JP2004358588A - 研磨パッド及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】被加工物の摺接面を平坦化する研磨に用いられる研磨パッドにおいて、構造的に均一であり、良好な研磨特性を有し、研磨後の被加工物の平坦性が良好な研磨パッド、及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】研磨パッド10は、繊維構造体に樹脂12を実質的に空孔を含有しないように含浸させたシート状物とし、繊維11の大部分が研磨パッド10の作用面10Aに対して45°から135°の範囲の角度を有するようにするとともに、実質的に均一に配列させ、必要な硬度と均一な構造を有するようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】研磨パッド10は、繊維構造体に樹脂12を実質的に空孔を含有しないように含浸させたシート状物とし、繊維11の大部分が研磨パッド10の作用面10Aに対して45°から135°の範囲の角度を有するようにするとともに、実質的に均一に配列させ、必要な硬度と均一な構造を有するようにした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は研磨パッドとその製造方法に関し、 特に半導体ウェーハ、ハードディスク、光学部品、液晶用ガラス等の精密研磨において使用される研磨パッドとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、LSI(大規模集積回路)等の半導体デバイスの高密度化、多層化が進み、配線パターンがより微細化してきた。このためフォトリソグラフィー技術を使用して微細パターンをウェーハ上に精度良く形成するためには、ウェーハの全面平坦化技術が必要となり、高度平坦化技術であるCMP(Chemical Mechanical Polishing :化学機械研磨)技術は半導体製造プロセスには必要不可欠な技術となっている。最近は特に、層間絶縁膜であるSiO2 膜の平坦化のみならず、Cu配線やAl配線等の金属膜の平坦化に多用されるようになってきた。
【0003】
CMPでは、図5に示すように、被加工物であるウェーハWは研磨装置50の研磨ヘッド51に保持され、自ら回転するとともに回転する研磨定盤52に取り付けられた研磨パッド53に押付けられる。研磨パッド53の中あるいは表面には研磨材であるシリカ等の微細砥粒を含むスラリSが供給され、化学的作用と機械的作用との複合作用でウェーハ表面が研磨されて平坦化が実現される。
【0004】
なお、図5において、54は研磨ヘッド回転部、55は研磨圧力調整部であり、56はスラリー供給ノズル、57はスラリー供給部である。
【0005】
CMPに使用される研磨パッドとしては、ポリウレタンの独立発泡体で形成されたもの(例えば、特許文献1参照。)や、ポリエステル等の不織布にポリウレタンを含浸させた連続発泡体(例えば、特許文献2参照。)が一般的に使用されている。
【0006】
また、微孔質エラストマを含浸させた繊維のフェルトシートで、作用面に隣接する繊維端部の大部分が作用面に対して約45°から135°の角度をなすように、大部分の繊維が作用表面に対して主に横断方向に配向されたことを特徴とする微孔質製品で形成された研磨パッドが提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0007】
【特許文献1】
特表平8−500622号公報
【0008】
【特許文献2】
特開平8−187655号公報
【0009】
【特許文献3】
特開昭62−21857号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の特許文献1に記載されたポリウレタンの独立発泡体は、発泡法により製造されるため、面内や厚み方向、或いは製造ロット間での空孔の大きさや数の制御が困難であり、得られた研磨パッドでは研磨速度や被加工面の平坦性などの研磨特性にばらつきが発生していた。
【0011】
また、前述の特許文献2に記載されたポリエステル等の不織布にポリウレタンを含浸させた連続発泡体は、空孔率が大きく、硬度が低いため、被加工物の研磨後の平坦性が良くなかった。
【0012】
また、前述の特許文献3で提案された研磨パッドも、微孔質エラストマを含浸させた構造であるため、硬度が低く、また空孔の制御が困難であり、研磨後の被加工物の平坦性が良くなく、研磨特性にもばらつきが生じるという欠点があった。
【0013】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、研磨スラリを供給しながら被加工物を研磨パッドに摺接させて該被加工物の摺接面を平坦化する研磨に用いられる研磨パッドにおいて、構造的に均一であり、良好な研磨特性を有し、研磨後の被加工物の平坦性が良好な研磨パッド、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、研磨スラリを供給しながら被加工物を研磨パッドに摺接させて該被加工物の摺接面を平坦化する研磨に用いられる研磨パッドにおいて、該研磨パッドは、繊維構造体に空孔を含有しないように樹脂を含浸させたシート状物で形成され、繊維の大部分が研磨パッドの作用面に対して45°から135°の範囲の角度で配向されるとともに、前記繊維が均一に配列されていることを特徴としている。
