JP2004501001A - 反転成型パネル - Google Patents

Abstract

【課題】羽目板パネルとして適し、上向きに輪郭形成した形状を設けるために反転成型されたファイバボード・パネルを提供する。
【解決手段】羽目板キットが複数の異なるサイズの反転成型パネル１２と、平坦な仕上げ用若しくはスペーサ用パネルとを有し、幅木と横木の間の壁全体を覆うことができる。予備プレスや他の予備成形ステップが不要で目の粗いセルロース・マットを単一ステップで反転成型して比較的高密度の盛り上がりパネル１２を作る方法であり、反転成型パネル１２は汎用的多開口ファイバボード・プレスで単一ステップで成型され、浮き出し加工忠実性に優れる。
【選択図】図２

Description

【０００１】
＜関連出願＞
本願は、２０００年４月２０日に出願された６０／１９８，７０９号の米国暫定出願を基礎とする出願である。
【０００２】
＜発明の分野＞
本発明は、反転成型（上向きの輪郭となるように成型）され、特に羽目板パネルの製造に有用であり、かつドア被覆すなわちドア表面として有用な木製複合製品に関し、さらに当該製品の平板基部から上向きに成型された上方傾斜した側面をもつ反転成型木製複合製品の製造方法に関する。特に、本発明の成型木製複合製品は、全乾燥繊維重量に基づいて好適には少なくとも約４０重量％のセルロース・ファイバ、好適には少なくとも約６０重量％のソフトウッド・ファイバ、及び、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂若しくは尿素ホルムアルデヒド樹脂等の天然若しくは合成のバインダの組合せを含むセルロース・マットから製造される。ソフトウッド・ファイバは、松かさを形成する木から作られる。例えばサザン・パイン等の全ての種類のパイン（松）材及びモミ材などである。セルロース・マットは、少なくとも約８０％の精製され繊維化されたセルロース・ファイバを含む。例えば、ハードボードを製造するために熱プレスされたファイバボード・マット等である。成型製品の上側面は、成形鋳型忠実性に優れ、滑らかな仕上げることも、家具グレードの天然木を真似て、例えばカシ等の硬い木の木目パターンを真似て浮き出し加工することもできる。製品は、セルロース・ファイバの平坦な層若しくはマットから成型することができる。例えば、湿式プロセス若しくは乾式プロセスのいずれかで作られるファイバボード・マット等である。乾式プロセスの方が好ましい。好適な実施例では、ファイバボード・マットが成型前に１〜３インチの厚さであり、成型後は１／８〜１／４インチの厚さであって共通平面内にある縦かまち及び横桟と、成型パネルを取り囲む背面とを具備することにより、共通面背面が壁若しくはドアの面に対して同一平面で接触することとなる。特に幅木と横木の間において、屋内建物壁のためのライニングとなる羽目板外側壁面として適応される。本発明の別の実施例においては、反転成型パネルがキットで製造され、壁の大きさに関係なく内側壁に完全に沿うように適応させた複数の異なるサイズのパネルを含む。
【０００３】
＜発明の背景＞
ハードボード等のファイバボードのような人口板は、通常、内側パネルや外側面の製造において、特に、ドア被覆の製造において、その意図的に目に見えるようにしている外側の主表面上で下向きに浮き出し加工される。それにより、縦かまちと横桟等のある外側表面が、その浮き出し加工された製品の最も高位置にある構造となる。従来技術では、ファイバボード・パネルを反転成型してファイバを引き伸ばし裂くことにより深い線を浮き出し加工することが困難であるとされている。反転成型されたファイバボードは、目に見える外側面の方がその内側面（盛り上がった型面と接する面）より引き伸ばされているので、天然木製品を真似た浮き出しパネルに鮮明で細かい精密デザインを設けようとする場合には、反転成型することがさらに困難となる。以下の米国特許に開示されているように、ファイバボード・パネルに対する反転成型と深い線の浮き出し加工は、一般的に１又は複数のプレス加工ステップ、高温での成型後硬化、外側面部分を箔若しくは高樹脂含有量とすること、及び／又は製品の約５〜２５重量％、好適には少なくとも１０重量％の高バインダ樹脂含有量とすることを必要とする。