JP4034716B2 - 硬化性組成物 - Google Patents

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本発明は湿分存在下で適度な硬化速度で硬化し、引張り物性が優れ、非粘着性の表面を有するゴム状の硬化性組成物に関する。
反応性ケイ素基は水分存在下にて加水分解後、縮合する。この反応性ケイ素基を有するポリマーは湿分存在下で架橋硬化し、硬化性組成物として用いることができる。これらのポリマー中でその主鎖骨格がポリオキシアルキレンであるものは一般に変成シリコーンとして知られている。これを用いた硬化性組成物は、室温では液状であり、硬化によりゴム弾性体となる特性を有し、建築用シーラント等に広く用いられている。これらは、硬化時、適度な硬化速度を有する事が望ましく、またゴム状硬化物は、表面の非粘着性と引張り物性として大きい伸び特性と、柔軟性に富むゴム弾性を有することが望ましい。分子中に反応性ケイ素基を有する有機重合体の製造法について、数多くの提案がなされており、既に工業的に生産されているものもある。例えば、鐘淵化学工業(株)から製造販売されている、主鎖がポリオキシプロピレンで末端にメトキシシリル基が結合した有機重合体(商品名:MSポリマー)である。この重合体は、硬化時において適度な硬化速度を有しているが、硬化物の伸びや表面の残留タック(粘着性)の点に関しては、ある種の配合組成や使用条件下で充分でない場合があり、用途によっては改善が望まれてきた。本発明者らは、これに対し引張り物性の改善(高伸び化)および残留タック改善(低粘着化)を図らんと、上記有機重合体にシリコン化合物を添加または反応させる方法を既に提案している(例えば、特許文献1参照。)。
特開昭64−9268号公報
しかしながら、上記特許文献1に示されたシリコン化合物の使用により、内部の硬化性(深部硬化速度)が遅くなる傾向が生じた。
この発明は、引張り物性の改善(高伸び化)および残留タック改善(低粘着化)が達成され、かつ内部の硬化性(深部硬化速度)の低下がない硬化性組成物を提供するためになされたものである。
本発明者はこれらの課題を解決するために鋭意検討の結果、特定のシリコン化合物を用いることにより、内部の硬化速度は低下させず、しかも引張り物性の改善(高伸び化)および残留タックの改善(低粘着化)が可能となることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
本発明は、(a)1分子中に少なくとも1個のシラノール縮合反応により架橋可能な反応性ケイ素基を含有するオキシアルキレン系重合体と
(b)一般式(1):
Figure 0004034716
(式中、R1メチル基、R 2 Oで示される繰り返し単位がオキシプロピレン、m、nは正の整数で、mは1、m×nは5以上、XはR Si−基(Rは上記と同じ))で示され、加水分解することによりR1 3SiOHを生成するシリコン化合物を含有してなる硬化性組成物である。
本発明の硬化性組成物は、適度な硬化速度を維持させながら、引張り物性の改善(高伸び化)および残留タックの改善(低粘着化)が可能となる。
本発明に含有される(a)1分子中に少なくとも1個のシラノール縮合反応により架橋可能な反応性ケイ素基を含有するオキシアルキレン重合体の主鎖骨格は、本質的に一般式(2)で示される繰り返し単位を有するものである。
Figure 0004034716
(式中、R3は2価の有機基であり、炭素数1〜14の直鎖状もしくは分岐アルキレン基が好ましい)
一般式(2)の具体例としては、
Figure 0004034716
等が挙げられる。オキシアルキレン重合体の主鎖骨格は、1種類だけの繰り返し単位からなってもよいし、2種類以上の繰り返し単位からなってもよいが、特にオキシプロピレン重合体が好ましい。
(a)成分中に含有される反応性ケイ素基は、加水分解性基や水酸基が結合しているケイ素原子を含有する、シラノール縮合反応により架橋可能な基であり、特に限定されるものではないが代表的なものを示すと、一般式(3)
Figure 0004034716
(式中、R4およびR5は、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜6のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基を、Yは加水分解性基または水酸基を、aは0,1,2または3を、bは0,1または2をそれぞれ示す。R4、R5またはYがそれぞれ2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。)で示されるトリオルガノシロキシ基を示す。またp個の繰り返し単位を構成する一般式(4)
