JP2004339280A - マレイミド系樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、N−置換マレイミド系単量体および不飽和ジカルボン酸無水物系単量体成分が特定の範囲内にあるマレイミド共重合体の組成物が、下記式1で計算されるパラメータk値が0.5〜0.8であるマレイミド系樹脂組成物。
k=−[w1×ln(Tg/Tg1)]/[w2×ln(Tg/Tg2)] 式1
Tg : マレイミド系樹脂組成物のガラス転移温度(℃)
Tg1 : 芳香族ビニル系共重合体(B)のガラス転移温度(℃)
Tg2 : マレイミド系共重合体(A)のガラス転移温度(℃)
w1 : 芳香族ビニル系共重合体(B)の配合比(質量%)
w2 : マレイミド系共重合体(A)の配合比(質量%)
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性、耐薬品性に優れ、かつ成形加工性に優れたマレイミド系共重合体組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
耐熱性に優れ、かつ、成形加工性に優れた樹脂として、芳香族ビニル系単量体とマレイミド系単量体にシアン化ビニル系単量体を組み込んだマレイミド共重合体が種々提案されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
このようなマレイミド系共重合体は、混合性が重視されているため、芳香族ビニル系共重合体と混合した後の前記式1で計算されるパラメータk値は大きくなる特徴を有するが、マレイミド系単量体の割合が減るため、耐熱性が十分に上がらない欠点を有する。また、これらの製造方法では、シアン化ビニル系単量体単味による色相悪化を引き起こす欠点を有する。
【0003】
【特許文献1】
特開平2−138231号公報
【特許文献2】
特開平3−205411号公報
【特許文献3】
特開平9−221522号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、これら従来の欠点を解消するため、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、N−置換マレイミド系単量体および不飽和ジカルボン酸無水物系単量体のそれぞれの構成単位成分を頂点とする三角グラフで表される特定の範囲内にあるマレイミド共重合体と芳香族ビニル系共重合体を特定の条件下で混合することにより、耐熱性、耐薬品性を下げずに優れた成形加工性を持ったマレイミド系樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このような問題点を解決する手段として、鋭意検討した結果、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、N−置換マレイミド系単量体および不飽和ジカルボン酸無水物系単量体のそれぞれの構成単位成分を頂点とする三角グラフで表される特定の範囲内にあるマレイミド共重合体と特定の芳香族ビニル系共重合体が前記式1で計算されるパラメータk値が0.5〜0.8にあるように混合することで目的の組成物が得られることを見出し本発明に至った。
【0006】
すなわち本発明は、芳香族ビニル系単量体残基(a)、シアン化ビニル系単量体残基(b)、N−置換マレイミド系単量体残基(c)および不飽和ジカルボン酸無水物系単量体残基(d)から構成(ただし、(a)〜(d)の各単量体残基の合計量は100質量部)され、(a)〜(d)のそれぞれの構成単位成分(質量部)が、
(a)/(b)/{(c)+(d)}=37/0/63
(a)/(b)/{(c)+(d)}=43/7/50
(a)/(b)/{(c)+(d)}=50/0/50
を頂点とする三角グラフで表される範囲内であるマレイミド系共重合体(A)と、芳香族ビニル系単量体残基(e)65〜80質量部、シアン化ビニル系単量体残基(f)20〜35質量部から構成(ただし、(e)〜(f)の各単量体残基の合計量は100質量部)される芳香族ビニル系共重合体(B)との混合物であるマレイミド系樹脂組成物であって、かつ当該組成物が下記式1で計算されるパラメータk値が0.5〜0.8であることを特徴とするマレイミド系樹脂組成物に関する。
k=−[w1×ln(Tg/Tg1)]/[w2×ln(Tg/Tg2)] 式1
Tg : マレイミド系樹脂組成物のガラス転移温度(℃)
Tg1 : 芳香族ビニル系共重合体(B)のガラス転移温度(℃)
Tg2 : マレイミド系共重合体(A)のガラス転移温度(℃)
w1 : 芳香族ビニル系共重合体(B)の配合比(質量%)
w2 : マレイミド系共重合体(A)の配合比(質量%)
