JP2004351948A - エアバッグ付きシートベルト装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ラップベルト5にエアバッグ6を装備し、エアバッグにガスチューブ13の先端を接続すると共に、ガスチューブの基端をラップベルトのアンカー部材固定部の近傍を経由して、車体側に装備したインフレータ11のガスパイプ12に接続する。ラップベルトのアンカー部材16を車体側ブラケット20に回転自在に連結し、そのアンカー部材の回転軸線L上の点を経由して、ガスチューブ13をアンカーカバー30の挿通孔33から外へ引き出してガスパイプ12に接続する。回転軸線L上の点に、ガスチューブ13とインフレータ11のガスパイプ12の相対回転を許容する回転許容部Pを設け、その回転許容部Pを、捩じれ回転が可能なチューブ13自身で構成した。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラップベルトにエアバッグを装備したエアバッグ付きシートベルト装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
シートベルトにエアバッグを装備する試みは従来よりなされている(例えば、特許文献1参照)。その中に、シートベルト装置のラップベルトにエアバッグを装備する試みがある。これは、エアバッグの装備スペースの限られた後席用に考えられている場合が多い。
【0003】
図6(a)〜(d)は、ラップベルトにエアバッグを装備した場合の前方衝突時の挙動を順を追って示す図である。図において、1は前席シートのシートバック、2は後席シートのシートバック、3は後席シートのシートクッション、5は後席シートに着座した乗員Mの腰部を拘束するラップベルト、6はラップベルト5に装備されたエアバッグを示している。
【0004】
(a)の衝突初期の状態から、時間が経過するに従い、乗員Mは(b)〜(d)のように慣性で前方に倒れていく。このとき、ラップベルト5に装備したエアバッグ6が、図示しないインフレータからの高圧ガスにより乗員Mの膝上で膨張展開し、乗員Mの前方への倒れに対する保護作用を発揮する。
【0005】
このようにラップベルト5にエアバッグ6を装備した場合、エアバッグ6にインフレータからのガスを導入する経路を確保しなくてはならず、一般的には、図7に示すように、エアバッグ収納部10に格納したエアバッグ6に、ラップベルト5に沿って配設したガスチューブ13の先端を接続すると共に、ガスチューブ13の基端を、ラップベルト5のアンカー部材6固定部の近傍を経由して、車体側に装備したインフレータ11のガスパイプ12に接続することで、エアバッグ6に対するガスの導入ができるようにしている。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−64493号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、インフレータ11は通常はシートクッション3の下側に設置されており、インフレータ11のガスパイプ12から延びるガスチューブ13を、ラップベルト5に装備されたエアバッグ6まで導くには、シートクッション3に設けた貫通孔やシートバック2とシートクッション3の隙間から、シートクッション3上に引き出さなくてはならない。しかし、シートクッション3の貫通孔やシートバック2とシートクッション3の隙間は狭い上、前方衝突時に乗員が前のめりに倒れ込んだ場合には、ラップベルト5が前に移動することで、ガスチューブ13に無理な力がかかりやすく、無理な力がかかった結果、ガスチューブ13が圧縮されて閉塞したり、ガスパイプ12との接続部分が外れたり、あるいは、ガスチューブ13自身が切れたりするおそれがあった。
【0008】
本発明は、上記事情を考慮し、インフレータからエアバッグまでインフレータガスを導く管路に無理な力がかかるのを防止することができ、ガス導入の確実化を図ることのできるエアバッグ付きシートベルト装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、乗員の腰部を拘束するラップベルトにエアバッグを装備し、該エアバッグに前記ラップベルトに沿って配設したインフレータガス導入管路の先端を接続すると共に、該インフレータガス導入管路の基端を、前記ラップベルトのアンカー部材固定部の近傍を経由して、車体側に装備したインフレータのガス噴出口に接続したエアバッグ付きシートベルト装置において、前記ラップベルトのアンカー部材を、乗員の前方への倒れに伴って回転できるよう車体側に設けたブラケットに連結し、そのアンカー部材の回転軸線上の点を経由して、前記インフレータガス導入管路をラップベルト側からインフレータ側に配設し、前記回転軸線上の点に、ラップベルト側のインフレータガス導入管路とインフレータ側のインフレータガス導入管路の相対回転を許容する回転許容部を設けたことを特徴とする。
