JP2004353887A - 調湿装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】調湿装置(10)の冷媒回路では、第1及び第2熱交換器(61,62)の表面に吸着材が担持される。この冷媒回路は、四方切換弁を操作することで冷媒の循環方向が切り換え可能となっている。また、調湿装置(10)では、切換機構(50)が空気の流通経路を切り換える。調湿装置(10)は、四方切換弁と切換機構(50)を操作することにより、蒸発器となっている熱交換器(61,62)で第1空気を除湿し、凝縮器となっている熱交換器(61,62)で第2空気を加湿する。この調湿装置(10)では、冷媒回路の動作と空気流通経路の切換時間間隔が調湿負荷に応じて設定される。この切換時間間隔は、調湿負荷が大きいときほど短く設定される。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気の湿度調節を行う調湿装置であって、いわゆるバッチ式の運転動作を行うものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば特許文献1に開示されているように、吸着材と冷凍サイクルとを利用して空気の湿度調節を行う調湿装置が知られている。この調湿装置は、いわゆるバッチ式の運転動作を行うように構成されている。
【0003】
上記調湿装置は、2つの吸着ユニットを備えている。各吸着ユニットは、吸着材が充填されたメッシュ容器と、このメッシュ容器を貫通する冷媒管とによって構成されている。各吸着ユニットの冷媒管は、冷凍サイクルを行う冷媒回路に接続されている。また、上記調湿装置には、各吸着ユニットへ送られる空気を切り換えるためのダンパが設けられている。
【0004】
上記調湿装置の運転中には、冷媒回路の圧縮機が運転され、2つの吸着ユニットの一方が蒸発器となって他方が凝縮器となる冷凍サイクルが行われる。また、冷媒回路では、四方切換弁を操作することによって冷媒の循環方向が切り換わり、各吸着ユニットは交互に蒸発器として機能したり凝縮器として機能したりする。
【0005】
上記調湿装置の加湿運転では、室外から室内へ向けて流れる給気を凝縮器となる吸着ユニットへ導き、吸着材から脱離した水分で給気を加湿する。その際、室内から室外へ向けて流れる排気を蒸発器となる吸着ユニットへ導き、排気中の水分を吸着材に回収する。一方、調湿装置の除湿運転では、室外から室内へ向けて流れる給気を蒸発器となる吸着ユニットへ導き、給気中の水分を吸着材に吸着させる。その際、室内から室外へ向けて流れる排気を凝縮器となる吸着ユニットへ導き、吸着材から脱離した水分を排気と共に室外へ排出する。
【0006】
尚、上記吸着ユニットと同様の機能を有するものとしては、例えば特許文献2に開示されているような熱交換部材も知られている。この熱交換部材では、銅管の周囲に板状のフィンが設けられ、この銅管やフィンの表面に吸着材が担持されている。そして、この熱交換部材は、銅管内を流れる流体によって吸着材の加熱や冷却を行うように構成されている。
【0007】
また、バッチ式の運転動作を行う調湿装置としては、例えば特許文献3に開示されたものも知られている。この調湿装置は、多数の空気通路が形成された吸着素子を2つ備えている。そして、第1の吸着素子で第1空気を除湿するときは、ヒートポンプの凝縮器で加熱した第2空気を第2の吸着素子へ送って吸着材を再生する。逆に、第2の吸着素子で第1空気を除湿するときは、加熱した第2空気を第1の吸着素子へ送って吸着材を再生する。この調湿装置は、上記の2つの動作を交互に繰り返し、除湿した第1空気又は加湿した第2空気を室内へ供給する。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−189667号公報
【特許文献2】
特開平7−265649号公報
【特許文献3】
特開2003−28458号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の調湿装置では、調湿能力の調節について何ら考慮されていなかった。このため、室内の潜熱負荷に対して調湿装置の調湿能力の過不足が生じ、室内の快適性を充分に確保できなくなったり、調湿装置での省エネ化が不充分になるおそれがあった。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、いわゆるバッチ式の運転動作を行う調湿装置において、その調湿能力の調節を可能とし、快適性の確保や調湿装置の省エネ化を図ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、第1空気及び第2空気を取り込み、除湿した第1空気又は加湿した第2空気を室内へ供給する調湿装置を対象としている。そして、それぞれが吸着材を有して該吸着材を空気と接触させる第1及び第2の吸着ユニット(62)を備え、第1の吸着ユニット(61)で吸着材を再生して第2空気を加湿すると同時に第2の吸着ユニット(61,62)で第1空気を除湿する第1動作と、第2の吸着ユニット(62)で吸着材を再生して第2空気を加湿すると同時に第1の吸着ユニット(61)で第1空気を除湿する第2動作とを所定の切換時間間隔で交互に繰り返すように構成される一方、上記切換時間間隔を調湿装置の負荷に応じて設定する間隔設定手段(74)が設けられるものである。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1に記載の調湿装置において、間隔設定手段(74)は、調湿装置の負荷が大きくなるほど切換時間間隔の設定値を小さくするように構成されるものである。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の調湿装置において、表面に吸着材が担持された熱交換器(61,62)が複数接続されると共に、第1の熱交換器(61)が凝縮器となって第2の熱交換器(62)が蒸発器となる第1の冷凍サイクル動作と、第2の熱交換器(62)が凝縮器となって第1の熱交換器(61)が蒸発器となる第2の冷凍サイクル動作とが切換可能な冷媒回路(60)を備え、第1動作中には上記冷媒回路(60)が第1の冷凍サイクル動作を行う一方で第2動作中には上記冷媒回路(60)が第2の冷凍サイクル動作を行い、上記第1の熱交換器(61)が第1の吸着ユニットを構成して上記第2の熱交換器(62)が第2の吸着ユニットを構成しているものである。
【0014】
請求項4の発明は、請求項3に記載の調湿装置において、第1動作と第2動作の相互切換に対応して第1空気及び第2空気の流通経路を切り換えるための切換機構(50)と、冷媒回路(60)の動作切換が行われる所定時間前に予め上記切換機構(50)によって空気流通経路を切り換える制御動作を、熱交換器(61,62)の上流において第2空気が第1空気よりも高温であるときに行う切換制御手段(73)とを備えるものである。
【0015】
請求項5の発明は、請求項3に記載の調湿装置において、第1動作と第2動作の相互切換に対応して第1空気及び第2空気の流通経路を切り換えるための切換機構(50)と、冷媒回路(60)の動作切換が行われてから所定時間後に上記切換機構(50)によって空気流通経路を切り換える制御動作を、熱交換器(61,62)の上流において第1空気が第2空気よりも高温であるときに行う切換制御手段(73)とを備えるものである。
【0016】
請求項6の発明は、請求項3に記載の調湿装置において、冷媒回路(60)に設けられた圧縮機(63)が容量可変に構成されており、上記冷媒回路(60)の動作切換の周期と同じ周期で上記圧縮機(63)の容量を変化させる容量制御手段(71)が設けられるものである。
【0017】
請求項7の発明は、請求項3に記載の調湿装置において、冷媒回路(60)に設けられる冷媒の膨張機構が開度可変の膨張弁(65)により構成されており、上記冷媒回路(60)の動作切換の周期と同じ周期で上記膨張弁(65)の開度を変化させる開度制御手段(72)が設けられるものである。
【0018】
−作用−
請求項1の発明では、第1動作と第2動作とが相互に切り換えて行われる。この第1動作と第2動作の相互切換は、所定の切換時間間隔で周期的に行われる。この発明の調湿装置(10)において、第1動作中には、第1の吸着ユニット(61)へ第2空気が送られて、第2の吸着ユニット(62)へ第1空気が送られる。そして、第1の吸着ユニット(61)では、吸着材の再生が行われ、吸着材から脱離した水分によって第2空気が加湿される。また、第2の吸着ユニット(62)では、第1空気中の水分が吸着材に吸着されて第1空気が除湿される。一方、第2動作中には、第1の吸着ユニット(61)へ第1空気が送られて、第2の吸着ユニット(62)へ第2空気が送られる。そして、第1の吸着ユニット(61)では、第1空気中の水分が吸着材に吸着されて第1空気が除湿される。また、第2の吸着ユニット(62)では、吸着材の再生が行われ、吸着材から脱離した水分によって第2空気が加湿される。
【0019】
この発明において、調湿装置(10)は、除湿した第1空気又は加湿した第2空気を室内へ供給する。つまり、この調湿装置(10)は、除湿した第1空気だけを室内へ供給するものであってもよいし、加湿した第2空気だけを室内へ供給するものであってもよい。また、この調湿装置(10)は、除湿した第1空気を室内へ供給する運転と、加湿した第2空気を室内へ供給する運転とが切換可能なものであってもよい。
【0020】
更に、この発明では、調湿装置(10)に間隔設定手段(74)が設けられる。間隔設定手段(74)は、調湿装置の負荷に応じて切換時間間隔を設定する。調湿装置(10)では、間隔設定手段(74)により設定された切換時間間隔で第1動作と第2動作が相互に切り換えられる。間隔設定手段(74)が切換時間間隔を調節することにより、調湿装置(10)で得られる調湿能力が、その負荷に応じて調節される。つまり、第1動作と第2動作が相互に切り換えられる切換時間間隔を変化させると、それに伴って第1空気からの除湿量や第2空気への加湿量が変化し、調湿装置(10)の調湿能力が変化する。
【0021】
請求項2の発明では、調湿装置(10)の負荷が大きいときほど間隔設定手段(74)が切換時間間隔を短く設定する。ここで、第1動作と第2動作を交互に切り換えて行う上記調湿装置(10)において、吸着ユニットの吸着材に対する水分の吸脱着は、2つの動作が切り換わってから比較的短い間に集中して行われる。例えば、第1動作中に第1の吸着ユニット(61)の吸着材から脱離する水分は、その大部分が第1動作の開始後短時間のうちに吸着材から脱離する。また、第1動作中に第2の吸着ユニット(62)に吸着される第1空気中の水分は、その大部分が第1動作の開始後短時間のうちに吸着材に吸着される。
【0022】
このため、切換時間間隔を長く設定して第1動作や第2動作の継続時間を延長すると、それに伴って吸着材に対する水分の吸脱着が殆ど行われない時間が長くなり、調湿装置(10)の調湿能力が低下する。逆に、切換時間間隔を短く設定して第1動作や第2動作の継続時間を短縮すると、それに伴って吸着材に対する水分の吸脱着が集中的に行われる頻度が増大し、調湿装置(10)の調湿能力が増大する。
【0023】
