JPH11268608A - エアベルト装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 エアベルト装置のバックル装置に設けたイン
フレータを、他部材と干渉したり邪魔になったりしない
ようにコンパクトに配置する。 【解決手段】 ショルダーベルト６およびラップベルト
７の端部に設けたタング装置８が結合されるバックル装
置９は、バックルハウジング１４から下方に延びるアン
カー部材１７を介して取付ブラケット１０に支点ピン１
８で前後揺動自在に枢支される。バックルハウジング１
４の下端に車体左右方向に支持したインフレータ１１
は、前記支点ピン１８を延長した揺動軸線Ｌに沿って車
体左右方向に配置される。タング装置８に引かれてバッ
クル装置９およびインフレータ１１が揺動軸線Ｌ回りに
一体に揺動しても、前記揺動軸線Ｌに沿って配置された
インフレータ１１の位置は大きく変化しないため、その
インフレータ１１が他部材と干渉することが防止され
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、車両の衝突時に乗
員をシートに拘束するベルトを、インフレータから供給
されるガスで膨張させるエアベルト装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】シートベルトの内部にバッグを収納し、
車両の衝突時に前記バッグを膨張させて乗員を柔らかく
拘束するエアベルト装置は、例えば特開平６−５６００
１号公報により既に知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで上記従来のエ
アベルト装置は、車両の衝突時にガスを発生するインフ
レータの一端が車体の支持部に揺動自在に支持されてお
り、このインフレータの他端にバックルが一体に設けら
れている。従って、ベルトの端部に設けたタングに引か
れてバックルが揺動するとき、バックルと共にインフレ
ータが揺動して他の部材と干渉したり、タングをバック
ルに結合する際に邪魔になったりする問題がある。

【０００４】本発明は前述の事情に鑑みてなされたもの
で、エアベルト装置のバックル装置に設けたインフレー
タを、他部材と干渉したり邪魔になったりしないように
コンパクトに配置することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項１に記載された発明は、乗員をシートに拘束
するベルトと、前記ベルトの内部に収納されたバッグ
と、前記ベルトの端部に設けられたタング装置と、前記
タング装置を結合すべく車体の支持部に揺動自在に支持
されたバックル装置と、車両の衝突時にガスを発生して
前記バッグを膨張させるべく前記バックル装置に支持さ
れたインフレータとを備えたエアベルト装置において、
前記バックル装置の揺動軸線上に前記インフレータを配
置したことを特徴とする。

【０００６】上記構成によれば、ベルトの端部に設けた
タング装置に引かれてバックル装置およびインフレータ
が揺動軸線回りに一体に揺動しても、前記揺動軸線上に
配置されたインフレータの位置は大きく変化しないた
め、そのインフレータが他部材と干渉したり邪魔になっ
たりすることが防止される。

【０００７】また請求項２に記載された発明は、請求項
１の構成に加えて、前記シートの下部に前記インフレー
タを収納したことを特徴とする。

【０００８】上記構成によれば、インフレータをシート
の下部に収納したので、インフレータが目視不能になっ
て外観が向上するだけでなく、インフレータと他部材と
の干渉を一層確実に防止することができる。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、添
付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。

【００１０】図１〜図５は本発明の第１実施例を示すも
ので、図１は車両のフロントシート部の側面図、図２は
図１の２方向矢視図、図３はエアベルト装置の斜視図、
図４は図２の要部拡大図、図５は図４の５−５線断面図
である。

【００１１】図１〜図３に示すように、乗員（実施例で
はドライバー）を前部右側シート１に拘束するエアベル
ト装置は、センターピラー２の下部に設けられたショル
ダーベルト用リトラクタ３と、このショルダーベルト用
リトラクタ３の下側に設けられたラップベルト用リトラ
クタ４と、ショルダーベルト用リトラクタ３から引き出
され、センターピラー２の上部に設けたスリップガイド
５を経由して延びるショルダーベルト６と、ラップベル
ト用リトラクタ４から引き出されるラップベルト７と、
ショルダーベルト６およびラップベルト７の端部に固定
されたタング装置８と、車体フロアに設けた取付ブラケ
ット１０に支持されて前記タング装置８が結合されるバ
ックル装置９と、バックル装置９に一体に設けられたイ
ンフレータ１１とを備える。

