本発明は、液晶配向剤、液晶配向膜の製造方法および液晶表示素子に関する。さらに詳しくは、ラビング処理を行わずに、偏光された放射線の照射によって液晶配向能を付与することが可能な液晶配向膜の形成に用いられる液晶配向剤およびこのような液晶配向膜の製造方法並びに当該液晶配向膜を有する液晶表示素子に関する。
従来、正の誘電異方性を有するネマティック型液晶を、液晶配向膜を有する透明電極付き基板でサンドイッチ構造にしてなる液晶セルを有する液晶表示素子が知られている。かかる液晶表示素子の動作モードとしては、液晶分子の長軸が基板間で90度以上連続的に捻れるようにしてなる液晶セルに基板界面と垂直方向の電界を印可するTN(Twisted Nematic)モードおよびSTN(Super Twisted Nematic)モード、液晶分子の長軸を基板間で一様に配向させた液晶セルに基板界面と平行方向の電界を印加するIPS(In Plane Switching)モードを挙げることができる(特許文献1,2参照)。また、近年、上記とはさらに別の液晶表示素子の動作モードとして、高プレチルト角(10〜20°)水平配向膜を有する透明電極付き基板の間に挟みベンド配向させるOCBモード、および、水平配向膜および垂直配向膜を各々有する透明電極付き基板の間に挟みハイブリッド配向させるR−OCBモードが提案されている。
このような液晶セルにおける液晶を配向させる手段としては、基板表面に有機膜を形成し、次いでその有機膜表面をレーヨンなどの布材で一方向にこすることにより液晶配向能を付与する(ラビング処理を施す)方法、基板表面に酸化珪素を斜方蒸着する方法またはラングミュア・ブロジェット法(LB法)を用いて長鎖アルキル基を有する単分子膜を形成する方法などがある。このうち、基板サイズ、液晶の配向均一性、処理時間および処理コストの観点からラビング処理によるのが一般的である。
しかし、液晶の配向をラビング処理により行うと、工程内でほこりが発生したり、静電気が発生したりしやすいために、配向膜表面にほこりが付着して表示不良発生の原因となるという問題があった。特にTFT(Thin Film Transistor)素子を有する基板の場合には、発生した静電気によってTFT素子の回路破壊が起こり、歩留まり低下の原因となるという問題もあった。さらに、今後ますます高精細化される液晶表示素子においては、画素の高密度化に伴い基板表面に凹凸が生じるために、均一にラビング処理を行うことが課題となる。
液晶セルにおける液晶を配向させる別の手段は、基板表面に形成したポリビニルシンナメート、ポリ(4'−メタクリロイロキシカルコン)などの感光性高分子膜に直線偏光された紫外線を照射することにより、液晶配向能を付与するものである(光配向法)。この方法によれば、静電気やほこりを発生することなく、均一な液晶配向を実現できる(特許文献3〜10参照)。しかしながら、従来知られている材料を用いて光配向膜を用いて液晶表示素子を構成した場合、印加電圧を解除した後の表示画面に残像が生じ、この残像が消去されるまでの時間が長いという問題点があった。
また、上記とは別の液晶表示素子の動作モードとして、負の誘電異方性を有する液晶分子を基板に垂直に配向させる垂直配向(VA)モードも知られている。この動作モードでは、基板間に電圧を印加して液晶分子が基板に平行な方向に向かって傾く際に、液晶分子が基板法線方向から基板面内の一方向に向かって傾くようにする必要がある。このため、電圧を印加しない状態において、液晶分子を基板法線方向から基板面内の一方向に向けてわずかに傾ける方法が提案されており、これにより、電圧印加時に液晶分子の傾く方向を定めることができる。さらに、先行発明(特許文献11参照)は、電圧を印加しない状態でプレチルト角を生じることを必ずしも要せず、電圧印加時に基板面内方向の配向規制力を有するVAモード用の液晶配向膜を、光配向法により形成することができることを明らかにしている。かかる液晶配向膜を用いることにより、電圧印加時の配向乱れの少ないVA型液晶表示素子を構成することができる。
しかしながら、この場合にも、従来知られている材料からなる光配向膜を用いて液晶表示素子を構成した場合には、印加電圧を解除した後の表示画面に残像が生じ、この残像が消去されるまでの時間が長いという問題点があった。
さらに、従来の、VA型液晶表示素子に用いられる光配向膜には、製造工程での作業マージンが狭いという別の問題点があった。すなわち、VA型液晶表示素子用の光配向剤を用いて基板上に薄膜を形成した後、UV光を照射して液晶配向能を付与する以前に空気中で放置すると、放置時間が長くなるにつれて液晶分子のプレチルト角が小さくなり、甚だしくは、垂直配向性が全く失われてしまう、という問題があった。
特開昭56−91277号
特開平1−120528号
特開平6−289374号
特開平6−287453号
特開平10−251646号
特開平11−2815号
特開平11−152475号
特開2000−144136号
特開2000−319510号
特開2000−281724号
特開2001−307203号
本発明の目的は、ラビング処理を行わずに、直線偏光または部分偏光された放射線の照射によって液晶配向能を付与することが可能な液晶配向膜の形成に用いられる、液晶配向剤を提供することにある。
本発明の他の目的は、残像が生じにくく、かつ、この残像が消去されるまでの時間の短い液晶表示素子を構成することができる、液晶配向剤を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、基板上に塗布して薄膜を形成した後、UV光の照射を行うまでの放置時間が長くなっても、得られる液晶配向膜上の液晶分子のプレチルト角が変化しにくい液晶配向剤を提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、(A)下記式(I)、(II)、(III)および(IV):
−P1−CR1=CR2−CO−Q1− ・・・・・(I)
P2−CR3=CR4−CO−Q2− ・・・・・(II)
|
P3−CR5=CR6−CO−Q3− ・・・・・(III)
−P4−CR7=CR8−CO−Q4 ・・・・・(IV)
式中、P1、P4、Q1およびQ3は、互に独立に、芳香環を有する2価の
有機基、P2、P3およびQ4は、互に独立に、芳香環を有する1価の有機
基、Q2は、芳香環を有する3価の有機基を表し、そしてR1、R2、R3、
R4、R5、R6、R7およびR8は、互に独立に、水素原子またはアルキ
ル基を表す。
のそれぞれで表わされる構造よりなる群から選ばれる少なくとも1つの構造を有する重合体、並びに
(B)下記式(V)
式中、R9は2価の有機基を表わしそしてR10は4価の有機基を表す。
で表わされる繰り返し単位を有しそして上記式(I)、(II)、(III)および(IV)で表わされるいずれの構造も有さないポリアミック酸および当該ポリアミック酸のイミド化重合体よりなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体、
を含有することを特徴とする液晶配向剤によって達成される。
また、本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、本発明の液晶配向剤から得られる膜に偏光された放射線を照射することを特徴とする、液晶配向膜の製造方法によって達成される。
さらに、本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、本発明の液晶配向剤から得られる液晶配向膜を備えた液晶表示素子によって達成される。
本発明の液晶配向剤を用いて形成した液晶配向膜を用いると、従来の光配向法による液晶配向膜を用いた場合に比べて、残像消去時間が短く、表示特性の優れた液晶表示素子を作製できる。そのため、TN型、STN型、IPS型、OCB型、R−OCB型および垂直配向型等の液晶表示素子に用いた場合に高い表示性能が得られるので、種々の装置に有効に適用できる。例えば卓上計算機、腕時計、置時計、係数表示板、ワードプロセッサ、パーソナルコンピューターまたは液晶テレビなどの表示装置に好適に用いられる。また、本発明方法により得られる垂直配向性の液晶配向膜においては、製造工程でのプレチルト角の変化が少ないので、表示特性の安定した液晶表示素子を製造するのに有利である。
従来の光配向膜を有する液晶表示素子において残像を生じやすい原因の1つは、かかる光配向膜が含有する感光性基、および/または、その光反応生成物がしばしば配向分極を起こしやすいことにある。即ち、かかる液晶表示素子に電圧を印加するとき、その配向膜が含有する感光性基、および/または、その光反応生成物が、印加電圧によって配向分極を起こし、かつ、電圧を解除してもその配向分極が解消しがたい傾向があるため、印加電圧を解除した後の表示画面に残像が生じることになる。
例えば、上記式(I)、(II)、(III)および(IV)のそれぞれで表わされる共役エノン構造のいずれかを有する光配向膜においては、共役エノン構造が大きな配向分極率をもつため、これが液晶表示素子に残像を生じさせる原因となる。かかる残像は、光配向膜中の共役エノン構造の導入量を低減することにより抑制できるが、この場合、液晶配向規制力も同時に低下してしまうことが避けられない。
一方、前記共役エノン構造を有する重合体(A)および共役エノン構造を有さないポリアミック酸および/またはイミド化重合体である重合体(B)を含有してなる本発明の光配向膜においては、相対的に表面張力の小さい重合体(A)が膜表面に濃縮されるため、膜表面での共役エノン構造の含率を維持しつつ、膜全体に対する共役エノン構造の導入量を低減することができる。この結果、本発明の光配向膜は、良好な液晶配向規制力を有しているにも関わらず、残像を生じにくい液晶表示素子を構成するために有用である。
発明の実施の形態
以下、本発明を詳細に説明する。
重合体(A)
本発明の液晶配向剤に用いられる重合体(A)は、放射線に感応する構造を有する重合体である。ここで「感応」とは、放射線の照射により電子が光エネルギーを吸収して励起し、結合を生成または解離して元の基底状態に戻ることを意味する。
上記式(I)、(II)、(III)および(IV)におけるP2、P3およびQ4は、それぞれ独立に、芳香環を有する1価の有機基であり、またP1、P4、Q1、およびQ3は、それぞれ独立に、芳香環を有する2価の有機基であり、Q2は、芳香環を有する3価の有機基である。P1、P2、P3、P4、Q1、Q2、Q3およびQ4としては、いずれも、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数6〜20の有機基が好ましい。
芳香環を有する1価の有機基(P2、P3、Q4)としては、具体的には、フェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ペンチルフェニル基、4−オクチルフェニル基、4−フルオロフェニル基、3−メトキシフェニル基、3−ペンチルフェニル基、3−オクチルフェニル基、3−フルオロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,4,5−トリフルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、ビフェニル基、4−ペンチルビフェニル基、4−オクチルビフェニル基、4−フルオロビフェニル基、3,4−ジフルオロビフェニル基、3,4,5−トリフルオロビフェニル基、1−ナフチル基、4−オクチル−1−ナフチル基、5−ペンチル−1−ナフチル基、2−ナフチル基、6−オクチル−2−ナフチル基、9−アントリル基、10−オクチル−9−アントリル基、10−ペンチル−9−アントリル基等を挙げることができる。
