JP2004360832A - 安全タイヤ用バルブ、カプラー付き充填アダプター、放圧アダプター、及び放圧方法 - Google Patents
安全タイヤ用バルブ、カプラー付き充填アダプター、放圧アダプター、及び放圧方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】バルブ20の第1中空ステム22には、内側空気室14に連通する孔34、及び外側空気室に連通する孔35が形成されており、孔34及び孔35には、各々バルブコア41が配置されている。なお、孔35には、反タイヤ側に取り外し抑制アダプター105がねじ込まれている。これにより、内側空気室14に対する空気の供給及び空気抜きと、外側空気室15に対する空気の供給及び空気抜きと簡単な構成で個別に行なえる。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、安全タイヤ用バルブ、カプラー付き充填アダプター、放圧アダプター、及び放圧方法に係り、二重構造のタイヤ内に設けた外側気体室と内側気体室とに気体をチャージするための安全タイヤ用バルブ、この安全タイヤ用バルブを備えた二重構造の安全タイヤに気体を充填するためのカプラー付き充填アダプター、安全タイヤ用バルブを備えた二重構造の安全タイヤの気体を大気に開放させるための放圧アダプター、安全タイヤ用バルブを備えた二重構造の安全タイヤの気体を大気に開放させるための放圧方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般の二重構造のタイヤは、タイヤの内側に、高圧の気体を充填したチューブ(内側気体室)が配置されており、タイヤパンク時にチューブが膨張してタイヤを内面側から支持可能としている。
【0003】
従来の二重構造の安全タイヤ用バルブとして、例えば、特許文献1には、1つの気体供給口から内側気体室と外側気体室(チューブとタイヤとの間)とに気体を供給可能とするものが開示されている。
【0004】
【特許文献1】
US6354348
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の安全タイヤ用バルブでは、1つの気体供給口から供給した気体を内部で内側気体室と外側気体室とに分配しているが、内側気体室の気体と外側気体室の気体を抜く場合には、気体供給口とは別に設けられた内側気体室用の気体放出口と、外側気体室用の気体放出口から放出するように構成されている。
【0006】
さらに、内側気体室用の気体放出口と、外側気体室用の気体放出口は、共通の蓋部材で閉塞されているため、蓋部材を取り外すと、内側気体室用の気体と外側気体室用の気体とが一気に放出されてしまい、内側気体室用の気体及び外側気体室用の何れか一方の気体のみを抜くことが出来ない。したがって、例えば、気体を抜くことで各々の気体室の内圧を個別に調整することは出来ない。
【0007】
本発明は、上記課題を解決し、二重構造のタイヤの内側気体室と外側気体室とに個別に気体を供給可能とし、且つ、チャージ作業を容易に行うことができ、更には、内側気体室用の気体及び外側気体室用の気体を個別に抜くことのできる安全タイヤ用バルブを提供することが第1の目的である。
【0008】
第2の目的は、二重構造のタイヤの内側気体室と外側気体室との間に、簡単に差圧を設けることのできるカプラー付き充填アダプターを提供することである。
【0009】
第3の目的は、二重構造のタイヤの気体嚢が膨張しないように内側気体室の気体、及び外側気体室の気体を簡単に大気に開放させる放圧アダプターを提供することである。
【0010】
また、第4の目的は、二重構造のタイヤの気体嚢が膨張しないように内側気体室の気体、及び外側気体室の気体を簡単に大気に開放させる放圧方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、二重構造のタイヤに備えた外側気体室と内側気体室とに気体をチャージするためのチャージ口を供えた安全タイヤ用バルブであって、前記チャージ口と前記内側気体室とを連通させる内側気体室用給気路と、前記チャージ口と前記外側給気路とを連通させる外側気体室用給気路と、前記内側気体室用給気路に設けられ、大気側から気体室側への気体の流入を許容すると共に気体室側から大気側への気体の流出を阻止可能とし、所定の操作にて気体室側から大気側への気体の流出を許容する内側気体室用逆止弁部材と、前記外側気体室用給気路に設けられ、大気側から気体室側への気体の流入を許容すると共に気体室側から大気側への気体の流出を阻止可能とし、所定の操作にて気体室側から大気側への気体の流出を許容する外側気体室用逆止弁部材と、を有することを特徴としている。
【0012】
次に、請求項1に記載の安全タイヤ用バルブの作用を説明する。
【0013】
請求項1記載の安全タイヤ用バルブによれば、チャージ口より気体のチャージが行われると、チャージされた気体は、内側気体室用給気路を介して内側気体室へと導かれ、外側気体室用給気路を介して外側気体室へと導かれる。
【0014】
外側気体室の気体は外側気体室用逆止弁部材で大気側への放出が阻止され、内側気体室の気体は内側気体室用逆止弁部材で大気側への放出が阻止される。
【0015】
これにより、二重構造の安全タイヤがパンク等して外側気体室の気体が抜けた場合に、例えばタイヤ内の気体嚢(チューブ等)を膨張させて、ランフラット走行を可能とする。
【0016】
なお、外側気体室用逆止弁部材を操作することで外側気体室の気体を大気側へ放出することができ、内側気体室用逆止弁部材を操作することで内側気体室の気体を大気側へ放出することができる。
【0017】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の安全タイヤ用バルブにおいて、前記外側気体室用給気路には、前記外側気体室用逆止弁部材よりも前記チャージ口側に、前記外側気体室用逆止弁部材の取り外しを抑制する取り外し抑制手段を有する、ことを特徴としている。
【0018】
次に、請求項2に記載の安全タイヤ用バルブの作用を説明する。
【0019】
請求項2に記載の安全タイヤ用バルブでは、取り外し抑制手段が、外側気体室用逆止弁部材の取り外しを抑制する。これにより、内側気体室用逆止弁部材と外側気体室用逆止弁部材の両方を取り外す際に、内側気体室用逆止弁部材の方を先に取り外しさせることが可能となる。
【0020】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の安全タイヤ用バルブにおいて、前記内側気体室用給気路と前記外側気体室用給気路との間に差圧をつけるように前記チャージ口に係合して気体を供給するカプラー付き充填アダプターを、前記チャージ口に対して一定の方向にのみ装着可能とする係合部を有する、ことを特徴とする。
