JP2004340028A - 内燃機関の始動準備システム - Google Patents
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Abstract
【課題】内燃機関の始動前に、始動予定が複数回発生した場合の無駄な始動準備を防止することにより、エネルギーの無駄を防止することができる技術を提供する。
【解決手段】ドアセンサが内燃機関の始動予定の発生を検出したときに、始動準備制御手段が、インジェクタヒータを作動させて内燃機関の始動の準備を開始し、少なくともその後初めて、内燃機関が始動して停止するまでは、ドアセンサが内燃機関の始動予定の発生をさらに検出してもインジェクタヒータを新たに作動させない。
【選択図】 図2
【解決手段】ドアセンサが内燃機関の始動予定の発生を検出したときに、始動準備制御手段が、インジェクタヒータを作動させて内燃機関の始動の準備を開始し、少なくともその後初めて、内燃機関が始動して停止するまでは、ドアセンサが内燃機関の始動予定の発生をさらに検出してもインジェクタヒータを新たに作動させない。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の始動前に始動準備を行う内燃機関の始動準備システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年車両の排ガス規制が強化されている。そして、排ガス中の有害成分を低減させるためには、ヒータで加熱した燃料を噴射することにより燃料を減圧沸騰させ、燃料噴霧を微粒化することが有効である。特に、内燃機関の冷間始動時は、燃料の温度が低いため噴射した燃料は微粒化しにくい。よって、冷間始動時に燃料をヒータで加熱して微粒化することが効果的である。また、内燃機関の始動性及び出力の向上を図るためにも、前述のように、燃料噴霧を微粒化することが有効であることが分かっている。
【0003】
そして、内燃機関の始動当初から上記のように燃料を微粒化し、始動性及び出力の向上を図るとともに排ガス中の有害成分を低減するためには、内燃機関の始動前から燃料をヒータで加熱する必要がある。このため、イグニッションスイッチがオンされるなどの、内燃機関が始動する予定を検出して、その始動前から燃料をヒータで加熱することが行われている。
【0004】
その他、排気ガス中の有害成分を低減するための空燃比フィードバック制御に用いられる空燃比センサは、これに設けられたヒータに通電することにより加熱され、活性化することにより空燃比の検出が可能になる。従って、このような空燃比センサのヒータについても、上記と同様に、内燃機関が始動する予定を検出して、その始動前からヒータによるセンサ加熱を始めることが行われている。
【0005】
しかしながら、従来はイグニッションスイッチがオンされた後、最大電力でヒータに通電するので、イグニッションスイッチがオンのまま内燃機関が始動されずに放置された場合、オルタネータの発電がない状態でバッテリの電力がヒータに消費され続けてバッテリの電圧が低下してしまうおそれがあった。また、低温始動時にバッテリ電圧が低い場合、最大電力でヒータに通電すると内燃機関の始動が困難になるおそれがあった。
【0006】
上記の不具合に対し、イグニッションスイッチがオンした後、空燃比センサのヒータを起動し、その後、所定時間経過しても内燃機関が始動しない場合には、始動準備装置であるヒータの作動を中断する技術などが提案されている。(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
しかし、上記の従来技術においては、イグニッションスイッチがオンしたときには、必ず所定時間、ヒータが作動するため、内燃機関の実際の始動がないまま、イグニッションスイッチのオン動作のみが複数回あった場合などには、無駄な電力消費が増加する欠点があった。
【0008】
なお、上記以外の従来技術として、特許文献2から4に示すものが例示できる。
【0009】
【特許文献1】
特開平10−111269号公報
【特許文献2】
特開平07−77130号公報
【特許文献3】
特開2002−195110号公報
【特許文献4】
特開2002−266712号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的とするところは、内燃機関の始動前に、始動予定が複数回発生した場合の無駄な始動準備を防止することにより、エネルギーの無駄を防止することができる技術を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明においては、ドア開閉などの車輌の操作状態を検出することで内燃機関の始動予定の発生を検出し、その検出を条件に内燃機関の始動準備を開始する場合にあっては、内燃機関の始動と関係なくドア開閉などが複数回行われるおそれがあるので、少なくとも次に内燃機関が始動し停止するまでは、その後内燃機関の始動予定の発生を新たに検出したとしても、その検出による内燃機関の始動準備はしないようにした。
【0012】
より詳しくは、本発明においては、始動予定検出手段が内燃機関の始動予定の発生を検出したときに、始動準備制御手段が、始動準備手段を作動させて内燃機関の始動の準備を開始し、少なくともその後、内燃機関が始動して停止するまでは、始動予定検出手段が内燃機関の始動予定発生をさらに検出しても始動準備手段を新たに作動させないこととする。
【0013】
これにより、内燃機関の始動前に、その始動予定が複数回発生した場合でも、始動準備は最初の始動予定の発生のみを条件に開始される。従って、始動予定のみが何度も発生して、実際には内燃機関は始動されない場合でも、始動準備は1回だけであるので、無駄な始動準備動作を防止することができ、エネルギーの無駄を防止することができる。
【0014】
なお、例えば、前記内燃機関の始動準備手段が、燃料の加熱や空燃比センサの加熱、あるいは、内燃機関の排気を浄化させる排気浄化触媒などの加熱に用いられる電熱ヒータである場合は、燃料や空燃比センサ、排気浄化触媒などの過剰な温度上昇を防止し、消費電力の増大を防止することができる。
【0015】
また、本発明における始動予定検出手段を構成するセンサとしては、ドアの開閉を検出するドアセンサ、リモートコントローラによるキー操作を検出するリモートキーセンサ、イグニッションスイッチにキーが差し込まれたことを検出するキー差込センサ、ドアの鍵穴にキーが差し込まれたことを検出するドアキーセンサ、シートに人が着座したことを検出する着座センサ、シートベルトが着用されたことを検出するシートベルト着用センサなどを挙げることができる。なお、本発明における始動予定検出手段は、上記のセンサ類の組み合わせによって構成されてもよい。
【0016】
また、本発明においては、始動予定検出手段が内燃機関の始動予定の発生を検出したときに、始動準備制御手段が、始動準備手段を作動させて内燃機関の始動の準備を開始し、その後第1の所定時間が経過しても内燃機関が始動しない場合には、その始動の準備を中断させるようにし、さらに、その中断後第2の所定時間が経過するまでは、始動予定検出手段が内燃機関の始動予定発生をさらに検出しても始動準備手段を新たに作動させないようにした。
【0017】
すなわち、内燃機関の始動前に、その始動予定が複数回発生した場合でも、原則は、始動準備は最初の始動予定の発生のみを条件に開始される。しかし、始動準備が開始してから第1の所定時間が経過しても内燃機関が始動しない場合には、始動準備が中断される。そして、その中断後第2の所定時間が経過した後に、始動予定が発生した時には、再度始動準備を開始するのである。
【0018】
これによれば、まず最初に始動準備を開始しても、第1の所定時間が経過するまでに内燃機関が始動しない場合には、始動予定だけが発生し、実際の始動は発生しないと判断して、始動準備を中断するので、過剰に無駄な始動準備をすることがない。さらに、その中断から第2の所定時間以上が経過した場合には、例えば、始動準備で加熱した燃料が冷えてしまうなど、最初の始動準備による効果がなくなってしまうおそれがあるので、それ以降、始動予定が検出された場合には、再度始動準備を開始するのである。
【0019】
従って、始動予定のみが発生し、実際の内燃機関の始動が行われない場合にも、無駄な始動準備を防止できると同時に、その後、実際に内燃機関の始動が行われた場合に、それまでに行った始動準備の効果がないという事態を避けることができる。
【0020】
なお、例えば、前記内燃機関の始動準備手段が、燃料の加熱や空燃比センサの加熱、あるいは、内燃機関の排気を浄化させる排気浄化触媒などの加熱に用いられる電熱ヒータである場合は、燃料や空燃比センサ、排気浄化触媒などの過剰な温度上昇を防止し、消費電力の増大を防止すると同時に、実際に内燃機関が始動したときに、燃料や空燃比センサ、排気浄化触媒などの温度が、電熱ヒータで加熱していないのと変わらない温度まで冷えてしまうことを避けることができる。
【0021】
また、本発明においては、始動予定検出手段が内燃機関の始動予定の発生を検出したときに、始動準備制御手段が、始動準備手段を作動させて内燃機関の始動の準備を開始し、その後、始動予定検出手段が内燃機関の始動予定の発生を再度検出したときには、その始動の準備を中断させるようにした。
【0022】
すなわち、内燃機関の始動前に、その始動予定が複数回発生した場合には、始動予定が取り消されたことも考えられるので、始動準備を中断する。例えば、始動予定をドアの開閉動作とした場合に、複数回のドア開閉動作があったときは、運転者が一度車輌に乗車し、さらに降車したことが考えられるからである。
【0023】
これにより、始動予定の発生だけが複数回検出されて、実際には始動予定がなくなったような場合に、無駄な始動準備動作を防止することができ、エネルギーの無駄を防止することができる。また、内燃機関の始動準備手段が、燃料の加熱や空燃比センサの加熱、あるいは、内燃機関の排気を浄化させる排気浄化触媒などの加熱に用いられる電熱ヒータである場合は、燃料や空燃比センサ、排気浄化触媒などの過剰な温度上昇を防止し、消費電力の増大を防止することができる。
【0024】
また、本発明においては、始動予定検出手段が内燃機関の始動予定の発生を検出したときに、始動準備制御手段が、始動準備手段を作動させて内燃機関の始動の準備を開始し、その後、始動予定取消検出手段が内燃機関の始動予定の取り消しを検出したときには、その始動の準備を中断させるようにした。
【0025】
すなわち、内燃機関の始動前に、一度発生した始動予定を取り消したことが検出された場合には、始動準備を中断するようにした。例えば、始動予定の発生をシートへの着座動作によって検出した場合には、逆にシートからの離脱動作が検出されたことは、前記した始動予定の取り消しを意味するので、このような場合には、始動準備を中断するのである。
【0026】
これにより、始動予定が一度発生しても、その後、始動予定が取り消された場合に、無駄な始動準備動作を防止することができ、エネルギーの無駄を防止することができる。また、内燃機関の始動準備手段が、燃料の加熱や空燃比センサの加熱、あるいは、内燃機関の排気を浄化させる排気浄化触媒などの加熱に用いられる電熱ヒータである場合は、燃料や空燃比センサ、排気浄化触媒などの過剰な温度上昇を防止し、消費電力の増大を防止することができる。
【0027】
また、本発明における始動予定取消検出手段を構成するセンサとしては、イグニッションスイッチからキーが抜き取られたことを検出するキー抜き取りセンサ、シートから人が離脱したことを検出するシート離脱センサ、シートベルトが離脱されたことを検出するシートベルト離脱センサなどを挙げることができる。なお、本発明における始動予定取消検出手段は、上記のセンサ類の組み合わせによって構成されてもよい。
【0028】
また、本発明における始動予定取消検出手段は、着座センサやシートベルト着用センサなど、始動予定検出手段を構成するセンサ類によって構成され、これらのセンサ類がOFFすることをもって、始動予定の取り消しを検出してもよい。
【0029】
また、本発明においては、前記したように始動予定が複数回発生したときや、始動予定が取り消されたときに始動準備を中断した後、さらに所定時間が経過した後であって、内燃機関の始動前に、始動予定検出手段が内燃機関の始動予定が発生したことを再度検出した場合には、始動準備を再開するようにしてもよい。
【0030】
すなわち、始動準備の中断から所定時間以上が経過した場合は、最初の始動準備による効果がなくなり、始動準備をしていないのと同じ状態に戻ってしまうおそれがある。従って、それ以降、始動予定が再度検出された場合には、始動準備を再開する。それにより、一度、始動準備を中断した後に、実際に内燃機関の始動が行われた場合に、それまでに行った始動準備の効果がないという事態を避けることができる。
【0031】
なお、上述したように、本発明における始動準備手段の具体例としては、供給される電流に応じた発熱をして、内燃機関のインジェクタ内または、その上流側の燃料を加熱する電熱ヒータなどを挙げることができる。
【0032】
この場合は、内燃機関の始動前に、インジェクタ内またはその上流側の燃料を加熱することができ、それにより、内燃機関の始動当初からインジェクタからの燃料噴射時に、燃料を減圧沸騰させ、燃料噴霧を微粒化することができる。その結果、内燃機関の始動性を向上させることができる。また、内燃機関の始動当初から、その出力を向上させるとともに、排気ガス中の有害成分を低減させることができる。
【0033】
また、本発明における始動準備手段の具体例としては、供給される電流に応じた発熱をして、内燃機関のインジェクタ内または、その上流側の燃料を加熱する電熱ヒータと、インジェクタから噴射される燃料の燃圧を所定圧以上に上昇させる燃料ポンプとの組み合わせを挙げることができる。
【0034】
そして、その場合、始動準備手段が作動をするときには、先ず、燃料ポンプがインジェクタ内の燃料の燃圧を所定圧以上に上昇させた後、電熱ヒータがインジェクタ内または、その上流側の燃料を加熱し始めるようにするのがよい。
【0035】
すなわち、燃料ポンプによって、インジェクタ内の燃料の燃圧が充分に高められてから、電熱ヒータによる燃料加熱が開始するので、燃料の燃圧が低い状態で、燃料の温度が上昇することがなく、ベーパロックの発生を防止することができる。
【0036】
また、本発明においては、前記インジェクタ内の燃料の性状を推定する燃料性状推定手段をさらに備えるようにし、その燃料性状推定手段により推定されたインジェクタ内の燃料の燃料性状が重質であるほど、前記電熱ヒータに供給される電力量を多くすることようにするとよい。
【0037】
ここで、前述のように、内燃機関の始動性及び出力の向上を図り、排気ガス中の有害成分を低減させるためには、電熱ヒータで加熱した燃料を噴射することにより燃料を減圧沸騰させ、燃料噴霧を微粒化することが有効である。そして、電熱ヒータによる加熱の適正温度は、燃料の性状によって異なることが知られている。
【0038】
すなわち、燃料性状が重質であれば、燃料沸点が高いので、微粒化を促進するためには、加熱のために供給する電力量を大きくする必要がある。逆に、燃料性状が軽質であれば、燃料沸点が低いので、加熱して微粒化を促進するために必要な電力量は少なくてもよい。従って、本発明においては、燃料性状推定手段により、インジェクタ内の燃料の性状を推定し、推定された燃料性状に応じて、電熱ヒータに供給する電力量を制御する。
【0039】
こうすれば、インジェクタ内の燃料性状にかかわらず、最適の燃料粒状を得ることができ、内燃機関の始動性向上を図り、始動当初から出力を向上させ、排気ガス中の有害成分を低減させることができる。
【0040】
なお、本発明における燃料性状推定手段としては、給油後の燃料消費量または、給油後の運転時間を検知して、燃料性状を推定する装置を例示することができる。ここで、給油直後の燃料は軽質成分を比較的多く含む。そして、給油後の燃料消費量が多いほど、または給油後の運転時間が長いほど、燃料の軽質成分が蒸発するので、燃料は重質成分を多く含むようになる。従って、給油後の燃料消費量または、給油後の運転時間によって燃料性状を推定することができる。
【0041】
具体的には、給油直後には、電熱ヒータへの供給電力量は小さくし、給油後の運転時間が長いときには、電熱ヒータへの供給電力量を大きくするようにするとよい。
【0042】