【0015】
請求項1の発明によれば、研磨パッドは、均一に配列された繊維構造体に空孔を含有しないように樹脂を含浸させたシート状物であるため、必要な硬度と均一な構造を有している。このため、良好な研磨特性を有するとともに、研磨後の被加工物の平坦性も良好である。
【0016】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1の発明において、前記繊維が中空状の繊維を含むことを特徴としている。
【0017】
請求項2の発明によれば、研磨パッドを構成する繊維は中空状の繊維を含むため、研磨スラリの供給排出が促進される。また、研磨屑による研磨パッドの目詰まりが防止される。
【0018】
請求項3に記載の発明は、研磨スラリを供給しながら被加工物を研磨パッドに摺接させて該被加工物の摺接面を平坦化する研磨に用いられる研磨パッドの製造方法において、立体織物又は立体編物である繊維構造体あるいはパイル状繊維構造体に空孔を含有しないように樹脂を含浸させて繊維/樹脂複合シートを作成し、得られた繊維/樹脂複合シートに切削や切断、又は研磨等の加工を施してシート状の研磨パッドを製造することを特徴としている。
【0019】
請求項3の発明によれば、繊維構造体に樹脂を空孔を含有しないように含浸させて、繊維/樹脂複合シート形成し、その繊維/樹脂複合シートを加工して、シート状の研磨パッドを製造するので、均一な構造を有するとともに必要な硬度を備え、良好な研磨特性を有する研磨パッドが得られる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係る研磨パッド及びその製造方法の好ましい実施の形態について詳説する。尚、各図において同一部材には同一の番号または符号を付している。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る研磨パッドの構造を概念的に説明する模式断面図である。研磨パッド10は、立体織物又は立体編物である繊維構造体あるいはパイル状繊維構造体に樹脂12を含浸させたシート状物である。樹脂12は実質的に空孔を含有しないように繊維11、11、…の間に含浸されて、繊維/樹脂複合シートが形成され、この繊維/樹脂複合シートに切削や切断、又は研磨等の加工が施されて所要の厚さに仕上げられている。
【0022】
図1(a)は、各繊維11の軸芯が研磨パッド10の作用面10Aに対して略垂直に形成された状態(図においてθ≒90°)を表わしている。また、図1(b)は各繊維11の軸芯と研磨パッド10の作用面10Aとのなす角度θが45°から135°の範囲に形成されている状態を表わしている。
【0023】
本発明の繊維11は、研磨パッド10を構成する材料であり、綿や羊毛などの天然繊維やレーヨンなどの人造繊維、ポリアミドやポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル、ポリイミド、ポリ乳酸などの合成繊維やカーボンナノチューブや炭素繊維、金属繊維、活性炭繊維などの無機繊維が用いられ、好ましくは、強度や耐摩耗性、耐薬品性などに優れるポリエステルやポリアミドの繊維が使用される。
【0024】
これらの繊維中あるいは繊維表面には砥粒成分が含有されていても構わない。また研磨パッド10中にこれらの繊維11が2種類以上含有されていても構わない。
【0025】
本発明の繊維11の形状については、繊維断面は円形断面、中空断面、多孔断面、多角形断面などが挙げられ、繊維直径は0.01μm〜1mmの間であればよく、好ましくは0.1μm〜100μmである。繊維直径が0.01μm未満であると、繊維構造体の作製が困難であり、繊維直径が1mmを越えると、被加工物の研磨後の平坦性が悪くなる。
【0026】
本発明の中空状の繊維11とは、中空断面を有する繊維11であれば良く、1本の繊維中に複数の中空部分があっても構わない。中空部分の断面形状としては、特に限定されないが、通常は円、長方形、正方形、台形などの形状が挙げられる。
【0027】
中空断面を有する繊維11が研磨パッド10中に存在することによって、スラリー液の供給排出を中空部のポンピング作用によって促進させたり、研磨によって排出させる研磨屑による研磨パッド表面(作用面10A)の目詰まりを防止する効果が得られる。
【0028】
また、研磨パッド10の厚み方向に中空状の繊維11が貫通している場合には、研磨パッドの裏面より、中空状の繊維11を通して気体あるいは液体を加工面に送ることで、中空状の繊維11中の研磨屑やスラリーを排出したり、研磨パッド10表面を洗浄したりすることが可能となる。
【0029】
本発明の繊維構造体に含浸する樹脂12としては、ポリウレタンやナイロン、エポキシ、ポリビニルアルコール、アクリル、ポリエステル、フッ素樹脂、シリコーン樹脂やこれらのエラストマーや混合物などが用いられ、これらの樹脂12中には有機物や無機物のフィラーや砥粒や溶媒等が適度に含有されていても構わない。
