本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態および変形例は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1について説明する。本実施形態の空調システム(1)は、空気調和装置(80)と、外気処理装置(10)と、制御装置(130)とを備えている。
−空気調和装置の構成−
空気調和装置(80)について、図1を参照しながら説明する。
空気調和装置(80)は、一台の室外機(81)と、四台の室内機(82a,82b,82c,82d)とを備えている。一台の室外機(81)と四台の室内機(82a〜82d)とは、連絡配管(91,92)によって接続されて空調用冷媒回路(90)を構成する。なお、室外機(81)及び室内機(82a〜82d)の台数は、単なる例示である。
〈室外機〉
室外機(81)は、室外回路(100)と室外ファン(83)とを備えている。また、室外機(81)には、制御装置(130)を構成する室外コントローラ(112)が設けられいる。室外コントローラ(112)は、後述する圧縮機(101)の運転等を制御する。
室外回路(100)には、圧縮機(101)と、アキュームレータ(102)と、四方切換弁(103)と、室外熱交換器(104)と、室外膨張弁(105)と、レシーバ(106)と、液側閉鎖弁(107)と、ガス側閉鎖弁(108)とが設けられている。
室外回路(100)において、圧縮機(101)は、その吐出側が四方切換弁(103)の第1のポートに接続され、その吸入側がアキュームレータ(102)を介して四方切換弁(103)の第2のポートに接続されている。四方切換弁(103)の第3のポートは、室外熱交換器(104)のガス側端に接続されている。室外熱交換器(104)の液側端は、室外膨張弁(105)の一端に接続されている。室外膨張弁(105)の他端は、レシーバ(106)を介して液側閉鎖弁(107)に接続されている。四方切換弁(103)の第4のポートは、ガス側閉鎖弁(108)に接続されている。
室外回路(100)には、高圧センサ(88)と低圧センサ(89)とが設けられている。高圧センサ(88)は、圧縮機(101)の吐出側と四方切換弁(103)を繋ぐ配管に接続され、圧縮機(101)から吐出された高圧冷媒の圧力を計測する。低圧センサ(89)は、アキュームレータ(102)と四方切換弁(103)を繋ぐ配管に接続され、圧縮機(101)へ吸入される低圧冷媒の圧力を計測する。
圧縮機(101)は、いわゆる全密閉型の圧縮機である。圧縮機(101)の電動機には、図外のインバータを介して電力が供給される。インバータから電動機へ供給される交流の周波数(即ち、圧縮機(101)の運転周波数)を変化させると、電動機の回転速度が変化し、その結果、圧縮機(101)の運転容量が変化する。
室外熱交換器(104)は、室外ファン(83)によって供給された室外空気を冷媒と熱交換させるフィン・アンド・チューブ型の熱交換器である。四方切換弁(103)は、第1のポートが第3のポートに連通し且つ第2のポートが第4のポートに連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、第1のポートが第4のポートに連通し且つ第2のポートが第3のポートに連通する第2状態(図1に破線で示す状態)とに切り換わる。
〈室内機〉
各室内機(82a〜82d)は、室内回路(95a,95b,95c,95d)と、室内ファン(84a,84b,84c,84d)と、室内温度センサ(85a,85b,85c,85d)とを備えている。また、各室内機(82a〜82d)には、制御装置(130)を構成する室内コントローラ(111a,111b,11c,111d)が一つずつ設けられている。
各室内回路(95a〜95d)には、室内熱交換器(96a,96b,96c,96d)と、室内膨張弁(97a,97b,97c,97d)とが一つずつ設けられている。室内熱交換器(96a〜96d)は、室内ファン(84a〜84d)によって供給された室内空気を冷媒と熱交換させるフィン・アンド・チューブ型の熱交換器である。
各室内回路(95a〜95d)において、室内熱交換器(96a〜96d)は、その一端が室内回路(95a〜95d)のガス側端に接続され、その他端が室内膨張弁(97a〜97d)を介して室内回路(95a〜95d)の液側端に接続されている。各室内回路(95a〜95d)は、それぞれの液側端が液側連絡配管(91)を介して室外回路(100)の液側閉鎖弁(107)に接続され、それぞれのガス側端がガス側連絡配管(92)を介して室外回路(100)のガス側閉鎖弁(108)に接続されている。
各室内回路(95a〜95d)には、室内液管温度センサ(86a,86b,86c,86d)と室内ガス管温度センサ(87a,87b,87c,87d)とが、一つずつ取り付けられている。各室内回路(95a〜95d)において、室内液管温度センサ(86a〜86d)は、室内熱交換器(96a〜96d)と室内膨張弁(97a〜97d)を繋ぐ配管に取り付けられ、この配管の温度を計測する。また、各室内回路(95a〜95d)において、室内ガス管温度センサ(87a,87b,87c,87d)は、室内熱交換器(96a〜96d)と室内回路(95a〜95d)のガス側端を繋ぐ配管に取り付けられ、この配管の温度を計測する。
図示しないが、各室内機(82a〜82d)には、空気の吸込口と吹出口が形成されている。各室内機(82a〜82d)は、それぞれに形成された吸込口及び吹出口の全てが同一の室内空間(200)に連通するように設置されている。つまり、各室内機(82a〜82d)は、同一の室内空間(200)から室内空気を吸い込み、室内熱交換器(96a〜96d)を通過した室内空気を同一の室内空間(200)へ吹き出す。
各室内機(82a〜82d)において、室内温度センサ(85a〜85d)は、室内熱交換器(96a〜96d)を通過する前の室内空気の温度を計測する。また、各室内機(82a〜82d)において、室内コントローラ(111a〜111d)は、室内膨張弁(97a〜97d)の開度と、室内ファン(84a〜84d)の運転とを制御する。つまり、第1室内機(82a)の室内コントローラ(111a)は室内膨張弁(97a)及び室内ファン(84a)を、第2室内機(82b)の室内コントローラ(111b)は室内膨張弁(97b)及び室内ファン(84b)を、第3室内機(82c)の室内コントローラ(111c)は室内膨張弁(97c)及び室内ファン(84c)を、第4室内機(82c)の室内コントローラ(111c)は室内膨張弁(97c)及び室内ファン(84c)を、それぞれ制御する。
−空気調和装置の運転動作−
空気調和装置(80)は、冷房運転と暖房運転とを実行可能である。冷房運転と暖房運転の何れにおいても、空気調和装置(80)の空調用冷媒回路(90)は、冷媒を循環させることによって蒸気圧縮冷凍サイクルを行う。
〈冷房運転〉
空気調和装置(80)の冷房運転について説明する。冷房運転中の空調用冷媒回路(90)では、四方切換弁(103)が第1状態(図1に実線で示す状態)に設定され、室外膨張弁(105)が全開状態に設定され、各室内膨張弁(97a〜97d)の開度が適宜調節される。また、冷房運転中の空調用冷媒回路(90)では、室外熱交換器(104)が凝縮器(即ち、放熱器)として動作し、各室内熱交換器(96a〜96d)が蒸発器として動作する。
冷房運転中の空調用冷媒回路(90)における冷媒の流れを具体的に説明する。圧縮機(101)から吐出された高圧冷媒は、四方切換弁(103)を通過後に室外熱交換器(104)へ流入し、室外空気へ放熱して凝縮する。室外熱交換器(104)から流出した冷媒は、室外膨張弁(105)とレシーバ(106)を通過後に液側連絡配管(91)へ流入し、各室内回路(95a〜95d)へ分配される。各室内回路(95a〜95d)へ流入した冷媒は、室内膨張弁(97a〜97d)を通過する際に減圧されて低圧冷媒となり、その後に室内熱交換器(96a〜96d)へ流入し、室内空気から吸熱して蒸発する。各室内回路(95a〜95d)において室内熱交換器(96a〜96d)から流出した冷媒は、ガス側連絡配管(92)へ流入して合流した後に室外回路(100)へ流入し、四方切換弁(103)を通過後に圧縮機(101)へ吸入されて圧縮される。
