JP2010159182A - 光学素子の製造装置とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】大口径サイズかつ高精度な光学素子用の大型の金型組立体を使った成形において、ステージユニットを構成する均熱部材の表面の温度分布を改善して均熱化を図り高精度な光学素子を製造することができる光学素子の製造装置とその製造方法を提供する。
【解決手段】光学素子の製造装置1は、加熱工程3、加圧成形工程4、冷却工程5を有し、各工程ごとに温度制御可能に対向配置された一対のステージユニット12,17により型セット22に収容されたガラス素材30を加熱加圧して光学素子を製造する。一対のステージユニット12,17は、温度制御ブロック部材18、均熱プレート19及び断熱部品33を有し、この断熱部品33は均熱プレート19の側方に配置されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、金型組立体に組み込まれた成形素材を加熱軟化させ、加圧成形して光学素子を製造する光学素子の製造装置とその製造方法に関する。
レンズ等の光学素子を大量生産する場合、加熱軟化させた成形素材を成形型で押圧して成形する製造方法が知られている。この場合、光学面形状を非球面形状にして光学素子の高性能化と高機能化を図る等の性能改善が図られている。
また、製品の小型化の一方で、基本機能を充実した製品では、大口径化かつ高性能化した光学素子が求められている。この場合、大口径サイズかつ高精度な光学素子の量産対応が必要になる。
例えば量産に向く光学素子の製造装置として、成形素材を組み込んだ金型組立体を、加熱、加圧成形、冷却の各工程へ順次搬送して所望の光学素子を製造する製造装置が知られている。この製造装置内には上下一対のステージユニットが複数配置されている。
例えば特許文献1には、量産に向く光学素子の製造装置が提案されている。
この特許文献1では、各ステージユニットに使用される温度制御ブロックの表面の温度分布を小さくするために、均熱プレートを温度制御ブロックに当接させて用いている。
この場合、均熱化のレベルとして、均熱プレートの表面内側の成形範囲であれば設定温度の約2.5%の温度分布に抑えられている。
特許第3759533号公報
しかしながら、特許文献1では、温度制御しているステージユニットの表面には温度分布が生じており、外部雰囲気と接するユニット側面側の外周部に向けて温度が低下する現象が残っていることが確認されている。すなわち、外部雰囲気にさらされる部位の温度低下により、より精度よく温度制御しなければならない場面で表面温度の均一化が不十分な状態になっている。
このため、高精度に温度制御されて成形工程で使用できる均熱状態の良い範囲は、表面中心部に近い範囲に限定されている。小型の金型組立体を使用する場合であれば、金型組立体とステージユニットの表面の接触面積が狭くなり、小型の金型組立体の成形範囲では十分な均熱状態として取り扱えることになる。
しかしながら、大口径かつ高精度な光学素子を成形するための大型の金型組立体では、成形範囲が不十分な均熱状態になってしまう。
この場合、特許文献1では、均熱プレートがない従来の基本構成のものと比較して、均熱プレートの表面の均熱化が図られている。しかし、設定温度の約2.5%の温度分布に抑えられていても、光学素子が高精度化した状態のまま大口径化していくと、成形精度への影響として現れてくる。
特に、大口径サイズかつ高精度な光学素子用の大型の金型組立体を使った成形では、温度分布を低減させて、均熱レベルをさらに改善する必要がある。これによって、光学機能面の十分な転写を確保することが可能になる。
本発明は斯かる課題を解決するためになされたもので、ステージユニットを構成する均熱部材の表面の温度分布を改善して均熱化を図り高精度な光学素子を製造することができる光学素子の製造装置とその製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、
少なくとも加熱工程、加圧成形工程、冷却工程を有し、各工程ごとに温度制御可能に対向配置された一対のステージユニットにより金型組立体に収容された成形素材を加熱加圧して光学素子を製造する光学素子の製造装置において、
前記一対のステージユニットの少なくとも1つは、前記金型組立体と接触する均熱部材と、前記金型組立体を前記均熱部材を介して温度制御する温度制御ブロック部材と、前記均熱部材の少なくとも1ヶ所の側方に配置されている断熱手段と、を具備することを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の光学素子の製造装置において、
前記断熱手段は、前記均熱部材に対して接触した状態で配置される断熱部品を有することを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の光学素子の製造装置において、
前記断熱手段は、前記均熱部材に対して離間した状態で配置される断熱部品を有することを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の光学素子の製造装置において、
前記断熱手段は、前記均熱部材の側方全面を取り囲む形に取り付けられることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の光学素子の製造装置において、
前記温度制御ブロックと接触する側の前記均熱部材の面積は、前記均熱部材と接触する側の前記温度制御ブロック部材の面積よりも小さいことを特徴とする。
請求項6に係る発明は、
金型組立体に収容された成形素材を成形して光学素子を製造する光学素子の製造方法において、
前記金型組立体に収容された前記成形素材を対向配置された一対のステージユニットによって加熱する加熱工程と、
加熱された前記成形素材を一対のステージユニットによって加圧して成形する加圧成形工程と、
成形された前記成形素材を一対のステージユニットによって冷却する冷却工程と、
