JP3539259B2 - 空燃比センサのヒータ制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空燃比センサのヒータ制御装置に関し、特に、機関始動前に空燃比センサをプリヒートする機能を有する空燃比センサのヒータ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関では、排気通路の空燃比に基づいて燃料噴射量を補正することにより、空燃比を理論空燃比に向けて制御する空燃比フィードバック制御が実行される。空燃比フィードバック制御によれば、触媒コンバータによる排気ガスの浄化性能が高く維持されると共に、燃費の悪化が防止される等の効果が得られる。かかる空燃比フィードバック制御を実現すべく、排気通路には空燃比を検出する空燃比センサが設けられる。一般に、空燃比センサは、数百度以上の活性化温度まで加熱されて活性した状態で、酸素濃度に応じた信号を出力する特性を有している。このため、空燃比センサには、センサ素子を活性化温度まで加熱するためのヒータが内蔵される。空燃比センサのヒータへの通電が開始された後、センサ温度が活性化温度に達するまで、すなわち、空燃比センサの出力信号に基づく空燃比フィードバック制御が可能となるまでには、ある程度の時間が必要とされる。そこで、従来より、内燃機関の始動直後から空燃比フィードバック制御を開始できるように、機関始動前にヒータへの通電を開始するプリヒートが行われている。
【0003】
例えば、特開平5−202785号公報に開示される空燃比制御装置では、車両ドアのオープンが検出された場合に内燃機関の始動を予測し、空燃比センサのヒータへのプリヒートを開始する。この空燃比制御装置において、内燃機関の温度が低くなるほど、プリヒートにおける目標温度は高く設定される。かかる手法によれば、低温始動時においても、始動後速やかにセンサ温度を活性化温度まで上昇させることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、一般に、内燃機関のクランキング始動が開始されると、セルモータへの十分な供給電力を確保すべく、空燃比センサのヒータへの通電は停止される。ヒータへの通電が停止された状態では空燃比センサが冷却されるため、機関始動後、早期に空燃比フィードバック制御を開始する観点からは、ヒータへの再通電を速やかに開始することが望ましい。しかしながら、クランキングが完了しないうちにヒータへの通電が再開されると、セルモータに供給される電力が不足し、機関始動性が悪化してしまう。また、クランキング始動の終了後であっても、機関運転状態が安定化しないうちにヒータへの通電が開始されると、バッテリーの放電電力の増加によりオルタネータの負荷が増大し、アイドル運転状態が不安定化してしまう。
【0005】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、内燃機関を円滑に始動させると共に機関始動後の安定な運転状態を実現しつつ、空燃比センサのヒータへの再通電を開始することが可能な空燃比センサのヒータ制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、請求項1に記載する如く、内燃機関に設けられた空燃比センサが備えるヒータへの通電を制御するヒータ制御装置であって、
機関始動前に前記ヒータへの通電を行うプリヒート手段と、
機関始動時に前記プリヒート手段による通電を停止させる通電停止手段と、
機関運転状態を検出する運転状態検出手段と、
前記機関運転状態に基づいて、機関始動後の前記ヒータへの通電開始タイミングを設定する通電タイミング設定手段と、を備える空燃比センサのヒータ制御装置により達成される。
【0007】
請求項1記載の発明において、通電停止手段は、機関始動時にプリヒート手段によるヒータへの通電を停止する。機関始動後、ヒータへの再通電が行われると、バッテリーの放電電力が増加する。このため、セルモータへの供給電力が不足することで、内燃機関の始動性が悪化し、又は、オルタネータの負荷が増大することで、内燃機関の運転状態は不安定側に変化する。これに対して、通電タイミング設定手段は、機関運転状態に基づいて機関始動後のヒータへの通電開始タイミングを設定する。従って、本発明によれば、ヒータへの通電開始に伴って、機関始動性が悪化し、又は、機関始動後の運転状態が不安定化することが防止される。