上述したように、冷房運転中には、各室内熱交換器(96a〜96d)が蒸発器として動作する。各室内機(82a〜82d)は、吸い込んだ室内空気を室内熱交換器(96a〜96d)において冷却した後に室内へ送り返す。
各室内機(82a〜82d)において、室内コントローラ(111a〜111d)は、室内熱交換器(96a〜96d)から流出した冷媒の過熱度が所定の目標値となるように、室内膨張弁(97a〜97d)の開度を調節する。その際、室内コントローラ(111a〜111d)は、室内ガス管温度センサ(87a〜87d)及び室内液管温度センサ(86a〜86d)の計測値を用いて、冷媒の過冷却度を算出する。
また、各室内機(82a〜82d)において、室内コントローラ(111a〜111d)は、室内温度センサ(85a〜85d)の計測値が所定の目標範囲を下回ると、室内機(82a〜82d)を休止状態にする。具体的に、室内コントローラ(111a〜111d)は、室内膨張弁(97a〜97d)を微小開度または全閉状態に保持し、室内ファン(84a〜84d)を停止させる。更に、室内コントローラ(111a〜111d)は、室内温度センサ(85a〜85d)の計測値が目標温度範囲を上回ると、室内機(82a〜82d)に運転を再開させる。
室外コントローラ(112)は、低圧センサ(89)の計測値が所定の目標範囲となるように、圧縮機(101)の運転容量を調節する。また、室外コントローラ(112)は、圧縮機(101)の運転容量を最小値に設定しても低圧センサ(89)の計測値が所定の目標範囲を下回る場合は、圧縮機(101)を停止させる。
〈暖房運転〉
空気調和装置(80)の暖房運転について説明する。暖房運転中の空調用冷媒回路(90)では、四方切換弁(103)が第2状態(図1に破線で示す状態)に設定され、室外膨張弁(105)及び各室内膨張弁(97a〜97d)の開度が適宜調節される。また、暖房運転中の空調用冷媒回路(90)では、各室内熱交換器(96a〜96d)が凝縮器として動作し、室外熱交換器(104)が蒸発器として動作する。
暖房運転中の空調用冷媒回路(90)における冷媒の流れを具体的に説明する。圧縮機(101)から吐出された冷媒は、四方切換弁(103)を通過後にガス側連絡配管(92)へ流入し、各室内回路(95a〜95d)へ分配される。各室内回路(95a〜95d)へ流入した冷媒は、室内熱交換器(96a〜96d)へ流入し、室内空気へ放熱して凝縮する。各室内回路(95a〜95d)において室内熱交換器(96a〜96d)から流出した冷媒は、室内膨張弁(97a〜97d)を通過後に液側連絡配管(91)へ流入して合流してから室外回路(100)へ流入する。室外回路(100)へ流入した冷媒は、レシーバ(106)を通過後に室外膨張弁(105)へ流入し、室外膨張弁(105)を通過する際に減圧されて低圧冷媒となる。室外膨張弁(105)を通過した冷媒は、室外熱交換器(104)へ流入し、室外空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器(104)から流出した冷媒は、四方切換弁(103)を通過後に圧縮機(101)へ吸入されて圧縮される。
上述したように、暖房運転中には、各室内熱交換器(96a〜96d)が凝縮器として動作する。各室内機(82a〜82d)は、吸い込んだ室内空気を室内熱交換器(96a〜96d)において加熱した後に室内へ送り返す。
各室内機(82a〜82d)において、室内コントローラ(111a〜111d)は、室内熱交換器(96a〜96d)から流出した冷媒の過冷却度が所定の目標値となるように、室内膨張弁(97a〜97d)の開度を調節する。その際、室内コントローラ(111a〜111d)は、室内液管温度センサ(86a〜86d)及び高圧センサ(88)の計測値を用いて、冷媒の過冷却度を算出する。
また、各室内機(82a〜82d)において、室内コントローラ(111a〜111d)は、室内温度センサ(85a〜85d)の計測値が所定の目標範囲を上回ると、室内機(82a〜82d)を休止状態にする。具体的に、室内コントローラ(111a〜111d)は、室内膨張弁(97a〜97d)を微小開度または全閉状態に保持し、室内ファン(84a〜84d)を停止させる。更に、室内コントローラ(111a〜111d)は、室内温度センサ(85a〜85d)の計測値が目標温度範囲を下回ると、室内機(82a〜82d)に運転を再開させる。
室外コントローラ(112)は、高圧センサ(88)の計測値が所定の目標範囲となるように、圧縮機(101)の運転容量を調節する。また、室外コントローラ(112)は、圧縮機(101)の運転容量を最小値に設定しても高圧センサ(88)の計測値が所定の目標範囲を上回る場合は、圧縮機(101)を停止させる。
−外気処理装置の構成−
本実施形態の外気処理装置(10)は、室内空間(200)の換気を行うと共に、室内空間(200)へ供給する室外空気の温度と湿度を調節する。
〈外気処理装置の全体構成〉
外気処理装置(10)について、図2を参照しながら説明する。なお、ここでの説明で用いる「上」「下」「左」「右」「前」「後」「手前」「奥」は、特にことわらない限り、外気処理装置(10)を後述する前面パネル部(12)側から見た場合の方向を意味している。
外気処理装置(10)は、ケーシング(11)を備えている。また、ケーシング(11)内には、外気処理用冷媒回路(50)が収容されている。この外気処理用冷媒回路(50)には、第1吸着熱交換器(51)、第2吸着熱交換器(52)、圧縮機(53)、四方切換弁(54)、及び電動膨張弁(55)が接続されている。外気処理用冷媒回路(50)の詳細は後述する。
ケーシング(11)は、やや扁平で高さが比較的低い直方体状に形成されている。このケーシング(11)には、外気吸込口(24)と、内気吸込口(23)と、給気口(22)と、排気口(21)とが形成されている。
外気吸込口(24)及び内気吸込口(23)は、ケーシング(11)の背面パネル部(13)に設けられている。外気吸込口(24)は、背面パネル部(13)の下側部分に設けられている。内気吸込口(23)は、背面パネル部(13)の上側部分に設けられている。給気口(22)は、ケーシング(11)の第1側面パネル部(14)に設けられている。第1側面パネル部(14)において、給気口(22)は、ケーシング(11)の前面パネル部(12)側の端部付近に配置されている。排気口(21)は、ケーシング(11)の第2側面パネル部(15)に設けられている。第2側面パネル部(15)において、排気口(21)は、前面パネル部(12)側の端部付近に配置されている。
給気口(22)と内気吸込口(23)のそれぞれは、図外のダクトを介して室内空間(200)と連通している。給気口(22)及び内気吸込口(23)が連通する室内空間(200)は、空気調和装置(80)の各室内機(82a〜82d)が空気を吹き出す室内空間(200)と同じである。一方、排気口(21)と外気吸込口(24)のそれぞれは、図外のダクトを介して室外空間と連通している。
ケーシング(11)の内部空間には、上流側仕切板(16)と、下流側仕切板(17)と、中央仕切板(18)とが設けられている。これらの仕切板(16〜18)は、何れもケーシング(11)の底板に起立した状態で設置されており、ケーシング(11)の内部空間をケーシング(11)の底板から天板に亘って区画している。
上流側仕切板(16)及び下流側仕切板(17)は、前面パネル部(12)及び背面パネル部(13)と平行な姿勢で、ケーシング(11)の前後方向に所定の間隔をおいて配置されている。上流側仕切板(16)は、背面パネル部(13)寄りに配置されている。下流側仕切板(17)は、前面パネル部(12)寄りに配置されている。中央仕切板(18)の配置については、後述する。
