JP2004509233A - レーザー切除による薄膜の蒸着 - Google Patents

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Abstract

基材(2)に薄膜を蒸着する方法であって、この方法は、標的(16)をレーザー光線(12)で切除して、標的表面(17)から離れる伝播方向に広がる蒸発物のプルーム(19)を作製する工程を包含する。このレーザー光線は、標的表面(17)の前でありかつこのプルーム(19)内の有限距離(で)で集中され、それにより、このプルーム(19)内の蒸発物に増加したエネルギーを与える。この標的はまた、これらの蒸発物に所定速度成分を与えるために、高速回転できそれにより、ゆっくりと運動している蒸発物は、その伝播方向からそらされ、そして基材に蒸着しないようにされる。この方法は、ダイヤモンド膜の形成で有用であり、マイクロチップ製造、視覚的表示装置、太陽エネルギー変換、オプティクス、フォトニクス、保護面、医療用途、および切断適用および穿孔適用の分野で応用される。

Description

【0001】
(発明の分野)
本発明は、標的のレーザー切除により基材に薄膜を形成する方法(例えば、パルスレーザー蒸着(「PLD」)として知られている技術)に関する。本発明は、ダイヤモンド膜の形成に特に適しているが、それには限定されず、任意の材料の膜形成に応用され、例えば、超伝導体膜成長法、フォトニクスおよび半導体エレクトロニクスで使用され得る。
【0002】
(発明の背景)
高品質薄膜の製造にPLDを使用する種々の技術が、数年にわたって研究されている。
【0003】
PLDは、チャンバ(典型的には、真空チャンバ)に設置した標的材料上にパルスレーザーを向ける工程を包含する。このレーザーのエネルギーにより、この標的表面からの材料の切除、およびこの標的表面からプルームへの材料の蒸発が起こる。このプルームは、原子、イオン、分子および粒子またはクラスターの混合物からなる。材料が切除されるにつれて、このプルームは、このチャンバへと拡張する。このプルーム内の蒸発物のエネルギーは、典型的には、2〜3eVから数百eV程度の範囲である。このプルームの伝播方向に基材を設置することにより、切除した材料は、この基材上に層状に蒸着され、薄膜が形成される。
【0004】
薄膜を製造するためのPLDの魅力は十分に記載されているが、しかしながら、この方法は、高品質薄膜形成を妨げ得る欠点を伴っている。このプルーム内に微粒子が存在していると、得られる薄膜の品質が低下する。このプルーム内の微粒子を少なくし基材に蒸着される微粒子を減らす種々の方法が、開発されている。
【0005】
国際特許公開WO99/13127は、レーザーパルスにより真空チャンバ内の標的を蒸発する方法を記述しており、このレーザーは、そのプルームから微粒子をなくすために、最適な強度に集中される。この最適強度は、レーザーパルスの持続時間および標的材料の特性によって規定される。このレーザーパルスのパルス繰返し数は、この基材で蒸発物質の連続流れを生じるように、予め決定されている。このパルス繰返し数は、典型的には、キロヘルツ〜数百メガヘルツの範囲である;そしてパルス持続時間は、好ましくは、ピコ秒〜フェムト秒である。グラファイト標的を蒸発させることによる薄膜の形成が、記述されている。この薄膜は、spおよびsp結合非晶質炭素の混合物であった。この薄膜は、5Å/秒の蒸着速度でシリコン基材に蒸着され、そして微粒子を殆ど含んでいなかった。
【0006】
WO99/13127の発明者によるPLD関連の論文(Rodeら)は、Journal of Applied Physics 85,No.8(1999年4月15日)の4222ページに見られる。
【0007】
国際特許公開WO00/22184は、短パルスレーザー(100ピコ秒以下)を使用する薄膜(特に、ダイヤモンド様炭素膜)のPDL方法を記述している。このようなレーザーの使用は、クラスターのない単種原子イオンから構成されたプルームを発生すると言われている。高い平均出力のフェムト秒レーザーを使用すると、25μm/時間までの蒸着速度が得られる。
【0008】
米国特許第5,858,478号は、パルスレーザーを使用して標的表面から材料を切除する、薄膜のPLD方法を記述している。この標的および基材の直接視野方向には、遮蔽物が設置され、そして磁場が使用されて、切除した材料のプルーム内のイオンを基材の方へと曲げるのに対して、中性粒子は、基材を通り過ぎ続ける。この方法は、大きい中性粒子が基材に蒸着するのを回避する。
【0009】
米国特許第5,411,772号は、薄膜を形成するために標的をレーザー切除する方法を記述している。その基材は、切除した材料のプルームの伝播方向とほぼ平行に位置付けられる。その蒸着チャンバは、このプルームの(その伝播方向に対する)側方拡散を促進するために、低バックグラウンド圧力の不活性ガスまたは反応性ガスを含有する。大きく重い粒子は、著しい側方拡散がなく、この基材に蒸着する見込みがない。
