JPH05209579A - アルコールエンジンの燃料加熱装置 - Google Patents

アルコールエンジンの燃料加熱装置

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JPH05209579A
JPH05209579A JP1679792A JP1679792A JPH05209579A JP H05209579 A JPH05209579 A JP H05209579A JP 1679792 A JP1679792 A JP 1679792A JP 1679792 A JP1679792 A JP 1679792A JP H05209579 A JPH05209579 A JP H05209579A
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JP
Japan
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fuel
alcohol
engine
heating
temperature
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Application number
JP1679792A
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English (en)
Inventor
Toru Shiraishi
徹 白石
Kiyotaka Mamiya
清孝 間宮
Katsuhiro Yokomizo
克広 横溝
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Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Publication date
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  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 アルコール含有燃料の事前加熱を状況に応じ
て適正に行うことにより、寒冷時の始動性の向上、エン
ジンの正常な駆動に寄与する燃料加熱装置を提供する。 【構成】 アルコール含有燃料を使用するエンジン3に
おいて、アルコール含有燃料をエンジン3に供給する経
路には上記アルコール含有燃料を加熱する燃料加熱手段
(PCTヒータ7)が設けられ、このPCTヒータ7の
加熱を制御する制御装置6が付設され、この制御装置に
は上記エンジン3の温度が予め制御装置6に入力された
設定温度以下の状態では上記燃料加熱装置を作動させる
作動制御手段61と、アルコール含有燃料のアルコール
濃度に対応して上記設定温度を変更する設定温度変更手
段62と、PCTヒータ7への通電量をアルコール濃度
に対応して変化させるように制御する通電量調節手段6
3が設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エンジン駆動用にアル
コール含有燃料を用いた場合の、アルコール含有燃料の
加熱装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、石油資源枯渇の問題の対策とし
て、代替燃料の研究が盛んに行われるようになり、代替
燃料の一種としてメタノールあるいはエタノールなどの
アルコール類が、次代を担う自動車用の燃料として注目
され、ガソリンにアルコールを混入したアルコール含有
燃料が開発されるに到っている。
【0003】そこで、表1にガソリンとアルコール燃料
との物性の比較を掲げた。
【0004】
【表1】
【0005】この表から判る通り、アルコール燃料はそ
の分子内に酸素を含んでいるため、ガソリンと比較して
燃焼時の理論空燃比および発熱量が小さく、気化潜熱が
大きい。しかも、沸点はガソリンよりも低いにも拘ら
ず、引火点はガソリンよりもかなり高く、従って容易に
は着火しないが低い温度で気化することを示している。
逆にオクタン価はアルコール燃料の方がかなり優れてい
る。
【0006】また、ガソリンにはほとんど極性基は存在
しないのに対して、アルコールには強力な極性基である
