JP2004346128A - 硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シーラント等として用いることができる硬化性樹脂組成物に関し、特に、架橋性シリル基含有有機重合体を含有する硬化性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
1液型の湿気硬化性樹脂組成物として、いわゆる変成シリコーン系の硬化性樹脂組成物が知られている。この変成シリコーン系の湿気硬化性樹脂組成物には、特許文献1〜3に記載されている変成シリコーンポリマーが用いられている。この変成シリコーンポリマーは、ポリエーテルを主鎖とする架橋可能な加水分解性シリル基(例えば、アルコキシシリル基)を有する重合体であり、密封下では長期間安定であるが、硬化触媒を用いて湿気にさらすと急速に加水分解、縮合(架橋)が進行して硬化する1液型の組成物とすることができる。
【0003】
上記変成シリコーン系の湿気硬化性樹脂組成物は、シーラントとして利用可能であり、変成シリコーンポリマーをシーラントに用いた変成シリコーンシーラントは、ポリウレタン系のシーラントに比べ貯蔵安定性、耐候性、耐発泡性、耐変色性が良好であり、ポリサルファイド系のシーラントに比べ硬化性に優れ、周囲へのシーラント成分の溶出や流出が少なく、毒性が少ない。また、通常のシリコーン系のシーラントに比べ、周囲へのシーラント成分の溶出や流出が少なく、表面への塗装性が良好であることが知られている。
しかしながら、従来の変成シリコーンシーラントは、上述した変成シリコーンポリマーの加水分解による縮合後において残存する加水分解性シリル基により、耐熱老化後(例えば、老化促進試験後)のモジュラスが上昇してしまうという問題があるため、外壁材等のシーラントとして使用した場合に、シーラント自体が固くなり接着性に悪い影響を及ぼすという問題があった。
【0004】
【特許文献1】
特公昭62−35421号公報
【特許文献2】
特開昭61−141761号公報
【特許文献3】
特公平1−58219号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐熱老化後のモジュラスの上昇を抑制することができる硬化性樹脂組成物の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を解決すべく鋭意検討した結果、特定の架橋性シリル基含有有機重合体と、シラン化合物(B)とを含有する硬化性樹脂組成物をシーラントとして用いた場合、耐熱老化後のモジュラスの上昇が抑制されることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、下記(1)および(2)に記載の硬化性樹脂組成物を提供する。
【0007】
(1)架橋性シリル基含有有機重合体(A)と、下記一般式(1)で表されるシラン化合物(B)とを含有する硬化性樹脂組成物。
【0008】
【化2】
【0009】
式中、R1 は1〜4価の炭化水素基であり、R2 は炭素数1〜6の分岐していてもよいアルキル基であり、Xは酸素原子もしくは−N(H)−であり、nは1〜4の整数である。
【0010】
(2)上記シラン化合物(B)を、上記架橋性シリル基含有有機重合体(A)100質量部に対して、0. 1〜5質量部含有する上記(1)に記載の硬化性樹脂組成物。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の硬化性樹脂組成物について詳細に説明する。
本発明の硬化性組成物は、架橋性シリル基含有有機重合体(A)と、上記一般式(1)で表されるシラン化合物(B)とを含有する硬化性樹脂組成物であり、該シラン化合物(B)を、該架橋性シリル基含有有機重合体(A)100質量部に対して、0. 1〜5質量部含有することが好ましく、0.3〜3質量部含有していることがより好ましい。
以下に、本発明の硬化性樹脂組成物の成分として用いられる架橋性シリル基含有有機重合体(A)およびシラン化合物(B)について詳細に説明する。
【0012】
<架橋性シリル基含有有機重合体(A)>
上記架橋性シリル基含有有機重合体(A)は、以下に示す架橋性シリル基を末端あるいは側鎖に少なくとも2個有する有機重合体である。
ここで、上記架橋性シリル基とは、例えば、ケイ素原子と結合した加水分解性基を有するケイ素含有基やシラノール基のように湿気や架橋剤の存在下、必要に応じて触媒等を使用することにより縮合反応を起こす基のことであり、代表的なものを示すと、例えば、下記一般式(2)で表される基が挙げられる。
【0013】
【化3】
【0014】
式中、R3 およびR4 は、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または(R5 )3 SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R3 またはR4 が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。
ここで、R5 は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であり、3個のR5 は同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示し、Yが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を、bは0、1または2をそれぞれ示す。
また、t個の下記一般式(3)で表される基におけるbは異なっていてもよい。tは0〜19の整数を示す。ただし、a+t×b≧1を満足するものとする。
【0015】
【化4】
【0016】
上記Yで示される加水分解性基は特に限定されず、従来公知の加水分解性基であればよい。具体的には、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。これらのうち、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基およびアルケニルオキシ基であることが好ましく、加水分解性が穏やかで取り扱いやすいという理由からメトキシ基等のアルコキシ基が特に好ましい。
架橋性シリル基の中で、下記一般式(4)で表される架橋性シリル基が、入手容易の点から好ましい。下記一般式(4)中、R4 、Y、aは上述のR4 、Y、aと同義である。
【0017】
【化5】
【0018】
上記一般式(2)におけるR3 およびR4 の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基などのアルキル基;シクロヘキシル基などの脂環式炭化水素基;フェニル基などのアリール基;ベンジル基などのアラルキル基;R5 がメチル基やフェニル基などである(R5 )3 SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基等が挙げられる。R3 、R4 、R5 としてはメチル基が特に好ましい。
【0019】
したがって、上記架橋性シリル基含有有機重合体(A)は、末端あるいは側鎖に、上記一般式(2)で表される架橋性シリル基を少なくとも2個有する有機重合体であれば特に限定されず、具体的には、例えば、シリル基含有ポリエーテル、シリル基含有ポリエステル、シリル基含有ビニル系重合体、シリル基含有ポリエステル変性ビニル系重合体、シリル基含有ジアリルフタレート系重合体、シリル基含有ジアリールフタレート系重合体、シリル基含有ポリイソブチレン、シリル基含有エチレン・α−オレフィン系共重合体、これらの混合物およびこれらの共重合体(ブロック共重合体、グラフト共重合体)のシリル基含有有機重合体等が挙げられる。