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられるマレイミド系共重合体(A)の芳香族ビニル系単量体残基(a)としては、スチレン、α−メチルスチレン、ジメチルスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン等の単量体およびその誘導体が挙げられ、これらの中で特にスチレンが好ましい。
【0008】
本発明に用いられるマレイミド系共重合体(A)のシアン化ビニル単量体残基(b)としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、α−クロルアクリロニトリル等が挙げられ、これらの中で特にアクリロニトリルが好ましい。
【0009】
N−置換マレイミド系単量体残基(c)としては、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(4−メトキシフェニル)マレイミド等が挙げられ、これらの中で特にN−フェニルマレイミドが好ましい。
【0010】
不飽和ジカルボン酸無水物系単量体残基(d)としてはとしては、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、アニコット酸等の不飽和ジカルボン酸無水物系単量体が挙げられ、これらの中で特にマレイン酸無水物が好ましい。
【0011】
不飽和ジカルボン酸無水物系単量体残基(d)を変性させてN−置換マレイミド系単量体残基(c)とする場合は、変性にはアミン類を用いることができ、アンモニアおよび/または第1級アミンが挙げられる。
第1級アミンの例としては、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、シクロヘキシルアミン等のアルキルアミン。o−トルイジン、α−ナフチルアミン、β−ナフチルアミン、アニリン、2,4,6−トリクロロアニリン、メトキシアニリン、エトキシアニリン等の芳香族アミンが挙げられるが、これらの中で特にアニリンが好ましい。
【0012】
本発明のマレイミド共重合体(A)の芳香族ビニル系単量体残基(a)、シアン化ビニル系単量体残基(b)、N−置換マレイミド系単量体残基(c)および不飽和ジカルボン酸無水物系単量体残基(d)の構成単位成分(質量部)が、
(a)/(b)/{(c)+(d)}=37/0/63
(a)/(b)/{(c)+(d)}=43/7/50
(a)/(b)/{(c)+(d)}=50/0/50
を頂点とする三角グラフで表される範囲内であることが必要である。
好ましくは、
(a)/(b)/{(c)+(d)}=40/0/60
(a)/(b)/{(c)+(d)}=43/7/50
(a)/(b)/{(c)+(d)}=49/0/51
を頂点とする三角グラフで表される範囲内である。
芳香族ビニル系単量体残基(a)が37質量部未満では、強度が低下するので好ましくない。50質量部を超えると、高耐熱性が維持できないので好ましくない。シアン化ビニル系単量体残基(b)が7質量部を越えると色相が悪化するので好ましくない。N−置換マレイミド系単量体残基(c)と不飽和ジカルボン酸無水物系単量体残基(d)の合計量が50質量部未満では耐熱性が低下するために好ましくなく、63質量部を越えると剛性が低下するために好ましくない。
【0013】
本発明のマレイミド系共重合体(A)の製造方法は塊状重合、溶液重合、懸濁重合等、公知の重合方法が適応できるが、これらの中で溶液重合が好ましい。
【0014】
本発明のマレイミド系共重合体(A)の製造に用いる有機溶剤としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、その他、ジメチルホルムアミド、シクロヘキサン等が使用できる。
【0015】
本発明のマレイミド系共重合体(A)に用いる重合開始剤については、特に制限は無く、有機過酸化物やアゾ系化合物等を用いることができる。
有機過酸化物の例として、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン等のパーオキシケタール系、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノネート、t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルペルオキサセテート等のパーオキシエステル系、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイト、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド系等が挙げられる。アゾ系化合物としては、2,2−アゾビスイソブチロニトリル 2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル) 2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等が挙げられる。
【0016】
