JP2009070451A - 磁気ヘッド及びこれを備えた磁気ディスク装置、並びに磁気ヘッドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】フリー強磁性層の磁区制御を強め、ノイズの発生し難い磁気ヘッド、磁気ディスク装置、及び磁気ヘッドの製造方法を提供すること。
【解決手段】磁気抵抗効果膜32と、磁気抵抗効果膜32にバイアス磁場を印加してフリー強磁性層32gの磁区制御をおこなう磁区制御層34と、磁気抵抗効果膜32と前記磁区制御層34との間に形成された絶縁層33とを備えた磁気ヘッド30において、絶縁層33の厚さを記録媒体対向面側から反対側にかけて異なる厚さに設定する。これにより、フリー強磁性層32g中のバイアス磁場が記録媒体対向面から反対側にかけて、均一に、又は減少するように分布し、フリー強磁性層32g中の磁区制御性が向上する。
【選択図】図4
【解決手段】磁気抵抗効果膜32と、磁気抵抗効果膜32にバイアス磁場を印加してフリー強磁性層32gの磁区制御をおこなう磁区制御層34と、磁気抵抗効果膜32と前記磁区制御層34との間に形成された絶縁層33とを備えた磁気ヘッド30において、絶縁層33の厚さを記録媒体対向面側から反対側にかけて異なる厚さに設定する。これにより、フリー強磁性層32g中のバイアス磁場が記録媒体対向面から反対側にかけて、均一に、又は減少するように分布し、フリー強磁性層32g中の磁区制御性が向上する。
【選択図】図4
Description
本発明は、磁気ディスク装置等に使用される磁気ヘッドに関し、特に磁気記録媒体から情報を読み出す再生素子として巨大磁気抵抗効果素子やトンネル磁気抵抗効果素子等の磁気抵抗効果素子を備えた磁気ヘッド及びこれを備えた磁気ディスク装置、並びに磁気ヘッドの製造方法に関する。
磁気ディスク装置の磁気ヘッドとして、再生素子にトンネル磁気抵抗効果(TMR:Tunneling-Magneto-Resistive)素子を用いたTMRヘッドや、CPP(Current Perpendicular to Plane)型の巨大磁気抵抗効果(GMR:Giant Magneto Resistive)素子を用いたGMRヘッド等がある。
図1は従来の磁気ヘッドの要部(再生素子)を示す斜視図である。図1において、x−y平面が磁気記録媒体と対向する面(以下、記録媒体対向面と呼ぶ)であり、x方向は磁気記録媒体のトラック幅の方向(再生コア幅方向)、y方向はトラックの伸びる方向に対応する。尚、本明細書において磁気ヘッドを構成する部材の方向を特定する場合には便宜上、再生コア幅方向にx方向を採りこれを“幅方向”と呼び、磁気抵抗効果素子の膜面に垂直な方向にy方向を採りこれを“上(又は下)方向”と呼び、記録媒体対向面(x−y平面)と垂直な方向にz方向を採りこれを“奥行き方向”と呼ぶ。
図1に示すように、磁気ヘッド130は、基板151の上方に、電極を兼ねる磁気シールド層131及び135に挟まれた磁気抵抗効果膜132が形成されている。磁気抵抗効果膜132の幅方向(x方向)の両側には、幅方向(x方向)に磁化された1対の磁区制御層134が形成されている。絶縁層133は下部磁気シールド層131の上から磁気抵抗効果膜132の幅方向(x方向)の両側面の上にかけて一様な厚さに形成されている。この絶縁層133は磁区制御層134を磁気抵抗効果膜132及び下部磁気シールド層131から電気的に絶縁している。
磁気抵抗効果膜132は、TMR膜やCPP型GMR膜等からなり、図1に示すように非磁性層132fを挟んでリファレンス層132eとフリー強磁性層132gとが形成された積層構造を有する。リファレンス層132eの磁化方向は固定され、フリー強磁性層132gの磁化方向は外部磁場によって変化する。磁気抵抗効果膜132は矢印I方向に検出電流を流した場合に、フリー強磁性層132gの磁化方向がリファレンス層132eと平行のときに抵抗値が小さく、反平行のときに抵抗値が大きくなり、この抵抗値変化により外部磁場を検出する。
ところで、磁気抵抗効果膜132のフリー強磁性層132gに複数の磁区が存在すると、記録媒体からの磁場変化による磁壁の変動が不連続的、突発的に起こり、フリー強磁性層132gの磁化方向の変化が不連続となる。その結果、磁気記録媒体からの再生信号にバルクハウゼンノイズやランダムテレグラフノイズが発生してしまう。そこで、磁気ヘッド130では、図1に示すように、磁気抵抗効果膜132の幅方向(x方向)の側方に磁区制御層134を設け、フリー強磁性層132gに幅方向(x方向)のバイアス磁場を印加してフリー強磁性層132gの磁化方向を揃えて単磁区化を図っている。
本発明に関連すると思われる文献として特許文献1が存在する。特許文献1には、GMR素子の両側に絶縁層を形成することが開示されている。また、バルクハウゼンノイズの発生を抑制するため、磁気抵抗効果素子の両側にCoPt層からなる強磁性バイアス層を設けてもよいことが記載されている。
特開2002−176211号公報
しかしながら、本願発明者らの実験・研究では、フリー強磁性層の記録媒体側の部分で磁区制御が希薄となり、磁化方向が不安定になることが判明している。これにより、ノイズが発生しやすくなり、信頼性の低下を招いている。
本発明の目的は、ノイズが発生し難く信頼性の高い磁気ヘッド及びこれを備えた磁気ディスク装置、並びに磁気ヘッドの製造方法を提供することである。
