JP2004340018A - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】吸気側及び排気側の2つの可変バルブタイミング機構を備える内燃機関において、供給油圧の不足時にも好適な機関運転を可能とする内燃機関のバルブタイミング制御装置を提供する。
【解決手段】機関始動後、機関回転速度が第1の回転速度NE1を超えたときに(S100:YES)、吸気側の可変バルブタイミング機構の作動が許可され(S140)、更に機関回転速度が第1の回転速度NE1よりも高い第2の回転速度NE2を超えたときに(S120:YES)、排気側の可変バルブタイミング機構の作動が許可される(S140)。これにより、機関始動時のような供給油圧が不足した状況においては、体積効率の向上に貢献する吸気側の可変バルブタイミング機構が優先的に作動される。
【選択図】 図5
【解決手段】機関始動後、機関回転速度が第1の回転速度NE1を超えたときに(S100:YES)、吸気側の可変バルブタイミング機構の作動が許可され(S140)、更に機関回転速度が第1の回転速度NE1よりも高い第2の回転速度NE2を超えたときに(S120:YES)、排気側の可変バルブタイミング機構の作動が許可される(S140)。これにより、機関始動時のような供給油圧が不足した状況においては、体積効率の向上に貢献する吸気側の可変バルブタイミング機構が優先的に作動される。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、共通の油圧発生源から供される油圧によって各駆動され、吸気バルブ及び排気バルブのバルブタイミングをそれぞれ可変とする2つの可変バルブタイミング機構を備える内燃機関に適用されるバルブタイミング制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、出力性能や燃費性能、排気性能といった機関性能の向上を目的として、機関バルブである吸・排気バルブのバルブタイミングを機関運転状況に応じて可変とする可変バルブタイミング機構が、車載用等の内燃機関に広く採用されている。
【0003】
そうした可変バルブタイミング機構の多くは、機関出力軸であるクランクシャフトに駆動連結されてその回転に応じて作動されるオイルポンプの発生する油圧によって、駆動されるようになっている。またそうした油圧駆動式の可変バルブタイミング機構の多くは、機関停止中や機関始動時などのような油圧の確保の困難な時期に、機関バルブのバルブタイミングを機械的に保持しておくためのロック機構を備えている。そうしたロック機構は、可変バルブタイミング機構への油圧供給に応じてバルブタイミングの保持を解除するよう構成されている。
【0004】
また近年には、例えば特許文献1に見られるように、可変バルブタイミング機構を、吸気側及び排気側の双方にそれぞれ備える内燃機関が提案され、実用されてもいる。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−218035号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような内燃機関では、機関始動直後などでは、唯でさえ低い油圧が双方の可変バルブタイミング機構に分配されてしまい、いずれの可変バルブタイミング機構においても、ロック機構の解除やその作動に必要な油圧が不足することがある。そしてその結果、バルブタイミングが吸・排気バルブ双方共に、機関運転状況に応じた適切なタイミングからずれてしまい、機関性能を存分に発揮できなくなってしまう虞がある。
【0007】
本発明はこうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、吸気側及び排気側の2つの可変バルブタイミング機構を備える内燃機関において、油圧不足時にも好適な機関運転を可能とする内燃機関のバルブタイミング制御装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以下、上述した目的を達成するための手段及びその作用効果を記載する。
請求項1に記載の発明は、共通の油圧発生源から供される油圧によって各駆動されて、吸気バルブ及び排気バルブのバルブタイミングをそれぞれ可変とする2つの可変バルブタイミング機構を備える内燃機関に適用される内燃機関のバルブタイミング制御装置であって、機関始動の開始後、まず前記吸気側の可変バルブタイミング機構の作動を開始させ、その後に前記排気側の可変バルブタイミング機構の作動を開始させることをその要旨とする。
【0009】
上記構成では、内燃機関の吸気バルブ及び排気バルブのバルブタイミングが、共通の油圧発生源から供される油圧によって各駆動される2つの可変バルブタイミング機構によってそれぞれ可変とされている。そのため、機関始動直後のような油圧発生源から供される油圧が不足した状況では、上記2つの可変バルブタイミング機構の作動を同時に開始することが困難となる。
【0010】
その点、上記構成では、まず吸気側の可変バルブタイミング機構の作動が優先的に開始されるようになっている。これにより、双方の可変バルブタイミング機構に油圧が分配されることなく、吸気側のみに集約して油圧が供給されるため、より低い油圧で吸気側の可変バルブタイミング機構の作動を開始することができる。なお始動直後のような内燃機関の低回転運転域では、吸気バルブのバルブタイミングの変更は、排気バルブのバルブタイミングの変更に比して、より顕著な機関性能の向上をもたらす。そのため、上記構成によれば、油圧不足時にも好適な機関運転を確保することができる。
【0011】
また請求項2に記載の発明は、共通の油圧発生源から供される油圧によって各駆動されて、吸気バルブ及び排気バルブのバルブタイミングをそれぞれ可変とする2つの可変バルブタイミング機構を備える内燃機関に適用される内燃機関のバルブタイミング制御装置であって、機関始動の開始後、機関回転速度が第1の回転速度を超えたときに前記吸気側の可変バルブタイミング機構の作動を開始し、更に機関回転速度が前記第1の回転速度よりも高い第2の回転速度を超えたときに前記排気側の可変バルブタイミング機構の作動を開始することをその要旨とする。
【0012】
上記構成では、吸気側の可変バルブタイミング機構の作動の開始が許容される第1の回転速度よりも、排気側の可変バルブタイミング機構の作動の開始が許容される第2の回転速度が高く設定されているため、吸気側の可変バルブタイミング機構の作動が優先的に開始される。そのため、上記構成によっても請求項1に記載の発明と同様に、油圧不足時にも好適な機関運転を確保することができる。
【0013】
また請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記2つの可変バルブタイミング機構は、前記油圧の非供給時に前記バルブタイミングを機械的に保持するロック機構をそれぞれ備えて構成されてなることをその要旨とする。
【0014】
油圧非供給時にバルブタイミングを機械的に保持するロック機構を備える可変バルブタイミング機構では、その作動を開始させるためにはまずロック機構を解除させなければならず、その作動の開始により高い油圧が必要となる。上記のように吸気側の可変バルブタイミング機構の作動を優先的に開始させれば、そうしたロック機構付き可変バルブタイミング機構を採用した内燃機関であれ、より早期から好適な機関運転が可能となる。
【0015】
また請求項4に記載の発明は、共通の油圧発生源から供される油圧によって各駆動されて、吸気バルブ及び排気バルブのバルブタイミングをそれぞれ可変とし、且つ前記油圧の非供給時に前記バルブタイミングを機械的に保持するロック機構をそれぞれ備える2つの可変バルブタイミング機構を備える内燃機関に適用される内燃機関のバルブタイミング制御装置であって、機関回転速度が第1の回転速度以下のときには、前記吸気側の可変バルブタイミング機構の駆動を禁止し、更に機関回転速度が前記第1の回転速度よりも高い第2の回転速度以下のときには前記排気側の可変バルブタイミング機構の駆動を禁止する禁止手段を備えることをその要旨とする。
【0016】
上記構成では、吸気側の可変バルブタイミング機構の作動の禁止される第1の回転速度よりも、排気側の可変バルブタイミング機構の作動の禁止される第2の回転速度が高く設定されているため、吸気側の可変バルブタイミング機構の作動が優先的に開始される。そのため、上記構成によっても請求項1に記載の発明と同様に、油圧不足時にも好適な機関運転を確保することができる。
【0017】
また請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記禁止手段は、前記排気側の可変バルブタイミング機構の作動が一旦許可された後は、機関回転速度が前記第2の回転速度以下となっても、その作動を継続させることをその要旨とする。
【0018】
