JP2010047107A - ディファレンシャル装置、ディファレンシャル装置の制御方法、四輪駆動車両及び四輪駆動車両の制御方法 - Google Patents

ディファレンシャル装置、ディファレンシャル装置の制御方法、四輪駆動車両及び四輪駆動車両の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】二輪駆動状態と四輪駆動状態とを切り替える際の異音や振動の発生を低減することができるディファレンシャル装置、ディファレンシャル装置の制御方法、四輪駆動車両及び四輪駆動車両の制御方法を提供する。
【解決手段】リヤディファレンシャル10は、エンジンのトルクによって回転駆動される中空状のデフケース21と、デフケース21内に該デフケース21と相対回転可能に同軸配置される円筒状のピニオンキャリヤ31と、ピニオンキャリヤ31の内部に配置される差動歯車機構35とを備えた。また、デフケース21とピニオンキャリヤ31との間に設けられる摩擦クラッチ41と、摩擦クラッチ41を軸方向に押圧する押圧部材51とを備えた。そして、摩擦クラッチ41によりデフケース21とピニオンキャリヤ31との相対回転速度を小さくした後に、ドグクラッチ58,59によりこれらを相対回転不能に連結させるとようにした。
【選択図】図2

Description

本発明は、ディファレンシャル装置、ディファレンシャル装置の制御方法、四輪駆動車両及び四輪駆動車両の制御方法に関するものである。
従来、前輪側と後輪側との間でトルクを伝達するプロペラシャフトにおけるトルク伝達方向の下流側に設けられ、エンジンの駆動力伝達経路を変更して二輪駆動状態と四輪駆動状態とを切り替える切り替え手段(例えばトランスファ)を備えた所謂パートタイム式の四輪駆動車両がある。このような四輪駆動車両に搭載されるディファレンシャル装置として、二輪駆動時にエンジンのトルクが遮断される左右一対の補助駆動輪(例えば後輪)間に設けられ、エンジンから補助駆動輪に連結された一対の車軸へのトルク伝達を断続可能に構成されたものが知られている。
例えば、特許文献1には、エンジンから伝達されるトルクにより回転駆動されるアウタデフケースと、同アウタデフケース内に回転可能に設けられ内側に差動歯車機構を有するインナデフケースと、これらを相対回転不能に連結可能なドグクラッチとを備えたディファレンシャル装置が開示されている。このディファレンシャル装置は、二輪駆動時にドグクラッチを非噛合状態とし、アウタデフケースとインナデフケースとの間のトルク伝達を遮断することで、車両の走行により後輪側の駆動伝達系(アウタデフケースやプロペラシャフト等)が無用に回転することを防止し、同駆動伝達系において発生する振動・騒音の低減や燃費の向上を図っている。
特開昭61−130646号公報
ところで、上記特許文献1では、アウタデフケースとインナデフケースとの回転が同期していれば、アウタデフケース及びインナデフケースにそれぞれ設けられたドグクラッチ同士が円滑に噛合するが、これらアウタデフケースとインナデフケースとの回転が同期していない場合には、ドグクラッチ同士が弾発的に当接する。そのため、特にその相対回転速度が大きい場合には、ドグクラッチ同士が噛合する際に異音や振動が発生し、その結果、運転者に不快感を与える虞があった。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、二輪駆動状態と四輪駆動状態とを切り替える際の異音や振動の発生を低減することができるディファレンシャル装置、ディファレンシャル装置の制御方法、四輪駆動車両及び四輪駆動車両の制御方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、二輪駆動状態と四輪駆動状態とを切り替え可能な四輪駆動車両に搭載され、二輪駆動時にトルク伝達が遮断される左右一対の補助駆動輪間の差動を許容しつつ、駆動源から前記各補助駆動輪へのトルク伝達を断続するディファレンシャル装置であって、前記駆動源のトルクによって回転駆動される中空状のデフケースと、前記デフケース内に該デフケースと相対回転可能に同軸配置される中空状のピニオンキャリヤと、前記ピニオンキャリヤの内部に配置され、前記各補助駆動輪間の差動を許容しつつ、該ピニオンキャリヤに伝達されるトルクを前記各補助駆動輪に伝達する差動歯車機構と、前記デフケースと前記ピニオンキャリヤとの間に設けられ軸方向に押圧されることで前記デフケースと前記ピニオンキャリヤとの相対回転速度を小さくする摩擦クラッチと、前記摩擦クラッチを軸方向に押圧する押圧手段と、前記デフケースと前記ピニオンキャリヤとを相対回転不能に連結する噛み合いクラッチとを備え、前記噛み合いクラッチは、前記摩擦クラッチが押圧されて前記デフケースと前記ピニオンキャリヤとの相対回転速度が小さくなった後に、前記デフケースと前記ピニオンキャリヤとを相対回転不能に連結することを要旨とする。
上記構成によれば、二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替える際に、二輪駆動時にデフケースとピニオンキャリヤとの間に生じた相対回転速度を、押圧手段が摩擦クラッチを押圧し摩擦係合させることで小さくでき、デフケースとピニオンキャリヤとの回転同期が図られる。そして、摩擦クラッチによりデフケースとピニオンキャリヤとの相対回転速度が小さくなった後に、噛み合いクラッチ(例えばカップリングスリーブやドグクラッチ等)によりデフケースとピニオンキャリヤとが相対回転不能に連結される。従って、デフケースとピニオンキャリヤとの相対回転速度が大きい状態で、噛み合いクラッチによりこれらが相対回転不能に連結されず、異音や振動が発生することを低減できる。その結果、二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替える際に、運転者に不快感を与えることを防止できる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のディファレンシャル装置であって、前記押圧手段は、前記デフケース内に配置され該デフケースに対して軸方向移動可能且つ相対回転不能に連結される押圧部と、前記デフケースの外部に配置され前記押圧部と一体に軸方向移動可能且つ相対回転可能に設けられた操作部とを有する押圧部材からなり、前記操作部に軸方向の押圧力を付与するアクチュエータを備えたことを要旨とする。
上記構成によれば、アクチュエータがデフケースの外部に配置された操作部に軸方向の押圧力を付与することで、摩擦クラッチが摩擦係合する。従って、アクチュエータにて発生させた押圧力が直接摩擦クラッチに作用するため、例えば電磁コイル等により押圧部材に磁力を作用させて摩擦クラッチを押圧する場合に比べ、摩擦クラッチの摩擦係合力を容易に制御することが可能になる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のディファレンシャル装置において、前記噛み合いクラッチは、前記ピニオンキャリヤと前記押圧部との軸方向の各対向面にそれぞれ形成され、前記摩擦クラッチを摩擦係合させた状態で前記押圧部材が前記摩擦クラッチの摩擦係合力を増大させるように軸方向移動することにより噛合して、前記デフケースと前記ピニオンキャリヤとを相対回転不能に連結することを要旨とする。
上記構成によれば、押圧部材が摩擦クラッチの摩擦係合力を増大させるように軸方向移動することにより、デフケースとピニオンキャリヤとが噛み合いクラッチによって相対回転不能に連結される。そのため、噛み合いクラッチを押圧部材に対して独立して移動可能に設け、摩擦クラッチと個別に噛み合いクラッチを押圧してデフケースとピニオンキャリヤとを連結する場合に比べ、装置を簡素化することができる。