Figure 0004034716
におけるbは同一である必要はない。pは0または1〜19の整数を示す。但し、 a+(bの和)≧1を満足するものとする。
上記Yで示される加水分解性基としては、特に限定されず、従来公知の加水分解性基が含有され、具体的には、例えば水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。これらの内では、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基およびアルケニルオキシ基が好ましく、加水分解性が温和で取扱やすいという観点からアルコキシ基が特に好ましい。
該加水分解性基や水酸基は1個のケイ素原子に1〜3個の範囲で結合することができ、a+(bの和)は1〜5個の範囲が好ましい。加水分解性基や水酸基が反応性ケイ素基中に2個以上結合する場合には、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。
前記反応性ケイ素基を形成するケイ素原子は1個でもよく、2個以上であってもよいが、シロキサン結合等により連結されたケイ素原子の場合には、20個程度まであってもよい。特に一般式(5)
Figure 0004034716
(式中、R5,Y,aは前記と同じ)
で表わされる反応性ケイ素基が、入手容易の点から好ましい。
また上記一般式(3)におけるR4およびR5の具体例としては、たとえばメチル基、エチル基などのアルキル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フェニル基などのアリール基、ベンジル基などのアラルキル基等があげられる。これらの中ではメチル基が特に好ましい。
反応性ケイ素基の導入は公知の方法で行えばよい。すなわち、例えば以下の方法が挙げられる。
(1)分子中に水酸基等の官能基を有するオキシアルキレン重合体に、この官能基に対して反応性を示す活性基および不飽和基を有する有機化合物を反応させ、不飽和基を含有するオキシアルキレン重合体を得る。もしくは、不飽和基含有エポキシ化合物との共重合により不飽和基含有オキシアルキレン重合体を得る。ついで得られた反応生成物に反応性ケイ素基を有するヒドロシランを作用させてヒドロシリル化する。
(2)(1)法と同様にして得られた不飽和基を含有するオキシアルキレン重合体にメルカプト基および反応性ケイ素基を有する化合物を反応させる。
(3)分子中に水酸基、エポキシ基やイソシアネート基等の官能基(以下Z官能基という)を有するオキシアルキレン重合体にこのZ官能基に対して反応性を示す官能基および反応性ケイ素基を有する化合物を反応させる。
以上の方法のなかで、(1)の方法、または(3)のうち末端に水酸基を有する重合体とイソシアネート基および反応性ケイ素基を有する化合物を反応させる方法、が好ましい。
(a)成分は直鎖状、または分岐を有してもよく、その分子量は500〜50000程度、より好ましくは1000〜30000である。含有される反応性ケイ素基は重合体1分子中に少なくとも1個、好ましくは1.1〜5個存在するのがよい。分子中に含まれる反応性ケイ素基の数が1個未満になると、硬化性が不充分になり、また多すぎると網目構造があまりに密となるため良好な機械特性を示さなくなる。
(a)成分の具体例としては、特公昭45−36319号、特公昭46−12154号、特開昭50−156599号、特開昭54−6096号、特開昭55−13767号、特開昭55−13468号、特開昭57−164123号、特開平4−283260号、特公平3−2450号、USP 3,632,557、USP 4,345,053、USP 4,366,307、USP 4,960,844等の公報に開示されているものがあげられ、これらは有効に使用されるが、特にこれらに限定されるものではない。
本発明の(b)成分として用いるシリコン化合物としては、
Figure 0004034716
(式中、R1メチル基、R 2 Oで示される繰り返し単位がオキシプロピレン、m、nは正の整数で、mは、m×nは5以上、XはR Si−基(Rは上記と同じ))で示され、加水分解することによりR1 3SiOHを生成するシリコン化合物である。
上記−R2O−で示される繰返し単位として、例えば、
Figure 0004034716
等が具体的に挙げられる。該−R2O−で示される繰返し単位は、1種類だけの繰り返し単位からなってもよいし、2種類以上の繰り返し単位からなってもよいが、特にオキシプロピレン重合体が好ましい。
上記Xで示される有機基としては、例えばアルキル基、アリール基、水酸基、フェニル基、R1 3Si−基(式中、R1は同一または相異なり、置換もしくは非置換の1価の炭化水素基または水素原子)等が挙げられる。