一旦ロック機構が解除されると、その解除に必要な油圧よりも低い油圧でも可変バルブタイミング機構の作動を継続することはできる。そのため、作動が一旦許可されてロック機構が解除された後は、第2の回転速度以下となっても、それから機関回転速度がある程度低下するまでは、排気側の可変バルブタイミング機構の作動の継続は可能である。よって上記構成のように、排気側の可変バルブタイミング機構の作動の可否を決定することで、排気バルブのバルブタイミング制御の実行領域を拡大することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を、図を参照して詳細に説明する。
図1に、本実施の形態の適用される内燃機関10及びその制御系の構成を示す。
【0020】
同図に示す内燃機関10の機関出力軸であるクランクシャフト11の一端には、クランクプーリ12が一体回転可能に固定されている。クランクプーリ12は、排気側カムシャフトの一端に配設された排気側カムプーリ14、及び吸気側カムシャフトの一端に配設された吸気側カムプーリ15に、タイミングベルト13を介して駆動連結されている。排気側カムプーリ14及び吸気側カムプーリ15はそれぞれ、排気側、吸気側の可変バルブタイミング機構16、17を介して排気側及び吸気側カムシャフトにそれぞれ接続されている。一方、クランクシャフト11は、例えばタイミングベルト等を介してオイルポンプ18にも駆動連結されている。
【0021】
こうした内燃機関10の制御系は、電子制御装置20を中心に構成されている。電子制御装置20は、機関制御に係る各種処理を実施するCPUや、機関制御に必要な各種情報の記憶されるメモリ、外部との情報の入出力を司る入力ポート、出力ポート等を備えて構成されている。電子制御装置20の入力ポートには、機関回転速度を検出する回転速度センサ21やイグニッションスイッチ22などの機関制御に必要な情報を検出する各種のセンサ類が接続されている。
【0022】
図2に、上記吸気側の可変バルブタイミング機構17の斜視断面構造を示す。以下、同図に基づいて可変バルブタイミング機構17の構成を説明する。
同図に示すように、吸気側の可変バルブタイミング機構17は、吸気バルブを開閉させるカム30aの配設された吸気側カムシャフト30の一端に配設されており、大きくは、ベーンロータ31とハウジング32とを備えて構成されている。
【0023】
可変バルブタイミング機構17の配設された吸気側カムシャフト30の端部には、同吸気側カムシャフト30に対して相対回動可能に上記吸気側カムプーリ15が配設されている。そして上記ハウジング32は、その吸気側カムプーリ15に一体回転可能に固定されている。
【0024】
ハウジング32の内部には、同ハウジング32に対してベーンロータ31が相対回動可能に収容されている。ベーンロータ31は、吸気側カムシャフト30に一体回転可能に固定されている。ベーンロータ31の外周には、複数(同図では4つ)のベーン34が形成されており、各ベーン34は、ハウジング32の内周に形成されたそのベーン34と同数の凹部35内に、それぞれ周方向に移動可能に収容されている。各ベーン34の周方向両側には、ベーンロータ31の外周面やハウジング32の内周面等によって区画されて、油圧の導入される2つの油室がそれぞれ形成されている。ここでは、これら油室のうち、ベーン34に対して吸気側カムシャフト30の反回転方向に形成されたものを「遅角室37」といい、回転方向に形成されたものを「進角室36」という。
【0025】
なお、こうした可変バルブタイミング機構17の上記ベーン34の一つには、油圧供給の途絶える機関停止中などに、バルブタイミングを機械的に保持するロック機構40が配設されている。
【0026】
図3に、そうしたロック機構40及びその周辺部の断面構造を示す。同図(a)は、ロック機構40によって、吸気側カムプーリ15と吸気側カムシャフト30とが一体回転するようにロックされているときの状態を、同図(b)はそのロックが解除されたときの状態をそれぞれ示している。
【0027】
同図に示すように、ベーンロータ31のベーン34の一つには、回転軸方向に延びる貫通孔34aが形成されており、その内部にはロックピン41がその延伸方向に往復動可能に配設されている。またその貫通孔34a内には、コイルスプリング42が配設されており、そのばね力によってロックピン41が吸気側カムプーリ15側に付勢されている。
【0028】
吸気側カムプーリ15には、上記ロックピン41先端部と係合可能なロック穴43が形成されている。ロック穴43は、ハウジング32に対する相対回動範囲の最遅角位置にベーンロータ31が位置しているときに、上記ロックピン41の先端と対向する位置に形成されている。
【0029】
上記貫通孔34a内及びロック穴43内には、上記遅角室37内及び進角室36内への油圧の導入と同時に油圧が導入されるようになっている。こうして導入された油圧によって、上記ロックピン41は、上記コイルスプリング42の付勢力に抗する側に押圧されるようになっている。
【0030】
さて上記遅角室37内及び進角室36内に十分な油圧が導入されていない状態で、ベーンロータが上記最遅角位置に位置されていると、コイルスプリング42の付勢力によって同図(a)に示すようにロックピン41先端がロック穴43内に嵌入され、係合される。これにより、ベーンロータ31とハウジング32との相対回動が規制されて、吸気側カムプーリ15と吸気側カムシャフト30とは一体回転可能にロックされる。そしてその結果、吸気バルブのバルブタイミングは、その可変範囲の最遅角に固定保持される。
【0031】
ここで上記遅角室37内及び進角室36内の少なくとも一方に十分な油圧が導入されると、同図(b)に示すようにその油圧によってロックピン41がロック穴43内から離脱する。これにより、ベーンロータ31とハウジング32との相対回動の規制が解除され、可変バルブタイミング機構17の作動が、すなわち吸気バルブのバルブタイミングの変更が許容されるようになる。
【0032】
排気側の可変バルブタイミング機構16も、以上説明した吸気側の可変バルブタイミング機構17と概ね共通した構成となっている。ただし排気側の可変バルブタイミング機構16では、ハウジング32に対するベーンロータ31の相対回動範囲の最進角位置にて、上記ロック機構40による相対回動の規制がなされるようになっている。
【0033】
図4に、これら排気側、吸気側の可変バルブタイミング機構16、17の油圧制御回路の構成を示す。同図に示すように、これら可変バルブタイミング機構(VVT)16,17の油圧制御回路には、上記オイルポンプ18及び2つの油圧制御弁(OCV)24,25が配設されている。
【0034】
オイルポンプ18の吸入側は、内燃機関10の潤滑等に供されるオイルが一時貯留されるオイルパン23に接続され、その吐出側は油圧供給路L1に接続され、その油圧供給路L1の上流側は、上記油圧制御弁24,25のそれぞれに接続されている。
【0035】
各油圧制御弁24,25には、上記油圧供給路L1に加え、オイルパン23内にオイルを還流するためのドレイン通路L2が接続されている。更に各油圧制御弁24,25は、吸気側及び排気側の可変バルブタイミング機構16,17の遅角室37及び進角室36がそれぞれ接続されている。油圧制御弁24,25は、電子制御装置20によって駆動制御される電磁ソレノイド弁で、上記油圧供給路L1及びドレイン通路L2に対して、各対応する可変バルブタイミング機構16,17の遅角室37及び進角室36のいずれかを選択的に連通可能となっている。
【0036】
続いて、以上のように構成された本実施の形態では、吸排気バルブのバルブタイミング制御の概要を説明する。
内燃機関10の始動開始時には、吸気側、排気側の両可変バルブタイミング機構16,17はそれぞれ、上記ロック機構40によりロックされた状態となっている。すなわち、吸気側の可変バルブタイミング機構17は、ベーンロータ31とハウジング32との相対回動が最遅角位置にて規制され、排気側の可変バルブタイミング機構16は、それらの相対回動が最進角位置にて規制された状態となっている。
【0037】
なお、本実施の形態では、このときの最遅角のバルブタイミングに設定された吸気バルブでは、その閉時期が圧縮行程中期頃まで遅角されている。ここでは、そうした吸気バルブの閉時期の遅角を通じて内燃機関10の実圧縮比を低下させて、始動中のクランクシャフト11の回転反力を低減させることで、始動性の向上を図るようにしている。また最進角に設定されたこのときの排気バルブのバルブタイミングについても、始動性の向上に最適なタイミングとなっている。
【0038】
さて内燃機関10の始動が開始され、クランクシャフト11が回転されると、その回転に応じてオイルポンプ18が作動され、両可変バルブタイミング機構16,17に供される油圧が発生される。そして機関回転速度が高まり、十分な油圧が確保されると、各可変バルブタイミング機構16,17の作動が許可される。
【0039】
