JP2004339450A - プライマー組成物、及び該プライマーを用いた発光ダイオード - Google Patents

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正仁 井手
Manabu Tsumura
学 津村
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Abstract

【課題】接着性に優れたプライマー組成物、及び/またはプライマー組成物によって発光ダイオードパッケージとモールド部材との接着信頼性が向上された発光ダイオードを提供すること。
【解決手段】モールド樹脂を設けるに先立ち、LEDパッケージ表面にプライマ−層を設けるために用いられるプライマ−組成物であって、溶剤中にアクリル系重合体、シラノール縮合触媒、シランカップリング剤及び/又はエポキシ基含有化合物を必須成分として含むことを特徴とするプライマー組成物。及びこのプライマー組成物をLEDパッケージに塗布した後、加熱し、溶剤を揮発させて基材に塗布することを特徴とするプライマ−樹脂の塗布方法、によって上記課題を解決できることを見出した。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はプライマー組成物に関するものであり、更に詳しくは透明性、接着性に優れたプライマー組成物、及びそれを用いた発光ダイオードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、発光ダイオード(以下、LED)の高出力化、高輝度化技術が飛躍的に発達している。しかしながら、現状、LED高輝度化・高出力化に伴い様々な問題が発生する。例えば、高エネルギー光連続照射・チップ発熱によるモールド部材、パッケージの劣化等が考えられ、該側壁にエネルギーの高い光が照射され続けた場合、パッケージ樹脂の劣化によるモールド部材との接着性不良を引き起こす。従って、優れた耐熱耐光性を有し、パッケージとの接着信頼性に優れたモールド技術が切望されている。従来、エポキシ化合物と有機アルミニウム化合物の組み合わせにより各種基材との密着性向上させる技術が知られているが、プライマーとしての適用は示されていない(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
【0003】
【特許文献1】
特開平08−183934
【0004】
【特許文献2】
特開平05−140459
【0005】
【特許文献3】
特許第3354973号
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、接着性に優れたプライマー組成物、及び/またはプライマー組成物によって発光ダイオードパッケージとモールド部材との接着信頼性が向上された発光ダイオードを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために本発明者らは鋭意研究の結果、
溶剤中にアクリル系重合体、シラノール縮合触媒、シランカップリング剤及び/又はエポキシ基含有化合物を必須成分とするプライマー組成物をLEDパッケージに塗布した後、樹脂封止することによって上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
モールド樹脂を設けるに先立ち、LEDパッケージ表面にプライマー層を設けるために用いられるプライマー組成物であって、
溶剤中にアクリル系重合体 、シラノール縮合触媒 、シランカップリング剤及び/又はエポキシ基含有化合物を必須成分として含むことを特徴とするプライマー組成物であって(請求項1)、
モールド樹脂が(A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機系骨格からなる有機化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物、(C)ヒドロシリル化触媒を必須成分として含むことを特徴とする硬化性組成物であるLEDパッケージ表面にプライマー層を設けるために用いられる請求項1記載のプライマー組成物であって(請求項2)、
シランカップリング剤及び/又はエポキシ基含有化合物が分子中にエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基及びカルバメート基からなる群より選ばれる少なくとも1個の官能基と加水分解性のケイ素基を有するシランカップリング剤であることを特徴とする請求項1、2記載のプライマー組成物であって(請求項3)、
シラノール縮合触媒がほう酸トリノルマルオクタデシル、ほう酸トリノルマルオクチル、ほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピル、ほう酸トリエチル及びほう酸トリメチルからなる群より選ばれる少なくとも1種類であることを特徴とする請求項1〜3記載のプライマー組成物であって(請求項4)、
請求項1〜4記載のプライマー組成物を加熱し、溶剤を揮発させて基材に塗布する事を特徴とするプライマー樹脂の塗布方法であって(請求項5)、
底面と側壁とからなる開口部を備えたLEDパッケージであり、開口部底面には正の外部電極と負の外部電極との各端部が所定の間隔を隔てて露出するように成形樹脂にて一体成形されてなるLEDパッケージにおいて、請求項1〜5のいずれか1項に記載のプライマー組成物が請求項5記載の方法で塗布されていることを特徴とする発光ダイオード(請求項6)である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】
本発明でいうプライマー組成物とは溶剤中に透明樹脂、シラノール縮合触媒、シランカップリング剤及び/又はエポキシ基含有化合物を必須成分とし、プライマー組成物を被着体に塗布・乾燥後、被着体とモールド部材との接着信頼性を確保するものである。
(請求項1についての説明)
本発明のプライマー組成物に用いられる溶剤としては安定かつ樹脂との溶解性が確保できれば適用可能であり、特に作業性等から沸点が50〜150℃のものが好ましい。芳香族系、脂肪族系、ハロゲン系、アルコール系、エーテル系、ケトン系、アミド系、ニトリル系等の他これらに限定されるものではなく、好ましいものとして、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1, 4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、1, 2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒を好適に用いることができる。
【0011】
特に好ましくは、トルエン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、クロロホルムが好ましい。樹脂との溶解性確保のため、1種類に限らず、2種類以上の溶剤をブレンドして使用してもよい。
【0012】
プライマー組成物として適用できるアクリル重合体は、数種類のアクリル、ビニル、アリル系単量体の共重合体である。
【0013】
この場合ビニル系単量体としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸−n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−tert−ブチル、メタクリル酸−n−ペンチル、メタクリル酸−n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸−n−ヘプチル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸トルイル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸−2−メトキシエチル、メタクリル酸−3−メトキシブチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)ジメトキシメチルシラン、メタクリル酸のエチレンオキサイド付加物、メタクリル酸トリフルオロメチルメチル、メタクリル酸−2−トリフルオロメチルエチル、メタクリル酸−2−パーフルオロエチルエチル、メタクリル酸−2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、メタクリル酸−2−パーフルオロエチル、メタクリル酸パーフルオロメチル、メタクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、メタクリル酸−2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、メタクリル酸−2−パーフルオロヘキシルエチル、メタクリル酸−2−パーフルオロデシルエチル、メタクリル酸−2−パーフルオロヘキサデシルエチル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸−2−アリロキシエチルなどのメタクリル酸エステル類;メタクリル酸、アクリル酸などのアクリル酸類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−t−ブチル、アクリル酸−n−ペンチル、アクリル酸−n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸−n−ヘプチル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸トルイル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸−2−メトキシエチル、アクリル酸−3−メトキシブチル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸アミド、アクリル酸2−アミノエチル、アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、アクリル酸トリフルオロメチルメチル、アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、アクリル酸−2−パーフルオロエチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチル、アクリル酸パーフルオロメチル、アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、アクリル酸−2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、アクリル酸−2−パーフルオロヘキシルエチル、アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、アクリル酸−2−パーフルオロヘキサデシルエチル、アクリル酸アリル、アクリル酸−2−アリロキシエチルなどのアクリル酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレンなどの芳香族アルケニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン系化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデン、パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンなどのハロゲン含有不飽和化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのケイ素含有不飽和化合物;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル、フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステルなどの不飽和ジカルボン酸化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニルなどのビニルエステル化合物;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド系化合物などが挙げられる。