【0008】
また、上記の目的は、請求項2に記載する如く、請求項1記載の空燃比センサのヒータ制御装置において、
空燃比センサの温度を検出するセンサ温度検出手段を備えると共に、
前記通電タイミング設定手段は、前記機関運転状態及び前記空燃比センサの温度に基づいて、前記通電開始タイミングを設定する空燃比センサのヒータ制御装置によっても達成される。
【0009】
請求項2記載の発明において、通電停止手段は機関始動時にプリヒート手段によるヒータへの通電を停止するため、機関始動後、ヒータへの通電が開始されるまで、空燃比センサの温度(センサ温度)は一時的に低下する。この場合、通電が開始される際のセンサ温度が高いほど、ヒータの消費電力は小さくなる。つまり、機関始動後のセンサ温度が高いほど、ヒータへの通電開始が機関始動性及び運転安定性へ及ぼす影響は小さくなるため、より早い時点からヒータへの通電を開始することができる。従って、本発明によれば、通電タイミング設定手段が、機関運転状態及びセンサ温度に基づいて通電開始タイミングを設定することで、機関始動性の悪化及び運転状態の不安定化を招かない範囲で、早期にヒータへの通電を開始して、空燃比センサの活性を速やかに回復することができる。
【0010】
この場合、請求項3に記載する如く、前記機関運転状態として機関回転数を用いることとしてもよい。
また、空燃比センサのインピーダンスは、センサ温度に応じて変化する。従って、請求項4に記載する如く、前記センサ温度検出手段は、前記空燃比センサのインピーダンスに基づいて前記空燃比センサの温度を検出することとしてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施例である空燃比センサのヒータ制御装置が適用された内燃機関のシステム構成図を示す。本実施例の内燃機関は、電子制御ユニット (以下、ECUと称す)10により制御される。図1に示す如く、内燃機関は、シリンダブロック12を備えている。シリンダブロック12の内部には、シリンダ14およびウォータジャケット16が形成されている。ウォータジャケット16には、水温センサ18が配設されている。水温センサ18はウォータジャケット16の内部を流れる冷却水の温度(以下、水温THWと称す)に応じた信号をECU10に向けて出力する。ECU10は水温センサ18の出力信号に基づいて水温THWを検出する。
【0012】
シリンダ14の内部にはピストン20が配設されている。ピストン20は、シリンダ14の内部を、図1における上下方向に摺動することができる。シリンダブロック12の上部には、シリンダヘッド22が固定されている。シリンダヘッド22には、吸気ポート24および排気ポート26が形成されている。
シリンダヘッド22の底面、ピストン20の上面、およびシリンダ14の側壁は、燃焼室28を画成している。上述した吸気ポート24および排気ポート26は、共に燃焼室28に開口している。燃焼室28には、点火プラグ30の先端が露出している。点火プラグ30はECU10から点火信号を供給されることにより、燃焼室28内の燃料に点火する。
【0013】
内燃機関は、また、吸気弁34及び排気弁36を備えている。吸気ポート24及び排気ポート26の燃焼室28への開口部には、それぞれ、吸気弁34及び排気弁36に対する弁座が形成されている。吸気弁34及び排気弁36は、各弁座に離着座することにより、それぞれ吸気ポート24及び排気ポート26を開閉させる。
【0014】
吸気ポート24には、吸気マニホールド38が連通している。吸気マニホールド38には、燃料噴射弁40が配設されている。燃料噴射弁40はECU10から付与される指令信号に応じて燃料を吸気マニホールド38内に噴射する。
吸気マニホールド38の上流側には、サージタンク42が連通している。サージタンク42の更に上流側には、吸気管44が連通している。吸気管44には、スロットルバルブ46が配設されている。スロットルバルブ46の近傍には、スロットル開度センサ48が配設されている。
【0015】