水酸基(−OH)を有しているため、両者を有機溶媒と
してみた場合、アルコールの方が物質を溶かす性質は強
いということができる。
【0007】以上より、アルコール含有燃料をエンジン
に供給した場合、次にような問題点がある。
【0008】(イ)アルコール燃料はガソリンに比べて
気化潜熱が大きいため、特に寒冷地においては気化しに
くくエンジンの始動性が劣る。
【0009】(ロ)アルコール燃料はガソリンに比べて
低沸点であるため、高温時には燃料供給系統の内部でア
ルコールが気化していわゆるベーパーロック現象を起
し、適正に燃料がエンジンに供給されなくなり、加速性
に劣る。
【0010】(ハ)アルコール燃料はガソリンに比べて
極めて水にとけやすく、従ってアルコール含有燃料に水
の混入があった場合、アルコールが水の方に移行してし
まい、ガソリンと分離してしまう。
【0011】(ニ)アルコール燃料はガソリンに比べて
物を溶かす性質が強いため、ゴムや合成樹脂によってつ
くられた配管類を溶かしこみ、アルコール燃料の粘度を
上昇させ、機器の詰りの原因になる。
【0012】そのようなことから、アルコール含有燃料
を使用した場合の上記不都合を解消するため種々の方策
が提案されている。それらの中で注目すべきものとし
て、実開昭62−10272号公報によって開示された
アルコール内燃機関の燃料噴射装置が挙げられる。この
公報のものは、特に上記のアルコール燃料の欠点のう
ち、(ニ)を解決することを目的としている。
【0013】すなわち、実開昭62−10272号公報
のアルコール内燃機関の燃料噴射装置は、アルコール燃
料を燃料通路を通じて燃料噴射弁から機関に噴射供給す
るアルコール内燃機関の燃料噴射装置において、前記燃
料噴射弁の上流側燃料通路に介装され、燃料を所定温度
に加熱する燃料加熱手段を設けたことを特徴とするもの
である。
【0014】上記のように、燃料噴射弁の上流側で燃料
を加熱することによって、燃料中に溶け出した不純物の
粘性が低下した状態で燃料が燃料噴射弁に導入されるた
め、燃料噴射弁の噴射部に不純物が付着することがない
と記載されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記実
開昭62−10272号公報によって開示されたもの
は、なるほどアルコール含有燃料中のアルコール成分
が、配管材料やシール材のゴムあるいは合成樹脂を溶か
し込み、その結果上昇するアルコール燃料の粘度を低下
させる効果は認められるが、アルコール含有燃料は、前
記(ニ)以外にも、寒冷時のエンジン始動性が悪い上記
(イ)、ベーパーロック現象が起こりやすい(ロ)など
の解決すべき問題点を有しており、ただ単純にアルコー
ル含有燃料を加熱するだけでは上記のような問題点を解
決することはできない。
【0016】本発明は、上記のような従来の不都合を解
消するためになされたものであり、アルコール含有燃料
の事前加熱を状況に応じて適正に行うことにより、寒冷
時の始動性の向上および正常なエンジンの駆動に寄与す
る燃料加熱装置を提供することを目的としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
アルコールエンジンの燃料加熱装置は、アルコール含有
燃料を使用するエンジンにおいて、アルコール含有燃料
をエンジンに供給する経路には上記アルコール含有燃料
を加熱する燃料加熱手段が設けられ、エンジンの状況に
よって加熱手段を作動させ、かつ、アルコール含有燃料
のアルコール濃度の上昇に比例して上記燃料加熱手段に
よる加熱の頻度を増加させるように制御する制御装置が
設けられていることを特徴とするものである。
【0018】本発明の請求項2に係るアルコールエンジ
ンの燃料加熱装置は、請求項1記載のアルコールエンジ
ンの燃料加熱装置において、上記制御装置は上記エンジ
ンの温度が設定温度以下の状態では上記燃料加熱装置を
作動させる作動制御手段と、アルコール含有燃料のアル
コール濃度が高くなるほど上記設定温度を高くする設定
温度変更手段とを含んでいることを特徴とするものであ
る。
【0019】本発明の請求項3に係るアルコールエンジ
ンの燃料加熱装置は、請求項1または2記載のアルコー
ルエンジンの燃料加熱装置において、燃料加熱手段とし
