JP2011230970A - 光学素子の成形装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、成形装置の成形型内の温度差を生じにくいように均熱化し、この均熱化によって、高精度の光学素子を歩留まり良く製造する光学素子の成形装置を提供する。
【解決手段】上型と下型の間に光学素子成形素材が置かれた成形型を、チャンバー内に設けた加熱、プレス成形及び冷却の各ステージへ順次搬送して光学素子を成形する光学素子の成形装置であって、成形型50の搬送方向に対して、左右にあるチャンバー2の側面板と複数組のプレート3b〜5bとの距離が異なるものであって、該距離の長い方において、複数組のプレート3b〜5bとの距離が、複数組のプレートとチャンバー2の側面板との短い距離と略同一となるように均熱用断熱板9を設けた光学素子の成形装置1。
【選択図】図1

Description

本発明は、光学素子を連続的に製造可能な成形装置に係り、特に、装置内の各処理ステージでの処理によりプレス成形されて得られる光学素子の形状精度を向上させた光学素子の成形装置に関する。
近年、光学素子の成形方法として、成形型内に光学素子成形素材を収容して加熱軟化させ、プレス成形して、光学素子を高精度に成形する方法が一般に行われているが、さらに、製造コストを低減するために、複数の成形型を加熱軟化、プレス成形、冷却の各処理ステージに順に移送しながら複数の光学素子を連続的に成形する光学素子の製造装置が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
このような光学素子の製造装置においては、成形型は、加熱軟化、プレス成形の各ステージで、光学素子成形素材を加工するのに十分な高温とされ、冷却ステージでは、成形素材が固化し、かつ、成形型が酸化されない200℃以下の温度とされ、各ステージで成形型と接する上下プレートは、成形型をこのような温度状態に制御するため、それぞれ異なる所定の温度状態に維持される。
特開平8−259240号公報 特開2008−69019号公報 特開2009−96676号公報
このような装置では、装置全体の温度勾配は、成形型の取入れ口側から徐々に高くなっていき、プレス成形処理を行うプレスステージを頂点として、成形型の取出し口側に向かって徐々に低くなっていくようにされており、加熱ステージ、プレス成形ステージ、冷却ステージにおける上下プレートの加熱は、プレートの内部に埋め込まれたカートリッジヒータによって行われている。
このプレート上に配置した成形型は、加熱ステージ、プレス成形ステージ、冷却ステージにおいてプレートを一様に加熱することで成形型も一様に加熱するように構成されており、各ステージにおける処理を窒素雰囲気下で行わせるため、これら各処理ステージが設けられたチャンバー内に窒素ガスを常時供給することでチャンバー内を陽圧にしながら処理が行われている。
ところが、本発明者らの研究により、この窒素ガスの供給でチャンバー内に生じる気流が、上記プレート上に配置された成形型の側面を冷却して、気流の状況により成形型の左右の側面に温度差を生じさせることが判明した。
従来、このような装置では、成形型を搬送する機構をチャンバー内に設けるためのスペースを確保するため、通常、プレート列とチャンバーの一方の側の側面板間の距離と、チャンバーの他方の側の側面板間の距離間隔が異なっている。このプレート列とチャンバーの側面板間の間隔の違いが、成形型の加熱および冷却状態に影響を与えていることも、本発明者らの検討により明らかになった。
このように外的要因で成形型内における温度差が生じてしまうと、それがプレス対象である光学素子成形素材にまで影響し、光学素子の加熱又は冷却を一様に行うことができない場合が生じてくる。
特に、プレス処理ステージ直後の冷却ステージにおいて、その冷却プレート上に載置された成形型の一側面が他の側面よりも温度が低下してしまうと、内部にもその温度差が反映され、プレス成形直後の光学素子の冷却を一様に行うことができなくなってしまう。このように一様に冷却が行うことができない場合には、光学素子の場所により冷却速度が変わって、所望の形状が得られなくなり歩留まりを低下させるという問題があった。この問題は、さらに、同一の成形装置を用いる場合には、製造する光学素子のサイズが大きくなると顕在化してくるものである。
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、光学素子の製造にあたって、各ステージのプレート上に載置された成形型の位置による温度差を小さく均一化させ、光学素子の加熱又は冷却を一様に行うことができるようにして、光学素子を歩留まり良く製造する光学素子の製造装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、チャンバー内の気流を調整することで、成形型が部分的に冷却され、成形型内に温度分布が生じることを抑制することができ、さらにチャンバーに熱遮蔽板を設置することで、成形型周辺の雰囲気に温度分布が生じることを抑制し、成形型内の温度分布を小さくすることができ、それらが光学素子の形状精度の安定化に寄与できることを見出し、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明の光学素子の成形装置は、上型と下型の間に光学素子成形素材が置かれた成形型を、チャンバー内に設けた加熱、プレス成形及び冷却の各ステージへ順次搬送して光学素子を成形する光学素子の成形装置であって、前記成形装置は、前記加熱、プレス成形及び冷却の各ステージにおいて前記成形型を搭載し、搭載された前記成形型に対して、それぞれ加熱、プレス成形及び冷却の各プロセスを行う上下一対の複数組のプレートからなるプレート列と、前記各組における一対のプレートを接近又は離間させて加熱、プレス成形及び冷却のプロセスをそれぞれ行わせる駆動手段と、各プロセス及び前記成形型の搬送を制御する制御手段と、前記チャンバー内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段と、を備えるとともに、前記プレート列は、前記チャンバーの前記プレート列を挟んで対向する側面板の一方の側に近づけて配設されており、前記チャンバーの側面板の他方の側と前記プレート列間には、前記プレート列近傍の気流を調整し、かつプレート列と近づけて配設された側面板間の間隔と同程度に設けられてプレート列周辺の熱的雰囲気を調整する熱遮蔽板が配設されていることを特徴とするものである。