【0030】
また樹脂12の硬さや弾性率は、被加工物の種類や要求加工性能及び加工精度に応じて変更することが可能である。被加工物の研磨後の平坦性を良好にする場合には硬い樹脂12を用いるのが好ましい。
【0031】
本発明で使用される樹脂12は実質的に発泡などで生じる空孔あるいは微細孔を含まないことが必要であり、実質的に空孔を含有しないことにより、研磨パッド10の硬度を高くすることが可能であり、被加工物の研磨後の平坦性は良好となる。
【0032】
また、大きさのばらつきが存在する空孔あるいは微細孔を実質的に含有しないため、研磨パッド10全体において、構造的に均一であり、研磨パッド10の厚み方向や面方向での物性が均一であることによって、被加工物に対して加工面内でのより均一な加工が可能となり、また、研磨パッド10の摩耗による加工特性の変動を抑制することができ、連続加工安定性も向上する。
【0033】
本発明では繊維構造体に樹脂12を含浸させてシート状物を得ている。繊維構造体への樹脂12の含浸方法としては、溶融した樹脂12、または樹脂12を溶解した溶液、あるいは樹脂12を分散した溶液中に繊維11を浸漬して乾燥させる方法や、減圧あるいは真空下において繊維集合体あるいは繊維構造体に樹脂12を含浸させる方法などが用いられるが、含浸後に微細孔を実質的に含まないためには、減圧下あるいは真空下において樹脂12の含浸を行うことが好ましく、2000Pa以下の真空下において樹脂12の含浸を行うことがより好ましい。
【0034】
本発明では図1に示すように繊維11の大部分が研磨パッド10の作用面10Aに対して45°から135°の角度θを有し、均一に配列されていることが必要である。ここでいう繊維11の大部分とは、繊維11の60%以上のことであり、好ましくは80%以上である。
【0035】
研磨パッド10の作用面10Aとは、ウェーハなどを研磨する研磨面のことであり、繊維11の大部分はこの作用面10Aに対して45°から135°の角度θを有していることが必要であるが、好ましくは60°から150°の角度θを持っていることであり、さらに好ましくは75°から105°である。ここでいう繊維11の研磨パッド10の作用面10Aに対して有する角度θとは、繊維長軸方向と研磨パッド10の作用面10Aとの有する角度θのことである。
【0036】
繊維11の大部分が作用面10Aと45°未満あるいは135°を越える角度θを有している場合、繊維11の作用面10Aに対する垂直方向の機械的強度が不足し、繊維断面に起因する研磨効果が小さくなるので好ましくない。
【0037】
本発明では繊維11は研磨パッド10の面内において均一に配列していることが必要であるが、ここでいう均一な配列とは、下記(1)式より算出される均一配列係数Rが20以下であることを示し、好ましくは10以下、さらに好ましくは5以下である。
【0038】
【数1】
本発明では、研磨パッド10の作用面10Aにおける繊維部分の占有率は1〜90%が好ましく、さらに好ましくは3〜80%である。占有率が1%未満であると繊維11の効果が小さくなり、90%を越えると繊維構造体への樹脂11の含浸が困難であり、また樹脂部分による研磨作用が小さくなる。
【0039】
本発明の立体織物または立体編物である繊維構造体には、ベルベットやビロード、カーペット、パイル織物などの織物やダブルラッセルなどの編物などの3次元構造体などが用いられ、図2に示すようなパイル部分21B、22Bを有している繊維構造体21、22が好ましい。平織物では繊維11を研磨パッド10の作用面10Aに対して、所望の角度θに均一に配列させることが困難である。
【0040】
また、本発明のパイル状繊維構造体21、22には、平織物などを表面処理により起毛させたものや静電植毛などの植毛加工によって基布やフィルムなどの基材21A、22Aにパイル状に繊維11を保持させ固定化したものなどが用いられる。
【0041】
図2(a)は、上下の基材21A、21Aの間にパイル部分21Bが形成された繊維構造体21を概念的に表わし、図2(b)は、基材22A上にパイル部分22Bが形成された繊維構造体22を概念的に表わしたものである。
【0042】
また本発明の繊維構造体21、22に樹脂11を含浸させたシート状物は、前述の立体織物または立体編物である繊維構造体21、22やパイル状の繊維構造体21、22に樹脂12を含浸させて得る方法以外にも、繊維11の表面に樹脂12等の接着層を形成し、接着して得る方法、あるいは繊維11の少なくとも片方の端部を固定して繊維11を特定方向に配列させた状態を形成し、樹脂12を含浸させることで得ることもできる。
【0043】
本発明の研磨パッド10の厚みは0.1mm〜10mmが好ましく、さらに好ましくは0.5mm〜3mmである。厚みが0.1mm以下では、研磨パッドの寿命が短く、また強度も低くなり、厚みが10mm以上であると、被加工物の研磨後の平坦性が悪くなる。
【0044】