【0010】
従って、所望の蒸発物エネルギーを選択することにより、高品質薄膜を製造する改良方法を提供することが、本発明の目的である。製造された薄膜は、好ましくは、微粒子を実質的に含まない。
【0011】
(発明の要旨)
第一局面では、本発明は、基材に薄膜を蒸着する方法を提供し、この方法は、
標的表面をレーザー切除して、この標的表面から離れる伝播方向に広がる蒸発物のプルームを作製する工程;および
このプルーム内の蒸発物がこの基材に蒸着されるように、このプルームのこの伝播方向にこの基材を位置付ける工程、
を包含し、
ここで、この標的表面の前の有限距離にレーザー光線が集中されて、この集中から生じるこの光線の最小断面がこのプルーム内に位置付けられ、それにより、このプルーム内のこの蒸発物に高いエネルギーが与えられる。
【0012】
有利には、上記レーザー切除は、上記レーザー光線により行われる。代替実施態様では、上記レーザー光線は、第二レーザー光線であり、そして上記レーザー切除は、第一レーザー光線により行われる。
【0013】
本発明は、一部には、広範囲のエネルギーを有する蒸発物が薄膜蒸着には必ずしも適切ではないという観察に基づいている。蒸着した膜において所望の種類の結合を得る目的のためには、適切なエネルギー範囲内の蒸発物だけを基材に蒸着することが必要であることが、知られている。例えば、炭素膜におけるsp結合については、これらの蒸発物の適切なエネルギー範囲は、100eV〜200eV程度である。より低いエネルギーの粒子または蒸発物は、主に、ある程度のsp結合と共に、sp結合を生じる。他方、より高エネルギーの粒子または蒸発物は、この膜にある既存の結合を破壊し得、sp結合およびsp結合の混合物を生じ得る。蒸発物の運動エネルギー範囲は、その標的上のレーザーフラックス、レーザー波長、および標的材料に依存している。グラファイト標的および510nm波長レーザーの場合、50eV〜100eVのエネルギー範囲の蒸発物を得るために、その標的表面上の好ましいレーザーフラックスは、5×10〜10W/cmの範囲にある。しかしながら、これらのパラメータだけを調節しても、必ずしも、所望範囲のエネルギーの粒子は生成しない。
【0014】
本発明はまた、標的とレーザー放射との相互作用中に、そのプルーム内でレーザーエネルギーの有効な吸収を可能にするのに十分なプルーム内蒸発物領域を得ることが可能であるという知見から生じた。その領域での蒸発物の密度は、限界密度と呼ぶ。この限界密度nは、レーザー波長λ(μm)に依存しており、式n=1.1×1021/λにより、定量化され得る。これらの蒸発物によるエネルギー吸収は、このレーザーフラックスが1010W/cm付近であるかまたはそれ以上のときに、重要となるにすぎない。この限界密度領域でのレーザーエネルギーの入力は、「衝撃波」を生じ、この衝撃波は、立体角4πで拡大する。その点で最も効率的なレーザーエネルギー入力を得るために、そのレーザーパルスの持続時間は、電子熱伝導度の時間(約1ナノ秒)よりも長くなければならない。
【0015】
そのプルーム内の蒸発物の密度が、その標的表面前の所定距離(cm)dで、(本明細書中で定義した)限界密度に達するとき、有利には、このレーザーフラックスが、そのパルス持続時間中に、最大に達するとき、このプルームで、衝撃波が生じ、そのレーザー光線は、好ましくは、この限界密度領域内に集中され、その結果、衝突吸収が起こる:
d=1.38×10(ε/A)1/2Δt
ここで、εは、エネルギー粒子(eV)であり、
Aは、粒子の原子量であり、
Δtは、レーザーパルスの立ち上がり時間(秒)である。
【0016】
蒸発物のプルームは、有利には、(本明細書中で定義した)限界密度の領域を含み、そのレーザー光線は、好ましくは、この限界密度領域内で集中され、その結果、このプルームで、衝撃波が生じる。この限界密度は、そのレーザーの波長に依存しており、好ましくは、4×1021個の蒸発物/cmより大きい。所定時間で限界密度領域を超えて伝播したプルーム内の蒸発物は、この衝撃波により、この基材に向かって加速される一方で、その所定時間で限界密度領域を超えて伝播しなかったプルーム内の蒸発物は、この衝撃波により、この標的表面に向かって加速される。薄膜を形成するのに必要なエネルギーは、その標的材料および形成される膜に従って、変わる。
【0017】
この目的のために、本発明は、標的をレーザー切除して蒸着プルームを形成することにより基材に薄膜を形成する方法を提供し、ここで、そのプルーム中のその最高密度領域にあるレーザー光線フラックスは、その蒸発物による有効なエネルギー吸収を得るように調整され、それにより、蒸発物がその基材に蒸着するのに十分なエネルギーを得るようにされる。この基材は、所定範囲外のエネルギーレベルを有する蒸発物がこの基材に蒸着しないように、位置付けられる、