本発明の光学素子の成形装置によれば、光学素子の製造にあたって、各処理ステージのプレート列の側面に熱遮蔽板を配設すること、また、チャンバー内の不活性ガスの供給口における気体の流速の調整を行うことで、各処理ステージ周囲の気流を安定させ、成形操作時に成形型内での温度差が生じないように均熱化を図ることができ、それによって、光学素子を安定して歩留まり良く製造することができる。
本発明の一実施形態である光学素子の成形装置の概略構成図である。 図1の成形装置の内部構造を説明する斜視図である。 図1の成形装置に用いる取入れ口側から見た図である。 本発明の他の実施形態である光学素子の成形装置の概略構成図である。 本発明のさらに他の実施形態である光学素子の成形装置の概略構成図である。 実施例1で得られた光学素子の表面形状について設計値との誤差を示した図である。 実施例2で得られた光学素子の表面形状について設計値との誤差を示した図である。 実施例3で得られた光学素子の表面形状について設計値との誤差を示した図である。 比較例1で得られた光学素子の表面形状について設計値との誤差を示した図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明の一実施形態である光学素子の成形装置を側面から見た概略構成図であり(チャンバーのみ断面で示している)、図2及び図3は、それぞれ図1の成形装置の内部構造を説明するための斜視図(チャンバーを透視的に記載)と取入れ口側から見た図である。
本発明の光学素子の成形装置1は、光学素子を成形するための成形室となるチャンバー2と、該チャンバー2の内部に設けた光学素子成形素材を収容した成形型を加熱して光学素子成形素材を軟化させる加熱ステージ3と、加熱軟化した光学素子成形素材をプレス成形するプレス成形ステージ4と、プレス成形による光学素子形状が付与された光学素子成形素材を冷却する冷却ステージ5と、を有するものである。
ここで、成形室であるチャンバー2は、その内部において、光学素子の成形操作を行う場を提供するものである。このチャンバー2には、光学素子の成形型50を内部に取り入れる取入れ口と、光学素子の成形が終了した後、成形型50を取り出す取出し口が設けられ、この取入れ口及び取出し口には、それぞれ取入れシャッター6及び取出しシャッター7が設けられている。必要に応じて、これらシャッターを開閉することで、成形型50をチャンバー2から出し入れすることができるようになっており、チャンバー2内の雰囲気が維持されるようになっている。
そして、このチャンバー2内を不活性ガス雰囲気とするように不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段8が、さらに、チャンバー2内には、チャンバー内の気流を調整して成形型50の温度を均一化するための熱遮蔽板9が設けられている。また、上記取入れ口及び取出し口には、そのチャンバー2外部にそれぞれ成形型50を載置することができる成形型載置台10及び11が設けられている。
このチャンバー2の内部には、光学素子を成形するための加熱ステージ3、プレス成形ステージ4及び冷却ステージ5が設けられており、これらの各ステージにより成形操作を行うものである。実際には、光学素子成形素材を収容した成形型50が、取入れ口からチャンバー2内に取り入れられ、上記の各ステージにおいて所定の処理を施されながら順番に移動し、所定の処理が終了したら、成形型50は取出し口からチャンバー2の外部に取出されるようになっている。
このチャンバー2の内部において、成形型50は光学素子成形素材を軟化し、変形を容易にするものであって高温に加熱されるため、成形型50が酸化されないように、チャンバー内雰囲気を窒素等の不活性ガス雰囲気とすることができるようになっている。この不活性ガス雰囲気とするには、チャンバー2を密閉構造として内部雰囲気を置換することで達成できるが、半密閉構造として、不活性ガスを常時チャンバー2内に供給して、チャンバー内を陽圧にしながら外部の空気が流入しないようにして不活性ガス雰囲気を維持するようにしてもよい。上記した取入れシャッター6及び取出しシャッター7は、チャンバー2内部を簡便な構成で半密閉状態とするのに効果的である。なお、これらチャンバー2及びシャッター6,7は、ステンレス、合金鋼等の素材で形成するもので高温下におけるガス、不純物が析出しない素材であることが好ましい。
次に、本発明の成形操作を行う各ステージについて説明する。なお、各ステージの説明にあたって用いる成形型50は、一般に、光学素子の上側の光学機能面を形成する上型と、下側の光学機能面を形成する下型とで構成される一組の成形型であり、さらに上型及び下型の位置合わせを行う胴型を有するものである。胴型は、プレス時に、上型及び下型の光軸を同軸上に規制する中空円筒形状の内胴と、内胴の外周に設けられ上型及び下型間の距離を規制する中空円筒形状の外胴と、で構成することが好ましい。
