JP2004345916A - ガラス物品の徐冷方法、ガラス物品の加熱方法、ガラス成形品の製造方法、及び熱処理装置 - Google Patents

ガラス物品の徐冷方法、ガラス物品の加熱方法、ガラス成形品の製造方法、及び熱処理装置 Download PDF

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    • C03B25/06Annealing glass products in a continuous way with horizontal displacement of the glass products

Abstract

【課題】効率的なガラス加熱方法、ガラス徐冷方法、ガラス成形品製造方法及び熱処理装置の提供。
【解決手段】ガラス物品を、隣り合う各室が開口を介して連通する複数の熱処理室(以下、熱処理室)内を順番に開口を通して搬送して徐冷しまたは加熱する方法。熔融ガラス等を成形し、得られたガラス成形品を、複数の熱処理室内を順番に開口を通して搬送して徐冷するガラス成形品の製造方法。ガラス物品を、複数の熱処理室内を順番に開口を通して搬送して加熱軟化し、軟化したガラス物品を成形するガラス成形品の製造方法。隣り合う熱処理室は互いに断熱壁により断熱され、雰囲気温度は独立に設定されている。トンネル型の炉及び炉内部に沿って物品を搬送する搬送装置を有し、かつ炉外から導入した物品を、炉内を搬送しながら熱処理するための熱処理装置。物品の搬送を妨げないように炉内を物品の搬送方向に複数の熱処理室に仕切る断熱壁と雰囲気温度設定装置とを備える。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、光学ガラスや電子用ガラスのような、高精度の熱処理が要求される熱処理対象物に対して、その対象物をベルトコンベア等の搬送装置に積載・搬送して、炉内に温度勾配を生じるように場所によって設定温度を変化させたトンネル型の炉内を通過させる間に、所要の熱処理を連続的に加えることを目的としたガラス等の熱処理方法ならびに熱処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
一般にレヤーと呼ばれるガラスの連続徐冷炉は、非特許文献1に開示されているような構造を有する(図11・7参照)。光学ガラス等の徐冷では、長手方向(引き出し方向)に異なった温度設定をする複数の領域に分かれたトンネル式徐冷炉を用いることがある。この徐冷炉は、各領域の境界部には分割壁はなく、各領域は断熱されておらず、隣接する領域間で大きな温度差をつけようとすると、エネルギーロスが大きくなる。それだけではなく、所要の温度差がつけられない場合は温度差が小さくなった分、トンネル炉の全長を長くする必要が出てくる。これは設備全体の大型化につながり、設備コストの押し上げ要因となるだけでなく、設備が占める占有面積も大きくなるので土地代の負担増にもなる。
【0003】
また、徐冷炉内でのガラス板やガラスプレス品の搬送手段としては連続循環式のメッシュベルトを用いることが多い(メッシュベルトを用いる理由は比較的熱容量が小さいため、接触したガラスと多少の温度差がある場合でもガラスに与えるヒートショックが小さいためである)。メッシュベルトが炉の出口から出た後の復路は、経路の大半を室温の炉外を通過して、入り口のやや手前から再び炉内に進入する構造が一般的である。この構造では室温のメッシュベルトを短時間の間にガラスの徐冷点近くまで昇温する必要があるため、熱容量の大きな金属メッシュベルトの加熱のために非常に大きな熱量が必要になる。
【0004】
また、熱処理の精度が要求され、あるいは、対象物の汚染を嫌うような熱処理炉の場合、炉内壁に設置された加熱ヒーターの更に内側に均熱壁を設置して、炉内を2重構造にすることがある。均熱壁は、温度分布の良化と対象物の表面汚染防止を目的とするもので、ステンレス製又はセラミックス製が一般的である。ステンレス製の均熱壁は、特に、放射率が比較的小さいため、熱処理対象物に加熱が必要な場合も反対に冷却が必要な場合も、熱交換の妨げになる。その結果、加熱を目的とした場合は(均熱板表面の放射率が大きい場合に比較して)余計な熱エネルギーが必要なり、急速な冷却を目的とする場合、冷却速度が遅くなる分だけ設備の長さが余計に必要となる。
【0005】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、従来と比べ小さなスペースで、しかも少ないエネルギーでガラスの加熱を可能とするガラスの加熱方法及びガラス成形品の製造方法を提供することを第1の目的とする。
【0006】
また、本発明は、従来と比べ小さなスペースで、しかも少ないエネルギーでガラスの徐冷を可能とするガラスの徐冷方法及びガラス成形品の製造方法を提供することを第2の目的とする。
【0007】
さらに、本発明は、従来と比べ小さなスペースで、しかも少ないエネルギーでガラスのような物品の熱処理を可能とする熱処理装置を提供することを第3の目的とする。
【0008】
【非特許文献1】成瀬省著 ガラス工学 176〜178頁 昭和42年2月10日
共立出版