本発明の重合において、連鎖移動剤または分子量調整剤として、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類。ターピノーレン、α−メチルスチレンダイマー等が使用でき、種類を限定することなく既知の薬剤が使用可能である。
【0017】
芳香族ビニル系単量体残基(a)、シアン化ビニル系単量体残基(b)、N−置換マレイミド系単量体残基(c)、不飽和ジカルボン酸無水物系単量体残基(d)を重合する場合、芳香族ビニル系単量体残基(a)、シアン化ビニル系単量体残基(b)、N−置換マレイミド系単量体残基(c)を一括で仕込み、不飽和ジカルボン酸無水物系単量体残基(d)を全分添して重合する方法がある。
【0018】
不飽和ジカルボン酸無水物系単量体残基(d)を変性させてN−置換マレイミド系単量体残基(c)とする場合は、芳香族ビニル系単量体残基(a),シアン化ビニル系単量体残基(b)、不飽和ジカルボン酸無水物系単量体残基(d)を重合し、引き続き、不飽和カルボン酸系単量体部をアンモニアおよび/または第1級アミンで部分変性して、芳香族ビニル系単量体残基(a)、シアン化ビニル系単量体残基(b)、N−置換マレイミド系単量体残基(c)および不飽和カルボン酸無水物系単量体残基(d)から成る共重合体を製造する。
【0019】
不飽和ジカルボン酸無水物単量体残基(d)からN−置換マレイミド系単量体残基(c)への変性は、必要十分なアンモニアおよび/または第1級アミンを添加して、N−置換マレイミド系単量体残基(c)および不飽和ジカルボン酸無水物系単量体残基(d)の質量比が80/20〜99/1であるように調整することが好ましい。さらに好ましくは85/15〜98/2である。
【0020】
不飽和ジカルボン酸無水物単量体残基(d)の変性温度は120〜250℃であり、好ましくは150〜230℃である。120℃未満の場合には反応速度が遅くなり、長時間を要してしまうので実用的でない。また、230℃を超える場合にはアンモニアおよび/または第1級アミンの分解および副反応が始まるため好ましくない。
【0021】
不飽和ジカルボン酸無水物単量体の変性時に触媒を用いることができる。 用いる場合の触媒の種類としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の第3級アミンが好ましく、特にトリエチルアミンが用いられる。
用いられる場合の量はアンモニアおよび/または第1級アミンに対し0.01〜2.0質量%である。
【0022】
本発明に用いられる芳香族ビニル系共重合体(B)の芳香族ビニル系単量体残基(e)としては、スチレン、α−メチルスチレン、ジメチルスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン等の単量体およびその誘導体が挙げられ、これらの中で特にスチレンが好ましい。
【0023】
本発明に用いられる芳香族ビニル系共重合体(B)のシアン化ビニル単量体残基(f)としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、α−クロルアクリロニトリル等が挙げられ、これらの中で特にアクリロニトリルが好ましい。
【0024】
本発明の芳香族ビニル系共重合体(B)の芳香族ビニル系単量体残基(e)は65〜80質量部であることが必要である。好ましくは70〜80質量部である。
シアン化ビニル系単量体残基(f)は20〜35質量部であることが必要である。好ましくは20〜30質量部である。
芳香族ビニル系単量体残基(e)が65質量部未満で、かつ、シアン化ビニル系単量体残基(f)が35質量部を越えると、成形加工性の低下を引き起こすので好ましくない。芳香族ビニル系単量体残基(e)が80質量部を越えて、かつ、シアン化ビニル系単量体残基(f)が20質量部未満では、マレイミド系共重合体(A)と芳香族ビニル系共重合体(B)の耐熱性、強度、剛性が低下するために好ましくない。
【0025】
本発明の芳香族ビニル系共重合体(B)の重合方法は特に限定されるものでなく、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等公知の重合方法が適応できる。
【0026】
本発明のマレイミド共重合体(A)と芳香族ビニル系共重合体(B)との配合が、50/50〜5/95質量部であることが好ましい。さらに好ましくは、40/60〜10/90質量部である。マレイミド共重合体(A)が50質量部を超えると、後述する条件での混合では混ざりにくいため、ガラス転移点が2つ現れることとなるので好ましくない。
【0027】
本発明のマレイミド共重合体(A)と芳香族ビニル系共重合体(B)の混合物において、前記式1から計算されるパラメータk値が0.50〜0.80であることが必要である。好ましくは、0.60〜0.80である。パラメータが0.50未満では、十分な混合性が得られていないため成形加工性が悪くなる。また、0.80を超えると、混練状態が厳しいためにマレイミド系単量体の分解が発生して耐熱性が落ちると共に、強度や剛性特性の低下を引き起こすので好ましくない。
