JP2004509289A - 翼セル型真空ポンプに用いられる、プラスチックから成る翼 - Google Patents

Abstract

翼セル型真空ポンプ（１０）はロータ（１３）を有している。該ロータ（１３）内には、プラスチックから成る翼（１５）が長手方向で案内されている。該翼（１５）は、少なくとも１つの端部側の部分（２２，２３）によってポンプハウジング（１１）の外周壁側の内壁（１６）に作用している。翼（１５）のボディ（２１）は熱硬化性樹脂から成っていて、熱可塑性のプラスチックから成る端部側の部分（２２，２３）に射出成形工程によって一体化されている。ボディ（２１）の材料によって機械的な高い強度が得られ、端部側の部分（２２，２３）の材料によって高い耐摩耗性と低い摩擦係数とが得られる。
翼セル型真空ポンプ（１０）は自動車内で負圧式制動力倍力装置に接続されて使用することができる。

Description

【０００１】
背景技術
本発明は、請求項１の上位概念部に記載した形式の、翼セル型真空ポンプに用いられる、プラスチックから成る翼から出発する。
【０００２】
ドイツ連邦共和国実用新案第７５０３３９７号明細書に基づきセル型コンプレッサが公知である。このセル型コンプレッサは、プラスチックから成る薄板または翼を装備している。薄板の、セル型コンプレッサのロータに対応配置されている部分は、より劣った品質の材料から成っているのに対して、薄板の、コンプレッサハウジングの外周壁に対応配置された端部側の部分は、耐摩耗性の高い材料から成っている。薄板の両部分は互いに別個に製作され、接着、リベット締結および溶着のような方法によって互いに結合される。さらに、両薄板部分は製作プロセス時にすでに互いにプレス成形されてもよい。複数の部分から成る薄板構造体は、両薄板部分の個別誤差が合計されるという欠点を有している。このことは、耐摩耗性の高い材料から成る、両側に配置された部分を備えた薄板が前述した形式で製作される場合には特に不利となる。このような形式で形成された薄板または翼はロータに貫通係合していて、両側で密にケーシングに作用するようになっている。このことは、たとえばアメリカ合衆国特許第３８７７８５１号明細書に基づき公知である。
【０００３】
発明の利点
請求項１の特徴を備えた本発明による翼は、一方では、別個に製作された個別部分の組付けが省略されており、他方では、射出成形型が翼の最終形状を比較的狭い誤差で再現可能に規定しているので有利である。
【０００４】
従属請求項に記載した手段によって、請求項１に記載した翼の有利な構成および改良形が付与されている。
【０００５】
請求項２に開示した構成によって、少なくとも翼のボディが射出成形、トランスファ成形または圧縮成形によって形成され、次いで、同一のまたは別個の射出成形型内で翼の端部側の部分が製造される翼の構造が提供される。
【０００６】
請求項３記載の本発明の改良形は、一方では、翼の成形精度が、端部側の部分における材料収縮の、減少させられた影響によって改善され、他方では、端部側の部分の材料が高価である場合に翼の費用を低く維持することができる点で有利である。
【０００７】
請求項４に特徴付けられた手段は、特に翼のボディと端部側の部分とのために使用される材料によって材料接続を獲得することができない場合に翼の部分の、翼の製作の過程で簡単に形成可能な結合を説明している。
【０００８】
請求項５記載の、翼のボディの熱処理によって、分子構造の、最大限に達成可能な空間的な架橋度による翼の強度の増加および材料組織内の応力減少による翼の幾何学的形状の不変性ならびに後収縮の回避が獲得される。
【０００９】
実施例の説明
以下に、本発明の実施例を図面につき詳しく説明する。
【００１０】
図１に示した翼セル型真空ポンプ１０は、カバーなしに図示したポンプハウジング１１を有している。このポンプハウジング１１は内室１２を備えている。この内室１２内には駆動可能なロータ１３が偏心的に配置されている。このロータ１３は、プラスチックから成る翼１５を長手方向で運動可能に案内するための、横方向に延びるスリット１４を備えている。翼１５は滑動可能にならびに密に外周壁側の内壁１６と、端壁１７と、ポンプハウジング１１のカバー（図示せず）とに作用している。さらに、ポンプハウジング１１は、外周壁側で内室１２に開口した入口開口１９を備えた吸込み管片１８と端壁側に出口開口２０とを有している。吸込み管片１８は車両制動装置の負圧式制動力倍力装置（図示せず）に接続されている。翼セル型真空ポンプ１０の機能形式は知られているので、ここでは説明しないことにする。
【００１１】
薄板状に形成された翼１５はプラスチックから成っている。図２に示した翼１５のボディ２１は熱硬化性樹脂から製造されている。このボディ２１は、ガラス繊維強化されたフェノールノボラック成形材料または匹敵し得る特性を備えた材料から射出成形、トランスファ成形または圧縮成形によって製作されている。前記材料は機械的なかつ動的な高い負荷耐性および耐油性の点で優れている。ボディ２１の材料特性は−４０℃〜＋１５０℃の温度範囲内で十分に一定である。材料の永久歪み特性は真空ポンプ１０の耐用年数にわたって極めて僅かである。前述した熱硬化性樹脂の材料特性はボディ２１の数時間のアフタベーキングによって改善することができる。
【００１２】
翼１５は、一体成形された端部側の部分２２，２３を有している。両部分２２，２３は、高温に対して強い（耐熱性の）熱可塑性樹脂、たとえばポリアリールエーテルケトン（ＰＥＥＫ）または匹敵し得る特性を備えた材料から成っている。特殊に組み合わされた充填剤組合せにより場合によって変更されるこのプラスチックは高い耐摩耗性と低い摩擦係数とを有している。端部側の部分２２，２３は射出成形工程によって翼２３のボディ２１に一体化されている。このためには、広幅面２４，２５と狭幅面２６，２７とに対して段付けされて下げられた端区分２８，２９（図２参照）を備えたボディ２１が型内に収容され、上述した熱可塑性の材料によって、図３に示した形状にまで補填される。この場合、翼１５の端部側の両部分２２，２３は、僅かな層厚さを備えた半円筒状のシェルを形成している。このシェルはボディ２１の端区分２８，２９を滑りライニングとして覆っていて、少なくともボディ２１の狭幅面２６，２７と同一平面を成して終わっている。
【００１３】
翼１５のボディ２１のために使用されるプラスチックと、翼１５の端部側の部分２２，２３のために使用されるプラスチックとは、不十分な材料接続（Ｓｔｏｆｆｓｃｈｌｕｓｓ）を生ぜしめないかまたは生ぜしめるので、前述した翼１５の構成では、上述した部分２２，２３と翼１５のボディ２１との間に形状接続（Ｆｏｒｍｓｃｈｌｕｓｓ）を獲得するための手段が設けられている。このためには、ボディ２１の端区分２８，２９が、半円形ないし３／４円形の横断面の、長手方向に延びる３つの真っ直ぐな溝３０を有している。これらの溝３０は端部側の部分２２，２３の材料によって射出成形工程時に完全に充填される。こうして、翼１５のボディ２１からの端部側の部分２２，２３の持上りまたは解離が阻止される。
【００１４】
前述した翼１５の製作プロセスとは異なり、ボディ２１のアフタベーキングは端部側の部分２２，２３に対する損傷なしに両部分２２，２３とボディ２１との一体化の後に行われてもよい。
【００１５】
製作プロセスは、ただ１つの端部側の滑りライニングを備えた翼が使用される翼セル型真空ポンプでも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】
ただ１つの翼を備えた翼セル型真空ポンプの立体図である。
【図２】
翼のボディの立体図である。
【図３】
２つの端部側の部分によって完成された翼の立体図である。
【符号の説明】
１０　翼セル型真空ポンプ、　１１　ポンプハウジング、　１２　内室、　１３　ロータ、　１４　スリット、　１５　翼、　１６　内壁、　１７　端壁、　１８　吸込み管片、　１９　入口開口、　２０　出口開口、　２１　ボディ、　２２　部分、　２３　部分、　２４　広幅面、　２５　広幅面、　２６　狭幅面、　２７　狭幅面、　２８　端区分、　２９　端区分、　３０　溝