また、この成形型50は、超硬合金やセラミックス等の素材からなり、上型及び下型は、成形する光学素子の面形状を転写するための成形面をそれぞれ有しているが、ここで形成される光学素子形状は、両凸、両凹、平凸、平凹、凸メニスカス、凹メニスカス形状のいずれのレンズ形状を成形する成形型であってもよい。なお、外胴を用いる場合には、高温での耐久性、耐食性、高い機械的強度を持つ材質が好ましく、さらには高い熱膨張係数を持つ材質が好ましく、具体的にはSUS等のステンレス製とすることが好ましい。
本発明の加熱ステージ3は、成形型50に収容された光学素子成形素材を軟化させるものであり、その内部にヒータ3aが埋め込まれた上下一対の加熱プレート3bから構成されるものである。この加熱プレート3bは、上下一対の加熱プレート3bを成形型の上型、下型にそれぞれ接触させることで、上型及び下型を加熱することができ、それにより成形型内部に収容されている光学素子成形素材をも加熱させることができるようになっている。
より具体的には、加熱ステージ3において、下側の加熱プレート3bはチャンバー2の底板に固定されており、上側の加熱プレート3bは上下移動が可能なようになっている。上側の加熱プレート3bは、加熱プレート3b自体の熱をそのまま伝えないように断熱板3cを介してシャフト3dと接続され、このシャフト3dは図示しないシリンダーによって加熱プレート3bを上下移動可能としている。このように、加熱プレート3bを上下移動可能とすることにより、この上側の加熱プレート3bの成形型50の上型への接触・非接触を制御することができ、所望のタイミングで成形型50と光学素子成形素材を加熱することができるようになっている。
また、下側の加熱プレート3bは、チャンバー2に固定する際に、上側と同様にそのまま熱が伝わることのないようにこのプレート側に断熱板3cを有し、さらに冷却板12を介して底板に固定されている。
本発明のプレス成形ステージ4は、上下のプレスプレート4b間の距離を狭めることにより成形型50の上型と下型との距離を狭めて、成形型50内に収容された光学素子成形素材を軟化状態のまま押圧して変形させ、上型及び下型の光学形成面形状を光学素子成形素材に付与することにより光学素子の成形を行うものであり、その内部にヒータ4aが埋め込まれた上下一対のプレスプレート4bから構成されるものである。このプレスプレート4bを用いたプレスは前段階の加熱温度を維持しながら行われるものである。
より具体的には、このプレス成形ステージ4において、下側のプレスプレート4bはチャンバー2の底板に固定されており、上側のプレスプレート4bは上下移動が可能なようになっている。上側のプレスプレート4bは、プレスプレート4b自体の熱をそのまま伝えないように断熱板4cを介してシャフト4dと接続され、このシャフト4dは図示しないシリンダーによってプレスプレート4bを上下移動可能としている。このようにプレスプレート4bを上下移動可能とすることにより、この上側のプレスプレート4bを下降させ、下側のプレスプレート4bに載置された成形型50を用いたプレス成形を行うことができる。このときプレス成形を所定の圧力で行うことができるようになっており、光学素子成形素材に高精度に光学素子形状を付与することができる。
また、下側のプレスプレート4bは、上記加熱プレート3bと同様に、チャンバー2の底板上に固定するに際し、断熱板4c及び冷却板12を介して底板に固定されており、下側のプレスプレート4bの熱をチャンバー2に伝達しないように構成されている。
本発明の冷却ステージ5は、成形型50を冷却することにより光学素子形状が付与された光学素子成形素材を冷却、固化するものであり、その内部に、ヒータ5aが埋め込まれた上下一対の冷却プレート5bから構成されるものである。この冷却プレート5bは、上下一対の冷却プレート5bを成形型の上型、下型にそれぞれ接触させることにより、上型及び下型を冷却することができ、さらに成形型内部に収容されている光学素子成形素材をも冷却することができるようになっている。
より具体的には、この冷却ステージ5において、下側の冷却プレート5bはチャンバー2の底板に固定されており、上側の冷却プレート5bは上下移動が可能なようになっている。上側の冷却プレート5bは、冷却プレート5b自体の熱をそのまま伝えないように断熱板5cを介してシャフト5dと接続され、このシャフト5dは図示しないシリンダーによって冷却プレート5bを上下移動可能としている。このように、冷却プレート5bを上下移動可能とすることにより、この上側の冷却プレート5bの成形型50の上型への接触・非接触を制御することができ、所望のタイミングで成形型50と光学素子成形素材を冷却することができるようになっている。
また、下側の冷却プレート5bは、上記加熱プレート3bと同様に、チャンバー2の底板上に固定するに際し、断熱板5c及び冷却板12を介して固定されており、下側の冷却プレート5bの熱をチャンバー2に伝達しないように構成されている。
なお、ここでの光学素子成形素材の固化は、その素材のガラス転移点以下、より好ましくは歪点以下に冷却すればよく、十分に冷却されると光学素子成形素材の光学素子形状は安定し、変形が抑制される。ここでの冷却とは、光学素子形状を安定して付与することができるように光学素子成形素材を固化する温度まで下げることをいい、その温度は、プレスプレートよりも50〜150℃程度低いだけで、依然として高温であるため、この冷却プレート5bにもその内部にヒータ5aが埋め込まれている。
また、これら各ステージの上側の加熱プレート3b、プレスプレート4b及び冷却プレート5bは、上記したように断熱板を介してシャフトに固定されており、このシャフトがシリンダーに接続されているが、ここでシリンダーは、各プレートを上下動させることができればよく、例えば、電動サーボシリンダー、エアシリンダー、油圧シリンダー、電動油圧シリンダー等のシリンダーを用いることができる。