請求項4に記載の発明は、二輪駆動状態と四輪駆動状態とを切り替え可能な四輪駆動車両に搭載され、駆動源のトルクによって回転駆動される中空状のデフケースと、前記デフケース内に該デフケースと相対回転可能に同軸配置される中空状のピニオンキャリヤと、前記ピニオンキャリヤの内部に配置され二輪駆動時にトルク伝達が遮断される左右一対の補助駆動輪間の差動を許容しつつ該ピニオンキャリヤに伝達されるトルクを前記各補助駆動輪に伝達する差動歯車機構とを備え、前記駆動源から前記各補助駆動輪へのトルク伝達を断続するディファレンシャル装置の制御方法であって、前記デフケースと前記ピニオンキャリヤとの間に配置された摩擦クラッチを押圧して、前記デフケースと前記ピニオンキャリヤとの相対回転速度を小さくした後に、前記デフケースと前記ピニオンキャリヤとを噛み合いクラッチにより相対回転不能に連結させることを要旨とする。
上記構成によれば、デフケースとピニオンキャリヤとの相対回転速度が大きい状態で、噛み合いクラッチによりこれらが相対回転不能に連結されず、異音や振動が発生することを低減できる。その結果、二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替える際に、運転者に不快感を与えることを防止できる。
請求項5に記載の発明は、前輪側と後輪側との間でトルクを伝達するプロペラシャフトにおけるトルク伝達方向の下流側に設けられ、二輪駆動時にトルク伝達が遮断される左右一対の補助駆動輪間の差動を許容しつつ駆動源から前記各補助駆動輪へのトルク伝達を断続するディファレンシャル装置を備え、二輪駆動状態と四輪駆動状態とを切り替え可能な四輪駆動車両であって、前記ディファレンシャル装置は、前記駆動源のトルクによって回転駆動される中空状のデフケースと、前記デフケース内に該デフケースと相対回転可能に同軸配置される中空状のピニオンキャリヤと、前記ピニオンキャリヤの内部に配置され、前記各補助駆動輪間の差動を許容しつつ、該ピニオンキャリヤに伝達されるトルクを前記各補助駆動輪に伝達する差動歯車機構と、前記デフケースと前記ピニオンキャリヤとの間に設けられ軸方向に押圧されることで前記デフケースと前記ピニオンキャリヤとの相対回転速度を小さくする摩擦クラッチと、前記摩擦クラッチを軸方向に押圧する押圧手段と、前記デフケースと前記ピニオンキャリヤとを相対回転不能に連結する噛み合いクラッチとを備え、前記噛み合いクラッチは、前記摩擦クラッチが押圧されて前記デフケースと前記ピニオンキャリヤとの相対回転速度が小さくなった後に、前記デフケースと前記ピニオンキャリヤとを相対回転不能に連結することを要旨とする。
上記構成によれば、デフケースとピニオンキャリヤとの相対回転速度が大きい状態で、噛み合いクラッチによりこれらが相対回転不能に連結されず、異音や振動が発生することを低減できる。その結果、二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替える際に、運転者に不快感を与えることを防止できる。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の四輪駆動車両において、前記プロペラシャフトと前記デフケースとの間に設けられ、前記プロペラシャフトと前記デフケースとの間でのトルク伝達容量を変更可能なトルクカップリングと、前記噛み合いクラッチにより前記デフケースと前記ピニオンキャリヤとを相対回転不能に連結する際に、前記デフケースに対する前記プロペラシャフトの回転に滑りが発生し得るように前記トルクカップリングのトルク伝達容量を制御するカップリング制御手段とを備えたことを要旨とする。
二輪駆動状態から四輪駆動状態に素早く切り替えるために、摩擦クラッチによりデフケースとピニオンキャリヤとの回転同期が完了する前に噛み合いクラッチを締結することも考えられる。しかし、この場合、噛み合いクラッチが締結される瞬間に各補助駆動輪からプロペラシャフト側に伝達されるトルクが急激に増加する。そのため、デフケースとピニオンキャリヤとが相対回転不能に連結される際に、例えばプロペラシャフトのように慣性モーメントが大きな部材にて異音が発生する虞がある。この点、上記構成によれば、プロペラシャフトとディファレンシャル装置との間に設けられたトルクカップリングに滑りが発生することで、各補助駆動輪から駆動力伝達系に伝達されるトルクが急増しても、プロペラシャフトに伝達されるトルクが急増することを防止でき、異音を低減できる。
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載の四輪駆動車両において、前記プロペラシャフトにおける前記トルク伝達方向の上流側に設けられ、前記駆動源の駆動力伝達経路を変更して二輪駆動状態と四輪駆動状態とを切り替える切り替え手段と、前記摩擦クラッチを摩擦係合させて前記プロペラシャフトを回転させた後に、前記切り替え手段にて前記駆動力伝達経路を変更して二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替える切り替え制御手段とを備えたことを要旨とする。
切り替え手段にて二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替える際に、プロペラシャフトと切り替え手段の出力軸との回転同期を同切り替え手段にて図る場合には、その構造が複雑になってしまう。この点、上記構成によれば、摩擦クラッチによりデフケースとピニオンキャリヤとの相対回転速度が小さくされて、プロペラシャフトが回転した後に二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替える。従って、二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替える際に、切り替え手段にてプロペラシャフトと切り替え手段の出力軸との回転同期を図らずともよく、切り替え手段を簡易な構成にすることができる。
請求項8に記載の発明は、前輪側と後輪側との間でトルクを伝達するプロペラシャフトにおけるトルク伝達方向の下流側に設けられ、駆動源のトルクによって回転駆動される中空状のデフケース、前記デフケース内に該デフケースと相対回転可能に同軸配置される中空状のピニオンキャリヤ、及び前記ピニオンキャリヤの内部に配置され左右一対の補助駆動輪間の差動を許容しつつ該ピニオンキャリヤに伝達されるトルクを前記各補助駆動輪に伝達する差動歯車機構を有し、前記駆動源から前記各補助駆動輪へのトルク伝達を断続するディファレンシャル装置を備え、二輪駆動状態と四輪駆動状態とを切り替え可能な四輪駆動車両の制御方法であって、前記デフケースと前記ピニオンキャリヤとの間に配置された摩擦クラッチを押圧して、前記デフケースと前記ピニオンキャリヤとの相対回転速度を小さくした後に、前記デフケースと前記ピニオンキャリヤとを噛み合いクラッチにより相対回転不能に連結させることを要旨とする。
上記構成によれば、デフケースとピニオンキャリヤとの相対回転速度が大きい状態で、噛み合いクラッチによりこれらが相対回転不能に連結されず、異音や振動が発生することを低減できる。その結果、二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替える際に、運転者に不快感を与えることを防止できる。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の四輪駆動車両の制御方法において、前記噛み合いクラッチにより前記デフケースと前記ピニオンキャリヤとを相対回転不能に連結する際に、前記プロペラシャフトと前記デフケースとの間に設けられ該プロペラシャフトと該デフケースとの間でのトルク伝達容量を変更可能なトルクカップリングのトルク伝達容量を、前記デフケースに対する前記プロペラシャフトの回転に滑りが発生し得るようにしたことを要旨とする。
