JP4500941B2 - クラスター膜製造方法および製造装置 - Google Patents
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Description
に用いられ、レーザアブレーションによってクラスター膜を製造するクラスター膜製造方
法および製造装置に関する。
化により材料の性質が変わり、ナノエレクトロニクス、光エレクトロニクス、バイオテク
ノロジ等の多くの分野への応用が期待されるからである。そうした中で固体材料からのク
ラスター生成装置としては、パルスレーザをターゲット材料に照射し、発生した蒸発原子
を不活性ガス中でクラスターに成長させ、不活性ガス源と真空との圧力差による流れによ
って、クラスタービームを作り出す手法が採られているものがある。しかしながら、この
手法では、クラスター寸法を均一に出来ない欠点があった。
れている。この改良装置の動作原理を図7に示す。まず、A点に設置されたターゲット材
料1にレーザビーム2を照射し、材料原子の蒸気3を発生せしめる。この材料蒸気の蒸気
圧が、その前面に存在する不活性ガス、例えばHeガスに衝撃を与えて、衝撃波4を作り
、この衝撃波はクラスター生成容器5に反射して、B領域に焦点を結ぶように集まってく
る。その時点で材料原子の蒸気3は丁度B領域に到達し、反射して集まってきた不活性ガ
スに閉じ込められ、材料原子が結合しクラスター6を形成する。この方法で数nmの微細
で寸法の揃ったクラスターが作成されることの可能性は、非特許文献1で実験的に確認さ
れている。
て、単位時間に製作される膜の延べ面積が出来るだけ大きいことが望まれる。また、LS
I製造の例で見られるとおり、膜を適用する製品のコスト低減のために基板を大型化して
量産効率を上げるなど、広い面積への膜の適用が要求される場合が多い。
図7に示した従来の改良型装置の膜生成は、図8に示す通りクラスター生成容器5の容
器窓7から流出したクラスター群をスキマー8を通過させて基板9に垂直に衝突させてク
ラスター膜10を形成する。従って膜生成の速度は、容器窓の面積とそこから流出するク
ラスターの密度とで決まる。しかし、現状では膜生成速度は、非常に遅く、この膜を適用
する多くの製品の必要とする条件を満たしていないのが現状である。そこで、上記改良型
装置の特徴である生成クラスター寸法の均一性と欠陥の少ない高品質を保ちつつ、且つ、
装置のクラスター生成量を増加させる必要がある。
子の蒸発量を増やす手段が考えられる。その際、材料蒸気により発生する不活性ガスの強
い衝撃波が材料蒸気を囲い込み、大量のクラスターを生成させなければならない。従って
、レーザビームの照射面からの材料原子の蒸発、および不活性ガス衝撃波の発生の効率を
上げることが必要である。
気の他に材料の塊が飛び出す現象が増大するので、これを取り除く必要がある。
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであって、生成クラスター寸法の均一性
と欠陥の少ない高品質を保ちつつ、且つ、装置のクラスター生成量を増加させることがで
きるクラスター膜製造方法および製造装置を提供することを目的としている。
の発生の効率を上げることができるクラスター膜製造方法および製造装置を提供すること
を目的としている。
本発明はまた、レーザビームの照射強度を高めることに伴って、材料固体ターゲッット
から材料蒸気の他に材料の塊が飛び出す現象を回避することができるクラスター膜製造方
法および製造装置を提供することを目的としている。
たしたクラスター生成空間において、レーザビームを材料の固体ターゲットに照射し、蒸
発し膨張する材料蒸気が不活性ガスの衝撃波を発生させ、該衝撃波が該クラスター生成空
間を形成するクラスター生成容器の壁で反射し、膨張し進行してきた材料蒸気を囲い込む
ことで材料分子もしくは原子同士の結合が起こりクラスター群を生成させ、生成したクラ
スター群を該クラスター生成容器の容器窓から流出せしめ、所定の基板上に散布してクラ
スター膜を生成するクラスター膜製造方法において、照射ビームエネルギー強度増大に対
応して、該材料蒸気の発生量の獲得と、該衝撃波の強度の獲得との両立を条件として、該
ターゲット面での該パルスレーザビームの各照射面内の照射量分布を設定すべく、該レー
