JP2004361594A - 電子写真現像剤用キャリアおよびこれを用いた現像剤ならびに画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電子写真現像剤用キャリアは、バインダー樹脂に磁性粉が分散されている電子写真現像剤用キャリアであり、このバインダー樹脂が、官能基としてエポキシ基を有するポリシロキサン化合物(A)と、該ポリシロキサン化合物(A)のエポキシ基と開環付加反応可能な基を有するポリシロキサン化合物(B)を主原料とし、かつ該バインダー樹脂はエポキシ基の開環付加反応で硬化したシリコーン樹脂であり、さらに現像剤は、上記電子写真現像剤用キャリアとトナー粒子とからなり、画像形成方法は、交番電界を用いて、上記現像剤により静電潜像を現像することを特徴としている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法あるいは静電印刷法等により形成された静電潜像を現像する際に用いられる磁性粉分散バインダー型の電子写真現像剤用キャリアおよびこのキャリアを含有する電子写真用二成分系現像剤ならびにこの電子写真用二成分系現像剤を用いた画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真現像方法は、現像剤中のトナー粒子を感光体上に形成された静電潜像に付着させて現像する方法であり、この方法で使用される現像剤は、現像剤としてトナー粒子とキャリア粒子からなる二成分系現像剤およびトナー粒子のみを用いる一成分系現像剤に分けられる。
【0003】
こうした現像剤のうちで、トナー粒子とキャリア粒子からなる二成分系現像剤を用いた現像方法としては、古くはカスケード法などが採用されていたが、現在では、マグネットロールを用いる磁気ブラシ法が主流である。
【0004】
二成分系現像剤において、キャリア粒子は、現像剤が充填されている現像ボックス内において、トナー粒子と共に攪拌されることによって、トナー粒子に所望の電荷を付与し、さらにこのように電荷を帯びたトナー粒子を感光体の表面に搬送して感光体上にトナー像を形成するための担体物質である。マグネットを保持する現像ロール上に残ったキャリア粒子は、この現像ロールから再び現像ボックス内に戻り、新たなトナー粒子と混合・攪拌され、一定期間繰り返して使用される。
【0005】
二成分系現像剤は、一成分系現像剤とは異なり、キャリア粒子はトナー粒子と混合・攪拌され、トナー粒子を帯電させ、さらに搬送する機能を有しており、現像剤を設計する際の制御性が良い。したがって、二成分系現像剤は高画質が要求されるフルカラー現像装置および画像維持の信頼性、耐久性が要求される高速印刷を行う装置等に適している。
【0006】
このようにして用いられる二成分系現像剤においては、画像濃度、カブリ、白斑、階調性、解像力等の画像特性が、初期の段階から所定の値を示し、しかもこれらの特性が耐刷期間中に変動せず、安定に維持されることが必要である。これらの特性を安定に維持するためには、二成分系現像剤中に含有されるキャリア粒子の特性が安定していることが必要になる。
【0007】
二成分系現像剤を形成するキャリア粒子として、従来は、表面を酸化被膜で覆った鉄粉あるいは表面を樹脂で被覆した鉄粉などの鉄粉キャリアが使用されていた。このような鉄粉キャリアは、磁化が高く、導電性も高いことから、ベタ部の再現性のよい画像が得られやすいという利点がある。
【0008】
しかしながら、このような鉄粉キャリアは自重が重く、また磁化が高すぎることから、現像ボックス中におけるトナー粒子との攪拌・混合により、鉄粉キャリア表面へのトナーの融着、いわゆるトナースペントが発生しやすくなる。このようなトナースペントの発生により、有効なキャリア表面積が減少し、トナー粒子との摩擦帯電能力が低下しやすくなる。
【0009】
また、樹脂被覆鉄粉キャリアでは、耐久時のストレスにより表面の樹脂が剥離し、高導電性で絶縁破壊電圧が低い芯材(鉄粉)が露出することにより、電荷のリークが生ずることがある。このような電荷のリークにより感光体上に形成された静電潜像が破壊され、ベタ部にハケスジなどが発生し、均一な画像が得られにくいなど耐久性に劣る。これらの理由から、酸化被膜鉄粉及び樹脂被覆鉄粉などの鉄粉キャリアは、現在では使用されなくなってきている。
【0010】
近年は、特許文献1(特開昭59−48774号公報)に記載のように鉄粉キャリアに代わって、真比重約5.0程度と軽く、又磁化も低いフェライト芯材を用い、表面に樹脂を被覆した樹脂コートフェライトキャリアが多く使用されてきており、現像剤寿命は飛躍的に伸びてきた。
【0011】
しかしながら、最近、オフィスのネットワーク化が進み、単機能の複写機から複合機への時代に進化し、サービス体制も、契約したサービスマンが定期的にメンテナンスを行って現像剤等を交換するようなシステムから、メンテナンスフリーの時代へシフトしてきており、市場からは、現像剤の長寿命化に対する要求が一層高まってきている。
【0012】
又、オフィスではフルカラー画像が認知され、高画質の要求が高まってきており、トナー粒径も、高解像度を得るため小粒径になってきている。
【0013】
これに対応するためには、トナーに所望の電荷を素早く帯電させる必要があり、そのためにキャリアの粒径は、高比表面積を有する小粒径の方向にシフトしてきている。粒度分布全体を小粒径化した場合、特に、微粉側の粒子が、2成分系現像剤の欠点であるキャリア粒子が感光体へ飛散又は付着する現象が起きやすくなり、白抜け等致命的な画像欠陥を誘発しやすくなる。従って、小粒径キャリアは、粒度分布幅をさらに狭く管理することも要求されてきている。
【0014】
上記のような問題を解決するために、キャリア粒子の軽量化を図り、現像剤寿命の長期化を目的として、微細な磁性粉を樹脂中に分散させた磁性粉分散バインダー型キャリアも多く提案されている。
【0015】
例えば、特許文献2(特開平5−40367号公報)には、樹脂と磁性粉末とを混練した後、粉砕分級することにより得られる静電潜像現像用キャリアが開示されている。しかしながら、このような粉砕法による磁性粉分散バインダー型キャリアは、粉砕時に磁性粉が表面に露出するため、電荷のリーク現象が生じやすく、また、電気的に感光体へキャリアが飛散する現象が軽減できず、結果的には寿命が短いのが現状である。さらには、磁性粉の過度な露出により、帯電の環境安定性に劣る。また、粉砕分級後のキャリア形状が、不定形となるため、キャリアの表面積が粒子毎に異なり、さらに、現像剤の流動性が劣るため、トナーに対する帯電量付与能力が不均一であり、素早い帯電能力も得られず、高画質な画像が得られていない。また、粉砕工程は、作業環境の悪化をもたらし、さらに、得られるキャリア粒子の粒度分布幅が広くなるため、歩留まりの低下による生産性の悪化をもたらすといった問題点がある。
【0016】
こうした問題に対して、粉砕、分級工程を経ることなく球状の磁性粉分散バインダー型キャリアを得るために、特許文献3(特開平2−220068号公報)には、フェノール類およびアルデヒド類を水性媒体中で反応硬化させることを特徴とする、強磁性体微粒子と硬化したフェノール樹脂との複合体粒子からなる磁性キャリアが開示されている。また、特許文献4(特開平8−334931号公報)には、イソシアネート、フェノール類およびアルデヒド類を、磁性粉末の存在下で、加熱攪拌して懸濁重合させたバインダ型キャリアが開示されている。さらに、特許文献5(特開昭62−296156号公報)には、ポリオレフィン系の熱可塑性樹脂と磁性微粉末とを溶融混練し、噴霧、冷却、固化により得られるキャリアが開示されている。
【0017】
このように、磁性粉分散バインダー型キャリアにおいて、微細な磁性粉を分散させ結着させる種々のバインダー樹脂が提案されている。しかし、硬化性フェノール樹脂は、臨界表面張力が高いため、トナーの融着が起きやすく、スペントが発生し、耐刷時、帯電低下を招き、寿命が短く、且つベンゼン環を有するため、環境依存性が大きく、高温高湿・低温低湿条件下での画質の変化が大きいという問題がある。また、熱可塑性樹脂は、耐熱性が弱く、飛散したキャリア粒子が、定着ローラー上で溶融、固化するため、白斑等の画像欠陥を引き起こしやすい。またポリオレフィン系樹脂は負極性トナーに対し、帯電能力が元々弱く、トナー飛散やカブリといった現象を起こしやすく、充分な画質が得られないのが現状である。
【0018】
また、特許文献6(特開平5−100496号公報)には、スチレン類などの重合性単量体、該重合性単量体と反応し得る基を有するシリコーン化合物、架橋剤および磁性粉末を含有する組成物を、水系媒体中で懸濁重合させることにより、樹脂粒子中に磁性粉末を分散させたバインダー型キャリアが開示されている。
【0019】
しかしながら、スチレン、メタクリル酸メチルなどの重合性単量体と、該単量体と反応し得るシリコーン化合物を、架橋剤と磁性粉の存在下で重合させてバインダー相を形成する際、スチレン類などの重合性単量体とシリコーン化合物は重合時の反応性が各々異なるために、均一な共重合体が得られず、重合体組成に分布を生じ、なおかつ、これら重合体の相溶性が悪いため相分離を生じ、結果として充分な機械的強度が得られないとともに、キャリア粒子の帯電特性にバラツキを生じ、高品質な画像が得られない。また、低分子量の未反応物が残存し、キャリア特性の環境依存性の悪化をもたらすのはもとより、キャリア粒子の機械的強度が低く、磁性粉の脱離を生じ、耐久性にも劣る。さらに、耐スペント性を向上させるためにシリコーン化合物の含有量を多くすると、この公報に記載されているように、上述した問題点が顕著に現れる傾向にある。従って、近年の更なる耐トナースペント性、耐汚染性の向上、機械的強度の向上による現像剤寿命の長期化や、高画質化に対する要求に対し、満足なものは得られていないのが現状である。
【0020】
さらに、特許文献7(特開平8−286428号公報)には、磁性体分散型キャリア粒子の結着樹脂がシリコーン系樹脂を主成分としていることを特徴とするカラー電子写真用現像剤が提案されている。しかし、この公報に記載されているような単に硬化反応に脱分子縮合反応をともなうシリコーン系樹脂を主成分とした磁性体分散型キャリア粒子は低分子量の副生成物の揮発により発生するボイド(空隙)や、縮合時の比重(体積)変化により内部にクラック(亀裂)を生じやすい。このためこの公報により得られる磁性体分散型キャリアは、近年の現像機の小型化に伴う現像機内での撹拌ストレスの増大に耐えうるものではなく、加えて磁性粉の脱離による帯電特性の劣化を防ぐことは困難であった。また、上記特許文献6と同様、バインダー樹脂としてシリコーン樹脂と別の樹脂を混合して用いる場合、相溶性が悪いため、バインダー樹脂相内部での相分離が起きやすく、均一な帯電特性を保持し、機械的強度が充分なキャリア粒子を得ることが困難となる。さらに、この公報の詳細な説明に記載されているような、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製のF200およびR900のごときシリコーン樹脂微粒子をバインダー樹脂として磁性粉分散バインダー型樹脂キャリアを製造する場合、この樹脂の性状から重合法による工程を経てキャリアを製造することができず、粉砕、分級工程が不可欠である。このためキャリア形状が不定形となるため、キャリアの表面積が粒子毎に異なり、また、現像剤の流動性が劣るため、トナーに対する帯電量付与能力が不均一であり、素早い帯電能力も得られず、高画質な画像が得られていないといった多くの問題点を抱えている。さらに、この公報に例示されているシリコーン樹脂およびシリコーン変性樹脂は、既に固体のシリコーン樹脂であったり、もしくは溶剤を含むワニスである。粉砕、分級工程を経ることなく球状の磁性粉分散バインダー型キャリアを製造するに際して、重合法や水性媒体中に懸濁し硬化させる製造工程を経る場合、このようなもともと固体のシリコーン樹脂は、重合法もしくは水性媒体中で懸濁、加熱硬化せしめる製造工程に組み入れることは困難である。さらに、溶剤を含むシリコーンワニスは、硬化時にワニス中の溶剤成分が多量に揮発するためボイドが発生しやすく、得られた粒子の機械的強度が低下するばかりか、磁性粉を均一に分散・保持したまま、粒径や形状が均一な粒子を製造することができないという問題点を生じる。したがって、この公報は上述した問題点を本質的に解決し得るものではなかった。
