JP2004342167A - 再生磁気ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】大量生産に適する方法で100nm x 100nm x 数nm程度の磁性層(磁気感受部,自由層)にナノメーターオーダーの微小接触部を作製する。
【解決手段】磁気感受部2と基準磁性部4を少なくとも1箇所以上の部分を接触させて配置し,その接触部の面積を減少させるように加工することで,最終的に少なくとも1個の微小接触部7を磁気感受部と基準磁性部間に作製する。
【選択図】 図1
【解決手段】磁気感受部2と基準磁性部4を少なくとも1箇所以上の部分を接触させて配置し,その接触部の面積を減少させるように加工することで,最終的に少なくとも1個の微小接触部7を磁気感受部と基準磁性部間に作製する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,磁界を計測するための磁気抵抗を利用した磁気センサーに関し,特にハードディスク装置に用いられる再生磁気ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
2つの磁性体を,微小面積を介して接触させたとき,2つの磁性体の磁化が平行,反平行のときに大きな抵抗変化が現れる。これは,Ballistic Magnetoresistance(BMR)と呼ばれ,例えばPhysical Review Letters 82, 2923 (1999)(N. Garcia他著),Physical Review B66, 20403(R) (2002)(H. D. Chopra他著)に記載されている。このBMRの発現にはナノメーターオーダーの微小接触部が必要であり,接触部の面積が大きくなるとMRが減少する。N. Garciaは2本のNi磁性細線の先端を先鋭化し,その先端を接触させることでナノメーターオーダーの微小接触部を作製した。また,H. D. Chopraは2本のNi磁性細線をT字状に接近配置し,メッキによって両磁性細線間のギャップを埋め,ナノメーターオーダーの接触部を作製した。両磁性体の磁化が平行のときの抵抗をRparallelとし,反平行のときの抵抗をRantiparallelと書くと,磁気抵抗比(MR)は下式で定義される。
MR=(Rantiparallel−Rparallel)/Rparallel
【0003】
上記論文では数百パーセント以上のMRが報告されている。これは現状のハードディスク装置で使用されている再生磁気ヘッド(スピンバルブヘッド,巨大磁気抵抗効果(GMR)ヘッド)のMRが10〜20パーセント程度であることを考えると非常に大きな値である。また,次世代の再生ヘッドにはトンネル磁気抵抗(Tunnel Magnetoresistive,TMR)効果が利用される可能性が高いが,TMRも数十パーセント止まりである。このBMRを再生磁気ヘッドへ適用することができれば,現状の記録密度を大幅に引き上げることが可能となる。
【0004】
BMRを念頭においたものではないが,磁性微小接触部を利用した磁気抵抗磁界センサーが特表平11−510911号公報(出願人:フィリップス エレクトロニクスネムローゼ フェンノートシャップ(オランダ),発明者:スケープ コルネリア マリヌス他)に記載されている。この公報には,磁性微小接触部を以下(1),(2),(3)の手法で作製することが記載されている。(1)磁性層/非金属層/磁性層と積層したものにおいて,マスク,およびエッチング技術を用いることで,上下磁性層間に磁気的な微小接触部を作製する,(2)磁性層/非金属層/磁性層において,非金属層内に自然に生じるピンホールを利用し,上下磁性層間に微小接触部を作製する,(3)マスク,およびエッチング技術より,磁性薄膜1層中に微小接触部(くびれ部)を作製する。この発明をBMRに適用する場合,(a)マスク,およびエッチング技術での最小加工寸法は現状20から100nm程度なので,上記(1),(3)で微小接触部を形成したとき,BMR発現には十分微小化されていないことが問題となる。上記(2)のようにピンホールを利用して微小接触部を形成する場合,BMR発現が期待できるが,現状MR14パーセントにとどまっており,BMRが発現しているとは言いがたい。また,ピンホールの直径,個数,配置等を制御することが難しく,磁気センサーへの利用に困難を伴う。
【0005】
【特許文献1】
特表平11−510911号公報
【非特許文献1】
Physical Review Letters 82, 2923 (1999)
【非特許文献2】
Physical Review B66, 20403(R) (2002)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記N. Garcia等,H. D. Chopra等が示したBMR効果を再生磁気ヘッド等へ利用するには以下の3つの課題を解決する必要がある。(1)再生ヘッドでは寸法が100nm x 100nm x 数nm程度の磁性層(磁界感受部,自由層)が必要なので,この自由層にナノメーターオーダーの微小接触部を作製する必要がある。そのため先鋭化した磁性細線を使うことができない。(2)再生ヘッドには,少なくとも2つの磁性層,自由層と固定層が必要である。自由層内部の磁化は外部磁界によって回転する必要があり,固定層の磁化は外部磁界が印加されても回転しないようにしなければならない。このため,固定層の磁化をピン止めする機構を導入する必要がある(上記論文では磁化を固定する機構は導入されていない)。(3)大量生産に適する微小接触部を作製するための技術が要求される。
【0007】
本発明は,これらの要請に応える再生磁気ヘッドの製造方法,及びその製造方法によって製造された再生磁気ヘッドを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明においては,次のような方法によって上記目的を達成する。
手段 1
最初,磁気感受部と基準磁性部とを接触させて配置し,その後,接触部の面積を減少させるように加工することで,磁気感受部と基準磁性部間にナノメーターオーダーの微小接触部を形成する方法である。
【0009】
図1は,手段1による磁気センサーの製造方法の概略と,その製造方法によって製造された磁気センサーの構造を説明する概念図である。ここでは下部電極1,外部磁界によって敏感に内部の磁化が追随する磁気感受部2,絶縁部3,内部の磁化が常に一方向に向くようにした基準磁性部4,磁区制御部5,上部電極6を薄膜で作製しており,図1は断面図および成膜方向から見た図を表している。
【0010】
図1(a)は下部電極1,磁気感受部2,絶縁部3,基準磁性部4,磁区制御部5,上部電極6を成膜した状態を表している。ただし,磁気感受部2は矩形状に加工し,絶縁部に埋め込まれた状態となっている。また,基準磁性部4,磁区制御部5,上部電極6は台形状に加工されており,基準磁性部4の一部が磁気感受部2に重なるように配置されている。この磁気感受部2,基準磁性部4の加工は半導体分野の微細加工技術を使用して加工している。微細加工寸法の最小値は20から100nm程度なので,磁気感受部2と基準磁性部4が接触している面積は,数千nm2以上であり,このままでは,あまり大きなBMRは期待できない。
【0011】
図1(b)は,図1(a)に示したものを断面方向から加工した後の磁気センサーを表している。加工は磁気感受部2と基準磁性部4の接触面積が減少するように行い,接触面積が所望の値となるまで加工する。ただし,接触面積は直接測定することができないので,上部電極6と下部電極1間の抵抗値をモニターすることで代用することが可能である。接触面積が減少すると抵抗値はその減少と反比例して上昇する。この加工は通常メカニカルポリシングで行うが,加工精度を上げるため,イオンミリング,スパッタ等を併用してもよい。メカニカルポリシングはナノメータの精度があり,イオンミリング,スパッタはそれ以上の精度がある。それゆえ,接触部の寸法をナノメーターオーダーまで減少させることが可能となる。
【0012】
その結果,(b)に示したように,磁気感受部2の一部にナノメーターオーダーの微小接触部7を作製することができる。上下電極部間に電源,電流計を挿入し,上下電極間の抵抗値を測定できるようにすると,この磁気センサー近傍の磁界を計測することが可能となる。ここで,メカニカルポリシング等はハードディスク装置用磁気ヘッドを作製する工程ですでに大量生産ラインで使用されているので,以上の方法は大量生産に向いているということができる。微小接触部7の寸法がナノメーターオーダーになると,大きなMRを得ることが可能となる。
【0013】
手段 2
磁気感受部と基準磁性部間を,少なくとも1個の磁性微粒子,あるいは磁性薄膜を介して接触させることで,最終的に少なくとも1個のナノメーターオーダーの微小接触部を磁気感受部と基準磁性部間に作製する方法である。
【0014】
図2は,手段2による磁気センサーの製造方法の概略と,その製造方法によって製造された磁気センサーの構造を説明する概念図である。
【0015】
図2(a)は,下部電極1,磁気感受部2,絶縁部3,基準磁性部4を成膜した状態を表している。ここで,図のように絶縁部3と基準磁性部4は磁気感受部2より小さな面積で成膜されており,磁気感受部2と基準磁性部4は絶縁部3によって電気的に絶縁されている。この上面,すなわち基準磁性部4と磁気感受部2上に蒸着法,スパッタ法,レーザーアブレーション法,気相成長法等によって磁性体を成膜する。図では成膜された磁性体を黒丸で示しているが,成膜量が極少量のため磁性体同士が接触する頻度がそれほど高くなく,島状に成長している状況を示している。この状況から成膜量を徐々に増やすと,磁気感受部2と基準磁性部4の段差部部分が成膜された磁性体によって導通する箇所が現れる。成膜量を制御すると,その導通部の寸法をナノメーターサイズに制御することができ,微小接触部7を形成することができる。
【0016】
