JP2004308632A - 内燃機関の始動制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ロック機構によりカム軸の相対回転位相をロックするバルブタイミング制御装置において、ロックの有無の判定が完了する以前でも、適切な制御を行う。
【解決手段】燃焼制御装置は、進角側及び遅角側圧力室に対する油圧制御にて、クランク軸に対するカム軸の相対回転位相を可変制御する。ロックピンを使用するロック手段にて、カム軸の相対回転位相を所定の中間位相にロックする。機関の始動時は、ロック判定手段にて、カム軸の相対回転位相が中間位相にロック中か否かを判定するが、ロック判定が完了するまでは、機関の始動環境を判定する。機関の始動環境が良好時には中間位相状態の場合の燃焼条件で機関の燃焼を行い、始動環境が不良時には最遅角状態の場合の燃焼条件で機関の燃焼を行う。これにより、ロック状態の判定が完了するまでの段階でも、適切な始動制御を実行でき、機関の始動性を確保し、状況に応じてエミッションの向上も図れる。
【選択図】 図5
【解決手段】燃焼制御装置は、進角側及び遅角側圧力室に対する油圧制御にて、クランク軸に対するカム軸の相対回転位相を可変制御する。ロックピンを使用するロック手段にて、カム軸の相対回転位相を所定の中間位相にロックする。機関の始動時は、ロック判定手段にて、カム軸の相対回転位相が中間位相にロック中か否かを判定するが、ロック判定が完了するまでは、機関の始動環境を判定する。機関の始動環境が良好時には中間位相状態の場合の燃焼条件で機関の燃焼を行い、始動環境が不良時には最遅角状態の場合の燃焼条件で機関の燃焼を行う。これにより、ロック状態の判定が完了するまでの段階でも、適切な始動制御を実行でき、機関の始動性を確保し、状況に応じてエミッションの向上も図れる。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関のバルブタイミング制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車載用エンジン等の内燃機関にあっては、出力の向上やエミッションの改善等を意図して同機関のバルブタイミングを適宜に変更するバルブタイミング可変機構が設けられることがある(例えば、特許文献1参照)。こうしたバルブタイミング可変機構では、例えば内燃機関のカムシャフトに連結された可動部材と、可動部材を挟むように設けられる進角側圧力室及び遅角側圧力室とを備えている。そして、それら圧力室に選択的に作動油を供給して油圧で可動部材を移動させることにより、同機関のクランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相を進角側又は遅角側に変更する。このようにカムシャフトの相対回転位相を変更することにより、同機関における機関バルブのバルブタイミングが変更されるようになる。
【0003】
ところで、内燃機関の始動開始時には、上記圧力室から作動油が抜けた状態になっていることがあり、機関始動開始と同時に圧力室に作動油を供給し始めても、可動部材に十分な油圧が作用しないことから、機関バルブの開閉駆動に伴う反力によってカムシャフトの相対回転位相(バルブタイミング)が最遅角状態となることがある。従って、内燃機関の始動性を良好なものとするためには、機関バルブのバルブタイミングが最遅角状態となったとき、機関始動に適したバルブタイミング(以下、始動タイミングという)が得られるよう同バルブタイミングの制御範囲を設定する必要が生じる。
【0004】
しかし、上記のような要求が満たされるようにバルブタイミングの制御範囲を設定すると、その制御範囲が狭くなり内燃機関の全運転領域に亘ってバルブタイミングを最適に制御することが困難になる。そこで、機関始動時のバルブタイミングを最適にしつつ、バルブタイミングの制御範囲の縮小を抑制する技術として、機関始動時にはカムシャフトの相対回転位相を固定するロック機構を設けたバルブタイミング制御装置が提案されている。こうしたバルブタイミング制御装置では、機関停止に際してカムシャフトの相対回転位相をロック機構により最遅角状態よりも所定量だけ進角した状態でロックし、その後の機関始動時には、圧力室から供給される作動油の油圧に基づいてロック機構のロック状態が保持される。この結果、機関始動時においてバルブタイミングを始動タイミングに維持することができ、同機関の始動性を良好なものとすることができる。
【0005】
但し、何らかの理由でこうしたロック機構によるロックがなされないまま内燃機関が始動される場合には以下のような不都合も無視できないものとなる。例えば、機関が停止され、その後直ぐに再始動されるような場合には、圧力室内に十分な作動油が残っているため、ロック機構のロック状態を保持するための作動油が圧力室に供給されると同圧力室の油圧は速やかに上昇するようになる。その結果、上昇した圧力室の油圧によってカムシャフトの相対回転位相がロック機構によりロックすべき位相から大幅にずれてしまう状況が発生し得る。
【0006】
また、例えば、機関停止から長時間が経過した後に再始動されるような場合には、圧力室内に作動油が殆ど残っておらず、またロック保持用の作動油が供給されても同圧力室の油圧が直ぐには上昇しないため、カムシャフトの相対回転位相は、機関バルブの開閉駆動に伴う反力によって遅角側に変更され、ロック機構によりロックすべき位相から外れて最遅角状態となる。
【0007】
このようにロック機構を備えたバルブタイミング制御装置では、同ロック機構によるロックがなされないまま機関が始動された場合には、バルブタイミングが機関始動に適したタイミングから大幅にずれるようになり、始動性やエミッションの悪化が避けきれないものとなっていた。
【0008】
そこで、機関の停止時又は始動時に、ロック機構によるロックがなされているか否かを判定(以下、「ロック判定」とも呼ぶ。)し、判定結果に応じた始動制御を行う方法が提案されている(例えば特許文献2を参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開平11―229828号公報
【特許文献2】
特開2002−161766号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ロック機構によるロックがなされているか否かの判定(以下、「ロック判定」とも呼ぶ。)は、例えばカムシャフトの相対回転位相を検出するなどの方法により行われるので、機関始動後にクランクシャフト及びカムシャフトが動き出さないとロック判定を行うことができない。よって、その判定には機関始動後にある程度の時間を要し、ロック判定が完了する前にはカムシャフトの相対回転位相がロック状態にあるか否かを知ることができないため、ロック判定以前に適切な始動制御を開始することができない。
【0011】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、ロック機構によりカムシャフトの相対回転位相をロックする機能を有するバルブタイミング制御装置において、ロックの有無の判定が完了する以前の段階においても、適切な始動制御を行うことが可能なバルブタイミング制御装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の1つの観点では、内燃機関の始動制御装置は、内燃機関のクランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相を変更するバルブタイミング可変機構と、前記カムシャフトの相対回転位相を最遅角状態と最進角状態との間の中間位相にロックするロック手段と、前記カムシャフトの相対回転位相が前記ロック手段により前記中間位相にロックされているか否かを判定するロック判定手段と、前記内燃機関の始動時において、前記ロック判定手段による判定が完了するまでの間に、前記内燃機関の始動環境が良好か否かを判定する始動環境判定手段と、前記始動環境が良好であると判定されたときに前記カムシャフトの相対回転位相が中間位相状態にある場合の燃焼条件で機関の始動を行い、前記始動環境が良好でないと判断されたときに前記カムシャフトの相対回転位相が最遅角状態にある場合の燃焼条件で機関の燃焼を制御する燃焼制御手段と、を備える。
【0013】
上記の燃焼制御装置においては、例えば進角側圧力室と遅角側圧力室に対する油圧制御などにより、クランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相を可変制御することができる。また、例えばロックピンなどを使用するロック手段により、カムシャフトの相対回転位相を所定の中間位相にロックすることができる。機関の始動時には、ロック判定手段により、カムシャフトの相対回転位相が中間位相にロックされているか否かを判定するが、ロック判定が完了するまでの間においては、機関の始動環境を判定する。そして、機関の始動環境が良好である場合には中間位相状態の場合の燃焼条件で機関の燃焼を行い、始動環境が良好でない場合には最遅角状態の場合の燃焼条件で機関の燃焼を行う。これにより、ロック状態の判定が完了するまでの段階においても、適切な始動制御を開始することができ、機関の始動性を確保するとともに、状況に応じてエミッションの向上も図ることができる。
【0014】
上記の内燃機関の始動制御装置の一態様では、前記始動環境判定手段は、前記内燃機関の冷却水の水温を検出する水温センサと、前記水温が所定の極低温範囲外にある場合に前記始動環境を良好と判定し、前記水温が前記極低温範囲内にある場合に前記始動環境を良好でないと判定する手段と、を備えることができる。冷却水の水温が極低温である場合には、始動性がよくないと考えられるので、最遅角状態の燃焼条件に従って機関を確実に始動させる。
【0015】
上記の内燃機関の始動制御装置の一態様では、前記燃焼条件は、燃料噴射量、燃料の噴射時期及び点火時期の少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0016】
上記の内燃機関の始動制御装置の一態様では、前記燃焼条件は燃料噴射量を含み、前記カムシャフトの相対回転位相が最遅角状態にある場合の燃料噴射量は、前記カムシャフトの相対回転位相が中間位相状態にある場合の燃料噴射量より多いことが好ましい。これにより、機関の始動環境が良好でない場合には、燃料噴射量を多めにして確実に機関を始動させることができる。
【0017】
上記の内燃機関の始動制御装置の一態様では、燃焼制御手段は、前記ロック判定手段による判定が完了した後は、判定結果に基づき、前記カムシャフトの相対回転位相が中間位相状態にある場合の燃焼条件又は最遅角状態にある場合の燃焼条件のいずれかで機関の燃焼を制御する。よって、ロック判定が完了した後は、判定結果に基づいて最適な燃焼制御により機関を始動させることができる。
【0018】
本発明の他の観点では、内燃機関の始動制御装置は、内燃機関のクランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相を変更するバルブタイミング可変機構と、前記カムシャフトの相対回転位相を最遅角状態と最進角状態との間の中間位相にロックするロック手段と、前記カムシャフトの相対回転位相が前記ロック手段により前記中間位相にロックされているか否かを判定するロック判定手段と、前記内燃機関の始動時において、前記ロック判定手段による判定が完了するまでの間は、前記内燃機関における燃料噴射を禁止する噴射禁止手段と、を備える。
【0019】
上記の燃焼制御装置においては、例えば進角側圧力室と遅角側圧力室に対する油圧制御などにより、クランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相を可変制御することができる。また、例えばロックピンなどを使用するロック手段により、カムシャフトの相対回転位相を所定の中間位相にロックすることができる。機関の始動時には、ロック判定手段により、カムシャフトの相対回転位相が中間位相にロックされているか否かを判定するが、ロック判定が完了するまでの間においては、機関の燃料噴射を禁止する。これにより、カムシャフトの相対回転位相の状態が確認されるまでの間は燃料噴射を禁止し、エミッションを最適にすることができる。