【0020】
これらのうち、上記架橋性シリル基含有有機重合体(A)がシリル基含有ポリエーテルである場合、主鎖のポリエーテルとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブテンオキシド、テトラヒドロフランなどを原料物質として、カチオン重合、アニオン重合の方法を用いて製造されるもの等が好適に例示される。
【0021】
上記架橋性シリル基含有有機重合体(A)がシリル基含有ポリエステルである場合には、主鎖のポリエステルとしては、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フタル酸などのカルボン酸、その無水物、そのエステルまたはハロゲン化物と、化学量論的過剰のエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどのポリオールと、を反応させることにより調整されるポリエステルポリオール類、または、ラクトン類の開環重合により得られるラクトンポリオール類等が好適に例示される。
【0022】
上記架橋性シリル基含有有機重合体(A)がシリル基含有ビニル系重合体である場合、ビニルモノマーとしてアクリルモノマーを主成分に用いることが、得られる架橋性シリル基含有有機重合体(A)を含有する硬化性樹脂組成物の耐候性および物性(伸び、モジュラス)が向上するため好ましい。
上記ビニルモノマーの具体例としては、特開2002−97449号公報に記載されているシクロヘキシルアクリレートおよび/またはブチルアクリレートを主成分とするビニルモノマーが挙げられる。また、上記公報では、上記ビニルモノマーとアルコキシシリル基含有モノマーとを共重合させることによって、シリル基含有ビニル系重合体が得られることが記載されている。さらに、重合方法は、通常のラジカル重合に加え、特開昭57−502171号公報および特開昭59−6207号公報に記載されている高温連続重合を用いることもできる。
【0023】
上記架橋性シリル基含有有機重合体(A)が、シリル基含有ポリイソブチレンやシリル基含有エチレン・α−オレフィン系共重合体である場合、主鎖としては、それぞれ、特開平4−154816号公報、および特開2001−31719号公報に記載された方法により製造されたものが用いられる。
【0024】
また、架橋性シリル基含有有機重合体(A)の数平均分子量は1000以上であることが好ましく、6000〜30000であることがより好ましい。数平均分子量がこの範囲であると、得られる硬化性樹脂組成物の硬化前の粘度が低くなるため取り扱い易く、硬化後の強度、伸び、モジュラス等の物性が良好となるため好ましい。
【0025】
以上のことより、架橋性シリル基含有有機重合体(A)の好適な具体例としては、鐘淵化学工業社製のMSポリマーやサイリル、エピオン、旭硝子社製のエクセスター等が挙げられる。
これらのうち、主鎖が本質的にポリエーテルで、分子中に末端としてまたは側鎖に少なくとも1個のメチルジメトキシシリル基を有するポリエーテルオリゴマー、または、該ポリエーテルオリゴマーとメチルジメトキシシリル基を有するアクリルオリゴマーとの混合物を含む架橋性シリル基含有有機重合体を用いることが好ましい。
【0026】
<シラン化合物(B)>
上記シラン化合物(B)は、下記一般式(1)で表されるシラン化合物である。
【0027】
【化6】
【0028】
上記一般式(1)中、R1 は1〜4価、好ましくは1〜3価の炭化水素基であり、炭素数が1〜21であることが好ましく、臭気の観点から6〜21であることがより好ましい。
1価の炭化水素基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコンチル基、ヘントリアコンチル基、ドトリアコンチル基、トリトリアコンチル基またはペンタトリアコンチル基などのアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基、シクロトリデシル基、シクロテトラデシル基、シクロペンタデシル基、シクロヘキサデシル基、シクロヘプタデシル基、シクロオクタデシル基、シクロノナデシル基、シクロエイコシル基、2,3,4,5,6,7−ヘキサヒドロインデニル基、2−ノルボルニル基、5−ノルボルネン−2−イル基またはアダマンチル基などの脂環式炭化水素基;ビニル基、イソプロペニル基、アリル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基またはエイコセニル基などのアルケニル基;エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ウンデシニル基、ドデシニル基、トリデシニル基、テトラデシニル基、ペンタデシニル基、ヘキサデシニル基、ヘプタデシニル基、オクタデシニル基、ノナデシニル基またはエイコシニル基などのアルキニル基;フェニル基、トリル基、2−エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ノニルフェニル基、2−シクロヘキシルフェニル基、4−ビニルフェニル基、4−イソプロペニルフェニル基、3−フェニルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、5−メチル−1−ナフチル基、6−ビニル−2−ナフチル基、アントラセン−1−イル基、フェナントレン−1−イル基、1−(1−ナフチル)−2−ナフチル基、4−クロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2,6−ジブロモフェニル基、2,4−ジヨードフェニル基、5−フルオロ−1−ナフチル基または6−ブロモ−2−ナフチル基などのアリール基等が挙げられ、これらを組み合わせて形成される置換基であってもよい。
【0029】
2価の炭化水素基としては、上述した1価の炭化水素基から水素原子を1個除いたものが挙げられ、その好適な具体例としては、メチレン基、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、1,7−ヘプチレン基、1,8−オクチレン基、1,9−ノニレン基、1,10−デシレン基、1,11−ウンデシレン基、1,12−ドデシレン基などのアルキレン基;ビニレン基;1,4−シクロへキシレン基等の2価の脂環式炭化水素基;1,4−フェニレン基、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,3−フェニレンビス(メチレン)基などの2価の芳香族炭化水素基;およびこれらを組み合わせて形成される置換基等が挙げられる。
【0030】
3価の炭化水素基としては、上述した2価の炭化水素基から水素原子を1個除いたものが挙げられ、また、4価の炭化水素基としては、該3価の炭化水素基から水素原子をさらに1個除いたものが挙げられる。これらの好適な具体例としては、フェニル−1,3,5−トリイル基、フェニル−1,3,4,6−テトライル基がそれぞれ挙げられる。
【0031】