ザビームの集束点からずらした位置に配置したターゲット・システムの設定と、レーザビ
ーム系システムの設定をおこなったことを特徴とする。
ここで、ターゲット・システムとは、ターゲットの構造体とこれを移動させる仕組みと
を併せたものを表すものであり、レーザビーム系システムとは、レーザ光源と該レーザ光
源から該材料ターゲットでの照射面に至るレーザビームの光学系システムを併せたものを
表すものである。
け、照射面積を拡大することで、照射面積当りの該レーザビームのエネルギーを調整する
ことにより、該レーザビーム照射時の該ターゲット表面層の温度が必要以上に高温になる
ことを回避し、効率的に多くの材料原子を蒸発させるものであり、また照射面に於ける照
射エネルギー分布を調整することにより発生した材料蒸気が不活性ガスの大きな衝撃波を
発生させるものであり、これにより、より多くのクラスター群を生成させることができる
。従って、レーザビームのビーム強度を単純に強めた場合に発生する問題、すなわち、材
料ターゲットに集中的に供給される高いエネルギーのために、材料が瞬間に部分的に融け
、例えば突沸などによりターゲット材料が蒸気にならずに液状のままで飛散して飛沫が発
生することでターゲット材料の過剰な損耗により蒸気生成効率が低下し、制御されたクラ
スターの生成効率が著しく低下する困難な状態が発生することも避けることができる。
ザビームの前記ターゲットへの照射面におけるビーム断面強度分布が、中央部分強度が周
辺部分強度より強い凸型の分布になるように調整したことを特徴とする。
この構成によれば、凸型のビーム断面強度分布を示すようなレーザビーム・システムを
用いることにより、強い衝撃波を発生させることができる。すなわち、レーザビーム断面
強度分布が材料原子蒸発の様態に影響し、不活性ガスの衝撃波の発生に強く作用する。レ
ーザビームが集束点を経た後ビームが広がった地点での断面のビーム断面強度分布は単な
るシングルモード型レーザの場合、ニアフィールドからニアフィールドとファーフィール
ドとの中間距離の位置においては、この距離が最も利用頻度が多いにも拘らず、本来のガ
ウシャン分布を示さず、逆に照射面の中央部が弱く、周辺部が強い凹型のビーム強度分布
を示すことになる。これでは発生した材料原子の蒸気が周囲にある不活性ガスに強い衝撃
波を起こさせることが出来ないことが実験的に分かっている。このため、レーザビーム照
射面でのビーム断面強度分布の条件を与えることにより、この問題を解決した。
ザビームの光源としてマルチモード型レーザの出力ビームを適用したことを特徴とする。
この構成によれば、シングルモード型レーザの代わりにマルチモード型レーザの出力を
用いることにより、上述した凸型のビーム断面強度分布、あるいは平坦的なビーム断面強
度分布を示すようなレーザビーム強度分布が得られ、強い衝撃波を発生させることができ
る。
ザビームの集束点を形成する方法として、レーザビーム径を一旦拡大したのち、緩やかな
角度でレーザビームを集束して集束点を形成することを特徴とする。
この構成によれば、請求項3記載にあるマルチモード型レーザの出力により得られる凸
型のビーム断面強度分布、あるいは平坦的なビーム断面強度分布を、ニアフィールドとフ
ァーフィールドとの中間距離に位置するターゲット上に再現することが可能になる。
球面レンズが持つ焦点距離にレーザビームの集束点が形成されるとは限らない。レーザで
発生した光ビームは完全な平行ビームではなく、一定の広がり角度をもち、凸型球面レン
ズが持つ焦点距離よりも一般には遠方に集束点を形成する。レーザビームは、時として水
平方向と垂直方向とではその広がり角度が異なる場合があり、凸型球面レンズが形成する
集束点は水平方向と垂直方向とでその位置が異なり、レーザビームの集束点のぼやけが生
じる。集束点を通過後のビーム断面強度分布は水平成分と垂直成分のバランスが崩れた形
状や、ビーム断面の中心から偏った位置にビーム断面強度分布のピークを示すなどビーム
断面強度分布の均一性が損なわれる。
形成する場合、拡がったレーザビームではビーム断面の中心付近と外側付近とでは凸型球
面レンズを透過する部位の厚さが大幅に異なるため収差を生じ、レーザビームの集束点の
ぼやけが生じ、集束点を通過後のビーム断面強度分布の均一性が損なわれる。
従って、ターゲット材料蒸気の効率の良い発生には、レーザビームの広がり角度は水平
