JP2004353450A - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エンジンに設けられた吸・排気各バルブタイミング可変装置は、油圧により作動する可変機構、ロック機構及びオイルコントロールバルブ(OCV)を備える。電子制御装置(ECU)が、ロック位相から異なる回転位相に変更するための指令信号を両OCVに同時に出力する(ステップ130)と、その指令信号に応じ、両バルブタイミング可変装置が時間差をもって作動を開始する場合がある。ECUは、油圧又はそれに相当する機関情報に基づき油圧が低いときには、先に作動を開始するバルブタイミング可変装置のOCVへ出力される指令信号における制御量(デューティ比)を制限する(ステップ110,120,150)。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関に設けられた機関バルブの作動タイミング(バルブタイミング)を機関運転状態に応じて可変制御する内燃機関のバルブタイミング制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的な内燃機関では、クランクシャフトの回転がカムシャフトに伝達され、そのカムシャフトにより吸・排気バルブが周期的に押下げられて往復動し、吸・排気通路を開閉する。このタイプの内燃機関では、クランクシャフトに対するカムシャフトの回転位相が常に一定である。これに対し、近年では、出力の向上、エミッションの改善等を意図して、内燃機関にバルブタイミング可変装置が装着される傾向にある。同可変装置は、クランクシャフトに対するカムシャフトの回転位相を機関運転状態に応じて変化させ、吸・排気バルブの少なくとも一方の作動タイミング(バルブタイミング)を変更しようとするものである。
【0003】
例えば、ベーン式のバルブタイミング可変装置と呼ばれるものでは、ハウジング及びロータが用いられている。ハウジングはカムシャフトに相対回転可能に支持されるとともに、チェーン等によってクランクシャフトに駆動連結されている。ロータは外周に複数のベーンを有し、ハウジング内に収容された状態でカムシャフトに一体回転可能に取付けられている。ハウジング内部において、各ベーンの回転方向についての前後両側にはそれぞれ圧力室が形成されている。そして、内燃機関の運転状態に応じて、同機関の作動油が各圧力室に供給又は排出されることにより、ロータがハウジングに対して相対回転し、クランクシャフトに対するカムシャフトの回転位相が変化する。
【0004】
上記バルブタイミング可変装置では、例えば内燃機関が所定の運転状態(例えばアイドル状態)となったとき、クランクシャフトに対する吸気カムシャフトの回転位相が最も遅れた状態(最遅角位相)にされる。この最遅角位相では、吸気バルブの作動タイミングがクランクシャフトの回転に対して最も遅くなり、燃焼が安定してアイドル回転速度が抑えられる。そして、このときには、ロック機構によりロータがハウジングに相対回転不能に連結されて、そのロータの相対回転がロックされる。
【0005】
ロック機構は、例えばベーンに往復動可能に配設されたロックピンと、ロックピンの先端部が挿入されるハウジングの係止孔とを備える。このロック機構では、カムシャフトが所定の回転位相であり、かつ作動油の圧力が低いときにロックピンの先端部が係止孔に挿入される。このロックピンによりハウジングとベーンとの相対回転が規制され、クランクシャフトに対するカムシャフトの回転位相が所定の回転位相(ロック位相)に保持される。また、ロック機構にはロック解除用の圧力室が設けられており、この圧力室にはロックピンを係止孔から離脱させる方向に押圧する圧力が上記各圧力室から導入される。そして、上記圧力室のうちの少なくとも一方の圧力が十分に高まると、ロック解除用の圧力室の圧力も高まり、ロックピンが係止孔から抜け出てロックが解除され、ハウジングとベーンとの相対回転が可能となる。
【0006】
ところで、内燃機関によっては、上述したバルブタイミング可変装置が複数装着される場合がある(特許文献1参照)。例えば、直列型内燃機関においては、吸・排気カムシャフトのそれぞれにバルブタイミング可変装置が装着され、吸・排気バルブの両方の作動タイミングが変更される。また、V型内燃機関においては、バンク毎の吸気カムシャフト又は排気カムシャフトにそれぞれバルブタイミング可変装置が装着され、両バンクにおける吸気バルブの作動タイミング、又は排気バルブの作動タイミングが変更される。
【0007】
なお、本発明にかかる先行技術文献としては、上述した特許文献1のほかにも次の特許文献2が挙げられる。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−177433号公報
【特許文献2】
特開2001−182510号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述した特許文献1を含めて、複数のバルブタイミング可変装置を装着した内燃機関においては、特定の条件下で次に示す不具合が生ずるおそれがある。特定の条件下とは、各カムシャフトがロック位相に保持されている両バルブタイミング可変装置に対し、油圧が不足がちであるときに、ロック位相とは異なる回転位相に変更するための指令信号が同時に出力される場合である。この場合に、両バルブタイミング可変装置が同時に作動を開始しないと、先に作動を開始したバルブタイミング可変装置におけるロックの解除及び回転位相の変更のために多くの作動油が消費される。この消費により油圧が低下し、他方のバルブタイミング可変装置におけるロックが解除されず、カムシャフトを相対回転させて回転位相を目標の回転位相に変更することが困難になる。
【0010】
なお、特許文献1では、油温の上昇に従い両バルブタイミング可変装置を異なるタイミングで作動させるようにしている。しかし、先に作動を開始するバルブタイミング可変装置の作動に伴う油圧低下が、後に作動を開始するバルブタイミング可変装置の作動に及ぼす影響についてまでは考慮されていない。そのため、この特許文献1でも上記の不具合が同様に起り得る。
【0011】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、流体圧が不足がちな状況下であっても、全てのバルブタイミング可変装置についてロック機構によるロックを解除してカムシャフトの回転位相を確実に変更することのできるバルブタイミング制御装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1〜6に記載の発明のバルブタイミング制御装置は、次に示す共通の構成を有する。このバルブタイミング制御装置は、複数のバルブタイミング可変装置が設けられた内燃機関に適用される。各バルブタイミング可変装置は、流体圧にてカムシャフトをクランクシャフトに対し相対回転させることにより機関バルブの作動タイミングを変更する可変機構と、前記可変機構による前記カムシャフトの相対回転をロックすることにより前記カムシャフトの回転位相をロック位相に保持する一方、前記流体圧に基づいて同ロックを解除するロック機構と、指令信号により指令された制御量に基づき前記流体圧を調整する流体圧調整手段とを有する。そして、上記内燃機関では、前記カムシャフトを前記ロック位相から異なる回転位相へ相対回転させるための指令信号が少なくとも2つの前記流体圧調整手段に同時に出力された場合に、対応するバルブタイミング可変装置が互いに時間差をもって作動を開始する場合がある。
【0013】
従って、上記の共通構成を有する請求項1〜6に記載の発明によれば、各バルブタイミング可変装置においてロック機構がロックされた状態では、クランクシャフトに対するカムシャフトの回転位相がロック位相にロックされ、カムシャフトの相対回転が不能となる。このロック位相から異なる回転位相に変更するための指令信号が少なくとも2つの流体圧調整手段に出力されると、各流体圧調整手段では、指令信号により指令された制御量に基づき流体圧が調整される。この調整された流体圧に基づき各バルブタイミング可変装置が作動する。すなわち、ロック機構によるロックが解除されてカムシャフトの相対回転が可能となる。そして、前記流体圧に基づきクランクシャフトに対するカムシャフトの回転位相が変更される。
【0014】
このような共通構成及び作用を有する請求項1〜6に記載の発明のうち、特に請求項1に記載の発明では、前記流体圧又はそれに相当する機関情報に基づき流体圧が低いときには、先に作動を開始するバルブタイミング可変装置への指令信号における制御量を制限する制限手段を設けている。
【0015】
ここで、少なくとも2つのバルブタイミング可変装置が互いに時間差をもって作動を開始する場合、先に作動を開始するバルブタイミング可変装置への指令信号における制御量が多いと、そのバルブタイミング可変装置が急激に作動する(ロックの解除、及び回転位相の変更が急激に行われる)。この作動に伴い流体を多く消費することから流体圧が低下する。従って、流体圧の不足がちな状況下でこういった低下が生ずると、後に作動を開始するバルブタイミング可変装置では、ロックの解除及び回転位相の変更が困難となるおそれがある。
【0016】
この点、請求項1に記載の発明では、流体圧が低いときには、先に作動を開始するバルブタイミング可変装置への指令信号の制御量が制限手段によって制限される。この制限により、バルブタイミング可変装置の急激な作動が抑制され、作動のための流体の消費量が少なくなって、流体圧の低下が抑制される。後に作動を開始するバルブタイミング可変装置について、ロックの解除及び回転位相の変更に必要な流体圧が供給される。その結果、後に作動を開始するバルブタイミング可変装置についても、ロックの解除及び回転位相の変更を確実に行わせることが可能となる。このように、流体圧が不足がちな状況下であっても、全てのバルブタイミング可変装置についてロック機構によるロックを解除してカムシャフトの回転位相を確実に変更することが可能となる。