上記一般式(1)中、R2 は炭素数1〜6の分岐していてもよいアルキル基であり、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、2−メチルプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。これらのうち、メチル基、エチル基であることが加水分解性が良好となるため好ましい。
また、上記一般式(1)中、Xは酸素原子もしくは−N(H)−であり、nは1〜4、好ましくは1〜3の整数である。
【0032】
以上のことより、シラン化合物(B)の好適な具体例としては、N−(トリメチルシリル)アセトアミド、N−(トリメチルシリル)ステアリン酸アミド、N−(トリメチルシリル)オレイン酸アミド、酢酸トリメチルシリルエステル、ステアリン酸トリメチルシリルエステル、オレイン酸トリメチルシリルエステル、下記構造式(5)〜(7)で表される化合物等が挙げられる。
【0033】
【化7】
【0034】
また、上記シラン化合物(B)は、下記式(8)で表される加水分解により、HO−SiR2 3で表されるトリアルキルシラノールを生成する。ここで、式中のR1 、R2 、Xおよびnは、すべて上記一般式(1)のR1 、R2 、Xおよびnと同義である。
【0035】
【化8】
【0036】
このような上記シラン化合物(B)の加水分解は、該シラン化合物(B)および上記架橋性シリル基含有有機重合体(A)を含有する本発明の硬化性樹脂組成物の製造時および貯蔵時や、該シラン化合物(B)と該架橋性シリル基含有有機重合体(A)との混練時(例えば、シーラント作成時)や、シーラント施工時における水分により生起する。
【0037】
本発明の硬化性樹脂組成物は、上記架橋性シリル基含有有機重合体(A)および上記シラン化合物(B)を含有しており、上述したように、該シラン化合物(B)を、該架橋性シリル基含有有機重合体(A)100質量部に対して、0. 1〜5質量部含有することが好ましく、0.3〜3質量部含有していることがより好ましい。上記シラン化合物(B)の含有量がこの範囲であれば、得られる本発明の硬化性樹脂組成物の貯蔵安定性を損なわず、また該硬化性樹脂組成物をシーラントとして用いた場合に、耐熱老化後のモジュラスの上昇が抑制されるため好ましい。
【0038】
本発明の硬化性樹脂組成物をシーラント等に使用する場合には、本発明の効果を損なわない範囲で、硬化触媒、脱水剤、可塑剤、充填剤、補強剤、垂れ防止剤、着色剤(顔料)、老化防止剤、接触促進剤等を配合してもよい。
【0039】
硬化触媒としては、具体的には、例えば、オクタン酸亜鉛、オクタン酸鉄、オクタン酸マンガン、オクタン酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸鉄、ブタン酸錫、カプリル酸錫、オレイン酸錫のようなカルボン酸金属塩;ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオレエート、ジオクチル錫ジラウレート、ジフェニル錫ジアセテート、酸化ジブチル錫、酸化ジブチル錫とフタル酸エステルとの反応生成物、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチル錫(トリエトキシシロキシ)のような有機錫化合物;ジブチル錫ジアセチルアセトナートのような錫キレート化合物;テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラ−2−エチルヘキシルオキシチタン、テトライソプロペニルオキシチタンのようなチタン酸エステル;ジイソプロポキシチタンビス(アセチルアセトナート)、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、1,3−プロパンジオキシチタンビス(アセチルアセトナート)、1,3−プロパンジオキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、チタントリス(アセチルアセトナート)のようなチタンキレート化合物;テトライソプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、トリブトキシジルコニウムステアレートのようなジルコニウムアルコキシド;ジルコニウムテトラ(アセチルアセトナート)のようなジルコニウムキレート化合物;トリエトキシアルミニウム、トリプロポキシアルミニウム、トリブトキシアルミニウムのようなアルミニウムアルコキシド;ジイソプロポキシアルミニウム(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)のようなアルミニウムキレート化合物;ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミンのような第1級アミン;ジブチルアミンのような第2級アミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、キシリレンジアミンのようなポリアミン;トリエチレンジアミン、モルホリン、N−メチルホルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセンのような環状アミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンのようなアミノアルコール化合物;2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールのようなアミノフェノール化合物などのアミン化合物およびそのカルボン酸塩;ベンジルトリエチルアンモニウムアセタートのような第4級アンモニウム塩;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量アミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物;ならびに3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル(メチル)トリメトキシシランなどのアミノ基含有シラン等が挙げられる。その他、シリル基の加水分解および/または縮合反応に有効な公知の化合物を用いることができる。また、硬化触媒の成分は、上記例示した硬化触媒のうち、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
【0040】
これらのうち、保存および取り扱い中に揮発しにくいことから、金属化合物が好ましく、中でも微量の配合で優れた触媒能が得られることから、有機錫化合物、錫キレート化合物およびチタン酸エステルが好ましい。
【0041】
脱水剤としては、具体的には、例えば、オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチル、オルトプロピオン酸トリメチル、オルトプロピオン酸トリエチル、オルトイソプロピオン酸トリメチル、オルトイソプロピオン酸トリエチル、オルト酪酸トリメチル、オルト酪酸トリエチル、オルトイソ酪酸トリメチル、オルトイソ酪酸トリエチルなどの加水分解性エステル化合物;ジメトキシメタン、1,1−ジメトキシエタン、1,1−ジメトキシプロパン、1,1−ジメトキシブタン;エチルシリケ−ト(テトラメトキシシラン)、メチルシリケ−ト(テトラメトキシシラン)、メチルトリメトキシシラン;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、ビストリメトキシシリルプロピルアミン、ビストリエトキシシリルプロピルアミン、ビスメトキシジメトキシシリルプロピルアミン、ビスエトキシジエトキシシリルプロピルアミン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルエチルジエトキシシランなどのアミノシラン;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのビニルシラン等が挙げられる。これらのうち、脱水効果の点から、アミノシラン、ビニルシランを用いることが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0042】