そこで、この発明では、上述のように間隔設定手段(74)が切換時間間隔を設定することにより、調湿装置(10)の負荷の増減に対応して調湿装置(10)の調湿能力を増減させている。
【0024】
請求項3の発明では、冷媒回路(60)で2つの冷凍サイクル動作が交互に繰り返し行われる。また、切換機構(50)は、冷媒回路(60)の動作切換に対応して、第1空気や第2空気の流通経路を切り換える。
【0025】
この発明の冷媒回路(60)において、第1の冷凍サイクル動作中には、凝縮器となる第1の熱交換器(61)へ第2空気が送られて、蒸発器となる第2の熱交換器(62)へ第1空気が送られる。そして、第1の熱交換器(61)では、冷媒により加熱されて吸着材が再生され、吸着材から脱離した水分が第2空気に付与される。また、第2の熱交換器(62)では、第1空気中の水分が吸着材に吸着され、その際に生じる吸着熱を冷媒が吸熱する。一方、第2の冷凍サイクル動作中には、蒸発器となる第1の熱交換器(61)へ第1空気が送られて、凝縮器となる第2の熱交換器(62)へ第2空気が送られる。そして、第1の熱交換器(61)では、第1空気中の水分が吸着材に吸着され、その際に生じる吸着熱を冷媒が吸熱する。また、第2の熱交換器(62)では、冷媒により加熱されて吸着材が再生され、吸着材から脱離した水分が第2空気に付与される。
【0026】
請求項4の発明において、調湿装置(10)の切換制御手段(73)は、冷媒回路(60)の動作切換が行われる前に切換機構(50)による空気流通経路の切換を行わせる。このような切換制御手段(73)の制御動作は、熱交換器(61,62)を通過する前において第2空気が第1空気よりも高温であるときに行われる。
【0027】
ここで、凝縮器となっている第1の熱交換器(61)へ第2空気が送られて、蒸発器となっている第2の熱交換器(62)へ第1空気が送られる状態であると仮定する。この状態において、請求項4の発明では、空気流通経路が切り換えられ、第1の熱交換器(61)へ第1空気が送られて第2の熱交換器(62)へ第2空気が送られる状態になり、その後に所定時間が経過すると冷媒回路(60)の冷凍サイクル動作が切り換わる。
【0028】
このため、凝縮器から蒸発器に切り換わる第1の熱交換器(61)に対しては、それまでの第2空気よりも低温の第1空気が供給される。そして、第1の熱交換器(61)に設けられた吸着材は、第1の熱交換器(61)が蒸発器に切り換わる前に予め第1空気によって冷却される。一方、蒸発器から凝縮器に切り換わる第2の熱交換器(62)に対しては、それまでの第1空気よりも高温の第2空気が供給される。そして、第2の熱交換器(62)に設けられた吸着材は、第2の熱交換器(62)が凝縮器に切り換わる前に予め第2空気によって加熱される。
【0029】
請求項5の発明において、調湿装置(10)の切換制御手段(73)は、冷媒回路(60)の動作切換が行われた後に切換機構(50)による空気流通経路の切換を行わせる。このような切換制御手段(73)の制御動作は、熱交換器(61,62)を通過する前において第1空気が第2空気よりも高温であるときに行われる。
【0030】
ここで、凝縮器となっている第1の熱交換器(61)へ第2空気が送られて、蒸発器となっている第2の熱交換器(62)へ第1空気が送られる状態であると仮定する。この状態において、請求項5の発明では、空気の流通経路を維持したままで冷媒回路(60)の冷凍サイクル動作が切り換わり、それから所定時間が経過すると空気の流通経路が切り換わる。
【0031】
このため、凝縮器から蒸発器に切り換わった第1の熱交換器(61)に対しては、第1空気よりも低温の第2空気が所定時間に亘って供給され続ける。そして、第1の熱交換器(61)に設けられた吸着材は、冷媒回路(60)の冷媒と第2空気の両方によって冷却され、その後に第1空気と接触する。一方、蒸発器から凝縮器に切り換わった第2の熱交換器(62)に対しては、第2空気よりも高温の第1空気が所定時間に亘って供給され続ける。そして、第2の熱交換器(62)に設けられた吸着材は、冷媒回路(60)の冷媒と第1空気の両方によって加熱され、その後に第2空気と接触する。
【0032】
請求項6の発明では、冷媒回路(60)の圧縮機(63)が容量可変となっている。圧縮機(63)の容量制御は、容量制御手段(71)により行われる。この容量制御手段(71)は、圧縮機(63)の容量を周期的に増減させる。この容量制御手段(71)による圧縮機(63)の容量変化の周期は、冷媒回路(60)の冷凍サイクル動作が切り換わる周期と同じである。つまり、圧縮機(63)の容量は、冷媒回路(60)における冷凍サイクル動作の切り換えに対応して規則的に調節される。
【0033】
この請求項6の発明において、具体的な容量制御手段(71)の構成例としては、次の2つが挙げられる。
【0034】
請求項6の容量制御手段(71)の第1構成例は、冷媒回路(60)の動作切換前に予め圧縮機(63)の容量を一時的に低下させて上記冷媒回路(60)の動作切換が行われると上記圧縮機(63)の容量を増大させる制御動作を、上記冷媒回路(60)の動作切換ごとに行うものである。
【0035】
この第1構成例では、冷媒回路(60)の冷凍サイクル動作が切り換わる毎に、容量制御手段(71)が所定の制御動作を行う。この制御動作において、容量制御手段(71)は、冷媒回路(60)の動作切換に際して圧縮機(63)の容量を事前に低下させる。つまり、冷媒回路(60)の冷凍サイクル動作は、圧縮機(63)の容量が一時的に小さくなった状態で切り換えられる。そして、冷媒回路(60)の冷凍サイクル動作が切り換わると、容量制御手段(71)は、一旦低下させた圧縮機(63)の容量を増大させる。
【0036】
上述のように、調湿装置(10)の運転中には、蒸発器となる熱交換器(61,62)の吸着材に空気中の水分が吸着されてゆき、凝縮器となる熱交換器(61,62)の吸着材から水分が脱離してゆく。そして、冷媒回路(60)の冷凍サイクル動作が切り換わる間際になると、蒸発器となる熱交換器(61,62)の吸着材を冷却し続けても吸着材がさほど水分を吸着しなくなり、凝縮器となる熱交換器(61,62)の吸着材を加熱し続けても水分がさほど吸着材から脱離しなくなる。つまり、冷媒回路(60)の冷凍サイクル動作が切り換わる間際まで圧縮機(63)を大容量で運転し続けても、第1空気からの除湿量や第2空気への加湿量を増大させる効果は、さほど望めない。
【0037】
そこで、請求項6の容量制御手段(71)の第1構成例では、冷媒回路(60)の動作切換の少し前であって既に除湿量や加湿量の増大が見込めないときには、容量制御手段(71)が圧縮機(63)の容量を小さくし、圧縮機(63)の運転に必要な電力等を削減する。また、冷媒回路(60)の動作切換前において、圧縮機(63)の容量が小さくなると、その分だけ吸着材に対する加熱能力や冷却能力が少なくなる。このため、冷媒回路(60)の冷凍サイクル動作が切り換わってから吸着材が充分に水分を吸脱着可能な温度に達するまでの時間を短縮でき、調湿装置(10)の調湿能力を向上させることができる。
【0038】
請求項6の容量制御手段(71)の第2構成例は、冷媒回路(60)の動作切換直後は一時的に圧縮機(63)の容量を調湿装置の負荷に対応した基準容量よりも大きくして上記冷媒回路(60)の動作切換から所定時間が経過すると上記圧縮機(63)の容量を低下させる制御動作を、上記冷媒回路(60)の動作切換ごとに行うものである。
【0039】
この第2構成例では、冷媒回路(60)の冷凍サイクル動作が切り換わる毎に、容量制御手段(71)が所定の制御動作を行う。この制御動作において、容量制御手段(71)は、冷媒回路(60)の冷凍サイクル動作が切り換わると、その直後から圧縮機(63)の容量を一時的に増大させる。その際、容量制御手段(71)は、圧縮機(63)の容量を調湿装置(10)の負荷に対応した基準容量よりも大きくする。そして、冷媒回路(60)の冷凍サイクル動作が切り換わった時点から所定時間が経過すると、一旦増大させた圧縮機(63)の容量を低下させる。
【0040】
つまり、請求項6の容量制御手段(71)の第2構成例では、冷媒回路(60)の冷凍サイクル動作が切り換わった直後で吸着材の加熱や冷却を素早く行いたい状態において、容量制御手段(71)が圧縮機(63)の容量を一時的に増大させている。このため、凝縮器に切り換わった熱交換器(61,62)では吸着材の温度を更に素早く上昇させて空気への加湿量を確保することができ、蒸発器に切り換わった熱交換器(61,62)では吸着材の温度を更に素早く低下させて空気からの除湿量を確保することができる。
【0041】
請求項7の発明では、開度可変の膨張弁(65)が冷媒の膨張機構として冷媒回路(60)に設けられる。膨張弁(65)の開度制御は、開度制御手段(72)によって行われる。この開度制御手段(72)は、膨張弁(65)の開度を周期的に増減させる。この開度制御手段(72)による膨張弁(65)の開度変化の周期は、冷媒回路(60)の冷凍サイクル動作が切り換わる周期と同じである。つまり、膨張弁(65)の開度は、冷媒回路(60)における冷凍サイクル動作の切り換えに対応して規則的に調節される。
【0042】
この請求項7の発明において、具体的な開度制御手段(72)の構成例としては、次の2つが挙げられる。
【0043】
請求項7の開度制御手段(72)の第1構成例は、冷媒回路(60)の動作切換前に予め膨張弁(65)の開度を一時的に増大させて上記冷媒回路(60)の動作切換が行われると上記膨張弁(65)の開度を低下させる制御動作を、上記冷媒回路(60)の動作切換ごとに行うものである。
【0044】
この第1構成例では、冷媒回路(60)の冷凍サイクル動作が切り換わる毎に、開度制御手段(72)が所定の制御動作を行う。この制御動作において、開度制御手段(72)は、冷媒回路(60)の動作切換に際して膨張弁(65)の開度を事前に増大させる。つまり、冷媒回路(60)の冷凍サイクル動作は、膨張弁(65)の開度が一時的に大きくなった状態で切り換えられる。そして、冷媒回路(60)の冷凍サイクル動作が切り換わると、開度制御手段(72)は、一旦増大させた膨張弁(65)の開度を低下させる。
【0045】
上述のように、冷媒回路(60)の動作切換の少し前は、既に除湿量や加湿量の増大が見込めない状態となっている。そこで、請求項7の開度制御手段(72)の第1構成例では、このような状態になると開度制御手段(72)が膨張弁(65)の開度を増大させる。膨張弁(65)の開度が増すと、冷凍サイクルにおける高低圧差が縮小し、冷媒を圧縮する圧縮機(63)への入力が減少する。また、冷媒回路(60)の動作切換前において、膨張弁(65)の開度が大きくなると、その分だけ吸着材に対する加熱能力や冷却能力が少なくなる。このため、冷媒回路(60)の冷凍サイクル動作が切り換わってから吸着材が充分に水分を吸脱着可能な温度に達するまでの時間を短縮でき、調湿装置(10)の調湿能力を向上させることができる。
【0046】
請求項7の開度制御手段(72)の第2構成例は、冷媒回路(60)の動作切換直後は一時的に膨張弁(65)の開度を該冷媒回路(60)の運転状態に対応した基準開度よりも小さくして上記冷媒回路(60)の動作切換から所定時間が経過すると上記膨張弁(65)の開度を増大させる制御動作を、上記冷媒回路(60)の動作切換ごとに行うものである。