【0009】
【課題を解決するための手段】
次に上記課題を解決するための手段である本発明について説明する。
[請求項1] ガラス物品を搬送しながら徐冷するガラス物品の徐冷方法であって、
前記ガラス物品を、隣り合う各室が開口を介して連通する複数の熱処理室内を順番に、前記開口を通して搬送して徐冷し、
隣り合う前記室は互いに断熱壁により断熱され、かつ
前記室の雰囲気温度は独立に設定されていることを特徴とするガラス物品の徐冷方法。
[請求項2] ガラス物品を搬送しながら加熱するガラス物品の加熱方法であって、
前記ガラス物品を、隣り合う各室が開口を介して連通する複数の熱処理室内を順番に、前記開口を通して搬送して加熱し、
隣り合う前記室は互いに断熱壁により断熱され、かつ
前記室の雰囲気温度は独立に設定されていることを特徴とするガラス物品の加熱方法。
[請求項3] 熔融ガラス又は加熱、軟化したガラスを成形し、得られたガラス成形品を連続的に搬送しながら徐冷するガラス成形品の製造方法であって、
前記ガラス成形品を、隣り合う各室が開口を介して連通する複数の熱処理室内を順番に、前記開口を通して搬送して徐冷し、
隣り合う前記室は互いに断熱壁により断熱され、かつ
前記室の雰囲気温度は独立に設定されていることを特徴とするガラス成形品の製造方法。
[請求項4] ガラス物品を搬送しながら加熱、軟化し、軟化したガラス物品を成形するガラス成形品の製造方法であって、
前記ガラス物品を、隣り合う各室が開口を介して連通する複数の熱処理室内を順番に、前記開口を通して搬送して加熱し、
隣り合う前記室は互いに断熱壁により断熱され、かつ
前記室の雰囲気温度は独立に設定されていることを特徴とするガラス成形品の製造方法。
[請求項5] ガラス物品又はガラス成形品の輪郭が搬送時に描く軌跡を搬送方向から見た断面において、最外縁部を結んだ閉じた線に対し、高さ方向にできる前記線と開口の間の隙間が50mm以内、幅方向にできる搬送手段と開口の間の隙間が搬送方向の左右でそれぞれ10mm以内である請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
[請求項6] トンネル型の炉及び炉内部に沿って物品を搬送する搬送装置を有し、かつ炉外から導入した物品を、炉内を搬送しながら熱処理するための熱処理装置であって、
前記物品の搬送を妨げないように炉内を物品の搬送方向に複数の熱処理室に仕切る断熱壁と、前記各熱処理室内の雰囲気温度を独立に設定するための雰囲気温度設定装置とを備えることを特徴とする熱処理装置。
[請求項7] 断熱壁により仕切られた各熱処理室内の物品搬送経路の上方を覆うように耐熱性の均熱壁を配し、均熱壁を裏面から加熱する加熱装置を備え、前記加熱装置への入力を前記雰囲気温度設定装置により行うことを特徴とする請求項6に記載の熱処理装置。
[請求項8] 前記搬送装置は、連続循環式の搬送部を有し、炉内の入口側に往路・復路切り替え部分を有し、かつ搬送部の復路の一部は炉内を移動するように設けられている、請求項6又は7に記載の熱処理装置。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下に説明される形態に限定されるものではない。
【0011】
(ガラス物品の徐冷方法)
本発明のガラス物品の徐冷方法は、ガラス物品を搬送しながら徐冷する方法である。本発明のガラス物品の徐冷方法は、前記ガラス物品を、隣り合う各室が開口を介して連通する複数の熱処理室内を順番に、前記開口を通して搬送して徐冷し、隣り合う前記室は互いに断熱壁により断熱され、かつ前記室の雰囲気温度は独立に設定されていることを特徴とする。
【0012】
本発明のガラス物品の徐冷方法において、ガラス物品を、隣り合う各室が開口を介して連通する複数の熱処理室内を順番に搬送して徐冷する。ガラス物品の搬送は、例えば、ベルトコンベア等の公知の手段により実施でき、後述する本発明の熱処理装置の説明において説明されたものを適宜使用できる。隣り合う熱処理室は互いに断熱壁により断熱され、断熱壁に設けられた開口を通してガラス物品が搬送さる。そして、各熱処理室の雰囲気温度は独立に設定されている。
【0013】
各熱処理室の断熱のための断熱壁の断熱性は、本発明の徐冷方法において徐冷されるガラス物品の物性や徐冷前後の温度等を考慮して適宜設定することができ、例えば、断熱壁の熱伝導量を1.5×10−2W/(m・K)未満とすることが望ましく、7×10−3W/(m・K)未満とすることがより望ましい。ここで断熱壁の熱伝導量とは、断熱壁の厚さ方向に垂直な単位面積を通って流れる熱量と、断熱壁によって仕切られる熱処理室間の温度差との比である。断熱壁が一定の厚さで均質な材料からなる場合には、前記材料の熱伝導率に断熱壁の厚さを乗じた量に相当する。断熱壁の具体例については、本発明の熱処理装置の説明において詳述する。
【0014】
断熱壁で仕切られ、相互に断熱された各熱処理室は、雰囲気の温度を独立に設定することにより、ガラスの搬送速度を一定に保った状態でも各熱処理室で正確な温度設定ができ、さらには、隣接する熱処理室の間で、大きな温度差を設けることもできる。したがって、狭いスペース(短い炉長)でエネルギー消費の少ない徐冷が可能になる。