可塑剤は粘度および物性調整に使用され、一般には、安息香酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、アジピン酸、セバチン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、クエン酸等の誘導体をはじめ、ポリエステル、ポリエーテル、エポキシ系等のものが例示される。
充填剤は機械物性を調整するために各種の充填剤を配合することができ、一般には、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、カーボンブラック等が用いられる。充填剤の活性、粒子形状、pH、表面処理の有無などにより、貯蔵安定性、硬化速度、物性、発泡に与える影響が大きく、種類、量の決定には注意する必要がある。特に炭酸カルシウムは、脂肪酸、樹脂、脂肪酸エステルまたは高級アルコールウレタン化合物により処理されたものが好適に使用される。
【0043】
着色剤(顔料)としては、具体的には、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、群青、ベンガラ、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウム、塩酸塩、硫酸塩などの無機顔料;アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、キナクリドンキノン顔料、ジオキサジン顔料、アントラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、ジケトピロロピロール顔料、キノナフタロン顔料、アントラキノン顔料、チオインジゴ顔料、ベンズイミダゾロン顔料、イソインドリン顔料、カーボンブラックなどの有機顔料等が挙げられる。
老化防止剤の具体例としては、一般に用いられている酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等が適宜用いられる。例えば、ヒンダードアミン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、シアノアクリレート系、アクリレート系、ヒンダードフェノール系、リン系、硫黄系の各化合物が挙げられる。
【0044】
このような構成を有する本発明の硬化性樹脂組成物は、上述したように、貯蔵安定性を損なわず、また、該硬化性樹脂組成物をシーラントとして用いた場合に、耐熱老化後のモジュラスの上昇を抑制する効果を有している。
これは、本発明の硬化性樹脂組成物を構成するシラン化合物(B)に、上記式(8)で表される加水分解能があり、また、架橋性シリル基含有有機重合体(A)の加水分解による縮合(架橋)後において残存する架橋性シリル基が、シラン化合物(B)の加水分解により生成されるトリアルキルシラノールと反応することにより、耐熱老化後のモジュラスの上昇の要因となる遊離の架橋性シリル基の存在が減少するためであると考えられる。
したがって、本発明の硬化性樹脂組成物を外壁材等のシーラントに使用した場合は、上記シラン化合物(B)を含有しない従来の変成シリコーンシーラント等に比べ、物性の変化が小さく、長期に渡りシール性、柔軟性を保持できる点で極めて有用である。
【0045】
本発明の硬化性樹脂組成物を製造する硬化性樹脂組成物の製造方法は特に限定されず、例えば、ロール、ニーダー、押出し機、万能攪拌機等により混合し製造することができる。
また、本発明の硬化性樹脂組成物の用途は特に限定されないが、例えば、各種の接着剤、シーラント、防水材等に好適に用いることができる。
【0046】
【実施例】
以下実施例を用いて、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1〜4、比較例1)
架橋性シリル基含有有機重合体(A)である変成シリコーン100質量部に対して、下記表1に示す組成成分(質量部)で、炭酸カルシウム1(充填剤)、炭酸カルシウム2(充填剤)、酸化チタン(顔料)、アクリルオリゴマー(可塑剤)、ポリプロピレングリコール(可塑剤)、ビニルシラン(脱水剤)、アミノシラン(脱水剤・接着成分)、錫触媒、脂肪族ジアミン(タック防止剤)、および、シラン化合物(B)であるシラン化合物1もしくはシラン化合物2を添加し、高粘度用混合ミキサーで均一に分散させて実施例1〜4、比較例1の硬化性樹脂組成物を得た。
【0047】
上記各組成成分として、以下に示す化合物を用いた。
変成シリコーン:MSX911(鐘淵化学工業社製)
炭酸カルシウム1:カルファイン200M(丸尾カルシウム社製)
炭酸カルシウム2:ライトンA−4(備北粉加工社製)
酸化チタン:R−820(石原産業社製)
アクリルオリゴマー:UP−1000(東亞合成社製)
ポリプロピレングリコール:プレミノール4002(旭硝子社製)
ビニルシラン:A−171(日本ユニカ社製)
アミノシラン:A−1120(日本ユニカ社製)
錫触媒:ジブチル錫ジアセチルアセトナート(ネオスタンU−220、日東化成社製)
脂肪族ジアミン:アスファゾール#10(日本油脂社製)
【0048】
また、シラン化合物(B)であるシラン化合物1およびシラン化合物2は、以下に示す合成により得られた化合物を用いた。
(シラン化合物1)
オレイン酸アミド100gに、ヘキサメチルジシラザン30g、サッカリン0.2gおよびトルエン70gを加え、還流下で8時間反応させた後、未反応のヘキサメチルジシラザンを留去することで、シラン化合物1を得た。反応式を下記式(9)に示す。
【0049】
(シラン化合物2)
ステアリン酸100gに、ヘキサメチルジシラザン30g、サッカリン0.1gおよびトルエン70gを加え、還流下で5時間反応させた後、未反応のヘキサメチルジシラザンを留去することで、シラン化合物2を得た。反応式を下記式(10)に示す。
【0050】
【化9】
【0051】
得られた各硬化性樹脂組成物の標準養生(23℃下、7日間硬化)後の50%モジュラス(M50)〔MPa〕および耐熱老化(60℃下、7日間放置)後の50%モジュラス(M50)〔MPa〕を以下に示す条件で調べた。その結果を下記の表1に示す。
50%モジュラスの測定は、JIS−K6251−1993 に準拠して、標準養生後および耐熱老化後の各硬化性樹脂組成物のH型試験片で行った。
【0052】
【表1】
【0053】
表1に示す結果より、実施例1〜4の硬化性樹脂組成物は、比較例1に示す従来の硬化性樹脂組成物に比べ、標準養生後の50%モジュラスに対する耐熱老化後の50%モジュラスの増加率が低く留まることが分かった。
【0054】
【発明の効果】
