JP2004344664A - 軽量フェース・インサートを有するゴルフ・クラブ・ヘッド及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

【課題】金属体に取り付けられた複合フェース・インサートを有するゴルフ・クラブを提供すること。
【解決手段】クラブ・ヘッドは少なくとも２００ｃｃの容積を有することが好ましく、すぐれた耐久性とクラブ性能を提供する。フェース・インサートは１００ｇ／ｍ²以下の面積当り繊維重量（ＦＡＷ）を有するプリプレグ・プライを含む。フェース・インサートは、４ｍｍ以下の厚さとクラブ・ヘッドの本体の金属材料で形成された等価容積のインサートより少なくとも１０グラム少ない質量を有することが好ましい。周囲リムを有する金属キャップも備えられて、フェース・インサートの複合材料の端部を保護する。関連する製造方法及び代替材料も開示する。プリプレグ・プライの樹脂含有量を、結果として得られるプリプレグ・プライが硬化され浸漬されるタイミングと環境を管理することによって制御することができる。
【選択図】図１

Description

本発明は、一般にゴルフ・クラブ・ヘッドに係り、具体的には軽量フェース・インサートを有するウッド型ゴルフ・クラブ・ヘッドに関する。

ゴルフ・クラブ・ヘッドにおいて通常使用される様々な形式の多くの有益な属性を組み合わせるために、複合材料が長年認識されてきた。一般的に複合材料は、ゴルフ・クラブに使用される他の材料よりも密度が低い。したがって、複合材料の使用によって、クラブの周りに重量がどのように分布されるかについてより大きな余地ができる。クラブの重量が打撃面から離れて位置することがしばしば望ましい。したがって、クラブ・フェースに複合材料を組み込むという試みがなされてきた。

このような試みは一般に重量減少のためには効果的であったが、耐久性、耐衝撃性、及び全体的なクラブの性能などの、多くの点が不足している。例えば、従来の複合クラブ・フェースは、複合層の層間剥離又は剥離を生ずることが多く、クラブの使用可能寿命を、特にクラブ・ヘッドの複合材料と他の材料との間における界面領域において大幅に減少させる。このような問題は、比較的低い衝撃レベル、打数、及び優しいプレイ条件においても発生している。このような問題を解決するという試みはしばしば、特に少なくとも３００ｃｃの容積を有するウッド型クラブ・ヘッドのために、反発係数（ＣＯＲ）などのファクタによって測定される十分なクラブ性能を提供することができない。

したがって、耐久性があり、高レベルの衝撃に耐えることができ、しかもすぐれたクラブの性能を提供することができる、クラブ・フェースに複合材料を有するウッド型ゴルフ・クラブ・ヘッドの必要性が存在することが理解されよう。本発明は、この必要性及びその他を満たすものである。

本発明は、すぐれた耐久性とクラブ性能を提供する、少なくとも部分的に金属材料で形成した本体に取り付けられた軽量のフェース・インサートを有するゴルフ・クラブ・ヘッドを提供する。この目的のために、フェース・インサートは１００ｇ／ｍ^２以下の面積当り繊維重量（ＦＡＷ）を有するプリプレグ・プライを含む。本体は少なくとも２００ｃｃの容積を形成することが好ましい。フェース・インサートは、４ｍｍ以下の厚さであり、クラブ・ヘッドの本体の金属材料で形成された等価容積のインサートより少なくとも１０グラム少ない質量であることが好ましい。全米ゴルフ協会規則４−１ａに従って測定されたクラブ・ヘッドの反発係数は、少なくとも０．７９である。

本発明の好ましい実施形態では、フェース・インサートはさらに、複合領域の前表面に取り付けられた周囲リムを有するキャップを含む。また、複合領域の厚さは約４．５ｍｍ又はそれ以下であり、金属キャップの厚さは約０．５ｍｍ又はそれ以下であることが好ましく、複合領域の厚さは約３．５ｍｍ又はそれ以下であり、金属キャップの厚さは約０．３ｍｍ又はそれ以下であることがさらに好ましい。キャップはチタン合金で構成されていることが好ましい。フェース・インサートは代替案として、低ＦＡＷ材料のプライと共に硬化させたテクスチャ膜の層を含むこともでき、このテクスチャ膜の層は金属キャップの代りにフェース・インサートの前表面を形成する。テクスチャ膜の層はナイロン織物で構成されることが好ましい。金属キャップなしで、フェース・インサートの質量は、クラブ・ヘッドの本体の金属材料で形成された等価容積のインサートよりも少なくとも１５グラム少ない。