この光線の最小断面は、好ましくは、その光線の焦点領域の実質的に全体を含む。この光線は、レンズにより集中され、その光線の焦点領域は、このレンズの光学焦点の直前および直後のレーザー光線領域として、定義される。この焦点領域の中間点は、この標的表面の前で位置をずらされる。この距離は、その標的材料に依存しており、そして、レーザーフラックスは、一般に、1μm〜10mmの範囲にある。
【0018】
好ましくは、この標的上のレーザー光線の断面は、そのレーザー光線の最小断面よりも大きい。焦点距離が短いレンズを使用すると、この焦点領域において、さらに強力なフラックスを達成することが可能となり、それゆえ、このプルームの最も密な領域で吸収されるエネルギーを高める。好ましくは、この焦点距離は、35cm未満である。
【0019】
切除した蒸発物は、このプルーム内で、一定速度範囲を有することが、理解される。好ましい実施態様では、この蒸発物に所定速度成分が与えられ、このプルーム内をより遅く運動する蒸発物が、この所定速度成分により、その伝播方向からそらされるようにされ、そしてこのより遅く運動する蒸発物が、基材に蒸着するのを妨げられるようにされる。この速度は、その標的材料に依存しているが、一般に、約2000回転/分より大きく、さらに好ましくは、5000回転/分より大きく、40,000回転/分までであり得る。
【0020】
好ましくは、この所定速度成分は、この標的の運動(例えば、円筒形標的の高速回転)により、与えられる。さらに好ましくは、この所定速度成分は、この標的表面に対して、実質的に接線方向にある。
【0021】
第二局面では、本発明は、基材に薄膜を蒸着する方法を提供し、この方法は、標的表面をレーザー切除して、この標的表面から離れる伝播方向に広がる蒸発物のプルームを作製する工程であって、この蒸発物は、このプルーム内で一定速度範囲を有する、工程;
この標的表面の前の有限距離でレーザー光線を集中して、この集中から生じるこの光線の最小断面をこのプルーム内に位置付けるようにし、それにより、増加されたエネルギーをこのプルーム内のこの蒸発物に与える、工程;
このプルームのこの伝播方向にこの基材を位置付ける工程;および
この蒸発物に所定速度成分を与える工程;
を包含し、
ここで、この基材は、この標的表面から所定距離にて位置付けられ、それにより、このプルーム内をより遅く運動する蒸発物が、この所定速度成分によりこの伝播方向からそらされるようにされ、そしてこのより遅く運動する蒸発物が、この基材に蒸着するのを妨げられるようにされる。
【0022】
有利には、上記レーザー切除は、上記レーザー光線により行われる。代替実施態様では、上記レーザー光線は、第二レーザー光線であり、そして上記レーザー切除は、第一レーザー光線により行われる。
【0023】
本発明の方法を使用して生成される典型的な薄膜は、原子レベル厚(超薄膜)から、その蒸着速度および蒸着時間により限定される膜厚までの範囲である。
【0024】
第三局面では、本発明は、基材に薄膜を蒸着する方法を提供し、この方法は、
標的をレーザー切除して、この標的表面から離れる伝播方向に広がる蒸発物のプルームを作製する工程であって、この蒸発物は、このプルーム内で一定速度範囲を有する、工程;
このプルームのこの伝播方向にこの基材を位置付ける工程;および
この蒸発物に所定速度成分を与える工程;
を包含し、
ここで、この基材は、この標的表面から所定距離に位置付けられ、それにより、このプルーム内をより遅く運動する蒸発物が、この所定速度成分によりこの伝播方向からそらされるようにされ、そしてこのより遅く運動する蒸発物が、この基材に蒸着するのを妨げられるようにされる。
【0025】
さらなる局面では、本発明は、その上に薄膜を蒸着した基材を提供し、この薄膜は、本発明の方法局面に従って、この基材に蒸着されている。好ましくは、本発明のこの局面では、上記基材は、ダイヤモンド膜で被覆される。
【0026】
なおさらなる局面では、本発明は、本発明の方法局面の1つに従って基材に蒸着する薄膜を提供する。好ましくは、この膜は、ダイヤモンド膜である。
【0027】
本発明はまた、本発明の各局面の方法を実行する装置(添付の請求の範囲で定義した)を提供する。
【0028】
(好ましい実施形態の説明)
図1を参照すると、レーザー10は、パルス光線12を発生し、これは、オプティクス(図示せず)により案内され、そして標的16の前で、短い有限距離で、レンズ14により集中される。本発明のこの実施形態では、レーザー10は、10kHz、29nsのCopper Vapour Laser(CVL)であり、そのパルスエネルギーは、1パルス当たり2mJであり、このレーザー光線の波長は、510nmである。標的16および基材20は、チャンバ22(好ましくは、真空チャンバ)内に含まれる。その真空は、好ましくは、10−3Torr程度またはそれより良好である。ダイヤモンドまたはダイヤモンド様膜を製造するには、標的16は、グラファイトから作製される。