本発明では、研磨パッドは繊維構造体21、22に樹脂12を含浸させたシート状物を切削や切断または研磨などの加工を行うことで所望の形状に仕上げているが、これらの加工方法については特に限定されない。しかし、加工の際に除去部分の少ないバンドソーや鋭利な刃物によるスライス加工で行うことが好ましい。また研磨パッド10の表面粗さを調整する場合には、研磨加工が適している。
【0045】
本発明の研磨パッド10の表面には、目的に応じて格子状や螺旋状、同心円状などの溝などを形成しても構わない。形成された溝などは研磨の際のスラリの供給や排出、研磨屑の排出などを効率良く行い、研磨特性を安定させる効果がある。
【0046】
また本発明の研磨パッド10はそれぞれを積層して用いることも可能であり、また、下層に発泡ウレタン等の発泡体、ゴム、ゲル状ゴム等の弾性体、編物、織物、不織布などを積層して用いても構わない。
【0047】
【実施例】
(実施例1)
直径18μmの円形断面のポリエステル繊維を使用して、パイル長4mm、パイル密度95,000本/cm2 のダブルラッセル編物を作製した。これに真空中(400Pa)にてポリウレタン樹脂(ショアA硬度95度)を含浸硬化させ、厚さ5mmの実質的に空孔を含有しない繊維/樹脂複合シートを得た。このシートを両面研磨し、厚さ1.5mmの研磨パッドを作製した。
【0048】
(実施例2)
直径18μmの円形断面のポリエステル繊維を使用して、パイル長3mm、パイル密度55,000本/cm2 のベルベット織物を作製した。これに真空中(400Pa)にてポリウレタン樹脂(ショアA硬度95度)を含浸硬化させ、厚さ5mmの実質的に空孔を含有しない繊維/樹脂複合シートを得た。このシートを両面研磨し、厚さ1.5mmの研磨パッドを作製した。
【0049】
(実施例3)
直径16μmの円形断面のナイロン6繊維を使用して、静電植毛法によりパイル長2mm、パイル密度65,000本/cm2 のパイル状シートを作製した。これに真空中(400Pa)にてポリウレタン樹脂(ショアD硬度55度)を含浸硬化させ、厚さ5mmの実質的に空孔を含有しない繊維/樹脂複合シートを得た。このシートを両面研磨し、厚さ1.5mmの研磨パッドを作製した。
【0050】
(実施例4)
直径30μm、空孔径10μmの円形中空断面のナイロン6繊維を使用して、パイル長3mm、パイル密度55,000本/cm2 のベルベット織物を作製した。これに真空中(400Pa)にてポリウレタン樹脂(ショアA硬度95度)を含浸硬化させ、厚さ5mmの実質的に空孔を含有しない繊維/樹脂複合シートを得た。このシートを超硬刃スライサーでスライスし、厚さ1.5mmの研磨パッドを作製した。
【0051】
これらの実施例1〜4の研磨パッド、及び従来の市販パッドA(ショアD硬度57度)、市販パッドB(ショアA硬度80度)を用いて図3の研磨条件で研磨を行った。
【0052】
この研磨条件は、図3に示すように、研磨装置としてラップマスター社製LM15を使用し、研磨パッド回転数30rpm、研磨荷重50KPaで被加工物である酸化膜付きシリコンウェーハをCMPしたもので、この時の研磨スラリはシリカ分散スラリ(pH12.8、砥粒濃度12.5wt%)を用いた。
【0053】
夫々の研磨結果の比較を図4に示す。比較は研磨パッドの研磨性能を表わす研磨速度、研磨の安定性、及び被研磨面の平坦性について行い、図4に示すような一覧表にまとめた。図において◎印は優良、○印は良、△印はやや劣る、を表わしている。
【0054】
図4から明らかなように、研磨速度については実施例1〜4の各研磨パッド、及び市販の研磨パッドA、Bともに略等しく、良好であった。また、研磨の安定性については、市販の研磨パッドAのみがやや劣っており、他の研磨パッドは良好であった。被研磨面の平坦性については、実施例3の研磨パッドが優良で、市販の研磨パッドBがやや劣っており、他の研磨パッドは良好であった。
【0055】
以上の結果から、従来の市販の研磨パッドは研磨速度については良好であるものの、研磨の安定性或いは被研磨面の平坦性についてやや劣るのに対し、本発明の実施例の研磨パッドは研磨パッドの研磨特性を表わす研磨速度、研磨の安定性、及び被研磨面の平坦性において全て良好、或いは優良であり、顕著な効果を示している。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の研磨パッド及びその製造方法によれば、研磨パッドは、繊維構造体に樹脂を実質的に空孔を含有しないように含浸させたシート状物で形成され、繊維の大部分が研磨パッドの作用面に対して45°から135°の角度を有するように配向されるとともに、実質的に均一に配列されているので、構造的に均一で、研磨性能に優れ、また、均一で安定な研磨が可能であり、被研磨物の高度な平坦化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る研磨パッドを表わす概念図
【図2】繊維構造体を表わす概念図
【図3】比較研磨の研磨条件を示す表
【図4】比較研磨の研磨結果を示す表
【図5】研磨装置を表わす概念図
【符号の説明】
10…研磨パッド、10A…作用面、11…繊維、12…樹脂、21、22…繊維構造体、50…研磨装置、51…研磨ヘッド、52…研磨定盤、53…研磨パッド、S…研磨スラリ、W…ウェーハ(被加工物)