本発明の好ましい方法が、ゴルフ・クラブ・フェースの低い面積当り繊維重量（ＦＡＷ）の複合材料の樹脂含有量を制御することは有利である。その方法の段階は、
１００ｇ／ｍ^２以下の面積当り繊維重量（ＦＡＷ）を有する複数のプリプレグ・プライを積み重ねて切削し、実質的に最終所望の形状とバルジとロールとを有する未硬化フェース・インサートを形成すること、
未硬化フェース・インサートを初期温度Ｔ_１でツール（加工機）の中に置くこと、
未硬化フェース・インサートを第１圧力Ｐ_１で約５分間硬化し、次いで初期温度Ｔ_１よりも高い又は等しい設定温度Ｔ_２でツールの加熱を開始し、それから１５分間、第１圧力Ｐ_１よりも高い第２圧力Ｔ_２で硬化し、こうして硬化フェース・インサートを得ること、
硬化フェース・インサートを設定された温度と第２圧力Ｐ_２で約３０分間連続形成すること、及び
第２圧力Ｐ_２以下の第３圧力Ｐ_３で硬化フェース・インサートを５分間浸漬して、所望の樹脂含有量を達成することを含む。

代替案として、複合材料を中に置いて直ちにツール温度を設定温度Ｔ_２に上げることもでき、この温度は実質的に浸漬段階及び硬化段階にわたって一定である。約５分間の初期浸漬時間の後に、圧力を第１圧力Ｐ_１から、第１圧力Ｐ_１より高い第２圧力Ｐ_２に上げる。約１５分間の追加時間の後に、さらに別の２０分間で、圧力を第１圧力とほぼ同じ値にまで下げる。

本発明と、従来の技術に勝る達成された利点とを概説するために、本発明のいくつかの利点を上述した。もちろん、すべてのこのような利点が本発明のいずれか特定の実施形態によって必ずしも達成できるとは限らないことを、理解すべきである。したがって例えば、本明細書に教示又は提示されるように他の利点を必然的に達成することなく、本明細書に教示された１つの利点又は一群の利点を達成又は最適化するように本発明が具体化又は実施されてもよいことを、当業者は理解されよう。

これらの実施形態はすべて、本明細書に開示された本発明の範囲内にあるものとする。本発明は開示されたいずれかの特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明のこれら及びその他の実施形態は、添付の図面を参照した好ましい実施形態の下記の詳細な説明から、当業者には容易に明らかになろう。

本発明の実施形態を、添付の図面を参照して例示的にのみ以下に説明する。

図面、特に図１及び２を参照すると、金属本体１２及び複合領域１６と金属キャップ１８とを含むフェース・インサート１４を有するゴルフ・クラブ・ヘッド１０が示されている。フェース・インサートは耐久性があり、しかも軽量である。この結果、重量をクラブの他の区域に割り当てることができ、クラブの重心が望ましくはフェースからより遠くに位置付けられ、クラブの慣性能率の値をさらに増加することを可能にする。本体はフェース・インサートを支持するための環状突出縁３２を含む。適所に置かれたフェース・インサートによって、クラブ・ヘッドが少なくとも２００ｃｃの容積を画定することは好ましく、また少なくとも３００ｃｃの容積を画定することはさらに好ましい。クラブ・ヘッドはすぐれた耐久性と、少なくとも０．７９の反発係数（ＣＯＲ）も含めたクラブ性能とを有する。

図３を参照すると、フェース・インサート１４の複合領域１６が、衝撃力と全体的な耐久性の有効な分布を容易にするために、その厚さの断面にわたって補強繊維の比較的一貫した分布を有するように構成されている。複合領域はプリプレグ・プライを含み、各プライは、クラブの耐久性と全体的性能に貢献するように選択された繊維強化物と樹脂基質を有する。比較的低い面積当り繊維重量（ＦＡＷ）を有するプリプレグ・プライによって形成された複合領域は、耐衝撃性、耐久性、及び全体的クラブ性能などのいくつかの分野においてすぐれた特質を提供することが、試験によって実証された。具体的には、１００ｇ／ｍ^２以下、好ましくは７０ｇ／ｍ^２以下、さらに好ましくは５０ｇ／ｍ^２以下のＦＡＷが特に効果的であると考えられる。低いＦＡＷを有するいくつかのプリプレグ・プライを積み重ねることができ、これらはさらに積み重ねプライの厚さを通じて繊維の比較的均一な分布を有する。対照的に、同等の樹脂含有量（Ｒ／Ｃ）レベルで、より高いＦＡＷを有するプリプレグ材料の積み重ねプライは、特に隣接プライの界面において、低ＦＡＷの材料を積み重ねプライよりもかなり樹脂に富む領域を有する傾向がある。樹脂に富む領域は、特にゴルフ・ボールの衝撃から結果として得られる力は一般に繊維強化物の繊維の配向を横断するので、繊維強化物の効力を阻止する傾向がある。樹脂に富む領域を減らす助けになる好ましい製造方法を、以下に詳しく検討する。