【0021】
さらに、特許文献8(特開平2−272577号公報)には、磁性粉及び導電性微粒子をバインダー樹脂中に分散させてなる磁性キャリアにおいて、該バインダー樹脂が有機スズ化合物を含有するシリコーン樹脂である磁性キャリアの提案がある。この公報に記載されているようなシリコーン樹脂を主成分として用い、有機スズ触媒の存在下に、縮重合反応によりキャリアを製造すると、水やアルコールなどの副生成物が多量に生成する。このような副生成物の発生により、キャリア内部にボイドが発生すると同時に比重(体積)変化によりクラックが発生しやすく、キャリアの強度が低くなる。また、磁性粉の脱離が容易に発生し、帯電量が著しく減少し、充分な耐久性が得られず満足いくものではなかった。また、シリコーン樹脂を主成分として、有機スズ触媒を用いて、縮重合反応によりキャリアを製造すると、有機スズ化合物が最終製品中に残存する。有機スズ化合物はホルムアルデヒド等と同様、内分泌攪乱物質(環境ホルモン)として広く知られており、近年の環境問題を考慮すると、製造時にこのような物質の使用を避けることが望まれている。
【0022】
さらに、特許文献9(特開平10−39549号公報)には、磁性体分散樹脂キャリアの表面にストレートシリコーン樹脂およびカップリング剤を少なくとも含有している樹脂組成物を被覆することが記載されているが、最表面のシリコーン樹脂層と、この公報に記載されているような磁性粉を分散しているバインダー樹脂層間との密着性が低く、耐刷時、被覆樹脂が剥離しやすく、また露出したキャリア芯材表面の磁性粉が容易に脱離し、帯電・抵抗に変化が生じ画質劣化が見られるという問題を抱えている。
【0023】
【特許文献1】
特開昭59−48774号公報
【特許文献2】
特開平5−40367号公報
【特許文献3】
特開平2−220068号公報
【特許文献4】
特開平8−334931号公報
【特許文献5】
特開昭62−296156号公報
【特許文献6】
特開平5−100496号公報
【特許文献7】
特開平8−286428号公報
【特許文献8】
特開平2−272577号公報
【特許文献9】
特開平10−39549号公報
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、バインダー樹脂原料と磁性粉とを混合し、水性媒体に懸濁し、硬化させた磁性粉がバインダー樹脂中に分散した電子写真現像剤用キャリアにおいて、製造時に水やアルコールなどの副生成物の発生が少なく、得られたキャリアは、磁性粉の脱離が無く、機械的強度が高く、耐久性に優れ、さらには環境安定性が良く、トナースペントの発生を抑制でき、流動性が良く、トナーに対する帯電付与能力に優れた電子写真現像剤用キャリアを提供することを目的としている。
【0025】
また、本発明は、上記のような特性を有する電子写真現像剤用キャリアを含有する二成分系現像剤を提供することを目的としている。
【0026】
さらに、本発明は、上記のような二成分系現像剤を用い、交番電界によって画像を形成する画像形成方法を提供することを目的としている。
【0027】
【課題を解決するための手段】
本発明の電子写真現像用キャリアは、バインダー樹脂原料と磁性粉を混合し、水性媒体に懸濁し、硬化させて得られるバインダー樹脂に磁性粉が分散されている磁性粉分散バインダー型の電子写真現像剤用キャリアにおいて、該バインダー樹脂原料が、官能基としてエポキシ基を有するポリシロキサン化合物(A)と、該ポリシロキサン化合物(A)のエポキシ基と開環付加反応可能な基を有するポリシロキサン化合物(B)を主成分とし、かつ該バインダー樹脂がエポキシ基の開環付加反応で硬化したシリコーン樹脂であることを特徴としている。
【0028】
すなわち、本発明の電子写真現像用キャリアは、バインダー樹脂に磁性粉が分散されている電子写真現像剤用キャリアであり、官能基としてエポキシ基を有するポリシロキサン化合物(A)と、該ポリシロキサン化合物(A)のエポキシ基と開環付加反応可能な基を有するポリシロキサン化合物(B)を主原料とし、エポキシ基の開環付加反応で硬化したシリコーン樹脂中に、磁性粉が分散しているものである。
【0029】
また、上記エポキシ基と開環付加反応可能な官能基を有するポリシロキサン化合物(B)は、官能基としてアミノ基、カルボキシル基、メルカプト基およびカルビノール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の官能基を有することが望ましい。
【0030】
また、上記エポキシ基を有するポリシロキサン化合物(A)のエポキシ基当量が、200〜1500g/モルの範囲内にあることが好ましく、上記エポキシ基と、開環付加反応可能な基を有するポリシロキサン化合物(B)のエポキシ基と開環付加反応可能な官能基当量が、100〜4000g/モルの範囲内にあることが望ましい。
【0031】
また、上記ポリシロキサン化合物(A)およびポリシロキサン化合物(B)の官能基の数の比(ポリシロキサン化合物(A)のエポキシ基の数/ポリシロキサン化合物(B)のエポキシ基と開環付加反応可能な官能基の数)が、0.3〜3.0の範囲内にあることが望ましい。
【0032】
また、本発明の電子写真現像用キャリアは、ポリシロキサン化合物(A)とポリシロキサン化合物(B)との混合物の加熱前後の比重変化率が0.8〜1.2の範囲内にあることが望ましく、さらに、ポリシロキサン化合物(A)とポリシロキサン化合物(B)との混合物の加熱前後の重量変化率が0.8〜1.0の範囲内にあることが望ましい。
【0033】
さらに、上記バインダー樹脂が反応する際に生じる副生成物の重量が、バインダーを構成する化合物の硬化前における合計重量を100重量部としたとき、20重量部未満であることが好ましい。
【0034】
さらに、上記樹脂キャリアの体積平均粒子径が15〜80μmの範囲内にあると共に、磁性粉の体積平均粒子径が0.1〜10μmの範囲内にあることが好ましい。
【0035】
また、上記樹脂キャリアの真比重が、1.5〜4.0の範囲内にあることが望ましく、さらに、上記樹脂キャリア(100重量部)中における磁性粉の含有量が20〜95重量部の範囲内にあることが望ましい。
【0036】
また、上記樹脂キャリアの形状係数が、1.0〜2.5の範囲内にあることが好ましく、さらに、上記樹脂キャリアの5000k/4π・A/m(5kOe)磁場印加時における磁化が30〜90Am2/kg(emu/g)の範囲内であり、かつ5000V/cmの電界印加時における抵抗が104Ω〜1013Ωの範囲内にあることが望ましい。
【0037】
また、上記樹脂キャリアの表面が樹脂で被覆されていることが望ましい。
【0038】
本発明の電子写真用二成分系現像剤は、上記樹脂キャリアと、体積平均粒子径が3〜15μmの範囲内にあるトナー粒子とを含有することを特徴とする。
【0039】
さらに本発明の画像形成方法は、交番電界を用いて、上記の電子写真用二成分系現像剤によって静電潜像を現像することを特徴としている。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の樹脂キャリアおよび二成分系現像剤ならびにこの二成分系現像剤を用いた画像形成方法について、具体的に説明する。
【0041】
なお、以下の説明においてバインダー樹脂原料の特性および得られたキャリア粒子の特性は、次の方法に従い評価した。
(体積平均粒子径)
キャリア粒子の体積平均粒子径は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(LS−230、ベックマン・コールター社製)を用いて測定した。
(磁気特性)
キャリア粒子の磁気特性は、振動型磁化測定装置(VSM−5−18、東英工業(株)製)を用いて印加磁場5000k/4π・A/m(5kOe)での磁化を測定した。
(真比重および嵩密度)
キャリア粒子の真比重は、JIS R9301−2−1に準拠して、ピクノメーターを用いて測定した。また、キャリア粒子の嵩密度は、JIS Z2504に準拠して測定した。
(形状観察)
キャリア粒子の形状は、走査型電子顕微鏡(JSM−6100型日本電子(株)製)を用いて観察を行い確認した。
(形状係数)
キャリア粒子の形状係数は、走査型電子顕微鏡を用いてキャリア粒子を撮影し、その画像を画像解析ソフト(Image−Pro Plus、Media Cybernetics社製)を用い解析し、算出した。ここで形状係数は下記式1で表され、また上記形状係数は1粒子毎に算出し、100粒子の平均値をキャリア粒子の形状係数とした。
[式1]
形状係数=最大径/最小径 ……1
上記式1において、最大径とは、粒子の外周2点を結び、かつ重心を通る最大の径を示し、最小径とは、粒子の外周2点を結び、かつ重心を通る最小の径を表す。
(帯電特性)
帯電量は、キャリアとトナーとの混合物を用い、吸引式帯電量測定装置(q/m−meter、Epping GmbH PES−Laboratorium社製)により測定した。
(電気抵抗)
磁極間間隔2.0mmにてN極及びS極を対向させ、非磁性の平行平板電極(10mm×40mm)に、試料200mgを秤量して充填する。磁極(表面磁束密度:1500Gauss、対向電極面積:10mm×30mm)を平行平板電極に付けることにより電極間に試料を保持させ、印加電圧1000Vの抵抗を絶縁抵抗計(SM−8210,東亜ディケーケー(株)製)にて測定した。
(粘度)
バインダー樹脂原料の粘度は、振動式粘度計(VM−1G、山一電機(株)製)を用いて測定した。
(比重変化率)
ポリシロキサン化合物(A)とポリシロキサン化合物(B)の混合物をメスフラスコを用いて、1cm3あたりの重量を測定し、加熱前の比重とした。ついで、この混合物を120℃で5時間加熱し、硬化物を得た。前記硬化物を充分粉砕し、この粉砕物の比重をピクノメーターを用いて測定し、加熱後の比重とし、下記式2によって比重変化率を求めた。
[式2]