【発明の属する技術分野】
本発明は研磨パッドとその製造方法に関し、 特に半導体ウェーハ、ハードディスク、光学部品、液晶用ガラス等の精密研磨において使用される研磨パッドとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、LSI(大規模集積回路)等の半導体デバイスの高密度化、多層化が進み、配線パターンがより微細化してきた。このためフォトリソグラフィー技術を使用して微細パターンをウェーハ上に精度良く形成するためには、ウェーハの全面平坦化技術が必要となり、高度平坦化技術であるCMP(Chemical Mechanical Polishing :化学機械研磨)技術は半導体製造プロセスには必要不可欠な技術となっている。最近は特に、層間絶縁膜であるSiO2 膜の平坦化のみならず、Cu配線やAl配線等の金属膜の平坦化に多用されるようになってきた。
【0003】
CMPでは、図5に示すように、被加工物であるウェーハWは研磨装置50の研磨ヘッド51に保持され、自ら回転するとともに回転する研磨定盤52に取り付けられた研磨パッド53に押付けられる。研磨パッド53の中あるいは表面には研磨材であるシリカ等の微細砥粒を含むスラリSが供給され、化学的作用と機械的作用との複合作用でウェーハ表面が研磨されて平坦化が実現される。
【0004】
なお、図5において、54は研磨ヘッド回転部、55は研磨圧力調整部であり、56はスラリー供給ノズル、57はスラリー供給部である。
【0005】
CMPに使用される研磨パッドとしては、ポリウレタンの独立発泡体で形成されたもの(例えば、特許文献1参照。)や、ポリエステル等の不織布にポリウレタンを含浸させた連続発泡体(例えば、特許文献2参照。)が一般的に使用されている。
【0006】
また、微孔質エラストマを含浸させた繊維のフェルトシートで、作用面に隣接する繊維端部の大部分が作用面に対して約45°から135°の角度をなすように、大部分の繊維が作用表面に対して主に横断方向に配向されたことを特徴とする微孔質製品で形成された研磨パッドが提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0007】
【特許文献1】
特表平8−500622号公報
【0008】
【特許文献2】
特開平8−187655号公報
【0009】
【特許文献3】
特開昭62−21857号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の特許文献1に記載されたポリウレタンの独立発泡体は、発泡法により製造されるため、面内や厚み方向、或いは製造ロット間での空孔の大きさや数の制御が困難であり、得られた研磨パッドでは研磨速度や被加工面の平坦性などの研磨特性にばらつきが発生していた。
【0011】
また、前述の特許文献2に記載されたポリエステル等の不織布にポリウレタンを含浸させた連続発泡体は、空孔率が大きく、硬度が低いため、被加工物の研磨後の平坦性が良くなかった。
【0012】
また、前述の特許文献3で提案された研磨パッドも、微孔質エラストマを含浸させた構造であるため、硬度が低く、また空孔の制御が困難であり、研磨後の被加工物の平坦性が良くなく、研磨特性にもばらつきが生じるという欠点があった。
【0013】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、研磨スラリを供給しながら被加工物を研磨パッドに摺接させて該被加工物の摺接面を平坦化する研磨に用いられる研磨パッドにおいて、構造的に均一であり、良好な研磨特性を有し、研磨後の被加工物の平坦性が良好な研磨パッド、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、研磨スラリを供給しながら被加工物を研磨パッドに摺接させて該被加工物の摺接面を平坦化する研磨に用いられる研磨パッドにおいて、該研磨パッドは、繊維構造体に空孔を含有しないように樹脂を含浸させたシート状物で形成され、繊維の大部分が研磨パッドの作用面に対して45°から135°の範囲の角度で配向されるとともに、前記繊維が均一に配列されていることを特徴としている。
【0015】
請求項1の発明によれば、研磨パッドは、均一に配列された繊維構造体に空孔を含有しないように樹脂を含浸させたシート状物であるため、必要な硬度と均一な構造を有している。このため、良好な研磨特性を有するとともに、研磨後の被加工物の平坦性も良好である。
【0016】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1の発明において、前記繊維が中空状の繊維を含むことを特徴としている。
【0017】
請求項2の発明によれば、研磨パッドを構成する繊維は中空状の繊維を含むため、研磨スラリの供給排出が促進される。また、研磨屑による研磨パッドの目詰まりが防止される。
【0018】