Claims (5)

1. 翼セル型真空ポンプ（１０）に用いられる、プラスチックから成る翼（１５）であって、当該翼（１５）が、ロータ（１３）内に長手方向で案内されていて、少なくとも１つの端部側の部分（２２，２３）によってポンプハウジング（１１）の外周壁側の内壁（１６）に滑動可能に作用しており、当該翼（１５）のボディ（２１）と、当該翼（１５）の端部側の部分（２２，２３）とが、互いに異なる材料から成っており、両材料のうち、端部側の部分（２２，２３）の材料が、高い摩耗抵抗を有している形式のものにおいて、当該翼（１５）のボディ（２１）が、熱硬化性樹脂から成っており、当該翼（１５）の端部側の部分（２２，２３）が、熱可塑性樹脂から成っており、当該翼（１５）のボディ（２１）と端部側の部分（２２，２３）とが、射出成形工程によって互いに一体化されていることを特徴とする、翼セル型真空ポンプに用いられる、プラスチックから成る翼。
2. 当該翼（１５）のボディ（２１）の成形後、端部側の部分（２２，２３）が、射出成形工程で製作されている、請求項１記載の翼。
3. 当該翼（１５）の端部側の部分（２２，２３）が、僅かな厚さの層として形成されている、請求項１または２記載の翼。
4. 当該翼（１５）のボディ（２１）と端部側の部分（２２，２３）とが、形状接続によって互いに結合されている、請求項１または２記載の翼。
5. 当該翼（１５）のボディ（２１）が、端部側の部分（２２，２３）の射出成形前にまたは射出成形後にアフタベーキングにさらされている、請求項１または２記載の翼。