本発明により、耐熱老化後のモジュラスの上昇を抑制することができる硬化性樹脂組成物を提供することができる。このため、本発明の硬化性樹脂組成物を外壁材等のシーラントに使用した場合は、物性の変化が小さく、長期に渡りシール性、柔軟性を保持できる点で極めて有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、シーラント等として用いることができる硬化性樹脂組成物に関し、特に、架橋性シリル基含有有機重合体を含有する硬化性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
1液型の湿気硬化性樹脂組成物として、いわゆる変成シリコーン系の硬化性樹脂組成物が知られている。この変成シリコーン系の湿気硬化性樹脂組成物には、特許文献1〜3に記載されている変成シリコーンポリマーが用いられている。この変成シリコーンポリマーは、ポリエーテルを主鎖とする架橋可能な加水分解性シリル基(例えば、アルコキシシリル基)を有する重合体であり、密封下では長期間安定であるが、硬化触媒を用いて湿気にさらすと急速に加水分解、縮合(架橋)が進行して硬化する1液型の組成物とすることができる。
【0003】
上記変成シリコーン系の湿気硬化性樹脂組成物は、シーラントとして利用可能であり、変成シリコーンポリマーをシーラントに用いた変成シリコーンシーラントは、ポリウレタン系のシーラントに比べ貯蔵安定性、耐候性、耐発泡性、耐変色性が良好であり、ポリサルファイド系のシーラントに比べ硬化性に優れ、周囲へのシーラント成分の溶出や流出が少なく、毒性が少ない。また、通常のシリコーン系のシーラントに比べ、周囲へのシーラント成分の溶出や流出が少なく、表面への塗装性が良好であることが知られている。
しかしながら、従来の変成シリコーンシーラントは、上述した変成シリコーンポリマーの加水分解による縮合後において残存する加水分解性シリル基により、耐熱老化後(例えば、老化促進試験後)のモジュラスが上昇してしまうという問題があるため、外壁材等のシーラントとして使用した場合に、シーラント自体が固くなり接着性に悪い影響を及ぼすという問題があった。
【0004】
【特許文献1】
特公昭62−35421号公報
【特許文献2】
特開昭61−141761号公報
【特許文献3】
特公平1−58219号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐熱老化後のモジュラスの上昇を抑制することができる硬化性樹脂組成物の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を解決すべく鋭意検討した結果、特定の架橋性シリル基含有有機重合体と、シラン化合物(B)とを含有する硬化性樹脂組成物をシーラントとして用いた場合、耐熱老化後のモジュラスの上昇が抑制されることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、下記(1)および(2)に記載の硬化性樹脂組成物を提供する。
【0007】
(1)架橋性シリル基含有有機重合体(A)と、下記一般式(1)で表されるシラン化合物(B)とを含有する硬化性樹脂組成物。
【0008】
【化2】
【0009】
式中、R1 は1〜4価の炭化水素基であり、R2 は炭素数1〜6の分岐していてもよいアルキル基であり、Xは酸素原子もしくは−N(H)−であり、nは1〜4の整数である。
【0010】
(2)上記シラン化合物(B)を、上記架橋性シリル基含有有機重合体(A)100質量部に対して、0. 1〜5質量部含有する上記(1)に記載の硬化性樹脂組成物。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の硬化性樹脂組成物について詳細に説明する。
本発明の硬化性組成物は、架橋性シリル基含有有機重合体(A)と、上記一般式(1)で表されるシラン化合物(B)とを含有する硬化性樹脂組成物であり、該シラン化合物(B)を、該架橋性シリル基含有有機重合体(A)100質量部に対して、0. 1〜5質量部含有することが好ましく、0.3〜3質量部含有していることがより好ましい。
以下に、本発明の硬化性樹脂組成物の成分として用いられる架橋性シリル基含有有機重合体(A)およびシラン化合物(B)について詳細に説明する。
【0012】
<架橋性シリル基含有有機重合体(A)>
上記架橋性シリル基含有有機重合体(A)は、以下に示す架橋性シリル基を末端あるいは側鎖に少なくとも2個有する有機重合体である。
ここで、上記架橋性シリル基とは、例えば、ケイ素原子と結合した加水分解性基を有するケイ素含有基やシラノール基のように湿気や架橋剤の存在下、必要に応じて触媒等を使用することにより縮合反応を起こす基のことであり、代表的なものを示すと、例えば、下記一般式(2)で表される基が挙げられる。
【0013】
【化3】
【0014】
式中、R3 およびR4 は、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または(R5 )3 SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R3 またはR4 が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。
ここで、R5 は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であり、3個のR5 は同一であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示し、Yが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を、bは0、1または2をそれぞれ示す。
また、t個の下記一般式(3)で表される基におけるbは異なっていてもよい。tは0〜19の整数を示す。ただし、a+t×b≧1を満足するものとする。
【0015】
【化4】
【0016】
上記Yで示される加水分解性基は特に限定されず、従来公知の加水分解性基であればよい。具体的には、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。これらのうち、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基およびアルケニルオキシ基であることが好ましく、加水分解性が穏やかで取り扱いやすいという理由からメトキシ基等のアルコキシ基が特に好ましい。
架橋性シリル基の中で、下記一般式(4)で表される架橋性シリル基が、入手容易の点から好ましい。下記一般式(4)中、R4 、Y、aは上述のR4 、Y、aと同義である。
【0017】
【化5】
【0018】
上記一般式(2)におけるR3 およびR4 の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基などのアルキル基;シクロヘキシル基などの脂環式炭化水素基;フェニル基などのアリール基;ベンジル基などのアラルキル基;R5 がメチル基やフェニル基などである(R5 )3 SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基等が挙げられる。R3 、R4 、R5 としてはメチル基が特に好ましい。
【0019】
したがって、上記架橋性シリル基含有有機重合体(A)は、末端あるいは側鎖に、上記一般式(2)で表される架橋性シリル基を少なくとも2個有する有機重合体であれば特に限定されず、具体的には、例えば、シリル基含有ポリエーテル、シリル基含有ポリエステル、シリル基含有ビニル系重合体、シリル基含有ポリエステル変性ビニル系重合体、シリル基含有ジアリルフタレート系重合体、シリル基含有ジアリールフタレート系重合体、シリル基含有ポリイソブチレン、シリル基含有エチレン・α−オレフィン系共重合体、これらの混合物およびこれらの共重合体(ブロック共重合体、グラフト共重合体)のシリル基含有有機重合体等が挙げられる。