上記した、加熱プレート3b、プレスプレート4b、冷却プレート5bは、その成形型との接触面が水平面と平行になっており、特に、プレスプレート4bにおいては、プレスプレート4bの成形型との接触面が傾いていた場合、成形型50の上型及び下型の中心軸が一致しなくなり、このとき製造される光学素子が、その光軸が一致せず不良品となってしまうことがある。したがって、これら各ステージにおけるプレートの平行度や平面度の管理は厳密に行われるものである。
これらの各ステージにおけるプレートはステンレス、超硬合金、合金鋼等の素材の内部にカートリッジヒータを挿入し、固定したものであり、カートリッジヒータを加熱することによりプレートの温度を上昇させ、所望の温度に維持することができるようになっている。
また、各ステージの断熱板3c,4c,5cは、セラミックス、ステンレス、ダイス鋼、ハイス鋼等の公知の断熱板を用いればよく、硬度が高くプレス成形時の圧力等によっても変形しにくく、ずれを生じることが少ないセラミックスであることが好ましい。ステンレス、ダイス鋼、ハイス鋼など金属系材料を用いる場合は、表面に酸化防止膜のコーティングを施すことが好ましく、具体的にはCrN、TiN、TiAlNなどのコーティング処理を施したものが挙げられる。
さらに、冷却板12は、ステンレス等の板状体の内部に、その全体が冷却されるように配管が設けられており、この配管内に冷却媒体を循環させて板状体を冷却し、この板状体に接触する断熱板及びチャンバー2をも冷却することができるようになっている。この冷却板として、図1にはチャンバーの底板全体を覆う一枚板の冷却板を示したが、成形型の移動方向に対して複数枚に分割され並べられて配置させるようにしてもよく、分割して設けた場合にはチャンバーの変形を抑制することができる。
この冷却板は、その内部に冷却板全面を冷却することができるように配管が設けられており、例えば、内径6〜12mmの配管に冷却媒体として、15〜24℃の冷却水を流通させる構成とすることができる。この冷却水は、冷却水循環装置(チラー)により、循環させながら冷却するようにすることが好ましい。
なお、各ステージのプレートは、図1に示したような構成となっており、その内部にカートリッジヒータが3本貫通して構成されているが、これは一例であって、ヒーターカートリッジの本数、形状、出力等は適宜変更して、形成する光学素子のプレス成形に適した条件のものとすればよい。
不活性ガス供給手段8は、不活性ガスをチャンバー2内に送り込んで、チャンバー2内を不活性ガス雰囲気とするものである。ここで、この不活性ガス供給手段8は、そのチャンバー2内部を十分に不活性ガス雰囲気とすることができる量のガスを供給することができるようにすればよい。チャンバー2が半密閉状態の容器である場合には、成形操作の間中、ずっとこの不活性ガス供給手段8から不活性ガスを供給し続け、容器内を陽圧にしながら不活性ガスで満たされた状態を継続して作ることができるようにする。本発明においては、その供給時における不活性ガス供給手段8の供給口における流速を1m/s以下とすることを可能とするものである。ここで流速は好ましくは、0.1〜0.5m/sである。
このような流速にして不活性ガスを供給するには、不活性ガス供給手段8の配管の径を大きいものとしたり、配管からチャンバー2内へ拡散して供給するように供給口を複数個所設けたり、供給口近辺の材質を焼結金属等のように多孔質の材料により形成して多方向に放出、拡散することができるようにしたり、不活性ガス供給手段8自体を複数個設けて供給するようにしたり、することでチャンバー内の不活性ガス供給口における流速を下げることができる。それに加えて、不活性ガス供給手段8により、必要とされる不活性ガスの供給量を確保した上で上記の流速となるように調整することができるようになっている。
このように不活性ガスのチャンバー2内への供給時の流速を制限することにより、チャンバー2内での気流が不必要に生じることのないようにし、そのため、成形型がその気流によって不必要に冷却されることがなくなり、成形型内に温度分布が生じず、かつ成形型の温度が安定するものと考えられる。そして、このように成形型内に温度分布が生じず、かつ成形型の温度が安定することにより、プレス成形操作において、光学素子の形状精度が向上し、ひいては歩留まりが向上する。なお、このとき、用いることのできる不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス、ネオンガス等が挙げられる。
次に、熱遮蔽板9は、チャンバー2内の気流を整えるのと同時に成形型50の加熱状態を均一にするのを補助する機能を有するものである。この熱遮蔽板9は、チャンバー2の側面板と平行になるように、かつ、チャンバー2と複数組のプレート3b〜5bからなるプレート列間に設けられるものである。このとき、プレート3b〜5bからなるプレート列は、操作上の容易さからチャンバー2のプレート3b〜5bからなるプレート列を挟んで対向する側面板の一方の側に近づけて配設されているもので、そのプレート3b〜5bからなるプレート列とチャンバー2の他方の側面板との間に、熱遮蔽板9が設けられるものである。
すなわち、図3の取入れ口側から見た図において説明すると、加熱プレート3b(プレスプレート4b,冷却プレート5bは3bの後ろに隠れている)とチャンバー2の一方の側面板2a間の間隔をD1、加熱プレート3bとチャンバー2の他方の側面板2b間の間隔をD2としたとき、加熱プレート3bは、例えば、一方の側面板2a側に近づけて配設され、D1<D2の距離関係が成り立っている。このようにD1,D2が異なる場合には、その間隔の大きい方D2側において、熱遮蔽板9をチャンバー2の上面板2cに固定して設けられる。