ては通電によってアルコール含有燃料を加熱する加熱手
段が採用され、上記制御装置には上記通電量をアルコー
ル濃度が高くなるほど増大させる通電量調節手段が設け
られていることを特徴とするものである。
【0020】本発明の請求項4に係るアルコールエンジ
ンの燃料加熱装置は、請求項3記載のアルコールエンジ
ンの燃料加熱装置において、エンジンの温度が設定温度
より高い状態であっても、アルコール含有燃料のエンジ
ンへの供給量が予め設定された設定量よりも多い状態で
は燃料加熱手段へ通電することを特徴とするものであ
る。
【0021】
【作用】上記請求項1記載のアルコールエンジンの燃料
加熱装置によれば、アルコール含有燃料をエンジンに供
給する経路には上記アルコール含有燃料を加熱する燃料
加熱手段が設けられ、エンジンの状況によって加熱手段
を作動させ、かつ、アルコール含有燃料のアルコール濃
度の上昇に比例して上記燃料加熱手段による加熱の頻度
を増加させるように制御する制御装置が設けられている
ため、この制御装置に制御されつつアルコール濃度に応
じてアルコール含有燃料は適正に加熱され、エンジンの
始動性の向上に寄与することができる。
【0022】上記請求項2記載のアルコールエンジンの
燃料加熱装置によれば、エンジンの温度が予め制御装置
に入力された設定温度以下の状態では上記制御装置内の
作動制御手段からの指示信号によって上記燃料加熱装置
は作動し、同制御装置内の設定温度変更手段によって上
記設定温度はアルコール含有燃料のアルコール濃度に対
応して変更されるため、アルコール含有燃料のアルコー
ル濃度に応じて上記燃料を加熱する判断基準となる設定
温度そのものが変化し、常に適正にアルコール含有燃料
の温度が設定され、エンジン始動性の向上やベーパーロ
ック防止に寄与する。
【0023】上記請求項3記載のアルコールエンジンの
燃料加熱装置によれば、燃料加熱手段としては通電によ
ってアルコール含有燃料を加熱する加熱手段が採用さ
れ、上記制御装置には上記通電量をアルコール濃度に対
応して変化させるように制御する通電量調節手段が設け
られているため、燃料中のアルコール濃度が検出されれ
ば、それに対応した状態で通電量が決定され、それを基
に加熱操作を行うことができ、加熱制御は容易になる。
【0024】上記請求項4記載のアルコールエンジンの
燃料加熱装置によれば、エンジンの温度が予め制御装置
に入力された設定温度より高い状態であっても、アルコ
ール含有燃料のエンジンへの供給量が予め設定された設
定量よりも多い状態では燃料加熱手段へ通電するように
なされているため、量が多いことによってアルコール含
有燃料が所定の温度まで到達しないという不都合を回避
することができる。
【0025】
【実施例】図1は本発明のアルコールエンジンの燃料加
熱装置を適用した一例を示す全体説明図である。この図
に示すように、燃料タンク1には、ガソリン燃料とアル
コール燃料とが混合されたアルコール含有燃料が貯溜さ
れている。このアルコール含有燃料のアルコール濃度に
ついてはアルコールを混入する目的に応じて種々雑多で
あり、5%乃至95%まで変動するが、一般にアルコー
ル含有燃料といった場合は85%程度のものを指すこと
が多い。
【0026】燃料タンク1の上部先端は給油管11に接
続している。系外から給油管11を介して燃料タンク1
に供給されたアルコール含有燃料は、フューエルポンプ
12の駆動によって汲み上げられ、燃料供給配管2を経
由し、フィルター21、アルコール濃度検出手段22お
よびプレッシャーレグレータ23を介してインジェクタ
24に到り、このインジェクタ24から吸気マニホルド
31を介してエンジン3に霧化した状態で燃焼空気を同
伴しつつ供給される。インジェクタ24としては、いわ
ゆるエアミクスチャ式のサイドフィードインジェクタが
採用されている上記フィルター21は、燃料タンク1か
ら供給されるアルコール含有燃料中の異物を濾過して除
去する濾過器であり、このフィルター21を通過して清
浄となった燃料を対象としてアルコール濃度検出手段2
2によりアルコール濃度が検出される。このアルコール
濃度検出手段22としては、ガソリンとアルコールとが
有する固有の電気抵抗値(アルコールの方がガソリンよ
りも抵抗値は小さい)を基にアルコール濃度を検出する
ものが実用的である。すなわち、一対の電極を互いに対