ケーシング(11)内において、上流側仕切板(16)と背面パネル部(13)の間の空間は、上下二つの空間に仕切られており、上側の空間が内気側通路(32)を構成し、下側の空間が外気側通路(34)を構成している。内気側通路(32)は内気吸込口(23)に連通し、外気側通路(34)は外気吸込口(24)に連通している。
内気側通路(32)には、内気側フィルタ(27)と、内気温度センサ(71)と、内気湿度センサ(72)とが設置されている。内気温度センサ(71)は、内気側通路(32)を流れる室内空気の温度を計測する。内気湿度センサ(72)は、内気側通路(32)を流れる室内空気の相対湿度を計測する。一方、外気側通路(34)には、外気側フィルタ(28)と、外気温度センサ(73)と、外気湿度センサ(74)とが設置されている。外気温度センサ(73)は、外気側通路(34)を流れる室外空気の温度を計測する。外気湿度センサ(74)は、外気側通路(34)を流れる室外空気の相対湿度を計測する。なお、図4〜7では、内気温度センサ(71)、内気湿度センサ(72)、外気温度センサ(73)、及び外気湿度センサ(74)の図示を省略している。
ケーシング(11)内における上流側仕切板(16)と下流側仕切板(17)の間の空間は、中央仕切板(18)によって左右に区画されており、中央仕切板(18)の右側の空間が第1熱交換器室(37)を構成し、中央仕切板(18)の左側の空間が第2熱交換器室(38)を構成している。第1熱交換器室(37)には、第1吸着熱交換器(51)が収容されている。第2熱交換器室(38)には、第2吸着熱交換器(52)が収容されている。また、図示しないが、第1熱交換器室(37)には、外気処理用冷媒回路(50)の電動膨張弁(55)が収容されている。
各吸着熱交換器(51,52)は、いわゆるクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器の表面に吸着剤を担持させたものである。各吸着熱交換器(51,52)は、全体として長方形の厚板状あるいは扁平な直方体状に形成されている。そして、各吸着熱交換器(51,52)は、その前面及び背面が上流側仕切板(16)及び下流側仕切板(17)と平行になる姿勢で、熱交換器室(37,38)内に起立した状態で設置されている。
ケーシング(11)の内部空間において、下流側仕切板(17)の前面に沿った空間は、上下に仕切られており、この上下に仕切られた空間のうち、上側の部分が給気側通路(31)を構成し、下側の部分が排気側通路(33)を構成している。
上流側仕切板(16)には、開閉式のダンパ(41〜44)が四つ設けられている。各ダンパ(41〜44)は、概ね横長の長方形状に形成されている。具体的に、上流側仕切板(16)のうち内気側通路(32)に面する部分(上側部分)では、中央仕切板(18)よりも右側に第1内気側ダンパ(41)が取り付けられ、中央仕切板(18)よりも左側に第2内気側ダンパ(42)が取り付けられる。また、上流側仕切板(16)のうち外気側通路(34)に面する部分(下側部分)では、中央仕切板(18)よりも右側に第1外気側ダンパ(43)が取り付けられ、中央仕切板(18)よりも左側に第2外気側ダンパ(44)が取り付けられる。上流側仕切板(16)に設けられた四つのダンパ(41〜44)は、空気の流通経路を切り換える切換機構(40)を構成している。
下流側仕切板(17)には、開閉式のダンパ(45〜48)が四つ設けられている。各ダンパ(45〜48)は、概ね横長の長方形状に形成されている。具体的に、下流側仕切板(17)のうち給気側通路(31)に面する部分(上側部分)では、中央仕切板(18)よりも右側に第1給気側ダンパ(45)が取り付けられ、中央仕切板(18)よりも左側に第2給気側ダンパ(46)が取り付けられる。また、下流側仕切板(17)のうち排気側通路(33)に面する部分(下側部分)では、中央仕切板(18)よりも右側に第1排気側ダンパ(47)が取り付けられ、中央仕切板(18)よりも左側に第2排気側ダンパ(48)が取り付けられる。下流側仕切板(17)に設けられた四つのダンパ(45〜48)は、空気の流通経路を切り換える切換機構(40)を構成している。
ケーシング(11)内において、給気側通路(31)及び排気側通路(33)と前面パネル部(12)との間の空間は、仕切板(19)によって左右に仕切られており、仕切板(19)の右側の空間が給気ファン室(36)を構成し、仕切板(19)の左側の空間が排気ファン室(35)を構成している。
給気ファン室(36)には、給気ファン(26)が収容されている。また、排気ファン室(35)には排気ファン(25)が収容されている。給気ファン(26)及び排気ファン(25)は、何れも遠心型の多翼ファン(いわゆるシロッコファン)である。給気ファン(26)は、下流側仕切板(17)側から吸い込んだ空気を給気口(22)へ吹き出す。排気ファン(25)は、下流側仕切板(17)側から吸い込んだ空気を排気口(21)へ吹き出す。
給気ファン室(36)には、外気処理用冷媒回路(50)の圧縮機(53)と四方切換弁(54)とが収容されている。圧縮機(53)及び四方切換弁(54)は、給気ファン室(36)における給気ファン(26)と仕切板(19)との間に配置されている。
〈外気処理用冷媒回路の構成〉
図3に示すように、外気処理用冷媒回路(50)は、第1吸着熱交換器(51)、第2吸着熱交換器(52)、圧縮機(53)、四方切換弁(54)、及び電動膨張弁(55)が設けられた閉回路である。この外気処理用冷媒回路(50)は、充填された冷媒を循環させることによって、蒸気圧縮冷凍サイクルを行う。
外気処理用冷媒回路(50)において、圧縮機(53)は、その吐出側が四方切換弁(54)の第1のポートに、その吸入側が四方切換弁(54)の第2のポートにそれぞれ接続されている。また、外気処理用冷媒回路(50)では、四方切換弁(54)の第3のポートから第4のポートへ向かって順に、第1吸着熱交換器(51)と、電動膨張弁(55)と、第2吸着熱交換器(52)とが配置されている。
四方切換弁(54)は、第1のポートと第3のポートが連通して第2のポートと第4のポートが連通する第1状態(図3(A)に示す状態)と、第1のポートと第4のポートが連通して第2のポートと第3のポートが連通する第2状態(図3(B)に示す状態)とに切り換え可能となっている。
圧縮機(53)は、圧縮機構とそれを駆動する電動機とが一つのケーシングに収容された全密閉型の圧縮機である。この圧縮機(53)の電動機には、インバータを介して交流が供給される。インバータの出力周波数(即ち、圧縮機の運転周波数)を変更すると、電動機とそれによって駆動される圧縮機構の回転速度が変化し、圧縮機(53)の運転容量が変化する。
〈外気処理用コントローラの構成〉
外気処理装置(10)には、制御装置(130)を構成する外気処理用コントローラ(70)が設けられている(図1を参照)。外気処理用コントローラ(70)には、内気湿度センサ(72)、内気温度センサ(71)、外気湿度センサ(74)、及び外気温度センサ(73)の計測値が入力されている。また、外気処理用コントローラ(70)には、外気処理用冷媒回路(50)に設けられた温度センサや圧力センサの計測値が入力されている。外気処理用コントローラ(70)は、入力されたこれらの計測値に基づいて、外気処理装置(10)の運転を制御する。
−外気処理装置の運転動作−
本実施形態の外気処理装置(10)は、除湿運転と、加湿運転とを実行可能である。除湿運転および加湿運転では、給気ファン(26)及び排気ファン(25)が作動する。そして、外気処理装置(10)は、取り込んだ室外空気(OA)を供給空気(SA)として室内空間(200)へ供給し、取り込んだ室内空気(RA)を排出空気(EA)として室外空間へ排出する。
〈除湿運転〉
除湿運転中の外気処理装置(10)では、室外空気が外気吸込口(24)からケーシング(11)内へ第1空気として取り込まれ、室内空気が内気吸込口(23)からケーシング(11)内へ第2空気として取り込まれる。また、外気処理用冷媒回路(50)では、圧縮機(53)が作動し、電動膨張弁(55)の開度が調節される。そして、除湿運転中の外気処理装置(10)は、後述する第1バッチ動作と第2バッチ動作を3分間ずつ交互に繰り返し行う。