各可変バルブタイミング機構16,17は、以下の態様でその作動が開始されている。吸気側の可変バルブタイミング機構17の作動が許可されると、電子制御装置20は、その遅角室37と上記油圧供給路L1とを連通させるように油圧制御弁25を制御して、まず遅角室37に油圧を供給する。こうして遅角室37に油圧が供給されると、その油圧によりロック機構40のロックピン41がロック穴43から離脱され、ロックが解除され、ハウジング32に対するベーンロータ31の相対回動が許容される。このとき、遅角室37内には既に油圧が導入されているため、ロックが解除されても、ベーンロータ31は最遅角位置に保持される。一方、排気側の可変バルブタイミング機構17の作動が許可されたときには、その進角室36に油圧を供給して、ロック機構40によるロックを解除させている。
【0040】
こうして各可変バルブタイミング機構16,17の作動が開始されると、電子制御装置20は、機関回転速度や機関負荷等の機関運転状態に基づいて、吸排気バルブのバルブタイミングの制御目標値を設定する。そして実際のバルブタイミングがその制御目標値と一致するように、上記油圧制御弁24,25の作動がフィードバック制御される。
【0041】
例えば実際のバルブタイミングがその制御目標値よりも遅角側にあるときには、進角室36と油圧供給路L1とを連通させると共に、遅角室37とドレイン通路L2とを連通させるように、対応する油圧制御弁24,25が制御される。これにより、進角室36の油圧が高められ、遅角室37の油圧が低下されるようになり、可変バルブタイミング機構16,17のベーンロータ31がハウジング32に対して進角側に相対回動されて、バルブタイミングが進角側に変更される。
【0042】
一方、実際のバルブタイミングがその制御目標値よりも遅角側にあるときには、進角室36とドレイン通路L2とを連通させると共に、遅角室37と油圧供給路L1とを連通させるように、対応する油圧制御弁24,25が制御される。これにより、進角室36の油圧が低下され、遅角室37の油圧が高められるようになり、可変バルブタイミング機構16,17のベーンロータ31がハウジング32に対して遅角側に相対回動されて、バルブタイミングが遅角側に変更される。
【0043】
そして以上のような油圧制御弁24,25のフィードバック制御を通じて、吸排気バルブのバルブタイミングが、機関運転状況に応じた最適なタイミングに設定されるようになっている。例えば内燃機関10の高負荷低中速回転運転域では、吸気バルブの閉時期を早い時期に設定することで、体積効率を増大させて、内燃機関10の中低速トルクが向上されている。また内燃機関の中負荷運転域では、吸気バルブの開時期を早い時期に設定することで、吸排気バルブのバルブオーバーラップを拡大し、内部EGRを増大させることで、排気性能が向上されている。またそうした内部EGRの増大により、ポンピング損失が低下されるため、燃費性能が向上されてもいる。一方、排気バルブでは、そうした吸気バルブのバルブタイミングの変更に併せ、機関運転状況に応じた最適なバルブオーバーラップ量が確保されるように、そのバルブタイミングが設定されている。
【0044】
さて、以上のように構成された本実施の形態では、上記のように上記各可変バルブタイミング機構16,17は、機関始動の開始時には上記ロック機構40によるロックがなされており、ある程度よりも高い油圧が供給されなければ、そのロックを解除して、バルブタイミングの変更を開始することができなくなっている。
【0045】
一方、機関始動中や始動直後のようなクランクシャフト11の回転速度、すなわち機関回転速度が低いときには、その回転に応じて作動する上記オイルポンプ18の発生する油圧も低下する。そうした状況下で、唯でさえ低い油圧が2つの可変バルブタイミング機構16,17に分配されてしまえば、いずれの可変バルブタイミング機構16,17においても、ロック機構40を解除できず、作動を開始できなくなってしまう。
【0046】
その結果、機関回転速度が上昇して十分な油圧が供給可能となるまで、吸気バルブ及び排気バルブのバルブタイミングは、上記のような始動に適したタイミングのまま保持されしまうこととなり、機関性能を存分に発揮することができなくなってしまう。特に始動開始時の吸気バルブのバルブタイミングは、上記のようにその閉時期が圧縮行程中期まで遅角されるように設定されており、内燃機関10の実圧縮比が低くされているため、そのままのバルブタイミングでは内燃機関10の発生トルクが低下して、燃費性能が大きく低下してしまう。
【0047】
そこで本実施の形態では、下記のように上記各可変バルブタイミング機構16,17の作動の可否を判定することで、上記のような油圧不足時にも好適な機関運転を可能としている。以下、そうした本実施の形態における各可変バルブタイミング機構16,17の作動の可否判定に係る「VVT作動判定処理」の詳細を説明する。
【0048】
すなわち、本実施の形態では、上記両可変バルブタイミング機構16,17のロック機構40を双方共に解除することは不能であっても、一方のみであればその解除が可能なだけの油圧が確保された時点で、吸気側の可変バルブタイミング機構17のみ、その作動を許可するようにしている。すなわち、排気側の可変バルブタイミング機構16への油圧供給は禁止したまま、吸気側の可変バルブタイミング機構17のみに油圧を供給するようにしている。
【0049】
そのため、上記のような油圧不足の状況下でも、吸気側の可変バルブタイミング機構17には、そのロック機構40を解除可能な十分な油圧が供給されることとなり、その作動を開始させることができる。これにより、機関始動後、速やかに吸気バルブのバルブタイミングを上記最遅角のタイミングから進角側に変更させ、内燃機関10の実圧縮比を増大させることができ、燃費性能を十分に確保することができるようになる。
【0050】
一方、このときの排気側の可変バルブタイミング機構16は、未だその作動が許容されておらず、排気バルブのバルブタイミングは最進角のバルブタイミングに設定されたままであり、必ずしも機関運転状況に応じた最適なタイミングとはされていない。ただし、内燃機関10の低回転速度運転域では、バルブオーバーラップ量をあまり大きくさせる必要はなく、それによる影響は、吸気バルブのバルブタイミングが最遅角のままとされる場合に比して小さいものである。したがって、このように吸気側の可変バルブタイミング機構17の作動開始を、排気側の可変バルブタイミング機構16よりも優先させることで、油圧不足時の内燃機関10の運転を好適に確保することができる。
【0051】
そして機関回転速度が更に上昇し、吸気側の可変バルブタイミング機構17の作動を継続したまま、同時に排気側の可変バルブタイミング機構16のロック機構40を解除可能なまでにオイルポンプ18の発生する油圧が増大した時点で、排気側の可変バルブタイミング機構16の作動を許可するようにしている。
【0052】
なお本実施の形態では、オイルポンプ18の油圧発生状況を機関回転速度に基づき判断するようにしている。すなわち本実施の形態では、いずれか一方の可変バルブタイミング機構16,17についてのみであれば、ロック機構40の解除が可能な油圧の確保される第1の回転速度NE1(例えば800rpm)を機関回転速度が超えた時点で、吸気側の可変バルブタイミング機構17の作動を許可するようにしている。また2つの可変バルブタイミング機構16,17のうちの一方の作動を継続しつつ、同時にもう片方のロック機構40の解除が可能となるまで油圧の確保される第2の回転速度NE2(例えば1000rpm)を超えた時点で、排気側の可変バルブタイミング機構16についてもその作動を許可するようにしている。
【0053】
ちなみに、ロック機構40の解除に必要な油圧よりも低い油圧であっても、一旦ロック機構40が解除された可変バルブタイミング機構16,17の作動の継続は可能である。そこで、本実施の形態では、排気側の可変バルブタイミング機構16の作動が一旦許可された後は、機関回転速度が第2の回転速度NE2を下回っても、直ちにはその作動を禁止しないようにしている。
【0054】
図5に、そうした「VVT作動判定処理」のフローチャートを示す。本処理は、定時割込み処理として、電子制御装置20によって機関始動の開始後、周期的に実行される。
【0055】
さて本処理が開始されると、まずステップS100において、機関回転速度が上記第1の回転速度NE1(例えば800rpm)を超えているか否かが判断される。ここで機関回転速度が第1の回転速度NE1以下であれば(NO)、ステップS110において、吸気側及び排気側の可変バルブタイミング機構16,17双方の作動が禁止され、本処理が一旦終了される。
【0056】
一方、機関回転速度が第1の回転速度NE1を超えていれば(S100:YES)、ステップS120において、機関回転速度が更に上記第2の回転速度NE2を超えているか否かが判断される。ここで機関回転速度が第2の回転速度NE2以下であれば(NO)、ステップS130において、吸気側の可変バルブタイミング機構17の作動が許可される。そして機関回転速度が第2の回転速度NE2を超えていれば(S120:YES)、ステップS140において、排気側の可変バルブタイミング機構16についてもその作動が許可される。