本発明の一観点によれば、磁気記録媒体に記録されたデータを読み出す磁気ヘッドにおいて、前記磁気記録媒体からの磁気により抵抗値が変化する磁気抵抗効果膜と、前記磁気抵抗効果膜の両側に配置されて前記磁気抵抗効果膜のフリー強磁性層の磁区を制御する磁区制御膜と、前記磁気抵抗効果膜と前記磁区制御膜との間に形成された絶縁層とを有し、前記磁気記録媒体に対向する対向面に直交する方向における前記絶縁層の厚さ分布において、前記対向面側の端部における厚さが中央部よりも薄く設定されていることを特徴とする磁気ヘッドが提供される。
上記観点の磁気ヘッドによれば、磁区制御層によってフリー強磁性層に印加されるバイアス磁場が、記録媒体側で強められるため、磁気記録媒体からの磁場の影響が大きな部分の磁区制御性が向上し、フリー強磁性層中の磁区形成が抑制されてノイズが発生し難く信頼性の高い磁気ヘッドが得られる。
上記観点の磁気ヘッドにおいて、前記対向面に直交する方向における前記絶縁層の厚さの分布が、楕円円弧状、台形状又は階段状となるように構成してもよい。絶縁層の厚さの分布を楕円円弧状とした場合には、フリー強磁性層中の磁場分布が対向面と垂直な方向に均一となり、フリー強磁性層中の磁区制御性が向上し、ノイズが発生し難く信頼性の高い磁気ヘッドが得られる。また、絶縁層の厚さの分布を台形状や階段状としても実用上十分な磁区制御性が得られ、ノイズが発生し難く信頼性の高い磁気ヘッドが得られる。
以下、本発明の実施形態を説明する前に、フリー強磁性層の記録媒体側の部分で磁区制御が希薄となり、磁化方向が不安定になる原因について説明する。
図2は、図1に示す磁気ヘッドのフリー強磁性層に沿った断面における磁束線の分布を示す模式図であり、図3は、図1に示す磁気ヘッドのフリー強磁性層の磁区の様子を示す模式図である。
図2に示すような形状の絶縁層133を備えた磁気ヘッド130について、本願発明者らはフリー強磁性層132g中の磁場分布の測定を行った。その結果、磁区制御層134からのバイアス磁場分布は均一ではなく、奥行き方向(z方向)に関して図2に示すように記録媒体側(図2において、フリー強磁性層132gの下側)とその反対側でバイアス磁場が弱く、中央付近でバイアス磁場が強く分布していることが明らかとなった。これは、フリー強磁性層132gの記録媒体側(又はその反対側)の端部付近で外部磁場に対する感受率が異なる領域が存在することを意味する。
フリー強磁性層132gの記録媒体側の部分には中央部にくらべて大きな磁場が磁気記録媒体120から加わる。さらに、CPP型GMR膜やTMR膜等の場合には膜面に垂直方向に検出電流を流すため、検出電流によって発生した磁場がフリー強磁性層132gに加わる。このため、フリー強磁性層132gの記録媒体側(及びその反対側)の端部付近で磁区制御が希薄となり、磁化方向が不安定な領域が発生する。
このように、フリー強磁性層132g内で磁化方向が不安定な領域が存在すると、記録媒体からの漏洩磁場、印加電流の発生する磁場、及び検出電流のスピン等の影響によってフリー強磁性層132g内の磁化方向が揺らぎ、図3に示すように局所的に磁化方向の異なる磁区101が発生してノイズ発生の原因となる。
また、フリー強磁性層132g内に磁区制御が弱い領域が存在することは、長期間の電圧印加でフリー強磁性層132gの磁化状態が応力緩和等により変化した場合にフリー強磁性層132g内に磁区がより発生しやすくなり、長期信頼性の観点からも好ましくない。
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して説明する。
(磁気ヘッド)
(第1の構成例)
図4は、実施形態の第1の構成例に係わる磁気ヘッドの要部(再生素子)を示す斜視図である。図5は、実施形態の第1の構成例に係わる磁気ヘッドのフリー強磁性層内の磁束線の分布を示す模式図である。尚、図4に示す磁気ヘッド30において、x−y平面が記録媒体対向面である。
(第1の構成例)
図4は、実施形態の第1の構成例に係わる磁気ヘッドの要部(再生素子)を示す斜視図である。図5は、実施形態の第1の構成例に係わる磁気ヘッドのフリー強磁性層内の磁束線の分布を示す模式図である。尚、図4に示す磁気ヘッド30において、x−y平面が記録媒体対向面である。
図4に示すように、磁気ヘッド30は下部シールド層31とその上に形成された磁気抵抗効果膜32、絶縁層33、及び磁区制御層34と、これらの磁気抵抗効果膜32、絶縁層33及び磁区制御層34の上に形成された上部シールド層35とを備える。
下部シールド層31は、基板61の上に形成された軟磁性材料からなる層であり、磁気抵抗効果膜32の磁気シールドと下部電極とを兼ねる。
磁気抵抗効果膜32は、図4に示すように、例えば下側(基板61側)の幅が広く上側(上部シールド層35側)の幅が狭いテーパ形状に形成され、その奥行き方向(z方向)に一様な幅で伸びて形成されている。なお、必ずしも上下の幅に差がなくてもよい。磁気抵抗効果膜32は、例えば膜面に垂直方向に電流を流すTMR膜やCPP型GMR膜等として構成でき、図4に示すように基板61側から順に下地層32a、反強磁性層32b、固定強磁性層32c、非磁性結合層32d、リファレンス層32e、非磁性層32f、フリー強磁性層32g、及びキャップ層32hが形成された積層構造を有する。磁気抵抗効果膜32の大きさは、例えば幅方向(x方向)に100nm、奥行き方向(z方向)に100nm、上下方向(y方向)に30nm程度とすることができる。
絶縁層33は、図4に示すように、下部シールド層31の上から磁気抵抗効果膜32の幅方向(x方向)の両方の側面の上にかけて形成されている。磁気抵抗効果膜32の側面の上における絶縁層33の厚さ(x方向の厚さ)は、図4に示すように、記録媒体側とその反対側で狭く(薄く)、中央付近で広く(厚く)なるように形成され、上方(上部電極側)から見ると絶縁層33の磁区制御層34との境界が楕円弧状に形成されている。