その後,磁区制御部5と上部電極6を基準磁性部4上に成膜した状況を図2(b)に示す。上下電極部間に電源,電流計を挿入し,上下電極間の抵抗値を測定できるようにするとこの磁気センサー近傍の磁界を計測することが可能となる。微小接触部7の寸法がナノメーターオーダーになると,大きなMRを得ることが可能となる。
【0017】
上記手段2は成膜量で接触部の面積を制御するので,手段1と比べて容易に制御することが可能である。これは蒸着法,スパッタ法等では比較的容易に極少量の成膜量を制御することができることによる。ただし,この手法では磁気的接触部を特定の場所に選択的に形成することはできない。
【0018】
手段 3
磁気感受部と絶縁部を接触させて配置した後,以下の微細加工技術を利用して絶縁部に磁気感受部が露出した微小な領域を形成することができる。その微細加工技術とは、絶縁部にレジストを塗布し,露光(電子線描画),現像の過程を経てレジストの一部を取り除く。その後,反応性イオンエッチングによって絶縁部をエッチングする。このとき,絶縁部は一様にエッチングされるのではなく,すり鉢状にエッチングされるので,適当な時間でエッチングを止めると,ナノメーターオーダーの磁気感受部が露出した微小領域を絶縁部に作ることが可能となる。その後,レジストを取り除き,基準磁性部を絶縁部上に形成すると,前記露出部で磁気感受部と基準磁性部がナノメーターオーダーの微細接触部を形成することが可能となる。
【0019】
手段 4
絶縁部にナノメーターオーダーの磁気感受部の微小領域を露出させるまでは,手段3と同様である。その後,上記微小領域部に気相成長法等で針状磁性体(ウィスカー)を形成する。レジストを取り除き,絶縁体で針状磁性体を埋め,さらに針状磁性体の頭部が絶縁体から露出するまで研磨する。引き続き絶縁体上に基準磁性部を形成すると,針状磁性体の頭部と基準磁性部が接触することになる。針状磁性体の頭部は十分その寸法を小さくすることが可能なので,針状磁性体と基準磁性部間にナノメーターオーダーの微細接触部を形成することが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。以下では,本発明をハードディスク装置で使用される再生磁気ヘッドに応用した例について説明する。なお、以下の実施例は、先に自由層を形成し、そのあとに固定層を形成する場合を例に説明するが、先に固定層を形成し、そのあとに自由層を形成してもよい。すなわち、本発明では、特に理由がある場合を除いて自由層と固定層の積層順序は問わない。
【0021】
〔実施例1〕
本発明の実施例1を図3による説明する。図3の(a)から(k)は,磁気ヘッド作製プロセスを示したものである。図は磁気ヘッドの主要部の断面,すなわちエアーベアリングサーフェス面(ABS面,浮上面)を表す。成膜方向は紙面上方から手前方向である。
【0022】
図3(a)は,磁気シールド108,絶縁層109,電極110,自由層111,レジスト112を積層した状態を表している。ここで,磁気シールド108は浮遊磁界をシールドするためのもので,NiFe合金,NiFeCo合金など透磁率の高い磁性体を使用し,膜厚は数十nm以上とする。絶縁層109は電気的に絶縁するためのもので,Al2O3,SiO2,AlN,Si3N4などの導電率の低い素材を使用し,膜厚は数nm以上とする。電極110は素材として導電率の高いものでAu,Ag,Cu,Al,Ptなど使用し,膜厚は数nm以上とする。自由層111は磁界をセンスする部分であり,外部磁界に対して自由層内部の磁化が敏感に追従しなければならない。その素材は透磁率の高いNi,Fe,Co,NiFe合金,CoFe合金,CoNiFe合金,あるいはこれらの磁性多層膜などを使用し,膜厚は数nm(例えば,3から4nm)とする。レジスト112はここでは電子線用のネガ型レジストを使用する。
【0023】
(b)では,(a)で積層したレジスト112に細く絞った電子ビーム113を照射し,最終的な自由層の形状を描画する。その描画領域を成膜方向から見た図を(b)の右側に示した。(c)は電子線描画後,現像,エッチングして得られたものを示したものである。なお,ここではアンダーカットを入れたレジスト112を使用しており,レジスト下部がえぐれている。また,エッチングは電極110が図で示すような形状となるように制御する。
【0024】
(d)は,絶縁層109を成膜した状態を示す。ここで,絶縁層109はレジスト112のアンダーカット内部にも侵入し,自由層111上にものり上げる。さらに磁区制御層114,絶縁層109を成膜し,その状態を(e)に示す。磁区制御層114は自由層111内部の磁化方向を一方向に向ける(単磁区化する)ように自由層114に磁界を印加するためのものである。磁区制御層114としては保磁力の大きい永久磁石,例えばCo合金などを使用する。ここでは,自由層111の磁化が左向き,あるいは右向きになるように磁界が印加される。(f)は,リフトオフにより,レジスト112を取り除いた状態を示している。
【0025】
さらに,(g)に示すように,レジスト112を塗布後,再度電子描画を行う。ただし,ここで使用するレジスト112はポジ型を使用する。描画領域は(g)の右側に示しており,自由層111と一部重なるように描画している。本例では,描画領域の境界線と自由層111のヘッド奥行き方向に延びる境界線が斜めに交差するように,描画領域の境界線を設定している。現像後,固定層115,反強磁性層116,電極110を成膜した状態を(h)に示す。固定層115はNi,Fe,Co,NiFe合金,CoFe合金,CoNiFe合金,あるいはこれらの磁性多層膜などを使用し,膜厚は数nmとする。反強磁性層116は固定層115にバイアス磁界を印加するためのもので,MnPt合金,PdMnPt合金,NiMn合金などを使用する。これにより,固定層115の磁化は一方向に固定することが可能となる。ここでは,紙面に対して垂直な方向としている。
【0026】
リフトオフ処理をすると,(h)の左側に示した描画領域のみ固定層115,反強磁性層116,電極110が残ることになる((i)参照)。その後,さらに絶縁層109,磁気シールド108を(j)に示すように成膜する。最後に,(k)に示すように,浮上面を機械研磨し,自由層111の膜面積を減少させる。このとき,(k)の右側に示したように自由層111と固定層115との接触面積は徐々に小さくなり,その寸法がナノメーターオーダーになったところで研磨を中止するようにする。最終的に得られた接触面積部分を図では磁性ナノコンタクト部117で示している。
【0027】
研磨をどの時点で止めるかは,2つの方法で決めることができる。図1の方法は研磨時間で制御する方法である。あらかじめ,研磨時間に対する電極110間の抵抗値,すなわち自由層111と固定層115間の抵抗値の関係を調べておき,所望の抵抗値での研磨時間を決める方法である。接触部の面積とその抵抗値は反比例の関係にあるので,そこでの抵抗値を調べることで磁性ナノコンタクトを作製することができる。第2の方法は電極110間の抵抗値を研磨中モニターする方法である。電極110間の抵抗値が予定の抵抗値になった時点で研磨を中止する。代用方法として電極110間を直接モニターしなくても,この素子近傍に抵抗測定用のダミーの素子を配置し,その抵抗値をモニターすることでも研磨時間を制御することが可能である。研磨の精度は,機械研磨の最後をミリング法,スパッタ法での研磨に切り替えることでさらに向上させることができる。ミリング法,スパッタ法の研磨速度は機械研磨の研磨速度より遅いので,それらの手法ではナノメータ以下の研磨精度を比較的簡単に得ることができる。このときも電極110間の抵抗値をモニターし,ミリング(スパッタ)時間を制御することができる。
【0028】
高速にデータ転送を行うには,電極間抵抗値を低く設定する必要があり,データ転送速度に対応して電極間抵抗値を決定する必要がある。現状のデータ転送速度を考えると数オーム以上,100オーム以下の抵抗値でなければならない。例えば,電極間抵抗値を50オームになるように制御する。このため機械研磨はこの抵抗値内に入るように制御する必要があり,必ずしも磁気抵抗効果が最大となるわけではない。しかし,Chopra等がPhysical Review B66, 20403(R) (2002)で報告しているように,素子抵抗が数オームで巨大な磁気抵抗効果を示すので,大きなBMRを示す抵抗値と高速データ転送の要請からくる抵抗値は大きくかけ離れていない。また,BMRは広い抵抗値の範囲で大きい値を示すので(上記論文参照),高速データ転送の要請から決まる抵抗値としても問題ない。以上により,自由層111と固定層115間に磁性ナノコンタクト部117を形成することが可能となり,大きなMRを期待することができる。
【0029】
なお,(c)でアンダーカットを入れたレジスト112を使用した。アンダーカットを入れることによって,最終的に得られる磁性ナノコンタクト部117は自由層111のエッジ部から多少内部に形成される。これはアンダーカットがあるため,絶縁層109が自由層111に載り上がるためで,その載り上がる幅だけ磁性ナノコンタクト部117は内部に形成される。これは再生磁気ヘッドの感度向上に役立つ。自由層111を単磁区化するために磁区制御層114を用い自由層111に磁界を印加している。自由層111のエッジ部(磁区制御層114に近い部分)の磁化はその磁界のため,外部の磁界に対する応答性が悪くなっている。自由層111内部では磁区制御層114からの磁界も弱まるので,その影響が減少する。そのため,磁性ナノコンタクト部117はできるだけ自由層111のエッジ部から離れたところに形成するほうがよい。
【0030】
本実施例では,自由層111は磁性単層膜としたが,磁性多層膜,磁性/非磁性多層膜でもよい。固定層115も同様である。これには,例えば,1)BMRの大きな磁性材料の組み合わせを自由層111と固定層115に選ぶ,2)BMRの大きな磁性材料と異方性の制御しやすい磁性材料との組み合わせを使う(多層膜),3)BMRの大きな磁性材料と耐食性の良好な磁性材料(または非磁性材料)を使用する,4)磁性単層膜より大きなBMRを示す磁性多層膜を使用するなどが考えられる。一方,固定層115の磁区固定に反強磁性層116を使用しているが,これは永久磁石,フェリ磁性体等でもよく,また,固定層115と反強磁性層116を永久磁石,フェリ磁性体で代用してもよい。以上のことは以下の実施例でも同様である。