【0057】
図6に、以上説明した本実施の形態のVVT作動判定処理の制御態様の一例を示す。
時刻t1に機関始動が開始された時点では、吸気側及び排気側の可変バルブタイミング機構16,17の作動は双方共に禁止されている。そしてその後の時刻t2に、機関回転速度が上記第1の回転速度NE1を超えると、吸気側の可変バルブタイミング機構16の作動が許可される。そして時刻t3に、機関回転速度が上記第2の回転速度NE2を超えると、排気側の可変バルブタイミング機構17についても、その作動が許可される。
【0058】
その後、時刻t4には、機関回転速度が上記第2の回転速度NE2を下回っているが、その時点では、両可変バルブタイミング機構16,17の作動は双方共に継続される。そして時刻t5において、機関回転速度が上記第1の回転速度NE1を下回った時点で、両可変バルブタイミング機構16,17の作動が双方同時に禁止される。
【0059】
なお、以上説明した本実施の形態では、オイルポンプ18が上記「油圧発生源」に対応する構成となっている。また上記VVT作動判定処理を実行する電子制御装置20が上記「禁止手段」に対応する構成となっている。
【0060】
以上説明した本実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)本実施の形態では、機関始動の開始後、機関回転速度が第1の回転速度NE1を超えたときに吸気側の可変バルブタイミング機構17の作動を許可させるようにしている。そして更に機関回転速度がその第1の回転速度NE1よりも高い第2の回転速度NE2を超えたときに排気側の可変バルブタイミング機構16の作動を許可させるようにしている。そのため、機関始動の開始後に、より顕著な機関性能の向上をもたらす吸気側の可変バルブタイミング機構17の作動が、排気側の可変バルブタイミング機構16よりも優先的に開始される。したがって本実施の形態によれば、油圧不足時にも好適な機関運転を確保することができる。
【0061】
(2)本実施の形態では、機関回転速度が上記第2の回転速度を超えて、排気側の可変バルブタイミング機構16の作動が一旦許可された後は、その後に機関回転速度がその第2の回転速度を下回っても、その時点で直ちには、排気側の可変バルブタイミング機構16の作動を禁止しないようにしている。そのため、排気バルブのバルブタイミング制御の実行領域を好適に拡大することができる。
【0062】
なお上記実施の形態は、次のように変更して実施することもできる。
・上記実施の形態では、機関回転速度が上記第1の回転速度NE1以下となったときに、吸気側及び排気側の可変バルブタイミング機構16,17の作動を双方共に禁止するようにしているが、それらの作動を禁止する機関回転速度は、これに限らず適宜変更しても良い。また双方の作動を禁止する機関回転速度を異ならせるようにしても良い。要は、可変バルブタイミング機構16,17の作動の継続が不能となるまで油圧が低下するよりも前にその作動が禁止されるのであれば、そうした作動禁止に係る機関回転速度は任意に設定することができる。ちなみに、両可変バルブタイミング機構16,17の作動を禁止する機関回転速度を異ならせれば、いずれか一方の作動をより低回転速度まで継続可能とすることができるようにもなる。
【0063】
・上記実施の形態では、機関回転速度に基づきオイルポンプ18の油圧の発生状況を把握するようにしていたが、他のパラメータに基づきその発生状況を把握するようにしても、同様の作動の可否判定に基づくバルブタイミング制御を行うことができる。例えば油圧供給路L1内等の油圧を実際に検出し、上記作動の可否判定を行うようにしても良い。
【0064】
なお可変バルブタイミング機構16,17に供給される油圧は、オイルの粘度の温度変化によっても変化することがある。例えば内燃機関10の冷間始動時のように、オイル温度の低いときには、オイルの粘度が高くなり、その流通が滞ることから、可変バルブタイミング機構16,17に供給される油圧が低下してしまう。そこで、オイルの温度や冷却水温度などを考慮してオイルポンプ18の油圧の発生状況を把握して、上記作動の可否判定を行うようにしても良い。
【0065】
・内燃機関10の始動開始からの油圧は、概ね時間の経過と共に増大していく。そこで機関始動の開始時や完了時からの経過時間に基づいても、上記各可変バルブタイミング機構16,17の作動の可否判定を簡易的に行うこともできる。すなわち、予め上記経過時間と、オイルポンプ18の発生する油圧との関係を予め求めておき、いずれか一方の可変バルブタイミング機構16,17のロック機構40を解除可能な程度まで油圧が上昇していると予測される時点で、吸気側の可変バルブタイミング機構17の作動を開始させる。そして、更に時間が経過して、可変バルブタイミング機構16,17のうちの一方の作動を継続しつつも、他方のロック機構40を解除させることが可能なまでに油圧が上昇していると予測される時点で、排気側の可変バルブタイミング機構16の作動を開始させる。このような簡易的な作動の可否判定によっても、油圧不足時の吸気側の可変バルブタイミング機構17の作動性を向上させることは十分可能である。
【0066】
・上記実施の形態での可変バルブタイミング機構16,17、及びそのロック機構40の構成は、図2及び図3に例示したものに限らず、適宜変更しても良い。ちなみに、油圧非供給時にバルブタイミングを機械的に保持するロック機構40を備えていない可変バルブタイミング機構を採用する内燃機関についても、上記のような作動の可否判定に基づくバルブタイミング制御を適用しても良い。その場合にも、上記実施の形態と同様、或いはそれに準じた効果を得ることができる。
【0067】
次に、以上説明した本発明の実施の形態から把握される技術的思想を、以下に列記する。
(イ)前記吸気バルブは、機関始動開始時にその閉時期が圧縮行程中期まで遅角されてなる請求項1〜5のいずれかに記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
【0068】
(ロ)前記吸気側の可変バルブタイミング機構のロック機構は、前記吸気バルブのバルブタイミングを、その閉時期が圧縮行程中期まで遅角されるタイミングにて機械的に保持させる請求項3又は4に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
【0069】
上記(イ)(ロ)の構成では、機関始動中の吸気バルブの閉時期の遅角化により、内燃機関の実圧縮比が低減されており、クランキング中の機関出力軸の回転が容易となり、始動性が向上されている。その反面、機関始動後に、吸気バルブのバルブタイミングを速やかに変更して実圧縮比を増大させなければ、内燃機関の発生トルクが低下して、燃費性能が低下してしまう。そのため、上記各請求項に記載の構成の適用による油圧低下時の機関性能の向上効果をより顕著に奏することができる。
【0070】
(ハ)前記油圧発生源は、機関出力軸の回転に応じて前記油圧を発生する請求項1〜5、及び上記(イ)、(ロ)のいずれかに記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の全体構造を示す模式図。
【図2】同実施形態に適用される可変バルブタイミング機構の斜視断面図。
【図3】同可変バルブタイミング機構のロック機構について、(a)ロック時及び(b)ロック解除時の状態を各示す断面図。
【図4】同実施形態の油圧回路構造を模式的に示すブロック図。
【図5】同実施形態に適用されるVVT作動判定処理のフローチャート。
【図6】同VVT駆動開始判定処理の制御例を示すタイムチャート。
【符号の説明】
10…内燃機関、11…クランクシャフト、12…クランクプーリ、13…タイミングベルト、14…排気側カムプーリ、15…吸気側カムプーリ、18…オイルポンプ、20…電子制御装置、21…回転速度センサ、22…イグニッションスイッチ、23…オイルパン、24,25…油圧制御弁(OCV)、30…吸気側カムシャフト、16,17…可変バルブタイミング機構(31…ベーンロータ、32…ハウジング、34…ベーン、35…凹部、36…進角室、37…遅角室)、40…ロック機構(34a…貫通孔、41…ロックピン、42…コイルスプリング、43…ロック穴)。
【発明の属する技術分野】
本発明は、共通の油圧発生源から供される油圧によって各駆動され、吸気バルブ及び排気バルブのバルブタイミングをそれぞれ可変とする2つの可変バルブタイミング機構を備える内燃機関に適用されるバルブタイミング制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、出力性能や燃費性能、排気性能といった機関性能の向上を目的として、機関バルブである吸・排気バルブのバルブタイミングを機関運転状況に応じて可変とする可変バルブタイミング機構が、車載用等の内燃機関に広く採用されている。