上記構成によれば、プロペラシャフトとディファレンシャル装置との間に設けられたトルクカップリングに滑りが発生することで、各補助駆動輪から駆動力伝達系に伝達されるトルクが急増しても、プロペラシャフトに伝達されるトルクが急増することを防止でき、異音を低減できる。
請求項10に記載の発明は、請求項8又は9に記載の四輪駆動車両の制御方法において、前記摩擦クラッチを摩擦係合させて前記プロペラシャフトを回転させた後に、前記プロペラシャフトにおける前記トルク伝達方向の上流側に設けられ前記駆動源の駆動力伝達経路を変更して二輪駆動状態と四輪駆動状態とを切り替える切り替え手段にて二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替えることを要旨とする。
上記構成によれば、二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替える際に、切り替え手段にてプロペラシャフトと切り替え手段の出力軸との回転同期を図らずともよく、切り替え手段を簡易な構成にすることができる。
本発明によれば、二輪駆動状態と四輪駆動状態とを切り替える際の異音や振動の発生を低減することが可能なディファレンシャル装置、ディファレンシャル装置の制御方法、四輪駆動車両及び四輪駆動車両の制御方法を提供することができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、車両1は、前輪駆動車をベースとする四輪駆動車であり、車両1の前部(図1における左側)には駆動源としてのエンジン2が搭載され、そのエンジン2に組み付けられたトランスアクスル3には、一対の左側及び右側フロントアクスル4L,4Rに常時連結されている。また、トランスアクスル3には、切り替え手段としてのトランスファ5が一体に設けられており、同トランスファ5を介してプロペラシャフト7に連結されている。プロペラシャフト7は、トルクカップリング8を介してドライブピニオンシャフト9と連結可能にされ、同ドライブピニオンシャフト9は、ディファレンシャル装置としてのリヤディファレンシャル10を介して一対の左側及び右側リヤアクスル11L,11Rと連結されている。なお、トルクカップリング8は、リヤディファレンシャル10とともに、車両1のフレーム(図示略)に固定されたデフキャリヤ12内に収容されている。
トランスファ5は、内蔵したスリーブ、ドグクラッチ等の切り替え機構により同トランスファ5の出力軸(図示略)とプロペラシャフト7との間のトルク伝達を断続可能に連結している。なお、本実施形態では、切り替え機構は、エンジン2の負圧又はモータを利用したアクチュエータにより駆動されるようになっている。そして、トランスファ5は、出力軸とプロペラシャフト7との間のトルク伝達を断続することで、エンジン2の駆動力伝達経路を変更して二輪駆動状態と四輪駆動状態とを切り替える。
詳しくは、切り替え機構を非締結状態とすることで、プロペラシャフト7へのトルク伝達が遮断され、即ちエンジン2からプロペラシャフト7側への駆動力伝達経路が遮断され、車両1は二輪駆動状態になる。つまり、二輪駆動状態では、エンジン2のトルクは、トランスアクスル3からそれぞれ左側及び右側フロントアクスル4L,4Rを介して左側及び右側前輪13L,13Rに伝達される。
また、切り替え機構を締結状態とすることで、プロペラシャフト7にトルクが伝達され、即ちエンジン2からプロペラシャフト7側への駆動力伝達経路が接続され、車両1は四輪駆動状態となる。つまり、四輪駆動状態では、エンジン2のトルクは、二輪駆動状態と同様に左側及び右側前輪13L,13Rにそれぞれ伝達されるとともに、トランスアクスル3からトランスファ5、プロペラシャフト7、トルクカップリング8、ドライブピニオンシャフト9、リヤディファレンシャル10及び左側及び右側リヤアクスル11L,11Rを介して左側及び右側後輪14L,14Rに伝達される。
従って、本実施形態では、左側及び右側前輪13L,13R側がプロペラシャフト7のトルク伝達方向における上流側となり、左側及び右側後輪14L,14R側がプロペラシャフト7のトルク伝達方向における下流側となる。また、左側及び右側後輪14L,14Rにより左右一対の補助駆動輪が構成される。
トルクカップリング8は、電磁コイルに供給される電流量に応じて、プロペラシャフト7側及びドライブピニオンシャフト9側のそれぞれに設けられた各クラッチプレート間の摩擦係合力が変化する電磁クラッチ15を備えており、その摩擦係合力に基づくトルクを入力側のプロペラシャフト7から出力側のドライブピニオンシャフト9へと伝達する。つまり、トルクカップリング8(電磁クラッチ15)は、左側及び右側後輪14L,14Rへ伝達可能なトルク、即ちトルク伝達容量を調整する。なお、トルクカップリング8は周知の構成を有しており、その詳細は、例えば特開2005−3167号公報を参照されたい。
そして、本実施形態のリヤディファレンシャル10は、二輪駆動時には左側及び右側リヤアクスル11L,11Rへのトルク伝達を遮断するとともに、四輪駆動時にはこれらの間の差動を許容しつつ該差動に応じたトルクを左側及び右側リヤアクスル11L,11Rに伝達するようになっている。
次に、リヤディファレンシャル10の構成について詳細に説明する。
図2に示すように、リヤディファレンシャル10は、デフキャリヤ12内に配置された中空円筒状をなすデフケース21を有している。デフケース21は、一端(図2における左側)が開口した有底円筒状のハウジング22と、ハウジング22の開口部22aに固着され同開口部22aを閉塞する円板形状のエンドプレート23とを備えている。ハウジング22の底部22bの右側面及びエンドプレート23の左側面には、それぞれ円筒状の左側及び右側回転軸筒24L,24Rが固着されている。また、本実施形態では、ハウジング22の底部22bには、右側回転軸筒24Rの外周面よりも外側位置に、軸方向に貫通する複数(本実施形態では、3つ)の貫通孔22cが形成されている。各貫通孔22cは、周方向に沿って等角度の間隔に形成されている。
なお、左側及び右側回転軸筒24L,24Rは、左側回転軸筒24Lの中心軸線と右側回転軸筒24Rの中心軸線とが一致するように配置されている。ここで、互いに一致する左側及び右側回転軸筒24L,24Rの中心軸線を中心軸線L1とする。
そして、デフケース21は、その左右両側に固定された左側及び右側回転軸筒24L,24Rがデフキャリヤ12の左側及び右側側壁12L,12Rに設けられた一対の円錐ころ軸受け25a,25bを介して同デフキャリヤ12に対し、中心軸線L1を中心として回転可能に支持されている。デフケース21は円錐ころ軸受け25a,25bにより所定の予圧が付与された状態で支持されており、その回転ガタが低減されている。なお、デフキャリヤ12内は図示しないシール部材によりシールされており、内部には所定の充填率で潤滑油が充填されている。
ハウジング22のフランジ部22dの右側外側面には、ハイポイドギヤよりなるリングギヤ26が中心軸線L1と同軸上に固定されている。リングギヤ26には、ドライブピニオンシャフト9の先端に固着されたハイポイドギヤよりなるドライブピニオン9aが噛合されている。従って、ドライブピニオンシャフト9(ドライブピニオン9a)が回転することによって、これに噛合するリングギヤ26を介して、デフケース21が中心軸線L1を回転中心に回転するようになっている。即ち、デフケース21は、エンジン2のトルクにより回転駆動するようになっている。