【0031】
図4は,自由層111と固定層115との間に,2個の磁性ナノコンタクト部117を形成する場合を示したものである。図4の(a),(b)はそれぞれ,図3の(g),(k)に対応した図である。本例では,自由層111と重なる部分の描画部の境界線をV字状にし,描画部の境界線と自由層111のヘッド奥行き方向に延びる境界線とが2箇所で斜めに交差するようにしている。その他のプロセスは図3と同様である。この場合,図4(b)に示すように,自由層111と固定層115との間の磁性ナノコンタクト部117が2箇所になるので,磁性ナノコンタクト部117の1箇所が何らかの理由で正常に動作しない場合でも,もう一つのコンタクト部を使用することが可能となる。
【0032】
図5は,図3の磁区制御層114の役割を自由層111直下に配置した反強磁性層116,強磁性層118,中間層119で代用したものである。この場合,自由層111には強磁性層118からの磁界が印加されることになる。反強磁性層116にはIrMn,RhMn,RuRhMnなどを使用する。この反強磁性層116のブロッキング温度は固定層115の磁化を固定するために使用する反強磁性層116のブロッキング温度と異なるようにした。このブロッキング温度が異なることを利用して,固定層115,強磁性層118の磁化方向をそれぞれ90度異なった方向へ固定することが可能となる。具体的には,まず高温側のブロッキング温度以上から磁界中冷却処理することで,例えば固定層115の磁化を固定する。その後,低温側のブロッキング温度以上から磁界中冷却処理することで,強磁性層118の磁化を固定することができる。この処理中,固定層115の磁化は変化を受けない。
【0033】
図6は,図3において,磁気シールド108と電極110との間に挿入されている絶縁層109を取り除いたものである。この場合,磁気シールド108に電極の機能をもたせる。図中の金属層120は電極110と同様の素材のものでよい。図3と比べると,磁気シールド108間の距離が短くなるので,つまりギャップ長が短くなるので,高密度磁気記録に適したものとなる。
【0034】
〔実施例2〕
本発明の実施例2を図7により説明する。実施例1の技術を使用することによって,図7(a)のように,磁気シールド208,絶縁層209,電極210,絶縁層209,自由層211,磁区制御層214,非磁性中間層219,反強磁性層216,固定層215で構成されたものを作製することが可能である。ここで,固定層215は自由層211の周りに配置しており,絶縁層209によって自由層211と電気的に絶縁されている。これに非常に薄く磁性体を(b)で示すように成膜する。この磁性体(成膜粒子221)は,自由層211,あるいは固定層215と通常同じ材料とする。しかし,別の材料を使用してもBMRを得ることは可能である。(b)には,蒸着法,あるいはスパッタ法にて成膜する場合を示している。このとき,成膜量は蒸着時間,スパッタ時間で制御する。あるいは,自由層211と固定層215の間の抵抗値をモニターすることで制御する。この成膜量の制御は基本的に実施例1の浮上面研磨と同様である。最終的に電極間抵抗は実施例1と同様にし,例えば,電極間抵抗値を40オームになるように制御する。抵抗値40オームは実施例1の50オームより小さいので,本実施例は実施例1より高速データ転送に適していると言える。
【0035】
図8は図7の変形例を示し,図7(b)での磁性体の成膜方法をメッキ法にかえたものである。ここで,例えば固定層215に負の電位を印加し,電極223に正の電位を印加して,メッキ溶液中で固定層215に磁性体を成膜する。電極223の先端は十分細くし,成膜したいところの近傍に配置する。このとき,印加電位によってメッキ溶液内に生じる電界は電極223近傍に限定されるので,その電界近傍のみの溶液中の磁性イオンが固定層215に析出されることになる。図ではその析出物を成膜部222で示している。また,成膜を固定層215ではなく,自由層211上に行ってもよい。この場合,自由層211を負の電位となるように回路を構成する。さらに,自由層211,固定層215両方に成膜してもよい。成膜量は時間,あるいは自由層211と固定層215間の抵抗値をモニターすることで制御することが可能である。図8でも電極間の抵抗値は実施例1と同様にし,例えば,電極間抵抗値を30オームになるように制御する。
【0036】
この例では成膜場所は浮上面から一番遠い自由層211と固定層215とのギャップに設定しているが,その他場所でもよい。この例のように浮上面から遠い場所で成膜した場合,磁気ヘッドがクラッシュ等で浮上面がダメージを受けた際,磁性ナノコンタクト部217がダメージを受ける可能性が低いので,クラッシュ等に強いヘッド構造といえる。
【0037】
〔実施例3〕
本発明の実施例3を図9により説明する。実施例1と同様の方法で,図9(a)に示すようなものを作製することが可能である。この状態は実施例1の(g)に相当する。ただし,(a)ではレジスト312をポジ型のものを使用し,電子ビーム313で描画する領域が実施例1(g)と異なる。描画領域は浮上面側に突出した角部を有し,その角部が自由層の中央付近に位置するように設定されている。(b)では,(a)で作製したものを現像した後,絶縁層309,固定層315,反強磁性層316,電極310を成膜した状態を示している。さらにリフトオフによって,(c)で示すように描画領域のみに(b)で成膜したものが残るようにする。
【0038】
(d)では,メッキ法にて磁性体を固定層315に成膜し,磁性ナノコンタクト部317を作製する。これは実施例2(図8)で説明したような方法で行う。ただし,電極323を使用しなくてもよい(使用してもよい)。また,成膜を固定層315ではなく,自由層311上に行ってもよい。この場合,自由層311が負の電位となるように回路を構成する。さらに,自由層311,固定層315両方に成膜してもよい。成膜量は時間,あるいは自由層311と固定層315間の抵抗値をモニターすることで制御することが可能である。磁性ナノコンタクト部317を作製した後,(e)で示すように絶縁層309,磁気シールド308を成膜する。さらに,実施例1のように浮上面加工を行う。このとき,例えば,電極間抵抗値を20オームになるように制御する。
【0039】
この例では成膜場所は浮上面から比較的遠い自由層311上に設定している。この場合,磁気ヘッドがクラッシュ等で浮上面がダメージを受けた際,磁性ナノコンタクト部317がダメージを受ける可能性が低いので,クラッシュ等に強いヘッド構造といえる。また,磁性ナノコンタクト部317を自由層311の真中近傍の外部磁界に敏感な所(実施例1参照)に形成することができるので,高感度な再生磁気ヘッドの構造といえる。
【0040】
〔実施例4〕
本発明の実施例4を図10により説明する。図10(a)は,磁気シールド408,絶縁層409,電極410,自由層411,絶縁層409,レジスト412を積層した状態を表している。(b)では,(a)で積層したものに細く絞った電子ビーム413をレジスト412に照射し,円形状に描画する。その描画領域を成膜方向から見た図を(b)の右側に示した。(c)は,現像,エッチングして得られたものを示したものである。さらに(d)に示すように,反応性イオンエッチング(RIE)で絶縁層409をすり鉢状にエッチングする。
【0041】
このとき,すり鉢状の底で直径数nm程度の穴があくようにエッチング時間を制御する。その穴では自由層が露出することになり,そこが磁性ナノコンタクト部となる。コンタクト面積の精密な制御はダミーの素子を使用することで可能となる。図10と同様にダミー素子を本素子わきに作製しておき,RIE時2次イオン質量分析法(SIMS)等で自由層411の元素を検出する。その検出量が所定の値に達したところでRIEを終了するように制御すると所望の絶縁層409のコンタクトホールが完成する。ただし,SIMSの検出感度を確保するため,ダミー素子では本素子より広い領域で自由層411が露出するようにデザインする必要がある。
【0042】
さらに,リフトオフ後,固定層415を成膜((e)参照),平坦化((f)参照),反強磁性層416,電極410を成膜する((g)参照)。レジスト塗布後,電子ビーム413で(h)のようにナノコンタクト部417が描画領域の中心付近に位置するように描画し,現像,エッチング,成膜((i),(j)参照)と進めることで,最終的に(j)に示したような磁気ヘッドを得ることができる。電極間抵抗値は,実施例1と同様に,例えば,電極間抵抗値を50オームになるように制御する。そのため,あらかじめ上記RIEと電極間抵抗値の関係を調べておき,最終的に所望の抵抗値が得られるようにRIE,SIMS等を利用して制御する。
【0043】
図11は,図10の磁区制御層414の役割を自由層411直下に配置した反強磁性層416,強磁性層418,中間層419で代用したものである。これは図5で説明したものと同様である。
【0044】
図12は,図10において,磁気シールド408と電極410との間に挿入されている絶縁層409を取り除いたものである。この場合,磁気シールド408に電極の機能をもたせる。図中の金属層420は電極410と同様の素材のものでよい。図10と比べると,磁気シールド408間の距離が短くできるので(ギャップ長を短くできるので),高密度磁気記録に適したものとなる。
【0045】
図13は,図10の(b)の描画領域を矩形状に変更した変形例の説明図である。(a)は最終的に得られる構成で,(b)に浮上面加工前後の自由層411と磁性ナノコンタクト部417の関係を表したものである。浮上面加工前の磁性ナノコンタクト部は直線状の形状を有する。この例では,浮上面加工によって,最終的な磁性ナノコンタクト部の寸法を決めることができる。一方,図10,11,12では反応性イオンエッチングでその寸法を制御する必要があり,上記したようにSIMSの検出感度を確保するにはダミー素子を使う必要がある。しかし,浮上面加工は実素子そのものの抵抗値をモニターできるので,歩留まり向上には図13の手法が適しているといえる。