【0003】
そうした可変バルブタイミング機構の多くは、機関出力軸であるクランクシャフトに駆動連結されてその回転に応じて作動されるオイルポンプの発生する油圧によって、駆動されるようになっている。またそうした油圧駆動式の可変バルブタイミング機構の多くは、機関停止中や機関始動時などのような油圧の確保の困難な時期に、機関バルブのバルブタイミングを機械的に保持しておくためのロック機構を備えている。そうしたロック機構は、可変バルブタイミング機構への油圧供給に応じてバルブタイミングの保持を解除するよう構成されている。
【0004】
また近年には、例えば特許文献1に見られるように、可変バルブタイミング機構を、吸気側及び排気側の双方にそれぞれ備える内燃機関が提案され、実用されてもいる。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−218035号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような内燃機関では、機関始動直後などでは、唯でさえ低い油圧が双方の可変バルブタイミング機構に分配されてしまい、いずれの可変バルブタイミング機構においても、ロック機構の解除やその作動に必要な油圧が不足することがある。そしてその結果、バルブタイミングが吸・排気バルブ双方共に、機関運転状況に応じた適切なタイミングからずれてしまい、機関性能を存分に発揮できなくなってしまう虞がある。
【0007】
本発明はこうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、吸気側及び排気側の2つの可変バルブタイミング機構を備える内燃機関において、油圧不足時にも好適な機関運転を可能とする内燃機関のバルブタイミング制御装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以下、上述した目的を達成するための手段及びその作用効果を記載する。
請求項1に記載の発明は、共通の油圧発生源から供される油圧によって各駆動されて、吸気バルブ及び排気バルブのバルブタイミングをそれぞれ可変とする2つの可変バルブタイミング機構を備える内燃機関に適用される内燃機関のバルブタイミング制御装置であって、機関始動の開始後、まず前記吸気側の可変バルブタイミング機構の作動を開始させ、その後に前記排気側の可変バルブタイミング機構の作動を開始させることをその要旨とする。
【0009】
上記構成では、内燃機関の吸気バルブ及び排気バルブのバルブタイミングが、共通の油圧発生源から供される油圧によって各駆動される2つの可変バルブタイミング機構によってそれぞれ可変とされている。そのため、機関始動直後のような油圧発生源から供される油圧が不足した状況では、上記2つの可変バルブタイミング機構の作動を同時に開始することが困難となる。
【0010】
その点、上記構成では、まず吸気側の可変バルブタイミング機構の作動が優先的に開始されるようになっている。これにより、双方の可変バルブタイミング機構に油圧が分配されることなく、吸気側のみに集約して油圧が供給されるため、より低い油圧で吸気側の可変バルブタイミング機構の作動を開始することができる。なお始動直後のような内燃機関の低回転運転域では、吸気バルブのバルブタイミングの変更は、排気バルブのバルブタイミングの変更に比して、より顕著な機関性能の向上をもたらす。そのため、上記構成によれば、油圧不足時にも好適な機関運転を確保することができる。
【0011】
また請求項2に記載の発明は、共通の油圧発生源から供される油圧によって各駆動されて、吸気バルブ及び排気バルブのバルブタイミングをそれぞれ可変とする2つの可変バルブタイミング機構を備える内燃機関に適用される内燃機関のバルブタイミング制御装置であって、機関始動の開始後、機関回転速度が第1の回転速度を超えたときに前記吸気側の可変バルブタイミング機構の作動を開始し、更に機関回転速度が前記第1の回転速度よりも高い第2の回転速度を超えたときに前記排気側の可変バルブタイミング機構の作動を開始することをその要旨とする。
【0012】
上記構成では、吸気側の可変バルブタイミング機構の作動の開始が許容される第1の回転速度よりも、排気側の可変バルブタイミング機構の作動の開始が許容される第2の回転速度が高く設定されているため、吸気側の可変バルブタイミング機構の作動が優先的に開始される。そのため、上記構成によっても請求項1に記載の発明と同様に、油圧不足時にも好適な機関運転を確保することができる。
【0013】
また請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記2つの可変バルブタイミング機構は、前記油圧の非供給時に前記バルブタイミングを機械的に保持するロック機構をそれぞれ備えて構成されてなることをその要旨とする。
【0014】
油圧非供給時にバルブタイミングを機械的に保持するロック機構を備える可変バルブタイミング機構では、その作動を開始させるためにはまずロック機構を解除させなければならず、その作動の開始により高い油圧が必要となる。上記のように吸気側の可変バルブタイミング機構の作動を優先的に開始させれば、そうしたロック機構付き可変バルブタイミング機構を採用した内燃機関であれ、より早期から好適な機関運転が可能となる。
【0015】
また請求項4に記載の発明は、共通の油圧発生源から供される油圧によって各駆動されて、吸気バルブ及び排気バルブのバルブタイミングをそれぞれ可変とし、且つ前記油圧の非供給時に前記バルブタイミングを機械的に保持するロック機構をそれぞれ備える2つの可変バルブタイミング機構を備える内燃機関に適用される内燃機関のバルブタイミング制御装置であって、機関回転速度が第1の回転速度以下のときには、前記吸気側の可変バルブタイミング機構の駆動を禁止し、更に機関回転速度が前記第1の回転速度よりも高い第2の回転速度以下のときには前記排気側の可変バルブタイミング機構の駆動を禁止する禁止手段を備えることをその要旨とする。
【0016】
上記構成では、吸気側の可変バルブタイミング機構の作動の禁止される第1の回転速度よりも、排気側の可変バルブタイミング機構の作動の禁止される第2の回転速度が高く設定されているため、吸気側の可変バルブタイミング機構の作動が優先的に開始される。そのため、上記構成によっても請求項1に記載の発明と同様に、油圧不足時にも好適な機関運転を確保することができる。
【0017】
また請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記禁止手段は、前記排気側の可変バルブタイミング機構の作動が一旦許可された後は、機関回転速度が前記第2の回転速度以下となっても、その作動を継続させることをその要旨とする。
【0018】
一旦ロック機構が解除されると、その解除に必要な油圧よりも低い油圧でも可変バルブタイミング機構の作動を継続することはできる。そのため、作動が一旦許可されてロック機構が解除された後は、第2の回転速度以下となっても、それから機関回転速度がある程度低下するまでは、排気側の可変バルブタイミング機構の作動の継続は可能である。よって上記構成のように、排気側の可変バルブタイミング機構の作動の可否を決定することで、排気バルブのバルブタイミング制御の実行領域を拡大することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を、図を参照して詳細に説明する。
図1に、本実施の形態の適用される内燃機関10及びその制御系の構成を示す。
【0020】
同図に示す内燃機関10の機関出力軸であるクランクシャフト11の一端には、クランクプーリ12が一体回転可能に固定されている。クランクプーリ12は、排気側カムシャフトの一端に配設された排気側カムプーリ14、及び吸気側カムシャフトの一端に配設された吸気側カムプーリ15に、タイミングベルト13を介して駆動連結されている。排気側カムプーリ14及び吸気側カムプーリ15はそれぞれ、排気側、吸気側の可変バルブタイミング機構16、17を介して排気側及び吸気側カムシャフトにそれぞれ接続されている。一方、クランクシャフト11は、例えばタイミングベルト等を介してオイルポンプ18にも駆動連結されている。
【0021】
こうした内燃機関10の制御系は、電子制御装置20を中心に構成されている。電子制御装置20は、機関制御に係る各種処理を実施するCPUや、機関制御に必要な各種情報の記憶されるメモリ、外部との情報の入出力を司る入力ポート、出力ポート等を備えて構成されている。電子制御装置20の入力ポートには、機関回転速度を検出する回転速度センサ21やイグニッションスイッチ22などの機関制御に必要な情報を検出する各種のセンサ類が接続されている。
【0022】
図2に、上記吸気側の可変バルブタイミング機構17の斜視断面構造を示す。以下、同図に基づいて可変バルブタイミング機構17の構成を説明する。