【0017】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記制限手段による制限は、後に作動を開始するバルブタイミング可変装置によるカムシャフトの回転位相が前記ロック位相又はその近傍の回転位相とは異なる回転位相に変更されるまで継続されるものであるとする。
【0018】
上記の構成によれば、後に作動を開始するバルブタイミング可変装置において、流体圧によりロックが解除されてカムシャフトの回転位相がロック位相又はその近傍の回転位相とは異なる回転位相に変化すると、制限手段による制限が終了される。
【0019】
ここで、後に作動を開始するバルブタイミング可変装置に対応するカムシャフトの回転位相が変化することは、ロック機構のロックが解除され、流体圧による回転位相の変更が可能になっていることを意味する。従って、前記のように制限手段による制御量の制限の終了後には、クランクシャフトに対するカムシャフトの回転位相を流体圧に基づき目標の回転位相に変更することができる。また、上記の条件成立に応じて制限が終了されることで、同制限が不要に行われるのを抑制し、この不要な制限による不具合、例えば先に作動を開始するバルブタイミング可変装置について、応答性の低下等を抑制することが可能となる。
【0020】
請求項3に記載の発明では、前記流体圧又はそれに相当する機関情報に基づき流体圧が低く、かつ、先に作動を開始するバルブタイミング可変装置への指令信号における制御量が所定値よりも多いときには、後に作動を開始するバルブタイミング可変装置の作動を待機させる待機手段を設けている。
【0021】
ここで、少なくとも2つのバルブタイミング可変装置が互いに時間差をもって作動を開始する場合、先に作動を開始するバルブタイミング可変装置への指令信号における制御量が多いと、そのバルブタイミング可変装置が急激に作動する(ロックの解除、及び回転位相の変更が急激に行われる)。この作動に伴い流体を多く消費することから流体圧が低下する。従って、流体圧の不足がちな状況下でこういった低下が生ずると、後に作動を開始するバルブタイミング可変装置では、ロックの解除及び回転位相の変更が困難となるおそれがある。
【0022】
この点、請求項3に記載の発明では、流体圧が低く、かつ先に作動を開始するバルブタイミング可変装置への指令信号における制御量が所定値よりも多いと、後に作動を開始するバルブタイミング可変装置の作動が待機手段によって待機される。すなわち、先に作動を開始するバルブタイミング可変装置での流体消費により流体圧が低下しているときには、後に作動を開始するバルブタイミング可変装置では、作動が一時的に止められ、ロックの解除及び回転位相の変更が行われなくなる。従って、流体圧を確保したうえで、後に作動を開始するバルブタイミング可変装置を作動させるようにすれば、流体圧の低下が原因で、後に作動を開始するバルブタイミング可変装置においてロックの解除及び回転位相の変更が行われなくなるのを回避することが可能となる。このように、流体圧が不足がちな状況下であっても、全てのバルブタイミング可変装置についてロック機構によるロックを解除してカムシャフトの回転位相を確実に変更することが可能となる。
【0023】
請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の発明において、前記待機手段による待機は、先に作動を開始するバルブタイミング可変装置への指令信号における制御量が第2所定値よりも少なくなるまで継続されるものであるとする。
【0024】
上記の構成によれば、後に作動を開始するバルブタイミング可変装置において、先に作動するバルブタイミング可変装置への指令信号における制御量が第2所定値よりも少なくなると、待機手段による待機が終了される。
【0025】
ここで、制御量が第2所定値よりも少なくなることは、先に作動を開始するバルブタイミング可変装置によって消費される流体の量が少なくなり、流体圧の低下が少なくなっていることを意味する。従って、後に作動を開始するバルブタイミング可変装置が作動を開始すると、十分な流体圧が供給されることとなり、ロックを解除してカムシャフトの回転位相を流体圧に基づき目標の回転位相に変更することが可能となる。また、上記の条件成立に応じて待機が終了されることで、同待機が不要に長く行われるのを抑制し、この不要な待機による不具合、例えば後に作動を開始するバルブタイミング可変装置について、応答性の低下等を抑制することが可能となる。
【0026】
請求項5に記載の発明では、前記流体圧又はそれに相当する機関情報に基づき流体圧が低く、かつ、前記指令信号の出力後に、先に作動を開始するバルブタイミング可変装置によるカムシャフトの回転位相が前記ロック位相又はその近傍の回転位相であるときには、後に作動を開始するバルブタイミング可変装置の作動を待機させる待機手段を設けている。
【0027】
ここで、少なくとも2つのバルブタイミング可変装置が互いに時間差をもって作動を開始する場合において、先に作動を開始するはずのバルブタイミング可変装置がその作動を開始していないとすると、その後の作動により多くの流体を消費し、流体圧が低下することが考えられる。従って、流体圧の不足がちな状況下でこういった低下が生ずると、後に作動を開始するバルブタイミング可変装置には作動に必要な流体圧が供給されず、ロックの解除及び回転位相の変更が困難となるおそれがある。
【0028】
この点、請求項5に記載の発明では、流体圧が低く、先に作動を開始するバルブタイミング可変装置によるカムシャフトの回転位相がロック位相又はその近傍の回転位相とは異なる回転位相に変化しない場合には、後に作動を開始するバルブタイミング可変装置の作動が待機される。すなわち、先に作動を開始するバルブタイミング可変装置での流体消費により流体圧が低下しているときには、後に作動を開始するバルブタイミング可変装置では、作動が一時的に止められて、ロックの解除及び回転位相の変更が行われない。従って、流体圧を確保したうえで、後に作動を開始するバルブタイミング可変装置を作動させるようにすれば、流体圧の低下が原因で、後に作動を開始するバルブタイミング可変装置においてロックの解除及び回転位相の変更が行われなくなるのを回避することが可能となる。このように、流体圧が不足がちな状況下であっても、全てのバルブタイミング可変装置についてロック機構によるロックを解除してカムシャフトの回転位相を確実に変更することが可能となる。
【0029】
請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の発明において、前記待機手段による待機は、前記指令信号の出力から所定時間が経過するまで継続されるものであるとする。
【0030】
上記の構成によれば、後に作動を開始するバルブタイミング可変装置において、指令信号の出力から所定時間が経過すると、待機手段による待機が終了される。
【0031】
ここで、所定時間を、例えば指令信号の出力から実回転位相が目標の回転位相になるまでの時間を考慮した値、例えば同時間と同程度の時間に設定する。こうすると、前記所定時間が経過したときには、先に作動を開始するバルブタイミング可変装置によって消費される流体の量が少なくなり、流体圧の低下が少なくなっている。このため、所定時間の経過を条件に、後に作動を開始するバルブタイミング可変装置に指令信号が出力されると十分な流体圧が供給されることとなる。ロックを解除してカムシャフトの回転位相を目標の回転位相に変更することが可能となる。また、上記の条件成立に応じて待機が終了されることで、同待機が不要に長く行われるのを抑制し、この不要な待機による不具合、例えば、後に作動を開始するバルブタイミング可変装置について、応答性の低下等を抑制することが可能となる。
【0032】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明を自動車に搭載された直列型のガソリンエンジン(以下、単にエンジンという)に具体化した第1実施形態について、図1〜図5を参照して説明する。
【0033】
図1に示すエンジン11は、列をなすように配列された複数の気筒12(図1では1つのみ図示)を有している。このエンジン11においては、吸気通路13を流れる空気と燃料噴射弁14から噴射される燃料との混合気が各気筒12の燃焼室15に充填される。この混合気に対し点火プラグ16による点火が行われると、混合気が燃焼してピストン17が往復動し、エンジン11の出力軸であるクランクシャフト18が回転駆動される。そして、各燃焼室15での燃焼により生じた排気は排気通路19等を通ってエンジン11の外部へ排出される。
【0034】
エンジン11の出力調整は、吸気通路13に設けられたスロットルバルブ21をアクチュエータ22等によって駆動して、そのスロットルバルブ21の開度(スロットル開度)を調節することによって実現される。すなわち、スロットル開度を調整すると、エンジン11の吸入空気量が変化し、その変化に対応して燃料噴射量が制御され、燃焼室15に充填される混合気の量が変化してエンジン11の出力が調整される。なお、スロットル開度の開度調節は、運転者によって操作されるアクセルペダル23の踏込み量(アクセル踏込み量)に応じてアクチュエータ22が駆動されることにより行われる。
【0035】
エンジン11には、機関バルブとして吸気バルブ24及び排気バルブ25が気筒12毎に設けられている。これらの吸・排気バルブ24,25は、クランクシャフト18の回転が伝達されて回転する吸気カムシャフト26及び排気カムシャフト27によって作動する。この作動により、各吸気バルブ24は燃焼室15と吸気通路13との連結部分を開閉し、各排気バルブ25は燃焼室15と排気通路19との連結部分を開閉する。
【0036】
エンジン11には、機関バルブの作動タイミング(バルブタイミング)を変更するためのバルブタイミング可変装置(VVT)が複数設けられている。本実施形態では、吸気バルブ24の作動タイミングをクランクシャフト18の角度(クランク角)に対して連続的に変更するための吸気側バルブタイミング可変装置28と、排気バルブ25の作動タイミングをクランク角に対して連続的に変更するための排気側バルブタイミング可変装置29とが設けられている。