【0046】
〔実施例5〕
本発明の実施例5を図14により説明する。本実施例は実施例4と同様のプロセスを利用するが,磁性ナノコンタクト部517の作製方法が異なる。図10(d)で得られたコンタクトホールを利用し,気相成長法により,針状の磁性体524を成長させる((a)参照)。これに絶縁層509を成膜し((b)参照),平坦化により針状(ウィスカー)の磁性体524の一部が露出するようにする((c)参照)。ここが磁性ナノコンタクト部となる。ここで,磁性体524の一部露出した寸法を数十ナノメータ以下とするため,図14の磁性層524が成長を開始する部分(絶縁層509のホール径)の寸法を数百ナノメータ以下,例えばここでは100nm以下としている。この微小な領域から成長する針状磁性体524はその先端が十分細いものとなる。その他のプロセスは実施例4と同様である。
【0047】
磁性体524は,自由層511,あるいは固定層515と同じ材料とするか,あるいは他の磁性材料でもよい。また,磁性多層膜,磁性/非磁性多層膜等でもよい。さらに針状磁性体524の成長過程で磁性体524の元素以外のものを添加しながら成長させてもよい。その効果は,実施例1のところで磁性多層膜,磁性/非磁性多層膜の効用を指摘したが,それと同様である。
【0048】
本実施例では気相成長法により,針状磁性体524を成長させるが,この磁性体524の結晶性は通常スパッタ法,蒸着法等よりもよい。このため,他の実施例より大きなMRを得ることが可能である。ただし,結晶性をよくするためには成長温度を高めに設定する必要がある。
【0049】
〔実施例6〕
本発明の実施例6を図15により説明する。図15に示したのは,記録媒体625,記録媒体625を回転させるスピンドル626,磁気ヘッドを載せたヘッドスライダー627,ヘッドスライダー627を保持するジンバル628,ジンバル628を駆動するアクチュエーター629,記録ヘッドへ信号を送り,かつ再生ヘッドからの信号を処理する信号処理系630より構成されるハードディスク装置である。本実施例のハードディスク装置は,実施例1から5で説明した再生ヘッドをヘッドスライダー627へ搭載している。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば,磁性ナノコンタクトを有する自由層と固定層を再生磁気ヘッド内に作製することが可能となり,巨大な磁気抵抗効果を得ることができ,また,素子抵抗が数十オーム以下で大きなMRを得ることができるので高周波特性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の手段1による磁気センサーの製造方法の概略と,その製造方法によって製造された磁気センサーの構造を説明する概念図。
【図2】本発明の手段2による磁気センサーの製造方法の概略と,その製造方法によって製造された磁気センサーの構造を説明する概念図。
【図3】実施例1の磁気ヘッド作製プロセスの説明図。
【図4】2個の磁性ナノコンタクト部を形成する例を示した図。
【図5】図3の変形例を示す図。
【図6】図3の変形例を示す図。
【図7】実施例2の磁気ヘッド作製プロセスの説明図。
【図8】図7の変形例を示す図。
【図9】実施例3の磁気ヘッド作製プロセスの説明図。
【図10】実施例4の磁気ヘッド作製プロセスの説明図。
【図11】図10の変形例を示す図。
【図12】図10の変形例を示す図。
【図13】図10の変形例を示す図。
【図14】実施例5の磁気ヘッド作製プロセスの説明図。
【図15】ハードディスク装置の説明図。
【符号の説明】
1:下部電極,2:磁気感受部,3:絶縁部,4:基準磁性部,5:磁区制御部,6:上部電極,7:微小接触部,8:磁気シールド,9:絶縁層,10:電極,11:自由層,12:レジスト,13:電子ビーム,14:磁区制御層,15:固定層,16:反強磁性層,17:磁性ナノコンタクト部,18:強磁性層,19:中間層,20:金属層,21:成膜粒子,22:成膜部,23:電極,24:磁性体,
108:磁気シールド,109:絶縁層,110:電極,111:自由層,112:レジスト,113:電子ビーム,114:磁区制御層,115:固定層,116:反強磁性層,117:磁性ナノコンタクト部,118:強磁性層,119:中間層,120:金属層,
208:磁気シールド,209:絶縁層,210:電極,211:自由層,214:磁区制御層,215:固定層,216:反強磁性層,217:磁性ナノコンタクト部,219:中間層,221:成膜粒子,222:成膜部,223:電極,
308:磁気シールド,309:絶縁層,310:電極,311:自由層,312:レジスト,313:電子ビーム,315:固定層,316:反強磁性層,317:磁性ナノコンタクト部,323:電極,
408:磁気シールド,409:絶縁層,410:電極,411:自由層,412:レジスト,413:電子ビーム,414:磁区制御層,415:固定層,416:反強磁性層,417:磁性ナノコンタクト部,418:強磁性層,419:中間層,420:金属層,
509:絶縁層,511:自由層,515:固定層,517:磁性ナノコンタクト部,524:磁性体,
625:記録媒体,626:スピンドル,627:ヘッドスライダー,628:ジンバル,629:アクチュエーター,630:信号処理系
【発明の属する技術分野】
本発明は,磁界を計測するための磁気抵抗を利用した磁気センサーに関し,特にハードディスク装置に用いられる再生磁気ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
2つの磁性体を,微小面積を介して接触させたとき,2つの磁性体の磁化が平行,反平行のときに大きな抵抗変化が現れる。これは,Ballistic Magnetoresistance(BMR)と呼ばれ,例えばPhysical Review Letters 82, 2923 (1999)(N. Garcia他著),Physical Review B66, 20403(R) (2002)(H. D. Chopra他著)に記載されている。このBMRの発現にはナノメーターオーダーの微小接触部が必要であり,接触部の面積が大きくなるとMRが減少する。N. Garciaは2本のNi磁性細線の先端を先鋭化し,その先端を接触させることでナノメーターオーダーの微小接触部を作製した。また,H. D. Chopraは2本のNi磁性細線をT字状に接近配置し,メッキによって両磁性細線間のギャップを埋め,ナノメーターオーダーの接触部を作製した。両磁性体の磁化が平行のときの抵抗をRparallelとし,反平行のときの抵抗をRantiparallelと書くと,磁気抵抗比(MR)は下式で定義される。
MR=(Rantiparallel−Rparallel)/Rparallel
【0003】
上記論文では数百パーセント以上のMRが報告されている。これは現状のハードディスク装置で使用されている再生磁気ヘッド(スピンバルブヘッド,巨大磁気抵抗効果(GMR)ヘッド)のMRが10〜20パーセント程度であることを考えると非常に大きな値である。また,次世代の再生ヘッドにはトンネル磁気抵抗(Tunnel Magnetoresistive,TMR)効果が利用される可能性が高いが,TMRも数十パーセント止まりである。このBMRを再生磁気ヘッドへ適用することができれば,現状の記録密度を大幅に引き上げることが可能となる。
【0004】
BMRを念頭においたものではないが,磁性微小接触部を利用した磁気抵抗磁界センサーが特表平11−510911号公報(出願人:フィリップス エレクトロニクスネムローゼ フェンノートシャップ(オランダ),発明者:スケープ コルネリア マリヌス他)に記載されている。この公報には,磁性微小接触部を以下(1),(2),(3)の手法で作製することが記載されている。(1)磁性層/非金属層/磁性層と積層したものにおいて,マスク,およびエッチング技術を用いることで,上下磁性層間に磁気的な微小接触部を作製する,(2)磁性層/非金属層/磁性層において,非金属層内に自然に生じるピンホールを利用し,上下磁性層間に微小接触部を作製する,(3)マスク,およびエッチング技術より,磁性薄膜1層中に微小接触部(くびれ部)を作製する。この発明をBMRに適用する場合,(a)マスク,およびエッチング技術での最小加工寸法は現状20から100nm程度なので,上記(1),(3)で微小接触部を形成したとき,BMR発現には十分微小化されていないことが問題となる。上記(2)のようにピンホールを利用して微小接触部を形成する場合,BMR発現が期待できるが,現状MR14パーセントにとどまっており,BMRが発現しているとは言いがたい。また,ピンホールの直径,個数,配置等を制御することが難しく,磁気センサーへの利用に困難を伴う。
【0005】
【特許文献1】
特表平11−510911号公報
【非特許文献1】
Physical Review Letters 82, 2923 (1999)
【非特許文献2】
Physical Review B66, 20403(R) (2002)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記N. Garcia等,H. D. Chopra等が示したBMR効果を再生磁気ヘッド等へ利用するには以下の3つの課題を解決する必要がある。(1)再生ヘッドでは寸法が100nm x 100nm x 数nm程度の磁性層(磁界感受部,自由層)が必要なので,この自由層にナノメーターオーダーの微小接触部を作製する必要がある。そのため先鋭化した磁性細線を使うことができない。(2)再生ヘッドには,少なくとも2つの磁性層,自由層と固定層が必要である。自由層内部の磁化は外部磁界によって回転する必要があり,固定層の磁化は外部磁界が印加されても回転しないようにしなければならない。このため,固定層の磁化をピン止めする機構を導入する必要がある(上記論文では磁化を固定する機構は導入されていない)。(3)大量生産に適する微小接触部を作製するための技術が要求される。
【0007】