また、芳香環を有する2価の有機基(P1、P4、Q1およびQ3)としては、具体的には、1,2−フェニレン基、3−フルオロ−1,2−フェニレン基、4−フルオロ−1,2−フェニレン基、3−メトキシ−1,2−フェニレン基、4−メトキシ−1,2−フェニレン基、3−メチル−1,2−フェニレン基、4−メチル−1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、2−フルオロ−1,3−フェニレン基、4−フルオロ−1,3−フェニレン基、5−フルオロ−1,3−フェニレン基、2−メトキシ−1,3−フェニレン基、4−メトキシ−1,3−フェニレン基、5−メトキシ−1,3−フェニレン基、2−メチル−1,3−フェニレン基、4−メチル−1,3−フェニレン基、5−メチル−1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、2−メトキシ−1,4−フェニレン基、2−メチル−1,4−フェニレン基、4,4'−ビフェニレン基、3,4'−ビフェニレン基、3,3'−ビフェニレン基などが挙げられる。
また、芳香環を有する3価の有機基(Q2)としては、下記式(i)で表される有機基を挙げることができる。
また、式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は水素原子またはアルキル基であり、好ましくは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり、さらに好ましくは水素原子またはメチル基であり、特に好ましくは水素原子である。これらのアルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、互いに同一でも異なっていてもよい。
さらに、本発明の液晶配向剤に含有される重合体(A)の側鎖に、炭素数10〜30のアルキル基、炭素数10〜30の脂環式骨格含有基および炭素数2以上のフッ素含有有機基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の疎水基(以下、「特定疎水基」ともいう)を導入することにより、垂直配向性またはプレチルト角発現性を付与することが好ましい。なお、本明細書における「プレチルト角」とは、基板面と平行な方向からの液晶分子の傾きの角度を表す。
かかる炭素数10〜30のアルキル基としては、例えば、n−デシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基、n−エイコシル基などの直鎖状のアルキル基を挙げることができる。また、炭素数10〜30の脂環式骨格含有基としては、例えば、コレステリル基、コレスタニル基などを挙げることができる。また、フッ素含有有機基としては、例えば、1,1,1−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、4−フルオロシクロヘキシル基、ペンタフルオロシクロヘキシル基、4−フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基および下記式(ii)で表される基などを挙げることができる。上記アルキル基、脂環式骨格含有基およびフッ素含有有機基は、例えば、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−または−S−などの基を介して結合されていてもよい。
式中、A1は−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−または−S−で表される2価の基であり、A2はフッ素原子またはトリフルオロメチル基である。
これらのうち、炭素数10〜30のアルキル基および炭素数10〜30の脂環式骨格含有基が好ましく、炭素数15〜20の直鎖状のアルキル基、コレステリル基、コレスタニル基がさらに好ましく、n−ヘキサデシル基およびn−オクタデシル基が特に好ましい。
重合体(A)の全繰返し単位における特定疎水基を有する構造の含有割合は、必要とされるプレチルト角によって好ましい含有割合が異なるが、垂直配向モードに用いる場合には、好ましくは、3〜50%、より好ましくは5〜30%、特に好ましくは10〜15%である。また、垂直配向以外のモードに用いる場合には、目標とするプレチルト角によって好ましい含有割合が異なるが、その上限は、好ましくは、30%である。
本発明で用いられる重合体(A)は、特定構造を主鎖または側鎖に有する重合体である。前記重合体の骨格には特に制限はないが、(1)スチレン重合体、(2)スチレン−フェニルマレイミド共重合体および(3)ポリアミック酸エステルから選ばれる骨格が好ましく、(3)ポリアミック酸エステルが特に好ましい。
前記スチレン重合体は、特定構造を有するスチレン誘導体である単量体を、またスチレン−フェニルマレイミド共重合体は、特定構造を有するスチレン誘導体である単量体と特定構造を有するフェニルマレイミド誘導体である単量体を、開始剤の存在下でラジカル重合することにより得られる。
特定構造を有するスチレン誘導体としては、例えば4−(4−カルコニルオキシ)スチレン、4−(4−カルコニルオキシ)α−メチルスチレン、4−(2−(4−カルコニルオキシ)エトキシ)スチレン、4−(2−(4−カルコニルオキシ)エトキシ)α−メチルスチレン、4−(4−(4−カルコニルオキシ)ブトキシ)スチレン、4−(4−(4−カルコニルオキシ)ブトキシ)α−メチルスチレン、4−(6−(4−カルコニルオキシ)ヘキサノキシ)スチレン、4−(6−(4−カルコニルオキシ)ヘキサノキシ)α−メチルスチレン、4−(8−(4−カルコニルオキシ)オクタノキシ)スチレン、4−(8−(4−カルコニルオキシ)オクタノキシ)α−メチルスチレン、4−(4−カルコニルカルボキシ)スチレン、4−(4−カルコニルカルボキシ)α−メチルスチレン、4−(2−(4−カルコニルカルボキシ)エトキシ)スチレン、4−(2−(4−カルコニルカルボキシ)エトキシ)α−メチルスチレン、4−(4−(4−カルコニルカルボキシ)ブトキシ)スチレン、4−(4−(4−カルコニルカルボキシ)ブトキシ)α−メチルスチレン、4−(6−(4−カルコニルカルボキシ)ヘキサノキシ)スチレン、4−(6−(4−カルコニルカルボキシ)ヘキサノキシ)α−メチルスチレン、4−(8−(4−カルコニルカルボキシ)オクタノキシ)スチレン、4−(8−(4−カルコニルカルボキシ)オクタノキシ)α−メチルスチレン、4−(2−(4−カルコニル)エトキシ)スチレン、4−(2−(4−カルコニル)エトキシ)α−メチルスチレン、4−(4−(4−カルコニル)ブトキシ)スチレン、4−(4−(4−カルコニル)ブトキシ)α−メチルスチレン、4−(6−(4−カルコニル)ヘキサノキシ)スチレン、4−(6−(4−カルコニル)ヘキサノキシ)α−メチルスチレン、4−(8−(4−カルコニル)オクタノキシ)スチレン、4−(8−(4−カルコニル)オクタノキシ)α−メチルスチレン、4−(2−(4−カルコニルオキシ)エチル)スチレン、4−(2−(4−カルコニルオキシ)エチル)α−メチルスチレン、4−(4−(4−カルコニルオキシ)ブチル)スチレン、4−(4−(4−カルコニルオキシ)ブチル)α−メチルスチレン、4−(6−(4−カルコニルオキシ)ヘキシル)スチレン、4−(6−(4−カルコニルオキシ)ヘキシル)α−メチルスチレン、4−(8−(4−カルコニルオキシ)オクチル)スチレン、4−(8−(4−カルコニルオキシ)オクチル)α−メチルスチレン、4−(2−(4−カルコニルカルボキシ)エチル)スチレン、4−(2−(4−カルコニルカルボキシ)エチル)α−メチルスチレン、4−(4−(4−カルコニルカルボキシ)ブチル)スチレン、4−(4−(4−カルコニルカルボキシ)ブチル)α−メチルスチレン、4−(6−(4−カルコニルカルボキシ)ヘキシル)スチレン、4−(6−(4−カルコニルカルボキシ)ヘキシル)α−メチルスチレン、4−(8−(4−カルコニルカルボキシ)オクチル)スチレン、4−(8−(4−カルコニルカルボキシ)オクチル)α−メチルスチレン、4−(2−(4−カルコニル)エチル)スチレン、4−(2−(4−カルコニル)エチル)α−メチルスチレン、4−(4−(4−カルコニル)ブチル)スチレン、4−(4−(4−カルコニル)ブチル)スチレン、4−(4−(4−カルコニル)ブチル)α−メチルスチレン、4−(6−(4−カルコニル)ヘキシル)スチレン、4−(6−(4−カルコニル)ヘキシル)α−メチルスチレン、4−(8−(4−カルコニル)オクチル)スチレン、4−(8−(4−カルコニル)オクチル)α−メチルスチレン、4−(4−カルコニルオキシメチル)スチレン、4−(4−カルコニルオキシメチル)α−メチルスチレン、4−(2−(4−カルコニルオキシ)エトキシメチル)スチレン、4−(2−(4−カルコニルオキシ)エトキシメチル)α−メチルスチレン、4−(4−(4−カルコニルオキシ)ブトキシメチル)スチレン、4−(4−(4−カルコニルオキシ)ブトキシメチル)α−メチルスチレン、4−(6−(4−カルコニルオキシ)ヘキサノキシメチル)スチレン、4−(6−(4−カルコニルオキシ)ヘキサノキシメチル)α−メチルスチレン、4−(8−(4−カルコニルオキシ)オクタノキシメチル)スチレン、4−(8−(4−カルコニルオキシ)オクタノキシメチル)α−メチルスチレン、4−(4−カルコニルカルボキシメチル)スチレン、4−(4−カルコニルカルボキシメチル)α−メチルスチレン、4−(2−(4−カルコニルカルボキシ)エトキシメチル)スチレン、4−(2−(4−カルコニルカルボキシ)エトキシメチル)α−メチルスチレン、4−(4−(4−カルコニルカルボキシ)ブトキシメチル)スチレン、4−(4−(4−カルコニルカルボキシ)ブトキシメチル)α−メチルスチレン、4−(6−(4−カルコニルカルボキシ)ヘキサノキシメチル)スチレン、4−(6−(4−カルコニルカルボキシ)ヘキサノキシメチル)α−メチルスチレン、4−(8−(4−カルコニルカルボキシ)オクタノキシメチル)スチレン、4−(8−(4−カルコニルカルボキシ)オクタノキシメチル)α−メチルスチレン、4−(2−(4−カルコニル)エトキシメチル)スチレン、4−(2−(4−カルコニル)エトキシメチル)α−メチルスチレン、4−(4−(4−カルコニル)ブトキシメチル)スチレン、4−(4−(4−カルコニル)ブトキシメチル)α−メチルスチレン、4−(6−(4−カルコニル)ヘキサノキシメチル)スチレン、4−(6−(4−カルコニル)ヘキサノキシメチル)α−メチルスチレン、4−(8−(4−カルコニル)オクタノキシメチル)スチレン、4−(8−(4−カルコニル)オクタノキシメチル)α−メチルスチレン、4−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)スチレン、4−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)α−メチルスチレン、4−(2−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)エトキシ)スチレン、4−(2−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)エトキシ)α−メチルスチレン、4−(4−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