【0047】
この第2構成例では、冷媒回路(60)の冷凍サイクル動作が切り換わる毎に、開度制御手段(72)が所定の制御動作を行う。この制御動作において、開度制御手段(72)は、冷媒回路(60)の冷凍サイクル動作が切り換わると、その直後から膨張弁(65)の開度を一時的に低下させる。その際、開度制御手段(72)は、膨張弁(65)の開度を冷媒回路(60)の運転状態に対応した基準開度よりも小さくする。そして、開度制御手段(72)は、冷媒回路(60)の冷凍サイクル動作が切り換わった時点から所定時間が経過すると、一旦削減した膨張弁(65)の開度を拡大する。
【0048】
つまり、請求項7の開度制御手段(72)の第2構成例では、冷媒回路(60)の冷凍サイクル動作が切り換わった直後で吸着材の加熱や冷却を素早く行いたい状態において、開度制御手段(72)が膨張弁(65)の開度を一時的に削減する。膨張弁(65)の開度が小さくなると、冷凍サイクルにおける高低圧差が拡大し、冷媒の凝縮温度が上昇して蒸発温度が低下する。このため、凝縮器に切り換わった熱交換器(61,62)では吸着材の温度を更に素早く上昇させて空気への加湿量を確保することができ、蒸発器に切り換わった熱交換器(61,62)では吸着材の温度を更に素早く低下させて空気からの除湿量を確保することができる。
【0049】
【発明の実施の形態1】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0050】
図1に示すように、本実施形態の調湿装置(10)は、室内空気の除湿と加湿とを行うものであり、箱状のケーシング(11)を備えている。尚、図1(B)においては、下側がケーシング(11)の正面側であって、上側がケーシング(11)の背面側である。また、以下の説明における「右」「左」は、何れも参照する図面におけるものを意味する。
【0051】
上記ケーシング(11)内には、冷媒回路(60)等が収納されている。この冷媒回路(60)は、第1熱交換器(61)、第2熱交換器(62)、圧縮機(63)、四方切換弁(64)、及び電動膨張弁(65)が設けられた閉回路であって、冷媒が充填されている。冷媒回路(60)では、充填された冷媒を循環させることにより蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。尚、冷媒回路(60)の詳細については後述する。
【0052】
上記ケーシング(11)は、平面視が概ね正方形状で扁平な箱型に形成されている。上記ケーシング(11)の左側面板(12)には、その背面板(15)寄りに室外空気吸込口(21)が形成され、その正面板(14)寄りに室内空気吸込口(22)が形成されている。一方、ケーシング(11)の右側面板(13)には、その背面板(15)寄りに排気吹出口(23)が形成され、その正面板(14)寄りに給気吹出口(24)が形成されている。
【0053】
上記ケーシング(11)の内部には、左右方向の中心部よりも右側面板(13)寄りに第1仕切板(31)が立設されている。ケーシング(11)の内部空間(16)は、この第1仕切板(31)によって、左右に仕切られている。そして、第1仕切板(31)の左側が第1空間(17)となり、第1仕切板(31)の右側が第2空間(18)となっている。
【0054】
上記ケーシング(11)の第2空間(18)には、冷媒回路(60)の圧縮機(63)が配置されている。また、図1には図示しないが、冷媒回路(60)の電動膨張弁(65)や四方切換弁(64)も第2空間(18)に配置されている。更に、第2空間(18)には、排気ファン(26)及び給気ファン(25)が収納されている。上記排気ファン(26)は、排気吹出口(23)に接続されている。上記給気ファン(25)は、給気吹出口(24)に接続されている。
【0055】
上記ケーシング(11)の第1空間(17)には、第2仕切板(32)と第3仕切板(33)と第6仕切板(36)とが設けられている。第2仕切板(32)は正面板(14)寄りに立設され、第3仕切板(33)は背面板(15)寄りに立設されている。そして、第1空間(17)は、第2仕切板(32)及び第3仕切板(33)により、正面側から背面側に向かって3つの空間に仕切られている。第6仕切板(36)は、第2仕切板(32)と第3仕切板(33)に挟まれた空間に設けられている。この第6仕切板(36)は、第1空間(17)の左右幅方向の中央に立設されている。
【0056】
第2仕切板(32)と第3仕切板(33)に挟まれた空間は、第6仕切板(36)によって左右に仕切られる。このうち、右側の空間は、第1熱交換室(41)を構成しており、その内部に第1熱交換器(61)が配置されている。一方、左側の空間は、第2熱交換室(42)を構成しており、その内部に第2熱交換器(62)が配置されている。
【0057】
各熱交換器(61,62)は、全体として厚肉の平板状に形成されている。そして、第1熱交換器(61)は、第1熱交換室(41)を水平方向へ横断するように設置されている。また、第2熱交換器(62)は、第2熱交換室(42)を水平方向へ横断するように設置されている。尚、第1,第2熱交換器(61,62)の詳細については後述する。
【0058】
上記第1空間(17)のうち第3仕切板(33)とケーシング(11)の背面板(15)に挟まれた空間には、第5仕切板(35)が設けられている。第5仕切板(35)は、この空間の高さ方向の中央部を横断するように設けられ、この空間を上下に仕切っている(図1(A)を参照)。そして、第5仕切板(35)の上側の空間が第1流入路(43)を構成し、その下側の空間が第1流出路(44)を構成している。また、第1流入路(43)は室外空気吸込口(21)に連通し、第1流出路(44)は排気ファン(26)を介して排気吹出口(23)に連通している。
【0059】
一方、上記第1空間(17)のうち第2仕切板(32)とケーシング(11)の正面板(14)に挟まれた空間には、第4仕切板(34)が設けられている。第4仕切板(34)は、この空間の高さ方向の中央部を横断するように設けられ、この空間を上下に仕切っている(図1(C)を参照)。そして、第4仕切板(34)の上側の空間が第2流入路(45)を構成し、その下側の空間が第2流出路(46)を構成している。また、第2流入路(45)は室内空気吸込口(22)に連通し、第2流出路(46)は給気ファン(25)を介して給気吹出口(24)に連通している。
【0060】
上記第3仕切板(33)には、4つの開口(51,52,53,54)が形成されている(図1(A)を参照)。第3仕切板(33)の右上部に形成された第1開口(51)は、第1熱交換室(41)における第1熱交換器(61)の上側を第1流入路(43)と連通させている。第3仕切板(33)の左上部に形成された第2開口(52)は、第2熱交換室(42)における第2熱交換器(62)の上側を第1流入路(43)と連通させている。第3仕切板(33)の右下部に形成された第3開口(53)は、第1熱交換室(41)における第1熱交換器(61)の下側を第1流出路(44)と連通させている。第3仕切板(33)の左下部に形成された第4開口(54)は、第2熱交換室(42)における第2熱交換器(62)の下側を第1流出路(44)と連通させている。
【0061】
第2仕切板(32)には、4つの開口(55,56,57,58)が形成されている(図1(C)を参照)。第2仕切板(32)の右上部に形成された第5開口(55)は、第1熱交換室(41)における第1熱交換器(61)の上側を第2流入路(45)と連通させている。第2仕切板(32)の左上部に形成された第6開口(56)は、第2熱交換室(42)における第2熱交換器(62)の上側を第2流入路(45)と連通させている。第2仕切板(32)の右下部に形成された第7開口(57)は、第1熱交換室(41)における第1熱交換器(61)の下側を第2流出路(46)と連通させている。第2仕切板(32)の左下部に形成された第8開口(58)は、第2熱交換室(42)における第2熱交換器(62)の下側を第2流出路(46)と連通させている。
【0062】
上記第3仕切板(33)の各開口(51,52,53,54)、及び第2仕切板(32)の各開口(55,56,57,58)は、それぞれが開閉自在のダンパを備えている。これらの各開口(51,…,55,…)は、ダンパを開閉することによって開口状態と閉鎖状態とに切り換わる。そして、各開口(51,…,55,…)に設けられたダンパは、ケーシング(11)内での第1空気及び第2空気の流通経路を切り換える切換機構(50)を構成している。
【0063】
上記冷媒回路(60)について、図2を参照しながら説明する。
【0064】
上記圧縮機(63)は、その吐出側が四方切換弁(64)の第1のポートに接続され、その吸入側が四方切換弁(64)の第2のポートに接続されている。第1熱交換器(61)の一端は、四方切換弁(64)の第3のポートに接続されている。第1熱交換器(61)の他端は、電動膨張弁(65)を介して第2熱交換器(62)の一端に接続されている。第2熱交換器(62)の他端は、四方切換弁(64)の第4のポートに接続されている。
【0065】
上記圧縮機(63)は、いわゆる全密閉型に構成されている。図示しないが、この圧縮機(63)の電動機には、インバータを介して電力が供給されている。このインバータの出力周波数を変更すると、上記電動機の回転速度が変化し、それに伴って圧縮機(63)の押しのけ容積が変化する。つまり、上記圧縮機(63)は、その容量が可変に構成されている。
【0066】
上記第1及び第2熱交換器(61,62)は、何れも、伝熱管と多数のフィンとを備えた、いわゆるクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器により構成されている。また、第1及び第2熱交換器(61,62)の外表面には、その概ね全面に亘り、例えばゼオライト等の吸着材が担持されている。そして、第1熱交換器(61)が第1吸着ユニットを構成し、第2熱交換器(62)が第2吸着ユニットを構成している。
【0067】
上記四方切換弁(64)は、第1のポートと第3のポートが連通して第2のポートと第4のポートが連通する状態(図2(A)に示す状態)と、第1のポートと第4のポートが連通して第2のポートと第3のポートが連通する状態(図2(B)に示す状態)とに切り換え自在に構成されている。そして、冷媒回路(60)は、この四方切換弁(64)を切り換えることにより、第1熱交換器(61)が凝縮器として機能して第2熱交換器(62)が蒸発器として機能する第1冷凍サイクル動作と、第1熱交換器(61)が蒸発器として機能して第2熱交換器(62)が凝縮器として機能する第2冷凍サイクル動作とを切り換えて行うように構成されている。
【0068】
上記調湿装置(10)には、コントローラ(70)が設けられている。図3に示すように、コントローラ(70)には、容量制御部(71)と開度制御部(72)と切換制御部(73)と間隔設定部(74)とが設けられている。
【0069】
上記容量制御部(71)は、圧縮機(63)の容量制御を行うように構成されている。具体的に、この容量制御部(71)は、インバータの出力周波数を調節することによって、圧縮機(63)の容量を調節する。この容量制御部(71)は、調湿装置(10)の運転状態に応じて圧縮機(63)の容量を調節する。