本発明は,これらの要請に応える再生磁気ヘッドの製造方法,及びその製造方法によって製造された再生磁気ヘッドを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明においては,次のような方法によって上記目的を達成する。
手段 1
最初,磁気感受部と基準磁性部とを接触させて配置し,その後,接触部の面積を減少させるように加工することで,磁気感受部と基準磁性部間にナノメーターオーダーの微小接触部を形成する方法である。
【0009】
図1は,手段1による磁気センサーの製造方法の概略と,その製造方法によって製造された磁気センサーの構造を説明する概念図である。ここでは下部電極1,外部磁界によって敏感に内部の磁化が追随する磁気感受部2,絶縁部3,内部の磁化が常に一方向に向くようにした基準磁性部4,磁区制御部5,上部電極6を薄膜で作製しており,図1は断面図および成膜方向から見た図を表している。
【0010】
図1(a)は下部電極1,磁気感受部2,絶縁部3,基準磁性部4,磁区制御部5,上部電極6を成膜した状態を表している。ただし,磁気感受部2は矩形状に加工し,絶縁部に埋め込まれた状態となっている。また,基準磁性部4,磁区制御部5,上部電極6は台形状に加工されており,基準磁性部4の一部が磁気感受部2に重なるように配置されている。この磁気感受部2,基準磁性部4の加工は半導体分野の微細加工技術を使用して加工している。微細加工寸法の最小値は20から100nm程度なので,磁気感受部2と基準磁性部4が接触している面積は,数千nm2以上であり,このままでは,あまり大きなBMRは期待できない。
【0011】
図1(b)は,図1(a)に示したものを断面方向から加工した後の磁気センサーを表している。加工は磁気感受部2と基準磁性部4の接触面積が減少するように行い,接触面積が所望の値となるまで加工する。ただし,接触面積は直接測定することができないので,上部電極6と下部電極1間の抵抗値をモニターすることで代用することが可能である。接触面積が減少すると抵抗値はその減少と反比例して上昇する。この加工は通常メカニカルポリシングで行うが,加工精度を上げるため,イオンミリング,スパッタ等を併用してもよい。メカニカルポリシングはナノメータの精度があり,イオンミリング,スパッタはそれ以上の精度がある。それゆえ,接触部の寸法をナノメーターオーダーまで減少させることが可能となる。
【0012】
その結果,(b)に示したように,磁気感受部2の一部にナノメーターオーダーの微小接触部7を作製することができる。上下電極部間に電源,電流計を挿入し,上下電極間の抵抗値を測定できるようにすると,この磁気センサー近傍の磁界を計測することが可能となる。ここで,メカニカルポリシング等はハードディスク装置用磁気ヘッドを作製する工程ですでに大量生産ラインで使用されているので,以上の方法は大量生産に向いているということができる。微小接触部7の寸法がナノメーターオーダーになると,大きなMRを得ることが可能となる。
【0013】
手段 2
磁気感受部と基準磁性部間を,少なくとも1個の磁性微粒子,あるいは磁性薄膜を介して接触させることで,最終的に少なくとも1個のナノメーターオーダーの微小接触部を磁気感受部と基準磁性部間に作製する方法である。
【0014】
図2は,手段2による磁気センサーの製造方法の概略と,その製造方法によって製造された磁気センサーの構造を説明する概念図である。
【0015】
図2(a)は,下部電極1,磁気感受部2,絶縁部3,基準磁性部4を成膜した状態を表している。ここで,図のように絶縁部3と基準磁性部4は磁気感受部2より小さな面積で成膜されており,磁気感受部2と基準磁性部4は絶縁部3によって電気的に絶縁されている。この上面,すなわち基準磁性部4と磁気感受部2上に蒸着法,スパッタ法,レーザーアブレーション法,気相成長法等によって磁性体を成膜する。図では成膜された磁性体を黒丸で示しているが,成膜量が極少量のため磁性体同士が接触する頻度がそれほど高くなく,島状に成長している状況を示している。この状況から成膜量を徐々に増やすと,磁気感受部2と基準磁性部4の段差部部分が成膜された磁性体によって導通する箇所が現れる。成膜量を制御すると,その導通部の寸法をナノメーターサイズに制御することができ,微小接触部7を形成することができる。
【0016】
その後,磁区制御部5と上部電極6を基準磁性部4上に成膜した状況を図2(b)に示す。上下電極部間に電源,電流計を挿入し,上下電極間の抵抗値を測定できるようにするとこの磁気センサー近傍の磁界を計測することが可能となる。微小接触部7の寸法がナノメーターオーダーになると,大きなMRを得ることが可能となる。
【0017】
上記手段2は成膜量で接触部の面積を制御するので,手段1と比べて容易に制御することが可能である。これは蒸着法,スパッタ法等では比較的容易に極少量の成膜量を制御することができることによる。ただし,この手法では磁気的接触部を特定の場所に選択的に形成することはできない。
【0018】
手段 3
磁気感受部と絶縁部を接触させて配置した後,以下の微細加工技術を利用して絶縁部に磁気感受部が露出した微小な領域を形成することができる。その微細加工技術とは、絶縁部にレジストを塗布し,露光(電子線描画),現像の過程を経てレジストの一部を取り除く。その後,反応性イオンエッチングによって絶縁部をエッチングする。このとき,絶縁部は一様にエッチングされるのではなく,すり鉢状にエッチングされるので,適当な時間でエッチングを止めると,ナノメーターオーダーの磁気感受部が露出した微小領域を絶縁部に作ることが可能となる。その後,レジストを取り除き,基準磁性部を絶縁部上に形成すると,前記露出部で磁気感受部と基準磁性部がナノメーターオーダーの微細接触部を形成することが可能となる。
【0019】
手段 4
絶縁部にナノメーターオーダーの磁気感受部の微小領域を露出させるまでは,手段3と同様である。その後,上記微小領域部に気相成長法等で針状磁性体(ウィスカー)を形成する。レジストを取り除き,絶縁体で針状磁性体を埋め,さらに針状磁性体の頭部が絶縁体から露出するまで研磨する。引き続き絶縁体上に基準磁性部を形成すると,針状磁性体の頭部と基準磁性部が接触することになる。針状磁性体の頭部は十分その寸法を小さくすることが可能なので,針状磁性体と基準磁性部間にナノメーターオーダーの微細接触部を形成することが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。以下では,本発明をハードディスク装置で使用される再生磁気ヘッドに応用した例について説明する。なお、以下の実施例は、先に自由層を形成し、そのあとに固定層を形成する場合を例に説明するが、先に固定層を形成し、そのあとに自由層を形成してもよい。すなわち、本発明では、特に理由がある場合を除いて自由層と固定層の積層順序は問わない。
【0021】
〔実施例1〕
本発明の実施例1を図3による説明する。図3の(a)から(k)は,磁気ヘッド作製プロセスを示したものである。図は磁気ヘッドの主要部の断面,すなわちエアーベアリングサーフェス面(ABS面,浮上面)を表す。成膜方向は紙面上方から手前方向である。
【0022】
図3(a)は,磁気シールド108,絶縁層109,電極110,自由層111,レジスト112を積層した状態を表している。ここで,磁気シールド108は浮遊磁界をシールドするためのもので,NiFe合金,NiFeCo合金など透磁率の高い磁性体を使用し,膜厚は数十nm以上とする。絶縁層109は電気的に絶縁するためのもので,Al2O3,SiO2,AlN,Si3N4などの導電率の低い素材を使用し,膜厚は数nm以上とする。電極110は素材として導電率の高いものでAu,Ag,Cu,Al,Ptなど使用し,膜厚は数nm以上とする。自由層111は磁界をセンスする部分であり,外部磁界に対して自由層内部の磁化が敏感に追従しなければならない。その素材は透磁率の高いNi,Fe,Co,NiFe合金,CoFe合金,CoNiFe合金,あるいはこれらの磁性多層膜などを使用し,膜厚は数nm(例えば,3から4nm)とする。レジスト112はここでは電子線用のネガ型レジストを使用する。
【0023】
(b)では,(a)で積層したレジスト112に細く絞った電子ビーム113を照射し,最終的な自由層の形状を描画する。その描画領域を成膜方向から見た図を(b)の右側に示した。(c)は電子線描画後,現像,エッチングして得られたものを示したものである。なお,ここではアンダーカットを入れたレジスト112を使用しており,レジスト下部がえぐれている。また,エッチングは電極110が図で示すような形状となるように制御する。
【0024】
(d)は,絶縁層109を成膜した状態を示す。ここで,絶縁層109はレジスト112のアンダーカット内部にも侵入し,自由層111上にものり上げる。さらに磁区制御層114,絶縁層109を成膜し,その状態を(e)に示す。磁区制御層114は自由層111内部の磁化方向を一方向に向ける(単磁区化する)ように自由層114に磁界を印加するためのものである。磁区制御層114としては保磁力の大きい永久磁石,例えばCo合金などを使用する。ここでは,自由層111の磁化が左向き,あるいは右向きになるように磁界が印加される。(f)は,リフトオフにより,レジスト112を取り除いた状態を示している。
【0025】
さらに,(g)に示すように,レジスト112を塗布後,再度電子描画を行う。ただし,ここで使用するレジスト112はポジ型を使用する。描画領域は(g)の右側に示しており,自由層111と一部重なるように描画している。本例では,描画領域の境界線と自由層111のヘッド奥行き方向に延びる境界線が斜めに交差するように,描画領域の境界線を設定している。現像後,固定層115,反強磁性層116,電極110を成膜した状態を(h)に示す。固定層115はNi,Fe,Co,NiFe合金,CoFe合金,CoNiFe合金,あるいはこれらの磁性多層膜などを使用し,膜厚は数nmとする。反強磁性層116は固定層115にバイアス磁界を印加するためのもので,MnPt合金,PdMnPt合金,NiMn合金などを使用する。これにより,固定層115の磁化は一方向に固定することが可能となる。ここでは,紙面に対して垂直な方向としている。
【0026】