ブトキシ)スチレン、4−(4−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ブトキシ)α−メチルスチレン、4−(6−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ヘキサノキシ)スチレン、4−(6−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ヘキサノキシ)α−メチルスチレン、4−(8−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)オクタノキシ)スチレン、4−(8−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)オクタノキシ)α−メチルスチレン、4−(4'−フルオロ−4−カルコニルカルボキシ)スチレン、4−(4'−フルオロ−4−カルコニルカルボキシ)α−メチルスチレン、4−(2−(4'−フルオロ−4−カルコニルカルボキシ)エトキシ)スチレン、4−(2−(4'−フルオロ−4−カルコニルカルボキシ)エトキシ)α−メチルスチレン、4−(4−(4'−フルオロ−4−カルコニルカルボキシ)ブトキシ)スチレン、4−(4−(4'−フルオロ−4−カルコニルカルボキシ)ブトキシ)α−メチルスチレン、4−(6−(4'−フルオロ−4−カルコニルカルボキシ)ヘキサノキシ)スチレン、4−(6−(4'−フルオロ−4−カルコニルカルボキシ)ヘキサノキシ)α−メチルスチレン、4−(8−(4'−フルオロ−4−カルコニルカルボキシ)オクタノキシ)スチレン、4−(8−(4'−フルオロ−4−カルコニルカルボキシ)オクタノキシ)α−メチルスチレン、4−(2−(4'−フルオロ−4−カルコニル)エトキシ)スチレン、4−(2−(4'−フルオロ−4−カルコニル)エトキシ)α−メチルスチレン、4−(4−(4'−フルオロ−4−カルコニル)ブトキシ)スチレン、4−(4−(4'−フルオロ−4−カルコニル)ブトキシ)α−メチルスチレン、4−(6−(4'−フルオロ−4−カルコニル)ヘキサノキシ)スチレン、4−(6−(4'−フルオロ−4−カルコニル)ヘキサノキシ)α−メチルスチレン、4−(8−(4'−フルオロ−4−カルコニル)オクタノキシ)スチレン、4−(8−(4'−フルオロ−4−カルコニル)オクタノキシ)α−メチルスチレン、4−(2−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)エチル)スチレン、4−(2−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)エチル)α−メチルスチレン、4−(4−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ブチル)スチレン、4−(4−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ブチル)α−メチルスチレン、4−(6−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ヘキシル)スチレン、4−(6−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ヘキシル)α−メチルスチレン、4−(8−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)オクチル)スチレン、4−(8−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)オクチル)α−メチルスチレン、4−(2−(4'−フルオロ−4−カルコニルカルボキシ)エチル)スチレン、4−(2−(4'−フルオロ−4−カルコニルカルボキシ)エチル)α−メチルスチレン、4−(4−(4'−フルオロ−4−カルコニルカルボキシ)ブチル)スチレン、4−(4−(4'−フルオロ−4−カルコニルカルボキシ)ブチル)α−メチルスチレン、4−(6−(4'−フルオロ−4−カルコニルカルボキシ)ヘキシル)スチレン、4−(6−(4'−フルオロ−4−カルコニルカルボキシ)ヘキシル)α−メチルスチレン、4−(8−(4'−フルオロ−4−カルコニルカルボキシ)オクチル)スチレン、4−(8−(4'−フルオロ−4−カルコニルカルボキシ)オクチル)α−メチルスチレン、4−(2−(4'−フルオロ−4−カルコニル)エチル)スチレン、4−(2−(4'−フルオロ−4−カルコニル)エチル)α−メチルスチレン、4−(4−(4'−フルオロ−4−カルコニル)ブチル)スチレン、4−(4−(4'−フルオロ−4−カルコニル)ブチル)α−メチルスチレン、4−(6−(4'−フルオロ−4−カルコニル)ヘキシル)スチレン、4−(6−(4'−フルオロ−4−カルコニル)ヘキシル)α−メチルスチレン、4−(8−(4'−フルオロ−4−カルコニル)オクチル)スチレン、4−(8−(4'−フルオロ−4−カルコニル)オクチル)α−メチルスチレン、4−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシメチル)スチレン、4−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシメチル)α−メチルスチレン、4−(2−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)エトキシメチル)スチレン、4−(2−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)エトキシメチル)α−メチルスチレン、4−(4−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ブトキシメチル)スチレン、4−(4−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ブトキシメチル)α−メチルスチレン、4−(6−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ヘキサノキシメチル)スチレン、4−(6−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ヘキサノキシメチル)α−メチルスチレン、4−(8−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)オクタノキシメチル)スチレン、4−(8−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)オクタノキシメチル)α−メチルスチレン、4−(2−(4'−フルオロ−4−カルコニル)エトキシメチル)スチレン、4−(2−(4'−フルオロ−4−カルコニル)エトキシメチル)α−メチルスチレン、4−(4'−フルオロ−4−カルコニルカルボキシメチル)スチレン、4−(4'−フルオロ−4−カルコニルカルボキシメチル)α−メチルスチレン、4−(2−(4'−フルオロ−4−カルコニルカルボキシ)エトキシメチル)スチレン、4−(2−(4'−フルオロ−4−カルコニルカルボキシ)エトキシメチル)α−メチルスチレン、4−(4−(4'−フルオロ−4−カルコニルカルボキシ)ブトキシメチル)スチレン、4−(4−(4'−フルオロ−4−カルコニルカルボキシ)ブトキシメチル)α−メチルスチレン、4−(6−(4'−フルオロ−4−カルコニルカルボキシ)ヘキサノキシメチル)スチレン、4−(6−(4'−フルオロ−4−カルコニルカルボキシ)ヘキサノキシメチル)α−
メチルスチレン、4−(8−(4'−フルオロ−4−カルコニルカルボキシ)オクタノキシメチル)スチレン、4−(8−(4'−フルオロ−4−カルコニルカルボキシ)オクタノキシメチル)α−メチルスチレン、4−(2−(4'−フルオロ−4−カルコニル)エトキシメチル)スチレン、4−(2−(4'−フルオロ−4−カルコニル)エトキシメチル)α−メチルスチレン、4−(4−(4'−フルオロ−4−カルコニル)ブトキシメチル)スチレン、4−(4−(4'−フルオロ−4−カルコニル)ブトキシメチル)α−メチルスチレン、4−(6−(4'−フルオロ−4−カルコニル)ヘキサノキシメチル)スチレン、4−(6−(4'−フルオロ−4−カルコニル)ヘキサノキシメチル)α−メチルスチレン、4−(8−(4'−フルオロ−4−カルコニル)オクタノキシメチル)スチレン、4−(8−(4'−フルオロ−4−カルコニル)オクタノキシメチル)α−メチルスチレン、4−((3−(4−ビニルフェニル))プロピオニルオキシ)−4'−フルオロカルコン、4−((3−(4−ビニルフェニル))プロピオニルオキシ)カルコン、下記式(1)〜(8)で表される化合物等が挙げられる。
これらのうち、4−(6−(4−カルコニルオキシ)ヘキサノキシ)スチレンおよび上記式(1)〜(8)で表される化合物が好ましい。これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
特定構造を有するフェニルマレイミド誘導体としては、例えば4−(4−カルコニルオキシ)フェニルマレイミド、4−(2−(4−カルコニルオキシ)エトキシ)フェニルマレイミド、4−(4−(4−カルコニルオキシ)ブトキシ)フェニルマレイミド、4−(6−(4−カルコニルオキシ)ヘキサノキシ)フェニルマレイミド、4−(8−(4−カルコニルオキシ)オクタノキシ)フェニルマレイミド、4−(4−カルコニルカルボキシ)フェニルマレイミド、4−(2−(4−カルコニルカルボキシ)エトキシ)フェニルマレイミド、4−(4−(4−カルコニルカルボキシ)ブトキシ)フェニルマレイミド、4−(6−(4−カルコニルカルボキシ)ヘキサノキシ)フェニルマレイミド、4−(8−(4−カルコニルカルボキシ)オクタノキシ)フェニルマレイミド、4−(2−(4−カルコニル)エトキシ)フェニルマレイミド、4−(4−(4−カルコニル)ブトキシ)フェニルマレイミド、4−(6−(4−カルコニル)ヘキサノキシ)フェニルマレイミド、4−(8−(4−カルコニル)オクタノキシ)フェニルマレイミド、4−(2−(4−カルコニルオキシ)エチル)フェニルマレイミド、4−(4−(4−カルコニルオキシ)ブチル)フェニルマレイミド、4−(6−(4−カルコニルオキシ)ヘキシル)フェニルマレイミド、4−(8−(4−カルコニルオキシ)オクチル)フェニルマレイミド、4−(2−(4−カルコニルカルボキシ)エチル)フェニルマレイミド、4−(4−(4−カルコニルカルボキシ)ブチル)フェニルマレイミド、4−(6−(4−カルコニルカルボキシ)ヘキシル)フェニルマレイミド、4−(8−(4−カルコニルカルボキシ)オクチル)フェニルマレイミド、4−(2−(4−カルコニル)エチル)フェニルマレイミド、4−(4−(4−カルコニル)ブチル)フェニルマレイミド、4−(6−(4−カルコニル)ヘキシル)フェニルマレイミド、4−(8−(4−カルコニル)オクチル)フェニルマレイミド、4−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)フェニルマレイミド、4−(2−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)エトキシ)フェニルマレイミド、4−(4−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ブトキシ)フェニルマレイミド、4−(6−