方向と垂直方向とで同じ大きさをもち、且つ成るべく小さくなるようにレーザを調整する
必要があり、また、集束レンズは光が透過する部位の厚さによる収差が生じない形状が望
ましい。
ゲット上のレーザビーム照射面を高速移動させることにより、該ターゲット上の同一領域
へのレーザビームの連続照射回数を制限したことを特徴とする。
この構成によれば、ターゲットのレーザビーム照射領域を高速に移動させ、同一領域へ
のパルスビームの連続照射の回数を制限し、レーザビーム照射時のターゲット表面の溶融
状態に制限を加えることにより、ターゲットの表面の液状化による液飛沫が発生せず、ク
ラスター群への異物の混入を防ぎ、高品質なクラスター群を生成することができる。レー
ザビームの照射強度を高めることに伴って液状飛沫が増加する現象は、高速パルスレーザ
ビームの照射に伴い、レーザビーム照射領域のターゲット表面層が短時間に溶融され、不
安定な過熱状態になると後続ビーム照射時の刺激により爆発的な気化が起こり、溶融状態
の材料を飛散させる現象と考えられる。従ってレーザビームの照射面積を拡大して照射面
積当りの該レーザビームのエネルギーを調整することと同時に、レーザビーム照射領域へ
のパルスレーザビームの連続照射回数を制限し、ターゲット表面層の溶融の継続を抑える
ことで、液状飛沫の発生を抑えることができる。
空間において、レーザビームを材料の固体ターゲットに照射し、蒸発し膨張する材料蒸気
が不活性ガスの衝撃波を発生させ、該衝撃波が該クラスター生成空間を形成するクラスタ
ー生成容器の壁で反射し、膨張し進行してきた材料蒸気を囲い込むことで材料分子もしく
は原子同士の結合が起こり、クラスター群を生成させ、生成したクラスター群を該クラス
ター生成容器の容器窓から流出せしめ、所定の基板上に散布してクラスター膜を生成する
クラスター膜製造装置において、照射ビームエネルギー強度増大に対応して、該材料蒸気
の発生量の獲得と、該衝撃波の強度の獲得との両立を条件として、該ターゲット面での該
パルスレーザビームの各照射面内の照射量分布を設定せしめる、該レーザビームの集束点
からずらした位置に配置したターゲット・システムとレーザビーム系システムとを備えた
ことを特徴とする。
け、照射面積を拡大することで、照射面積当りの該レーザビームのエネルギーを調整する
ことにより、該レーザビーム照射時の該ターゲット表面層の温度が必要以上に高温になる
ことを回避し、効率的に多くの材料原子を蒸発させるものであり、また照射面に於ける照
射エネルギー分布を調整することにより発生した材料蒸気が不活性ガスの大きな衝撃波を
発生させることにより、より多くのクラスター群を生成させることができる。従って、レ
ーザビームのビーム強度を単純に強めた場合に発生する問題、すなわち、材料ターゲット
に集中的に供給される高いエネルギーのために、材料が瞬間に部分的に融け、例えば突沸
などによりターゲット材料が蒸気にならずに液状のままで飛散して飛沫が発生することで
ターゲット材料の過剰な損耗により蒸気生成効率が低下し、制御されたクラスターの生成
効率が著しく低下する困難な状態が発生することを避けることができる。
大きくし、且つ、効率よく大量の材料蒸発原子を発生させることができ、これにより不活
性ガスの強い衝撃波を発生することができ、且つ、凸型または平坦なレーザビーム強度分
布を得ることにより、大量に発生した材料蒸発原子を閉じ込めて、大量のクラスター群を
生成すると同時に、強力なレーザビームのターゲット照射により発生する材料の液状飛沫
発生を抑え、生成されたクラスター群を容器窓から基板に向けて流出せしめることで、ク
ラスター生成の高速化を実現できるという効果がある。
る。
[第1実施形態]
まず、図1および図2を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るクラスター膜製造方法におけるレーザビームの照
射位置を示す斜視図である。
本実施形態では、不活性ガスを満たしたクラスター生成空間において、レーザビーム2
の集束点をターゲット1からずらした位置に設定するか、またはターゲット1をレーザビ
ーム2の集束点からずらした位置に配置して、ターゲット1へのレーザビーム2の照射面
積を拡大するように、レーザビーム2を材料の固体ターゲット1に照射し、蒸発し膨張す