本発明のガラス物品の徐冷方法における、熱処理室の数や各熱処理室の雰囲気温度は、徐冷されるガラス物品の物性や徐冷前後の温度等を考慮して適宜設定することができる。但し、実用的には、熱処理室の数は、例えば、5〜15個の範囲であり、隣り合う熱処理室の温度差は、例えば、3〜150℃の範囲である。
【0015】
また多量のガラスを同時に徐冷することもできる。同時に徐冷するとは、複数のガラス物品を並行して徐冷する場合と、ガラス物品を順次熱処理室に流し、トータルとして複数のガラス物品を徐冷する場合の両方を含む。
【0016】
上記各熱処理室の雰囲気温度をより精密に設定するにはガラス物品の搬送方向を水平にし、断熱壁を垂直に設けることが望ましい。
隣り合う各熱処理室は開口を介して連通しているが、開口はガラス物品の搬送を妨げない程度に可能な限り小さくすることが熱処理室間の断熱効率を挙げるという観点から好ましい。このような観点から、ガラス物品の輪郭が搬送時に描く軌跡を搬送方向から見た断面において、最外縁部を結んだ閉じた線に対し、高さ方向にできる前記線と開口の間の隙間は50mm以内であり、幅方向にできる搬送手段と開口の間の隙間が搬送方向の左右でそれぞれ10mm以内であることが好ましい。この状態を図2に示す。ガラス物品の最外縁部を結んだ閉じた線に対し、高さ方向にできる前記線と開口の間の隙間は、好ましくは10mm以内である。幅方向にできる搬送手段と開口の間の隙間は、好ましくは、搬送方向の左右でそれぞれ3mm以内である。
【0017】
本発明のガラスの徐冷方法は、再加熱、軟化することにより再成形するためのガラス素材の徐冷、あるいはプレス成形品やガラス板の徐冷に好適である。また複数個のガラスを次々と上記搬送経路に供給して徐冷する場合や、上記搬送経路よりも長いガラス(例えば、ガラス板)を徐冷する場合にも好適である。また光学ガラスの徐冷に好適である。特に、徐冷によって光学ガラスの屈折率や分散を所定の値に調整する場合があるが、この場合、徐冷工程中のガラスの温度履歴を精密に制御することが好ましく、本発明の徐冷方法は、このような光学ガラスの徐冷に好適である。
【0018】
再加熱、軟化することにより再成形するためのガラス素材では、ガラス中に結晶核が含まれていると再加熱時に結晶化がおこり失透してしまう。そのため、ガラス素材を徐冷するためには結晶核が生成する温度範囲を速やかに通り過ぎる必要がある。上記徐冷方法によれば徐冷工程中の温度履歴を正確に設定することができるので、失透を効果的に防止できる温度制御をして、ガラス素材や光学素子成形用として好適なガラス素材を提供することもできる。
【0019】
(ガラス物品の加熱方法)
本発明のガラス物品の加熱方法は、ガラス物品を搬送しながら加熱する方法である。本発明のガラス物品の加熱方法は、前記ガラス物品を、隣り合う各室が開口を介して連通する複数の熱処理室内を順番に、前記開口を通して搬送して加熱し、隣り合う前記室は互いに断熱壁により断熱され、かつ前記室の雰囲気温度は独立に設定されていることを特徴とする。
【0020】
本発明のガラス物品の加熱方法は、ガラス物品が搬送さながら加熱されることを除き、本発明のガラス物品の徐冷方法と同一である。即ち、本発明のガラス物品の徐冷方法では、ガラス物品の搬送方向に温度が低下するように設定されるのに対し、本発明のガラス物品の加熱方法では、ガラス物品の搬送方向に温度が上昇するように設定される以外は、両者は同様である。
【0021】
本発明のガラス物品の加熱方法は、ガラス物品の加熱軟化方法に好適である。軟化したガラス物品はプレス成形などのように外力を加えることにより成形される。ガラス物品を軟化、成形してレンズ等の光学素子あるいは光学素子に近似する形状のブランクを成形する場合、失透を防止しつつガラスを軟化しなければならない。光学ガラスを軟化する場合、低温段階ではガラスが破損しないよう比較的ゆっくりと昇温し、ガラス中に結晶核が生じる温度領域ではガラスが失透しないよう速やかな加熱を行うことが望ましい。上記本発明の加熱方法によれば、ガラス物品の昇温時の温度履歴を精密にコントロールできるので、破損や失透を防止しつつ、狭いスペースでもガラス物品の加熱を行うことができるし、加熱のための電力等も節約することができる。
【0022】
この他、上記本発明の加熱方法を用いてガラス物品を結晶化することもできる。ガラス物品を結晶化する場合、ガラス物品を昇温し、その後、降温する必要がある。その場合、本発明の徐冷方法と加熱方法とを組合せて行うことができる。また、本発明の徐冷方法と加熱方法を組合せて行う場合、1つの炉でやる場合と、2つの炉(徐冷用と加熱用)とを組み合わせて行う場合のいずれも可能である。
【0023】
(ガラス成形品の製造方法)
本発明の第1のガラス成形品の製造方法は、熔融ガラス又は加熱、軟化したガラスを成形し、得られたガラス成形品を連続的に搬送しながら徐冷する方法である。本発明の第1のガラス成形品の製造方法は、前記ガラス成形品を、隣り合う各室が開口を介して連通する複数の熱処理室内を順番に、前記開口を通して搬送して徐冷し、隣り合う前記室は互いに断熱壁により断熱され、かつ前記室の雰囲気温度は独立に設定されていることを特徴とする。