リフトオフ処理をすると,(h)の左側に示した描画領域のみ固定層115,反強磁性層116,電極110が残ることになる((i)参照)。その後,さらに絶縁層109,磁気シールド108を(j)に示すように成膜する。最後に,(k)に示すように,浮上面を機械研磨し,自由層111の膜面積を減少させる。このとき,(k)の右側に示したように自由層111と固定層115との接触面積は徐々に小さくなり,その寸法がナノメーターオーダーになったところで研磨を中止するようにする。最終的に得られた接触面積部分を図では磁性ナノコンタクト部117で示している。
【0027】
研磨をどの時点で止めるかは,2つの方法で決めることができる。図1の方法は研磨時間で制御する方法である。あらかじめ,研磨時間に対する電極110間の抵抗値,すなわち自由層111と固定層115間の抵抗値の関係を調べておき,所望の抵抗値での研磨時間を決める方法である。接触部の面積とその抵抗値は反比例の関係にあるので,そこでの抵抗値を調べることで磁性ナノコンタクトを作製することができる。第2の方法は電極110間の抵抗値を研磨中モニターする方法である。電極110間の抵抗値が予定の抵抗値になった時点で研磨を中止する。代用方法として電極110間を直接モニターしなくても,この素子近傍に抵抗測定用のダミーの素子を配置し,その抵抗値をモニターすることでも研磨時間を制御することが可能である。研磨の精度は,機械研磨の最後をミリング法,スパッタ法での研磨に切り替えることでさらに向上させることができる。ミリング法,スパッタ法の研磨速度は機械研磨の研磨速度より遅いので,それらの手法ではナノメータ以下の研磨精度を比較的簡単に得ることができる。このときも電極110間の抵抗値をモニターし,ミリング(スパッタ)時間を制御することができる。
【0028】
高速にデータ転送を行うには,電極間抵抗値を低く設定する必要があり,データ転送速度に対応して電極間抵抗値を決定する必要がある。現状のデータ転送速度を考えると数オーム以上,100オーム以下の抵抗値でなければならない。例えば,電極間抵抗値を50オームになるように制御する。このため機械研磨はこの抵抗値内に入るように制御する必要があり,必ずしも磁気抵抗効果が最大となるわけではない。しかし,Chopra等がPhysical Review B66, 20403(R) (2002)で報告しているように,素子抵抗が数オームで巨大な磁気抵抗効果を示すので,大きなBMRを示す抵抗値と高速データ転送の要請からくる抵抗値は大きくかけ離れていない。また,BMRは広い抵抗値の範囲で大きい値を示すので(上記論文参照),高速データ転送の要請から決まる抵抗値としても問題ない。以上により,自由層111と固定層115間に磁性ナノコンタクト部117を形成することが可能となり,大きなMRを期待することができる。
【0029】
なお,(c)でアンダーカットを入れたレジスト112を使用した。アンダーカットを入れることによって,最終的に得られる磁性ナノコンタクト部117は自由層111のエッジ部から多少内部に形成される。これはアンダーカットがあるため,絶縁層109が自由層111に載り上がるためで,その載り上がる幅だけ磁性ナノコンタクト部117は内部に形成される。これは再生磁気ヘッドの感度向上に役立つ。自由層111を単磁区化するために磁区制御層114を用い自由層111に磁界を印加している。自由層111のエッジ部(磁区制御層114に近い部分)の磁化はその磁界のため,外部の磁界に対する応答性が悪くなっている。自由層111内部では磁区制御層114からの磁界も弱まるので,その影響が減少する。そのため,磁性ナノコンタクト部117はできるだけ自由層111のエッジ部から離れたところに形成するほうがよい。
【0030】
本実施例では,自由層111は磁性単層膜としたが,磁性多層膜,磁性/非磁性多層膜でもよい。固定層115も同様である。これには,例えば,1)BMRの大きな磁性材料の組み合わせを自由層111と固定層115に選ぶ,2)BMRの大きな磁性材料と異方性の制御しやすい磁性材料との組み合わせを使う(多層膜),3)BMRの大きな磁性材料と耐食性の良好な磁性材料(または非磁性材料)を使用する,4)磁性単層膜より大きなBMRを示す磁性多層膜を使用するなどが考えられる。一方,固定層115の磁区固定に反強磁性層116を使用しているが,これは永久磁石,フェリ磁性体等でもよく,また,固定層115と反強磁性層116を永久磁石,フェリ磁性体で代用してもよい。以上のことは以下の実施例でも同様である。
【0031】
図4は,自由層111と固定層115との間に,2個の磁性ナノコンタクト部117を形成する場合を示したものである。図4の(a),(b)はそれぞれ,図3の(g),(k)に対応した図である。本例では,自由層111と重なる部分の描画部の境界線をV字状にし,描画部の境界線と自由層111のヘッド奥行き方向に延びる境界線とが2箇所で斜めに交差するようにしている。その他のプロセスは図3と同様である。この場合,図4(b)に示すように,自由層111と固定層115との間の磁性ナノコンタクト部117が2箇所になるので,磁性ナノコンタクト部117の1箇所が何らかの理由で正常に動作しない場合でも,もう一つのコンタクト部を使用することが可能となる。
【0032】
図5は,図3の磁区制御層114の役割を自由層111直下に配置した反強磁性層116,強磁性層118,中間層119で代用したものである。この場合,自由層111には強磁性層118からの磁界が印加されることになる。反強磁性層116にはIrMn,RhMn,RuRhMnなどを使用する。この反強磁性層116のブロッキング温度は固定層115の磁化を固定するために使用する反強磁性層116のブロッキング温度と異なるようにした。このブロッキング温度が異なることを利用して,固定層115,強磁性層118の磁化方向をそれぞれ90度異なった方向へ固定することが可能となる。具体的には,まず高温側のブロッキング温度以上から磁界中冷却処理することで,例えば固定層115の磁化を固定する。その後,低温側のブロッキング温度以上から磁界中冷却処理することで,強磁性層118の磁化を固定することができる。この処理中,固定層115の磁化は変化を受けない。
【0033】
図6は,図3において,磁気シールド108と電極110との間に挿入されている絶縁層109を取り除いたものである。この場合,磁気シールド108に電極の機能をもたせる。図中の金属層120は電極110と同様の素材のものでよい。図3と比べると,磁気シールド108間の距離が短くなるので,つまりギャップ長が短くなるので,高密度磁気記録に適したものとなる。
【0034】
〔実施例2〕
本発明の実施例2を図7により説明する。実施例1の技術を使用することによって,図7(a)のように,磁気シールド208,絶縁層209,電極210,絶縁層209,自由層211,磁区制御層214,非磁性中間層219,反強磁性層216,固定層215で構成されたものを作製することが可能である。ここで,固定層215は自由層211の周りに配置しており,絶縁層209によって自由層211と電気的に絶縁されている。これに非常に薄く磁性体を(b)で示すように成膜する。この磁性体(成膜粒子221)は,自由層211,あるいは固定層215と通常同じ材料とする。しかし,別の材料を使用してもBMRを得ることは可能である。(b)には,蒸着法,あるいはスパッタ法にて成膜する場合を示している。このとき,成膜量は蒸着時間,スパッタ時間で制御する。あるいは,自由層211と固定層215の間の抵抗値をモニターすることで制御する。この成膜量の制御は基本的に実施例1の浮上面研磨と同様である。最終的に電極間抵抗は実施例1と同様にし,例えば,電極間抵抗値を40オームになるように制御する。抵抗値40オームは実施例1の50オームより小さいので,本実施例は実施例1より高速データ転送に適していると言える。
【0035】
図8は図7の変形例を示し,図7(b)での磁性体の成膜方法をメッキ法にかえたものである。ここで,例えば固定層215に負の電位を印加し,電極223に正の電位を印加して,メッキ溶液中で固定層215に磁性体を成膜する。電極223の先端は十分細くし,成膜したいところの近傍に配置する。このとき,印加電位によってメッキ溶液内に生じる電界は電極223近傍に限定されるので,その電界近傍のみの溶液中の磁性イオンが固定層215に析出されることになる。図ではその析出物を成膜部222で示している。また,成膜を固定層215ではなく,自由層211上に行ってもよい。この場合,自由層211を負の電位となるように回路を構成する。さらに,自由層211,固定層215両方に成膜してもよい。成膜量は時間,あるいは自由層211と固定層215間の抵抗値をモニターすることで制御することが可能である。図8でも電極間の抵抗値は実施例1と同様にし,例えば,電極間抵抗値を30オームになるように制御する。
【0036】
この例では成膜場所は浮上面から一番遠い自由層211と固定層215とのギャップに設定しているが,その他場所でもよい。この例のように浮上面から遠い場所で成膜した場合,磁気ヘッドがクラッシュ等で浮上面がダメージを受けた際,磁性ナノコンタクト部217がダメージを受ける可能性が低いので,クラッシュ等に強いヘッド構造といえる。
【0037】
〔実施例3〕
本発明の実施例3を図9により説明する。実施例1と同様の方法で,図9(a)に示すようなものを作製することが可能である。この状態は実施例1の(g)に相当する。ただし,(a)ではレジスト312をポジ型のものを使用し,電子ビーム313で描画する領域が実施例1(g)と異なる。描画領域は浮上面側に突出した角部を有し,その角部が自由層の中央付近に位置するように設定されている。(b)では,(a)で作製したものを現像した後,絶縁層309,固定層315,反強磁性層316,電極310を成膜した状態を示している。さらにリフトオフによって,(c)で示すように描画領域のみに(b)で成膜したものが残るようにする。
【0038】
