JP2004331847A - ポリ乳酸水性分散液 - Google Patents

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Abstract

【課題】分散液の保存安定性、得られる皮膜の接着性に優れたポリ乳酸水性分散液を提供する。
【解決手段】エポキシ化合物、アミン化合物、イソシアネート化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物およびシランカップリング剤からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物(A)を配合したポリ乳酸水性分散液。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリ乳酸水性分散液に関する。さらに詳しくは、分散液の保存安定性、得られる皮膜の接着性に優れたポリ乳酸水性分散液に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球環境保全の重要性が高まり、廃棄物処理問題や資源問題の早急な解決が迫られており、地球環境保全および循環型社会構築へ向けて生分解性樹脂が注目され、開発が進められている。
【0003】
生分解性樹脂は、土壌中、海水中、河川、湖沼等に存在する微生物により分解されるため環境適合性があり、また、焼却時に有害ガスを発生しない等の利点がある。このような生分解性樹脂の利用は、主に、フィルム、繊維等の成形加工分野において発展してきており、包装容器分野、農業土木資材分野、コンポスト資材分野等で実用化が進んでいる。しかしながら、接着剤、粘着剤、塗料、ヒートシール剤、コーティング剤等の非成形加工分野への生分解性樹脂の利用は、成形加工分野に比べ実用化が進んでおらず、開発の促進が求められている。特に、生分解性樹脂の成形加工分野の実用化が進むとともに、生分解性樹脂のフィルム、繊維等の貼りあわせや紙基材との接着に使用することのできる溶液タイプの生分解性接着剤のニーズが高まっている。
【0004】
このような生分解性接着剤の原料として、ポリ乳酸は、トウモロコシ澱粉等の植物性原料から製造され、使用後はコンポストバック等で容易に分解される。また、ポリ乳酸は熱可塑性を有しており、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレン等の汎用プラスチックの形成法が利用できる可能性があるため注目されている。
【0005】
ポリ乳酸を用いた溶液タイプの生分解性接着剤としては、ポリ乳酸にアニオン系乳化剤等の乳化剤を添加した生分解性樹脂水系分散体等(例えば、特許文献1〜3参照)が知られている。しかしながら、これらの生分解性樹脂水系分散体は、保存安定性が悪く、また得られる皮膜の接着性が充分に満足のいくものではないという問題がある。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−101911号公報
【特許文献2】
特開2001−11294号公報
【特許文献3】
特開2002−356612号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、分散液の保存安定性、得られる皮膜の接着性に優れたポリ乳酸水性分散液を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、エポキシ化合物、アミン化合物、イソシアネート化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物およびシランカップリング剤からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物(A)を配合することにより、分散液の保存安定性、得られる皮膜の接着性に優れたポリ乳酸水性分散液が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のポリ乳酸水性分散液は、特定の化合物(A)を配合してなるものである。
本発明に用いられる化合物(A)としては、エポキシ化合物、アミン化合物、イソシアネート化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物およびシランカップリング剤からなる群から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
【0010】
エポキシ化合物の具体例としては、(ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテル、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリシドール、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、α−メチルエピクロロヒドリン等が挙げられる。
なお、本明細書において、(ポリ)とは、二量体、三量体等のオリゴマーも含む重合体を表す。
【0011】
アミン化合物の具体例としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミン、ポリアミドポリアミン等が挙げられる。
【0012】
イソシアネート化合物の具体例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、およびこれらのブロックドイソシアネート等が挙げられる。
オキサゾリン化合物の具体例としては、1,2−エチレンビスオキサゾリン等が挙げられる。
【0013】
カルボジイミド化合物の具体例としては、p−フェニレン(ポリ)カルボジイミド、ジシクロヘキシル(ポリ)カルボジイミド、ジイソプロピル(ポリ)カルボジイミド、ジメチル(ポリ)カルボジイミド、ジイソブチル(ポリ)カルボジイミド等が挙げられる。
