替えるようにしてもよい。このようにしても、二輪駆動状態において、デフケース21及びリングギヤ24が回転することを防止できるため、駆動伝達系での振動・騒音の低減や燃費の向上を図ることができる。
また、車両1にトランスファ5及びトルクカップリング8を設けずともよい。このようにしても、インターミディエイトシャフト32とクラッチハウジング33との相対回転速度が大きい状態で、噛み合いクラッチによりこれらが相対回転不能に連結されず、異音や振動が発生することを低減できる。その結果、二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替える際に、運転者に不快感を与えることを防止できる。
・上記各実施形態では、車両1にトルクカップリング8を設けたが、これに限らず、トルクカップリング8を有さない車両1に本発明を適用してもよい。
・上記各実施形態では、駆動力断続装置16をリヤディファレンシャル10と左側リヤアクスル11Lとの間に設けたが、これに限らず、リヤディファレンシャル10と右側リヤアクスル11Rとの間に設けてもよい。また、リヤディファレンシャル10と左側及び右側リヤアクスル11L,11Rとの間の両方に駆動力断続装置16を設けてもよい。
・上記各実施形態では、駆動力断続装置16をリヤディファレンシャル10と左側リヤアクスル11Lとの間に設けたが、これに限らず、リヤディファレンシャル10と右側リヤアクスル11Rとの間に設けてもよい。また、リヤディファレンシャル10と左側及び右側リヤアクスル11L,11Rとの間の両方に駆動力断続装置16を設けてもよい。
・上記各実施形態では、第1駆動軸としてのインターミディエイトシャフト32,86を左側サイドギヤ27Lに連結し、第2駆動軸としてのクラッチハウジング33,88を左側リヤアクスル11Lに連結したが、これに限らない。例えば、クラッチハウジング33,88を左側サイドギヤ27Lに連結し、インターミディエイトシャフト32,86を左側リヤアクスル11Lに連結してもよい。
・上記各実施形態では、トルクカップリング8の目標トルクに基づいて車両1が二輪駆動状態と四輪駆動状態とに切り替えられたが、これに限らず、例えば運転者が切り替えスイッチを操作することで、二輪駆動状態と四輪駆動状態とを切り替えるようにしてもよい。
・上記各実施形態では、本発明を、左側及び右側後輪14L,14Rを補助駆動輪とする車両1に適用したが、これに限らず、左側及び右側前輪13L,13Rを補助駆動輪とする車両に搭載してもよい。
1…車両、2…エンジン、5…トランスファ、7…プロペラシャフト、8…トルクカップリング、10…リヤディファレンシャル、14L…左側後輪、14R…右側後輪、16,81…駆動力断続装置、32,86…インターミディエイトシャフト、33,88…クラッチハウジング、41,101…摩擦クラッチ、45…カム機構、46…第1ランプリング、47…第2ランプリング、55,56,114,115…ドグクラッチ、57,116…弾性部材、60…駆動機構、61…同期用磁性部材、62…同期用磁石、63…同期用電磁コイル、64…保持用磁性部材、65…保持用磁石、66…保持用電磁コイル、71…ECU、105…押圧部材、121…駆動用電磁コイル、G…ギャップ、M…磁路。
Claims (18)
- 二輪駆動状態と四輪駆動状態とを切り替え可能な四輪駆動車両に搭載され、二輪駆動時にトルク伝達が遮断される補助駆動輪側のディファレンシャル装置の出力ギヤ及び該出力ギヤからトルクが伝達されて駆動される前記補助駆動輪の何れか一方に連結された第1駆動軸と、前記出力ギヤ及び前記補助駆動輪の何れか他方に連結され前記第1駆動軸に対して相対回転可能な第2駆動軸とのトルク伝達を断続する駆動力断続装置であって、
前記第1駆動軸と前記第2駆動軸との間に配置され軸方向に押圧されることにより前記第1駆動軸と前記第2駆動軸との相対回転速度を小さくする摩擦クラッチと、
前記摩擦クラッチを軸方向に押圧する押圧手段と、
軸方向に押圧されて前記第1駆動軸と前記第2駆動軸とを相対回転不能に連結する噛み合いクラッチとを備え、
前記噛み合いクラッチは、前記摩擦クラッチが押圧されて前記第1駆動軸と前記第2駆動軸との相対回転速度が小さくなった後に、前記第1駆動軸と前記第2駆動軸とを相対回転不能に連結することを特徴とする駆動力断続装置。 - 前記押圧手段は、
前記第1駆動軸に対して軸方向移動可能且つ相対回転不能に設けられ前記摩擦クラッチを押圧可能な第1カム部材と、
前記第1カム部材と対向し、前記第1駆動軸に対して相対回転可能に設けられた第2カム部材とを有し、