以下に具体例を示すが、(b)成分としてのシリコン化合物はこれによって限定されるものではない。
Figure 0004034716
Figure 0004034716
上記したシリコン化合物の中では、R1がメチル基、−R2O−で示される繰返し単位がオキシプロピレンである基本構造をもつものが特に好ましい。
これらシリコン化合物(b)の分子量については特に限定はないが、硬化物中に残る非シリコン残基の影響(表面ブリード等)を最小にするためにはMwは300以上3000以下のものが好ましい。
上記シリコン化合物(b)の使用量は、特に限定されるものではなく、硬化物の期待特性にあわせて使用量を適宜選べば良いが、通常はオキシアルキレン系重合体100重量部に対し0.1〜30重量部添加されるのが好ましい。
本発明の重合体(a)と有機シリコン化合物(b)と混合する方法については、大きく分けて3通りの方法がある。
第一の方法は、有機シリコン化合物(b)を重合体(a)に単に添加する方法である。有機シリコン化合物(b)の性状に応じて、加熱攪拌条件などを調整し、均一に分散、溶解させれば良い。この場合、完全に均一な状態にする必要はなく、不透明な状態であっても分散していれば充分目的は達せられる。また、必要に応じて分散改良剤、例えば界面活性剤などを併用しても良い。
第二は、最終製品を使用する際に該化合物を所定添加量混合する方法である。例えば、2液型のシーリング材として使用するような場合、基剤と硬化剤のほかに第3の成分として該化合物を混合し使用できる。
第三の方法は、該化合物を予め有機重合体と反応させてしまうもので、必要に応じて錫系、チタン酸エステル系、酸または塩基性触媒を併用し、必要量の水を添加し、減圧下、加熱脱揮することにより目的が達せられる。
本発明の組成物には、反応性ケイ素基の反応を促進するシラノール縮合触媒が含有されていてもよい。この様なシラノール縮合触媒としては、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のチタン酸エステル類;ジブチルすずジラウレート、ジブチルすずマレエート、ジブチルすずジアセテート、オクチル酸すず、ナフテン酸すず、ジブチルすずオキサイドとフタル酸エステルとの反応物、ジブチルすずジアセチルアセトナート等の有機すず化合物類;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテートなどの有機アルミニウム化合物類;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナートなどのキレート化合物類;オクチル酸鉛等の有機鉛化合物;有機バナジウム化合物;ブチルアミン、オクチルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,5−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7(DBU)等のアミン系化合物あるいはそれらのカルボン酸などとの塩;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリアミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物等が例示されるが、これらに限定されるものではなく、一般に使用されている縮合触媒を用いることができる。これらのシラノール触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。これらのシラノール縮合触媒のうち、有機金属化合物類、または有機金属化合物類とアミン系化合物の併用系が硬化性の点から好ましい。
本発明の組成物には、更に必要に応じて脱水剤、相溶化剤、接着性改善剤、物性調整剤、保存安定性改良剤、充填剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、アミン系ラジカル連鎖禁止剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、発泡剤などの各種添加剤を適宜添加できる。
例えば添加剤として充填剤を用いる場合、木粉、クルミ殻粉、もみ殻粉、パルプ、木綿チップ、マイカ、グラファイト、けいそう土、白土、カオリン、クレー、タルク、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、石英粉末、ガラスビーズ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、アルミニウム粉末、亜鉛粉末、アスベスト、ガラス繊維、炭素繊維等が使用されうる。これらのフィラーは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