向させて配置し、この電極間に燃料を導いて所定の電圧
を印加し、電極間の抵抗値を測定することによって燃料
供給配管2内を通過中の燃料のアルコール濃度が検出さ
れる。プレッシャーレグレータ23は吸気マニホルド3
1内の圧力を制御圧として導くことにより燃圧と吸気マ
ニホルド31内圧力との差が常に一定になるようにする
ためのものである。
【0027】図2はインジェクタ24の先端部分の拡大
断面図である。この図に示すように、インジェクタ24
の先端部には、燃料加熱手段としてのPCTヒータ7
(positive temperature coefficient heater)が設け
られている。PTCヒータ7は、温度変化によって電気
抵抗が大幅に変化する半導体感温素子を利用したヒータ
であり、温度の上昇に比例して電気抵抗が大きくなるも
のをさす。通常三酸化チタンとバリウム、ストロンチウ
ム、鉛などとの焼結体で形成されている。本発明におい
ては、このPCTヒータ7で筒状体をつくり、これをイ
ンジェクタ24の先端内面に嵌め込んで用いている。
【0028】従って、PCTヒータ7に通電させた状態
でインジェクタ24から燃料を噴射すると、このPCT
ヒータ7は発熱して、燃料が燃焼室3aに到達する前に
加熱された状態になっている。この場合、上記のよう
に、PCTヒータ7は温度が上昇するとそれに伴ってそ
の電気抵抗値も大きくなるため、電源が一定電圧に制御
されている場合にはPCTヒータ7を流れる電流値が低
下し、その分発熱量も低下して、ある時点で発熱量と出
熱量とがバランスすることにより一定の温度になる。
【0029】そして、吸気マニホルド31内に燃焼用の
空気と共に噴霧された燃料は、吸気バルブ32を介して
エンジン3の燃焼室3a内に供給され、点火プラグ34
から発する火花を得て爆発し、ピストン3bを下方に押
し下げ、折り返しての上方への移動に伴い、生成した排
気ガスは排気バルブ33を介して排気マニホルド35に
導出される。排気マニホルド35にはO2センサ35a
が設けられており、検出された排気中の酸素量は制御装
置6に入力され空燃比が検出されている。
【0030】排気マニホルド35に続く排気管5の途中
には、排気ガスを清浄化するための触媒層51が設けら
れている。また、エンジン3の外周に設けられたジャッ
ケット36内の冷却水の水温は、温度計4によって検出
され、この検出値は制御装置6に入力されるように構成
されている。
【0031】ところで、図3はエンジンが順調に始動す
る場合の燃料中のメタノール濃度とエンジンの冷却水の
水温との関係を示すグラフである。このグラフにおいて
は、アルコール燃料のうちメタノールに注目し、このメ
タノール濃度を横軸にとり、縦軸にエンジンの冷却水の
水温をとっている。冷却水の温度は、図1に示すように
エンジン外周に設けられたジャッケット36内の水温
を、温度計4によって検出するように構成されているた
め、この水温とエンジン温度との間には相関関係が存在
し、水温でエンジン温度を代表させることができる。メ
タノール濃度が0%のものは100%のガソリン燃料で
ある。通常アルコール含有燃料は、アルコール濃度は最
高でも85%に設定されているため、85%以上はグラ
フで表示していない。
【0032】先に表1で示したように、アルコール類の
気化潜熱はガソリンの約3倍と大きく、従って、アルコ
ール含有燃料中のアルコール濃度が上昇すると、この上
昇に比例して燃料全体としてみた場合の燃料の気化はむ
ずかしくなる。すなわち、アルコール濃度の増加に従っ
て、その増加に見合った熱エネルギーが追加供給されな
ければ燃料は容易には気化しないのである。
【0033】図3はこのことを如実に表現しており、エ
ンジンが順調に始動するための冷却水の温度は、燃料中
のメタノール濃度に比例するのである。メタノール濃度
をx(%)とし、エンジン正常始動のための冷却水の水
温をy(℃)としたとき、両者の間の関係式は一般的
に、 y=f(x)・・・・・・・ と表現することができる。
【0034】従って、その燃料のメタノール濃度x1
そのときの冷却水の温度y1とをプロットした位置が、
グラフ中の関係式を表す線よりも下にあるとき、すなわ
ち、 y1<f(x1) のときはエンジンは順調には始動しない状態となってお