また、このとき、熱遮蔽板9と加熱プレート3bとの間隔をD3としたとき、D3とD1とが同程度の間隔となる位置に設けられることがチャンバー2内における輻射熱等の成形型への影響をプレート列の左右差を小さくすることができる点で好ましく、等間隔であることが特に好ましい。このようにすると、成形型50の搬送方向に対して左右に存在する板との距離差が小さくなるため、成形型50の周囲の熱的雰囲気をより安定化させることができ、成形型50の加熱状態も均一にすることができる。なお、ここで同程度の間隔とは、D1とD3との差が±5%の範囲にあることをいう。
また、このとき、上記の不活性ガス供給手段8のガス供給口を、熱遮蔽板9と側面板2bとの間に設けることによって、送り込まれる不活性ガスにより生じる気流が成形型50へ影響を与えないようにすることをより万全にすることができ、好ましい。
このとき、熱遮蔽板9は、複数組のプレート3b〜5bの全てに対してその側面に設けるものである。また、そのときの熱遮蔽板9は、チャンバー2の上面2cとは隙間なく接合されるものである。一方、チャンバー2の底面2dとは、間隔を設けるようにして不活性ガスがチャンバー2内を十分に満たすことができるようになっている。
このとき、熱遮蔽板9の下端は、成形型50の下端(複数組のプレート3b〜5bの上端)の水平面よりも下方に位置するように設けられていることが、成形型50の加熱状態を均一にする観点からは好ましい。この熱遮蔽板9の材質は、上記断熱板3c〜5cの材質と同一のものを用いることができる。
また、このとき、複数組のプレート3b〜5bの大きさが、成形型50に対して十分に大きいと、成形型50の均熱化に寄与できることもわかった。例えば、成形型50の外周径を1と考えたときに、プレートの一辺の長さが1.5以上、好ましくは1.5〜2.0とすることが好ましい。特に、プレス成形直後の冷却プレート5bにおいて、このようなプレート形状とすると、得られる光学素子の形状精度を高いものとすることができ、歩留まり改善の観点からは有効である。
以上説明した加熱ステージ3、プレス成形ステージ4、冷却ステージ5は、それぞれ所定の処理が行われる場(ステージ)を形成するものであり、各ステージによる処理を順次円滑に行うことができるように、成形型50は、搬送手段(図示せず)により所定のタイミングで各ステージに搭載されるように移動させる制御手段によって制御されている。
より具体的には、加熱プレート3b、プレスプレート4b、冷却プレート5bによる処理は、成形型50を順次上記の順序で各プレート上へと搬送移動させながら所定の処理を行うものであり、成形型50が次のステージに移動することで、処理の終わったステージは空くため、さらに、そこに別の光学素子成形素材を収容した成形型50を搬送し、連続的に複数個の光学素子の成形操作を行うことができるようになっている。
この処理を行うための上記搬送手段は、図示していないが、例えば、ロボットアーム等により、成形型載置台10から加熱プレート3bへ、加熱プレート3bからプレスプレート4bへ、プレスプレート4bから冷却プレート5bへ、冷却プレート5bから成形型載置台11へ、と移動させることができるようになっている。
なお、この制御手段は、成形型の移動、加熱・プレス成形・冷却の各ステージにおける上下一対のプレートの温度や、上下移動のタイミング等をも制御し、一連の成形操作を円滑に、かつ、連続的に行うことができるように制御している。このとき、取入れシャッター及び取出しシャッターの開閉も制御する。また、チャンバー2内の雰囲気が不活性ガスで満たされるように不活性ガスの供給量やタイミング、供給口における不活性ガスの流速等を制御することが好ましい。
すなわち、この光学素子の成形装置1は、1以上のポジションで温度の上げ下げを行いながら所定の処理を行う、成形型の搬送による光学素子の成形装置である。
次に、この光学素子の成形装置1を用いた光学素子の成形方法について説明する。
まず、取入れ口側の成形型載置台10に成形型50を載置し、この成形型50の内部に光学素子成形素材を収容する。取入れシャッター6を開けて取入れ口を開口させ、この成形型50を搬送手段により加熱プレート3b上に搬送する。搬送されると、成形型50の下型は下側の加熱プレート3bに接触するため加熱プレート3bと同じ温度まで昇温される。これと同時に、上型には上方向から上側の加熱プレート3bを接触させて同様に加熱する。
このように上型及び下型が加熱されると、その内部に収容されている光学素子成形素材も加熱され、この光学素子成形素材は屈伏点以上に加熱されると変形が容易となる。一般に、加熱温度は、軟化点まで温度を上げるとレンズ表面が白濁するので屈伏点(At)から軟化点の間の温度に設定する。このとき、昇温速度は0.5〜2.5℃/sec程度にすることが好ましい。
このようにして加熱ステージ3で十分に加熱された成形型50及び光学素子成形素材は、搬送手段により、下側のプレスプレート4b上に搬送され載置される。
プレスプレート4bも加熱プレート3bと同程度の温度に加熱されており、光学素子成形素材が軟化状態を維持するようにしている。さらに、上側のプレスプレート4bを下降させてプレスプレート4b間の距離を狭めることにより、上型と下型との距離を狭めて、成形型50の内部に収容された光学素子成形素材に圧力をかけて変形することができるようになっている。
このプレス工程では、上記したように成形型50の上下から圧力をかけることで光学素子成形素材のプレス成形を行い、これにより光学素子成形素材には上型及び下型の光学形成面が転写され、光学素子形状が付与される。