【0037】
図1及び図2に示すように、各バルブタイミング可変装置28,29は互いに同様の構成を有しており、可変機構31i,31e、ロック機構61i,61e、及び流体圧調整手段としてのオイルコントロールバルブ(OCV)48i,48eを備えている。なお、数字の後に付された「i」は吸気側のものであることを示し、「e」は排気側のものであることを示している。
【0038】
可変機構31iは、クランクシャフト18に対する吸気カムシャフト26の回転位相を変化させることで、前述した吸気バルブ24の作動タイミングの変更を実現している。また、可変機構31eは、クランクシャフト18に対する排気カムシャフト27の回転位相を変化させることで、前述した排気バルブ25の作動タイミングの変更を実現している。
【0039】
次に、可変機構31i,31eについて説明する。図2及び図3に示すように、カムシャフト26,27は、シリンダヘッド32に回転可能に支持されている。なお、図3においては、スプロケット35の歯の部分についての図示が省略されている。カムシャフト26,27の端部には、内部ロータ33がボルト34によって一体回転可能に取付けられている。カムシャフト26,27の端部外周にはスプロケット35が相対回転可能に装着されており、このスプロケット35とクランクシャフト18側のスプロケットとにチェーン(図示略)が掛け渡されている。このようにして、カムシャフト26,27及びクランクシャフト18が、スプロケット35、チェーン等を介して駆動連結されている。スプロケット35には、側板36、ハウジング37及びカバー38がボルト39によって一体回転可能に取付けられている。ハウジング37は円環形状をなしており、その内周面の周方向に互いに離間した箇所には複数の突部41が形成されている。
【0040】
一方、内部ロータ33は、その中央部に位置する円筒状のボス42と、そのボス42の外周の互いに離間した箇所に設けられた複数のベーン43とを備えている。そして、ボス42の外周面が各突部41の先端に摺動可能に接触した状態で、各ベーン43が隣合う突部41,41間に位置し、ハウジング37の内周面に摺動可能に接触している。内部ロータ33は、流体の圧力をベーン43で受けることによりハウジング37に対し相対回転する。この相対回転により、クランクシャフト18に対するカムシャフト26,27の回転位相が変化する。内部ロータ33の回転位相は、図3に示すように少なくとも1つのベーン43がカムシャフト26,27の回転方向(図3では時計回り方向)についての後ろ側の突部41に接触したとき「最も遅い位相(最遅角位相)」になる。また、同回転位相は、少なくとも1つのベーン43が、カムシャフト26,27の回転方向についての前側の突部41に接触したとき「最も進んだ位相(最進角位相)」になる。
【0041】
内部ロータ33を相対回転させるための流体の圧力として、エンジン11の作動油の油圧が利用されている。詳しくは、ハウジング37内の隣合う突部41間の空間は、ベーン43によって2つの空間に区画されている。これらのうち、カムシャフト26,27の回転方向についてベーン43よりも前側の空間は遅角側圧力室44を構成し、後ろ側の空間は進角側圧力室45を構成している。
【0042】
上記可変機構31i,31eでは、両圧力室44,45内の油圧によって内部ロータ33がハウジング37に対して相対回転する。すなわち、進角側圧力室45内の油圧を遅角側圧力室44内の油圧に対して高くすると、内部ロータ33はハウジング37に対してカムシャフト26,27の回転方向に相対回転する。このとき、カムシャフト26,27の回転位相はクランクシャフト18の回転位相に対して進められる(進角される)。これとは逆に、遅角側圧力室44内の油圧を進角側圧力室45の油圧に対して高くすると、内部ロータ33はハウジング37に対してカムシャフト26,27の回転方向と逆方向に相対回転され、カムシャフト26,27の回転位相はクランクシャフト18の回転位相に対して遅らされる(遅角される)。そして、これらの回転位相の変更によって吸・排気バルブ24,25のバルブタイミングを可変としている。
【0043】
上記両圧力室44,45内に対する作動油の供給及び排出を行うために、シリンダヘッド32、カムシャフト26,27、内部ロータ33等には、遅角側圧力室44に繋がる遅角側通路46と、進角側圧力室45に繋がる進角側通路47とが形成されている。両通路46,47には、流体圧調整手段としてのオイルコントロールバルブ(OCV)48i,48eを介して供給通路49及び2つの排出通路51,52が接続されている。OCV48i,48eは電磁駆動式の流量制御弁であり、後述するECU81によって制御される。供給通路49は機械式のオイルポンプPを介してオイルパン53に繋がり、両排出通路51,52は直接オイルパン53に繋がっている。オイルポンプPはクランクシャフト18に駆動連結されており、エンジン11の運転に伴って作動して、オイルパン53から作動油を吸引及び吐出する。
【0044】
OCV48i,48eは、複数のポートが形成されたケーシング54を備えている。ポートには、遅角側通路46、進角側通路47、供給通路49及び両排出通路51,52が接続されている。ケーシング54の内部には、複数の弁部55を備え、かつばね56によって弾性付勢されたスプール57が往復動可能に収容されている。OCV48i,48eでは、ECU81により電磁ソレノイド58への通電時間がデューティ制御される。この制御に応じてスプール57の軸方向における位置が変更され、弁部55によって各ポートが開閉される。
【0045】
例えば、吸気側のOCV48iにあっては、デューティ比が0%の場合には、ばね56が伸張してスプール57が一端側(図2の左側)に配置される。遅角側通路46と供給通路49とが接続され、オイルパン53内の作動油59が供給通路49、遅角側通路46等を通って遅角側圧力室44に供給される。また、進角側通路47と一方(図2の右方)の排出通路51とが接続され、進角側圧力室45内の作動油59が進角側通路47、排出通路51等を通ってオイルパン53に戻される。その結果、ハウジング37に対し内部ロータ33がカムシャフト26,27の回転方向とは反対方向(遅角方向)へ相対回転する。この相対回転は、図3に示すように、ベーン43がカムシャフト26,27の回転方向についての後側の突部41に接触したところで止まる。
【0046】
また、デューティ比が100%の場合には、スプール57がばね56を圧縮させて他端側(図2の右側)に配置される。進角側通路47と供給通路49とが接続され、オイルパン53内の作動油59が供給通路49、進角側通路47等を通って進角側圧力室45に供給される。また、遅角側通路46と他方(図2の左方)の排出通路52とが接続され、遅角側圧力室44内の作動油59が遅角側通路46、排出通路52等を通ってオイルパン53に戻される。その結果、ハウジング37に対し内部ロータ33がカムシャフト26,27の回転方向(進角方向)へ相対回転する。この相対回転は、ベーン43がカムシャフト26,27の回転方向についての前側の突部41に接触することで止まる。
【0047】
なお、排気側のOCV48eについても吸気側のOCV48iと同様にデューティ制御される。ただし、デューティ比と、接続される通路との対応関係が、前述した吸気側のOCV48iの場合と逆になる。すなわち、デューティ比が0%の場合には、進角側通路47と供給通路49とが接続され、遅角側通路46と排出通路52とが接続される。また、デューティ比が100%の場合には、遅角側通路46と供給通路49とが接続され、進角側通路47と排出通路51とが接続される。
【0048】
従って、いずれのOCV48e,48iについても、デューティ比を0〜100%の間で任意に変更することにより、遅角側圧力室44及び進角側圧力室45への作動油59の供給・排出を行い、各圧力室44,45内の油圧を調整することができる。この調整により、内部ロータ33の回転位相を最遅角位相から最進角位相までの範囲で任意に変更することができる。
【0049】
また、バルブタイミング可変装置28,29には、内部ロータ33をハウジング37に相対回転不能に連結して、スプロケット35、ハウジング37等に対する内部ロータ33の相対回転をロックするロック機構61i,61eが設けられている。このロック機構61i,61eは、所定の状態のもと、内部ロータ33の相対回転を制限して、バルブタイミングの不用意な変更を防止するために設けられている。所定の状態とは、エンジン11の低回転運転時等に、オイルポンプPから供給される油圧が不足して、各圧力室44,45内の油圧だけではカムシャフト26,27の回転位相を適切に保持できない状態である。
【0050】
特に、吸気側バルブタイミング可変装置28では、最遅角位相をロック位相とし、このロック位相で内部ロータ33の相対回転を規制するようにロック機構61iが設けられている。これに対し、排気側バルブタイミング可変装置29では、最進角位相をロック位相とし、このロック位相で内部ロータ33の相対回転を規制するようにロック機構61eが設けられている。次に、これらのロック機構61i,61eについて説明する。
【0051】
内部ロータ33のベーン43の1つには、カムシャフト26,27に平行に段差付き貫通孔62が形成されており、フランジ付きロックピン63がこの貫通孔62内に往復摺動可能に収容されている。ロックピン63はばね64によって常にスプロケット35側へ弾性付勢されている。一方、側板36において貫通孔62に対応する箇所には係止孔65が形成されており、内部ロータ33の相対回転に伴い貫通孔62が係止孔65に合致したとき、ばね64によって弾性付勢されたロックピン63の先端が係止孔65に挿入される。この挿入により、側板36に対する内部ロータ33の相対回転が規制される。これに伴いハウジング37に対する内部ロータ33の相対回転が規制され、相対回動位置関係を維持した状態で吸気カムシャフト26とスプロケット35とが一体に回転する。なお、貫通孔62に対応する箇所とは、カムシャフト26,27の回転位相がロック位相(最遅角位相又は最進角位相)となったときに貫通孔62に合致する箇所である。