先ず、除湿運転の第1バッチ動作について説明する。
図4に示すように、除湿運転の第1バッチ動作では、切換機構(40)が空気の流通経路を第2経路に設定する。具体的には、第1内気側ダンパ(41)、第2外気側ダンパ(44)、第2給気側ダンパ(46)、及び第1排気側ダンパ(47)が開状態となり、第2内気側ダンパ(42)、第1外気側ダンパ(43)、第1給気側ダンパ(45)、及び第2排気側ダンパ(48)が閉状態となる。また、この第1バッチ動作では、外気処理用冷媒回路(50)が第1冷凍サイクル動作を行う。つまり、外気処理用冷媒回路(50)では、四方切換弁(54)が第1状態(図3(A)に示す状態)に設定され、第1吸着熱交換器(51)が凝縮器となって第2吸着熱交換器(52)が蒸発器となる。
外気側通路(34)へ流入して外気側フィルタ(28)を通過した第1空気は、第2外気側ダンパ(44)を通って第2熱交換器室(38)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(52)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第2吸着熱交換器(52)において除湿された第1空気は、第2給気側ダンパ(46)を通って給気側通路(31)へ流入し、給気ファン室(36)を通過後に給気口(22)を通って室内空間(200)へ供給される。
一方、内気側通路(32)へ流入して内気側フィルタ(27)を通過した第2空気は、第1内気側ダンパ(41)を通って第1熱交換器室(37)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(51)では、冷媒によって加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気に付与される。第1吸着熱交換器(51)において水分を付与された第2空気は、第1排気側ダンパ(47)を通って排気側通路(33)へ流入し、排気ファン室(35)を通過後に排気口(21)を通って室外空間へ排出される。
次に、除湿運転の第2バッチ動作について説明する。
図5に示すように、除湿運転の第2バッチ動作では、切換機構(40)が空気の流通経路を第1経路に設定する。具体的には、第2内気側ダンパ(42)、第1外気側ダンパ(43)、第1給気側ダンパ(45)、及び第2排気側ダンパ(48)が開状態となり、第1内気側ダンパ(41)、第2外気側ダンパ(44)、第2給気側ダンパ(46)、及び第1排気側ダンパ(47)が閉状態となる。また、この第2バッチ動作では、外気処理用冷媒回路(50)が第2冷凍サイクル動作を行う。つまり、外気処理用冷媒回路(50)では、四方切換弁(54)が第2状態(図3(B)に示す状態)に設定され、第1吸着熱交換器(51)が蒸発器となって第2吸着熱交換器(52)が凝縮器となる。
外気側通路(34)へ流入して外気側フィルタ(28)を通過した第1空気は、第1外気側ダンパ(43)を通って第1熱交換器室(37)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(51)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第1吸着熱交換器(51)において除湿された第1空気は、第1給気側ダンパ(45)を通って給気側通路(31)へ流入し、給気ファン室(36)を通過後に給気口(22)を通って室内空間(200)へ供給される。
一方、内気側通路(32)へ流入して内気側フィルタ(27)を通過した第2空気は、第2内気側ダンパ(42)を通って第2熱交換器室(38)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(52)では、冷媒によって加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気に付与される。第2吸着熱交換器(52)において水分を付与された第2空気は、第2排気側ダンパ(48)を通って排気側通路(33)へ流入し、排気ファン室(35)を通過後に排気口(21)を通って室外空間へ排出される。
〈加湿運転〉
加湿運転は、外気処理装置(10)が吸い込んだ室外空気を加湿して室内へ供給する運転である。また、加湿運転中の外気処理装置(10)では、室外空気が加熱される。つまり、この加湿運転は、外気処理装置(10)が室外空気を加熱する加熱運転である。
加湿運転中の外気処理装置(10)では、室外空気が外気吸込口(24)からケーシング(11)内へ第2空気として取り込まれ、室内空気が内気吸込口(23)からケーシング(11)内へ第1空気として取り込まれる。また、外気処理用冷媒回路(50)では、圧縮機(53)が作動し、電動膨張弁(55)の開度が調節される。そして、加湿運転中の外気処理装置(10)は、後述する第1バッチ動作と第2バッチ動作を所定の切換時間ずつ交互に繰り返し行う。詳しくは後述するが、加湿運転中において、第1バッチ動作と第2バッチ動作が切り切り換わる時間間隔(即ち、切換時間)は、外気処理用コントローラ(70)によって調節される。
先ず、加湿運転の第1バッチ動作について説明する。
図6に示すように、加湿運転の第1バッチ動作では、切換機構(40)が空気の流通経路を第1経路に設定する。具体的には、第2内気側ダンパ(42)、第1外気側ダンパ(43)、第1給気側ダンパ(45)、及び第2排気側ダンパ(48)が開状態となり、第1内気側ダンパ(41)、第2外気側ダンパ(44)、第2給気側ダンパ(46)、及び第1排気側ダンパ(47)が閉状態となる。また、この第1バッチ動作では、外気処理用冷媒回路(50)が第1冷凍サイクル動作を行う。つまり、外気処理用冷媒回路(50)では、四方切換弁(54)が第1状態(図3(A)に示す状態)に設定され、第1吸着熱交換器(51)が凝縮器となって第2吸着熱交換器(52)が蒸発器となる。
内気側通路(32)へ流入して内気側フィルタ(27)を通過した第1空気は、第2内気側ダンパ(42)を通って第2熱交換器室(38)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(52)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第2吸着熱交換器(52)において水分を奪われた第1空気は、第2排気側ダンパ(48)を通って排気側通路(33)へ流入し、排気ファン室(35)を通過後に排気口(21)を通って室外空間へ排出される。
一方、外気側通路(34)へ流入して外気側フィルタ(28)を通過した第2空気は、第1外気側ダンパ(43)を通って第1熱交換器室(37)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(51)では、冷媒によって加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気に付与される。第1吸着熱交換器(51)において加湿された第2空気は、第1給気側ダンパ(45)を通って給気側通路(31)へ流入し、給気ファン室(36)を通過後に給気口(22)を通って室内空間(200)へ供給される。
次に、加湿運転の第2バッチ動作について説明する。
図7に示すように、加湿運転の第2バッチ動作では、切換機構(40)が空気の流通経路を第2経路に設定する。具体的には、第1内気側ダンパ(41)、第2外気側ダンパ(44)、第2給気側ダンパ(46)、及び第1排気側ダンパ(47)が開状態となり、第2内気側ダンパ(42)、第1外気側ダンパ(43)、第1給気側ダンパ(45)、及び第2排気側ダンパ(48)が閉状態となる。また、この第2バッチ動作では、外気処理用冷媒回路(50)が第2冷凍サイクル動作を行う。つまり、外気処理用冷媒回路(50)では、四方切換弁(54)が第2状態(図3(B)に示す状態)に設定され、第1吸着熱交換器(51)が蒸発器となって第2吸着熱交換器(52)が凝縮器となる。