従来技術として、Ｇｅｉｍｅｒによる米国特許Ｎｏ．４，０６１，８１３、Ｋｉｓｓによる米国特許Ｎｏ．４，３７８，２６５、Ｍｕｎｋによる米国特許Ｎｏ．４，５５２，７９７、Ｎｉｓｈｉｂｏｒｉによる米国特許Ｎｏ．４，６１０，９００、Ｄａｖｉｓによる米国特許Ｎｏ．４，６１２，２２４、Ｓｃｈｕｌｔｚによる米国特許Ｎｏ．４，６２２，１９０、Ｓｃｈｕｌｔｓによる米国特許Ｎｏ．４，７２６，８８１、Ｄａｖｉｓによる米国特許Ｎｏ．４，７３４，２３６、Ｈａｎｓｅｎによる米国特許Ｎｏ．４，８１２，１８８、Ｐｅｒｓｓｏｎによる米国特許Ｎｏ．４，８４４，９６８、Ｄａｖｉｓによる米国特許Ｎｏ．４，８６５，７８８、Ｉｋｅｄａによる米国特許Ｎｏ．４，９６０，５４８、ＤｅＢｒｕｉｎｅによる米国特許Ｎｏ．４，９６０，５５３、Ｃｏｇｇａｎによる米国特許Ｎｏ．４，９６９，３０２、Ｉｍａｏによる米国特許Ｎｏ．５，０２８，３７４、Ｃｏｇｇａｎによる米国特許Ｎｏ．５，０９０，１７３、ＤｅＰｅｔｒｉｓによる米国特許Ｎｏ．５，１５４，９６８、Ｂａｃｈによる米国特許Ｎｏ．５，４４３，８９１、Ｔｅｒａｄａによる米国特許Ｎｏ．５，８５１，３２５、Ｒｕｇｇｉｅによる米国特許Ｎｏ．５，８８７，４０２がある。
【０００４】
当初例えば比重０．６であり１〜２インチの、好適には１と１／２若しくは１と３／４インチの層厚であるセルロース・ファイバ等の粗い目のマットを形成するために用いられるセルロース・ファイバは、ファイバーを乾燥しかつフェルト化した後に完全に乾かしてもよいが、このようなマット状態のセルロース・ファイバは空気から湿気を吸収するので、熱プレスを介して成型されたとき一般的に約２％〜１０％の水分を含む。もっとも、このようなマットが貯蔵されたり製造されたりする場所の周囲の湿度に依存する。
【０００５】
本発明の反転成型パネルは、特に羽目板パネルとして適している。このパネルは「上向きに輪郭を形成した」形状を設けるために反転成型される。反転成型手法では、パネルを直接壁へ取り付けることができる点で、従来の「シム・スペーサ」を必要とする方法（図６Ａ参照）と異なる。これにより、羽目板パネルの際立った美しさを併せもちながら、施工性が向上する。本物の木製羽目板の伝統的な処理は、極めて完成されたものであり非常に高価である。本物の木の多数の切片による木工製品の代わりに、石膏及びポリマーの材料が羽目板パネルへ加工されてきたが、あまり市場に受け入れられないものである。その理由の一つは、天然の木のような感触や見た目がないからである。現状では、本発明の原理により実現されるような、容易に適用される木製ファイバ複合体の反転成型羽目板材は存在しない。
【０００６】
＜発明の概要＞
概説すると、本発明は、反転成型されたファイバボード・パネルを提供するものであり、複数の異なるサイズの反転成型パネルを具備する羽目板キットと、平坦な仕上げ用若しくはスペーサ用パネルとを有し、壁の幅木と横木の間のいかなるサイズの壁も完全に覆うようになされている。本発明は、予備プレス若しくは削り落とし当の他の予備成形ステップを必要とせず、単一のプレスステップにより緩く目の粗いセルロース・マットを反転成型する方法を提供する。この反転成型パネルは、汎用的で、多開口のファイバボード・プレスにより、単一のプレスステッププロセスにより成型されながら、視覚的に認知されるようなファイバの割れ目もなく成型の細部まで良好な転写（浮き出し加工の忠実性）が実現される。このパネルは、箔、すなわち含浸紙被覆若しくは熱可塑性コーティング材を具備してもよいが、良好な浮き出し加工忠実性や外観を実現するために被覆や高樹脂含有量コーティングを必要とはしない。
【０００７】