本発明の第1のガラス成形品の製造方法におけるガラス成形品の徐冷工程は、上記本発明のガラス物品の徐冷方法で説明した方法をそのまま適用してガラス成形品を徐冷することができる。
【0024】
本発明の第1のガラス成形品の製造方法における、熔融ガラスを成形する方法は特に限定されない。例えば、以下の3つの方法を挙げることができる。
【0025】
(1)水平に保たれた底面と、この底面を挟んで対向する一対の側壁を有する鋳型に熔融ガラスを連続して鋳込み、板状に広げるとともに表面を冷却してガラス板に成形してから鋳型側面に設けられた開口部から前記側壁に平行な方向に連続してガラス板を引き出す方法。この方法では引き出したガラス板を引続き徐冷するため、徐冷時のガラスの搬送方向を水平にすることが望まれる。
【0026】
この方法は肉厚7mm以上のガラス板の成形に適している。肉厚が薄い場合は引張り速度の増大によりガラス板の目的とする幅が確保できなくなる可能性が有る。しかし、肉厚が厚い場合は自重によってガラスが変形しない粘度になるまで時間を要する。上記方法によれば肉厚が大きいガラス板の成形でも鋳型の底面を水平に保つことにより自重で変形しなくなる程度の粘度までガラスを鋳型上で冷却することができる。
【0027】
同様に鋳型に鋳込む際の熔融ガラスの粘度(流出時の粘度)が10dPa・S未満の場合に好適である。このような条件により必要なガラス板の幅を得やすくなる。
【0028】
このようにして成形したガラス板を一度、大気中において急冷した後、徐冷する。徐冷方法は、上記本発明のガラス物品の徐冷方法を採用する。即ち、上記ガラス板を比較的高温(例えば、ガラス転移温度近傍)に設定した最初の熱処理室に導入する。大気と前記最初の熱処理室における雰囲気との温度差は、通常、相当に大きい(例えば、600℃)。しかし、このような状況であっても徐冷のための各熱処理室が、断熱壁によって相互に断熱されていることから、ガラスを大気中から徐冷のための熱処理室に直接導入しても各熱処理室の雰囲気温度を所定の条件に維持することができる。即ち、本発明によれば、各熱処理室が断熱されているため、最初の熱処理室から次の熱処理室以降の熱処理室に逃げる無駄な熱量を大幅に低減できる。
【0029】
(2)パイプから所定量の熔融ガラス塊を金型に供給し、金型上でガラス塊に成形する方法。この方法では、ガスを噴出することにより金型上のガラスに風圧を加えてガラスを浮上しながら成形してもよい。大気中で成形されたガラス塊を徐冷する。徐冷方法は、上記本発明のガラス物品の徐冷方法を採用する。即ち、成形されたガラス塊を比較的高温(例えば、ガラス転移温度近傍)に設定した最初の熱処理室に導入する。ガラス塊を大気中から徐冷領域に直接導入しても各熱処理室の雰囲気温度を所定の条件に維持することができる点は方法(1)と同様である。さらに、金型に供給される直前の熔融ガラスの粘度が10dPa・S未満のものでも良好なガラス成形品を作製できる点についても方法(1)と同じである。
【0030】
(3)所定量の熔融ガラス塊をプレス成形する方法。例えば、熔融ガラス塊を下型上に供給し、上型と下型により熔融ガラス塊をプレスする。ガラスはプレスにより所望の形状の成形品になり、プレス成形型により熱が奪われて急速に表面が固化する。上記プレス成形は大気中にて行われる。大気中で成形されたプレス成形品を徐冷する。徐冷方法は、上記本発明のガラス物品の徐冷方法を採用する。即ち、プレス成形品を比較的高温(例えば、ガラス転移温度近傍)に設定した最初の熱処理室に導入する。プレス成形品を大気中から徐冷のための熱処理室に直接導入しても各熱処理室の雰囲気温度を所定の条件に維持することができる点については方法(1)や(2)と同様である。また、プレス成形型に供給される直前の熔融ガラスの粘度が10dPa・S未満のものでも良好なガラス成形品を作製できる点も方法(1)や(2)と同じである。
【0031】
次に上記の加熱、軟化したガラスを成形する方法を例示する。一度固化したガラスを加熱、軟化し、プレス成形する。この方法はプレス成形を大気中で行うものと窒素や窒素と水素の混合ガスなどの非酸化性雰囲気中で行うものに大別できる。大気中でプレス成形を行う場合は、プレス成形品を大気中から最初の徐冷のための熱処理室に直接導入しても問題ないことは上述の通りである。
【0032】
作製するガラス成形品は特に限定されないが、ガラス製光学素子、あるいは表面を機械加工することにより光学素子に仕上げられるガラス製光学素子の中間成形体、ガラス基板、あるいは表面を機械加工することによりガラス基板に仕上げられるガラス基板の中間成形体、プレス成形用ガラス素材(特に光学素子あるいは光学素子の中間成形体をプレス成形により作製する際のガラス素材)を例示できる。
【0033】
本発明の第1のガラス成形品の製造方法によれば、上記ガラスの徐冷方法の特長を活かしつつガラス成形品を製造することができる。
【0034】
本発明の第2のガラス成形品の製造方法は、ガラス物品を搬送しながら加熱、軟化し、軟化したガラス物品を成形する方法である。本発明の第2のガラス成形品の製造方法は、前記ガラス物品を、隣り合う各室が開口を介して連通する複数の熱処理室内を順番に、前記開口を通して搬送して加熱し、隣り合う前記室は互いに断熱壁により断熱され、かつ前記室の雰囲気温度は独立に設定されていることを特徴とする。