またハリフタール(ハリマ化成製)等のアルキド樹脂を添加することで極性を付与することも可能である。これらは単独で用いてもよいしまたはこれらの2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0014】
これらの中でも、入手しやすさの点で、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸アリル、アクリル酸アミド、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸アリル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリルが好ましい。
【0015】
アクリル重合体の各種重合体としては、直鎖状、環状、分岐状、星型等各種形状の重合体を用いることができる。共重合体としては、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等いずれのタイプの共重合体でもよい。
【0016】
アクリル重合体の骨格中及び末端構造は本発明の要件を満たす限り特に限定はなく、必要に応じ適当な官能基が導入されていてもよく、具体的にはJONCRYL(ジョンソンポリマー製)などが挙げられ、官能基としては、水酸基、カルボキシル基、トリメトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基などのアルコキシシリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などのラジカル重合性不飽和基、アリル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基あるいはハロゲン基などが挙げられる。
【0017】
アクリル系重合体のガラス転位温度としては特に限定はなく種々のものが用いられるが、得られるプライマー塗膜が強靭となりやすいという点においては、ガラス点移転温度は50℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましい。ガラス転位温度は粘弾性測定においてtanδが極大を示す温度として求めることができる。
【0018】
溶剤に対する樹脂の含有量については、好ましい含有量下限は0.1wt%、より好ましくは0.5wt%であり、好ましい含有量上限は20wt%、より好ましくは5wt%である。含有量が少ないと塗りムラが発生し、含有量が多いと樹脂封止後のLEDパッケージ冷熱衝撃性等に悪影響を及ぼす場合がある。樹脂が溶解しにくい場合には、溶剤が揮発しないような温度で加温して溶解させることも出来る。
【0019】
次にシランカップリング剤及び/又はエポキシ基含有化合物について説明する。本発明のシランカップリング剤及び/又はエポキシ基含有化合物は、本発明のシラノール縮合触媒との組み合わせによりプライマー組成物にパッケージ樹脂との接着性を与える成分として必須である。
【0020】
シランカップリング剤としては、分子中に有機基と反応性のある官能基と加水分解性のケイ素基を各々少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。
【0021】
有機基と反応性のある官能基としては、取扱い性の点からエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましく、硬化性及び接着性の点から、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基が特に好ましい。加水分解性のケイ素基としては取扱い性の点からアルコキシシリル基が好ましく、反応性の点からメトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。
【0022】
好ましいシランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するアルコキシシラン類:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するアルコキシシラン類が例示できる。
【0023】
シランカップリング剤の添加量としては種々設定できるが、樹脂成分100重量部に対しての好ましい添加量の下限は0.1重量部、より好ましくは0.5重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは25重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いとプライマー塗膜性状に悪影響を及ぼす場合がある。
【0024】
エポキシ基含有化合物としては種々のエポキシ樹脂が例示される。エポキシ樹脂としては、例えば、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、2,2’−ビス(4−グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカーボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−5,5−スピロ−(3,4−エポキシシクロヘキサン)−1,3−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、1,2−シクロプロパンジカルボン酸ビスグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート等のエポキシ樹脂を、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、水素化メチルナジック酸無水物等の脂肪族酸無水物で硬化させるものが挙げられる。これらのエポキシ樹脂あるいは硬化剤はそれぞれ単独で用いても、複数のものを組み合わせてもよい。
【0025】
エポキシ基含有化合物の添加量としては種々設定できるが、樹脂成分100重量部に対して、好ましい添加量の下限は0.1重量部、より好ましくは0.5重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは25重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いとプライマー塗膜性状に悪影響を及ぼす場合がある。
【0026】
次に本発明記載のシラノール縮合触媒について説明する。
【0027】
本発明のシラノール縮合触媒は、本発明のシランカップリング剤及び/又はエポキシ基含有化合物との組み合わせによりプライマー組成物にパッケージ樹脂との接着性を与える成分として必須である。
【0028】
シラノール縮合触媒としては特に限定されないが、有機アルミニウム化合物および/あるいはほう酸エステルおよび/あるいはチタン系化合物が好ましい。硬化時及び高温下での着色性が低い点からほう酸エステルが好ましい。
【0029】
シラノール縮合触媒を用いる場合の使用量は種々設定できるが、カップリング剤100重量部に対しての好ましい添加量の下限は0.1重量部、より好ましくは1重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは30重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
【0030】
本発明に用いられる有機アルミニウム化合物はシラノール縮合触媒として用い、接着性の向上および/あるいは安定化が可能である。
【0031】
本発明に用いられる有機アルミニウム化合物としては、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリノルマルプロピルアルミニウム等のアルミニウムアルコラート化合物;ナフテン酸、ステアリン酸、オクチル酸、安息香酸等のアルミニウム有機酸塩;アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソブチレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムビスエチルアセトアセテートモノアセチルアセトネート、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)等のアルミニウムキレート化合物等が挙げられるが、反応性、基材との接着性・密着性の観点から、アルミニウムキレート、及びアルミニウムアルコラートが好ましく、さらにヒドロシリル化硬化反応との相性からアルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)が好ましい。又これらを併用してもよい。
【0032】
本発明に用いられるほう酸エステルはシラノール縮合触媒として用い、接着性の向上および/あるいは安定化が可能である。
【0033】
本発明に用いられるほう酸エステルとしては下記一般式(I)、(II)で示されるものを好適に用いることが出来る。
【0034】
【化1】
Figure 2004339450
【0035】
【化2】
Figure 2004339450
(式中Rは炭素数1〜48の有機基を表す。)