を有し、
前記加熱工程、前記加圧成形工程及び前記冷却工程の少なくとも一つの工程では、
前記金型組立体と接触する均熱部材と、前記金型組立体を前記均熱部材を介して温度制御する温度制御ブロック部材と、前記均熱部材の少なくとも1ヶ所の側方に配置されている断熱手段と、を具備するステージユニットによって、前記金型組立体および前記成形素材を温度制御することを特徴とする。
請求項7に係る発明は、請求項6に記載の光学素子の製造方法において、
前記断熱手段は、前記均熱部材の側方からの放熱および吸熱を緩和することを特徴とする。
本発明によれば、ステージユニットを構成する均熱部材の表面の温度分布を改善してより均熱化を図り、大口径サイズかつ高精度な光学素子を製造することができる。
光学素子の製造装置の基本構成を示す装置断面の概念図である。 (a)は、第1の実施の形態の下ステージユニットの側面図であり、(b)は、その平面図である。 (a)は、金型組立体の組み立て状態の断面図であり、(b)は、金型組立体の成形後の断面図であり、(c)は、成形品の外観を示す図である。 (a)は、変形例1の下ステージユニットの正面断面図であり、(b)は、その平面図である。 変形例2の下ステージユニットの正面断面図である。 変形例3の下ステージユニットの正面断面図である。 (a)は、第2の実施の形態の光学素子の製造装置における下ステージユニットの側面図であり、(b)は、その平面図である。 (a)は、第3の実施の形態の光学素子の製造装置における下ステージユニットの正面図であり、(b)は、その平面図である。
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
図1は、光学素子の製造装置1の基本構成を示す装置断面の概念図である。
この製造装置1は、予備室10と成形室2とを有している。なお、予備室10は、後述する金型組立体としての型セット22が待機できるようにしたものであり、必要に応じて設けられる。この予備室10と成形室2は、大気下、又は不活性ガス(Arガス等)や窒素ガス(Nガス)等の置換下、あるいは真空下で稼動する。
不活性ガス又は窒素ガス雰囲気等で成形するのは、成形室2内は高温になるので、型セット22などの酸化を防止するためである。なお、不活性ガス又は窒素ガス等を使用する場合、後述するように、図示しない管路で成形室2等の内部にガスが供給される。
予備室10の内部には、断熱プレート36上に載置台35が配置されている。この載置台35のベース面からの高さは、後述する下ステージユニット17等の高さと略等しく設定されている。予備室10と成形室2との境界は、遮蔽板11で仕切られている。なお、予備室10の入口、遮蔽板11、成形室2の出口には、夫々上下開閉可能なシャッタ7、8、9が設けられている。
成形室2の内部には、加熱工程3、加圧成形工程4及び冷却工程5が、後述する型セット22の搬送方向(水平の矢印方向)に沿って配設されている。これらの各工程では、個別に加熱時間や加圧成形時間等の制御が可能となっている。なお、本実施の形態では工程数が3つの場合を示しているが、これに限らない。例えば、より細かな制御を行うために細分化することもできる。
加熱工程3では、後述する一対の上ステージユニット12及び下ステージユニット17で型セット22を挟持して、これを所定温度に加熱する。また、加圧成形工程4では、型セット22を加圧して内部に収容された成形素材としてのガラス素材30が成形される。さらに、冷却工程5では、加圧成形されたガラス素材30を所定温度に冷却してガラス素材30を固化する。
この加熱工程3は、上下(鉛直方向)に対向する一対の上ステージユニット12と下ステージユニット17とを有している。本実施の形態では、下ステージユニット17に対し、上ステージユニット12が昇降駆動される構成を有している。下ステージユニット17は断熱プレート6上に取付けられている。
この断熱プレート6は、型セット22の搬送方向(矢印方向)の全長に亘って配置されている。ただし、加熱工程3、加圧成形工程4、冷却工程5の夫々に対応して断熱プレート6を設けてもよい。なお、図示しないが、上ステージユニット12の上端部にも断熱プレートを個別に配置することができる。この断熱プレートは、上ステージユニット12から外部雰囲気への放熱を緩和するために使用される。
上ステージユニット12は、型セット22の上部と接触可能な均熱部材としての均熱プレート14と、型セット22を均熱プレート14を介して温度制御する温度制御ブロック部材としての温度制御ブロック13と、後述する断熱手段としての断熱部品33(図2参照)と、を有している。温度制御ブロック13には、上カートリッジヒータ15が内蔵されている。また、上ステージユニット12の上方には、上ステージユニット12を上下方向(鉛直方向)に駆動するエアシリンダ16が設けられている。
下ステージユニット17は、型セット22が載置(接触)可能な均熱部材としての均熱プレート19と、型セット22を均熱プレート19を介して温度制御する温度制御ブロック部材としての温度制御ブロック18と、後述する断熱手段としての断熱部品33(図2参照)と、を有している。温度制御ブロック18には、下カートリッジヒータ20が内蔵されている。
また、上ステージユニット12と下ステージユニット17との間には、詳しくは後述する型セット22が矢印方向(水平方向)に搬入配置される。搬入された型セット22は、加熱工程3において、上ステージユニット12と下ステージユニット17間に挟持される。
そして、前述した上カートリッジヒータ15と下カートリッジヒータ20とにより、型セット22に収容されたガラス素材30が加熱される。
型セット22は、不図示の搬送装置により、成形室2内に矢印方向(水平方向)に搬入される。そして、エアシリンダ16による上ステージユニット12の昇降(上下方向)動作により、型セット22の挟持、挟圧等の動作が行われる。
なお、各ステージユニットの過熱防止又は温度安定化のために、下ステージユニット17〜17の周辺、又は上ステージユニット12〜12の周辺に管路を設置して冷却水を流してもよい。