り、燃料の加熱が必要である。
【0035】また逆に上記のプロットをした点が上記関
係式を表す線よりも上にある場合、すなわち、 y1≧f(x1) のときには必ずエンジンは始動するため、加熱すると不
必要な熱量消費となる。
【0036】ところで、上記の関係式を表す線について
は、エンジンのタイプおよび運転条件(概略車種によっ
て決まると考えられる)によって異なるものであり、一
概には論じることはできない。従って、個々の車種を対
象として予め上記式を定量的に求めておく必要があ
る。そしてこの式は、実験的に求めるのが早道でありま
た確実でもある。
【0037】そして、アルコール含有燃料をエンジン3
に供給する経路(本実施例の場合はインジェクタ24の
先端部)には燃料加熱手段(本実施例においてはPCT
ヒータ7)が設けられ、アルコール含有燃料のアルコー
ル濃度の上昇に比例してPCTヒータ7による加熱の頻
度を増加させるように構成されているのである。この場
合、加熱の頻度を増加させることとは、検出されたアル
コール濃度x1を上記式に代入してf(x1)の値を計
算し、y1<f(x1)のときにはPCTヒータ7に通電
するということである。というのは、燃料のアルコール
濃度の上昇に従って、必ずf(x1)の値は上昇するた
め、結局PCTヒータ7に通電してアルコール含有燃料
を加熱する頻度は増加するからである。
【0038】以上本実施例においては、燃料の加熱にP
CTヒータ7が適用されているが、本発明は特にPCT
ヒータ7に限定されるものではなく、ニクロム線などの
通常の通電発熱体を用いてもよく、更には、アルコール
含有燃料の配管の外周を専用のバーナーで加熱して内部
の燃料に温度をつけるようにしたものでもかまわない。
【0039】以上のようにしてエンジン3が始動して
も、暖機不良によりアイドリングが不調であったり、加
速性能が悪いという現象が起こる。このような現象はエ
ンジン3周りの温度が上昇すれば解消される。しかし、
アルコール含有燃料を使用している場合には、一旦始動
したエンジン3が再度停止することもある。そのような
状態を回避するために、本発明においては上記暖機達成
までの間引き続きアルコール含有燃料の加熱が行われ
る。
【0040】図4は、エンジン3始動後それが正常に駆
動するまでの、燃料中のメタノール濃度x(%)とPC
Tヒータ7への通電時間t(min)との関係を示すグラ
フである。この図に示すように、燃料中のメタノール濃
度と上記冷却水の水温との関係の場合と同じく、燃料中
のメタノール濃度が高いほど、PCTヒータ7への通電
時間を長くする必要がある。この理由は、先のメタノー
ル濃度と上記冷却水の水温との関係の場合と同じであ
る。この場合も、実験的に求められた、 t=g(x)・・・・・・・ という関係式が存在し、その時エンジン3に供給される
アルコール含有燃料のメタノール濃度x1(%)が上記
式に代入されてt(min)が計算され、その時間だけ
引き続き燃料の加熱が行われる。
【0041】なお、自動制御の面からみると、式を利
用する自動制御は式を利用する自動制御の簡便法とし
てとらえることができる。すなわち、上記後者は、図3
の式を示す関係式の線を基準として、メタノール濃度
xと水温yとをプロットした点が上記関係式の線の上側
に位置するまで自動制御のプログラム実行を繰返し、上
記プロットした点が関係式の線の上に位置したときにエ
ンジン3始動の初期暖機不良は解消したとして次の制御
に移行するのであるが、前者の式を利用する場合は、
燃料中のメタノール濃度xに対応して燃料の加熱時間す
なわちPCTヒータ7への通電時間tを設定してしまう
のである。
【0042】暖機後は、本来ならば燃料の事前加熱は行
わなくてもよいのが理想的ではあるが、やはりアルコー
ルは気化潜熱がガソリンの約三倍もあること、およびエ
ンジン3の運転状況(具体的には燃料の噴射量)によっ
ては温度を下げる要因である燃料噴射量が増加するた
め、暖機後もPCTヒータ7が冷え込まない程度のアル
コール含有燃料の事前加熱は必要である。
【0043】暖機中の温度設定に加えて、通電量をも制
御することが望ましい。図5は、暖機後の燃料中のメタ
ノール濃度x(%)と、エンジン3への燃料噴射パルス
幅p(1周期のパルスの内の有効パルスの長さ)と、P