この磁気抵抗効果膜32の側面の上における絶縁層33の厚さ(x方向の厚さ)は、最も薄い部分(記録媒体側及びその反対側の端部)で例えば1nm程度であり、最も厚い部分(中央部)で例えば3nm程度である。絶縁層33は絶縁材料(例えばSiO2等)で構成され、下部シールド層31及び磁気抵抗効果膜32を磁区制御層34から絶縁する。
磁区制御層34は、磁気抵抗効果膜32の幅方向(x方向)の両側に設けられている。磁区制御層34は絶縁層33の上に形成されているが、絶縁層33は上述のように記録媒体側及びその反対側で厚さ(x方向の厚さ)が薄くなった楕円状に形成されているため、これらの部分で磁気抵抗効果膜32により近接するように配置されている。磁区制御層34は幅方向(x方向)に磁化された硬磁性材料で構成され、絶縁層33を介して磁気抵抗効果膜32に幅方向(x方向)のバイアス磁場を印加する。
上述の磁気抵抗効果膜32、絶縁層33、及び磁区制御層34の上面は平坦化され、同一の面を構成している。この磁気抵抗効果膜32、絶縁層33、及び磁区制御層34の上面の上には上部シールド層35が形成されている。上部シールド層35は、軟磁性材料で構成され、磁気抵抗効果膜32の磁気シールドと上部電極とを兼ねる。
本構成例の磁気ヘッド30において、磁気抵抗効果膜32の側面の上における絶縁層33の厚さが記録媒体側とその反対側で薄く、中央部付近で厚く形成されている。これにより、磁区制御層34が記録媒体側とその反対側で磁気抵抗効果膜32により接近するように配置され、その部分でより強いバイアス磁場が印加される。したがって、フリー強磁性層32g内の磁場(磁束線)の分布は図5に示すように、奥行き方向(z方向)についてほぼ均一となり、記録媒体側及びその反対側での磁区制御性が向上する。これにより、フリー強磁性層32g内における検出電流による磁界及びスピン並びに記録媒体70からの磁界による磁区の発生が抑制され、ノイズが発生し難く信頼性の高い磁気ヘッド30を得ることができる。
次に、本構成例に係わる磁気ヘッド30の製造方法について、図6乃至図9を参照しつつ説明する。
図6(a)乃至(c)は、実施形態の第1の構成例に係わる磁気ヘッドの製造途中の様子を工程順に示す断面図である。図7は、実施形態の第1の構成例に係わる磁気ヘッドの絶縁層のエッチングに使用するRIE装置を示す模式図である。図8は、実施形態の第1の構成例に係わる磁気ヘッドの絶縁層のエッチングの様子を示す模式図である。図9(a)乃至(c)は、実施形態の第1の構成例に係わる磁気ヘッドの製造途中の様子を工程順に示す断面図である。尚、図6及び図9に示す断面は、図4に示す磁気ヘッド30のx−y平面に平行な断面を記録媒体側から見たものであり、紙面に垂直な方向が奥行き方向(z方向)である。
先ず、基板61の上に、下部シールド層31、下地層32a、反強磁性層32b、固定強磁性層32c、非磁性結合層32d、リファレンス層32e、非磁性層32f、フリー強磁性層32g、及びキャップ層32hを順にマグネトロンスパッタ法等により形成する。これにより、図6(a)に示す構造が完成する。
次に、キャップ層32hの上にレジスト(図示せず)を塗布後、露光及び現像により、所定のコア幅を有するマスク(図示せず)を形成する。次に、CF4ガスを用いた反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching; RIE)法等によって、マスクに覆われていない部分のキャップ層32hを除去する。続いて、マスクを除去して、イオンビームエッチング(Ion Beam Etching; IBE)法等により、フリー強磁性層32gから反強磁性層32bまでを除去する。このとき、キャップ層32hがマスクとして働き、キャップ層32hの下方の層がテーパ上に残されて所定の幅(再生コア幅)を有する磁気抵抗効果膜32が形成され、図6(b)に示す構造が完成する。
次に、図6(b)に示す構造の上側全面に、絶縁層33として、RFスパッタ法等により、例えばSiO2を5nm程度の厚さに堆積する。これにより下部シールド層31の上方から磁気抵抗効果膜32の幅方向(x方向)の両方の側面の上にかけて一様な厚さの絶縁層33が形成され、図6(c)に示す構造が完成する。
続いて、絶縁層33に対して反応性イオンエッチングを行って、磁気抵抗効果膜32の側方部分における絶縁層33の厚さを記録媒体側及びその反対側で薄く整形する。この反応性イオンエッチングは、図7に示すように2方向からイオンを照射して行うことができる。すなわち、絶縁層33の形成された基板61に対し、図7に示すように、磁気抵抗効果膜32の記録媒体側(A方向)からイオンを照射することにより、A方向側の絶縁層33の一部が除去されて記録媒体側で絶縁層33が薄くなった部分を形成できる。また、記録媒体対向面の反対側(B方向)からイオンを照射することにより、B方向側の絶縁層33の一部が除去されて、記録媒体対向面の反対側で絶縁層33が薄くなった部分を形成できる。
この反応性イオンエッチングは、例えば図8に示す反応性イオンエッチング(RIE)装置80で行うことができる。RIE装置80には、ブロッキングコンデンサ83を介して高周波電源84に接続されたカソード電極82と、これに対向するアノード電極81が設けられている。カソード電極82の上には基板61が載置される。カソード電極82は水平方向(磁気ヘッド30の奥行き方向(z方向))に移動可能に設けられ、カソード電極82上に配置された基板61に対して、磁気抵抗効果膜32の記録媒体対向面方向及びその反対の方向から陽イオンを基板61に照射してエッチング(RIE)を行うことができる。絶縁層33が、例えば厚さ5nmのSiO2層で構成されている場合には、RIE装置80に例えば10sccm程度でCF4ガスを導入し、圧力0.3Pa程度の下で、60秒程度、記録媒体側から絶縁層33にイオンを照射してエッチング(RIE)を行い、その後アノード電極を記録媒体対向面と反対側に移動させて、再度同じ条件で記録媒体対向面の反対側から絶縁層33にイオンを照射してエッチング(RIE)を行うことにより絶縁層33の整形を行うことができる。