低ＦＡＷプリプレグ・プライの効率のために、フェース・インサート１４を比較的薄くすることができ、好ましくは約４．５ｍｍ以下、さらに好ましくは約３．５ｍｍ以下にすることができる。したがって、フェース・インサートの使用は結果的に、本体１２において使用される金属（例えばＴｉ−６Ａｌ−４Ｖ）の匹敵する容積全体について約１０ｇから１５ｇまでの重量節約となる。上述のように、この重量を望み通りにクラブの他の区域に割り当てることができる。さらに、クラブ・ヘッド１０は耐久性と性能の両方を実証した。耐久性試験では、クラブ・ヘッドは、約４４ｍ／秒の速度でゴルフ・ボール打数３０００回以上の衝撃に耐えた。全米ゴルフ協会規則４−１ａに従って測定されたクラブのＣＯＲの性能試験では、クラブ・ヘッドは約０．８２８のＣＯＲを有した。

図３ではさらに、複合領域１６の各プリプレグ・プライが擬似等方性の繊維強化物を有し、プライが規定された順序と配向で積み重ねられていることは好ましい。参照の都合上、プライの配向はクラブ・フェース面の水平軸からプライの繊維配向に整列した線まで測定される。複合領域の第１プライ２０は０度に配向され、これに１０〜１２群のプライ（２２、２４、２６）が続き、各群はそれぞれ０度、＋４５度、９０度、及び−４５度に配向された４つのプライを有する。その後、９０度に配向されたプライ２８が、０度に配向された最終又は最内側のプライ３０の前に置かれる。この実施形態では、最初のプライと最後のプライが、１０８０グラス・ファイバなどのグラス・ファイバによって補強されたプリプレグ材料によって形成されている。残りのプライは炭素繊維によって補強されたプリプレグ材料によって形成されている。

適切な炭素繊維強化物は、カリフォルニア州サクラメントにあるＧｒａｆｉｌ，Ｉｎｃ．から市販の、３４Ｍｓｉ（２３４Ｇｐａ）の引張弾性率と６５０Ｋｓｉ（４５００Ｍｐａ）の引張強度を有する「３４−７００」繊維と呼ばれる炭素繊維を含む。やはりＧｒａｆｉｌ，Ｉｎｃ．から市販の他の適切な繊維は、３５Ｍｓｉ（２４０Ｇｐａ）の引張弾性率と７１０Ｋｓｉ（４９００Ｍｐａ）の引張強度を有する「ＴＲ５０Ｓ」繊維として知られる炭素繊維である。カリフォルニア州ＩｒｖｉｎｅのＮｅｗｐｏｒｔ Ａｄｈｅｓｉｖｅｓ ＆ Ｃｏｍｐｏｓｉｔｅｓ，Ｉｎｃ．から、Ｎｅｗｐｏｒｔ３０１及び３５０として知られる適切なエポキシ樹脂が市販されている。

好ましい一実施形態では、複合領域は、約７０ｇ／ｍ^２の面積当り重量を有する３４−７００繊維の擬似等方性繊維強化物を有するプリプレグ・シートを含み、プリプレグ・シートはエポキシ樹脂（例えばＮｅｗｐｏｒｔ３０１）によって含浸され、この結果約４０％の樹脂含有量（Ｒ／Ｃ）となる。参照の都合上、プリプレグ・シートの基本的組成をその面積当り繊維重量、繊維の形式を識別することによって省略形で明記することができ、例えば７０ＦＡＷ３４−７００と明記する。省略形はさらに樹脂系統と樹脂含有量を識別することができる。たとえば、７０ＦＡＷ３４−７００／３０１，Ｒ／Ｃ４０％である。耐久性試験では、この材料のいくつかのプライが厚さ約３．７ｍｍの複合領域で構成され、これは約４４ｍ／秒の速度でゴルフ・ボール打数３０００回以上の衝撃に耐えた。別の好ましい実施形態では、複合領域は５０ＦＡＷＴＲ５０Ｓ／３５０のプリプレグ・プライを含む。この材料を厚さ約３．７ｍｍの複合領域で試験し、これもまた同様な耐久性試験に耐えた。