また、このプレス工程におけるプレスは、加熱温度が前段の加熱ステージで加熱した温度と同程度の温度であり、プレス時の圧力はレンズ成形体の単位面積当たり2.5〜37.5N/mmとすることが好ましく、例えば10〜20N/mmとすることが特に好ましい。
そして、このようなプレス工程を行うことで、押切りが完了した成形型50は、搬送手段によりプレスプレート4bから冷却プレート5bへと搬送される。この搬送手段は、上記した搬送手段と同様のものである。
次に、冷却プレート5bにより成形型50を冷却するが、これは、上記加熱工程と同様に、下型は下側の冷却プレート5bで、上型は上側の冷却プレート5bを下降させて接触させることで冷却する。これにより光学素子成形素材を冷却して、固化させる。この冷却は、光学素子成形素材のガラス転移点(Tg)以下に冷却させることが好ましく、光学素子成形素材の歪点以下の温度にまで冷却させることがより好ましい。このとき、降温速度は0.1〜2.5℃/secにすることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜1.0℃/secである。
このようにして冷却、固化して得られた光学素子は、必要に応じてアニール工程等に付されて歪み等を除去する等の後処理を施し、さらにその外周部を切削等により所望の径を有する光学素子形状に加工し、反射防止コート等を施して最終的な製品とされる。
〔第2の実施形態〕
なお、第1の実施形態で記載した加熱工程及び冷却工程は、それぞれ段階的に温度を変化させるようにして行うことが好ましく、加熱工程を1以上の加熱ステージを設けて行うことにより、段階的に光学素子成形素材の温度を上昇させて、プレス成形ステージの直前の加熱ステージにおいて、成形温度にまでもっていくようにすることが好ましい。また、冷却工程においても1以上の冷却ステージを設けることにより、段階的に光学素子成形素材の温度を下降させて、200℃以下の温度になるようにすることが好ましい。このように、加熱及び冷却を段階的に行うことで、光学素子成形素材の急激な温度変化を抑制し、歪が生じたり、面ワレ等が生じたりする等の光学素子の特性を悪化させることがないようにすることができる。ここで面ワレとは、光学素子が成形型から離型する際に、一部だけが先に離型し、その後に残りが離型した場合に、曲率が不連続な光学面が形成されて非球面形状精度が悪化する不良が生じる離型異常のことを言う。
このような、加熱工程及び冷却工程を実施するために、それぞれ複数の加熱ステージ及び冷却ステージを用いた光学素子の成形装置の一例を図4に示した。この図4に示した光学素子の成形装置21は、チャンバー22、第1の加熱ステージ23、第2の加熱ステージ24、第3の加熱ステージ25、プレス成形ステージ26、第1の冷却ステージ27、第2の冷却ステージ28、第3の冷却ステージ29を有する装置構成となっており、チャンバー22には光学素子の成形装置1と同様に、成形型50の取入れ口とそれを開閉可能とする取入れシャッター30、取出し口とそれを開閉可能とする取出しシャッター31が設けられている。
また、このチャンバー22内を不活性ガス雰囲気にするための不活性ガス供給手段32が、チャンバー22内には、成形型50の温度を均一化するために熱遮蔽板33が設けられている。
この光学素子の成形装置21は、加熱ステージを3つ、冷却ステージを3つ設けて、段階的に加熱及び冷却を行うようにしたこと以外は、図1の光学素子の成形装置1の構成と同様である。なお、断熱板23c〜29cとチャンバー22との間には、内部に冷却水が循環した一枚板の冷却板36が設けられている。
第1の加熱ステージ23では、光学素子成形素材をガラス転移点以下、200〜400℃程度低い温度に一旦加熱する予備加熱を行い、第2の加熱ステージ24ではガラス転移点付近の温度にまで、第3の加熱ステージ25では屈伏点+10〜30℃の温度にまで加熱する。また、プレス成形ステージ26では成形温度を維持しながら、成形型による成形操作を行い光学素子形状を付与し、第1の冷却ステージ27では成形素材のガラス転移点+20℃程度まで冷却し、第2の冷却ステージ28では、さらに歪点以下にまで冷却し、第3の冷却ステージ29では、成形型が酸化されない200℃以下の温度にまで冷却するようにする。
ここで、第3の冷却ステージは、用いるプレート29bを、他のステージにおけるヒータの代わりに冷却水が循環するように配管を設けた水冷プレート29bとすることで、効率的に冷却することができるようになっている。
この光学素子の成形装置21において、特に成形型温度の均一化が求められるのは、光学素子を冷却する冷却ステージであり、光学素子の冷却を一様にすることによって、その冷却速度の差による光学素子内部に生じる歪や、離型が不良になることを抑制し、得られる光学素子の形状や特性を向上させるものである。特に、第1の冷却プレート27bでの冷却が光学素子の特性に影響を大きく与えるものである。
〔第3の実施形態〕
本実施形態に係る光学素子の成形装置は、図5に示した構成からなり、この光学素子の成形装置41は、加熱ステージを3つ、冷却ステージを3つ設けて、段階的に加熱及び冷却を行うようにし、チャンバー22内で第3の冷却ステージ29を隔離する隔離室形成板42を設けたこと以外は、図4の光学素子の成形装置21の構成と同様である。
ここで、第3の冷却ステージは水冷による冷却を行う手段であるため温度が低く、これによりチャンバー内の雰囲気に温度分布が生じ成形型内の温度分布が不均一になると考えられる。そこで、本実施形態においては、水冷を行う第3の冷却ステージ29をチャンバー22内で、他のステージと隔離するように、第2の冷却ステージ28と第3の冷却ステージ29との間に隔離室形成板42を設けて、第3の冷却ステージの温度の影響を他のステージに及ぼさないようにしたものである。