【0020】
これらのうち、上記架橋性シリル基含有有機重合体(A)がシリル基含有ポリエーテルである場合、主鎖のポリエーテルとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブテンオキシド、テトラヒドロフランなどを原料物質として、カチオン重合、アニオン重合の方法を用いて製造されるもの等が好適に例示される。
【0021】
上記架橋性シリル基含有有機重合体(A)がシリル基含有ポリエステルである場合には、主鎖のポリエステルとしては、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フタル酸などのカルボン酸、その無水物、そのエステルまたはハロゲン化物と、化学量論的過剰のエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどのポリオールと、を反応させることにより調整されるポリエステルポリオール類、または、ラクトン類の開環重合により得られるラクトンポリオール類等が好適に例示される。
【0022】
上記架橋性シリル基含有有機重合体(A)がシリル基含有ビニル系重合体である場合、ビニルモノマーとしてアクリルモノマーを主成分に用いることが、得られる架橋性シリル基含有有機重合体(A)を含有する硬化性樹脂組成物の耐候性および物性(伸び、モジュラス)が向上するため好ましい。
上記ビニルモノマーの具体例としては、特開2002−97449号公報に記載されているシクロヘキシルアクリレートおよび/またはブチルアクリレートを主成分とするビニルモノマーが挙げられる。また、上記公報では、上記ビニルモノマーとアルコキシシリル基含有モノマーとを共重合させることによって、シリル基含有ビニル系重合体が得られることが記載されている。さらに、重合方法は、通常のラジカル重合に加え、特開昭57−502171号公報および特開昭59−6207号公報に記載されている高温連続重合を用いることもできる。
【0023】
上記架橋性シリル基含有有機重合体(A)が、シリル基含有ポリイソブチレンやシリル基含有エチレン・α−オレフィン系共重合体である場合、主鎖としては、それぞれ、特開平4−154816号公報、および特開2001−31719号公報に記載された方法により製造されたものが用いられる。
【0024】
また、架橋性シリル基含有有機重合体(A)の数平均分子量は1000以上であることが好ましく、6000〜30000であることがより好ましい。数平均分子量がこの範囲であると、得られる硬化性樹脂組成物の硬化前の粘度が低くなるため取り扱い易く、硬化後の強度、伸び、モジュラス等の物性が良好となるため好ましい。
【0025】
以上のことより、架橋性シリル基含有有機重合体(A)の好適な具体例としては、鐘淵化学工業社製のMSポリマーやサイリル、エピオン、旭硝子社製のエクセスター等が挙げられる。
これらのうち、主鎖が本質的にポリエーテルで、分子中に末端としてまたは側鎖に少なくとも1個のメチルジメトキシシリル基を有するポリエーテルオリゴマー、または、該ポリエーテルオリゴマーとメチルジメトキシシリル基を有するアクリルオリゴマーとの混合物を含む架橋性シリル基含有有機重合体を用いることが好ましい。
【0026】
<シラン化合物(B)>
上記シラン化合物(B)は、下記一般式(1)で表されるシラン化合物である。
【0027】
【化6】
【0028】
上記一般式(1)中、R1 は1〜4価、好ましくは1〜3価の炭化水素基であり、炭素数が1〜21であることが好ましく、臭気の観点から6〜21であることがより好ましい。
1価の炭化水素基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコンチル基、ヘントリアコンチル基、ドトリアコンチル基、トリトリアコンチル基またはペンタトリアコンチル基などのアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基、シクロトリデシル基、シクロテトラデシル基、シクロペンタデシル基、シクロヘキサデシル基、シクロヘプタデシル基、シクロオクタデシル基、シクロノナデシル基、シクロエイコシル基、2,3,4,5,6,7−ヘキサヒドロインデニル基、2−ノルボルニル基、5−ノルボルネン−2−イル基またはアダマンチル基などの脂環式炭化水素基;ビニル基、イソプロペニル基、アリル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基またはエイコセニル基などのアルケニル基;エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ウンデシニル基、ドデシニル基、トリデシニル基、テトラデシニル基、ペンタデシニル基、ヘキサデシニル基、ヘプタデシニル基、オクタデシニル基、ノナデシニル基またはエイコシニル基などのアルキニル基;フェニル基、トリル基、2−エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ノニルフェニル基、2−シクロヘキシルフェニル基、4−ビニルフェニル基、4−イソプロペニルフェニル基、3−フェニルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、5−メチル−1−ナフチル基、6−ビニル−2−ナフチル基、アントラセン−1−イル基、フェナントレン−1−イル基、1−(1−ナフチル)−2−ナフチル基、4−クロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2,6−ジブロモフェニル基、2,4−ジヨードフェニル基、5−フルオロ−1−ナフチル基または6−ブロモ−2−ナフチル基などのアリール基等が挙げられ、これらを組み合わせて形成される置換基であってもよい。
【0029】
2価の炭化水素基としては、上述した1価の炭化水素基から水素原子を1個除いたものが挙げられ、その好適な具体例としては、メチレン基、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、1,7−ヘプチレン基、1,8−オクチレン基、1,9−ノニレン基、1,10−デシレン基、1,11−ウンデシレン基、1,12−ドデシレン基などのアルキレン基;ビニレン基;1,4−シクロへキシレン基等の2価の脂環式炭化水素基;1,4−フェニレン基、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,3−フェニレンビス(メチレン)基などの2価の芳香族炭化水素基;およびこれらを組み合わせて形成される置換基等が挙げられる。
【0030】
3価の炭化水素基としては、上述した2価の炭化水素基から水素原子を1個除いたものが挙げられ、また、4価の炭化水素基としては、該3価の炭化水素基から水素原子をさらに1個除いたものが挙げられる。これらの好適な具体例としては、フェニル−1,3,5−トリイル基、フェニル−1,3,4,6−テトライル基がそれぞれ挙げられる。
【0031】
上記一般式(1)中、R2 は炭素数1〜6の分岐していてもよいアルキル基であり、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、2−メチルプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。これらのうち、メチル基、エチル基であることが加水分解性が良好となるため好ましい。