また、燃料性状推定手段の別の例をして、内燃機関の運転時の空燃比変動の大きさから、燃料性状を推定する装置を例示することができる。これは、内燃機関の運転時の空燃比変動の大きさは、燃料性状が重質であるほど大きくなるという知見に基づいている。具体的には、前回の運転時に空燃比センサで検出された空燃比変動の大きさのデータを記憶しておき、そのデータより、今回の始動準備開始時の燃料性状を推定するのがよい。
【0043】
さらに、燃料性状の推定精度を上げるためには、大気温度や、大気圧などを検知し、燃料性状推定のための情報として用いるとよい。これは、大気温度が高い方が燃料の蒸発速度が速く、同様に、大気圧が低い方が燃料の蒸発速度が速いという知見に基づいている。なお、本発明においては、上記のような種々の情報に基づいて燃料性状を推定しているので、実際に燃料の飽和水蒸気圧を検出することによって燃料性状を取得する必要がない。従って、燃料供給用の配管内で燃料ベーパが発生するといった不具合がない。
【0044】
また、本発明において、電熱ヒータに電流を供給するためのバッテリを備えており、さらに、電熱ヒータに供給される電流を制御する電流制御手段を備えている場合に、電熱ヒータによるインジェクタの加熱が開始された後の所定時間については、前記電流制御手段による電流のフィードバック制御などを休止し、バッテリの電極間電圧を電熱ヒータに直接印加するとよい。
【0045】
こうすれば、電熱ヒータには、所定時間、その抵抗値とバッテリ電圧によって定まる最大の電流を流すことができるので、電熱ヒータの発熱を最大にすることができ、インジェクタ内の燃料を早期に昇温させることができる。
【0046】
また、本発明によれば、前記インジェクタは、燃料噴射時に摺動して開弁動作をするニードル弁を有し、さらに、そのニードル弁を支持するとともに燃料の噴射孔を備えるボディー部とを有しており、電熱ヒータは、前記インジェクタのニードル弁に配置されてニードル弁を加熱する構造とする。
【0047】
また、始動準備制御手段は、ニードル弁温度取得手段及びボディー部温度取得手段によって、ニードル弁の温度とボディー部の温度とを取得する。そして、電熱ヒータは、取得されたニードル部の温度と、ボディー部の温度とが等しくなるようにニードル弁を加熱するようにするとよい。
【0048】
このことにより、ニードル弁の温度と、ボディー部の温度を同じにすることができるので、両部分の熱膨張量を同等にすることができる。その結果、ニードル弁のリフト量が温度によって変化することがなくなり、噴射量を温度にかかわらず一定にすることができる。
【0049】
なお、上記で、ニードル弁の温度を取得する方法としては、電熱ヒータへの供給電流及び印加電圧から電熱ヒータの抵抗値を検知し、その抵抗値からニードル弁の温度を推定する方法を例示することができる。また、ボディー部の温度を取得する方法としては、エンジン水温からボディー部の温度を推定する方法を例示することができる。
【0050】
なお、上記した、課題を解決するための手段は、可能な限り組み合わせて使用することができる。
【0051】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0052】
(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態に係る内燃機関の始動準備システムの概略構成を示すブロック図である。同図において燃料タンク1の内部には燃料1aが充填されている。また、この燃料タンク1の内部には燃料ポンプ2が配設されており、この燃料ポンプ2が駆動することにより燃料1aは燃料通路3を介してインジェクタ9に向けて圧送される。
【0053】
また、図1において、逆流通路18は、燃料通路3と燃料タンク1との間に配設されており、その途中位置に初期燃圧の調整を行う初期燃圧調整用プレッシャレギュレータ17が配設されている。燃料通路3内の燃圧が所定圧以上になると初期燃圧調整用プレッシャレギュレータ17は開放されて燃料通路3より燃料1aが燃料タンク1に流入する構成とされている。従って、燃料通路3の初期燃圧調整用プレッシャレギュレータ17の配設位置より下流側の燃圧は常に所定圧に維持される構成とされている。
【0054】
次に、インジェクタ9は、内燃機関10に配設されており、後述するエンジンコントロールユニット(ECU)21から供給される燃料噴射信号に応じて開弁及び閉弁する。そして、燃料通路3及びデリバリパイプ6を通り供給された燃料1aを内燃機関10の燃焼室10aに向けて噴射する。なお、燃焼室10aに直接噴射する代わりに、図示しない吸気ポートに向けて噴射することもできる。
【0055】
また、インジェクタ9には、インジェクタ9内の燃料1aを加熱するためのインジェクタヒータ4が備えられている。インジェクタヒータ4は、電熱線,ニクロム線またはリボンヒータ等により構成される電熱ヒータであり、バッテリ5をその電源としている。また、ECU21からの指令に基づいてコントローラ回路15が、インンジェクタヒータ4への供給電流を制御する。
【0056】
また、内燃機関10には、機関制御用の電子制御ユニット(ECU:Electronic ControlUnit)21が併設されている。ECU21は、双方向性バスによって相互に接続された、CPU、ROM、RAM、入力インタフェース回路、出力インタフェース回路等から構成され、前記入力インタフェース回路には各種のセンサが電気配線を介して接続されている。
【0057】
前記ECU21には、後述するドアセンサ7などの各種センサ類が電気配線を介して接続され、各センサの出力信号がECU21に入力されるようになっている。また、ECU21には、インジェクタ9、コントロール回路15等が電気配線を介して接続され、ECU21がそれらを制御することが可能になっている。また、このECU21は、後述するように本発明の特徴である始動準備制御を実行する。
【0058】
本実施の形態では、内燃機関10の始動前に、インジェクタ9から燃焼室10aに噴射されるべき燃料1aを加熱しておくことにより、内燃機関10の始動性を向上させ、始動直後の出力を向上させ、排気ガス中の有害成分を低減させるための燃料加熱ルーチンについて説明する。本ルーチンは、前述したECU21のROMに記憶されたプログラムであり、内燃機関10の停止時に、所定時間毎に実行されるものである。
【0059】
次に、図2のタイムチャートを用いて、本ルーチンによるインジェクタヒータ4の始動準備制御について説明する。本ルーチンの特徴は、一度インジェクタヒータ4への通電を開始した後は、少なくとも、内燃機関10が始動して停止し、さらに、後述する内燃機関停止後待ち時間t1が経過するまでは、2回目のインジェクタヒータ4への通電を行わないことである。
【0060】
図2において横軸は時間の経過を示しており、縦軸には、それぞれ、ドアセンサ7、インジェクタヒータ4、内燃機関10のON/OFFの動作が示されている。ここで、タイムチャートの左端は、前回の内燃機関10の運転が終了した後、後述する内燃機関停止後待ち時間t1が経過した状態を表している。先ず、(1)において、ドアセンサ7がONされると、その時点で、内燃機関10の始動予定が発生したと判断し、インジェクタヒータ4への通電を開始する。
【0061】
ここで、ドアセンサ7は、車輌のドアが開けられたときにONし、閉められたときにOFFする機械式センサであり、ドアセンサ7がONされたことで、運転者が乗車し、内燃機関10が始動する可能性が高いと判断される。
【0062】
本実施の形態における燃料加熱ルーチンでは、ドアセンサ7のON動作に伴うインジェクタヒータ4への通電開始後、予め決められた始動準備継続時間t0の間、通電を続けても内燃機関10の始動がない場合には、通電を終了することとしている。従って、図2においては(1)の後、始動準備継続時間t0の経過時である(2)においても、内燃機関10の始動がないので、インジェクタヒータ4への通電を中断する。これは、ドアセンサ7のON動作だけがあって、内燃機関10の始動が始動準備継続時間t0の間にない場合は、最初のドアセンサ7のON動作は、内燃機関10の始動以外の何らかの目的で行われた可能性が高いと判断されるからである。
【0063】
そして、その後さらに、(3)においてドアセンサ7のON動作があっても、本燃料加熱ルーチンでは、インジェクタヒータ4には通電しない。そして、その後(4)において、内燃機関10が始動し、(5)で運転が終了したとする。この(5)の後、ドアセンサ7がONしたとしても、本燃料加熱ルーチンではインジェクタヒータ4には通電しない。
【0064】
ここで、内燃機関10の停止後、さらに、内燃機関停止後待ち時間t1経過した時点を(6)とする。本燃料加熱ルーチンでは、この(6)以降、例えば(7)において、最初にドアセンサ7のON動作があった場合には、インジェクタヒータ4に再度通電を開始する。
【0065】
すなわち、本燃料加熱ルーチンにおいては、(1)でドアセンサ7のON動作に連動してインジェクタヒータ4を通電開始して以降、少なくとも次に内燃機関10が始動して停止し、さらに内燃機関停止後待ち時間t1が経過した(6)までの間は、ドアセンサ7のON動作があっても、新たにインジェクタヒータ4をONさせることはない。
【0066】
上記した制御をすることによって、内燃機関10の始動前にドアの開閉が複数回あったような場合に、何度も、インジェクタヒータ4への無駄な通電をすることを防止することができる(例えば図2において、(3)に示した、破線によるインジェクタヒータ4のON/OFF動作を防止することができる。)。
【0067】
なお、本実施の形態では、内燃機関10が始動して停止した時点(5)ではなく、それからさらに内燃機関停止後待ち時間t1が経過した時点(6)以降に発生したドアセンサ7のON動作を検出して、インジェクタヒータ4への通電を再開している。これは、内燃機関10が停止した直後のドアセンサ7のON動作は、運転者が降車するときのものである可能性が高いことから、このようなドアセンサ7のON動作によって燃料加熱を開始することを防止するためのものである。
【0068】
内燃機関10が停止した直後の、運転者の降車時に発生するドアセンサ7のON動作によって燃料加熱を開始することを防止するためには、上記のように、内燃機関停止後待ち時間t1を導入する他、内燃機関10の冷却水水温が所定温度以上のときは、ドアセンサ4のON動作を無視するなどの制御を行ってもよい。
【0069】
上記のように、本実施の形態における燃料加熱ルーチンによれば、始動予定であるドア開閉動作のみが何度も発生して、実際には内燃機関10は始動されない場合でも、始動準備手段であるインジェクタヒータ4への通電は1回だけであるので、無駄な通電動作を防止することができ、消費電力の増大を防止することができる。また、燃料1aやインジェクタ9の過剰な温度上昇を防止することができる。
【0070】
ここで、本実施の形態における始動予定検出手段は、ドアの開閉を検出するドアセンサ7を含んで構成される。しかし、ドアセンサ7の他にも、図による説明は割愛するが、リモートコントローラによるキー操作を検出するリモートキーセンサ、イグニッションスイッチにキーが差し込まれたことを検出するキー差込センサ、ドアの鍵穴にキーが差し込まれたことを検出するドアキーセンサ、シートに人が着座したことを検出する着座センサ、シートベルトが着用されたことを検出するシートベルト着用センサなどで構成するようにしてもよい。
【0071】
また、本実施の形態においては、インジェクタ9に備えられたインジェクタヒータ4によって、燃料1aを加熱する場合について説明したが、燃料通路3や、デリバリパイプ6内に電熱ヒータを備えて、電熱ヒータを通過する燃料1aを加熱する構成に対して、本発明を適用してもよい。
【0072】
また、本実施の形態において、ドアセンサ7は機械式センサである場合について説明したが、圧力センサや、光電センサなど、他の原理を用いたセンサでもよいことは、もちろんである。
【0073】
(第2の実施の形態)
次に、本発明に係る第2の実施の形態について説明する。ここでは、前述の第1の実施の形態と異なる構成について説明する。その他の構成および作用については第1の実施の形態と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0074】
本実施の形態においては、第1の実施の形態において説明した燃料加熱ルーチンと同様、一度インジェクタヒータ4への通電を開始した後は、少なくとも、内燃機関10が始動して停止し、さらに、内燃機関停止後待ち時間t1が経過するまでは、インジェクタヒータ4への2回目の通電を行わないこととしている。
【0075】
そして、本実施の形態における燃料加熱ルーチンの最大の特徴は、最初に、ドアセンサ7のON動作に伴って、インジェクタヒータ4への通電を開始した後、内燃機関10が始動する前に、再度ドアセンサ7がONした場合には、インジェクタヒータ4への通電を中断することである。
【0076】
図3は、本実施の形態における燃料加熱ルーチンによる始動準備制御を示すタイムチャートである。図3においても、図2と同様、横軸は時間の経過を示しており、縦軸にはそれぞれ、ドアセンサ7、インジェクタヒータ4、内燃機関10のON/OFFの動作が示されている。ここで、タイムチャートの左端は、図2と同様、前回の内燃機関10の運転が終了して、内燃機関停止後待ち時間t1が経過した状態を表している。
【0077】
そして、本実施の形態では、先ず、(1)においてドアセンサ7がONされた時点で、内燃機関10の始動予定が発生したと判断し、インジェクタヒータ4への通電を開始する。これは、ドアセンサ7がONされたことで、運転者が乗車し、内燃機関10が始動する可能性が高いと判断されるからである。
【0078】
次に、本実施の形態では、(2)において内燃機関10の始動前にドアセンサ7が再度ONされたことを検出したときに、インジェクタヒータ4への通電を中断する。これは、内燃機関10が始動される前にドアセンサ7のON動作だけが複数回あった場合には、内燃機関10の始動以外の何らかの目的でドアセンサ7のON動作だけが行われた可能性が高いと判断されるからである。
【0079】
そして、その後は、内燃機関10が始動及び停止した後、さらに内燃機関停止後待ち時間t1が経過後までは、ドアセンサ7のON動作があってもインジェクタヒータ4には通電しない。さらにその後、(6)においてドアセンサのON動作があった場合には、インジェクタヒータ4に再度通電を開始する。これについては、第1の実施の形態において説明した制御と同様である。しかし、(7)において、その後またドアセンサ7のON/OFF動作だけが再度あった場合には、(2)におけると同様、インジェクタヒータ4への通電を中断する。
【0080】
以上のように本実施の形態にいては、内燃機関10の始動前に始動予定であるドアセンサ6のON動作が複数回発生した場合は、インジェクタヒータ4への通電を禁止する。このことにより、内燃機関10の始動前に、内燃機関10の始動に直結しない始動予定が複数回発生することによって、何度も、インジェクタヒータ4へ無駄な通電が行われることを防止することができる(例えば図3において、(2)と(3)の間に示した、破線によるインジェクタヒータON/OFF動作を防止することができる。)。
【0081】
また、本実施の形態における燃料加熱ルーチンによれば、始動予定であるドアセンサ7のON動作が短時間のうちに2回以上発生した場合には、第1の実施の形態における始動準備継続時間t0の経過を待たずしてインジェクタヒータ4への通電を中断するので、より、効率的に、無駄な通電を防止し、消費電力の増大を防止することができる。
【0082】
ここで、本実施の形態における始動予定検出手段は、ドアの開閉を検出するドアセンサ7を含んで構成される。しかし、ドアセンサ7の他にも、図による説明は割愛するが、リモートコントローラによるキー操作を検出するリモートキーセンサ、ドアの鍵穴にキーが差し込まれたことを検出するドアキーセンサなどによって構成されてもよい。
【0083】
(第3の実施の形態)
次に、本発明に係る第3の実施の形態について説明する。ここでは、前述の第2の実施の形態と異なる構成について説明する。その他の構成および作用については第2の実施の形態と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。なお、本実施の形態においては、ドアセンサ7の他に、図示しないシートに加えられる荷重の変化を検知することにより、運転者がシートから離脱したことを検出する図示しないシート離脱センサを備えており、運転者がシートから離脱した信号をECU21に入力する構成になっている。