デフケース21内には、同デフケース21に対して中心軸線L1上で相対回転可能な円筒状のピニオンキャリヤ31が配置されている。ピニオンキャリヤ31は、エンドプレート23により開口端(図2における左側)が閉塞される大径部32と、大径部32の外径よりも小径の外径を有する小径部33と、大径部32と小径部33とを接続する段差部34とを備えている。なお、本実施形態では、大径部32の外径とハウジング22の内径とが略等しく形成されている。
ピニオンキャリヤ31の大径部32内には、左側及び右側リヤアクスル11L,11Rが連結される差動歯車機構35が配置されている。
具体的には、差動歯車機構35は、ピニオンシャフト36と、ベベルギヤからなる一対のデフピニオン37a,37bと、ベベルギヤからなる左側及び右側サイドギヤ38L,38Rとを備えている。ピニオンシャフト36は、中心軸線L1と直交するようにピニオンキャリヤ31(大径部32)内に固着されており、一対のデフピニオン37a,37bを同ピニオンシャフト36の中心軸線L2を中心として回転可能に支持している。そして、これら各デフピニオン37a,37bには、中心軸線L1を中心として回転可能に設けられる左側及び右側サイドギヤ38L,38Rが噛合されている。
エンドプレート23の中心位置には、貫通孔23aが形成されている。そして、貫通孔23a及び左側回転軸筒24Lには、左側リヤアクスル11Lが回転可能に貫挿され、その先端部が大径部32内に突出し、左側サイドギヤ38Lとスプライン嵌合されている。
また、ピニオンキャリヤ31の小径部33の中心位置とハウジング22の底部22bの中心位置には、それぞれ貫通孔33a,22eが形成されている。これら貫通孔33a,22e及び右側回転軸筒24Rには、右側リヤアクスル11Rが回転可能に貫挿され、その先端部が大径部32内に突出し、右側サイドギヤ38Rとスプライン嵌合されている。
このように構成された差動歯車機構35は、デフケース21が中心軸線L1を中心に回転するとき、一対のデフピニオン37a,37bが互いに対向する状態で中心軸線L1を中心にして公転するとともに、ピニオンシャフト36の中心軸線L2を回転中心として互いに独立して自転可能に設けられている。また、差動歯車機構35は、一対のデフピニオン37a,37bが中心軸線L1を中心にして公転するとき、デフピニオン37a,37bと噛合する左側及び右側サイドギヤ38L,38Rが中心軸線L1を回転中心として回転するようになっている。
従って、左側及び右側リヤアクスル11L,11Rは、一対のデフピニオン37a,37bが互いに逆方向に自転することでその差動が許容されるようになっている。また、一対のデフピニオン37a,37bの公転により左側及び右側サイドギヤ38L,38Rが回転することで、ピニオンキャリヤ31から左側及び右側リヤアクスル11L,11Rにトルクが伝達されるようになっている。つまり、差動歯車機構35は、左側及び右側リヤアクスル11L,11R間の差動を許容しつつ、ピニオンキャリヤ31に伝達されるトルクを該差動に応じて左側及び右側リヤアクスル11L,11Rに伝達するようになっている。
本実施形態では、デフケース21のハウジング22とピニオンキャリヤ31の小径部33との間には、摩擦クラッチ41が設けられている。摩擦クラッチ41は、デフケース21とピニオンキャリヤ31とをトルク伝達可能に連結する多板式の摩擦クラッチであって、交互に配置される複数のアウタクラッチプレート42と複数のインナクラッチプレート43とを有している。
具体的には、各アウタクラッチプレート42はデフケース21の内周にスプライン嵌合され、同デフケース21に対して、それぞれ軸方向移動可能、且つ相対回転不能に支持されている。従って、各アウタクラッチプレート42は、デフケース21と一体回転可能に設けられている。一方、各インナクラッチプレート43はピニオンキャリヤ31の小径部33外周にスプライン嵌合され、同ピニオンキャリヤ31に対して、それぞれ軸方向に移動可能、且つ相対回転不能に支持されている。従って、各インナクラッチプレート43は、ピニオンキャリヤ31と一体回転可能に設けられている。
そして、摩擦クラッチ41は、これら各アウタクラッチプレート42及びインナクラッチプレート43が軸方向に押圧され、互いに摩擦係合することにより、デフケース21とピニオンキャリヤ31とをトルク伝達可能に連結するようになっている。このとき、デフケース21とピニオンキャリヤ31との間の伝達トルクは、各アウタクラッチプレート42及びインナクラッチプレート43の摩擦係合力、即ち軸方向の押圧力に応じて変化する。
摩擦クラッチ41の右側には、押圧部材51が設けられている。押圧部材51は、デフケース21のハウジング22内に配置されるロッキングプレート52と、ハウジング22外に配置されるプレッシャープレート53と、ロッキングプレート52とプレッシャープレート53とを接続する接続ピン54とを備えている。
押圧部としてのロッキングプレート52は、円環状に形成されるとともに、デフケース21の内周にスプライン嵌合され、同デフケース21に対して、それぞれ軸方向移動可能且つ相対回転不能に支持されている。従って、ロッキングプレート52は、デフケース21と一体回転可能に設けられている。なお、ロッキングプレート52は右側リヤアクスル11Rと相対回転可能に設けられている。また、アウタクラッチプレート42がスプライン嵌合するスプラインとロッキングプレート52がスプライン嵌合するスプラインとは、軸方向に連続して形成されている。
ロッキングプレート52は、アウタクラッチプレート42と対向する径方向外側部分に径方向内側よりも軸方向の摩擦クラッチ41側に突出した円環状の突出部55を有している。また、ロッキングプレート52は、ピニオンキャリヤ31の小径部33の軸方向端面56と対向する対向面57を突出部55の径方向内側に有している。そして、ピニオンキャリヤ31の対向面としての軸方向端面56とロッキングプレート52の対向面57とには、軸方向に突出したドグクラッチ58,59がそれぞれ形成されている。そして、これらドグクラッチ58,59が噛合することで、ロッキングプレート52(及びプレッシャープレート53及び接続ピン54)とピニオンキャリヤ31、即ちデフケース21とピニオンキャリヤ31とが相対回転不能に連結されるようになっている。従って、本実施形態では、ドグクラッチ58,59によって噛み合いクラッチが構成される。
プレッシャープレート53は、円環状に形成されるとともに右側回転軸筒24Rの外周に配置されている。そして、ロッキングプレート52とプレッシャープレート53とは、上記デフケース21に形成した各貫通孔22cにそれぞれ挿通された複数(本実施形態では3本)の接続ピン54により接続されている。従って、ロッキングプレート52とプレッシャープレート53とは、一体で軸方向移動及び回転可能に固定されている。
また、押圧部材51は、プレッシャープレート53の右側に配置されるアクチュエータプレート60を備えている。操作部としてのアクチュエータプレート60は、プレッシャープレート53と略同径の円環状に形成され、右側回転軸筒24Rに相対回転可能に支持されている。そして、プレッシャープレート53とアクチュエータプレート60とは、その間にスラストころ軸受61を介して連結されている。これにより、アクチュエータプレート60は、ロッキングプレート52、プレッシャープレート53及び接続ピン54と一体で軸方向移動可能且つ相対回転可能に設けられている。従って、アクチュエータプレート60は、プレッシャープレート53との間で相対回転が生じた状態で、摩擦することなく同プレッシャープレート53を押圧可能である。