ほう酸エステルの具体例として、ほう酸トリ−2−エチルヘキシル、ほう酸ノルマルトリオクタデシル、ほう酸トリノルマルオクチル、ほう酸トリフェニル、トリメチレンボレート、トリス(トリメチルシリル)ボレート、ほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリ−sec−ブチル、ほう酸トリ−tert−ブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピル、ほう酸トリアリル、ほう酸トリエチル、ほう酸トリメチル、ほう素メトキシエトキサイドを好適に用いることができる。ほう酸エステルとしては1種類のみを用いてもよく、2種類以上を混合して用いても良い。混合は事前に行なっても良く、また硬化物作成時に混合しても良い。
【0036】
入手性の点からほう酸トリメチル、ほう酸トリエチル、ほう酸トリノルマルブチルが好ましく、ほう酸トリメチルがさらに好ましい。
硬化時の揮発性を抑制出来る点から、ほう酸ノルマルトリオクタデシル、ほう酸トリノルマルオクチル、ほう酸トリフェニル、トリメチレンボレート、トリス(トリメチルシリル)ボレート、ほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリ−sec−ブチル、ほう酸トリ−tert−ブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピル、ほう酸トリアリル、ほう素メトキシエトキサイドが好ましく、ほう酸ノルマルトリオクタデシル、ほう酸トリ−tert−ブチル、ほう酸トリフェニル、ほう酸トリノルマルブチルがさらに好ましい。
【0037】
揮発性の抑制、作業性の点からほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピルが好ましく、ほう酸トリノルマルブチルがさらに好ましい。
【0038】
高温下での着色性が低い点からほう酸トリエチルが好ましく、ほう酸トリメチルがさらに好ましい。
【0039】
本発明に用いられるチタン系化合物はシラノール縮合触媒として用い、接着性の向上および/あるいは安定化が可能である。
【0040】
本発明に用いられるチタン系化合物としては、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン等のテトラアルコキシチタン類:チタンテトラアセチルアセトナート等のチタンキレート類:オキシ酢酸やエチレングリコール等の残基を有する一般的なチタネートカップリング剤が例示できる。
【0041】
接着性発現のためには本発明に記載のシランカップリング剤及び/又はエポキシ基含有化合物とシラノール縮合触媒が必須であり、どちらか一方では接着性は発現しない。
【0042】
本発明においては接着性改良効果をさらに高めるために、さらにシラノール源化合物を用いることができ、接着性の向上および/あるいは安定化が可能である。このようなシラノール源としては、例えばトリフェニルシラノール、ジフェニルジヒドロキシシラン等のシラノール化合物、ジフェニルジメトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン類等を挙げることができる。
【0043】
シラノール源化合物を用いる場合の使用量は種々設定できるが、カップリング剤あるいは/およびエポキシ化合物エポキシ化合物100重量部に対しての好ましい添加量の下限は0.1重量部、より好ましくは1重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは30重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
【0044】
また、これらのシラノール源化合物は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0045】
本発明においてはカップリング剤やエポキシ化合物の効果を高めるために、カルボン酸類あるいは/および酸無水物類を用いることができ、接着性の向上および/あるいは安定化が可能である。このようなカルボン酸類、酸無水物類としては特に限定されないが、
【0046】
【化3】
Figure 2004339450
2−エチルヘキサン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、メチルシクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルハイミック酸、ノルボルネンジカルボン酸、水素化メチルナジック酸、マレイン酸、アセチレンジカルボン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、桂皮酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、およびそれらの単独あるいは複合酸無水物が挙げられる。
【0047】
これらのカルボン酸類あるいは/および酸無水物類のうち、ヒドロシリル化反応性を有し硬化物からの染み出しの可能性が少なく得られる硬化物の物性を損ない難いという点においては、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有するものが好ましい。好ましいカルボン酸類あるいは/および酸無水物類としては、例えば、
【0048】
【化4】
Figure 2004339450
テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸およびそれらの単独あるいは複合酸無水物等が挙げられる。
【0049】
カルボン酸類あるいは/および酸無水物類を用いる場合の使用量は種々設定できるが、カップリング剤あるいは/およびエポキシ化合物エポキシ化合物100重量部に対しての好ましい添加量の下限は0.1重量部、より好ましくは1重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは10重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
【0050】
また、これらのカルボン酸類あるいは/および酸無水物類は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0051】
プライマー組成物の塗布後、熱風オーブンなどで乾燥させ溶剤を除去し、プライマー塗膜を形成させる。乾燥温度条件としては種々設定できるが、例えば30〜200℃の温度が適用でき、50〜150℃がより好ましく、80〜120℃がさらに好ましい。反応温度が低いと、熱硬化性樹脂の場合には十分に反応せず塗膜が脆くなり、溶剤が完全に除去されないので接着性不良の原因となる。反応温度が高いとパッケージへの熱的ダメージを与え劣化を促進させる、熱硬化性の場合には、ボイドが発生するなどの問題が起こる。
【0052】
また乾燥は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階あるいは連続的に温度を変化させてもよい。反応時の圧力も必要に応じ種々設定でき、常圧、高圧、あるいは減圧状態で乾燥させることもできる。
【0053】
本発明のプライマー組成物には、老化防止剤を添加してもよい。老化防止剤としては、一般に用いられている老化防止剤、たとえばクエン酸やリン酸、硫黄系老化防止剤等が挙げられる。硫黄系老化防止剤としては、メルカプタン類、メルカプタンの塩類、スルフィドカルボン酸エステル類や、ヒンダードフェノール系スルフィド類を含むスルフィド類、ポリスルフィド類、ジチオカルボン酸塩類、チオウレア類、チオホスフェイト類、スルホニウム化合物、チオアルデヒド類、チオケトン類、メルカプタール類、メルカプトール類、モノチオ酸類、ポリチオ酸類、チオアミド類、スルホキシド類等が挙げられる。
【0054】
また、これらの老化防止剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0055】
本発明のプライマー組成物には、ラジカル禁止剤を添加してもよい。ラジカル禁止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−3−メチルフェノール(BHT)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス(メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン等のフェノール系ラジカル禁止剤や、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N’−第二ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン等のアミン系ラジカル禁止剤等が挙げられる。
【0056】
また、これらのラジカル禁止剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0057】
本発明のプライマー組成物には、紫外線吸収剤を添加してもよい。紫外線吸収剤としては、例えば2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート等が挙げられる。
【0058】
また、これらの紫外線吸収剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0059】
本発明のプライマー組成物には、その他、エポキシ系等の従来の封止材の充填材として使用あるいは/および提案されているものをはじめ、難燃剤、難燃助剤、界面活性剤、消泡剤、レベリング剤、はじき防止剤、イオントラップ剤、保存安定改良剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、酸化防止剤、熱安定化剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、金属不活性化剤、熱伝導性付与剤、物性調整剤等を本発明の目的および効果を損なわない範囲において添加することができる。
(モールド部材について)
請求項2記載のモールド部材における(A)成分について説明する。
【0060】
(A)成分はSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物であれば特に限定されない。有機化合物としてはポリシロキサン−有機ブロックコポリマーやポリシロキサン−有機グラフトコポリマーのようなシロキサン単位(Si−O−Si)を含むものではなく、構成元素としてC、H、N、O、S、ハロゲンのみを含むものであることが好ましい。
シロキサン単位を含むものの場合は、ガス透過性やはじきの問題がある。
【0061】
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の結合位置は特に限定されず、分子内のどこに存在してもよい。
【0062】
(A)成分の有機化合物は、有機重合体系の化合物と有機単量体系化合物に分類できる。
【0063】