【0070】
上記開度制御部(72)は、電動膨張弁(65)の開度制御を行うように構成されている。この開度制御部(72)は、冷媒回路(60)の運転状態に応じて電動膨張弁(65)の開度を調節する。
【0071】
上記切換制御部(73)は、冷媒回路(60)の動作切換と第1空気及び第2空気の流通経路切換とを同時に行うように構成されている。具体的に、切換制御部(73)は、四方切換弁(64)の操作と切換機構(50)を構成する各開口(51,…,55,…)のダンパの操作とを行う。また、切換制御部(73)は、四方切換弁(64)及び切換機構(50)の操作を所定の切換時間間隔で周期的に行う。
【0072】
上記間隔設定部(74)は、上記切換時間間隔の設定を行うように構成されている。つまり、切換制御部(73)が四方切換弁(64)及び切換機構(50)を操作する時間間隔は、間隔設定部(74)によって設定される。また、間隔設定部(74)は、切換時間間隔の設定を調湿装置(10)の負荷に応じて行う間隔設定手段を構成している。
【0073】
−調湿装置の調湿動作−
上記調湿装置(10)の調湿動作について説明する。この調湿装置(10)では、換気除湿運転と換気加湿運転と循環除湿運転と循環加湿運転とが切り換え可能になっている。また、上記調湿装置(10)において、上記の各運転中は第1動作と第2動作とが所定の切換時間間隔で交互に繰り返される。
【0074】
《換気除湿運転》
換気除湿運転時において、調湿装置(10)では、給気ファン(25)及び排気ファン(26)が運転される。そして、調湿装置(10)は、室外空気(OA)を第1空気として取り込んで室内に供給する一方、室内空気(RA)を第2空気として取り込んで室外に排出する。
【0075】
先ず、換気除湿運転時の第1動作について、図2及び図4を参照しながら説明する。この第1動作では、第1熱交換器(61)において吸着材の再生が行われ、第2熱交換器(62)において第1空気である室外空気(OA)の除湿が行われる。
【0076】
第1動作時において、冷媒回路(60)では、四方切換弁(64)が図2(A)に示す状態に切り換えられる。この状態で圧縮機(63)を運転すると、冷媒回路(60)で冷媒が循環し、第1熱交換器(61)が凝縮器となって第2熱交換器(62)が蒸発器となる第1冷凍サイクル動作が行われる。
【0077】
具体的に、圧縮機(63)から吐出された冷媒は、第1熱交換器(61)で放熱して凝縮し、その後に電動膨張弁(65)へ送られて減圧される。減圧された冷媒は、第2熱交換器(62)で吸熱して蒸発し、その後に圧縮機(63)へ吸入されて圧縮される。そして、圧縮された冷媒は、再び圧縮機(63)から吐出される。
【0078】
また、第1動作時において、切換機構(50)を構成する各開口(51,…,55,…)のダンパは、換気除湿運転時の第1流通状態に設定される。これにより、第2開口(52)と第3開口(53)と第5開口(55)と第8開口(58)とが開口状態になり、第1開口(51)と第4開口(54)と第6開口(56)と第7開口(57)とが閉鎖状態になる。そして、図4に示すように、第1熱交換器(61)へ第2空気としての室内空気(RA)が供給され、第2熱交換器(62)へ第1空気としての室外空気(OA)が供給される。
【0079】
具体的に、室内空気吸込口(22)より流入した第2空気は、第2流入路(45)から第5開口(55)を通って第1熱交換室(41)へ送り込まれる。第1熱交換室(41)では、第2空気が第1熱交換器(61)を上から下へ向かって通過してゆく。第1熱交換器(61)では、外表面に担持された吸着材が冷媒により加熱され、この吸着材から水分が脱離する。吸着材から脱離した水分は、第1熱交換器(61)を通過する第2空気に付与される。第1熱交換器(61)で水分を付与された第2空気は、第1熱交換室(41)から第3開口(53)を通って第1流出路(44)へ流出する。その後、第2空気は、排気ファン(26)へ吸い込まれ、排気吹出口(23)から排出空気(EA)として室外へ排出される。
【0080】
一方、室外空気吸込口(21)より流入した第1空気は、第1流入路(43)から第2開口(52)を通って第2熱交換室(42)へ送り込まれる。第2熱交換室(42)では、第1空気が第2熱交換器(62)を上から下へ向かって通過してゆく。第2熱交換器(62)では、その表面に担持された吸着材に第1空気中の水分が吸着される。その際に生じる吸着熱は、冷媒が吸熱する。第2熱交換器(62)で除湿された第1空気は、第2熱交換室(42)から第8開口(58)を通って第2流出路(46)へ流出する。その後、第1空気は、給気ファン(25)へ吸い込まれ、給気吹出口(24)から供給空気(SA)として室内へ供給される。
【0081】
次に、換気除湿運転時の第2動作について、図2及び図5を参照しながら説明する。この第2動作では、第2熱交換器(62)において吸着材の再生が行われ、第1熱交換器(61)において第1空気である室外空気(OA)の除湿が行われる。
【0082】
第2動作時において、冷媒回路(60)では、四方切換弁(64)が図2(B)に示す状態に切り換えられる。この状態で圧縮機(63)を運転すると、冷媒回路(60)で冷媒が循環し、第1熱交換器(61)が蒸発器となって第2熱交換器(62)が凝縮器となる第2冷凍サイクル動作が行われる。
【0083】
具体的に、圧縮機(63)から吐出された冷媒は、第2熱交換器(62)で放熱して凝縮し、その後に電動膨張弁(65)へ送られて減圧される。減圧された冷媒は、第1熱交換器(61)で吸熱して蒸発し、その後に圧縮機(63)へ吸入されて圧縮される。そして、圧縮された冷媒は、再び圧縮機(63)から吐出される。
【0084】
また、第2動作時において、切換機構(50)を構成する各開口(51,…,55,…)のダンパは、換気除湿運転時の第2流通状態に設定される。これにより、第1開口(51)と第4開口(54)と第6開口(56)と第7開口(57)とが開口状態となり、第2開口(52)と第3開口(53)と第5開口(55)と第8開口(58)とが閉鎖状態となる。そして、図5に示すように、第1熱交換器(61)へ第1空気としての室外空気(OA)が供給され、第2熱交換器(62)へ第2空気としての室内空気(RA)が供給される。
【0085】
具体的に、室内空気吸込口(22)より流入した第2空気は、第2流入路(45)から第6開口(56)を通って第2熱交換室(42)へ送り込まれる。第2熱交換室(42)では、第2空気が第2熱交換器(62)を上から下へ向かって通過してゆく。第2熱交換器(62)では、外表面に担持された吸着材が冷媒により加熱され、この吸着材から水分が脱離する。吸着材から脱離した水分は、第2熱交換器(62)を通過する第2空気に付与される。第2熱交換器(62)で水分を付与された第2空気は、第2熱交換室(42)から第4開口(54)を通って第1流出路(44)へ流出する。その後、第2空気は、排気ファン(26)へ吸い込まれ、排気吹出口(23)から排出空気(EA)として室外へ排出される。
【0086】
一方、室外空気吸込口(21)より流入した第1空気は、第1流入路(43)から第1開口(51)を通って第1熱交換室(41)へ送り込まれる。第1熱交換室(41)では、第1空気が第1熱交換器(61)を上から下へ向かって通過してゆく。第1熱交換器(61)では、その表面に担持された吸着材に第1空気中の水分が吸着される。その際に生じる吸着熱は、冷媒が吸熱する。第1熱交換器(61)で除湿された第1空気は、第1熱交換室(41)から第7開口(57)を通って第2流出路(46)へ流出する。その後、第1空気は、給気ファン(25)へ吸い込まれ、給気吹出口(24)から供給空気(SA)として室内へ供給される。
【0087】
《換気加湿運転》
換気加湿運転時において、調湿装置(10)では、給気ファン(25)及び排気ファン(26)が運転される。そして、調湿装置(10)は、室内空気(RA)を第1空気として取り込んで室外に排出する一方、室外空気(OA)を第2空気として取り込んで室内に供給する。
【0088】
先ず、換気加湿運転時の第1動作について、図2及び図6を参照しながら説明する。この第1動作では、第1熱交換器(61)において第2空気である室外空気(OA)の加湿が行われ、第2熱交換器(62)において第1空気である室内空気(RA)から水分の回収が行われる。
【0089】
第1動作時において、冷媒回路(60)では、四方切換弁(64)が図2(A)に示す状態に切り換えられる。この状態で圧縮機(63)を運転すると、冷媒回路(60)で冷媒が循環し、第1熱交換器(61)が凝縮器となって第2熱交換器(62)が蒸発器となる第1冷凍サイクル動作が行われる。
【0090】
また、第1動作時において、切換機構(50)を構成する各開口(51,…,55,…)のダンパは、換気加湿運転時の第1流通状態に設定される。これにより、第1開口(51)と第4開口(54)と第6開口(56)と第7開口(57)とが開口状態になり、第2開口(52)と第3開口(53)と第5開口(55)と第8開口(58)とが閉鎖状態になる。そして、図6に示すように、第1熱交換器(61)には第2空気としての室外空気(OA)が供給され、第2熱交換器(62)には第1空気としての室内空気(RA)が供給される。
【0091】
具体的に、室内空気吸込口(22)より流入した第1空気は、第2流入路(45)から第6開口(56)を通って第2熱交換室(42)へ送り込まれる。第2熱交換室(42)では、第1空気が第2熱交換器(62)を上から下へ向かって通過してゆく。第2熱交換器(62)では、その表面に担持された吸着材に第1空気中の水分が吸着される。その際に生じる吸着熱は、冷媒が吸熱する。その後、水分を奪われた第1空気は、第4開口(54)、第1流出路(44)、排気ファン(26)を順に通過し、排出空気(EA)として排気吹出口(23)から室外へ排出される。
【0092】
一方、室外空気吸込口(21)より流入した第2空気は、第1流入路(43)から第1開口(51)を通って第1熱交換室(41)へ送り込まれる。第1熱交換室(41)では、第2空気が第1熱交換器(61)を上から下へ向かって通過してゆく。第1熱交換器(61)では、外表面に担持された吸着材が冷媒により加熱され、この吸着材から水分が脱離する。吸着材から脱離した水分は、第1熱交換器(61)を通過する第2空気に付与される。その後、加湿された第2空気は、第7開口(57)、第2流出路(46)、給気ファン(25)を順に通過し、供給空気(SA)として給気吹出口(24)から室内へ供給される。
【0093】
次に、換気加湿運転時の第2動作について、図2及び図7を参照しながら説明する。この第2動作では、第2熱交換器(62)において第2空気である室外空気(OA)の加湿が行われ、第1熱交換器(61)において第1空気である室内空気(RA)から水分の回収が行われる。
【0094】
第2動作時において、冷媒回路(60)では、四方切換弁(64)が図2(B)に示す状態に切り換えられる。この状態で圧縮機(63)を運転すると、冷媒回路(60)で冷媒が循環し、第1熱交換器(61)が蒸発器となって第2熱交換器(62)が凝縮器となる第2冷凍サイクル動作が行われる。
【0095】