図４を参照すると、フェース・インサート１４は、金属本体１２とフェース・インサートとの界面に沿った過度の補強を必要としないほどの十分な構造的強度を有し、これは有益な重量割り当て効果をさらに強化する。この実施形態では、本体はチタン合金Ｔｉ−６Ａｌ−４Ｖによって形成されているが、他の適当な材料も使用することができる。フェース・インサートは環状突出縁３２によって支えられ、接着剤によって固着されていることは好ましい。環状突出縁が約１．５ｍｍの厚さを有し、約３ｍｍ〜約６ｍｍ内側に延びている。環状突出縁によって十分な凹所が作られて、本体の遷移縁部３４と同一平面にフェース・インサートを置くことが可能になる。この実施形態では環状突出縁は前開口部の周りにあるが、他の実施形態では複数の離隔した環状突出縁、例えば複数のタブをフェース・インサートの支持のために利用できることは理解されよう。

図４ではさらに、フェース・インサート１４の金属キャップ１８は、複合領域１６の周囲にリム３６を含む。リムは複合領域の側縁部３８を覆って、プライの剥がれや層間剥離をさらに防止する。周囲リムはフェース・インサートの厚さと実質的に同じ高さを有することは好ましい。代替実施形態では、リムは、複合領域１６の周囲を連続的に覆うカバーではなく一連のセグメントを含むこともできる。キャップ及びリムを、例えば打抜き加工又は当業者には周知の他の方法によって形成することもできる。キャップの好ましい厚さは約０．５ｍｍ以下であり、さらに好ましくは約０．３ｍｍ以下である。しかしながら、金属キャップのないフェース・インサートを有する実施形態では、約１５ｇの重量節約を実現することができる。

金属キャップは、複数の溝４２を有する打面４０を画定する。キャップはさらに、砂で覆われたときでもゴルフ・ボールによる反復衝撃からの摩耗に耐える助けになる。好ましくは約０．０５ｍｍ〜０．２ｍｍ、さらに好ましくは約０．１ｍｍのボンド・ギャップ４４が、金属キャップを複合領域に接着取付けするために設けられている。キャップはＴｉ−６Ａｌ−４Ｖチタン合金で形成されることが好ましいが、適した特性を有する他のチタン合金又はその他の材料を使用することもできる。例えば、５ｇ／ｃｃ以下の密度と８０ショアＤの硬度値を有する射出成形されたプラスチックを含むなどの非金属キャップを使用することもできる。

複合材料工程
上述のように、樹脂に富む領域が比較的少ない複合領域を有することは有益である。この目的のために、繊維強化シートを制御された樹脂量で含浸して規定の樹脂含有量を達成する。これは部分的には、繊維シートが硬化され浸積されるタイミングと環境の管理を通じて実現される。

硬化の前に、繊維シートのプライを切って所望の形状、バルジ、ロールに形成する。プライを規定の配向で積み重ねる（例えば図３）。プライのすべてを共に切る必要はない。例えば、４枚のプライ群（図３）を切ってから積み重ねて最終厚さを形成することができる。所望の形状は型打ち抜きなどの切削によって達成される。所望のバルジ及びロールは容積減少すなわち圧密によって達成される。容積減少中にプライを圧縮して、プライ間に閉じ込められた空気を減らす。１工程当り約２分間の圧縮又は圧密が効果的であることがわかった。

所望の寸法を達成する前に、プライを少なくとも２回切ることができる。好ましいやり方では、プライを最初のサイズに切って、各々が約２分間の２つの圧縮工程によってプライを圧密する。その後、プライを型打ち抜きして所望の形状にし、３回目の圧縮を行う。この回は所望のバルジとロールとに一致するパネルを使用する。次にプライを積み重ねて最終厚さにし、一致したパネルによって４回目の圧縮を約３分間行う。硬化工程の前に重量と厚さを測定することが好ましい。

図５から７までは、Ｎｅｗｐｏｒｔ３０１樹脂を有するプライ７０ＦＡＷ３４／７００繊維シートを含浸するための効果的な浸積及び硬化曲線を図示する。浸積及び硬化は、上部プレートと下部プレートを有するツールの中で起る。ツールは事前に離型剤によって層状に塗られて除去を容易にし、約９３℃（２００°Ｆ）の初期温度（Ｔ_１）で予備加熱される。初期浸積時間はｔ_０からｔ_１までの約５分間である。浸漬段階中は、温度と圧力は比較的一定に保たれる。圧力（Ｐ_１）は約１．０５ｋｇ／ｃｍ^２（１５ｐｓｉ）である。