押圧部材51の右側には、駆動機構63が設けられている。駆動機構63は、軸方向の押圧力を発生させるアクチュエータ64と、アクチュエータ64とアクチュエータプレート60とを連結する駆動軸65とを備えている。本実施形態では、アクチュエータ64は、デフキャリヤ12の外部に配置されている。アクチュエータ64に設けられた駆動軸65は、デフキャリヤ12内に液密的に挿通されてアクチュエータプレート60に連結されている。そして、アクチュエータ64は、電流供給されることで作動し、油圧又はモータを利用して駆動軸65を軸方向に移動させることで、プレッシャープレート53に軸方向の押圧力を付与するようになっている。
従って、本実施形態のリヤディファレンシャル10は、アクチュエータ64が駆動し、駆動軸65を介してプレッシャープレート53に押圧力が付与されることで、押圧部材51が軸方向移動して突出部55が摩擦クラッチ41を押圧するようになっている。そして、摩擦クラッチ41を押圧した状態で、押圧部材51を摩擦クラッチ41の摩擦係合力を増大させるように軸方向移動させる、即ち押圧部材51がさらに軸方向のピニオンキャリヤ31側に移動することでドグクラッチ58,59が噛合し、デフケース21とピニオンキャリヤ31とが相対回転不能に連結されるようになっている。
ピニオンキャリヤ31の段差部34と、同段差部34側に設けられたインナクラッチプレート43との間には、弾性部材68が配置されている。弾性部材68は、例えば皿ばね若しくはウェーブワッシャよりなり、ドグクラッチ58,59によりデフケース21とピニオンキャリヤ31とが連結された状態で、ドグクラッチ58,59の締結を解除する方向に押圧部材51を押圧するようになっている。
詳述すると、アクチュエータ64の駆動が停止したとき、弾性部材68の押圧力により、速やかにドグクラッチ58,59の締結を解除させて、デフケース21とピニオンキャリヤ31とが相対回転可能となるようにしている。つまり、左側及び右側後輪14L,14Rへのトルク伝達が遮断されるようになっている。
次に、上記のように構成した車両1の電気的構成について図1に従って説明する。
カップリング制御手段及び切り替え制御手段としてのECU71は、トルクカップリング8(電磁クラッチ15)に電気的に接続されている。ECU71は、車両の走行状態に応じてトルクカップリング8(電磁クラッチ15)に駆動電流を供給し、この電流供給を通じてトルクカップリング8の作動を制御することにより、左側及び右側後輪14L,14Rへ伝達可能なトルク、即ちトルク伝達容量を制御する。
具体的には、ECU71は、アクセル開度センサ72及び車輪速センサ73a〜73dと接続されている。ECU71は、各車輪速センサ73a〜73dにより検出された各車輪速Vfr,Vfl,Vrr,Vrlに基づいて車速V及び左側及び右側前輪13L,13Rと左側及び右側後輪14L,14Rとの間の車輪速差ΔWを算出する。そして、ECU71は、これら車速V,車輪速差ΔW及びアクセル開度信号Saに基づいてトルク伝達容量の制御目標値(目標トルク)を演算する。
つまり、車両1は、ECU71が演算したトルク伝達容量の目標トルクが「0」の場合には二輪駆動状態となり、目標トルクが「0」より大きい場合には四輪駆動状態となる。ECU71は、演算した目標トルクに応じて制御信号を出力することでトランスファ5を制御し、二輪駆動状態と四輪駆動状態とを切り替えるようになっている。
また、ECU71は、リヤディファレンシャル10に電気的に接続されている。具体的には、ECU71は、リヤディファレンシャル10のアクチュエータ64に電流供給することで、その駆動を制御するようになっている。
具体的には、ECU71は、演算した目標トルクが「0」の場合、即ち二輪駆動時には、デフケース21とピニオンキャリヤ31との間のトルク伝達を遮断する。また、ECU71は、演算した目標トルクが「0」より大きい場合、即ち四輪駆動時には、デフケース21とデフキャリヤ12との間をトルク伝達可能に連結するようにアクチュエータ64の作動を制御する。
次に、車両1の作用について、二輪駆動状態から四輪駆動状態への切り替えを中心として説明する。
先ず、車両1が二輪駆動状態では、エンジン2のトルクはプロペラシャフト7に伝達されない。このとき、リヤディファレンシャル10では、デフケース21とピニオンキャリヤ31との間のトルク伝達が遮断されている。即ち、図2に示すように、アウタクラッチプレート42とインナクラッチプレート43とが摩擦係合せず、ドグクラッチ58,59も噛合していない状態となっている。
ここで、車両1の走行により、左側及び右側後輪14L,14Rが回転するため、左側及び右側リヤアクスル11L,11Rが回転し、この回転に伴って左側及び右側サイドギヤ38L,38Rが回転する。これにより、一対のデフピニオン37a,37bが公転するとともに、ピニオンキャリヤ31が中心軸線L1を中心として回転する。ここで、上記のように二輪駆動状態ではデフケース21とピニオンキャリヤ31との間のトルク伝達が遮断されているため、デフケース21及びリングギヤ26は回転しない。
そのため、リングギヤ26とドライブピニオン9aの回転抵抗(摩擦抵抗)及び潤滑油の撹拌抵抗によるトルクの損失を防止して燃費の低下を防止できる。なお、デフピニオン37a,37b及び左側及び右側サイドギヤ38L,38Rは、リングギヤ26に比べ小径であるとともにベベルギヤにより構成されてため、これらが潤滑油内で回転することによるトルクの損失は十分に小さい。また、プロペラシャフト7は、エンジン2からトルクが伝達されず、且つリングギヤ26が回転しないため、二輪駆動状態では停止した状態となる。従って、プロペラシャフト7が回転することによる振動や騒音を低減できるとともに、トルクの損失を防止することができる。
次に、二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替える際には、ECU71は、先ず、デフケース21に対するプロペラシャフト7の回転に滑りが発生し得るようにトルクカップリング8のトルク伝達容量を制御する。
次いで、図3に示すように、ECU71は、アクチュエータ64を駆動して押圧部材51を軸方向の摩擦クラッチ41側に移動させることで、突出部55によって摩擦クラッチ41を摩擦係合させる。これにより、デフケース21が回転し始め、同デフケース21とピニオンキャリヤ31との相対回転速度が小さくなり、これらの回転同期が図られる。また、回転同期が図られるとともに、デフケース21及びドライブピニオンシャフト9が回転し、トルクカップリング8を介してプロペラシャフト7が回転する。なお、本実施形態では、ECU71は、同期開始時点での各車輪速Vrl,Vrr及びアクチュエータ64で発生させる押圧力に基づいて、回転同期を図るための同期時間を決定している。
次いで、同期時間が経過し、デフケース21とピニオンキャリヤ31との間の回転同期が略完了すると、ECU71はアクチュエータ64にて発生させる押圧力を増加させる。これにより、押圧部材51がピニオンキャリヤ31側にさらに移動しようとする。そして、図4に示すように、各ドグクラッチ58,59の周方向位置が噛合可能な位置になると、これらドグクラッチ58,59が噛合して押圧部材51とピニオンキャリヤ31、即ちデフケース21とピニオンキャリヤ31とが一体回転するように(相対回転不能に)連結される。
そして、ECU71は、デフケース21とピニオンキャリヤ31とが一体回転するように連結された状態で、アクチュエータ64を駆動し、継続して押圧部材51に押圧力を付与する。これによって、ドグクラッチ58,59の締結を保持する。その後、ECU71は、トランスファ5を制御して、エンジン2のトルクがプロペラシャフト7に伝達されるようにし、二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替える。このとき、トランスファ5の出力軸及びプロペラシャフト7の回転は略同期しているため、トランスファ5にてトランスファ5の出力軸とプロペラシャフト7との回転同期を図ることなく、二輪駆動状態から四輪駆動状態への切り替えが行われる。