有機重合体系化合物としては例えば、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアリレート系、ポリカーボネート系、飽和炭化水素系、不飽和炭化水素系、ポリアクリル酸エステル系、ポリアミド系、フェノール−ホルムアルデヒド系(フェノール樹脂系)、ポリイミド系の化合物を用いることができる。
【0064】
また有機単量体系化合物としては例えば、フェノール系、ビスフェノール系、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系:直鎖系、脂環系等の脂肪族炭化水素系:複素環系の化合物およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0065】
(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては特に限定されないが、下記一般式(III)
【0066】
【化5】
Figure 2004339450
(式中Rは水素原子あるいはメチル基を表す。)で示される基が反応性の点から好適である。また、原料の入手の容易さからは、
【0067】
【化6】
Figure 2004339450
示される基がが特に好ましい。
【0068】
(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては、下記一般式(IV)
【0069】
【化7】
Figure 2004339450
(式中Rは水素原子あるいはメチル基を表す。)で示される脂環式の基が、硬化物の耐熱性が高いという点から好適である。また、原料の入手の容易さからは、
【0070】
【化8】
Figure 2004339450
示される脂環式の基が特に好ましい。
【0071】
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合は(A)成分の骨格部分に直接結合していてもよく、2価以上の置換基を介して共有結合していても良い。2価以上の置換基としては炭素数0〜10の置換基であれば特に限定されないが、構成元素としてC、H、N、O、S、およびハロゲンのみを含むものが好ましい。これらの置換基の例としては、
【0072】
【化9】
Figure 2004339450
【0073】
【化10】
Figure 2004339450
が挙げられる。また、これらの2価以上の置換基の2つ以上が共有結合によりつながって1つの2価以上の置換基を構成していてもよい。
【0074】
以上のような骨格部分に共有結合する基の例としては、ビニル基、アリル基、メタリル基、アクリル基、メタクリル基、2−ヒドロキシ−3−(アリルオキシ)プロピル基、2−アリルフェニル基、3−アリルフェニル基、4−アリルフェニル基、2−(アリルオキシ)フェニル基、3−(アリルオキシ)フェニル基、4−(アリルオキシ)フェニル基、2−(アリルオキシ)エチル基、2、2−ビス(アリルオキシメチル)ブチル基、3−アリルオキシ−2、2−ビス(アリルオキシメチル)プロピル基、
【0075】
【化11】
Figure 2004339450
が挙げられる。
【0076】
(A)成分の具体的な例としては、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、1,1,2,2,−テトラアリロキシエタン、ジアリリデンペンタエリスリット、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、ジビニルベンゼン類(純度50〜100%のもの、好ましくは純度80〜100%のもの)、ジビニルビフェニル、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、およびそれらのオリゴマー、1,2−ポリブタジエン(1、2比率10〜100%のもの、好ましくは1、2比率50〜100%のもの)、ノボラックフェノールのアリルエーテル、アリル化ポリフェニレンオキサイド、
【0077】
【化12】
Figure 2004339450
【0078】
【化13】
Figure 2004339450
の他、従来公知のエポキシ樹脂のグルシジル基の一部あるいは全部をアリル基に置き換えたもの等が挙げられる。
【0079】
(A)成分としては、上記のように骨格部分とアルケニル基とに分けて表現しがたい、低分子量化合物も用いることができる。これらの低分子量化合物の具体例としては、ブタジエン、イソプレン、オクタジエン、デカジエン等の脂肪族鎖状ポリエン化合物系、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、ノルボルナジエン等の脂肪族環状ポリエン化合物系、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキセン等の置換脂肪族環状オレフィン化合物系等が挙げられる。
【0080】
(A)成分としては、耐熱性をより向上し得るという観点からは、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を(A)成分1gあたり0.001mol以上含有するものが好ましく、1gあたり0.005mol以上含有するものがより好ましく、0.008mol以上含有するものがさらに好ましい。
【0081】
(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の数は、平均して1分子当たり少なくとも2個あればよいが、力学強度をより向上したい場合には2を越えることが好ましく、3個以上であることがより好ましい。(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の数が1分子内当たり1個以下の場合は、(B)成分と反応してもグラフト構造となるのみで架橋構造とならない。
【0082】
(A)成分としては反応性が良好であるという観点からは、1分子中にビニル基を1個以上含有していることが好ましく、1分子中にビニル基を2個以上含有していることがより好ましい。また貯蔵安定性が良好となりやすいという観点からは、1分子中にビニル基を6個以下含有していることが好ましく、1分子中にビニル基を4個以下含有していることがより好ましい。
【0083】
(A)成分としては、力学的耐熱性が高いという観点および原料液の糸引き性が少なく成形性、取扱い性が良好であるという観点からは、分子量が900未満のものが好ましく、700未満のものがより好ましく、500未満のものがさらに好ましい。
【0084】
(A)成分としては、他の成分との均一な混合、および良好な作業性を得るためには、粘度としては23℃において1000ポイズ未満のものが好ましく、300ポイズ未満のものがより好ましく、30ポイズ未満のものがさらに好ましい。粘度はE型粘度計によって測定することができる。
【0085】
(A)成分としては、着色特に黄変の抑制の観点からはフェノール性水酸基および/あるいはフェノール性水酸基の誘導体を有する化合物の含有量が少ないものが好ましく、フェノール性水酸基および/あるいはフェノール性水酸基の誘導体を有する化合物を含まないものが好ましい。本発明におけるフェノール性水酸基とはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等に例示される芳香族炭化水素核に直接結合した水酸基を示し、フェノール性水酸基の誘導体とは上述のフェノール性水酸基の水素原子をメチル基、エチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、アセトキシ基等のアシル基等により置換された基を示す。
【0086】
また、複屈折率が低い、光弾性係数が低い等のように光学特性が良好であるとともに耐候性が良好であるという観点からは、芳香環の(A)成分中の成分重量比が50重量%以下であるものが好ましく、40重量%以下のものがより好ましく、30重量%以下のものがさらに好ましい。最も好ましいのは芳香族炭化水素環を含まないものである。
【0087】
得られる硬化物の着色が少なく、光学的透明性が高く、耐光性が高いという観点からは、(A)成分としてはビニルシクロヘキセン、ジシクロペンタジエン、トリアリルイソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテル、1,2,4−トリビニルシクロヘキサンが好ましく、トリアリルイソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテル、1,2,4−トリビニルシクロヘキサンが特に好ましい。
【0088】
(A)成分としてはその他の反応性基を有していてもよい。この場合の反応性基としては、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。これらの官能基を有している場合には得られる硬化性組成物の接着性が高くなりやすく、得られる硬化物の強度が高くなりやすい。接着性がより高くなりうるという点からは、これらの官能基のうちエポキシ基が好ましい。また、得られる硬化物の耐熱性が高くなりやすいという点においては、反応性基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
【0089】
(A)成分は、単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。
【0090】
(A)成分としては、耐熱性および透明性が高いという観点からは、下記一般式(V)
【0091】
【化14】
Figure 2004339450
(式中Rは炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよい。)で表される化合物が好ましい。
【0092】
上記一般式(V)のRとしては、得られる硬化物の耐熱性がより高くなりうるという観点からは、炭素数1〜20の一価の有機基であることが好ましく、炭素数1〜10の一価の有機基であることがより好ましく、炭素数1〜4の一価の有機基であることがさらに好ましい。これらの好ましいRの例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリル基、グリシジル基、
【0093】
【化15】
Figure 2004339450
等が挙げられる。
【0094】
上記一般式(V)のRとしては、得られる硬化物の各種材料との接着性が良好になりうるという観点からは、3つのRのうち少なくとも1つがエポキシ基を一つ以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることが好ましく、
【0095】
【化16】
Figure 2004339450
で表されるエポキシ基を1個以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることがより好ましい。これらの好ましいRの例としては、グリシジル基、