【0029】
有利には、標的16は、円筒形であり(図3)、その縦軸(これは、入射レーザー光線12の軸と直交して伸びる)の周りで回転する。標的16が回転すると、連続的なレーザーパルスが標的表面17上の同じスポットを打つのが避けられる(クレーターの形成をなくす)。レーザー光線12または標的16は、それに加えて、またはそれに代えて、クレーターの形成を避けるために、このレーザー光線の軸と垂直の平面で走査され得る。
【0030】
この入射光線は、標的表面17に対して一定の角度で、標的16上に向けられ得る。好ましい実施形態では、標的16は、直径40mmであり、10rev/分で、その軸の周りで回転する。標的16は、多数の適切な形状(適切な形状には、例えば、略長方形、球形または円筒形が挙げられる)のいずれかであり得、当業者が理解する種類の任意の通常の様式で、移動または走査され得ることが分かる。
【0031】
レーザー光線12と標的16の表面17との相互作用は、切除材料のレーザープルーム18(図2)を生じ、これは、基材20に向かって伝播し、その上に蒸着される。図1で示した領域19は、プルーム18が基材20に向かう伝播方向を示す。基材20は、通常、標的16から95mm離れて位置付けられる。この距離を選択する基準は、以下で述べる。典型的な標的−基材距離は、数センチメートル〜20cmの範囲である。基材20は、その基材への蒸着層の接着を助けるために、必要に応じて、加熱され得る。しかしながら、本発明のある実施形態では、加熱は必要ではない。
【0032】
本発明は、一部には、高品質薄膜(特に、ダイヤモンド薄膜)を製造するために、良質プルームが必要であるという知見に基づいている。標的の固体表面により吸収された後、プラズマ−プルームが形成され、これは、エネルギー種(例えば、原子、分子、電子、イオン、クラスター、およびミクロンサイズの固体粒子)の混合物からなる。相当量のミクロンサイズ微粒子が存在していると、通常、この方法の最適な結果を得るのに不利である。従って、良質プルームは、比較的少ないミクロンサイズの微粒子を含有するものであって、ここで、これらの原子およびイオンは、形成される膜に適切なエネルギーレベルを有する。例えば、ダイヤモンド構造のsp炭素−炭素結合を得るためには、切除された原子およびイオンは、100eV〜200eV程度、好ましくは、70〜200eVの範囲のエネルギーを有するべきであると示唆されている。
【0033】
この標的材料の蒸発および切除を達成するために、そのレーザーパルスのフラックスエネルギーは、好ましくは、所定閾値を上回る。グラファイト蒸発のための閾値フラックスエネルギーは、30MW/cmであることが立証されている(Danilovら、Sov.J.Quantum Electron.18(12)1988年12月、1610ページ)。この標的材料がグラファイトである場合、パルスエネルギーフラックスが低すぎると、グラファイト構造または他の非ダイヤモンド炭素膜が作製されるのに対して、パルスエネルギーフラックスが高すぎると、標的の表面から排出されて基材に蒸着される物質の汚染粒子が生じるか、その基材が高エネルギー衝突粒子で損傷される。この標的材料がグラファイトである本発明の実施形態では、その標的表面にあるパルスエネルギーフラックスは、好ましくは、5×10〜10W/cmの範囲である。
【0034】
図2は、低パルスエネルギーおよびナノ秒パルス持続時間で、パルスレーザー10を使用して、良質プルーム製造することを図示している。標的表面17にあるレーザーフラックスは、レンズ14を使用して、標的表面17の前に有限距離dでレーザー光線12を集中させて、得た。距離dは、この標的表面の前で、好ましくは、1μm〜10mmの範囲、最も好ましくは、約0.46mmである。距離dは、このレーザーフラックスおよび他のパラメータに依存している。
【0035】
標的表面17の前にレンズ14の焦点を配置すると、有利には、その光線の焦点領域24は、レーザープルーム18内に置かれる。光線12の焦点領域24は、レンズ14の光学焦点の直前および直後のレーザー光線12の領域として定義され、この場合、この光線の断面は、その光学焦点で、この光線の直径とほぼ等しい。光線12の断面は、典型的には、ほぼ円形または楕円形である。結果として、このレーザー光線は、最小断面より大きく、従って、その標的表面にて、最大エネルギー濃度未満である。標的材料は、これらのレーザーパルスにより蒸発され、そして切除されるが、しかしながら、このプルームそれ自体内の切除した蒸発物のエネルギーは、ダイヤモンド膜を形成できるのに十分には高くない。