次に、ｔ_１からｔ_２まで約１５分間の最初の硬化段階が始まり、この間に圧力は約１４ｋｇ／ｃｍ^２（Ｐ_２）（２００ｐｓｉ）に上昇し、温度は約１３２℃（Ｔ_２）（２７０°Ｆ）に上昇する。温度が約１３２℃（２７０°Ｆ）（ｔ_２において）に達すると、硬化後の段階が始まる。最終浸漬／硬化サイクルが１．４１ｋｇ／ｃｍ^２（２０ｐｓｉ）の圧力（Ｐ_３）で５分間実施される。最終樹脂含有量は約３７．５％である。全時間を通じて、３つの異なる圧力レベルが２つの異なる温度レベルで時間設定された方式によって達成される。その他の複合物については、これらの付随する浸漬時間によって温度と圧力が変わることもある。

別の浸積及び硬化曲線を図８及び９に図示する。この工程では、ツールの温度は初期には約９３℃（２００°Ｆ）であり、複合材料をツールの中に置くことによって、温度は約１３２℃（Ｔ_２）（２７０°Ｆ）に上昇する。次に温度は一定に保たれる。初期圧力（Ｐ_１）は約１．４１ｋｇ／ｃｍ^２（２０ｐｓｉ）である。初期浸漬時間は、ｔ_０（０秒）からｔ’_１まで約５分間である。次に圧力は約１４ｋｇ／ｃｍ^２（Ｐ_２）（２００ｐｓｉ）にまで上昇する。硬化後の段階は約１５分間（ｔ’_１からｔ’_２まで）続き、最終浸漬／硬化サイクルが１．４１ｋｇ／ｃｍ^２（２０ｐｓｉ）の圧力で２０分間（ｔ’_２からｔ’_３まで）実施される。

複合フェース面粗度の処理
複合ゴルフ・クラブ・フェースの表面粗度を増加するため、及びこれと共に使用される接着剤の接着を強化するために、硬化の前にテクスチャ膜の層を材料の上に置くことができる。テクスチャ膜の一例としては通常のナイロン織物がある。硬化の条件は織物を劣化させるものではなく、織物組織の押し印は複合物の表面に転写される。試験によって、処理済み複合表面への３Ｍ（登録商標）ＤＰ４６０などのウレタン及びエポキシの接着が著しく改良され、鋳物チタン合金などの金属表面への接着よりも優れていることを示した。

一般的に、３Ｍ（登録商標）ＤＰ４６０の鋳物金属表面への接着は、未処理複合材料への接着よりも高い。フェース構造が衝撃で弱ると、接着剤が複合材料から剥離するが、金属表面は接合したままである。複合表面の本処理によって、状況は反転する。すなわち３Ｍ（登録商標）ＤＰ４６０は金属表面から剥離するが、複合表面に接合したままである。

本処理の強化された接着特性は、複合ゴルフ・クラブ・フェースの疲労寿命の改善に貢献する。試験では、未処理のフェース・インサートと約０．８４７のＣＯＲとを有するクラブ・ヘッドは、かなりの劣化又は損傷が発生する前に約２５０回の試験ショットに耐えた。対照的に、処理されたフェース・インサートと約０．８４２のＣＯＲとを有する同様のクラブ・ヘッドは、かなりの劣化又は損傷が発生する前に２０００回以上の試験ショットに耐えた。

代替案として、改善された織地を型表面の中に組み込むこともできる。これを行なうことによって、織り込まれた区域をさらに正確に制御することができる。鋳物本体の開口部に簡単にフェース・プレートを接合するために、せん断及び剥離が破損の主な様式である表面上に、織地を取り付けることができる。

本発明が、金属本体に取り付けられた複合フェース・インサートを有し、少なくとも２００ｃｃの容積を形成し、すぐれた耐久性とクラブ性能を提供するクラブ・ヘッドをもたらすことは、上述の内容から理解されるはずである。この目的のために、フェース・インサートは、１００ｇ／ｍ^２以下の面積当り繊維重量（ＦＡＷ）を有するプリプレグ・プライを含む。フェース・インサートは、５ｍｍ以下の厚さを有し、クラブ・ヘッド本体の金属材料で形成された等価容積のインサートよりも少なくとも１０グラム少ない質量を有することが好ましい。クラブ・ヘッドのための反発係数は少なくとも０．７９であることが好ましい。