以上の工程により、磁気抵抗効果膜32の側方部分における絶縁層33の厚さが記録媒体側及びその反対側で薄く形成され、図9(a)に示す構造が完成する。
次に、図9(a)に示す構造の上側全面に、磁区制御層34をスパッタ法等により堆積させて図9(b)に示す構造を形成する。その後、図9(b)に示す構造の上面をCMP(Chemical Mechanical Polishing)法等により平坦化処理して、磁気抵抗効果膜32のキャップ層32hを露出させる。そして、磁気抵抗効果膜32、絶縁層33、及び磁区制御層34の平坦化された上面の上に上部シールド層35をスパッタ法等により堆積して図9(c)に示す構造が形成され、磁気ヘッド30が完成する。
(第2の構成例)
図10は、実施形態の第2の構成例に係わる磁気ヘッドの要部(再生素子)を示す斜視図である。図10に示す磁気ヘッド50において、手前側のx−y平面が記録媒体対向面である。図11は、実施形態の第2の構成例に係わる磁気ヘッド50の絶縁膜33のエッチングの様子を示す模式図である。図12は、実施形態の第2の構成例に係わる磁気ヘッドのフリー強磁性層での磁束線の様子を示す模式図である。尚、上記各図において、図4に示す磁気ヘッド30と同様の構成部材には同一の符号を付す。
図10は、実施形態の第2の構成例に係わる磁気ヘッドの要部(再生素子)を示す斜視図である。図10に示す磁気ヘッド50において、手前側のx−y平面が記録媒体対向面である。図11は、実施形態の第2の構成例に係わる磁気ヘッド50の絶縁膜33のエッチングの様子を示す模式図である。図12は、実施形態の第2の構成例に係わる磁気ヘッドのフリー強磁性層での磁束線の様子を示す模式図である。尚、上記各図において、図4に示す磁気ヘッド30と同様の構成部材には同一の符号を付す。
第2の構成例に係わる磁気ヘッド50は、下部シールド層31とその上に形成された、磁気抵抗効果膜32、絶縁層33及び磁区制御層34、並びにその磁気抵抗効果膜32、絶縁層33及び磁区制御層34の上に形成された上部シールド層35とを備える。これらの構成部材のうち、下部シールド層31、磁気抵抗効果膜32、磁区制御層34、及び上部シールド層35は、第1の構成例に係わる磁気ヘッド30と同様の構成である。
本構成例では絶縁層33の形状が第1の構成例と異なる。すなわち、図10に示すように、磁気抵抗効果膜32の両側の絶縁層33の厚さ(x方向の厚さ)が記録媒体側で薄くその反対側で厚くなるように形成され、絶縁層33を上面側(上部シールド層35側)から見ると台形状となっている。この絶縁層33の厚さは最も薄い記録媒体側で例えば1nm程度であり、最も厚い記録媒体対向面の反対側で例えば3nm程度である。
次に、第2の構成例に係わる磁気ヘッド50の製造方法について説明する。
本構成例の磁気ヘッド50は、絶縁膜33の反応性イオンエッチング以外の工程は、第1の構成例に係わる磁気ヘッド30と同様の工程によって作製される。以下、第1の構成例と同様の工程については図6及び図9を参照して説明する。
先ず、基板61の上に所定形状の磁気抵抗効果膜32を形成し、その後、絶縁層33を堆積させて図6(c)に示す構造を形成する。以上の工程までは第1の構成例と同様である。
次に、絶縁層33に対して反応性イオンエッチングを行って絶縁層33を整形する。本構成例の反応性イオンエッチングは、図11に示すように、磁気抵抗効果膜32及び絶縁層33に対して記録媒体対側(A方向)からイオンを照射する工程のみで行う。これにより、絶縁層33の一部が除去されて台形状の絶縁層33が形成される。この反応性イオンエッチングは図7に示す反応性イオンエッチング装置80を用いて行うことができ、例えば、基板61を載置したカソード電極82を対向するアノード電極81から記録媒体対向面の反対方向にずらして、記録媒体側からイオンを照射して行うことができる。例えば、絶縁層33を厚さ5nm程度のSiO2層で構成した場合には、反応性イオンエッチング装置80に10sccmでCF4ガスを導入し、圧力0.3Paの下で、60秒間程度イオンを照射して絶縁層33のエッチング(RIE)を行うことができる。以上の工程により、図10及び図11に示すように、絶縁層33の厚さ(x方向の厚さ)が記録媒体側で薄くなり、記録媒体対向面の反対側で厚くなるようにエッチングされる。
その後、第1の構成例のときと同様の手法により、磁区制御層34を堆積し(図9(b)参照)、平坦化処理した後上部シールド層35を形成(図9(c)参照)して磁気抵抗効果素子50が完成する。
本構成例では磁気抵抗効果膜32の両側に絶縁層33を隔てて形成された磁区制御層35が、図12に示すように記録媒体側でより磁気抵抗効果膜32に近接し、記録媒体対向面の反対側で磁気抵抗効果膜32から離れている。このため、フリー強磁性層32g中のバイアス磁場は図12に示すように記録媒体側で相対的に強く、記録媒体対向面の反対側で相対的に弱くなる。このように、本構成例の磁気ヘッド50では、磁気記録媒体からの磁界の影響をより大きく受ける記録媒体側で磁区制御性が向上しているため、実用上十分な磁区制御性が確保される。したがって、従来よりもノイズが発生し難く信頼性が高い磁気ヘッド50が得られる。さらに、本構成例の磁気ヘッド50は、記録媒体側からイオンを照射する1回の反応性イオンエッチングで絶縁層33の整形が完了するため、第1の構成例の磁気ヘッド30よりも少ない工程で作製することができる。