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ヘキサノキシ)フェニルマレイミド、4−(8−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)オクタノキシ)フェニルマレイミド、4−(4'−フルオロ−4−カルコニルカルボキシ)フェニルマレイミド、4−(2−(4'−フルオロ−4−カルコニルカルボキシ)エトキシ)フェニルマレイミド、4−(4−(4'−フルオロ−4−カルコニルカルボキシ)ブトキシ)フェニルマレイミド、4−(6−(4'−フルオロ−4−カルコニルカルボキシ)ヘキサノキシ)フェニルマレイミド、4−(8−(4'−フルオロ−4−カルコニルカルボキシ)オクタノキシ)フェニルマレイミド、4−(2−(4'−フルオロ−4−カルコニル)エトキシ)フェニルマレイミド、4−(4−(4'−フルオロ−4−カルコニル)ブトキシ)フェニルマレイミド、4−(6−(4'−フルオロ−4−カルコニル)ヘキサノキシ)フェニルマレイミド、4−(8−(4'−フルオロ−4−カルコニル)オクタノキシ)フェニルマレイミド、4−(2−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)エチル)フェニルマレイミド、4−(4−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ブチル)フェニルマレイミド、4−(6−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ヘキシル)フェニルマレイミド、4−(8−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)オクチル)フェニルマレイミド、4−(2−(4'−フルオロ−4−カルコニルカルボキシ)エチル)フェニルマレイミド、4−(4−(4'−フルオロ−4−カルコニルカルボキシ)ブチル)フェニルマレイミド、4−(6−(4'−フルオロ−4−カルコニルカルボキシ)ヘキシル)フェニルマレイミド、4−(8−(4'−フルオロ−4−カルコニルカルボキシ)オクチル)フェニルマレイミド、4−(2−(4'−フルオロ−4−カルコニル)エチル)フェニルマレイミド、4−(4−(4'−フルオロ−4−カルコニル)ブチル)フェニルマレイミド、4−(6−(4'−フルオロ−4−カルコニル)ヘキシル)フェニルマレイミド、4−(8−(4'−フルオロ−4−カルコニル)オクチル)フェニルマレイミド、4−(8−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)オクタノキシメチル)フェニルマレイミド、4−(8−(4'−フルオロ−4−カルコニルカルボキシ)オクタノキシメチル)フェニルマレイミド、4−(2−(4'−フルオロ−4−カルコニル)エトキシメチル)フェニルマレイミド、4−(4−(4'−フルオロ−4−カルコニル)ブトキシメチル)フェニルマレイミド、4−(6−(4'−フルオロ−4−カルコニル)ヘキサノキシメチル)フェニルマレイミド、4−(8−(4'−フルオロ−4−カルコニル)オクタノキシメチル)フェニルマレイミド、下記式(9)〜(12)で表される化合物等が挙げられる。
これらのうち、4−(6−(4−カルコニルオキシ)ヘキサノキシ)フェニルマレイミド、4−(8−(4−カルコニルオキシ)オクタノキシ)フェニルマレイミド、4−(6−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ヘキシル)フェニルマレイミド、4−(8−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)オクチル)フェニルマレイミド、上記式(9)〜(12)で表される化合物が好ましい。これらは、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記スチレン重合体、および、スチレン−フェニルマレイミド共重合体には、本発明の効果を損なわない程度に他のラジカル重合性モノマーに由来する重合単位を含有させることができる。
他のラジカル重合性モノマーとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの脂肪族(メタ)アクリレート化合物;
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエン(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどの脂環式(メタ)アクリレート化合物;
4−(メタ)アクリロイロキシカルコン、4−(メタ)アクリロイロキシ−4'−フェニルカルコン、4−(メタ)アクリロイロキシ−4'−ペンチルカルコン、4−(メタ)アクリロイロキシ−4'−(4−ペンチルフェニル)カルコン、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレートなどの芳香族(メタ)アクリレート化合物;
エチレン、プロピレン、ブテン、スチレン、p−メチルスチレン、p−トリフルオロメチルスチレン、α−メチルスチレン、p−トリフルオロメチル−α−メチルスチレン、4(4−トリフルオロメチルベンゾイルオキシ)スチレン、p−セチルオキシスチレン、p−パルミトイルオキシスチレン、4−トリフルオロメチルフェニル−3−(4−ビニルフェニル)プロピオネート、4−セチル−3−(4−ビニルフェニル)プロピオネート、4−ステアリル−3−(4−ビニルフェニル)プロピオネート、塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル等のビニル化合物;
無水マレイン酸、フェニルマレイミド、4−フルオロフェニルマレイミド、3,5−ジフルオロフェニルマレイミド、4−(トリフルオロメチル)フェニルマレイミド、4−(セチルオキシ)フェニルマレイミド、4−(パルミトイルオキシ)フェニルマレイミド等のマレイン酸誘導体;
ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン類などが挙げられる。
これらのうち、スチレン、p−メチルスチレン、p−トリフルオロメチルスチレン、α−メチルスチレン、p−トリフルオロメチル−α−メチルスチレン、p−セチルオキシスチレン、p−パルミトイルオキシスチレン、フェニルマレイミド、4−フルオロフェニルマレイミド、3,5−ジフルオロフェニルマレイミド、4−(トリフルオロメチル)フェニルマレイミド、4−(セチルオキシ)フェニルマレイミド、4−(パルミトイルオキシ)フェニルマレイミドが好ましい。
これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
前記スチレン重合体およびスチレン−フェニルマレイミド共重合体における、全単量体成分に対する特定構造を有するスチレン誘導体および特定構造を有するフェニルマレイミド誘導体の重合割合は、好ましくは10〜100モル%、特に好ましくは25〜75モル%である。
前記スチレン重合体およびスチレン−フェニルマレイミド共重合体は、前記スチレン誘導体および/またはフェニルマレイミド誘導体を、必要に応じて、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物、過酸化ベンゾイルなどの過酸化物などの触媒存在下で重合して得られる。これらの重合体を得る別の方法は、アセトキシ置換されたポリスチレン、または、スチレン−フェニルマレイミド共重合体をラジカル重合により合成したのち、そのアセチル基を、特定構造を有する基で置換することである。
前記ポリアミック酸エステルは、(イ)テトラカルボン酸二無水物と(ロ)ジアミン化合物とを重縮合させることにより得られるポリアミック酸と、(ハ)特定構造を有するハロゲン化物、(ニ)特定構造を有するアルコールまたは(ホ)特定構造を有するフェノール類とを反応させることにより得られる。
かかる(イ)テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物などの脂肪族および脂環式テトラカルボン酸二無水物;
ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4'−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4'−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4'−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3',4,4'−パーフルオロイソプロピリデンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4'−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4'−ジフェニルメタン二無水物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。
また、特定疎水基を有するテトラカルボン酸二無水物としては、例えば下記式(13)〜(26)で表される化合物を挙げることができる。
これらのうち、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物および上記式(13)〜(26)で表される化合物が好ましい。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
また、かかる(ロ)ジアミン化合物としては、例えばp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルエタン、4,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、4,4'−ジアミノベンズアニリド、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、3,3−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4'−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4'−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス(4−アミノフェノキシ)プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−10−ヒドロアントラセン、2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4'−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2',5,5'−テトラクロロ−4,4'−ジアミノビフェニル、2,2'−ジクロロ−4,4'−ジアミノ−5,5'−ジメトキシビフェニル、3,3'−ジメトキシ−4,4'−ジアミノビフェニル、1,4.4'−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4'−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2'−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4'−ジアミノ−2,2'−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4'−ビス[(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル
などの芳香族ジアミン;
ジアミノテトラフェニルチオフェンなどのヘテロ原子を有する芳香族ジアミン;1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6.2.1.02,7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4'−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)などの脂肪族および脂環式ジアミン;
ジアミノヘキサメチルジシロキサンなどのジアミノオルガノシロキサンが挙げられる。また、特定疎水基を有するジアミン化合物としては、例えば、1−ドデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、1−テトラデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、1−ペンタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、1−ヘキサデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、1−オクタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、1−コレステリルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、1−コレスタニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ドデカノキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)、テトラデカノキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)、ペンタデカノキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)、ヘキサデカノキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)、オクタデカノキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)、コレステリルオキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)、コレスタニルオキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)、(2,4−ジアミノフェノキシ)パルミテート、(2,4−ジアミノフェノキシ)ステアリレート、(2,4−ジアミノフェノキシ)−4−トリフルオロメチルベンゾエート、下記式(27)および(28)で表される化合物などを挙げることができる。
これらのうち、p−フェニレンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、1,5−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノフルオレン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2'−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4'−ジアミノ−2,2'−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4'−ビス[(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル、1−ヘキサデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、1−オクタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、1−コレステリルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、1−コレスタニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)、オクタデカノキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)、コレステリルオキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)およびコレスタニルオキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)が好ましい。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
特定構造を有するハロゲン化物としては、例えば1−ブロモ−3−(4−カルコニルオキシ)プロパン、1−ブロモ−3−(4'−カルコニルオキシ)プロパン、1−ブロモ−4−(4−カルコニルオキシ)ブタン、1−ブロモ−4−(4'−カルコニルオキシ)ブタン、1−ブロモ−6−(4−カルコニルオキシ)ヘキサン、1−ブロモ−6−(4'−カルコニルオキシ)ヘキサン、1−クロロ−3−(4−カルコニルオキシ)プロパン、1−クロロ−3−(4'−カルコニルオキシ)プロパン、1−クロロ−4−(4−カルコニルオキシ)ブタン、1−クロロ−4−(4'−カルコニルオキシ)ブタン、1−クロロ−6−(4−カルコニルオキシ)ヘキサン、1−クロロ−6−(4'−カルコニルオキシ)ヘキサン、1−ブロモ−3−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)プロパン、1−ブロモ−3−(4−フルオロ−4'−カルコニルオキシ)プロパン、1−ブロモ−4−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ブタン、1−ブロモ−4−(4−フルオロ−4'−カルコニルオキシ)ブタン、1−ブロモ−6−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ヘキサン、1−ブロモ−6−(4−フルオロ−4'−カルコニルオキシ)ヘキサン、1−クロロ−3−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)プロパン、1−クロロ−3−(4−フルオロ−4'−カルコニルオキシ)プロパン、1−クロロ−4−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ブタン、1−クロロ−4−(4−フルオロ−4'−カルコニルオキシ)ブタン、1−クロロ−6−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ヘキサン、1−クロロ−6−(4−フルオロ−4'−カルコニルオキシ)ヘキサンなどが挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
これらのうち、1−ブロモ−6−(4−カルコニルオキシ)ヘキサンまたは1−ブロモ−6−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ヘキサンが好ましい。
特定構造を有するアルコールとしては、例えば、3−(4−カルコニルオキシ)−1−プロパノール、3−(4'−カルコニルオキシ)−1−プロパノール、1−4−(4−カルコニルオキシ)−1−ブタノール、4−(4'−カルコニルオキシ)−1−ブタノール、6−(4−カルコニルオキシ)−1−ヘキサノール、6−(4'−カルコニルオキシ)−1−ヘキサノール、3−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)−1−プロパノール、3−(4−フルオロ−4'−カルコニルオキシ)−1−プロパノール、4−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)−1−ブタノール、4−(4−フルオロ−4'−カルコニルオキシ)−1−ブタノール、6−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)−1−ヘキサノール、6−(4−フルオロ−4'−カルコニルオキシ)−1−ヘキサノールなどが挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。これらのうち、6−(4−カルコニルオキシ)−1−ヘキサノールまたは6−(4'−フルオロ−4−カルコニルオキシ)−1−ヘキサノールが好ましい。
特定構造を有するフェノール類としては、例えば、4−ヒドロキシカルコン、4'−ヒドロキシカルコン、4−ヒドロキシ−4'−フルオロカルコンおよび4−フルオロ−4'−ヒドロキシカルコンなどが挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明において用いられる重合体(A)の合成においては、その性状を改善し、さらに、プレチルト角発現性または垂直配向性などの機能を付与するために、特定構造を含むハロゲン化物、アルコールまたはフェノール類とともに、特定構造を含まない他のハロゲン化物、アルコールまたはフェノール類を用いることができる。
かかる他のハロゲン化物としては、例えば臭化セチル、臭化ステアリル、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、塩化セチル、塩化ステアリル、塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピルおよび1,1,1−トリフルオロ−2−ヨードエタン等を挙げることができる。これらのうち、臭化ステアリル、1,1,1−トリフルオロ−2−ヨードエタン、塩化セチルまたは塩化ステアリルが好ましい。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
また、他のアルコールとしては、例えばセチルアルコール、ステアリルアルコール、1,1,1−トリフルオロエタノール、メタノール、エタノール、イソプロパノールおよびノルマルプロパノール等が挙げられる。これらのうち、セチルアルコール、ステアリルアルコールまたは1,1,1−トリフルオロエタノールが好ましい。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
他のフェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、4−セチルオキシフェノール、4−セチルフェノール、4−ステアリルオキシフェノール、4−ステアリルフェノールおよび4−トリフルオロメチルフェノール等を挙げることができる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明において用いられる重合体(A)は、前記(イ)テトラカルボン酸二無水物成分と(ロ)ジアミン成分を重縮合させてポリアミック酸を得、次いで、必要に応じて触媒の存在下で、このポリアミック酸を(ハ)特定構造を有するハロゲン化物、(ニ)特定構造を有するアルコールまたは(ホ)特定構造を有するフェノール類と反応させることにより得られる。