加圧成形工程4と冷却工程5も同様の構成を有している。また、冷却工程5よりも、型セット22の搬送方向(水平方向)の下流側には、載置台37が設けられている。この載置台37は、冷却工程5から搬送されてきた型セット22を載置して待機するために用いられる。
さらに、この製造装置1には制御装置40が設けられている。この制御装置40により、製造装置1の全体動作の制御、及び上ステージユニット12〜12と下ステージユニット17〜17の温度制御等が個別に実施される。
なお、以下の説明において、加圧成形工程4では、加熱工程3と同一又は相当する部材には、その番号に2の下付き符号を付して説明し、また、冷却工程5では、加熱工程3と同一又は相当する部材には、その番号に3の下付き符号を付して説明する。
予備室10と成形室2には、不図示の気体流入口と気体流出口が設けられている。そして、予備室10と成形室2の内部は窒素(N)等の非酸化性ガス又は不活性ガスにより置換可能な構造になっている。不図示の気体流入口から窒素ガス(Nガス)等の非酸化性ガスを導入して、予備室10と成形室2の内部雰囲気を窒素ガスで満たした状態にする。これにより、型セット22及びガラス素材30等、これらの酸化を防止することができる。なお、この場合、予備室10と成形室2の内部の酸素濃度は、例えば20ppm以下に設定される。
予備室10の入口と成形室2の出口には、前述したように、上下に開閉自在なシャッタ7,9が夫々設けられている。型セット22は、この入口側のシャッタ7を開いて、不図示の搬送装置により矢印方向(水平方向)に予備室10に搬入される。さらに、予備室10に搬入された型セット22は、この予備室10から成形室2内の加熱工程3の均熱プレート19上に搬入される。
ここで、エアシリンダ16の駆動により、上ステージユニット12が下降移動して、均熱プレート14が型セット22の上部に当接される。こうして、型セット22は上ステージユニット12と下ステージユニット17とによって挟持され、型セット22は所定温度に加熱される。なお、その詳細については後述する。
また、加熱後の型セット22は加圧成形工程4の均熱プレート19上に移送される。ここで、エアシリンダ16の駆動により、上ステージユニット12が下降移動して、均熱プレート14が型セット22の上部に当接される。さらに、エアシリンダ16の加圧力により型セット22の内部のガラス素材30が所望形状に成形される。
さらに、成形完了後の型セット22は冷却工程5の均熱プレート19上に移送される。ここで、エアシリンダ16の駆動により、上ステージユニット12が下降移動して、均熱プレート14が型セット22の上部に当接される。こうして、型セット22の内部のガラス素材30は所定の温度にまで冷却される。
冷却された後の型セット22は、出口側のシャッタ9を開いて矢印方向(水平方向)に成形室2から外部に搬出される。そして、型セット22を分解して成形品(光学素子)を取り出すことができる。
なお、型セット22の成形室2内での搬送も、不図示の搬送装置によって行われる。この搬送装置により、成形サイクルの所定時間に合わせて、型セット22を順次、次工程へ移動させるようになっている。
図2(a)は、下ステージユニット17の側面図であり、図2(b)は、その平面図である。
この図2(a)及び図2(b)に、加熱工程3、加圧成形工程4、冷却工程5の各工程で使用される温度制御可能な下ステージユニット17の基本構成を示している。
なお、本実施の形態では、下ステージユニット17の構成について説明するが、他の下ステージユニット17,17及び上ステージユニット12〜12の構成についても同様である。
ただし、加熱工程3、加圧成形工程4、冷却工程5における各ステージユニットの構成は、必ずしも全てが同一である必要はなく、異なっている場合も考えられる。
下ステージユニット17は、板状の直方体をなしている温度制御ブロック18と、板状の直方体をなしている均熱プレート19と、棒状の直方体をなしている断熱手段としての2本の断熱部品33と、を有している。
温度制御ブロック18には、複数個(本実施の形態では3個)の棒状の下カートリッジヒータ20が埋設可能に貫通孔18aが形成されている。この下カートリッジヒータ20は、制御装置40による制御により設定温度に応じて予め出力を制御することができる。
温度制御ブロック18に対し、この下カートリッジヒータ20の挿入方向は、水平面で型セット22が搬送される方向(図2(b)の矢印方向)に対し交差する方向(本実施の形態では直交方向)に設定されている。
また、下ステージユニット17の均熱プレート19は、型セット22が載置できるように温度制御ブロック18の上面(図2(a)のA面)に固定されている。一方、上ステージユニット12の均熱プレート14は、型セット22に接触できるように温度制御ブロック13の下面に固定されている。
下ステージユニット17の2本の断熱部品33は、均熱プレート19の側方、すなわち、型セット22の搬送方向(図2(b)の矢印方向)に対し直交方向の側方に配置され、温度制御ブロック18の上面に固定されている。このとき、下ステージユニット17の断熱部品33の長手方向は、型セット22の搬送方向と一致している。一方、上ステージユニット12の2本の断熱部品33は、均熱プレート14の側方、すなわち、型セット22の搬送方向(図2(b)の矢印方向)に対し直交方向の側方に配置され、温度制御ブロック13の下面に固定されている。このとき、上ステージユニット12の断熱部品33の長手方向は、型セット22の搬送方向と一致している。
なお、ここでの「側方」とは、均熱プレート19の側面に接触して配置されている場合と、均熱プレート19の側面に空気層を介して離間して(非接触で)配置されている場合の両方を含む概念である。
本実施の形態では、均熱プレート19の両側面に断熱部品33、33が接触して配置されている。