【0084】
本実施の形態においては、第2の実施の形態において説明した燃料加熱ルーチンと同様、一度インジェクタヒータ4への通電を開始した後は、内燃機関10が始動して停止し、さらに、内燃機関停止後待ち時間t1が経過するまでは、2回目のインジェクタヒータ4への通電を行わないこととしている。
【0085】
そして、本実施の形態における燃料加熱ルーチンの最大の特徴は、最初のドアセンサ7のON動作に伴って、インジェクタヒータ4への通電を開始した後、内燃機関10が始動する前に、図示しないシート離脱センサがONした場合には、インジェクタヒータ4への通電を中断することである。
【0086】
図4は、本実施の形態における燃料加熱ルーチンによる始動準備制御を示すタイムチャートである。図4においても、図3と同様、横軸は時間の経過を示しており、縦軸には、それぞれ、ドアセンサ7、シート離脱センサ、インジェクタヒータ4、内燃機関10のON/OFFの動作が示されている。ここで、タイムチャートの左端は、図3と同様、前回の内燃機関の運転が終了して、内燃機関停止後待ち時間t0が経過した状態を表している。
【0087】
そして、本実施の形態においては、先ず、(1)においてドアセンサ7がONされた時点で、内燃機関10の始動予定が発生したと判断し、インジェクタヒータ4への通電を開始する。これは、ドアセンサ7がONされたことで、運転者が乗車し、内燃機関10が始動する可能性が高いと判断されるからである。
【0088】
次に、本実施の形態においては、(2)において内燃機関10の始動前にシート離脱センサがONされたことを検出したときに、インジェクタヒータ4への通電を中断する。これは、内燃機関10が始動される前に、シート離脱センサがONした場合には、内燃機関10の始動予定が取り消された可能性が極めて高いと判断されるからである。
【0089】
そして、その後は、内燃機関10が始動及び停止した後、さらに内燃機関停止後待ち時間t1が経過後までは、ドアセンサ7のON動作があってもインジェクタヒータ4には通電しない。さらにその後、(6)においてドアセンサのON動作があった場合にはインジェクタヒータ4に再度通電を開始する。これについては、第1の実施の形態において説明した制御と同様である。しかし、その後(7)においてまた、シート離脱センサのON動作があった場合には、(2)におけると同様、インジェクタヒータ4への通電を中断する。
【0090】
以上のように本実施の形態においては、内燃機関10の始動前に始動予定であるドアセンサ7のON動作の後、始動予定取消検出手段を構成するシート離脱センサのON動作が発生した場合は、インジェクタヒータ4への通電を禁止する。このことにより、内燃機関10の始動前に、内燃機関10の始動予定が取り消された場合に、インジェクタヒータ4へ無駄な通電をすることを防止することができる(例えば図3において、(2)と(3)の間に示した、破線によるインジェクタヒータ4のON/OFF動作を防止することができる。)。
【0091】
また、本実施の形態における燃料加熱ルーチンによれば、始動予定取消検出手段を構成するシート離脱センサのON動作が発生した場合のように、内燃機関10の始動が行われない可能性が極めて高い場合に、第1の実施の形態における始動準備継続時間t0の経過を待たずしてインジェクタヒータ4への通電を中断するので、さらに効率的に、無駄な通電を防止し、消費電力の増大を防止することができる。
【0092】
なお、本実施の形態における始動予定検出手段を構成するセンサとしては、第1および第2の実施の形態と同様、ドアセンサ7の他に、図による説明は割愛するが、リモートコントローラによるキー操作があったこと検出するリモートキーセンサ、イグニッションスイッチにキーが差し込まれたことを検出するキー差込センサ、ドアの鍵穴にキーが差し込まれたことを検出するドアキーセンサ、シートに人が着座したことを検出する着座センサ、シートベルトが着用されたことを検出するシートベルト着用センサなどを挙げることができる。
【0093】
また、始動予定取消検出手段を構成するセンサとしては、本実施の形態において用いたシート離脱センサのほか、図示していないが、イグニッションスイッチからキーが抜き取られたことを検出するキー抜き取りセンサなどを挙げることができる。また、始動予定取消検出手段は、上記の着座センサやシートベルト着用センサなど、始動予定検出手段を構成するセンサ類により構成され、これらのセンサ類がOFFすることをもって、始動予定の取り消しを検出してもよい。
【0094】
さらに、本実施の形態における始動予定の発生の検出は、上に始動予定検出手段を構成するセンサとして例示したセンサ類のうちの複数のセンサ類の組み合わせによって行ってもよい。加えて、本実施の形態における始動予定の取り消しの検出は、上に始動予定取消検出手段を構成するセンサとして例示したセンサ類のうち複数のセンサ類の組み合わせによって行ってもよい。
【0095】
(第4の実施の形態)
次に、本発明に係る第4の実施の形態について説明する。ここでは、前述の第1の実施の形態と異なる構成について説明する。その他の構成および作用については第1の実施の形態と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0096】
第1の実施の形態において説明した燃料加熱ルーチンでは、一度インジェクタヒータ4への通電を開始した後は、少なくとも、内燃機関10が始動して停止し、さらに内燃機関停止後待ち時間t1が経過するまでは、2回目のインジェクタヒータ4への通電を行わないようにしたが、本実施の形態においては、一度インジェクタヒータ4に通電を開始して、さらにその後、内燃機関10が始動する可能性が低いと判断して通電を中断した場合に、その中断から始動準備禁止解除時間t2の経過後であって、内燃機関10の始動前に、始動予定検出手段を構成するドアセンサ7がON動作をした場合には、インジェクタヒータ4への通電を再開することを最大の特徴としている。なお、始動準備禁止解除時間t2については後述する。
【0097】
図5は、本実施の形態における燃料加熱ルーチンによる始動準備制御を示すタイムチャートである。図5においても図2と同様、横軸は時間の経過を示しており、縦軸にはそれぞれ、ドアセンサ7、インジェクタヒータ4、内燃機関10のON/OFFの動作が示されている。また、図5においては、上記のインジェクタヒータ4のON/OFFの変化に伴う、燃料1aの温度の変化の概略図も示している。ここで、タイムチャートの左端は、図2と同様、前回の内燃機関の運転が終了してから、内燃機関停止後待ち時間t1が経過した状態を表している。
【0098】
図5では、先ず、第1の実施の形態におけると同様、(1)においてドアセンサ7がONされた時点で、内燃機関10の始動予定が発生したと判断し、インジェクタヒータ4への通電を開始する。
【0099】
また、ここで、第1の実施の形態における燃料加熱ルーチンと同様、ドアセンサ7のON動作に伴うインジェクタヒータ4への通電開始後、予め決められた始動準備継続時間t0の間、通電を続けても内燃機関の始動がない場合には、通電を終了することとしている。
【0100】
図5において、燃料1aの温度は、(1)でインジェクタヒータ4への通電が開始された時点で上昇を始め、燃料噴射時に理想とされる温度T2まで昇温される。その後、始動準備継続時間t0が経過し、(2)において、インジェクタヒータ4への通電が中断した後には、燃料1aの温度は自然冷却により下降し始める。そして、(3)に示す時点で、燃料噴射時に燃料1aを微粒化するための許容下限と考えられる温度T1まで冷却される。
【0101】
本実施の形態では、図5においてインジェクタヒータ4への通電が中断された後、燃料1aの温度が、燃料噴射時に理想とされる温度T2から自然冷却によって燃料噴射時に許容下限と考えられる温度T1に冷却されるまでの時間、すなわち図5における(2)から(3)までの時間を始動準備禁止解除時間t2として設定する。そして、インジェクタヒータ4への通電中断後、始動準備禁止解除時間t2が経過した後に、ドアセンサ7がONした場合には、再度インジェクタヒータ4への通電を開始する。
【0102】
図5においては、始動準備禁止解除時間t2が経過した(3)以降、(4)においてドアセンサ7がONした瞬間に、インジェクタヒータ4に通電を再開している。その後、さらに、始動準備継続時間t0が経過しても、内燃機関の始動が行われない場合には、(5)において、2度目のインジェクタヒータ4への通電も中断される。ここにおいて、燃料1aの温度は、噴射理想温度T2から再び、自然冷却によって冷却され始める。
【0103】
次に、図5では、(6)において、内燃機関10が始動したとする。この内燃機関10が始動すると、本実施の形態における燃料加熱ルーチンとは別の、内燃機関始動制御ルーチンの働きによって、インジェクタヒータ4には、通電が開始され、燃料1aの温度は、内燃機関10の始動後すぐに、噴射理想温度T2に達している。
【0104】
そして、内燃機関10の運転中は、燃料1aの温度は噴射理想温度T2に維持されているが、内燃機関10の運転が終了した(7)の時点で、自然冷却によって、冷却され始める。そして、運転終了後待ち時間t1が経過した(8)の時点で、噴射時の噴射料許容温度T1まで冷却されることになる。本実施の形態においては、(8)に達した時点で、図5における時間軸の左端からの動作が繰り返される。すなわち、(8)以降、例えば(9)でドアセンサ7がONした場合には、インジェクタヒータ4に通電される。
【0105】
第1の実施の形態及び本実施の形態において、内燃機関10が停止した後、運転終了後待ち時間t1の間は、ドアセンサ7がONしてもインジェクタヒータ4に通電を開始しないこととしているが、これは、運転者の降車によるドアセンサ7のON動作によって燃料加熱を開始してしまうことを防止するためという理由のほかに、運転終了後待ち時間t1の間は、燃料1aの温度が充分に高いため、インジェクタヒータ4に通電する必要がないという理由もある。
【0106】
上記したような制御によって、本実施の形態においては、ドアセンサ7のON動作に伴ってインジェクタヒータ4に通電された後、始動準備継続時間t0が経過しても、内燃機関10が始動しない場合は、インジェクタヒータ4への通電を中断する。そしてその中断から、さらに始動準備禁止解除時間t2が経過した(3)以降は、内燃機関10の停止以前であっても、ドアセンサ7のON動作を検出した場合に、インジェクタヒータ4に通電することとしている。
【0107】
このことにより、内燃機関10の始動に直結しない始動予定の発生によって、何度も、インジェクタヒータ4への無駄な通電をすることを防止することができる。それに加えて、実際に内燃機関10が始動したときには、燃料1aの温度が殆ど室温T0まで冷却されてしまっているというような事態を避けることができる(図5の(6)で内燃時間10を始動した時点では、燃料1aの温度は充分高くなっている。)。
【0108】
なお、図3に示したような、インジェクタヒータ4への通電開始後、内燃機関10の始動前に複数回のドアセンサ7のON動作があった場合に、インジェクタヒータ4への通電を中断する制御や、図4に示したような、インジェクタヒータ4へ通電開始後、内燃機関10の始動前にシート離脱センサがONした場合に、インジェクタヒータ4への通電を中断する制御に対して、本実施の形態における制御を適用してもよい。
【0109】
すなわち、インジェクタヒータ4への通電の中断の制御方法に関わらず、その中断の後、始動準備禁止解除時間t2がさらに経過した後にドアセンサ7のON動作を検出した場合には、インジェクタヒータ4への通電を再開する制御を適用してもよい。
【0110】
なお、上記した第1から第4の実施の形態においては、内燃機関の始動準備システムの一例として、インジェクタヒータ4による燃料の加熱の場合について説明したが、上記第1から第4の実施の形態における制御を、内燃機関10の始動準備としての、図示しない空燃比センサにおけるセンサ素子の加熱や、内燃機関10の排気を浄化する図示しない排気浄化触媒の加熱に適用してもかまわない。
【0111】
(第5の実施の形態)
次に、本発明に係る第5の実施の形態について説明する。ここでは、前述の第1の実施の形態と異なる構成について説明する。その他の構成および作用については第1の実施の形態と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0112】
本実施の形態においては、内燃機関10の始動の準備を行う始動準備手段がインジェクタヒータ4及び、燃料ポンプ2の組み合わせである場合の始動準備制御について説明する。
【0113】
本実施の形態においては、例えば、ドアセンサ7などにより構成される始動予定検出手段が、内燃機関10に始動予定が発生したことを検出した場合に、まず、燃料ポンプ2の作動を開始してインジェクタ9内の燃料1aの燃圧を上昇させ、その後、インジェクタ9に配置されたインジェクタヒータ4に通電を開始し、インジェクタ9内の燃料1aを加熱することによって、内燃機関10の始動準備を行う。
【0114】
図6は、本実施の形態に係る内燃機関の始動準備システムの概略構成を示すブロック図である。また、図7は、本実施の形態における内燃機関10の燃料加熱ルーチンについてのフローチャートである。本ルーチンは、ECU21内のROMに記憶されたものであり、内燃機関10の停止時に所定時間毎に実行される。
【0115】
本ルーチンが実行されると、先ずS601において、始動準備開始条件が満たされているかどうかが判断される。これは、本実施の形態では、内燃機関10の停止後、さらに内燃機関停止後待ち時間t1が経過しており、ドアセンサ7がONされたかどうかが判断される。ここで、始動準備開始条件が成立していなければ、そのまま本ルーチンを終了する。一方、始動準備開始条件が成立していれば、S602に進む。
【0116】
S602においては、まず、燃料ポンプ2の作動が開始される。このことにより、インジェクタ9内の燃料の燃圧が上昇し始める。
【0117】
次に、S603においては、始動準備中断条件が成立しているかどうかが判断される。本実施の形態においては、S602において、燃料ポンプ2の作動が開始、すなわち、内燃機関10の始動準備が開始されてから、始動準備継続時間t0が経過したかどうか及び、内燃機関10が始動したかどうかが判断される。
【0118】
ここで、もし、内燃機関10の始動準備が開始されてから始動準備継続時間t0が経過したか、または、内燃機関10が始動したときは、S608に進む。S608での処理については後述する。一方、S603において、内燃機関10の始動準備が開始されてから始動準備継続時間t0は経過しておらず、内燃機関10が始動していないと判断されたときにはS604に進む。
【0119】
S604においては、燃料ポンプ2の作動によって上昇している燃圧が、インジェクタヒータ4に通電を開始するのに充分な燃圧P1以上かどうかが判断される。本実施の形態においては、デリバリパイプ6に燃圧を検知する圧力センサ11を設置しておき、燃圧が所定値P1以上になったかどうかを判断する。
【0120】
この判断については、燃料ポンプ2が作動を開始してからの時間と、燃圧との関係を予め実験的に調べておき、燃圧がインジェクタヒータ4への通電を開始するのに充分な圧力P1になる時間t3が経過したかどうかを判断してもよいし、例えばプレッシャレギュレータ17の作動を確認する作動確認センサ12を備えておき、その作動を確認する方法をとってもよい。
【0121】
S604において、燃圧がP1未満であると判断された場合には、S603の処理の前に戻り、再度始動準備中断条件の成立の判断がされる。ここで、始動準備中断条件が成立していると判断された場合には、S608に進み、成立してないと判断された場合には、再度、S604に進み、燃圧がインジェクタヒータ4を作動させるのに充分な燃圧P1以上かどうかが判断される。そして、S604で、燃圧がP1以上であると判断されるまで、この処理が繰り返される。
【0122】