【0010】
この発明では、車両衝突等により乗員が前方に倒れた場合、ラップベルトのアンカー部材もラップベルトに引っ張られて前方へ回転する。その際、インフレータガス導入管路は、アンカー部材の回転軸線上の点を経由してラップベルト側からインフレータ側に配設されているので、インフレータガス導入管路には、前記回転軸線上の点において回転力が作用するものの、他の引っ張り力等は作用しない。従って、回転軸線上の点に設けた回転許容部で回転力を吸収しつつ、ラップベルト側のインフレータガス導入管路が、インフレータ側のインフレータガス導入管路に対して相対回転することになり、インフレータガス導入管路のどこにも無理な力が加わらなくなる。その結果、無理な力で管路が押し潰されたり管路の結合部分が外れたりすることもなく、インフレータより発生するガスを確実にエアバッグに送ることができる。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1記載のエアバッグ付きシートベルト装置であって、前記アンカー部材に該アンカー部材と一体に回転するアンカーカバーを取り付け、該アンカーカバーに前記回転軸線上に位置する挿通孔を設け、前記アンカーカバーの内部に前記ラップベルト側のインフレータガス導入管路を収容し、該ラップベルト側のインフレータガス導入管路を、前記挿通孔を通して外部に引き出し前記インフレータ側のインフレータガス導入管路に連通させることで、前記インフレータガス導入管路を、前記回転軸線上の点を経由してラップベルト側からインフレータ側に配設したことを特徴とする。
【0012】
この発明では、アンカーカバーの内部にラップベルト側のインフレータガス導入管路を収容し、アンカーカバーに設けた挿通孔からインフレータガス導入管路を外に引き出しているので、その挿通孔に通した部分を中心にしてインフレータガス導入管路が回転する。従って、アンカーカバーによってインフレータガス導入管路の回転許容部を、アンカー部材の回転軸線上に確実に位置決めしておくことができる。また、アンカーカバーによってラップベルト側のインフレータガス導入管路を保護することになるので、シートクッションの貫通孔等からのインフレータガス導入管路の引き出しが簡単に無理なくできるようになる。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1または2記載のエアバッグ付きシートベルト装置であって、前記ラップベルト側のインフレータガス導入管路が可撓性を有するチューブからなり、前記回転許容部が、捩じれ回転が可能な前記チューブ自身よりなることを特徴とする。
【0014】
この発明では、可撓性を有するチューブ自身の捩じれ回転によって、ラップベルトの回転に伴うチューブ自身の回転を吸収するので、回転許容部の構成が簡単であり、特別な回転式管継手を使用する必要がない。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1または2記載のエアバッグ付きシートベルト装置であって、前記回転許容部として回転式管継手が設けられており、その回転式管継手の一端に前記ラップベルト側のインフレータガス導入管路が接続され、他端にインフレータ側のインフレータガス導入管路が接続されていることを特徴とする。
【0016】
この発明では、回転許容部に回転式管継手を使用しているので、ラップベルトの回転に伴ってチューブが回転する際にも、チューブ自身に捩じれ回転が生じないようにすることができる。従って、チューブの耐久性の向上が図れる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は実施形態のエアバッグ付きシートベルト装置におけるラップベルトアンカー固定部の構成を示す外観斜視図、図2は同部構成を示す縦断面図、図3は同部の内部構造を示す斜視図、図4は図3のA−A矢視断面図、図5はエアバッグの膨張展開時のガスの流れを示す斜視図である。
【0018】