代替案として、フェース・インサートは、フェース・インサートの前表面を覆い周囲リムを有するキャップと共に、本体の金属材料より低い密度を有するいずれかの非金属材料を含むこともできる。例えば本発明のフェース・インサートは、繊維強化プラスチック又はチョップド・ファイバ合成物（例えばバルク・モールド・コンパウンド又はシート・モールド・コンパウンド）、又は射出成形ポリマであって単独か又は低ＦＡＷのプリプレグ・プライと組み合わせたものなどの、複合材料を含むこともできる。厚さは実質的に一定にすることもでき、又は少なくとも２つの厚さで１つは幾何学的中心で測ったもの、他はフェース・インサートの周囲近くで測ったもの、という変形を含むこともできる。ある実施形態では、例えば、射出成形ポリマのディスクを複数の低ＦＡＷプリプレグ・プライの中央領域に埋め込むこともできる。フェース・インサートの全厚は約１ｍｍと約８ｍｍの間にすることもでき、約２ｍｍと約７ｍｍの間であることが好ましい。

さらに、本発明におけるクラブ・ヘッドの本体を、金属材料、非金属材料、又は例えば複合クラウンを有する鋼製スカート及びソールなどの組合せ材料で形成することもできる。また、１つ又は複数の重量を所望に応じて本体の中又は上に置いて、クラブ・ヘッドの最終性能特性を達成することもできる。

本発明を好ましい実施形態のみを参照して開示したが、さらに別のゴルフ・クラブ・ヘッド及び関連する製造方法も本発明の範囲から逸脱することなく含まれることが、当業者には理解されよう。したがって、本発明は冒頭の特許請求の範囲によってのみ定義される。

複合フェース・インサートと金属本体とを示す、本発明によるクラブ・ヘッドの分解図である。 図１に示すクラブ・ヘッドの断面図である。 最初と最後の２群のプライを示す、図１に示すフェース・インサートの複合領域の分解図である。 フェース・インサートと本体部分との接合部を示す、図１に示すクラブ・ヘッドの区域Ａ−Ａの拡大図である。 図１に示すインサートの複合領域を形成するための好ましい方法における、浸漬段階と硬化段階中の樹脂粘性の時間経過を示すグラフである。 図５に対応する、インサートの複合領域を形成する浸漬段階と硬化段階中の圧力の時間経過を示すグラフである。 図５に対応する、インサートの複合領域を形成する浸漬段階と硬化段階中の温度の時間経過を示すグラフである。 図１のインサートの複合領域を形成する代替方法における浸漬段階と硬化段階中の圧力の時間経過を示すグラフである。 図８に対応する、インサートの複合領域を形成する浸漬段階と硬化段階中の温度の時間経過を示すグラフである。

符号の説明

１０ ゴルフ・クラブ・ヘッド
１２ 金属本体
１４ フェース・インサート
１６ 複合領域
１８ 金属キャップ
２０ 第１プライ
２２ プライ
２４ プライ
２６ プライ
３２ 環状突出縁
３４ 遷移縁部
３６ リム
３８ 側縁部
４０ 打面
４２ 溝
４４ ボンド・ギャップ

Claims (33)