比重変化率=加熱後の比重/加熱前の比重 ………2
(重量変化率)
ポリシロキサン化合物(A)とポリシロキサン化合物(B)の混合物の重量と、この混合物を120℃で5時間加熱した後の重量を測定し、下記式3によって重量変化率を求めた。
[式3]
重量変化率=加熱後の重量/加熱前の重量 ………3
(副生成物の発生量)
バインダー樹脂を構成する各材料を混合し、この混合物100gを常温から120℃まで、2℃/分の昇温速度で加熱した。加熱後のバインダー樹脂の重量を測定し、重量減少分を副生成物の発生量(重量部)とした。
【0042】
本発明の樹脂キャリアは、バインダー樹脂原料と磁性粉を混合し、水性媒体に懸濁し、硬化させることによって得られ、該バインダー樹脂原料が官能基としてエポキシ基を含有するポリシロキサン化合物(A)とこのポリシロキサン化合物(A)のエポキシ基と開環付加反応可能な官能基を有するポリシロキサン化合物(B)とを主成分とし、かつ該バインダー樹脂がエポキシ基の開環付加反応によって硬化したシリコーン樹脂であり、該バインダー樹脂中に、磁性粉が分散された構造になっている。
【0043】
すなわち、本発明の樹脂キャリア10は、図1に示すように、開環付加反応により硬化したシリコーン樹脂(開環付加反応物)12中に分散された磁性粉14とから形成されている。
【0044】
本発明のように、バインダー樹脂原料と磁性粉とを混合し、水性媒体に懸濁し、硬化させることにより、形状を制御しやすくなり、また、粒度分布幅が非常に狭く、磁性粉の露出が少なく、流動性とトナーへの帯電付与能力に優れた樹脂キャリアを得ることができる。
【0045】
また、ここで使用されるポリシロキサン化合物(A)は、開環するエポキシ基を官能基として含有していることが重要である。ここで使用されるエポキシを含有するポリシロキサン化合物は、反応に際してアルコールあるいは水などの副生成物が生じないように、アルコキシル基などの官能基を実質的に有していない化合物である。さらに、構造中にベンゼン環等の芳香環を含まない化合物であることが好ましい。構造中にベンゼン環を含む化合物をバインダー樹脂として用いると、帯電付与性能の環境安定性と、耐スペント性が著しく損なわれることがある。
【0046】
エポキシ基を有するポリシロキサン化合物は、エポキシ基を有していないポリシロキサン化合物に比べ、磁性粉との密着性が高いため、耐刷時における磁性粉の脱離が無く、帯電性能の劣化が少ない。
【0047】
また、バインダー樹脂としてポリシロキサン化合物を使用することにより、得られる樹脂キャリアの臨界表面張力が低くなり、スペントの発生を抑制するとともに、キャリアの流動性が高まるため、トナーに対して瞬時に所望の電荷を付与することができる。
【0048】
このようなポリシロキサン化合物の中でも、少なくとも側鎖にエポキシ基を有するポリシロキサン化合物が好ましく、一分子中に側鎖エポキシ基を少なくとも2個、または3個以上有するポリシロキサン化合物が特に好ましい。側鎖に複数の架橋点を持つポリシロキサン化合物は、たとえば主鎖の末端にのみ架橋点をもつ同種の化合物と比較し、より強靱な構造体を形成することができ、キャリアの機械的強度を向上させることができる。これにより、磁性粉の脱離が少なく、耐久性に優れたキャリアを得ることができる。
【0049】
さらに、上記ポリシロキサン化合物(A)とポリシロキサン化合物(B)とが、バインダーを構成する樹脂原料100重量部中に90重量部以上含有されていることが望ましい。樹脂原料100重量部中におけるこれらの量が、90重量部未満であると、開環付加反応により形成される架橋構造が少なくなり、機械的強度が低下しやすくなる。
【0050】
このポリシロキサン化合物(A)のエポキシ基当量は、通常は200〜1500g/モル、好ましくは300〜900g/モル、特に好ましくは400〜700g/モルの範囲内にある。エポキシ基当量が200g/モル未満であると、未反応なエポキシ基が残存し、帯電特性の制御が困難となりやすい。また、エポキシ基当量が1500g/モルを超えると、樹脂としての強度が不充分になりやすい。
【0051】
なお、このポリシロキサン化合物(A)のエポキシ基当量は、例えば、ポリシロキサン化合物(A)の試料をメチルエチルケトンに溶解し、氷酢酸を加え、臭化セチルトリメチルアンモニウムを当量より過剰に加え、直ちにクリスタルバイオレットを指示薬とし、過塩素酸の氷酢酸溶液で滴定することにより求めることができる。
【0052】
このポリシロキサン化合物(A)は、室温において流体であることが望ましく、このポリシロキサン化合物(A)の25℃における粘度が、10000cP以下であることが好ましい。粘度が10000cPを超えると、このポリシロキサン化合物(A)とポリシロキサン化合物(B)をバインダー樹脂の主原料として樹脂キャリアを製造する際に、ポリシロキサン化合物(A)とポリシロキサン化合物(B)が均一に混合されず、粒子間および粒子内において開環付加反応にばらつきが生じ、均一な組成をもったキャリア粒子を得ることが困難となるため、所望の特性を有する樹脂キャリアが得られないことがある。
【0053】
エポキシ基を有するポリシロキサン化合物(A)は、エポキシ基と開環付加反応可能な官能基を有するポリシロキサン化合物(B)、すなわち活性水素を官能基中に有するポリシロキサン化合物(B)と開環付加によって反応する。このポリシロキサン化合物(B)は、開環付加反応によって水、アルコールなどを副生成しない官能基を有するものであることが望ましく、このような官能基として、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基およびカルビノール基などの官能基を有する化合物が好ましい。したがって、ポリシロキサン化合物(B)は、上記の群から選ばれる少なくとも一種類の官能基を有する化合物である。
【0054】
このようなポリシロキサン化合物(B)の具体的な例としては、アミノ変性シリコーン樹脂、アミノ変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオリゴマー、カルボキシ変性シリコーン樹脂、カルボキシ変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオリゴマー、メルカプト変性シリコーン樹脂、メルカプト変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオリゴマー、カルビノール変性シリコーン樹脂、カルビノール変性シリコーンオイルおよびカルビノール変性シリコーンオリゴマー等が挙げられる。
【0055】
これらの中でも例えばアミノ変性シリコーン化合物のようなアミノ基を持つポリシロキサン化合物を用いると良好な反応性を示し、硬化後の強度も高く、現像機内のストレスによって、キャリア粒子が破壊されることがなく、磁性粉の脱離が発生しないため、耐久性に優れた樹脂キャリアを得ることができ、特に好ましい。このアミノ変性ポリシロキサン化合物のアミノ基としては、一級アミノ基、二級アミノ基の少なくとも一種類か、一級アミノ基、二級アミノ基を組み合わせて含むか、もしくは同じ側鎖基内に一級アミノ基、二級アミノ基が同時に含まれているかのいずれでもよく、いずれも良好にバインダー樹脂を硬化させることができ、所望の樹脂キャリアを得ることができる。また、上述のアミノ基を含み、かつ、三級アミノ基、および四級アミノ塩基を含んでいるポリシロキサン化合物を用いても良好な結果を得ることができる。これらの中でも、少なくとも一級アミノ基を含むポリシロキサン化合物であることが特に好ましい。
【0056】
また、アミノ基を有するポリシロキサン化合物(B)をバインダー樹脂原料として用いることにより、樹脂キャリア一粒子内での帯電能力が均一となり、耐刷時におけるストレスにより樹脂キャリアの表面の一部が脱離したとしても、帯電性能の変化が少なく、安定した現像剤性能を維持することができる。また、特に負極性トナーに対する帯電能力に優れており、帯電立ち上がり速度が速く、カブリやトナー飛散などを引き起こしにくい。
【0057】
なお、このようなポリシロキサン化合物(B)は、一分子中に異なる種類の官能基が存在していてもよく、また、特定の官能基を有する化合物と、その官能基と異なる官能基を有する化合物を複数組み合わせたものとしてもよい。しかしながら、これらのポリシロキサン化合物(B)はポリシロキサン化合物(A)との反応に際してアルコールあるいは水などの副生成物が生じないように、アルコキシル基などの官能基を実質的に有していない化合物である。
【0058】
このようなエポキシ基と反応可能な基を持つポリシロキサン化合物の中でも、側鎖にエポキシ基と反応可能な基を持つ化合物が好ましく、そのような側鎖官能基を分子内に2個または3個以上有する化合物が特に好ましい。側鎖に複数の架橋点を持つポリシロキサン化合物は、たとえば主鎖の末端にのみ架橋点をもつ同種の化合物と比較し、より強靱な構造体を形成することができ、キャリアの機械的強度を向上させることができる。これにより、磁性粉脱離が少なく、耐久性に優れたキャリアを得ることができる。
【0059】
さらに、上記のようなエポキシ基と開環付加反応可能な基を有するポリシロキサン化合物(B)の、エポキシ基と開環付加反応可能な官能基当量は、通常は100〜4000g/モル、好ましくは200〜1000g/モル、特に好ましくは300〜800g/モルの範囲内にある。上記ポリシロキサン化合物(B)の上記官能基当量が100g/モル未満であると、未反応な官能基が残存し、帯電特性の制御が困難となりやすい。また、上記官能基当量が4000g/モルを超えると、樹脂としての強度が不充分になりやすい。
【0060】
なお、これらポリシロキサン化合物(B)の官能基当量は、ポリシロキサン化合物(B)試料を、各々の官能基の定量方法に準じて求めることができる。例えば、ポリシロキサン化合物(B)のアミノ基当量を求める場合は、ポリシロキサン化合物(B)試料を強アルカリで加水分解して、水に可溶化した後、イオンクロマトグラフを用いてアミノ基を定量して算出できる。
【0061】
また、ポリシロキサン化合物(B)のカルボキシル基当量を求める場合は、ポリシロキサン化合物(B)の試料をトルエンに溶解し、プロムチモールブルーとフェノールレッドの混合指示薬を用い、あらかじめ標定された0.1M水酸化カリウムアルコール溶液で滴定することによって求めることができる。
【0062】
また、ポリシロキサン化合物(B)のメルカプト基当量を求める場合は、ポリシロキサン化合物(B)の試料を強アルカリで加水分解して、水に可溶化した後、亜硝酸や、p−クロロメタクリル安息香酸などの呈色試薬にて呈色させた後、吸光光度定量法により求めることができる。
【0063】
さらに、ポリシロキサン化合物(B)のカルビノール基当量を求める場合は、「化学製品の酸価、けん化価、エステル価、よう素価、水酸基価及び不けん化物の試験方法 JIS−K0070」に準じて求めることができる。
【0064】