【0052】
ロックピン63を係止孔65から抜き出してロックを解除するために、貫通孔62を有するベーン43には油路66が設けられている。この油路66は進角側圧力室45及び係止孔65に連通しており、進角側圧力室45に供給された油圧が係止孔65にも導入される。また、ロックピン63のフランジ部分と貫通孔62の段差部分との間には環状油空間67が形成されている。この環状油空間67は、油路68を介して遅角側圧力室44と連通しており、同遅角側圧力室44に供給された油圧が環状油空間67にも導入される。そして、両油圧がばね64の付勢力に打ち勝つと、ロックピン63が係止孔65から外れ、ロックピン63の係止が解除される。この解除に伴い、ハウジング37及び内部ロータ33間の相対回転が許容され、進角側圧力室45及び遅角側圧力室44に供給される油圧に基づいて、ハウジング37に対する内部ロータ33の回転位相の調整が可能となる。
【0053】
ところで、エンジン11等には、その運転状態を検出するための各種センサが設けられている。例えば、図1及び図2に示すようにクランクシャフト18の近傍には、そのクランクシャフト18が一定角度回転する毎にパルス状の信号を発生するクランク角センサ71が設けられている。クランク角センサ71の信号は、クランクシャフト18の回転角度であるクランク角や、単位時間当たりのクランクシャフト18の回転速度であるエンジン回転速度Neの算出等に用いられる。また、吸気カムシャフト26の近傍には、その回転角度を検出する吸気側カム角センサ72が設けられ、排気カムシャフト27の近傍にはその回転角度を検出する排気側カム角センサ73が設けられている。
【0054】
吸気通路13内のスロットルバルブ21よりも下流には、吸入空気の圧力(吸気圧)を検出するための吸気圧センサ74が設けられている。アクセルペダル23の近傍には、運転者による同アクセルペダル23の踏込み量を検出するアクセルセンサ75が取付けられている。スロットルバルブ21の近傍には、スロットル開度を検出するスロットルセンサ76が配置されている。エンジン11を冷却するための冷却水の流通路の途中には、その冷却水の温度である冷却水温Thwを検出する水温センサ77が設けられている。作動油59の流通路の途中、例えば供給通路49には、作動油59の圧力である油圧Poを検出する油圧センサ78と、作動油59の温度である油温Thoを検出する油温センサ79とが設けられている。そのほかにも多くのセンサがエンジン11等に取付けられているが、ここでは図示及び説明を省略する。
【0055】
前述した各種センサ71〜79の検出値に基づき、エンジン11等の各部を制御するために、マイクロコンピュータを中心として構成された電子制御装置(Electronic Control Unit :ECU)81が設けられている。ECU81では、中央処理装置(CPU)が、読出し専用メモリ(ROM)に記憶されている制御プログラムや初期データに従って演算処理を行い、その演算結果に基づいて各種制御を実行する。CPUによる演算結果は、ランダムアクセスメモリ(RAM)において一時的に記憶される。
【0056】
ECU81による制御の1つとして吸・排気バルブ24,25のバルブタイミングの制御がある。吸気バルブ24のバルブタイミングは、吸気カムシャフト26の実変位角、及び吸気バルブ24のバルブタイミングの目標変位角に基づき、吸気側バルブタイミング可変装置28を駆動することによって制御される。吸気カムシャフト26の実変位角は、吸気側カム角センサ72によるカム角、及びクランク角センサ71によるクランク角に基づき求められる。目標変位角は、例えばエンジン回転速度Ne、エンジン負荷等といったエンジン運転状態に応じて算出される。エンジン負荷は、例えばエンジン11の吸入空気量に関係するパラメータ(例えばスロットル開度、アクセル開度、吸気圧等)に基づき算出される。
【0057】
また、排気バルブ25のバルブタイミングは、排気カムシャフト27の実変位角、及び排気バルブ25のバルブタイミングの目標変位角に基づき、排気側バルブタイミング可変装置29を駆動することによって制御される。排気カムシャフト27の実変位角は、排気側カム角センサ73によるカム角、及びクランク角センサ71によるクランク角に基づき求められる。目標変位角は、例えば吸気バルブ24のバルブタイミングについての実変位角、バルブオーバラップ量の要求値等に応じて算出される。
【0058】
なお、前記変位角とは、スプロケット35(クランクシャフト18)に対するカムシャフト26,27の相対回転量を表す値であって、その変化角度はクランク角(°CA)に換算される。従って、実変位角は実回転位相に相当し、目標変位角は目標回転位相にする。なお、本実施形態では、吸気カムシャフト26の変位角については、吸気バルブ24のバルブタイミングが最大限遅角された状態のときの変位角を0°CAとしている。従って、吸気カムシャフト26の実変位角は吸気バルブ24のバルブタイミングがその最遅角タイミングからどれだけ進角されているかを表す値となる。一方、排気カムシャフト27の変位角については、排気バルブ25のバルブタイミングが最大限進角された状態のときの変位角を0°CAとしている。従って、排気カムシャフト27の実変位角は排気バルブ25のバルブタイミングがその最進角タイミングからどれだけ遅角されているかを表す値となる。
【0059】
そして、上記目標変位角(目標回転位相)、実変位角(実回転位相)等に基づき吸気バルブ24及び排気バルブ25のバルブタイミングを制御することで、それらバルブタイミングがエンジン運転状態に適したものとされる。
【0060】
各可変機構31i,31eの駆動は、各OCV48i,48eに対する通電時間をデューティ制御して両圧力室44,45の油圧を調整することによって実現される。具体的には、各目標変位角と実変位角との偏差に応じた制御デューティ(デューティ比)にて各OCV48i,48eに対する通電を制御する。例えば、吸気側のOCV48iは次のように制御される。
【0061】
上記実変位角が目標変位角と一致する場合、ECU81は、OCV48iに対するデューティ比を「保持デューティ比(例えば「50%」)」に設定する。このとき、OCV48iにより、進角側通路47及び遅角側通路46の双方が供給通路49に接続される。上記両圧力室44,45の油圧が等しくなり内部ロータ33の相対回転が停止されるため、クランクシャフト18に対する吸気カムシャフト26の回転位相が保持される。
【0062】
一方、上記実変位角が目標変位角よりも遅角側にある場合、ECU81は、上限を「100%」とし、下限を「保持デューティ比」として、上記偏差が大きいほどデューティ比を「100%」に近い値に設定する。この設定により、OCV48iでは進角側通路47が供給通路49に接続される一方で、遅角側通路46が排出通路52に接続される。すなわち、進角側圧力室45に作動油59が供給され、遅角側圧力室44からは作動油59が排出され、遅角側圧力室44の油圧に比較して進角側圧力室45の油圧が高められる。その結果、内部ロータ33がスプロケット35に対して相対回転し、クランクシャフト18に対する吸気カムシャフト26の回転位相が進角される。また、上記デューティ比が「100%」に近い値であるほど、進角側圧力室45に供給される作動油59の量及び遅角側圧力室44から排出される作動油59の量が多くなるように設定されている。従って、上記実変位角と目標変位角との偏差が大きいほど、両圧力室44,45内の油圧差が増大し、吸気カムシャフト26の回転位相がより速やかに進角される。
【0063】
一方、上記実変位角が目標変位角よりも進角側にある場合、ECU81は、上限を「保持デューティ比」とし、下限を「0%」として、上記偏差が大きいほどデューティ比を「0%」に近い値に設定する。この設定により、OCV48iでは、遅角側通路46が供給通路49に接続されるとともに進角側通路47が排出通路51に接続される。この接続により、遅角側圧力室44に作動油59が供給される一方で、進角側圧力室45から作動油59が排出され、進角側圧力室45の油圧に比較して遅角側圧力室44の油圧が高められる。その結果、吸気カムシャフト26の回転位相が遅角される。また、上記デューティ比が「0%」に近い値であるほど、遅角側圧力室44に供給される作動油59の量及び進角側圧力室45から排出される作動油59の量が多くなるように設定されている。従って、上記実変位角と目標変位角との偏差が大きいほど、両圧力室44,45内の油圧差が増大し、吸気カムシャフト26の回転位相がより速やかに遅角される。こうしたOCV48iの制御を通じて、バルブタイミングを目標変位角に近づけ、一致させるようなフィードバック制御が行われる。
【0064】
なお、排気側のOCV48eも前記と同様に制御される。ただし、遅角と進角との関係が前記吸気側のOCV48iの場合とは逆になる。
ところで、上述したようにエンジン11に2つのバルブタイミング可変装置28,29が設けられた本実施形態では、特定の条件下で次に示す現象が生ずるおそれがある。特定の条件下とは、吸・排気各カムシャフト26,27の回転位相がロック位相に保持されていて油圧が不足がちであるときに、ロック位相とは異なる回転位相に変更するための指令信号が、両OCV48i,48eに同時に出力される場合である。この場合に、両バルブタイミング可変装置28,29が同時に作動を開始しないと、先に作動を開始したバルブタイミング可変装置28,29でのロックの解除及び回転位相の変更のために多くの量の作動油59が消費される。この消費により油圧が低下し、後に作動を開始するバルブタイミング可変装置29,28でのロックを解除できず、内部ロータ33を相対回転させて吸・排気カムシャフト26,27の回転位相(実変位角)を目標回転位相(目標変位角)に変更することが困難になる。
【0065】
そこで本実施形態では、こういった状況が起りそうな場合には、先に作動を開始するバルブタイミング可変装置28(29)への指令信号における制御量(デューティ比)を制限するようにしている。次に、その詳細について図4及び図5を用いて説明する。