シランカップリング剤の具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0014】
これらの化合物(A)の中でも、ポリ乳酸水性分散液の保存安定性、得られる皮膜の接着性を高める観点から、エポキシ化合物、とりわけグリセロールポリグリシジルエーテル、グリシドールが好適に用いられる。
【0015】
前記化合物(A)の配合量は、ポリ乳酸100重量部に対して、0.01〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5重量部であることが望ましい。化合物(A)の配合量が0.01重量部未満の場合、得られるポリ乳酸水性分散液の保存安定性の向上効果が、低いおそれがある。また、化合物(A)の配合量が10重量部を超える場合、使用量に見合う効果は得られず、経済的でない。
【0016】
本発明の化合物(A)を配合したポリ乳酸水性分散液の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、ポリ乳酸を水に分散させる際に、化合物(A)を配合した状態で分散させて、ポリ乳酸水性分散液を製造する方法;ポリ乳酸を水に分散させた後に、化合物(A)を配合して、ポリ乳酸水性分散液を製造する方法等が挙げられる。以下に、一例として、ポリ乳酸を水に分散させた後に、化合物(A)を配合して、ポリ乳酸水性分散液を製造する方法を記載する。
【0017】
化合物(A)の配合形態としては、特に限定されないが、例えば、水や有機溶媒等に溶解や分散させて配合する方法、そのまま配合する方法等が挙げられる。また、化合物(A)の配合の際に、必要に応じて、加熱、加圧等の処理を行ってもよい。
【0018】
前記ポリ乳酸を水に分散させる方法としては、特に限定されないが、例えば、有機溶媒に溶解したポリ乳酸を、乳化剤の存在下で分散させる方法;ポリ乳酸、乳化剤、水を直接混合して分散させる方法等が挙げられる。以下に、一例として、有機溶媒に溶解したポリ乳酸を、乳化剤の存在下で分散させる方法を記載する。
【0019】
前記ポリ乳酸としては、特に限定されないが、例えば、L−乳酸の単独重合体、D−乳酸の単独重合体、L−乳酸とD−乳酸の共重合体、L−および/またはD−乳酸と共重合可能な化合物との共重合体等が挙げられる。
【0020】
前記有機溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。これらの有機溶媒は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
【0021】
有機溶媒の使用量は、ポリ乳酸に対して1〜30倍重量であることが好ましく、より好ましくは5〜20倍重量であることが望ましい。有機溶媒の使用量が1倍重量未満の場合、ポリ乳酸が有機溶媒中に均一に溶解されず、得られるポリ乳酸水性分散液中のポリ乳酸粒子の粒子径が大きくなるおそれがある。また、有機溶媒の使用量が30倍重量を超える場合、使用量に見合う効果は得られず、経済的でない。
【0022】
前記乳化剤としては、特に限定されないが、例えば、アニオン系乳化剤、ノニオン系乳化剤、カチオン系乳化剤等が挙げられる。
前記アニオン系乳化剤としては、特に限定されないが、例えば、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩等の硫酸塩;ベンゼンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、およびこれらのホルマリン縮合物等のスルホン酸塩;アルケニルコハク酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩等のコハク酸塩;脂肪酸塩等の脂肪酸石鹸;ポリアクリル酸、スチレン無水マレイン酸共重合体塩等が挙げられる。なお、前記酸塩中の塩としては、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等の金属塩;アンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩等のアンモニウム塩等が挙げられる。これらのアニオン系乳化剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、得られるポリ乳酸水性分散液中のポリ乳酸粒子の粒子径が小さい時にも保存安定性に優れた水性分散液が得られる観点から、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルケニルコハク酸塩、とりわけ、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルケニルコハク酸二カリウムが好適に用いられる。
【0023】
前記ノニオン系乳化剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキレート類、オキシエチレンオキシプロピレンブロック共重合体、ポリグリセリンエステル類、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。これらのノニオン系乳化剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、得られるポリ乳酸水性分散液中のポリ乳酸粒子の粒子径が小さい時にも保存安定性に優れた水性分散液が得られる観点から、ポリビニルアルコールが好適に用いられる。
【0024】
前記カチオン系乳化剤としては、特に限定されないが、例えば、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられる。これらのカチオン系乳化剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
【0025】
これらの乳化剤の中でも、得られるポリ乳酸水性分散液中のポリ乳酸粒子の粒子径が小さいときにもより保存安定性に優れた水性分散液が得られる観点から、アニオン系乳化剤とノニオン系乳化剤を併用することが好ましい。