好適な実施例においては、成型された目の粗いセルロース・マットが、乾式プロセスで製造されることにより、盛り上がり成型されたパネルの背面を取り囲む滑らかで平坦な背面を設けることができる。これは、湿式プロセスにより作製されるプレスされたマットから得られるスクリーン背面パターンとは異なる。反転成型され盛り上がったパネルデザインは、外側コーナーにおいてくっきりとした細部を具備する鮮明で細かい盛り上がった輪郭（上向きに輪郭を形成すること）を実現し、手作りの天然木製工芸品のような外観と感触をもたらすが、実際は反転成型された、高密度木製複合体材料であり、石膏壁板等の平面壁へ接着により固定可能である。
【０００８】
従って、本発明の一態様は、反転成型された木製複合体製品、及びその製品を製造する方法であり、この製品はセルロース・ファイバの目の粗いマット及びバインダから成型されることにより、製品が天然木製工芸品を模した上向きに盛り上がったパネルを具備する。
【０００９】
本発明の別の態様は、キット形態で反転成型された木製複合体製品、及びキット形態でその製品を製造する方法である。これにより、石膏壁板やしっくい壁等のいかなる平面へも製品を接着可能であり、壁の幅木と横木の間における壁全体の領域を充填することができる。その一方、反転成型され盛り上がったパネル上の鮮明で細かな外側コーナーを設けることができ、天然木の手作り工芸品を模すことができる。
【００１０】
本発明の別の態様は、異なる幅をもつ複数の反転成型された木製複合体製品と所望する幅に容易に切断できる平坦パネルとを具備する羽目板キットであり、壁の幅木と横木の間の壁全体を充填することができる。
【００１１】
本発明の更なる別の態様は、複数のプレスステップ、処理後の高温での成型硬化、又は箔若しくは高樹脂含有量（５〜２５％）の外側部分を必要とすることなく、単一のプレス操作により、外側コーナー及び輪郭形成部分における成型細部の正確な転写を実現した反転成型木製複合体製品である。
【００１２】
本発明の更なる態様は、合成ファイバ、スクリム表面、短長ファイバの層、樹脂含浸紙被覆、熱可塑性上塗り、又は成型前にマットをまとめて保持するためのニードル処理（針によるパンチング）を必要としないセルロース・マットから成型可能である反転成型された木製複合体製品である。
【００１３】
本発明の更なる態様は、反転成型された木製複合体製品であり、１又は複数の盛り上がったパネルを有し、各パネルは、高さ５〜１０ｍｍの中央に配置された長方形パネル部分を具備する。長方形パネル部分は、盛り上げられ成型された輪郭を形成された工芸デザインにより取り囲まれ、この輪郭形成部分は、複数の盛り上がった平坦な階段を具備し、これらの階段は丸みのある輪郭を具備して上方かつ内側へ向かって丸みのある頂点にて高密度となっている丸い頂点部分へと登っている。丸みのある頂点にて高密度となっていることにより、損傷と表面ファイバの割れを裂けることができる。さらに、この輪郭形成部分は、鮮明で細かい表面細部が設けられるような幾何学形状を有する。特に、単一プレス（成型）ステップにより外側コーナーにて工芸的形状が設けられると共に、盛り上がり成型された長方形の工芸的デザインの丸い頂点を除いて全体的に実質的に均一な密度とされる。
【００１４】
本発明の別の態様は、反転成型された木製複合体製品であり、単一のプレス（成型）操作により複数の部品からなる帯片に成型可能であり、成型後に別々の部品へ切断することができ、塗料や着色剤等の水ベース及び／又は溶剤ベースのコーティング材でコーティングすることができる。
【００１５】
本発明の更なる態様は、少なくとも２つの異なる盛り上がりパネル（窓）サイズ、少なくとも２つの異なる複合体製品幅を設けかつ幅の狭い複合体製品が小さい方の盛り上がりパネルの幅に比例している複数の反転成型木製複合体製品と、平坦スペーサパネルとを具備する羽目板キットである。これにより、複合体製品の組合せが、平坦スペーサ・パネルを内側壁コーナーにおけるサイズに切断することにより、チェアレールまでの全壁幅を覆うことによって幅木と横木の間の壁を完全に充填することができる。さらに特別には、このキットにおける好適な反転成型製品は、幅１２インチ、１６インチ及び４８インチで設けられる。１２インチと１６インチ幅の製品は異なるサイズの窓（盛り上がりパネル）をもち、４８インチ幅製品は１２インチ幅若しくは１６インチ幅の製品のいずれかに適合するサイズの３つの窓を有する。