【0020】
上記の内燃機関の始動制御装置の一態様は、前記ロック判定手段による判定が完了した後は、判定結果に基づき、前記カムシャフトの相対回転位相が中間位相状態にある場合の燃焼条件又は最遅角状態にある場合の燃焼条件のいずれかで機関の燃焼を制御する燃焼制御手段を備える。よって、ロック判定が完了した後は、判定結果に基づいて最適な燃焼制御により機関を始動させることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0022】
[バルブタイミング制御装置]
本発明の実施形態に係るバルブタイミング制御装置について説明する。
【0023】
図1に示すように、内燃機関11のシリンダブロック11aには、各気筒毎にピストン12(図1には一つのみ図示)が往復移動可能に設けられている。このピストン12は、コネクティングロッド13を介して内燃機関11の出力軸であるクランクシャフト14に連結されている。
【0024】
また、シリンダブロック11aの上端に設けられたシリンダヘッド15と上記ピストン12との間には燃焼室16が設けられている。シリンダヘッド15にはこの燃焼室16に開口する吸気ポート17及び排気ポート18が形成され、これら吸気ポート17及び排気ポート18はそれぞれ吸気通路19及び排気通路20に接続される。それら吸気ポート17及び排気ポート18には、それぞれ吸気バルブ21及び排気バルブ22が設けられている。また、吸気通路19の途中には、スロットルバルブ(図示略)が設けられ、このスロットルバルブを迂回するように同バルブの上流側及び下流側で吸気通路19に接続するバイパス通路(図示略)が設けられている。このバイパス通路の途中には、アイドルスピードコントロールバルブ(図示略)が設けられ、このバルブの開度に応じてアイドル運転時の吸入空気量が調整される。
【0025】
また、シリンダヘッド15には、上記吸気バルブ21及び排気バルブ22を開閉駆動するための吸気カムシャフト23及び排気カムシャフト24が回転可能に支持されている。これらカムシャフト23,24には、クランクシャフト14の回転力がチェーン28及びギア31(図2参照)を介して伝達される。そして、吸気カムシャフト23が回転すると、図示しない吸気カムを介して吸気バルブ21が開閉駆動され、吸気ポート17と燃焼室16とが連通・遮断される。また、排気カムシャフト24が回転すると、これも図示しない排気カムを介して排気バルブ22が開閉駆動され、排気ポート18と燃焼室16とが連通・遮断される。
【0026】
一方、吸気通路19の下流端には、吸気ポート17内に燃料を噴射するための燃料噴射弁25が設けられている。この燃料噴射弁25は、内燃機関11の吸気行程にて吸気通路19内の空気が燃焼室16へ吸入されるとき、吸気ポート17内に燃料を噴射して燃料及び空気からなる混合気を形成する。
【0027】
また、シリンダヘッド15には、燃焼室16内に充填された混合気に対して点火を行うための点火プラグ26が設けられている。そして、燃焼室16内の混合気に対し点火が行われて混合気が燃焼すると、その燃焼エネルギーによってピストン12が往復移動してクランクシャフト14が回転し、内燃機関11が駆動される。燃焼室16内で燃焼した混合気は、内燃機関11の排気行程中にピストン12の上昇により排気として排気通路20へ送り出される。
【0028】
次に、上記内燃機関11における吸気バルブ21のバルブタイミングを可変とするバルブタイミング可変機構30について図2を参照して説明する。図2に示すように、バルブタイミング可変機構30は、上記ギア31と、吸気カムシャフト23の先端面にボルト32によって一体回転可能に固定された回転部材33とを備えている。上記ギア31は、その中心部を貫通する吸気カムシャフト23に対して相対回転可能となっている。
【0029】
また、ギア31の先端面(図中左側面)には回転部材33を囲うように設けられたリングカバー34が当接し、同リングカバー34の先端開口部は閉塞板35によって塞がれている。そして、ギア31、リングカバー34、及び閉塞板35は、ボルト36によって一体回転可能に固定されている。従って、吸気カムシャフト23及び回転部材33とに対し上記ギア31、リングカバー34、及び閉塞板35は吸気カムシャフト23の軸線Lを中心に相対回転可能となっている。
【0030】
バルブタイミング可変機構30には、上記シリンダヘッド15や吸気カムシャフト23等に図示のごとく形成された進角側油路37や遅角側油路38から作動油が供給される。このように作動油が供給されてバルブタイミング可変機構30が作動すると、クランクシャフト14に対する吸気カムシャフト23の相対回転位相が進角側又は遅角側に変更され、これに伴い吸気バルブ21のバルブタイミングも変更されるようになる。
【0031】
上記進角側油路37及び遅角側油路38は、オイルコントロールバルブ(OCV)40に接続されている。また、OCV40には供給通路50及び排出通路51が接続されている。そして、供給通路50はクランクシャフト14の回転に伴って駆動されるオイルポンプ52を介して内燃機関11の下部に設けられたオイルパン11bに繋がっており、排出通路51は直接オイルパン11bに繋がっている。
【0032】
OCV40は、所定数(この例では4つ)の弁部41を有してコイルスプリング42及び電磁ソレノイド43により、それぞれ逆の方向に付勢されるスプール44を備えている。このOCV40においては、その電磁ソレノイド43に対する電圧印加が電子制御ユニット(以下、ECUという)80によってデューティ制御されることに基づき、スプール44の位置(弁位置)が制御される。
【0033】
即ち、ECU80により電磁ソレノイド43に対する電圧印加のデューティ比Dが(50%<D≦100%)の範囲に設定されると、スプール44がコイルスプリング42の付勢力に抗して一端側(図中左側)に配置される。この状態にあっては、進角側油路37と供給通路50とが連通してオイルパン11b内の作動油がオイルポンプ52により進角側油路37へ送り出されるとともに、遅角側油路38と排出通路51とが連通して遅角側油路38内の作動油がオイルパン11b内へ戻される。
【0034】
また、ECU80により電磁ソレノイド43に対する電圧印加のデューティ比Dが(0%≦D<50%)の範囲に設定されると、スプール44がコイルスプリング42の付勢力により他端側(図中右側)に配置される。この状態にあっては、遅角側油路38と供給通路50とが連通してオイルパン11b内の作動油がオイルポンプ52により遅角側油路38に送り出されるとともに、進角側油路37と排出通路51とが連通して進角側油路37内の作動油がオイルパン11b内へ戻される。
【0035】
また、ECU80により電磁ソレノイド43に対する電圧印加のデューティ比Dが50%に設定されると、電磁ソレノイド43の電磁力とコイルスプリング42の付勢力との釣合いによりスプール44が前記一端側の位置と他端側の位置の略中間位置に配置される。この状態にあっては、進角側油路37及び遅角側油路38の双方が供給通路50に連通され、作動油がこれら各油路37,38の双方に送り出される。
【0036】
次に、バルブタイミング可変機構30における回転部材33及びリングカバー34の詳細構造について図3を参照して説明する。図3に示すように、リングカバー34の内周面34aには、吸気カムシャフト23の前記軸線L(図2参照)へ向かって突出する四つの凸部34bが、リングカバー34の周方向について所定間隔毎に形成されている。この各凸部34b間には、それぞれ凹部34cがリングカバー34の周方向について所定間隔毎に形成されている。また、回転部材33は、その外周面から各凹部34cに挿入されるように外側方へ突出する四つのベーン33aを備えている。各凹部34c及びギア31、閉塞板35によって形成される空間は、ベーン33aにより進角側圧力室53及び遅角側圧力室54に区画されている。これら進角側圧力室53及び遅角側圧力室54は、ベーン33aを回転部材33の周方向両側から挟むように位置している。そして、進角側圧力室53には回転部材33内を通過するように形成された上記進角側油路37が連通され、遅角側圧力室54にはギア31内を通過するように形成された上記遅角側油路38が連通されている。
【0037】
こうしたバルブタイミング可変機構30にあって、ECU80によりOCV40の電磁ソレノイド43に対する電圧印加のデューティ比Dが(50%<D≦100%)の範囲に設定されると、進角側油路37から進角側圧力室53へ作動油が供給されるとともに、遅角側圧力室54から遅角側油路38を介して作動油が排出される。その結果、各ベーン33aが矢印A方向へ相対移動することにより回転部材33が図中右方向に相対回動し、ギア31(クランクシャフト14)に対する吸気カムシャフト23の相対回転位相が変更される。因みに同バルブタイミング可変機構30にあっては、クランクシャフト14の回転がチェーン28等を介してギア31に伝達されると、このギア31及び吸気カムシャフト23は共に図中右方向に回転する。従って、上記矢印A方向についての各ベーン33aの相対移動が行われると、吸気カムシャフト23がクランクシャフト14に対して進角側に相対回転し、その結果、吸気バルブ21のバルブタイミングも進角するようになる。
【0038】
また、ECU80によりOCV40の電磁ソレノイド43に対する電圧印加のデューティ比Dが(0%≦D<50%)の範囲に設定されると、遅角側油路38から遅角側圧力室54へ作動油が供給されるとともに、進角側圧力室53から進角側油路37を介して作動油が排出される。その結果、各ベーン33aが矢印Aと逆方向へ相対移動することにより回転部材33が同中左方向に相対回動し、ギア31(クランクシャフト14)に対する吸気カムシャフト23の相対回転位相が上記と逆方向に変更される。同バルブタイミング可変機構30にあっては、この場合、吸気カムシャフト23がクランクシャフト14に対して遅角側に相対回転し、その結果、吸気バルブ21のバルブタイミングも遅角するようになる。
【0039】
また、ECU80により電磁ソレノイド43に対する電圧印加のデューティ比Dが50%に設定されると、各油路37,38から双方の圧力室53,54に作動油が供給される。その結果、各圧力室53,54の油圧に応じて各ベーン33aに対して作用する力が釣合い、回転部材33の相対回転が停止されるようになる。従って、この場合には、吸気バルブ21のバルブタイミングは現状のタイミングのまま維持されるようになる。
【0040】
従って、ECU80により電磁ソレノイド43に対する電圧印加のデューティ比Dを吸気カムシャフト23の実際の相対回転位相と目標位相との偏差に基づいて0〜100%の間で変更することにより、進角側圧力室53及び遅角側圧力室54に対する作動油の供給・排出が制御され、これら圧力室53,54内の油圧がフィードバック制御されることとなる。こうして進角側圧力室53及び遅角側圧力室54内の油圧をフィードバック制御することにより、吸気バルブ21のバルブタイミングを変更したり所定の状態に維持したりすることが可能になる。
【0041】
ここで、内燃機関11の始動時には、進角側圧力室53及び遅角側圧力室54から作動油が抜けた状態になっていることがあり、その場合、機関始動開始と同時に、それら圧力室53,54に作動油を供給し始めても、回転部材33に十分な油圧が作用しない。そのため、内燃機関11の始動開始から所定期間が経過するまでは、後述するロック機構60により吸気カムシャフト23の相対回転位相を上記最遅角状態と最進角状態との間の中間位相θにロック(以下、「中間位相ロック」とも呼ぶ。)するようにしている。なお、本実施形態では、この中間位相θを内燃機関11の始動に適した位相、すなわち吸気バルブ21のバルブタイミングを機関11の始動に適したタイミング(以下、始動タイミングという)に設定している。
【0042】