また、上記一般式(1)中、Xは酸素原子もしくは−N(H)−であり、nは1〜4、好ましくは1〜3の整数である。
【0032】
以上のことより、シラン化合物(B)の好適な具体例としては、N−(トリメチルシリル)アセトアミド、N−(トリメチルシリル)ステアリン酸アミド、N−(トリメチルシリル)オレイン酸アミド、酢酸トリメチルシリルエステル、ステアリン酸トリメチルシリルエステル、オレイン酸トリメチルシリルエステル、下記構造式(5)〜(7)で表される化合物等が挙げられる。
【0033】
【化7】
【0034】
また、上記シラン化合物(B)は、下記式(8)で表される加水分解により、HO−SiR2 3で表されるトリアルキルシラノールを生成する。ここで、式中のR1 、R2 、Xおよびnは、すべて上記一般式(1)のR1 、R2 、Xおよびnと同義である。
【0035】
【化8】
【0036】
このような上記シラン化合物(B)の加水分解は、該シラン化合物(B)および上記架橋性シリル基含有有機重合体(A)を含有する本発明の硬化性樹脂組成物の製造時および貯蔵時や、該シラン化合物(B)と該架橋性シリル基含有有機重合体(A)との混練時(例えば、シーラント作成時)や、シーラント施工時における水分により生起する。
【0037】
本発明の硬化性樹脂組成物は、上記架橋性シリル基含有有機重合体(A)および上記シラン化合物(B)を含有しており、上述したように、該シラン化合物(B)を、該架橋性シリル基含有有機重合体(A)100質量部に対して、0. 1〜5質量部含有することが好ましく、0.3〜3質量部含有していることがより好ましい。上記シラン化合物(B)の含有量がこの範囲であれば、得られる本発明の硬化性樹脂組成物の貯蔵安定性を損なわず、また該硬化性樹脂組成物をシーラントとして用いた場合に、耐熱老化後のモジュラスの上昇が抑制されるため好ましい。
【0038】
本発明の硬化性樹脂組成物をシーラント等に使用する場合には、本発明の効果を損なわない範囲で、硬化触媒、脱水剤、可塑剤、充填剤、補強剤、垂れ防止剤、着色剤(顔料)、老化防止剤、接触促進剤等を配合してもよい。
【0039】
硬化触媒としては、具体的には、例えば、オクタン酸亜鉛、オクタン酸鉄、オクタン酸マンガン、オクタン酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸鉄、ブタン酸錫、カプリル酸錫、オレイン酸錫のようなカルボン酸金属塩;ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオレエート、ジオクチル錫ジラウレート、ジフェニル錫ジアセテート、酸化ジブチル錫、酸化ジブチル錫とフタル酸エステルとの反応生成物、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチル錫(トリエトキシシロキシ)のような有機錫化合物;ジブチル錫ジアセチルアセトナートのような錫キレート化合物;テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラ−2−エチルヘキシルオキシチタン、テトライソプロペニルオキシチタンのようなチタン酸エステル;ジイソプロポキシチタンビス(アセチルアセトナート)、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、1,3−プロパンジオキシチタンビス(アセチルアセトナート)、1,3−プロパンジオキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、チタントリス(アセチルアセトナート)のようなチタンキレート化合物;テトライソプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、トリブトキシジルコニウムステアレートのようなジルコニウムアルコキシド;ジルコニウムテトラ(アセチルアセトナート)のようなジルコニウムキレート化合物;トリエトキシアルミニウム、トリプロポキシアルミニウム、トリブトキシアルミニウムのようなアルミニウムアルコキシド;ジイソプロポキシアルミニウム(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)のようなアルミニウムキレート化合物;ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミンのような第1級アミン;ジブチルアミンのような第2級アミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、キシリレンジアミンのようなポリアミン;トリエチレンジアミン、モルホリン、N−メチルホルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセンのような環状アミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンのようなアミノアルコール化合物;2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールのようなアミノフェノール化合物などのアミン化合物およびそのカルボン酸塩;ベンジルトリエチルアンモニウムアセタートのような第4級アンモニウム塩;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量アミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物;ならびに3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル(メチル)トリメトキシシランなどのアミノ基含有シラン等が挙げられる。その他、シリル基の加水分解および/または縮合反応に有効な公知の化合物を用いることができる。また、硬化触媒の成分は、上記例示した硬化触媒のうち、1種を用いても、2種以上を併用してもよい。
【0040】
これらのうち、保存および取り扱い中に揮発しにくいことから、金属化合物が好ましく、中でも微量の配合で優れた触媒能が得られることから、有機錫化合物、錫キレート化合物およびチタン酸エステルが好ましい。
【0041】
脱水剤としては、具体的には、例えば、オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチル、オルトプロピオン酸トリメチル、オルトプロピオン酸トリエチル、オルトイソプロピオン酸トリメチル、オルトイソプロピオン酸トリエチル、オルト酪酸トリメチル、オルト酪酸トリエチル、オルトイソ酪酸トリメチル、オルトイソ酪酸トリエチルなどの加水分解性エステル化合物;ジメトキシメタン、1,1−ジメトキシエタン、1,1−ジメトキシプロパン、1,1−ジメトキシブタン;エチルシリケ−ト(テトラメトキシシラン)、メチルシリケ−ト(テトラメトキシシラン)、メチルトリメトキシシラン;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、ビストリメトキシシリルプロピルアミン、ビストリエトキシシリルプロピルアミン、ビスメトキシジメトキシシリルプロピルアミン、ビスエトキシジエトキシシリルプロピルアミン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルエチルジエトキシシランなどのアミノシラン;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのビニルシラン等が挙げられる。これらのうち、脱水効果の点から、アミノシラン、ビニルシランを用いることが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0042】