内気側通路(32)へ流入して内気側フィルタ(27)を通過した第1空気は、第1内気側ダンパ(41)を通って第1熱交換器室(37)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(51)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第1吸着熱交換器(51)において水分を奪われた第1空気は、第1排気側ダンパ(47)を通って排気側通路(33)へ流入し、排気ファン室(35)を通過後に排気口(21)を通って室外空間へ排出される。
一方、外気側通路(34)へ流入して外気側フィルタ(28)を通過した第2空気は、第2外気側ダンパ(44)を通って第2熱交換器室(38)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(52)では、冷媒によって加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気に付与される。第2吸着熱交換器(52)において加湿された第2空気は、第2給気側ダンパ(46)を通って給気側通路(31)へ流入し、給気ファン室(36)を通過後に給気口(22)を通って室内空間(200)へ供給される。
−制御装置−
中央コントローラ(120)と、室外機(81)の室外コントローラ(112)と、各室内機(82a〜82d)の室内コントローラ(111a〜111d)と、外気処理装置(10)の外気処理用コントローラ(70)とは、互いに信号線を介して接続されており、制御装置(130)を構成している。この制御装置(130)は、空気調和装置(80)及び外気処理装置(10)に対する様々な制御動作を行う。ここでは、制御装置(130)が行う主要な制御動作について、図1,8,9を参照しながら説明する。
〈通常制御モード〉
空調システム(1)が通常暖房運転を行っていると仮定する。通常暖房運転中の空調システム(1)では、空気調和装置(80)が暖房運転を行い、外気処理装置(10)が加湿運転を行う。また、通常暖房運転中の空調システム(1)では、中央コントローラ(120)の動作状態が通常制御モードとなる(図8を参照)。
通常制御モードの中央コントローラ(120)は、全ての室内コントローラ(111a〜111d)に対して室内機(82a〜82d)の運転を許可する信号(運転許可信号)を出力する。運転許可信号を受信すると、室内コントローラ(111a〜111d)は、室内温度センサ(85a〜85d)の計測値に基づいて、室内機(82a〜82d)を運転状態とし、又は休止状態とする。
また、通常制御モードの中央コントローラ(120)は、暖房強制停止フラグをOFFに設定し、暖房強制停止フラグがOFFであることを示す信号を、外気処理用コントローラ(70)に対して出力する。この信号を中央コントローラ(120)から受信すると、外気処理用コントローラ(70)は、その動作状態を湿度制御モードに設定する(図9を参照)。
湿度制御モードの外気処理用コントローラ(70)は、第1バッチ動作と第2バッチ動作を相互に切り換える時間間隔である切換時間を、所定の値(例えば、4分間)に保持する。また、湿度制御モードの外気処理用コントローラ(70)は、内気湿度センサ(72)の計測値に基づいて、外気処理用冷媒回路(50)の圧縮機(53)の運転容量を制御する。具体的に、外気処理用コントローラ(70)は、内気湿度センサ(72)の計測値が所定の目標範囲内になるように、圧縮機(53)の運転容量を調節する。つまり、外気処理用コントローラ(70)は、内気湿度センサ(72)の計測値が目標範囲を下回ると圧縮機(53)の運転容量を増やし、内気湿度センサ(72)の計測値が目標範囲を上回ると圧縮機(53)の運転容量を減らす。
暖房運転が空気調和装置(80)を行っている状態において、各室内コントローラ(111a〜111d)は、室内機(82a〜82d)の暖房能力割合RHを算出する。また、各室内コントローラ(111a〜111d)は、所定時間(例えば、10分間)における暖房能力割合RHの平均値である平均暖房能力割合RHAを算出する。つまり、第1室内機(82a)の室内コントローラ(111a)は第1室内機(82a)の平均暖房能力割合RHAを、第2室内機(82b)の室内コントローラ(111b)は第2室内機(82b)の平均暖房能力割合RHAを、第3室内機(82c)の室内コントローラ(111c)は第3室内機(82c)の平均暖房能力割合RHAを、第4室内機(82c)の室内コントローラ(111c)は第4室内機(82c)の平均暖房能力割合RHAを、それぞれ算出する。各室内コントローラ(111a〜111d)は、算出した室内機(82a〜82d)の平均暖房能力割合RHAを、一定の時間毎(例えば、1分毎)に中央コントローラ(120)へ出力する。
暖房能力割合RHは、その時点で室内機(82a〜82d)が実際に発揮している暖房能力QHの、室内機(82a〜82d)が定格状態において発揮する暖房能力(即ち、定格暖房能力QR)に対する割合である(RH=QH/QR)。この暖房能力割合RHと、その平均値である平均暖房能力割合RHAとは、室内機(82a〜82d)の暖房能力を示す暖房指標値である。
各室内コントローラ(111a〜111d)が室内機(82a〜82d)の暖房能力割合RHを算出する動作について説明する。室内コントローラ(111a〜111d)は、室内ファン(84c)の送風量と、室内熱交換器(96a〜96d)における冷媒と空気の温度差と、室内熱交換器(96a〜96d)の出口における冷媒の過冷却度とを用いて、室内機(82a〜82d)が発揮している暖房能力QHを算出する。また、室内コントローラ(111a〜111d)は、室内機(82a〜82d)の定格暖房能力QRを予め記憶している。そして、室内コントローラ(111a〜111d)は、算出した暖房能力QHを定格暖房能力QRで除することによって、室内機(82a〜82d)の暖房能力割合RHを算出する。
通常制御モードの中央コントローラ(120)は、各室内コントローラ(111a〜111d)から受信した平均暖房能力割合RHAを、所定の基準値Aと比較する。基準値Aの値は、例えば「0.1」に設定される。図8に示すように、中央コントローラ(120)では、“全ての室内機(82a〜82d)の平均暖房能力割合RHAが基準値Aを下回る(RHA<A)”という条件が、低負荷判定条件となっている。この低負荷判定条件が成立する場合は、全ての室内機(82a〜82d)が低い暖房能力しか発揮していないため、室内空間(200)の暖房負荷が低くなっていると判断できる。図8に示すように、中央コントローラ(120)は、低負荷判定条件が成立すると、その動作状態が通常制御モードから低負荷時制御モードに切り換わる。
〈低負荷時制御モード〉
中央コントローラ(120)の動作状態が通常制御モードから低負荷時制御モードに切り換わると、空調システム(1)が通常暖房運転から低負荷時暖房運転に切り換わる。低負荷時暖房運転中の空調システム(1)では、空気調和装置(80)の全ての室内機(82a〜82d)が休止状態となり、外気処理装置(10)が加湿運転を行う。つまり、低負荷時暖房運転中の空調システム(1)では、外気処理装置(10)だけによって室内空間(200)の暖房負荷が処理される。
通常制御モードから低負荷時制御モードに切り換わった中央コントローラ(120)は、全ての室内コントローラ(111a〜111d)に対して室内機(82a〜82d)の運転を禁止する信号(強制停止信号)を出力する。強制停止信号を受信すると、室内コントローラ(111a〜111d)は、室内機(82a〜82d)を休止状態に保持する。つまり、室内コントローラ(111a〜111d)は、室内機(82a〜82d)を強制的に休止状態とし、その運転再開を禁止する。
また、通常制御モードから低負荷時制御モードに切り換わった中央コントローラ(120)は、暖房強制停止フラグをOFFからONに変更し、暖房強制停止フラグがONであることを示す信号を、外気処理用コントローラ(70)に対して出力する。この信号を中央コントローラ(120)から受信すると、外気処理用コントローラ(70)は、その動作状態が湿度制御モードから温度湿度制御モードに切り換わる(図9を参照)。