ポリアミック酸と特定構造を有するハロゲン化物を反応する際に用いられる触媒としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムプロポキシド、カリウムプロポキシド、ナトリウムブトキシド、カリウムブトキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミンおよびピリジン等の塩基触媒を挙げることができる。
ポリアミック酸と特定構造を有するアルコールまたはフェノール類を反応する際に用いられる触媒としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミドおよびクロロギ酸メチル等のような脱水触媒を挙げることができる。これらの脱水触媒は、必要に応じて、ジメチルアミノピリジン等の助触媒と組み合わせて用いることができる。
重合体(B)
本発明で用いられる重合体(B)は、上記式(V)で表される繰返し単位を有するポリアミック酸であって、上記式(I)、(II)、(III)および(IV)で表される共役エノン構造を有しないもの、または、当該ポリアミック酸のイミド化重合体である。
本発明の液晶配向剤をVA型液晶表示素子に用いる場合、液晶表示素子の製造工程におけるプレチルト角の変化を小さくするため、用いられる重合体(B)に前記特定疎水基を含有させることが好ましい。用いられる特定疎水基としては、具体的には、重合体(A)に含有させるものとして例示した基を挙げることができるが、これらのうち、炭素数10〜30のアルキル基および炭素数10〜30の脂環式骨格含有基が好ましく、炭素数15〜20の直鎖状のアルキル基、コレステリル基、コレスタニル基がより好ましく、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基、コレステリル基およびコレスタニル基がさらに好ましく、コレスタニル基が特に好ましい。
重合体(B)の全繰返し単位における特定疎水基を有する構造の含有割合は、好ましくは3〜50%、より好ましくは5〜30%、特に好ましくは10〜15%である。
ポリアミック酸
重合体(B)として用いられるポリアミック酸は、(イ)テトラカルボン酸二無水物と(ロ)ジアミン化合物とを重縮合させることにより得られる。かかる(イ)テトラカルボン酸二無水物および(ロ)ジアミン化合物としては、具体的には、重合体(A)であるポリアミック酸エステルの合成に用いるものとして例示した(イ)テトラカルボン酸二無水物および(ロ)ジアミン化合物を挙げることができる。
本発明で用いられるポリアミック酸の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物の使用割合は、ジアミン化合物に含まれるアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましく、さらに好ましくは0.3〜1.2当量となる割合である。
ポリアミック酸の合成反応は、有機溶媒中において、好ましくは−20〜150℃、より好ましくは0〜100℃の温度条件下で行われる。ここで、有機溶媒としては、合成されるポリアミック酸を溶解できるものであれば特に制限はなく、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどの非プロトン系極性溶媒;m−クレゾール、キシレノール、フェノール、ハロゲン化フェノールなどのフェノール系溶媒を例示することができる。また、有機溶媒の使用量(a)は、テトラカルボン酸二無水物およびジアミン化合物の総量(b)が、反応溶液の全量(a+b)に対して0.1〜30重量%になるような量であることが好ましい。
なお、上記有機溶媒には、ポリアミック酸の貧溶媒であるアルコール、ケトン、エステル、エーテル、ハロゲン化炭化水素および炭化水素類などを、生成するポリアミック酸が析出しない範囲で併用することができる。かかる貧溶媒の具体例としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、乳酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル、ジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、トリクロロエタン、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを挙げることができる。
以上のようにして、ポリアミック酸を溶解してなる反応溶液が得られる。そして、この反応溶液を大量の貧溶媒中に注いで析出物を得、この析出物を減圧下乾燥することによりポリアミック酸を得ることができる。また、このポリアミック酸を再び有機溶媒に溶解させ、次いで貧溶媒で析出させる工程を1回または数回行うことにより、ポリアミック酸を精製することができる。このポリアミック酸は前記式(I)、(II)、(III)および(IV)で表わされる共役エノン構造のいずれも含有していない。
イミド化重合体
重合体(B)として用いられるイミド化重合体は、上記ポリアミック酸を脱水閉環することにより調製することができる。ポリアミック酸の脱水閉環は、(i)ポリアミック酸を加熱する方法により、または(ii)ポリアミック酸を有機溶媒に溶解し、この溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加し必要に応じて加熱する方法により行われる。
上記(i)のポリアミック酸を加熱する方法における反応温度は、好ましくは50〜200℃とされ、より好ましくは60〜170℃とされる。反応温度が50℃未満では脱水閉環反応が十分に進行せず、反応温度が200℃を超えると得られるイミド化重合体の分子量が低下することがある。
一方、上記(ii)のポリアミック酸の溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加する方法において、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、ポリアミック酸の繰り返し単位1モルに対して0.01〜20モルとするのが好ましい。また、脱水閉環触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミンなどの3級アミンを用いることができる。しかし、これらに限定されるものではない。脱水閉環触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.01〜10モルとするのが好ましい。脱水閉環反応に用いられる有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。そして、脱水閉環反応の反応温度は、好ましくは0〜180℃、より好ましくは10〜150℃とされる。また、このようにして得られる反応溶液に対し、ポリアミック酸の精製方法と同様の操作を行うことにより、イミド化重合体を精製することができる。
上記(i)および(ii)の方法において、反応温度や脱水剤・脱水閉環触媒の使用量を調整することにより、イミド化重合体のイミド化率を調整することができる。ここで、「イミド化率」とは、重合体における繰り返し単位の総数に対する、イミド環を形成してなる繰り返し単位の数の割合を%で表したものとする。このとき、イミド環の一部がイソイミド環であってもよい。
その他の添加剤
本発明において用いられる液晶配向剤は、プレチルト角の安定化および塗膜強度アップのために、種々の熱硬化性の架橋剤を含有することもできる。熱硬化性架橋剤としては、多官能エポキシ含有化合物が有効である。かかるエポキシ含有化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、グリシジルジアミン系エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂およびエポキシ基含有アクリル樹脂などが使用できる。市販品では、例えばエポライト400E、同3002(共栄社油脂化学工業(株)製)、エピコート828、同152およびエポキシノボラック180S(油化シェルエポキシ(株)製)などを挙げることができる。
さらに、前述の多官能エポキシ含有化合物を使用する際、架橋反応を効率良く起こす目的で、1−ベンジル−2−メチルイミダゾールなどの塩基性触媒を添加することができる。
また、本発明の液晶配向剤は、基板との接着性を改善する目的で、官能性シラン含有化合物を含有することができる。官能性シラン含有化合物としては、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシイシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシランおよびN−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができ、さらに特開昭63−291922号公報記載のテトラカルボン酸二無水物とアミノ基含有シラン化合物との反応物などを挙げることができる。
液晶配向剤
本発明の液晶配向剤は、重合体(A)、重合体(B)および必要に応じて前記添加剤を含有してなる溶液である。本発明の液晶配向剤中、重合体(A)の含有比率は、重合体(A)と重合体(B)の合計に対し1〜99重量%が好ましく、10〜98重量%がより好ましい。また、重合体(B)の含有比率は、重合体(A)と重合体(B)の合計に対し1〜99重量%が好ましく、2〜90重量%がより好ましい。また、重合体(B)としては、ポリアミック酸がより好ましい。
また、液晶配向剤に用いられる溶剤としては、重合体(A)および重合体(B)を溶解し得る有機溶剤であれば特に制限はなく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素およびヘキサメチルホスホルトリアミドなどの非プロトン系極性溶媒;m−クレゾール、キシレノール、フェノールおよびハロゲン化フェノールなどのフェノール系溶媒;クロロベンゼン、ジクロロエタンおよびテトラクロロエタンのようなハロゲン化溶媒;シクロヘキサノンのようなケトン系溶媒を用いることができる。これらは、単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。なお、前記溶媒には、用いられる重合体の貧溶媒を、重合体が析出しない範囲で併用することができる。
液晶配向膜
本発明の液晶配向剤を用いて液晶配向膜を形成する方法としては、例えば次の方法が挙げられる。まず、透明導電膜が設けられた基板の透明導電膜側に、本発明の液晶配向剤をロールコーター法、スピンナー法または印刷法等により塗布し、40〜200℃の温度で加熱して塗膜を形成する。塗膜の膜厚は、固形分として、好ましくは0.001〜1μm、より好ましくは0.005〜0.5μmである。前記基板としては、例えばガラスまたはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン若しくはポリカーボネート等のプラスチックフィルムからなる透明基板を用いることができる。前記透明導電膜としては酸化インジウム系や酸化スズ系の膜などを用いることができ、これらの透明導電膜のパターニングにはフォトリソ法や印刷法等が適用可能である。液晶配向剤の塗布に際しては、基板および透明導電膜と塗膜との接着性をさらに良好にするために、基板および透明導電膜上に、予め官能性シラン含有化合物またはチタネート等を塗布することもできる。