る材料蒸気が不活性ガスの衝撃波を発生させ、該衝撃波が該クラスター生成空間を形成す
るクラスター生成容器の壁で反射し、膨張し進行してきた材料蒸気を囲い込むことで材料
分子もしくは原子同士の結合が起こりクラスター群を生成させ、生成したクラスター群を
該クラスター生成容器の容器窓から流出せしめ、所定の基板上に散布してクラスター膜を
生成する。
ときのレーザビーム2の焦点を11、ターゲット1上の照射領域(照射面)を12、衝撃
波の進行方向を4とする。レーザビーム2を、その焦点11をターゲット1からずらした
地点でターゲット1に照射することにより、照射領域12の面積を拡大することができる
。なお、ターゲット1の位置は、同図に示すように、焦点11の後方(レーザビームから
遠い位置)にずらす場合と、焦点11の前方(レーザビームに近い位置)にずらす場合が
ありうるが、同図に示すような、焦点11の後方に配置する場合は、前方に配置する場合
に比較して、レーザビーム2をクラスター生成容器に導入する通路を細くすることができ
、また、焦点11と照射領域12との間の距離を離せば照射領域12の面積を大きくする
ことが可能となる。一例を挙げれば、ビーム集束点である焦点11と照射領域12との間
の距離が72mmの場合、照射領域12の直径は3.5mmとなる。一方、照射面を焦点
11の前方に配置する場合、レーザビーム2をクラスター生成容器に導入する通路を太く
する必要があるが、通路でクラスター生成容器5の内外を仕切る容器窓を通過するレーザ
ビーム2のエネルギー密度はその分低下しており、容器窓での発熱は分散されるという利
点もある。
面強度分布による衝撃波の発生の様子を示す模式図である。図2(a)は凹型のビーム断
面強度分布、図2(b)は凸型のビーム断面強度分布を示す。
この図は、ビーム断面強度分布による蒸発原子ガスの膨張の形態と、それにより発生す
る不活性ガスの衝撃波の発生の様子を模式的に示している。図2(a),(b)は夫々、
レーザビーム照射面12から蒸発した材料蒸気3a,3bが不活性ガスを圧縮してその衝
撃波13a,13bを発生させ、衝撃波13a,13bが矢印4a,4bの方向に進行す
ることになる。これにより、レーザビーム照射面12におけるビーム強度分布についての
条件を設定することができる。すなわち、レーザビーム2のターゲット1への照射面にお
けるビーム強度分布が、中央部分強度が周辺部分強度に等しい平型、または中央部分強度
が周辺部分強度より強い凸型の分布になるように調整する。
、周囲部分で強くなっている。このため、不活性ガスに与える圧力は分散し、衝撃波13
aも矢印4aに示す方向に周辺部分に分散して発生し、まとまった衝撃波13aは発生し
難いことが分かる。一方、図2(b)の場合は、凸型のビーム断面強度分布の場合であり
、照射面12の中心付近からまとまった形で蒸気3bの膨張が起こり、強い衝撃波13b
が矢印4bに示す方向に発生する。また、このようなまとまった形での蒸気3bの膨張に
よる強い衝撃波13bは、平坦なビーム断面強度分布の場合も同様に発生する。
次に、図3および図4を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
図3は、本発明の第2実施形態に係るレーザビームの照射面のビーム強度分布の観測結
果の一例である。図3(a)はシングルモード型レーザの場合の照射面、図3(b)はマ
ルチモード型レーザの場合の照射面、図3(c)は、マルチモード型レーザの場合の縦横
の断面でのビーム強度分布を示す。
この例では、上述した凸形のレーザビーム断面強度分布を実現する手段の一つとして、
レーザ光源に一般的なシングルモード型レーザを用いる代わりにマルチモード型レーザを
用いる。
幅器を通してパルス当り1500mJのエネルギーを持つビームを生成し、LBO結晶の
倍波高調生成器を透過して波長532nm、エネルギー800mJ、パルス幅12nsか
ら13ns、ビーム径6mmのビームを生成する。焦点距離−70mmの球面凹レンズと
焦点距離400mmの球面凸レンズとを組み合わせたテレスコープレンズ群により、ビー
ム径を一旦50mmにまで広げる。2台の45°反射ミラーで90度に反射してクラスタ
ー生成システムに設けた光入射窓の光軸にレーザビーム入射軸を合わせた後、焦点距離1