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)リヤディファレンシャル10は、エンジン2のトルクによって回転駆動される中空状のデフケース21と、デフケース21内に該デフケース21と相対回転可能に同軸配置される円筒状のピニオンキャリヤ31と、ピニオンキャリヤ31の内部に配置される差動歯車機構35とを備えた。また、デフケース21とピニオンキャリヤ31との間に設けられる摩擦クラッチ41と、摩擦クラッチ41を軸方向に押圧する押圧部材51とを備えた。そして、摩擦クラッチ41によりデフケース21とピニオンキャリヤ31との相対回転速度を小さくした後に、ドグクラッチ58,59によりデフケース21とピニオンキャリヤ31とを相対回転不能に連結させるようにした。そのため、二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替える際に、二輪駆動時にデフケース21とピニオンキャリヤ31との間に生じた相対回転速度(回転速度差)を、押圧部材51が摩擦クラッチ41を摩擦係合させることで小さくでき、デフケース21とピニオンキャリヤ31との回転同期が図られる。そして、摩擦クラッチ41によりデフケース21とピニオンキャリヤ31との相対回転速度が小さくなった後に、ドグクラッチ58,59によりデフケース21とピニオンキャリヤ31とが相対回転不能に連結される。従って、デフケース21とピニオンキャリヤ31との相対回転速度が大きい状態で、ドグクラッチ58,59によりこれらが相対回転不能に連結されず、異音や振動が発生することを低減できる。その結果、二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替える際に、運転者に不快感を与えることを防止できる。
(2)押圧部材51は、デフケース21内に配置され該デフケース21に対して軸方向移動可能且つ相対回転不能に連結されるロッキングプレート52と、デフケース21の外部に配置されロッキングプレート52と一体に軸方向移動可能且つ相対回転可能なアクチュエータプレート60とを備えた。そして、アクチュエータ64がアクチュエータプレート60に軸方向の押圧力を付与することで、摩擦クラッチ41が摩擦係合するようにした。従って、アクチュエータ64にて発生させた押圧力が直接摩擦クラッチ41に作用するため、例えば電磁コイル等により押圧部材51に磁力を作用させて摩擦クラッチ41を押圧する場合に比べ、摩擦クラッチ41の摩擦係合力を容易に制御することが可能になる。
(3)ドグクラッチ58,59を、ピニオンキャリヤ31の軸方向端面56とロッキングプレート52の対向面57にそれぞれ形成し、摩擦クラッチ41を摩擦係合させた状態で、押圧部材51を摩擦クラッチ41の摩擦係合力を増大させるように軸方向移動させることにより、互いに噛合するようにした。従って、押圧部材51が摩擦クラッチ41の摩擦係合力を増大させるように軸方向移動されることにより、デフケース21とピニオンキャリヤ31とがドグクラッチ58,59によって相対回転不能に連結される。そのため、例えばドグクラッチ58,59を押圧部材51に対して独立して移動可能に設け、別途設けられたアクチュエータ等によりドグクラッチ58,59を押圧してデフケース21とピニオンキャリヤ31とを相対回転不能に連結する場合に比べ、リヤディファレンシャル10の構成を簡素化することができる。
(4)リヤディファレンシャル10とトランスファ5との間に設けられエンジン2から左側及び右側後輪14L,14Rへのトルク伝達容量を変更可能なトルクカップリング8を備えた。そして、ECU71は、デフケース21とピニオンキャリヤ31との相対回転速度を小さくする際に、デフケース21に対するプロペラシャフト7の回転に滑りが発生し得るようにトルクカップリング8のトルク伝達容量を制御した。
ここで、二輪駆動状態から四輪駆動状態に素早く切り替えるために、摩擦クラッチ41によりデフケース21とピニオンキャリヤ31との回転同期が完了する前にドグクラッチ58,59を締結することも考えられる。しかし、この場合、ドグクラッチ58,59が締結される瞬間に左側及び右側後輪14L,14Rからプロペラシャフト7側に伝達されるトルクが急激に増加する。そのため、デフケース21とピニオンキャリヤ31とが相対回転不能に連結される際に、プロペラシャフト7のように、慣性モーメントが大きな部材にて異音が発生する虞がある。この点、本実施形態によれば、トルクカップリング8に滑りが発生することで、左側及び右側後輪14L,14Rからトルクカップリング8に伝達されるトルクが急増しても、プロペラシャフト7に伝達されるトルクが急増することを防止でき、異音が発生することを低減できる。
また、ECU71は、摩擦クラッチ41を摩擦係合させてデフケース21とピニオンキャリヤ31との相対回転速度を小さくする前に、トルクカップリング8のトルク伝達容量を直結状態よりも小さくするようにした。そのため、ドグクラッチ58,59の締結時のみならず、回転同期開始時においても、プロペラシャフト7へ伝達されるトルクの急増を確実に防止することができ、異音の発生を確実に防止できる。
(5)ECU71は、ドグクラッチ58,59によりデフケース21とピニオンキャリヤ31とを連結してプロペラシャフト7を回転させた後に、トランスファ5にて二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替えるようにした。
ここで、二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替える際に、トランスファ5にて、プロペラシャフト7とトランスファ5の出力軸との回転同期を図る場合には、同トランスファ5の構造が複雑になってしまう。この点、本実施形態では、トランスファ5にて二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替える際に、トランスファ5の出力軸とプロペラシャフト7との回転同期が略完了しているため、トランスファ5にてこれらの回転同期を図らずともよく、トランスファ5を簡易な構成にすることができる。
(6)電磁クラッチ15を有するトルクカップリング8をデフキャリヤ12内に収容させた。そして、リヤディファレンシャル10の駆動機構63を、アクチュエータ64に電流供給することで制御するようにした。従って、トルクカップリング8とリヤディファレンシャル10(駆動機構63)が近接して配置されているため、ECU71から電流を供給するためのワイヤハーネスの短縮化を図ることができる。
(7)ドグクラッチ58,59によりデフケース21とピニオンキャリヤ31とが連結された状態で、ドグクラッチ58,59の締結を解除する方向に押圧部材51を押圧する弾性部材68を設けた。そのため、ECU71がアクチュエータ64の作動を停止すると、ドグクラッチ58,59の締結が解除される。従って、駆動機構63がプレッシャープレート53を引っ張ることで、ドグクラッチ58,59の締結を解除するような構成が不要であり、駆動機構63を簡単な構成とすることができる。また、四輪駆動状態から二輪駆動状態に切り替える際に、駆動機構63の作動を制御しなくともよいため、消費電流の増大を防止できる。
(8)ECU71は、ドグクラッチ58,59によりデフケース21とピニオンキャリヤ31とを相対回転不能にした状態で、アクチュエータ64を駆動して押圧部材51を押圧し、ドグクラッチ58,59に軸方向の押圧力を付与するようにした。そのため、デフケース21とピニオンキャリヤ31とが連結された状態でドグクラッチ58,59の噛合が保持される。従って、例えば車両走行時に左側及び右側後輪14L,14Rから伝達される振動により、デフケース21とピニオンキャリヤ31との連結が解除されてしまうことを防止できる。