S604で、燃圧がP1以上であると判断された場合には、S605に進み、インジェクタヒータ4に通電が開始され、燃料1aの温度制御が開始される。具体的には、インジェクタヒータ4への供給電流および印加電圧から、インジェクタヒータ4の抵抗値Rを検知する。この抵抗値Rは、温度によって変化するため、ここで検知された抵抗値Rから、インジェクタヒータ4の温度および、それと相関の高い燃料1aの温度を推定し、推定された燃料1aの温度が、燃料噴射時に燃料1aを最適に微粒化できる温度になるように供給電流をフィードバック制御する。
【0123】
次に、S606に進み、始動準備中断条件が成立するかどうかが判断される。ここで、判断される始動準備中断条件の内容は、S603において判断される内容と同じである。そして、始動準備中断条件が成立しない場合には、S606の処理の前まで戻り、再度、S606で始動準備中断条件が成立しているかどうかが判断され、S606で、始動準備中断条件が成立するまで、この処理が繰り返される。
【0124】
換言すると、始動準備中断条件が成立するまで、燃料ポンプ2による燃料への加圧と、インジェクタヒータ4への通電による燃料1aの温度制御が継続される。S606において、始動準備中断条件が成立した場合、すなわち、始動準備を開始してから始動準備継続時間t0が経過したか、内燃機関10が始動された場合には、S607に進み、インジェクタヒータ4への通電を停止して燃料1aの温度制御を中断し、次に、S608に進み、燃料ポンプ2を停止したうえで、本ルーチンを終了する。
【0125】
なお、S603またはS606で、内燃機関10が始動されたと判断された場合には、本ルーチン終了後、本ルーチンとは別の内燃機関始動制御ルーチンによって、燃料1aの温度制御が行われる。
【0126】
以上、説明したように、本実施の形態における燃料加熱ルーチンにおいては、内燃機関10の始動準備が開始されたときに、まず、燃料ポンプ2を作動させてインジェクタ9や、燃料通路3内の燃圧を上昇させ、燃圧がインジェクタヒータ4に通電開始するのに充分な燃圧P1以上であることを確認したうえで、インジェクタヒータ4への通電を開始して燃料1aの温度制御を開始している。従って、燃料1aの燃圧が低い状態で、燃料1aの温度が上昇することがなく、ベーパロックが発生することがない。
【0127】
次に本実施の形態における、インジェクタヒータ4への電流の供給方法の詳細について説明する。本実施の形態における内燃機関10においては、車輌に給油がされたことを検出する給油センサ14及び、最も新しく給油センサ14が、給油されたことを検出してからの運転時間を計測する図示しない給油後運転時間タイマが備えられている。
【0128】
実際には、給油センサ14からの信号を受け取ったECU21が、その時点から運転時間計測を開始し、RAMに格納した給油後運転時間データを読み出すことによって、図示しない給油後運転時間タイマのタイマ機能が実現される。なお、給油センサ14は、本実施の形態においては、燃料タンク1に連通されている給油口13の蓋体13aの開閉を検知する機械式スイッチによって構成されている。しかし、給油センサ14は、圧力センサや、光電センサを用いたものなど、他の原理に基づくものであってもよいことはもちろんである。
【0129】
本実施の形態においては、ECU21の指令によって、コントロール回路15は、給油後運転時間データの値に応じた電流をインジェクタヒータ4に供給する。具体的には、給油後運転時間データの値が小さい場合には、供給電流値を小さい値とし、給油後運転時間データの値が大きくなるにつれて供給電流値も大きくしていく、さらに換言すると、給油直後は、インジェクタヒータ4への供給電流を小さく、給油後の運転時間が長い場合には、供給電流を大きくする。
【0130】
ここで、前述のように、内燃機関10の始動性の向上を図り、始動当初から、出力の向上を図り、排気ガス中の有害成分を低減させるためには、インジェクタヒータ4で加熱した燃料1aを噴射することにより燃料1aを減圧沸騰させ、燃料1aの噴霧を微粒化することが有効である。そして、インジェクタヒータ4による加熱の適正温度は、燃料1aの性状によって異なる。
【0131】
すなわち、燃料性状が重質であれば燃料沸点が高いため、燃料1aを加熱して微粒化を促進するためには、供給する電力量を大きくする必要がある。逆に、燃料性状が軽質であれば燃料沸点が低いため、燃料1aを加熱して微粒化を促進するために必要な電力量は少なくてもよい。従って、本実施の形態においては、給油センサ14及び給油後運転時間タイマによりインジェクタ9内の燃料1aの性状を推定し、推定された燃料性状に応じてインジェクタヒータ4に供給する電力量を制御する。
【0132】
こうすれば、インジェクタ9内の燃料性状にかかわらず燃料1aを最適に微粒化することができ、内燃機関10の始動性向上を図り、始動当初から出力を向上させ、排気ガス中の有害成分を低減させることができる。
【0133】
なお、本実施の形態における燃料性状推定手段は、給油センサ14及び、給油後運転時間タイマの機能を果たすECU21を含んで構成される。その他、燃料性状推定手段は、給油センサ14及び、燃料タンク1内の図示しない燃料残量センサを含んで構成するようにしてもよい。また、本実施の形態では、コントロール回路15からインジェクタヒータ4へ供給する電流の値を制御することにより、所定時間にインジェクタヒータ4に供給する電力量の制御を行っている。
【0134】
また、さらに、燃料性状の推定精度を上げるためには、燃料性状推定手段に、図示しない温度センサや、図示しない気圧センサを備え、それぞれのセンサの計測値に応じた補正係数を給油後運転時間データに乗じる補正をするなど、上記センサからの情報を加味するようにしてもよい。これは、温度が高いほど、または気圧が低いほど、燃料1aの軽質成分の蒸発が促進されるからである。
【0135】
なお、燃料性状を推定する手段としては、上記の他、前回の内燃機関10の運転時に空燃比センサによって取得した、空燃比変動の大きさの値を記憶しておき、その空燃比変動の大きさから燃料性状を推定する方法もある。これは、燃料性状が重質であるほど、運転時の空燃比変動が大きくなるという知見に基づいている。ここで、この空燃比センサは、内燃機関19における空燃比を検出するために、内燃機関10の排気ガス通路に備えられ、内燃機関10の排気ガスの酸素濃度を取得するためのセンサである。
【0136】
具体的には、内燃機関10の運転時の空燃比変動の大きさと、燃料性状との関係および、燃料性状とインジェクタヒータ4への最適な供給電流量との関係を実験的に調査しておき、内燃機関10の運転時の空燃比変動の大きさと、インジェクタヒータ4への最適な供給電流量のデータを格納して作成した供給電流マップから、供給電流値を読み出すことによって制御してもよい。
【0137】
なお、本実施の形態においては、給油後の運転時間などのデータに基づいて燃料1aの燃料性状を推定しているので、実際に燃料1aの飽和水蒸気圧を検知して、その値から燃料性状を判断する必要がない。従って、燃料通路3において燃料ベーパが発生するといった不具合がない。
【0138】
(第6の実施の形態)
次に、本発明に係る第6の実施の形態について説明する。ここでは、前述の第1の実施の形態と異なる構成について説明する。その他の構成および作用については第1の実施の形態と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0139】
本実施の形態においては、インジェクタヒータ4への通電開始後の所定期間、コントロール回路15からインジェクタヒータ4へ供給する電流を最大にするために、バッテリ5の端子間電圧を直接インジェクタヒータ4に印加する例について説明する。
【0140】
前述した第1の実施の形態においては、燃料噴射時に燃料1aを最適に微粒化できるように、インジェクタヒータ4への供給電流の値を目標電流にフィードバック制御することにより、燃料1aの加熱を行っている。
【0141】
しかし、本実施の形態においては、インジェクタヒータ4への通電開始後の所定時間について、上記のフィードバック制御による電流制御は休止する。そして、バッテリ5の端子間電圧を直接インジェクタヒータ4の端子に印加する。このことにより、インジェクタヒータ4には、その抵抗値Rと、バッテリ5の端子間電圧によって定まる最大の電流を供給することができる。
【0142】
そして、インジェクタ9内の燃料1aが燃料噴射時に燃料を最適に微粒化できる温度付近まで昇温した時点で、目標電流値への電流のフィードバック制御を開始する。こうすることによって、インジェクタヒータ4への電流供給開始後の所定時間にわたり、インジェクタヒータ4における発熱を最大にすることができるので、インジェクタ9内の燃料1aを早期に昇温させ、早期に、燃料噴射時に燃料を最適に微粒化できる状態にすることができる。
【0143】
(第7の実施の形態)
次に、本発明に係る第7の実施の形態について説明する。ここでは、前述の第1の実施の形態と異なる構成について説明する。その他の構成および作用については第1の実施の形態と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0144】
本実施の形態においては、インジェクタヒータ4が、インジェクタ9の内部のニードル弁9aに直接設けられており、インジェクタヒータ4は、ニードル弁9a及びインジェクタ9の内部を通過する燃料1aを加熱する構成についての、インジェクタヒータ4に供給する電流の制御について説明する。
【0145】
図8に、本実施の形態におけるインジェクタ9の概略構成を示す。図7において、インジェクタ9は、ボディー部9bにおいて、内燃機関10に固定されている。そして、インジェクタ9の内部には、ニードル弁9aが図中上下方向に摺動可能に設置されている。このニードル弁9aは、図示しない弾性部材によって燃料噴射孔9cの方向に付勢されている。燃料噴射の際は、やはり図示しない電磁力発生手段によって発生する電磁力によって、燃料噴射孔9cから離れる方向に所定のリフト量だけ移動する。
【0146】
そのとき、所定の燃圧まで加圧された燃料1aがニードル弁9a内を図中の矢印の方向に通過し、燃料噴射孔9cから噴射される構成になっている。そして、ニードル弁9aのまわりには、インジェクタヒータ4が備えられており、このインジェクタヒータ4内の図示しない電熱線に通電されることにより、ニードル弁9a及び、その内部の燃料1aを加熱する構成になっている。
【0147】
本実施の形態では、インジェクタヒータ4の加熱を開始したときに、まず、ECU21内のCPUにより、インジェクタヒータ4内の図示しない電熱線の抵抗値Rが、コントロール回路15からの印加電圧及び供給電流より算出される。そして、電熱線の抵抗Rと、ニードル弁9aの温度Tnとの関係を表すデータを格納したニードル弁温度マップより、そのときの電熱線の抵抗値Rに対応するニードル弁9aの温度Tnのデータを読み出す。
【0148】
一方、ECU21においては、内燃機関10に備えられた、図示しない水温センサからのデータにより、インジェクタ9のボディー部9bの温度Tbを取得する。具体的には、水温センサからの水温データと、ボディー部9bの温度との関係を予め実験的に調査して作成したボディー部温度マップよりボディー部温度Tbを読み出して取得する。そしてECU21は、上記Tn及びTbが等しくなるように、インジェクタヒータ4に供給する電流を決定し、コントロール回路15によって、その電流をインジェクタヒータ4に供給させるフィードバック制御を行う。
【0149】
このことにより、ニードル弁9aの温度Tnと、ボディー部9bの温度Tbを同じにすることができるので、両部分の熱膨張量を同等にすることができる。その結果、ニードル弁9aのリフト量が温度によって変化することがなくなり、噴射量を温度にかかわらず一定にすることができる。
【0150】
なお、本実施の形態におけるインジェクタヒータ4に供給する電流の制御については、図8に示した構成以外の構成をとるインジェクタヒータ4にも適用可能であることはもちろんである。また、ニードル弁9aの温度Tn及び、ボディー部9bの温度Tbは、上記と別の方法によって取得してもかまわない。
【0151】
【発明の効果】
上述のように本発明にあっては、内燃機関の始動前に、始動予定が複数回発生した場合の無駄な始動準備を防止することにより、エネルギーの無駄を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明における第1の実施の形態に係る内燃機関の始動準備システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明における第1の実施の形態に係る燃料加熱ルーチンによる制御を示すタイムチャートである。
【図3】図3は、本発明における第2の実施の形態に係る燃料加熱ルーチンによる制御を示すタイムチャートである。
【図4】図4は、本発明における第3の実施の形態に係る燃料加熱ルーチンによる制御を示すタイムチャートである。
【図5】図5は、本発明における第4の実施の形態に係る燃料加熱ルーチンによる制御を示すタイムチャートである。
【図6】図6は、本発明における第5の実施の形態に係る内燃機関の始動準備システムの概略構成を示すブロック図である。
【図7】図7は、本発明における第5の実施の形態に係る燃料加熱ルーチンを示すフローチャートである。
【図8】図8は、本発明における第7の実施の形態に係るインジェクタの概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1…燃料タンク
2…燃料ポンプ
3…燃料通路
4…インジェクタヒータ
5…バッテリ
6…デリバリパイプ
7…ドアセンサ
9…インジェクタ
10…内燃機関
10a…燃焼室
15…コントロール回路
21…ECU
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の始動前に始動準備を行う内燃機関の始動準備システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年車両の排ガス規制が強化されている。そして、排ガス中の有害成分を低減させるためには、ヒータで加熱した燃料を噴射することにより燃料を減圧沸騰させ、燃料噴霧を微粒化することが有効である。特に、内燃機関の冷間始動時は、燃料の温度が低いため噴射した燃料は微粒化しにくい。よって、冷間始動時に燃料をヒータで加熱して微粒化することが効果的である。また、内燃機関の始動性及び出力の向上を図るためにも、前述のように、燃料噴霧を微粒化することが有効であることが分かっている。
【0003】
そして、内燃機関の始動当初から上記のように燃料を微粒化し、始動性及び出力の向上を図るとともに排ガス中の有害成分を低減するためには、内燃機関の始動前から燃料をヒータで加熱する必要がある。このため、イグニッションスイッチがオンされるなどの、内燃機関が始動する予定を検出して、その始動前から燃料をヒータで加熱することが行われている。
【0004】
その他、排気ガス中の有害成分を低減するための空燃比フィードバック制御に用いられる空燃比センサは、これに設けられたヒータに通電することにより加熱され、活性化することにより空燃比の検出が可能になる。従って、このような空燃比センサのヒータについても、上記と同様に、内燃機関が始動する予定を検出して、その始動前からヒータによるセンサ加熱を始めることが行われている。
【0005】
しかしながら、従来はイグニッションスイッチがオンされた後、最大電力でヒータに通電するので、イグニッションスイッチがオンのまま内燃機関が始動されずに放置された場合、オルタネータの発電がない状態でバッテリの電力がヒータに消費され続けてバッテリの電圧が低下してしまうおそれがあった。また、低温始動時にバッテリ電圧が低い場合、最大電力でヒータに通電すると内燃機関の始動が困難になるおそれがあった。
【0006】
上記の不具合に対し、イグニッションスイッチがオンした後、空燃比センサのヒータを起動し、その後、所定時間経過しても内燃機関が始動しない場合には、始動準備装置であるヒータの作動を中断する技術などが提案されている。(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
しかし、上記の従来技術においては、イグニッションスイッチがオンしたときには、必ず所定時間、ヒータが作動するため、内燃機関の実際の始動がないまま、イグニッションスイッチのオン動作のみが複数回あった場合などには、無駄な電力消費が増加する欠点があった。
【0008】
なお、上記以外の従来技術として、特許文献2から4に示すものが例示できる。
【0009】