【0021】
次に、請求項3に記載の安全タイヤ用バルブの作用を説明する。
【0022】
請求項3に記載の安全タイヤ用バルブに対し、内側気体室用給気路と外側気体室用給気路との間に差圧をつけるようにしたカプラー付き充填アダプターをチャージ口に係合する際、係合部がカプラー付き充填アダプターをチャージ口に対して一定の方向にのみ装着可能とする。
【0023】
これにより、例えば、内側気体室用給気路の方の圧力を高く、外側気体室用給気路の方の圧力を低く設定しなければならないような場合に、常に、設定通りの差圧をつけるよう気体を供給することが可能となり、誤って設定を逆にすることを防止できる。
【0024】
請求項4に記載の発明は、二重構造のタイヤの外側気体室と内側気体室とに気体供給源からの気体をチャージするためのカプラー付き充填アダプターであって、請求項1または請求項2に記載の前記安全タイヤ用バルブに係合する本体部と、前記本体部に設けられ、前記安全タイヤ用バルブの内側気体室用給気路と外側気体室用給気路との間に圧力差が生じるように、気体供給源からの気体を分配する差圧設定手段と、を有する、ことを特徴としている。
【0025】
次に、請求項4に記載のカプラー付き充填アダプターの作用を説明する。
【0026】
外側気体室と内側気体室とに気体供給源からの気体をチャージする場合、カプラー付き充填アダプターの本体部を安全タイヤ用バルブに係合させる。
【0027】
気体供給源から気体を供給すると、差圧設定手段は内側気体室用給気路と外側気体室用給気路との間に圧力差が生じるように、気体供給源からの気体を分配する。
【0028】
このため、二重構造のタイヤの外側気体室と内側気体室とに圧力差を設けることができる。
【0029】
ランフラット走行を可能とする二重構造のタイヤでは、通常、チューブ等で形成される内側気体室の気体圧を外側気体室よりも高く設定しておき、パンク時等にチューブを膨張させる。
【0030】
したがって、本発明のカプラー付き充填アダプターを用いることで、例えば、内側気体室の気体圧を外側気体室よりも高く設定することが容易に行なえる。
【0031】
請求項5に記載の発明は、気体入りタイヤと、前記気体入りタイヤの内側に配置され、内側気体室を構成する膨張可能な気体嚢と、前記気体入りタイヤ、及び前記気体嚢を装着した際に、前記気体入りタイヤと前記気体嚢との間に外側気体室を構成するリムと、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の安全タイヤ用バルブと、を備えた安全タイヤ・リム組立体に用いられ、前記内側気体室と前記外側気体室の気体を大気に放出するための放圧アダプターであって、前記安全タイヤ用バルブに係合可能な本体部と、前記本体部に設けられ、前記本体部を前記安全タイヤ用バルブに係合させた際に前記安全タイヤ用バルブの内側気体室用逆止弁部材及び外側気体室用逆止弁部材に対して所定の操作を行なって、前記気体嚢が膨張しないように前記内側気体室の気体、及び前記外側気体室の気体を大気に開放させる操作手段と、を有することを特徴としている。
【0032】
次に、請求項5に記載の放圧アダプターの作用を説明する。
【0033】
内側気体室の気体、及び外側気体室の気体を大気に開放させる場合、放圧アダプターの本体部を安全タイヤ用バルブに係合する。
【0034】
これにより、操作手段が内側気体室用逆止弁部材及び外側気体室用逆止弁部材に対して所定の操作を行ない、気体嚢が膨張しないように内側気体室の気体、及び外側気体室の気体を大気に開放させる。
【0035】
ランフラット走行を可能とする二重構造のタイヤでは、通常、内側気体室を形成する気体嚢(チューブ等)は、1回膨張(例えば、タイヤ内で所定以上の大きさに膨張させること。)させたものは再使用しないことになっている。
【0036】
したがって、例えば、タイヤ交換等で気体を抜く場合、内側気体室を形成するチューブ等を膨張させてしまうと使用不可となる。
【0037】
本発明の放圧アダプターを用いれば、気体嚢が膨張しないように内側気体室の気体、及び外側気体室の気体を簡単に抜くことが出来る。
【0038】
請求項6に記載の発明は、気体入りタイヤと、前記気体入りタイヤの内側に配置され、内側気体室を構成する膨張可能な気体嚢と、前記気体入りタイヤ、及び前記気体嚢を装着した際に、前記気体入りタイヤと前記気体嚢との間に外側気体室を構成するリムと、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の安全タイヤ用バルブと、を備えた安全タイヤ・リム組立体の前記内側気体室の気体と前記外側気体室の気体を大気に放出するための放圧方法であって、内側気体室用逆止弁部材を外側気体室用逆止弁部材よりも先に取り外す、ことを特徴としている。
【0039】
次に、請求項6に記載の放圧方法を説明する。
【0040】
本放圧方法によれば、内側気体室用逆止弁部材を外側気体室用逆止弁部材よりも先に取り外すので、内側気体室の気体を外側気体室の気体よりも先に放出させることが出来る。
【0041】
請求項7に記載の発明は、気体入りタイヤと、前記気体入りタイヤの内側に配置され、内側気体室を構成する膨張可能な気体嚢と、前記気体入りタイヤ、及び前記気体嚢を装着した際に、前記気体入りタイヤと前記気体嚢との間に外側気体室を構成するリムと、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の安全タイヤ用バルブと、を備えた安全タイヤ・リム組立体の前記内側気体室の気体と前記外側気体室の気体を大気に放出するための放圧方法であって、内側気体室用逆止弁部材と外側気体室用逆止弁部材とを同時、ないし内側気体室用逆止弁部材を外側気体室用逆止弁部材よりも先に操作する操作手段を備えた放圧アダプターを前記安全タイヤ用バルブに係合して前記内側気体室の気体と前記外側気体室の気体を大気に放出する、ことを特徴としている。
【0042】
次に、請求項7に記載の放圧方法を説明する。
【0043】
内側気体室の気体と外側気体室の気体を大気に放出するには、放圧アダプターを安全タイヤ用バルブに係合する。
【0044】
放圧アダプターの操作手段は、内側気体室用逆止弁部材と外側気体室用逆止弁部材とを同時、ないし内側気体室用逆止弁部材を外側気体室用逆止弁部材よりも先に操作するので、内側気体室の気体と外側気体室の気体を同時に、ないし内側気体室の気体を外側気体室の気体よりも先に大気に放出させることが出来る。