【0036】
光線14の焦点領域24を標的表面17の前に位置付けると、ダイヤモンド膜が形成できるように、これらの蒸発物にエネルギーが追加される。この場合、焦点領域24は、レーザープルーム18のプラズマ温度を高め、このプルーム内の蒸発物は、以下でさらに詳細に述べるように、エネルギーが高くなる。すなわち、レーザープルーム18内の蒸発物は、標的表面17を打つレーザーパルスにより与えられる初期エネルギーを有する。このエネルギーは、次いで、レンズ14の焦点領域24とのレーザープルーム18の相互作用により、高められる。
【0037】
切除した材料のプルーム内には、これらの蒸発物の密度が「限界密度」である領域が存在している。本明細書中では、「限界密度」との表現は、このプルーム内でレーザーエネルギーの有効吸収を可能にするのに十分な蒸発物の密度として、定義される。限界密度nは、レーザー波長λ(μm)に依存しており、式n=1.1×1021/λを参照して、数量化できる。好ましい1実施形態では、蒸発物の限界密度は、4×1021個の蒸発物/cmである。これらの蒸発物によるエネルギー吸収は、このレーザーフラックスが1010W/cmに近いかそれ以上のときに重要となるにすぎない。
【0038】
この限界密度領域でのレーザーエネルギーの入力は、「衝撃波」効果またはプラズマ波を生じ、これは、4πの立体角で拡大し、そしてレンズ14の光学焦点距離で集中する。この限界密度領域内で、この衝撃波の中心(すなわち、このレーザーの焦点)にある蒸発物は、そのレーザーのエネルギーを吸収し、そしてエネルギーが高くなる。この焦点を超えて通り過ぎる速くエネルギーの高い蒸発物は、この標的表面から離れる、この衝撃波の前端により加速される。この焦点に達しない遅くエネルギーの低い粒子は、それらのエネルギーが高くなるが、この衝撃波の後端により影響され、この標的表面に向かって押し戻される。
【0039】
この臨界点でのレーザー光線のフラックスは、好ましくは、1010ワット/cmであり、1014ワット/cmまでであり得る。本発明の特に好ましい実施形態では、このレーザー光線のフラックスは、1011ワット/cm程度である。
【0040】
このレーザー光線をプルームの限界密度領域に集中することにより、衝撃波が生じ、これは、速度フィルターとして、効果的に作用する。この限界密度領域に達するか通り過ぎるのに十分なエネルギーを有する粒子は、それらのエネルギーが高くされ、この基材に向かって加速されるのに対して、低エネルギーの遅い蒸発物は、この標的表面に向かって押し戻される。ダイヤモンド膜を製造するために、この基材を打つ蒸発物の速度は、好ましくは、3×10cm/s〜9×10cm/sの間である。特に好ましい速度は、5×10cm/sである。
【0041】
この実施形態の操作の一例では、標的表面17にあるレーザーフラックスは、1.5×10W/cmであり、そして標的表面17上のスポットの半径は、4.6×10−3cmであった。集束レンズ14は、15cmの焦点距離を有し、この焦点領域の中間点は、この標的表面から0.46mmであった。この限界密度領域にある蒸発物の密度は、4×1021個の蒸発物/cmであり、そしてレーザーフラックスは、1011W/cmに近かった。
【0042】
この焦点領域の長さ(L)は、以下のようにして計算できる:
L=0.414f.θ/D
ここで、fは、このレンズの焦点距離である;
θは、この光線の発散である;そして
Dは、このレンズにおける光線の直径である。
【0043】
短い焦点距離のレンズ(好ましくは、35cm未満)を使用すると、グラファイトの蒸発物に最適なレーザー光線フラックスを得ることができ、また、長い焦点距離のレンズと比較して、レーザープルーム18へのエネルギー入力の有効性を高めるために、レンズ14の焦点領域24にて、さらに強力な密度を与える。
【0044】
図3では、基材20上の蒸発物の蒸着を図示している。上記のように、レーザー光線12は、標的表面17の前で、短い距離で集中される。標的16は、その縦軸で回転されるグラファイト円筒である。
【0045】
レーザー光線12と標的表面17との相互作用により、基材20に向かって伝播する蒸発物のプルーム18が形成される。任意の遮蔽物または外力の影響なしで、基材20には、一定範囲の蒸発物が蒸着されるものの、本発明の他の実施形態では、必要に応じて、遮蔽物および外力が使用できる。運動が遅い(すなわち、低エネルギーの)蒸発物は、重く大きい微粒子であり、これらは、高品質薄膜の製造には望ましくないのに対して、単一の原子およびイオンは、比較的に速く運動していることが注目される。
【0046】