なお、本実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記実施形態では、押圧部材51を押圧手段として構成し、アクチュエータ64により同押圧部材51に押圧力を付与するようにしたが、これに限らない。例えば、第1カム部材と第2カム部材とが相対回転することで軸方向の押圧力を発生するカム機構により押圧手段を構成し、第1カム部材と第2カム部材とに相対回転を発生させて第1カム部材が摩擦クラッチ41を押圧するようにしてもよい。
・上記実施形態では、ピニオンキャリヤ31の段差部34と摩擦クラッチ41との間に弾性部材68を設けたが、これに限らず、ドグクラッチ58,59の締結を解除する方向に押圧部材51を押圧すれば、弾性部材68をその他の位置に配置してもよい。また、弾性部材68を設けずともよい。この場合には、リヤディファレンシャル10にて、デフケース21とピニオンキャリヤ31との間のトルク伝達を遮断する際に、駆動機構63がアクチュエータプレート60を引っ張ることで、ドグクラッチ58,59の締結を解除するようにしてもよい。
・上記実施形態では、ドグクラッチ58,59を、ピニオンキャリヤ31の軸方向端面56と押圧部材51の対向面57にそれぞれ形成し、摩擦クラッチ41を摩擦係合させた状態で、押圧部材51を摩擦クラッチ41の摩擦係合力を増大させるように軸方向移動させることにより、互いに噛合するようにしたが、これに限らない。例えば、ドグクラッチ59を押圧部材51に対して独立して移動可能に構成し、アクチュエータ64に加えて別途アクチュエータを設ける。そして、このアクチュエータとドグクラッチ59との間を、上記実施形態のロッキングプレート52とアクチュエータ64との間のように連結し、別途設けられたアクチュエータを駆動して、摩擦クラッチ41を押圧することと独立してデフケース21とピニオンキャリヤ31とを相対回転不能に連結するようにしてもよい。
・上記実施形態では、アクチュエータ64は、油圧により駆動軸65を軸方向に移動させたが、これに限らず、アクチュエータ64は、プレッシャープレート53に軸方向の押圧力を付与すればどのように構成してもよい。例えば、モータにより中空シャフトを回転させることでボールねじを直線運動させるボールねじ機構等により駆動軸を移動させて、プレッシャープレート53に軸方向の押圧力を付与するように構成してもよい。
・上記実施形態では、アクチュエータ64によるプレッシャープレート53の押圧を停止した際に、弾性部材68の軸方向の弾性力によってドグクラッチ58,59の締結が解除されるようにした。しかし、弾性部材68の弾性力を調整し、アクチュエータ64によるプレッシャープレート53の押圧を停止してもドグクラッチ58,59の締結が解除されないようにしてもよい。つまり、四輪駆動状態で車両1が走行している際には、押圧部材51からピニオンキャリヤ31にトルク伝達がされてドグクラッチ58,59間に周方向の力が作用しているため、ドグクラッチ58,59間に軸方向の摩擦力が作用し、弾性部材68の弾性力によってはドグクラッチ58,59の噛合は解除されずに締結状態が維持される。この場合には車両走行時においても継続してアクチュエータ64によって押圧部材51を押圧する場合に比べ、消費電流の低減を図ることができる。
・上記実施形態では、リヤディファレンシャル10にてデフケース21とピニオンキャリヤ31との回転同期を図り、これらをドグクラッチ58,59により連結した後に、トランスファ5にて二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替えたが、これに限らない。例えばドグクラッチ58,59によりデフケース21とピニオンキャリヤ31とを連結する前に、トランスファ5にて二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替えてもよい。このようにしても、トランスファ5にて二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替える際に、プロペラシャフト7が回転し、トランスファ5の出力軸とプロペラシャフト7との回転同期が図られているため、トランスファ5にてこれらの回転同期を図らずともよく、トランスファ5を簡易な構成にすることができる。
また、トランスファ5にて二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替えた後に、デフケース21とピニオンキャリヤ31との回転同期を図り、これらをドグクラッチ58,59により連結するようにしてもよい。
・上記実施形態では、ECU71は、同期開始時点での各車輪速Vrl,Vrr及びアクチュエータ64で発生させる押圧力に基づいて、回転同期を図るための同期時間を決定したが、これに限らない。例えば、同期開始後に各車輪速Vrl,Vrrが急増した場合などには、同期時間が変更するようにしてもよい。また、例えばロータリエンコーダ等により、デフケース21の回転数を検出するとともに、各車輪速Vrl,Vrrからピニオンキャリヤ31の回転数を検出し、これら回転数に基づいて同期が完了したか否かを判定してもよい。
・上記実施形態では、切り替え手段としてトランスファ5を用いたが、これに限らず、例えば車両1のトランスファ5にて切り替えを行わず、トルクカップリング8を切り替え手段として構成し、同トルクカップリング8のトルク伝達容量を変更することで、二輪駆動状態と四輪駆動状態とを切り替えるようにしてもよい。このようにしても、二輪駆動状態において、デフケース21及びリングギヤ26が回転することを防止できるため、駆動伝達系での振動・騒音の低減や燃費の向上を図ることができる。
また、車両1にトランスファ5及びトルクカップリング8を設けずともよい。このようにしても、デフケースとピニオンキャリヤとの相対回転速度が大きい状態で、噛み合いクラッチによりこれらが相対回転不能に連結されず、異音や振動が発生することを低減できる。その結果、二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替える際に、運転者に不快感を与えることを防止できる。
・上記実施形態では、車両1にトルクカップリング8を設けたが、これに限らず、トルクカップリング8を有さない車両1に本発明を適用してもよい。
・上記実施形態では、トルクカップリング8の目標トルクに基づいて車両1が二輪駆動状態と四輪駆動状態とに切り替えられたが、これに限らず、例えば運転者が切り替えスイッチを操作することで、二輪駆動状態と四輪駆動状態とを切り替えるようにしてもよい。
・上記実施形態では、本発明を、左側及び右側後輪14L,14Rを補助駆動輪とする車両1に適用したが、これに限らず、左側及び右側前輪13L,13Rを補助駆動輪とする車両に搭載してもよい。
ディファレンシャル装置を備えた車両の概略構成図。 ディファレンシャル装置の概略を示す断面図。 デフケースとピニオンキャリヤとの回転同期を図っている状態のディファレンシャル装置の断面図。 ドグクラッチが締結された状態のディファレンシャル装置の断面図。
符号の説明
1…車両、2…エンジン、5…トランスファ、7…プロペラシャフト、8…トルクカップリング、10…リヤディファレンシャル、14L…左側後輪、14R…右側後輪、21…デフケース、31…ピニオンキャリヤ、35…差動歯車機構、41…摩擦クラッチ、51…押圧部材、52…ロッキングプレート、53…プレッシャープレート、54…接続ピン、56…軸方向端面、57…対向面、58,59…ドグクラッチ、60…アクチュエータプレート、61…スラストころ軸受、64…アクチュエータ、71…ECU。