(d)では,メッキ法にて磁性体を固定層315に成膜し,磁性ナノコンタクト部317を作製する。これは実施例2(図8)で説明したような方法で行う。ただし,電極323を使用しなくてもよい(使用してもよい)。また,成膜を固定層315ではなく,自由層311上に行ってもよい。この場合,自由層311が負の電位となるように回路を構成する。さらに,自由層311,固定層315両方に成膜してもよい。成膜量は時間,あるいは自由層311と固定層315間の抵抗値をモニターすることで制御することが可能である。磁性ナノコンタクト部317を作製した後,(e)で示すように絶縁層309,磁気シールド308を成膜する。さらに,実施例1のように浮上面加工を行う。このとき,例えば,電極間抵抗値を20オームになるように制御する。
【0039】
この例では成膜場所は浮上面から比較的遠い自由層311上に設定している。この場合,磁気ヘッドがクラッシュ等で浮上面がダメージを受けた際,磁性ナノコンタクト部317がダメージを受ける可能性が低いので,クラッシュ等に強いヘッド構造といえる。また,磁性ナノコンタクト部317を自由層311の真中近傍の外部磁界に敏感な所(実施例1参照)に形成することができるので,高感度な再生磁気ヘッドの構造といえる。
【0040】
〔実施例4〕
本発明の実施例4を図10により説明する。図10(a)は,磁気シールド408,絶縁層409,電極410,自由層411,絶縁層409,レジスト412を積層した状態を表している。(b)では,(a)で積層したものに細く絞った電子ビーム413をレジスト412に照射し,円形状に描画する。その描画領域を成膜方向から見た図を(b)の右側に示した。(c)は,現像,エッチングして得られたものを示したものである。さらに(d)に示すように,反応性イオンエッチング(RIE)で絶縁層409をすり鉢状にエッチングする。
【0041】
このとき,すり鉢状の底で直径数nm程度の穴があくようにエッチング時間を制御する。その穴では自由層が露出することになり,そこが磁性ナノコンタクト部となる。コンタクト面積の精密な制御はダミーの素子を使用することで可能となる。図10と同様にダミー素子を本素子わきに作製しておき,RIE時2次イオン質量分析法(SIMS)等で自由層411の元素を検出する。その検出量が所定の値に達したところでRIEを終了するように制御すると所望の絶縁層409のコンタクトホールが完成する。ただし,SIMSの検出感度を確保するため,ダミー素子では本素子より広い領域で自由層411が露出するようにデザインする必要がある。
【0042】
さらに,リフトオフ後,固定層415を成膜((e)参照),平坦化((f)参照),反強磁性層416,電極410を成膜する((g)参照)。レジスト塗布後,電子ビーム413で(h)のようにナノコンタクト部417が描画領域の中心付近に位置するように描画し,現像,エッチング,成膜((i),(j)参照)と進めることで,最終的に(j)に示したような磁気ヘッドを得ることができる。電極間抵抗値は,実施例1と同様に,例えば,電極間抵抗値を50オームになるように制御する。そのため,あらかじめ上記RIEと電極間抵抗値の関係を調べておき,最終的に所望の抵抗値が得られるようにRIE,SIMS等を利用して制御する。
【0043】
図11は,図10の磁区制御層414の役割を自由層411直下に配置した反強磁性層416,強磁性層418,中間層419で代用したものである。これは図5で説明したものと同様である。
【0044】
図12は,図10において,磁気シールド408と電極410との間に挿入されている絶縁層409を取り除いたものである。この場合,磁気シールド408に電極の機能をもたせる。図中の金属層420は電極410と同様の素材のものでよい。図10と比べると,磁気シールド408間の距離が短くできるので(ギャップ長を短くできるので),高密度磁気記録に適したものとなる。
【0045】
図13は,図10の(b)の描画領域を矩形状に変更した変形例の説明図である。(a)は最終的に得られる構成で,(b)に浮上面加工前後の自由層411と磁性ナノコンタクト部417の関係を表したものである。浮上面加工前の磁性ナノコンタクト部は直線状の形状を有する。この例では,浮上面加工によって,最終的な磁性ナノコンタクト部の寸法を決めることができる。一方,図10,11,12では反応性イオンエッチングでその寸法を制御する必要があり,上記したようにSIMSの検出感度を確保するにはダミー素子を使う必要がある。しかし,浮上面加工は実素子そのものの抵抗値をモニターできるので,歩留まり向上には図13の手法が適しているといえる。
【0046】
〔実施例5〕
本発明の実施例5を図14により説明する。本実施例は実施例4と同様のプロセスを利用するが,磁性ナノコンタクト部517の作製方法が異なる。図10(d)で得られたコンタクトホールを利用し,気相成長法により,針状の磁性体524を成長させる((a)参照)。これに絶縁層509を成膜し((b)参照),平坦化により針状(ウィスカー)の磁性体524の一部が露出するようにする((c)参照)。ここが磁性ナノコンタクト部となる。ここで,磁性体524の一部露出した寸法を数十ナノメータ以下とするため,図14の磁性層524が成長を開始する部分(絶縁層509のホール径)の寸法を数百ナノメータ以下,例えばここでは100nm以下としている。この微小な領域から成長する針状磁性体524はその先端が十分細いものとなる。その他のプロセスは実施例4と同様である。
【0047】
磁性体524は,自由層511,あるいは固定層515と同じ材料とするか,あるいは他の磁性材料でもよい。また,磁性多層膜,磁性/非磁性多層膜等でもよい。さらに針状磁性体524の成長過程で磁性体524の元素以外のものを添加しながら成長させてもよい。その効果は,実施例1のところで磁性多層膜,磁性/非磁性多層膜の効用を指摘したが,それと同様である。
【0048】
本実施例では気相成長法により,針状磁性体524を成長させるが,この磁性体524の結晶性は通常スパッタ法,蒸着法等よりもよい。このため,他の実施例より大きなMRを得ることが可能である。ただし,結晶性をよくするためには成長温度を高めに設定する必要がある。
【0049】
〔実施例6〕
本発明の実施例6を図15により説明する。図15に示したのは,記録媒体625,記録媒体625を回転させるスピンドル626,磁気ヘッドを載せたヘッドスライダー627,ヘッドスライダー627を保持するジンバル628,ジンバル628を駆動するアクチュエーター629,記録ヘッドへ信号を送り,かつ再生ヘッドからの信号を処理する信号処理系630より構成されるハードディスク装置である。本実施例のハードディスク装置は,実施例1から5で説明した再生ヘッドをヘッドスライダー627へ搭載している。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば,磁性ナノコンタクトを有する自由層と固定層を再生磁気ヘッド内に作製することが可能となり,巨大な磁気抵抗効果を得ることができ,また,素子抵抗が数十オーム以下で大きなMRを得ることができるので高周波特性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の手段1による磁気センサーの製造方法の概略と,その製造方法によって製造された磁気センサーの構造を説明する概念図。
【図2】本発明の手段2による磁気センサーの製造方法の概略と,その製造方法によって製造された磁気センサーの構造を説明する概念図。
【図3】実施例1の磁気ヘッド作製プロセスの説明図。
【図4】2個の磁性ナノコンタクト部を形成する例を示した図。
【図5】図3の変形例を示す図。
【図6】図3の変形例を示す図。
【図7】実施例2の磁気ヘッド作製プロセスの説明図。
【図8】図7の変形例を示す図。
【図9】実施例3の磁気ヘッド作製プロセスの説明図。
【図10】実施例4の磁気ヘッド作製プロセスの説明図。
【図11】図10の変形例を示す図。
【図12】図10の変形例を示す図。
【図13】図10の変形例を示す図。
【図14】実施例5の磁気ヘッド作製プロセスの説明図。
【図15】ハードディスク装置の説明図。
【符号の説明】
1:下部電極,2:磁気感受部,3:絶縁部,4:基準磁性部,5:磁区制御部,6:上部電極,7:微小接触部,8:磁気シールド,9:絶縁層,10:電極,11:自由層,12:レジスト,13:電子ビーム,14:磁区制御層,15:固定層,16:反強磁性層,17:磁性ナノコンタクト部,18:強磁性層,19:中間層,20:金属層,21:成膜粒子,22:成膜部,23:電極,24:磁性体,
108:磁気シールド,109:絶縁層,110:電極,111:自由層,112:レジスト,113:電子ビーム,114:磁区制御層,115:固定層,116:反強磁性層,117:磁性ナノコンタクト部,118:強磁性層,119:中間層,120:金属層,
208:磁気シールド,209:絶縁層,210:電極,211:自由層,214:磁区制御層,215:固定層,216:反強磁性層,217:磁性ナノコンタクト部,219:中間層,221:成膜粒子,222:成膜部,223:電極,
308:磁気シールド,309:絶縁層,310:電極,311:自由層,312:レジスト,313:電子ビーム,315:固定層,316:反強磁性層,317:磁性ナノコンタクト部,323:電極,
408:磁気シールド,409:絶縁層,410:電極,411:自由層,412:レジスト,413:電子ビーム,414:磁区制御層,415:固定層,416:反強磁性層,417:磁性ナノコンタクト部,418:強磁性層,419:中間層,420:金属層,
509:絶縁層,511:自由層,515:固定層,517:磁性ナノコンタクト部,524:磁性体,
625:記録媒体,626:スピンドル,627:ヘッドスライダー,628:ジンバル,629:アクチュエーター,630:信号処理系
Claims (24)
- 内部磁化が外部磁界の変化に追随して変化する第1の磁性層と、前記第1の磁性層に寸法が100ナノメータ以下の接触部を介して接触し内部磁化が固定されている第2の磁性層とを備え、磁気抵抗効果によって外部磁界を検出する再生磁気ヘッドの製造方法において,
前記第1又は第2の磁性層のうちの一方の磁性層を形成するステップと、
前記一方の磁性層を、直線状の辺を少なくとも1つ有する形状に加工するステップと、