【００１６】
本発明の更なる態様は、反転成型された木製複合体製品であり、長方形の盛り上がった工芸的デザインにより取り囲まれた中央の平坦な盛り上がり部分を具備する１又は複数の盛り上がりパネルを有する。この盛り上がりパネルは平坦な縦かまち及び横桟により取り囲まれ、盛り上がりパネルは、縫い付けや背面のやすりがけを介して取り囲んでいる平坦な縦かまち及び横桟から、すなわち周囲の平坦なベースから分離させることができる。それにより、分離されたパネルを建物ドア、キャビネット・ドア、シャッター、家具、書棚又は工芸壁へ接着でき、あるいは、さらに中央の平坦な盛り上がりパネル部分を取外すことにより枠材料として接着することもできる。
【００１７】
本発明の上記の及び他の態様及び利点は、図面を参照した以下の好適な実施例の詳細な説明から明らかとされるであろう。
【００１８】
＜図面の簡単な説明＞
図１は、下側の成型キャビティと上側の成型コアの間に置かれた目の粗い乾燥した複合体セルロース・マットの部分切欠き斜視図であり、プレス前において、成型キャビティの盛り上がりパネル輪郭に沿って十分に覆えるように緩い目の粗いマットであることを示している。
【００１９】
図２は、本発明の反転成型された羽目板木製複合体製品の部分切欠き斜視図であり、盛り上がりパネルの好適な幾何学形状を示している。
【００２０】
図３は、羽目板キットの構成部品の前面図であり、４つの異なる製品から構成され、３つの反転成型されたパネルと１つの平坦パネルとからなる。幅木と横木の間の壁を完全に充填することができ、一方、横木までの全壁を充填するようなサイズに平坦パネルを切断するのみである。
【００２１】
図４は、サイズを超える窓を収容する壁の部分の部分切欠き前面図であり、サイズを超える窓をもつ壁に対して図３のキットを適合させる１つの方法を示している。
【００２２】
図５は、本発明の反転成型された木製複合体製品の部分切欠き側面図であり、反転成型盛り上がりパネルデザインの側面を示している。
【００２３】
図６は、図７のライン６−６に沿った、幅木と横木の間の乾壁へ接着された本発明の木製複合体羽目板製品の側面図である。
【００２４】
図６Ａは、図６と同様の図であり、シム・スペーサにより乾壁へ固定された従来技術による羽目板製品を示している。
【００２５】
図７は、壁へ固定された本発明の木製複合体羽目板製品の前面図であり、羽目板製品を通して壁へ固定することができるスイッチ板の新規デザインを示している。電気差込口が盛り上がりパネルデザインの中にはめ込まれている。
【００２６】
＜好適な実施例の説明＞
図面に示される好適例において、本発明の成型木製複合体製品は、図２に示すように硬い天然木製羽目板工芸品を模すために、壁の幅木と横木の間の平坦な内側壁へ接着される羽目板パネルの形態で成型される。しかしながら、本発明の原理は、羽目板の製造にとどまらず、ドア若しくはドア被覆、特にキャビネット・ドア面の製造、さらに、成型製品の平坦面部分に隣接する１又は複数の反転成型盛り上がり工芸デザインを含むいかなる成型された人工的な複合体木製製品へも適用可能であることを理解されたい。本発明の原理に従って製造可能な他の、複合体による反転成型木製製品の例としては、装飾用ハードボードすなわち屋内及び屋外の通路ドア被覆、キャビネット・ドア被覆並びにガレージ・ドア被覆、また装飾用屋内壁パネル、キャビネット及び家具の表面成型物、その周囲の平坦な部分から分離された成型パネルであってキャビネット、キャビネット・ドア又は平坦な家具部分の外側平坦面へ接着されるもの、家具構成部品等を含む。
【００２７】
本発明の反転成型複合体製品の大きさは、好適には、幅が５インチ〜９６インチ、高さが１２インチ〜６０若しくは９６インチで変えられる。
【００２８】