次いで、前記塗膜に直線偏光ないしは部分偏光された放射線または無偏光の放射線を照射し、場合によってはさらに150〜250℃の温度で加熱処理を行い、液晶配向能を付与する。放射線としては、150nm〜800nmの波長を有する紫外線および可視光線を用いることができるが、320nm〜450nmの波長を有する紫外線が好ましい。用いた放射線が直線偏光ないしは部分偏光である場合には、照射は基板面に垂直の方向から行ってもよいし、プレチルト角を付与するために斜め方向から行ってもよく、さらに、これらを組み合わせて行ってもよい。無偏光の放射線を照射する場合には、照射の方向は基板面に対し斜めとなる必要がある。前記光源としては、例えば低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、重水素ランプ、メタルハライドランプ、アルゴン共鳴ランプ、キセノンランプまたはエキシマーレーザー等が使用できる。前記の好ましい波長領域の紫外線は、フィルターまたは回折格子を前記光源と併用する手段等により得ることができる。簡便には、例えばパイレックス(登録商標)ガラス製偏光板などの320nmより短い波長の紫外線を透過しないものを、前記光源とともに用いることにより得られる。
液晶表示素子
本発明の液晶配向剤を用いて形成される液晶表示素子は、例えば次のようにして製造される。まず、前記液晶配向膜が形成された基板2枚を先に照射した直線偏光放射線の偏光方向が所定の角度となるよう対向させてシール剤で貼り合わせた後、液晶を注入し、注入孔を封止して液晶セルを組み立てる。この際、液晶が等方相をとる温度までセルを加熱した後、室温まで冷却することにより、液晶注入時の流動配向を除去することが望ましい。次いで、セルの両面に、偏光板の偏光方向がそれぞれ前記直線偏光放射線の偏光方向と所定の角度をなすように偏光板を貼り付けて液晶表示素子とする。液晶配向膜が水平配向性である場合には、照射される直線偏光放射線の偏光方向のなす角度および各基板と偏光板との角度を調整することにより、任意にTN型、STN型またはIPS型などの液晶表示素子を得ることができる。一方、液晶配向膜が垂直配向性である場合には、液晶配向膜が形成された2枚の基板における配向容易軸の方向が平行となるようにセルを構成し、これに偏光板をその偏光方向が配向容易軸と45度の角度をなすように貼り合わせることにより、垂直配向型液晶セルを有する液晶表示素子とすることができる。
前記シール剤としては、例えば硬化剤およびスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有したエポキシ樹脂等を用いることができる。
前記液晶としては、ネマティック型液晶、スメクティック型液晶などを用いることができる。TN型液晶セル、STN型液晶セルおよびIPS型液晶セルの場合には、ネマティック型液晶を形成させる正の誘電異方性を有する液晶分子からなるものが好ましく、例えばシッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶またはキュバン系液晶等が用いられる。また前記液晶に、例えばコレスチルクロライド、コレステリルノナエートおよびコレステリルカーボネート等のコレステリック液晶や商品名C−15またはCB−15(メルク社製)として販売されているようなカイラル剤等をさらに添加して使用することもできる。さらに、p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメート等の強誘電性液晶も使用することができる。また、垂直配向型液晶セルの場合には、ネマティック型液晶を形成させる負の誘電異方性を有する液晶分子からなるものが好ましく、例えば、ジシアノベンゼン系液晶、ピリダジン系液晶、シッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶またはフェニルシクロヘキサン系液晶等が用いられる。
液晶セルの外側に使用される偏光板としては、例えばポリビニルアルコールを延伸配向させながらヨウ素を吸収させたH膜と呼ばれる偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板、またはH膜そのものからなる偏光板等を挙げることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、以下の実施例および比較例における液晶表示素子の評価方法は以下の通りである。
〈残像消去時間〉
液晶表示素子に、10Vの直流電圧を1時間印加した後、当該電圧の印加を解除し、表示画面を目視により観察して、電圧の印加を解除してから画面上の残像が消去されるまでの時間を測定した。
合成例1(重合体(A)の合成)
2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物0.1モル(22.4g)とp−フェニレンジアミン0.1モル(10.8g)をN−メチル−2−ピロリドン300gに溶解させ、60℃で6時間反応させた。次いで、反応混合物を大過剰のメタノールに注ぎ、反応生成物を沈澱させた。その後、メタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させて、ポリアミック酸(以下、「重合体1a」ともいう)27.4gを得た。
得られたポリアミック酸16.6gにN−メチル−2−ピロリドン350g、1−ブロモ−6−(4−カルコニルオキシ)ヘキサン38.7gおよび炭酸カリウム13.8gを添加し、120℃で4時間反応させた。次いで、反応混合液を水に注ぎ、反応生成物を沈澱させた。得られた沈殿物を水で洗浄し減圧下で15時間乾燥させて、ポリアミック酸エステル(以下、「重合体1A」という)35.4gを得た。
合成例2(重合体(A)の合成)
2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物0.1モル(22.4g)、p−フェニレンジアミン0.09モル(9.73g)およびコレスタニルオキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)0.01モル(5.22g)をN−メチル−2−ピロリドン350gに溶解させ、60℃で6時間反応させた。次いで、反応混合物を大過剰のメタノールに注ぎ、反応生成物を沈澱させた。その後、メタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させて、ポリアミック酸34.2gを得た。
得られたポリアミック酸14.9gにN−メチル−2−ピロリドン300g、1−ブロモ−8−(4−カルコニルオキシ)オクタン41.3gおよび炭酸カリウム13.8gを添加し、120℃で4時間反応させた。次いで、反応混合液を水に注ぎ、反応生成物を沈澱させた。得られた沈殿物を水で洗浄し減圧下で15時間乾燥させて、ポリアミック酸エステル(以下、「重合体2A」という)43.9gを得た。
合成例3(重合体(A)の合成)
16.6gの重合体1a、32.4gの6−(4−カルコニルオキシ)−1−ヘキサノールおよび12gのジメチルアミノピリジンを100mlのクロロホルムに加えた。この混合物を撹拌しつつ、ジシクロヘキシルカルボジイミド23gを加え、さらに3時間撹拌を継続した。得られた反応溶液から沈殿を濾別、除去したのち、溶液を0.5規定塩酸、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液、純水で順次洗浄し、次いで、反応混合液をメタノールに注ぎ、反応生成物を沈澱させた。得られた沈殿物を水で洗浄し減圧下で15時間乾燥させて、ポリアミック酸エステル(以下、「重合体3A」という)42.8gを得た。
合成例4(重合体(A)の合成)
2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物0.1モル(22.4g)、p−フェニレンジアミン0.09モル(9.73g)および1−オクタデシルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン0.01モル(3.77g)をN−メチル−2−ピロリドン300gに溶解させ、60℃で6時間反応させた。
次いで、反応混合物を大過剰のメタノールに注ぎ、反応生成物を沈澱させた。その後、メタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させて、ポリアミック酸33.7gを得た。
得られたポリアミック酸17.9gにN−メチル−2−ピロリドン350g、1−ブロモ−6−(4−カルコニルオキシ)ヘキサン38.7gおよび炭酸カリウム13.8gを添加し、120℃で4時間反応させた。
次いで、反応混合液を水に注ぎ、反応生成物を沈澱させた。得られた沈殿物を水で洗浄し減圧下で15時間乾燥させて、ポリアミック酸エステル(以下、「重合体4A」という)35.8gを得た。
合成例5(重合体(A)の合成)
16.6gの重合体1aにN−メチル−2−ピロリドン350g、1−ブロモ−8−(4−カルコニルオキシ)オクタン41.3gおよび炭酸カリウム13.8gを添加し、120℃で4時間反応させた。次いで、反応混合液を水に注ぎ、反応生成物を沈澱させた。得られた沈殿物を水で洗浄し減圧下で15時間乾燥させて、ポリアミック酸エステル(以下、「重合体5A」という)36.7gを得た。
合成例6(重合体(A)の合成)
4−(6−(4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)スチレン0.045モル(19.3g)、p−トリフルオロスチレン0.005モル(0.86g)、フェニルマレイミド0.05モル(8.7g)およびアゾビスイソブチロニトリル3.0gをジメチルアセトアミド500mlに溶解し、窒素雰囲気下80℃で10時間反応した。粘凋な反応混合物をメタノールに投入しポリマーを沈殿、乾燥させて、スチレン共重合体(以下、「重合体6A」という)25.5gを得た。
合成例7(重合体(A)の合成)
4−(6−(4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)スチレン0.04モル(17.1g)、p−セチルオキシスチレン0.01モル(3.45g)、4−(6−(4−カルコニルオキシ)ヘキサノキシ)フェニルマレイミド0.05モル(24.8g)およびアゾビスイソブチロニトリル3.0gをジメチルアセトアミド500mlに溶解し、窒素雰囲気下80℃で10時間反応させた。粘凋な反応混合物をメタノールに投入し、ポリマーを沈殿、乾燥させて、(スチレン−フェニルマレイミド)共重合体(以下、「重合体7A」という)44.5gを得た。
合成例8(重合体(A)の合成)
4−(6−(4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)スチレン0.1モル(42.8g)、p−トリフルオロメチルスチレン0.01モル(1.72g)およびアゾビスイソブチロニトリル3.0gをジメチルアセトアミド500mlに溶解し、窒素雰囲気下80℃で10時間反応させた。粘凋な反応混合物をメタノールに投入し、ポリマーを沈殿、乾燥させて、スチレン共重合体(以下、「重合体8A」という)37.8gを得た。
合成例9
重合体(B)(ポリアミック酸)の合成