【0066】
図4のフローチャートは、ECU81によって実行される制御のうち、上記特定条件下でバルブタイミングを制御するためのルーチンを示しており、所定のタイミングで実行される。また、図5のタイミングチャートは、吸・排気両バルブタイミング可変装置28,29に出力される指令信号の変化を示している。
【0067】
なお、ここでは、指令信号が同時に出力された場合に、その指令信号に応まず吸気側バルブタイミング可変装置28が作動を開始し、続けて排気側バルブタイミング可変装置29が作動を開始する場合について説明する。作動とは、ロック機構61i,61eのロックが解除され、ハウジング37に対し内部ロータ33が相対回転することである。
【0068】
ECU81は、まずステップ100において、吸・排気両カム角センサ72,73、クランク角センサ71の各信号に基づき、クランクシャフト18に対する吸・排気カムシャフト26,27の各実回転位相がともにロック位相であるかどうかを判定する。
【0069】
この判定条件が満たされていないとバルブタイミング制御ルーチンを一旦終了し、満たされていると、ステップ110,120において、エンジン11の運転状態が油圧の不足がちな状況にあるかどうかを判定する。ここで、一般に油温が高くなるに従い作動油59の粘度が低下し、同作動油59の漏れ量が多くなって油圧が低下する。冷却水温についても同様である。また、エンジン11の回転により駆動される機械式のオイルポンプPの吐出圧は、一般にエンジン回転速度Neに略比例する。そのため、エンジン回転速度Neが低いときには吐出圧(油圧)が低い。これらの観点から、冷却水温Thwが高くかつエンジン回転速度Neが低いときは、油圧の不足がちな状況であるといえる。
【0070】
この状況の有無を判定するために、ステップ110では、水温センサ77による冷却水温Thwが所定値Thw1よりも高いかどうかを判定する。また、ステップ120では、エンジン回転速度Neが所定値Ne1よりも低いかどうかを判定する。本実施形態では、所定値Thw1が90℃に設定され、所定値Ne1が1000rpm(回転/分)に設定されているが、これは一例にすぎず、適宜に変更可能である。
【0071】
そして、ステップ110,120の各判定条件がともに満たされている場合には、油圧の不足がちな状況であるとして次のステップ130へ移行する。また、ステップ110,120の判定条件のいずれか一方でも満たされていないと、油圧が不足していないと考えられることから、バルブタイミング制御ルーチンを一旦終了する。
【0072】
ステップ130では、クランクシャフト18に対する吸・排気カムシャフト26,27の回転位相を、ロック位相とは異なる回転位相に変更するための指令信号が両バルブタイミング可変装置28,29に出力されたかどうかを判定する。この判定条件が満たされていない場合には、油圧低下に伴う排気側バルブタイミング可変装置29の作動不良のおそれがないことからバルブタイミング制御ルーチンを一旦終了し、満たされている場合(図5のタイミングt1参照)には、ステップ140へ移行する。ステップ140では、後にバルブタイミング可変装置29が作動を開始する側のカムシャフトである排気カムシャフト27の実回転位相がロック位相(=0°)であるかどうかを判定する。これに代えて、前記実回転位相がロック位相を含む回転位相についての所定範囲内に属しているかどうか、すなわち実回転位相がロック位相近傍の回転位相であるかどうか、を判定してもよい。この判定条件が満たされている場合には、後に作動を開始するバルブタイミング可変装置29では、未だロックが解除されず、排気カムシャフト27の回転位相が未だロック位相に留まっていることになる。
【0073】
ここで、ロック位相にロックされている吸気カムシャフト26をロック位相とは異なる回転位相にすることは、その吸気カムシャフト26の回転位相を進角させることとなる。この際には、実変位角と目標変位角との偏差が大きいことから、本来ならば図5の上段において二点鎖線で示すように、デューティ比が「100%」に近い値に設定される。しかし、このような大きなデューティ比にてOCV48iがデューティ制御されると、吸気側バルブタイミング可変装置28ではロックの解除及び回転位相の変更が急激に行われる。これらの作動に伴い作動油59を多く消費することから油圧が低下して不足し、後に作動を開始する排気側バルブタイミング可変装置29では、ロックの解除及び回転位相の変更が困難となるおそれがある。
【0074】
そこで、前記ステップ140の判定条件が満たされている場合には、ステップ150において、吸気側バルブタイミング可変装置28のOCV48iに対するデューティ比をガード処理する。具体的には、同デューティ比について上限ガード値を設定する。ここで、例えば保持デューティ比に所定値α(例えば5%)を加えた値を上限ガードとすることができるが、これは一例にすぎず、適宜に変更可能である。そして、指令信号により指令されるデューティ比と上限ガード値とを比較する。デューティ比が上限ガード値よりも大きい場合には、その上限ガード値をデューティ比として設定した指令信号をOCV48iに出力する。一方、デューティ比が上限ガード値以下である場合には、そのデューティ比をデューティ比とした指令信号をOCV48iに出力する。このステップ150の処理が行われることで、吸気側バルブタイミング可変装置28において、ロックの解除及び回転位相の変更が急激に行われることが抑制され、作動油59の消費及び油圧の低下が抑えられる。なお、ステップ140の判定条件が満たされていない場合には、排気側バルブタイミング可変装置29のロックが解除されて回転位相が変更され始めていることから、バルブタイミング制御ルーチンを一旦終了する。
【0075】
次に、ステップ160において、前述したガード処理を終了する条件が成立しているかどうかを判定する。この終了条件としては、例えば、後に作動を開始する排気側バルブタイミング可変装置29により排気カムシャフト27の回転位相がロック位相とは異なる回転位相に変化していることである。この判定条件が満たされていない場合(依然としてロック位相である場合)には、前述したステップ150に戻る。従って、終了条件が満たされるまではデューティ比のガード処理が継続される。これに対し、ステップ160の判定条件が満たされている場合(図5のタイミングt2参照)には、ステップ170においてガード処理を終了する。この場合には、図5の上段において実線で示すように、吸気側バルブタイミング可変装置28について、カムシャフト26,27の実回転位相を目標回転位相にするためのデューティ比にてOCV48iがデューティ制御されることとなる。そして、ステップ170の処理を経た後に、バルブタイミング制御ルーチンの一連の処理を終了する。
【0076】
前述したバルブタイミング制御ルーチンにおいては、ステップ150の処理が制限手段に該当する。また、冷却水温Thw及びエンジン回転速度Neが流体圧に相当する機関情報に該当する。
【0077】
以上詳述した第1実施形態によれば、次の効果が得られる。
(1)油圧の不足がちな状況下で、先に作動を開始する吸気側バルブタイミング可変装置28への指令信号における制御量(デューティ比)が多いと、そのバルブタイミング可変装置28において、ロックの解除及び回転位相の変更が急激に行われる。この作動に伴い作動油59を多く消費することから油圧がさらに低下し、後に作動を開始する排気側バルブタイミング可変装置29に対し、ロックの解除及び回転位相の変更に必要な油圧が供給されなくなるおそれがある。
【0078】
この点、第1実施形態では、吸気側バルブタイミング可変装置28への指令信号におけるデューティ比を、ガード処理により制限するようにしている。この制限により、吸気側バルブタイミング可変装置28の急激な作動が抑制され、作動のための作動油59の消費量が少なくなって、油圧の低下が抑制される。排気側バルブタイミング可変装置29に対し、ロックの解除及び回転位相の変更に必要な油圧が供給される。その結果、排気側バルブタイミング可変装置29についても、ロックの解除及び回転位相の変更を確実に行わせることができる。このように、油圧が不足がちな状況下であっても、全てのバルブタイミング可変装置28,29についてロック機構61i,61eによるロックを解除して、吸・排気両カムシャフト26,27の回転位相を確実に変更することができる。
【0079】
(2)上記(1)におけるデューティ比の制限を、後に作動を開始する排気側バルブタイミング可変装置29において、油圧によりロックが解除されて排気カムシャフト27の回転位相がロック位相とは異なる回転位相に変化するまで継続するようにしている。表現を変えると、回転位相がロック位相とは異なる回転位相に変更されると制限を終了するようにしている。
【0080】
ここで、排気側バルブタイミング可変装置29において、油圧により排気カムシャフト27の回転位相がロック位相とは異なる回転位相に変化することは、ロック機構61eのロックが解除され、油圧による回転位相の変更が可能になっていることを意味する。従って、前記のようにデューティ比の制限を終了した後にも、クランクシャフト18に対するカムシャフト26,27の回転位相を油圧に基づき目標回転位相に変更することができる。また、デューティ比の制限が不要に行われるのを抑制し、この過剰な制限による不具合、例えば吸気側バルブタイミング可変装置28について応答性の低下等を抑制することができる。
【0081】
(3)ロックピン63は、遅角側圧力室44内の油圧と進角側圧力室45内の油圧との和により係止孔65から抜き出される。これに対し、ベーン43は両圧力室44,45内の油圧の差により回動する。
【0082】
この点、第1実施形態では、上限ガード値を、デューティ比が採り得る範囲の中間の値に設定している。そのため、ロックピン63に対し抜き方向に作用する油圧が大きくなってロックピン63が抜けやすくなる一方、ベーン43の動きが緩やかになる。従って、ロックピン63がベーン43に引っ掛かって抜けなくなる不具合が発生するのを効果的に抑制することができる。