500mmの球面凸レンズにてクラスター生成容器の壁に設けた微細孔に集束し、ターゲ
ット材料表面に照射する。ビーム断面の強度分は、ビームが焦点距離1500mmの球面
凸レンズを透過した後、部分透過ミラーで必要な光量のビームを90度に反射して取り出
し、ビーム集束位置およびターゲット設置相当距離に強度分測定器を設置してビーム断面
の強度分布を測定する。図3はその得られたビーム断面の強度分布である。
合の利点について説明する。図3(a)に示すように、シングルモード型レーザの場合は
、中央部の強度は弱く、周辺部に強度が大きい部分がある。これに対して、図3(b)に
示すように、マルチモード型レーザを用いた場合は、中央部の強度が周辺部に比べて強く
なっていることが分かる。また、図3(c)に示すように、図3(b)のマルチモード型
レーザを用いた場合の縦、横の断面でのビーム強度分布は、共に中央部にビームが集中す
る凸型のビーム強度分布となっている。なお、図の横軸は、中央を0とした距離を示し、
縦軸はビーム強度を示している。また、図の実線は縦軸での断面、図の点線は横軸での断
面におけるビーム強度分布を示している。
なお、マルチモード型レーザを用いずに、シングルモード型レーザの出力ビームを、光
学素子による光の回折と位相変化を使ってビーム整形することにより、照射面でのビーム
強度分布を均一あるいは凸型に近づけることも可能である。
いて横長の窓を通して観察した結果を示す図である。図4(a)は凹型のビーム断面強度
分布の場合であり、図4(b)は凸型のビーム断面強度分布の場合を示す。
この例では、不活性ガスとしてHeガスを用い、その圧力PHe=3850Paとして、
所定の時間nsにおける蒸気波面の様子と、ターゲット材料1からの距離をmm単位で示
したものである。図4(a)に示すように、凹型ビーム断面強度分布の場合は、蒸気波面
の波形が分裂して乱れ、直進性が見られず、種々の方向に分散していることが分かる。特
に、ターゲット材料1からの距離が伸びず、Heガスに対して強い圧力を加えつつ前進す
る様子が見えず、ターゲット材料1の近傍にとどまっていることが分かる。これに対して
、図4(b)に示すように、凸型ビーム断面強度分布の場合は、蒸気波面がまとまった状
態で、直進し、ターゲット材料1からの距離も大きくなり、ターゲットから遠い位置で衝
撃波を集束することができる。
次に、図5および図6を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。
この例では、レーザビーム照射により材料ターゲットに表面から飛び出すターゲット材
料の液状飛沫の発生を抑えることを目的としている。ターゲット材料の形状の例を挙げれ
ば、図1のターゲット1に示すように円板形状とし、円板をその中心軸の周りに回転させ
る仕組みとなっている。この回転は、レーザビーム2によるターゲット材料1の蒸発で照
射面が削れるので、円板を回転させて、照射面を移動し、広い範囲にわたって照射面12
を常に同一の平面に保つためである。
面12を円板を基準にして表している。この例では、ターゲット材料1の円板の回転によ
り、時間と共に照射面は円板表面を図5の矢印18のように変化する。一方、パルスビー
ムは毎秒20回の割合で照射を繰り返している。従って、照射領域12に着目すれば照射
面12から照射面14に移るまでの間多くの回数照射を続けられていることになる。その
際、同一表面の連続照射で表面材料の溶融が進行し材料の液状飛沫が発生すると考えられ
るので、円板の回転速度を高めるか、円板の半径を大きくして、照射面の移動速度を大き
くし、ターゲット材料1の表面の溶融が進まないようにする必要がある。一方、回転速度
を高め過ぎて照射繰り返し速度と一致させれば、円板が1回転してまた同じ照射面に次の
ビームが照射されることになり、やはり表面材料の溶融問題は解決されない。更にまた、
材料原子蒸発の効率の観点から、同一領域への多少の繰り返し照射はあってもよいと考え
られる。以上のことから、本実施形態においては、ターゲット円板の低速回転および高速
回転の溶融条件を考慮してビーム照射による溶液飛沫が発生しない範囲にターゲット円板
の回転速度を制御する。
示す平面図である。この図は、基板9に堆積されたクラスター膜10の表面に、異物15
として材料の液状飛沫の飛来があった場合の表面の様子を模式的に表現している。このよ