前記第1カム部材と前記第2カム部材との相対回転により前記摩擦クラッチを軸方向に押圧するカム機構であることを特徴とする請求項1に記載の駆動力断続装置。 - 前記噛み合いクラッチは、前記第1カム部材及び前記第2駆動軸との各対向面にそれぞれ形成され、前記摩擦クラッチを摩擦係合させた状態で、前記第1カム部材が前記摩擦クラッチの摩擦係合力を増大させるように軸方向移動することにより、前記第1駆動軸と前記第2駆動軸とを相対回転不能に連結することを特徴とする請求項2に記載の駆動力断続装置。
- 前記押圧手段は、
前記第2カム部材に固着される同期用磁性部材と、
前記同期用磁性部材を磁化させる同期用電磁コイルと、
前記同期用磁性部材と対向して非回転部位に設けられる同期用磁石と、
前記同期用磁性部材が前記同期用磁石に吸引されるように前記同期用電磁コイルに電流を供給することで、前記第1カム部材と前記第2カム部材との間に相対回転を発生させる押圧制御手段と
を備えたことを特徴とする請求項3に記載の駆動力断続装置。 - 前記押圧制御手段は、前記噛み合いクラッチにより前記第1駆動軸と前記第2駆動軸とが相対回転不能に連結された状態で、前記同期用磁性部材が前記同期用磁石に反発されるように前記同期用電磁コイルに電流を供給することを特徴とする請求項4に記載の駆動力断続装置。
- 前記押圧手段は、
前記第1カム部材に固着される保持用磁石と、
前記保持用磁石と対向し前記第2駆動軸に設けられた保持用磁性部材と、
前記保持用磁性部材を磁化させる保持用電磁コイルとを備え、
前記押圧制御手段は、前記噛み合いクラッチにより前記第1駆動軸と前記第2駆動軸とが連結された状態で、前記保持用磁性部材が前記保持用磁石に吸引されるように前記保持用電磁コイルに電流を供給することを特徴とする請求項5に記載の駆動力断続装置。 - 前記押圧手段は、前記第1駆動軸に対して軸方向移動可能且つ相対回転不能に設けられ前記摩擦クラッチを押圧する押圧部材と、前記第2駆動軸及び前記押圧部材を通過する磁束を発生させる駆動用電磁コイルとを備え、
前記第2駆動軸及び前記押圧部材には、該第2駆動軸と該押圧部材との間のギャップを通過する磁路を径方向と非平行にする磁路形成部が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の駆動力断続装置。 - 前記噛み合いクラッチは、前記第2駆動軸と前記押圧部材との各対向面にそれぞれ形成され、前記摩擦クラッチを摩擦係合させた状態で、前記押圧部材が前記摩擦クラッチの摩擦係合力を増大させるように軸方向移動することにより、前記第1駆動軸と前記第2駆動軸とを相対回転不能に連結することを特徴とする請求項7に記載の駆動力断続装置。
- 二輪駆動状態と四輪駆動状態とを切り替え可能な四輪駆動車両に搭載され、二輪駆動時にトルク伝達が遮断される補助駆動輪側のディファレンシャル装置の出力ギヤ及び該出力ギヤからトルクが伝達されて駆動される前記補助駆動輪の何れか一方に連結された第1駆動軸と、前記出力ギヤ及び前記補助駆動輪の何れか他方に連結され前記第1駆動軸に対して相対回転可能な第2駆動軸とのトルク伝達を断続する駆動力断続装置の制御方法であって、
前記第1駆動軸と前記第2駆動軸との間に配置された摩擦クラッチを軸方向に押圧して、前記第1駆動軸と前記第2駆動軸との相対回転速度を小さくした後に、噛み合いクラッチを軸方向に押圧して、前記第1駆動軸と前記第2駆動軸とを相対回転不能に連結させることを特徴とする駆動力断続装置の制御方法。 - 前記駆動力断続装置は、
前記第1駆動軸に対して軸方向移動可能且つ相対回転不能に設けられ前記摩擦クラッチを押圧可能な第1カム部材、並びに前記第1カム部材と対向し前記第1駆動軸に対して相対回転可能に設けられた第2カム部材とを有し、前記第1カム部材と前記第2カム部材との相対回転により前記摩擦クラッチを軸方向に押圧するカム機構と、
前記第2カム部材に固着される同期用磁性部材と、
前記同期用磁性部材を磁化させる同期用電磁コイルと、
前記同期用磁性部材と対向して非回転部位に設けられる同期用磁石とを備えてなるものであって、
前記同期用磁性部材が前記同期用磁石に吸引されるように前記同期用電磁コイルに電流を供給して、前記第1カム部材と前記第2カム部材との間に相対回転を発生させることを特徴とする請求項9に記載の駆動力断続装置の制御方法。 - 前記噛み合いクラッチにより前記第1駆動軸と前記第2駆動軸とが相対回転不能に連結された状態で、前記同期用磁性部材と前記同期用磁石とが反発するように前記同期用電磁コイルに電流を供給することを特徴とする請求項10に記載の駆動力断続装置の制御方法。
- 前記駆動力断続装置は、
前記第1カム部材の外周に設けられる保持用磁石と、