この断熱部品33は、一般的に均熱プレート19の側面(図2(a)のB面とB’面)の部分が覆えるような形状を有していればよい。本実施の形態では、断熱部品33は、その長手方向の寸法が均熱プレート19の左右幅W(図2(b)の矢印方向の幅)と同一寸法としている。
また、本実施の形態では、断熱部品33の高さ方向の厚み(図2(a)のH)寸法は、均熱プレート19の厚み寸法と同一にしているが、断熱性の観点からは均熱プレート19の厚みよりも厚くした方がよい。
本実施の形態では、この断熱部品33は、均熱プレート19の四方の側面のうち、下ステージユニット17と下ステージユニット17とが隣接していない方向としての、下カートリッジヒータ20の挿入方向の前部と後部(図2(b)参照)に取り付けられている。
なお、均熱プレート19の温度制御ブロック18と接触する側の面積は、温度制御ブロック18の均熱プレート19と接触する側の面積よりも小さく形成されている。これは、断熱部品33が温度制御ブロック18の均熱プレート19と接触する側の面からはみでないようにするためである。
また、図示しないが、温度センサが、均熱プレート19と温度制御ブロック18に挟まれた状態で、その境界の中央部近傍に取り付けられている。この温度センサにより、均熱プレート19の中央部近傍の温度が検出されるようになっている。
なお、温度制御ブロック18及び均熱プレート19の構成材料は、耐熱性の面からステンレス鋼、超硬合金、炭化珪素、窒化アルミニウム、セラミックスなどから選択することができる。また、均熱プレート19は、これらの材料の中から熱伝導性のよいものを選択するのが好ましい。
さらに、断熱部品33は、均熱プレート19よりも断熱性を有する材料から選択する。例えば、均熱プレート19の材料として超硬合金を用いた場合、断熱部品33はステンレス鋼またはセラミックスを選択する。
なお、下ステージユニット17〜17においては、1つの断熱部品33を複数工程のステージユニットに亘って(例えば、加熱工程3のステージユニット17から冷却工程5のステージユニット17に亘って)取付けてもよい。
図3(a)は、型セット22の組み立て状態の断面図であり、図3(b)は、型セット22の成形後の断面図であり、図3(c)は、成形品の外観を示す図である。
図3(a)において、型セット22は、上型24、下型25及びスリーブ(胴型)26に加え、補助型27を備えている。上型24と下型25は、スリーブ26の内部で、それぞれの成形面24a,25aが対向するようにスリーブ26の両端側から嵌挿されている。
上型24は、大径のフランジ部24と、それよりも小径の本体部24とを有する段付き円柱形状をなしている。
フランジ部24は、スリーブ26の開口側の上端面に当接する。また、本体部24は、スリーブ26の内側上半部に嵌挿される。この本体部24には、下型25との対向面側の端面中央に、球面又は非球面の成形面24aが形成されている。
なお、この成形面24aの形状は、種々設計変更が可能である。さらに、成形面24aの外周部には、平坦面24bが形成されている。
下型25は、大径のフランジ部25と、それよりも小径の本体部25とを有する段付き円柱形状をなしている。
フランジ部25は、スリーブ26の開口側の下端面に当接している。また、本体部25は、スリーブ26の内側下半部に嵌挿される。この本体部25には、上型24との対向側の端面中央に、球面又は非球面の成形面25aが形成されている。
なお、この成形面25aの形状は種々設計変更が可能である。さらに、成形面25aの外周部には、平坦面25bが形成されている。この下型25の成形面25aに、光学素材としての球状のガラス素材30が載置される。
スリーブ26は円筒形状をなしている。このスリーブ26の上端面と下端面は、型中心軸O−Oと直交方向に平坦な平面に形成されている。
本実施の形態では、上型24は、下型25に対しスリーブ26内でその軸方向(O−O軸方向)に摺動自在に嵌挿されている。
補助型27は、リング形状をなしている。この補助型27は、下型25の上面(成形面25aの周囲の平坦面25b)に載置可能で、スリーブ26内に嵌合されている。
上型24と下型25は、タングステンカーバイド(WC)を主成分とする超硬合金を研削・研磨して仕上げられている。また、補助型27は、超硬合金、炭化珪素、ステンレス鋼などで構成されている。さらに、ガラス素材30は、市販の球状の光学ガラスが用いられている。本実施の形態では、ガラス素材30として、L−BSL7((株)オハラ製)を用いた。
このガラス素材30は、ガラス転移点が498℃、屈伏点が549℃である。
なお、本実施の形態では、光学素材として球状のガラス素材30を例として説明したが、これに限らない。例えば、形状は球状以外に円形の平面レンズ形状、レンズ形状などを使用してもよく、材料は熱可塑性材料としての光学ガラスの他に、光学樹脂を用いてもよい。
また、光学素子の成形では、同一構成の型セット22を複数用意し、これらを製造装置1に順次投入して使用することができる。
次に、図3(b)において、上型24の成形面24aの周囲の平坦面24bは、補助型27の上端面に当接されている。
この補助型27の内周面により、光学素子(冷却前)31の外周部が規制される。こうして、上型24の成形面24aと下型25の成形面25aとが、光学素子(冷却前)31に精度よく転写される。
次に、図3(c)において、冷却工程5での冷却後、型セット22は成形室2から取り出される。
取り出した型セット22を分解すると、光軸方向の両面に光学機能面32a,32bを有する光学素子32が得られる。この光学素子32は、均熱プレート19で均一に加熱されたものであり、高精度な成形品としての価値を有する。
次に、光学素子の製造装置1による製造方法を説明する。
本実施の形態による光学素子の製造方法では、型セット22の、組み立て、加熱、加圧成形、冷却、分解の流れをとる。
通常、型セット22の組み立てと分解は製造装置1の外で実施される。また、成形室2内では、加熱工程3、加圧成形工程4、冷却工程5が順次実施される。
<型セット22の組み立て>
前述した図3(a)に基づき、型セット22の組み立てについて説明する。