【0026】
乳化剤の使用量は、前記ポリ乳酸100重量部に対して、0.1〜15重量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜12重量部であることが望ましい。乳化剤の使用量が0.1重量部未満の場合、ポリ乳酸を分散しにくくなるおそれがある。また、乳化剤の使用量が15重量部を超える場合、使用量に見合う効果は得られず、経済的でない。
乳化剤の使用形態は、特に限定されないが、例えば、乳化剤を含む水溶液として使用する形態が挙げられる。
【0027】
前記水溶液に用いられる水としては、特に限定されず、例えば、水道水や脱イオン水等が挙げられる。また、水の使用量は、所望のポリ乳酸水性分散液の濃度により異なるが、通常、水溶液中の水の含有量が20〜99重量%となることが望ましい。
【0028】
有機溶媒に溶解したポリ乳酸を、乳化剤の存在下で分散させる方法としては、特に限定されないが、例えば、ホモジナイザー、コロイドミル等の適当な剪断力を有する乳化機を用いて分散させる方法;超音波分散機等を用いて分散させる方法等が挙げられる。
【0029】
有機溶媒に溶解したポリ乳酸を、乳化剤の存在下で分散させる際の温度は、0〜60℃であることが好ましく、より好ましくは10〜60℃であることが望ましい。分散させる際の温度が0℃未満の場合、水が凝固し始め、粘度が高くなり、均一に分散しにくいおそれがある。分散させる際の温度が60℃を超える場合、ポリ乳酸が分解して分子量が低下し、得られる皮膜の接着性が低下するおそれがある。
【0030】
有機溶媒に溶解したポリ乳酸を、乳化剤の存在下で分散させる際の時間は、温度により異なるが、通常、0.5分〜10時間であることが望ましい。
分散後は、所望により、有機溶媒を留去等の方法により除去することができる。
【0031】
分散後のpHは、特に限定されないが、ポリ乳酸水性分散液の保存安定性、得られる皮膜の接着性を高める観点から、2〜10であることが好ましく、より好ましくは4〜7であることが望ましい。pHが前記範囲にならない際は、アルカリ化合物や酸化合物を用いて、所望のpHに調整することができる。
かくして得られた、ポリ乳酸の分散液に前記化合物(A)を配合することにより、本発明のポリ乳酸水性分散液を得ることができる。
【0032】
本発明のポリ乳酸水性分散液には、ポリ乳酸水性分散液の保存安定性や得られる皮膜の接着性を改良する目的のために、必要に応じて増粘剤、粘着付与剤、可塑剤等を添加することができる。
【0033】
前記増粘剤としては、例えば、グァーガム、アラビアガム、キタンサンガム、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸プロピレングリコールエステル等の高分子物質が挙げられる。
【0034】
前記粘着付与剤としては、例えば、ガムロジン、ロジンエステル、テルペンフェノール樹脂等の天然樹脂系粘着付与剤;炭素数5〜9の石油分解留分から誘導された石油系樹脂粘着付与剤、クマロン−インデン樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。
【0035】
前記可塑剤としては、例えば、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル等のフタル酸エステル;アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジブチル等の脂肪族二塩基酸エステル;アセチルクエン酸トリブチル、アセチルリシノール酸メチル等のオキシ酸エステルが挙げられる。さらに、重量平均分子量3,000以下の乳酸オリゴマー、L−ラクチド、D−ラクチド、DL−ラクチド等も乳酸ポリマーに柔軟性を付与するため有効である。
【0036】
前記増粘剤、粘着付与剤、可塑剤等の添加方法としては、特に限定されないが、例えば、ポリ乳酸の有機溶媒溶液または乳化剤を含む水溶液に添加する方法;有機溶媒に溶解したポリ乳酸を、乳化剤の存在下で分散させる際に添加する方法;得られたポリ乳酸水性分散液に添加する方法等が挙げられる。
【0037】
本発明のポリ乳酸水性分散液は、生分解性接着剤として使用することができる。また、本発明のポリ乳酸水性分散液の水分が除去されることで形成されるポリ乳酸皮膜は、接着性に優れているので、基材の接着剤、粘着剤、コーティング剤等に使用することができる。
【0038】
前記基材としては、特に限定されず、例えば、紙、各種繊維質素材からなる織布もしくは不織布、シート、フィルム等が用いられる。繊維質素材としては、例えば、綿、麻、絹、羊毛等の天然繊維;レーヨン、キュプラ等の再生繊維;ポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル等の合成繊維を挙げることができる。織布としては、例えば、前記繊維質素材から作られた織物、編物等を挙げることができる。また不織布としては、前記繊維質素材を化学的方法、機械的方法、またはそれらの組合せにより絡み合わせてウエッブとしたものが挙げられる。また、シート、フィルムの素材例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニル、ポリ乳酸、乳酸とその他のヒドロキシカルボン酸から誘導された乳酸系ポリマー、ポリブチレンサクシネート系ポリエステル、ポリカプロラクトン系樹脂、修飾澱粉系樹脂等を挙げることができる。これらの中でも、リサイクル適正に優れる生分解性プラスチックである、ポリ乳酸、乳酸とその他のヒドロキシカルボン酸から誘導された乳酸系ポリマー、ポリブチレンサクシネート系ポリエステル、ポリカプロラクトン系樹脂、修飾澱粉系樹脂が好適に用いられる。
【0039】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0040】
実施例1
1Lのビーカーに、ポリ乳酸45gとトルエン255gを仕込み、60℃で攪拌混合してポリ乳酸を溶解させた後、25℃まで冷却し、ポリ乳酸のトルエン溶液300gを得た。