次に、吸気バルブ21のバルブタイミングを上記のように中間位相ロックするための構造、即ちクランクシャフト14に対する吸気カムシャフト23の相対回転位相をロックするための構造について図3及び図4を参照して説明する。
【0043】
図3に示すように、バルブタイミング可変機構30には、バルブタイミングが始動タイミングとなる状態で、吸気カムシャフト23の相対回転位相を進角側と遅角側との両方についてロックするためのロック機構60が設けられている。このロック機構60の詳細構造を図4に示す。なお、図4は、図3の4―4線部に沿った断面図であり、吸気カムシャフト23の相対回転位相を同ロック機構60によりロックした状態を示している。
【0044】
図4に示されるように、各ベーン33aの一つには吸気カムシャフト23の軸方向に延びる収容孔64が形成されている。この収容孔64には、同孔64内で往復動可能なロックピン62と、同ロックピン62をギア31側に付勢するコイルスプリング61とが収容されている。また、ギア31には、同ギア31及びベーン33aが前記始動タイミングに対応する位置にあるときに前記ロックピン62の先端部が挿入可能な穴63が形成されている。
【0045】
また、ロックピン62の外周面にはフランジ62aが形成され、収容孔64にはフランジ62aよりも閉塞板35寄りの位置でロックピン62を内嵌する筒状の保持部材65が配設されている。収容孔64においてこの保持部材65及びロックピン62により区画される環状の空間により進角側油室66が形成されている。この油室66は、通路67を介して進角側圧力室53に連通されており、同進角側圧力室53から作動油が供給されるようになっている。また、フランジ62aはロックピン62の往復動に伴って通路67の開口よりもギア31側の位置から同開口よりも保持部材65側の位置まで、その位置が変化する。一方、ギア31の穴63において、その底部とロックピン62の先端面との間には遅角側油室68が形成されている。この油室68は、通路69を介して遅角側圧力室54に連通しており、この遅角側圧力室54から作動油が供給されるようになっている。
【0046】
こうしたロック機構60は、進角側圧力室53及び遅角側圧力室54に供給される作動油の圧力、即ちこれら圧力室53,54内の油圧に応じて、吸気カムシャフト23の相対回転位相の上記中間位相ロック及び中間位相ロックの解除を行う。
【0047】
すなわち、機関稼動中にあって、ロックピン62が穴63から抜け、フランジ62aが通路67の開口よりも保持部材65側に位置しているときには(図4(b)参照)、進角側油室66の油圧によってフランジ62aは保持部材65側に付勢する付勢力あるいは遅角側油室68の油圧によりロックピン62の先端部を閉塞板35側に付勢する付勢力のいずれかにより、ロックピン62はコイルスプリング61の付勢力に抗して穴63から抜き出た状態に維持される。このときには、ロック機構60による吸気カムシャフト23の相対回転位相の進角側及び遅角側についての中間位相ロックが解除された状態に維持される。
【0048】
一方、内燃機関11の停止過程にあって、クランクシャフト14の回転速度が低下すると、前記オイルポンプ52により各圧力室53,54に送り出される作動油の量が低下する。このため、これら各圧力室53,54の油圧が低下し、それに応じてロック機構60の各油室66,68内における油圧も低下するようになる。これらの油圧がロックピン62をコイルスプリング61の付勢力に抗して収容孔64に挿入させておくことが不可能な値まで低下すると、ロックピン62がコイルスプリング61の付勢力によって収容孔64から突出しようとする。このような状態にあって、収容孔64が穴63と重なるとき、すなわちバルブタイミングが始動タイミングとなるときには、ロックピン62が突出して穴63に挿入され、吸気カムシャフト23の相対回転位相が中間位相にロックされる。
【0049】
なお、内燃機関11が停止する際に上記中間位相ロック状態に至らなくても、吸気カムシャフト23の相対回転位相が上記中間位相θよりも進角側にあれば、その後の同機関11の始動に際して、吸気カムシャフト23の相対回転位相が吸気バルブ21の開閉に伴う反力によって遅角側に変更されて中間位相θとなるときに、ロックピン62が穴63に挿入されて中間位相ロックされるようになる。
【0050】
また、ロックピン62により吸気カムシャフト23の相対回転位相が中間位相で中間位相ロックされた状態で、上記デューティ比Dが100%に設定され進角側圧力室53にのみ作動油が供給されると、上記進角側油室66の油圧によりロックピン62のフランジ62aがギア31側に付勢され、その付勢力とコイルスプリング61の付勢力とによってロックピン62が穴63側に付勢されるため、上記中間位相ロックされた状態が維持される(これを、「強制中間止め」と呼ぶ。)。
【0051】
また、内燃機関11には、吸気カムシャフト23の相対回転位相を検出したり、上記強制中間止め制御を行うタイミングを判断するための各種センサが設けられている。
【0052】
即ち、図1に示したように、内燃機関11のシリンダブロック11aにはその冷却水の温度を検出するための水温センサ55が設けられている。また、クランクシャフト14の近傍にはその回転角度を検出するためのクランクポジションセンサ56が設けられ、吸気カムシャフト23の近傍にはその回転角度を検出するためのカムポジションセンサ57が設けられている。そして、これら各センサ55〜57の出力信号は、ECU80に入力される。ECU80は、こうして入力される各センサ56,57の出力信号に基づいて吸気カムシャフト23の実際の相対回転位相を算出する。また、ECU80には、上記燃料噴射弁25、点火プラグ26及びOCV40が接続されている。そして、同ECU80は、これら燃料噴射弁25、点火プラグ26及びOCV40に対して駆動信号を出力している。このECU80は、CPU、メモリ、及び入出力ポート(いずれも図示略)等を備えて構成されている。
【0053】
[始動制御]
本発明では、前述のように機関始動時にロック機構による中間位相ロックがなされているか否かの判定(ロック判定)を行うが、その判定が完了するまでの間は、機関の状態に応じて、始動性やエミッションなどが適切となるように、燃焼制御を行う。ここで、燃焼制御とは、燃料噴射量、燃料の噴射時期、点火時期などの制御を含む。
【0054】
(第1実施例)
まず、本発明による始動制御の第1実施例を説明する。第1実施例では、機関始動時のロック判定完了までの間は、冷却水の水温に基づいて機関の始動環境の良否を判定し、それに基づいて燃焼制御を行う。
【0055】
ロック機構により吸気カムシャフト23の相対回転位相が中間位相ロックされている場合には、機関の始動性は高くなる。これは、吸気カムシャフト23が中間位相ロックされている状態では、バルブオーバーラップが生じ、吸気バルブ21と排気バルブ22の双方が同時に開状態となる期間が存在するために、排気が吸気側へ吹き返し、これにより燃料の霧化が促進されるなどの理由からである。よって、吸気カムシャフト23が中間位相ロックされている場合は、最小限の燃料を効率的に使用して期間を始動させることが可能となり、エミッションが向上する。
【0056】
これに対し、吸気カムシャフト23が中間位相ロックされていない場合には、通常は吸気カムシャフト23は最遅角状態となるため、機関の始動にはより多くの燃料を必要とする。よって、冷却水が極低温である場合などの始動性が悪い条件下において、中間位相ロック状態と同じ燃焼制御を行った場合には、機関の始動に失敗する可能性が増加する。また、機関の始動に失敗した場合は、再度燃料噴射を行って機関を始動させるため、トータルの燃料噴射量は結局増大し、エミッションも悪化することになる。
【0057】
そこで、第1実施例では、機関始動時において、ロック判定が完了するまでの間は、冷却水の水温に基づいて機関の始動環境が良好であるか否か、即ち機関が始動しやすい状態であるか否かを判定する。そして、冷却水の水温が所定の極低温範囲に属する場合には、始動環境が良くない、即ち機関が始動しにくい状態であると判断し、中間位相ロックがなされていない場合と同様の燃焼制御を実行する。一方、冷却水の水温が所定の極低温範囲に属しない場合には、始動環境は良好である、即ち機関が始動しやすい状態であると判断し、中間位相ロックがなされている場合と同様の燃焼制御を実行する。
【0058】
ここで重要なことは、これらの制御が、実際に中間位相ロックがなされているか否かに拘わらず行われる点である。前述のように、機関始動時におけるロック判定はクランクシャフト14や吸気カムシャフト23の回転の検出結果に基づいてECU80が行うものである。よって、ロック判定が完了するためには、機関がある程度回転することにより、クランクシャフト14や吸気カムシャフト23が回転することが必要となり、ある程度の時間が必要となる。そこで、機関の始動指示がなされた後、ロック判定が完了するまでの間の期間においては、実際に中間位相ロックがなされているか否かに拘わらず、冷却水の水温に基づいて始動環境を判定し、燃焼制御を行うのである。
【0059】
具体的には、冷却水の水温が極低温である場合は中間位相ロックがなされていない状態、即ち吸気カムシャフト23の相対回転位相が最遅角状態にある場合と同様の燃焼制御を行う。中間位相ロックがなされていない場合には、通常よりも燃料噴射量などを多少増加させ、始動性優先の制御を行うので、冷却水の水温が極低温である場合でも確実に機関を始動させることが可能となる。一方、冷却水の水温が極低温でない場合は、中間位相ロックがなされている状態と同様の燃焼制御を行う。中間位相ロックがなされている場合には、最小限の燃料噴射量により始動制御を行うので、エミッションの悪化を防止することができる。こうして、ロック判定が完了するまでの期間においても、適切な始動制御を開始することが可能となる。
【0060】
図5に、第1実施例に係る機関の始動制御のフローチャートを示す。なお、図5に示す始動制御は、機関の始動時に、ECU80が各種センサの出力信号を参照することにより実行する。
【0061】
まず、ECU80は中間位相ロック要求中であるか否かを判定する(ステップS1)。通常、機関の始動時にはECU80は中間位相ロック要求を設定し、ロック機構により吸気カムシャフト23が中間位相にロックされるように制御する。但し、機関の始動に成功した後には中間位相ロック要求は解除される。例えば機関始動指示後、所定時間が経過したとき、又は、実際に機関が始動し冷却水の水温がある所定温度以上まで上昇したときなどに、ECU80は機関の始動が完了したものとして中間位相ロック要求を解除する。よって、その後は中間位相ロック要求中ではなくなる。
【0062】
いま、始動制御の初期段階であり、中間位相ロック要求中であるとすると(ステップS1;Yes)、ECU80はロック状態の判定が完了したか否かを判断する(ステップS2)。ロック状態の判定は、前述のように、例えばクランクシャフト14の回転や吸気カムシャフト23の回転を、それぞれクランクポジションセンサ56及びカムポジションセンサ57により検出し、ECU80が吸気カムシャフト23の相対回転位相を算出することなどにより行う。
【0063】
未だロック状態の判定が完了していない場合(ステップS2:No)、ECU80は水温センサ55の出力信号に基づいて、冷却水の水温が所定の極低温であるか否かを判定する(ステップS3)。極低温範囲は、例えば−10°C以下などに設定することができる。冷却水の水温が極低温範囲にある場合には、機関の始動性が悪くなるので、燃料噴射量を多めにするなどして、始動性を向上させる必要がある。よって、冷却水の水温が極低温範囲にある場合(ステップS3:Yes)、ECU80はロック保持制御としてロック機構のロックピン62が抜けないように油圧制御を行う(ステップS5)とともに、吸気カムシャフト23の相対回転位相の状態フラグなどを最遅角状態に設定する(ステップS9)。一方、ステップS3で冷却水の水温が極低温範囲外であると判断された場合、ECU80はロック保持制御を行うとともに(ステップS6)、吸気カムシャフト23の相対回転位相の状態フラグなどを中間位相状態に設定する(ステップS10)。