このシートベルト装置は、連続ウェビングタイプの3点式シートベルト装置であり、図5に示すように、ショルダベルト7とラップベルト5の境界部分にタング18が連結され、このタング18をバックル19に差し込んでロックさせることで、乗員Mを拘束する機能を発揮する。乗員の腰部を拘束するラップベルト5にはエアバッグ6が装備され、このエアバッグ6には、ラップベルト5に沿って配設されたガスチューブ(ラップベルト側のインフレータガス導入管路)13の先端が接続され、可撓性を有するガスチューブ13の基端は、ラップベルト5のアンカー部材16の固定部の近傍を経由して、車体側に装備したインフレータ11のガスパイプ(ガス噴出口)12に接続されている。
【0019】
図2に示すように、ラップベルト5のアンカー部材16は、乗員Mの前方への倒れに伴って回転できるよう車体側に設けたブラケット20の立壁21に連結され、アンカー部材16の回転軸線L上の点を経由して、ガスチューブ13がラップベルト5側からインフレータ11側に配設され、回転軸線L上の点に、ラップベルト5側のガスチューブ13とインフレータ11側のガスパイプ12の相対回転を許容する回転許容部Pが設けられている。
【0020】
前記アンカー部材16は、アンカー部材16の貫通孔に通したボルト17を、ブラケット20の立壁21に形成したネジ孔23にねじ込むことで、ブラケット20に回転自在に連結されている。アンカー部材16には、該アンカー部材16と一体に回転するように樹脂製のアンカーカバー30が取り付けられている。アンカーカバー30は、図4に示すように鞘状をなしており、外側壁31と内側壁32との間にラップベルト5及びガスチューブ13を通す空間を有している。
【0021】
アンカーカバー30は、内側壁32の開口をアンカー部材16に嵌めることで、アンカー部材16と一体化されており、外側壁31には、アンカー部材16の回転軸線L上に位置する挿通孔33が設けられている。このアンカーカバー30の内部にはガスチューブ13が収容されており、ガスチューブ13は、その挿通孔33を通して外部に引き出され、インフレータ11から延びるガスパイプ(ガス噴出口)12にクランプ14を介して接続されている。このようにアンカー部材16の回転軸線L上に配した挿通孔33を通してガスチューブ13をインフレータ11のガスパイプ12に接続しているので、捩じれ回転が可能なガスチューブ13自身が前記の回転許容部Pとしての機能を果たすことになる。符号35で示すものは、ガスチューブ13とガスパイプ12の接続部分を保護するカバーである。なお、ガスチューブ13は可撓性を有するので、ガスチューブ13とガスパイプ12との接続部(クランプ14の位置)は、ラップベルト5の移動にガスチューブ13が追従できるのであれば、どの位置に配置してもよい。
【0022】
次に作用を説明する。
このシートベルト装置を装着する場合は、通常の3点式シートベルト装置と同様に、乗員Mがシートに着座してからタング18をバックル19に差し込んでロックさせればよい。
【0023】
この状態で、車両衝突等により乗員Mが前方へ移動すると、ラップベルト5のアンカー部材16がラップベルト5に引っ張られて前方へ回転する。その際、ガスチューブ13は、アンカー部材16の回転軸線L上の点を経由して、アンカーカバー30の外側のインフレータ11のガスパイプ12に接続されているので、ガスチューブ13には若干の回転力が加わる以外に無理な力が作用することがない。従って、回転軸線L上においてガスチューブ13が若干捩じり回転することで回転力を吸収しつつ、ガスチューブ13がガスパイプ12に対して相対回転することになり、インフレータガスの導入経路のどこにも無理な力が加わらなくなる。その結果、無理な力で管路が押し潰されたり管路の結合部分が外れたりすることもなく、インフレータ11より発生するガスを確実にエアバッグ6に送ることができる。
【0024】
この場合、アンカーカバー30の内部にガスチューブ13を収容し、アンカーカバー30に設けた挿通孔33からガスチューブ13を外に引き出しているので、その挿通孔33に通した部分を中心にしてガスチューブ13がガスパイプ12に対して回転することになる。従って、アンカーカバー30によって、回転許容部Pをアンカー部材16の回転軸線L上に確実に位置決めしておくことができ、無理な力の発生を、挿通孔33付きのアンカーカバー30を設けるという簡単な構成で防止することができる。また、アンカーカバー30によってガスチューブ13を保護することになるので、シートクッション3の貫通孔3H等からのガスチューブ13の引き出しが簡単に無理なくできるようになる。
【0025】
また、可撓性を有するガスチューブ13自身の捩じれ回転によって、ラップベルト5の回転に伴うチューブ13の回転を吸収するので、回転許容部Pの構成が簡単であり、特別な回転式管継手を使用する必要がなく、低コストに実現することができる。