外気処理用コントローラ(70)は、湿度制御モードから温度湿度制御モードへ切り換わると、先ず、第1バッチ動作と第2バッチ動作を相互に切り換える時間間隔である切換時間を、所定の上限値(例えば、10分間)にまで一旦引き延ばす。その後、外気処理用コントローラ(70)は、内気温度センサ(71)の計測値に基づいて、切換時間を調節する。また、外気処理用コントローラ(70)は、切換時間を、所定の上限値以下の範囲で調節する。例えば、内気温度センサ(71)の計測値が室内空間(200)の設定温度よりも高く、しかもその計測値が上昇している場合、外気処理用コントローラ(70)は、切換時間を短縮する。一方、内気温度センサ(71)の計測値が室内空間(200)の設定温度よりも低く、しかもその計測値が低下している場合、外気処理用コントローラ(70)は、切換時間を延長する。
また、温度湿度制御モードの外気処理用コントローラ(70)は、内気湿度センサ(72)の計測値に基づいて、外気処理用冷媒回路(50)の圧縮機(53)の運転容量を制御する。具体的に、外気処理用コントローラ(70)は、内気湿度センサ(72)の計測値が所定の目標範囲内になるように、圧縮機(53)の運転容量を調節する。つまり、外気処理用コントローラ(70)は、内気湿度センサ(72)の計測値が目標範囲を下回ると圧縮機(53)の運転容量を増やし、内気湿度センサ(72)の計測値が目標範囲を上回ると圧縮機(53)の運転容量を減らす。
ここで、凝縮器として機能する吸着熱交換器(51,52)から放出される水分の量は、その吸着熱交換器(51,52)が蒸発器から凝縮器へ切り換わった直後(例えば、切り換わった時点から約1分以内)に急激に増加し、その後は次第に減少してゆく。つまり、吸着熱交換器(51,52)が蒸発器から凝縮器へ切り換わった直後は、冷媒が放出した熱の大半が吸着剤から水分を脱離させるために消費されるが、吸着熱交換器(51,52)が蒸発器から凝縮器へ切り換わってからある程度の時間が経過すると、冷媒が放出した熱のうち空気を暖めるために利用される分が増えてゆく。このため、切換時間が概ね2分間以上の範囲であれば、切換時間が長くなるほど、凝縮器として機能する吸着熱交換器(51,52)において冷媒が放出した熱のうち、空気を暖めるために利用される分が多くなる。従って、加湿運転中の外気処理装置(10)において切換時間を変更すると、室内へ供給される室外空気を暖めるために利用される熱の量が変化し、外気処理装置(10)の加湿運転によって得られる暖房能力が変化する。
そこで、温度湿度制御モードの外気処理用コントローラ(70)は、切換時間を調節することによって、外気処理装置(10)の加湿運転によって得られる暖房能力を、室内空間(200)の暖房負荷に応じて調節する。
また、加湿運転中の外気処理装置(10)において切換時間を変更すると、外気処理装置(10)の加湿能力が変化する。上述したように、凝縮器として機能する吸着熱交換器(51,52)から放出される水分の量は、その吸着熱交換器(51,52)が蒸発器から凝縮器へ切り換わった直後に急激に増加し、その後は次第に減少してゆく。このため、切換時間が概ね2分間以上の範囲であれば、切換時間が長くなっても、一回のバッチ動作中に吸着熱交換器(51,52)から放出される水分の量は、殆ど増加しない。一方、切換時間を変更すると、単位時間当たりのバッチ動作の回数が変化する。従って、加湿運転中の外気処理装置(10)において切換時間を変更すると、吸着熱交換器(51,52)から室外空気へ付与される水分の量が変化し、外気処理装置(10)が発揮する加湿能力が変化してしまう。
そこで、温度湿度制御モードの外気処理用コントローラ(70)は、切換時間の変更に起因する加湿能力の変動を抑えるため、内気湿度センサ(72)の計測値に基づいて、外気処理用冷媒回路(50)の圧縮機(53)の運転容量を制御する。この圧縮機(53)の運転容量が変化すると、吸着熱交換器(51,52)を通過する冷媒の流量が変化する。その結果、凝縮器として機能する吸着熱交換器(51,52)での単位時間当たりの冷媒の放熱量が変化し、単位時間当たりの吸着熱交換器(51,52)の放湿量が変化し、外気処理装置(10)の加湿量が変化する。
上述したように、低負荷時暖房運転中の空調システム(1)では、空気調和装置(80)の全ての室内機(82a〜82d)が休止状態となり、外気処理装置(10)によって室内空間(200)の暖房負荷が処理される。従って、通常であれば、外気処理用コントローラ(70)が温度湿度制御モードになっている間は、外気処理用コントローラ(70)が温度湿度制御モードになっている間に比べて、外気処理装置(10)の切換時間が長くなる。また、上述したように、外気処理用冷媒回路(50)の圧縮機(53)の運転容量が一定であれば、外気処理装置(10)の切換時間が長くなるほど、外気処理装置(10)の加湿能力は低くなる。従って、通常であれば、外気処理用コントローラ(70)が温度湿度制御モードになっている間は、外気処理用コントローラ(70)が温度湿度制御モードになっている間に比べて、圧縮機(53)の運転容量が大きくなる。
温度湿度制御モードの外気処理用コントローラ(70)は、内気温度センサ(71)の計測値を監視する。また、外気処理用コントローラ(70)は、各室内機(82a〜82d)へリモコン等から入力された設定温度のうち最も低いものから所定値(例えば、1℃)を減じた値を、下限温度とする。そして、内気温度センサ(71)の計測値が所定の下限温度を下回る状態が所定時間(例えば、20秒間)に亘って継続すると、外気処理用コントローラ(70)は、外気処理装置(10)の加湿運転によって得られる暖房能力が室内空間(200)の暖房負荷に対して不足していると判断し、中央コントローラ(120)に対して解除要求信号を出力する。
図8に示すように、中央コントローラ(120)は、外気処理用コントローラ(70)から解除要求信号を受信すると、その動作状態が低負荷時制御モードから通常制御モードに切り換わる。低負荷時制御モードから通常制御モードに切り換わった中央コントローラ(120)は、全ての室内コントローラ(111a〜111d)に対して運転許可信号を出力する。運転許可信号を受信した室内コントローラ(111a〜111d)は、室内温度センサ(85a〜85d)の計測値に基づいて、室内機(82a〜82d)を運転状態とし、又は休止状態とする。また、低負荷時制御モードから通常制御モードに切り換わった中央コントローラ(120)は、暖房強制停止フラグをONからOFFに変更し、暖房強制停止フラグがOFFであることを示す信号を、外気処理用コントローラ(70)に対して出力する。その信号を受信した外気処理用コントローラ(70)は、その動作状態を温度湿度制御モードから湿度制御モードへ切り換える。その結果、空調システム(1)は、低負荷時暖房運転から通常暖房運転に切り換わる。
−実施形態1の効果−
ここで、室内空間(200)の暖房負荷が低くて空気調和装置(80)の室内機(82a〜82d)が小さな暖房能力しか発揮しない場合は、空気調和装置(80)の運転効率が低くなる。その理由を説明する。
暖房運転中の空気調和装置(80)では、室外機(81)に収容された圧縮機(101)から吐出された高温高圧の冷媒が、ガス側連絡配管(92)を通って各室内回路(95a〜95d)へ流入し、室内熱交換器(96a〜96d)において室内空気へ放熱する。一方、各室内機(82a〜82d)の暖房能力が小さい場合は、ガス側連絡配管(92)を流れる冷媒の流量が低くなる。このため、室内空間(200)の暖房負荷が低くなるほど、圧縮機(101)から吐出された冷媒の温熱のうち、冷媒がガス側連絡配管(92)を通過する間に外部へ放出されるものの割合が大きくなり、室内機(82a〜82d)において室内空気の加熱に利用される物の割合が小さくなる。従って、室内空間(200)の暖房負荷が低い場合には、空気調和装置(80)の運転効率が低くなる。