【特許文献1】
特開平10−111269号公報
【特許文献2】
特開平07−77130号公報
【特許文献3】
特開2002−195110号公報
【特許文献4】
特開2002−266712号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的とするところは、内燃機関の始動前に、始動予定が複数回発生した場合の無駄な始動準備を防止することにより、エネルギーの無駄を防止することができる技術を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明においては、ドア開閉などの車輌の操作状態を検出することで内燃機関の始動予定の発生を検出し、その検出を条件に内燃機関の始動準備を開始する場合にあっては、内燃機関の始動と関係なくドア開閉などが複数回行われるおそれがあるので、少なくとも次に内燃機関が始動し停止するまでは、その後内燃機関の始動予定の発生を新たに検出したとしても、その検出による内燃機関の始動準備はしないようにした。
【0012】
より詳しくは、本発明においては、始動予定検出手段が内燃機関の始動予定の発生を検出したときに、始動準備制御手段が、始動準備手段を作動させて内燃機関の始動の準備を開始し、少なくともその後、内燃機関が始動して停止するまでは、始動予定検出手段が内燃機関の始動予定発生をさらに検出しても始動準備手段を新たに作動させないこととする。
【0013】
これにより、内燃機関の始動前に、その始動予定が複数回発生した場合でも、始動準備は最初の始動予定の発生のみを条件に開始される。従って、始動予定のみが何度も発生して、実際には内燃機関は始動されない場合でも、始動準備は1回だけであるので、無駄な始動準備動作を防止することができ、エネルギーの無駄を防止することができる。
【0014】
なお、例えば、前記内燃機関の始動準備手段が、燃料の加熱や空燃比センサの加熱、あるいは、内燃機関の排気を浄化させる排気浄化触媒などの加熱に用いられる電熱ヒータである場合は、燃料や空燃比センサ、排気浄化触媒などの過剰な温度上昇を防止し、消費電力の増大を防止することができる。
【0015】
また、本発明における始動予定検出手段を構成するセンサとしては、ドアの開閉を検出するドアセンサ、リモートコントローラによるキー操作を検出するリモートキーセンサ、イグニッションスイッチにキーが差し込まれたことを検出するキー差込センサ、ドアの鍵穴にキーが差し込まれたことを検出するドアキーセンサ、シートに人が着座したことを検出する着座センサ、シートベルトが着用されたことを検出するシートベルト着用センサなどを挙げることができる。なお、本発明における始動予定検出手段は、上記のセンサ類の組み合わせによって構成されてもよい。
【0016】
また、本発明においては、始動予定検出手段が内燃機関の始動予定の発生を検出したときに、始動準備制御手段が、始動準備手段を作動させて内燃機関の始動の準備を開始し、その後第1の所定時間が経過しても内燃機関が始動しない場合には、その始動の準備を中断させるようにし、さらに、その中断後第2の所定時間が経過するまでは、始動予定検出手段が内燃機関の始動予定発生をさらに検出しても始動準備手段を新たに作動させないようにした。
【0017】
すなわち、内燃機関の始動前に、その始動予定が複数回発生した場合でも、原則は、始動準備は最初の始動予定の発生のみを条件に開始される。しかし、始動準備が開始してから第1の所定時間が経過しても内燃機関が始動しない場合には、始動準備が中断される。そして、その中断後第2の所定時間が経過した後に、始動予定が発生した時には、再度始動準備を開始するのである。
【0018】
これによれば、まず最初に始動準備を開始しても、第1の所定時間が経過するまでに内燃機関が始動しない場合には、始動予定だけが発生し、実際の始動は発生しないと判断して、始動準備を中断するので、過剰に無駄な始動準備をすることがない。さらに、その中断から第2の所定時間以上が経過した場合には、例えば、始動準備で加熱した燃料が冷えてしまうなど、最初の始動準備による効果がなくなってしまうおそれがあるので、それ以降、始動予定が検出された場合には、再度始動準備を開始するのである。
【0019】
従って、始動予定のみが発生し、実際の内燃機関の始動が行われない場合にも、無駄な始動準備を防止できると同時に、その後、実際に内燃機関の始動が行われた場合に、それまでに行った始動準備の効果がないという事態を避けることができる。
【0020】
なお、例えば、前記内燃機関の始動準備手段が、燃料の加熱や空燃比センサの加熱、あるいは、内燃機関の排気を浄化させる排気浄化触媒などの加熱に用いられる電熱ヒータである場合は、燃料や空燃比センサ、排気浄化触媒などの過剰な温度上昇を防止し、消費電力の増大を防止すると同時に、実際に内燃機関が始動したときに、燃料や空燃比センサ、排気浄化触媒などの温度が、電熱ヒータで加熱していないのと変わらない温度まで冷えてしまうことを避けることができる。
【0021】
また、本発明においては、始動予定検出手段が内燃機関の始動予定の発生を検出したときに、始動準備制御手段が、始動準備手段を作動させて内燃機関の始動の準備を開始し、その後、始動予定検出手段が内燃機関の始動予定の発生を再度検出したときには、その始動の準備を中断させるようにした。
【0022】
すなわち、内燃機関の始動前に、その始動予定が複数回発生した場合には、始動予定が取り消されたことも考えられるので、始動準備を中断する。例えば、始動予定をドアの開閉動作とした場合に、複数回のドア開閉動作があったときは、運転者が一度車輌に乗車し、さらに降車したことが考えられるからである。
【0023】
これにより、始動予定の発生だけが複数回検出されて、実際には始動予定がなくなったような場合に、無駄な始動準備動作を防止することができ、エネルギーの無駄を防止することができる。また、内燃機関の始動準備手段が、燃料の加熱や空燃比センサの加熱、あるいは、内燃機関の排気を浄化させる排気浄化触媒などの加熱に用いられる電熱ヒータである場合は、燃料や空燃比センサ、排気浄化触媒などの過剰な温度上昇を防止し、消費電力の増大を防止することができる。
【0024】
また、本発明においては、始動予定検出手段が内燃機関の始動予定の発生を検出したときに、始動準備制御手段が、始動準備手段を作動させて内燃機関の始動の準備を開始し、その後、始動予定取消検出手段が内燃機関の始動予定の取り消しを検出したときには、その始動の準備を中断させるようにした。
【0025】
すなわち、内燃機関の始動前に、一度発生した始動予定を取り消したことが検出された場合には、始動準備を中断するようにした。例えば、始動予定の発生をシートへの着座動作によって検出した場合には、逆にシートからの離脱動作が検出されたことは、前記した始動予定の取り消しを意味するので、このような場合には、始動準備を中断するのである。
【0026】
これにより、始動予定が一度発生しても、その後、始動予定が取り消された場合に、無駄な始動準備動作を防止することができ、エネルギーの無駄を防止することができる。また、内燃機関の始動準備手段が、燃料の加熱や空燃比センサの加熱、あるいは、内燃機関の排気を浄化させる排気浄化触媒などの加熱に用いられる電熱ヒータである場合は、燃料や空燃比センサ、排気浄化触媒などの過剰な温度上昇を防止し、消費電力の増大を防止することができる。
【0027】
また、本発明における始動予定取消検出手段を構成するセンサとしては、イグニッションスイッチからキーが抜き取られたことを検出するキー抜き取りセンサ、シートから人が離脱したことを検出するシート離脱センサ、シートベルトが離脱されたことを検出するシートベルト離脱センサなどを挙げることができる。なお、本発明における始動予定取消検出手段は、上記のセンサ類の組み合わせによって構成されてもよい。
【0028】
また、本発明における始動予定取消検出手段は、着座センサやシートベルト着用センサなど、始動予定検出手段を構成するセンサ類によって構成され、これらのセンサ類がOFFすることをもって、始動予定の取り消しを検出してもよい。
【0029】
また、本発明においては、前記したように始動予定が複数回発生したときや、始動予定が取り消されたときに始動準備を中断した後、さらに所定時間が経過した後であって、内燃機関の始動前に、始動予定検出手段が内燃機関の始動予定が発生したことを再度検出した場合には、始動準備を再開するようにしてもよい。
【0030】
すなわち、始動準備の中断から所定時間以上が経過した場合は、最初の始動準備による効果がなくなり、始動準備をしていないのと同じ状態に戻ってしまうおそれがある。従って、それ以降、始動予定が再度検出された場合には、始動準備を再開する。それにより、一度、始動準備を中断した後に、実際に内燃機関の始動が行われた場合に、それまでに行った始動準備の効果がないという事態を避けることができる。
【0031】
なお、上述したように、本発明における始動準備手段の具体例としては、供給される電流に応じた発熱をして、内燃機関のインジェクタ内または、その上流側の燃料を加熱する電熱ヒータなどを挙げることができる。
【0032】
この場合は、内燃機関の始動前に、インジェクタ内またはその上流側の燃料を加熱することができ、それにより、内燃機関の始動当初からインジェクタからの燃料噴射時に、燃料を減圧沸騰させ、燃料噴霧を微粒化することができる。その結果、内燃機関の始動性を向上させることができる。また、内燃機関の始動当初から、その出力を向上させるとともに、排気ガス中の有害成分を低減させることができる。
【0033】
また、本発明における始動準備手段の具体例としては、供給される電流に応じた発熱をして、内燃機関のインジェクタ内または、その上流側の燃料を加熱する電熱ヒータと、インジェクタから噴射される燃料の燃圧を所定圧以上に上昇させる燃料ポンプとの組み合わせを挙げることができる。
【0034】
そして、その場合、始動準備手段が作動をするときには、先ず、燃料ポンプがインジェクタ内の燃料の燃圧を所定圧以上に上昇させた後、電熱ヒータがインジェクタ内または、その上流側の燃料を加熱し始めるようにするのがよい。
【0035】
すなわち、燃料ポンプによって、インジェクタ内の燃料の燃圧が充分に高められてから、電熱ヒータによる燃料加熱が開始するので、燃料の燃圧が低い状態で、燃料の温度が上昇することがなく、ベーパロックの発生を防止することができる。
【0036】
また、本発明においては、前記インジェクタ内の燃料の性状を推定する燃料性状推定手段をさらに備えるようにし、その燃料性状推定手段により推定されたインジェクタ内の燃料の燃料性状が重質であるほど、前記電熱ヒータに供給される電力量を多くすることようにするとよい。
【0037】
ここで、前述のように、内燃機関の始動性及び出力の向上を図り、排気ガス中の有害成分を低減させるためには、電熱ヒータで加熱した燃料を噴射することにより燃料を減圧沸騰させ、燃料噴霧を微粒化することが有効である。そして、電熱ヒータによる加熱の適正温度は、燃料の性状によって異なることが知られている。
【0038】
すなわち、燃料性状が重質であれば、燃料沸点が高いので、微粒化を促進するためには、加熱のために供給する電力量を大きくする必要がある。逆に、燃料性状が軽質であれば、燃料沸点が低いので、加熱して微粒化を促進するために必要な電力量は少なくてもよい。従って、本発明においては、燃料性状推定手段により、インジェクタ内の燃料の性状を推定し、推定された燃料性状に応じて、電熱ヒータに供給する電力量を制御する。
【0039】
こうすれば、インジェクタ内の燃料性状にかかわらず、最適の燃料粒状を得ることができ、内燃機関の始動性向上を図り、始動当初から出力を向上させ、排気ガス中の有害成分を低減させることができる。
【0040】
なお、本発明における燃料性状推定手段としては、給油後の燃料消費量または、給油後の運転時間を検知して、燃料性状を推定する装置を例示することができる。ここで、給油直後の燃料は軽質成分を比較的多く含む。そして、給油後の燃料消費量が多いほど、または給油後の運転時間が長いほど、燃料の軽質成分が蒸発するので、燃料は重質成分を多く含むようになる。従って、給油後の燃料消費量または、給油後の運転時間によって燃料性状を推定することができる。
【0041】
具体的には、給油直後には、電熱ヒータへの供給電力量は小さくし、給油後の運転時間が長いときには、電熱ヒータへの供給電力量を大きくするようにするとよい。
【0042】
また、燃料性状推定手段の別の例をして、内燃機関の運転時の空燃比変動の大きさから、燃料性状を推定する装置を例示することができる。これは、内燃機関の運転時の空燃比変動の大きさは、燃料性状が重質であるほど大きくなるという知見に基づいている。具体的には、前回の運転時に空燃比センサで検出された空燃比変動の大きさのデータを記憶しておき、そのデータより、今回の始動準備開始時の燃料性状を推定するのがよい。
【0043】
さらに、燃料性状の推定精度を上げるためには、大気温度や、大気圧などを検知し、燃料性状推定のための情報として用いるとよい。これは、大気温度が高い方が燃料の蒸発速度が速く、同様に、大気圧が低い方が燃料の蒸発速度が速いという知見に基づいている。なお、本発明においては、上記のような種々の情報に基づいて燃料性状を推定しているので、実際に燃料の飽和水蒸気圧を検出することによって燃料性状を取得する必要がない。従って、燃料供給用の配管内で燃料ベーパが発生するといった不具合がない。
【0044】
また、本発明において、電熱ヒータに電流を供給するためのバッテリを備えており、さらに、電熱ヒータに供給される電流を制御する電流制御手段を備えている場合に、電熱ヒータによるインジェクタの加熱が開始された後の所定時間については、前記電流制御手段による電流のフィードバック制御などを休止し、バッテリの電極間電圧を電熱ヒータに直接印加するとよい。
【0045】
こうすれば、電熱ヒータには、所定時間、その抵抗値とバッテリ電圧によって定まる最大の電流を流すことができるので、電熱ヒータの発熱を最大にすることができ、インジェクタ内の燃料を早期に昇温させることができる。
【0046】
また、本発明によれば、前記インジェクタは、燃料噴射時に摺動して開弁動作をするニードル弁を有し、さらに、そのニードル弁を支持するとともに燃料の噴射孔を備えるボディー部とを有しており、電熱ヒータは、前記インジェクタのニードル弁に配置されてニードル弁を加熱する構造とする。
【0047】
また、始動準備制御手段は、ニードル弁温度取得手段及びボディー部温度取得手段によって、ニードル弁の温度とボディー部の温度とを取得する。そして、電熱ヒータは、取得されたニードル部の温度と、ボディー部の温度とが等しくなるようにニードル弁を加熱するようにするとよい。
【0048】
このことにより、ニードル弁の温度と、ボディー部の温度を同じにすることができるので、両部分の熱膨張量を同等にすることができる。その結果、ニードル弁のリフト量が温度によって変化することがなくなり、噴射量を温度にかかわらず一定にすることができる。
【0049】
なお、上記で、ニードル弁の温度を取得する方法としては、電熱ヒータへの供給電流及び印加電圧から電熱ヒータの抵抗値を検知し、その抵抗値からニードル弁の温度を推定する方法を例示することができる。また、ボディー部の温度を取得する方法としては、エンジン水温からボディー部の温度を推定する方法を例示することができる。
【0050】
なお、上記した、課題を解決するための手段は、可能な限り組み合わせて使用することができる。
【0051】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0052】
(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態に係る内燃機関の始動準備システムの概略構成を示すブロック図である。同図において燃料タンク1の内部には燃料1aが充填されている。また、この燃料タンク1の内部には燃料ポンプ2が配設されており、この燃料ポンプ2が駆動することにより燃料1aは燃料通路3を介してインジェクタ9に向けて圧送される。
【0053】
また、図1において、逆流通路18は、燃料通路3と燃料タンク1との間に配設されており、その途中位置に初期燃圧の調整を行う初期燃圧調整用プレッシャレギュレータ17が配設されている。燃料通路3内の燃圧が所定圧以上になると初期燃圧調整用プレッシャレギュレータ17は開放されて燃料通路3より燃料1aが燃料タンク1に流入する構成とされている。従って、燃料通路3の初期燃圧調整用プレッシャレギュレータ17の配設位置より下流側の燃圧は常に所定圧に維持される構成とされている。