【0045】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の放圧方法において、前記操作手段は、前記内側気体室用逆止弁部材を操作する第1の凸部と、前記外側気体室用逆止弁部材を操作する第2の凸部とを備え、前記第1の凸部が前記第2の凸部よりも長い、ことを特徴としている。
【0046】
次に、請求項8に記載の放圧方法を説明する。
【0047】
内側気体室用逆止弁部材を操作する第1の凸部が、外側気体室用逆止弁部材を操作する第2の凸部よりも長いので、放圧アダプターを安全タイヤ用バルブに取り付ける際に、内側気体室用逆止弁部材を先に操作して内側気体室の気体を先に放出させることが出来る。
【0048】
【発明の実施の形態】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態を図1乃至図16に基づいて説明する。
(タイヤ・リム組立体の構成)
図1は、本実施例の安全タイヤ用バルブを取り付けた二重構造のタイヤ・リム組立体8の断面を示している。
【0049】
この二重構造のタイヤ・リム組立体8は、車輪用のリム10の外周面に嵌合したチューブ11と、そのチューブ11の外周を覆うタイヤ12との間に空間を設けて、そのタイヤ12の一対の内周縁を、リム10に密着させた構造をなす。
【0050】
これにより、リム10とタイヤ12とによって閉塞された外側気体室13の内側に、チューブ11にて閉塞された内側気体室14が形成されている。
(バルブの構成)
リム10の外周面の幅方向(図1の左右方向)のうち、チューブ11が嵌合された中間部分は段付き状に陥没しており、そのリム10の段差部10aに形成された貫通孔10bに本発明に係る安全タイヤ用バルブ20(以下、端に、「バルブ20」という)が取付けられている。
【0051】
図2に示すように、バルブ20は、本体部分を形成する第1中空ステム22を備えている。
【0052】
第1中空ステム22は、リム10の貫通孔10bに内側の方、即ち外側気体室13側より挿入されている。
【0053】
そして、第1中空ステム22に形成されたフランジ22aが、リム10の貫通孔10bの周縁付近に突き当てられ、リム10の外側(大気側)から、ワッシャ28と共にナット29を挿通して第1中空ステム22の外周面に形成された雄螺子22cにナット29を螺合することで、第1中空ステム22がリム10に固定されている。
【0054】
なお、第1中空ステム22のフランジ22aにはオーリング22bが配設されており、第1中空ステム22とリム10との間の気密性が確保されている。
【0055】
第1中空ステム22には、基端部側の外周面に金属リング33が螺着されている。
【0056】
なお、第1中空ステム22と金属リング33との間に配置されたオーリング33aにより、第1中空ステム22と金属リング33との間の気密性が確保されている。
【0057】
金属リング33の外周には、径方向外側に向けて張り出したスパッツ(ゴム座)32が固着されている。
【0058】
スパッツ32は円形をなし、中心部から外側に向けて肉薄になっている。
【0059】
そして、スパッツ32は、チューブ11に形成した孔部11aの周縁部に接着剤で固着されている。
【0060】
これにより、第1中空ステム22の基端部が内側気体室14内に臨んだ状態になっている。
【0061】
第1中空ステム22には、軸方向に貫通する孔34、及び孔35が軸芯に沿って形成されている。
【0062】
孔34には、反タイヤ側端部付近にバルブコア41が配置されている。
【0063】
一方、孔35には、反タイヤ側端部付近に、図5に示す取り外し抑制アダプター105がねじ込まれており、取り外し抑制アダプター105のタイヤ側にバルブコア41が配置されている。
【0064】
なお、孔35は、タイヤ側の開口がセットスクリュー302で塞がれている。
(バルブコア)
バルブコア41は、内側気体室14とタイヤ外との連通を、開閉可能に密閉している。
【0065】
以下にバルブコア41の詳細を説明する。
【0066】
本実施形態のバルブコア41は、JIS(日本工業規格)に規定(D 4211)された一般的な構造をなす、即ち、図3に示すように、スリーブ(胴)42に挿通したシャフト43の一端側にフランジ状の弁パッキン44を固定して備え、スリーブ42内に収容したコイルスプリング45にてシャフト43を一方側に付勢することで、常には、弁パッキン44がスリーブ42の一端開口に押し付けられている。
【0067】
そして、シャフト43のうち、弁パッキン44と反対側から気体がチャージされたときには、シャフト43の端面に受けた気圧により、シャフト43がコイルスプリング45に抗して移動し、図4に示すように、弁パッキン44がスリーブ42から離れ、気体が図4の二点鎖線の矢印で示すようにスリーブ42内を通過する。
【0068】
一方、弁パッキン44側からの圧縮気体は、弁パッキン44をスリーブ42の一端開口に押し付けるから、スリーブ42内を通過できない。
【0069】
即ち、このバルブコア41は逆止弁構造をなし、タイヤ側への気体の移動は許容するが、タイヤ外への気体の移動を規制することができる。
【0070】
したがって、図2の状態では、内側気体室14の気体は、バルブコア41でタイヤ外への流出が阻止されている。
【0071】
図2に示すように、また、第1中空ステム22のフランジ22aには、一端が外周側に開口し、他端が孔35に開口する細穴48が形成されている。
【0072】
したがって、外側気体室13は、細穴48を介して孔35に連結されている。
【0073】
なお、前述した様に、バルブコア41が、孔35の中間部に設けられているので、図2の状態では、外側気体室13の気体のタイヤ外への流出が阻止されている。
(取り外し抑制アダプター)
図5に示すように、取り外し抑制アダプター105は、円柱状の本体106と、スライドシャフト107とを備えている。
【0074】
本体106は、図面の下端側から上端近傍まで形成された大径の穴108を軸芯に有し、大径の穴108の底部には小径の貫通孔109が形成されている。
【0075】
また、本体106の上端の一部分に切欠110が形成されており、これにより大径の穴108の一部が外周側に露出している。
【0076】
また、本体106の外周面全体には、雄螺子106a(一部省略)が形成されている。
【0077】
本体106の貫通孔109に、スライドシャフト107の本体軸部111がスライド自在に挿入されている。
【0078】
本体軸部111の上端には貫通孔109よりも若干径が大きい第1のストッパ112が形成されており、本体軸部111の下端には大径の穴108よりも若干径が小さい第2のストッパ113が形成されている。