【0028】
混合後のガラス転移点を測定したときにマレイミド系樹脂組成物と芳香族ビニル系共重合体に由来する2つの成分が存在せず、ただ1つの成分が検出されるよな温度条件で混合する必要がある。
混合する温度は、使用するマレイミド系共重合体のガラス転移点よりも10℃〜60℃高い温度で混合することが好ましい。好ましくは、20℃〜50℃である。混合温度が使用するマレイミド系共重合体のガラス転移点よりも10℃未満の場合、混合が不十分となりマレイミド系樹脂組成物と芳香族ビニル系共重合体に由来する2つの成分が存在して好ましくない。混合温度が60℃を超えて高い温度の場合は、芳香族ビニル系共重合体が熱劣化を引き起こす可能性があり好ましくない。混合時間は混合時のトルク値の推移において初期安定が終了するまでが好ましく、長時間混合を続けることは好ましくない。
【0029】
マレイミド系共重合体(A)と芳香族ビニル系共重合体(B)を混合する方法としては、単軸(一軸)押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー等公知の方法で行うことができる。なお、混合時に必要に応じて滑剤、顔料、染料、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤やガラス繊維、タルク等の強化剤を添加することもできる。
【0030】
本発明の組成物は単独の組成物として、または、その他公知の重合方法で得られた共重合体と混合して使用することが可能である。押出成形、射出成形、ブロー成形やフィルム,シートにおいて耐熱性と加工性に優れた性質を示す。
【0031】
【実施例】
下記の実施例及び比較例で本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
【0032】
各実施例及び比較例中の各物性は、下記のようにして測定した。
・ガラス転移温度(Tg)
下記装置を使用して、JIS K 7121に準拠してガラス転移温度を測定した。
装置;セイコーインスツルメント(株)製「Exstar6000 DCS6200」
温度;R.T.〜300℃(10℃/min)
雰囲気:窒素(10ml/min)
試料量;30mg
・N−置換マレイミド系単量体残基(c)および不飽和ジカルボン酸無水物系単量体残基(d)の質量比
下記の13C−NMR装置を使用して、カルボニル四級炭素のピーク強度から、N−置換マレイミド系単量体残基(c)および不飽和ジカルボン酸無水物系単量体残基(d)の質量比を測定した。
装置;BRUKER製「AVANCE−300」
溶媒:重DMSO−d6
温度;110℃
【0033】
〈マレイミド系共重合体A−1〜2、A−4〜5の製造方法〉
攪拌機、加熱冷却装置、温度計、原料添加装置を備えた10リットルのステンレス製反応器にイソブチルメチルケトン630g、α−メチルスチレンダイマー1.75gおよび表1に示す量の初期仕込み分スチレン、アクリロニトリルを仕込み、窒素雰囲気下、内温90℃に保持し、イソブチルメチルケトン4200g、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノネート3.5gおよび表1に示す量の分添分スチレンと無水マレイン酸を連続添加しながら、4時間加熱攪拌し重合を行った。分添終了後内温を110℃にして2時間攪拌を継続して重合を完結させた。重合終了後、表1に示す量のアニリンおよびトリエチルアミンを添加し、内温を155℃にした。内温155℃を保持しながら4時間攪拌し重合体A−1〜2、A−4〜5を得た。
【0034】
〈マレイミド系共重合体A−3の製造方法〉
攪拌機、加熱冷却装置、温度計、原料添加装置を備えた10リットルのステンレス製反応器にイソブチルメチルケトン630g、α−メチルスチレンダイマー1.75gおよび表1に示す量の初期仕込み分スチレン、アクリロニトリル、N−フェニルマレイミドを仕込み、窒素雰囲気下、内温90℃に保持し、イソブチルメチルケトン4200g、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノネート3.5gおよび表1に示す量の分添スチレンを連続添加しながら、6時間加熱攪拌し重合を行った。分添終了後内温を110℃にして2時間攪拌を継続して重合を完結させ、共重合体A−3を得た。
【0035】
〈芳香族ビニル系共重合体B−1〜3の製造方法〉
攪拌機、加熱冷却装置、温度計、原料添加装置を備えた10リットルのステンレス製反応器に純水4000g、過硫酸カリウム0.2%水溶液100g、リン酸カルシウム2.8g、t−ドデシルメルカプタン24g、過酸化ベンゾイル4gおよび表2に示す量の初期仕込み分スチレンとアクリロニトリルをそれぞれ仕込み、窒素雰囲気下内温100℃を保持した。内温が100℃に達したところで表2に示す分添分スチレンを、100℃2時間、103℃2時間、107℃3時間、合計7時間かけて連続添加しながら攪拌し重合し、共重合体B−1〜3を得た。