同図に示すように、吸気側の可変バルブタイミング機構17は、吸気バルブを開閉させるカム30aの配設された吸気側カムシャフト30の一端に配設されており、大きくは、ベーンロータ31とハウジング32とを備えて構成されている。
【0023】
可変バルブタイミング機構17の配設された吸気側カムシャフト30の端部には、同吸気側カムシャフト30に対して相対回動可能に上記吸気側カムプーリ15が配設されている。そして上記ハウジング32は、その吸気側カムプーリ15に一体回転可能に固定されている。
【0024】
ハウジング32の内部には、同ハウジング32に対してベーンロータ31が相対回動可能に収容されている。ベーンロータ31は、吸気側カムシャフト30に一体回転可能に固定されている。ベーンロータ31の外周には、複数(同図では4つ)のベーン34が形成されており、各ベーン34は、ハウジング32の内周に形成されたそのベーン34と同数の凹部35内に、それぞれ周方向に移動可能に収容されている。各ベーン34の周方向両側には、ベーンロータ31の外周面やハウジング32の内周面等によって区画されて、油圧の導入される2つの油室がそれぞれ形成されている。ここでは、これら油室のうち、ベーン34に対して吸気側カムシャフト30の反回転方向に形成されたものを「遅角室37」といい、回転方向に形成されたものを「進角室36」という。
【0025】
なお、こうした可変バルブタイミング機構17の上記ベーン34の一つには、油圧供給の途絶える機関停止中などに、バルブタイミングを機械的に保持するロック機構40が配設されている。
【0026】
図3に、そうしたロック機構40及びその周辺部の断面構造を示す。同図(a)は、ロック機構40によって、吸気側カムプーリ15と吸気側カムシャフト30とが一体回転するようにロックされているときの状態を、同図(b)はそのロックが解除されたときの状態をそれぞれ示している。
【0027】
同図に示すように、ベーンロータ31のベーン34の一つには、回転軸方向に延びる貫通孔34aが形成されており、その内部にはロックピン41がその延伸方向に往復動可能に配設されている。またその貫通孔34a内には、コイルスプリング42が配設されており、そのばね力によってロックピン41が吸気側カムプーリ15側に付勢されている。
【0028】
吸気側カムプーリ15には、上記ロックピン41先端部と係合可能なロック穴43が形成されている。ロック穴43は、ハウジング32に対する相対回動範囲の最遅角位置にベーンロータ31が位置しているときに、上記ロックピン41の先端と対向する位置に形成されている。
【0029】
上記貫通孔34a内及びロック穴43内には、上記遅角室37内及び進角室36内への油圧の導入と同時に油圧が導入されるようになっている。こうして導入された油圧によって、上記ロックピン41は、上記コイルスプリング42の付勢力に抗する側に押圧されるようになっている。
【0030】
さて上記遅角室37内及び進角室36内に十分な油圧が導入されていない状態で、ベーンロータが上記最遅角位置に位置されていると、コイルスプリング42の付勢力によって同図(a)に示すようにロックピン41先端がロック穴43内に嵌入され、係合される。これにより、ベーンロータ31とハウジング32との相対回動が規制されて、吸気側カムプーリ15と吸気側カムシャフト30とは一体回転可能にロックされる。そしてその結果、吸気バルブのバルブタイミングは、その可変範囲の最遅角に固定保持される。
【0031】
ここで上記遅角室37内及び進角室36内の少なくとも一方に十分な油圧が導入されると、同図(b)に示すようにその油圧によってロックピン41がロック穴43内から離脱する。これにより、ベーンロータ31とハウジング32との相対回動の規制が解除され、可変バルブタイミング機構17の作動が、すなわち吸気バルブのバルブタイミングの変更が許容されるようになる。
【0032】
排気側の可変バルブタイミング機構16も、以上説明した吸気側の可変バルブタイミング機構17と概ね共通した構成となっている。ただし排気側の可変バルブタイミング機構16では、ハウジング32に対するベーンロータ31の相対回動範囲の最進角位置にて、上記ロック機構40による相対回動の規制がなされるようになっている。
【0033】
図4に、これら排気側、吸気側の可変バルブタイミング機構16、17の油圧制御回路の構成を示す。同図に示すように、これら可変バルブタイミング機構(VVT)16,17の油圧制御回路には、上記オイルポンプ18及び2つの油圧制御弁(OCV)24,25が配設されている。
【0034】
オイルポンプ18の吸入側は、内燃機関10の潤滑等に供されるオイルが一時貯留されるオイルパン23に接続され、その吐出側は油圧供給路L1に接続され、その油圧供給路L1の上流側は、上記油圧制御弁24,25のそれぞれに接続されている。
【0035】
各油圧制御弁24,25には、上記油圧供給路L1に加え、オイルパン23内にオイルを還流するためのドレイン通路L2が接続されている。更に各油圧制御弁24,25は、吸気側及び排気側の可変バルブタイミング機構16,17の遅角室37及び進角室36がそれぞれ接続されている。油圧制御弁24,25は、電子制御装置20によって駆動制御される電磁ソレノイド弁で、上記油圧供給路L1及びドレイン通路L2に対して、各対応する可変バルブタイミング機構16,17の遅角室37及び進角室36のいずれかを選択的に連通可能となっている。
【0036】
続いて、以上のように構成された本実施の形態では、吸排気バルブのバルブタイミング制御の概要を説明する。
内燃機関10の始動開始時には、吸気側、排気側の両可変バルブタイミング機構16,17はそれぞれ、上記ロック機構40によりロックされた状態となっている。すなわち、吸気側の可変バルブタイミング機構17は、ベーンロータ31とハウジング32との相対回動が最遅角位置にて規制され、排気側の可変バルブタイミング機構16は、それらの相対回動が最進角位置にて規制された状態となっている。
【0037】
なお、本実施の形態では、このときの最遅角のバルブタイミングに設定された吸気バルブでは、その閉時期が圧縮行程中期頃まで遅角されている。ここでは、そうした吸気バルブの閉時期の遅角を通じて内燃機関10の実圧縮比を低下させて、始動中のクランクシャフト11の回転反力を低減させることで、始動性の向上を図るようにしている。また最進角に設定されたこのときの排気バルブのバルブタイミングについても、始動性の向上に最適なタイミングとなっている。
【0038】
さて内燃機関10の始動が開始され、クランクシャフト11が回転されると、その回転に応じてオイルポンプ18が作動され、両可変バルブタイミング機構16,17に供される油圧が発生される。そして機関回転速度が高まり、十分な油圧が確保されると、各可変バルブタイミング機構16,17の作動が許可される。
【0039】
各可変バルブタイミング機構16,17は、以下の態様でその作動が開始されている。吸気側の可変バルブタイミング機構17の作動が許可されると、電子制御装置20は、その遅角室37と上記油圧供給路L1とを連通させるように油圧制御弁25を制御して、まず遅角室37に油圧を供給する。こうして遅角室37に油圧が供給されると、その油圧によりロック機構40のロックピン41がロック穴43から離脱され、ロックが解除され、ハウジング32に対するベーンロータ31の相対回動が許容される。このとき、遅角室37内には既に油圧が導入されているため、ロックが解除されても、ベーンロータ31は最遅角位置に保持される。一方、排気側の可変バルブタイミング機構17の作動が許可されたときには、その進角室36に油圧を供給して、ロック機構40によるロックを解除させている。
【0040】
こうして各可変バルブタイミング機構16,17の作動が開始されると、電子制御装置20は、機関回転速度や機関負荷等の機関運転状態に基づいて、吸排気バルブのバルブタイミングの制御目標値を設定する。そして実際のバルブタイミングがその制御目標値と一致するように、上記油圧制御弁24,25の作動がフィードバック制御される。
【0041】
例えば実際のバルブタイミングがその制御目標値よりも遅角側にあるときには、進角室36と油圧供給路L1とを連通させると共に、遅角室37とドレイン通路L2とを連通させるように、対応する油圧制御弁24,25が制御される。これにより、進角室36の油圧が高められ、遅角室37の油圧が低下されるようになり、可変バルブタイミング機構16,17のベーンロータ31がハウジング32に対して進角側に相対回動されて、バルブタイミングが進角側に変更される。
【0042】
一方、実際のバルブタイミングがその制御目標値よりも遅角側にあるときには、進角室36とドレイン通路L2とを連通させると共に、遅角室37と油圧供給路L1とを連通させるように、対応する油圧制御弁24,25が制御される。これにより、進角室36の油圧が低下され、遅角室37の油圧が高められるようになり、可変バルブタイミング機構16,17のベーンロータ31がハウジング32に対して遅角側に相対回動されて、バルブタイミングが遅角側に変更される。