【0079】
第2のストッパ113の外周面には、軸方向に沿って延びる溝114が複数形成されている。
(カプラー付き充填アダプターの構成)
本実施形態のバルブ20を用いて気体を充填する際には、図6に示す専用のカプラー付き充填アダプター49を用いる。
【0080】
図6に示すように、カプラー付き充填アダプター49は、図面の下側から上側へ向けて大径の丸穴50が形成された本体51を備えている。
【0081】
本体51には、図面下側部分に第1の筒部材52が外周側に配置され、第1の筒部材52の外側には第2の筒部材53が配置され、第2の筒部材53の外側にはスライドリング54が配置されている。
【0082】
本体51と第1の筒部材52とは、第1の筒部材52の図面上側内面に形成された溝55と、本体51の外周に形成された段部56とにCリング57を係合させることによって分解可能に連結されている。
【0083】
本体51の丸穴50には、ピストン58が相対回転可能、かつ軸方向にスライド自在に挿入されている。
【0084】
ピストン58のフランジ58aと第1の筒部材52の内周側に形成された段部59との間には、ピストン58を図面下方に向けて付勢する圧縮コイルスプリング60が配置されている。
【0085】
第2の筒部材53の外周側に形成された段部61と、スライドリング54の内周側に形成された段部62との間には、スライドリング54を図面下方に向けて付勢する圧縮コイルスプリング63が配置されている。
【0086】
第1の筒部材52の外周面には、下端付近に溝が形成されており、この溝にCリング65が嵌め込まれている。
【0087】
また、スライドリング54の内周面の下端側開口部分には拡径部66が形成されており、圧縮コイルスプリング63で付勢されたスライドリング54は、拡径部66が第2の筒部材53のCリング65に当接して図面下方への移動が規制されている。
【0088】
第2の筒部材53には、Cリング65の図面上側に、テーパー孔67が形成されている。
【0089】
テーパー孔67は、外側へ向かうに従って径が拡大しており、内部には硬球68が挿入されている。
【0090】
硬球68は、図6の状態では、スライドリング54の内周面に当接して第2の筒部材53の内周面側へ一部分が突出している。
【0091】
なお、スライドリング54が図面上方にスライドして硬球68をスライドリング54の拡径部66に対向させた場合、第2の筒部材53の内周面から突出しないように硬球68を外側に移動させることが出来る。
【0092】
また、第2の筒部材53には、テーパー孔67の図面上方に、テーパー孔69が形成されている。
【0093】
テーパー孔69は、外側へ向かうに従って径が拡大しており、内部には硬球70が挿入されている。
【0094】
第2の筒部材53の内周面には、図6における硬球70よりも図面下側に拡径部71が形成されている。
【0095】
なお、スライドリング54が図面上方にスライドして硬球70をスライドリング54の拡径部71に対向させた場合、第2の筒部材53の内周面から突出しないように硬球70を外側に移動させることが出来る。
【0096】
ピストン58の図面下側の端面には、パッキン72が取り付けられている。
【0097】
このパッキン72の下面は、バルブ20の第1中空ステム22の上端面に当接可能となっている。
【0098】
ピストン58の外周面には一対の溝73,74が形成されており、図面上側の溝73にはオーリング75が、図面下側の溝74には弾性体からなるピストンリング76が嵌め込まれ、それぞれピストン58の外周面と丸穴50の内周面との間をシールしている。
【0099】
本体51の側面には、図面上側に孔77が形成され、孔77の図面下側に孔78が形成されている。
【0100】
孔78には、内圧測定時に用いる第1の継ぎ手79が固定されており、孔77には、気体充填用の第2の継ぎ手80が固定されている。
【0101】
第1の継ぎ手79の軸芯には貫通孔81が形成されており、貫通孔81にはバルブコア41が固定されている。
【0102】
貫通孔81は、バルブコア41よりも本体側に孔径が徐々に小となる段部82が形成されており、この段部82とバルブコア41との間に弾性体からなる球状の弁体83が配置されている。
【0103】
球状の弁体83は、バルブコア41側から気体を充填しようとした場合に段部82に当接し、本体51内への気体の流入を阻止する役目をしている。
【0104】
次に、第2の継ぎ手80の軸芯には貫通孔84が形成されており、貫通孔84にはバルブコア41が固定されている。
【0105】
ピストン58の外周面には、オーリング64とピストンリング76との間に環状の浅溝85が形成されている。
【0106】
第1の継ぎ手79の取り付けられた本体51の孔78は、ピストン58の浅溝85と対向している。
【0107】
ピストン58には、貫通孔104、及び貫通孔77が軸芯に沿って形成されている。
【0108】
貫通孔77は、最も図面上方側が大径部77a、大径部77aの図面下側が中径部77b、中径部77bの図面下側が小径部77cとされている。
【0109】
なお、ピストン58の長手方向中間部分には、浅溝85の底部と、貫通孔77の中径部77bとを連結する孔86が形成されている。
【0110】
貫通孔104の図面下側の端部、及び貫通孔77の図面下側の端部には、バルブコア押圧部材87がねじ込まれている。
【0111】
図7に示すように、バルブコア押圧部材87は、一端側の大径部分87aを除いて外周面のほぼ全体に雄螺子88が形成されている。
【0112】
大径部分87aには、軸方向に沿って延びる複数の小孔89aが、軸芯部分を除いて周方向に形成されている。
【0113】
バルブコア押圧部材87の軸芯には、大径部分87aの反対側端部から大径部分87aに向けて穴89bが形成されており、この穴89bの端部と前述した複数の小孔89aとが内部で連結している。
【0114】
大径部分87aには段部90が形成されており、この段部90にパッキン72の一部分が引っかかってピストン下端部からの脱落が阻止されている。
【0115】
ピストン58の貫通孔75の大径部77aには円筒状のストッパ91が挿入され、Cリング92にて固定されている。
【0116】
貫通孔77の中径部77bには、図8に示す弁体93がスライド自在に挿入されている。
【0117】
図8に示すように、弁体93は、外周面に気体を流す溝94が軸方向に沿って複数本形成されており、端部に設けられた小径軸部95の溝96にオーリング97(図8では図示せず。図6参照)が嵌め込まれている。