本発明の製品は、好適には、製品中のファイバの乾燥重量の全体に対して少なくとも８０重量％の繊維質のセルロース・ファイバで形成され、バインダがセルロース・ファイバを互いに接着することにより構造的に安定で硬い製品となる。セルロース・ファイバは、精製され繊維化されたファイバの形態で、天然の若しくは合成のバインダにより互いに成型され接着可能であることにより、全ての外側の目に見える表面において、成型され盛り上がったパネル表面を含めて、美的で好ましい成型された輪郭、そして滑らかな若しくは木目調の表面を実現する。本発明の製品は、例えば０．１〜０．３インチの薄い羽目板として成型され、あるいは、盛り上がりパネルは切断され若しくは背面にやすりがけされることにより盛り上がりパネルを取り外してキャビネット・ドア等へ接着することにより、いかなる平坦な面であっても盛り上がった手作り風の天然木工芸のような見かけとなる。
【００２９】
本発明によれば、本発明の反転成型製品は、接着により若しくは他の固定手段によりいかなる平坦な支持構造物へも適用可能である。
【００３０】
図へ戻って、先ず図１は、成型部分の部分切欠き斜視図を示しており、下側の成型半分すなわち成型キャビティ４、その上に置かれた部分的に切り欠かれたセルロース・マット５、及び上側の成型コア６を含み、これらは、マット５を羽目板パネル（符号１０で示すこととする）にプレスするためのものである。上側成型コア６は、その下側面に成型凹部７を有し、これは、下側成型キャビティ４に示される上向きに突出した成型デザインに対して相補的な形状となっている。これにより、これらの間に置かれたマット５をプレスして成型半分４と６の間の成型形状に一致させる。羽目板パネル１０は、図１及び図２に示す通り、盛り上がりパネルを模した下側成型キャビティ４と上側成型コア６の間で反転成型されることにより、成型製品１０の中の盛り上がりパネル１２を設ける。この中には、中央に配置された平坦な盛り上がりパネル部分１３と、長方形の輪郭形成壁部分１４とを含む。さらに、下側成型キャビティ４の盛り上がった輪郭と実質的に一致した輪郭に対応するパネル外側表面上の盛り上がった外側コーナー１５を含む。反転成型されたパネル１０は、例えば接着により若しくは釘や螺子等の固定具を介して、適切な平坦な面へ固定される。例えば、屋内の部屋の羽目板壁領域等である。下側成型キャビティ４は、実質的に羽目板パネル１０の上側面とほぼ同じ輪郭であるが、下側成型キャビティ４の方が、盛り上がりパネルの大きさより水平方向においてわずかに小さい。これにより、図２に示すように上向きに突出した盛り上がりパネルデザインへと成型されるセルロース・マット５の厚さを許容している。上側成型コア６は、盛り上がりパネル受容成型キャビティ７を搭載する。盛り上がりパネル受容成型キャビティ７は、盛り上がりパネル構造部１２の上側表面と相補的な大きさとされ、滑らかな輪郭とすることもでき、あるいは、木目パターンを形成する木目の皮を模した浮き出し加工をするために下向きに突出する構造（図示せず）を含むこともできる。
【００３１】
羽目板パネル１０は、成型キャビティを用いて成型されるが、型の半分部分４と６の間に置かれ、一般的に水平配置でおかれる。従って、この成型中の配置に対応して、上側の主表面を水平として説明するが、成型された製品の使用時における位置は、図２〜７に示す羽目板パネル１０の場合のように普通は水平ではなく垂直であることを理解されたい。「盛り上がった輪郭を上向きにして」成型された羽目板パネル１０の外側主表面は、図６に示すように垂直方向に（「盛り上がった輪郭を外向きにして」）壁の幅木１６と横木１８の間に配置される。好適例においては、図２に示す通り、例示した羽目板パネル１０が１又は複数の盛り上がりパネル１２を含み、それらが符号１４で示す輪郭を形成する壁部分を設けるべく成型され、この壁１４は、中央に配置された平坦な盛り上がりパネル１３と一体でありかつこれを取り囲んでいる。そして、輪郭形成壁１４は、共通平面内にある平坦な縦かまち２０及び２２並びに横桟２４及び２６とそれぞれ一体化される。各縦かまち及び横桟２０、２２、２４及び２６の下側面は、図３及び６に示す通り平坦な壁に接着固定される。
【００３２】