【0054】
次に、インジェクタ9は、内燃機関10に配設されており、後述するエンジンコントロールユニット(ECU)21から供給される燃料噴射信号に応じて開弁及び閉弁する。そして、燃料通路3及びデリバリパイプ6を通り供給された燃料1aを内燃機関10の燃焼室10aに向けて噴射する。なお、燃焼室10aに直接噴射する代わりに、図示しない吸気ポートに向けて噴射することもできる。
【0055】
また、インジェクタ9には、インジェクタ9内の燃料1aを加熱するためのインジェクタヒータ4が備えられている。インジェクタヒータ4は、電熱線,ニクロム線またはリボンヒータ等により構成される電熱ヒータであり、バッテリ5をその電源としている。また、ECU21からの指令に基づいてコントローラ回路15が、インンジェクタヒータ4への供給電流を制御する。
【0056】
また、内燃機関10には、機関制御用の電子制御ユニット(ECU:Electronic ControlUnit)21が併設されている。ECU21は、双方向性バスによって相互に接続された、CPU、ROM、RAM、入力インタフェース回路、出力インタフェース回路等から構成され、前記入力インタフェース回路には各種のセンサが電気配線を介して接続されている。
【0057】
前記ECU21には、後述するドアセンサ7などの各種センサ類が電気配線を介して接続され、各センサの出力信号がECU21に入力されるようになっている。また、ECU21には、インジェクタ9、コントロール回路15等が電気配線を介して接続され、ECU21がそれらを制御することが可能になっている。また、このECU21は、後述するように本発明の特徴である始動準備制御を実行する。
【0058】
本実施の形態では、内燃機関10の始動前に、インジェクタ9から燃焼室10aに噴射されるべき燃料1aを加熱しておくことにより、内燃機関10の始動性を向上させ、始動直後の出力を向上させ、排気ガス中の有害成分を低減させるための燃料加熱ルーチンについて説明する。本ルーチンは、前述したECU21のROMに記憶されたプログラムであり、内燃機関10の停止時に、所定時間毎に実行されるものである。
【0059】
次に、図2のタイムチャートを用いて、本ルーチンによるインジェクタヒータ4の始動準備制御について説明する。本ルーチンの特徴は、一度インジェクタヒータ4への通電を開始した後は、少なくとも、内燃機関10が始動して停止し、さらに、後述する内燃機関停止後待ち時間t1が経過するまでは、2回目のインジェクタヒータ4への通電を行わないことである。
【0060】
図2において横軸は時間の経過を示しており、縦軸には、それぞれ、ドアセンサ7、インジェクタヒータ4、内燃機関10のON/OFFの動作が示されている。ここで、タイムチャートの左端は、前回の内燃機関10の運転が終了した後、後述する内燃機関停止後待ち時間t1が経過した状態を表している。先ず、(1)において、ドアセンサ7がONされると、その時点で、内燃機関10の始動予定が発生したと判断し、インジェクタヒータ4への通電を開始する。
【0061】
ここで、ドアセンサ7は、車輌のドアが開けられたときにONし、閉められたときにOFFする機械式センサであり、ドアセンサ7がONされたことで、運転者が乗車し、内燃機関10が始動する可能性が高いと判断される。
【0062】
本実施の形態における燃料加熱ルーチンでは、ドアセンサ7のON動作に伴うインジェクタヒータ4への通電開始後、予め決められた始動準備継続時間t0の間、通電を続けても内燃機関10の始動がない場合には、通電を終了することとしている。従って、図2においては(1)の後、始動準備継続時間t0の経過時である(2)においても、内燃機関10の始動がないので、インジェクタヒータ4への通電を中断する。これは、ドアセンサ7のON動作だけがあって、内燃機関10の始動が始動準備継続時間t0の間にない場合は、最初のドアセンサ7のON動作は、内燃機関10の始動以外の何らかの目的で行われた可能性が高いと判断されるからである。
【0063】
そして、その後さらに、(3)においてドアセンサ7のON動作があっても、本燃料加熱ルーチンでは、インジェクタヒータ4には通電しない。そして、その後(4)において、内燃機関10が始動し、(5)で運転が終了したとする。この(5)の後、ドアセンサ7がONしたとしても、本燃料加熱ルーチンではインジェクタヒータ4には通電しない。
【0064】
ここで、内燃機関10の停止後、さらに、内燃機関停止後待ち時間t1経過した時点を(6)とする。本燃料加熱ルーチンでは、この(6)以降、例えば(7)において、最初にドアセンサ7のON動作があった場合には、インジェクタヒータ4に再度通電を開始する。
【0065】
すなわち、本燃料加熱ルーチンにおいては、(1)でドアセンサ7のON動作に連動してインジェクタヒータ4を通電開始して以降、少なくとも次に内燃機関10が始動して停止し、さらに内燃機関停止後待ち時間t1が経過した(6)までの間は、ドアセンサ7のON動作があっても、新たにインジェクタヒータ4をONさせることはない。
【0066】
上記した制御をすることによって、内燃機関10の始動前にドアの開閉が複数回あったような場合に、何度も、インジェクタヒータ4への無駄な通電をすることを防止することができる(例えば図2において、(3)に示した、破線によるインジェクタヒータ4のON/OFF動作を防止することができる。)。
【0067】
なお、本実施の形態では、内燃機関10が始動して停止した時点(5)ではなく、それからさらに内燃機関停止後待ち時間t1が経過した時点(6)以降に発生したドアセンサ7のON動作を検出して、インジェクタヒータ4への通電を再開している。これは、内燃機関10が停止した直後のドアセンサ7のON動作は、運転者が降車するときのものである可能性が高いことから、このようなドアセンサ7のON動作によって燃料加熱を開始することを防止するためのものである。
【0068】
内燃機関10が停止した直後の、運転者の降車時に発生するドアセンサ7のON動作によって燃料加熱を開始することを防止するためには、上記のように、内燃機関停止後待ち時間t1を導入する他、内燃機関10の冷却水水温が所定温度以上のときは、ドアセンサ4のON動作を無視するなどの制御を行ってもよい。
【0069】
上記のように、本実施の形態における燃料加熱ルーチンによれば、始動予定であるドア開閉動作のみが何度も発生して、実際には内燃機関10は始動されない場合でも、始動準備手段であるインジェクタヒータ4への通電は1回だけであるので、無駄な通電動作を防止することができ、消費電力の増大を防止することができる。また、燃料1aやインジェクタ9の過剰な温度上昇を防止することができる。
【0070】
ここで、本実施の形態における始動予定検出手段は、ドアの開閉を検出するドアセンサ7を含んで構成される。しかし、ドアセンサ7の他にも、図による説明は割愛するが、リモートコントローラによるキー操作を検出するリモートキーセンサ、イグニッションスイッチにキーが差し込まれたことを検出するキー差込センサ、ドアの鍵穴にキーが差し込まれたことを検出するドアキーセンサ、シートに人が着座したことを検出する着座センサ、シートベルトが着用されたことを検出するシートベルト着用センサなどで構成するようにしてもよい。
【0071】
また、本実施の形態においては、インジェクタ9に備えられたインジェクタヒータ4によって、燃料1aを加熱する場合について説明したが、燃料通路3や、デリバリパイプ6内に電熱ヒータを備えて、電熱ヒータを通過する燃料1aを加熱する構成に対して、本発明を適用してもよい。
【0072】
また、本実施の形態において、ドアセンサ7は機械式センサである場合について説明したが、圧力センサや、光電センサなど、他の原理を用いたセンサでもよいことは、もちろんである。
【0073】
(第2の実施の形態)
次に、本発明に係る第2の実施の形態について説明する。ここでは、前述の第1の実施の形態と異なる構成について説明する。その他の構成および作用については第1の実施の形態と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0074】
本実施の形態においては、第1の実施の形態において説明した燃料加熱ルーチンと同様、一度インジェクタヒータ4への通電を開始した後は、少なくとも、内燃機関10が始動して停止し、さらに、内燃機関停止後待ち時間t1が経過するまでは、インジェクタヒータ4への2回目の通電を行わないこととしている。
【0075】
そして、本実施の形態における燃料加熱ルーチンの最大の特徴は、最初に、ドアセンサ7のON動作に伴って、インジェクタヒータ4への通電を開始した後、内燃機関10が始動する前に、再度ドアセンサ7がONした場合には、インジェクタヒータ4への通電を中断することである。
【0076】
図3は、本実施の形態における燃料加熱ルーチンによる始動準備制御を示すタイムチャートである。図3においても、図2と同様、横軸は時間の経過を示しており、縦軸にはそれぞれ、ドアセンサ7、インジェクタヒータ4、内燃機関10のON/OFFの動作が示されている。ここで、タイムチャートの左端は、図2と同様、前回の内燃機関10の運転が終了して、内燃機関停止後待ち時間t1が経過した状態を表している。
【0077】
そして、本実施の形態では、先ず、(1)においてドアセンサ7がONされた時点で、内燃機関10の始動予定が発生したと判断し、インジェクタヒータ4への通電を開始する。これは、ドアセンサ7がONされたことで、運転者が乗車し、内燃機関10が始動する可能性が高いと判断されるからである。
【0078】
次に、本実施の形態では、(2)において内燃機関10の始動前にドアセンサ7が再度ONされたことを検出したときに、インジェクタヒータ4への通電を中断する。これは、内燃機関10が始動される前にドアセンサ7のON動作だけが複数回あった場合には、内燃機関10の始動以外の何らかの目的でドアセンサ7のON動作だけが行われた可能性が高いと判断されるからである。
【0079】
そして、その後は、内燃機関10が始動及び停止した後、さらに内燃機関停止後待ち時間t1が経過後までは、ドアセンサ7のON動作があってもインジェクタヒータ4には通電しない。さらにその後、(6)においてドアセンサのON動作があった場合には、インジェクタヒータ4に再度通電を開始する。これについては、第1の実施の形態において説明した制御と同様である。しかし、(7)において、その後またドアセンサ7のON/OFF動作だけが再度あった場合には、(2)におけると同様、インジェクタヒータ4への通電を中断する。
【0080】
以上のように本実施の形態にいては、内燃機関10の始動前に始動予定であるドアセンサ6のON動作が複数回発生した場合は、インジェクタヒータ4への通電を禁止する。このことにより、内燃機関10の始動前に、内燃機関10の始動に直結しない始動予定が複数回発生することによって、何度も、インジェクタヒータ4へ無駄な通電が行われることを防止することができる(例えば図3において、(2)と(3)の間に示した、破線によるインジェクタヒータON/OFF動作を防止することができる。)。
【0081】
また、本実施の形態における燃料加熱ルーチンによれば、始動予定であるドアセンサ7のON動作が短時間のうちに2回以上発生した場合には、第1の実施の形態における始動準備継続時間t0の経過を待たずしてインジェクタヒータ4への通電を中断するので、より、効率的に、無駄な通電を防止し、消費電力の増大を防止することができる。
【0082】
ここで、本実施の形態における始動予定検出手段は、ドアの開閉を検出するドアセンサ7を含んで構成される。しかし、ドアセンサ7の他にも、図による説明は割愛するが、リモートコントローラによるキー操作を検出するリモートキーセンサ、ドアの鍵穴にキーが差し込まれたことを検出するドアキーセンサなどによって構成されてもよい。
【0083】
(第3の実施の形態)
次に、本発明に係る第3の実施の形態について説明する。ここでは、前述の第2の実施の形態と異なる構成について説明する。その他の構成および作用については第2の実施の形態と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。なお、本実施の形態においては、ドアセンサ7の他に、図示しないシートに加えられる荷重の変化を検知することにより、運転者がシートから離脱したことを検出する図示しないシート離脱センサを備えており、運転者がシートから離脱した信号をECU21に入力する構成になっている。
【0084】
本実施の形態においては、第2の実施の形態において説明した燃料加熱ルーチンと同様、一度インジェクタヒータ4への通電を開始した後は、内燃機関10が始動して停止し、さらに、内燃機関停止後待ち時間t1が経過するまでは、2回目のインジェクタヒータ4への通電を行わないこととしている。
【0085】
そして、本実施の形態における燃料加熱ルーチンの最大の特徴は、最初のドアセンサ7のON動作に伴って、インジェクタヒータ4への通電を開始した後、内燃機関10が始動する前に、図示しないシート離脱センサがONした場合には、インジェクタヒータ4への通電を中断することである。
【0086】
図4は、本実施の形態における燃料加熱ルーチンによる始動準備制御を示すタイムチャートである。図4においても、図3と同様、横軸は時間の経過を示しており、縦軸には、それぞれ、ドアセンサ7、シート離脱センサ、インジェクタヒータ4、内燃機関10のON/OFFの動作が示されている。ここで、タイムチャートの左端は、図3と同様、前回の内燃機関の運転が終了して、内燃機関停止後待ち時間t0が経過した状態を表している。
【0087】
そして、本実施の形態においては、先ず、(1)においてドアセンサ7がONされた時点で、内燃機関10の始動予定が発生したと判断し、インジェクタヒータ4への通電を開始する。これは、ドアセンサ7がONされたことで、運転者が乗車し、内燃機関10が始動する可能性が高いと判断されるからである。
【0088】
次に、本実施の形態においては、(2)において内燃機関10の始動前にシート離脱センサがONされたことを検出したときに、インジェクタヒータ4への通電を中断する。これは、内燃機関10が始動される前に、シート離脱センサがONした場合には、内燃機関10の始動予定が取り消された可能性が極めて高いと判断されるからである。
【0089】
そして、その後は、内燃機関10が始動及び停止した後、さらに内燃機関停止後待ち時間t1が経過後までは、ドアセンサ7のON動作があってもインジェクタヒータ4には通電しない。さらにその後、(6)においてドアセンサのON動作があった場合にはインジェクタヒータ4に再度通電を開始する。これについては、第1の実施の形態において説明した制御と同様である。しかし、その後(7)においてまた、シート離脱センサのON動作があった場合には、(2)におけると同様、インジェクタヒータ4への通電を中断する。
【0090】
以上のように本実施の形態においては、内燃機関10の始動前に始動予定であるドアセンサ7のON動作の後、始動予定取消検出手段を構成するシート離脱センサのON動作が発生した場合は、インジェクタヒータ4への通電を禁止する。このことにより、内燃機関10の始動前に、内燃機関10の始動予定が取り消された場合に、インジェクタヒータ4へ無駄な通電をすることを防止することができる(例えば図3において、(2)と(3)の間に示した、破線によるインジェクタヒータ4のON/OFF動作を防止することができる。)。
【0091】
また、本実施の形態における燃料加熱ルーチンによれば、始動予定取消検出手段を構成するシート離脱センサのON動作が発生した場合のように、内燃機関10の始動が行われない可能性が極めて高い場合に、第1の実施の形態における始動準備継続時間t0の経過を待たずしてインジェクタヒータ4への通電を中断するので、さらに効率的に、無駄な通電を防止し、消費電力の増大を防止することができる。
【0092】
なお、本実施の形態における始動予定検出手段を構成するセンサとしては、第1および第2の実施の形態と同様、ドアセンサ7の他に、図による説明は割愛するが、リモートコントローラによるキー操作があったこと検出するリモートキーセンサ、イグニッションスイッチにキーが差し込まれたことを検出するキー差込センサ、ドアの鍵穴にキーが差し込まれたことを検出するドアキーセンサ、シートに人が着座したことを検出する着座センサ、シートベルトが着用されたことを検出するシートベルト着用センサなどを挙げることができる。