【0035】
例えば、所定量のガラスを上記本発明のガラス物品の加熱方法により加熱、軟化した後、プレス成形型に導入する。そして軟化状態のガラス物品をプレス成形型でプレスし、所望形状のガラス成形品を製造する。上記プレス成形は大気中で行ってもよい。大気中でプレス成形を行う場合、最後の熱処理室から加熱、軟化したガラス成形品が大気中に取り出される。このようにガラス成形品を高温の熱処理室から大気中に直接取り出しても、複数の熱処理室を相互に断熱しているので、各熱処理室の設定温度を容易に、所望の範囲に維持することができる。
【0036】
本発明の第2のガラス成形品の製造方法によれば、上記ガラスの加熱方法の特長を活かしつつガラス成形品を製造することができる。
【0037】
本発明第1のガラス成形品の製造方法と第2のガラス成形品の製造方法を連続する工程として、つなげて実施することもできる。例えば、第1のガラス成形品の製造方法によりプレス成形用ガラス素材を製造し、第2のガラス成形品の製造方法により前記ガラス素材を加熱、軟化し、プレス成形品を製造し、さらに、続けて第1のガラス成形品の製造方法によりプレス成形品を徐冷することもできる。
【0038】
上記本発明のガラス物品の徐冷方法、加熱方法、第1及び第2のガラス成形品の製造方法ともに、熱処理室の温度制御を精密にかつ容易にできることから、失透しやすい光学ガラス、例えば、チタン含有の光学ガラスへ適用することが有効である。
【0039】
(熱処理装置)
本発明の熱処理装置は、トンネル型の炉及び炉内部に沿って物品を搬送する搬送装置を有し、かつ炉外から導入した物品を、炉内を搬送しながら熱処理するための装置である。本発明の熱処理装置は、前記物品の搬送を妨げないように炉内を物品の搬送方向に複数の熱処理室に仕切る断熱壁と、前記各熱処理室内の雰囲気温度を独立に設定するための雰囲気温度設定装置とを備えることを特徴とする。
【0040】
以下、本発明の熱処理装置を、図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本発明の熱処理装置10は、トンネル型の炉11及び炉内部に沿って物品を搬送する搬送装置12を有する。炉11外から物品20を導入し、炉11内を搬送しながら熱処理した後に物品20’を取り出す。
熱処理装置10は、物品20の搬送を妨げないように炉11内を物品の搬送方向に複数の熱処理室13に仕切る断熱壁14を有する。さらに、各熱処理室13内の雰囲気温度を独立に設定するための雰囲気温度設定装置(図示せず)を備える。
尚、加熱装置(加熱ヒーター)または冷却装置15が、各熱処理室13の天井及び底部に設けられ、雰囲気温度設定装置によって制御される。
【0041】
断熱壁は、本発明の目的を達成するために適当な断熱性を有することが必要であり、断熱性は、本発明の装置において徐冷または加熱されるガラス物品の物性や徐冷または加熱前後の温度等を考慮して適宜設定することができる。例えば、断熱壁は、熱伝導量が1.5×10−2W/(m・K)未満である断熱性を有することが望ましく、より望ましくは、熱伝導量は7×10−3W/(m・K)未満である。
【0042】
上記熱処理装置の一形態は、トンネル型の炉の内部が、熱処理対象物であるガラス物品およびそれを搬送するコンベア等の搬送装置が通過できる最小限の隙間のみを残して炉内断熱壁によって進行方向で複数の室(領域)に隔てられている。そして、各室が任意の雰囲気温度に設定できるよう独立した加熱回路または冷却機構からなる雰囲気温度設定装置を備えるものである。
【0043】
例えば、トンネル式の加熱炉又は徐冷炉内の長手方向に、加熱又は冷却回路において独立して温度制御できる各熱処理室の境界位置の天井、底部及び/又は側壁に外側から断熱壁を挿入するための開口部を設け、その開口部から断熱材(例えばセラミックファイバーボード)でできた上記断熱壁を差し込み、内側の空間がガラス等の熱処理対象物およびそれを搬送するコンベア等の搬送装置が通過できる最小限の隙間(開口)のみを残して断熱壁で仕切られた状態を作り出すことができる。
【0044】
例えば、図2〜4に示すように、複数の断熱壁14をトンネル式の加熱炉11の天井、底部及び側壁から炉内に挿入し、ガラス物品及びに搬送装置が通過するに必要な隙間(開口)を残して、各熱処理室13を遮断することが好ましい。図4に示すように、天井、底部及び左右の側壁の外側から複数の断熱壁14を挿入して、ガラス物品20及びに搬送装置の搬送部17(17aは往路、17bは復路)を通すための開口部19(19aは往路用、19bは復路用)を設ける。断熱壁14aは天井側から、14bは側壁側から、14cも側壁側から、14dは底部側からそれぞれ挿入されている。
尚、図4は、図3に示す熱処理装置のC−C−断面である。図3に示す熱処理装置は、図1に示す本発明の熱処理装置の態様とは異なる態様であり、詳細については後述する。
【0045】