図２〜４に示す通り、好適な羽目板パネル１０においては、反転成型による輪郭形成壁１４は、長方形に成型され、中央に配置された平坦パネル部分１３を取り囲む。そして、輪郭形成壁１４は、傾斜壁２８を介して平坦パネル部分１３の外縁と互いに接続されている。図５及び６に最もよく示されるように、輪郭形成壁１４は、隣接する縦かまち又は横桟（図５に示す符号２４）と一体的であり、そして（水平位置で成型された状態における）水平方向から約２５°〜約３５°の角度で上向きに延びる壁部分３０を含む。壁部分３０は、そこから下向きに曲がり、ほぼＵ形状の輪郭形成壁部分３２が形成されている。輪郭形成壁部分３２の外縁は壁部分３０と一体的であり、輪郭形成壁部分３２の内縁は平坦な盛り上がり部分１３の外縁２７においてこの平坦盛り上がり部分１３と一体的である（図２及び図５参照）。各盛り上がりパネル１２の反転成型された長方計を形成する４つの輪郭形成壁１４の各々は、同じ輪郭の断面形状を有する。好適例によれば、Ｕ形状の輪郭形成壁部分３２は、輪郭形成されることにより、この壁部分３２の最も内側の下側面３４（壁に対して適用される面）、つまりＵ形状の基部が、縦かまち及び横桟２０、２２、２４及び２６の下側面３６と同一平面に位置する。これにより、Ｕ形状の壁部分３２の下側面３４は、設置されたとき構造的支持のためにそのＵ形状の基部にて壁３７に接し、かつ接着されることができる（図６参照）。
【００３３】
本発明の製品は、セルロール・ファイバ及び熱硬化性バインダからなる緩く目の粗いマットから成型される。熱硬化性バインダとしては、例えば、ファイバボードの製造で普通に用いられる尿素ホルムアルデヒド、メラミン・ホルムアルデヒド、及び／又はフェノール・ホルムアルデヒドがある。このマットは、少なくとも約８０重量％の繊維化され精製されたセルロース・ファイバを含む。但し、マット５中の乾燥ファイバ重量全体を１００重量％としている。ファイバは、木片から機械的に精製され、好適には約８０〜１２０ｐｓｉの範囲の、より好適には約１００〜１１０ｐｓｉの範囲の、最適には約１０５ｐｓｉの範囲の蒸気圧が用いられる。セルロース・ファイバの精製にあたり約１２０ｐｓｉより高い蒸気圧を用いると、本発明の実施に有用な高度に精製されたファイバを生成するが、精製コストが商業的に見合わなくなる。
【００３４】
セルロース・ファイバのこのような精製により、０．５８〜０．６２ポンド毎立方インチの範囲の基本重量をもつ乾燥した緩いセルロース・ファイバ・マットである好適な繊維質セルロース・ファイバが得られる。約３８５°Ｆ〜４５０°Ｆの範囲の温度、約５５０〜約８５０ｐｓｉの範囲の最大圧力による熱プレスによる成型により得られた浮き出し加工された製品は、比重約０．９６〜約１．０８の範囲となり、好適には約０．９８〜約１．０６、さらに好適には約１．００〜約１．０４の範囲となる。「上向きに輪郭を形成されている」本発明の製品は、密度と表面強度を増すことを補償する。すなわち、デザインされた輪郭形成部分の頂点におけるカリパス（上下成型半分の間の間隔）を狭くすることにより、滑らかな場合も構造を有する場合も、比重を約１．０２〜約１．０８とし、目標としては約１．０２〜約１．０４とする。輪郭形成領域の周囲の平坦な表面の幾何学形状は、わずかに小さい比重１．００〜０．９８となるように押圧される。これは、これらの領域内のカリパス（上下成型半分の間の間隔）をわずかに広くすることにより実現される。
【００３５】
本発明の別の重要な実施例においては、図３に示すように、本発明の反転成型パネル１０が複数の幅で製造可能である。例えば、４８インチ幅の成型パネル１０Ａが、３つの盛り上がりパネル１２を有し、パネル１０Ｂは例えば１６インチ幅で１つの盛り上がりパネル１２を具備し、パネル１０Ｃは例えば１２インチ幅で１つの盛り上がりパネル１２を具備し、平坦パネル１０Ｄは例えば８インチ幅である。そして縦方向に容易に切断して壁を完成することができる。各パネル１０Ａ、１０Ｂ、１０Ｃ及び１０Ｄは同じ高さであり例えば、標準的な羽目板の高さである３２インチである。図３に示す通り、例えば１０Ｂ又は１０Ｃのパネルは、パネルを９０°回転させることにより（図３の符号１０Ｂ参照）窓４０の下に配置することができ、盛り上がりパネル１２はその長手方向を水平方向に配置される。窓が床に対してそれよりも低い場合は、必要に応じて、パネル１０Ｃを替わりに用いることができ、パネル１０Ｃの上及び／又は下に１又は２の平坦パネル１０Ｄを一緒に用いてもよい。