TCヒータ7に供給する電流I(アンペア)との関係を
示す3次元のグラフである。燃料噴射パルス幅pを要因
として選んだのは、この燃料噴射パルス幅pの値は燃料
噴射量の値に比例するため、燃料噴射パルス幅pは燃料
噴射量、すなわちPCTヒータ7の負荷を代表すること
ができるからである。この関係についても、上記同様実
験的に求めることができる。一般的には、 I=h(x,p)・・・・・ と表わすことができる。この式は、燃料中のメタノール
濃度xと、燃料噴射パルス幅pとの二つの要因によって
PTCヒータ7に供給する電流I(アンペア)値が決ま
ることを表現している。
【0044】例えば、図5に示すように燃料中のメタノ
ール濃度x1(%)、燃料噴射パルス幅p1であるとき
は、これらの値が上記式に代入され、電流I1(アン
ペア)が計算される。
【0045】以下本発明の制御方式について説明する。
アルコール含有燃料の事前加熱を制御するために、制御
装置6が設けられている。この制御装置6の内部には、
PTCヒータ7を作動させる作動制御手段61、PTC
ヒータ7に通電するための判断材料とされる冷却水の温
度の設定温度を変更する設定温度変更手段62および通
電量調整手段63が設けられている。
【0046】そして、燃料供給配管2に設けられたアル
コール濃度検出手段22からのメタノール濃度x1値は
逐一制御装置6の設定温度変更手段62に入力され、上
記式を基に設定値としての水温f(x1)が計算され
る。そして、この水温f(x1)が前の設定水温の値と
置き換えられて記憶されるので、設定温度変更手段62
には常に最新の設定値が記憶されていることになる。ま
た、ジャッケット36内の冷却水の水温y1も温度計4
によって検出され、上記同様逐一制御装置6に入力され
る。この実測水温y1と設定値としての水温f(x1)と
が前に詳述したように作動制御手段61内で比較され、
PCTヒータ7への電力供給可否が判断される。また、
制御装置6内の図示のない燃料制御部において、運転状
態、吸入空気量等に応じて燃料噴射パルス幅pが演算さ
れ、この演算値と上記メタノール濃度x1とから電流I
値、すなわちh(p1,x1)が計算されて制御装置6内
の通電量調整手段63によってこの計算値に相当する電
力がPCTヒータ7に供給されるように制御されるPC
Tヒータ7を加熱するための電力は、電源Eから通電量
調整手段63および作動制御手段61を介してPCTヒ
ータ7に供給される。電源Eから供給された電力は、ま
づ通電量調整手段63において上記のように所定の電流
値に制御され、作動制御手段61に出力される。この作
動制御手段61は設定温度変更手段62からの信号を得
てPCTヒータ7に電力を供給するか否かの判断を行
い、更にこの判断結果に基づいてPCTヒータ7に電力
を供給するか否かのスイッチ操作を行う。
【0047】以下この制御について図6に示すフローチ
ャートを基に説明する。まず、自動車を始動させる前に
ステップS1において、燃料供給配管2中のメタノール
濃度xがアルコール濃度検出手段22によって測定さ
れ、同時にジャッケット36内の冷却水の水温yが温度
計4によって測定されて、これらメタノール濃度x1
よび水温y1の値は制御装置6に入力される。また、制
御装置6内の図示のない燃料制御部において、運転状
態、吸入空気量等に応じて演算された燃料噴射パルス幅
pが入力される。
【0048】そして次のステップS2において、上記各
測定値を入力された制御装置6は、予め入力されている
上記式に基づいて、メタノール濃度x1から計算され
た水温f(x1)を導き出し、この値を水温設定値(作
動温度)として記憶する。この作動温度は、制御装置6
内の設定温度変更手段62の制御の基に逐一計算されて
最新の計算値に設定変更される。
【0049】次のステップS3においては、実際の測定
水温y1との比較が行われる。すなわち気温が極めて高
いか、あるいは運転中断後直ちに再スタートするような
場合には、測定水温y1の方が計算水温f(x1)より大
きくなることがあり、そのようなときには、上記実測値
1およびy1をプロットした点は、図3の比例直線より
も上方のPTCヒータ7に通電をしなくてもよい範囲に
位置するため、PTCヒータ7に通電する通電量を設定
するステップS4を飛ばして後述するステップS5が実
行される。