ピロメリト酸二無水物0.1モル(21.8g)と4,4−ジアミノジフェニルメタン0.1モル(19.8g)をN−メチル−2−ピロリドン300gに溶解させ、60℃で6時間反応させた。次いで、反応混合物を大過剰のメタノールに注ぎ、反応生成物を沈澱させた。その後、メタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させて、ポリアミック酸(以下、「重合体1B」という)40.5gを得た。
合成例10
重合体(B)(ポリアミック酸)の合成
4,4−ジアミノジフェニルメタン0.1モル(19.8g)に替えて、4,4−ジアミノジフェニルエーテル0.1モル(20.0g)を用いたほかは合成例9と同様にして、ポリアミック酸(以下、「重合体2B」という)41.3gを得た。
合成例11
重合体(A)の合成
16.6gの重合体1aにN−メチル−2−ピロリドン350g、1−ブロモ−8−(4'−カルコニルオキシ)オクタン41.5gおよび炭酸カリウム13.8gを添加し、120℃で4時間反応させた。次いで、反応混合液を水に注ぎ、反応生成物を沈殿させた。得られた沈殿物を水で洗浄し減圧下で15時間乾燥させて、ポリアミック酸エステル(以下、「重合体9A」という)36.2gを得た。
合成例12
重合体(A)の合成
1−ブロモ−8−(4'−カルコニルオキシ)オクタン41.5gに代えて、1−ブロモ−8−(4−メトキシ−4'−カルコニルオキシ)オクタン44.5gを用いた以外は合成例11と同様にして、ポリアミック酸エステル(以下、「重合体10A」という)40.2gを得た。
合成例13
重合体(B)(ポリアミック酸)の合成
2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物0.1モル(22.4g)、p−フェニレンジアミン0.05モル(5.4g)およびコレスタニルオキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)0.05モル(26.1g)をN−メチル−2−ピロリドン300gに溶解させ、60℃で6時間反応させた。次いで、反応混合物を大過剰のメタノールに注ぎ、反応生成物を沈殿させた。その後、メタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させて、ポリアミック酸(以下、「重合体3B」という)53.4gを得た。
合成例14
重合体(B)(ポリアミック酸)の合成
2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物0.1モル(22.4g)、p−フェニレンジアミン0.08モル(8.65g)およびコレスタニルオキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)0.02モル(10.4g)をN−メチル−2−ピロリドン300gに溶解させ、60℃で6時間反応させた。次いで、反応混合物を大過剰のメタノールに注ぎ、反応生成物を沈殿させた。その後、メタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させて、ポリアミック酸(以下、「重合体4B」という)41.4gを得た。
比較合成例1
ポリアミック酸の重合
2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物0.1モル(22.4g)と4,4'−ジアミノジフェニルメタン0.1モル(19.8g)をN−メチル−2−ピロリドン450gに溶解させ、60℃で6時間反応させた。次いで、反応混合物を大過剰のメタノールに注ぎ、反応生成物を沈澱させた。その後、メタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させて、ポリアミック酸(以下、「重合体Aa」という)40.2gを得た。
イミド化反応
25.0gの重合体Aaに、N−メチル−2−ピロリドン450g、ピリジン4.5gおよび無水酢酸5.8gを添加し、120℃で4時間イミド化反応をさせた。次いで、反応混合液を大過剰のメタノールに注ぎ、反応生成物を沈澱させた。その後メタノールで洗浄し減圧下で15時間乾燥させて、ポリイミド(以下、「重合体Ab」という)30.1gを得た。
比較合成例2
4−(6−(4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ)スチレン0.04モル(17.1g)、p−セチルオキシスチレン0.01モル(3.45g)、4−(6−(4−カルコニルオキシ)ヘキサノキシ)フェニルマレイミド0.05モル(24.8g)およびアゾビスイソブチロニトリル3.0gをジメチルアセトアミド500mlに溶解し、窒素雰囲気下80℃で10時間反応した。粘稠な反応混合物をメタノールに投入しポリマーを沈殿、乾燥させて、ポリスチレン共重合体(以下、「重合体Bb」という)44.5gを得た。
参考例
比較合成例で得られた重合体Abをγ−ブチロラクトンに溶解させて固形分濃度4重量%の溶液とし、この溶液を孔径1μmのフィルターで濾過して、液晶配向剤溶液を調製した。この溶液をITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面上に、膜厚が0.1μmになるようにスピンナーを用いて塗布し、180℃で1時間乾燥させて薄膜を形成した。この薄膜に、ナイロン製の布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンを用いて、ロールの回転数500rpm、ステージの移動速度1cm/秒でラビング処理を行った。次に、前記ラビング処理を行った一対の基板について、液晶配向膜を形成した面に直径17μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤をスクリーン印刷塗布した後、ラビング方向が直交するように基板を重ね合わせて圧着し、150℃で1時間かけて接着剤を熱硬化させた。次いで、液晶注入口より一対の基板間に、ネマティック型液晶(メルク社製、ZLI−1565)を充填した後、エポキシ系接着剤で液晶注入口を封止した。さらに、液晶注入時の流動配向を除くために、これを150℃で加熱してから室温まで徐冷した後、偏光板を、その偏光方向が各基板の液晶配向膜のラビング方向と一致するように、基板の外側両面に貼り合わせて液晶表示素子を作製したところ、液晶の配向性は良好であった。電圧5Vを印加すると、印加した電圧のON−OFFに応答して液晶表示素子の明暗の変化が観察された。また、残像消去時間は12秒であった。
実施例1
重合体Abに替えて、合成例1で得られた重合体1Aおよび合成例9で得られた重合体1Bを各々50重量部ずつ組み合わせて用いたほかは参考例と同様にして、基板上に薄膜を形成した。
この薄膜表面に、Hg−Xeランプを用いて、パイレックス(登録商標)ガラス製偏光板SPF−50C−32(シグマ光機製)を通して、365nmの波長を主とする直線偏光した紫外線5J/cm2を照射した。次に、液晶配向膜を重ね合わせる向きをラビング方向の代わりに紫外線の偏光方向に従った以外は、参考例と同様の方法で液晶表示素子を作製したところ、液晶の配向性は良好であった。参考例と同様の条件で電圧を印加すると、印加した電圧のON−OFFに応答して、液晶表示素子の明暗の変化が観察された。また、残像消去時間は1.0秒であった。
実施例2〜8
重合体1Aにかえて重合体2A〜8Aを用いたほかは実施例1と同様の方法で液晶表示素子を作製したところ、液晶の配向性は良好であった。参考例と同様の条件で電圧を印加すると、印加した電圧のON−OFFに応答して、液晶表示素子の明暗の変化が観察された。これらの液晶表示素子の残像消去時間を表1に示す。
実施例9〜16
重合体1Bにかえて重合体2Bを用いたほかは実施例1〜8と同様の方法で液晶表示素子を作製したところ、液晶の配向性は良好であった。参考例と同様の条件で電圧を印加すると、印加した電圧のON−OFFに応答して、液晶表示素子の明暗の変化が観察された。これらの液晶表示素子の残像消去時間を表2に示す。
実施例17〜20
用いる重合体の組み合わせおよび組成比を表3の通りとしたほかは実施例1と同様の方法で液晶表示素子を作製したところ、液晶の配向性は良好であった。参考例と同様の条件で電圧を印加すると、印加した電圧のON−OFFに応答して、液晶表示素子の明暗の変化が観察された。これらの液晶表示素子の残像消去時間を表3に示す。
実施例21
重合体1Aおよび1Bにかえて、96重量部の重合体9Aと4重量部の重合体3Bを組合せて用いたほかは実施例1と同様にして、基板上に薄膜を形成した。
この薄膜表面に、実施例1と同様にして直線偏光した紫外線を照射した。次に、液晶配向膜を重ね合わせる向きを紫外線の偏光方向が互いに平行になる方向とし、液晶としてZLI−1653に変えてMLC−6608を用い、さらに、2枚の偏光板の貼り付け方向を、それらの偏光方向が互いに直交し、かつ紫外線の偏光方向と45度の角度をなす方向としたほかは実施例1と同様にして、液晶表示素子を作製した。
得られた液晶表示素子において、液晶は垂直配向しており、プレチルト角は88度であった。参考例と同様の条件で電圧を印加すると、印加した電圧のON−OFFに応答して、液晶表示素子の明暗の変化が観察された。
実施例22
基板上に形成した薄膜を、紫外線照射に先立って空気中で18時間放置したほかは、実施例21と同様にして、液晶表示素子を作製した。
得られた液晶表示素子において、液晶は垂直配向しており、プレチルト角は83度であった。参考例と同様の条件で電圧を印加すると、印加した電圧のON−OFFに応答して、液晶表示素子の明暗の変化が観察された。
実施例23
重合体9Aおよび3Bにかえて、各々、重合体10Aと重合体4Bを用いたほかは実施例21と同様の方法で液晶表示素子を作製した。
得られた液晶表示素子において、液晶は垂直配向しており、プレチルト角は88度であった。参考例と同様の条件で電圧を印加すると、印加した電圧のON−OFFに応答して、液晶表示素子の明暗の変化が観察された。
実施例24
基板上に形成した薄膜を、紫外線照射に先立って空気中で18時間放置したほかは、実施例22と同様にして、液晶表示素子を作製した。
得られた液晶表示素子において、液晶は垂直配向しており、プレチルト角は82度であった。参考例と同様の条件で電圧を印加すると、印加した電圧のON−OFFに応答して、液晶表示素子の明暗の変化が観察された。
比較例1
重合体1Aおよび重合体1Bを各々50重量部ずつ組み合わせて用いるかわりに、重合体6Aのみを用いたほかは、実施例1と同様の方法で液晶表示素子を作製したところ、液晶の配向性は良好であった。参考例と同様の条件で電圧を印加すると、印加した電圧のON−OFFに応答して、液晶表示素子の明暗の変化が観察された。また、残像消去時間は23秒であった。
比較例2〜3
重合体6Aにかえて重合体7A〜8Aを用いたほかは比較例1と同様の方法で液晶表示素子を作製したところ、液晶の配向性は良好であった。参考例と同様の条件で電圧を印加すると、印加した電圧のON−OFFに応答して、液晶表示素子の明暗の変化が観察された。これらの液晶表示素子の残像消去時間を表4に示す。
比較例4
重合体6Aにかえて、重合体Bbを用いたほかは比較例1と同様の方法で液晶表示素子を作製した。
得られた液晶表示素子において、液晶は垂直配向しており、プレチルト角は90度であった。参考例と同様の条件で電圧を印加すると、印加した電圧のON−OFFに応答して、液晶表示素子の明暗の変化が観察された。
一方、基板上に形成した薄膜を、紫外線照射に先立って空気中で18時間放置したほかは、前記と同様にして液晶表示素子を作製したところ、得られた液晶表示素子において、液晶の垂直配向はみられなかった。