請求項3に記載の発明は、研磨スラリを供給しながら被加工物を研磨パッドに摺接させて該被加工物の摺接面を平坦化する研磨に用いられる研磨パッドの製造方法において、立体織物又は立体編物である繊維構造体あるいはパイル状繊維構造体に空孔を含有しないように樹脂を含浸させて繊維/樹脂複合シートを作成し、得られた繊維/樹脂複合シートに切削や切断、又は研磨等の加工を施してシート状の研磨パッドを製造することを特徴としている。
【0019】
請求項3の発明によれば、繊維構造体に樹脂を空孔を含有しないように含浸させて、繊維/樹脂複合シート形成し、その繊維/樹脂複合シートを加工して、シート状の研磨パッドを製造するので、均一な構造を有するとともに必要な硬度を備え、良好な研磨特性を有する研磨パッドが得られる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係る研磨パッド及びその製造方法の好ましい実施の形態について詳説する。尚、各図において同一部材には同一の番号または符号を付している。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る研磨パッドの構造を概念的に説明する模式断面図である。研磨パッド10は、立体織物又は立体編物である繊維構造体あるいはパイル状繊維構造体に樹脂12を含浸させたシート状物である。樹脂12は実質的に空孔を含有しないように繊維11、11、…の間に含浸されて、繊維/樹脂複合シートが形成され、この繊維/樹脂複合シートに切削や切断、又は研磨等の加工が施されて所要の厚さに仕上げられている。
【0022】
図1(a)は、各繊維11の軸芯が研磨パッド10の作用面10Aに対して略垂直に形成された状態(図においてθ≒90°)を表わしている。また、図1(b)は各繊維11の軸芯と研磨パッド10の作用面10Aとのなす角度θが45°から135°の範囲に形成されている状態を表わしている。
【0023】
本発明の繊維11は、研磨パッド10を構成する材料であり、綿や羊毛などの天然繊維やレーヨンなどの人造繊維、ポリアミドやポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル、ポリイミド、ポリ乳酸などの合成繊維やカーボンナノチューブや炭素繊維、金属繊維、活性炭繊維などの無機繊維が用いられ、好ましくは、強度や耐摩耗性、耐薬品性などに優れるポリエステルやポリアミドの繊維が使用される。
【0024】
これらの繊維中あるいは繊維表面には砥粒成分が含有されていても構わない。また研磨パッド10中にこれらの繊維11が2種類以上含有されていても構わない。
【0025】
本発明の繊維11の形状については、繊維断面は円形断面、中空断面、多孔断面、多角形断面などが挙げられ、繊維直径は0.01μm〜1mmの間であればよく、好ましくは0.1μm〜100μmである。繊維直径が0.01μm未満であると、繊維構造体の作製が困難であり、繊維直径が1mmを越えると、被加工物の研磨後の平坦性が悪くなる。
【0026】
本発明の中空状の繊維11とは、中空断面を有する繊維11であれば良く、1本の繊維中に複数の中空部分があっても構わない。中空部分の断面形状としては、特に限定されないが、通常は円、長方形、正方形、台形などの形状が挙げられる。
【0027】
中空断面を有する繊維11が研磨パッド10中に存在することによって、スラリー液の供給排出を中空部のポンピング作用によって促進させたり、研磨によって排出させる研磨屑による研磨パッド表面(作用面10A)の目詰まりを防止する効果が得られる。
【0028】
また、研磨パッド10の厚み方向に中空状の繊維11が貫通している場合には、研磨パッドの裏面より、中空状の繊維11を通して気体あるいは液体を加工面に送ることで、中空状の繊維11中の研磨屑やスラリーを排出したり、研磨パッド10表面を洗浄したりすることが可能となる。
【0029】
本発明の繊維構造体に含浸する樹脂12としては、ポリウレタンやナイロン、エポキシ、ポリビニルアルコール、アクリル、ポリエステル、フッ素樹脂、シリコーン樹脂やこれらのエラストマーや混合物などが用いられ、これらの樹脂12中には有機物や無機物のフィラーや砥粒や溶媒等が適度に含有されていても構わない。
【0030】
また樹脂12の硬さや弾性率は、被加工物の種類や要求加工性能及び加工精度に応じて変更することが可能である。被加工物の研磨後の平坦性を良好にする場合には硬い樹脂12を用いるのが好ましい。
【0031】
本発明で使用される樹脂12は実質的に発泡などで生じる空孔あるいは微細孔を含まないことが必要であり、実質的に空孔を含有しないことにより、研磨パッド10の硬度を高くすることが可能であり、被加工物の研磨後の平坦性は良好となる。
【0032】
また、大きさのばらつきが存在する空孔あるいは微細孔を実質的に含有しないため、研磨パッド10全体において、構造的に均一であり、研磨パッド10の厚み方向や面方向での物性が均一であることによって、被加工物に対して加工面内でのより均一な加工が可能となり、また、研磨パッド10の摩耗による加工特性の変動を抑制することができ、連続加工安定性も向上する。
【0033】