なお、隔離室形成板42には、その一部に成形型50が通過することができる開口部42aが設けられており、第2の冷却ステージで冷却された成形型50を第3の冷却ステージに移送する際に、この開口部42aを用いて円滑に処理を行うことができるようにしている。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
(実施例1)
図4の光学素子の成形装置21を用いて、光学素子の成形を以下の通り行った。
ここで用いた光学素子の成形装置21は、下側の加熱プレート、プレスプレート及び冷却プレートとして、タングステンカーバイド製の100×78×18mmの直方体で内部に1000Wのカートリッジヒータを3本有するプレートを用い、断熱板として、SUS304製の100×78×9mmの板状体とジルコニア製の100×78×9mmの板状体を重ね合わせたものを用いた。
また、上側の加熱プレート、プレスプレート及び冷却プレートとして、タングステンカーバイド製の100×64×18mmの直方体で内部に1000Wのカートリッジヒータを3本有するプレートを用い、断熱板として、SUS304製の100×64×9mmの板状体とジルコニア製の100×64×9mmの板状体を重ね合わせたものを用いた。
なお、第3の冷却プレートには、カートリッジヒータの代わりに冷却水を循環させるようにして水冷を行うことができるようにした。
また、上側のプレートを上下移動させるシリンダーは、エアシリンダーを用い、シャフト径40mmのシャフトが上側のプレートと接続、固定されている。チャンバーはSS400製で内部寸法が350×592×240mmの箱状で、このチャンバーの下板としては440×592×20mmのものを用いた。また、下側のプレート列と側面板との距離D1は100mm、D2は150mmであり、プレート列と熱遮蔽板との距離D3はD1と同じ100mmとした。
窒素ガス供給手段としては、内径φ12mmのステンレス製の配管からチャンバー内における供給口として配管の側面に直径7.95mm、高さ10.5mmの焼結金属(ステンレス製)を6個設けたものを2つ用いた。
また、成形型50は、上型、下型並びに内胴及び外胴を有する胴型で構成され、上型、下型及び内胴はタングステンカーバイドからなる超硬合金製で、外胴はSUSからなるものであり、プレス成形により、直径φ40mm、中心厚さ7.5mm、周辺厚さ3mm非球面の近似曲率半径がそれぞれ100mmと85mmの両凸形状の成形品が得られ、後加工の芯取り加工をすることで直径35mmの光学素子が得られるものを用いた。
この成形型の下型の成形面にホウケイ酸ガラスからなる研削研磨により作製した直径φ36mm、中心厚み8.83mm、周辺厚さ4.3mm、曲率半径がそれぞれ90mmと60mmの両凸球面レンズの光学素子成形素材を載置した。なお、この光学素子成形素材の歪点は495℃、ガラス転移点(Tg)は532℃、屈伏点(At)は573℃である。
チャンバー内に、不活性ガス供給手段から窒素ガスを105L/minの流量で供給した。このとき、窒素ガスは多孔質性の焼結金属から四方八方に拡散しながら供給され、このときの供給口における流速の最大値は1m/sであった。
光学素子成形素材を収容した成形型50を、搬送手段により第1の加熱プレート23b上に搬送し載置すると同時に上側の第1の加熱プレート23bを下降させて上型に接触させ、成形型50及び光学素子成形素材を300秒間加熱し、次いで、第2の加熱プレート24b上に搬送し載置すると同時に上側の第2の加熱プレート24bを下降させて上型に接触させ、成形型50及び光学素子成形素材を300秒間加熱し、さらに、下側の第3の加熱プレート25b上に搬送し載置すると同時に上側の第3の加熱プレート25bを下降させて上型に接触させ、成形型50及び光学素子成形素材を300秒間加熱して光学素子成形素材を軟化状態とした。なお、第1の加熱プレート23bは280℃、第2の加熱プレート24bは500℃、第3の加熱プレート25bは600℃に設定した。
次に、成形型50をプレスプレート26b上に搬送し載置して、上側のプレスプレート26bを下降させ、プレスした。この成形時のプレス圧力は5N/mm、プレス時間は250秒とした。このとき、プレスプレート26bの温度は600℃であった。
プレス後、成形型を第1の冷却プレート27b上に搬送し載置すると同時に上側の冷却プレート27bを下降させて上型に接触させ、300秒間冷却し、次いで、成形型を第2の冷却プレート28b上に搬送し裁置すると同時に上側の第2の冷却プレート28bを下降させて上型に接触させ、300秒間冷却し、さらに、成形型を第3の冷却プレート29b上に搬送し載置すると同時に上側の第3の冷却プレート29bを下降させて上型に接触させ、300秒間冷却した。このとき、第1の冷却プレート27bは550℃、第2の冷却プレート28bは 450℃、第3の冷却プレート29bは20℃(冷却水温度)に設定した。
光学素子成形素材を室温になるまで冷却し、十分に冷却したところで、成形型から取り出し、光学素子を得た。
(比較例1)
図4の光学素子の成形装置21において、熱遮蔽板を設けず、窒素ガス供給手段として、チャンバーへ窒素ガスを供給するために設置されている穴径12mmの2つの窒素ガス導入口から105L/minの窒素ガスをチャンバー内に供給した以外は、実施例1と同様の操作により光学素子を製造した。なお、このときの供給口における流速の最大値は21m/sであった。
(実施例2)
実施例1で用いた光学素子の成形装置21において、第1の冷却プレート27bの上側プレートと第2の冷却プレート28bの上側プレートをタングステンカーバイド製の100×78×18mmの直方体で内部に1000Wのカートリッジヒータを3本有するプレートとし、断熱板として、SUS304製の100×78×9mmの板状体とジルコニア製の100×78×9mmの板状体を重ね合わせたものとした成形装置を用いた以外は、実施例1と同様の操作により光学素子を製造した。