【0083】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態について説明する。第2実施形態は、先に作動を開始するバルブタイミング可変装置28,29への指令信号におけるデューティ比が第1所定値DT1よりも大きいとき、後に作動を開始するバルブタイミング可変装置29,28の作動を待機させるようにしている点で第1実施形態と異なる。次に、その詳細について、図6及び図7を参照して説明する。なお、第2実施形態においても第1実施形態と同様に、同時出力の指令信号に応じてまず吸気側バルブタイミング可変装置28が作動を開始し、続けて排気側バルブタイミング可変装置29が作動を開始する場合を例に採って説明する。
【0084】
図7のフローチャートは、前述した図4に対応するものであり、特定条件下でバルブタイミングを制御するためのルーチンを示している。ECU81は、まずステップ200において、クランクシャフト18に対する吸・排気カムシャフト26,27の各回転位相がともにロック位相であるかどうかを判定する。
【0085】
この判定条件が満たされていると、ステップ210において、エンジン11の運転状態が油圧の不足がちな状況であるかどうかを判定する。ここでは、前記第1実施形態での冷却水温Thw及びエンジン回転速度Neに代えて油圧センサ78による油圧Poを用いている。具体的には、油圧Poが所定値Po1よりも低いかどうかを判定する。所定値Po1としては、例えば100kPaを設定することができるが、これは一例にすぎず、適宜に変更可能である。そして、ステップ210の判定条件が満たされていると、油圧の不足がちな状況であるとして次のステップ220へ移行する。なお、前述したステップ200,210の判定条件のいずれか一方でも満たされていない場合には、前述した不具合の起る状況(ロックの解除及び回転位相の変更が困難な状況)ではないと考えられることから、バルブタイミング制御ルーチンを一旦終了する。
【0086】
ステップ220では、クランクシャフト18に対する吸・排気カムシャフト26,27の回転位相を、ロック位相とは異なる回転位相に変更するための指令信号が両バルブタイミング可変装置28,29に出力されたかどうかを判定する。この判定条件が満たされていない場合には、油圧低下に伴う排気側バルブタイミング可変装置29の作動不良のおそれがないことからバルブタイミング制御ルーチンを一旦終了し、満たされている場合(図6のタイミングt11参照)には、ステップ230へ移行する。ステップ230では、吸気側バルブタイミング可変装置28への指令信号におけるデューティ比が第1所定値DT1よりも大きいかどうかを判定する。第1所定値DT1は、指令信号におけるデューティ比が、ロックの解除及び回転位相の変更を急激に行わせるものかどうかを判定するためのものである。この第1所定値DT1としては、例えば60%程度の値を設定することができるが、これは一例にすぎず、適宜に変更可能である。
【0087】
前記ステップ230の判定条件が満たされていないと、ロックの解除及び回転位相の変更が急激行われず、前述した不具合の起る状況ではないと考えられることから、バルブタイミング制御ルーチンを一旦終了する。これに対し、ステップ230の判定条件が満たされている(図6のタイミングt11参照)と、ステップ240において、後にバルブタイミング可変装置が作動を開始する側のカムシャフトである排気カムシャフト27の実回転位相がロック位相(=0°)であるかどうかを判定する。これに代えて、前記実回転位相がロック位相を含む回転位相についての所定範囲内に属しているかどうか、すなわち実回転位相がロック位相近傍の回転位相であるかどうか、を判定してもよい。
【0088】
この判定条件が満たされている場合には、先に作動を開始する吸気側バルブタイミング可変装置28では、前記指令信号に応じて急激にロックが解除され、吸気カムシャフト26の回転位相がロック位相とは異なる回転位相に急激に変化するものと考えられる。これらのロックの解除及び回転位相の変更に多くの作動油59が消費され、油圧がさらに低下する。この状況下で前記指令信号に応じてOCV48eもまたデューティ制御されて、後に作動を開始する排気側バルブタイミング可変装置29でも作動油59が消費されると、同可変装置29においてロックが解除されず、回転位相の変更が困難になるおそれがある。そのほかにも、先に作動を開始する吸気側バルブタイミング可変装置28でもロックがスムーズに(確実に)行われなくなるおそれがある。
【0089】
そこで、前記ステップ240の判定条件が満たされている場合には、ステップ250において、後に作動を開始する排気側バルブタイミング可変装置29への指令信号におけるデューティ比を一時的に零(「0」)にする。このデューティ比の変更により、先に作動を開始する吸気側バルブタイミング可変装置28での作動油59の消費により油圧が大きく低下しているときには、後に作動を開始する排気側バルブタイミング可変装置29では、ロックの解除及び回転位相の変更が待機される。一方、ステップ240の判定条件が満たされていない場合には、既に排気側バルブタイミング可変装置29においてロックが解除されて回転位相が変化していることから、バルブタイミング制御ルーチンを一旦終了する。
【0090】
次に、ステップ260において、デューティ比を「0」とした指令信号の出力を終了させる条件(終了条件)が満たされているかどうかを判定する。この終了条件としては、例えば、同OCV48iへのデューティ比が第2所定値DT2よりも小さくなっていることが挙げられる。この第2所定値DT2は、ロックが解除されて実回転位相が目標回転位相に近づき、吸気側バルブタイミング可変装置28の急激な作動が収束しているかどうかを判定するためのものである。この第2所定値DT2としては、例えば前述した第1所定値DT1よりも小さな値を設定することができるが、これに限られず適宜に変更可能である。
【0091】
ステップ260の判定条件が満たされていないと、前述したステップ250へ戻る。従って、終了条件が満たされるまで、デューティ比を「0」とした指令信号の出力が継続されることになる。これに対し、ステップ260の判定条件が満たされている(図6のタイミングt12参照)と、ステップ270において、後に作動を開始する排気側バルブタイミング可変装置29に対し、本来のデューティ比によるデューティ制御を再開する。この場合には、排気側バルブタイミング可変装置29について、排気カムシャフト27の実回転位相を目標回転位相にするためのデューティ比にてOCV48eがデューティ制御されることとなる。そして、ステップ270の処理を経た後に、バルブタイミング制御ルーチンの一連の処理を終了する。
【0092】
前述したバルブタイミング制御ルーチンにおいては、ステップ250の処理が待機手段に該当する。
以上詳述した第2実施形態によれば次の効果が得られる。
【0093】
(4)油圧の不足がちな状況下で、先に作動を開始する吸気側バルブタイミング可変装置28への指令信号における制御量(デューティ比)が多いと、その吸気側バルブタイミング可変装置28においてロックの解除及び回転位相の変更が急激に行われる。この作動に伴い作動油59が多く消費されることから油圧がさらに低下し、後に作動を開始する排気側バルブタイミング可変装置29に対し、ロックの解除及び回転位相の変更に必要な油圧が供給されなくなるおそれがある。
【0094】
この点、第2実施形態では、先に作動を開始する吸気側バルブタイミング可変装置28への指令信号における制御量(デューティ比)が第1所定値DT1よりも多いと、後に作動を開始する排気側バルブタイミング可変装置29の作動を待機させるようにしている。すなわち、指令信号におけるデューティ比を零にしている。従って、油圧の低下が原因で、後に作動を開始する排気側バルブタイミング可変装置29においてロックの解除及び回転位相の変更が行われなくなるのを回避することができる。このように、油圧が不足がちな状況下であっても、全てのバルブタイミング可変装置28,29についてロック機構61i,61eによるロックを解除して、吸・排気両カムシャフト26,27の回転位相を確実に変更することができる。
【0095】
(5)上記(4)における作動の待機を、先に作動を開始する吸気側バルブタイミング可変装置28への指令信号における制御量(デューティ比)が第2所定値DT2よりも少なくなるまで継続するようにしている。表現を変えると、デューティ比が第2所定値DT2よりも小さくなると、本来のデューティ比によるデューティ制御を再開するようにしている。
【0096】
ここで、デューティ比が第2所定値DT2よりも小さくなることは、先に作動を開始する吸気側バルブタイミング可変装置28において回転位相が目標回転位相に収束している。この収束により作動油59の消費量が少なくなり、油圧の低下が少なくなっていることを意味する。従って、後に作動を開始する排気側バルブタイミング可変装置29が本来のデューティ比にてデューティ制御されると、作動に必要な油圧が供給されることとなり、ロックを解除してクランクシャフト18に対する排気カムシャフト27の回転位相を目標回転位相に変更することができる。また、デューティ比が不要に長く零にされ続けることによる不具合、例えば排気側バルブタイミング可変装置29について応答性の低下等を抑制することができる。
【0097】
(第3実施形態)
次に、本発明を具体化した第3実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。第3実施形態では、指令信号の出力後に、先に作動を開始するバルブタイミング可変装置28,29によるカムシャフト26,27の回転位相がロック位相であるとき、後に作動を開始するバルブタイミング可変装置29,28の作動を所定時間Tにわたり待機させるようにしている。次に、その詳細について図8を参照して説明する。なお、第3実施形態においても第1実施形態と同様に、同時出力の指令信号に応じてまず吸気側バルブタイミング可変装置28が作動を開始し、続けて排気側バルブタイミング可変装置29が作動を開始する場合を例に採って説明する。