(その他の構成例)
図13は、実施形態のその他の構成例に係わる磁気ヘッドの要部を示す斜視図である。
図13は、実施形態のその他の構成例に係わる磁気ヘッドの要部を示す斜視図である。
本発明の実施形態に係わる磁気ヘッドは、上記第1及び第2の構成例の他に、磁気抵抗効果膜32の幅方向(x方向)の側面の上に形成された絶縁層33を、図13に示すように階段状に形成した磁気ヘッド55として構成しても良い。この階段状の絶縁層33は、基板61を反応性イオンエッチング装置80のカソード電極82に載置し、カソード電極82を奥行き方向(z方向)に段階的に移動させつつ絶縁層33にイオンを照射してエッチングする操作を繰り返すことで形成できる。
図13に示すように、磁気抵抗効果膜32の側面の上での絶縁層33の厚さ(x方向の厚さ)は、記録媒体側で薄く、その反対側で厚くなるよう階段状に形成されており、第2の構成例の磁気ヘッド50と同様に、フリー強磁性層32gに対して記録媒体側でより強いバイアス磁場が印加される。これにより、磁気記録媒体からの磁界の影響をより大きく受ける記録媒体側の磁区制御性が向上し、実用上十分なフリー強磁性層32gの磁区制御性が確保され、従来よりもバルクハウゼンノイズ等の発生し難い信頼性の高い磁気ヘッド55が得られる。
以下、実施例及び比較例に係わる磁気ヘッドを作製し、特性評価を行った結果について説明する。
(実施例1)
実施例1では、図4に示す磁気ヘッド30(第1の構成例)の構成を有する磁気ヘッドを作製した。尚、実施例1の磁気ヘッドにおいて、図4に示す構成に対応する構成部分には同一の符号を付している。
実施例1では、図4に示す磁気ヘッド30(第1の構成例)の構成を有する磁気ヘッドを作製した。尚、実施例1の磁気ヘッドにおいて、図4に示す構成に対応する構成部分には同一の符号を付している。
以下に、実施例1の磁気ヘッドの各部の具体的構成を示す。尚、括弧内は層の厚さを示す。また、/は積層構造であることを示し、右側に記載された層ほど上方に形成された層である。
基板61:Al2O3−TiC(アルチック)基板
下部シールド層31:NiFe層(2.5μm)
下地層32a:Ta層(5nm)
反強磁性層32b:IrMn層(7nm)
固定強磁性層32c:CoFe層(1.7nm)
非磁性結合層32d:Ru層(0.7nm)
リファレンス層32e:CoFeB層(1.8nm)
非磁性中間層32f:MgO層(0.9nm)
フリー強磁性層32g:CoFeB層(2nm)/NiFe層(3nm)
キャップ層32h:Ta層(10nm)
絶縁層33:SiO2層
磁区制御層34:CoCrPt層
上部シールド層35:NiFe層(3.0μm)
実施例1の磁気ヘッドは以下のように作製した。
下部シールド層31:NiFe層(2.5μm)
下地層32a:Ta層(5nm)
反強磁性層32b:IrMn層(7nm)
固定強磁性層32c:CoFe層(1.7nm)
非磁性結合層32d:Ru層(0.7nm)
リファレンス層32e:CoFeB層(1.8nm)
非磁性中間層32f:MgO層(0.9nm)
フリー強磁性層32g:CoFeB層(2nm)/NiFe層(3nm)
キャップ層32h:Ta層(10nm)
絶縁層33:SiO2層
磁区制御層34:CoCrPt層
上部シールド層35:NiFe層(3.0μm)
実施例1の磁気ヘッドは以下のように作製した。
まず、基板61の上に下部シールド層31として、NiFe層(2.5μm)をスパッタ法により形成した。次に、下部シールド層31の上に磁気抵抗効果膜32として、基板側から順に下地層32a[Ta層(5nm)]、反強磁性層32b[IrMn層(7nm)]、固定強磁性層32c[CoFe層(1.7nm)、非磁性結合層32d[Ru層(0.7nm)]、リファレンス層32e[CoFeB層(1.7nm)]、非磁性層32f[MgO層(0.9nm)]、フリー強磁性層32g[CoFeB層(2nm)/NiFe層(3nm)]、及びキャップ層32h[Ta層(10nm)]をマグネトロンスパッタ法で形成した。次に、磁気抵抗効果膜32上にフォトリソグラフ法によりマスク(図示せず)を形成し、CF4ガスを用いた反応性イオンエッチング法によりマスク下部以外のキャップ層32hを除去した。続いてマスクを除去した後、キャップ層32hをマスクとしてイオンビームエッチング法により、反強磁性層32bまでを除去し、幅方向(x方向)が100nm、奥行き方向(z方向)が100nmの磁気抵抗効果膜32を形成した。
次に、磁気抵抗効果膜32が形成された基板61の上面全面に絶縁層33としてSiO2層(5nm)をRFスパッタ法により形成した。その後、このSiO2層(絶縁層33)をCF4ガスを用いて反応性イオンエッチングした。反応性イオンエッチングは、絶縁層33に対して、磁気抵抗効果膜32の記録媒体側とその反対側の方向から2回に分けてイオンを照射してエッチングした。具体的には、反応性イオンエッチング(RIE)装置80を用い、基板61を載置したカソード電極82に対してアノード電極81が磁気抵抗効果膜32の記録媒体側に位置するように配置して、圧力0.3Paの下、CF4ガスを10sccmで導入しつつ、60秒間高周波電力を供給してエッチングを行った後、カソード電極82を移動させて、アノード電極81を磁気抵抗効果膜32の記録媒体対向面の反対側に位置するように配置して、先のエッチングと同様の圧力及びガス供給量並びに高周波電力供給時間の下で反応性イオンエッチングした。この工程により、磁気抵抗効果膜32の幅方向(x方向)の側面の上に上方から見て楕円状の断面を有する絶縁膜33が形成された。