【0096】
【化17】
Figure 2004339450
等が挙げられる。
【0097】
上記一般式(V)のRとしては、得られる硬化物の化学的な熱安定性が良好になりうるという観点からは、2個以下の酸素原子を含みかつ構成元素としてC、H、Oのみを含む炭素数1〜50の一価の有機基であることが好ましく、炭素数1〜50の一価の炭化水素基であることがより好ましい。これらの好ましいRの例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリル基、グリシジル基、
【0098】
【化18】
Figure 2004339450
等が挙げられる。
【0099】
上記一般式(V)のRとしては、反応性が良好になるという観点からは、3つのRのうち少なくとも1つが
【0100】
【化19】
Figure 2004339450
で表される基を1個以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることが好ましく、下記一般式(VI)
【0101】
【化20】
Figure 2004339450
(式中Rは水素原子あるいはメチル基を表す。)で表される基を1個以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることがより好ましく、
3つのRのうち少なくとも2つが下記一般式(VII)
【0102】
【化21】
Figure 2004339450
(式中Rは直接結合あるいは炭素数1〜48の二価の有機基を表し、Rは水素原子あるいはメチル基を表す。)で表される有機化合物(複数のRおよびRはそれぞれ異なっていても同一であってもよい。)であることがさらに好ましい。
【0103】
上記一般式(VII)のRは、直接結合あるいは炭素数1〜48の二価の有機基であるが、得られる硬化物の耐熱性がより高くなりうるという観点からは、直接結合あるいは炭素数1〜20の二価の有機基であることが好ましく、直接結合あるいは炭素数1〜10の二価の有機基であることがより好ましく、直接結合あるいは炭素数1〜4の二価の有機基であることがさらに好ましい。これらの好ましいRの例としては、
【0104】
【化22】
Figure 2004339450
等が挙げられる。
【0105】
上記一般式(VII)のRとしては、得られる硬化物の化学的な熱安定性が良好になりうるという観点からは、直接結合あるいは2つ以下の酸素原子を含みかつ構成元素としてC、H、Oのみを含む炭素数1〜48の二価の有機基であることが好ましく、直接結合あるいは炭素数1〜48の二価の炭化水素基であることがより好ましい。これらの好ましいRの例としては、
【0106】
【化23】
Figure 2004339450
が挙げられる。
【0107】
上記一般式(VII)のRは、水素原子あるいはメチル基であるが、反応性が良好であるという観点からは、水素原子が好ましい。
【0108】
ただし、上記のような一般式(V)で表される有機化合物の好ましい例においても、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有することは必要である。耐熱性をより向上し得るという観点からは、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に3個以上含有する有機化合物であることがより好ましい。
【0109】
以上のような一般式(V)で表される有機化合物の好ましい具体例としては、トリアリルイソシアヌレート、
【0110】
【化24】
Figure 2004339450
等が挙げられる。
【0111】
次に、(B)成分であるSiH基を有する化合物について説明する。
【0112】
本発明の(B)成分は、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物である。
【0113】
(B)成分については1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物であれば特に制限がなく、例えば国際公開WO96/15194に記載される化合物で、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するもの等が使用できる。
【0114】
これらのうち、入手性の面からは、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状オルガノポリシロキサンが好ましく、(A)成分との相溶性が良いという観点からは、さらに、下記一般式(VIII)
【0115】
【化25】
Figure 2004339450
(式中、Rは炭素数1〜6の有機基を表し、nは3〜10の数を表す。)で表される、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する環状オルガノポリシロキサンが好ましい。
【0116】
一般式(VIII)で表される化合物中の置換基Rは、C、H、Oから構成されるものであることが好ましく、炭化水素基であることがより好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。
【0117】
一般式(VIII)で表される化合物としては、入手容易性の観点からは、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンであることが好ましい。
【0118】
(B)成分の分子量は特に制約はなく任意のものが好適に使用できるが、より流動性を発現しやすいという観点からは低分子量のものが好ましく用いられる。
この場合、好ましい分子量の下限は50であり、好ましい分子量の上限は100,000、より好ましくは1,000、さらに好ましくは700である。
【0119】
(B)成分は単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。
【0120】
(A)成分と良好な相溶性を有するという観点、および(B)成分の揮発性が低くなり得られる組成物からのアウトガスの問題が生じ難いという観点からは、(B)成分は、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個以上含有する有機化合物(α)と、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状のポリオルガノシロキサン(β)を、ヒドロシリル化反応して得ることができる化合物であることが好ましい。
((α)成分)
ここで(α)成分は上記した(A)成分である、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物と同じもの(α1)も用いることができる。(α1)成分を用いると得られる硬化物の架橋密度が高くなり力学強度が高い硬化物となりやすい。
【0121】
その他、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個含有する有機化合物(α2)も用いることができる。(α2)成分を用いると得られる硬化物が低弾性となりやすい。
((α2)成分)
(α2)成分としては、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個含有する有機化合物であれば特に限定されないが、(B)成分が(A)成分と相溶性がよくなるという点においては、化合物としてはポリシロキサン−有機ブロックコポリマーやポリシロキサン−有機グラフトコポリマーのようなシロキサン単位(Si−O−Si)を含むものではなく、構成元素としてC、H、N、O、S、およびハロゲンのみを含むものであることが好ましい。
【0122】
(α2)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の結合位置は特に限定されず、分子内のどこに存在してもよい。
【0123】
(α2)成分の化合物は、重合体系の化合物と単量体系化合物に分類できる。
【0124】
重合体系化合物としては例えば、ポリシロキサン系、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアリレート系、ポリカーボネート系、飽和炭化水素系、不飽和炭化水素系、ポリアクリル酸エステル系、ポリアミド系、フェノール−ホルムアルデヒド系(フェノール樹脂系)、ポリイミド系の化合物を用いることができる。
【0125】
また単量体系化合物としては例えば、フェノール系、ビスフェノール系、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系:直鎖系、脂環系等の脂肪族炭化水素系:複素環系の化合物、シリコン系の化合物およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0126】
(α2)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては特に限定されないが、下記一般式(IX)
【0127】
【化26】
Figure 2004339450
(式中Rは水素原子あるいはメチル基を表す。)で示される基が反応性の点から好適である。また、原料の入手の容易さからは、
【0128】
【化27】
Figure 2004339450
示される基が特に好ましい。
【0129】
(α2)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては、下記一般式(X)
【0130】
【化28】
Figure 2004339450
(式中R10は水素原子あるいはメチル基を表す。)で示される脂環式の基が、硬化物の耐熱性が高いという点から好適である。また、原料の入手の容易さからは、
【0131】
【化29】
Figure 2004339450
示される脂環式の基が特に好ましい。
【0132】
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合は(α2)成分の骨格部分に直接結合していてもよく、2価以上の置換基を介して共有結合していても良い。2価以上の置換基としては炭素数0〜10の置換基であれば特に限定されないが、(B)成分が(A)成分と相溶性がよくなりやすいという点においては、構成元素としてC、H、N、O、S、およびハロゲンのみを含むものが好ましい。これらの置換基の例としては、
【0133】
【化30】
Figure 2004339450
【0134】
【化31】
Figure 2004339450
が挙げられる。また、これらの2価以上の置換基の2つ以上が共有結合によりつながって1つの2価以上の置換基を構成していてもよい。
【0135】