【0118】
また、中径部77bには、弁体93の図面下方側端部に図9に示すストッパ98が配置されている。
【0119】
図9に示すように、ストッパ98は、軸方向に気体が流れるように凹部99及び切欠100が形成されている。
【0120】
図6に示すように、ストッパ98と弁体93との間には、弁体93を図面上側へ付勢する圧縮コイルスプリング101が配置されている。
【0121】
弁体93が圧縮コイルスプリング101で付勢され、これにより、弁体93のオーリング97が、ストッパ91のテーパー状の段部102に当接している。
【0122】
なお、この状態では、弁体93の小径軸部95の先端が、ストッパ91の孔103に挿入されている。
【0123】
また、ピストン58の下端には、位置決めピン115が突出している。
【0124】
図10に示すように、バルブ20の第1中空ステム22の上端には、上記位置決めピン115が挿入可能とされる位置決め穴116と、上記位置決めピン115が挿入不能とされた螺子穴117が形成されている。
【0125】
ここで、カプラー付き充填アダプター49の位置決めピン115を、バルブ20の位置決め穴116に対応させると、図11に示すように、必ずカプラー付き充填アダプター49の貫通孔104が、バルブ20の孔34に対応し、カプラー付き充填アダプター49の貫通孔77の小径部77cがバルブ20の孔35に対応するようになっている。
(放圧アダプターの構成)
本実施形態のバルブ20を用いてタイヤの気体を抜く際には、図12に示す専用の放圧アダプター120を用いる。
【0126】
図12に示すように、放圧アダプター120は、外周面にあや目ローレット加工を施した筒状部材121を備えている。
【0127】
筒状部材121の孔122には、図面の下側部分に雌螺子123が形成されており、図面の上側部分には環状の溝124が形成され、溝124の図面下側には段部125が形成されている。
【0128】
なお、筒状部材121の雌螺子123は、第1中空ステム22の雄螺子22cに螺合可能となっている。
【0129】
筒状部材121の孔122には、図面上側に蓋部材126が回転自在に挿入されている。
【0130】
蓋部材126は、中間部分にフランジ126aを備えると共に、軸方向に貫通する貫通孔127、及び貫通孔128が形成されている。
【0131】
貫通孔127、及び貫通孔128には、それぞれ図面下側にバルブコア押圧部材87がねじ込まれている。
【0132】
筒状部材121の溝124には、Cリング129が嵌め込まれており、Cリング129と段部125との間で蓋部材126のフランジ126aを挟持し、蓋部材126を筒状部材121に対して相対回転可能としつつ、孔122の所定位置に保持している。
(作用)
次に、本実施形態のバルブ20の作用を説明する。
【0133】
最初に、タイヤ・リム組立体8に気体をチャージする場合の作用を説明する。
【0134】
タイヤ・リム組立体8に気体をチャージする場合、バルブ20にカプラー付き充填アダプター49を取り付ける。
【0135】
カプラー付き充填アダプター49を取り付ける際には、カプラー付き充填アダプター49の位置決めピン115をバルブ20の位置決め穴116に挿入し、その後、カプラー付き充填アダプター49をバルブ20に向けて移動させると、ピストン58が押し込められて硬球70が内側に移動し、圧縮コイルスプリング63で付勢されたスライドリング54が第2の筒部材53に対して相対的にバルブ方向に移動する。
【0136】
これにより、硬球68がスライドリング54で内側に押されて第1中空ステム22の溝22dに入り込み、カプラー付き充填アダプター49がバルブ20に自動的にロックされる。
【0137】
即ち、本実施形態のカプラー付き充填アダプター49は、ワンアクションでバルブ20に装着することが出来る。
【0138】
なお、本実施形態のカプラー付き充填アダプター49は、2個の硬球を用いてワンアクションでバルブ20に装着可能としているが、少なくとも硬球68と圧縮コイルスプリング63を用いればバルブ20に対してロック可能である。但し、この場合、バルブ20に装着する際にスライドリング54を引く動作が必要となり、操作が所謂/ションとなる。
【0139】
第2の筒部材53の内部にバルブ20の端部が押込まれると、第1中空ステム22の端部がパッキン72に当接し、カプラー付き充填アダプター49のピストン58を内方へ押込み、圧縮コイルスプリング60が圧縮される。
【0140】
また、カプラー付き充填アダプター49のバルブコア押圧部材87がバルブコア41のシャフト43を押圧するので、バルブコア41での気体の流通を可能とする。
【0141】
なお、カプラー付き充填アダプター49がバルブ20にロックされた状態では、パッキン72は圧縮コイルスプリング60による付勢力を受けて圧縮され、シール性が向上する。
【0142】
次に、図示しない給気ノズルを第2の継ぎ手80に接続して気体をチャージする。
【0143】
ここで、第2の継ぎ手80の取り付けられている本体51は、ピストン58に対して相対回転可能となっているので、給気ノズルを接続し易いように第2の継ぎ手80の向きを所望の方向に向けることが出来る。
【0144】
給気ノズルを第2の継ぎ手80に接続すると、バルブコア41のシャフト43が押圧され、バルブコア41での気体の流通を可能とする。
【0145】
なお、給気ノズルに圧縮気体を供給するコンプレッサの気体圧力は、本実施形態では950kPa(9.5kg/cm2 )に調整しておく。
【0146】
気体がチャージされると、その気体は第2の継ぎ手80のバルブコア41、ピストン58の貫通孔104、及びバルブコア押圧部材87を介し、さらに、バルブ20の孔34のバルブコア41を介して内側気体室14へと供給される。
【0147】
ピストン58の図面上方側端部と本体51との間の上部空間部分での圧力が高まって、弁体93を図面下方に押し込む方向の力(F1:上部空間部分での圧力×弁体93の小径軸部95の断面積)が、圧縮コイルスプリング101による上部空間部分側(図面の上方向)への付勢力(F2)と外側気体室13の圧力により弁体93を上部空間側(図面の上方向)へ移動させようとする力(F3:外側気体室13内の圧力×弁体93の小径軸部95の断面積)とを合わせた合力(F2+F3)とのバランスが崩れ、力(F1)が合力(F2+F3)よりも大きくなると、弁体93が図面の下方に移動し、気体がピストン58の貫通孔77の中径部77b、小径部77c,及びバルブコア押圧部材87を介して外側気体室13へとチャージが行われる。
【0148】
こうして、内側気体室14と外側気体室13の両方にチャージが行われる。