【0093】
また、始動予定取消検出手段を構成するセンサとしては、本実施の形態において用いたシート離脱センサのほか、図示していないが、イグニッションスイッチからキーが抜き取られたことを検出するキー抜き取りセンサなどを挙げることができる。また、始動予定取消検出手段は、上記の着座センサやシートベルト着用センサなど、始動予定検出手段を構成するセンサ類により構成され、これらのセンサ類がOFFすることをもって、始動予定の取り消しを検出してもよい。
【0094】
さらに、本実施の形態における始動予定の発生の検出は、上に始動予定検出手段を構成するセンサとして例示したセンサ類のうちの複数のセンサ類の組み合わせによって行ってもよい。加えて、本実施の形態における始動予定の取り消しの検出は、上に始動予定取消検出手段を構成するセンサとして例示したセンサ類のうち複数のセンサ類の組み合わせによって行ってもよい。
【0095】
(第4の実施の形態)
次に、本発明に係る第4の実施の形態について説明する。ここでは、前述の第1の実施の形態と異なる構成について説明する。その他の構成および作用については第1の実施の形態と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0096】
第1の実施の形態において説明した燃料加熱ルーチンでは、一度インジェクタヒータ4への通電を開始した後は、少なくとも、内燃機関10が始動して停止し、さらに内燃機関停止後待ち時間t1が経過するまでは、2回目のインジェクタヒータ4への通電を行わないようにしたが、本実施の形態においては、一度インジェクタヒータ4に通電を開始して、さらにその後、内燃機関10が始動する可能性が低いと判断して通電を中断した場合に、その中断から始動準備禁止解除時間t2の経過後であって、内燃機関10の始動前に、始動予定検出手段を構成するドアセンサ7がON動作をした場合には、インジェクタヒータ4への通電を再開することを最大の特徴としている。なお、始動準備禁止解除時間t2については後述する。
【0097】
図5は、本実施の形態における燃料加熱ルーチンによる始動準備制御を示すタイムチャートである。図5においても図2と同様、横軸は時間の経過を示しており、縦軸にはそれぞれ、ドアセンサ7、インジェクタヒータ4、内燃機関10のON/OFFの動作が示されている。また、図5においては、上記のインジェクタヒータ4のON/OFFの変化に伴う、燃料1aの温度の変化の概略図も示している。ここで、タイムチャートの左端は、図2と同様、前回の内燃機関の運転が終了してから、内燃機関停止後待ち時間t1が経過した状態を表している。
【0098】
図5では、先ず、第1の実施の形態におけると同様、(1)においてドアセンサ7がONされた時点で、内燃機関10の始動予定が発生したと判断し、インジェクタヒータ4への通電を開始する。
【0099】
また、ここで、第1の実施の形態における燃料加熱ルーチンと同様、ドアセンサ7のON動作に伴うインジェクタヒータ4への通電開始後、予め決められた始動準備継続時間t0の間、通電を続けても内燃機関の始動がない場合には、通電を終了することとしている。
【0100】
図5において、燃料1aの温度は、(1)でインジェクタヒータ4への通電が開始された時点で上昇を始め、燃料噴射時に理想とされる温度T2まで昇温される。その後、始動準備継続時間t0が経過し、(2)において、インジェクタヒータ4への通電が中断した後には、燃料1aの温度は自然冷却により下降し始める。そして、(3)に示す時点で、燃料噴射時に燃料1aを微粒化するための許容下限と考えられる温度T1まで冷却される。
【0101】
本実施の形態では、図5においてインジェクタヒータ4への通電が中断された後、燃料1aの温度が、燃料噴射時に理想とされる温度T2から自然冷却によって燃料噴射時に許容下限と考えられる温度T1に冷却されるまでの時間、すなわち図5における(2)から(3)までの時間を始動準備禁止解除時間t2として設定する。そして、インジェクタヒータ4への通電中断後、始動準備禁止解除時間t2が経過した後に、ドアセンサ7がONした場合には、再度インジェクタヒータ4への通電を開始する。
【0102】
図5においては、始動準備禁止解除時間t2が経過した(3)以降、(4)においてドアセンサ7がONした瞬間に、インジェクタヒータ4に通電を再開している。その後、さらに、始動準備継続時間t0が経過しても、内燃機関の始動が行われない場合には、(5)において、2度目のインジェクタヒータ4への通電も中断される。ここにおいて、燃料1aの温度は、噴射理想温度T2から再び、自然冷却によって冷却され始める。
【0103】
次に、図5では、(6)において、内燃機関10が始動したとする。この内燃機関10が始動すると、本実施の形態における燃料加熱ルーチンとは別の、内燃機関始動制御ルーチンの働きによって、インジェクタヒータ4には、通電が開始され、燃料1aの温度は、内燃機関10の始動後すぐに、噴射理想温度T2に達している。
【0104】
そして、内燃機関10の運転中は、燃料1aの温度は噴射理想温度T2に維持されているが、内燃機関10の運転が終了した(7)の時点で、自然冷却によって、冷却され始める。そして、運転終了後待ち時間t1が経過した(8)の時点で、噴射時の噴射料許容温度T1まで冷却されることになる。本実施の形態においては、(8)に達した時点で、図5における時間軸の左端からの動作が繰り返される。すなわち、(8)以降、例えば(9)でドアセンサ7がONした場合には、インジェクタヒータ4に通電される。
【0105】
第1の実施の形態及び本実施の形態において、内燃機関10が停止した後、運転終了後待ち時間t1の間は、ドアセンサ7がONしてもインジェクタヒータ4に通電を開始しないこととしているが、これは、運転者の降車によるドアセンサ7のON動作によって燃料加熱を開始してしまうことを防止するためという理由のほかに、運転終了後待ち時間t1の間は、燃料1aの温度が充分に高いため、インジェクタヒータ4に通電する必要がないという理由もある。
【0106】
上記したような制御によって、本実施の形態においては、ドアセンサ7のON動作に伴ってインジェクタヒータ4に通電された後、始動準備継続時間t0が経過しても、内燃機関10が始動しない場合は、インジェクタヒータ4への通電を中断する。そしてその中断から、さらに始動準備禁止解除時間t2が経過した(3)以降は、内燃機関10の停止以前であっても、ドアセンサ7のON動作を検出した場合に、インジェクタヒータ4に通電することとしている。
【0107】
このことにより、内燃機関10の始動に直結しない始動予定の発生によって、何度も、インジェクタヒータ4への無駄な通電をすることを防止することができる。それに加えて、実際に内燃機関10が始動したときには、燃料1aの温度が殆ど室温T0まで冷却されてしまっているというような事態を避けることができる(図5の(6)で内燃時間10を始動した時点では、燃料1aの温度は充分高くなっている。)。
【0108】
なお、図3に示したような、インジェクタヒータ4への通電開始後、内燃機関10の始動前に複数回のドアセンサ7のON動作があった場合に、インジェクタヒータ4への通電を中断する制御や、図4に示したような、インジェクタヒータ4へ通電開始後、内燃機関10の始動前にシート離脱センサがONした場合に、インジェクタヒータ4への通電を中断する制御に対して、本実施の形態における制御を適用してもよい。
【0109】
すなわち、インジェクタヒータ4への通電の中断の制御方法に関わらず、その中断の後、始動準備禁止解除時間t2がさらに経過した後にドアセンサ7のON動作を検出した場合には、インジェクタヒータ4への通電を再開する制御を適用してもよい。
【0110】
なお、上記した第1から第4の実施の形態においては、内燃機関の始動準備システムの一例として、インジェクタヒータ4による燃料の加熱の場合について説明したが、上記第1から第4の実施の形態における制御を、内燃機関10の始動準備としての、図示しない空燃比センサにおけるセンサ素子の加熱や、内燃機関10の排気を浄化する図示しない排気浄化触媒の加熱に適用してもかまわない。
【0111】
(第5の実施の形態)
次に、本発明に係る第5の実施の形態について説明する。ここでは、前述の第1の実施の形態と異なる構成について説明する。その他の構成および作用については第1の実施の形態と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0112】
本実施の形態においては、内燃機関10の始動の準備を行う始動準備手段がインジェクタヒータ4及び、燃料ポンプ2の組み合わせである場合の始動準備制御について説明する。
【0113】
本実施の形態においては、例えば、ドアセンサ7などにより構成される始動予定検出手段が、内燃機関10に始動予定が発生したことを検出した場合に、まず、燃料ポンプ2の作動を開始してインジェクタ9内の燃料1aの燃圧を上昇させ、その後、インジェクタ9に配置されたインジェクタヒータ4に通電を開始し、インジェクタ9内の燃料1aを加熱することによって、内燃機関10の始動準備を行う。
【0114】
図6は、本実施の形態に係る内燃機関の始動準備システムの概略構成を示すブロック図である。また、図7は、本実施の形態における内燃機関10の燃料加熱ルーチンについてのフローチャートである。本ルーチンは、ECU21内のROMに記憶されたものであり、内燃機関10の停止時に所定時間毎に実行される。
【0115】
本ルーチンが実行されると、先ずS601において、始動準備開始条件が満たされているかどうかが判断される。これは、本実施の形態では、内燃機関10の停止後、さらに内燃機関停止後待ち時間t1が経過しており、ドアセンサ7がONされたかどうかが判断される。ここで、始動準備開始条件が成立していなければ、そのまま本ルーチンを終了する。一方、始動準備開始条件が成立していれば、S602に進む。
【0116】
S602においては、まず、燃料ポンプ2の作動が開始される。このことにより、インジェクタ9内の燃料の燃圧が上昇し始める。
【0117】
次に、S603においては、始動準備中断条件が成立しているかどうかが判断される。本実施の形態においては、S602において、燃料ポンプ2の作動が開始、すなわち、内燃機関10の始動準備が開始されてから、始動準備継続時間t0が経過したかどうか及び、内燃機関10が始動したかどうかが判断される。
【0118】
ここで、もし、内燃機関10の始動準備が開始されてから始動準備継続時間t0が経過したか、または、内燃機関10が始動したときは、S608に進む。S608での処理については後述する。一方、S603において、内燃機関10の始動準備が開始されてから始動準備継続時間t0は経過しておらず、内燃機関10が始動していないと判断されたときにはS604に進む。
【0119】
S604においては、燃料ポンプ2の作動によって上昇している燃圧が、インジェクタヒータ4に通電を開始するのに充分な燃圧P1以上かどうかが判断される。本実施の形態においては、デリバリパイプ6に燃圧を検知する圧力センサ11を設置しておき、燃圧が所定値P1以上になったかどうかを判断する。
【0120】
この判断については、燃料ポンプ2が作動を開始してからの時間と、燃圧との関係を予め実験的に調べておき、燃圧がインジェクタヒータ4への通電を開始するのに充分な圧力P1になる時間t3が経過したかどうかを判断してもよいし、例えばプレッシャレギュレータ17の作動を確認する作動確認センサ12を備えておき、その作動を確認する方法をとってもよい。
【0121】
S604において、燃圧がP1未満であると判断された場合には、S603の処理の前に戻り、再度始動準備中断条件の成立の判断がされる。ここで、始動準備中断条件が成立していると判断された場合には、S608に進み、成立してないと判断された場合には、再度、S604に進み、燃圧がインジェクタヒータ4を作動させるのに充分な燃圧P1以上かどうかが判断される。そして、S604で、燃圧がP1以上であると判断されるまで、この処理が繰り返される。
【0122】
S604で、燃圧がP1以上であると判断された場合には、S605に進み、インジェクタヒータ4に通電が開始され、燃料1aの温度制御が開始される。具体的には、インジェクタヒータ4への供給電流および印加電圧から、インジェクタヒータ4の抵抗値Rを検知する。この抵抗値Rは、温度によって変化するため、ここで検知された抵抗値Rから、インジェクタヒータ4の温度および、それと相関の高い燃料1aの温度を推定し、推定された燃料1aの温度が、燃料噴射時に燃料1aを最適に微粒化できる温度になるように供給電流をフィードバック制御する。
【0123】
次に、S606に進み、始動準備中断条件が成立するかどうかが判断される。ここで、判断される始動準備中断条件の内容は、S603において判断される内容と同じである。そして、始動準備中断条件が成立しない場合には、S606の処理の前まで戻り、再度、S606で始動準備中断条件が成立しているかどうかが判断され、S606で、始動準備中断条件が成立するまで、この処理が繰り返される。
【0124】
換言すると、始動準備中断条件が成立するまで、燃料ポンプ2による燃料への加圧と、インジェクタヒータ4への通電による燃料1aの温度制御が継続される。S606において、始動準備中断条件が成立した場合、すなわち、始動準備を開始してから始動準備継続時間t0が経過したか、内燃機関10が始動された場合には、S607に進み、インジェクタヒータ4への通電を停止して燃料1aの温度制御を中断し、次に、S608に進み、燃料ポンプ2を停止したうえで、本ルーチンを終了する。
【0125】
なお、S603またはS606で、内燃機関10が始動されたと判断された場合には、本ルーチン終了後、本ルーチンとは別の内燃機関始動制御ルーチンによって、燃料1aの温度制御が行われる。
【0126】
以上、説明したように、本実施の形態における燃料加熱ルーチンにおいては、内燃機関10の始動準備が開始されたときに、まず、燃料ポンプ2を作動させてインジェクタ9や、燃料通路3内の燃圧を上昇させ、燃圧がインジェクタヒータ4に通電開始するのに充分な燃圧P1以上であることを確認したうえで、インジェクタヒータ4への通電を開始して燃料1aの温度制御を開始している。従って、燃料1aの燃圧が低い状態で、燃料1aの温度が上昇することがなく、ベーパロックが発生することがない。
【0127】
次に本実施の形態における、インジェクタヒータ4への電流の供給方法の詳細について説明する。本実施の形態における内燃機関10においては、車輌に給油がされたことを検出する給油センサ14及び、最も新しく給油センサ14が、給油されたことを検出してからの運転時間を計測する図示しない給油後運転時間タイマが備えられている。
【0128】
実際には、給油センサ14からの信号を受け取ったECU21が、その時点から運転時間計測を開始し、RAMに格納した給油後運転時間データを読み出すことによって、図示しない給油後運転時間タイマのタイマ機能が実現される。なお、給油センサ14は、本実施の形態においては、燃料タンク1に連通されている給油口13の蓋体13aの開閉を検知する機械式スイッチによって構成されている。しかし、給油センサ14は、圧力センサや、光電センサを用いたものなど、他の原理に基づくものであってもよいことはもちろんである。
【0129】
本実施の形態においては、ECU21の指令によって、コントロール回路15は、給油後運転時間データの値に応じた電流をインジェクタヒータ4に供給する。具体的には、給油後運転時間データの値が小さい場合には、供給電流値を小さい値とし、給油後運転時間データの値が大きくなるにつれて供給電流値も大きくしていく、さらに換言すると、給油直後は、インジェクタヒータ4への供給電流を小さく、給油後の運転時間が長い場合には、供給電流を大きくする。
【0130】
ここで、前述のように、内燃機関10の始動性の向上を図り、始動当初から、出力の向上を図り、排気ガス中の有害成分を低減させるためには、インジェクタヒータ4で加熱した燃料1aを噴射することにより燃料1aを減圧沸騰させ、燃料1aの噴霧を微粒化することが有効である。そして、インジェクタヒータ4による加熱の適正温度は、燃料1aの性状によって異なる。
【0131】