以上のような骨格部分に共有結合する基の例としては、ビニル基、アリル基、メタリル基、アクリル基、メタクリル基、2−ヒドロキシ−3−(アリルオキシ)プロピル基、2−アリルフェニル基、3−アリルフェニル基、4−アリルフェニル基、2−(アリルオキシ)フェニル基、3−(アリルオキシ)フェニル基、4−(アリルオキシ)フェニル基、2−(アリルオキシ)エチル基、2、2−ビス(アリルオキシメチル)ブチル基、3−アリルオキシ−2、2−ビス(アリルオキシメチル)プロピル基、
【0136】
【化32】
Figure 2004339450
が挙げられる。
【0137】
(α2)成分の具体的な例としては、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−ウンデセン、出光石油化学社製リニアレン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン、2,3,3−トリメチル−1−ブテン、2,4,4−トリメチル−1−ペンテン等のような鎖状脂肪族炭化水素系化合物類、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、メチレンシクロヘキサン、ノルボルニレン、エチリデンシクロヘキサン、ビニルシクロヘキサン、カンフェン、カレン、αピネン、βピネン等のような環状脂肪族炭化水素系化合物類、スチレン、αメチルスチレン、インデン、フェニルアセチレン、4−エチニルトルエン、アリルベンゼン、4−フェニル−1−ブテン等のような芳香族炭化水素系化合物、アルキルアリルエーテル、アリルフェニルエーテル等のアリルエーテル類、グリセリンモノアリルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン等の脂肪族系化合物類、1,2−ジメトキシ−4−アリルベンゼン、o−アリルフェノール等の芳香族系化合物類、モノアリルジベンジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート等の置換イソシアヌレート類、ビニルトリメチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリフェニルシラン等のシリコン化合物等が挙げられる。さらに、片末端アリル化ポリエチレンオキサイド、片末端アリル化ポリプロピレンオキサイド等のポリエーテル系樹脂、片末端アリル化ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂、片末端アリル化ポリブチルアクリレート、片末端アリル化ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、等の片末端にビニル基を有するポリマーあるいはオリゴマー類等も挙げることができる。
【0138】
構造は線状でも枝分かれ状でもよく、分子量は特に制約はなく種々のものを用いることができる。分子量分布も特に制限ないが、混合物の粘度が低くなり成形性が良好となりやすいという点においては、分子量分布が3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましい。
【0139】
(α2)成分のガラス転位温度が存在する場合はこれについても特に限定はなく種々のものが用いられるが、得られる硬化物が強靭となりやすいという点においては、ガラス点移転温度は100℃以下であることが好ましく、50℃以下であることがより好ましく、0℃以下であることがさらに好ましい。好ましい樹脂の例としてはポリブチルアクリレート樹脂等が挙げられる。逆に得られる硬化物の耐熱性が高くなるという点においては、ガラス転位温度は100℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましく、150℃以上であることがさらに好ましく、170℃以上であることが最も好ましい。ガラス転位温度は動的粘弾性測定においてtanδが極大を示す温度として求めることができる。
【0140】
(α2)成分としては、得られる硬化物の耐熱性が高くなるという点においては、炭化水素化合物であることが好ましい。この場合好ましい炭素数の下限は7であり、好ましい炭素数の上限は10である。
【0141】
(α2)成分としてはその他の反応性基を有していてもよい。この場合の反応性基としては、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。これらの官能基を有している場合には得られる硬化性組成物の接着性が高くなりやすく、得られる硬化物の強度が高くなりやすい。接着性がより高くなりうるという点からは、これらの官能基のうちエポキシ基が好ましい。また、得られる硬化物の耐熱性が高くなりやすいという点においては、反応性基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。具体的にはモノアリルジグリシジルイソシアヌレート、アリルグリシジルエーテル、アリロキシエチルメタクリレート、アリロキシエチルアクリレート、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0142】
上記のような(α2)成分としては単一のものを用いてもよいし、複数のものを組み合わせて用いてもよい。
((β)成分)
(β)成分は、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状のポリオルガノシロキサンである。
【0143】
具体的には、例えば
【0144】
【化33】
Figure 2004339450
【0145】
【化34】
Figure 2004339450
が挙げられる。
【0146】
ここで、(α)成分との相溶性が良くなりやすいという観点から、下記一般式(XI)
【0147】
【化35】
Figure 2004339450
(式中、R11は炭素数1〜6の有機基を表し、nは3〜10の数を表す。)で表される、1分子中に少なくとも3個のSiH基を有する環状ポリオルガノシロキサンが好ましい。
【0148】
一般式(XI)で表される化合物中の置換基Rは、C、H、Oから構成されるものであることが好ましく、炭化水素基であることがより好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。
【0149】
入手容易性等から、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンであることが好ましい。
【0150】
上記したような各種(β)成分は単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。
((α)成分と(β)成分の反応)
次に、本発明の(B)成分として、(α)成分と(β)成分をヒドロシリル化反応して得ることができる化合物を用いる場合の、(α)成分と(β)成分とのヒドロシリル化反応に関して説明する。
【0151】
尚、(α)成分と(β)成分をヒドロシリル化反応すると、本発明の(B)成分を含む複数の化合物の混合物が得られることがあるが、そこから(B)成分を分離することなく混合物のままで用いて本発明の硬化性組成物を作成することもできる。
【0152】
(α)成分と(β)成分をヒドロシリル化反応させる場合の(α)成分と(β)成分の混合比率は、特に限定されないが、得られる(B)成分と(A)成分とのヒドロシリル化による硬化物の強度を考えた場合、(B)成分のSiH基が多い方が好ましいため、一般に混合する(α)成分中のSiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合の総数(X)と、混合する(β)成分中のSiH基の総数(Y)との比が、Y/X≧2であることが好ましく、Y/X≧3であることがより好ましい。また(B)成分の(A)成分との相溶性がよくなりやすいという点からは、10≧Y/Xであることが好ましく、5≧Y/Xであることがより好ましい。
【0153】
(α)成分と(β)成分をヒドロシリル化反応させる場合には適当な触媒を用いてもよい。触媒としては、例えば次のようなものを用いることができる。白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(CH=CH(PPh、Pt(CH=CHCl)、白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMeSiOSiMeVi)、Pt[(MeViSiO))、白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh、Pt(PBu)、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)、Pt[P(OBu))(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは、整数を示す。)、ジカルボニルジクロロ白金、カールシュテト(Karstedt)触媒、また、アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601号及び3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、ならびにラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒が挙げられる。更に、モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体も本発明において有用である。
【0154】
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh)、RhCl、RhAl、RuCl、IrCl、FeCl、AlCl、PdCl・2HO、NiCl、TiCl、等が挙げられる。
【0155】
これらの中では、触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。また、これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0156】
触媒の添加量は特に限定されないが、十分な硬化性を有し、かつ硬化性組成物のコストを比較的低く抑えるため好ましい添加量の下限は、(β)成分のSiH基1モルに対して10−8モル、より好ましくは10−6モルであり、好ましい添加量の上限は(β)成分のSiH基1モルに対して10−1モル、より好ましくは10−2モルである。
【0157】
また、上記触媒には助触媒を併用することが可能であり、例としてトリフェニルホスフィン等のリン系化合物、ジメチルマレエート等の1、2−ジエステル系化合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチン等のアセチレンアルコール系化合物、単体の硫黄等の硫黄系化合物、トリエチルアミン等のアミン系化合物等が挙げられる。助触媒の添加量は特に限定されないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対しての好ましい添加量の下限は、10−2モル、より好ましくは10−1モルであり、好ましい添加量の上限は10モル、より好ましくは10モルである。