【００１２】公知のショルダーベルト用リトラクタ３お
よびラップベルト用リトラクタ４は、それぞれショルダ
ーベルト６およびラップベルト７を引き出し可能に巻き
取るもので、図示せぬ加速度センサが所定値以上の加速
度を検出していない通常時には、前記両ベルト６，７を
引き出し可能にして乗員の身体の移動を許容し、車両の
衝突時に前記加速度センサが所定値以上の加速度を検出
すると、両ベルト６，７を引き出し不能にロックして乗
員を拘束するようになっている。公知のインフレータ１
１は、加速度センサが所定値以上の加速度を検出したと
きに点火し、推薬の燃焼により高圧のガスを発生する。

【００１３】図３に示すように、ラップベルト７は通常
の合成繊維の平織ベルトから構成される。一方、ショル
ダーベルト６のうちの乗員の胸部に接触する部分は、筒
状に形成されて折り畳まれたバッグ１２と、その外側を
覆って車両の衝突時に張力を発生するウエビング１３と
から構成される。バッグ１２の材質は、通常のエアバッ
グ装置のエアバッグと同じナイロン製であるが、それに
限定されるものではない。ショルダーベルト６は通常時
には偏平な帯状になっているが、インフレータ１１から
バッグ１２にガスが供給されると、図１および図２に示
す状態に膨張して乗員を柔らかく拘束する。経編みニッ
トから構成されたウエビング１３がバッグ１２の膨張に
伴って半径方向に広がると、その分だけ長手方向に収縮
してショルダーベルト６に初期張力を発生させる。

【００１４】図４および図５に示すように、バックル装
置９の本体部を構成するバックルハウジング１４は、そ
の下部に前記インフレータ１１が固定され、その上部に
バックル１５が固定される。バックルハウジング１４に
ボルト１６で上端を固定されたアンカー部材１７の下端
が、車体フロアに設けた取付ブラケット１０に支点ピン
１８、カラー２９およびナット３０を介して前後揺動自
在に支持される。アンカー部材１７は側面視でＪ字状に
形成され、かつ後面視でクランク状に屈曲しており、ア
ンカー部材１７の下端の支点ピン１８の位置はバックル
ハウジング１４の下部と側面視で重なり合っている。

【００１５】概略円柱状のインフレータ１１は、バック
ル装置９の揺動軸線Ｌである前記支点ピン１８の延長線
に沿って車体左右方向に配置されており、その大部分が
シート１の下部空間に収納されている。インフレータ１
１はシートベース３２の側面に形成した前後方向の長孔
３２₁ を緩く貫通しており、従ってシート１の前後位置
を調整してもインフレータ１１がシートベース３２と干
渉することがない。バックルハウジング１４の上壁に開
口する接続口１９とインフレータ１１とが、バックルハ
ウジング１４の内部に形成したガス通路２０により連通
する。

【００１６】タング装置８のタングハウジング２１の上
部外周面に嵌合するショルダーベルト６のバッグ１２お
よびウエビング１３と、それらの外側に重ね合わされた
ラップベルト７とが環状のホルダー２２で締め付けられ
て固定される。タングハウジング２１の内部に上半部を
埋め込まれたタング２３が、ホルダー２２、ラップベル
ト７、ウエビング１３およびバッグ１２を貫通するボル
ト２４でタングハウジング２１に固定される。タングハ
ウジング２１の下面には、バックルハウジング１４の接
続口１９に挿入可能な接続管２５が突設される。タング
ハウジング２１および接続管２５の内部には前記接続口
１９をバッグ１２の内部に連通させるガス通路２６が形
成される。バックル１５に結合されたタング２３を分離
するためのリリースボタン２７（図３参照）がバックル
ハウジング１４に設けられる。

【００１７】次に、前述の構成を備えた本発明の実施例
の作用を説明する。

【００１８】図５に示すように、エアベルト装置を装着
すべくタング装置８のタング２３をバックル装置９のバ
ックル１５に結合すると、タング装置８の接続管２５が
バックル装置９の接続口１９に挿入される。

【００１９】車両の衝突により加速度センサが所定値以
上の加速度を検出すると、インフレータ１１が点火して
高圧のガスが発生し、発生したガスはバックルハウジン
グ１４のガス通路２０およびタングハウジング２１のガ
ス通路２６を経てショルダーベルト６のバッグ１２内に
供給され、このバッグ１２を膨張させる。バッグ１２が
膨張すると、その圧力でウエビング１３が膨張すること
により、ショルダーベルト６全体が膨張する。このよう
にしてショルダーベルト６が膨張すると、膨張前のショ
ルダーベルト６に比べて乗員の胸部に対する接触面積が
増加するため、乗員を一層柔らかく拘束することができ
る。