【0036】
【実施例1〜6】
上記製造方法で得られたマレイミド系共重合体A−1〜3と芳香族ビニル系共重合体B−1〜3を,表3に示す配合比で、下記に示す装置を用いて混合してマレイミド系樹脂組成物を作製した。条件と結果を表3,4に示す。
〈装置〉
BRABENDER社製「PLASTI−CORDER PL2000」
【0037】
【比較例1〜3】
上記製造方法で得られたマレイミド系共重合体A−4〜5と芳香族ビニル系共重合体B−1〜2を,表3に示す配合比で、下記に示す装置を用いて混合してマレイミド系樹脂組成物を作製した。条件と結果を表3,4に示す。
〈装置〉
BRABENDER社製「PLASTI−CORDER PL2000」
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は耐熱性に優れて、かつ、耐薬品性および成形加工性を要求される用途に使用される。例えば自動車関係のカーオーディオ、スポイラー、ピラーサンルーフフレーム、デフロスターグリル、ランプハウジング等の部品。電気・電子機器関係の携帯電話機、PHS、カメラ、電子手帳、食器、熱器具、電気冷蔵庫、電子レンジ、OA機器等の部品。サニタリー関係の便座、風呂等の部品、その他工業用機械部品等に好適である。
Claims (5)
- 芳香族ビニル系単量体残基(a)、シアン化ビニル系単量体残基(b)、N−置換マレイミド系単量体残基(c)および不飽和ジカルボン酸無水物系単量体残基(d)から構成(但し、(a)〜(d)の各単量体残基の合計量は100質量部)され、(a)〜(d)のそれぞれの構成単位成分(質量部)が、
(a)/(b)/{(c)+(d)}=37/0/63
(a)/(b)/{(c)+(d)}=43/7/50
(a)/(b)/{(c)+(d)}=50/0/50
を頂点とする三角グラフで表される範囲内であるマレイミド系共重合体(A)と、芳香族ビニル系単量体残基(e)65〜80質量部、シアン化ビニル系単量体残基(f)20〜35質量部から構成(但し、(e)〜(f)の各単量体残基の合計量は100質量部)される芳香族ビニル系共重合体(B)との混合物であるマレイミド系樹脂組成物であって、かつ当該組成物が下記式1で計算されるパラメータk値が0.5〜0.8であることを特徴とするマレイミド系樹脂組成物。
k=−[w1×ln(Tg/Tg1)]/[w2×ln(Tg/Tg2)] 式1
Tg : マレイミド系樹脂組成物のガラス転移温度(℃)
Tg1 : 芳香族ビニル系共重合体(B)のガラス転移温度(℃)
Tg2 : マレイミド系共重合体(A)のガラス転移温度(℃)
w1 : 芳香族ビニル系共重合体(B)の配合比(質量%)
w2 : マレイミド系共重合体(A)の配合比(質量%) - マレイミド系共重合体(A)のN−置換マレイミド系単量体残基(c)および不飽和ジカルボン酸無水物系単量体残基(d)の質量比が80/20〜99/1の範囲内にあることを特徴とする請求項1記載のマレイミド系樹脂組成物。
- マレイミド系共重合体(A)が、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体および不飽和ジカボン酸無水物系単量体を重合し、引き続き、アンモニアおよび/または第1級アミン類で不飽和ジカルボン酸無水物単位の一部をN−置換マレイミド系単量体に変性した四元系共重合体であることを特徴とする請求項1または2記載のマレイミド系樹脂組成物。
- マレイミド系共重合体(A)と芳香族ビニル系共重合体(B)との配合が、50/50〜5/95質量部であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のマレイミド系樹脂組成物。
- 請求項1記載のマレイミド系共重合体(A)と芳香族ビニル系共重合体(B)とを、使用するマレイミド系共重合体のガラス転移点よりも10℃〜60℃高い温度条件で混合することにより、当該組成物が下記式1で計算されるパラメータk値が0.5〜0.8であることを特徴とするマレイミド系樹脂組成物の製造方法。
k=−[w1×ln(Tg/Tg1)]/[w2×ln(Tg/Tg2)] 式1
Tg : マレイミド系樹脂組成物のガラス転移温度(℃)
Tg1 : 芳香族ビニル系共重合体(B)のガラス転移温度(℃)
Tg2 : マレイミド系共重合体(A)のガラス転移温度(℃)
w1 : 芳香族ビニル系共重合体(B)の配合比(質量%)
w2 : マレイミド系共重合体(A)の配合比(質量%)
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JP2003134813A JP2004339280A (ja) | 2003-05-13 | 2003-05-13 | マレイミド系樹脂組成物 |
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