【0064】
このように、本実施例では、ロック判定が完了する以前の状態においては、実際に吸気カムシャフト23が中間位相ロック状態にあるか否かに拘わらず、冷却水の水温に応じて吸気カムシャフト23の相対回転位相の状態を設定する。これにより、冷却水の水温が極低温である場合、即ち機関の始動環境が悪い場合には、最遅角状態からの始動制御を行うことにより始動性を向上させる。一方、冷却水の水温が極低温でない場合には、燃料噴射量が多少少な目でも機関の始動は可能であるので、吸気カムシャフト23の相対回転位相を中間位相状態に設定する。これにより、必要以上の燃料噴射を防止して、エミッションの悪化を防止する。
【0065】
さて、ステップS2でロック状態の判定が完了した後は、ECU80は判定結果に応じて始動時における燃焼制御を行う。即ち、ロック状態であった場合(ステップS4;Yes)、ECU80はロック状態を保持する(ステップS6)とともに、吸気カムシャフト23の相対回転位相を中間位相状態に設定する(ステップS10)。また、ロック状態でなかった場合(ステップS4;No)、ECU80はロック状態を保持するためのロック保持制御を停止する(ステップS7)。ロック保持制御を停止すると、進角側圧力室53への作動油の供給が停止され、吸気バルブ21の開閉駆動に伴う反力によって吸気カムシャフト23の相対回転位相が最遅角状態となる。よって、ECU80は吸気カムシャフト23の相対回転位相を最遅角状態に設定する(ステップS11)。
【0066】
また、機関が始動し、先に例示したような中間位相ロック要求の解除条件が具備されると(ステップS1;No)、その後ECU80は通常の吸気カムシャフト23の通常制御を実行し(ステップS8)、吸気カムシャフト23の相対回転位置を通常制御状態に設定する(ステップS12)。なお、通常制御とは、ECU80がOCV40をデューティ制御することにより、各時点における目標位相に向かって吸気カムシャフト23の相対回転位相を油圧によりフィードバック制御するものである。
【0067】
こうして、吸気カムシャフト23の相対回転位相は、最遅角状態、中間位相状態又は通常制御状態のいずれかに設定される。その後、ECU80は、これらの設定状態に応じて燃焼制御、即ち、燃料の噴射量制御、噴射時期制御及び点火時期制御を実行する。噴射量制御のフローチャートを図6に、噴射時期制御のフローチャートを図7に、点火時期制御のフローチャートを図8に示す。
【0068】
まず、図6を参照して噴射量制御を説明する。ECU80は、前述の始動制御において設定された吸気カムシャフト23の相対回転位相状態が通常制御状態であるか否かを判定し(ステップS21)、通常制御状態である場合は通常制御において適切な燃料噴射量を算出する(ステップS23)。また、通常制御状態でない場合は、ECU80は吸気カムシャフト23の相対回転位相が中間位相状態であるか否かを判定し(ステップS22)、中間位相状態である場合は中間位相状態、即ち吸気カムシャフト23の相対回転位相が中間位相にロックされた状態において適した燃料噴射量を算出する(ステップS24)。また、中間位相状態でない場合は、ECU80は最遅角状態、即ち、吸気カムシャフト23の相対回転位相が最遅角位置にある場合に適切な燃料噴射量を算出する(ステップS25)。なお、前述のように、最遅角状態において算出される燃料噴射量は、中間位相状態において算出される燃料噴射量よりも多くなる。
【0069】
次に、図7を参照して噴射時期制御を説明する。ECU80は、前述の始動制御において設定された吸気カムシャフト23の相対回転位相状態が通常制御状態であるか否かを判定し(ステップS31)、通常制御状態である場合は通常制御において適切な噴射時期を算出する(ステップS33)。また、通常制御状態でない場合は、ECU80は吸気カムシャフト23の相対回転位相が中間位相状態であるか否かを判定し(ステップS32)、中間位相状態である場合は中間位相状態、即ち吸気カムシャフト23の相対回転位相が中間位相にロックされた状態において適した噴射時期を算出する(ステップS34)。また、中間位相状態でない場合は、ECU80は最遅角状態、即ち、吸気カムシャフト23の相対回転位相が最遅角位置にある場合に適した噴射時期を算出する(ステップS35)。
【0070】
次に、図8を参照して点火時期制御を説明する。ECU80は、前述の始動制御において設定された吸気カムシャフト23の相対回転位相状態が通常制御状態であるか否かを判定し(ステップS41)、通常制御状態である場合は通常制御により適切な点火時期を算出する(ステップS43)。また、通常制御状態でない場合は、ECU80は吸気カムシャフト23の相対回転位相が中間位相状態であるか否かを判定し(ステップS42)、中間位相状態である場合は中間位相状態、即ち吸気カムシャフト23の相対回転位相が中間位相にロックされた状態において適した点火時期を算出する(ステップS44)。また、中間位相状態でない場合は、ECU80は最遅角状態、即ち、吸気カムシャフト23の相対回転位相が最遅角位置にある場合に適した点火時期を算出する(ステップS45)。
【0071】
以上のように、第1実施例では、機関始動時にロック判定が完了するまでの間は、冷却水の水温などに基づいて機関の始動環境の良否を判定し、その結果に基づいて燃料噴射量の制御などの燃焼制御を行う。よって、ロック判定が完了する前の段階においても、適切な始動制御を行うことが可能となる。
【0072】
(第2実施例)
次に、第2実施例の始動制御について説明する。第1実施例では、機関始動時の始動制御において、吸気カムシャフト23の相対回転位相のロック判定が完了する前の段階では、実際のロックの有無に拘わらず冷却水の水温に応じて位相状態を設定し、燃焼制御を行った。これに対し、本実施例では、ロック判定完了前の段階では燃料噴射を停止し、ロック判定が完了した後、判定結果に応じて適切な燃焼制御を行うことでエミッションを最適化するものである。
【0073】
第2実施例による始動制御のフローチャートを図9に示す。図9においては、ステップS52においてロック状態の判定が完了していないと判断された場合の処理(ステップS54及びS58)のみが図5に示す第1実施例と異なる。
【0074】
図9を参照すると、まずECU80は中間位相ロックの要求中であるか否かを判定し(ステップS51)、要求中である場合にはロック状態の判定が完了したか否かを判断する(ステップS52)。ロック状態の判定が完了していない場合(ステップS52;No)、ECU80はロック保持制御を行い(ステップS54)、吸気カムシャフト23の相対回転位相を未確定状態に設定する(ステップS58)。
【0075】
一方、ロック状態の判定が完了した場合(ステップS52;Yes)、ECU80は判定結果に応じて処理を行う。即ち、ロック状態であった場合(ステップS53;Yes)、ロック保持制御を行い(ステップS55)、吸気カムシャフト23の相対回転位相を中間位相状態に設定する(ステップS59)。一方、ロック状態でなかった場合(ステップS53;No)、ECU80はロック保持制御を停止し(ステップS36)、吸気カムシャフト23の相対回転位相を最遅角状態に設定する(ステップS60)。また、ステップS51において中間位相ロック要求中でない場合には通常制御を行い(ステップS57)、吸気カムシャフト23の相対回転位相を通常制御状態に設定する(ステップS61)。こうして、吸気カムシャフト23の相対回転位相は、未確定状態、中間位相状態、最遅角状態又は通常制御状態のいずれか1つに設定される。
【0076】
次に、この設定に従って燃焼制御が行われる。燃焼制御の一例として、噴射量制御のフローチャートを図10に示す。まず、ECU80は、吸気カムシャフト23の相対回転位相が通常制御状態であるか否かを判定し、通常制御状態である場合には、通常制御状態に適した燃料噴射量を算出する(ステップS73)。また、通常制御状態でない場合は、中間位相状態であるか否かを判定し(ステップS72)、中間位相状態である場合は、中間位相状態に適した燃料噴射量を算出する(ステップS74)。また、中間位相状態でない場合は、最遅角状態であるか否かを判定し(ステップS76)、最遅角状態である場合は、最遅角状態に適した燃料噴射量を算出する(ステップS75)。そして、最遅角状態でもない場合には、吸気カムシャフト23の相対回転位相が未確定状態であるので、燃料噴射量を「0」に設定する(ステップS77)。
【0077】
このように、第2実施例では、ロック判定が完了する間での間は燃料噴射を禁止し、ロック判定が完了した後でその判定結果に応じて適切な燃焼制御を行う。これにより、吸気カムシャフト23の相対回転位相が不明な状態で不要な燃料噴射を行うことを防止し、エミッションを向上させることができる。なお、第2実施例においては、燃料噴射を停止している間は噴射時期及び点火時期に特に制約はない。
【0078】
(変形例)
上記の第2実施例では、エミッションを良好にすることを最優先し、ロック状態の判定が完了するまでの間は燃料噴射を停止している。その代わりに、第1実施例のようにロック状態の判定が完了する前の段階では基本的に冷却水の水温に応じて吸気カムシャフト23の相対回転位相を設定し、冷却水の水温が極低温でない場合、即ちステップS3の判定結果がNoの場合には吸気カムシャフト23の相対回転位相を中間位相状態に設定するとともに、燃料噴射を禁止することとしてもよい。この方法によれば、ロック判定以前の段階において、冷却水が極低温である場合には始動性をある程度優先させて燃料噴射を実施し、そうでない場合には燃料噴射を停止してエミッションの向上を優先させることができる。
【0079】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、吸気カムシャフトの相対回転位相をロックする機構を有する始動制御装置において、機関始動時にロック判定が完了するまでの間は、冷却水の水温などを参照して始動環境の良否を判定し、その結果に応じて吸気カムシャフトの相対回転位相を設定するので、始動環境に応じて適切な始動制御が可能となり、始動性やエミッションの向上が図れる。また、機関始動時にロック判定が完了するまでの間は、状況に応じて燃料噴射を停止することにより、エミッションを最優先とした始動制御も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るバルブタイミング制御装置が適用される内燃機関の構造を示す。
【図2】本発明の実施形態に係るバルブタイミング可変機構への作動油の供給機構を示す。
【図3】図2に示すバルブタイミング可変機構の内部構造を示す断面図である。
【図4】図3の4−4線に沿った断面図である。
【図5】第1実施例に係る始動制御のフローチャートである。
【図6】第1実施例における燃料の噴射量制御のフローチャートである。
【図7】第1実施例における燃料の噴射時期制御のフローチャートである。
【図8】第1実施例における点火時期制御のフローチャートである。
【図9】第2実施例に係る始動制御のフローチャートである。
【図10】第2実施例における燃料の噴射量制御のフローチャートである。
【符号の説明】
11 内燃機関
14 クランクシャフト
21 吸気バルブ
22 排気バルブ
30 バルブタイミング可変機構
40 オイルコントロールバルブ(OCV)
80 電子制御ユニット(ECU)
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関のバルブタイミング制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車載用エンジン等の内燃機関にあっては、出力の向上やエミッションの改善等を意図して同機関のバルブタイミングを適宜に変更するバルブタイミング可変機構が設けられることがある(例えば、特許文献1参照)。こうしたバルブタイミング可変機構では、例えば内燃機関のカムシャフトに連結された可動部材と、可動部材を挟むように設けられる進角側圧力室及び遅角側圧力室とを備えている。そして、それら圧力室に選択的に作動油を供給して油圧で可動部材を移動させることにより、同機関のクランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相を進角側又は遅角側に変更する。このようにカムシャフトの相対回転位相を変更することにより、同機関における機関バルブのバルブタイミングが変更されるようになる。