また、第2動作時において、切換機構(50)を構成する各開口(51,…,55,…)のダンパは、換気加湿運転時の第2流通状態に設定される。これにより、第2開口(52)と第3開口(53)と第5開口(55)と第8開口(58)とが開口状態になり、第1開口(51)と第4開口(54)と第6開口(56)と第7開口(57)とが閉鎖状態になる。そして、図7に示すように、第1熱交換器(61)には第1空気としての室内空気(RA)が供給され、第2熱交換器(62)には第2空気としての室外空気(OA)が供給される。
【0096】
具体的に、室内空気吸込口(22)より流入した第1空気は、第2流入路(45)から第5開口(55)を通って第1熱交換室(41)に送り込まれる。第1熱交換室(41)では、第1空気が第1熱交換器(61)を上から下に向かって通過してゆく。第1熱交換器(61)では、その表面に担持された吸着材に第1空気中の水分が吸着される。その際に生じる吸着熱は、冷媒が吸熱する。その後、水分を奪われた第1空気は、第3開口(53)、第1流出路(44)、排気ファン(26)を順に通過し、排出空気(EA)として排気吹出口(23)から室外へ排出される。
【0097】
一方、室外空気吸込口(21)より流入した第2空気は、第1流入路(43)から第2開口(52)を通って第2熱交換室(42)に送り込まれる。第2熱交換室(42)では、第2空気が第2熱交換器(62)を上から下へ向かって通過してゆく。第2熱交換器(62)では、外表面に担持された吸着材が冷媒により加熱され、この吸着材から水分が脱離する。吸着材から脱離した水分は、第2熱交換器(62)を通過する第2空気に付与される。その後、加湿された第2空気は、第8開口(58)、第2流出路(46)、給気ファン(25)を順に通過し、供給空気(SA)として給気吹出口(24)から室内へ供給される。
【0098】
《循環除湿運転》
循環除湿運転時において、調湿装置(10)では、給気ファン(25)及び排気ファン(26)が運転される。そして、調湿装置(10)は、室内空気(RA)を第1空気として取り込んで除湿後に室内へ送り返す一方、室外空気(OA)を第2空気として取り込んで吸着材から脱離した水分と共に室外へ排出する。
【0099】
先ず、循環除湿運転時の第1動作について、図2及び図8を参照しながら説明する。この第1動作では、第1熱交換器(61)において吸着材の再生が行われ、第2熱交換器(62)において第1空気である室内空気(RA)の除湿が行われる。
【0100】
第1動作時において、冷媒回路(60)では、四方切換弁(64)が図2(A)に示す状態に切り換えられて第1冷凍サイクル動作が行われる。また、切換機構(50)を構成する各開口(51,…,55,…)のダンパは、循環除湿運転時の第1流通状態に設定される。これにより、第1開口(51)と第3開口(53)と第6開口(56)と第8開口(58)とが開口状態になり、第2開口(52)と第4開口(54)と第5開口(55)と第7開口(57)とが閉鎖状態になる。そして、図8に示すように、第1熱交換器(61)へ第2空気としての室外空気(OA)が供給され、第2熱交換器(62)へ第1空気としての室内空気(RA)が供給される。
【0101】
具体的に、室外空気吸込口(21)より流入した第2空気は、第1熱交換室(41)へ導入されて第1熱交換器(61)を通過する。第1熱交換器(61)では、外表面に担持された吸着材が冷媒により加熱されて再生される。そして、吸着材から脱離した水分を付与された第2空気は、排気吹出口(23)から排出空気(EA)として室外へ排出される。
【0102】
一方、室内空気吸込口(22)より流入した第1空気は、第2熱交換室(42)へ導入されて第2熱交換器(62)を通過する。第2熱交換器(62)では、その表面に担持された吸着材に第1空気中の水分が吸着され、その際に生じる吸着熱を冷媒が吸熱する。そして、第2熱交換器(62)で除湿された第1空気は、給気吹出口(24)から供給空気(SA)として室内へ供給される。
【0103】
次に、循環除湿運転時の第2動作について、図2及び図9を参照しながら説明する。この第2動作では、第2熱交換器(62)において吸着材の再生が行われ、第1熱交換器(61)において第1空気である室内空気(RA)の除湿が行われる。
【0104】
第2動作時において、冷媒回路(60)では、四方切換弁(64)が図2(B)に示す状態に切り換えられて第2冷凍サイクル動作が行われる。また、切換機構(50)を構成する各開口(51,…,55,…)のダンパは、循環除湿運転時の第2流通状態に設定される。これにより、第2開口(52)と第4開口(54)と第5開口(55)と第7開口(57)とが開口状態となり、第1開口(51)と第3開口(53)と第6開口(56)と第8開口(58)とが閉鎖状態となる。そして、図9に示すように、第1熱交換器(61)へ第1空気としての室内空気(RA)が供給され、第2熱交換器(62)へ第2空気としての室外空気(OA)が供給される。
【0105】
具体的に、室外空気吸込口(21)より流入した第2空気は、第2熱交換室(42)へ導入されて第2熱交換器(62)を通過する。第2熱交換器(62)では、外表面に担持された吸着材が冷媒により加熱されて再生される。そして、吸着材から脱離した水分を付与された第2空気は、排気吹出口(23)から排出空気(EA)として室外へ排出される。
【0106】
一方、室内空気吸込口(22)より流入した第1空気は、第1熱交換室(41)へ導入されて第1熱交換器(61)を通過する。第1熱交換器(61)では、その表面に担持された吸着材に第1空気中の水分が吸着され、その際に生じる吸着熱を冷媒が吸熱する。そして、第1熱交換器(61)で除湿された第1空気は、給気吹出口(24)から供給空気(SA)として室内へ供給される。
【0107】
《循環加湿運転》
循環加湿運転時において、調湿装置(10)では、給気ファン(25)及び排気ファン(26)が運転される。そして、調湿装置(10)は、室外空気(OA)を第1空気として取り込んで水分を奪った後に室外へ排出する一方、室内空気(RA)を第2空気として取り込んで加湿後に室内へ送り返す。
【0108】
先ず、循環加湿運転時の第1動作について、図2及び図10を参照しながら説明する。この第1動作では、第1熱交換器(61)において第2空気である室内空気(RA)の加湿が行われ、第2熱交換器(62)において第1空気である室外空気(OA)から水分の回収が行われる。
【0109】
第1動作時において、冷媒回路(60)では、四方切換弁(64)が図2(A)に示す状態に切り換えられて第1冷凍サイクル動作が行われる。また、切換機構(50)を構成する各開口(51,…,55,…)のダンパは、循環加湿運転時の第1流通状態に設定される。これにより、第2開口(52)と第4開口(54)と第5開口(55)と第7開口(57)とが開口状態になり、第1開口(51)と第3開口(53)と第6開口(56)と第8開口(58)とが閉鎖状態になる。そして、図10に示すように、第1熱交換器(61)には第2空気としての室内空気(RA)が供給され、第2熱交換器(62)には第1空気としての室外空気(OA)が供給される。
【0110】
具体的に、室外空気吸込口(21)より流入した第1空気は、第2熱交換室(42)へ導入されて第2熱交換器(62)を通過する。第2熱交換器(62)では、その表面に担持された吸着材に第1空気中の水分が吸着され、その際に生じる吸着熱を冷媒が吸熱する。そして、水分を奪われた第1空気は、排出空気(EA)として排気吹出口(23)から室外へ排出される。
【0111】
一方、室内空気吸込口(22)より流入した第2空気は、第1熱交換室(41)へ導入されて第1熱交換器(61)を通過する。第1熱交換器(61)では、外表面に担持された吸着材が冷媒により加熱されて再生される。そして、吸着材から脱離した水分により加湿された第2空気は、供給空気(SA)として給気吹出口(24)から室内へ供給される。
【0112】
次に、循環加湿運転時の第2動作について、図2及び図11を参照しながら説明する。この第2動作では、第2熱交換器(62)において第2空気である室内空気(RA)の加湿が行われ、第1熱交換器(61)において第1空気である室外空気(OA)から水分の回収が行われる。
【0113】
第2動作時において、冷媒回路(60)では、四方切換弁(64)が図2(B)に示す状態に切り換えられ、第2冷凍サイクル動作が行われる。また、切換機構(50)を構成する各開口(51,…,55,…)のダンパは、循環加湿運転時の第2流通状態に設定される。これにより、第1開口(51)と第3開口(53)と第6開口(56)と第8開口(58)とが開口状態となり、第2開口(52)と第4開口(54)と第5開口(55)と第7開口(57)とが閉鎖状態となる。そして、そして、図11に示すように、第1熱交換器(61)には第1空気としての室外空気(OA)が供給され、第2熱交換器(62)には第2空気としての室内空気(RA)が供給される。
【0114】
具体的に、室外空気吸込口(21)より流入した第1空気は、第1熱交換室(41)へ導入されて第1熱交換器(61)を通過する。第1熱交換器(61)では、その表面に担持された吸着材に第1空気中の水分が吸着され、その際に生じる吸着熱を冷媒が吸熱する。そして、水分を奪われた第1空気は、排出空気(EA)として排気吹出口(23)から室外へ排出される。
【0115】
一方、室内空気吸込口(22)より流入した第2空気は、第2熱交換室(42)へ流入して第2熱交換器(62)を通過する。第2熱交換器(62)では、外表面に担持された吸着材が冷媒により加熱されて再生される。そして、吸着材から脱離した水分により加湿された第2空気は、供給空気(SA)として給気吹出口(24)から室内へ供給される。
【0116】
−コントローラの制御動作−
上記コントローラ(70)の制御動作について説明する。
【0117】
コントローラ(70)の容量制御部(71)は、圧縮機(63)の容量を基準容量に保持する。つまり、この容量制御部(71)は、切換機構(50)の状態や冷媒回路(60)の動作切換とは関係なく、圧縮機(63)を一定の容量に保ち続ける。尚、基準容量とは、調湿装置(10)の負荷(即ち室内の潜熱負荷に応じて調湿装置(10)に要求される除湿量や加湿量)に応じて設定される圧縮機(63)の容量である。
【0118】
コントローラ(70)の開度制御部(72)は、電動膨張弁(65)の開度を基準開度に保持する。つまり、この開度制御部(72)は、切換機構(50)の状態や冷媒回路(60)の動作切換とは関係なく、電動膨張弁(65)を一定の開度に保ち続ける。尚、基準開度とは、冷媒回路(60)の運転状態(例えば熱交換器(61,62)へ第1空気や第2空気として送られる空気の温度、冷媒回路(60)の各部分における冷媒の温度や圧力など)に応じて設定される電動膨張弁(65)の開度である。
【0119】
コントローラ(70)の切換制御部(73)は、間隔設定部(74)が設定した切換時間間隔で四方切換弁(64)及び切換機構(50)を操作し、冷媒回路(60)の動作と第1空気及び第2空気の流通経路とを同時に切り換える。
【0120】
コントローラ(70)の間隔設定部(74)は、調湿装置(10)の負荷に応じて切換時間間隔を設定する。具体的に、間隔設定部(74)は、室内空気の相対湿度についての実測値と目標値とを比較し、この実測値を目標値と一致させるために切換時間間隔を調節する。その際、間隔設定部(74)は、調湿装置(10)の負荷が大きいときほど、即ち室内空気の相対湿度の実測値と目標値の差が大きいときほど、切換時間間隔を短く設定する。