(実施例3)
実施例2で用いた光学素子の成形装置において、第3の冷却ステージ29を隔離する隔離室形成板42を設けた成形装置を用いた以外は、実施例2と同様の操作により光学素子を製造した。なお、このとき開口部42aは75×75mmの大きさで設けた。
(試験例)
実施例及び比較例で得られた光学素子の形状について、設計値との誤差およびアスティグマの値をUA3P(パナソニック株式会社製、商品名)にて調べた。設計値との誤差について得られた結果を、図6(実施例1)、図7(実施例2)、図8(実施例3)、図9(比較例1)に示した。ここで言う設計値との誤差とは、設計値から球面(曲率)成分を除いた誤差を示し、レンズ中心を基準に十字方向に測定したデータである。なお、このとき測定した十字方向は、光学素子の成形操作において、成形型の搬送方向と(搬送方向に対する)左右方向に合うように測定を行った。
この結果から、従来例である比較例1に対して、熱遮蔽板を設け、窒素の供給口における流速を制御した実施例1では、光学素子の前後方向及び搬送方向において形状の非対称性が改善されており、さらに、第1の冷却プレートと第2の冷却プレートの上側プレート形状を変更した実施例2においては、実施例1よりもさらに光学素子の非対称性形及びアスティグマ等の形状不良が生じることを抑制し、成形する光学素子の形状精度が大幅に改善されていることが確認できた。
さらに、隔離室形成板により第3の冷却ステージを隔離した実施例3においては、実施例2よりもさらに光学素子の非対称性形及びアスティグマ等の形状不良が生じることを抑制し、成形する光学素子の形状精度が大幅に改善されていることが確認できた。
以上に示したように、本発明の光学素子の成形装置により、光学素子の製造における成形型の温度を不安定にする要因を排除し、成形型内の温度分布を減らすことで、光学素子形状が安定化し、歩留まりを向上させることができることがわかった。
本発明の光学素子の成形装置は、成形型を順次移動させながらプレス成形により連続的に光学素子を製造する際に用いることができる。
1…光学素子の成形装置、2…チャンバー、3…加熱ステージ、4…プレス成形ステージ、5…冷却ステージ、6…取入れシャッター、7…取出しシャッター、8…不活性ガス供給手段、9…熱遮蔽板、10,11…成形型載置台、12…冷却板、50…成形型、3a,4a,5a…ヒータ、3b…加熱プレート、4b…プレスプレート、5b…冷却プレート、3c,4c,5c…断熱板、3d,4d,5d…シャフト

Claims (7)

  1. 上型と下型の間に光学素子成形素材が置かれた成形型を、チャンバー内に設けた加熱、プレス成形及び冷却の各ステージへ順次搬送して光学素子を成形する光学素子の成形装置であって、
    前記成形装置は、前記加熱、プレス成形及び冷却の各ステージにおいて前記成形型を搭載し、搭載された前記成形型に対して、それぞれ加熱、プレス成形及び冷却の各プロセスを行う上下一対の複数組のプレートからなるプレート列と、前記各組における一対のプレートを接近又は離間させて加熱、プレス成形及び冷却のプロセスをそれぞれ行わせる駆動手段と、各プロセス及び前記成形型の搬送を制御する制御手段と、前記チャンバー内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段と、を備えるとともに、
    前記プレート列は、前記チャンバーの前記プレート列を挟んで対向する側面板の一方の側に近づけて配設されており、前記チャンバーの側面板の他方の側と前記プレート列間には、前記プレート列近傍の気流を調整し、かつプレート列とプレート列に近い側の側面板との間隔と同程度に設けられてプレート列周辺の熱的雰囲気を調整する熱遮蔽板が配設されていることを特徴とする光学素子の成形装置。
  2. 前記熱遮蔽板と前記プレート列間の間隔は、前記チャンバーの側面板の一方の側と前記プレート列間の間隔と等間隔であることを特徴とする請求項1記載の光学素子の成形装置。
  3. 前記不活性ガス供給手段の供給口における流速を、1m/s以下となるように制御する制御手段を有することを特徴とする請求項1又は2記載の光学素子の成形装置。
  4. 前記不活性ガス供給手段の供給口が、多孔質性の焼結金属で形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の光学素子の成形装置。
  5. 不活性ガス供給手段は、前記チャンバーの側面板の他方の側と前記熱遮蔽板間に配設されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の光学素子の成形装置。
  6. 前記冷却ステージにおいて、冷却用の一組のプレートを段階的に温度を下げていくように複数組の冷却用のプレートを設け、かつその最後の冷却用のプレートには水冷プレートを用い、
    該水冷プレートとその前段の冷却用のプレートとの間に、前記成形型を通過させることができる移動用の開口部を有する断熱板を設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の光学素子の成形装置。
  7. 前記冷却ステージにおけるプレートの一辺の長さが、前記成形型の外周径に対して、1.5〜2倍であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の光学素子の成形装置。
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