【0003】
ところで、内燃機関の始動開始時には、上記圧力室から作動油が抜けた状態になっていることがあり、機関始動開始と同時に圧力室に作動油を供給し始めても、可動部材に十分な油圧が作用しないことから、機関バルブの開閉駆動に伴う反力によってカムシャフトの相対回転位相(バルブタイミング)が最遅角状態となることがある。従って、内燃機関の始動性を良好なものとするためには、機関バルブのバルブタイミングが最遅角状態となったとき、機関始動に適したバルブタイミング(以下、始動タイミングという)が得られるよう同バルブタイミングの制御範囲を設定する必要が生じる。
【0004】
しかし、上記のような要求が満たされるようにバルブタイミングの制御範囲を設定すると、その制御範囲が狭くなり内燃機関の全運転領域に亘ってバルブタイミングを最適に制御することが困難になる。そこで、機関始動時のバルブタイミングを最適にしつつ、バルブタイミングの制御範囲の縮小を抑制する技術として、機関始動時にはカムシャフトの相対回転位相を固定するロック機構を設けたバルブタイミング制御装置が提案されている。こうしたバルブタイミング制御装置では、機関停止に際してカムシャフトの相対回転位相をロック機構により最遅角状態よりも所定量だけ進角した状態でロックし、その後の機関始動時には、圧力室から供給される作動油の油圧に基づいてロック機構のロック状態が保持される。この結果、機関始動時においてバルブタイミングを始動タイミングに維持することができ、同機関の始動性を良好なものとすることができる。
【0005】
但し、何らかの理由でこうしたロック機構によるロックがなされないまま内燃機関が始動される場合には以下のような不都合も無視できないものとなる。例えば、機関が停止され、その後直ぐに再始動されるような場合には、圧力室内に十分な作動油が残っているため、ロック機構のロック状態を保持するための作動油が圧力室に供給されると同圧力室の油圧は速やかに上昇するようになる。その結果、上昇した圧力室の油圧によってカムシャフトの相対回転位相がロック機構によりロックすべき位相から大幅にずれてしまう状況が発生し得る。
【0006】
また、例えば、機関停止から長時間が経過した後に再始動されるような場合には、圧力室内に作動油が殆ど残っておらず、またロック保持用の作動油が供給されても同圧力室の油圧が直ぐには上昇しないため、カムシャフトの相対回転位相は、機関バルブの開閉駆動に伴う反力によって遅角側に変更され、ロック機構によりロックすべき位相から外れて最遅角状態となる。
【0007】
このようにロック機構を備えたバルブタイミング制御装置では、同ロック機構によるロックがなされないまま機関が始動された場合には、バルブタイミングが機関始動に適したタイミングから大幅にずれるようになり、始動性やエミッションの悪化が避けきれないものとなっていた。
【0008】
そこで、機関の停止時又は始動時に、ロック機構によるロックがなされているか否かを判定(以下、「ロック判定」とも呼ぶ。)し、判定結果に応じた始動制御を行う方法が提案されている(例えば特許文献2を参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開平11―229828号公報
【特許文献2】
特開2002−161766号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ロック機構によるロックがなされているか否かの判定(以下、「ロック判定」とも呼ぶ。)は、例えばカムシャフトの相対回転位相を検出するなどの方法により行われるので、機関始動後にクランクシャフト及びカムシャフトが動き出さないとロック判定を行うことができない。よって、その判定には機関始動後にある程度の時間を要し、ロック判定が完了する前にはカムシャフトの相対回転位相がロック状態にあるか否かを知ることができないため、ロック判定以前に適切な始動制御を開始することができない。
【0011】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、ロック機構によりカムシャフトの相対回転位相をロックする機能を有するバルブタイミング制御装置において、ロックの有無の判定が完了する以前の段階においても、適切な始動制御を行うことが可能なバルブタイミング制御装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の1つの観点では、内燃機関の始動制御装置は、内燃機関のクランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相を変更するバルブタイミング可変機構と、前記カムシャフトの相対回転位相を最遅角状態と最進角状態との間の中間位相にロックするロック手段と、前記カムシャフトの相対回転位相が前記ロック手段により前記中間位相にロックされているか否かを判定するロック判定手段と、前記内燃機関の始動時において、前記ロック判定手段による判定が完了するまでの間に、前記内燃機関の始動環境が良好か否かを判定する始動環境判定手段と、前記始動環境が良好であると判定されたときに前記カムシャフトの相対回転位相が中間位相状態にある場合の燃焼条件で機関の始動を行い、前記始動環境が良好でないと判断されたときに前記カムシャフトの相対回転位相が最遅角状態にある場合の燃焼条件で機関の燃焼を制御する燃焼制御手段と、を備える。
【0013】
上記の燃焼制御装置においては、例えば進角側圧力室と遅角側圧力室に対する油圧制御などにより、クランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相を可変制御することができる。また、例えばロックピンなどを使用するロック手段により、カムシャフトの相対回転位相を所定の中間位相にロックすることができる。機関の始動時には、ロック判定手段により、カムシャフトの相対回転位相が中間位相にロックされているか否かを判定するが、ロック判定が完了するまでの間においては、機関の始動環境を判定する。そして、機関の始動環境が良好である場合には中間位相状態の場合の燃焼条件で機関の燃焼を行い、始動環境が良好でない場合には最遅角状態の場合の燃焼条件で機関の燃焼を行う。これにより、ロック状態の判定が完了するまでの段階においても、適切な始動制御を開始することができ、機関の始動性を確保するとともに、状況に応じてエミッションの向上も図ることができる。
【0014】
上記の内燃機関の始動制御装置の一態様では、前記始動環境判定手段は、前記内燃機関の冷却水の水温を検出する水温センサと、前記水温が所定の極低温範囲外にある場合に前記始動環境を良好と判定し、前記水温が前記極低温範囲内にある場合に前記始動環境を良好でないと判定する手段と、を備えることができる。冷却水の水温が極低温である場合には、始動性がよくないと考えられるので、最遅角状態の燃焼条件に従って機関を確実に始動させる。
【0015】
上記の内燃機関の始動制御装置の一態様では、前記燃焼条件は、燃料噴射量、燃料の噴射時期及び点火時期の少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0016】
上記の内燃機関の始動制御装置の一態様では、前記燃焼条件は燃料噴射量を含み、前記カムシャフトの相対回転位相が最遅角状態にある場合の燃料噴射量は、前記カムシャフトの相対回転位相が中間位相状態にある場合の燃料噴射量より多いことが好ましい。これにより、機関の始動環境が良好でない場合には、燃料噴射量を多めにして確実に機関を始動させることができる。
【0017】
上記の内燃機関の始動制御装置の一態様では、燃焼制御手段は、前記ロック判定手段による判定が完了した後は、判定結果に基づき、前記カムシャフトの相対回転位相が中間位相状態にある場合の燃焼条件又は最遅角状態にある場合の燃焼条件のいずれかで機関の燃焼を制御する。よって、ロック判定が完了した後は、判定結果に基づいて最適な燃焼制御により機関を始動させることができる。
【0018】
本発明の他の観点では、内燃機関の始動制御装置は、内燃機関のクランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相を変更するバルブタイミング可変機構と、前記カムシャフトの相対回転位相を最遅角状態と最進角状態との間の中間位相にロックするロック手段と、前記カムシャフトの相対回転位相が前記ロック手段により前記中間位相にロックされているか否かを判定するロック判定手段と、前記内燃機関の始動時において、前記ロック判定手段による判定が完了するまでの間は、前記内燃機関における燃料噴射を禁止する噴射禁止手段と、を備える。
【0019】
上記の燃焼制御装置においては、例えば進角側圧力室と遅角側圧力室に対する油圧制御などにより、クランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相を可変制御することができる。また、例えばロックピンなどを使用するロック手段により、カムシャフトの相対回転位相を所定の中間位相にロックすることができる。機関の始動時には、ロック判定手段により、カムシャフトの相対回転位相が中間位相にロックされているか否かを判定するが、ロック判定が完了するまでの間においては、機関の燃料噴射を禁止する。これにより、カムシャフトの相対回転位相の状態が確認されるまでの間は燃料噴射を禁止し、エミッションを最適にすることができる。
【0020】
上記の内燃機関の始動制御装置の一態様は、前記ロック判定手段による判定が完了した後は、判定結果に基づき、前記カムシャフトの相対回転位相が中間位相状態にある場合の燃焼条件又は最遅角状態にある場合の燃焼条件のいずれかで機関の燃焼を制御する燃焼制御手段を備える。よって、ロック判定が完了した後は、判定結果に基づいて最適な燃焼制御により機関を始動させることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0022】
[バルブタイミング制御装置]
本発明の実施形態に係るバルブタイミング制御装置について説明する。
【0023】
図1に示すように、内燃機関11のシリンダブロック11aには、各気筒毎にピストン12(図1には一つのみ図示)が往復移動可能に設けられている。このピストン12は、コネクティングロッド13を介して内燃機関11の出力軸であるクランクシャフト14に連結されている。
【0024】
また、シリンダブロック11aの上端に設けられたシリンダヘッド15と上記ピストン12との間には燃焼室16が設けられている。シリンダヘッド15にはこの燃焼室16に開口する吸気ポート17及び排気ポート18が形成され、これら吸気ポート17及び排気ポート18はそれぞれ吸気通路19及び排気通路20に接続される。それら吸気ポート17及び排気ポート18には、それぞれ吸気バルブ21及び排気バルブ22が設けられている。また、吸気通路19の途中には、スロットルバルブ(図示略)が設けられ、このスロットルバルブを迂回するように同バルブの上流側及び下流側で吸気通路19に接続するバイパス通路(図示略)が設けられている。このバイパス通路の途中には、アイドルスピードコントロールバルブ(図示略)が設けられ、このバルブの開度に応じてアイドル運転時の吸入空気量が調整される。
【0025】
また、シリンダヘッド15には、上記吸気バルブ21及び排気バルブ22を開閉駆動するための吸気カムシャフト23及び排気カムシャフト24が回転可能に支持されている。これらカムシャフト23,24には、クランクシャフト14の回転力がチェーン28及びギア31(図2参照)を介して伝達される。そして、吸気カムシャフト23が回転すると、図示しない吸気カムを介して吸気バルブ21が開閉駆動され、吸気ポート17と燃焼室16とが連通・遮断される。また、排気カムシャフト24が回転すると、これも図示しない排気カムを介して排気バルブ22が開閉駆動され、排気ポート18と燃焼室16とが連通・遮断される。