他方の磁性層を形成するステップと、
前記他方の磁性層を、輪郭線の一部が前記直線状の辺と斜めに交差する形状に加工するステップと、
前記第1の磁性層と第2の磁性層が接触している領域の面積を減少させるように、前記第1の磁性層と第2の磁性層の積層構造を浮上面側から加工するステップと
を含むことを特徴とする再生磁気ヘッドの製造方法。 - 請求項1記載の再生磁気ヘッドの製造方法において,前記接触領域の寸法が20ナノメータ以下となるように前記第1の磁性層と第2の磁性層の積層構造を浮上面側から加工することを特徴とする再生磁気ヘッドの製造方法。
- 請求項1記載の再生磁気ヘッドの製造方法において,前記一方の磁性層を矩形形状に加工し、前記他方の磁性層を、前記一方の磁性層の浮上面側から内部に向かって延びる辺と斜めに交差する辺を有し、前記一方の磁性層の浮上面側の一部と重なる形状に加工することを特徴とする再生磁気ヘッドの製造方法。
- 請求項1記載の再生磁気ヘッドの製造方法において,前記一方の磁性層を矩形形状に加工し、前記他方の磁性層を、前記一方の磁性層の浮上面側から内部に向かって延びる2つの辺とそれぞれ斜めに交差する2つの辺を有し、前記一方の磁性層の浮上面側の一部と重なる形状に加工することを特徴とする再生磁気ヘッドの製造方法。
- 請求項3記載の再生磁気ヘッドの製造方法において、前記一方の磁性層は第1の磁性層であり、前記一方の磁性層を矩形形状に加工するステップはアンダーカットを入れたレジストをマスクとするエッチングによって行うことを特徴とする再生磁気ヘッドの製造方法。
- 内部磁化が外部磁界の変化に追随して変化する第1の磁性層と、前記第1の磁性層に寸法が100ナノメータ以下の接触部を介して接触し内部磁化が固定されている第2の磁性層とを備え、磁気抵抗効果によって外部磁界を検出する再生磁気ヘッドの製造方法において,
前記第1又は第2の磁性層のうちの一方の磁性層を形成するステップと、
アンダーカットを入れたレジストをマスクとするエッチングによって前記一方の磁性層を矩形形状に加工するステップと、
前記矩形形状の縁部にのり上げるように絶縁層を形成するステップと
他方の磁性層を形成するステップと、
リフトオフにより前記レジストを除去するステップと、
前記絶縁層の上に前記第1の磁性層と第2の磁性層を接続する寸法が100ナノメータ以下の磁性接触部を形成するステップと
を含むことを特徴とする再生磁気ヘッドの製造方法。 - 請求項6記載の再生磁気ヘッドの製造方法において、前記磁性接触部を形成するステップは蒸着法,スパッタ法,レーザーアブレーション法,メッキ法,又は気相成長法によって少なくとも1個の磁性微粒子あるいは磁性薄膜を形成するステップであることを特徴とする再生磁気ヘッドの製造方法。
- 内部磁化が外部磁界の変化に追随して変化する第1の磁性層と、前記第1の磁性層に寸法が100ナノメータ以下の接触部を介して接触し内部磁化が固定されている第2の磁性層とを備え、磁気抵抗効果によって外部磁界を検出する再生磁気ヘッドの製造方法において,
前記第1又は第2の磁性層のうちの一方の磁性層を形成するステップと、
前記一方の磁性層の中央部付近に縁部が位置するように絶縁層及び前記第1又は第2の磁性層のうちの他方の磁性層を含む積層膜を形成するステップと、
前記絶縁層の上に前記第1の磁性層と第2の磁性層を接続する寸法が100ナノメータ以下の磁性接触部を形成するステップと
を含むことを特徴とする再生磁気ヘッドの製造方法。 - 請求項8記載の再生磁気ヘッドの製造方法において、前記磁性接触部を形成するステップは、メッキ法にて磁性膜を前記第1の磁性層及び/又は第2の磁性層に成膜するステップであることを特徴とする再生磁気ヘッドの製造方法。
- 内部磁化が外部磁界の変化に追随して変化する第1の磁性層と、前記第1の磁性層に寸法が100ナノメータ以下の接触部を介して接触し内部磁化が固定されている第2の磁性層とを備え、磁気抵抗効果によって外部磁界を検出する再生磁気ヘッドの製造方法において,
前記第1又は第2の磁性層のうちの一方の磁性層を形成するステップと、
絶縁層を形成するステップと、
レジストをマスクとする反応性エッチングによって前記絶縁層にすり鉢状の穴を形成し穴の底に前記一方の磁性層を露出させるステップと、
前記絶縁層に形成したすり鉢状の穴を充填するように他方の磁性層を形成するステップと
を含むことを特徴とする再生磁気ヘッドの製造方法。 - 請求項10記載の再生磁気ヘッドの製造方法において、前記すり鉢状の穴は外形が円形であって前記穴の底に前記一方の磁性層を点状に露出させることを特徴とする再生磁気ヘッドの製造方法。
- 請求項10記載の再生磁気ヘッドの製造方法において、前記すり鉢状の穴は外形が矩形であって前記穴の底に前記一方の磁性層を線状に露出させるものであり、前記穴の底に形成された前記第1の磁性層と第2の磁性層の線状の接触部の長さを減少させるように、前記第1の磁性層と第2の磁性層の積層構造を浮上面側から加工するステップを更に有することを特徴とする再生磁気ヘッドの製造方法。
- 内部磁化が外部磁界の変化に追随して変化する第1の磁性層と、前記第1の磁性層に寸法が100ナノメータ以下の接触部を介して接触し内部磁化が固定されている第2の磁性層とを備え、磁気抵抗効果によって外部磁界を検出する再生磁気ヘッドの製造方法において,
前記第1又は第2の磁性層のうちの一方の磁性層を形成するステップと、
絶縁層を形成するステップと、
レジストをマスクとする反応性エッチングによって前記絶縁層にすり鉢状の穴を形成し穴の底に前記一方の磁性層を露出させるステップと、
気相成長法により前記露出した一方の磁性層に針状の磁性体を成長させるステップと、
絶縁層を成膜し前記すり鉢状の穴を埋めるステップと、
前記針状の磁性体を含む絶縁層を平坦化し、前記針状の磁性体の断面を露出させるステップと、
他方の磁性層を形成するステップと
を含むことを特徴とする再生磁気ヘッドの製造方法。 - 内部磁化が外部磁界の変化に追随して変化する第1の磁性層と、前記第1の磁性層に寸法が100ナノメータ以下の接触部を介して接触し内部磁化が固定されている第2の磁性層と、前記接触部に通電するために前記第1の磁性層及び第2の磁性層に接続された一対の電極とを備え、磁気抵抗効果によって外部磁界を検出する再生磁気ヘッドにおいて,
前記第1の磁性層と第2の磁性層とは膜の面内方向にずれて形成され、前記接触部において重なっていることを特徴とする再生磁気ヘッド。 - 請求項14記載の再生磁気ヘッドにおいて、前記接触部は浮上面近傍に位置することを特徴とする再生磁気ヘッド。
- 請求項14記載の再生磁気ヘッドにおいて、前記第1の磁性層と第2の磁性層のうちの一方の磁性膜は浮上面に一辺が面する矩形形状を有し、他方の磁性膜は浮上面に平行な方向の寸法が浮上面から離れるに従って短くなる形状を有することを特徴とする再生磁気ヘッド。
- 請求項14記載の再生磁気ヘッドにおいて、前記接触部は浮上面近傍に位置し、前記接触部に隣接して前記第1の磁性層と第2の磁性層とが接触せずに重なりあっている領域を有することを特徴とする再生磁気ヘッド。
- 内部磁化が外部磁界の変化に追随して変化する第1の磁性層と、前記第1の磁性層に寸法が100ナノメータ以下の接触部を介して接触し内部磁化が固定されている第2の磁性層と、前記接触部に通電するために前記第1の磁性層及び第2の磁性層に接続された一対の電極とを備え、磁気抵抗効果によって外部磁界を検出する再生磁気ヘッドにおいて,
前記第1の磁性層と第2の磁性層は、絶縁層を介して一方の磁性層の周囲を他方の磁性層が囲むように配置され、前記絶縁層の少なくとも一箇所に前記接触部が形成されていることを特徴とする再生磁気ヘッド。 - 請求項18記載の再生磁気ヘッドにおいて、前記一方の磁性層は矩形形状を有し、前記接触部は浮上面に平行な内部の辺に設けられていることを特徴とする再生磁気ヘッド。
- 内部磁化が外部磁界の変化に追随して変化する第1の磁性層と、前記第1の磁性層に寸法が100ナノメータ以下の接触部を介して接触し内部磁化が固定されている第2の磁性層と、前記接触部に通電するために前記第1の磁性層及び第2の磁性層に接続された一対の電極とを備え、磁気抵抗効果によって外部磁界を検出する再生磁気ヘッドにおいて,
前記第1の磁性層と第2の磁性層のうちの一方の磁性層は浮上面から内部に延びる矩形形状を有し、他方の磁性層は浮上面より内部の位置から絶縁層を介して前記一方の磁性層に積層され、前記接触部は前記他方の磁性層の浮上面側の先端部に設けられていることを特徴とする再生磁気ヘッド。 - 内部磁化が外部磁界の変化に追随して変化する第1の磁性層と、前記第1の磁性層に寸法が100ナノメータ以下の接触部を介して接触し内部磁化が固定されている第2の磁性層と、前記接触部に通電するために前記第1の磁性層及び第2の磁性層に接続された一対の電極とを備え、磁気抵抗効果によって外部磁界を検出する再生磁気ヘッドにおいて,
前記第1の磁性層と第2の磁性層は間に絶縁層を介して積層され、一方の磁性層は他方の磁性層に向けて前記絶縁層中を延びる先細形状の凸部を有し、前記凸部の先端で他方の磁性膜に接触して前記接触部を形成していることを特徴とする再生磁気ヘッド。 - 請求項21記載の再生磁気ヘッドにおいて,前記凸部は円錐形であり、前記接触部は浮上面より内部の位置に設けられていることを特徴とする再生磁気ヘッド。
- 請求項21記載の再生磁気ヘッドにおいて,前記凸部は四角錐であり、前記接触部は浮上面に設けられていることを特徴とする再生磁気ヘッド。
- 内部磁化が外部磁界の変化に追随して変化する第1の磁性層と、前記第1の磁性層に寸法が100ナノメータ以下の接触部を介して接触し内部磁化が固定されている第2の磁性層と、前記接触部に通電するために前記第1の磁性層及び第2の磁性層に接続された一対の電極とを備え、磁気抵抗効果によって外部磁界を検出する再生磁気ヘッドにおいて,
前記第1の磁性層と第2の磁性層は間に絶縁層を介して積層され、前記絶縁層は前記第1の磁性層と第2の磁性層を結ぶ針状磁性体を含むことを特徴とする再生磁気ヘッド。
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