上記速度フィルター方法に加えて、基材20に蒸着される蒸発物の種類を制限するさらに別の方法は、この標的の縦軸で、特に高速で、標的16を回転することにある。この回転は、連続的なレーザーパルスが標的表面17上の同じスポットを打つのを避ける(クレーターの形成をなくす)だけでなく、これらの蒸発物に十分な速度成分を与える。切除した粒子の速度成分は、好ましくは、標的表面17に対して実質的に接線方向である。本発明の1実施形態では、この標的の回転速度は、10rev/分である。この回転速度により、10cm/s未満の速度を有する粒子が得られ、これらは、この基材から離れてそれている。この標的の回転速度は、好ましくは、2000rev/分より大きく、さらに好ましくは、5000rev/分より大きく、40,000rev/分までであり得る。
【0047】
標的16の回転速度は、この標的表面からの基材の距離に対応して調節できることが分かる。例えば、もし、この基材が標的に近いなら、この回転速度は、速くするべきである。
【0048】
図3で図示しているように、この速度成分は、速く運動している原子およびイオンに対してよりも、遅く運動している粒子に対して、効果が大きい。速い蒸発物の伝播方向は、トレース26で示され、すなわち、これらの蒸発物の方向は、接線速度成分には実質的に影響を受けない。遅い蒸発物のトレース28は、明らかに、この接線速度成分の効果を示す。これらの遅く運動している粒子は、それらの伝播方向からそらされ、そして基材20から離れて向けられる。望ましくない蒸発物が基材20上にそらされるのを防止するのを助けるために、基材20の一面には、必要に応じて、遮蔽物30が設置され得る。
【0049】
当業者は、この基材の方向で伝播している蒸発物の数が少なくなるので、その基材に蒸着される蒸発物の速度もまた遅くなることを理解している。好ましい蒸着速度は、0.5〜25Å/分の範囲であり、より好ましくは、2〜10Å/分であり、1実施形態では、この蒸着速度は、5Å/分である。通常の速度(例えば、0.8〜6Å/s)と比較して蒸着速度が遅いので、この基材において、さらに滑らかな材料層の形成を助けると考えられている。この蒸着速度は、このパルス繰り返し速度を速くすることにより、速くされ得る。
【0050】
この好ましい実施形態の方法を使用して、シリコン基材において、実質的に純粋なダイヤモンド(すなわち、sp結合した炭素)薄膜が容易に得られる。この膜は、sp結合粒子および汚染微粒子の両方を実質的に含まないか殆ど含まないようであった。
【0051】
本出願人が製造した薄膜は、1形式の合成ダイヤモンドとして、蒸着膜の化学的性質を確認するために、ラマン顕微分光法により検査される。これらの膜の1つのラマンスペクトルを、図4で示す。
【0052】
グラファイトのラマン強度は、ダイヤモンドについて測定したラマン強度よりも50倍以上高い(これは、785nmの波長を使用する)ので、そのラマンスペクトルは、薄膜でのグラファイトの存在を検出する非常に有効な手段である。本明細書で報告されたスペクトルについて、それらの基材は、石英およびSi(100)ウエハであった。
【0053】
そのsp振動モードは、1100cm−1近くを中心として広い範囲で広がることが分かったのに対して、そのsp部位は、1600cm−1より上の振動周波数を示した。図4のスペクトルに対して、炭素の黒鉛化は示されなかった。単一の宝石ダイヤモンド結晶の1333cm−1に中心がある特徴的で強力なラマンピークは、観察されなかったが、この1つの理由は、観察されるはずの膜上のダイヤモンドが、ナノメートルの大きさであったからである。前記の特徴的なピークが観察されなかった第二の理由は、この膜の厚さが、マイクロプローブの厚さの少なくとも5分の1であったことにあった。
【0054】
同じ試料の表面形態を観察するために、原子間力顕微鏡(AFM)もまた使用した。そのシリコン基材は、顆粒が小さい多結晶の連続膜で覆われていることが観察された。この試料表面で見られる最も高い結晶特徴は、高さが70nmであった。厚さ200nmの膜について、15nmの平均表面粗さが得られた。AFMはまた、この膜の導電率を検査するのにも使用した。その電流のAFM画像によれば、この膜は、完全に非導電性であることが分かった。
【0055】
上記方法が、ダイヤモンド薄膜の製造には限定されず、レーザー切除および蒸着技術による他の高品質薄膜の製造でも用途があることは、当業者に理解されている。例えば、上記実施形態では、本発明の方法局面は、真空中で行われるように記述されているものの、本発明の方法はまた、窒化物膜を製造するために窒素雰囲気で、または2種またはそれ以上の周囲の気体または導入した気体の1種またはそれらの種々の組合せの存在下にて、行われ得る。また、他の基材材料が使用され得、これには、例えば、プラスチック、ガラス、石英および鋼鉄が挙げられることが分かる。
【0056】