Claims (10)

  1. 二輪駆動状態と四輪駆動状態とを切り替え可能な四輪駆動車両に搭載され、二輪駆動時にトルク伝達が遮断される左右一対の補助駆動輪間の差動を許容しつつ、駆動源から前記各補助駆動輪へのトルク伝達を断続するディファレンシャル装置であって、
    前記駆動源のトルクによって回転駆動される中空状のデフケースと、
    前記デフケース内に該デフケースと相対回転可能に同軸配置される中空状のピニオンキャリヤと、
    前記ピニオンキャリヤの内部に配置され、前記各補助駆動輪間の差動を許容しつつ、該ピニオンキャリヤに伝達されるトルクを前記各補助駆動輪に伝達する差動歯車機構と、
    前記デフケースと前記ピニオンキャリヤとの間に設けられ軸方向に押圧されることで前記デフケースと前記ピニオンキャリヤとの相対回転速度を小さくする摩擦クラッチと、
    前記摩擦クラッチを軸方向に押圧する押圧手段と、
    前記デフケースと前記ピニオンキャリヤとを相対回転不能に連結する噛み合いクラッチとを備え、
    前記噛み合いクラッチは、前記摩擦クラッチが押圧されて前記デフケースと前記ピニオンキャリヤとの相対回転速度が小さくなった後に、前記デフケースと前記ピニオンキャリヤとを相対回転不能に連結することを特徴とするディファレンシャル装置。
  2. 前記押圧手段は、前記デフケース内に配置され該デフケースに対して軸方向移動可能且つ相対回転不能に連結される押圧部と、前記デフケースの外部に配置され前記押圧部と一体に軸方向移動可能且つ相対回転可能に設けられた操作部とを有する押圧部材からなり、
    前記操作部に軸方向の押圧力を付与するアクチュエータを備えたことを特徴とする請求項1に記載のディファレンシャル装置。
  3. 前記噛み合いクラッチは、前記ピニオンキャリヤと前記押圧部との軸方向の各対向面にそれぞれ形成され、前記摩擦クラッチを摩擦係合させた状態で前記押圧部材が前記摩擦クラッチの摩擦係合力を増大させるように軸方向移動することにより噛合して、前記デフケースと前記ピニオンキャリヤとを相対回転不能に連結することを特徴とする請求項2に記載のディファレンシャル装置。
  4. 二輪駆動状態と四輪駆動状態とを切り替え可能な四輪駆動車両に搭載され、駆動源のトルクによって回転駆動される中空状のデフケースと、前記デフケース内に該デフケースと相対回転可能に同軸配置される中空状のピニオンキャリヤと、前記ピニオンキャリヤの内部に配置され二輪駆動時にトルク伝達が遮断される左右一対の補助駆動輪間の差動を許容しつつ該ピニオンキャリヤに伝達されるトルクを前記各補助駆動輪に伝達する差動歯車機構とを備え、前記駆動源から前記各補助駆動輪へのトルク伝達を断続するディファレンシャル装置の制御方法であって、
    前記デフケースと前記ピニオンキャリヤとの間に配置された摩擦クラッチを押圧して、前記デフケースと前記ピニオンキャリヤとの相対回転速度を小さくした後に、前記デフケースと前記ピニオンキャリヤとを噛み合いクラッチにより相対回転不能に連結させることを特徴とするディファレンシャル装置の制御方法。
  5. 前輪側と後輪側との間でトルクを伝達するプロペラシャフトにおけるトルク伝達方向の下流側に設けられ、二輪駆動時にトルク伝達が遮断される左右一対の補助駆動輪間の差動を許容しつつ駆動源から前記各補助駆動輪へのトルク伝達を断続するディファレンシャル装置を備え、二輪駆動状態と四輪駆動状態とを切り替え可能な四輪駆動車両であって、
    前記ディファレンシャル装置は、
    前記駆動源のトルクによって回転駆動される中空状のデフケースと、
    前記デフケース内に該デフケースと相対回転可能に同軸配置される中空状のピニオンキャリヤと、
    前記ピニオンキャリヤの内部に配置され、前記各補助駆動輪間の差動を許容しつつ、該ピニオンキャリヤに伝達されるトルクを前記各補助駆動輪に伝達する差動歯車機構と、
    前記デフケースと前記ピニオンキャリヤとの間に設けられ軸方向に押圧されることで前記デフケースと前記ピニオンキャリヤとの相対回転速度を小さくする摩擦クラッチと、
    前記摩擦クラッチを軸方向に押圧する押圧手段と、
    前記デフケースと前記ピニオンキャリヤとを相対回転不能に連結する噛み合いクラッチとを備え、
    前記噛み合いクラッチは、前記摩擦クラッチが押圧されて前記デフケースと前記ピニオンキャリヤとの相対回転速度が小さくなった後に、前記デフケースと前記ピニオンキャリヤとを相対回転不能に連結することを特徴とする四輪駆動車両。
  6. 前記プロペラシャフトと前記デフケースとの間に設けられ、前記プロペラシャフトと前記デフケースとの間でのトルク伝達容量を変更可能なトルクカップリングと、
    前記噛み合いクラッチにより前記デフケースと前記ピニオンキャリヤとを相対回転不能に連結する際に、前記デフケースに対する前記プロペラシャフトの回転に滑りが発生し得るように前記トルクカップリングのトルク伝達容量を制御するカップリング制御手段と
    を備えたことを特徴とする請求項5に記載の四輪駆動車両。
  7. 前記プロペラシャフトにおける前記トルク伝達方向の上流側に設けられ、前記駆動源の駆動力伝達経路を変更して二輪駆動状態と四輪駆動状態とを切り替える切り替え手段と、
    前記摩擦クラッチを摩擦係合させて前記プロペラシャフトを回転させた後に、前記切り替え手段にて前記駆動力伝達経路を変更して二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替える切り替え制御手段と
    を備えたことを特徴とする請求項5又は6に記載の四輪駆動車両。
  8. 前輪側と後輪側との間でトルクを伝達するプロペラシャフトにおけるトルク伝達方向の下流側に設けられ、駆動源のトルクによって回転駆動される中空状のデフケース、前記デフケース内に該デフケースと相対回転可能に同軸配置される中空状のピニオンキャリヤ、及び前記ピニオンキャリヤの内部に配置され左右一対の補助駆動輪間の差動を許容しつつ該ピニオンキャリヤに伝達されるトルクを前記各補助駆動輪に伝達する差動歯車機構を有し、前記駆動源から前記各補助駆動輪へのトルク伝達を断続するディファレンシャル装置を備え、二輪駆動状態と四輪駆動状態とを切り替え可能な四輪駆動車両の制御方法であって、
    前記デフケースと前記ピニオンキャリヤとの間に配置された摩擦クラッチを押圧して、前記デフケースと前記ピニオンキャリヤとの相対回転速度を小さくした後に、前記デフケースと前記ピニオンキャリヤとを噛み合いクラッチにより相対回転不能に連結させることを特徴とする四輪駆動車両の制御方法。
  9. 前記噛み合いクラッチにより前記デフケースと前記ピニオンキャリヤとを相対回転不能に連結する際に、前記プロペラシャフトと前記デフケースとの間に設けられ該プロペラシャフトと該デフケースとの間でのトルク伝達容量を変更可能なトルクカップリングのトルク伝達容量を、前記デフケースに対する前記プロペラシャフトの回転に滑りが発生し得るようにしたことを特徴とする請求項8に記載の四輪駆動車両の制御方法。
  10. 前記摩擦クラッチを摩擦係合させて前記プロペラシャフトを回転させた後に、前記プロペラシャフトにおける前記トルク伝達方向の上流側に設けられ前記駆動源の駆動力伝達経路を変更して二輪駆動状態と四輪駆動状態とを切り替える切り替え手段にて二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り替えることを特徴とする請求項8又は9に記載の四輪駆動車両の制御方法。
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