吸気管44の上流側にはエアフローメータ50 が連通している。エアフローメータ50は吸気管44を通過する空気の流量に応じた信号をECU10に向けて出力する。ECU10はエアフローメータ50の出力信号に基づいて、内燃機関の吸入空気量を検出する。エアフローメータ50の更に上流側にはエアクリーナ52が連通している。吸気管44にはエアクリーナ52により濾過された外気が流入する。
【0016】
一方、内燃機関の排気ポート26には、排気通路54が連通している。排気通路54には、触媒コンバータ56が配設されている。触媒コンバータ56は、排気ガスに含まれる炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、及び酸化窒素(NOX )を反応させることにより排気ガスを浄化する。触媒コンバータ56の上流側及び下流側には、それぞれ、空燃比センサ58、60が配設されている。空燃比センサ58、60は同様の構成を有しており、これらの構成については後述する。なお、本実施例では、空燃比センサ58、60が同一とされているが、異なるものとしてもよい。
【0017】
内燃機関は、また、回転数センサ62を備えている。回転数センサ62は内燃機関が所定のクランク角だけ回転する毎にパルス信号をECU10に向けて出力する。ECU10は、回転数センサ62の出力信号に基づいて内燃機関の回転数(以下、機関回転数NEと称す)を検出する。
ECU10には、ドアスイッチ64が接続されている。ドアスイッチ64は、車両ドアがオープンされた場合にのみオン状態となるスイッチである。ECU10は、ドアスイッチ64のオン/オフ状態に基づいて、車両ドアのオープンを検出する。
【0018】
図2は、空燃比センサ58、60の内部構成を、ECU10との接続回路と共に示す。図2に示す如く、空燃比センサ58、60は、その内部に、例えばジルコニア等の材料により構成されたセンサ素子66と、センサ素子66を加熱するヒータ68とを備えている。
センサ素子66の一方の端子は定電圧源70に接続され、また、他方の端子はECU10に接続されていると共に抵抗器71を介して接地されている。このようにセンサ素子66に定電圧が印可された状態では、センサ素子66に流れる電流(以下、センサ電流Iと称す)は、センサ素子66の温度(以下、センサ温度Tと称す)が所定の活性化温度Te(例えば650゜Cから700゜C)以上である場合に、排気通路54内の酸素濃度に応じて変化する。ECU10には、このセンサ電流Iに応じた電圧が入力される。
【0019】
センサ素子66は、また、インピーダンス検出回路72を介してECU10に接続されている。インピーダンス検出回路72は、ECU10から供給される制御信号に応じて、センサ素子66に所定周波数の交流電圧を印可すると共に、センサ素子66に流れる交流電流の大きさに応じた信号をECU10に向けて出力する。ECU10は、インピーダンス検出回路72の出力信号に基づいて、センサ素子66のインピーダンスを検出する。センサ素子66は、センサ温度Tが高くなるのに応じてインピーダンスが低くなる特性を有している。そこで、ECU10は、センサ素子66のインピーダンスに基づいてセンサ温度Tを検出する。
【0020】
一方、ヒータ68は、通電制御回路74を介してECU10に接続されている。通電制御回路74はECU10から供給される制御信号に応じて、車載バッテリー75を電源として、ヒータ68への通電電流をデューティ制御する。ヒータ68には、また、ヒータ電圧検出回路76及びヒータ電流検出回路78が接続されている。ヒータ電圧検出回路76は、ヒータ68に印可される電圧に応じた信号をECU10に向けて出力する。また、ヒータ電流検出回路78は、ヒータ68を流れる電流に応じた信号をECU10に向けて出力する。ECU10は、これらの信号に基づいてヒータ68に印可される電圧、及び、ヒータ68に供給される電流を検出する。
【0021】
ECU10は、内燃機関の運転中に、センサ温度Tの温度が、活性化温度Te以上、かつ、センサ素子66に損傷を与えない程度の温度となるように、ヒータ68への通電量を制御する。上述の如く、センサ温度Tが活性化温度Te以上に維持された状態では、センサ素子66に流れる電流は、酸素濃度に応じて変化する。従って、ECU10は、上記の如くヒータ68への通電量を制御することで、センサ電流Iに基づいて、排気通路54内の酸素濃度、すなわち、空燃比を検出することができる。そして、ECU10は、空燃比に基づいて燃料噴射量をフィードバック制御する空燃比フィードバック制御を実行する。