【００３６】
図２に示した羽目板キットは、部屋の中央から開始することにより、あるいは、直接中央窓の下から開始することにより、そして離れた壁末端の内側コーナーへ向かって対称的にパネルを配列することにより家主が容易に施工することができる。パネル１０Ｂ及び／又は１０Ｃを適切に配列することにより、８インチ幅の平坦パネル１０Ｄが、部屋の内側コーナーを規定する壁末端まで壁全体を充填するために十分な幅となり、壁を完全に充填するために正確に切断することができる。
【００３７】
本発明の別の態様においては、電灯スイッチプレート（図示せず）及び電気差込口カバー（図７の符号４０）が、図３に示すキットに設けられる。これらの差込口カバー４０及びスイッチプレート（図示せず）は、長方形であり、縦の外郭壁４２を有し、それらは少なくとも盛り上がった輪郭形成壁１４及びパネル１２の盛り上がった平坦パネル部分１３と同じ高さである。これにより、電灯スイッチプレート及び／又は電気差込口カバー４０が羽目板パネル１０内のどこに位置しても、スイッチプレートカバー若しくは差込口カバー４０と同じ外郭寸法の孔をパネル１２に開けることができる。そして、差込口カバー４０が（パネル内の）壁に対して挿入されるが、切断されたパネルを露出することはない。なぜなら、パネル１２内の孔は、図７に示すように差込口カバー４０の外郭壁４２に対して同一平面にあるからである。
【００３８】
以上の説明は、明確に理解するためのものであり、これらの説明に限定することは不要である。本発明の範囲内の改変は、当業者には自明であろう。

Claims (30)

1. 精製されたセルロール・ファイバ及び十分なバインダからなるマットから反転成型された木製複合体製品であって、該セルロース・ファイバが互いに接着されることにより該製品が比重約０．９６〜約１．０８の範囲にて構造的に安定となり、前記製品が、外向きに盛り上がり輪郭形成されたパネルの周囲に平坦面部分を具備し、複数の外側コーナーを具備し、かつ天然木製工芸品を模しており、前記製品の背面が基板の平坦面に対して該背面を接着するために同一平面にあり、前記輪郭形成されたパネルが該平坦面の幅木と横木から外向きに出ている、反転成型された木製複合体製品。
2. 前記製品が５重量％の樹脂バインダを含む請求項１に記載の木製複合体製品。
3. 前記樹脂バインダが前記製品全体に均一に分散している請求項２に記載の木製複合体製品。
4. 前記製品がセルロース・マット上に熱可塑性コーティング材料を具備せず、そして樹脂含浸紙被覆を具備しない請求項３に記載の木製複合体製品。
5. 前記セルロース・ファイバのマットが乾式プロセスにより作製されかつ滑らかな平坦背面を具備する請求項１に記載の木製複合体製品。
6. 前記製品の前記平坦背面に対して接着される平坦壁基板を具備する請求項１に記載の木製複合体製品。
7. 前記平坦壁基板が前記製品の前記平坦背面に対して、前記平坦壁基板と前記製品の前記平坦背面の間に配置されるシム・スペーサを用いることなく固定具若しくは接着剤により接着される請求項６に記載の木製複合体製品。
8. 前記外向きに盛り上がり輪郭形成されたパネルが、その周囲の平坦面部分から外向きに５〜１０ｍｍだけ突出している請求項１に記載の木製複合体製品。
9. 前記セルロール・マットが、前記製品のセルロール・ファイバの全重量に対して少なくとも４０重量％のソフトウッド・ファイバを含む請求項１に記載の木製複合体製品。
10. 前記ソフトウッド・ファイバがパイン材、ヒノキ材及びこれらの混合材から選択される請求項９に記載の木製複合体製品。
11. 前記セルロース・ファイバがソフトウッド・ファイバの重量により約１００％である請求項１０に記載の木製複合体製品。
12. 前記盛り上がり輪郭形成されたパネルが、周囲の平坦面から２５〜３５°の範囲の角度で外向き及び内向きに延びている請求項１に記載の木製複合体製品。