まず、下型25の上面(平坦面25b)に補助型27を載置する。この状態で、ボール形状のガラス素材30を、補助型27の中央の貫通孔から下型25の成形面25aの中央に載置する。
次いで、下型25及び補助型27の外周にスリーブ26を嵌合させる。さらに、上型24を、その成形面24aが、下型25の成形面25a上に載置されたガラス素材30に対向するように嵌合させる。
このように、スリーブ26内で対向配置された上型24の成形面24aと下型25の成形面25aとで、ガラス素材30を挟み込むことで、型セット22の組立てを完了する。
この後、組み立てられた型セット22は、製造装置1の入口側のシャッタ7を開いて、不図示の搬送装置により矢印方向(水平方向)に予備室10に投入される。
<型セット22の加熱>
型セット22は成形室2に移送される前に、予備室10において、型セット22の内部を窒素ガス(Nガス)で置換される。このために、予備室10の内部は予め窒素ガスで置換されている。
また、予備室10と成形室2は遮蔽板11で密閉されている。この遮蔽板11に設けられたシャッタ8は、型セット22が成形室2に移送される前段階で開かれ、移送が終了した後の段階で閉じられる。
こうして、型セット22は、不図示の搬送装置によって予備室10から成形室2の内部に搬送される。搬送された型セット22は、加熱工程3の下ステージユニット17上に載置される。
その後、エアシリンダ16が駆動されて、下ステージユニット17に対し上ステージユニット12が下降移動する。これにより、型セット22は下ステージユニット17と上ステージユニット12との間に挟み込まれた状態で保持される。
このとき、下ステージユニット17と上ステージユニット12の温度は、下カートリッジヒータ20と上カートリッジヒータ15によって、夫々成形温度付近の温度に加熱されている。
このため、下ステージユニット17と上ステージユニット12に挟持されて、型セット22と内部のガラス素材30が、その素材に応じた成形温度に達するように所定時間だけ加熱される。
このときの加熱温度は、ガラス素材30に使用されるガラスの屈伏点(At点)温度よりも高い温度に設定される。本実施の形態では、加熱温度はガラス素材30の屈伏点(At=549℃)+40℃である。また、本実施の形態では、均熱プレート19の全面が均等に加熱されているので、この成形温度下においてガラス素材30はムラなく軟化状態になる。
ガラス素材30の加熱が終了すると、エアシリンダ16が駆動されて上ステージユニット12が上昇し、型セット22は挟持状態から開放される。
<型セット22の加圧成形>
型セット22は、不図示の搬送装置によって、加熱工程3の下ステージユニット17上から加圧成形工程4の下ステージユニット17上に搬送される。
加熱工程3と加圧成形工程4とでは、そのステージ温度が等しい温度(549℃+40℃)に設定されている。
型セット22が下ステージユニット17上に移動された後、エアシリンダ16が駆動されて上ステージユニット12が下降移動し、型セット22に当接する。
さらに、型セット22が成形温度(549℃+40℃)に保持された状態で、下ステージユニット17に対し上ステージユニット12がさらに下降移動する。こうして、上ステージユニット12が型セット22を加圧する。
これにより、型セット22において、下型25と上型24で挟圧されるガラス素材30は変形しながら、下型25、上型24、補助型27で囲まれた成形空間に充満していく。このとき、ガラス素材30は、屈伏点(At点)以上の温度に均等に加熱されているので適度にムラなく軟化している。このため、ムラなく軟化したガラス素材30は成形空間内に均等に充填されていく。
ガラス素材30が加圧され、所望の形状に成形された段階で、エアシリンダ16の駆動による上ステージユニット12の加圧を停止する。こうして、ガラス素材30の成形が完了し冷却前の光学素子31が得られる。
なお、本実施の形態では、ガラス素材30から所望の形状の光学素子31に成形するため、上ステージユニット12と下ステージユニット17との間で型セット22を加圧する際に、上ステージユニット12の移動量を制御した。しかし、これに限らない。例えば、上ステージユニット12による加圧力と加圧時間とを設定して制御してもよい。
また、加圧成形工程4が終了すると、エアシリンダ16の駆動により上ステージユニット12は上昇して、型セット22は解放される。
<型セット22の冷却>
型セット22は、不図示の搬送装置によって加圧成形工程4の下ステージユニット17から、冷却工程5の下ステージユニット17上に搬送される。
この冷却工程5では、そのステージ温度が隣の加圧成形工程4の温度(549℃+40℃)よりも低い温度(478℃)に設定されている。設定した温度は、ガラス転移点(Tg=498℃)よりも低い温度(498℃−20℃=478℃)である。
型セット22が下ステージユニット17上に移動された後、エアシリンダ16が駆動されて上ステージユニット12が下降移動し、型セット22に当接する。
この冷却工程5では、下ステージユニット17及び上ステージユニット12の温度が冷却可能な温度に均等に保たれている。通常、この冷却温度はガラス素材30のガラス転移点(L−BSL7の場合は498℃)よりも低い、例えば478℃の温度に設定されている。
この冷却工程5では、加熱された光学素子31を軟化状態から固化状態に移行させ、光学素子31の形状を安定させる役目をなしている。
このために、下ステージユニット17と上ステージユニット12とで型セット22を挟持して保持しながら、型セット22を所望の冷却温度まで冷却する。
なお、この冷却時には、成形された光学素子31の転写精度の確保と歪の低減のため、加圧状態が必要になる場合もある。ただし、この場合の加圧力は成形時よりも低い値である。
また、この冷却時の加圧力は、成形品(光学素子32)に割れが発生しない程度の範囲で設定する。冷却工程5が終了すると、エアシリンダ16が駆動されて上ステージユニット12は上昇する。