熱処理対象物であるガラス物品の大きさが大幅に変わる時は、その寸法や形状に応じて外側から挿入する断熱壁の位置を変更することができ、その際、炉内の隣接した熱処理室間の壁の開口面積はできるだけ小さくすることが好ましい。したがって、上記熱処理装置としては、熱処理対象物の大きさの変化に合わせて、熱処理対象物を載せた搬送装置が通過する上記断熱壁の隙間が最小限に保てるよう、上記断熱壁が開度調整機能を持つことが望ましい。
【0046】
上記のように、隣り合う熱処理室を連通している開口は、ガラス物品の搬送を妨げない程度に可能な限り小さくすることが熱処理室間の断熱効率を挙げるという観点から好ましい。このような観点から、ガラス物品の輪郭が搬送時に描く軌跡を搬送方向から見た断面において、最外縁部を結んだ閉じた線に対し、高さ方向にできる前記線と開口の間の隙間は50mm以内であり、幅方向にできる搬送手段と開口の間の隙間が搬送方向の左右でそれぞれ10mm以内であることが好ましい。この状態を図2に示す。ガラス物品の最外縁部を結んだ閉じた線に対し、高さ方向にできる前記線と開口の間の隙間は、好ましくは10mm以内である。幅方向にできる搬送手段と開口の間の隙間は、好ましくは、搬送方向の左右でそれぞれ3mm以内である。
【0047】
本発明の熱処理装置において、各熱処理室の温度をより精密に設定するには搬送方向を水平にし、断熱壁を垂直に設けることが望ましい。
【0048】
本発明の熱処理装置においては、前記搬送装置は、連続循環式の搬送部を有し、炉内の入口側に往路・復路切り替え部分を有し、かつ搬送部の復路の一部は炉内を移動するように設けられていることが好ましい。
徐冷炉内でガラス物品を搬送するための搬送部としては、例えば、連続循環式のメッシュベルトやキャタピラを用いることができる。
【0049】
従来の徐冷炉においても、搬送手段として連続循環式のメッシュベルトやキャタピラは用いられていた。本発明の装置においても、搬送手段として連続循環式のメッシュベルトやキャタピラは用いることができる。しかし、図6に示すように、従来の徐冷炉においては、出口から出たメッシュベルトやキャタピラは、徐冷炉の外を移動して、入り口側に戻る経路を取っていた。それに対して、本発明の装置では、図2及び図3に示すように、出口から出たメッシュベルトやキャタピラ17が入り口側11bに戻る経路を、出口側11aから往路の近くで再び炉11内に戻し炉内の各熱処理室の断熱壁14の隙間を往路とは逆に通過させながら入り口側へたどる経路とすることが好ましい。この装置においては、往路・復路切り替え部分18を炉内の入口側に有する。
【0050】
搬送部の復路の一部が炉内を移動するように設けられていることで、一旦出口から出て室温まで低下したメッシュベルトやキャタピラが、ガラス物品の冷却過程で放出、廃棄されるべき熱量の一部をもらいながら徐々に高温の室内へ搬送していくため、復路を、炉外を通過して入り口のやや手前から再び炉内に進入する構造に比べ、メッシュベルトやキャタピラを加熱するための熱量が最小限で済むという利点がある。
【0051】
さらに、本発明の熱処理装置では、断熱壁により仕切られた各熱処理室内の物品搬送経路に面する位置に耐熱性の均熱壁を配することが好ましい。均熱壁は、加熱による対象物の温度ムラを抑制すること以外に、対象物へのゴミの付着等の汚染を防止するためにも有用である。均熱壁は、熱処理対象物と、炉内壁面に近接して設置された加熱装置の間に設けられる。例えば、図3及び図3のA−A断面である図5に示すように、加熱ヒーター15とガラス物品20との間に均熱壁16が設けられる。さらに、加熱装置は、均熱壁を裏面から加熱するように設け、加熱装置への入力を各領域毎に独立して設定可能にすることが、各熱処理室の熱処理条件を独立して精密に設定する上で好ましい。また、上記均熱壁としては、表面の放射率が0.9以上であるものを用いることが、熱効率を向上させる上で好ましい。
【0052】
より具体的には、例えば、加熱装置である加熱ヒーターの炉内の内側にステンレス製又はセラミックス製の均熱壁を設け、その均熱壁の内面及び外面に放射率が0.9以上のセラミック塗料を塗布することで熱処理対象物の熱効率を大幅に増大させることができる。特に、側壁と天井を構成する金属又はセラミック製の均熱壁の内面及び外面に、放射率が0.9以上のセラミック塗料を塗布しておくことが望ましい。
【0053】
本発明の装置で熱処理するガラス物品には特に制限はないが、例えば、ガラス板やガラス製プレス成形品であることができる。
本発明の熱処理装置は、熱処理条件を適宜設定することにより、上記本発明のガラスの徐冷方法、加熱方法、第1及び第2のガラス成形品の製造方法に使用することができる。
【0054】
【実施例】
以下本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
(実施例1)
本発明を図3に示す熱処理装置を用いた場合について説明する。