【0149】
徐々に外側気体室13内の圧力が上昇し、弁体93を上部空間側(図面の上方向)へ移動させようとする力(F3)と圧縮コイルスプリング101の付勢力(F2)との合力(F2+F3)が、弁体93を図面の下方へ押し込む方向の力(F1)よりも大きくなると、弁体93が上部空間側に押されて、オーリング97が段部102に密着する。
【0150】
本実施形態では、気体は、先ず内側気体室14へ50kPa充填され、弁体93、圧縮コイルスプリング101等で構成される差圧機構が作動し、内側気体室14と外側気体室13との間に50kPaの差圧を保ちながら内側気体室14と外側気体室13とへ気体が交互に充填されて行き、ほぼ同一の時期で充填が完了する(最終的に、外側気体室13は900kPa、内側気体室14は950kPaとなる。)。
【0151】
充填が完了すると、作業者によって給気ノズルが離される。
【0152】
なお、本実施形態では、第2の継ぎ手80より気体を供給して行き、ピストン58の上部空間側へ気体が流れ込むと、上部空間に流入した気体の圧力がピストン58に作用し、ピストン58がバルブ20側へ付勢され、パッキン72は圧縮力を受けてシール性が更に向上する。
【0153】
また、弁体93、圧縮コイルスプリング101等で構成される差圧機構の作用により、ピストン58をバルブ20側へ付勢する力は、給気ノズルを外してもカプラー付き充填アダプター49を取り外さない限りは保たれ、高いシール性が維持できる。
【0154】
このように、本実施形態のバルブ20、及びカプラー付き充填アダプター49を用いれば、従来のように弁の切替えを行うことなく、外側気体室13と内側気体室14とに気体をチャージすることができ、且つ外側気体室13と内側気体室14とに所定の圧力差を設けることができる。
【0155】
チャージ終了後は、カプラー付き充填アダプター49のスライドリング54を指で把持して引き上げ、カプラー付き充填アダプター49をバルブ20から取り外す。
【0156】
最後に、図13に示すようなバルブキャップ130をバルブ20に付ける。
【0157】
なお、バルブキャップ130の内側には、第1中空ステム22の開口部を塞ぐパッキン131が取り付けられている。
(気体圧の計測方法)
外側気体室13の内圧(所謂タイヤの気体圧)をチェックする場合には、カプラー付き充填アダプター49をバルブ20に取り付け、内圧測定用の第1の継ぎ手79に圧力計を取り付ける。
(タイヤの気体を抜く(放圧)方法)
外側気体室13と内側気体室14の気体を抜く場合には、図12に示すように、バルブ20に放圧アダプター120を取り付ける。
【0158】
これにより、孔34のバルブコア41のシャフト43が一方のバルブコア押圧部材87に押圧されるので内側気体室14の気体が大気に放出され、また、孔35の取り外し抑制アダプター105のスライドシャフト107が他方のバルブコア押圧部材87に押圧され、スライドシャフト107が更に孔35のバルブコア41のシャフト43を押圧するので外側気体室13の気体が大気に放出される。
【0159】
なお、気体を抜く際には、チューブ11をタイヤ内で膨張させないようにすることが好ましい(気体を抜く前の状態に対して)。
【0160】
したがって、放圧アダプター120をねじ込んで取り付ける際に、内側気体室14側のバルブコア41を先に押圧して、その後、取り外し抑制アダプター105のスライドシャフト107を押圧するように、それぞれのバルブコア押圧部材87の下端の位置(及び又は、バルブコア41のシャフト43の上端の位置、または取り外し抑制アダプター105のスライドシャフト107上端の位置)を予め設定しておく必要がある。
【0161】
なお、内側気体室14の気体と外側気体室13の気体が同時に放出されるように設定しても良い。内側気体室14の内圧が外側気体室13よりも高いため、両方の気体を同時に放出した場合、内圧の高い内側気体室14の方から先に気体が放出され、気体抜きの際にチューブ11が膨張することは無い。
[第2の実施形態]
以下、本発明の第2の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、第1の実施形態と同一構成に関しては同一符号を付し、その説明は省略する。
【0162】
図14に示すように、本実施形態のカプラー200は、第1の実施形態のカプラー付き充填アダプター49とは形状が異なっている。
【0163】
図14に示すように、本実施形態のカプラー200は、第1の気体通路202、及び第2の気体通路204を備えた円柱部材206を備えている。
【0164】
円柱部材206には、円柱部材の一端側をバルブ20に押圧するためのナット208が回転自在に係合している。
【0165】
第1の気体通路202の一端側、及び第2の気体通路204の一端側はそれぞれ円柱部材206の一端面に開口し、それぞれの開口部分にバルブコア押圧部材87が取り付けられている。
【0166】
円柱部材206の他端側には、キャップ210がボルト212で取り付けられている。
【0167】
キャップ210には、第1の気体通路202と連結される第1の配管214の一端と、第2の気体通路204と連結される第2の配管216の一端が接続されている。
【0168】
なお、円柱部材206の外周には、キャップ210の内周面と接して第1の気体通路202と第2の気体通路204からそれぞれ気体が外に漏れないようにするオーリング218、220、222が取り付けられている。
【0169】
第1の配管214は、継ぎ手224を介して円柱部材226の貫通孔228に接続されている。
【0170】
一方、第2の配管216は、継ぎ手230を介して分岐232に接続されている。
【0171】
分岐232には、継ぎ手234の一端と、内圧測定時に用いる第1の継ぎ手79が接続されている。
【0172】
継ぎ手234の他端は、円柱部材226の貫通孔236に接続されている。
【0173】
円柱部材226には、継ぎ手側とは反対側にキャップ238が取り付けられている。
【0174】
キャップ238には、中央に貫通孔240が形成されており、この貫通孔240に、気体充填用の第2の継ぎ手80が接続されている。
【0175】
なお、円柱部材226の貫通孔236には、弁体93、ストッパ98及び圧縮コイルスプリング101が配置されている。
(作用)
タイヤ・リム組立体8に気体をチャージする場合、バルブ20にカプラー200を図14に示すように、ナット208で取り付ける。
【0176】
これにより、バルブコア押圧部材87がバルブ20のバルブコア41のシャフト43を押圧するので、バルブコア41での気体の流通を可能とする。