【0121】
ここで、間隔設定部(74)において、切換時間間隔の基準値が3分間に設定されていると仮定する。尚、以下に示す切換時間間隔の数値は、何れも単なる例示である。調湿装置(10)の起動直後等のように室内相対湿度の実測値と目標値の差が大きい状態であれば、間隔設定部(74)が切換時間間隔を基準値である3分間から2分間へと短縮し、調湿装置(10)の調湿能力を増大させる。その後、室内相対湿度の実測値が目標値に近付くと、間隔設定部(74)は、切換時間間隔を2分間から3分間へと戻す。また、加湿中に室内相対湿度の実測値が目標値を上回ったり、除湿中に室内相対湿度の実測値が目標値を下回った場合には、間隔設定部(74)が切換時間間隔を3分間から4分間へと延長し、調湿装置(10)の調湿能力を減少させる。
【0122】
切換時間間隔を変更することによって調湿装置(10)の調湿能力が変化する理由について、図12及び図13を参照しながら説明する。図12及び図13は、換気除湿運転中に第2熱交換器(62)を通過した第1空気及び第2空気について、それぞれの絶対湿度の時間変化を示したものである。また、図12及び図13では、調湿装置(10)の第1動作が開始された時点を起点とし、この起点を経過時間0分としている。
【0123】
切換時間間隔が3分間に設定されている場合(図12参照)において、第1動作中に第2熱交換器(62)を通過した第1空気の絶対湿度は、第1動作の開始から約20秒間で急激に低下する。その後、第1空気の絶対湿度は、第1動作の開始から約2分経過時点にかけて上昇してゆき、それからは第2動作への切換時点まで比較的高いままとなる。第2動作に切り換わった後において、第2熱交換器(62)を通過した第2空気の絶対湿度は、第2動作の開始から約25秒間で急激に上昇する。その後、第2空気の絶対湿度は、第2動作の開始から約2分経過時点にかけて低下してゆき、それから第2動作への切換時点までにおいて第2空気は殆ど加湿されなくなる。
【0124】
このように、1回の第1動作中における吸着材への水分の吸着は、その殆どが第1動作の開始から短い時間内に集中的に行われる。また、1回の第2動作中における吸着材からの水分の脱離は、その殆どが第2動作の開始から短い時間内に集中的に行われる。このような吸脱着の過程は、切換時間間隔が2分間に設定されている場合(図13参照)においても同様である。そして、例えば第1動作の開始後2分間において、第1空気からの除湿量の積算値は、切換時間が2分間の場合も3分間の場合と概ね同じになる。また、例えば第2動作の開始後2分間において、第2空気への加湿量の積算値は、切換時間が2分間の場合も3分間の場合と概ね同じになる。従って、切換時間間隔を短縮することによって第1動作や第2動作の頻度を増やすと、第1空気からの除湿量や第2空気に対する加湿量が増大する。
【0125】
−実施形態1の効果−
本実施形態では、コントローラ(70)に間隔設定部(74)を設け、第1動作と第2動作が相互に切り換えられる切換時間間隔を調湿装置(10)の負荷に応じて設定している。このため、本実施形態によれば、調湿装置(10)が発揮する調湿能力を、調湿装置(10)の負荷に応じて適切に設定することができる。つまり、調湿装置(10)の調湿能力を、室内の潜熱負荷に応じて過不足無く適切に設定することが可能となる。この結果、室内の快適性を一層向上させることができると共に、調湿装置の調湿能力を適切に調節して省エネ化を図ることができる。
【0126】
また、本実施形態の間隔設定部(74)では、いわゆるバッチ式の運転動作を行う調湿装置(10)の特性、即ち動作が切り換わってから短時間のうちに吸着材への水分の吸脱着が集中的に行われるという特性を考慮し、調湿装置(10)の負荷増大に伴って間隔設定部(74)が切換時間間隔を短縮している。従って、本実施形態によれば、切換時間間隔を調節するという簡素な手法によって、調湿装置(10)の調湿能力を確実に調節することが可能となる。
【0127】
−実施形態1の変形例−
上記実施形態では、コントローラ(70)に間隔設定部(74)による切換時間間隔の調節に加えて、調湿装置(10)の調湿機能を調湿負荷に応じてオンオフ制御するようにしてもよい。例えば、切換時間間隔を上限値に設定しても調湿装置(10)の調湿能力が室内の潜熱負荷に対して過剰な場合には、圧縮機(63)を停止させると共に切換機構(50)の操作を休止し、調湿装置(10)の調湿機能を停止させるようにしてもよい。
【0128】
ただし、換気除湿運転中や換気加湿運転中には、例え調湿装置(10)の調湿機能を停止させても、室内の換気は継続して行う必要がある。従って、換気除湿運転中や換気加湿運転中には、調湿機能の停止中においても排気ファン(26)及び給気ファン(25)の運転を継続し、室内の換気を引き続き行う。
【0129】
【発明の実施の形態2】
本発明の実施形態2は、上記実施形態1のコントローラ(70)において、切換制御部(73)の構成を変更したものである。ここでは、本実施形態について、上記実施形態1と異なる点を説明する。
【0130】
本実施形態の切換制御部(73)は、冷媒回路(60)の動作切換と第1空気及び第2空気の流通経路切換とを行うように構成されており、この点では上記実施形態1のものと同様である。ただし、図14及び図15に示すように、本実施形態の切換制御部(73)は、冷媒回路(60)の動作切換と第1空気及び第2空気の流通経路切換とを異なるタイミングで行うものであって、切換制御手段を構成している。
【0131】
上記切換制御部(73)は、2つの切換制御動作が可能となっており、第1空気や第2空気としてケーシング(11)内へ取り込まれる空気の温度に応じて何れか一方の切換制御動作を選択して行うように構成されている。
【0132】
具体的に、切換制御部(73)は、冷媒回路(60)の冷凍サイクル動作を切り換える所定時間前に予めケーシング(11)内での空気流通経路を切り換える第1切換制御動作と、冷媒回路(60)の冷凍サイクル動作を切り換えてから所定時間後にケーシング(11)内での空気流通経路を切り換える第2切換制御動作とを行う。そして、切換制御部(73)は、熱交換器(61,62)へ至る迄において第2空気の温度が第1空気の温度よりも高い場合には第1切換動作を行い、逆に第1空気の温度が第2空気の温度よりも高い場合には第2切換動作を行う。
【0133】
−コントローラの制御動作−
上記コントローラ(70)の制御動作について、図14及び図15を参照しながら説明する。図14及び図15は、切換機構(50)の状態、圧縮機(63)の容量、電動膨張弁(65)の開度、第1,第2熱交換器(61,62)における吸着材温度のそれぞれについて、冷媒回路(60)の冷凍サイクル動作が第1→第2→第1→第2の順で交互に切り換わった場合における変化を図示したものである。
【0134】
本実施形態の切換制御部(73)は、ケーシング(11)内へ取り込まれる第1空気及び第2空気の温度に応じ、第1切換制御動作及び第2切換制御動作のうち何れか一方を選択して行う。
【0135】
ケーシング(11)内へ取り込まれる第2空気が第1空気よりも高温の場合には、切換制御部(73)が第1切換制御動作を行う。この場合としては、夏季に室内を冷房している状態で循環除湿運転を行う場合や、冬季に室内を暖房している状態で循環加湿運転を行う場合が該当する。
【0136】
図14に示すように、第1切換制御動作では、冷媒回路(60)の冷凍サイクル動作が切り換わる所定時間前に切換機構(50)が切り換えられる。この第1切換制御動作について、冷媒回路(60)の動作が3分間隔で切り換わる場合、即ち四方切換弁(64)の切り換え周期が3分間の場合を例に説明する。この場合、切換制御部(73)は、四方切換弁(64)が切り換わってから例えば2分45秒経過すると、切換機構(50)を操作して第1空気及び第2空気の流通経路を切り換える。そして、切換制御部(73)は、切換機構(50)を操作してから15秒経過すると、四方切換弁(64)を操作して冷媒回路(60)の冷凍サイクル動作を切り換える。
【0137】
例えば、第1冷凍サイクル動作から第2冷凍サイクル動作への切り換えでは、第1熱交換器(61)が凝縮器から蒸発器に切り換わり、第2熱交換器(62)が蒸発器から凝縮器に切り換わる。その際、切換制御部(73)が第1切換制御動作を行うと、第1熱交換器(61)に対しては、第1熱交換器(61)が凝縮器から蒸発器に切り換わる少し前に比較的低温の第1空気が送られる。また、第2熱交換器(62)に対しては、第2熱交換器(62)が蒸発器から凝縮器に切り換わる前に比較的高温の第2空気が送られる。このため、四方切換弁(64)と切換機構(50)を同時に操作する比較例に比べると、四方切換弁(64)が切り換わる時点では、第1熱交換器(61)に設けられた吸着材の温度が低下し、第2熱交換器(62)に設けられた吸着材の温度が上昇する。
【0138】
一方、ケーシング(11)内へ取り込まれる第1空気が第2空気よりも高温の場合には、切換制御部(73)が第2切換制御動作を行う。この場合としては、夏季に室内を冷房している状態で換気除湿運転を行う場合や、冬季に室内を暖房している状態で換気加湿運転を行う場合が該当する。
【0139】
図15に示すように、第2切換制御動作では、冷媒回路(60)の冷凍サイクル動作が切り換わってから所定時間後に切換機構(50)が切り換えられる。この第2切換制御動作について、冷媒回路(60)の動作が3分間隔で切り換わる場合、即ち四方切換弁(64)の切り換え周期が3分間の場合を例に説明する。この場合、切換制御部(73)は、四方切換弁(64)が切り換わる時点で切換機構(50)を操作せずに空気流通経路を保持する。その後、切換制御部(73)は、四方切換弁(64)の切り換え時点から例えば15秒経過すると、切換機構(50)を操作して第1空気及び第2空気の流通経路を切り換える。そして、切換制御部(73)は、切換機構(50)を操作した時点から2分45秒経過すると、四方切換弁(64)を操作して冷媒回路(60)の冷凍サイクル動作を切り換える。
【0140】
例えば、第1冷凍サイクル動作から第2冷凍サイクル動作への切り換えでは、第1熱交換器(61)が凝縮器から蒸発器に切り換わり、第2熱交換器(62)が蒸発器から凝縮器に切り換わる。その際、切換制御部(73)が第2切換制御動作を行うと、第1熱交換器(61)に対しては、第1熱交換器(61)が凝縮器から蒸発器に切り換わってからも暫くは比較的低温の第2空気が供給され続ける。また、第2熱交換器(62)に対しては、第2熱交換器(62)が蒸発器から凝縮器に切り換わってからも暫くは比較的高温の第1空気が供給され続ける。このため、四方切換弁(64)と切換機構(50)を同時に操作する比較例に比べると、四方切換弁(64)の切り換え後において、第1熱交換器(61)に設けられた吸着材の温度が素早く低下し、第2熱交換器(62)に設けられた吸着材の温度が素早く上昇する。
【0141】
−実施形態2の効果−