可塑剤は粘度および物性調整に使用され、一般には、安息香酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、アジピン酸、セバチン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、クエン酸等の誘導体をはじめ、ポリエステル、ポリエーテル、エポキシ系等のものが例示される。
充填剤は機械物性を調整するために各種の充填剤を配合することができ、一般には、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、カーボンブラック等が用いられる。充填剤の活性、粒子形状、pH、表面処理の有無などにより、貯蔵安定性、硬化速度、物性、発泡に与える影響が大きく、種類、量の決定には注意する必要がある。特に炭酸カルシウムは、脂肪酸、樹脂、脂肪酸エステルまたは高級アルコールウレタン化合物により処理されたものが好適に使用される。
【0043】
着色剤(顔料)としては、具体的には、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、群青、ベンガラ、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウム、塩酸塩、硫酸塩などの無機顔料;アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、キナクリドンキノン顔料、ジオキサジン顔料、アントラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、ジケトピロロピロール顔料、キノナフタロン顔料、アントラキノン顔料、チオインジゴ顔料、ベンズイミダゾロン顔料、イソインドリン顔料、カーボンブラックなどの有機顔料等が挙げられる。
老化防止剤の具体例としては、一般に用いられている酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等が適宜用いられる。例えば、ヒンダードアミン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、シアノアクリレート系、アクリレート系、ヒンダードフェノール系、リン系、硫黄系の各化合物が挙げられる。
【0044】
このような構成を有する本発明の硬化性樹脂組成物は、上述したように、貯蔵安定性を損なわず、また、該硬化性樹脂組成物をシーラントとして用いた場合に、耐熱老化後のモジュラスの上昇を抑制する効果を有している。
これは、本発明の硬化性樹脂組成物を構成するシラン化合物(B)に、上記式(8)で表される加水分解能があり、また、架橋性シリル基含有有機重合体(A)の加水分解による縮合(架橋)後において残存する架橋性シリル基が、シラン化合物(B)の加水分解により生成されるトリアルキルシラノールと反応することにより、耐熱老化後のモジュラスの上昇の要因となる遊離の架橋性シリル基の存在が減少するためであると考えられる。
したがって、本発明の硬化性樹脂組成物を外壁材等のシーラントに使用した場合は、上記シラン化合物(B)を含有しない従来の変成シリコーンシーラント等に比べ、物性の変化が小さく、長期に渡りシール性、柔軟性を保持できる点で極めて有用である。
【0045】
本発明の硬化性樹脂組成物を製造する硬化性樹脂組成物の製造方法は特に限定されず、例えば、ロール、ニーダー、押出し機、万能攪拌機等により混合し製造することができる。
また、本発明の硬化性樹脂組成物の用途は特に限定されないが、例えば、各種の接着剤、シーラント、防水材等に好適に用いることができる。
【0046】
【実施例】
以下実施例を用いて、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1〜4、比較例1)
架橋性シリル基含有有機重合体(A)である変成シリコーン100質量部に対して、下記表1に示す組成成分(質量部)で、炭酸カルシウム1(充填剤)、炭酸カルシウム2(充填剤)、酸化チタン(顔料)、アクリルオリゴマー(可塑剤)、ポリプロピレングリコール(可塑剤)、ビニルシラン(脱水剤)、アミノシラン(脱水剤・接着成分)、錫触媒、脂肪族ジアミン(タック防止剤)、および、シラン化合物(B)であるシラン化合物1もしくはシラン化合物2を添加し、高粘度用混合ミキサーで均一に分散させて実施例1〜4、比較例1の硬化性樹脂組成物を得た。
【0047】
上記各組成成分として、以下に示す化合物を用いた。
変成シリコーン:MSX911(鐘淵化学工業社製)
炭酸カルシウム1:カルファイン200M(丸尾カルシウム社製)
炭酸カルシウム2:ライトンA−4(備北粉加工社製)
酸化チタン:R−820(石原産業社製)
アクリルオリゴマー:UP−1000(東亞合成社製)
ポリプロピレングリコール:プレミノール4002(旭硝子社製)
ビニルシラン:A−171(日本ユニカ社製)
アミノシラン:A−1120(日本ユニカ社製)
錫触媒:ジブチル錫ジアセチルアセトナート(ネオスタンU−220、日東化成社製)
脂肪族ジアミン:アスファゾール#10(日本油脂社製)
【0048】
また、シラン化合物(B)であるシラン化合物1およびシラン化合物2は、以下に示す合成により得られた化合物を用いた。
(シラン化合物1)
オレイン酸アミド100gに、ヘキサメチルジシラザン30g、サッカリン0.2gおよびトルエン70gを加え、還流下で8時間反応させた後、未反応のヘキサメチルジシラザンを留去することで、シラン化合物1を得た。反応式を下記式(9)に示す。
【0049】
(シラン化合物2)
ステアリン酸100gに、ヘキサメチルジシラザン30g、サッカリン0.1gおよびトルエン70gを加え、還流下で5時間反応させた後、未反応のヘキサメチルジシラザンを留去することで、シラン化合物2を得た。反応式を下記式(10)に示す。
【0050】
【化9】
【0051】
得られた各硬化性樹脂組成物の標準養生(23℃下、7日間硬化)後の50%モジュラス(M50)〔MPa〕および耐熱老化(60℃下、7日間放置)後の50%モジュラス(M50)〔MPa〕を以下に示す条件で調べた。その結果を下記の表1に示す。
50%モジュラスの測定は、JIS−K6251−1993 に準拠して、標準養生後および耐熱老化後の各硬化性樹脂組成物のH型試験片で行った。
【0052】
【表1】
【0053】
表1に示す結果より、実施例1〜4の硬化性樹脂組成物は、比較例1に示す従来の硬化性樹脂組成物に比べ、標準養生後の50%モジュラスに対する耐熱老化後の50%モジュラスの増加率が低く留まることが分かった。
【0054】
【発明の効果】
本発明により、耐熱老化後のモジュラスの上昇を抑制することができる硬化性樹脂組成物を提供することができる。このため、本発明の硬化性樹脂組成物を外壁材等のシーラントに使用した場合は、物性の変化が小さく、長期に渡りシール性、柔軟性を保持できる点で極めて有用である。
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