【0026】
一方、吸気通路19の下流端には、吸気ポート17内に燃料を噴射するための燃料噴射弁25が設けられている。この燃料噴射弁25は、内燃機関11の吸気行程にて吸気通路19内の空気が燃焼室16へ吸入されるとき、吸気ポート17内に燃料を噴射して燃料及び空気からなる混合気を形成する。
【0027】
また、シリンダヘッド15には、燃焼室16内に充填された混合気に対して点火を行うための点火プラグ26が設けられている。そして、燃焼室16内の混合気に対し点火が行われて混合気が燃焼すると、その燃焼エネルギーによってピストン12が往復移動してクランクシャフト14が回転し、内燃機関11が駆動される。燃焼室16内で燃焼した混合気は、内燃機関11の排気行程中にピストン12の上昇により排気として排気通路20へ送り出される。
【0028】
次に、上記内燃機関11における吸気バルブ21のバルブタイミングを可変とするバルブタイミング可変機構30について図2を参照して説明する。図2に示すように、バルブタイミング可変機構30は、上記ギア31と、吸気カムシャフト23の先端面にボルト32によって一体回転可能に固定された回転部材33とを備えている。上記ギア31は、その中心部を貫通する吸気カムシャフト23に対して相対回転可能となっている。
【0029】
また、ギア31の先端面(図中左側面)には回転部材33を囲うように設けられたリングカバー34が当接し、同リングカバー34の先端開口部は閉塞板35によって塞がれている。そして、ギア31、リングカバー34、及び閉塞板35は、ボルト36によって一体回転可能に固定されている。従って、吸気カムシャフト23及び回転部材33とに対し上記ギア31、リングカバー34、及び閉塞板35は吸気カムシャフト23の軸線Lを中心に相対回転可能となっている。
【0030】
バルブタイミング可変機構30には、上記シリンダヘッド15や吸気カムシャフト23等に図示のごとく形成された進角側油路37や遅角側油路38から作動油が供給される。このように作動油が供給されてバルブタイミング可変機構30が作動すると、クランクシャフト14に対する吸気カムシャフト23の相対回転位相が進角側又は遅角側に変更され、これに伴い吸気バルブ21のバルブタイミングも変更されるようになる。
【0031】
上記進角側油路37及び遅角側油路38は、オイルコントロールバルブ(OCV)40に接続されている。また、OCV40には供給通路50及び排出通路51が接続されている。そして、供給通路50はクランクシャフト14の回転に伴って駆動されるオイルポンプ52を介して内燃機関11の下部に設けられたオイルパン11bに繋がっており、排出通路51は直接オイルパン11bに繋がっている。
【0032】
OCV40は、所定数(この例では4つ)の弁部41を有してコイルスプリング42及び電磁ソレノイド43により、それぞれ逆の方向に付勢されるスプール44を備えている。このOCV40においては、その電磁ソレノイド43に対する電圧印加が電子制御ユニット(以下、ECUという)80によってデューティ制御されることに基づき、スプール44の位置(弁位置)が制御される。
【0033】
即ち、ECU80により電磁ソレノイド43に対する電圧印加のデューティ比Dが(50%<D≦100%)の範囲に設定されると、スプール44がコイルスプリング42の付勢力に抗して一端側(図中左側)に配置される。この状態にあっては、進角側油路37と供給通路50とが連通してオイルパン11b内の作動油がオイルポンプ52により進角側油路37へ送り出されるとともに、遅角側油路38と排出通路51とが連通して遅角側油路38内の作動油がオイルパン11b内へ戻される。
【0034】
また、ECU80により電磁ソレノイド43に対する電圧印加のデューティ比Dが(0%≦D<50%)の範囲に設定されると、スプール44がコイルスプリング42の付勢力により他端側(図中右側)に配置される。この状態にあっては、遅角側油路38と供給通路50とが連通してオイルパン11b内の作動油がオイルポンプ52により遅角側油路38に送り出されるとともに、進角側油路37と排出通路51とが連通して進角側油路37内の作動油がオイルパン11b内へ戻される。
【0035】
また、ECU80により電磁ソレノイド43に対する電圧印加のデューティ比Dが50%に設定されると、電磁ソレノイド43の電磁力とコイルスプリング42の付勢力との釣合いによりスプール44が前記一端側の位置と他端側の位置の略中間位置に配置される。この状態にあっては、進角側油路37及び遅角側油路38の双方が供給通路50に連通され、作動油がこれら各油路37,38の双方に送り出される。
【0036】
次に、バルブタイミング可変機構30における回転部材33及びリングカバー34の詳細構造について図3を参照して説明する。図3に示すように、リングカバー34の内周面34aには、吸気カムシャフト23の前記軸線L(図2参照)へ向かって突出する四つの凸部34bが、リングカバー34の周方向について所定間隔毎に形成されている。この各凸部34b間には、それぞれ凹部34cがリングカバー34の周方向について所定間隔毎に形成されている。また、回転部材33は、その外周面から各凹部34cに挿入されるように外側方へ突出する四つのベーン33aを備えている。各凹部34c及びギア31、閉塞板35によって形成される空間は、ベーン33aにより進角側圧力室53及び遅角側圧力室54に区画されている。これら進角側圧力室53及び遅角側圧力室54は、ベーン33aを回転部材33の周方向両側から挟むように位置している。そして、進角側圧力室53には回転部材33内を通過するように形成された上記進角側油路37が連通され、遅角側圧力室54にはギア31内を通過するように形成された上記遅角側油路38が連通されている。
【0037】
こうしたバルブタイミング可変機構30にあって、ECU80によりOCV40の電磁ソレノイド43に対する電圧印加のデューティ比Dが(50%<D≦100%)の範囲に設定されると、進角側油路37から進角側圧力室53へ作動油が供給されるとともに、遅角側圧力室54から遅角側油路38を介して作動油が排出される。その結果、各ベーン33aが矢印A方向へ相対移動することにより回転部材33が図中右方向に相対回動し、ギア31(クランクシャフト14)に対する吸気カムシャフト23の相対回転位相が変更される。因みに同バルブタイミング可変機構30にあっては、クランクシャフト14の回転がチェーン28等を介してギア31に伝達されると、このギア31及び吸気カムシャフト23は共に図中右方向に回転する。従って、上記矢印A方向についての各ベーン33aの相対移動が行われると、吸気カムシャフト23がクランクシャフト14に対して進角側に相対回転し、その結果、吸気バルブ21のバルブタイミングも進角するようになる。
【0038】
また、ECU80によりOCV40の電磁ソレノイド43に対する電圧印加のデューティ比Dが(0%≦D<50%)の範囲に設定されると、遅角側油路38から遅角側圧力室54へ作動油が供給されるとともに、進角側圧力室53から進角側油路37を介して作動油が排出される。その結果、各ベーン33aが矢印Aと逆方向へ相対移動することにより回転部材33が同中左方向に相対回動し、ギア31(クランクシャフト14)に対する吸気カムシャフト23の相対回転位相が上記と逆方向に変更される。同バルブタイミング可変機構30にあっては、この場合、吸気カムシャフト23がクランクシャフト14に対して遅角側に相対回転し、その結果、吸気バルブ21のバルブタイミングも遅角するようになる。
【0039】
また、ECU80により電磁ソレノイド43に対する電圧印加のデューティ比Dが50%に設定されると、各油路37,38から双方の圧力室53,54に作動油が供給される。その結果、各圧力室53,54の油圧に応じて各ベーン33aに対して作用する力が釣合い、回転部材33の相対回転が停止されるようになる。従って、この場合には、吸気バルブ21のバルブタイミングは現状のタイミングのまま維持されるようになる。
【0040】
従って、ECU80により電磁ソレノイド43に対する電圧印加のデューティ比Dを吸気カムシャフト23の実際の相対回転位相と目標位相との偏差に基づいて0〜100%の間で変更することにより、進角側圧力室53及び遅角側圧力室54に対する作動油の供給・排出が制御され、これら圧力室53,54内の油圧がフィードバック制御されることとなる。こうして進角側圧力室53及び遅角側圧力室54内の油圧をフィードバック制御することにより、吸気バルブ21のバルブタイミングを変更したり所定の状態に維持したりすることが可能になる。
【0041】
ここで、内燃機関11の始動時には、進角側圧力室53及び遅角側圧力室54から作動油が抜けた状態になっていることがあり、その場合、機関始動開始と同時に、それら圧力室53,54に作動油を供給し始めても、回転部材33に十分な油圧が作用しない。そのため、内燃機関11の始動開始から所定期間が経過するまでは、後述するロック機構60により吸気カムシャフト23の相対回転位相を上記最遅角状態と最進角状態との間の中間位相θにロック(以下、「中間位相ロック」とも呼ぶ。)するようにしている。なお、本実施形態では、この中間位相θを内燃機関11の始動に適した位相、すなわち吸気バルブ21のバルブタイミングを機関11の始動に適したタイミング(以下、始動タイミングという)に設定している。
【0042】
次に、吸気バルブ21のバルブタイミングを上記のように中間位相ロックするための構造、即ちクランクシャフト14に対する吸気カムシャフト23の相対回転位相をロックするための構造について図3及び図4を参照して説明する。
【0043】
図3に示すように、バルブタイミング可変機構30には、バルブタイミングが始動タイミングとなる状態で、吸気カムシャフト23の相対回転位相を進角側と遅角側との両方についてロックするためのロック機構60が設けられている。このロック機構60の詳細構造を図4に示す。なお、図4は、図3の4―4線部に沿った断面図であり、吸気カムシャフト23の相対回転位相を同ロック機構60によりロックした状態を示している。
【0044】
図4に示されるように、各ベーン33aの一つには吸気カムシャフト23の軸方向に延びる収容孔64が形成されている。この収容孔64には、同孔64内で往復動可能なロックピン62と、同ロックピン62をギア31側に付勢するコイルスプリング61とが収容されている。また、ギア31には、同ギア31及びベーン33aが前記始動タイミングに対応する位置にあるときに前記ロックピン62の先端部が挿入可能な穴63が形成されている。
【0045】
また、ロックピン62の外周面にはフランジ62aが形成され、収容孔64にはフランジ62aよりも閉塞板35寄りの位置でロックピン62を内嵌する筒状の保持部材65が配設されている。収容孔64においてこの保持部材65及びロックピン62により区画される環状の空間により進角側油室66が形成されている。この油室66は、通路67を介して進角側圧力室53に連通されており、同進角側圧力室53から作動油が供給されるようになっている。また、フランジ62aはロックピン62の往復動に伴って通路67の開口よりもギア31側の位置から同開口よりも保持部材65側の位置まで、その位置が変化する。一方、ギア31の穴63において、その底部とロックピン62の先端面との間には遅角側油室68が形成されている。この油室68は、通路69を介して遅角側圧力室54に連通しており、この遅角側圧力室54から作動油が供給されるようになっている。
【0046】
こうしたロック機構60は、進角側圧力室53及び遅角側圧力室54に供給される作動油の圧力、即ちこれら圧力室53,54内の油圧に応じて、吸気カムシャフト23の相対回転位相の上記中間位相ロック及び中間位相ロックの解除を行う。
【0047】