本発明の上記実施形態は、円筒形の均質なグラファイト標的(これは、その縦軸で回転される)を使用したものの、所望の組成を有する薄膜を製造するために、本発明の方法により、他の標的形状および標的材料が使用され得る。例えば、この標的は、1種の材料または複数の材料の複合材料から全て作製した長方形スラブであり得る。複合材料標的は、例えば、グラファイト、銅およびニッケルの層を有し得るか、または円筒形標的の場合、その標的は、異なる材料に分割され得る。
【0057】
この標的が複数の材料から構成される場合、そのレーザー光線は、各材料の各個の表面を横切って走査され得、その工程において、各材料から、蒸発物のプルームを生成する。同様に、このレーザー光線は、その標的を走査している間、固定して保持され得る。
【0058】
当業者はまた、本発明の上記記述が単一レーザーの使用に向けられているものの、本発明の方法はまた、2本またはそれ以上のレーザーを使用して実行できるか、または1本のレーザーが複数の光線成分に分割できることを理解している。2本のレーザー光線を使用する場合、1本のレーザー光線は、その標的表面から材料を切除するのに使用できるのに対して、第二レーザー光線は、そのプルーム内に集中でき、上記のように、このプルーム内で蒸発物にエネルギーを加えるのに使用できる。
【0059】
複数のレーザー光線はまた、多成分標的を用いるときに使用でき、これらのレーザー光線の各々は、各個の材料表面上に向けられる。複数のレーザー光線が多成分標的で使用される実施形態では、各光線のレーザーフラックスは、その標的の各個の成分に適するように選択され得る。
【0060】
本明細書中で開示され規定された発明は、本文または図面で述べられているかそれらから明らかな個々の特徴の2つまたはそれ以上の全ての代替的組合せにまで拡張されることが分かる。これらの異なる組合せの全ては、本発明の種々の代替局面を構成する。
【図面の簡単な説明】
さて、本発明は、添付の図面を参照して、例としてのみ、記述されている。
【図1】
図1は、本発明の実施形態に従ったPLD配列の線図である。
【図2】
図2は、図1の焦点領域およびレーザープルームの拡大線図である。
【図3】
図3は、回転している標的表面を使用して標的表面から切除された蒸発物の速度フィルターを図示している。
【図4】
図4は、本発明の実施形態の方法を使用して得られた薄膜のラマンスペクトルである。

Claims (30)

  1. 基材に薄膜を蒸着する方法であって、該方法は、以下の工程:
    標的表面をレーザー切除して、該標的表面から離れる伝播方向に広がる蒸発物のプルームを作製する工程;および
    該プルーム内の蒸発物が該基材に蒸着されるように、該プルームの該伝播方向に該基材を位置付ける工程、
    を包含し、
    ここで、該標的表面の前の有限距離にレーザー光線が集中されて、該集中から生じる該光線の最小断面が該プルーム内に位置付けられ、それにより、増加されたエネルギーが該プルーム内の該蒸発物に与えられる、
    方法。
  2. 前記標的表面の前記レーザー切除が、前記レーザー光線により行われる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記プルームが、(本明細書中で定義した)限界密度の領域を含み、そして前記レーザー光線が、該限界密度領域内で集中される、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記プルーム中で衝撃波が生じる、請求項3に記載の方法。
  5. 所定時間で前記限界密度領域を超えて伝播した前記プルーム内の蒸発物が、前記衝撃波により、前記基材に向かって加速される一方で、該所定時間で該限界密度領域を超えて伝播しなかった該プルーム内の蒸発物が、該衝撃波により、前記標的表面に向かって加速される、請求項3または4に記載の方法。
  6. 前記レーザー光線の前記最小断面が、該レーザー光線の焦点領域の実質的に全体を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記レーザー光線が、第二レーザー光線であり、そして前記レーザー切除が、第一レーザー光線により行われる、請求項1に記載の方法。
  8. 前記蒸発物に所定速度成分を与え、それにより、前記プルーム内をより遅く運動する蒸発物が、該速度成分により前記伝播方向からそらされるようにし、そして該より遅く運動する蒸発物が、前記基材に蒸着するのを妨げられるようにする工程をさらに包含する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記所定速度成分が、前記標的の運動により与えられる、請求項8に記載の方法。
  10. 前記標的が、円筒形標的であり、そして該標的の運動が、該円筒形標的の高速回転を包含する、請求項9に記載の方法。
  11. 前記所定速度成分が、前記標的表面に対して実質的に接線方向にある、請求項8〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 基材に薄膜を蒸着する方法であって、該方法は、以下の工程:
    標的表面をレーザー切除して、該標的表面から離れる伝播方向に広がる蒸発物のプルームを作製する工程であって、該蒸発物は、該プルーム内で一定速度範囲を有する、工程;
    該標的表面の前の有限距離でレーザー光線を集中して、該集中から生じる該光線の最小断面を該プルーム内に位置付けるようにし、それにより、増加されたエネルギーを該プルーム内の該蒸発物に与える、工程;
    該プルームの該伝播方向に該基材を位置付ける工程;および
    該蒸発物に所定速度成分を与える工程;
    を包含し、
    ここで、該基材は、該標的表面から所定距離にて位置付けられ、それにより、該プルーム内をより遅く運動する蒸発物が、該速度成分により該伝播方向からそらされるようにされ、そして該より遅く運動する蒸発物が、該基材に蒸着するのを妨げられるようにされる、
    方法。
  13. 前記標的表面の前記レーザー切除が、前記レーザー光線により行われる、請求項12に記載の方法。
  14. 前記プルームが、(本明細書中で定義した)限界密度の領域を含み、そして前記第二レーザー光線が、該限界密度領域内で集中される、請求項12または13に記載の方法。
  15. 前記プルームで衝撃波が生じる、請求項14に記載の方法。
  16. 所定時間で前記限界密度領域を超えて伝播した前記プルーム内の蒸発物が、前記衝撃波により、前記基材に向かって加速される一方で、該所定時間で該限界密度領域を超えて伝播しなかった該プルーム内の蒸発物が、該衝撃波により、前記標的表面に向かって加速される、請求項14または15に記載の方法。
  17. 前記レーザー光線が、第二レーザー光線であり、そして前記レーザー切除が、第一レーザー光線により行われる、請求項12に記載の方法。
  18. 前記速度成分が、前記標的の運動により与えられる、請求項12〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 前記標的が、円筒形標的であり、そして該標的の運動が、該円筒形標的の高速回転を包含する、請求項18に記載の方法。
  20. 前記速度成分が、前記標的表面に対して、実質的に接線方向にある、請求項18または19に記載の方法。
  21. 基材に薄膜を蒸着する方法であって、該方法は、以下の工程:
    標的をレーザー切除して、該標的表面から離れる伝播方向に広がる蒸発物のプルームを作製する工程であって、該蒸発物は、該プルーム内で一定速度範囲を有する、工程;
    該プルームの該伝播方向に該基材を位置付ける工程;および
    該蒸発物に所定速度成分を与える工程;
    を包含し、
    ここで、該基材は、該標的表面から所定距離に位置付けられ、それにより、該プルーム内をより遅く運動する蒸発物が、該所定速度成分により該伝播方向からそらされるようにされ、そして該より遅く運動する蒸発物が、該基材に蒸着するのを妨げられるようにされる、
    方法。
  22. 標的をレーザー切除して蒸発物の蒸着プルームを形成することにより基材に薄膜を形成する方法であって、ここで、該プルーム中の最高密度の領域にあるレーザー光線フラックスは、該蒸発物による有効なエネルギー吸収を得るように調整され、それにより、該蒸発物は、該基材に蒸着するのに十分なエネルギーを得るようになり;該基材は、所定範囲外のエネルギーレベルを有する蒸発物が該基材に蒸着しないように、位置付けられる、
    方法。
  23. 前記レーザー光線が、前記プルーム中の最高密度領域で集中される、請求項22に記載の方法。
  24. 請求項1〜23のいずれか1項に記載の方法によりその上に薄膜を蒸着された、基材。
  25. 前記薄膜が、ダイヤモンド膜である、請求項24に記載の基材。
  26. 請求項1〜23のいずれか1項に記載の方法により製造された、ダイヤモンド膜。
  27. 基材に薄膜を蒸着するための装置であって、
    標的材料と;
    該標的から材料をレーザー切除しそして切除した材料のプルームを作製するために、該標的材料上に向けられたレーザー手段と;
    基材手段であって、薄膜が該基材上に蒸着されるように、該プルームの伝播方向に配置されている、基材手段と;
    を備える、装置。
  28. 前記プルーム内にレーザー光線を集中させるための手段をさらに備える、請求項27に記載の装置。
  29. 前記蒸発物に速度成分を与えるための手段をさらに備える、請求項27または請求項28に記載の装置。
  30. 前記速度成分を与えるための手段が、前記標的を回転させるための手段を含む、請求項29に記載の装置。
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