また、通常は、室内空気の温度が室内空気の温度よりも高い場合に、空気調和装置(80)が暖房運転を行い、外気処理装置(10)が加湿運転を行う。このため、加湿運転を行う外気処理装置(10)では、外気処理用冷媒回路(50)を循環する冷媒が、温度の高い室内空気から吸熱し、温度の低い室外空気へ放熱する。一方、空気調和装置(80)の空調用冷媒回路(90)を循環する冷媒は、温度の低い室外空気から吸熱し、温度の高い室内空気へ放熱する。このため、外気処理装置(10)の加湿運転中に外気処理用冷媒回路(50)が行う冷凍サイクルの高圧と低圧の差は、暖房運転中に空調用冷媒回路(90)が行う冷凍サイクルの高圧と低圧の差よりも小さくなる。その結果、外気処理装置(10)の加湿運転中に外気処理用冷媒回路(50)が行う冷凍サイクルのCOP(成績係数)は、空気調和装置(80)の暖房運転中に空調用冷媒回路(90)が行う冷凍サイクルのCOPよりも高くなる。
更に、外気処理装置(10)では、外気処理用冷媒回路(50)の全体が一つのケーシング(11)に収容されており、圧縮機(53)や吸着熱交換器(51,52)等の機器を互いに接続する配管の長さは比較的短い。このため、外気処理装置(10)の外気処理用冷媒回路(50)では、圧縮機(53)から吸着熱交換器(51,52)へ至るまでに冷媒から外部へ放出される熱の量が少ない。従って、外気処理装置(10)は、室外機(81)と室内機(82a〜82d)が離れた位置に設置される空気調和装置(80)に比べて、高い運転効率を得やすい。
そこで、本実施形態の制御装置(130)は、通常暖房運転中に低負荷判定条件が成立すると、空調システム(1)を通常暖房運転から低負荷時暖房運転に切り換える。低負荷時暖房運転では、運転効率の低い空気調和装置(80)の室内機(82a〜82d)が休止状態に保持され、運転効率の高い外気処理装置(10)が加湿運転を行うことによって室内空間(200)の暖房負荷を処理する。従って、本実施形態によれば、低負荷判定条件が成立する場合(即ち、室内空間(200)の暖房負荷が低い場合)における空調システム(1)の運転効率を改善することができ、空調システム(1)の省エネ化を図ることができる。
また、低負荷時暖房運転中の空調システム(1)において、外気処理装置(10)の外気処理用コントローラ(70)は、第1バッチ動作と第2バッチ動作を相互に切り換える時間間隔である切換時間を、内気温度センサ(71)の計測値に基づいて調節すると共に、外気処理用冷媒回路(50)の圧縮機(53)の運転容量を、内気湿度センサ(72)の計測値に基づいて調節する。従って、本実施形態によれば、低負荷時暖房運転中の空調システム(1)において、外気処理装置(10)が発揮する加湿能力を維持しつつ、外気処理装置(10)の加湿運転によって得られる暖房能力を室内空間(200)の暖房負荷に応じて調節することができる。
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2について説明する。ここでは、本実施形態の空調システム(1)について、実施形態1の空調システム(1)と異なる点を説明する。
図10に示すように、本実施形態の空調システム(1)は、二台の外気処理装置(10a,10b)を備えている。また、この空調システム(1)では、第1室内機(82a)及び第2室内機(82b)と第1外気処理装置(10a)とが第1室内空間(200a)へ空気を吹き出し、第3室内機(82c)及び第4室内機(82d)と第2外気処理装置(10b)とが第2室内空間(200b)へ空気を吹き出す。
本実施形態の中央コントローラ(120)は、第1室内機(82a)、第2室内機(82b)、及び第1外気処理装置(10a)に対する制御動作と、第3室内機(82c)、第4室内機(82d)、及び第2外気処理装置(10b)に対する制御動作とを、別個独立に行う。
先ず、第1室内機(82a)、第2室内機(82b)、及び第1外気処理装置(10a)に対して中央コントローラ(120)が行う制御動作を説明する。この制御動作は、第1室内機(82a)、第2室内機(82b)、及び第1外気処理装置(10a)を対象とする点を除けば、実施形態1の中央コントローラ(120)が行う制御動作と同じである。
具体的に、中央コントローラ(120)は、第1室内機(82a)と第2室内機(82b)のそれぞれから平均暖房能力割合RHAを受信する。本実施形態の中央コントローラ(120)では、“第1室内機(82a)の平均暖房能力割合RHAと第2室内機(82b)の平均暖房能力割合RHAの両方が基準値Aを下回る”という条件が、第1室内空間(200a)の暖房負荷が低いことを示す第1の低負荷判定条件となっている。中央コントローラ(120)は、第1の低負荷判定条件が成立すると、第1室内機(82a)の室内コントローラ(111a)と第2室内機(82b)の室内コントローラ(111b)とに対して強制停止信号を出力し、第1外気処理装置(10a)の外気処理用コントローラ(70a)に対して暖房強制停止フラグがONであることを示す信号を出力する。その結果、第1室内機(82a)及び第2室内機(82b)が休止状態となり、第1外気処理装置(10a)の外気処理用コントローラ(70a)が湿度制御モードから温度湿度制御モードへ切り換わる。
また、中央コントローラ(120)は、第1外気処理装置(10a)の外気処理用コントローラ(70a)から解除要求信号を受信すると、第1室内機(82a)の室内コントローラ(111a)と第2室内機(82b)の室内コントローラ(111b)とに対して運転許可信号を出力し、第1外気処理装置(10a)の外気処理用コントローラ(70a)に対して暖房強制停止フラグがOFFであることを示す信号を出力する。その結果、第1室内機(82a)及び第2室内機(82b)が運転を再開可能な状態となり、第1外気処理装置(10a)の外気処理用コントローラ(70a)が温度湿度制御モードから湿度制御モードへ切り換わる。
次に、第3室内機(82c)、第4室内機(82d)、及び第2外気処理装置(10b)に対して中央コントローラ(120)が行う制御動作を説明する。この制御動作は、第3室内機(82c)、第4室内機(82d)、及び第2外気処理装置(10b)を対象とする点を除けば、実施形態1の中央コントローラ(120)が行う制御動作と同じである。
具体的に、中央コントローラ(120)は、第3室内機(82c)と第4室内機(82d)のそれぞれから平均暖房能力割合RHAを受信する。本実施形態の中央コントローラ(120)では、“第3室内機(82c)の平均暖房能力割合RHAと第4室内機(82d)の平均暖房能力割合RHAの両方が基準値Aを下回る”という条件が、第2室内空間(200b)の暖房負荷が低いことを示す第2の低負荷判定条件となっている。中央コントローラ(120)は、第2の低負荷判定条件が成立すると、第3室内機(82c)の室内コントローラ(111c)と第4室内機(82d)の室内コントローラ(111d)とに対して強制停止信号を出力し、第2外気処理装置(10b)の外気処理用コントローラ(70b)に対して暖房強制停止フラグがONであることを示す信号を出力する。その結果、第3室内機(82c)及び第4室内機(82d)が休止状態となり、第2外気処理装置(10b)の外気処理用コントローラ(70b)が湿度制御モードから温度湿度制御モードへ切り換わる。
また、中央コントローラ(120)は、第2外気処理装置(10b)の外気処理用コントローラ(70b)から解除要求信号を受信すると、第3室内機(82c)の室内コントローラ(111c)と第4室内機(82d)の室内コントローラ(111d)とに対して運転許可信号を出力し、第2外気処理装置(10b)の外気処理用コントローラ(70b)に対して暖房強制停止フラグがOFFであることを示す信号を出力する。その結果、第3室内機(82c)及び第4室内機(82d)が運転を再開可能な状態となり、第2外気処理装置(10b)の外気処理用コントローラ(70b)が温度湿度制御モードから湿度制御モードへ切り換わる。