型セット22は、不図示の搬送装置によって冷却工程5の下ステージユニット17から、搬送下流側の載置台37に搬送される。そして、ここで型セット22を所定時間待機させて、十分に冷却してからシャッタ9を開いて外部に搬出される。
<型セット22の分解>
型セット22は成形室2の出口に送られ、製造装置1から取り出される。
取り出された型セット22は、組み立て時の手順と逆の手順で分解される。分解された型セット22からは成形された光学素子32が得られる。
以上の工程を繰り返すことで、循環的に型セット22を用いた光学素子32の製造が実施できる。この場合、複数の型セット22を連続的に投入して使用すれば、単位時間あたりの光学素子32の製造数を向上させることができる。
<加熱工程3、加圧成形工程4、冷却工程5での均熱状態>
加熱工程3、加圧成形工程4、冷却工程5では、上ステージユニット12〜12及び下ステージユニット17〜17は比較的高温状態に設定されている。
このため、上ステージユニット12〜12及び下ステージユニット17〜17が、成形室2内の雰囲気と接する面は放熱状態になっている。
この場合、各工程3,4,5におけるステージユニットの上下方向(鉛直方向)の雰囲気よりも、ステージユニットの水平方向の側面の雰囲気の温度は低い状態にある。このため、各ステージユニットは側面からの放熱が大きいことになる。
放熱量が大きくなると、各ステージユニット、特に、均熱プレート14〜14又は均熱プレート19〜19の表面に大きな温度分布が生じる。
この場合、上ステージユニット12〜12同士、又は下ステージユニット17〜17同士が隣接する側面方向(図1の矢印方向すなわち型セット22の搬送方向)では、隣接する上ステージユニット12〜12同士、又は下ステージユニット17〜17同士の設定温度の影響で放熱が少なくなり、高温状態を保ちやすい。
しかし、隣接していない側面方向(図1の矢印方向と直交方向すなわち水平方向で且つ型セット22の搬送方向に対して直交する方向)では放熱が進み、各ステージユニットが高温状態を保ちにくい。
そこで、本実施の形態では、上ステージユニット12〜12同士、又は下ステージユニット17〜17同士が隣接しない側面方向の均熱プレート14〜14又は均熱プレート19〜19の側面に断熱部品33を取り付ける。これにより、均熱プレート14〜14又は均熱プレート19〜19の側面部からの放熱を緩和することができる。均熱プレート14〜14又は均熱プレート19〜19の表面の温度分布が低減され、均熱状態のレベルを良好にすることができる。
本実施の形態において、成形範囲にある均熱プレートの表面の温度を測定したところ、断熱部品33のない均熱プレートのみの場合に対して、側面に断熱部品33を取り付けた均熱プレートは、温度分布が3/4程度に低減されていた。
さらに、本実施の形態の製造装置1で、大型の型セット22を使い、大口径かつ高精度な光学素子の成形を実施した。その結果、得られた光学素子(成形品)については品質特性を十分に満足していることが確認できた。
本実施の形態によれば、光学素子の製造装置1の構成を大きく変更することなく、上ステージユニット12〜12又は下ステージユニット17〜17の表面のより広い範囲での温度分布を低減して、均熱プレート19の均熱状態を改善することができる。
このように、上ステージユニット12〜12又は下ステージユニット17〜17の表面の均熱状態を改善することで、大口径かつ高精度な光学素子を成形することができる。
(変形例1)
図4(a)(b)は、本実施の形態の変形例1を示しており、図4(a)は、下ステージユニット17の正面断面図であり、図4(b)は、その平面図である。
本変形例では、断熱部品33は、均熱プレート19の四方の側面のうち、下ステージユニット17と下ステージユニット17同士が隣接している側とその対面側に取り付けられている。すなわち、下ステージユニット17の2本の断熱部品33は、均熱プレート19の側面すなわち型セット22の搬送方向(図4(b)の矢印方向)の側面(C面とC’面)に配置され、温度制御ブロック18の上面に固定されている。このとき、下ステージユニット17の断熱部品33の長手方向は、水平方向で且つ型セット22の搬送方向に対して直交する方向と一致している。
特に、例えば、加圧成形工程4と冷却工程5との間で設定温度の差が大きい場合、隣接する下ステージユニット17と下ステージユニット17の間で温度の影響を受けてしまうことになる。
この場合、隣接する下ステージユニット17、17間で熱の授受が行われないように、図4(b)と同様に、均熱プレート19の側面(C面とC’面)に断熱部品33、33を設けることとした。
なお、加熱工程3における下ステージユニット17の場合は、加圧成形工程4に面する側(C’面)の放熱の影響を受けるとともに、予備室10側の吸熱の影響を受けるので、予備室10に面する側(C面)にも断熱部品33を設けることとした。上ステージユニットについても同様である。
なお、本変形例においても、均熱プレート19の温度制御ブロック18と接触する側の面積は、温度制御ブロック18の均熱プレート19と接触する側の面積よりも小さく形成されている。
また、本変形例では、断熱部品33の高さ方向(鉛直方向)の厚みを、均熱プレート19の高さ方向の厚みと同一寸法にしている。この理由は、型セット22が、搬送時に断熱部品33を横切って均熱プレート19〜19の表面上を移動するため、型セット22が断熱部品33と接触して転倒するのを防止するためである。
本変形例によれば、下ステージユニット17〜17同士が隣接している均熱プレート19の両側(C面とC’面)に断熱部品33、33を取り付けることで、隣接する下ステージユニットの熱の影響を緩和するようにした。
(変形例2)
図5は、本実施の形態の変形例2を示すもので、下ステージユニット17の正面断面図である。
本変形例では、均熱プレート19と温度制御ブロック18の幅W(型セット22の搬送方向(矢印方向)の幅)を等しく設定する。さらに、均熱プレート19と温度制御ブロック18の両方の側面(D面,D’面)を覆うように、断熱部品33、33を取り付けている。