上記のようなポリシロキサン化合物(B)は、室温において流体であることが望ましく、このポリシロキサン化合物(B)の25℃における粘度が、10000cP以下であることが好ましい。粘度が10000cPを超えると、このポリシロキサン化合物(A)とポリシロキサン化合物(B)をバインダー樹脂の主原料として樹脂キャリアを製造する際に、ポリシロキサン化合物(A)とポリシロキサン化合物(B)が均一に混合されず、粒子間および粒子内において開環付加反応にばらつきが生じ、均一な組成をもったキャリア粒子を得ることが困難となるため、所望の特性を有する樹脂キャリアが得られないことがある。
【0065】
本発明において、上記ポリシロキサン化合物(A)およびポリシロキサン化合物(B)の官能基の数の比(ポリシロキサン化合物(A)のエポキシ基の数/ポリシロキサン化合物(B)のエポキシ基と開環付加反応可能な官能基の数)は、0.3〜3.0の範囲内にあることが好ましく、さらに、0.5〜2.0の範囲内になるような量で上記ポリシロキサン化合物(A)および(B)が使用されることが特に好ましい。官能基の数の比が上記範囲内になるよう上記ポリシロキサン化合物(A)およびポリシロキサン化合物(B)を使用することにより、開環付加反応において、反応しうる官能基が相互に極端な過不足を生じることなく反応するため、良好に硬化がおこり、所望の樹脂キャリアを得ることができる。
【0066】
このようにエポキシ基を有するポリシロキサン化合物(A)と該エポキシ基と開環付加反応可能な官能基を有するポリシロキサン化合物(B)を、上記のような官能基の数の比に制御し、開環付加反応させることにより、機械的強度に優れ、磁性粉の脱離がなく、耐スペント性に優れ、キャリア及び現像剤特性を長期にわたって安定させることができる。
【0067】
エポキシ基の開環付加反応は、例えばフーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)を用いてポリシロキサン化合物(A)とポリシロキサン化合物(B)の混合物の赤外吸収スペクトル(スペクトル1)を測定し、ついで、ポリシロキサン化合物(A)とポリシロキサン化合物(B)の混合物を120℃で5時間加熱した硬化物について同様に赤外吸収スペクトル(スペクトル2)を測定し、これらを比較すると、上記スペクトル1ではポリシロキサン化合物(A)のエポキシ環特有の吸収ピークが観測されるが、上記スペクトル2ではそのピーク面積が大幅に減少していることが確認できる。このことはポリシロキサン化合物(A)中のエポキシ環が開環して、ポリシロキサン化合物(B)の官能基が付加反応し、化学結合が変化したことを示唆する。このことから、ポリシロキサン化合物(A)とポリシロキサン化合物(B)とが、エポキシ環の開環付加反応によって硬化していることがわかる。
【0068】
本発明では、所望の架橋密度と反応速度に制御するため、硬化剤を併用しながら開環付加反応を行うこともできる。ここで使用される硬化剤としては、従来公知の硬化剤を用いることができる。たとえば、
エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、m−ヘキサメチレン−トリアミン、エポメート(R)、1,3−ジアミノメチルシクロヘキサン等の脂肪族一級アミン類、
ピペリジン、イミダゾール、ポリアミドアミン等の脂肪族二級アミン類、
トリエチルアミン、アミノエチルピペラジン、テトラメチルグアニジン等の脂肪族三級アミン類、
m−フェニレンジアミン、ジアミノ−ジフェニル−メタン、ジアミノ−ジフェニル−スルホン等の芳香族一級アミン類、
ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2−メチルアミノメチルフェノール等の芳香族三級アミン類、
アミン−グリシジルエーテル付加物、アミン−シアノエチル付加物、アミン−フェニルグリシジルエーテル付加物等の変性アミン類、
無水フタル酸、無水マレイン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチル−1, 2, 3, 6−テトラヒドロ無水フタル酸、4−メチル−1, 2, 3, 6−テトラヒドロ無水フタル酸、ピロメリット酸無水物、トリメリット酸無水物、トリメリット酸グリコール、メチルナジック酸無水物、クロレン酸無水物、ドデシルコハク酸無水物、ジクロルマレイン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバチン酸無水物等の酸無水物類、
エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等のアルコール類、
液状ポリサルファイド、ポリメルカプタン等のチオール類などを挙げることができる。これらの中でも、芳香環を持たない化合物を使用すると、環境安定性と耐スペント性を損なうことがないので好ましい。これらの硬化剤は単独で、あるいは複数を組み合わせて使用することができる。
【0069】
これらの硬化剤は、バインダーを構成する樹脂100重量部中に、10重量部以下の量で使用されることが好ましく、1重量部以下の量で使用されることが特に好ましい。10重量部を超える量の硬化剤を用いると、所望の反応速度に制御することが困難となることがある。また、ポリシロキサン化合物を使用することにより得られた特性が失われることがある。すなわち、臨界表面張力が低く、スペントの発生を抑制し、また、キャリアの流動性を高め、トナーに対して瞬時に所望の電荷を付与することができるという特性を損ない、キャリアとしての性能が低下する場合がある。
【0070】
バインダー樹脂相には、上記のポリシロキサン化合物(A)、ポリシロキサン化合物(B)および硬化剤の他にも、従来公知の架橋剤、帯電制御剤、導電性制御剤、流動性制御剤等の各種添加剤が含有されていてもよい。
【0071】
本発明に用いられるポリシロキサン化合物(A)とポリシロキサン化合物(B)の混合物を120℃に加熱したときの加熱前後の比重変化率は、0.8〜1.2の範囲内にあることが望ましい。比重変化率がこの範囲内にある化合物は硬化時の体積変動が小さく、キャリア粒子中にクラックが発生することが少なく、磁性粉とバインダー樹脂との密着性が良好で、機械的強度に優れたキャリア粒子を得ることができる。
【0072】
また、本発明に用いられるポリシロキサン化合物(A)とポリシロキサン化合物(B)の混合物を120℃に加熱したときの加熱前後の重量変化率は、0.8〜1.0の範囲内にあることが望ましい。反応に伴う副生成物の脱離により、重量変化率が0.8より小さくなる化合物を用いると、キャリア粒子内部にボイドが発生しやすくなる。
【0073】
上記ポリシロキサン化合物(A)のエポキシ基と開環付加反応可能な官能基を有するポリシロキサン化合物(B)とは別に、バインダー樹脂中に、ポリシロキサン化合物(A)のエポキシ基と開環付加反応可能な官能基を有するオルガノシラン化合物を組み入れて使用しても良い。これらのオルガノシラン化合物は、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基およびカルビノール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の官能基を有することが好ましい。オルガノシラン化合物が上記の官能基を有することによりポリシロキサン化合物との反応性が高くなり、また、バインダー樹脂中における磁性粉の分散状態も均一にすることができ、さらに、磁性粉とバインダー樹脂との密着性が向上すると同時に、硬化後のバインダー樹脂相を補強し、機械的強度に優れた樹脂キャリア粒子を得やすくなる。特に、アミノ基含有オルガノシラン化合物を使用すると、上記エポキシ基含有ポリシロキサン化合物の反応性を促進するため好ましい。さらに、これらのオルガノシラン化合物は、本発明の樹脂キャリアとともに使用されるトナーの帯電性をあわせて考慮し、組合せて選択、使用することができる。本発明におけるオルガノシラン化合物としては、特に限定されないが、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、クロロγ−(トリメチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、クロロγ−トリメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−カルボキシプロピルトリメトキシシラン、γ−カルボキシプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。これらのオルガノシラン化合物は1種もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。さらに、これらのオルガノシラン化合物は、バインダーを構成するシリコーン樹脂成分100重量部中に通常は10重量部以下、好ましくは8重量部以下、さらには、5重量部以下の量で使用されることが特に好ましい。オルガノシラン化合物の含有量が10重量部を超えると、バインダー樹脂の硬化時において、オルガノシラン化合物由来の副生成物の発生量が多くなり、キャリア粒子中にボイドやクラックが発生することがある。
【0074】
さらに、上記バインダー樹脂が硬化反応する際に生じる副生成物の重量が、硬化前におけるバインダーを構成する化合物の合計100重量部に対して20重量部未満であることが好ましく、さらに15重量部未満であることが特に好ましい。20重量部以上であると、反応に伴う副生成物の脱離により、キャリア粒子内部にボイドが発生しやすくなる。
【0075】
従来、磁性粉分散バインダー型キャリアのバインダー樹脂として用いられてきたポリシロキサン化合物は、いずれも縮合反応により架橋して硬化するタイプのものであったため、硬化時に多量の副生成物を生じ、キャリア粒子内にボイドが生じる原因となっていた。そのため、機械的強度が低く、磁性粉が容易に脱離するため、それにより得られたキャリアは、耐久性に劣るものであった。
【0076】
これに対し、本発明で使用するバインダーは、反応に伴う副生成物の発生量が少ないため、キャリア粒子内にボイドが生じにくく、機械的強度に優れ、磁性粉が容易に脱離しない、耐久性に優れたキャリアを得るのに適している。
【0077】
本発明において用いられる磁性粉としては、従来公知のものを用いることができる。本発明で用いられる磁性粉の例としては、鉄粉、チッ化鉄粉、ニッケル粉、Fe−Si合金粉、Fe−Al−Si合金粉、フェライト粉、マグネタイト粉、マグヘマイト粉などを挙げることができる。上記磁性粉の体積平均粒子径は、通常は0.1〜10μm、好ましくは1.0〜8.0μmの範囲内にある。磁性粉の体積平均粒子径が、0.1μm未満であるとファンデルワールス引力等による凝集が著しくなり、磁性粉をバインダー樹脂中に均一に分散させることが困難となる。また、磁性粉の体積平均粒子径が10μmを越えると、磁性粉が樹脂キャリアから突出し、形状が悪化し、また、電荷のリークポイントとなり、さらに、磁性粉が脱離しやすくなる。
【0078】