【0026】
なお、回転許容部Pとして回転式管継手を設けることもできる。その場合は、回転式管継手の一端にガスチューブ13を接続し、他端にインフレータ11のガスパイプ12を接続すればよい。そうした場合は、ラップベルト5の回転に伴ってガスチューブ13が回転する際にも、ガスチューブ13自身に捩じれ回転が生じないようにすることができるので、ガスチューブ13の耐久性の向上が図れる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ラップベルトのアンカー部材を車体側に設けたブラケットに回転自在に連結し、そのアンカー部材の回転軸線上の点を経由してインフレータガス導入管路をラップベルト側からインフレータ側に配設し、前記回転軸線上の点に、ラップベルト側のインフレータガス導入管路とインフレータ側のインフレータガス導入管路の相対回転を許容する回転許容部を設けているので、ラップベルトが前後に移動した際にも、インフレータガス導入管路のどこにも無理な力が加わらないようにすることができる。そのため、無理な力で管路が押し潰されたり管路の結合部分が外れたりすることもなく、インフレータより発生するガスを確実にエアバッグに送ることができ、ガス導入の確実化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態のエアバッグ付きシートベルト装置におけるラップベルトアンカー固定部の構成を示す外観斜視図である。
【図2】同部構成を示す縦断面図である。
【図3】同部の内部構造を示す斜視図である。
【図4】図3のA−A矢視断面図である。
【図5】エアバッグの膨張展開時のガスの流れを示す斜視図である。
【図6】(a)〜(d)は、ラップベルトにエアバッグを装備した場合の前方衝突時の挙動を順を追って示す図である。
【図7】従来のエアバッグ付きシートベルト装置の要部構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
5 ラップベルト
6 エアバッグ
11 インフレータ
12 ガスパイプ(ガス噴出口)
13 ガスチューブ(ラップベルト側のインフレータガス導入管路)
16 アンカー部材
20 ブラケット
30 アンカーカバー
33 挿通孔
P 回転許容部
L 回転軸線
M 乗員
Claims (4)
- 乗員の腰部を拘束するラップベルトにエアバッグを装備し、該エアバッグに前記ラップベルトに沿って配設したインフレータガス導入管路の先端を接続すると共に、該インフレータガス導入管路の基端を、前記ラップベルトのアンカー部材固定部の近傍を経由して、車体側に装備したインフレータのガス噴出口に接続したエアバッグ付きシートベルト装置において、
前記ラップベルトのアンカー部材を、乗員の前方への倒れに伴って回転できるよう車体側に設けたブラケットに連結し、そのアンカー部材の回転軸線上の点を経由して、前記インフレータガス導入管路をラップベルト側からインフレータ側に配設し、前記回転軸線上の点に、ラップベルト側のインフレータガス導入管路とインフレータ側のインフレータガス導入管路の相対回転を許容する回転許容部を設けたことを特徴とするエアバッグ付きシートベルト装置。 - 請求項1記載のエアバッグ付きシートベルト装置であって、
前記アンカー部材に該アンカー部材と一体に回転するアンカーカバーを取り付け、該アンカーカバーに前記回転軸線上に位置する挿通孔を設け、前記アンカーカバーの内部に前記ラップベルト側のインフレータガス導入管路を収容し、該ラップベルト側のインフレータガス導入管路を、前記挿通孔を通して外部に引き出し前記インフレータ側のインフレータガス導入管路に連通させることで、前記インフレータガス導入管路を、前記回転軸線上の点を経由してラップベルト側からインフレータ側に配設したことを特徴とするエアバッグ付きシートベルト装置。 - 請求項1または2記載のエアバッグ付きシートベルト装置であって、
前記ラップベルト側のインフレータガス導入管路が可撓性を有するチューブからなり、前記回転許容部が、捩じれ回転が可能な前記チューブ自身よりなることを特徴とするエアバッグ付きシートベルト装置。 - 請求項1または2記載のエアバッグ付きシートベルト装置であって、
前記回転許容部として回転式管継手が設けられており、その回転式管継手の一端に前記ラップベルト側のインフレータガス導入管路が接続され、他端にインフレータ側のインフレータガス導入管路が接続されていることを特徴とするエアバッグ付きシートベルト装置。
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