【0022】
空燃比フィードバック制御では、空燃比が理論空燃比よりもリッチ側である場合には燃料噴射量が減量され、リーン側である場合には燃料噴射量が増量されることにより、空燃比が理論空燃比近傍の所定範囲内に維持される。上記した触媒コンバータ56は、空燃比が理論空燃比近傍である場合に、高い浄化性能を発揮する。従って、空燃比フィードバック制御によれば、排気ガス中のHC、CO、及びNOxを触媒コンバータ56により効果的に除去することができる。また、空燃比フィードバック制御によれば、空燃比が過度にリッチ又はリーンになることがないため、燃費の悪化及び燃焼状態の不安定化を共に防止することができる。
【0023】
内燃機関の冷間始動時には、センサ温度Tはほぼ外気温まで低下しているため、センサ温度Tが活性化温度Teまで加熱されるまでには、ある程度の時間が必要となる。そこで、本実施例では、内燃機関の始動後、速やかに空燃比フィードバックの実行を開始すべく、機関始動が予想される場合(例えば、車両ドアのオープンが検出された場合)に、機関始動前から空燃比センサ58、60のヒータ68への通電を開始することとしている。以下、機関始動前に行われるヒータ68への通電を、空燃比センサ58、60のプリヒートと称する。
【0024】
なお、空燃比センサ58、60が異なる構成とされ、例えば、空燃比センサ58にのみヒータ68が備えられる場合には、プリヒートは空燃比センサ58に対してのみ行われることとなる。
プリヒートの実行中は、車載バッテリー75の電力が消費される。従って、本実施例では、クランキング始動が開始された時点で、セルモータへの十分な供給電力を確保すべく、プリヒートを中止することとしている。この場合、機関始動後、速やかに空燃比フィードバック制御を開始する観点からは、ヒータ68への再通電をできるだけ早期に開始することが望ましい。一方、クランキング始動が完了しないうちに、ヒータ68への再通電が開始されると、セルモータへの供給電力が不足することで、機関始動性が低下してしまう。また、クランキング始動が完了した後であっても、アイドル運転状態が安定化しないうちにヒータ68への再通電が開始されると、車載バッテリー75の放電電力の増加によりオルタネータの負荷が大きくなることで、アイドル運転状態は更に不安定化してしまう。
【0025】
これに対して、本実施例のシステムは、機関始動時の機関回転数NE及びセンサ温度Tに基づいてヒータ68への通電再開タイミングを設定することで、良好な機関始動性及びアイドル運転状態の安定性を確保しつつ、早期に空燃比フィードバック制御を開始し得る点に特徴を有している。
図3は、センサ温度Tと、ヒータ68への通電を再開するための機関回転数NEの基準値N0 との関係を表すマップを示す。本実施例においては、図3に示すマップを参照して、センサ温度Tから基準値N0 が求められ、機関回転数NEが基準値N0 を上回った時点で、ヒータ68への再通電が開始される。センサ温度Tが高いほど、ヒータ68への通電を再開した場合のヒータ68の消費電力(つまり、センサ温度Tを活性化温度Te以上に上昇させるのに要する消費電力)は小さいといえる。そこで、本実施例では、図3に示す如く、センサ温度Tが高いほど、基準値N0 を小さな値に設定することにより、機関回転数NEがより低い時点から再通電を開始することとしている。
【0026】
図4は、(A)空燃比センサ58、60のプリヒートが開始された後のセンサ温度Tの時間変化、(B)ヒータ68への通電のオン/オフ状態の時間変化、及び(C)機関回転数NEの時間変化をそれぞれ例示する。なお、図4(C)には、機関回転数NEが基準値N0 に達しないうちにヒータ68への通電が開始された場合の機関回転数NEを一点鎖線で示している。
【0027】