すなわち、燃料性状が重質であれば燃料沸点が高いため、燃料1aを加熱して微粒化を促進するためには、供給する電力量を大きくする必要がある。逆に、燃料性状が軽質であれば燃料沸点が低いため、燃料1aを加熱して微粒化を促進するために必要な電力量は少なくてもよい。従って、本実施の形態においては、給油センサ14及び給油後運転時間タイマによりインジェクタ9内の燃料1aの性状を推定し、推定された燃料性状に応じてインジェクタヒータ4に供給する電力量を制御する。
【0132】
こうすれば、インジェクタ9内の燃料性状にかかわらず燃料1aを最適に微粒化することができ、内燃機関10の始動性向上を図り、始動当初から出力を向上させ、排気ガス中の有害成分を低減させることができる。
【0133】
なお、本実施の形態における燃料性状推定手段は、給油センサ14及び、給油後運転時間タイマの機能を果たすECU21を含んで構成される。その他、燃料性状推定手段は、給油センサ14及び、燃料タンク1内の図示しない燃料残量センサを含んで構成するようにしてもよい。また、本実施の形態では、コントロール回路15からインジェクタヒータ4へ供給する電流の値を制御することにより、所定時間にインジェクタヒータ4に供給する電力量の制御を行っている。
【0134】
また、さらに、燃料性状の推定精度を上げるためには、燃料性状推定手段に、図示しない温度センサや、図示しない気圧センサを備え、それぞれのセンサの計測値に応じた補正係数を給油後運転時間データに乗じる補正をするなど、上記センサからの情報を加味するようにしてもよい。これは、温度が高いほど、または気圧が低いほど、燃料1aの軽質成分の蒸発が促進されるからである。
【0135】
なお、燃料性状を推定する手段としては、上記の他、前回の内燃機関10の運転時に空燃比センサによって取得した、空燃比変動の大きさの値を記憶しておき、その空燃比変動の大きさから燃料性状を推定する方法もある。これは、燃料性状が重質であるほど、運転時の空燃比変動が大きくなるという知見に基づいている。ここで、この空燃比センサは、内燃機関19における空燃比を検出するために、内燃機関10の排気ガス通路に備えられ、内燃機関10の排気ガスの酸素濃度を取得するためのセンサである。
【0136】
具体的には、内燃機関10の運転時の空燃比変動の大きさと、燃料性状との関係および、燃料性状とインジェクタヒータ4への最適な供給電流量との関係を実験的に調査しておき、内燃機関10の運転時の空燃比変動の大きさと、インジェクタヒータ4への最適な供給電流量のデータを格納して作成した供給電流マップから、供給電流値を読み出すことによって制御してもよい。
【0137】
なお、本実施の形態においては、給油後の運転時間などのデータに基づいて燃料1aの燃料性状を推定しているので、実際に燃料1aの飽和水蒸気圧を検知して、その値から燃料性状を判断する必要がない。従って、燃料通路3において燃料ベーパが発生するといった不具合がない。
【0138】
(第6の実施の形態)
次に、本発明に係る第6の実施の形態について説明する。ここでは、前述の第1の実施の形態と異なる構成について説明する。その他の構成および作用については第1の実施の形態と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0139】
本実施の形態においては、インジェクタヒータ4への通電開始後の所定期間、コントロール回路15からインジェクタヒータ4へ供給する電流を最大にするために、バッテリ5の端子間電圧を直接インジェクタヒータ4に印加する例について説明する。
【0140】
前述した第1の実施の形態においては、燃料噴射時に燃料1aを最適に微粒化できるように、インジェクタヒータ4への供給電流の値を目標電流にフィードバック制御することにより、燃料1aの加熱を行っている。
【0141】
しかし、本実施の形態においては、インジェクタヒータ4への通電開始後の所定時間について、上記のフィードバック制御による電流制御は休止する。そして、バッテリ5の端子間電圧を直接インジェクタヒータ4の端子に印加する。このことにより、インジェクタヒータ4には、その抵抗値Rと、バッテリ5の端子間電圧によって定まる最大の電流を供給することができる。
【0142】
そして、インジェクタ9内の燃料1aが燃料噴射時に燃料を最適に微粒化できる温度付近まで昇温した時点で、目標電流値への電流のフィードバック制御を開始する。こうすることによって、インジェクタヒータ4への電流供給開始後の所定時間にわたり、インジェクタヒータ4における発熱を最大にすることができるので、インジェクタ9内の燃料1aを早期に昇温させ、早期に、燃料噴射時に燃料を最適に微粒化できる状態にすることができる。
【0143】
(第7の実施の形態)
次に、本発明に係る第7の実施の形態について説明する。ここでは、前述の第1の実施の形態と異なる構成について説明する。その他の構成および作用については第1の実施の形態と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0144】
本実施の形態においては、インジェクタヒータ4が、インジェクタ9の内部のニードル弁9aに直接設けられており、インジェクタヒータ4は、ニードル弁9a及びインジェクタ9の内部を通過する燃料1aを加熱する構成についての、インジェクタヒータ4に供給する電流の制御について説明する。
【0145】
図8に、本実施の形態におけるインジェクタ9の概略構成を示す。図7において、インジェクタ9は、ボディー部9bにおいて、内燃機関10に固定されている。そして、インジェクタ9の内部には、ニードル弁9aが図中上下方向に摺動可能に設置されている。このニードル弁9aは、図示しない弾性部材によって燃料噴射孔9cの方向に付勢されている。燃料噴射の際は、やはり図示しない電磁力発生手段によって発生する電磁力によって、燃料噴射孔9cから離れる方向に所定のリフト量だけ移動する。
【0146】
そのとき、所定の燃圧まで加圧された燃料1aがニードル弁9a内を図中の矢印の方向に通過し、燃料噴射孔9cから噴射される構成になっている。そして、ニードル弁9aのまわりには、インジェクタヒータ4が備えられており、このインジェクタヒータ4内の図示しない電熱線に通電されることにより、ニードル弁9a及び、その内部の燃料1aを加熱する構成になっている。
【0147】
本実施の形態では、インジェクタヒータ4の加熱を開始したときに、まず、ECU21内のCPUにより、インジェクタヒータ4内の図示しない電熱線の抵抗値Rが、コントロール回路15からの印加電圧及び供給電流より算出される。そして、電熱線の抵抗Rと、ニードル弁9aの温度Tnとの関係を表すデータを格納したニードル弁温度マップより、そのときの電熱線の抵抗値Rに対応するニードル弁9aの温度Tnのデータを読み出す。
【0148】
一方、ECU21においては、内燃機関10に備えられた、図示しない水温センサからのデータにより、インジェクタ9のボディー部9bの温度Tbを取得する。具体的には、水温センサからの水温データと、ボディー部9bの温度との関係を予め実験的に調査して作成したボディー部温度マップよりボディー部温度Tbを読み出して取得する。そしてECU21は、上記Tn及びTbが等しくなるように、インジェクタヒータ4に供給する電流を決定し、コントロール回路15によって、その電流をインジェクタヒータ4に供給させるフィードバック制御を行う。
【0149】
このことにより、ニードル弁9aの温度Tnと、ボディー部9bの温度Tbを同じにすることができるので、両部分の熱膨張量を同等にすることができる。その結果、ニードル弁9aのリフト量が温度によって変化することがなくなり、噴射量を温度にかかわらず一定にすることができる。
【0150】
なお、本実施の形態におけるインジェクタヒータ4に供給する電流の制御については、図8に示した構成以外の構成をとるインジェクタヒータ4にも適用可能であることはもちろんである。また、ニードル弁9aの温度Tn及び、ボディー部9bの温度Tbは、上記と別の方法によって取得してもかまわない。
【0151】
【発明の効果】
上述のように本発明にあっては、内燃機関の始動前に、始動予定が複数回発生した場合の無駄な始動準備を防止することにより、エネルギーの無駄を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明における第1の実施の形態に係る内燃機関の始動準備システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明における第1の実施の形態に係る燃料加熱ルーチンによる制御を示すタイムチャートである。
【図3】図3は、本発明における第2の実施の形態に係る燃料加熱ルーチンによる制御を示すタイムチャートである。
【図4】図4は、本発明における第3の実施の形態に係る燃料加熱ルーチンによる制御を示すタイムチャートである。
【図5】図5は、本発明における第4の実施の形態に係る燃料加熱ルーチンによる制御を示すタイムチャートである。
【図6】図6は、本発明における第5の実施の形態に係る内燃機関の始動準備システムの概略構成を示すブロック図である。
【図7】図7は、本発明における第5の実施の形態に係る燃料加熱ルーチンを示すフローチャートである。
【図8】図8は、本発明における第7の実施の形態に係るインジェクタの概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1…燃料タンク
2…燃料ポンプ
3…燃料通路
4…インジェクタヒータ
5…バッテリ
6…デリバリパイプ
7…ドアセンサ
9…インジェクタ
10…内燃機関
10a…燃焼室
15…コントロール回路
21…ECU
Claims (12)
- 内燃機関の始動前に、該内燃機関の始動の準備をする始動準備手段と、
前記内燃機関の始動予定が発生したことを車輌の操作状態から検出する始動予定検出手段と、
前記始動予定検出手段により前記内燃機関の始動予定の発生が検出されたときに前記始動準備手段を作動させる始動準備制御手段と、を備え、
該始動準備制御手段は前記始動準備手段の作動を開始した後は、少なくとも次に前記内燃機関が始動して停止するときまで、前記始動予定検出手段が前記内燃機関の始動予定発生を検出しても前記始動準備手段を新たに作動させないことを特徴とする内燃機関の始動準備システム。 - 内燃機関の始動前に、該内燃機関の始動の準備をする始動準備手段と、
前記内燃機関の始動予定が発生したことを車輌の操作状態から検出する始動予定検出手段と、
前記始動予定検出手段により前記内燃機関の始動予定の発生が検出されたときに前記始動準備手段を作動させ、その後第1の所定時間が経過しても前記内燃機関が始動しない場合に、前記始動準備手段の作動を中断させる始動準備制御手段と、を備え、
前記始動準備制御手段は、前記始動準備手段の作動を中断させた後第2の所定時間が経過するまで、前記始動予定検出手段が前記内燃機関の始動予定発生を検出しても前記始動準備手段を新たに作動させないことを特徴とする内燃機関の始動準備システム。 - 内燃機関の始動前に、該内燃機関の始動の準備をする始動準備手段と、
前記内燃機関の始動前に、前記内燃機関が始動される予定が発生したことを車輌の操作状態から検出する始動予定検出手段と、
前記始動予定検出手段が前記内燃機関の始動予定の発生を検出したときに、前記始動準備手段を作動させるとともに、前記始動予定検出手段が前記内燃機関の始動前に、前記内燃機関の始動予定の発生を再度検出した場合に、前記始動準備手段の作動を中断する始動準備制御手段と、を備えたことを特徴とする内燃機関の始動準備システム。 - 内燃機関の始動前に、該内燃機関の始動の準備をする始動準備手段と、
前記内燃機関の始動前に、前記内燃機関が始動される予定が発生したことを車輌の操作状態から検出する始動予定検出手段と、
前記内燃機関の始動前に、前記内燃機関が始動される予定が取り消されたことを車輌の操作状態から検出する始動予定取消検出手段と、
前記始動予定検出手段が前記内燃機関の始動予定の発生を検出したときに、前記始動準備手段を作動させるとともに、前記始動予定取消検出手段が前記内燃機関の始動前に、前記内燃機関の始動予定の取り消しを検出した場合に、前記始動準備手段の作動を中断する始動準備制御手段と、を備えたことを特徴とする内燃機関の始動準備システム。 - 前記始動準備制御手段は、前記始動準備手段の作動の中断から所定時間経過後であって、前記内燃機関の始動前に、前記始動予定検出手段が前記内燃機関の始動予定の発生を検出した場合に、前記始動準備手段の作動を再開することを特徴とする請求項3または4に記載の内燃機関の始動準備システム。
- 前記内燃機関の気筒内に燃料を噴射するインジェクタをさらに備え、
前記始動準備手段は、前記インジェクタから噴射されるべき燃料を供給電流に応じた発熱で加熱する電熱ヒータであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の内燃機関の始動準備システム。 - 前記内燃機関の気筒内に燃料を噴射するインジェクタをさらに備え、
前記始動準備手段は、前記インジェクタから噴射されるべき燃料を供給電流に応じた発熱で加熱する電熱ヒータと、前記インジェクタから噴射される燃料の燃圧を所定圧以上に上昇させる燃料ポンプと、を有し、
前記始動準備手段が作動をするときに、前記燃料ポンプにより燃圧が所定圧以上に上昇された後、前記電熱ヒータによる前記インジェクタから噴射されるべき燃料の加熱が開始されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の内燃機関の始動準備システム。 - 前記電熱ヒータが前記インジェクタから噴射されるべき燃料の加熱を開始するときの、前記インジェクタから噴射されるべき燃料の性状を推定する燃料性状推定手段をさらに備え、
前記燃料性状推定手段により推定された、前記インジェクタ内の燃料性状が重質であるほど、前記電熱ヒータに供給される電力量を多くすることを特徴とする請求項6または7に記載の内燃機関の始動準備システム。 - 前記電熱ヒータに電流を供給するバッテリと、該バッテリから前記電熱ヒータに供給される電流を制御する電流制御手段と、をさらに備え、
前記電流制御手段は、前記電熱ヒータによる前記インジェクタの加熱が開始された後の所定時間は、前記バッテリの電極間電圧を前記電熱ヒータに直接印加することにより供給電流量を増加させることを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載の内燃機関の始動準備システム。 - 前記インジェクタは、燃料噴射時に摺動して開弁動作を行うニードル弁と、該ニードル弁を摺動可能に支持するとともに燃料が噴出する噴射孔を備えるボディー部と、を有し、
前記始動準備制御手段は、前記ニードル弁の温度を取得するニードル弁温度取得手段と、前記ボディー部の温度を取得するボディー部温度取得手段と、を有し、
前記電熱ヒータは、前記ニードル弁に配置されて前記ニードル弁を加熱し、
前記電熱ヒータに供給される電流は、前記ニードル弁温度取得手段によって取得された前記ニードル弁の温度が、前記ボディー部温度取得手段によって取得された前記ボディー部の温度と等しくなるように制御されることを特徴とする請求項6から9のいずれかに記載の内燃機関の始動準備システム。 - 前記始動予定検出手段は、車輌のドアの開閉を検出するドアセンサ、
リモートコントローラによりキーの開閉操作がされたことを検出するリモートキーセンサ、
車輌の電源をON状態にするイグニッションスイッチにキーが差し込まれたことを検出するキー差込センサ、
車輌のドアにおける鍵穴にキーが差し込まれたことを検出するドアキーセンサ、
シートに人が着座したことを検出する着座センサ、
シートベルトが着用されたことを検出するシートベルト着用センサ、の中から選択される少なくともいずれか一つを有することを特徴とする請求項1から10までのいずれかに記載の内燃機関の始動準備システム。 - 前記始動予定取消検出手段は、車輌の電源をON状態にするイグニッションスイッチからキーが抜き取られたことを検出するキー抜き取りセンサ、
シートから人が離脱したことを検出するシート離脱センサ、
シートベルトが離脱されたことを検出するシートベルト離脱センサ、の中から選択される少なくともいずれか一つを有することを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の始動準備システム。
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