【0050】逆の場合、すなわち y1≦f(x1) の
ときには、上記実測値x1およびy1をプロットした点
は、図3の比例直線よりも下方のPTCヒータ7に通電
をする範囲に位置するため、PTCヒータ7に対する通
電量を設定するためのステップS4が実行される。この
ステップS4においては、制御装置6内の通電量調整手
段63によって上記式に基づいたPTCヒータ7へ供
給される電流I値が算出され、制御装置6内の作動制御
手段61に設定される。
【0051】そしてステップS8に至り、上記電流I値
でPCTヒータ7に通電される。このPTCヒータ7へ
の通電は作動制御手段61から発信される指示信号によ
ってPTCヒータ7に所定量の電流が通電され、インジ
ェクタ24から噴射される燃料が加熱される。
【0052】ステップS3において、冷却水の水温xが
上記作動温度よりも高いときは、ステップS5が実行さ
れる。このステップS5は、燃料噴射量が大きいエンジ
ン高負荷時に燃料を加熱するため、および燃料の噴射量
が少ないときの無駄な電力の消費を押えるためのステッ
プであり、燃料噴射パルス幅pすなわちインジェクタ2
4の燃料噴射量が予め設定された設定値αよりも大きい
か否かの比較が行われる。
【0053】燃料噴射パルス幅pが限界設定値αよりも
大きいとき、すなわち燃料の供給量が多いときはステッ
プS6が実行され、インジェクタ24が冷えない程度の
PCTヒータ7に対する電流値の設定が行われる。そし
て、次のステップS8が実行され、PCTヒータ7に通
電される。
【0054】また、燃料噴射パルス幅pが上記限界設定
値αよりも小さいときは、燃料の噴射量も少ないことで
もあり、特に事前加熱の必要もないため、ステップS7
で通電量の設定値は0とされるから、ステップS8では
実質的にPCTヒータ7には通電されない状態になる。
【0055】以上のステップS1からステップS8が繰
返し実行され、エンジン3に供給されるアルコール含有
燃料は適正に事前加熱される結果、エンジン3はあらゆ
る状況下で正常に駆動する。特に本発明は、制御装置6
に設けられた設定温度変更手段62の制御の基に、ステ
ップS2において運転状況に応じてPCTヒータ7の作
動温度の設定変更が行われることであり、これによっ
て、より適正な燃料の事前加熱が実現する。
【0056】すなわち、燃料の事前加熱が行われる場
合、燃料中のアルコール濃度に応じてPTCヒータ7に
対する通電量が調整され、燃料は適正に気化して燃焼性
は良好になる。
【0057】また暖機後、燃料の噴射料が大きいとき
は、気化潜熱によりインジェクタ24周辺が温度低下し
やすくなる傾向があるが、PTCヒータ7に通電するこ
とにより上記温度低下を防止することができる。
【0058】なお、ステップS2ないしステップS8を
実行する代わりに、ステップS1の次に始動制御を行っ
て、始動時直ちに前記の式でPCTヒータ7に対する
通電時間tが算出されるようにし、この通電時間tをタ
イマーに設定して、一定時間燃料を加熱する方式も簡便
法として採用可能である。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のアルコー
ルエンジンの燃料加熱装置によれば、アルコール含有燃
料をエンジンに供給する経路には上記アルコール含有燃
料を加熱する燃料加熱手段が設けられ、アルコール含有
燃料のアルコール濃度の上昇に比例して上記燃料加熱手
段による加熱の頻度を増加させるようになされているた
め、アルコール濃度に応じてアルコール含有燃料は適正
に加熱され、エンジン始動等における燃焼性を向上させ
ることができる。
【0060】とくに、エンジンの温度が予め制御装置に
入力された設定温度以下の状態では上記制御装置からの
命令によって上記燃料加熱装置を作動させ、上記設定温
度はアルコール含有燃料のアルコール濃度に比例して上
昇させるようにすれば、アルコール含有燃料のアルコー
ル濃度に応じて上記燃料を加熱する判断基準となる設定
温度そのものが変化し、オーバーアクションになること
なく、常に適正にアルコール含有燃料の温度が設定さ
れ、エンジン始動性の向上やベーパーロック防止に寄与
する。
【0061】また、燃料加熱手段としては通電によって
アルコール含有燃料を加熱する加熱手段を採用し、上記