図4(A)及び(B)に示す如く、クランキングが開始される時刻t1までは、空燃比センサ58、60のプリヒートが行われることで、センサ温度Tは目標温度Tcに向けて上昇する。時刻t1においてクランキングが開始されると、ヒータ68への通電が停止されることで、以後、センサ温度Tは次第に低下し、活性化温度Teを下回っている。一方、図4(C)に実線で示す如く、時刻t1におけるクランキング開始に伴って、機関回転数NEが立ち上がり、その後、時刻t2においてクランキングが終了した後も、内燃機関の燃焼開始により機関回転数NEは上昇し続ける。そして、時刻t3において、機関回転数NEが基準値N0 を上回ると、図4(B)に示す如く、ヒータ68への再通電が開始され、図4(A)に示す如く、センサ温度Tcは上昇に転ずる。
【0028】
上述の如く、ヒータ68への再通電が開始されると車載バッテリー75の放電電力が増加する。このため、図4(C)に一点鎖線で示す如く、機関回転数NEが基準値N0 に達していない状態で再通電が開始された場合には、オルタネータの負荷が上昇することで、機関回転数NEが十分に立ち上がらなくなってしまう。また、再通電が開始されるタイミングがクランキング中である場合には、上記の如く、セルモータへの供給電力が不足することにより内燃機関の円滑な始動が実現できなくなる。
【0029】
これに対して、本実施例では、上述の如く、機関回転数NEが基準値N0 を上回り、安定な運転状態が確保されたと判断された時点で、再通電が開始される。従って、本実施例によれば、良好な機関始動性及び安定なアイドル運転状態を確保しつつ、ヒータ68への再通電を開始することができる。また、ヒータ温度Tが高いほど(つまり、ヒータ68への再通電の開始に伴う電力消費が小さいほど)、基準値N0 が小さな値に設定されることで、内燃機関の始動性及び運転安定性に影響を与えない範囲において、可能な限り速やかなタイミングで通電を開始することができる。すなわち、本実施例によれば、内燃機関の良好な始動性及び安定なアイドル運転状態を確保しつつ、空燃比フィードバック制御を早期に開始することが可能とされている。
【0030】
以下、本実施例においてECU10が実行する具体的な処理の内容について説明する。
図5は、空燃比センサ58、60のプリヒートを行うべくECU10が実行するルーチンのフローチャートである。また、図6は、ヒータ68への再通電を開始すべくECU10が実行するルーチンのフローチャートである。なお、図5及び図6に示すルーチンは、所定時間間隔で起動される定時割り込みルーチンである。先ず図5に示すルーチンについて説明する。図5に示すルーチンが起動されると、ステップ100の処理が実行される。
【0031】
ステップ100では、プリヒートの実行が許可されているか否かが判別される。具体的には、ステップ100では、車両ドアのオープンが検出された後、内燃機関の始動前である場合、すなわち、内燃機関の始動が予想される場合に、プリヒートの実行が許可されていると判別される。ステップ100において、プリヒートの実行が許可されていないと判別された場合は、次にステップ102の処理が実行される。一方、ステップ100において、プリヒートの実行が許可されている場合は、次にステップ104の処理が実行される。
【0032】
ステップ102では、空燃比センサ58、60のヒータ68への通電制御におけるデューティ比HTdutyが「0」に設定される。従って、ステップ100及び102の処理によれば、プリヒートの開始後、内燃機関が始動された時点で、ヒータ68への通電は停止されることになる。ステップ102の処理が終了すると、今回のルーチンは終了される。
【0033】
ステップ104では、センサ素子66のインピーダンスに基づいてセンサ温度Tが検出される。
ステップ104に続くステップ106では、センサ温度Tが目標温度Tcを上回っているか否かが判別される。その結果、T>Tcが成立する場合は、次にステップ108において、デューティ比HTdutyが所定値αだけ減少されることにより、ヒータ68への通電量が減少される。一方、ステップ106において、T>Tcが不成立であれば、次にステップ110において、デューティ比THdutyが所定値αだけ増加されることにより、ヒータ68への通電量が増加される。ステップ106、108、及び110の処理によれば、センサ温度Tが目標温度Tcに向けて制御される。ステップ108又は110の処理が終了すると、今回のルーチンは終了される。
【0034】
なお、デューティ比HTdutyの変更幅αはセンサ温度Tと目標温度Tcとの差の大きさに基づいて可変としてもよい。