【００２０】乗員が身体を動かした場合やシート１の位
置を前後に調整した場合に、ショルダーベルト６および
ラップベルト７の端部に設けたタング装置８に引かれて
バックル装置９が支点ピン１８回りに前後に揺動する
が、インフレータ１１は前記支点ピン１８の揺動軸線Ｌ
に沿って配置されているため、インフレータ１１がバッ
クル装置９と共に揺動してもその位置が大きく変化する
ことがない。従って、インフレータ１１が他部材と干渉
したり邪魔になったりすることがなくなり、他部材のレ
イアウトの自由度も増加する。しかもシート１の下部に
収納されたインフレータ１１は外部から目視不能になっ
て外観が向上するだけでなく、シート１の下部のデッド
スペースを有効利用して他部材との干渉を一層確実に防
止することができる。

【００２１】図６および図７は本発明の第２実施例を示
すものである。

【００２２】第２実施例のバックル装置９はバックルハ
ウジング１４の下部にアンカー部材を兼ねるガス供給管
３３およびインフレータハウジング３４を一体に備え
る。ガス供給管３３の上部はバックルハウジング１４の
内部に埋め込まれており、またガス供給管３３の内部に
連通する気密のインフレータハウジング３４の内部にイ
ンフレータ１１が収納される。従って、インフレータ１
１が発生したガスは、インフレータハウジング３４から
ガス供給管３３を経てバックルハウジング１４のガス通
路２０に供給される。

【００２３】インフレータハウジング３４の端部に設け
た支点ピン１８が取付ブラケット１０に前後揺動自在に
支持されており、その支点ピン１８を延長した揺動軸線
Ｌに沿って車体左右方向に配置されたインフレータ１１
は、シートベース３２の長孔３２₁ を貫通してシート１
の下部のデッドスペースに収納される。而して、本実施
例によっても、バックル装置９の揺動に伴うインフレー
タ１１の位置変化を防止して他部材との干渉を回避する
とともに、シート１の下部のデッドスペースを有効に利
用してインフレータ１１を体裁良く配置することが可能
となる。

【００２４】以上、本発明の実施例を詳述したが、本発
明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行う
ことが可能である。

【００２５】例えば、実施例では揺動軸線Ｌとインフレ
ータ１１の軸線とを一致させているが、揺動軸線Ｌ上に
インフレータ１１の一部が乗っていれば所望の作用効果
を奏することが可能である。

【００２６】

【発明の効果】以上のように請求項１に記載された発明
によれば、ベルトの端部に設けたタング装置に引かれて
バックル装置およびインフレータが揺動軸線回りに一体
に揺動しても、前記揺動軸線上に配置されたインフレー
タの位置は大きく変化しないため、そのインフレータが
他部材と干渉したり邪魔になったりすることが防止され
る。

【００２７】また請求項２に記載された発明によれば、
インフレータをシートの下部に収納したので、インフレ
ータが目視不能になって外観が向上するだけでなく、イ
ンフレータと他部材との干渉を一層確実に防止すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】車両のフロントシート部の側面図

【図２】図１の２方向矢視図

【図３】エアベルト装置の斜視図

【図４】図２の要部拡大図

【図５】図４の５−５線断面図

【図６】本発明の第２実施例に係る、前記図４に対応す
る図

【図７】図６の７−７線断面図

【符号の説明】

１ シート ６ ショルダーベルト（ベルト） ８ タング装置 ９ バックル装置 １０ 取付ブラケット（支持部） １１ インフレータ １２ バッグ Ｌ 揺動軸線

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 乗員をシート（１）に拘束するベルト
   （６）と、 前記ベルト（６）の内部に収納されたバッグ（１２）
   と、 前記ベルト（６）の端部に設けられたタング装置（８）
   と、 前記タング装置（８）を結合すべく車体の支持部（１
   ０）に揺動自在に支持されたバックル装置（９）と、 車両の衝突時にガスを発生して前記バッグ（１２）を膨
   張させるべく前記バックル装置（９）に支持されたイン
   フレータ（１１）と、を備えたエアベルト装置におい
   て、 前記バックル装置（９）の揺動軸線（Ｌ）上に前記イン
   フレータ（１１）を配置したことを特徴とするエアベル
   ト装置。
2. 【請求項２】 前記シート（１）の下部に前記インフレ
   ータ（１１）を収納したことを特徴とする、請求項１に
   記載のエアベルト装置。