すなわち、機関稼動中にあって、ロックピン62が穴63から抜け、フランジ62aが通路67の開口よりも保持部材65側に位置しているときには(図4(b)参照)、進角側油室66の油圧によってフランジ62aは保持部材65側に付勢する付勢力あるいは遅角側油室68の油圧によりロックピン62の先端部を閉塞板35側に付勢する付勢力のいずれかにより、ロックピン62はコイルスプリング61の付勢力に抗して穴63から抜き出た状態に維持される。このときには、ロック機構60による吸気カムシャフト23の相対回転位相の進角側及び遅角側についての中間位相ロックが解除された状態に維持される。
【0048】
一方、内燃機関11の停止過程にあって、クランクシャフト14の回転速度が低下すると、前記オイルポンプ52により各圧力室53,54に送り出される作動油の量が低下する。このため、これら各圧力室53,54の油圧が低下し、それに応じてロック機構60の各油室66,68内における油圧も低下するようになる。これらの油圧がロックピン62をコイルスプリング61の付勢力に抗して収容孔64に挿入させておくことが不可能な値まで低下すると、ロックピン62がコイルスプリング61の付勢力によって収容孔64から突出しようとする。このような状態にあって、収容孔64が穴63と重なるとき、すなわちバルブタイミングが始動タイミングとなるときには、ロックピン62が突出して穴63に挿入され、吸気カムシャフト23の相対回転位相が中間位相にロックされる。
【0049】
なお、内燃機関11が停止する際に上記中間位相ロック状態に至らなくても、吸気カムシャフト23の相対回転位相が上記中間位相θよりも進角側にあれば、その後の同機関11の始動に際して、吸気カムシャフト23の相対回転位相が吸気バルブ21の開閉に伴う反力によって遅角側に変更されて中間位相θとなるときに、ロックピン62が穴63に挿入されて中間位相ロックされるようになる。
【0050】
また、ロックピン62により吸気カムシャフト23の相対回転位相が中間位相で中間位相ロックされた状態で、上記デューティ比Dが100%に設定され進角側圧力室53にのみ作動油が供給されると、上記進角側油室66の油圧によりロックピン62のフランジ62aがギア31側に付勢され、その付勢力とコイルスプリング61の付勢力とによってロックピン62が穴63側に付勢されるため、上記中間位相ロックされた状態が維持される(これを、「強制中間止め」と呼ぶ。)。
【0051】
また、内燃機関11には、吸気カムシャフト23の相対回転位相を検出したり、上記強制中間止め制御を行うタイミングを判断するための各種センサが設けられている。
【0052】
即ち、図1に示したように、内燃機関11のシリンダブロック11aにはその冷却水の温度を検出するための水温センサ55が設けられている。また、クランクシャフト14の近傍にはその回転角度を検出するためのクランクポジションセンサ56が設けられ、吸気カムシャフト23の近傍にはその回転角度を検出するためのカムポジションセンサ57が設けられている。そして、これら各センサ55〜57の出力信号は、ECU80に入力される。ECU80は、こうして入力される各センサ56,57の出力信号に基づいて吸気カムシャフト23の実際の相対回転位相を算出する。また、ECU80には、上記燃料噴射弁25、点火プラグ26及びOCV40が接続されている。そして、同ECU80は、これら燃料噴射弁25、点火プラグ26及びOCV40に対して駆動信号を出力している。このECU80は、CPU、メモリ、及び入出力ポート(いずれも図示略)等を備えて構成されている。
【0053】
[始動制御]
本発明では、前述のように機関始動時にロック機構による中間位相ロックがなされているか否かの判定(ロック判定)を行うが、その判定が完了するまでの間は、機関の状態に応じて、始動性やエミッションなどが適切となるように、燃焼制御を行う。ここで、燃焼制御とは、燃料噴射量、燃料の噴射時期、点火時期などの制御を含む。
【0054】
(第1実施例)
まず、本発明による始動制御の第1実施例を説明する。第1実施例では、機関始動時のロック判定完了までの間は、冷却水の水温に基づいて機関の始動環境の良否を判定し、それに基づいて燃焼制御を行う。
【0055】
ロック機構により吸気カムシャフト23の相対回転位相が中間位相ロックされている場合には、機関の始動性は高くなる。これは、吸気カムシャフト23が中間位相ロックされている状態では、バルブオーバーラップが生じ、吸気バルブ21と排気バルブ22の双方が同時に開状態となる期間が存在するために、排気が吸気側へ吹き返し、これにより燃料の霧化が促進されるなどの理由からである。よって、吸気カムシャフト23が中間位相ロックされている場合は、最小限の燃料を効率的に使用して期間を始動させることが可能となり、エミッションが向上する。
【0056】
これに対し、吸気カムシャフト23が中間位相ロックされていない場合には、通常は吸気カムシャフト23は最遅角状態となるため、機関の始動にはより多くの燃料を必要とする。よって、冷却水が極低温である場合などの始動性が悪い条件下において、中間位相ロック状態と同じ燃焼制御を行った場合には、機関の始動に失敗する可能性が増加する。また、機関の始動に失敗した場合は、再度燃料噴射を行って機関を始動させるため、トータルの燃料噴射量は結局増大し、エミッションも悪化することになる。
【0057】
そこで、第1実施例では、機関始動時において、ロック判定が完了するまでの間は、冷却水の水温に基づいて機関の始動環境が良好であるか否か、即ち機関が始動しやすい状態であるか否かを判定する。そして、冷却水の水温が所定の極低温範囲に属する場合には、始動環境が良くない、即ち機関が始動しにくい状態であると判断し、中間位相ロックがなされていない場合と同様の燃焼制御を実行する。一方、冷却水の水温が所定の極低温範囲に属しない場合には、始動環境は良好である、即ち機関が始動しやすい状態であると判断し、中間位相ロックがなされている場合と同様の燃焼制御を実行する。
【0058】
ここで重要なことは、これらの制御が、実際に中間位相ロックがなされているか否かに拘わらず行われる点である。前述のように、機関始動時におけるロック判定はクランクシャフト14や吸気カムシャフト23の回転の検出結果に基づいてECU80が行うものである。よって、ロック判定が完了するためには、機関がある程度回転することにより、クランクシャフト14や吸気カムシャフト23が回転することが必要となり、ある程度の時間が必要となる。そこで、機関の始動指示がなされた後、ロック判定が完了するまでの間の期間においては、実際に中間位相ロックがなされているか否かに拘わらず、冷却水の水温に基づいて始動環境を判定し、燃焼制御を行うのである。
【0059】
具体的には、冷却水の水温が極低温である場合は中間位相ロックがなされていない状態、即ち吸気カムシャフト23の相対回転位相が最遅角状態にある場合と同様の燃焼制御を行う。中間位相ロックがなされていない場合には、通常よりも燃料噴射量などを多少増加させ、始動性優先の制御を行うので、冷却水の水温が極低温である場合でも確実に機関を始動させることが可能となる。一方、冷却水の水温が極低温でない場合は、中間位相ロックがなされている状態と同様の燃焼制御を行う。中間位相ロックがなされている場合には、最小限の燃料噴射量により始動制御を行うので、エミッションの悪化を防止することができる。こうして、ロック判定が完了するまでの期間においても、適切な始動制御を開始することが可能となる。
【0060】
図5に、第1実施例に係る機関の始動制御のフローチャートを示す。なお、図5に示す始動制御は、機関の始動時に、ECU80が各種センサの出力信号を参照することにより実行する。
【0061】
まず、ECU80は中間位相ロック要求中であるか否かを判定する(ステップS1)。通常、機関の始動時にはECU80は中間位相ロック要求を設定し、ロック機構により吸気カムシャフト23が中間位相にロックされるように制御する。但し、機関の始動に成功した後には中間位相ロック要求は解除される。例えば機関始動指示後、所定時間が経過したとき、又は、実際に機関が始動し冷却水の水温がある所定温度以上まで上昇したときなどに、ECU80は機関の始動が完了したものとして中間位相ロック要求を解除する。よって、その後は中間位相ロック要求中ではなくなる。
【0062】
いま、始動制御の初期段階であり、中間位相ロック要求中であるとすると(ステップS1;Yes)、ECU80はロック状態の判定が完了したか否かを判断する(ステップS2)。ロック状態の判定は、前述のように、例えばクランクシャフト14の回転や吸気カムシャフト23の回転を、それぞれクランクポジションセンサ56及びカムポジションセンサ57により検出し、ECU80が吸気カムシャフト23の相対回転位相を算出することなどにより行う。
【0063】
未だロック状態の判定が完了していない場合(ステップS2:No)、ECU80は水温センサ55の出力信号に基づいて、冷却水の水温が所定の極低温であるか否かを判定する(ステップS3)。極低温範囲は、例えば−10°C以下などに設定することができる。冷却水の水温が極低温範囲にある場合には、機関の始動性が悪くなるので、燃料噴射量を多めにするなどして、始動性を向上させる必要がある。よって、冷却水の水温が極低温範囲にある場合(ステップS3:Yes)、ECU80はロック保持制御としてロック機構のロックピン62が抜けないように油圧制御を行う(ステップS5)とともに、吸気カムシャフト23の相対回転位相の状態フラグなどを最遅角状態に設定する(ステップS9)。一方、ステップS3で冷却水の水温が極低温範囲外であると判断された場合、ECU80はロック保持制御を行うとともに(ステップS6)、吸気カムシャフト23の相対回転位相の状態フラグなどを中間位相状態に設定する(ステップS10)。
【0064】
このように、本実施例では、ロック判定が完了する以前の状態においては、実際に吸気カムシャフト23が中間位相ロック状態にあるか否かに拘わらず、冷却水の水温に応じて吸気カムシャフト23の相対回転位相の状態を設定する。これにより、冷却水の水温が極低温である場合、即ち機関の始動環境が悪い場合には、最遅角状態からの始動制御を行うことにより始動性を向上させる。一方、冷却水の水温が極低温でない場合には、燃料噴射量が多少少な目でも機関の始動は可能であるので、吸気カムシャフト23の相対回転位相を中間位相状態に設定する。これにより、必要以上の燃料噴射を防止して、エミッションの悪化を防止する。
【0065】
さて、ステップS2でロック状態の判定が完了した後は、ECU80は判定結果に応じて始動時における燃焼制御を行う。即ち、ロック状態であった場合(ステップS4;Yes)、ECU80はロック状態を保持する(ステップS6)とともに、吸気カムシャフト23の相対回転位相を中間位相状態に設定する(ステップS10)。また、ロック状態でなかった場合(ステップS4;No)、ECU80はロック状態を保持するためのロック保持制御を停止する(ステップS7)。ロック保持制御を停止すると、進角側圧力室53への作動油の供給が停止され、吸気バルブ21の開閉駆動に伴う反力によって吸気カムシャフト23の相対回転位相が最遅角状態となる。よって、ECU80は吸気カムシャフト23の相対回転位相を最遅角状態に設定する(ステップS11)。
【0066】
また、機関が始動し、先に例示したような中間位相ロック要求の解除条件が具備されると(ステップS1;No)、その後ECU80は通常の吸気カムシャフト23の通常制御を実行し(ステップS8)、吸気カムシャフト23の相対回転位置を通常制御状態に設定する(ステップS12)。なお、通常制御とは、ECU80がOCV40をデューティ制御することにより、各時点における目標位相に向かって吸気カムシャフト23の相対回転位相を油圧によりフィードバック制御するものである。
【0067】
こうして、吸気カムシャフト23の相対回転位相は、最遅角状態、中間位相状態又は通常制御状態のいずれかに設定される。その後、ECU80は、これらの設定状態に応じて燃焼制御、即ち、燃料の噴射量制御、噴射時期制御及び点火時期制御を実行する。噴射量制御のフローチャートを図6に、噴射時期制御のフローチャートを図7に、点火時期制御のフローチャートを図8に示す。
【0068】