これらの磁性粉は、樹脂キャリア100重量部中に、通常は20〜95重量部、好ましくは35〜90重量部の範囲内で使用される。20重量部未満の場合、所望の磁化を得ることが困難である。また、95重量部を超える場合、樹脂キャリア中に磁性粉を均一に分散させることが困難となり好ましくない。上記のような範囲内の粒子径を有する磁性粉を、上記の範囲内の含有量になるように用いることにより、バインダー樹脂中に磁性粉を均一に分散させることができるとともに、充分な磁気特性を有する樹脂キャリアを得ることができる。
【0079】
また、本発明で用いられる磁性粉は、親油化処理されていることが好ましい。そうすることにより、磁性粉とバインダー樹脂との密着性が向上し、磁性粉の脱離が少なくなる。このような親油化処理の方法としては、磁性粉に、バインダー樹脂と親和性の高い材料を塗布し、加熱処理等により磁性粉表面に固着させる方法などを挙げることができる。本発明におけるバインダー樹脂と親和性の高い材料としては、例えば、シランカップリング剤、アルミネートカップリング剤およびチタネートカップリング剤等の公知のカップリング剤を挙げることができ、これらを1種もしくは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0080】
上記樹脂キャリアを構成する材料の混合物を均一に混合するためには、例えばロール、ニーダー、エクストラルルーダーのような混練装置を用いて混合することが好ましい。
【0081】
本発明の樹脂キャリアは、上記混合物を水性媒体に懸濁し、開環付加反応により硬化させる方法により得ることができる。
【0082】
上記混合物を水性媒体中に懸濁させる際には、樹脂キャリアの形状、粒径および粒度分布を制御するために水性媒体中に懸濁安定剤や分散剤を加えてもよい。ここで懸濁安定剤や分散剤としては、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの無機塩、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなどの水溶性高分子化合物、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両イオン性界面活性剤及び、ノニオン系界面活性剤などを使用することができる。
【0083】
アニオン系界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油等の脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができる。また、カチオン系界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩等を挙げることができる。また、両イオン性界面活性剤としては、例えば、アミノカルボン酸塩、アルキルアミノ酸等を挙げることができる。さらに、ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン、脂肪酸エステル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックポリマー等を挙げることができる。
【0084】
このような懸濁安定剤や分散剤は、水性媒体100重量部に対して、30重量部以下、好ましくは20重量部以下の量で使用される。懸濁安定剤や分散剤が30重量部より多いと、懸濁安定剤や分散剤を除去する工程が困難になり、また、得られたキャリア粒子の環境依存性にも悪影響を及ぼす場合がある。
【0085】
また、分散媒である水性媒体としては、通常は水が使用される。しかし、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の各種有機溶媒を水に少量添加して極性を調整して使用しても良い。ここで使用される水性媒体の量は、上記ポリシロキサン化合物(A)、ポリシロキサン化合物(B)および磁性粉などを含有する混合物100重量部に対して、通常は100〜1000重量部、好ましくは300〜600重量部の範囲内にある。媒体の量が100重量部より少ないと上記混合物の媒体中での懸濁安定性が低下することがある。また、1000重量部より多いと生産性が低下することがある。
【0086】
上記ポリシロキサン化合物(A)およびポリシロキサン化合物(B)と、磁性粉と、必要により添加されるオルガノシラン化合物、硬化剤およびその他の添加剤との混合物は、予め懸濁安定剤や分散剤が加えられた水性媒体中に、例えば攪拌羽を持った混合装置を用いて懸濁される。こうして懸濁された混合物の懸濁粒子の粒子径は、得られる樹脂キャリアの粒子径とほぼ同等になるので、水性媒体への混合物の懸濁状態をできるだけ均一に行うことが望ましい。
【0087】
このようにして混合物を水性媒体に均一に懸濁させた後、加熱することにより、懸濁粒子中のエポキシ基の開環付加反応による硬化が進行する。
【0088】
すなわち、上記のようにして調製された懸濁液を、通常は50℃以上100℃未満、好ましくは70℃以上90℃以下の範囲内の温度に加熱することにより硬化反応が開始される。温度が50℃未満であると、開環付加の反応速度が遅く、時間を要するため生産性が低下する。また、常圧で100℃以上になると水性媒体が沸騰するため、加圧下で反応を起こさせる必要があり、工業的に実施するためには多大な設備が必要になる。このような温度条件において、反応時間は、通常1〜10時間である。
【0089】
このように反応させた後、懸濁液を室温付近にまで冷却し、懸濁安定剤および分散剤を除去する。例えば、懸濁安定剤としてリン酸カルシウムを使用した場合には、懸濁液を塩酸等により酸性にし、リン酸カルシウムを溶解させ、ついで、繰り返し水で洗浄することにより除去することができる。
【0090】
こうして沈殿した懸濁粒子を通常の固液分離方法、例えば、濾過、加圧濾過、遠心分離などを利用して分離する。
【0091】
分離された粒子を乾燥し、さらに熱を加えることで、エポキシ基の開環付加反応が完結する。
【0092】
すなわち、上記のようにして分離された樹脂キャリアを、通常は100℃〜300℃、好ましくは120℃〜250℃の範囲内の温度に加熱することにより反応が完結する。このような温度条件において、反応時間は、通常、1〜10時間である。温度が100℃未満であると反応が完結するまでに時間を要するため生産性が低下する。また、温度が300℃を超えるとバインダー樹脂が劣化し、キャリアとしての性能が損なわれることがある。
【0093】
このように反応させた後、樹脂キャリアを室温付近にまで冷却し、必要により解砕し、さらに分級することにより、本発明の樹脂キャリアが得られる。
【0094】
このようにして得られる樹脂キャリアの体積平均粒子径は、15〜80μm、好ましくは20〜60μm、さらには20〜50μmの範囲内にあることが好ましい。また、体積平均粒子径±10μmの粒子径を有する粒子が、得られる粒子全体の通常は50重量%以上、好ましくは65重量%以上、さらには80重量%以上である。体積平均粒子径が15μm未満であると、キャリアが感光体に付着し、白斑等の画像欠陥を引き起こしやすく、80μmを越えると、表面積が小さくなり、帯電付与能力が低下する傾向にある。
【0095】
本発明の樹脂キャリアの真比重は、通常は1.5〜4.0、好ましくは2.0〜3.8、さらに好ましくは2.2〜3.7の範囲内である。真比重が1.5未満であると、帯電の立ち上がり速度が遅く、トナー飛散やカブリを引き起こしやすい。また、4.0を超えると、現像機内でのストレスが増大し、トナースペントを抑制しにくくなる。
【0096】
嵩密度は、通常は0.8〜2.5g/cm3、好ましくは0.9〜2.2g/cm3、さらに好ましくは1.0〜2.0g/cm3にある。これは、従来の鉄粉キャリアまたはフェライトキャリアよりも低密度であり、キャリアの軽量化が図られ、トナースペントの発生を抑制することができる。
【0097】
本発明の樹脂キャリアの形状係数は、通常は1.0〜2.5、好ましくは1.0〜2.0、特に好ましくは1.0〜1.8の範囲内である。形状係数が、2.5を越えると樹脂キャリアの流動性が悪化し、均一にトナー粒子と混合・攪拌を行うことができず、帯電特性が悪化することがある。
【0098】
また、本発明の樹脂キャリアについて、5000k/4π・A/m(5kOe)における磁化は、通常は30〜90Am2/kg(emu/g)、好ましくは35〜80Am2/kg(emu/g)、さらに好ましくは50〜75Am2/kg(emu/g)の範囲内である。30Am2/kg(emu/g)未満であると、キャリア付着が発生しやすく、90Am2/kg(emu/g)を超えると、磁気ブラシの穂が固くなりすぎるため、画質が悪くなる傾向にある。
【0099】
また、本発明の樹脂キャリアについて、5000V/cmの電界印加時における抵抗が通常は104Ω〜1013Ω、さらには105Ω〜1012Ωの範囲内が好ましい。抵抗が104Ω未満であると、電荷リークが生じやすく、ベタ部のハケスジや白斑等の画像欠陥を引き起こしやすく、抵抗が1013Ωを超えると、画像濃度が得られにくくなる。
【0100】
上述した方法により得られる樹脂キャリアは、表面が滑らかであり、粒度分布幅が非常に狭く、流動性に優れているため、トナーへの帯電量付与能力に優れている。また、水やアルコール等の副生成物の発生が非常に少なく、また加熱前後の比重変化率及び重量変化率が小さいため、樹脂キャリア内部にボイドやクラックが発生しにくく、耐久性に優れている。また、粉砕工程および高精度の分級工程が必要ないことから、歩留まりが高く、生産性にも優れる。
【0101】
なお、本発明の樹脂キャリアは、上記のようにして図1に示すような断面を有する粒子をそのまま使用することもできるし、図2に示すように、樹脂キャリア20の表面に被覆層26を形成することもできる。なお、図2において、付番22は開環付加反応物(バインダー樹脂)であり、付番24は磁性粉である。
【0102】
このような樹脂による被覆層を形成する方法としては、公知のいかなる方法を用いても良い。例えば、刷毛塗り法、乾式法、流動床によるスプレードライ方式、ロータリドライ方式、万能攪拌機による液浸乾燥法等により被覆することができる。このように樹脂で被覆することにより、長期にわたって電気抵抗や帯電量が安定した樹脂キャリアが得られる。また、この被覆層26を形成する樹脂組成や該樹脂組成に含有させる添加剤などを調整することにより、この樹脂キャリアの電気特性を制御することも可能である。
【0103】
ここで樹脂被膜を形成する被覆樹脂としては、従来から知られている各種の樹脂を用いることが可能である。このような被覆樹脂の例としては、フッ素系樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素−アクリル樹脂、フッ素−エポキシ樹脂、アクリル−スチレン樹脂およびシリコーン樹脂;ならびに、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、または、フッ素樹脂などの樹脂で変性された変性シリコーン樹脂等を挙げることができる。
【0104】