1. 前面開口部を画定する本体と、
   １００ｇ／ｍ²以下の面積当り繊維重量（ＦＡＷ）を有する複数のプリプレグ・プライを含むフェース・インサートであって、本体の前面開口部に取り付けられてこれを閉じるフェース・インサートと
   を含み、
   フェース・インサートの全厚が約１ｍｍから約８ｍｍまでの範囲内にある、ゴルフ・クラブ・ヘッド。
2. フェース・インサートが５ｇ／ｃｃ以下の密度を有する材料で形成されたキャップを含み、キャップはプリプレグ・プライの前表面を覆い、周囲リムを含む、請求項１に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
3. クラウンと、スカートと、ソールとを有し、前面開口部を画定する本体と、
   １００ｇ／ｍ²以下の面積当り繊維重量（ＦＡＷ）を有する複数のプリプレグ・プライを含む少なくとも１つの部分を有するフェース・インサートであって、本体の前面開口部を閉じるフェース・インサートと
   を含む、少なくとも２００ｃｃの容積を有するゴルフ・クラブ・ヘッドであって、
   フェース・インサートの全厚が約１ｍｍから約８ｍｍまでの範囲内にあり、少なくとも０．７９の反発係数を有するゴルフ・クラブ・ヘッド。
4. プリプレグ・プライが約７０ｇ／ｍ²のＦＡＷを有する炭素繊維強化物を含み、
   フェース・インサートの全厚が約３ｍｍから約４ｍｍまでの範囲内にある、
   請求項３に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
5. プリプレグ・プライが７０ｇ／ｍ²以下のＦＡＷを有する、請求項３に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
6. プリプレグ・プライが約５０ｇ／ｍ²のＦＡＷを有する炭素繊維強化物を含み、
   フェース・インサートの全厚が約２．５ｍｍから約４ｍｍまでの範囲内にある、
   請求項５に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
7. 本体が少なくとも部分的に金属材料で形成され、フェース・インサートの質量が本体の金属材料の等価容積より少なくとも１０グラム少ない、請求項５に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
8. フェース・インサートがプリプレグ・プライに接着剤で取り付けられた金属キャップを含む、請求項３に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
9. プリプレグ・プライの厚さが約３．５ｍｍ又はそれ以下であり、金属キャップの厚さが約０．５ｍｍ又はそれ以下である、請求項８に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
10. プリプレグ・プライと共に硬化したテクスチャ膜の層をさらに含み、これによってテクスチャ膜の層はフェース・インサートの前表面を形成する、請求項３に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
11. テクスチャ膜の層がナイロン織物で構成される、請求項１０に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
12. クラウンと、スカートと、ソールとを有し、環状突出縁を有する前面開口部を画定する本体と、
    非金属材料で形成された領域と、非金属領域の前表面に取り付けられたキャップであって、非金属領域の周囲の周りに延びる１つ又は複数のセグメントを有する周囲リムを含むキャップとを含むフェース・インサートと
    を含む、少なくとも２００ｃｃの容積を有するゴルフ・クラブ・ヘッドであって、
    フェース・インサートが本体の全面開口部において環状突出縁の上に配置され、少なくとも０．７９の反発係数を有するゴルフ・クラブ・ヘッド。
13. 非金属領域とキャップとの間に０．２ｍｍと同じか、より小さなボンド・ギャップが維持されている、請求項１２に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
14. キャップが金属材料を含む、請求項１２に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
15. 金属キャップがＴｉ−６Ａｌ−４Ｖ材料を含む、請求項１４に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
16. 非金属領域の厚さが約３．５ｍｍ又はそれ以下であり、金属キャップの厚さが約０．５ｍｍ又はそれ以下である、請求項１４に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
17. フェース・インサートの非金属領域が、繊維強化プラスチック、１００ｇ／ｍ²以下の面積当り繊維重量を有する複数のプリプレグ・プライ、チョップド・ファイバ・コンパウンド、及び射出成形ポリマからなる群から選択された少なくとも１つの材料を含む、請求項１２に記載のゴルフ・クラブ・ヘッド。
18. 少なくとも２００ｃｃの容積を有するゴルフ・クラブを製造する方法であって、