まず、図6を参照して噴射量制御を説明する。ECU80は、前述の始動制御において設定された吸気カムシャフト23の相対回転位相状態が通常制御状態であるか否かを判定し(ステップS21)、通常制御状態である場合は通常制御において適切な燃料噴射量を算出する(ステップS23)。また、通常制御状態でない場合は、ECU80は吸気カムシャフト23の相対回転位相が中間位相状態であるか否かを判定し(ステップS22)、中間位相状態である場合は中間位相状態、即ち吸気カムシャフト23の相対回転位相が中間位相にロックされた状態において適した燃料噴射量を算出する(ステップS24)。また、中間位相状態でない場合は、ECU80は最遅角状態、即ち、吸気カムシャフト23の相対回転位相が最遅角位置にある場合に適切な燃料噴射量を算出する(ステップS25)。なお、前述のように、最遅角状態において算出される燃料噴射量は、中間位相状態において算出される燃料噴射量よりも多くなる。
【0069】
次に、図7を参照して噴射時期制御を説明する。ECU80は、前述の始動制御において設定された吸気カムシャフト23の相対回転位相状態が通常制御状態であるか否かを判定し(ステップS31)、通常制御状態である場合は通常制御において適切な噴射時期を算出する(ステップS33)。また、通常制御状態でない場合は、ECU80は吸気カムシャフト23の相対回転位相が中間位相状態であるか否かを判定し(ステップS32)、中間位相状態である場合は中間位相状態、即ち吸気カムシャフト23の相対回転位相が中間位相にロックされた状態において適した噴射時期を算出する(ステップS34)。また、中間位相状態でない場合は、ECU80は最遅角状態、即ち、吸気カムシャフト23の相対回転位相が最遅角位置にある場合に適した噴射時期を算出する(ステップS35)。
【0070】
次に、図8を参照して点火時期制御を説明する。ECU80は、前述の始動制御において設定された吸気カムシャフト23の相対回転位相状態が通常制御状態であるか否かを判定し(ステップS41)、通常制御状態である場合は通常制御により適切な点火時期を算出する(ステップS43)。また、通常制御状態でない場合は、ECU80は吸気カムシャフト23の相対回転位相が中間位相状態であるか否かを判定し(ステップS42)、中間位相状態である場合は中間位相状態、即ち吸気カムシャフト23の相対回転位相が中間位相にロックされた状態において適した点火時期を算出する(ステップS44)。また、中間位相状態でない場合は、ECU80は最遅角状態、即ち、吸気カムシャフト23の相対回転位相が最遅角位置にある場合に適した点火時期を算出する(ステップS45)。
【0071】
以上のように、第1実施例では、機関始動時にロック判定が完了するまでの間は、冷却水の水温などに基づいて機関の始動環境の良否を判定し、その結果に基づいて燃料噴射量の制御などの燃焼制御を行う。よって、ロック判定が完了する前の段階においても、適切な始動制御を行うことが可能となる。
【0072】
(第2実施例)
次に、第2実施例の始動制御について説明する。第1実施例では、機関始動時の始動制御において、吸気カムシャフト23の相対回転位相のロック判定が完了する前の段階では、実際のロックの有無に拘わらず冷却水の水温に応じて位相状態を設定し、燃焼制御を行った。これに対し、本実施例では、ロック判定完了前の段階では燃料噴射を停止し、ロック判定が完了した後、判定結果に応じて適切な燃焼制御を行うことでエミッションを最適化するものである。
【0073】
第2実施例による始動制御のフローチャートを図9に示す。図9においては、ステップS52においてロック状態の判定が完了していないと判断された場合の処理(ステップS54及びS58)のみが図5に示す第1実施例と異なる。
【0074】
図9を参照すると、まずECU80は中間位相ロックの要求中であるか否かを判定し(ステップS51)、要求中である場合にはロック状態の判定が完了したか否かを判断する(ステップS52)。ロック状態の判定が完了していない場合(ステップS52;No)、ECU80はロック保持制御を行い(ステップS54)、吸気カムシャフト23の相対回転位相を未確定状態に設定する(ステップS58)。
【0075】
一方、ロック状態の判定が完了した場合(ステップS52;Yes)、ECU80は判定結果に応じて処理を行う。即ち、ロック状態であった場合(ステップS53;Yes)、ロック保持制御を行い(ステップS55)、吸気カムシャフト23の相対回転位相を中間位相状態に設定する(ステップS59)。一方、ロック状態でなかった場合(ステップS53;No)、ECU80はロック保持制御を停止し(ステップS36)、吸気カムシャフト23の相対回転位相を最遅角状態に設定する(ステップS60)。また、ステップS51において中間位相ロック要求中でない場合には通常制御を行い(ステップS57)、吸気カムシャフト23の相対回転位相を通常制御状態に設定する(ステップS61)。こうして、吸気カムシャフト23の相対回転位相は、未確定状態、中間位相状態、最遅角状態又は通常制御状態のいずれか1つに設定される。
【0076】
次に、この設定に従って燃焼制御が行われる。燃焼制御の一例として、噴射量制御のフローチャートを図10に示す。まず、ECU80は、吸気カムシャフト23の相対回転位相が通常制御状態であるか否かを判定し、通常制御状態である場合には、通常制御状態に適した燃料噴射量を算出する(ステップS73)。また、通常制御状態でない場合は、中間位相状態であるか否かを判定し(ステップS72)、中間位相状態である場合は、中間位相状態に適した燃料噴射量を算出する(ステップS74)。また、中間位相状態でない場合は、最遅角状態であるか否かを判定し(ステップS76)、最遅角状態である場合は、最遅角状態に適した燃料噴射量を算出する(ステップS75)。そして、最遅角状態でもない場合には、吸気カムシャフト23の相対回転位相が未確定状態であるので、燃料噴射量を「0」に設定する(ステップS77)。
【0077】
このように、第2実施例では、ロック判定が完了する間での間は燃料噴射を禁止し、ロック判定が完了した後でその判定結果に応じて適切な燃焼制御を行う。これにより、吸気カムシャフト23の相対回転位相が不明な状態で不要な燃料噴射を行うことを防止し、エミッションを向上させることができる。なお、第2実施例においては、燃料噴射を停止している間は噴射時期及び点火時期に特に制約はない。
【0078】
(変形例)
上記の第2実施例では、エミッションを良好にすることを最優先し、ロック状態の判定が完了するまでの間は燃料噴射を停止している。その代わりに、第1実施例のようにロック状態の判定が完了する前の段階では基本的に冷却水の水温に応じて吸気カムシャフト23の相対回転位相を設定し、冷却水の水温が極低温でない場合、即ちステップS3の判定結果がNoの場合には吸気カムシャフト23の相対回転位相を中間位相状態に設定するとともに、燃料噴射を禁止することとしてもよい。この方法によれば、ロック判定以前の段階において、冷却水が極低温である場合には始動性をある程度優先させて燃料噴射を実施し、そうでない場合には燃料噴射を停止してエミッションの向上を優先させることができる。
【0079】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、吸気カムシャフトの相対回転位相をロックする機構を有する始動制御装置において、機関始動時にロック判定が完了するまでの間は、冷却水の水温などを参照して始動環境の良否を判定し、その結果に応じて吸気カムシャフトの相対回転位相を設定するので、始動環境に応じて適切な始動制御が可能となり、始動性やエミッションの向上が図れる。また、機関始動時にロック判定が完了するまでの間は、状況に応じて燃料噴射を停止することにより、エミッションを最優先とした始動制御も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るバルブタイミング制御装置が適用される内燃機関の構造を示す。
【図2】本発明の実施形態に係るバルブタイミング可変機構への作動油の供給機構を示す。
【図3】図2に示すバルブタイミング可変機構の内部構造を示す断面図である。
【図4】図3の4−4線に沿った断面図である。
【図5】第1実施例に係る始動制御のフローチャートである。
【図6】第1実施例における燃料の噴射量制御のフローチャートである。
【図7】第1実施例における燃料の噴射時期制御のフローチャートである。
【図8】第1実施例における点火時期制御のフローチャートである。
【図9】第2実施例に係る始動制御のフローチャートである。
【図10】第2実施例における燃料の噴射量制御のフローチャートである。
【符号の説明】
11 内燃機関
14 クランクシャフト
21 吸気バルブ
22 排気バルブ
30 バルブタイミング可変機構
40 オイルコントロールバルブ(OCV)
80 電子制御ユニット(ECU)
Claims (7)
- 内燃機関のクランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相を変更するバルブタイミング可変機構と、
前記カムシャフトの相対回転位相を最遅角状態と最進角状態との間の中間位相にロックするロック手段と、
前記カムシャフトの相対回転位相が前記ロック手段により前記中間位相にロックされているか否かを判定するロック判定手段と、
前記内燃機関の始動時において、前記ロック判定手段による判定が完了するまでの間に、前記内燃機関の始動環境が良好か否かを判定する始動環境判定手段と、
前記始動環境が良好であると判定されたときに前記カムシャフトの相対回転位相が中間位相状態にある場合の燃焼条件で機関の始動を行い、前記始動環境が良好でないと判断されたときに前記カムシャフトの相対回転位相が最遅角状態にある場合の燃焼条件で機関の燃焼を制御する燃焼制御手段と、を備えることを特徴とする内燃機関の始動制御装置。 - 前記始動環境判定手段は、
前記内燃機関の冷却水の水温を検出する水温センサと、
前記水温が所定の極低温範囲外にある場合に前記始動環境を良好と判定し、前記水温が前記極低温範囲内にある場合に前記始動環境を良好でないと判定する手段と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の始動制御装置。 - 前記燃焼条件は、燃料噴射量、燃料の噴射時期及び点火時期の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の始動制御装置。
- 前記燃焼条件は燃料噴射量を含み、前記カムシャフトの相対回転位相が最遅角状態にある場合の燃料噴射量は、前記カムシャフトの相対回転位相が中間位相状態にある場合の燃料噴射量より多いことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の始動制御装置。
- 前記燃焼制御手段は、前記ロック判定手段による判定が完了した後は、判定結果に基づき、前記カムシャフトの相対回転位相が中間位相状態にある場合の燃焼条件又は最遅角状態にある場合の燃焼条件のいずれかで機関の燃焼を制御することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の始動制御装置。
- 内燃機関のクランクシャフトに対するカムシャフトの相対回転位相を変更するバルブタイミング可変機構と、
前記カムシャフトの相対回転位相を最遅角状態と最進角状態との間の中間位相にロックするロック手段と、
前記カムシャフトの相対回転位相が前記ロック手段により前記中間位相にロックされているか否かを判定するロック判定手段と、
前記内燃機関の始動時において、前記ロック判定手段による判定が完了するまでの間は、前記内燃機関における燃料噴射を禁止する噴射禁止手段と、を備えることを特徴とする内燃機関の始動制御装置。 - 前記ロック判定手段による判定が完了した後は、判定結果に基づき、前記カムシャフトの相対回転位相が中間位相状態にある場合の燃焼条件又は最遅角状態にある場合の燃焼条件のいずれかで機関の燃焼を制御する燃焼制御手段を備えることを特徴とする請求項6に記載の内燃機関の始動制御装置。
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