なお、断熱部品33、33の取付け方向の向きは、図2と同様に、型セット22の搬送方向(矢印方向)に沿って設けてもよい。
本変形例によれば、均熱プレート19の側面だけでなく温度制御ブロック18の側面についても、温度差の影響を緩和することができる。
(変形例3)
図6は、本実施の形態の変形例3を示すもので、下ステージユニット17の正面断面図である。
本変形例では、均熱プレート19の幅W(型セット22の搬送方向(矢印方向)の幅)を温度制御ブロック18の幅Wよりも小さく設定する。さらに、均熱プレート19の片方の側面(E面)を覆うように断熱部品33を取り付けている。
なお、本変形例においても、均熱プレート19の温度制御ブロック18と接触する側の面積は、温度制御ブロック18の均熱プレート19と接触する側の面積よりも小さく形成されている。そして、均熱プレート19及び断熱部品33の温度制御ブロック18と接触する側の面積の和が、温度制御ブロック18の均熱プレート19と接触する側の面積と等しくなるように形成されている。
なお、断熱部品33、33の取付け方向の向きは、図2と同様に、型セット22の搬送方向(矢印方向)に沿って設けてもよい。
本変形例によれば、取り付ける断熱部品33を必要最小限にすることで、隣接するステージユニットからの温度の影響を緩和するとともに、構成を簡素化することができる。
図7(a)は、第2の実施の形態の光学素子の製造装置1における下ステージユニット17の側面図であり、図7(b)は、その平面図である。
なお、第1の実施の形態と同一又は相当する部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
この下ステージユニット17の構成は、加熱工程3の他、加圧成形工程4及び冷却工程5においても適用することができる。
本実施の形態では、断熱手段として、均熱プレート19の側面に設けた空気層34と断熱部品33とを有している。この空気層34は、均熱プレート19と断熱部品33とで挟まれるように形成されている。
この空気層34は、均熱プレート19からの伝熱によって高温状態に保たれている。このため、均熱プレート19の断熱性の向上が図られる。この空気層34の厚さ(隙間)は、特に限定されないが、本実施の形態では、例えば0.5〜1.0mmに設定されている。
なお、本実施の形態の場合は、断熱部品33は均熱プレート19と同一材料であっても構わない。中間に空気層34が介在しているため、断熱部品33の熱伝導率(α)の大小を考慮しなくてもよいためである。
また、均熱プレート19の温度制御ブロック18と接触する側の面積は、温度制御ブロック18の均熱プレート19と接触する側の面積よりも小さく形成されている。これは、断熱部品33が温度制御ブロック18の均熱プレート19と接触する側の面からはみでないようにするためである。
本実施の形態では、特に、均熱プレート19に対して、放熱を押えたい側面(B面とB’面)に断熱部品33で遮られた空気層34を設けている。これにより、均熱プレート19の側面部からの放熱を抑えることができる。
これに伴い、均熱プレート19の表面の温度分布が低減され、均熱プレート19における均熱状態のレベルを向上することができる。
実際に、成形範囲にある均熱プレート19の表面の温度を測定したところ、断熱部品33のない均熱プレート19のみの従来タイプの場合に対して、側面に空気層34を設けたことで、温度分布が1/2程度になった。
さらに、本実施の形態の製造装置1を用いて、大型の型セット22を使い大口径かつ高精度な光学素子の成形を実施したところ、得られた光学素子(成形品)は、品質特性を十分に満足していることが確認できた。
本実施の形態によれば、均熱プレート19と断熱部品33との間に空気層34を介在させたことで、製造装置1の構成を大きく変更することなく、上ステージユニット12〜12及び下ステージユニット17〜17の表面のより広い範囲で温度分布を低減することができる。これにより、均熱プレート19の均熱レベルを改善することができる。
これに伴い、上ステージユニット12〜12及び下ステージユニット17〜17の表面の均熱状態を改善したことで、大口径かつ高精度な光学素子を製造することができる。
図8(a)は、第3の実施の形態の光学素子の製造装置1における下ステージユニット17の正面図であり、図8(b)は、その平面図である。
なお、第1の実施の形態と同一又は相当する部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
この下ステージユニット17の構成は、加熱工程3の他、加圧成形工程4及び冷却工程5においても適用することができる。
本実施の形態では、断熱手段として、均熱プレート19の側面の全周囲を取り囲むように形成された空気層34と断熱部品33とを有している。この空気層34は、均熱プレート19と断熱部品33との間に矩形状の溝を充填するように形成されている。
この空気層34は、均熱プレート19と断熱部品33からの伝熱により高温状態に保たれている。このため、均熱プレート19の断熱性の向上が図られる。
なお、本実施の形態の場合、断熱部品33は均熱プレート19と同一材料であっても構わない。中間に空気層34が介在しているため、断熱部品33の熱伝導率(α)の大小を考慮しなくてもよいためである。
また、均熱プレート19の温度制御ブロック18と接触する側の面積は、温度制御ブロック18の均熱プレート19と接触する側の面積よりも小さく形成されている。これは、断熱部品33が温度制御ブロック18の均熱プレート19と接触する側の面からはみでないようにするためである。
さらに、本実施の形態では、断熱部品33の高さ方向(鉛直方向)の厚みを、均熱プレート19の厚みよりも低くしている。
これは、型セット22の矢印方向への搬送時に、型セット22の底面が断熱部品33に接触すると、磨耗によって小さな異物が発生するおそれがあるためである。そして、この小さな異物は、高温下で均熱プレート19の表面に付着して、均熱プレート19の表面を荒れた状態にしてしまう。