高温状態のガラスを成形して得られたガラス熱間成形品除歪用のベルトコンベア式の連続徐冷炉10において、全長約20mのトンネル型の炉11内はガラス成形品20の搬送方向に11の熱処理室13に分けられている。それぞれの熱処理室12の天井と床面には熱処理室毎に独立調整ができる加熱ヒーター15ないしは冷却装置が設置されている。各熱処理室13間は熱伝導量が7x10−3W/(m・K)未満の厚み50mmのセラミックファイバー製の断熱ボードからなる断熱壁14で、コンベア12とガラス成形品20が通過できる最小限必要な隙間を残して仕切られている。コンベア12上方の断熱壁14は炉外から差し入れる構造になっており、ガラス成形品20の大きさが変化した場合は、隙間の大きさを調整して必要以上の隙間が開かないように操作する。
【0055】
耐熱金属製メッシュベルトのコンベア12の復路は、炉出口11aで往路の真下から炉内に戻り、往路のコンベアと平行に炉内各熱処理室を入り口11b側に向かって逆走し、炉最前部の熱処理室内で再び往路に戻る構造である。ガラス成形品20は図示しない炉外の成形設備から炉最前部のコンベア上に順次搬送・積載され、毎分約8cmの速度でコンベアが移動しながら除歪が終了し、炉外に出たコンベア上で常温近くになったところで順次取り出される。炉内各熱処理室のコンベア上方にはコンベアを取り囲むように厚さ1.6mmのステンレス板製で上下両面に放射率が0.92の塗料を塗布された均熱壁16が、断熱壁14部を除いた全炉内長に渡って設置され、各熱処理室内の雰囲気を均熱化している。
【0056】
上記ガラスの加熱方法ならびに熱処理装置を用いることで、隣接した熱処理室間であっても100℃以上の温度差をつけることが可能となるため、除歪の温度スケジュールをほとんど制約無く設定できるだけでなく、高温に保持すべき空間を必要最小限にでき、なおかつ気流による熱量の逃げも小さく抑制されるため、従来構造の炉に比べ、電力消費量を1/3以下(条件によっては更に小さく)に抑えることができ、ガラス成形品の歪を50nm/cm以下にするために必要な炉の長さも、従来は全長約40m要していたものが、約20mで実現することができた。
【0057】
1例として屈折率(nd)1.847、アッベ数(νd)23.8、転移点610℃、SiO及びTiOを含む光学ガラスが得られる熔融ガラスを大気中にて一方の側面が開口した鋳型に連続して流し込んでガラス板に成形し、その板を上記開口部から一定スピードで水平方向に引き出し、熱処理装置の徐冷条件に設定された炉内へ直接送り込んだ。なお、鋳型からのガラス板の引き出し方向と徐冷炉内のガラス板の搬送方向が正確に一致するよう、熱処理装置を設置した。したがって、徐冷炉内のガラス板の搬送方向は水平になっている。
【0058】
上記光学ガラスからなる10mm厚のガラス板材の除歪(徐冷)を以下の条件で行った。1〜11の各熱処理室の温度設定は、以下の通りとした。580℃(熱処理室1)、580℃(熱処理室2)、575℃(熱処理室3)、545℃(熱処理室4)、485℃(熱処理室5)、410℃(熱処理室6)、350℃(熱処理室7)、290℃(熱処理室8)、150℃(熱処理室9)、90℃(熱処理室10)、50℃(熱処理室11)。
【0059】
本実施例ではガラス板の成形について説明したが、大気中において熔融ガラス塊を金型上に受けてガラス塊を次々と成形し、成形したガラス塊を上記熱処理装置に直接導入して徐冷し、ガラス塊を製造することもできるし、大気中において熔融ガラス塊をプレス成形型を構成する下型上に供給し、上型と下型でプレス成形し、得られたプレス成形品を上記熱処理装置に直接導入して徐冷し、ガラス成形品を製造することもできる。
【0060】
さらにガラスを加熱、軟化し、大気中でプレス成形した後、大気中から直接上記熱処理装置に導入して徐冷し、プレス成形品を作製することもできる。
【0061】
(実施例2)
実施例1で徐冷されたガラス板を所要の重量に切断し、面取り加工を施してカットピースと呼ばれるガラス片を作製した。ガラス板は十分除歪されているので、上記加工によって破損することはなかった。
【0062】
次にこのガラスカットピースを積載した珪藻土製の軟化皿を、炉内に並べ、ほぼ平坦に設置された耐火物製ベースプレートの上を間欠的に滑らせながら順送りして炉内を通過させることで、該ガラスカットピースをプレス成形に適した粘度まで昇温させた。ガラスの加熱に使用する熱処理装置は全長5mのトンネル型軟化炉を備え、炉内はカットピースの搬送方向に10の熱処理室に分かれ、それぞれの熱処理室の天井と床面及び場所によっては側面にも熱処理室毎に独立調整ができる加熱ヒーターが設置されている。そして各加熱ヒーターには独立した加熱回路が設けられている。各熱処理室間は熱伝導量が7x10−3W/(m・K)未満の厚み50mmのセラミックファイバー製の断熱ボードからなる断熱壁で、軟化皿とその上のガラスが通過できる最小限必要な隙間を残して仕切られている。コンベア上方の断熱壁は炉外から差し入れる構造になっており、軟化皿とその上のガラスの大きさが変化した場合も隙間の大きさを調整して必要以上の隙間が開かないように調整されている。
【0063】
上記熱処理装置を用いることで、従来構造の炉(断熱壁がない炉)に比べ、電力消費量を8割以下に抑えることができ、適度なガラス軟化状態にするために必要な炉の長さも、従来の8割程度で済むようになったため、軟化に要する時間を2割短縮できた。
【0064】