    １００ｇ／ｍ²以下の面積当り繊維重量（ＦＡＷ）を有する複数のプリプレグ・プライを少なくとも部分的に含むフェース・インサートを形成する段階と、
    クラウンと、スカートと、ソールとを有する本体を形成する段階であって、本体は前面開口部を画定し、本体は前面開口部に深さＤの凹所を伴う環状突出縁を有する段階と、
    前面開口部にフェース・インサートを取り付ける段階であって、フェース・インサートは本体の前面開口部に環状突出縁の深さＤより小さな厚さを有する段階と
    を含む方法。
19. 本体を形成する段階がチタン合金を焼き流し精密鋳造することを含む、請求項１８に記載の方法。
20. フェース・インサートの厚さが約２ｍｍから約７ｍｍまでの範囲内にある、請求項１８に記載の方法。
21. 環状突出縁が約１．５ｍｍの厚さを有し、前面開口部の中に約３ｍｍから６ｍｍまでの間だけ延びている、請求項１８に記載の方法。
22. 金属キャップを形成する段階とフェース・インサートの前表面にキャップを取り付ける段階とをさらに含み、フェース・インサートのプリプレグ・プライとキャップとの組合せ厚さが本体の前面開口部における環状突出縁の深さＤと同じかより小さい、請求項１８に記載の方法。
23. 金属キャップを形成する段階が、フェース・インサートの厚さと実質的に同じ高さを有する周囲リムを形成することを含む、請求項２２に記載の方法。
24. フェース・インサートの前表面にキャップを取り付ける段階と本体の前面開口部にフェース・インサートを取り付ける段階が、どのような順序によっても実施される、請求項２２に記載の方法。
25. 約１００ｇ／ｍ²以下の面積当り繊維重量を有し、所定の樹脂含有量を有する複数のプリプレグ・プライを含む硬化フェース・インサートを形成する段階と、
    前面開口部を画定する本体を形成する段階と、
    前面開口部にフェース・インサートを取り付ける段階と
    を含むゴルフ・クラブ・ヘッドを製造する方法であって、
    前記の硬化フェース・インサートを形成する段階は、
    低ＦＡＷ材料の複数のプライを積み重ねて切り、実質的に所望の最終形状、バルジ、及びロールを有する未硬化フェース・インサートを形成すること、
    未硬化フェース・インサートを初期温度Ｔ₁でツールの中に置くこと、
    未硬化フェース・インサートを第１圧力Ｐ₁で約５分間硬化し、次に初期温度Ｔ₁より高い設定温度Ｔ₂に加熱することを開始し、第１圧力Ｐ₁よりも高い第２圧力Ｐ₂でさらに１５分間硬化して、硬化フェース・インサートを得ること、
    設定温度と第２圧力Ｐ₂で硬化フェース・インサートを約３０分間連続形成すること、及び
    所定の樹脂含有量を達成するように、第２圧力Ｐ₂よりも低い第３圧力Ｐ₃で硬化フェース・インサートを５分間浸漬すること
    を含む方法。
26. 第３圧力Ｐ₃が第１圧力Ｐ₁よりも高い、請求項２５に記載の方法。
27. 初期温度Ｔ₁が約９３℃（２００°Ｆ）、設定温度Ｔ₂が約１３２℃（２７０°Ｆ）、第１圧力Ｐ₁が約１．０５ｋｇ／ｃｍ²（１５ｐｓｉ）、第２圧力Ｐ₂が約１４ｋｇ／ｃｍ²（２００ｐｓｉ）、及び第３圧力Ｐ₃が約１．４１ｋｇ／ｃｍ²（２０ｐｓｉ）であり、こうして最終樹脂含有量は約３５％から約４０％までの間にある、請求項２６に記載の方法。
28. 低ＦＡＷ材料の複数のプライを積み重ねることが、各回が少なくとも２分間である少なくとも２回の容積減少することを含む、請求項２５に記載の方法。
29. 最終容積減少することが所望の最終バルジとロールを有するパネルを使用することを含む、請求項２８に記載の方法。
30. フェース・インサートの厚さと実質的に同じ高さを有する周囲リムを含む金属キャップを形成する段階をさらに含む、請求項２５に記載の方法。
31. 約１００ｇ／ｍ²以下の面積当り繊維重量を有し、所定の樹脂含有量を有する複数のプリプレグ・プライを含む硬化フェース・インサートを形成する段階と、
    前面開口部を画定する本体を形成する段階と、
    前面開口部にフェース・インサートを取り付ける段階と
    を含むゴルフ・クラブ・ヘッドを製造する方法であって、
    前記の硬化フェース・インサートを形成する段階は、
    低ＦＡＷ材料の複数のプライを積み重ねて切り、実質的に所望の最終形状、バルジ、及びロールを有する未硬化フェース・インサートを形成すること、
    未硬化フェース・インサートを初期温度Ｔ₁でツールの中に置き、温度を設定温度に上げること、
    未硬化フェース・インサートを第１圧力Ｐ₁で約５分間硬化すること、
    圧力を第２圧力Ｐ₂に上げ、設定温度と第２圧力Ｐ₂で硬化フェース・インサートを約１５分間連続形成すること、及び
    所定の樹脂含有量を達成するように、第２圧力Ｐ₂よりも低い第３圧力Ｐ₃で硬化フェース・インサートを２０分間浸漬すること
    を含む方法。
32. 初期温度Ｔ₁が約９３℃（２００°Ｆ）、設定温度Ｔ₂が約１３２℃（２７０°Ｆ）、第１圧力Ｐ₁が約１．４１ｋｇ／ｃｍ²（２０ｐｓｉ）、第２圧力Ｐ₂が約１４ｋｇ／ｃｍ²（２００ｐｓｉ）、及び第３圧力Ｐ₃が約１．４１ｋｇ／ｃｍ²（２０ｐｓｉ）である、請求項３１に記載の方法。
33. フェース・インサートの厚さと実質的に同じ高さを有する周囲リムを含む金属キャップを形成する段階をさらに含む、請求項３１に記載の方法。

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