次に、基板61の上面全面に磁区制御層34としてCoPrPt層を15nm形成した。その後、基板61の上面をCMP法により研磨して平坦化し、磁気抵抗効果膜32のキャップ層32hを露出させ、最後に磁気抵抗効果膜32、絶縁層33、及び磁区制御層34の上に上部シールド層35として、NiFe層(3.0μm)をスパッタ法により形成した。
(比較例)
比較例として、図1に示す構成と同様な構成を有する磁気ヘッドを作製した。比較例の磁気ヘッドは、磁気抵抗効果膜32の幅方向(x方向)の側面の上に形成された絶縁膜133の厚さが(x方向の厚さ)が記録媒体側からその反対側にかけて均一の厚さで形成されており、それ以外の構成は実施例1の磁気ヘッドと同様である。また、比較例の磁気ヘッドは、絶縁膜133の反応性イオンエッチングを行わずに作製した点を除き実施例1の磁気ヘッドと同様の工程で作製した。
比較例として、図1に示す構成と同様な構成を有する磁気ヘッドを作製した。比較例の磁気ヘッドは、磁気抵抗効果膜32の幅方向(x方向)の側面の上に形成された絶縁膜133の厚さが(x方向の厚さ)が記録媒体側からその反対側にかけて均一の厚さで形成されており、それ以外の構成は実施例1の磁気ヘッドと同様である。また、比較例の磁気ヘッドは、絶縁膜133の反応性イオンエッチングを行わずに作製した点を除き実施例1の磁気ヘッドと同様の工程で作製した。
次に図14及び図15を参照しつつ実施例1及び比較例の磁気ヘッドにおける磁区制御層からのバイアス磁場の分布の測定結果について説明する。
図14(a)は実施例1の磁気ヘッドの幅方向(x方向)における磁区制御層からの磁場の分布(測定結果)を示すグラフであり、図14(b)は実施例1の磁気ヘッドの奥行き方向(z方向)における磁区制御層からの磁場の分布(測定結果)を示すグラフである。図15(a)は、比較例の磁気ヘッドの幅方向(x方向)における磁区制御層からの磁場の分布(測定結果)を示すグラフであり、図15(b)は比較例の磁気ヘッドの奥行き方向(z方向)における磁区制御層からの磁場の分布(測定結果)を示すグラフである。
比較例の磁気ヘッドの奥行き方向(z方向)における磁場は図11(b)に示すように、記録媒体側及びその反対側の端部で磁場が弱く、中央部分付近で最も磁場が高い。一方、実施例1の磁気ヘッドの奥行き方向(z方向)における磁場は、図10(b)に示すように記録媒体側及びその反対側の端部と中心部とでほぼ同じ大きさを示す。このように、比較例の磁気ヘッドは記録媒体側及びその反対側で外部磁場に対する影響を受けやすくなっている。これに対し実施例1の磁気ヘッドでは奥行き方向(z方向)で外部磁場に対する影響の受け方が均一となることが確認された。
次に、図16及び図17を参照しつつ、実施例1及び比較例の磁気ヘッドの抵抗値のバイアス電圧依存性の測定結果について説明する。
図16は、実施例1の磁気ヘッドの抵抗値のバイアス電圧依存性を示すグラフである。図17は、比較例の磁気ヘッドの抵抗値のバイアス電圧依存性を示すグラフである。
図16及び図17に示すように、比較例及び実施例1の磁気ヘッドにおいてバイアス電圧(上部及び下部シールド層間に印加する電圧)が1V付近で抵抗値が大きく低下している。これは非磁性中間層32fを構成するMgO層(トンネル絶縁層)が絶縁破壊したことを示している。比較例の磁気ヘッドでは、図17に示すように、バイアス電圧が0.6Vを越えた付近から徐々に抵抗値が低下し、絶縁破壊を起こす電圧に近い0.8V以上の電圧で、抵抗値がランダムな変化を示した。比較例の磁気ヘッドにおける抵抗値のランダムな変化はノイズが発生していることを示している。このノイズは、フリー強磁性層32g内で外部磁場に対する感受率が異なる領域が存在することにっ起因しているものと考えられる。すなわち、比較例の磁気ヘッドに1V近いバイアス電圧を印加すると、磁気抵抗効果膜32を流れる電流の電流密度が約1×107A/cm2以上の値となり、この電流が作る磁場は数十〜数百Oe(エルステッド)にも及ぶ。このため、電流のスピンによる影響や電流が作る磁場の影響によってフリー強磁性層32g内の磁区制御が弱い記録媒体側及びその反対側で磁区が発生し磁化方向が揺らいだことによりノイズが発生したものと考えられる。
一方、実施例1の磁気ヘッドは、図16に示すように非磁性層32f(MgO層)が絶縁破壊を起こすまでバイアス電圧の増加に対して抵抗値がランダムに変化することはなく、ノイズが発生する様子は見られなかった。これは、実施例1ではフリー強磁性層内の記録媒体側及びその反対側で磁区制御が強められた結果、磁区の発生が抑制されノイズの発生が抑えられたことによるものと考えられる。
(実施例2)
実施例2では、図10に示す第2の構成例の磁気ヘッド50の構成を有する磁気ヘッドを作製した。実施例2の磁気ヘッドの具体的構成は、絶縁層33の形状が異なる点を除き、実施例1の磁気ヘッドと同じ構成であり、絶縁層33のエッチング(RIE)以外の工程は実施例1と同様の工程で作製した。
実施例2では、図10に示す第2の構成例の磁気ヘッド50の構成を有する磁気ヘッドを作製した。実施例2の磁気ヘッドの具体的構成は、絶縁層33の形状が異なる点を除き、実施例1の磁気ヘッドと同じ構成であり、絶縁層33のエッチング(RIE)以外の工程は実施例1と同様の工程で作製した。