【0043】
そして以上のような油圧制御弁24,25のフィードバック制御を通じて、吸排気バルブのバルブタイミングが、機関運転状況に応じた最適なタイミングに設定されるようになっている。例えば内燃機関10の高負荷低中速回転運転域では、吸気バルブの閉時期を早い時期に設定することで、体積効率を増大させて、内燃機関10の中低速トルクが向上されている。また内燃機関の中負荷運転域では、吸気バルブの開時期を早い時期に設定することで、吸排気バルブのバルブオーバーラップを拡大し、内部EGRを増大させることで、排気性能が向上されている。またそうした内部EGRの増大により、ポンピング損失が低下されるため、燃費性能が向上されてもいる。一方、排気バルブでは、そうした吸気バルブのバルブタイミングの変更に併せ、機関運転状況に応じた最適なバルブオーバーラップ量が確保されるように、そのバルブタイミングが設定されている。
【0044】
さて、以上のように構成された本実施の形態では、上記のように上記各可変バルブタイミング機構16,17は、機関始動の開始時には上記ロック機構40によるロックがなされており、ある程度よりも高い油圧が供給されなければ、そのロックを解除して、バルブタイミングの変更を開始することができなくなっている。
【0045】
一方、機関始動中や始動直後のようなクランクシャフト11の回転速度、すなわち機関回転速度が低いときには、その回転に応じて作動する上記オイルポンプ18の発生する油圧も低下する。そうした状況下で、唯でさえ低い油圧が2つの可変バルブタイミング機構16,17に分配されてしまえば、いずれの可変バルブタイミング機構16,17においても、ロック機構40を解除できず、作動を開始できなくなってしまう。
【0046】
その結果、機関回転速度が上昇して十分な油圧が供給可能となるまで、吸気バルブ及び排気バルブのバルブタイミングは、上記のような始動に適したタイミングのまま保持されしまうこととなり、機関性能を存分に発揮することができなくなってしまう。特に始動開始時の吸気バルブのバルブタイミングは、上記のようにその閉時期が圧縮行程中期まで遅角されるように設定されており、内燃機関10の実圧縮比が低くされているため、そのままのバルブタイミングでは内燃機関10の発生トルクが低下して、燃費性能が大きく低下してしまう。
【0047】
そこで本実施の形態では、下記のように上記各可変バルブタイミング機構16,17の作動の可否を判定することで、上記のような油圧不足時にも好適な機関運転を可能としている。以下、そうした本実施の形態における各可変バルブタイミング機構16,17の作動の可否判定に係る「VVT作動判定処理」の詳細を説明する。
【0048】
すなわち、本実施の形態では、上記両可変バルブタイミング機構16,17のロック機構40を双方共に解除することは不能であっても、一方のみであればその解除が可能なだけの油圧が確保された時点で、吸気側の可変バルブタイミング機構17のみ、その作動を許可するようにしている。すなわち、排気側の可変バルブタイミング機構16への油圧供給は禁止したまま、吸気側の可変バルブタイミング機構17のみに油圧を供給するようにしている。
【0049】
そのため、上記のような油圧不足の状況下でも、吸気側の可変バルブタイミング機構17には、そのロック機構40を解除可能な十分な油圧が供給されることとなり、その作動を開始させることができる。これにより、機関始動後、速やかに吸気バルブのバルブタイミングを上記最遅角のタイミングから進角側に変更させ、内燃機関10の実圧縮比を増大させることができ、燃費性能を十分に確保することができるようになる。
【0050】
一方、このときの排気側の可変バルブタイミング機構16は、未だその作動が許容されておらず、排気バルブのバルブタイミングは最進角のバルブタイミングに設定されたままであり、必ずしも機関運転状況に応じた最適なタイミングとはされていない。ただし、内燃機関10の低回転速度運転域では、バルブオーバーラップ量をあまり大きくさせる必要はなく、それによる影響は、吸気バルブのバルブタイミングが最遅角のままとされる場合に比して小さいものである。したがって、このように吸気側の可変バルブタイミング機構17の作動開始を、排気側の可変バルブタイミング機構16よりも優先させることで、油圧不足時の内燃機関10の運転を好適に確保することができる。
【0051】
そして機関回転速度が更に上昇し、吸気側の可変バルブタイミング機構17の作動を継続したまま、同時に排気側の可変バルブタイミング機構16のロック機構40を解除可能なまでにオイルポンプ18の発生する油圧が増大した時点で、排気側の可変バルブタイミング機構16の作動を許可するようにしている。
【0052】
なお本実施の形態では、オイルポンプ18の油圧発生状況を機関回転速度に基づき判断するようにしている。すなわち本実施の形態では、いずれか一方の可変バルブタイミング機構16,17についてのみであれば、ロック機構40の解除が可能な油圧の確保される第1の回転速度NE1(例えば800rpm)を機関回転速度が超えた時点で、吸気側の可変バルブタイミング機構17の作動を許可するようにしている。また2つの可変バルブタイミング機構16,17のうちの一方の作動を継続しつつ、同時にもう片方のロック機構40の解除が可能となるまで油圧の確保される第2の回転速度NE2(例えば1000rpm)を超えた時点で、排気側の可変バルブタイミング機構16についてもその作動を許可するようにしている。
【0053】
ちなみに、ロック機構40の解除に必要な油圧よりも低い油圧であっても、一旦ロック機構40が解除された可変バルブタイミング機構16,17の作動の継続は可能である。そこで、本実施の形態では、排気側の可変バルブタイミング機構16の作動が一旦許可された後は、機関回転速度が第2の回転速度NE2を下回っても、直ちにはその作動を禁止しないようにしている。
【0054】
図5に、そうした「VVT作動判定処理」のフローチャートを示す。本処理は、定時割込み処理として、電子制御装置20によって機関始動の開始後、周期的に実行される。
【0055】
さて本処理が開始されると、まずステップS100において、機関回転速度が上記第1の回転速度NE1(例えば800rpm)を超えているか否かが判断される。ここで機関回転速度が第1の回転速度NE1以下であれば(NO)、ステップS110において、吸気側及び排気側の可変バルブタイミング機構16,17双方の作動が禁止され、本処理が一旦終了される。
【0056】
一方、機関回転速度が第1の回転速度NE1を超えていれば(S100:YES)、ステップS120において、機関回転速度が更に上記第2の回転速度NE2を超えているか否かが判断される。ここで機関回転速度が第2の回転速度NE2以下であれば(NO)、ステップS130において、吸気側の可変バルブタイミング機構17の作動が許可される。そして機関回転速度が第2の回転速度NE2を超えていれば(S120:YES)、ステップS140において、排気側の可変バルブタイミング機構16についてもその作動が許可される。
【0057】
図6に、以上説明した本実施の形態のVVT作動判定処理の制御態様の一例を示す。
時刻t1に機関始動が開始された時点では、吸気側及び排気側の可変バルブタイミング機構16,17の作動は双方共に禁止されている。そしてその後の時刻t2に、機関回転速度が上記第1の回転速度NE1を超えると、吸気側の可変バルブタイミング機構16の作動が許可される。そして時刻t3に、機関回転速度が上記第2の回転速度NE2を超えると、排気側の可変バルブタイミング機構17についても、その作動が許可される。
【0058】
その後、時刻t4には、機関回転速度が上記第2の回転速度NE2を下回っているが、その時点では、両可変バルブタイミング機構16,17の作動は双方共に継続される。そして時刻t5において、機関回転速度が上記第1の回転速度NE1を下回った時点で、両可変バルブタイミング機構16,17の作動が双方同時に禁止される。
【0059】
なお、以上説明した本実施の形態では、オイルポンプ18が上記「油圧発生源」に対応する構成となっている。また上記VVT作動判定処理を実行する電子制御装置20が上記「禁止手段」に対応する構成となっている。
【0060】
以上説明した本実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)本実施の形態では、機関始動の開始後、機関回転速度が第1の回転速度NE1を超えたときに吸気側の可変バルブタイミング機構17の作動を許可させるようにしている。そして更に機関回転速度がその第1の回転速度NE1よりも高い第2の回転速度NE2を超えたときに排気側の可変バルブタイミング機構16の作動を許可させるようにしている。そのため、機関始動の開始後に、より顕著な機関性能の向上をもたらす吸気側の可変バルブタイミング機構17の作動が、排気側の可変バルブタイミング機構16よりも優先的に開始される。したがって本実施の形態によれば、油圧不足時にも好適な機関運転を確保することができる。