上述のように、本実施形態によれば、冷媒回路(60)の動作切換後における熱交換器(61,62)表面の吸着材の温度を速やかに変化させることができる。このため、冷媒回路(60)の冷凍サイクル動作が切り換わってから吸着材が充分に水分を吸脱着可能な温度に達するまでの時間を短縮することができる。従って、本実施形態によれば、吸着材に吸着される水分量や吸着材から脱離する水分量を増大させることができる。そして、その結果、調湿装置(10)の調湿能力を向上させることができる。
【0142】
【発明の実施の形態3】
本発明の実施形態3は、上記実施形態2のコントローラ(70)において、容量制御部(71)の構成を変更したものである。ここでは、本実施形態について、上記実施形態2と異なる点を説明する。
【0143】
図16に示すように、本実施形態の容量制御部(71)は、冷媒回路(60)で冷凍サイクル動作が切り換わる周期と同じ周期で圧縮機(63)の容量を変化させる容量制御手段を構成している。
【0144】
具体的に、上記容量制御部(71)は、冷媒回路(60)で冷凍サイクル動作が切り換わる前に圧縮機(63)を一時的に低容量に保持し、冷凍サイクル動作が切り換わると圧縮機(63)を基準容量に戻す制御動作を行う。容量制御部(71)は、この制御動作を冷媒回路(60)で冷凍サイクル動作が切り換わる毎に行う。また、容量制御部(71)は、切換制御部(73)が第1切換制御動作中であるか第2切換制御動作中であるかとは無関係に、この制御動作を繰り返し行う。
【0145】
上記容量制御部(71)の制御動作について、冷媒回路(60)の動作が3分間隔で切り換わる場合を例に説明する。この場合、容量制御部(71)は、四方切換弁(64)の切り換え直後から圧縮機(63)を基準容量で運転する一方、その切り換え時点から例えば2分30秒経過すると圧縮機(63)容量を所定の低容量へと低下させる。その後、容量制御部(71)は、四方切換弁(64)が再び切り換えられるまでの30秒間に亘って圧縮機(63)の容量を低容量に保持し、四方切換弁(64)が切り換わると圧縮機(63)の容量を元の基準容量に戻す。
【0146】
ここで、冷媒回路(60)が第1冷凍サイクル動作から第2冷凍サイクル動作へ切り換わる場合を考える。第1冷凍サイクル動作中には、凝縮器となる第1熱交換器(61)の吸着材から水分が脱離してゆく一方、蒸発器となる第2熱交換器(62)の吸着材に空気中の水分が吸着されてゆく。そして、第1冷凍サイクル動作が終了する間際になると、凝縮器となる第1熱交換器(61)の吸着材を加熱し続けても水分がさほど吸着材から脱離しなくなり、蒸発器となる第2熱交換器(62)の吸着材を冷却し続けても吸着材がさほど水分を吸着しなくなる。つまり、冷媒回路(60)の冷凍サイクル動作が切り換わる間際まで圧縮機(63)を大容量で運転し続けても、第1空気からの除湿量や第2空気への加湿量を増大させる効果は、さほど望めない。
【0147】
そこで、上記容量制御部(71)は、冷媒回路(60)の動作切換の少し前であって既に除湿量や加湿量の増大が見込めない状態になると、圧縮機(63)の容量を低下させて圧縮機(63)への入力を削減している。従って、本実施形態によれば、調湿装置(10)で得られる除湿量や加湿量を維持しつつ圧縮機(63)の消費電力を削減でき、調湿装置(10)の省エネ化を図ることができる。
【0148】
また、冷媒回路(60)の動作切換前において、圧縮機(63)の容量が小さくなると、その分だけ吸着材に対する加熱能力や冷却能力が少なくなる。このため、圧縮機(63)の容量を一定のまま保持する場合との比較において、冷媒回路(60)の冷凍サイクル動作が切り換わる時点での吸着材の温度は、凝縮器から蒸発器に切り換わる熱交換器(61,62)では低下し、蒸発器から凝縮器に切り換わる熱交換器(61,62)では上昇する。従って、本実施形態によれば、冷媒回路(60)の冷凍サイクル動作が切り換わってから吸着材が充分に水分を吸脱着可能な温度に達するまでの時間を更に短縮することができ、調湿装置(10)の調湿能力を更に向上させることができる。
【0149】
【発明の実施の形態4】
本発明の実施形態4は、上記実施形態2のコントローラ(70)において、開度制御部(72)の構成を変更したものである。ここでは、本実施形態について、上記実施形態2と異なる点を説明する。
【0150】
図17に示すように、本実施形態の開度制御部(72)は、冷媒回路(60)で冷凍サイクル動作が切り換わる周期と同じ周期で電動膨張弁(65)の開度を変化させる開度制御手段を構成している。
【0151】
具体的に、上記開度制御部(72)は、冷媒回路(60)で冷凍サイクル動作が切り換わる少し前から電動膨張弁(65)の開度を次第に拡大してゆき、冷凍サイクル動作が切り換わると電動膨張弁(65)の開度を低下させて基準開度に戻す制御動作を行う。開度制御部(72)は、この制御動作を冷媒回路(60)で冷凍サイクル動作が切り換わる毎に行う。また、開度制御部(72)は、切換制御部(73)が第1切換制御動作中であるか第2切換制御動作中であるかとは無関係に、この制御動作を繰り返し行う。
【0152】
上記開度制御部(72)の制御動作について、冷媒回路(60)の冷凍サイクル動作が3分間隔で切り換わる場合を例に説明する。この場合、開度制御部(72)は、四方切換弁(64)の切り換え直後から電動膨張弁(65)を基準開度に保持する一方、その切り換え時点から例えば2分30秒経過すると電動膨張弁(65)の開度を増やし始める。その後、開度制御部(72)は、四方切換弁(64)が再び切り換えられるまでの30秒間に亘って電動膨張弁(65)の開度を拡大し続け、四方切換弁(64)が切り換わると電動膨張弁(65)の開度を元の基準開度に戻す。
【0153】
上記実施形態3の説明で述べたように、冷媒回路(60)の冷凍サイクル動作が切り換わる少し前は、既に除湿量や加湿量の増大が見込めない状態となっている。そこで、上記開度制御部(72)は、このような状態になると電動膨張弁(65)の開度を拡大する。電動膨張弁(65)の開度が増すと、冷凍サイクルにおける高低圧差が縮小し、冷媒を圧縮する圧縮機(63)での消費電力が減少する。従って、本実施形態によれば、上記実施形態2と同様に、調湿装置(10)で得られる除湿量や加湿量を維持しつつ圧縮機(63)の消費電力を削減でき、調湿装置(10)の省エネ化を図ることができる。
【0154】
また、冷媒回路(60)の動作切換前において、電動膨張弁(65)の開度が大きくなると、その分だけ吸着材に対する加熱能力や冷却能力が少なくなる。このため、冷媒回路(60)の冷凍サイクル動作が切り換わってから吸着材が充分に水分を吸脱着可能な温度に達するまでの時間が更に短縮される。従って、本実施形態によれば、上記実施形態3と同様に、調湿装置(10)の調湿能力を更に向上させることができる。
【0155】
−実施形態4の変形例−
本実施形態では、コントローラ(70)の容量制御部(71)を上記実施形態3と同様に構成してもよい。つまり、本実施形態の容量制御部(71)は、冷媒回路(60)で冷凍サイクル動作が切り換わる周期と同じ周期で圧縮機(63)の容量を変化させるように構成されていてもよい。そして、本変形例では、開度制御部(72)による電動膨張弁(65)の開度制御と容量制御部(71)による圧縮機(63)の容量制御の両方が、冷媒回路(60)の動作切換に対応して行われる。
【0156】
【発明の実施の形態5】
本発明の実施形態5は、上記実施形態2のコントローラ(70)において、容量制御部(71)の構成を変更したものである。ここでは、本実施形態について、上記実施形態2と異なる点を説明する。
【0157】
図18に示すように、本実施形態の容量制御部(71)は、冷媒回路(60)で冷凍サイクル動作が切り換わる周期と同じ周期で圧縮機(63)の容量を変化させる容量制御手段を構成している。
【0158】
具体的に、上記容量制御部(71)は、冷媒回路(60)の動作切換の直後から所定の時間が経過するまで圧縮機(63)の容量を基準容量よりも大きな容量に保持し、その後に圧縮機(63)の容量を基準容量に戻して保持する制御動作を行う。容量制御部(71)は、この制御動作を冷媒回路(60)で冷凍サイクル動作が切り換わる毎に行う。また、容量制御部(71)は、切換制御部(73)が第1切換制御動作中であるか第2切換制御動作中であるかとは無関係に、この制御動作を繰り返し行う。
【0159】
上記容量制御部(71)の制御動作について、冷媒回路(60)の冷凍サイクル動作が3分間隔で切り換わる場合を例に説明する。この場合、容量制御部(71)は、四方切換弁(64)の切り換え直後から例えば30秒間に亘り、圧縮機(63)の容量を基準容量よりも大きく保持する。その後、容量制御部(71)は、圧縮機(63)の容量を低下させて基準容量に戻し、四方切換弁(64)が次に切り換わるまでの2分30秒間に亘って圧縮機(63)の容量を一定に保持する。
【0160】
上述したように、調湿装置(10)の調湿能力を充分に発揮させるには、凝縮器から蒸発器に切り換わった熱交換器(61,62)では吸着材の温度を速やかに低下させるのが望ましく、逆に蒸発器から凝縮器に切り換わった熱交換器(61,62)では吸着材の温度を速やかに上昇させるのが望ましい。
【0161】
そこで、本実施形態では、コントローラ(70)の容量制御部(71)が上記の制御動作を行い、冷媒回路(60)の動作切換直後に圧縮機(63)を一時的に大きな容量で運転するようにしている。つまり、熱交換器(61,62)表面の吸着材の温度を素早く変化させたい冷媒回路(60)の動作切換直後には、容量制御部(71)の制御動作によって圧縮機(63)の容量を一時的に増大させている。
【0162】
このため、例えば第1冷凍サイクル動作から第2冷凍サイクル動作への切り換え時において、凝縮器から蒸発器に切り換わった第1熱交換器(61)では吸着材の温度が速やかに低下し、蒸発器から凝縮器に切り換わった第2熱交換器(62)では吸着材の温度が速やかに上昇する。従って、本実施形態によれば、冷媒回路(60)における冷凍サイクル動作の切り換え時点から熱交換器(61,62)の吸着材が充分な性能を発揮し始めるまでの時間を更に短縮することができ、調湿装置(10)の調湿能力を一層向上させることができる。
【0163】
【発明の実施の形態6】
本発明の実施形態6は、上記実施形態2のコントローラ(70)において、開度制御部(72)の構成を変更したものである。ここでは、本実施形態について、上記実施形態2と異なる点を説明する。
【0164】
図19に示すように、本実施形態の開度制御部(72)は、冷媒回路(60)で冷凍サイクル動作が切り換わる周期と同じ周期で電動膨張弁(65)の開度を変化させる開度制御手段を構成している。
【0165】
具体的に、上記開度制御部(72)は、冷媒回路(60)の動作切換直後に電動膨張弁(65)の開度を一旦縮小した後に再び増大させ、その後は次の動作切換まで電動膨張弁(65)を基準開度に保持する。つまり、開度制御部(72)は、冷媒回路(60)で冷凍サイクル動作が切り換わった直後から電動膨張弁(65)の開度を縮小してゆき、電動膨張弁(65)が所定の開度になると再び電動膨張弁(65)を開いて元の基準開度に戻す制御動作を行う。開度制御部(72)は、この制御動作を冷媒回路(60)で冷凍サイクル動作が切り換わる毎に行う。また、開度制御部(72)は、切換制御部(73)が第1切換制御動作中であるか第2切換制御動作中であるかとは無関係に、この制御動作を繰り返し行う。