【0041】
一方、500mLのビーカーに、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム3.5g、ポリビニルアルコール(重合度:1700,ケン化度:86.5〜89モル%)0.9gおよび水145.6gを仕込み、25℃で攪拌混合して、乳化剤の水溶液150gを得た。
【0042】
前記ポリ乳酸のトルエン溶液300gの入った1Lのビーカーに、前記乳化剤の水溶液150gを添加した後、乳化機(特殊機加工業株式会社の商品名:TKロボミックス MARKII 2.5型)を用いて、25℃、回転数16000rpmで2分間攪拌混合し、分散液450gを得た。
【0043】
得られた分散液から、45℃、87kPaの減圧下でトルエンを留去し、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを6に調整した後、グリセロールポリグリシジルエーテル0.225gを添加し、ポリ乳酸水性分散液を得た。得られたポリ乳酸水性分散液の保存安定性を、後述の評価方法により評価した。結果を表1に示した。
【0044】
引き続き、得られたポリ乳酸水性分散液を、バーコーターを用いて、固形分が25g/mとなるように、ポリ乳酸フィルム(フィルム厚35μm)に塗布した後、100℃で2分間乾燥し、ポリ乳酸皮膜を有するポリ乳酸フィルムを得た。
【0045】
次に、前記ポリ乳酸皮膜を有するポリ乳酸フィルムとポリ乳酸シート(シート厚1.5mm)とを、ヒートシール試験機(テスター産業株式会社の商品名:TP−701型)を用いて、シール温度100℃、シール圧0.2MPa、シール時間3秒間の条件でヒートシールした。ヒートシール後は、25mm×200mmの小片に切り出し、試験片とした。得られた試験片の剥離強度を、後述の評価方法により評価した。結果を表1に示した。
【0046】
実施例2
実施例1において、グリセロールポリグリシジルエーテルの配合量を0.225gから1.125gに変更した以外は、実施例1と同様の方法にてポリ乳酸水性分散液を得た後、ポリ乳酸水性分散液の保存安定性を評価した。結果を表1に示した。
引き続き、得られたポリ乳酸水性分散液を用いて、実施例1と同様の方法にて試験片を得た後、剥離強度を評価した。結果を表1に示した。
【0047】
実施例3
実施例1において、グリセロールポリグリシジルエーテル0.225gの代わりに、グリシドール0.225gを用いた以外は、実施例1と同様の方法にてポリ乳酸水性分散液を得た後、ポリ乳酸水性分散液の保存安定性を評価した。結果を表1に示した。
引き続き、得られたポリ乳酸水性分散液を用いて、実施例1と同様の方法にて試験片を得た後、剥離強度を評価した。結果を表1に示した。
【0048】
比較例1
実施例1において、グリセロールポリグリシジルエーテルを配合しない以外は、実施例1と同様の方法にてポリ乳酸水性分散液を得た後、ポリ乳酸水性分散液の保存安定性を評価した。結果を表1に示した。
引き続き、得られたポリ乳酸水性分散液を用いて、実施例1と同様の方法にて試験片を得た後、剥離強度を評価した。結果を表1に示した。
【0049】
[評価]
実施例および比較例で得られたポリ乳酸水性分散液および試験片を、下記の方法に従って評価した。
【0050】
(1)保存安定性
ポリ乳酸水性分散液50gを、ポリプロピレン製の容器(内径4cm、深さ5.5cm)に入れて密封した。密封した容器を、卓上型恒温器(TABAI株式会社製)中に、40℃で2週間静置保存した。2週間後、容器内のポリ乳酸水性分散液の状態を観察し、下記の基準により評価した。
○:凝集物の生成が見られず、分散状態は良好
×:凝集物が多量に見られる
【0051】
(2)剥離強度(N/25mm)
得られた試験片を1日静置した後、引張試験機(株式会社島津製作所の商品名:オートグラフAGS−D型)を用いて、引張速度50mm/分、引張角度180度の条件で、剥離強度(N/25mm)を測定した。なお、剥離強度が10N/25mm以上であれば、接着性に優れていると判断できる。
【0052】
【表1】
Figure 2004331847
【0053】
表1より、実施例1〜3のポリ乳酸水性分散液は、2週間後においても凝集物の生成が見られず、分散状態は良好であり、実施例1〜3のポリ乳酸水性分散液から得られた試験片の剥離強度が10N/25mm以上であるため、分散液の保存安定性、得られる皮膜の接着性に優れていることがわかった。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、エポキシ化合物、アミン化合物、イソシアネート化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物およびシランカップリング剤からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物(A)を配合することにより、分散液の保存安定性、得られる皮膜の接着性に優れたポリ乳酸水性分散液を提供することができる。

Claims (4)

  1. エポキシ化合物、アミン化合物、イソシアネート化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物およびシランカップリング剤からなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物(A)を配合したポリ乳酸水性分散液。
  2. 化合物(A)の配合量が、ポリ乳酸100重量部に対して0.01〜10重量部である請求項1に記載のポリ乳酸水性分散液。
  3. 請求項1または2に記載のポリ乳酸水性分散液の水分が除去されることで形成されるポリ乳酸皮膜。
  4. 請求項1または2に記載のポリ乳酸水性分散液からなる生分解性接着剤。
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