通電量はアルコール濃度の上昇に比例して上昇させるよ
うにすれば、アルコール濃度を検出することによって、
それに比例させた状態で加熱操作を行うことができるな
ど、加熱制御をより適切に行うことができる。
【0062】さらに、エンジンの温度が予め制御装置に
入力された設定温度より高い状態であっても、アルコー
ル含有燃料のエンジンへの供給量が予め設定された設定
量よりも多い状態では燃料加熱手段へ通電するようすれ
ば、気化潜熱増大によって温度降下を招くという不都合
を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエンジンの燃料加熱の一例を示す概略
図である。
【図2】PCTヒータが装着された状態のインジェクタ
の一例を示す断面図である。
【図3】エンジンが順調に始動する場合の燃料中のメタ
ノール濃度と冷却水水温との関係を例示するグラフであ
る。
【図4】エンジン始動後正常に駆動するための燃料中の
メタノール濃度とPCTヒータへの通電時間との関係を
例示するグラフである。
【図5】暖機後の燃料中のメタノール濃度と、燃料噴射
パルス幅と、PCTヒータに供給する電力との関係を例
示するグラフである。
【図6】本発明を実施する際の制御手順の一例を示すフ
ローチャートである。
【符号の説明】
1 燃料貯溜装置 11 給油管 12 フューエルポンプ 2 燃料供給配管 21 フィルター 22 第二アルコール濃度検出手段 23 プレッシャーレグレータ 24 インジェクタ 3 エンジン 3a 燃焼室 3b ピストン 31 吸気マニホルド 32 吸気バルブ 33 排気バルブ 34 点火プラグ 35 排気マニホルド 4 温度計 5 排気管 6 制御装置 61 作動制御手段 62 設定温度変更手段 63 通電量調整手段 7 PTCヒータ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルコール含有燃料を使用するエンジン
    において、アルコール含有燃料をエンジンに供給する経
    路には上記アルコール含有燃料を加熱する燃料加熱手段
    が設けられ、エンジンの状況によって加熱手段を作動さ
    せ、かつ、アルコール含有燃料のアルコール濃度の上昇
    に比例して上記燃料加熱手段による加熱の頻度を増加さ
    せるように制御する制御装置が設けられていることを特
    徴とするアルコールエンジンの燃料加熱装置。
  2. 【請求項2】 上記制御装置は上記エンジンの温度が設
    定温度以下の状態では上記燃料加熱装置を作動させる作
    動制御手段と、アルコール含有燃料のアルコール濃度が
    高くなるほど上記設定温度を高くする設定温度変更手段
    とを含んでいることを特徴とする請求項1記載のアルコ
    ールエンジンの燃料加熱装置。
  3. 【請求項3】 燃料加熱手段としては通電によってアル
    コール含有燃料を加熱する加熱手段が採用され、上記制
    御装置には上記通電量をアルコール濃度が高くなるほど
    増大させる通電量調節手段が設けられていることを特徴
    とする請求項1または2記載のアルコールエンジンの燃
    料加熱装置。
  4. 【請求項4】 エンジンの温度が設定温度より高い状態
    であっても、アルコール含有燃料のエンジンへの供給量
    が予め設定された設定量よりも多い状態では燃料加熱手
    段へ通電することを特徴とする請求項3記載のアルコー
    ルエンジンの燃料加熱装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007198308A (ja) * 2006-01-27 2007-08-09 Toyota Motor Corp 内燃機関の始動制御装置
DE112008002239T5 (de) 2007-08-21 2010-06-17 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha, Toyota-shi Kraftstoffeinspritzsteuervorrichtung einer Brennkraftmaschine
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