さらに、均熱プレート19が荒れた表面では、型セット22との接触状態が悪くなり均熱プレート19と型セット22との間で熱が伝わりにくくなる。
そこで、この異物の付着を防止するため、型セット22が断熱部品33と接触しないようにしたものである。すなわち、断熱部品33の高さ方向の厚みは均熱プレート19の厚みよりも低くしている。
本実施の形態のように、ステージユニット、特に、均熱プレート19に対して放熱を押えたい側面の全周囲に高温状態の空気層34を設けることで、均熱プレート19の全ての側面からの熱の流れを抑制することができる。
これにより、均熱プレート19の表面の温度分布が低減され、均熱プレート19の均熱レベルを良好にすることができる。
実際に、成形範囲にある均熱プレート19の表面の温度を測定したところ、断熱部品33のない均熱プレート19のみの場合に対して、均熱プレート19の側面の全周囲に空気層34を設けたことで、温度分布が1/2以下になった。
さらに、本実施の形態の製造装置1で、大型の金型組立体を使い、大口径かつ高精度な光学素子の成形を実施したところ、得られた光学素子(成形品)については品質特性を十分に満足していることが確認できた。
本実施の形態によれば、製造装置1の構成を大きく変更することなく、上ステージユニット12〜12及び下ステージユニット17〜17の表面のより広い範囲で温度分布を低減することができる。これにより、均熱プレート19の均熱レベルを改善することができる。
これに伴い、上ステージユニット12〜12及び下ステージユニット17〜17の表面の均熱状態を改善したことで、大口径かつ高精度な光学素子を製造することができる。
なお、第1及び第2の実施の形態と比較して、均熱レベルを向上させることができる。
1 光学素子の製造装置
2 成形室
3 加熱工程
4 加圧成形工程
5 冷却工程
6 断熱プレート
7 シャッタ
8 シャッタ
9 シャッタ
10 予備室
11 遮蔽板
12 上ステージユニット
12 上ステージユニット
12 上ステージユニット
13 温度制御ブロック
13 温度制御ブロック
13 温度制御ブロック
14 均熱プレート
14 均熱プレート
14 均熱プレート
15 上カートリッジヒータ
15 上カートリッジヒータ
15 上カートリッジヒータ
16 エアシリンダ
16 エアシリンダ
16 エアシリンダ
17 下ステージユニット
17 下ステージユニット
17 下ステージユニット
18 温度制御ブロック
18 温度制御ブロック
18 温度制御ブロック
18a 貫通孔
19 均熱プレート
19 均熱プレート
19 均熱プレート
20 下カートリッジヒータ
20 下カートリッジヒータ
20 下カートリッジヒータ
22 型セット
24 上型
24a 成形面
24b 平坦面
25 下型
25a 成形面
25b 平坦面
26 スリーブ
27 補助型
30 ガラス素材
31 光学素子(冷却前)
32 光学素子
32a 光学機能面
32b 光学機能面
33 断熱部品
34 空気層
35 載置台
36 断熱プレート
37 載置台
40 制御装置

Claims (7)

  1. 少なくとも加熱工程、加圧成形工程、冷却工程を有し、各工程ごとに温度制御可能に対向配置された一対のステージユニットにより金型組立体に収容された成形素材を加熱加圧して光学素子を製造する光学素子の製造装置において、
    前記一対のステージユニットの少なくとも1つは、
    前記金型組立体と接触する均熱部材と、
    前記金型組立体を前記均熱部材を介して温度制御する温度制御ブロック部材と、
    前記均熱部材の少なくとも1ヶ所の側方に配置されている断熱手段と、
    を具備することを特徴とする光学素子の製造装置。
  2. 前記断熱手段は、前記均熱部材に対して接触した状態で配置される断熱部品を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の光学素子の製造装置。
  3. 前記断熱手段は、前記均熱部材に対して離間した状態で配置される断熱部品を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の光学素子の製造装置。
  4. 前記断熱手段は、前記均熱部材の側方全面を取り囲む形に取り付けられる
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学素子の製造装置。
  5. 前記温度制御ブロックと接触する側の前記均熱部材の面積は、前記均熱部材と接触する側の前記温度制御ブロック部材の面積よりも小さい
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学素子の製造装置。
  6. 金型組立体に収容された成形素材を成形して光学素子を製造する光学素子の製造方法において、
    前記金型組立体に収容された前記成形素材を対向配置された一対のステージユニットによって加熱する加熱工程と、
    加熱された前記成形素材を一対のステージユニットによって加圧して成形する加圧成形工程と、
    成形された前記成形素材を一対のステージユニットによって冷却する冷却工程と、
    を有し、
    前記加熱工程、前記加圧成形工程及び前記冷却工程の少なくとも一つの工程では、
    前記金型組立体と接触する均熱部材と、前記金型組立体を前記均熱部材を介して温度制御する温度制御ブロック部材と、前記均熱部材の少なくとも1ヶ所の側方に配置されている断熱手段と、を具備するステージユニットによって、前記金型組立体および前記成形素材を温度制御することを特徴とする光学素子の製造方法。
  7. 前記断熱手段は、前記均熱部材の側方からの放熱および吸熱を緩和することを特徴とする請求項6に記載の光学素子の製造方法。
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