【0061】
(2)本実施の形態では、機関回転速度が上記第2の回転速度を超えて、排気側の可変バルブタイミング機構16の作動が一旦許可された後は、その後に機関回転速度がその第2の回転速度を下回っても、その時点で直ちには、排気側の可変バルブタイミング機構16の作動を禁止しないようにしている。そのため、排気バルブのバルブタイミング制御の実行領域を好適に拡大することができる。
【0062】
なお上記実施の形態は、次のように変更して実施することもできる。
・上記実施の形態では、機関回転速度が上記第1の回転速度NE1以下となったときに、吸気側及び排気側の可変バルブタイミング機構16,17の作動を双方共に禁止するようにしているが、それらの作動を禁止する機関回転速度は、これに限らず適宜変更しても良い。また双方の作動を禁止する機関回転速度を異ならせるようにしても良い。要は、可変バルブタイミング機構16,17の作動の継続が不能となるまで油圧が低下するよりも前にその作動が禁止されるのであれば、そうした作動禁止に係る機関回転速度は任意に設定することができる。ちなみに、両可変バルブタイミング機構16,17の作動を禁止する機関回転速度を異ならせれば、いずれか一方の作動をより低回転速度まで継続可能とすることができるようにもなる。
【0063】
・上記実施の形態では、機関回転速度に基づきオイルポンプ18の油圧の発生状況を把握するようにしていたが、他のパラメータに基づきその発生状況を把握するようにしても、同様の作動の可否判定に基づくバルブタイミング制御を行うことができる。例えば油圧供給路L1内等の油圧を実際に検出し、上記作動の可否判定を行うようにしても良い。
【0064】
なお可変バルブタイミング機構16,17に供給される油圧は、オイルの粘度の温度変化によっても変化することがある。例えば内燃機関10の冷間始動時のように、オイル温度の低いときには、オイルの粘度が高くなり、その流通が滞ることから、可変バルブタイミング機構16,17に供給される油圧が低下してしまう。そこで、オイルの温度や冷却水温度などを考慮してオイルポンプ18の油圧の発生状況を把握して、上記作動の可否判定を行うようにしても良い。
【0065】
・内燃機関10の始動開始からの油圧は、概ね時間の経過と共に増大していく。そこで機関始動の開始時や完了時からの経過時間に基づいても、上記各可変バルブタイミング機構16,17の作動の可否判定を簡易的に行うこともできる。すなわち、予め上記経過時間と、オイルポンプ18の発生する油圧との関係を予め求めておき、いずれか一方の可変バルブタイミング機構16,17のロック機構40を解除可能な程度まで油圧が上昇していると予測される時点で、吸気側の可変バルブタイミング機構17の作動を開始させる。そして、更に時間が経過して、可変バルブタイミング機構16,17のうちの一方の作動を継続しつつも、他方のロック機構40を解除させることが可能なまでに油圧が上昇していると予測される時点で、排気側の可変バルブタイミング機構16の作動を開始させる。このような簡易的な作動の可否判定によっても、油圧不足時の吸気側の可変バルブタイミング機構17の作動性を向上させることは十分可能である。
【0066】
・上記実施の形態での可変バルブタイミング機構16,17、及びそのロック機構40の構成は、図2及び図3に例示したものに限らず、適宜変更しても良い。ちなみに、油圧非供給時にバルブタイミングを機械的に保持するロック機構40を備えていない可変バルブタイミング機構を採用する内燃機関についても、上記のような作動の可否判定に基づくバルブタイミング制御を適用しても良い。その場合にも、上記実施の形態と同様、或いはそれに準じた効果を得ることができる。
【0067】
次に、以上説明した本発明の実施の形態から把握される技術的思想を、以下に列記する。
(イ)前記吸気バルブは、機関始動開始時にその閉時期が圧縮行程中期まで遅角されてなる請求項1〜5のいずれかに記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
【0068】
(ロ)前記吸気側の可変バルブタイミング機構のロック機構は、前記吸気バルブのバルブタイミングを、その閉時期が圧縮行程中期まで遅角されるタイミングにて機械的に保持させる請求項3又は4に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
【0069】
上記(イ)(ロ)の構成では、機関始動中の吸気バルブの閉時期の遅角化により、内燃機関の実圧縮比が低減されており、クランキング中の機関出力軸の回転が容易となり、始動性が向上されている。その反面、機関始動後に、吸気バルブのバルブタイミングを速やかに変更して実圧縮比を増大させなければ、内燃機関の発生トルクが低下して、燃費性能が低下してしまう。そのため、上記各請求項に記載の構成の適用による油圧低下時の機関性能の向上効果をより顕著に奏することができる。
【0070】
(ハ)前記油圧発生源は、機関出力軸の回転に応じて前記油圧を発生する請求項1〜5、及び上記(イ)、(ロ)のいずれかに記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の全体構造を示す模式図。
【図2】同実施形態に適用される可変バルブタイミング機構の斜視断面図。
【図3】同可変バルブタイミング機構のロック機構について、(a)ロック時及び(b)ロック解除時の状態を各示す断面図。
【図4】同実施形態の油圧回路構造を模式的に示すブロック図。
【図5】同実施形態に適用されるVVT作動判定処理のフローチャート。
【図6】同VVT駆動開始判定処理の制御例を示すタイムチャート。
【符号の説明】
10…内燃機関、11…クランクシャフト、12…クランクプーリ、13…タイミングベルト、14…排気側カムプーリ、15…吸気側カムプーリ、18…オイルポンプ、20…電子制御装置、21…回転速度センサ、22…イグニッションスイッチ、23…オイルパン、24,25…油圧制御弁(OCV)、30…吸気側カムシャフト、16,17…可変バルブタイミング機構(31…ベーンロータ、32…ハウジング、34…ベーン、35…凹部、36…進角室、37…遅角室)、40…ロック機構(34a…貫通孔、41…ロックピン、42…コイルスプリング、43…ロック穴)。
Claims (5)
- 共通の油圧発生源から供される油圧によって各駆動されて、吸気バルブ及び排気バルブのバルブタイミングをそれぞれ可変とする2つの可変バルブタイミング機構を備える内燃機関に適用され、
機関始動の開始後、まず前記吸気側の可変バルブタイミング機構の作動を開始させ、その後に前記排気側の可変バルブタイミング機構の作動を開始させる
ことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。 - 共通の油圧発生源から供される油圧によって各駆動されて、吸気バルブ及び排気バルブのバルブタイミングをそれぞれ可変とする2つの可変バルブタイミング機構を備える内燃機関に適用され、
機関始動の開始後、機関回転速度が第1の回転速度を超えたときに前記吸気側の可変バルブタイミング機構の作動を開始させ、更に機関回転速度が前記第1の回転速度よりも高い第2の回転速度を超えたときに前記排気側の可変バルブタイミング機構の作動を開始させる
ことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。 - 前記2つの可変バルブタイミング機構は、前記油圧の非供給時に前記バルブタイミングを機械的に保持するロック機構をそれぞれ備えて構成されてなる請求項1又は2に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
- 共通の油圧発生源から供される油圧によって各駆動されて、吸気バルブ及び排気バルブのバルブタイミングをそれぞれ可変とし、且つ前記油圧の非供給時に前記バルブタイミングを機械的に保持するロック機構をそれぞれ備える2つの可変バルブタイミング機構を備える内燃機関に適用され、
機関回転速度が第1の回転速度以下のときには、前記吸気側の可変バルブタイミング機構の作動を禁止させ、更に機関回転速度が前記第1の回転速度よりも高い第2の回転速度以下のときには前記排気側の可変バルブタイミング機構の作動を禁止させる禁止手段を備える
ことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。 - 前記禁止手段は、前記排気側の可変バルブタイミング機構の作動が一旦許可された後は、機関回転速度が前記第2の回転速度以下となっても、その作動を継続させる請求項4に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
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