【0166】
本実施形態では、冷媒回路(60)の冷凍サイクル動作が切り換わった直後で吸着材の加熱や冷却を素早く行いたい状態において、開度制御部(72)が電動膨張弁(65)の開度を一時的に削減する。電動膨張弁(65)の開度が小さくなると、冷凍サイクルにおける高低圧差が拡大し、冷媒の凝縮温度が上昇して蒸発温度が低下する。これに伴い、凝縮器に切り換わった熱交換器(61,62)では吸着材の温度が素早く上昇し、蒸発器に切り換わった熱交換器(61,62)では吸着材の温度が素早く低下する。従って、本実施形態によれば、冷媒回路(60)の冷凍サイクル動作が切り換わってから吸着材が充分に水分を吸脱着可能な温度に達するまでの時間を更に短縮することができ、調湿装置(10)の調湿能力を更に向上させることができる。
【0167】
−実施形態6の変形例−
本実施形態では、コントローラ(70)の容量制御部(71)を上記実施形態5と同様に構成してもよい。つまり、本実施形態の容量制御部(71)は、冷媒回路(60)で冷凍サイクル動作が切り換わる周期と同じ周期で圧縮機(63)の容量を変化させるように構成されていてもよい。そして、本変形例では、開度制御部(72)による電動膨張弁(65)の開度制御と容量制御部(71)による圧縮機(63)の容量制御の両方が、冷媒回路(60)の動作切換に対応して行われる。
【0168】
【発明のその他の実施の形態】
上記の実施形態3,4,5,6では、冷媒回路(60)の動作切換と第1空気及び第2空気の流通経路切換とを異なるタイミングで行うように切換制御部(73)が構成されているが、この切換制御部(73)は、上記実施形態1のものと同様に構成されていてもよい。つまり、切換制御部(73)は、冷媒回路(60)の動作と第1空気及び第2空気の流通経路とを同じタイミングで切り換えるように構成されていてもよい。
【0169】
また、上記の各実施形態は、表面に吸着材が担持された熱交換器(61,62)が吸着ユニットを構成するタイプの調湿装置(10)に本発明を適用したものであるが、本発明の適用対象は、このタイプの調湿装置(10)に限定されるものではない。つまり、上記特許文献3に開示されているような調湿装置、即ち多数形成された空気通路を通過する空気と吸着材を接触させる吸着素子によって吸着ユニットを構成し、この吸着素子で第1空気を除湿すると共に加熱した第2空気を吸着素子へ供給して吸着材を再生するタイプの調湿装置に対して、本発明を適用してもよい。
【0170】
【発明の効果】
本発明では、調湿装置(10)に間隔設定手段(74)を設け、第1動作と第2動作が相互に切り換えられる切換時間間隔を調湿装置(10)の負荷に応じて設定している。このため、本発明によれば、調湿装置(10)が発揮する調湿能力を、調湿装置(10)の負荷に応じて適切に設定することができる。つまり、調湿装置(10)の調湿能力を、室内の潜熱負荷に応じて過不足無く調節することが可能となる。この結果、室内の快適性を一層向上させることができると共に、調湿装置の調湿能力を適切に調節して省エネ化を図ることができる。
【0171】
請求項2の発明では、いわゆるバッチ式の運転動作を行う調湿装置(10)の特性、即ち動作が切り換わってから短時間のうちに吸着材への水分の吸脱着が集中的に行われるという特性を考慮し、調湿装置(10)の負荷増大に伴って間隔設定手段(74)が切換時間間隔を短縮している。従って、この発明によれば、切換時間間隔を調節するという簡素な手法によって、調湿装置(10)の調湿能力を確実に調節することが可能となる。
【0172】
請求項3の発明では、表面に吸着材が設けられた熱交換器(61,62)によって吸着ユニットを構成している。このため、蒸発器となっている熱交換器(61,62)では、その表面の吸着材に水分が吸着される際に生じる吸着熱を冷媒によって奪うことができ、吸着材に吸着される水分量を増大させることができる。また、凝縮器となっている熱交換器(61,62)では、その表面の吸着材を冷媒によって効率よく加熱でき、吸着材から脱離する水分量を増大させることができる。従って、この発明によれば、調湿能力の高い調湿装置(10)を提供することができる。
【0173】
請求項4の発明では、調湿装置(10)に取り込まれる第2空気が第1空気よりも高温である運転状態において、凝縮器から蒸発器に切り換わる熱交換器(61,62)の吸着材を第1空気で予め冷却し、蒸発器から凝縮器に切り換わる熱交換器(61,62)の吸着材を第2空気で予め加熱している。また、請求項5の発明では、調湿装置(10)に取り込まれる第1空気が第2空気よりも高温である運転状態において、凝縮器から蒸発器に切り換わった熱交換器(61,62)の吸着材を冷媒と第2空気の両方で冷却し、蒸発器から凝縮器に切り換わった熱交換器(61,62)の吸着材を冷媒と第1空気の両方で加熱している。
【0174】
従って、請求項4及び請求項5の発明によれば、冷媒回路(60)の冷凍サイクル動作が切り換わってから吸着材が充分に水分を吸脱着可能な温度に達するまでの時間を短縮することができ、吸着材に吸着される水分量や吸着材から脱離する水分量を増大させることができる。そして、その結果、調湿装置(10)の調湿能力を向上させることができる。
【0175】
請求項6の発明では、冷媒回路(60)の動作切換に対応して圧縮機(63)の容量を調節している。また、請求項7の発明によれば、冷媒回路(60)の動作切換に対応して膨張弁(65)の開度を調節している。従って、これらの発明によれば、圧縮機(63)に対する容量制御や膨張弁(65)に対する開度制御を的確に行うことが可能となり、調湿装置(10)の能力や効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1における調湿装置の概略構成図である。
【図2】実施形態1における調湿装置の冷媒回路を示す配管系統図である。
【図3】実施形態1における調湿装置のコントローラの構成を示すブロック図である。
【図4】換気除湿運転の第1動作における空気の流れを示す調湿装置の概略構成図である。
【図5】換気除湿運転の第2動作における空気の流れを示す調湿装置の概略構成図である。
【図6】換気加湿運転の第1動作における空気の流れを示す調湿装置の概略構成図である。
【図7】換気加湿運転の第2動作における空気の流れを示す調湿装置の概略構成図である。
【図8】循環除湿運転の第1動作における空気の流れを示す調湿装置の概略構成図である。
【図9】循環除湿運転の第2動作における空気の流れを示す調湿装置の概略構成図である。
【図10】循環加湿運転の第1動作における空気の流れを示す調湿装置の概略構成図である。
【図11】循環加湿運転の第2動作における空気の流れを示す調湿装置の概略構成図である。
【図12】切換時間間隔が3分間の場合における第1空気及び第2空気の絶対湿度の変化を示す経過時間と絶対湿度の関係図である。
【図13】切換時間間隔が2分間の場合における第1空気及び第2空気の絶対湿度の変化を示す経過時間と絶対湿度の関係図である。
【図14】実施形態2の調湿装置における第1切換制御動作中の運転状態を示すタイムチャートである。
【図15】実施形態2の調湿装置における第2切換制御動作中の運転状態を示すタイムチャートである。
【図16】実施形態3における調湿装置の運転状態を示すタイムチャートである。
【図17】実施形態4における調湿装置の運転状態を示すタイムチャートである。
【図18】実施形態5における調湿装置の運転状態を示すタイムチャートである。
【図19】実施形態6における調湿装置の運転状態を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
(50) 切換機構
(60) 冷媒回路
(61) 第1熱交換器(第1の熱交換器)
(62) 第2熱交換器(第2の熱交換器)
(63) 圧縮機
(65) 電動膨張弁(膨張弁)
(71) 容量制御部(容量制御手段)
(72) 開度制御部(開度制御手段)
(73) 切換制御部(切換制御手段)
(74) 間隔設定部(間隔設定手段)
Claims (7)
- 第1空気及び第2空気を取り込み、除湿した第1空気又は加湿した第2空気を室内へ供給する調湿装置であって、
それぞれが吸着材を有して該吸着材を空気と接触させる第1及び第2の吸着ユニット(62)を備え、
第1の吸着ユニット(61)で吸着材を再生して第2空気を加湿すると同時に第2の吸着ユニット(61,62)で第1空気を除湿する第1動作と、第2の吸着ユニット(62)で吸着材を再生して第2空気を加湿すると同時に第1の吸着ユニット(61)で第1空気を除湿する第2動作とを所定の切換時間間隔で交互に繰り返すように構成される一方、
上記切換時間間隔を調湿装置の負荷に応じて設定する間隔設定手段(74)が設けられている調湿装置。 - 請求項1に記載の調湿装置において、
間隔設定手段(74)は、調湿装置の負荷が大きくなるほど切換時間間隔の設定値を小さくするように構成されている調湿装置。 - 請求項1又は2に記載の調湿装置において、
表面に吸着材が担持された熱交換器(61,62)が複数接続されると共に、第1の熱交換器(61)が凝縮器となって第2の熱交換器(62)が蒸発器となる第1の冷凍サイクル動作と、第2の熱交換器(62)が凝縮器となって第1の熱交換器(61)が蒸発器となる第2の冷凍サイクル動作とが切換可能な冷媒回路(60)を備え、
第1動作中には上記冷媒回路(60)が第1の冷凍サイクル動作を行う一方で第2動作中には上記冷媒回路(60)が第2の冷凍サイクル動作を行い、上記第1の熱交換器(61)が第1の吸着ユニットを構成して上記第2の熱交換器(62)が第2の吸着ユニットを構成している調湿装置。 - 請求項3に記載の調湿装置において、
第1動作と第2動作の相互切換に対応して第1空気及び第2空気の流通経路を切り換えるための切換機構(50)と、
冷媒回路(60)の動作切換が行われる所定時間前に予め上記切換機構(50)によって空気流通経路を切り換える制御動作を、熱交換器(61,62)の上流において第2空気が第1空気よりも高温であるときに行う切換制御手段(73)と
を備えている調湿装置。 - 請求項3に記載の調湿装置において、
第1動作と第2動作の相互切換に対応して第1空気及び第2空気の流通経路を切り換えるための切換機構(50)と、
冷媒回路(60)の動作切換が行われてから所定時間後に上記切換機構(50)によって空気流通経路を切り換える制御動作を、熱交換器(61,62)の上流において第1空気が第2空気よりも高温であるときに行う切換制御手段(73)と
を備えている調湿装置。 - 請求項3に記載の調湿装置において、
冷媒回路(60)に設けられた圧縮機(63)が容量可変に構成されており、
上記冷媒回路(60)の動作切換の周期と同じ周期で上記圧縮機(63)の容量を変化させる容量制御手段(71)が設けられている調湿装置。 - 請求項3に記載の調湿装置において、
冷媒回路(60)に設けられる冷媒の膨張機構が開度可変の膨張弁(65)により構成されており、
上記冷媒回路(60)の動作切換の周期と同じ周期で上記膨張弁(65)の開度を変化させる開度制御手段(72)が設けられている調湿装置。
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