【0098】
図8のフローチャートは、前述した図4に対応するものであり、特定条件下でバルブタイミングを制御するためのルーチンを示している。ECU81は、まずステップ300において、クランクシャフト18に対する吸・排気カムシャフト26,27の各回転位相がともにロック位相であるかどうかを判定する。
【0099】
この判定条件が満たされていないとバルブタイミング制御ルーチンを一旦終了し、満たされていると、ステップ310,320において、エンジン11の運転状態が油圧の不足がちな状況にあるかどうかを判定する。ここでは、油温Tho及びエンジン回転速度Neを判定に用いている。具体的には、ステップ310では、油温センサ79による油温Thoが所定値Tho1よりも高いかどうかを判定する。また、ステップ320では、エンジン回転速度Neが所定値Ne1よりも低いかどうかを判定する。これらのステップ310,320の各判定条件のいずれか一方でも満たされていないと、油圧が不足しておらず、前述した不具合の発生の可能性が低いことから、バルブタイミング制御ルーチンを一旦終了する。これに対し、両判定条件が満たされている場合には、油圧の不足がちな状況であるとして次のステップ330へ移行する。
【0100】
ステップ330では、クランクシャフト18に対する吸・排気カムシャフト26,27の回転位相を、ロック位相とは異なる回転位相に変更するための指令信号が両バルブタイミング可変装置28,29に出力されたかどうかを判定する。この判定条件が満たされていないとバルブタイミング制御ルーチンを一旦終了し、満たされているとステップ340へ移行し、先にバルブタイミング可変装置が作動を開始する側のカムシャフトである吸気カムシャフト26の実回転位相がロック位相(=0°)であるかどうかを判定する。これに代えて、前記実回転位相がロック位相を含む回転位相についての所定範囲内に属しているかどうか、すなわち実回転位相がロック位相近傍の回転位相であるかどうか、を判定してもよい。この判定条件が満たされていない場合には、バルブタイミング制御ルーチンを一旦終了する。同判定条件が満たされている場合には、先に作動を開始する吸気側バルブタイミング可変装置28では、この直後から前記指令信号に応じて急激にロックが解除され、吸気カムシャフト26の回転位相がロック位相とは異なる回転位相に変更されるものと考えられる。これらのロックの解除及び回転位相の変更に多くの作動油59が消費され、油圧がさらに低下するであろうと予測される。そのため、後に作動を開始する排気側バルブタイミング可変装置29に対し、作動に必要な油圧が供給されないと考えられる。
【0101】
この状況下で前記指令信号に応じ、OCV48iに加えてOCV48eもデューティ制御されて、後に作動を開始する排気側バルブタイミング可変装置29でも作動油59が消費されると、同可変装置29においてロックが解除されず、回転位相の変更が困難になるおそれがある。そのほかにも、排気側バルブタイミング可変装置29の作動のために作動油59が消費されることから、先に作動を開始する吸気側バルブタイミング可変装置28でもロックがスムーズに(確実に)行われなくなるおそれがある。
【0102】
そこで、前記ステップ340の判定条件が満たされている場合には、ステップ350において、後に作動を開始する排気側バルブタイミング可変装置29に対する指令信号におけるデューティ比を一時的に零にする。このデューティ比の変更により、先に作動を開始する吸気側バルブタイミング可変装置28での作動油59の消費によりさらに油圧が低下しているときには、後に作動を開始する排気側バルブタイミング可変装置29では、ロックの解除及び回転位相の変更が待機される。
【0103】
次に、ステップ360において、前記ステップ330での指令信号の出力から所定時間Tが経過しているかどうかを判定する。ここで、所定時間Tは、例えばロック位相から目標回転位相に変更するための指令信号が出力された後、その指令信号におけるデューティ比が保持デューティに収束するまでに要する時間を考慮して設定されている(図6参照)。例えば、この時間よりも若干長い時間が前記所定時間Tとして設定されている。この判定条件が満たされていないと、前述したステップ350へ戻る。従って、所定時間Tが経過するまでは、デューティ比が零に維持されることとなる。これに対し、ステップ360の判定条件が満たされていると、ステップ370において、後に作動を開始する排気側バルブタイミング可変装置29に対し、本来のデューティ比によるデューティ制御を再開する。この場合には、排気側バルブタイミング可変装置29について、排気カムシャフト27の実回転位相を目標回転位相にするためのデューティ比にてOCV48eがデューティ制御されることとなる。そして、このステップ370の処理を経た後に、バルブタイミング制御ルーチンの一連の処理を終了する。
【0104】
前述したバルブタイミング制御ルーチンにおいては、ステップ350の処理が待機手段に該当する。また、油温Tho及びエンジン回転速度Neが流体圧に相当する機関情報に該当する。
【0105】
以上詳述した第3実施形態によれば次の効果が得られる。
(6)油圧の不足がちな状況下で、先に作動を開始する吸気側バルブタイミング可変装置28がその作動を開始していないとすると、その後の作動に伴い多くの作動油59を消費し、油圧がさらに低下することが考えられる。この状況下で吸・排気の両バルブタイミング可変装置28,29が相次いで作動を開始すると、後に作動を開始する排気側バルブタイミング可変装置29には作動に必要な油圧が供給されず、ロックの解除及び回転位相の変更が困難となるおそれがある。
【0106】
この点、第3実施形態では、先に作動を開始する吸気側バルブタイミング可変装置28による吸気カムシャフト26の回転位相がロック位相とは異なる回転位相に変化していないとき、後に作動を開始する排気側バルブタイミング可変装置29の作動を待機させるようにしている。すなわち、デューティ比を零にしている。従って、油圧の低下が原因で、排気側バルブタイミング可変装置29においてロックの解除及び回転位相の変更が行われなくなる不具合を回避することができる。このように、油圧が不足がちな状況下であっても、両バルブタイミング可変装置28,29についてロック機構61i,61eによるロックを解除して、吸・排気両カムシャフト26,27の回転位相を確実に変更することができる。
【0107】
(7)後に作動を開始する排気側バルブタイミング可変装置29において、所定時間Tが経過するまで同可変装置29の作動待機を継続するようにしている。表現を変えると、所定時間Tが経過すると待機を終え、可変装置29の作動を許可するようにしている。
【0108】
所定時間Tが経過したときには、先に作動を開始する吸気側バルブタイミング可変装置28によって消費される作動油59の量が少なくなり、油圧の低下が少なくなっている。このため、所定時間Tの経過を条件に、後に作動を開始する排気側バルブタイミング可変装置29のデューティ制御が再開されると十分な油圧が供給される。ロックを解除してクランクシャフト18に対する排気カムシャフト27の回転位相を、油圧に基づき目標回転位相に変更することができる。また、デューティ比を零とした指令信号の出力が不要に長い時間行われるのを抑制し、この不要な出力による不具合、例えば排気側バルブタイミング可変装置29について応答性の低下等を抑制することが可能となる。
【0109】
なお、本発明は次に示す別の実施形態に具体化することができる。
・前記各実施形態ではエンジンの運転状態が油圧の不足がちな状況であるかどうかを判定する種々の態様について説明した。これらの判定態様は、冷却水温Thw及びエンジン回転速度Neの組合わせを用いる態様(第1実施形態)と、油圧Poを用いる態様(第2実施形態)と、油温Tho及びエンジン回転速度Neの組合わせを用いる態様(第3実施形態)である。従って、各実施形態の判定態様を、上述したいずれかの態様に適宜変更してもよい。
【0110】
・本発明は、複数のバルブタイミング可変装置を備えたエンジンに適用可能である。こういったエンジンとしては、前述した直列型のエンジン以外にも、一対のバンクをV字状をなすように配置したV型エンジンが挙げられる。前者の場合には、前記各実施形態で説明したように吸気カムシャフト26及び排気カムシャフト27のそれぞれにバルブタイミング可変装置28,29を設けることとなる。また、後者の場合には、各バンクの吸気カムシャフトにのみバルブタイミング可変装置を設けてもよいし、また、各バンクの排気カムシャフトにのみバルブタイミング可変装置を設けてもよい。さらに、バンク毎の吸気カムシャフト及び排気カムシャフトにそれぞれバルブタイミング可変装置を設けてもよい。
【0111】
・前述した第1実施形態は、指令信号におけるデューティ比をガード処理により制限する点に特徴があるが、この特徴は、個々のバルブタイミング可変装置28,29において、ロックの解除及び回転位相の変更を確実なものにするうえでも有効である。すなわち、ロック位相とは異なる回転位相に変更するための指令信号がOCV48i,48eに出力されると、油圧の供給により、ロックピン63を抜こうとする力と、ベーン43を動かそうとする力とが同時に発生する。本来ならば、ロックピン63が抜けてからベーン43が動き始めることが望ましい。しかし、係止孔65からロックピン63が抜け出る前にベーン43が動き始める場合もあり得る。この場合、動き始めたベーン43によりロックピン63の抜け方向に略直交する力が作用し、ロックピン63がベーン43に引っ掛かってそれ以上抜けなくなる状態が発生する。この現象が起らないようにする手段の1つとして、ベーン43が急速に動くのを抑制することが考えられる。
【0112】
これに対しては、第1実施形態と同様に、ガード処理により指令信号におけるデューティ比を制限する。その一例を、図9のフローチャートに示す。なお、このフローチャートにおいて、第1実施形態(図4)と同様の処理については同一のステップ数が付されている。なお、ここでは、吸気側バルブタイミング可変装置28を例に採って説明をする。
【0113】