次に、図6に示すルーチンについて説明する。図6に示すルーチンが起動されると、ステップ150の処理が実行される。
ステップ150では、機関回転数NEが「0」であるか否かが判別される。その結果、NE=0が成立する場合は、機関始動前であると判断されて今回のルーチンは終了される。一方、ステップ150において、NE=0が不成立であれば、次にステップ152の処理が実行される。
【0035】
ステップ152では、センサ素子66のインピーダンスに基づいてセンサ温度Tが検出される。
ステップ152に続くステップ154では、センサ温度Tが活性化温度Te以上であるか否かが判別される。その結果、T≧Teが成立する場合は、空燃比センサ58、60が活性化していると判断され、次にステップ156の処理が実行される。一方、ステップ154において、T≧Teが不成立であれば、次にステップ158の処理が実行される。
【0036】
ステップ156では、F/B許可フラグF1が「1」にセットされる。ECU10は、F/B許可フラグF1が「1」にセットされている場合に、空燃比フィードバック制御の実行を許可する。ステップ156の処理が終了すると、ステップ160に進む。
ステップ160では、再通電許可フラグF2が「1」にセットされる。ECU10は、再通電許可フラグF2が「1」にセットされている場合に、ヒータ68への再通電を許可し、センサ温度Tを活性化温度Te以上に維持すべくヒータ68への通電制御を実行する。従って、ステップ160の処理により、空燃比センサ58、60の出力信号に基づいて空燃比フィードバック制御が適正に実行されることが保証される。ステップ160の処理が終了すると、今回のルーチンは終了される。
【0037】
一方、ステップ158では、フィードバック許可フラグF1が「0」にリセットされることにより、空燃比フィードバック制御の実行が禁止される。ステップ158の処理が終了すると、ステップ162へ進む。
ステップ162では、上記図3に示すマップを参照することにより、センサ温度Tから基準値N0 が求められる。
【0038】
ステップ162に続くステップ164では、機関回転数NEが基準値N0 を上回っているか否かが判別される。その結果、NE>N0 が不成立であれば、次にステップ166において、再通電許可フラグF2が「0」にリセットされることによりヒータ68への再通電が禁止された後、今回のルーチンは終了される。一方、ステップ164において、NE>αが成立する場合は、次に上記ステップ160において、再通電許可フラグF2が「1」にセットされることによりヒータ68への再通電が許可された後、今回のルーチンは終了される。
【0039】
上述の如く、本実施例によれば、機関回転数NEが基準値N0 を上回った時点で、ヒータ68への再通電が許可されることで、車載バッテリー75の放電電力の増加に伴う始動性の悪化、又は、アイドル運転状態の不安定化を防止することができる。また、基準値N0 が上記図3に示すマップに従って、センサ温度Tが高いほど基準値N0 が小さな値となるようにN0を設定することで、機関始動性の悪化等を防止できる範囲で、速やかにヒータ68への再通電を開始することができ、これにより、空燃比フィードバック制御を早期に開始することができる。
【0040】
なお、上記実施例においては、回転数センサ62が特許請求の範囲に記載した運転状態検出手段に相当している。また、ECU10が図5に示すルーチンを実行することにより特許請求の範囲に記載したプリヒート手段が、図5に示すルーチンのステップ100及び102の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した通電停止手段が、図6に示すルーチンのステップ152を実行することによりセンサ温度検出手段が、図6に示すルーチンのステップ162、164、160、及び166の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した通電タイミング設定手段が、それぞれ実現されている。
【0041】
なお、上記実施例では、センサ素子66のインピーダンスに基づいてセンサ温度Tを検出するものとしたが、センサ温度Tを求める手法はこれに限られるものではなく、ヒータ抵抗Rに基づいてセンサ温度Tを検出してもよい。すなわち、ヒータ68の温度が高くなるのに応じてヒータ抵抗Rは増加するため、ヒータ抵抗Rからヒータ温度を求め、このヒータ温度をセンサ温度Tとして用いることとしてもよい。