本発明では繊維構造体に樹脂12を含浸させてシート状物を得ている。繊維構造体への樹脂12の含浸方法としては、溶融した樹脂12、または樹脂12を溶解した溶液、あるいは樹脂12を分散した溶液中に繊維11を浸漬して乾燥させる方法や、減圧あるいは真空下において繊維集合体あるいは繊維構造体に樹脂12を含浸させる方法などが用いられるが、含浸後に微細孔を実質的に含まないためには、減圧下あるいは真空下において樹脂12の含浸を行うことが好ましく、2000Pa以下の真空下において樹脂12の含浸を行うことがより好ましい。
【0034】
本発明では図1に示すように繊維11の大部分が研磨パッド10の作用面10Aに対して45°から135°の角度θを有し、均一に配列されていることが必要である。ここでいう繊維11の大部分とは、繊維11の60%以上のことであり、好ましくは80%以上である。
【0035】
研磨パッド10の作用面10Aとは、ウェーハなどを研磨する研磨面のことであり、繊維11の大部分はこの作用面10Aに対して45°から135°の角度θを有していることが必要であるが、好ましくは60°から150°の角度θを持っていることであり、さらに好ましくは75°から105°である。ここでいう繊維11の研磨パッド10の作用面10Aに対して有する角度θとは、繊維長軸方向と研磨パッド10の作用面10Aとの有する角度θのことである。
【0036】
繊維11の大部分が作用面10Aと45°未満あるいは135°を越える角度θを有している場合、繊維11の作用面10Aに対する垂直方向の機械的強度が不足し、繊維断面に起因する研磨効果が小さくなるので好ましくない。
【0037】
本発明では繊維11は研磨パッド10の面内において均一に配列していることが必要であるが、ここでいう均一な配列とは、下記(1)式より算出される均一配列係数Rが20以下であることを示し、好ましくは10以下、さらに好ましくは5以下である。
【0038】
【数1】
本発明では、研磨パッド10の作用面10Aにおける繊維部分の占有率は1〜90%が好ましく、さらに好ましくは3〜80%である。占有率が1%未満であると繊維11の効果が小さくなり、90%を越えると繊維構造体への樹脂11の含浸が困難であり、また樹脂部分による研磨作用が小さくなる。
【0039】
本発明の立体織物または立体編物である繊維構造体には、ベルベットやビロード、カーペット、パイル織物などの織物やダブルラッセルなどの編物などの3次元構造体などが用いられ、図2に示すようなパイル部分21B、22Bを有している繊維構造体21、22が好ましい。平織物では繊維11を研磨パッド10の作用面10Aに対して、所望の角度θに均一に配列させることが困難である。
【0040】
また、本発明のパイル状繊維構造体21、22には、平織物などを表面処理により起毛させたものや静電植毛などの植毛加工によって基布やフィルムなどの基材21A、22Aにパイル状に繊維11を保持させ固定化したものなどが用いられる。
【0041】
図2(a)は、上下の基材21A、21Aの間にパイル部分21Bが形成された繊維構造体21を概念的に表わし、図2(b)は、基材22A上にパイル部分22Bが形成された繊維構造体22を概念的に表わしたものである。
【0042】
また本発明の繊維構造体21、22に樹脂11を含浸させたシート状物は、前述の立体織物または立体編物である繊維構造体21、22やパイル状の繊維構造体21、22に樹脂12を含浸させて得る方法以外にも、繊維11の表面に樹脂12等の接着層を形成し、接着して得る方法、あるいは繊維11の少なくとも片方の端部を固定して繊維11を特定方向に配列させた状態を形成し、樹脂12を含浸させることで得ることもできる。
【0043】
本発明の研磨パッド10の厚みは0.1mm〜10mmが好ましく、さらに好ましくは0.5mm〜3mmである。厚みが0.1mm以下では、研磨パッドの寿命が短く、また強度も低くなり、厚みが10mm以上であると、被加工物の研磨後の平坦性が悪くなる。
【0044】
本発明では、研磨パッドは繊維構造体21、22に樹脂12を含浸させたシート状物を切削や切断または研磨などの加工を行うことで所望の形状に仕上げているが、これらの加工方法については特に限定されない。しかし、加工の際に除去部分の少ないバンドソーや鋭利な刃物によるスライス加工で行うことが好ましい。また研磨パッド10の表面粗さを調整する場合には、研磨加工が適している。
【0045】
本発明の研磨パッド10の表面には、目的に応じて格子状や螺旋状、同心円状などの溝などを形成しても構わない。形成された溝などは研磨の際のスラリの供給や排出、研磨屑の排出などを効率良く行い、研磨特性を安定させる効果がある。
【0046】
また本発明の研磨パッド10はそれぞれを積層して用いることも可能であり、また、下層に発泡ウレタン等の発泡体、ゴム、ゲル状ゴム等の弾性体、編物、織物、不織布などを積層して用いても構わない。
【0047】
【実施例】
(実施例1)
直径18μmの円形断面のポリエステル繊維を使用して、パイル長4mm、パイル密度95,000本/cm2 のダブルラッセル編物を作製した。これに真空中(400Pa)にてポリウレタン樹脂(ショアA硬度95度)を含浸硬化させ、厚さ5mmの実質的に空孔を含有しない繊維/樹脂複合シートを得た。このシートを両面研磨し、厚さ1.5mmの研磨パッドを作製した。