13. 前記盛り上がり輪郭形成されたパネルが、周囲の平坦面から３０〜３５°の範囲の角度で外向き及び内向きに延びている請求項１に記載の木製複合体製品。
14. 反転成型された木製複合体製品を製造する方法において、
    セルロース・ファイバと樹脂バインダからなるマットを、上向きに盛り上がり輪郭形成された工芸品を模したデザインの周囲に平坦面部分を具備し複数の外側コーナーを含む実質的に水平な下側成型部分の上に置き、
    前記マットを、マットに接する下側面上に内向きに輪郭形成されその内向きの輪郭形成部分が前記下側成型部分から上向きに出ている前記上向きに盛り上がり輪郭形成された工芸品を模したデザインに対して相補的な形状であり上側成型部分に対して前記マットを比重約０．９６〜約１．０８の比重をもつ製品へと構造的に固めるために十分な熱及び圧力の下にプレスする
    反転成型木製複合体製品の製造方法。
15. 前記木製複合体製品が熱硬化性樹脂バインダを５重量％未満含む請求項１４に記載の方法。
16. 前記樹脂バインダが前記製品全体に均一に分散している請求項１５に記載の方法。
17. 前記製品が前記セルロース・マット上に熱可塑性材料を含まず、樹脂含浸紙被覆も含まない請求項１６に記載の方法。
18. 前記セルロース・ファイバのマットが乾式プロセスにより作製されかつ滑らかな平坦背面を具備する請求項１４に記載の方法。
19. 平坦壁基板を前記製品の前記平坦背面に対して接着することを含む請求項１４に記載の方法。
20. 前記平坦壁基板が前記製品の前記平坦背面に対して、前記平坦壁基板と前記製品の前記平坦背面の間に配置されるシム・スペーサを用いることなく固定具若しくは接着剤により接着される請求項１９に記載の方法。
21. 前記外向きに盛り上がり輪郭形成されたパネルが、その周囲の平坦面部分から外向きに５〜１０ｍｍだけ突出している請求項１４に記載の方法。
22. 前記セルロール・マットが、前記製品のセルロール・ファイバの全重量に対して少なくとも４０重量％のソフトウッド・ファイバを含む請求項１４に記載の方法。
23. 前記ソフトウッド・ファイバがパイン材、ヒノキ材及びこれらの混合材から選択される請求項２２に記載の方法。
24. 前記セルロース・ファイバがソフトウッド・ファイバの重量により約１００％である請求項２３に記載の方法。
25. 前記盛り上がり輪郭形成されたパネルが、周囲の平坦面から２５〜３５°の範囲の角度で外向き及び内向きに延びている請求項１４に記載の方法。
26. 前記盛り上がり輪郭形成されたパネルが、周囲の平坦面から３０〜３５°の範囲の角度で外向き及び内向きに延びている請求項２５に記載の方法。
27. 請求項１に記載の木製複合体製品を成型し、その後前記周囲の平坦面部分から前記盛り上がりパネルを分離することを含む、平坦面を固定するための盛り上がり輪郭形成パネルを製造する方法。
28. 請求項１に記載の第１及び第２の木製複合体製品を有する羽目板キットにおいて、前記第１及び第２の木製複合体製品は、各々同じ高さと異なる幅を有し、同じ高さと異なる幅をもつ該第１及び第２の木製複合体製品の各々が外向きに盛り上がり輪郭形成されたパネルであり、さらに第３の平坦木製複合体製品を有し、該第３の平坦木製複合体製品を壁コーナーにて適宜サイズに切断することにより幅木と横木の間の壁全体を覆うことができる羽目板キット。
29. 第４の木製複合体製品をさらに有し、該第４の木製複合体製品が複数の離れた外向きに盛り上がり輪郭形成されたパネルを具備しかつ前記第１、第２及び第３の木製複合体製品よりも広い請求項２８に記載の羽目板キット。
30. 電気差込口を取り囲む長方形領域を覆う開口を具備する長方形の電気差込口カバーをさらに有し、該電気差込口は電気機器の接続のために露出しており、かつ差込口を受容する壁に対して垂直に延びる側壁を具備し、該側壁が、前記反転成型された木製複合体製品の前記盛り上がり輪郭形成されたパネルの高さと少なくとも同じ高さであることにより、該電気差込口カバーを受容すべく該木製複合体製品のパネルに形成された開口が接して視野から隠され、形成された開口を具備する該木製複合体製品が切断される請求項２８に記載の羽目板キット。