実施例2の磁気ヘッドの絶縁層33の厚さは、記録媒体対向面側で、1nmであり、記録媒体対向面の反対側で3nmである。
実施例2の磁気ヘッドは以下の工程により作製した。基板61の上方に下部シールド層31、磁気抵抗効果膜32を順次形成し、その後、フォトリソグラフ法、RIE法、イオンビームエッチング法により磁気抵抗効果膜32を所定の形状に整形した。さらに、基板61の上面全面に、絶縁膜33として厚さ5nmのSiO2層を形成した。この工程までは実施例1と同様である。
次に、絶縁膜33を反応性イオンエッチング法により整形した。この反応性イオンエッチングは、図11に示すように絶縁膜33が形成された基板61の基板対向面側(A方向)からイオンを照射して行った。反応性イオンエッチングは、RIE装置にCF4ガスを10sccmで導入しつつ圧力0.3Paの下で60秒間高周波電力を供給して行った。
その後の工程は実施例1と同様に、基板61の上面全面に磁区制御層34を形成し、次に上面を平坦化して磁気抵抗効果膜32の保護層32hを露出させた後、基板61の上面に上部シールド層35を形成して、実施例2の磁気ヘッドを作製した。
図18は、実施例2の磁気ヘッドのフリー強磁性層中における磁区制御層から印加された磁場の分布(測定結果)を示すグラフである。図18において縦軸は磁区制御層34からの磁場の強さを示し、横軸は奥行き方向(z方向)の位置を示し、横軸のマイナス側が記録媒体側である。実施例2の磁気ヘッドのフリー強磁性層32g中では磁区制御層34から印加された磁場は、図18に示すように記録媒体側で強く、記録媒体対向面の反対側に向かうにしたがって徐々に弱くなるように分布していることが確認できた。また、実施例2の磁気ヘッドは記録媒体対向面の反対側におけるバイアス磁場が比較例よりも強められていることが確認された。このように、絶縁層33に対して記録媒体側からイオンを照射する反応性イオンエッチングを行うだけでも記録媒体側及びその反対側の端部付近でのバイアス磁場を強めることができ、フリー強磁性層32g中の磁区制御性が向上することが判明した。
尚、実施形態に係わる磁気ヘッドにおいて、フリー強磁性層32gは例えば厚さ1.5nm〜10nm程度のCo、Fe及びNiの少なくとも1つを含む合金材料からなる強磁性材料として構成することができる。例えば、CoFe層、CoFeB層、CoMnAl層並びにNiFe層、又はこれらの積層膜として構成できる。また、キャップ層32hは、非磁性の導電材料で構成できるが、磁気抵抗効果膜32の整形の際に反応性エッチング(RIE)を行ってキャップ層32hを選択的に除去するため、フリー強磁性層32gを構成する磁性金属に対する選択比(エッチング速度)が大きな材料を用いることが好ましく、Ta以外に例えばTiやSiO2等を用いることができる。また、絶縁層33は、SiO2の他、Si3N4等で構成してもよい。また、磁区制御層34は、CoCrPtの他、CoPt合金若しくはFePt合金等、又はこれらの材料の積層構造としても良い。
以下、本発明の実施形態に係わる磁気ヘッドの応用例について説明する。
(複合型磁気ヘッド)
図19は、本発明の実施形態に係わる複合型磁気ヘッドの要部を示す斜視図である。
図19は、本発明の実施形態に係わる複合型磁気ヘッドの要部を示す斜視図である。
図19において、矢印の方向(y方向)は複合型磁気ヘッド60が磁気記録媒体70の上を相対的に移動する方向を示す。
複合型磁気ヘッド60は、図19に示すように、ヘッドスライダを構成するAl2O3−TiC等の平坦化されたセラミック基板61の上に形成された再生用の磁気ヘッド30と、その上に形成された書き込み用の磁気ヘッド40とを備えて構成される。
書き込み用の磁気ヘッド40は、記録媒体対向面に磁気記録媒体70のトラック幅を有する上部磁極43と、所定の記録ギャップを開けて上部磁極43と対向する下部磁極41と、下部磁極41及び上部磁極43とで構成されたヨークを巻き回して、書き込み電流によって記録磁界を発生させるコイル42等を備える。
再生用の磁気ヘッドは、第1の構成例の磁気ヘッド30の他、第2の構成例による磁気ヘッド50又はその他の構成例で示した磁気ヘッド55で構成してもよい。
(磁気ディスク装置)
図20は、本発明の実施形態に係わる磁気ヘッドを用いた磁気ディスク装置を示す上面図である。
図20は、本発明の実施形態に係わる磁気ヘッドを用いた磁気ディスク装置を示す上面図である。
磁気ディスク装置65は、実施形態に係わる磁気ヘッドを備えていることを特徴とする。図20に示すように、本実施形態の磁気ディスク装置65は、その筐体64内に、磁気記録媒体70と、先端に複合型磁気ヘッド60(図19参照)を備えたヘッドスライダ(基板)61と、ヘッドスライダ61を保持するアーム62とを収納している。磁気記録媒体70は図示しないスピンドルモータにより回転され、複合型磁気ヘッド60はアーム62を駆動する図示しないヘッド位置決め機構により磁気記録媒体70上の所定トラックに移動することができる。これにより磁気記録媒体70の任意の場所で情報の書き込み及び読み出しを行うことができる。
以下、本発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)磁気記録媒体に記録されたデータを読み出す磁気ヘッドにおいて、前記磁気記録媒体からの磁気により抵抗値が変化する磁気抵抗効果膜と、前記磁気抵抗効果膜の両側に配置されて前記磁気抵抗効果膜のフリー強磁性層の磁区を制御する磁区制御膜と、前記磁気抵抗効果膜と前記磁区制御膜との間に形成された絶縁層とを有し、前記磁気記録媒体に対向する対向面に直交する方向における前記絶縁層の厚さ分布において、前記対向面側の端部における厚さが中央部よりも薄く設定されていることを特徴とする磁気ヘッド。