うな飛沫の飛来をモニターすることによりターゲットの回転速度の最適点を求めることが
可能である。
ット照射領域12の面積を大きくし、材料蒸気の発生効率を高め、不活性ガスの強い衝撃
波14を発生することができ、これにより大量に発生した材料の蒸気を閉じ込めて、大量
のクラスター群6を生成すると同時に、強力なレーザビームのターゲット照射により発生
する材料の液状飛沫発生を抑え、生成されたクラスター群を容器窓7から基板に向けて放
出することで、クラスター膜生成の高速化を実現することが可能となる。
ず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、上述した実施形態においては、ターゲットを回転させることにより、照射領域
の面積を大きくしたが、これに限定されず、ターゲットの半径方向への移動を行うことに
より、回転と移動とを同時に行うことにより、あるいはレーザビームの集束点の方を移動
させることにより、ターゲットの照射領域をより増大することもできる。
れに限定されず、矩形等種々の形状のターゲットを種々の方向に移動させることもできる
。
また、上述した実施形態においては、レーザビームの照射を前提として説明したが、こ
れに限定されず、種々の光波を照射する場合にも適用できる。
また、上述した実施形態においては、基板上にクラスター膜を生成する方法について説
明したが、これに限定されず、基板以外の他の種々の電子機器上にクラスター膜を生成す
ることもできる。
方向、5…クラスター生成容器、6…クラスター群、7…容器窓、8…スキマー、9…基
板、10…クラスター膜、11…ビーム集束点、12,14…照射領域、13,13a,1
3b…衝撃波、15…異物、16…回転軌道、18…移動方向
Claims (5)
- 不活性ガスを満たしたクラスター生成空間において、パルスレーザビームを材料の固体ターゲットに照射し、ターゲットから発生するターゲット材料蒸気が不活性ガスの衝撃波を発生させ、該衝撃波が該クラスター生成空間を形成するクラスター生成容器の壁で反射し、膨張し進行してきたターゲット材料蒸気を囲い込むことでターゲット材料分子もしくは原子同士の結合が起こりクラスター群を生成させ、生成したクラスター群を該クラスター生成容器の容器窓から流出せしめ、所定の基板上に散布してクラスター膜を生成するクラスター膜製造方法において、
前記パルスレーザビームの前記ターゲットへの照射面におけるビーム断面強度分布を、中央部分強度が周辺部分強度より強い凸型又は平坦な分布になるように調整し、かつ前記レーザビームの集束点からずらした位置にターゲットを配置することを特徴とするクラスター膜製造方法。 - 前記パルスレーザビームの光源としてマルチモード型レーザの出力ビームを適用したことを特徴とする請求項1記載のクラスター膜製造方法。
- 前記パルスレーザビームの集束点を形成する方法として、レーザビーム径を一旦拡大したのち、緩やかな角度でレーザビームを集束して集束点を形成することを特徴とする請求項1記載のクラスター膜製造方法。
- 前記ターゲット上のパルスレーザビーム照射面を高速移動させることにより、該ターゲット上の同一領域へのレーザビームの連続照射回数を制限したことを特徴とする請求項1記載のクラスター膜製造方法。
- 不活性ガスを満たしたクラスター生成空間において、パルスレーザビームを材料の固体ターゲットに照射し、ターゲットから発生するターゲット材料蒸気が不活性ガスの衝撃波を発生させ、該衝撃波が該クラスター生成空間を形成するクラスター生成容器の壁で反射し、膨張し進行してきたターゲット材料蒸気を囲い込むことでターゲット材料分子もしくは原子同士の結合が起こりクラスター群を生成させ、生成したクラスター群を該クラスター生成容器の容器窓から流出せしめ、所定の基板上に散布してクラスター膜を生成するクラスター膜製造装置において、
前記パルスレーザビームの前記ターゲットへの照射面におけるビーム断面強度分布を、中央部分強度が周辺部分強度より強い凸型又は平坦な分布になるように調整したレーザビーム系システムと、前記レーザビームの集束点からずらした位置にターゲットを配置したターゲットシステムとを備えたことを特徴とするクラスター膜製造装置。
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