【0177】
第2の継ぎ手80より気体がチャージされると、その気体は、貫通孔228、第1の配管214、第1の気体通路202を介して内側気体室14に供給される。
【0178】
弁体93の図面右側端部とキャップ238との間の空間部分での圧力が高まって、弁体93を図面左方に押し込む方向の力(F1:空間部分での圧力×弁体93の小径軸部95の断面積)が、圧縮コイルスプリング101による空間部分側(図面の右方向)への付勢力(F2)と外側気体室13の圧力により弁体93を空間部分側(図面の上方向)へ移動させようとする力(F3:外側気体室13内の圧力×弁体93の小径軸部95の断面積)とを合わせた合力(F2+F3)とのバランスが崩れ、力(F1)が合力(F2+F3)よりも大きくなると、弁体93が図面の左方に移動し、気体が貫通孔236、第2の配管216、第2の気体通路204を介して外側気体室13へとチャージされる。
【0179】
こうして、内側気体室14と外側気体室13の両方にチャージが行われる。
【0180】
徐々に外側気体室13内の圧力が上昇し、弁体93を空間部分側(図面の右方向)へ移動させようとする力(F3)と圧縮コイルスプリング101の付勢力(F2)との合力(F2+F3)が、弁体93を図面の左方へ押し込む方向の力(F1)よりも大きくなると、弁体93が空間部分側に押されて、オーリング97が貫通孔236の段部(図示せず)に密着する。
【0181】
本実施形態では、気体は、先ず内側気体室14へ50kPa充填され、弁体93、圧縮コイルスプリング101等で構成される差圧機構が作動し、内側気体室14と外側気体室13との間に50kPaの差圧を保ちながら内側気体室14と外側気体室13とへ気体が交互に充填されて行き、ほぼ同一の時期で充填が完了する(最終的に、外側気体室13は900kPa、内側気体室14は950kPaとなる。)。
【0182】
充填が完了すると、作業者によって給気ノズルが離される。
【0183】
これにより、第1の実施形態と同様に外側気体室13と内側気体室14とに気体をチャージすることができ、且つ外側気体室13と内側気体室14とに所定の圧力差を設けることができる。
【0184】
チャージ終了後は、ナット208を緩めてカプラー200をバルブ20から取り外す。
(気体圧の計測方法)
外側気体室13の内圧(所謂タイヤの気体圧)をチェックする場合には、カプラー200をバルブ20に取り付け、内圧測定用の第1の継ぎ手79に圧力計を取り付ける。
[第3の実施形態]
以下、本発明の第3の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、第1の実施形態と同一構成に関しては同一符号を付し、その説明は省略する。
【0185】
本実施形態は、第1の実施形態のバルブ20の変形例である。
【0186】
図15に示すように、本実施形態のバルブ20では、第1の実施形態で用いられていた取り外し抑制アダプター105が無く、孔34のバルブコア41と孔35のバルブコア41とが軸方向に同レベルで並んでいる。
【0187】
したがって、第1の実施形態と同様に放圧アダプター120を用いて気体を抜く場合、孔34のバルブコア41のシャフト43と孔35のバルブコア41のシャフト43が同時に押圧され、内側気体室14の気体と外側気体室13の気体とが同時に開放される。
【0188】
なお、放圧アダプター120を用いずに内側気体室14の気体と外側気体室13の気体を抜く場合には、孔34のバルブコア41と孔35のバルブコア41とを同一タイミングで取り外すか、または内側気体室14に対応する孔34のバルブコア41を外側気体室13に対応する孔35のバルブコア41よりも先に取り外す必要がある。
【0189】
なお、図15の例では、孔34のバルブコア41と孔35のバルブコア41とが軸方向に同レベルで並んでいるが、内側気体室14の気体が先に抜けるように、孔34のバルブコア41を孔35のバルブコア41よりも図面上方に変位させても良い。
[その他の実施形態]
なお、上記実施形態では、タイヤの気体を抜く際には、図12に示す専用の放圧アダプター120を用いたが、取り外し抑制アダプター105、及びバルブコア41を取り外して気体を抜くことも出来る。
【0190】
この場合、チューブ11を膨張させないように、内側気体室14と対応する孔34のバルブコア41より先に取り外す必要がある。
【0191】
本実施形態では、孔35のバルブコア41が取り外し抑制アダプター105よりも孔35の奥側に配置されているため、目視した時に、内側気体室14と対応する孔34のバルブコア41を先に外さなければならないことが感覚的に分かり、誤って孔35のバルブコア41を先に外すことを抑止する効果がある。
【0192】
なお、取り外し抑制アダプター105の代わりにCリング等を用いても良く、Cリング等でも抑止効果がある。
【0193】
また、本実施形態では、外側気体室13及び内側気体室14に空気を充填したが、本発明はこれに限らず、外側気体室13及び内側気体室14には、窒素ガス等、空気以外の気体を充填しても良い。
【0194】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の安全タイヤ用バルブは上記の構成としたので、二重構造のタイヤ・リム組立体に用いた際に、内側気体室、及び外側気体室に個別に異なる気体圧で気体を供給でき、且つ、チャージ作業を容易に行うことができる、という優れた効果を有する。
【0195】
請求項2に記載の安全タイヤ用バルブは上記の構成としたので、内側気体室用逆止弁部材の方を先に取り外しさせることができ、例えば、内側気体室を構成する気体嚢の膨張を阻止できる、という優れた効果を有する。
【0196】
請求項3に記載の安全タイヤ用バルブは上記の構成としたので、内側気体室用給気路と外側気体室用給気路との間に、設定通りの差圧をつけるよう気体を供給することが可能になる、という優れた効果を有する。
【0197】
請求項4に記載のカプラー付き充填アダプターは上記の構成としたので、二重構造のタイヤの外側気体室と内側気体室とに圧力差を設けることが容易に行なえる、という優れた効果を有する。
【0198】
請求項5に記載の放圧アダプターは上記の構成としたので、気体嚢が膨張しないように内側気体室の気体、及び外側気体室の気体を簡単に抜くことができる、という優れた効果を有する。
【0199】
請求項6に記載の放圧方法によれば、内側気体室の気体を外側気体室の気体よりも先に放出させることが出来る、という優れた効果を有する。
【0200】