ECU81は、まずステップ105において、クランクシャフト18に対する吸気カムシャフト26の回転位相がロック位相であるかどうかを判定する。この判定条件が満たされていると、ステップ110,120において、エンジン11の運転状態が油圧の不足がちな状況にあるかどうかを判定する。この判定の詳細は第1実施形態と同様である。そして、各判定条件がともに満たされていると、ステップ135において、吸気カムシャフト26をロック位相とは異なる回転位相に変更するための指令信号が吸気側バルブタイミング可変装置28に出力されたかどうかを判定する。この判定条件が満たされていると、ステップ145において、吸気カムシャフト26の実回転位相がロック位相(=0°)であるかどうかを判定する。これに代えて、前記実回転位相がロック位相を含む回転位相についての所定範囲内に属しているかどうかを判定してもよい。この判定条件が満たされている場合には、バルブタイミング可変装置28では、未だロックが解除されず、吸気カムシャフト26の回転位相が未だロック位相に留まっていると考えられる。
【0114】
ここで、ロック位相に保持されている吸気カムシャフト26をロック位相とは異なる回転位相にすることは、その吸気カムシャフト26の回転位相を進角させることとなる。この際には、実変位角と目標変位角との偏差が大きいことから、本来ならばデューティ比が「100%」に近い値に設定される。しかし、このような大きなデューティ比にてOCV48iがデューティ制御されると、吸気側バルブタイミング可変装置28ではベーン43が急激に動こうとしロックピン63が抜けなくなるおそれがある。
【0115】
そこで、前記ステップ145の判定条件が満たされている場合には、ステップ155において、吸気側バルブタイミング可変装置28へのデューティ比をガード処理する。具体的な処理内容は第1実施形態と同様である。この処理により、吸気側バルブタイミング可変装置28において、ベーン43の急激な動きが抑制され、ロックピン63が抜けやすくなる。
【0116】
次に、ステップ160において、前述したガード処理を終了する条件が成立しているかどうかを判定する。この終了条件としては、例えば、吸気側バルブタイミング可変装置28により吸気カムシャフト26の回転位相がロック位相とは異なる回転位相に変化することである。この判定条件が満たされていない場合(依然としてロック位相である場合)には、前述したステップ155に戻る。従って、終了条件が満たされるまではデューティ比のガード処理が継続される。これに対し、ステップ160の判定条件が満たされている場合には、ステップ170においてガード処理を終了する。この場合には、吸気側バルブタイミング可変装置28について、吸気カムシャフト26の実回転位相を目標回転位相にするためのデューティ比にてOCV48iがデューティ制御されることとなる。そして、ステップ170の処理を経た後に、バルブタイミング制御ルーチンの一連の処理を終了する。
【0117】
なお、前述したステップ105,110,120,135,145のいずれかの判定条件が満たされない場合にも、バルブタイミング制御ルーチンを終了する。
【0118】
従って、図9のフローチャートに従ってバルブタイミングの制御が行われると、ベーン43が急激に動くことによるロックピン63の引っ掛かりを抑制し、ロックの解除及び回転位相の変更を確実に行わせることが可能となる。
【0119】
その他、前記各実施形態から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに記載する。
(A)請求項3〜6のいずれかに記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記待機手段は前記作動の待機に際し、後に作動を開始するバルブタイミング可変装置への指令信号における制御量を零にする。
【0120】
上記の構成によれば、制御量を零とした指令信号が、後に作動を開始するバルブタイミング可変装置の流体圧調整手段に出力されると、そのバルブタイミング可変装置では、ロック機構によるロックが解除されず、また可変機構によるカムシャフトの回転位相の変更も行われない。このようにしてバルブタイミング可変装置の作動が待機させられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のバルブタイミング制御装置の第1実施形態についてその構成を示す略図。
【図2】バルブタイミング可変装置の断面図。
【図3】図2のA−A線断面図。
【図4】バルブタイミングを制御する手順を示すフローチャート。
【図5】各バルブタイミング可変装置に出力される指令信号におけるデューティ比の変化を示すタイミングチャート。
【図6】第2実施形態において、各バルブタイミング可変装置に出力される指令信号におけるデューティ比の変化を示すタイミングチャート。
【図7】バルブタイミングを制御する手順を示すフローチャート。
【図8】第3実施形態においてバルブタイミングを制御する手順を示すフローチャート。
【図9】バルブタイミングを制御する手順の別の実施形態を示すフローチャート。
【符号の説明】
11…エンジン(内燃機関)、18…クランクシャフト、24…吸気バルブ(機関バルブ)、25…排気バルブ(機関バルブ)、26…吸気カムシャフト、27…排気カムシャフト、28…吸気側バルブタイミング可変装置、29…排気側バルブタイミング可変装置、31i,31e…可変機構、48i,48e…OCV(流体圧調整手段)、61i,61e…ロック機構、81…ECU(制限手段、待機手段)、DT1…第1所定値、DT2…第2所定値、T…所定時間。
Claims (6)
- 流体圧にてカムシャフトをクランクシャフトに対し相対回転させることにより機関バルブの作動タイミングを変更する可変機構と、前記可変機構による前記カムシャフトの相対回転をロックすることにより前記カムシャフトの回転位相をロック位相に保持する一方、前記流体圧に基づいて同ロックを解除するロック機構と、指令信号により指令された制御量に基づき前記流体圧を調整する流体圧調整手段とを有するバルブタイミング可変装置が複数設けられ、前記カムシャフトを前記ロック位相から異なる回転位相へ相対回転させるための指令信号が少なくとも2つの前記流体圧調整手段に同時に出力された場合に、対応するバルブタイミング可変装置が互いに時間差をもって作動を開始する場合のある内燃機関に用いられるものであって、
前記流体圧又はそれに相当する機関情報に基づき流体圧が低いときには、先に作動を開始するバルブタイミング可変装置への指令信号における制御量を制限する制限手段を設けることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。 - 前記制限手段による制限は、後に作動を開始するバルブタイミング可変装置によるカムシャフトの回転位相が前記ロック位相又はその近傍の回転位相とは異なる回転位相に変更されるまで継続される請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
- 流体圧にてカムシャフトをクランクシャフトに対し相対回転させることにより機関バルブの作動タイミングを変更する可変機構と、前記可変機構による前記カムシャフトの相対回転をロックすることにより前記カムシャフトの回転位相をロック位相に保持する一方、前記流体圧に基づいて同ロックを解除するロック機構と、指令信号により指令された制御量に基づき前記流体圧を調整する流体圧調整手段とを有するバルブタイミング可変装置が複数設けられ、前記カムシャフトを前記ロック位相から異なる回転位相へ相対回転させるための指令信号が少なくとも2つの前記流体圧調整手段に同時に出力された場合に、対応するバルブタイミング可変装置が互いに時間差をもって作動を開始する場合のある内燃機関に用いられるものであって、
前記流体圧又はそれに相当する機関情報に基づき流体圧が低く、かつ、先に作動を開始するバルブタイミング可変装置への指令信号における制御量が所定値よりも多いときには、後に作動を開始するバルブタイミング可変装置の作動を待機させる待機手段を設けることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。 - 前記待機手段による待機は、先に作動を開始するバルブタイミング可変装置への指令信号における制御量が第2所定値よりも少なくなるまで継続される請求項3に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
- 流体圧にてカムシャフトをクランクシャフトに対し相対回転させることにより機関バルブの作動タイミングを変更する可変機構と、前記可変機構による前記カムシャフトの相対回転をロックすることにより前記カムシャフトの回転位相をロック位相に保持する一方、前記流体圧に基づいて同ロックを解除するロック機構と、指令信号により指令された制御量に基づき前記流体圧を調整する流体圧調整手段とを有するバルブタイミング可変装置が複数設けられ、前記カムシャフトを前記ロック位相から異なる回転位相へ相対回転させるための指令信号が少なくとも2つの前記流体圧調整手段に同時に出力された場合に、対応するバルブタイミング可変装置が互いに時間差をもって作動を開始する場合のある内燃機関に用いられるものであって、
前記流体圧又はそれに相当する機関情報に基づき流体圧が低く、かつ、前記指令信号の出力後に、先に作動を開始するバルブタイミング可変装置によるカムシャフトの回転位相が前記ロック位相又はその近傍の回転位相であるときには、後に作動を開始するバルブタイミング可変装置の作動を待機させる待機手段を設けることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。 - 前記待機手段による待機は、前記指令信号の出力から所定時間が経過するまで継続される請求項5に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
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