また、(a)1分子中に少なくとも1個のシラノール縮合反応により架橋可能な反応性ケイ素基を含有するオキシアルキレン重合体以外に反応性ケイ素基を有する他の重合体、例えばポリジメチルシロキサン等を添加してもよい。
本発明の硬化性組成物の調整法はとくに限定はなく、例えば上記した成分を配合し、ミキサーやロールやニーダーなどを用いて常温または加熱下で混練したり、適した溶剤を少量使用して成分を溶解させ、混合したりするなどの通常の方法が採用されうる。また、これら成分を適当に組み合わせることにより、1液型や2液型の配合物をつくり使用することもできる。
本発明の硬化性組成物は、大気中に曝露されると水分の作用により、3次元的に網目状組織を形成し、ゴム状弾性を有する固体へ硬化する。
本発明を実施例に基づき、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1〜2、比較例1〜2および参考例1〜2
1分子あたり平均2個のメチルジメトキシシリル基
Figure 0004034716
を含有する平均分子量10500のプロピレンオキシド重合体(以下メチルジメトキシシリル基含有プロピレンオキシド重合体とする)100部(重量部、以下同様)に対し、表に示した有機シリコン化合物と膠質炭酸カルシウム(白石工業株式会社)120部、重質炭酸カルシウム(白石工業株式会社)20部加え、ジオクチルフタレート(協和発酵)50部、老化防止剤2部を加え、充分混練した後、小型3本ペイントロールに3回通した後、オクチル酸錫3部、ラウリルアミン0.65部を加え、均一に混合して硬化性組成物を得た。
得られた組成物を用い、JIS A 5758に準拠して、引張物性の測定を行った。また、指触により、23℃、7日養生後の残留タック(表面の粘着性)の評価を行った。また、内部の硬化状態は5℃、24時間養生後に指圧法で評価を行った。
比較例として、有機シリコン化合物の代わりに特開昭64−9268号公報に示されているシリコン化合物C65 Si(CH332.5部を添加した場合およびシリコン化合物を添加しない場合について実施例と同様にして評価を行った。結果を表1に示す。
なお、表1中のM50は50%引張り時のモジュラス、EBは破断時の伸びを示し、残留タックの評価におけるAはシリコン化合物を添加しない比較例2の場合と同等程度の場合、Bはそれよりベタつきが大きい場合を表わしている。また、内部の硬化性の評価基準は、内部まで完全に硬化している場合を◎、内部に未硬化の部分が若干認められるが殆ど完全に硬化している場合を○、内部に未硬化の部分が多く認められる場合を△、表面のみ皮張り硬化で内部は未硬化である場合を×とした。
Figure 0004034716
表1の結果から実施例1〜に示すシリコン化合物を用いるとC65OSi(CH33を用いた場合と比べ、引張物性、残留タックは同じレベルを示すが、内部硬化性が優れていることがわかる。
本発明の硬化性組成物は弾性シーラントとして特に有用であり、建造物、船舶、自動車、道路などの密封剤として使用し得る。更に、単独あるいはプライマーの助けをかりてガラス、磁器、木材、金属、樹脂成形物などの広範囲の基質に密着しうるので、種々のタイプの密封組成物および接着組成物としても使用可能である。更に、粘着剤、塗料、塗膜防水剤、食品包装材料、注型ゴム材料、型取り用材料、発泡材料としても有用である。

Claims (4)

  1. (a)1分子中に少なくとも1個のシラノール縮合反応により架橋可能な反応性ケイ素基を含有するオキシアルキレン系重合体と
    (b)一般式(1):
    Figure 0004034716

    (式中、R1メチル基、R 2 Oで示される繰り返し単位がオキシプロピレン、m、nは正の整数で、mは1、m×nは5以上、XはR Si−基(Rは上記と同じ))で示され、加水分解することによりR1 3SiOHを生成するシリコン化合物を含有してなる硬化性組成物。
  2. 前記(a)1分子中に少なくとも1個のシラノール縮合反応により架橋可能な反応性ケイ素基を含有するオキシアルキレン系重合体100重量部に対し、前記(b)一般式(1)で示され、加水分解することによりR1 3SiOHを生成するシリコン化合物を0.1〜30重量部含有してなる請求項1の硬化性組成物。
  3. 上記(a)の反応性ケイ素基がアルコキシシリル基である請求項1または2の硬化性組成物。
  4. 上記(a)の主鎖がオキシプロピレン重合体である請求項1または2の硬化性組成物。
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