(付記2)前記対向面に直交する方向における前記絶縁層の厚さの分布が、楕円円弧状、台形状及び階段状のいずれかであることを特徴とする付記1に記載の磁気ヘッド。
(付記3)少なくとも、前記磁区制御層から前記フリー強磁性層の前記対向面側の端部に印加される磁場の磁束が、前記対向面に対し平行であることを特徴とする付記1又は2に記載の磁気ヘッド。
(付記4)前記絶縁層の前記対向面側の端部における厚さが中央部よりも薄く設定されていることによって、前記磁区制御層から前記フリー強磁性層に印加される磁場が前記対向面に直交する方向において均一の強さで分布していることを特徴とする付記1に記載の磁気ヘッド。
(付記5)前記絶縁層の前記対向面側の端部における厚さが中央部よりも薄く設定されていることによって、前記磁区制御層から前記フリー強磁性層に印加される磁場が、前記対向面に直交する方向において対向面側から反対側にかけて減少するように分布していることを特徴とする付記1に記載の磁気ヘッド。
(付記6)前記磁気抵抗効果膜が、前記フリー強磁性層の平坦な面と垂直方向に電流を印加する素子であることを特徴とする付記1に記載の磁気ヘッド。
(付記7)更に、前記磁気記録媒体にデータを記録する記録素子を有することを特徴とする付記1乃至3に記載の磁気ヘッド。
(付記8)付記1乃至3及び付記7の何れか1に記載の磁気ヘッドと、磁気記録媒体とを備えたことを特徴とする磁気ディスク装置。
(付記9)基板の上方に磁気抵抗効果膜を所定の形状に形成する工程と、前記基板の上方に前記磁気抵抗効果膜を覆う絶縁層を形成する工程と、前記絶縁層をエッチングして前記絶縁層の前記磁気抵抗効果膜の側方における厚さを変化させるエッチング工程と、前記前記磁気抵抗効果膜の両側に前記絶縁層を挟んで磁区制御層を形成する工程とを有し、前記エッチング工程は、磁気記録媒体に対向する対向面側の端部における前記絶縁層の厚さを、中央部の前記絶縁層の厚さよりも薄くすることを特徴とする磁気ヘッドの製造方法。
(付記10)前記エッチング工程は、前記対向面側から前記絶縁層を反応性イオンエッチングする工程と、前記対向面と反対側から前記絶縁層を反応性イオンエッチングする工程とを含むことを特徴とする付記9に記載の磁気ヘッドの製造方法。
(付記11)前記エッチング工程は、前記対向面側から前記絶縁層を反応性イオンエッチングする工程からなることを特徴とする付記9に記載の磁気ヘッドの製造方法。
30、50、55…磁気ヘッド、31、131…下部シールド層、32、132…磁気抵抗効果膜、32a…下地層、32b…反強磁性層、32c…固定強磁性層、32d…非磁性結合層、32e、132e…リファレンス層、32f、132f…非磁性層、32g、132g…フリー強磁性層、32h…キャップ層、33、133…絶縁層、34、134…磁区制御層、35、135…上部シールド層、40…書き込み用磁気ヘッド、41…下部磁極、42…コイル、43…上部磁極、60…複合型磁気ヘッド、61、151…基板(スライダ)、62…アーム、64…筐体、65…磁気ディスク装置、70、120…磁気記録媒体、81…アノード電極、82…カソード電極、83…ブロッキングコンデンサ、84…高周波電源、101…磁区。
Claims (7)
- 磁気記録媒体に記録されたデータを読み出す磁気ヘッドにおいて、
前記磁気記録媒体からの磁気により抵抗値が変化する磁気抵抗効果膜と、
前記磁気抵抗効果膜の両側に配置されて前記磁気抵抗効果膜のフリー強磁性層の磁区を制御する磁区制御膜と、
前記磁気抵抗効果膜と前記磁区制御膜との間に形成された絶縁層とを有し、
前記磁気記録媒体に対向する対向面に直交する方向における前記絶縁層の厚さ分布において、前記対向面側の端部における厚さが中央部よりも薄く設定されていることを特徴とする磁気ヘッド。 - 前記対向面に直交する方向における前記絶縁層の厚さの分布が、楕円円弧状、台形状及び階段状のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の磁気ヘッド。
- 少なくとも、前記磁区制御層から前記フリー強磁性層の前記対向面側の端部に印加される磁場の磁束が、前記対向面に対し平行であることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気ヘッド。
- 更に、前記磁気記録媒体にデータを記録する記録素子を有することを特徴とする請求項1乃至3に記載の磁気ヘッド。
- 請求項1乃至4の何れか1項に記載の磁気ヘッドと、磁気記録媒体とを備えたことを特徴とする磁気ディスク装置。
- 基板の上方に磁気抵抗効果膜を所定の形状に形成する工程と、
前記基板の上方に前記磁気抵抗効果膜を覆う絶縁層を形成する工程と、
前記絶縁層をエッチングして前記絶縁層の前記磁気抵抗効果膜の側方における厚さを変化させるエッチング工程と、
前記前記磁気抵抗効果膜の両側に前記絶縁層を挟んで磁区制御層を形成する工程とを有し、
前記エッチング工程は、磁気記録媒体に対向する対向面側の端部における前記絶縁層の厚さを、中央部の前記絶縁層の厚さよりも薄くすることを特徴とする磁気ヘッドの製造方法。 - 前記エッチング工程は、前記対向面側から前記絶縁層を反応性イオンエッチングする工程と、前記対向面と反対側から前記絶縁層を反応性イオンエッチングする工程とを含むことを特徴とする請求項6に記載の磁気ヘッドの製造方法。
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