これらの中でも本発明の樹脂キャリアを構成するバインダー樹脂と親和性および層間密着性の高い、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂が好ましい。さらに、長期にわたって、より安定した現像剤特性を保ち、現像装置内における苛酷な条件によっても影響を受けにくくするために、上記被覆樹脂が樹脂キャリアを形成するバインダー樹脂と同成分の樹脂、すなわちエポキシ基を有する変性シリコーン樹脂、またはエポキシ基と開環付加反応可能な官能基を有する変性シリコーン樹脂を含有することが好ましい。そうすることにより、樹脂キャリアと被覆樹脂間の層間密着性が高くなり、耐久性がさらに向上する。このような構造を有する樹脂を使用することにより、耐摩耗性、耐剥離性、耐スペント性が良好になる。
【0105】
これらの被覆樹脂はキャリアに付与される極性を考慮して使用される。また、これら被覆樹脂の強度を向上させるために、オキシム型等の架橋剤を含有させることもできる。
【0106】
このような樹脂は、上記樹脂キャリア粒子100重量部に対して通常は0.01〜10.0重量部、好ましくは0.3〜7.0重量部、さらに好ましくは0.5〜5.0重量部の範囲内の量で使用される。被覆量が0.01重量部未満ではキャリア表面に均一な被覆層を形成することが難しく、また10.0重量部を超えるとキャリア同士の凝集が発生しやすくなり、歩留まり悪化等の生産性の低下とともに、現像装置内での現像剤の流動性あるいは現像剤の帯電量等の現像剤特性が変動する原因となりやすい。
【0107】
さらに、上記被覆樹脂中には、帯電制御剤としてシランカップリング剤を含有させることができる。シランカップリング剤を使用することにより、被覆キャリアの帯電能力を制御することがきる。帯電能力の調整のために使用できるカップリング剤の種類に限定は無いが、負極性トナーを使用する場合にはアミノシランカップリング剤が好ましく、正極性トナーを使用する場合にはフッ素系シランカップリング剤が好ましい。このようなシランカップリング剤は、被覆剤として用いる樹脂100重量部に対して、通常は0.01〜50重量部、好ましくは0.1〜30重量部の範囲内の量で使用される。添加量が少なすぎると帯電制御剤の効果があまり見られず、添加量が多すぎると撹拌ストレスにより過度に帯電量が上昇することがある。
【0108】
また、本発明では被覆樹脂中に導電性微粒子を添加して被覆キャリアの電気抵抗を調整することができる。すなわち、本発明で使用される被覆キャリアは、樹脂の被覆量が多くなると被覆キャリアの電気抵抗が過度に高くなることがあり、現像剤の現像能力が低下することがある。このような場合において、被覆キャリアの被覆剤中に少量の導電性微粒子を配合して被覆キャリアの電気抵抗値を調整することができる。しかしながら、導電性微粒子の電気抵抗値は、被覆樹脂や芯材に比べ低抵抗であるため、添加量が多すぎると、この導電性微粒子に起因して、被覆キャリアからの電荷リークが生じることがある。従って、このような導電性微粒子の添加量は、被覆樹脂の固形分に対して、通常は0.25〜20.0重量%、好ましくは0.5〜15.0重量%、特に好ましくは1.0〜10.0重量%の範囲内である。
【0109】
本発明においては、導電性微粒子としては、例えば、導電性金属微粉末、導電性カーボンおよび酸化チタン、酸化スズ等の酸化物にアンチモンなどをドープしたもの等の無機導電性微粒子等を使用することができる。これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。
【0110】
本発明の二成分系現像剤は、上記のような樹脂キャリアとトナー粒子とからなる。本発明で使用するトナー粒子には、粉砕法によって製造される粉砕トナー粒子と、重合法により製造される重合トナー粒子とがある。本発明ではいずれの方法により得られたトナー粒子も使用することができる。
【0111】
粉砕トナー粒子は、例えば、結着樹脂、荷電制御剤、着色剤をヘンシェルミキサー等の混合機で充分に混合し、次いで、二軸押出機等で溶融混練し、冷却後、粉砕、分級し、外添剤を添加後、ミキサー等で混合することにより得ることができる。
【0112】
トナー粒子を構成する結着樹脂としては特に限定されるものではないが、ポリスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、さらにはロジン変性マレイン酸樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂およびポリウレタン樹脂等を挙げることができる。これらは単独または混合して用いられる。
【0113】
荷電制御剤としては、任意のものを用いることができる。例えば正荷電性トナー用としては、ニグロシン系染料および4級アンモニウム塩等を挙げることができ、また、負荷電性トナー用としては、含金属モノアゾ染料等を挙げることができる。
【0114】
着色剤(色材)としては、従来から知られている染料およびまたは顔料が使用可能である。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントレッド、クロムイエロー、フタロシアニングリーン等を使用することができる。その他、トナーの流動性、耐凝集性向上のためシリカ粉体、チタニア等のような外添剤をトナー粒子に応じて加えることができる。
【0115】
重合トナー粒子は、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の方法で製造されるトナー粒子である。このような重合法トナー粒子は、例えば、界面活性剤を用いて着色剤を水中に分散させた着色分散液と、重合性単量体、界面活性剤および重合開始剤を水性媒体中で混合攪拌し、重合性単量体を水性媒体中に乳化分散させて、攪拌、混合しながら重合させた後、たとえば塩析剤を加えて重合体粒子を塩析させ、塩析によって得られた粒子を、濾過し、洗浄し、乾燥させることにより得ることができる。その後必要により、乾燥させたトナー粒子に外添剤を添加する。
【0116】
さらに、この重合トナー粒子を製造するに際しては、重合性単量体、界面活性剤、重合開始剤、着色剤以外に、定着性改良剤、帯電制御剤を配合することができ、これらにより得られた重合トナー粒子の諸特性を制御、改善することができる。また、水性媒体への重合性単量体の分散性を改善するとともに、得られる重合体の分子量を調整するために連鎖移動剤を用いることができる。
【0117】
上記重合トナー粒子の製造に使用される重合性単量体に特に限定はないが、例えば、スチレン及びその誘導体、エチレン、プロピレン等のエチレン不飽和モノオレフィン類、塩化ビニル等のハロゲン化ビニル類、酢酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエステルおよびメタクリル酸ジエチルアミノエステル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類等を挙げることができる。
【0118】
上記重合トナー粒子の調整に使用される着色剤(色材)としては、従来から知られている染料及びまたは顔料が使用可能である。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントレッド、クロムイエローおよびフタロシアニングリーン等を使用することができる。また、これらの着色剤は、例えば、シランカップリング剤やチタンカップリング剤等の表面改質剤を用いてその表面が改質されていてもよい。
【0119】
上記重合トナー粒子の製造に使用される界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両イオン性界面活性剤及び、ノニオン系界面活性剤を使用することができる。
【0120】
ここで、アニオン系界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油等の脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができる。また、カチオン系界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩等を挙げることができる。また、両イオン性界面活性剤としては、例えば、アミノカルボン酸塩、アルキルアミノ酸等を挙げることができる。さらに、ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン、脂肪酸エステル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックポリマー等を挙げることができる。
【0121】
上記のような界面活性剤は、重合性単量体に対して、通常は0.01〜10重量%の範囲内の量で使用することができる。このような界面活性剤の使用量は、単量体の分散安定性に影響を与えるとともに、得られた重合トナー粒子の環境依存性にも影響を及ぼすことから、単量体の分散安定性が確保され、かつ重合トナー粒子の環境依存性に過度の影響を及ぼしにくい上記範囲内の量で使用することが好ましい。
【0122】
重合トナー粒子の製造には、通常は重合開始剤を使用する。重合開始剤には、水溶性重合開始剤と油溶性重合開始剤とがあり、本発明ではいずれをも使用することができる。本発明で使用することができる水溶性重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、水溶性パーオキサイド化合物を挙げることができ、また、油溶性重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物、油溶性パーオキサイド化合物等を挙げることができる。
【0123】
また、本発明において連鎖移動剤を使用する場合には、この連鎖移動剤としては、例えば、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類、四臭化炭素等を挙げることができる。
【0124】
さらに、本発明で使用する重合トナー粒子が、定着性改良剤を含む場合、この定着性改良剤としては、カルナバワックス等の天然ワックス、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系ワックス等を使用することができる。
【0125】
また、本発明で使用する重合トナー粒子が、帯電制御剤を含有する場合、使用する帯電制御剤に特に制限はなく、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩、有機金属錯体、含金属モノアゾ染料等を使用することができる。
【0126】
さらに、重合トナー粒子の流動性向上等のために使用される外添剤としては、例えば、シリカ、酸化チタン、チタン酸バリウム、フッ素微粒子、アクリル微粒子等を挙げることができ、これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。
【0127】
重合トナー粒子を製造する際に、水性媒体から重合粒子を分離するために使用される塩析剤としては、例えば、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム等の金属塩を挙げることができる。
【0128】