このように、本実施形態の空調システム(1)は、第1室内機(82a)、第2室内機(82b)、及び第1外気処理装置(10a)を対象とする通常暖房運転および低負荷時暖房運転と、第3室内機(82c)、第4室内機(82d)、及び第2外気処理装置(10b)を対象とする通常暖房運転および低負荷時暖房運転とを実行可能である。
《その他の実施形態》
実施形態1,2の空調システム(1)の変形例について説明する。
−第1変形例−
実施形態1,2の空調システム(1)には、図11に示すような外気処理装置(10)が設けられていてもよい。ここでは、本変形例の外気処理装置(10)について説明する。
本変形例の外気処理装置(10)は、ケーシング(150)と、吸着ロータ(153)と、吸着側ファン(154)と、再生側ファン(155)とを備えている。また、この外気処理装置(10)は、実施形態1,2の外気処理装置(10,10a,10b)と同様に、外気処理用冷媒回路(50)を備えている。
本変形例の外気処理用冷媒回路(50)は、四方切換弁(54)が省略され、吸着熱交換器(51,52)に代えて加熱用熱交換器(156)及び冷却用熱交換器(157)が設けられている。外気処理用冷媒回路(50)は、その全体がケーシング(150)に収容されている。この外気処理用冷媒回路(50)では、圧縮機(53)の吐出口から吸入口へ向かって順に、加熱用熱交換器(156)と、電動膨張弁(55)と、冷却用熱交換器(157)とが配置されている。この外気処理用冷媒回路(50)は、加熱用熱交換器(156)が凝縮器として機能し、冷却用熱交換器(157)が蒸発器として機能する蒸気圧縮冷凍サイクルを行う。
ケーシング(150)の内部には、吸着側空気通路(151)と再生側空気通路(152)とが形成されている。吸着ロータ(153)は、肉厚の円板状に形成され、その厚さ方向に空気が通過可能となっている。また、吸着ロータ(153)の表面には、吸着剤が担持されている。吸着ロータ(153)は、吸着側空気通路(151)と再生側空気通路(152)の両方を横断するように配置される。また、吸着ロータ(153)は、その中心軸周りに回転駆動される。
ケーシング(150)内の吸着側空気通路(151)では、吸着ロータ(153)の上流側に吸着側ファン(154)が配置され、吸着ロータ(153)の下流側に冷却用熱交換器(157)が配置される。一方、ケーシング(150)内の再生側空気通路(152)では、吸着ロータ(153)の上流側に加熱用熱交換器(156)が配置され、加熱用熱交換器(156)の上流側に再生側ファン(155)が配置される。
図11(A)に示すように、本変形例の外気処理装置(10)は、除湿運転を行う。除湿運転中の外気処理装置(10)では、吸着側空気通路(151)へ室外空気が吸い込まれ、再生側空気通路(152)へ室内空気が吸い込まれる。吸着側空気通路(151)を流れる室外空気は、吸着ロータ(153)を通過する際に除湿され、冷却用熱交換器(157)を通過する際に冷却され、その後に室内空間(200)へ供給される。一方、再生側空気通路(152)を流れる室内空気は、加熱用熱交換器(156)を通過する際に加熱され、吸着ロータ(153)を再生するために利用され、吸着ロータ(153)から脱離した水分と共に室外へ排出される。
また、図11(B)に示すように、本変形例の外気処理装置(10)は、加湿運転を行う。加湿運転中の外気処理装置(10)では、吸着側空気通路(151)へ室内空気が吸い込まれ、再生側空気通路(152)へ室外空気が吸い込まれる。吸着側空気通路(151)を流れる室内空気は、吸着ロータ(153)を通過する際に除湿され、冷却用熱交換器(157)を通過する際に冷却され、その後に室外へ排出される。一方、再生側空気通路(152)を流れる室外空気は、加熱用熱交換器(156)を通過する際に加熱され、吸着ロータ(153)を再生するために利用され、吸着ロータ(153)から脱離した水分と共に室内空間(200)へ供給される。
低負荷時暖房運転中の空調システム(1)では、室内機(82a〜82d)が休止状態となり、本変形例の外気処理装置(10)が加湿運転を行うことによって室内空間(200)の暖房負荷を処理する。
−第2変形例−
実施形態1,2の空調システム(1)には、図12に示すような外気処理装置(10)が設けられていてもよい。ここでは、本変形例の外気処理装置(10)について説明する。
本変形例の外気処理装置(10)は、ケーシング(160)と、給気ファン(163)と、排気ファン(164)とを備えている。また、この外気処理装置(10)は、実施形態1,2の外気処理装置(10,10a,10b)と同様に、外気処理用冷媒回路(50)を備えている。本変形例の外気処理用冷媒回路(50)は、第1吸着熱交換器(51)に代えて排気側熱交換器(166)が設けられ、第2吸着熱交換器(52)に代えて給気側熱交換器(165)が設けられている。外気処理用冷媒回路(50)は、その全体がケーシング(150)に収容されている。
ケーシング(150)の内部には、給気通路(161)と排気通路(162)とが形成されている。給気通路(161)には、給気側熱交換器(165)と給気ファン(163)とが配置される。排気通路(162)には、排気側熱交換器(166)と排気ファン(164)とが配置される。
図12(A)に示すように、本変形例の外気処理装置(10)は、冷却運転を行う。冷却運転中の外気処理用冷媒回路(50)では、四方切換弁(54)が第1状態(図12(A)に示す状態)となり、排気側熱交換器(166)が凝縮器として機能し、給気側熱交換器(165)が蒸発器として機能する蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。そして、給気通路(161)を流れる室外空気は、給気側熱交換器(165)を通過する際に冷却され、その後に室内空間(200)へ供給される。一方、排気通路(162)を流れる室内空気は、排気側熱交換器(166)を通過する際に加熱され、その後に室外へ排出される。
また、図12(B)に示すように、本変形例の外気処理装置(10)は、加熱運転を行う。加熱運転中の外気処理用冷媒回路(50)では、四方切換弁(54)が第2状態(図12(B)に示す状態)となり、給気側熱交換器(165)が凝縮器として機能し、排気側熱交換器(166)が蒸発器として機能する蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。そして、給気通路(161)を流れる室外空気は、給気側熱交換器(165)を通過する際に加熱され、その後に室内空間(200)へ供給される。一方、排気通路(162)を流れる室内空気は、排気側熱交換器(166)を通過する際に冷却され、その後に室外へ排出される。
低負荷時暖房運転中の空調システム(1)では、室内機(82a〜82d)が休止状態となり、本変形例の外気処理装置(10)が加熱運転を行うことによって室内空間(200)の暖房負荷を処理する。
−第3変形例−
実施形態1,2の空調システム(1)では、空調用冷媒回路(90)が、冷凍サイクルの高圧が冷媒の臨界圧力を上回る超臨界サイクルを行うように構成されていてもよい。本変形例において、冷房運転中の空調用冷媒回路(90)では、室外熱交換器(104)がガスクーラとして機能し、各室内熱交換器(96a〜96d)が蒸発器として機能する。また、本変形例において、暖房運転中の空調用冷媒回路(90)では、各室内熱交換器(96a〜96d)がガスクーラとして機能し、室外熱交換器(104)が蒸発器として機能する。
−第4変形例−
実施形態1,2の空調システム(1)では、外気処理用冷媒回路(50)が、冷凍サイクルの高圧が冷媒の臨界圧力を上回る超臨界サイクルを行うように構成されていてもよい。本変形例において、第1冷凍サイクル動作中の外気処理用冷媒回路(50)では、第1吸着熱交換器(51)がガスクーラとして機能し、第2吸着熱交換器(52)が蒸発器として機能する。また、本変形例において、第2冷凍サイクル動作中の外気処理用冷媒回路(50)では、第2吸着熱交換器(52)がガスクーラとして機能し、第1吸着熱交換器(51)が蒸発器として機能する。