【0158】
反応させる場合の(α)成分、(β)成分、触媒の混合の方法としては、各種方法をとることができるが、(α)成分に触媒を混合したものを、(β)成分にを混合する方法が好ましい。(α)成分、(β)成分の混合物に触媒を混合する方法だと反応の制御が困難である。(β)成分と触媒を混合したものに(α)成分を混合する方法をとる場合は、触媒の存在下(β)成分が混入している水分と反応性を有するため、変質することがある。
【0159】
反応温度としては種々設定できるが、この場合好ましい温度範囲の下限は30℃、より好ましくは50℃であり、好ましい温度範囲の上限は200℃、より好ましくは150℃である。反応温度が低いと十分に反応させるための反応時間が長くなり、反応温度が高いと実用的でない。反応は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階あるいは連続的に温度を変化させてもよい。
【0160】
反応時間、反応時の圧力も必要に応じ種々設定できる。
【0161】
ヒドロシリル化反応の際に溶媒を使用してもよい。使用できる溶剤はヒドロシリル化反応を阻害しない限り特に限定されるものではなく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1, 4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、1, 2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒を好適に用いることができる。溶媒は2種類以上の混合溶媒として用いることもできる。溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、クロロホルムが好ましい。使用する溶媒量も適宜設定できる。
【0162】
その他、反応性を制御する目的等のために種々の添加剤を用いてもよい。
【0163】
(α)成分と(β)成分を反応させた後に、溶媒あるいは/および未反応の(α)成分あるいは/および(β)成分を除去することもできる。これらの揮発分を除去することにより、得られる(B)成分が揮発分を有さないため(A)成分との硬化の場合に揮発分の揮発によるボイド、クラックの問題が生じにくい。除去する方法としては例えば、減圧脱揮の他、活性炭、ケイ酸アルミニウム、シリカゲル等による処理等が挙げられる。減圧脱揮する場合には低温で処理することが好ましい。この場合の好ましい温度の上限は100℃であり、より好ましくは60℃である。高温で処理すると増粘等の変質を伴いやすい。
【0164】
以上のような、(α)成分と(β)成分の反応物である(B)成分の例としては、ビスフェノールAジアリルエーテルと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ビニルシクロヘキセンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ジビニルベンゼンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ジシクロペンタジエンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、トリアリルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、アリルグリシジルエーテルと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、αメチルスチレンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、モノアリルジグリシジルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、等を挙げることができる。
【0165】
次に(C)成分であるヒドロシリル化触媒について説明する。
【0166】
ヒドロシリル化触媒としては、ヒドロシリル化反応の触媒活性があれば特に限定されないが、例えば、白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(CH=CH(PPh、Pt(CH=CHCl)、白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMeSiOSiMeVi)、Pt[(MeViSiO))、白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh、Pt(PBu)、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)、Pt[P(OBu))(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは、整数を示す。)、ジカルボニルジクロロ白金、カールシュテト(Karstedt)触媒、また、アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601号および3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、ならびにラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒が挙げられる。
さらに、モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体も本発明において有用である。
【0167】
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh)、RhCl、RhAl、RuCl、IrCl、FeCl、AlCl、PdCl・2HO、NiCl、TiCl、等が挙げられる。
【0168】
これらの中では、触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。また、これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0169】
触媒の添加量は特に限定されないが、十分な硬化性を有し、かつ硬化性組成物のコストを比較的低く抑えるため好ましい添加量の下限は、(B)成分のSiH基1モルに対して10−8モル、より好ましくは10−6モルであり、好ましい添加量の上限は(β)成分のSiH基1モルに対して10−1モル、より好ましくは10−2モルである。
【0170】
また、上記触媒には助触媒を併用することが可能であり、例としてトリフェニルホスフィン等のリン系化合物、ジメチルマレエート等の1、2−ジエステル系化合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチン等のアセチレンアルコール系化合物、単体の硫黄等の硫黄系化合物、トリエチルアミン等のアミン系化合物等が挙げられる。助触媒の添加量は特に限定されないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対しての好ましい添加量の下限は、10−2モル、より好ましくは10−1モルであり、好ましい添加量の上限は10モル、より好ましくは10モルである。
(プライマー組成物を塗布したLEDパッケージ及び発光ダイオード)
本発明の発光ダイオードは、底面と側壁とからなる開口部を備えたLEDパッケージを用いたものであり、開口部底面は正の外部電極と負の外部電極との各端部が所定の間隔を隔てて露出するように成形樹脂にて一体成形されてなるLEDパッケージにおいて、該LEDパッケージの実質上側壁にのみ、本発明のプライマー組成物が塗布され、モールド樹脂との接着信頼性を向上させる事が出来る。
【0171】
LEDパッケージの素材としては、種々の材料を用いて作成することができ、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ABS樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフタルアミド樹脂、エポキシ樹脂、BTレジン、液晶ポリマー等を挙げることができる。耐熱性の点から、半結晶性ポリマーであるポリフタルアミド樹脂、BTレジン、液晶ポリマーが好ましい。接着性の点から半結晶性ポリマーであるポリフタルアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂が好ましい。またセラミック製のパッケージも用いることができる。
【0172】
プライマーの塗布方法としては、LEDパッケージにプライマー溶液を滴下し、乾燥させる。その他パッケージごと浸漬させる方法等の方法も考えられる。
【0173】
本発明の発光ダイオードに用いられている発光素子は、特に限定なく従来公知の発光ダイオードに用いられる発光素子を用いることができる。このような発光素子としては、例えば、MOCVD法、HDVPE法、液相成長法といった各種方法によって、必要に応じてGaN、AlN等のバッファー層を設けた基板上に半導体材料を積層して作成したものが挙げられる。この場合の基板としては、各種材料を用いることができるが、例えばサファイヤ、スピネル、SiC、Si、ZnO、GaN単結晶等が挙げられる。これらのうち、結晶性の良好なGaNを容易に形成でき、工業的利用価値が高いという観点からは、サファイヤを用いることが好ましい。
【0174】
積層される半導体材料としては、GaAs、GaP、GaAlAs、GaAsP、AlGaInP、GaN、InN、AlN、InGaN、InGaAlN、SiC等が挙げられる。これらのうち、高輝度が得られるという観点からは、窒化物系化合物半導体(Inx GayAlz N)が好ましい。このような材料には付活剤等を含んでいてもよい。
【0175】
発光素子の構造としては、MIS接合、pn接合、PIN接合を有するホモ接合、ヘテロ接合やダブルへテロ構造等が挙げられる。また、単一あるいは多重量子井戸構造とすることもできる。
【0176】
発光素子はパッシベーション層を設けていてもよいし、設けなくてもよい。
【0177】
発光素子には従来知られている方法によって電極を形成することができる。
【0178】
発光素子上の電極は種々の方法でリード端子等と電気接続できる。電気接続部材としては、発光素子の電極とのオーミック性機械的接続性等が良いものが好ましいく、例えば、金、銀、銅、白金、アルミニウムやそれらの合金等を用いたボンディングワイヤーが挙げられる。また、銀、カーボン等の導電性フィラーを樹脂で充填した導電性接着剤等を用いることもできる。これらのうち、作業性が良好であるという観点からは、アルミニウム線或いは金線を用いることが好ましい。