【0048】
(実施例2)
直径18μmの円形断面のポリエステル繊維を使用して、パイル長3mm、パイル密度55,000本/cm2 のベルベット織物を作製した。これに真空中(400Pa)にてポリウレタン樹脂(ショアA硬度95度)を含浸硬化させ、厚さ5mmの実質的に空孔を含有しない繊維/樹脂複合シートを得た。このシートを両面研磨し、厚さ1.5mmの研磨パッドを作製した。
【0049】
(実施例3)
直径16μmの円形断面のナイロン6繊維を使用して、静電植毛法によりパイル長2mm、パイル密度65,000本/cm2 のパイル状シートを作製した。これに真空中(400Pa)にてポリウレタン樹脂(ショアD硬度55度)を含浸硬化させ、厚さ5mmの実質的に空孔を含有しない繊維/樹脂複合シートを得た。このシートを両面研磨し、厚さ1.5mmの研磨パッドを作製した。
【0050】
(実施例4)
直径30μm、空孔径10μmの円形中空断面のナイロン6繊維を使用して、パイル長3mm、パイル密度55,000本/cm2 のベルベット織物を作製した。これに真空中(400Pa)にてポリウレタン樹脂(ショアA硬度95度)を含浸硬化させ、厚さ5mmの実質的に空孔を含有しない繊維/樹脂複合シートを得た。このシートを超硬刃スライサーでスライスし、厚さ1.5mmの研磨パッドを作製した。
【0051】
これらの実施例1〜4の研磨パッド、及び従来の市販パッドA(ショアD硬度57度)、市販パッドB(ショアA硬度80度)を用いて図3の研磨条件で研磨を行った。
【0052】
この研磨条件は、図3に示すように、研磨装置としてラップマスター社製LM15を使用し、研磨パッド回転数30rpm、研磨荷重50KPaで被加工物である酸化膜付きシリコンウェーハをCMPしたもので、この時の研磨スラリはシリカ分散スラリ(pH12.8、砥粒濃度12.5wt%)を用いた。
【0053】
夫々の研磨結果の比較を図4に示す。比較は研磨パッドの研磨性能を表わす研磨速度、研磨の安定性、及び被研磨面の平坦性について行い、図4に示すような一覧表にまとめた。図において◎印は優良、○印は良、△印はやや劣る、を表わしている。
【0054】
図4から明らかなように、研磨速度については実施例1〜4の各研磨パッド、及び市販の研磨パッドA、Bともに略等しく、良好であった。また、研磨の安定性については、市販の研磨パッドAのみがやや劣っており、他の研磨パッドは良好であった。被研磨面の平坦性については、実施例3の研磨パッドが優良で、市販の研磨パッドBがやや劣っており、他の研磨パッドは良好であった。
【0055】
以上の結果から、従来の市販の研磨パッドは研磨速度については良好であるものの、研磨の安定性或いは被研磨面の平坦性についてやや劣るのに対し、本発明の実施例の研磨パッドは研磨パッドの研磨特性を表わす研磨速度、研磨の安定性、及び被研磨面の平坦性において全て良好、或いは優良であり、顕著な効果を示している。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の研磨パッド及びその製造方法によれば、研磨パッドは、繊維構造体に樹脂を実質的に空孔を含有しないように含浸させたシート状物で形成され、繊維の大部分が研磨パッドの作用面に対して45°から135°の角度を有するように配向されるとともに、実質的に均一に配列されているので、構造的に均一で、研磨性能に優れ、また、均一で安定な研磨が可能であり、被研磨物の高度な平坦化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る研磨パッドを表わす概念図
【図2】繊維構造体を表わす概念図
【図3】比較研磨の研磨条件を示す表
【図4】比較研磨の研磨結果を示す表
【図5】研磨装置を表わす概念図
【符号の説明】
10…研磨パッド、10A…作用面、11…繊維、12…樹脂、21、22…繊維構造体、50…研磨装置、51…研磨ヘッド、52…研磨定盤、53…研磨パッド、S…研磨スラリ、W…ウェーハ(被加工物)
Claims (3)
- 研磨スラリを供給しながら被加工物を研磨パッドに摺接させて該被加工物の摺接面を平坦化する研磨に用いられる研磨パッドにおいて、
該研磨パッドは、繊維構造体に空孔を含有しないように樹脂を含浸させたシート状物で形成され、繊維の大部分が研磨パッドの作用面に対して45°から135°の範囲の角度で配向されるとともに、前記繊維が均一に配列されていることを特徴とする研磨パッド。 - 前記繊維が中空状の繊維を含むことを特徴とする、請求項1に記載の研磨パッド。
- 研磨スラリを供給しながら被加工物を研磨パッドに摺接させて該被加工物の摺接面を平坦化する研磨に用いられる研磨パッドの製造方法において、
立体織物又は立体編物である繊維構造体あるいはパイル状繊維構造体に空孔を含有しないように樹脂を含浸させて繊維/樹脂複合シートを作成し、得られた繊維/樹脂複合シートに切削や切断、又は研磨等の加工を施してシート状の研磨パッドを製造することを特徴とする研磨パッドの製造方法。
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