上記のようにして製造されたトナー粒子の体積平均粒子径は、3〜15μm、好ましくは5〜10μmの範囲内にある。トナー粒子の平均粒子径が3μmよりも小さくなると、帯電能力が低下しカブリやトナー飛散を引き起こしやすくなり、15μmを超えると、画質が劣化する原因となる。本発明におけるキャリアと共に現像剤を構成するトナーとしては、重合法により得られたトナーが好ましい。重合法により得られたトナーは、粒度分布幅が狭く、粒子の均一性が高いため、帯電量分布が狭く、また、本発明におけるキャリアと共に用いることにより、より流動性の高い現像剤を得ることができ、高画質を得られやすい。
【0129】
上記のようにして製造された樹脂キャリアおよびトナー粒子を混合することにより、本発明の電子写真用現像剤を得ることができる。この場合、現像剤中におけるトナー粒子の含有濃度、すなわちトナー濃度は、5〜15%の範囲内に設定することが好ましい。5%未満であると所望の画像濃度が得にくく、15%を超えると、トナー飛散やかぶりが発生しやすくなる。
【0130】
本発明の電子写真用二成分系現像剤は、トナー帯電量の立ち上がりがよく、長時間使用してもトナースペントが生じにくく、安定した帯電量を得ることができる。すなわち、本発明の電子写真用二成分系現像剤は、トナー帯電量の立ち上がりがよく、長時間攪拌してもトナースペントを生じず、安定な帯電量を示し、好適には、600分後の帯電量/1分後の帯電量の比で表される帯電量変化率が、0.75≦(帯電量変化率=600分値/1分値)≦1.5の範囲内にある。また、この電子写真用二成分系現像剤は、環境安定性にも優れており、低温低湿下(10℃、15%RH)の帯電量/高温高湿下(35℃、85%RH)の帯電量の比で表される帯電量比は、好適には、(低温低湿下/高温高湿下)の帯電量比≦1.45の関係を有する。
【0131】
上記のようにして製造された二成分系現像剤は、有機光導電体層を有する感光体に形成されている静電潜像を現像する電子写真方式(コピー機、プリンター、FAX、印刷機等)の装置で使用することができる。特に、潜像を保持するための感光体と対向する磁気ブラシの現像領域で、現像部に交流成分と直流成分を有するバイアス電界を付与しながら潜像をトナー粒子で現像する画像形成方法に適している。特に、上述した交番電界を用いるフルカラー機、デジタル機等の現像剤として適している。
【0132】
【発明の効果】
本発明の電子写真現像剤用キャリアは、製造時に水やアルコールなどの副生成物の発生が少なく、得られたキャリアは、磁性粉の脱離が無く、機械的強度が高く、耐久性に優れ、さらには環境安定性が良く、トナースペントの発生を抑制でき、流動性が良く、トナーに対する帯電付与能力に優れている。
【0133】
本発明の二成分系現像剤を用いることにより、長期にわたって帯電量等の現像剤特性を安定に保持することができる。
【0134】
さらに、本発明の二成分系現像剤を用い、交番電界によって静電潜像を現像することにより、高品位の画質を得ることができる。
【0135】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(ポリシロキサン化合物の合成)
本発明で使用したポリシロキサン化合物は、以下のようにして合成した。
合成例1
水100重量部、トルエン400重量部、低級アルコール(ブチルアルコール・プロピルアルコール混合液)100重量部を混合し、ここに、ジメチルジクロロシラン400重量部とトリメチルクロロシラン22重量部との混合溶液を、攪拌しながらゆっくりと滴下した。滴下後、2時間還流した。室温まで冷却後、水相を除去し、油相を600重量部の10%炭酸水素ナトリウム水溶液で1回、水で4回洗浄して塩酸を除去した。油相に無水硫酸ナトリウムを加えて水分を除去したのち、トルエンを留去して、ポリジメチルシロキサンの50%トルエン溶液を得た。この溶液に対し、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン154重量部、10%水酸化ナトリウム水溶液1重量部及びジメチルホルムアミド15重量部を加えて3時間還流した。室温まで冷却した後、酢酸を加え、沈殿した塩を濾別した。濾液を水で4回洗浄して過剰な酢酸を除去した後、無水硫酸ナトリウムで溶液を乾燥させ、減圧下でトルエンとジメチルホルムアミドを留去し、粘度65cP、エポキシ基当量550g/モルのエポキシ変性シリコーン(A−1)を得た。
合成例2
合成例1において、ジメチルジクロロシランを194重量部とした以外は同様に合成し、粘度21cP、エポキシ基当量380g/モルのエポキシ変性シリコーン(A−2)を得た。
合成例3
合成例1において、ジメチルジクロロシランを710重量部とした以外は同様に合成し、粘度100cP、エポキシ基当量800g/モルのエポキシ変性シリコーン(A−3)を得た。
合成例4
合成例1において、ジメチルジクロロシランを1433重量部とした以外は同様に合成し、粘度200cP、エポキシ基当量1400g/モルのエポキシ変性シリコーン(A−4)を得た。
合成例5
合成例1において、ジメチルジクロロシランを181重量部とし、さらにγ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン154重量部に代えてN−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン164重量部を加えた以外は同様に合成し、粘度30cP、官能基当量360g/モルのアミノ変性シリコーン(B−1)を得た。
合成例6
合成例5において、ジメチルジクロロシランを90重量部とした以外は同様に合成し、粘度21cP、官能基当量280g/モルのアミノ変性シリコーン(B−2)を得た。
合成例7
合成例5において、ジメチルジクロロシランを1213重量部とした以外は同様に合成し、粘度150cP、官能基当量1200g/モルのアミノ変性シリコーン(B−3)を得た。
【0136】
【実施例1】
バインダー樹脂原料として、エポキシ変成シリコーン(A−1)32.1重量部、アミノ変成シリコーン(B−1)17.8重量部、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン1.6重量部を混合し、次に、このバインダー樹脂原料と、磁性粉である体積平均粒子径3.1μmに粒度調整したマグネタイト粉150重量部を、ニーダーにて混練してペーストを得た。
【0137】
イオン交換水9重量部にリン酸カルシウム1重量部を分散させ、上記ペースト3重量部を添加し、ホモジナイザーにて5分間攪拌した。攪拌後の懸濁液を80℃で5時間撹拌しながら加温した後、25℃にまで冷却し、次いで、塩酸を加えてリン酸カルシウムを溶解させ、濾過して、濾物を得た。
【0138】
得られた濾物を水で洗浄した後乾燥させ、170℃で5時間硬化させた後、解砕して樹脂キャリア粒子を得た。この粒子をキャリア1とし、物性値等を測定した結果を表1及び表2に示す。
【0139】
【実施例2】
エポキシ変性シリコーン(A−1)62.3重量部、アミノ変性シリコーン(B−1)34.6重量部、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン3.1重量部を充分に混合した。得られた混合物をトルエン1000重量部に溶解させてコーティング樹脂溶液を得た。実施例1で得られた樹脂キャリア粒子10000重量部に対し、上述のコーティング樹脂溶液を、流動床コーティング装置を用いコーティングを行った。その後、220℃で2時間焼き付けを行った。この粒子をキャリア2とし、物性値等を測定した結果を表1及び表2に示す。
【0140】
【実施例3】
実施例1において、バインダー樹脂原料として、エポキシ変成シリコーン(A−2)を55.8重量部、アミノ変性シリコーン(B−2)を40.5重量部、γ−アミノプロピルトリエトキシシランを7.8重量部、磁性粉として、マグネタイト粉を100重量部とした以外は同様に調製し、樹脂キャリア粒子を得た。この粒子をキャリア3とし、物性値等を測定した結果を表1及び表2に示す。
【0141】
【実施例4】
実施例1において、バインダー樹脂原料として、エポキシ変成シリコーン(A−3)を75.8重量部、アミノ変性シリコーン(B−2)を9.3重量部、γ−アミノプロピルトリエトキシシランを8.5重量部、磁性粉として、マグネタイト粉を300重量部とした以外は同様に調製し、樹脂キャリア粒子を得た。この粒子をキャリア4とし、物性値等を測定した結果を表1及び表2に示す。
【0142】
【実施例5】
実施例1において、バインダー樹脂原料として、エポキシ変成シリコーン(A−4)を49.0重量部、アミノ変性シリコーン(B−3)を35.9重量部、γ−アミノプロピルトリエトキシシランを8.6重量部、3−メチル−1, 2, 3, 6−テトラヒドロ無水フタル酸3.3重量部、磁性粉として、マグネタイト粉を300重量部とした以外は同様に調製し、樹脂キャリア粒子を得た。この粒子をキャリア5とし、物性値等を測定した結果を表1及び表2に示す。
【0143】
【比較例1】
酸化鉄(III)100重量部に水100重量部およびポリビニルアルコール1重量部を加え、湿式ボールミルで24時間粉砕を行ったスラリーを造粒乾燥し、窒素雰囲気中、1300℃で6時間保持した後、解砕し、粒度調整を行ってマグネタイト粒子を得た。次に、合成例1に記載のエポキシ変性シリコーン(A−1)93重量部、合成例5に記載のアミノ変性シリコーン(B−1)53重量部、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン4重量部および3−メチル−1, 2, 3, 6−テトラヒドロ無水フタル酸0.1重量部を充分に混合し、得られた混合物100重量部をトルエン1000重量部に溶解させてコーティング樹脂溶液を得た。得られたマグネタイト粒子10000重量部に対し、得られたコーティング樹脂溶液を、流動床コーティング装置を用いコーティングを行った。その後、220℃で2時間焼き付けを行って樹脂被覆キャリア粒子を得た。この粒子をキャリア6とし、物性値等を測定した結果を表1及び表2に示す。
【0144】
【比較例2】
バインダー樹脂原料として、アルコキシ変成シリコーン(SR−2402、東レ・ダウコーニング(株)製)100重量部、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン15重量部およびジブチルスズラウリレート4重量部を、磁性粉として、体積平均粒子径0.75μmに粒度調整したマグネタイト微粒子300重量部とともに、ニーダーにて混練してペーストを得た。
【0145】
イオン交換水20重量部にリン酸カルシウム2重量部を分散させ、上記ペースト1重量部を添加し、ホモジナイザーにて2分間攪拌した。攪拌後の懸濁液を80℃で2時間加温した後、25℃にまで冷却し、次いで、塩酸を加えてリン酸カルシウムを溶解させ、濾過して、濾物を得た。
【0146】
得られた濾物を乾燥させ、80℃で2時間硬化させた後、解砕して樹脂キャリア粒子を得た。この粒子をキャリア7とし、物性値等を測定した結果を表1及び表2に示す。
【0147】