【0179】
上記のようにして発光素子が得られるが、本発明の発光ダイオードにおいては発光素子の光度としては垂直方向の光度が1cd以上であれば任意のものを用いることができるが、垂直方向の光度が2cd以上の発光素子を用いた場合により本発明の効果が顕著であり、3cd以上の発光素子を用いた場合にさらに本発明の効果が顕著である。
【0180】
発光素子の発光出力としては特に限定なく任意のものを用いることができるが、20mAにおいて1mW以上の発光素子を用いた場合に本発明の効果が顕著であり、20mAにおいて4mW以上の発光素子を用いた場合により本発明の効果が顕著であり、20mAにおいて5mW以上の発光素子を用いた場合にさらに本発明の効果が顕著である。
【0181】
発光素子の発光波長は紫外域から赤外域まで種々のものを用いることができるが、主発光ピーク波長が550nm以下のものを用いた場合に特に本発明の効果が顕著である。
【0182】
用いる発光素子は一種類で単色発光させても良いし、複数用いて単色或いは多色発光させても良い。
【0183】
本発明の発光ダイオードに用いられるリード端子としては、ボンディングワイヤー等の電気接続部材との密着性、電気伝導性等が良好なものが好ましく、リード端子の電気抵抗としては、300μΩ−cm以下が好ましく、より好ましくは3μΩ−cm以下である。これらのリード端子材料としては、例えば、鉄、銅、鉄入り銅、錫入り銅や、これらに銀、ニッケル等をメッキしたもの等が挙げられる。これらのリード端子は良好な光の広がりを得るために適宜光沢度を調整してもよい。
【0184】
本発明の発光ダイオードは種々の樹脂によって発光素子を被覆することによって製造することができるが、この場合被覆とは、上記発光素子を直接封止するものに限らず、間接的に被覆する場合も含む。封止樹脂としてはエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ユリア樹脂、イミド樹脂等を用いることが出来る。また、ガラスで発光素子を封止してもよい。
【0185】
封止の方法としても各種方法を適用することができる。例えば、底部に発光素子を配置させたカップ、キャビティ、パッケージ凹部等に液状の組成物をディスペンサーその他の方法にて注入して加熱等により硬化させてもよいし、固体状あるいは高粘度液状の組成物を加熱する等して流動させ同様にパッケージ凹部等に注入してさらに加熱する等して硬化させてもよい。
【0186】
被覆部分の形状も特に限定されず種々の形状をとることができる。例えば、レンズ形状、板状、薄膜状、特許文献8記載の形状等が挙げられる。これらの形状は組成物を成形硬化させることによって形成してもよいし、組成物を硬化した後に後加工により形成してもよい。
【0187】
本発明の発光ダイオードは従来公知の各種の用途に用いることができる。具体的には、例えばバックライト、照明、センサー光源、車両用計器光源、信号灯、表示灯、表示装置、面状発光体の光源、ディスプレイ、装飾、各種ライト等を挙げることができる。
【0188】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明は以下によって限定されるものではない。
(実施例1)プライマーA作製
γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン/メタクリル酸メチル/アクリル酸−n−ブチル/スチレン/ハリフタール/アクリル酸アミド=113/506/371/169/113/26の比で重合させたアクリル共重合体の60wt%トルエン溶液0.4g、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.006g、ほう酸トリメチル0.0012gをトルエン11.5928gに溶解させたものをプライマーAとした。
(比較例1)プライマーB作製
γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン/メタクリル酸メチル/アクリル酸−n−ブチル/スチレン/ハリフタール/アクリル酸アミド=113/506/371/169/113/26の比で重合させたアクリル共重合体の60wt%トルエン溶液0.4gをトルエン11.6gに溶解させたものをプライマーBとした。
(比較例2)プライマーC作製
γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン/メタクリル酸メチル/アクリル酸−n−ブチル/スチレン/ハリフタール/アクリル酸アミド=113/506/371/169/113/26の比で重合させたアクリル共重合体の60wt%トルエン溶液2.0gをトルエン10gに溶解させたものをプライマーCとした。
(モールド樹脂調製例)
(合成例)トリアリルイソシアヌレートと1、3、5、7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物の合成
5Lのセパラブルフラスコにトルエン1.8kg、1、3、5、7−テトラメチルシクロテトラシロキサン1.44kgを加えて、内温が104℃になるように加熱した。そこに、トリアリルイソシアヌレート200g、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)1.44mL、トルエン200gの混合物を滴下した。120℃のオイルバス中で7時間加熱還流させた。1−エチニル−1−シクロヘキサノール1.7gを加えた。未反応の1、3、5、7−テトラメチルシクロテトラシロキサンおよびトルエンを減圧留去した。H−NMRによりこのものは1、3、5、7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのSiH基の一部がトリアリルイソシアヌレートと反応したもの(部分反応物A1と称す、SiH価:8.2mmol/g、アリル価:0.12mmol/g)であることがわかった。生成物は混合物であるが下記のものを主成分として含有している。また、合成時に添加する白金ビニルシロキサン錯体を含有している。
【0189】
【化36】
Figure 2004339450
(配合例)モールド樹脂配合例
トリアリルイソシアヌレート54.51gとジアリルモノグリシジルイソシアヌレート87.03gの混合物、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)913mg、ほう酸トリメチル1.52gをあらかじめ混合、攪拌し混合物A液を作製した。また、合成例の反応物(A1)162.64g、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン7.60g、1−エチニル−1−シクロヘキサノール90mgをあらかじめ混合、攪拌し混合物B液を作製した。上記混合物A液と混合物B液を混合し攪拌・脱泡を行い一液混合物とした。
(接着性評価サンプル作製)
上記プライマーA〜Cを樹脂製LEDパッケージ(3mm×2mm×1.5mm)にシリコンチップ(0.4mm×0.4mm×0.2mmt)を設置したものにいっぱいに満たし、100℃、1hrで加熱した。このプライマー処理パッケージ、及び未処理パッケージに、それぞれモールド樹脂調製例の一液混合物をディスペンスし、60℃/6時間、70℃/1時間、80℃/1時間、120℃/1時間、150℃/1時間加熱し、180℃/30min後硬化させて封止した。
(接着性試験)
試験はN=3で実施。モールド樹脂硬化後、顕微鏡にて樹脂初期状態(クラック・剥離)を観察。ロクタイトでパッケージをハンダ実装板に仮固定させる。そのものを250℃のハンダ浴フロート(10秒)→20℃(3秒)の水につけてはんだ実装した。その後、顕微鏡にて実装後の樹脂状態(クラック・剥離)を観察。
【0190】
さらに、ハンダ試験後のサンプルを試験片について耐光性試験を実施した。耐光性試験はスガ試験機製メタリングウェザーメーター M6Tを用い、放射照度:0.53 KW/m, B.P.T.:120 ℃、積算放射照度:100〜250MJ/mの条件下において所定時間樹脂を暴露の試験条件で実施した。耐光性試験後の樹脂状態(クラック・剥離)を観察。
【0191】
結果を表1に示した。
【0192】
【表1】
Figure 2004339450
耐光性試験後において実施例1では接着性を保持したのに対し、比較例1、比較例2では剥離が発生した。
【0193】
【発明の効果】
本発明のプライマー組成物を適用することにより、耐光性試験後の剥離が抑制され、LEDパッケージとモールド部材との接着信頼性が向上した。

Claims (6)

  1. モールド樹脂を設けるに先立ち、LEDパッケージ表面にプライマー層を設けるために用いられるプライマー組成物であって、
    溶剤中にアクリル系重合体、シラノール縮合触媒、シランカップリング剤及び/又はエポキシ基含有化合物を必須成分として含むことを特徴とするプライマー組成物。
  2. モールド樹脂が(A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機系骨格からなる有機化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、を必須成分として含むことを特徴とする硬化性組成物であるLEDパッケージ表面にプライマー層を設けるために用いられる請求項1記載のプライマー組成物。
  3. シランカップリング剤及び/又はエポキシ基含有化合物が分子中にエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基及びカルバメート基からなる群より選ばれる少なくとも1個の官能基と加水分解性のケイ素基を有するシランカップリング剤であることを特徴とする請求項1、2記載のプライマー組成物。
  4. シラノール縮合触媒がほう酸トリノルマルオクタデシル、ほう酸トリノルマルオクチル、ほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピル、ほう酸トリエチル及びほう酸トリメチルからなる群より選ばれる少なくとも1種類であることを特徴とする請求項1〜3記載のプライマー組成物。
  5. 請求項1〜4記載のプライマー組成物を加熱し、溶剤を揮発させて基材に塗布する事を特徴とするプライマー樹脂の塗布方法。
  6. 底面と側壁とからなる開口部を備えたLEDパッケージであり、開口部底面には正の外部電極と負の外部電極との各端部が所定の間隔を隔てて露出するように成形樹脂にて一体成形されてなるLEDパッケージにおいて、請求項1〜5のいずれか1項に記載のプライマー組成物が請求項5記載の方法で塗布されていることを特徴とする発光ダイオード。
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