【0042】
また、上記実施例では、酸素濃度に応じてセンサ電流Iが連続的に変化する特性を有する空燃比センサ58、60により空燃比を検出するものとしたが、本発明はこれに限らず、空燃比センサ58、60の一方又は双方に代えて、空燃比に応じてリッチ/リーンの2段階の信号を出力するO2 センサを用いてもよい。
また、上記実施例では、ヒータ68への通電量をデューティ制御するものとしたが、これに限らず、電流値をリニアに変化させることにより通電量を制御してもよい。この場合、上記図5に示すルーチンのステップ108及び110では、それぞれ、通電電流を減少及び増加させることとすればよい。
【0043】
更に、上記実施例では、機関回転数NEに基づいてヒータ68への再通電の開始タイミングを設定するものとしたが、これに限らず、例えば吸気管負圧を検出する負圧センサを設け、吸気管負圧に基づいて再通電の開始タイミングを設定することとしてもよい。
【0044】
【発明の効果】
上述の如く、請求項1記載の発明によれば、良好な機関始動性、及び、機関始動後の安定な運転状態を確保しつつ、機関始動後に空燃比センサのヒータへの通電を再開することができる。
また、請求項2記載の発明によれば、良好な機関始動性、及び、機関始動後の安定な運転状態を確保し得る範囲で、速やかにヒータへの通電を開始することができ、これにより、空燃比センサの活性を早期に回復させることができる。
【0045】
また、請求項3記載の発明によれば、機関回転数を機関運転状態として用いることができる。
更に、請求項4記載の発明によれば、空燃比センサのインピーダンスに基づいてセンサ温度を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空燃比センサのヒータ制御装置が適用された内燃機関のシステム構成図である。
【図2】本実施例のシステムが備える空燃比センサの内部構成をECUとの接続回路と共に示す図である。
【図3】ヒータ温度Tと基準値N0 との関係を表すマップである。
【図4】図4(A)は、空燃比センサのプリヒートが開始された後、内燃機関が始動されるまでのセンサ温度Tの時間変化を例示する図である。図4(B)は、空燃比センサのヒータへの通電のオン/オフ状態の時間変化を例示する図である。図4(C)は、機関回転数の時間変化を例示する図である。
【図5】本実施例において空燃比センサのプリヒートを開始すべくECUが実行するルーチンのフローチャートである。
【図6】本実施例において空燃比センサへの再通電を開始すべくECUが実行するルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
10 ECU
58、60 空燃比センサ
62 回転数センサ
68 ヒータ
72 インピーダンス検出回路
Claims (4)
- 内燃機関に設けられた空燃比センサが備えるヒータへの通電を制御するヒータ制御装置であって、
機関始動前に前記ヒータへの通電を行うプリヒート手段と、
機関始動時に前記プリヒート手段による通電を停止させる通電停止手段と、
機関運転状態を検出する運転状態検出手段と、
前記機関運転状態に基づいて、機関始動後の前記ヒータへの通電開始タイミングを設定する通電タイミング設定手段と、を備えることを特徴とする空燃比センサのヒータ制御装置。 - 請求項1記載の空燃比センサのヒータ制御装置において、
空燃比センサの温度を検出するセンサ温度検出手段を備えると共に、
前記通電タイミング設定手段は、前記機関運転状態及び前記空燃比センサの温度に基づいて、前記通電開始タイミングを設定することを特徴とする空燃比センサのヒータ制御装置。 - 前記機関運転状態は機関回転数であることを特徴とする請求項1又は2記載の空燃比センサのヒータ制御装置
- 前記センサ温度検出手段は、前記空燃比センサのインピーダンスに基づいて前記空燃比センサの温度を検出することを特徴とする請求項2記載の空燃比センサのヒータ制御装置。
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