【比較例3】
スチレン70重量部、メチルメタクリレート20重量部、ジビニルベンゼン2重量部、ジエチレングリコールジメタクリレート8重量部、2, 2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)6重量部、過酸化ジラウロイル0.5重量部および実施例1に示すマグネタイト粉末50重量部を予め混合して減圧脱気し、この混合物を、イオン交換水1200重量部、リン酸カルシウム80重量部およびラウリル硫酸ナトリウム0.5重量部からなる分散液を入れた反応容器中に添加し、窒素雰囲気下でホモジナイザーにて5分間攪拌した。攪拌後のスラリーを窒素雰囲気下において80℃で5時間加温した後、25℃にまで冷却し、次いで、塩酸を加えてリン酸カルシウムを溶解させ、濾過して濾物を得た。
【0148】
得られた濾物を乾燥させて樹脂キャリア粒子を得た。この粒子をキャリア8とし、物性値等を測定した結果を表1及び表2に示す。
【0149】
【比較例4】
バインダー樹脂として、エポキシ変性シリコーン樹脂ES1001N(信越化学工業(株)製、樹脂固形分45重量%、エポキシ当量1700g/モル)を400重量部、磁性粉として、実施例1に示すマグネタイト粉末270重量部を予め混合し、80℃で加熱、混練しながら樹脂溶剤を留去して固形物とした。放置冷却した後、粉砕分級し、120℃で2時間加熱キュアした後、解砕、粒度調整してキャリア粒子を得た。この粒子をキャリア9とし、物性値等を測定した結果を表1及び表2に示す。
【0150】
【表1】
【0151】
【表2】
【0152】
現像剤の特性
各キャリア粒子90重量部および市販のポリエステルトナー(CF−70用トナー:ミノルタ(株)製、体積平均粒子径:9.8μm)10重量部を容積10ccのサンプル瓶に入れ、振幅5cm、振動数22.5Hzにて10時間攪拌した。その際、所定時間毎にサンプルを抜き取り、吸引式帯電量測定装置(q/m−meter、Epping GmbH PES−Laboratorium社製)を用い、常温常湿下(23℃/55%RH)において帯電量を測定して、現像剤としての耐久性を評価した。また、10時間攪拌後の現像剤の表面観察を行い、キャリアへのトナースペントの様子を確認した。さらに、これとは別に、高温高湿下(35℃/85%RH)及び低温低湿下(10℃/15%RH)において、60分撹拌した後、同様に帯電量を測定し、その帯電量の比(低温低湿下での帯電量/高温高湿下での帯電量)を求めた。トナースペントの評価方法及び上記の結果を表3及び表4に示す。
(トナースペントの評価)
電子顕微鏡(JSM−6100型:日本電子(株)製)を用い、印加電圧5kVにて反射電子像を撮影し、トナースペントの状態を目視により観察した。
A:トナースペントがほとんど観察されない。
B:わずかながらトナースペントが観察される。
C:トナースペントがあるが、許容範囲である。
D:トナースペントが多い。
E:トナースペントが非常に多い。
【0153】
【表3】
【0154】
【表4】
【0155】
表3及び表4より、本発明のキャリア粒子を現像剤として用いた場合、トナー帯電量の立ち上がりがよく、長時間攪拌してもトナースペントを生じず、安定な帯電量を示している[好適には、0.75≦(帯電量変化率=600分値/1分値)≦1.5]。また環境安定性にも優れている[好適には、(低温低湿下/高温高湿下)で表される帯電量比≦1.45]。
実写評価
得られたキャリアとミノルタ(株)製の市販のCF−70用トナー(マゼンダ、シアン、イエロー、ブラック)とを、それぞれのトナー濃度が10%になるように混合して二成分系現像剤を調製した。
【0156】
得られた二成分系現像剤について、市販機(CF−70、ミノルタ(株)製)のトナー濃度センサー出力設定を変更した装置を用い、1万枚(1千枚を1kと表記し、例えば1万枚を10kと表記することもある)耐刷試験を行った。その際の耐刷後の画像評価(画像濃度、カブリ、トナー飛散、キャリア付着(白斑)、解像度)およびこれらを基にした二成分現像剤の総合評価を表5に示す。表5の評価は、ランク付けにて行った。「C」以上が実用上問題ないレベルである。具体的な評価方法を以下に示す。
(画像濃度)
適正現像条件下で出力し得られたプリント画像の画像濃度の評価を行った。ベタ部の画像濃度をX−Rite(Model 938 X−Rite Inc.社製)にて測定し、ランク付けを行った。
A:非常に良い
B:目標画像濃度の範囲である
C:画像濃度が若干低めであるが使用可能
D:目標下限を下回っている
E:画像濃度が非常に低く使用不可能
(カブリ)
適正現像条件下で出力し得られたプリント画像のカブリの濃度を色差計Z−300A(日本電色工業(株)製)を用いて測定した。
A:0.5未満
B:0.5以上1.0未満
C:1.0以上1.5未満
D:1.5以上2.0未満
E:2.0以上
(トナー飛散)
装置内におけるトナー飛散の状態を目視により観察しランク付けを行った。
A:全く見られない
B:ごく微量観察された
C:限界レベル
D:多い
E:非常に多い
(キャリア飛散)
画像上のキャリア付着、白斑のレベルを評価した。
A:A3用紙10枚中に白斑が無いこと
B:A3用紙10枚中に1〜5個
C:A3用紙10枚中に6〜10個
D:A3用紙10枚中に11〜20個
E:A3用紙10枚中に21個以上
(解像度)
適正現像条件下で出力し得られたプリント画像を目視により観察しランク付けを行った。
A:非常に良い
B:良い
C:使用可能レベル
D:悪い
E:非常に悪い
(総合評価)
耐刷試験10k後の画像評価および耐刷試験を通しての総合評価をランク付けした。
A:耐刷10kを通じて、初期と変化なく非常に良好な画像を維持している。
B:耐刷10kを通じて、初期に比べ若干の項目で変化はあるものの、大幅な変化はなく、安定している。
C:耐刷10kを通じて、各項目で変化はあるものの実用上は問題ないレベル。
D:耐刷10kを通じて、各項目で変化が大きく、実用不可なレベル。
E:初期から実用上不可なレベルの項目がある、または、変化が大きく耐刷10kに至らない不可なレベル。
【0157】
【表5】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明における樹脂キャリア断面の例を模式的に示す図である。
【図2】図2は、本発明における他の態様での樹脂キャリア断面の例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
10,20・・・樹脂キャリア
12,22・・・バインダー樹脂
14,24・・・磁性粉
26 ・・・被覆層
Claims (16)
- バインダー樹脂原料と磁性粉を混合し、水性媒体に懸濁し、硬化させて得られるバインダー樹脂に磁性粉が分散されている磁性粉分散バインダー型の電子写真現像剤用キャリアにおいて、該バインダー樹脂原料が、官能基としてエポキシ基を有するポリシロキサン化合物(A)と、該ポリシロキサン化合物(A)のエポキシ基と開環付加反応可能な基を有するポリシロキサン化合物(B)を主成分とし、かつ該バインダー樹脂がエポキシ基の開環付加反応で硬化したシリコーン樹脂であることを特徴とする電子写真現像剤用キャリア。
- 上記エポキシ基と開環付加反応可能な基を有するポリシロキサン化合物(B)が、官能基として、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基およびカルビノール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種類の基を有することを特徴とする請求項第1項記載の電子写真現像剤用キャリア。
- 上記エポキシ基を有するポリシロキサン化合物(A)のエポキシ基当量が、200〜1500g/モルの範囲にあることを特徴とする請求項第1項または第2項記載の電子写真現像剤用キャリア。
- 上記エポキシ基と開環付加反応可能な基を有するポリシロキサン化合物(B)の、エポキシ基と開環付加反応が可能な官能基当量が、100〜4000g/モルの範囲にあることを特徴とする請求項第1項乃至第3項のいずれかの項記載の電子写真現像剤用キャリア。
- 上記ポリシロキサン化合物(A)およびポリシロキサン化合物(B)の官能基の数の比(ポリシロキサン化合物(A)のエポキシ基の数/ポリシロキサン化合物(B)のエポキシ基と開環付加反応可能な官能基の数)が、0.3〜3.0の範囲にあることを特徴とする請求項第1項乃至第4項のいずれかの項記載の電子写真現像剤用キャリア。
- 上記ポリシロキサン化合物(A)とポリシロキサン化合物(B)との混合物の加熱前後の比重変化率が0.8〜1.2の範囲内にあることを特徴とする請求項第1項乃至第5項のいずれかの項記載の電子写真現像剤用キャリア。
- 上記ポリシロキサン化合物(A)とポリシロキサン化合物(B)との混合物の加熱前後の重量変化率が0.8〜1.0の範囲内にあることを特徴とする請求項第1項乃至第6項のいずれかの項記載の電子写真現像剤用キャリア。
- バインダー樹脂原料が硬化する際に生じる副生成物の重量が、バインダー樹脂を構成する化合物の硬化前における重量を100重量部としたときに、20重量部未満であることを特徴とする請求項第1項乃至第7項のいずれかの項記載の電子写真現像剤用キャリア。
- 上記電子写真現像剤用キャリアの体積平均粒子径が、15〜80μmの範囲内にあるとともに、該電子写真現像剤用キャリア中に含有される磁性粉の体積平均粒子径が0.1〜10μmの範囲内にあることを特徴とする請求項第1項乃至第8項のいずれかの項記載の電子写真現像剤用キャリア。
- 上記電子写真現像剤用キャリアの真比重が、1.5〜4.0の範囲内にあることを特徴とする請求項第1項乃至第9項のいずれかの項記載の電子写真現像剤用キャリア。
- 上記電子写真現像剤用キャリア(100重量部)中における磁性粉の平均含有量が20〜95重量部の範囲内にあることを特徴とする請求項第1項乃至第10項のいずれかの項記載の電子写真現像剤用キャリア。
- 上記電子写真現像剤用キャリアの形状係数が、1.0〜2.5の範囲内にあることを特徴とする請求項第1項乃至第11項のいずれかの項記載の電子写真現像剤用キャリア。
- 上記電子写真現像剤用キャリアの5000k/4π・A/m磁場印加時における磁化が30〜90Am2/kgの範囲内であり、かつ5000V/cmの電界印加時における抵抗が104Ω〜1013Ωの範囲内にあることを特徴とする、請求項第1項乃至第12項のいずれかの項記載の電子写真現像剤用キャリア。
- 上記電子写真現像剤用キャリアの表面が樹脂で被覆されていることを特徴とする請求項第1項乃至第13項のいずれかの項記載の電子写真現像剤用キャリア。
- 上記請求項第1項乃至第14項のいずれかの項記載の電子写真現像剤用キャリアと、体積平均粒子径が3〜15μmの範囲内にあるトナー粒子とを含有することを特徴とする電子写真用二成分系現像剤。
- 交番電界を用いて、前記請求項第15項記載の電子写真用二成分系現像剤によって静電潜像を現像することを特徴とする画像形成方法。
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