実施例1において例示したSiO、TiOを含有する光学ガラスからなる30gのカットピースの軟化の場合、各熱処理室の温度設定は以下の通りとした。500℃(熱処理室1)、500℃(熱処理室2)、550℃(熱処理室3)、600℃(熱処理室4)、650℃(熱処理室5)、650℃(熱処理室6)、750℃(熱処理室7)、810℃(熱処理室8)、910℃(熱処理室9)、1070℃(熱処理室10)。
【0065】
加熱軟化した上記カットピースをプレス成形型に導入してレンズ形状にプレス成形した。プレス成形品は実施例1に示した熱処理装置と同様の装置で徐冷した。徐冷後、プレス成形品には研削、研磨加工を行い、屈折率(nd)1.847、アッベ数(νd)23.8の光学ガラスからなり、歪が取り除かれたレンズを作製した。
【0066】
なお、徐冷、加熱の各工程において適正な温度スケジュールを実現したので、作製されたレンズのいずれにも失透は見られなかった。
【0067】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、従来と比べ小さなスペースで、しかも少ないエネルギーでガラス物品やガラス成形品の加熱を可能とする加熱方法や、ガラス成形品の製造方法を提供することができる。
また、従来と比べ小さなスペースで、しかも少ないエネルギーでガラス物品やガラス成形品の徐冷を可能とする徐冷方法、ガラス成形品の製造方法を提供することもできる。
さらに、従来と比べ小さなスペースで、しかも少ないエネルギーでガラス物品等の物品の熱処理を可能とする熱処理装置を提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱処理装置の1つの態様の説明図である。
【図2】本発明の熱処理装置の1つの態様の説明図である。
【図3】本発明の熱処理装置の1つの態様の説明図である。
【図4】図3に示す熱処理装置のC−C断面図である。
【図5】図3に示す熱処理装置のA−A断面図である。
【図6】従来の熱処理装置の1例の説明図である。

Claims (8)

  1. ガラス物品を搬送しながら徐冷するガラス物品の徐冷方法であって、
    前記ガラス物品を、隣り合う各室が開口を介して連通する複数の熱処理室内を順番に、前記開口を通して搬送して徐冷し、
    隣り合う前記室は互いに断熱壁により断熱され、かつ
    前記室の雰囲気温度は独立に設定されていることを特徴とするガラス物品の徐冷方法。
  2. ガラス物品を搬送しながら加熱するガラス物品の加熱方法であって、
    前記ガラス物品を、隣り合う各室が開口を介して連通する複数の熱処理室内を順番に、前記開口を通して搬送して加熱し、
    隣り合う前記室は互いに断熱壁により断熱され、かつ
    前記室の雰囲気温度は独立に設定されていることを特徴とするガラス物品の加熱方法。
  3. 熔融ガラス又は加熱、軟化したガラスを成形し、得られたガラス成形品を連続的に搬送しながら徐冷するガラス成形品の製造方法であって、
    前記ガラス成形品を、隣り合う各室が開口を介して連通する複数の熱処理室内を順番に、前記開口を通して搬送して徐冷し、
    隣り合う前記室は互いに断熱壁により断熱され、かつ
    前記室の雰囲気温度は独立に設定されていることを特徴とするガラス成形品の製造方法。
  4. ガラス物品を搬送しながら加熱、軟化し、軟化したガラス物品を成形するガラス成形品の製造方法であって、
    前記ガラス物品を、隣り合う各室が開口を介して連通する複数の熱処理室内を順番に、前記開口を通して搬送して加熱し、
    隣り合う前記室は互いに断熱壁により断熱され、かつ
    前記室の雰囲気温度は独立に設定されていることを特徴とするガラス成形品の製造方法。
  5. ガラス物品又はガラス成形品の輪郭が搬送時に描く軌跡を搬送方向から見た断面において、最外縁部を結んだ閉じた線に対し、高さ方向にできる前記線と開口の間の隙間が50mm以内、幅方向にできる搬送手段と開口の間の隙間が搬送方向の左右でそれぞれ10mm以内である請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. トンネル型の炉及び炉内部に沿って物品を搬送する搬送装置を有し、かつ炉外から導入した物品を、炉内を搬送しながら熱処理するための熱処理装置であって、
    前記物品の搬送を妨げないように炉内を物品の搬送方向に複数の熱処理室に仕切る断熱壁と、前記各熱処理室内の雰囲気温度を独立に設定するための雰囲気温度設定装置とを備えることを特徴とする熱処理装置。
  7. 断熱壁により仕切られた各熱処理室内の物品搬送経路の上方を覆うように耐熱性の均熱壁を配し、均熱壁を裏面から加熱する加熱装置を備え、前記加熱装置への入力を前記雰囲気温度設定装置により行うことを特徴とする請求項6に記載の熱処理装置。
  8. 前記搬送装置は、連続循環式の搬送部を有し、炉内の入口側に往路・復路切り替え部分を有し、かつ搬送部の復路の一部は炉内を移動するように設けられている、請求項6又は7に記載の熱処理装置。
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