前記保持用磁石と対向し前記第2駆動軸に設けられた保持用磁性部材と、
前記保持用磁性部材を磁化させる保持用電磁コイルとを備え、
前記第1駆動軸と前記第2駆動軸とが前記第1カム部材及び前記第2駆動軸にそれぞれ形成された前記噛み合いクラッチにより相対回転不能に連結されるものであって、
前記噛み合いクラッチにより前記第1駆動軸と前記第2駆動軸とが相対回転不能に連結された状態で、前記保持用磁性部材が前記保持用磁石に吸引されるように前記保持用電磁コイルに電流を供給することを特徴とする請求項10又は11に記載の駆動力断続装置の制御方法。 - 前輪側と後輪側との間でトルクを伝達するプロペラシャフトにおけるトルク伝達方向の下流側に設けられ、二輪駆動時にトルク伝達が遮断される補助駆動輪側のディファレンシャル装置の出力ギヤ及び該出力ギヤからトルクが伝達されて駆動される前記補助駆動輪の何れか一方に連結された第1駆動軸と、前記出力ギヤ及び前記補助駆動輪の何れか他方に連結され前記第1駆動軸に対して相対回転可能な第2駆動軸とのトルク伝達を断続する駆動力断続装置を備え、二輪駆動状態と四輪駆動状態とを切り替え可能な四輪駆動車両であって、
前記駆動力断続装置は、
前記第1駆動軸と前記第2駆動軸との間に配置され軸方向に押圧されることにより前記第1駆動軸と前記第2駆動軸との相対回転速度を小さくする摩擦クラッチと、
前記摩擦クラッチを軸方向に押圧する押圧手段と、
軸方向に押圧されて前記第1駆動軸と前記第2駆動軸とを相対回転不能に連結する噛み合いクラッチとを備え、
前記噛み合いクラッチは、前記摩擦クラッチが押圧されて前記第1駆動軸と前記第2駆動軸との相対回転速度が小さくなった後に、前記第1駆動軸と前記第2駆動軸とを相対回転不能に連結することを特徴とする四輪駆動車両。 - 前記プロペラシャフトと前記ディファレンシャル装置との間に設けられ駆動源から前記各補助駆動輪間のトルク伝達容量を変更可能なトルクカップリングと、
前記噛み合いクラッチにより前記第1駆動軸と前記第2駆動軸とを相対回転不能に連結する前に、前記トルクカップリングのトルク伝達容量を直結状態よりも小さくするカップリング制御手段と
を備えたことを特徴とする請求項13に記載の四輪駆動車両。 - 前記プロペラシャフトにおける前記トルク伝達方向の上流側に設けられ、駆動源の駆動力伝達経路を変更して二輪駆動状態と四輪駆動状態とを切り替える切り替え手段と、
前記第1駆動軸と前記第2駆動軸との相対回転速度を小さくした後に、前記切り替え手段にて前記駆動力伝達経路を変更して二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替える切り替え制御手段と
を備えたことを特徴とする請求項13又は14に記載の四輪駆動車両。 - 前輪側と後輪側との間でトルクを伝達するプロペラシャフトにおけるトルク伝達方向の下流側に設けられ、二輪駆動時にトルク伝達が遮断される補助駆動輪側のディファレンシャル装置の出力ギヤ及び該出力ギヤからトルクが伝達されて駆動される前記補助駆動輪の何れか一方に連結された第1駆動軸と、前記出力ギヤ及び前記補助駆動輪の何れか他方に連結され前記第1駆動軸に対して相対回転可能な第2駆動軸とのトルク伝達を断続する駆動力断続装置を備え、二輪駆動状態と四輪駆動状態とを切り替え可能な四輪駆動車両の制御方法であって、
前記第1駆動軸と前記第2駆動軸との間に配置された摩擦クラッチを軸方向に押圧して、前記第1駆動軸と前記第2駆動軸との相対回転速度を小さくした後に、噛み合いクラッチを軸方向に押圧して、前記第1駆動軸と前記第2駆動軸とを相対回転不能に連結させることを特徴とする四輪駆動車両の制御方法。 - 前記噛み合いクラッチにより前記第1駆動軸と前記第2駆動軸とを相対回転不能に連結する前に、前記プロペラシャフトと前記ディファレンシャル装置との間に設けられ駆動源から前記各補助駆動輪間へのトルク伝達容量を変更可能なトルクカップリングのトルク伝達容量を直結状態よりも小さくするようにしたことを特徴とする請求項16に記載の四輪駆動車両の制御方法。
- 前記摩擦クラッチを摩擦係合させて前記第1駆動軸と前記第2駆動軸との相対回転速度を小さくした後に、前記プロペラシャフトにおける前記トルク伝達方向の上流側に設けられ駆動源の駆動力伝達経路を変更して二輪駆動状態と四輪駆動状態とを切り替える切り替え手段にて二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替えることを特徴とする請求項16又は17に記載の四輪駆動車両の制御方法。
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