請求項7に記載の放圧方法によれば、内側気体室の気体と外側気体室の気体を同時に、ないし内側気体室の気体を外側気体室の気体よりも先に大気に放出させ、気体嚢の膨張を阻止できる、という優れた効果を有する。
【0201】
請求項8に記載の放圧方法によれば、簡単な構成で内側気体室の気体を先に放出させることが出来る、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】二重構造のタイヤ・リム組立体の断面図である。
【図2】バルブの断面図である。
【図3】バルブコアが閉じた状態の断面図である。
【図4】バルブコアが開いた状態の断面図である。
【図5】取り外し抑制アダプターの斜視図である。
【図6】カプラー付き充填アダプターの断面図である。
【図7】バルブコア押圧部材の斜視図である。
【図8】弁体の斜視図である。
【図9】ストッパの斜視図である。
【図10】バルブの上面図である。
【図11】カプラー付き充填アダプターを取り付けたバルブの断面図である。
【図12】放圧アダプターを取り付けたバルブの断面図である。
【図13】キャプを取り付けたバルブの断面図である。
【図14】第2の実施形態に係るカプラー付き充填アダプターを取り付けたバルブの断面図である。
【図15】第3の実施形態に係るカプラー付き充填アダプターを取り付けたバルブの断面図である。
【符号の説明】
8 タイヤ・リム組立体
10 リム
11 気体嚢(チューブ)
12 タイヤ
13 外側気体室
14 内側気体室
20 バルブ(安全タイヤ用バルブ)
34 孔(内側気体室用給気路)
35 孔(外側気体室用給気路)
41 バルブコア(内側気体室用逆止弁部材、外側気体室用逆止弁部材)
49 カプラー付き充填アダプター
87 バルブコア押圧部材(操作手段、第1の凸部、第2の凸部)
116 位置決め穴(係合部)
120 放圧アダプター
Claims (8)
- 二重構造のタイヤに備えた外側気体室と内側気体室とに気体をチャージするためのチャージ口を供えた安全タイヤ用バルブであって、
前記チャージ口と前記内側気体室とを連通させる内側気体室用給気路と、
前記チャージ口と前記外側給気路とを連通させる外側気体室用給気路と、
前記内側気体室用給気路に設けられ、大気側から気体室側への気体の流入を許容すると共に気体室側から大気側への気体の流出を阻止可能とし、所定の操作にて気体室側から大気側への気体の流出を許容する内側気体室用逆止弁部材と、
前記外側気体室用給気路に設けられ、大気側から気体室側への気体の流入を許容すると共に気体室側から大気側への気体の流出を阻止可能とし、所定の操作にて気体室側から大気側への気体の流出を許容する外側気体室用逆止弁部材と、
を有することを特徴とする安全タイヤ用バルブ。 - 前記外側気体室用給気路には、前記外側気体室用逆止弁部材よりも前記チャージ口側に、前記外側気体室用逆止弁部材の取り外しを抑制する取り外し抑制手段を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の安全タイヤ用バルブ。
- 前記内側気体室用給気路と前記外側気体室用給気路との間に差圧つけるように前記チャージ口に係合して気体を供給するカプラー付き充填アダプターを、前記チャージ口に対して一定の方向にのみ装着可能とする係合部を有する、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の安全タイヤ用バルブ。
- 二重構造のタイヤの外側気体室と内側気体室とに気体供給源からの気体をチャージするためのカプラー付き充填アダプターであって、
請求項1または請求項2に記載の前記安全タイヤ用バルブに係合する本体部と、前記本体部に設けられ、前記安全タイヤ用バルブの内側気体室用給気路と外側気体室用給気路との間に圧力差が生じるように、気体供給源からの気体を分配する差圧設定手段と、
を有する、ことを特徴するカプラー付き充填アダプター。 - 気体入りタイヤと、
前記気体入りタイヤの内側に配置され、内側気体室を構成する膨張可能な気体嚢と、前記気体入りタイヤ、及び前記気体嚢を装着した際に、前記気体入りタイヤと前記気体嚢との間に外側気体室を構成するリムと、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の安全タイヤ用バルブと、を備えた安全タイヤ・リム組立体に用いられ、前記内側気体室と前記外側気体室の気体を大気に放出するための放圧アダプターであって、
前記安全タイヤ用バルブに係合可能な本体部と、
前記本体部に設けられ、前記本体部を前記安全タイヤ用バルブに係合させた際に前記安全タイヤ用バルブの内側気体室用逆止弁部材及び外側気体室用逆止弁部材に対して所定の操作を行なって、前記気体嚢が膨張しないように前記内側気体室の気体、及び前記外側気体室の気体を大気に開放させる操作手段と、
を有することを特徴とする放圧アダプター。 - 気体入りタイヤと、
前記気体入りタイヤの内側に配置され、内側気体室を構成する膨張可能な気体嚢と、前記気体入りタイヤ、及び前記気体嚢を装着した際に、前記気体入りタイヤと前記気体嚢との間に外側気体室を構成するリムと、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の安全タイヤ用バルブと、を備えた安全タイヤ・リム組立体の前記内側気体室の気体と前記外側気体室の気体を大気に放出するための放圧方法であって、
内側気体室用逆止弁部材を外側気体室用逆止弁部材よりも先に取り外す、ことを特徴とする放圧方法。 - 気体入りタイヤと、
前記気体入りタイヤの内側に配置され、内側気体室を構成する膨張可能な気体嚢と、前記気体入りタイヤ、及び前記気体嚢を装着した際に、前記気体入りタイヤと前記気体嚢との間に外側気体室を構成するリムと、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の安全タイヤ用バルブと、を備えた安全タイヤ・リム組立体の前記内側気体室の気体と前記外側気体室の気体を大気に放出するための放圧方法であって、
内側気体室用逆止弁部材と外側気体室用逆止弁部材とを同時、ないし内側気体室用逆止弁部材を外側気体室用逆止弁部材よりも先に操作する操作手段を備えた放圧アダプターを前記安全タイヤ用バルブに係合して前記内側気体室の気体と前記外側気体室の気体を大気に放出する、ことを特徴とする放圧方法。 - 前記操作手段は、前記内側気体室用逆止弁部材を操作する第1の凸部と、前記外側気体室用逆止弁部材を操作する第2の凸部とを備え、
前記第1の凸部が前記第2の凸部よりも長い、ことを特徴とする請求項7に記載の放圧方法。
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